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特許7581917多芯リード線挿入装置、及び多芯リード線の挿入方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】多芯リード線挿入装置、及び多芯リード線の挿入方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20241106BHJP
   B23P 19/02 20060101ALI20241106BHJP
   B21F 15/00 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
H05K13/04 C
B23P19/02 A
B21F15/00 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021010656
(22)【出願日】2021-01-26
(65)【公開番号】P2022114366
(43)【公開日】2022-08-05
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】田中 利典
(72)【発明者】
【氏名】トゥチンダ シワコン
(72)【発明者】
【氏名】山田 直寛
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-032598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/04
B23P 19/02
B21F 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の線材を有する多芯リード線の前記複数の線材を互いに離れた位置に配置することにより分離する分離部と、
前記分離部によって分離された前記複数の線材を所定の配置位置で保持する保持部と、
前記保持部によって保持された前記複数の線材を基板の複数の孔のそれぞれに挿入する挿入部と、を備え、
前記分離部によって前記複数の線材が分離される前に、前記複数の線材の配置を調整する調整部をさらに備え、
前記調整部は、
前記複数の線材を複数の群に分けた状態で把持する把持部
を備える、多芯リード線挿入装置。
【請求項2】
前記調整部は、
前記把持部を、前記複数の線材の軸方向に移動させる移動部
を備える、請求項1に記載の多芯リード線挿入装置。
【請求項3】
前記分離部は、前記把持部によって分けられた一の前記群の線材を、互いに離れた位置に配置させる、
請求項1又は2に記載の多芯リード線挿入装置。
【請求項4】
前記保持部は、
前記把持部によって分けられた他の前記群の線材を離隔させるように案内して保持する離隔案内部を備える、
請求項3に記載の多芯リード線挿入装置。
【請求項5】
前記離隔案内部によって離隔させるように案内された前記線材を、前記複数の孔の配置に対応して各線材を保持する位置固定部
を備える、
請求項4に記載の多芯リード線挿入装置。
【請求項6】
前記挿入部は、
前記基板の面に当接した状態で、前記複数の線材を前記複数の孔に案内する挿入案内部と、
前記離隔案内部を前記挿入案内部に対向するように移動させる第1移動部と、
前記複数の線材の先端部が前記挿入案内部に進入するように、前記離隔案内部及び前記挿入案内部を相対移動させる第2移動部と、
を備える、請求項4又は5に記載の多芯リード線挿入装置。
【請求項7】
前記調整部は、
前記複数の線材を回転させる回転部
を備える、
請求項1から6のいずれか1項に記載の多芯リード線挿入装置。
【請求項8】
複数の線材を有する多芯リード線の前記複数の線材を互いに離れた位置に配置することにより分離する分離部と、
前記分離部によって分離された前記複数の線材を所定の配置位置で保持する保持部と、
前記保持部によって保持された前記複数の線材を基板の複数の孔のそれぞれに挿入する挿入部と、を備え、
前記分離部によって前記複数の線材が分離される前に、前記複数の線材の配置を調整する調整部をさらに備え、
前記調整部は、
前記複数の線材を回転させる回転部
を備える、多芯リード線挿入装置。
【請求項9】
前記調整部は、
前記複数の線材の画像を取得する取得部を備え、
前記回転部は、前記取得部により取得した前記画像に基づいて、前記複数の線材を周方向に所定角度回転させる、
請求項7または8に記載の多芯リード線挿入装置。
【請求項10】
請求項1に記載の多芯リード線挿入装置を用いて、
複数の線材を有する多芯リード線の前記複数の線材を複数の群に分けた状態で把持することで、前記複数の線材の配置を調整し、
前記複数の線材を互いに離れた位置に配置することにより分離し、
分離された前記複数の線材を所定の配置位置で保持し、
保持された前記複数の線材を基板の複数の孔のそれぞれに挿入する、多芯リード線の挿入方法。
【請求項11】
請求項8に記載の多芯リード線挿入装置を用いて、
複数の線材を有する多芯リード線の前記複数の線材を回転することで、前記複数の線材の配置を調整し、
前記複数の線材を互いに離れた位置に配置することにより分離し、
分離された前記複数の線材を所定の配置位置で保持し、
保持された前記複数の線材を基板の複数の孔のそれぞれに挿入する、多芯リード線の挿入方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多芯リード線挿入装置、及び多芯リード線の挿入方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リード線としての線材をプリント基板のスルーホールに挿入する技術が各種提案されている。特許文献1の線材挿入装置は、回転可能なリールに巻き付けられた線材を所定の寸法で送り出し、及び戻す事が可能な線材送り部と、プリント基板を保持し、プリント基板のスルーホールを線材送り部の下に移動させるXYテーブルと、線材がプリント基板に挿入されたことを確認するリミットスイッチとを備える。線材挿入時に線材送り部より送り出された線材の先端とスルーホールとが正しく位置決めされず、線材の先端がプリント基板にぶつかり挿入できない時、線材を所定量戻した後にXYテーブルを微少量所定の方向へ移動させ、再度線材を送り出してプリント基板への挿入作業を行う。
【0003】
また、特許文献2には、挿入すべき孔周辺に障害物(例えば孔内部のテーパ部)がある孔付き部材に線材を揺動と移動とを組み合わせて挿入する、線材挿入方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭60-177827号公報
【文献】特開平6-270021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び2のように、1本の線材を基板のスルーホールに自動で挿入することは可能である。しかし線材の本数が3本、5本である多芯のリード線の場合、線材同士が絡んでいる、ねじれているといった不安定な状態であることが多いため、基板の複数のスルーホールに自動的に挿入することは困難である。
【0006】
本発明は、一側面では、このような実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、複数本の線材を有する多芯リード線を安定な状態で基板の複数の孔に挿入できる多芯リード線挿入装置、及び多芯リード線の挿入方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。
【0008】
すなわち、本発明の一側面に係る多芯リード線挿入装置は、複数の線材を有する多芯リード線の前記複数の線材を互いに離れた位置に配置することにより分離する分離部と、前記分離部によって分離された前記複数の線材を所定の配置位置で保持する保持部と、前記保持部によって保持された前記複数の線材を基板の複数の孔のそれぞれに挿入する挿入部と、を備える。
【0009】
上記構成では、複数の線材を互いに離れた位置に配置することにより分離し、分離された複数の線材を所定の配置位置で保持した安定な状態で、基板の複数の孔のそれぞれに挿入することができる。すなわち、多芯リード線に含まれる複数の線材を、線材同士が絡んだり、ねじれたりすることがなく、基板の孔に自動で挿入することが可能となる。また、例えば、複数の線材を一列に並んだ状態で挿入することもできる。
【0010】
上記一側面に係る多芯リード線挿入装置において、前記分離部によって前記複数の線材が分離される前に、前記複数の線材の配置を調整する調整部をさらに備えてもよい。
【0011】
上記構成では、複数の線材を分離し易いように調整できる。
【0012】
上記一側面に係る多芯リード線挿入装置において、前記調整部は、前記複数の線材を複数の群に分けた状態で把持する把持部を備えてもよい。
【0013】
上記構成では、複数の線材を複数の群に分け、群ごとにさらに線材を分けることにより、効率良く線材を分離することができる。
【0014】
上記一側面に係る多芯リード線挿入装置において、前記調整部は、前記把持部を、前記複数の線材の軸方向に移動させる移動部を備えてもよい。
【0015】
上記構成では、線材のねじれを矯正できる。
【0016】
上記一側面に係る多芯リード線挿入装置において、前記分離部は、前記把持部によって分けられた一の前記群の線材を、互いに離れた位置に配置させてもよい。
【0017】
上記構成では、一の群の線材を、互いに離れた位置に確保し、線材同士が接触しないようにすることができる。
【0018】
上記一側面に係る多芯リード線挿入装置において、前記保持部は、前記把持部によって分けられた他の前記群の線材を離隔させるように案内して保持する離隔案内部を備えてもよい。
【0019】
上記構成では、他の群の線材同士が接触しないようにすることができる。
【0020】
上記一側面に係る多芯リード線挿入装置において、前記離隔案内部によって離隔させるように案内された前記線材を、前記複数の孔の配置に対応して各線材を保持する位置固定部を備えてもよい。
【0021】
上記構成では、各線材を互いに離れた位置に確保し、線材同士が接触しないようにすることができる。
【0022】
上記一側面に係る多芯リード線挿入装置において、前記挿入部は、前記基板の面に当接した状態で、前記複数の線材を前記複数の孔に案内する挿入案内部と、前記離隔案内部を前記挿入案内部に対向するように移動させる第1移動部と、前記複数の線材の先端部が前記挿入案内部に進入するように、前記離隔案内部及び前記挿入案内部を相対移動させる第2移動部とを備えてもよい。
【0023】
上記構成では、複数の線材の先端部を互いに離隔した状態で挿入案内部に進入させ、絡んだり、ねじれたりすることなく、安定な状態で基板の孔に挿入できる。
【0024】
上記一側面に係る多芯リード線挿入装置において、前記調整部は、前記複数の線材を回転させる回転部を備えてもよい。
【0025】
上記構成では、複数の線材の位置を調整して、各線材を適切な位置に配置できるように分離させることができる。
【0026】
上記一側面に係る多芯リード線挿入装置において、前記調整部は、前記複数の線材の画像を取得する取得部を備え、前記回転部は、前記取得部により取得した前記画像に基づいて、前記複数の線材を周方向に所定角度回転させてもよい。
【0027】
上記構成では、各線材の位置を画像により認識し、回転により、各線材の位置を分離するための位置に調整する角度を決定することができる。
【0028】
本発明の一側面に係る多芯リード線の挿入方法は、複数の線材を有する多芯リード線の前記複数の線材を互いに離れた位置に配置することにより分離し、分離された前記複数の線材を所定の配置位置で保持し、保持された前記複数の線材を基板の複数の孔のそれぞれに挿入する。
【0029】
上記構成では、線材同士が絡んだり、ねじれたりすることがなく、線材を所定の配置位置で保持した安定な状態で、線材を基板の孔に挿入できる。線材を自動で挿入することも可能になる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、複数本の線材を有する多芯リード線を安定な状態で基板の複数の孔に挿入できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、実施の形態に係る多芯リード線挿入装置(以下、挿入装置という)のブロック図の一例を模式的に例示する。
図2図2は、実施の形態に係る多芯リード線(以下、リード線という)の平面図の一例を模式的に例示する。
図3図3は、実施の形態に係る制御装置の処理手順の一例を例示する。
図4図4は、実施の形態に係る第1アーム及び第2アームにより、線材を把持し、各芯線を位置補正した状態を示す平面図の一例を模式的に例示する。
図5A図5Aは、実施の形態に係る分離アームの凹部に線材を嵌めた状態を示す平面図の一例を模式的に例示する。
図5B図5Bは、実施の形態に係る分離アームにより線材を分離した状態を示す平面図の一例を模式的に例示する。
図6図6は、実施の形態に係るリード線の2本の線材を分離した状態を示す側面図の一例を模式的に例示する。
図7A図7Aは、実施の形態に係る保持アーム及び受け部を線材の上側に配置した状態を示す平面図の一例を模式的に例示する。
図7B図7Bは実施の形態に係る保持アームの凹部に線材が嵌まった状態を示す平面図の一例を模式的に例示する。
図7C図7Cは実施の形態に係る保持アームに受け部の端面が当接した状態を示す平面図の一例を模式的に例示する。
図8A図8Aは、実施の形態に係る保持アームに線材が保持されている状態を示す断面図の一例を模式的に例示する。
図8B図8Bは、実施の形態に係る保持アームを線材の先端の位置まで上昇させた状態を示す断面図の一例を模式的に例示する。
図8C図8Cは、実施の形態に係る保持アームに基板及び挿入案内部を接近させた状態を示す断面図の一例を模式的に例示する。
図8D図8Dは、実施の形態に係る基板、挿入案内部、及び保持アームを下降させた状態を示す断面図の一例を模式的に例示する。
図8E図8Eは、実施の形態に係る保持アームを除いた状態を示す断面図の一例を模式的に例示する。
図8F図8Fは、実施の形態に係る線材が基板に挿通された状態を示す断面図の一例を模式的に例示する。
図9図9は、変形例に係る挿入装置のブロック図の一例を模式的に例示する。
図10図10は、変形例に係るリード線の平面図の一例を模式的に例示する。
図11A図11Aは、変形例に係る第1アーム及び第2アームにより、線材を把持し、各芯線を位置補正した状態を示す平面図の一例を模式的に例示する。
図11B図11Bは、変形例に係る突起部を線材間に挿入した状態を示す平面図の一例を模式的に例示する。
図12A図12Aは、変形例に係る分離アームの凹部に線材を嵌めた状態を示す平面図の一例を模式的に例示する。
図12B図12Bは、変形例に係る分離アームにより線材を分離した状態を示す平面図の一例を模式的に例示する。
図13A図13Aは、変形例に係る保持アーム、位置固定アーム、及び受け部を線材の上側に配置した状態を示す平面図の一例を模式的に例示する。
図13B図13Bは、変形例に係る保持アームの凹部に3本の線材が当接した状態を示す平面図の一例を模式的に例示する。
図13C図13Cは、変形例に係る保持アームに5本の線材が保持されている状態を示す平面図の一例を模式的に例示する。
図13D図13Dは、変形例に係る受け部が5本の線材に当接している状態を示す平面図の一例を模式的に例示する。
図13E図13Eは、変形例に係る受け部及び位置固定アームにより5本の線材が保持されている状態を示す平面図の一例を模式的に例示する。
図14A図14Aは、変形例に係る保持アーム及び位置固定アームに線材が保持されている状態を示す断面図の一例を模式的に例示する。
図14B図14Bは、変形例に係る保持アームを線材の先端の位置まで上昇させた状態を示す断面図の一例を模式的に例示する。
図14C図14Cは、変形例に係る基板及び挿入案内部を下降させ、位置固定アームに当接した状態を示す断面図の一例を模式的に例示する。
図14D図14Dは、変形例に係る基板、挿入案内部、位置固定アーム、及び保持アームを下降させた状態を示す断面図の一例を模式的に例示する。
図14E図14Eは、変形例に係る保持アーム及び位置固定アームを除いた状態を示す断面図の一例を模式的に例示する。
図14F図14Fは、変形例に係る線材が基板に挿通された状態を示す断面図の一例を模式的に例示する。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図に基づいて説明する。ただし、以下で説明する本実施形態は、あらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。
【0033】
§1 適用例
まず、図1を用いて、本発明が適用される構成の一例について説明する。図1は、本実施形態に係る挿入装置100のブロック図の一例を模式的に例示する。
【0034】
図1に示されるとおり、挿入装置(多芯リード線挿入装置)100は、制御装置1と、調整部2と、分離部3と、保持部4と、挿入部5と、撮像装置6と、を備えている。制御装置1は、挿入装置100全体を制御する。挿入装置100は、調整部2により後述する複数の線材を有するリード線(多芯リード線)7のシース76内の線材の各芯線の位置を位置補正する。挿入装置100は、分離部3により、複数の線材を互いに離れた位置に配置することにより分離する。挿入装置100は、保持部4により、分離された複数の線材を所定の配置位置で保持し、挿入部5により、保持された複数の線材を後述する基板30の複数のスルーホール30aのそれぞれに挿入する。
【0035】
この構成により、線材同士が絡んだり、ねじれたりすることがなく、複数の線材を所定の配置位置で保持した安定な状態で、各線材を基板30のスルーホール30aのそれぞれに挿入できる。
【0036】
§2 構成例
次に、挿入装置100の各部の構成の一例について説明する。以下、リード線7が3本の線材を有する場合につき説明する。
【0037】
<制御装置>
制御装置1は、制御部10、記憶部18、取得部19、及び通信部20が電気的に接続されたコンピュータであってよい。
【0038】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含み、情報処理に応じて各構成要素の制御を行う。記憶部18は、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等の補助記憶装置であり、制御部10で実行される挿入プログラム(以下、プログラムと称する)181、撮像装置6から取得したリード線7の撮影画像等を記憶する。プログラム181は、リード線7の各線材を基板30に挿入するためのプログラムである。詳細は後述する。
【0039】
制御装置1の制御部10は、記憶部18に記憶されたプログラム181をRAMに展開する。そして、制御部10は、RAMに展開されたプログラム181をCPUにより解釈及び実行して、各構成要素を制御する。これによって、図1に示されるとおり、本実施形態に係る制御装置1は、画像取得部11、角度決定部12、回転制御部13、把持制御部14、分離制御部15、保持制御部16、及び挿入制御部17を備えるコンピュータとして機能する。
【0040】
画像取得部11は、撮像装置6から、リード線7の線材を撮像した撮像画像を取得する。図2に示すように、リード線7は3本の線材71、72、73を合成樹脂製のシース76に収納してなる。線材71、72、73は、シース76の先端部から所定長突出している。線材71、72、及び73は例えば青、黒、茶にそれぞれ色分けした合成樹脂製の被覆部71a、72a、73aに覆われており、先端部において、被覆部71a、72a、73aから芯線71b、72b、73bが露出している。角度決定部12は、取得した撮像画像について画像処理を行い、色認識により、被覆部71a、72a、73aの位置を認識し、リード線7を回転させる角度を決定する。回転制御部13は、後述する第1アクチュエータ(回転部)22により、リード線7の軸周りに前記角度、リード線7を回転させる。把持制御部14は、後述する第1アーム(把持部)23及び第2アーム(把持部)24により、シース76の先端部から突出している線材71、72、73の被覆部71a、72a、73aの根元部分を把持させる。分離制御部15は、後述する分離アーム31により、2本の線材の先端部を離隔させる。保持制御部16は、後述する保持アーム(離隔案内部)41により、3本の線材を基板30のスルーホール30aの配置に対応する配置位置で保持させる。挿入制御部17は、3本の線材の先端部を、後述する第3アクチュエータ(第1移動部)52及び第4アクチュエータ(第2移動部)53により、基板30のスルーホール30aに挿通させる。
【0041】
通信部20は、例えば、EtherCAT(登録商標)、Ethernet/IP(登録商標)等の通信ネットワークを介した通信を行うためのインタフェースである。取得部19は、撮像装置6から上記撮影画像のデータを取得する。なお、撮像装置6からの撮影画像のデータの取得は、上記通信ネットワークを介して上記通信部20によって行われるようになっていてもよい。
【0042】
なお、制御装置1の具体的なハードウェア構成に関して、実施形態に応じて、適宜、構成要素の省略、置換及び追加が可能である。例えば、制御装置1は、PLC(Programmable Logic Controller)またはIPC(Industrial PC)として構成してもよい。PLCによって制御装置1が構成される場合、例えば、PLC設定用プログラムがインストールされたノートPCにUSB接続して、プログラム181を記憶部18に記憶させる。また、制御装置1は、線材の挿入専用に設計された情報処理装置の他、汎用のデスクトップPC(Personal Computer)、ノートPC、タブレットPC等が用いられてもよい。
【0043】
<調整部>
調整部2は、支持部21、第1アクチュエータ22、第1アーム23、第2アーム24,及び第2アクチュエータ(移動部)25を備える。
【0044】
支持部21は角筒状をなす。支持部21は、軸心を鉛直方向に平行にした状態で、シース76の先端部を、リード線7を軸周りに回転可能に支持する。以下、鉛直方向を上下方向という場合がある。第1アクチュエータ22はロータリーアクチュエータであり、シース76の先端部を軸周りに所定角度回転させる。
【0045】
第1アーム23は水平方向に延び、先端部に線材71、72をそれぞれ游嵌する凹部23a、23bを有する(図4参照)。凹部23a、23bは略三角形状をなす。第1アーム23の凹部23aと凹部23bとの間の部分は、先端が尖る突出部として形成され、第1アーム23の先端部を線材71、72間に挿入しやすくされている。第2アーム24は水平方向に延び、先端部に、線材73を游嵌する凹部24aを有する。凹部24aは略四角形状をなす。第1アーム23と第2アーム24とが水平方向から線材71、72、及び73に対して互いに近づくように移動することにより、線材71、72が第1アーム23の凹部23aと凹部23bとにそれぞれ配置され、線材73が第2アーム24の凹部24aに配置された状態となる。線材71、72、及び73は、線材71、72の群と、線材73との2つの群に分けられた状態で、各芯線71b、72b、73bの位置が位置補正され、第1アーム23及び第1アーム23及び第2アーム24に把持される。
【0046】
第2アクチュエータ25は、線材71、72,及び73を游嵌した状態で第1アーム23及び第2アーム24を上下動させる。これにより、線材71、72,及び73にねじれ、絡みなどが生じている場合にこれを解消することができる。
【0047】
<分離部>
分離部3は、2本の分離アーム31を備える。分離アーム31、31は水平方向に延び、先端部が直角に曲がり、曲がった先端部を互いに合わせるように配置されている。分離アーム31、31は先端部に線材71、72をそれぞれ游嵌する凹部31a、31aを有する(図5A参照)。分離アーム31、31は、互いに先端部が合わさった状態で、凹部31a、31aにそれぞれ線材71、72を游嵌し、その後両者が離れる方向に移動することによって、線材71、72を互いに離れた位置に配置する(図5B参照)。
【0048】
<保持部>
保持部4は、保持アーム41、及び受け部42を備える(図7A参照)。保持アーム41は、三角形状に切り欠いた凹部41a、41b、41cを備える。凹部41a、41b、41cは、線材71、73、72の先端部を挿入する、基板30の3つのスルーホール30aの配置に対応して設けられている。図7Aの例では、凹部41bの三角形の底辺を他の凹部の底辺より大きくしている。線材71、73、72は挿入案内部51の挿入孔51aにより案内されるので、凹部41a、41b、41cの配置位置はスルーホール30aの配置に厳密に一致していなくてもよい。受け部42は角板状をなす。線材71、73、72が凹部41a、41b、41cにそれぞれ配置された状態で、保持アーム41と受け部42とが相対移動して互いに当接することにより、線材71、73、72が凹部41a、41b、41cにそれぞれ配置された状態が保持される。(図7B図7C参照)
【0049】
<挿入部>
挿入部5は、挿入案内部51、第3アクチュエータ52、及び第4アクチュエータ53を備える。挿入案内部51は、中央部に、円錐台状の挿入孔51aを有する。第3アクチュエータ52は保持アーム41を挿入案内部51に対向するように上昇させる。第4アクチュエータ53は、線材71、72、73の先端部が挿入孔51aに進入するように、基板30、挿入案内部51、及び保持アーム41を下降させ、基板30のスルーホール30aが線材71に対向するように挿入案内部51の下面と保持アーム41の上面とを合わせる。挿入案内部51は挿入部5に備えていなくてもよい。
【0050】
<撮像装置>
撮像装置6は、CMOS(Complementary MOS)、CCD(Charge Coupled Device)等の素子により、シース76の先端部から突出している線材71、72、73を映した撮像画像を形成することができるように構成されている。
【0051】
§3 動作例
[制御装置]
次に、図3を用いて、制御装置1の動作例を説明する。図3は、制御装置1の処理手順の一例を例示するフローチャートである。なお、以下で説明する処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り変更されてよい。また、以下で説明する処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換、及び追加が可能である。
【0052】
(起動)
まず、利用者は、支持部21によりリード線7のシース76の先端部を支持させ、挿入装置100を起動し、制御装置1にプログラム181を実行させる。制御装置1の制御部10は、以下の処理手順に従って、リード線7の基板30への挿入を行う。
【0053】
(ステップS101)
ステップS101では、制御部10は、画像取得部11として機能し、撮像装置6から、撮像したシース76の先端部から突出している線材71、72、73の撮像画像のデータを取得部19により取得する。
【0054】
(ステップS102)
ステップS102では、制御部10は、角度決定部12として機能し、ステップS101で取得した撮像画像について画像処理を行い、リード線7を回転させる角度を決定する。具体的には、角度決定部12は、画像処理により各線材の被覆部の色を認識し、各線材のシース76の中心からのずれを算出して、リード線7を軸周りに回転させる角度を算出し、回転角度を決定する。角度決定部12は、後述するように線材71、72と線材73とを分離するときの仮想の分離線に基づいて角度を決定してもよい。すなわち、線材71、72、73の基板30に対する並び順に合わせて回転させる。
【0055】
(ステップS103)
ステップS103では、制御部10は、回転制御部13として機能し、第1アクチュエータ22により、周方向に前記角度、シース76を回転させる。
【0056】
(ステップS104)
ステップS104では、制御部10は、把持制御部14として機能し、第1アーム23及び第2アーム24を互いに近づけるように移動させ、シース76の先端部から突出している線材71、72、73の被覆部71a、72a、73aの根元部分を把持させる。図4に示すように、凹部23a、23b間の突出部が線材71と線材72との間に挿入され、線材71、72は凹部23a、23bにそれぞれ游嵌される。線材73は凹部24aに游嵌される。把持制御部14は、第2アクチュエータ25により、第1アーム23及び第2アーム24を上下動させる。
【0057】
(ステップS105)
ステップS105では、制御部10は、分離制御部15として機能する。分離制御部15は、分離アーム31、31を第1アーム23の上側に移動させる。図5Aに示すように、分離制御部15は、分離アーム31、31を、凹部31a、31aが線材71、72にそれぞれ嵌まるように移動させる。図5Bに示すように、分離制御部15は、分離アーム31、31を離隔するように移動させ、線材71、72の先端部を離隔させる。線材71、72の根元部分は第1アーム23に固定されているため、図6に示すように、線材71、72は、第1アーム23の上面から、互いに離れるように斜め方向に折れ曲がった状態で位置決めされる。
【0058】
(ステップS106)
ステップS106では、制御部10は、保持制御部16として機能する。保持制御部16は保持アーム41を第2アーム24の上側に移動させ、受け部42を保持アーム41と同一の高さになるように移動させる。図7Aに示すように、保持制御部16は、先端部が互いに離隔した状態の線材71、73、72に保持アーム41を接近させる。図7Bに示すように、三角形状の凹部41a、41b、41cの斜辺に案内されて、線材71、73、及び72が凹部41a、41b、41cに嵌まる。図7Cに示すように、保持制御部16は受け部42を保持アーム41側の端面が保持アーム41の凹部41a、41b、41cが設けられている端面に当接するように移動させる。
【0059】
(ステップS107)
ステップS107では、制御部10は、挿入制御部17として機能する。線材71、73、72は保持アーム41に保持されている。図8A~Fにおいては、線材71のみを示す。図8Bに示すように、基板30の下面には、挿入孔51aの上側の開口をスルーホール30aに合わせた状態で、挿入案内部51が当接されている。挿入制御部17は、保持アーム41を基板30の下側に移動させる。挿入制御部17は、第3アクチュエータ52により、保持アーム41を挿入案内部51に対向するように線材71の先端の位置まで上昇させる。図8Cに示すように、挿入制御部17は、基板30及び挿入案内部51を第4アクチュエータ53により下降させ、挿入案内部51の下面を保持アーム41の上面に合わせる。
【0060】
図8Dに示すように、挿入制御部17は、第4アクチュエータ53により、線材71の先端部が挿入案内部51の挿入孔51a内に進入するように、基板30、挿入案内部51、及び保持アーム41を下降させ、基板30のスルーホール30aが線材71に対向するように挿入案内部51の下面と保持アーム41の上面とを合わせる。図8Eに示すように、挿入制御部17は、保持アーム41を線材71から離隔させる。図8Fに示すように、挿入制御部17は、第4アクチュエータ53により基板30及び挿入案内部51を下降させる。線材71の先端部は、テーパ状の挿入孔51aに案内されてスルーホール30aに挿通される。線材72、73も、所定の位置に保持された状態で、線材71と同様にして、それぞれスルーホール30aに挿通される。
【0061】
[作用・効果]
以上のように、本実施形態では、上記ステップS101、S102、及びS103において、被覆部71a、72a、73aの先端部の撮像画像を取得し、角度を決定してリード線7を回転させる。これにより、線材71、72と線材73とを、基板30に対する並び順に、分離し易い配置にすることができる。上記ステップS104により、線材71、72、及び73のシース76の先端部から突出している被覆部71a、72a、73aを第1アーム23及び第2アーム24により挟み、第1アーム23及び第2アーム24により上下動させることで、ねじれ及び絡みが矯正される。根元から離れている位置では線材71、72、73がねじれやすく、かつ線材同士が絡みやすい。上記ステップS105において、分離アーム31、31により、線材71、72を離隔させる。これにより、線材71、72を離れた位置で保持し、3本の線材が接触することが防止される。上記ステップS106において、保持アーム41により、線材71、73、72が基板30のスルーホールの配置に対応する配置位置で安定な状態で保持される。上記ステップS107において、線材71、73、72が絡んだり、ねじれたりすることなく、安定な状態で、挿入案内部51によりスルーホール30aに案内され、スルーホール30aに自動で挿通される。
【0062】
なお、挿入装置100により、完全に自動で線材71、72、73をスルーホール30aに挿入する場合に限定されない。一部の動作を手動で行ってもよい。また、線材71、73、72が一列に並ぶ場合に限定されず、円弧状や曲線状に並ぶ場合であってもよく、スルーホール30aの配置に合わせて線材71、73、72を保持すればよい。第1アーム23、第2アーム24、保持アーム41の形状も上述した場合に限定されない。また、挿入装置100は、調整部2と撮像装置6とを備えていなくてもよい。
【0063】
§4 変形例
以上、本発明の実施の形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。例えば、以下のような変更が可能である。なお、以下では、上記実施形態と同様の構成要素に関しては同様の符号を用い、上記実施形態と同様の点については、適宜説明を省略した。以下の変形例は適宜組み合わせ可能である。以下、リード線7が線材を5本有する場合につき説明する。
【0064】
<4.1>
以下、リード線7が線材を5本有する場合につき説明する。
【0065】
図9は、変形例の挿入装置101の構成を示すブロック図である。挿入装置101は、分離部3が突起部32及び受け部33を備え、保持部4が位置固定アーム(位置固定部)44をさらに備える。挿入装置101の第1アーム26、第2アーム27、保持アーム43の先端の形状は挿入装置100の第1アーム23、第2アーム24、保持アーム41の先端の形状と異なる。角板状の受け部42は線材に対向する端面の中央部に三角形状の凹部42aを有する。突起部32は平板に線材71と線材72との間に挿入する突起を設けてなる。受け部33は、線材74、73、75を嵌める台形状の凹部33aを有する。それ以外は、挿入装置101は、挿入装置100と同様の構成を有する。
【0066】
図10に示すように、リード線7は5本の線材71、72、73、74、75を合成樹脂製のシース76に収納してなる。シース76は断面が円形になるように介材を含む。線材71、72、73、74、75はシース76の先端部から所定長突出している。線材71、72、73、74、75は例えば青、ピンク、黒、茶、オレンジにそれぞれ色分けした合成樹脂製の被覆部71a、72a、73a、74a、75aに覆われており、先端部において、被覆部71a、72a、73a、74a、75aから芯線71b、72b、73b、74b、75bが露出している。
【0067】
図11Aに示すように、第1アーム26は水平方向に延び、先端部に線材71及び72を游嵌する、台形状の凹部26aを有する。第2アーム27は水平方向に延び、先端部に、線材74、73、及び75を游嵌する、台形状の凹部27aを有する。制御部10が第1アーム26と第2アーム27とを水平方向から線材71、72、73、74、75に対して互いに近づくように移動させることにより、線材71、72が凹部26aに遊嵌され,線材74、73、75が凹部27aに遊嵌される。線材71、72、73、74、75は、線材71、72の群と、線材74、73、75との2つの群に分けられた状態で、第1アーム26及び第2アーム27に把持され、5本の線材の芯線71b、72b、73b、74b、75bの位置が位置補正されることになる。第2アクチュエータ25は、線材71、72、73、74、75を游嵌した状態で第1アーム26及び第2アーム27を上下動させ、ねじれを矯正する。
【0068】
挿入装置101の制御部10は、挿入装置100の制御部10と同様の処理を行う。以下、制御部10の処理に沿って説明する。
【0069】
(起動)
まず、利用者は、支持部21によりリード線7のシース76の先端部を支持させ、挿入装置101を起動し、制御装置1にプログラム181を実行させる。制御部10は、以下の処理手順に従って、リード線7の各線材の基板30のスルーホール30aへの挿入を行う。
【0070】
ステップS101では、画像取得部11は、撮像装置6から、撮像したリード線7の先端部から突出している線材71、72、73、74、75の撮像画像を取得部19により取得する。
【0071】
ステップS102では、角度決定部12は、ステップS101で取得した撮像画像について画像処理を行い、シース76を回転させる角度を決定する。具体的には、角度決定部12は、画像処理により各線材の被覆部の色を認識し、各線材のシース76の中心からのずれ、又は仮想の分離線からのずれを算出して、リード線7を軸周りに回転させる角度を算出し、回転させる角度を決定する。角度は、後述するように、線材71、72と線材74、73、75とを分離できるように決定する。
【0072】
ステップS103では、回転制御部13は、第1アクチュエータ22により、周方向に前記角度、シース76の先端部を回転させる。
【0073】
ステップS104では、把持制御部14は、第1アーム26及び第2アーム27を互いに近づけるように移動させる。図11Aに示すように、線材71、72は凹部26aに游嵌され、線材74、73、75は凹部27aにそれぞれ游嵌される。凹部26aと凹部27aとは合わせられて六角形状をなす。第1アーム26及び第2アーム27が線材71、74、73、75、72を把持する位置は、ステップS105で突起部32を線材71、72間に挿入できる余裕を有する位置にする。
【0074】
ステップS105では、分離制御部15は、突起部32を第1アーム26の上側に、分離アーム31、31を突起部32の上側に配置し、受け部33を分離アーム31、31と同一の高さに配置する。図11Bに示すように、分離制御部15は、突起部32を線材71、72間に挿入する。図12Aに示すように、分離制御部15は、分離アーム31、31を、凹部31a、31aが線材71、72にそれぞれ嵌まるように移動させ、受け部33を、凹部33aが線材74、73、75に嵌まるように移動させる。図12Bに示すように、分離制御部15は、分離アーム31、31を離隔するように移動させ、線材71、72の先端部を離隔させる。線材71、72の根元部分は第1アーム26に固定されているため、線材71、72は、第1アーム26の上面から、互いに離れるように斜め方向に折れ曲がった状態で位置決めされる。
【0075】
ステップS106では、図13Aに示すように、保持アーム43は第2アーム27の上側に、位置固定アーム44は保持アーム43の上側に、受け部42は第1アーム26の斜め上側に配置されている。保持アーム43は、凹部43a、43b、43c、43d、43eを有する。保持アーム43は線材に対向する部分の中央部が四角形状に切り欠かれており、四角形の開口側に対向する辺が少し開口側に突出し、この突出した部分に小さく凹んだ凹部43cが形成されている。保持アーム43の凹部43cの両側の部分が凹部43b、43dになる。保持アーム43には、凹部43b、43dそれぞれに隣接して、四角形状に深く切り欠かれた凹部43a、43eが形成されている。位置固定アーム44は線材71、74、73、75、72を隙間なく嵌める三角形状の凹部44a、44b、44c、44d、44eを有する。
【0076】
図13Bに示すように、保持制御部16は、凹部43a、43b、43c、43d、43eが線材71、74、73、75、72に対向するように、保持アーム43を移動させる。図13Bにおいては、線材74、73、75が、上述の切り欠きの突出部分に当接している。図13Cに示すように、保持制御部16がさらに保持アーム43を移動させることにより、線材73が凹部43cに嵌まり、線材74、75は凹部43b、43dの斜辺に案内されて、線材73から遠ざかる。図13Dに示すように、保持制御部16は、線材73の先端部が凹部42aに嵌まるように保持アーム43を移動させる。保持制御部16は、位置固定アーム44を線材71、74、73、75、72に対向するように移動させる。図13Eに示すように、保持制御部16が位置固定アーム44をさらに移動させることにより、凹部44a、44b、44c、44d、44eが線材71、74、73、75、72に嵌まる。線材71、74、73、75、72が受け部42と位置固定アーム44とに挟まれ、基板30のスルーホール30aの配置に対応する配置位置で保持される。
【0077】
ステップS107では、線材71、74、73、75、72が保持アーム43及び位置固定アーム44に保持されている。図14A~Fにおいては、線材71のみを示す。図14Bに示すように、基板30の下面には挿入案内部51が当接されており、挿入制御部17は、保持アーム43及び位置固定アーム44を基板30の下側に上昇させる。挿入制御部17は、第3アクチュエータ52により、保持アーム43及び位置固定アーム44を挿入案内部51の下面に対向するように、すなわち保持アーム43の下面が線材71の先端部に到達するまで上昇させる。図14Cに示すように、挿入制御部17は、基板30及び挿入案内部51を第4アクチュエータ53により下降させ、基板30のスルーホール30aが線材71に対向するように、挿入案内部51の下面と位置固定アーム44の上面とを合わせる。
【0078】
図14Dに示すように、挿入制御部17は、第4アクチュエータ53により、線材71の先端部が挿入案内部51の挿入孔51a内に進入するように、基板30、挿入案内部51、位置固定アーム44、及び保持アーム43を下降させる。図14Eに示すように、挿入制御部17は、保持アーム43及び位置固定アーム44を線材71から離隔させる。図14Fに示すように、挿入制御部17は、第4アクチュエータ53により基板30及び挿入案内部51を下降させる。線材71の先端部は、テーパ状の挿入孔51aに案内されて、対応するスルーホール30aに挿通される。線材72、73、74、75も、所定の位置に保持された状態で、線材71と同様にして、それぞれスルーホール30aに挿通される。
【0079】
[作用・効果]
以上のように、上記ステップS107において、保持アーム43により、先に、線材71、72を外側の位置に保持した後、残りの3本の線材の位置を決めるので、線材が重なることがない。線材の数が5本になっても、絡んだり、ねじれたりすることなく、安定した状態で、5本の線材をスルーホール30aに挿通することができる。
【0080】
なお、保持アーム43と位置固定アーム44とは、一つの部材により構成してもよい。
【0081】
<4.2>
リード線7が線材を6本以上有する場合、挿入装置101と同様の構成により、線材を2本ずつ分離することを繰り返した上で、各線材を所定の配置位置で保持し、基板30のスルーホール30aに挿通する。
【符号の説明】
【0082】
1…制御装置、
10…制御部、11…画像取得部、12…角度決定部、13…回転制御部、14…把持制御部、15…分離制御部、16…保持制御部、17…挿入制御部、18…記憶部、181…挿入プログラム、19…取得部、20…通信部
2…調整部
21 支持部、22…第1アクチュエータ(回転部)、23、26…第1アーム(把持部)、24、27…第2アーム(把持部)、
25…第2アクチュエータ(移動部)
3…分離部
31…分離アーム
4…保持部
41、43…保持アーム、42…受け部、44…位置固定アーム
5…挿入部
51…挿入案内部、52…第3アクチュエータ(第1移動部)、53…第4アクチュエータ(第2移動部)
100、101…挿入装置(多芯リード線挿入装置)
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図14A
図14B
図14C
図14D
図14E
図14F