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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】太陽光発電システム
(51)【国際特許分類】
   H02S 50/00 20140101AFI20241106BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20241106BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20241106BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20241106BHJP
【FI】
H02S50/00
H02J13/00 B
H02J3/38 130
H02M7/48 M
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021013543
(22)【出願日】2021-01-29
(65)【公開番号】P2022117061
(43)【公開日】2022-08-10
【審査請求日】2023-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100206760
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 惇
(72)【発明者】
【氏名】武山 孝博
(72)【発明者】
【氏名】小倉 遼
(72)【発明者】
【氏名】白 釘虎
(72)【発明者】
【氏名】仲市 淳
(72)【発明者】
【氏名】内田 強士
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 智子
(72)【発明者】
【氏名】マーティン エリカ
【審査官】原 俊文
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-135016(JP,A)
【文献】国際公開第2020/174657(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3189106(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0316308(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0248359(US,A1)
【文献】MATHE, Laszlo et al.,“Firefighter Safety for PV Systems: A Solution for the Protection of Emergency Responders from Hazardous dc Voltage”,IEEE Industry Applications Magazine,2015年02月26日,Vol. 21, No. 3,pp. 75-84,DOI: 10.1109/MIAS.2014.2345834
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 10/00-10/40
H02S 30/00-99/00
H02J 3/00-5/00
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の太陽電池モジュールが直列に接続されたストリングと、
前記ストリングに接続され、前記太陽電池モジュールから出力される直流電力を交流電力に変換するインバータと、
前記太陽電池モジュール同士を接続する電路に接続される第1遮断装置と、
を備え、
前記ストリングは、前記太陽電池モジュールをそれぞれ複数含む複数の太陽電池モジュールグループを含み、
前記太陽電池モジュールグループは、第1グループと、前記第1グループに接続される第2グループとを少なくとも含み、
前記第1遮断装置は、前記第1グループと前記第2グループとを接続する電路と、前記第1グループに属する前記太陽電池モジュール同士を接続するいずれかの電路とを、前記インバータからの制御信号に応じて遮断し、
前記第1グループは、前記複数の前記太陽電池モジュールのうち、前記第2グループに接続される第1太陽電池モジュールと、前記第1太陽電池モジュールに接続される第2太陽電池モジュールと、を少なくとも含み、
前記第2グループは、前記複数の前記太陽電池モジュールのうち、前記第1太陽電池モジュールに接続される第3太陽電池モジュールを含み、
前記第1遮断装置は、前記第1太陽電池モジュールと前記第3太陽電池モジュールとの接続を開閉する第1開閉部と、前記第1太陽電池モジュールと前記第2太陽電池モジュールとの接続を開閉する第2開閉部とを含み、前記インバータからの制御信号に応じて前記第1グループに属する前記太陽電池モジュール同士を接続するいずれかの電路を遮断する場合、前記第2開閉部を開くように制御する、
太陽光発電システム。
【請求項2】
前記第1遮断装置の前記第1開閉部は、前記第1太陽電池モジュールの陽極側の端子又は陰極側の端子のいずれか一方に接続され、
前記第1遮断装置の前記第2開閉部は、前記第1太陽電池モジュールの陽極側の端子又は陰極側の端子のいずれか他方に接続される、
請求項に記載の太陽光発電システム。
【請求項3】
前記第1遮断装置は、前記第1太陽電池モジュールで発電される電力によって駆動される、請求項又はに記載の太陽光発電システム。
【請求項4】
前記第1遮断装置は、前記第1太陽電池モジュールに外付けされる、
請求項からのいずれか1項に記載の太陽光発電システム。
【請求項5】
前記太陽電池モジュール同士を接続する電路に接続される第2遮断装置をさらに備え、
前記太陽電池モジュールグループは、前記第2グループに接続される第3グループをさらに含み、
前記第2遮断装置は、前記第2グループと前記第3グループとを接続する電路と、前記第2グループに属する前記太陽電池モジュール同士を接続するいずれかの電路とを、前記インバータからの制御信号に応じて遮断する、
請求項1からのいずれか1項に記載の太陽光発電システム。
【請求項6】
前記第2グループは、前記複数の前記太陽電池モジュールのうち、前記第3グループに接続される第4太陽電池モジュールをさらに含み、
前記第2遮断装置は、前記第4太陽電池モジュールの陽極側の端子又は陰極側の端子のいずれか一方に接続される第3開閉部と、前記第4太陽電池モジュールの陽極側の端子又は陰極側の端子のいずれか他方に接続される第4開閉部とを含む、
請求項に記載の太陽光発電システム。
【請求項7】
前記インバータは、電力線通信によって前記第1遮断装置及び前記第2遮断装置に制御信号を出力する、
請求項又はに記載の太陽光発電システム。
【請求項8】
前記第1遮断装置及び前記第2遮断装置のそれぞれは、前記インバータからの信号を受信する信号受信部と、前記第1遮断装置及び前記第2遮断装置に接続された各電路が遮断された状態において前記信号受信部が前記インバータからの信号を受信するためのバイパス回路と、を含む、
請求項からのいずれか1項に記載の太陽光発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
米国では、火災時等の緊急時に消防士を感電等から保護することを目的として、太陽光発電システムに対して、緊急時に太陽光発電システムによる発電を即座に停止するいわゆるラピッドシャットダウン機能の導入がNEC(米国電気工事規定)によって義務付けられている。例えば、特許文献1では、インバータの動作状態に応じて、太陽電池モジュールからインバータへの電力の出力を停止させる太陽光発電システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2012-511299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
太陽光発電システムにおいて、火災時等における消防士のさらなる安全性の向上を図るには、例えば、ラピッドシャットダウン機能を備える遮断装置を太陽電池モジュール毎に設置することが好ましい。しかしながら、太陽電池モジュール毎に遮断装置を設置した場合、遮断装置の設置コストが高くなる。
【0005】
本発明の課題は、太陽光発電システムにおいて、遮断装置の設置コストの低減、及び安全性の向上を両立できる太陽光発電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る太陽光発電システムは、ストリングと、インバータと、第1遮断装置とを備える。ストリングは、複数の太陽電池モジュールが直列に接続されている。インバータは、ストリングに接続され、太陽電池モジュールから出力される直流電力を交流電力に変換する。第1遮断装置は、複数の太陽電池モジュール同士を接続する電路に接続される。ストリングは、複数の太陽電池モジュールをそれぞれ複数含む複数の太陽電池モジュールグループを含む。太陽電池モジュールグループは、第1グループと、第1グループに接続される第2グループとを少なくとも含む。第1遮断装置は、第1グループと第2グループとを接続する電路と、第1グループに属する太陽電池モジュール同士を接続するいずれかの電路とを、インバータからの制御信号に応じて遮断する。
【0007】
この太陽光発電システムでは、第1遮断装置が複数の太陽電池モジュールグループの第1グループと第2グループとを接続する電路と、第1グループに属する太陽電池モジュール同士を接続するいずれかの電路とを、インバータからの制御信号に応じて遮断する。すなわち、第1グループと第2グループとの接続、さらには第1グループに属する太陽電池モジュール同士の接続を、1個の遮断装置で遮断することができる。これにより、太陽電池モジュール毎に遮断装置を設置する場合に比べて、遮断装置の設置コストの低減を図ることができる。また、ストリング単位で太陽電池モジュールとインバータとを遮断する場合に比べて、より安全性の高い太陽光発電システムを提供することができる。
【0008】
太陽電池モジュールグループの第1グループは、複数の太陽電池モジュールのうち、第2グループに接続される第1太陽電池モジュールと、第1太陽電池モジュールに接続される第2太陽電池モジュールと、を少なくとも含んでもよい。第2グループは、複数の太陽電池モジュールのうち、第1太陽電池モジュールに接続される第3太陽電池モジュールを含んでもよい。第1遮断装置は、第1太陽電池モジュールと第3太陽電池モジュールとの接続を開閉する第1開閉部と、第1太陽電池モジュールと第2太陽電池モジュールとの接続を開閉する第2開閉部とを含んでもよい。この場合は、第1遮断装置と太陽電池モジュールとを接続する配線が短くかつ簡易になる。また、簡単な構成で太陽電池モジュール同士の接続を遮断することができる。
【0009】
第1遮断装置の第1開閉部は、第1太陽電池モジュールの陽極側の端子又は陰極側の端子のいずれか一方に接続されてもよい。第1遮断装置の第2開閉部は、第1太陽電池モジュールの陽極側の端子又は陰極側の端子のいずれか他方に接続されてもよい。この場合においても、第1遮断装置と太陽電池モジュールとを接続する配線が短くかつ簡易になるとともに、簡単な構成で太陽電池モジュール同士の接続を遮断することができる。
【0010】
第1遮断装置は、第1太陽電池モジュールで発電される電力によって駆動されてもよい。この場合は、例えば、既存の太陽光発電システムに第1遮断装置を設置するときにおいて、インバータと第1遮断装置とを接続する追加配線を省略することができる。これにより、第1遮断装置の設置コストの低減を図ることができる。また、第1遮断装置の駆動電圧範囲を小さく抑えることができるので、第1遮断装置の製造コストを抑えることができる。
【0011】
第1遮断装置は、第1太陽電池モジュールに外付けされてもよい。この場合は、既存の太陽光発電システムへの第1遮断装置の設置が容易にできる。
【0012】
太陽光発電システムは、太陽電池モジュール同士を接続する電路に接続される第2遮断装置をさらに備えてもよい。太陽電池モジュールグループは、第2グループに接続される第3グループをさらに含んでもよい。第2遮断装置は、第2グループと第3グループとを接続する電路と、第2グループに属する太陽電池モジュール同士を接続するいずれかの電路とを、インバータからの制御信号に応じて遮断してもよい。この場合は、太陽電池モジュールグループが3つ以上のグループに分割されている場合において、遮断装置の設置コストの低減を図ることができる。
【0013】
第2グループは、複数の太陽電池モジュールのうち、第3グループに接続される第4太陽電池モジュールをさらに含んでもよい。第2遮断装置は、第4太陽電池モジュールの陽極側の端子又は陰極側の端子のいずれか一方に接続される第3開閉部と、第4太陽電池モジュールの陽極側の端子又は陰極側の端子のいずれか他方に接続される第4開閉部とを含んでもよい。この場合は、第2遮断装置と太陽電池モジュールとを接続する配線が短くかつ簡易になる。
【0014】
インバータは、電力線通信によって第1遮断装置及び第2遮断装置に制御信号を出力してもよい。この場合は、既存の太陽光発電システムに第1及び第2遮断装置を設置するときに、インバータと第1及び第2遮断装置との通信を確保するための追加配線を省略することができるので、第1及び第2遮断装置の設置コストの低減を図ることができる。
【0015】
第1遮断装置及び第2遮断装置のそれぞれは、インバータからの信号を受信する信号受信部と、第1遮断装置及び第2遮断装置に接続された各電路が遮断された状態において信号受信部がインバータからの信号を受信するためのバイパス回路と、を含んでもよい。この場合は、第1遮断装置及び第2遮断装置によって遮断された状態にある各電路を、遮断された状態からインバータからの信号に応じて解除することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、太陽光発電システムにおいて、遮断装置の設置コストの低減、及び安全性の向上を両立できる太陽光発電システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の一態様に係る太陽光発電システムの構成を模式的に示すブロック図である。
図2図2は、遮断装置の構成を模式的に示すブロック図である。
図3図3は、レギュレータの構成を模式的に示す回路図である。
図4図4は、遮断装置の動作モードの一例を説明する図である。
図5図5は、遮断装置の構成を模式的に示すブロック図である。
図6】他の実施形態に係る太陽光発電システムの構成を模式的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の一態様に係る太陽光発電システム1の構成を模式的に示すブロック図である。太陽光発電システム1は、ストリング2と、インバータ3と、複数の遮断装置4a~4dと、を備える。
【0019】
ストリング2は、互いに直列に接続された複数の太陽電池モジュール5を含む。本実施形態におけるストリング2は、太陽電池モジュール5a~5kを含めた16個の太陽電池モジュール5で構成されている。ストリング2は、太陽電池モジュール5をそれぞれ複数含む複数の太陽電池モジュールグループを含む。
【0020】
詳細には、ストリング2は、複数の太陽電池モジュール5を3以上のグループに分割した複数の太陽電池モジュールグループを含む。本実施形態におけるストリング2は、複数の太陽電池モジュール5を4個のグループに分割した太陽電池モジュールグループ5A~5Dを含む。
【0021】
なお、以下からの説明を分かり易くするために、太陽電池モジュールグループ5A~5Dをグループ5A~5Dとして説明する。グループ5Aは、第1グループの一例であり、グループ5Bは、第2グループの一例であり、グループ5Cは、第3グループの一例である。また、太陽電池モジュール5bは、第1太陽電池モジュールの一例である。太陽電池モジュール5aは、第2太陽電池モジュールの一例である。太陽電池モジュール5cは、第3太陽電池モジュールの一例である。太陽電池モジュール5eは、第4太陽電池モジュールの一例である。
【0022】
グループ5Aは、インバータ3とグループ5Bとに接続される。グループ5Aは、複数の太陽電池モジュール5のうち、太陽電池モジュール5aと、太陽電池モジュール5bと、を少なくとも含む。太陽電池モジュール5aは、太陽電池モジュール5bに接続される。太陽電池モジュール5bは、太陽電池モジュール5aとグループ5Bとに接続される。図1に示すように、本実施形態におけるグループ5Aは、太陽電池モジュール5a,5bを含めた4個の太陽電池モジュール5で構成されている。
【0023】
グループ5Bは、グループ5Aとグループ5Cの間に位置し、グループ5Aとグループ5Cとに接続される。グループ5Bは、複数の太陽電池モジュール5のうち、太陽電池モジュール5cと、太陽電池モジュール5dと、太陽電池モジュール5eと、を少なくとも含む。太陽電池モジュール5cは、グループ5Aの太陽電池モジュール5bに接続される。太陽電池モジュール5dは、太陽電池モジュール5eに接続される。太陽電池モジュール5eは、太陽電池モジュール5dとグループ5Cに接続される。本実施形態におけるグループ5Bは、太陽電池モジュール5c,5d,5eと、太陽電池モジュール5cと太陽電池モジュール5dとの間に配置された1個の太陽電池モジュール5と、を含めた4個の太陽電池モジュール5で構成されている。
【0024】
グループ5Cは、グループ5Bとグループ5Dの間に位置し、グループ5Bとグループ5Dとに接続される。グループ5Cは、複数の太陽電池モジュール5のうち、太陽電池モジュール5fと、太陽電池モジュール5gと、太陽電池モジュール5hと、を少なくとも含む。太陽電池モジュール5fは、グループ5Bの太陽電池モジュール5eに接続される。太陽電池モジュール5gは、太陽電池モジュール5hに接続される。太陽電池モジュール5hは、太陽電池モジュール5gとグループ5Cに接続される。本実施形態におけるグループ5Cは、太陽電池モジュール5f,5g,5hと、太陽電池モジュール5fと太陽電池モジュール5gとの間に配置された1個の太陽電池モジュール5と、を含めた4個の太陽電池モジュール5で構成されている。
【0025】
グループ5Dは、グループCに接続される。グループDは、複数の前記太陽電池モジュール5のうち、太陽電池モジュール5iと、太陽電池モジュール5jと、太陽電池モジュール5kと、少なくとも含む。太陽電池モジュール5iは、グループ5Cの太陽電池モジュール5hに接続される。太陽電池モジュール5jは、太陽電池モジュール5kに接続される。太陽電池モジュール5kは、太陽電池モジュール5jとインバータ3に接続される。本実施形態におけるグループ5Dは、太陽電池モジュール5i,5j,5kと、太陽電池モジュール5iと太陽電池モジュール5jとの間に配置された1個の太陽電池モジュール5と、を含めた4個の太陽電池モジュール5で構成されている。
【0026】
すなわち、本実施形態では、グループ5A~5Dのそれぞれが直列に接続された4個の太陽電池モジュール5を含む。なお、太陽光発電システム1は、ストリング2が並列に複数連結された太陽電池アレイを含んでもよい。
【0027】
太陽電池モジュール5は、太陽光を受けて電力を発電し、発電した電力をインバータ3に出力する。太陽電池モジュール5の開放電圧は、例えば、50Vである。インバータ3は、電力線6を介してストリング2に接続される。インバータ3は、太陽電池モジュール5aから出力される直流電力を交流電力に変換する。インバータ3は、電力系統7に接続されており、交流電力を商用電力系統や負荷装置に供給する。
【0028】
詳細には、インバータ3は、DC/DCコンバータ3aと、DC/ACインバータ3bと、制御部3cと、を含む。DC/DCコンバータ3aは、太陽電池モジュール5から出力される電力の電圧を所定の電圧に変換して、DC/ACインバータ3bに入力する。DC/ACインバータ3bは、DC/DCコンバータ3aを介して、太陽電池モジュール5から出力される直流電力を交流電力に変換する。制御部3cは、CPUやメモリ等を含み、DC/DCコンバータ3a及びDC/ACインバータ3bを制御する。また、制御部3cは、電力線通信によって遮断装置4a~4dに制御信号を出力する。
【0029】
遮断装置4a~4dは、太陽電池モジュール5同士を接続する電路に接続されている。遮断装置4a~4dは、インバータ3からの制御信号に応じて太陽電池モジュール5から出力される電圧を遮断する。
【0030】
遮断装置4a~4dには、バイパスダイオードが設けられていない。このため、遮断装置4a~4dによって太陽電池モジュール5から出力される電圧が遮断されると、インバータ3に入力される電圧が遮断される。
【0031】
遮断装置4aは、グループ5Aに属する太陽電池モジュール5同士を接続する電路8aと、グループ5Aとグループ5Bとを接続する電路8bとに接続されている。電路8aは、太陽電池モジュール5aと太陽電池モジュール5bとを接続する。電路8bは、太陽電池モジュール5bと太陽電池モジュール5cとを接続する。遮断装置4aは、インバータ3からの制御信号に応じて太陽電池モジュール5bから出力される電圧を遮断することで、電路8a,8bを遮断する。これにより、太陽電池モジュール5aと太陽電池モジュール5bとの接続、並びに太陽電池モジュール5bと太陽電池モジュール5cとの接続(グループ5Aとグループ5Bとの接続)が遮断される。遮断装置4aは、太陽電池モジュール5bで発電される電力によって駆動される。遮断装置4aは、太陽電池モジュール5bに外付けされている。
【0032】
遮断装置4bは、グループ5Bに属する太陽電池モジュール5同士を接続する電路8cと、グループ5Bとグループ5Cとを接続する電路8dとに接続されている。電路8cは、太陽電池モジュール5dと太陽電池モジュール5eとを接続する。電路8dは、太陽電池モジュール5eと太陽電池モジュール5fとを接続する。遮断装置4bは、インバータ3からの制御信号に応じて太陽電池モジュール5eから出力される電圧を遮断することで、電路8c,8dを遮断する。これにより、太陽電池モジュール5dと太陽電池モジュール5eとの接続、並びに太陽電池モジュール5eと太陽電池モジュール5fとの接続(グループ5Bとグループ5Cとの接続)が遮断される。遮断装置4bは、太陽電池モジュール5eで発電される電力によって駆動される。遮断装置4bは、太陽電池モジュール5eに外付けされている。
【0033】
遮断装置4cは、グループ5Cに属する太陽電池モジュール5同士を接続する電路8eと、グループ5Cとグループ5Dとを接続する電路8fとに接続されている。電路8eは、太陽電池モジュール5gと太陽電池モジュール5hとを接続する。電路8fは、太陽電池モジュール5hと太陽電池モジュール5iとを接続する。遮断装置4cは、インバータ3からの制御信号に応じて太陽電池モジュール5hから出力される電圧を遮断することで、電路8e,8fを遮断する。これにより、太陽電池モジュール5gと太陽電池モジュール5hとの接続、並びに太陽電池モジュール5hと太陽電池モジュール5iとの接続(グループ5Cとグループ5Dとの接続)が遮断される。遮断装置4cは、太陽電池モジュール5hで発電される電力によって駆動される。遮断装置4cは、太陽電池モジュール5hに外付けされている。
【0034】
遮断装置4dは、グループ5Dに属する太陽電池モジュール5同士を接続する電路8gと、グループ5Dとインバータ3とを接続する電路8hとに接続されている。電路8gは、太陽電池モジュール5jと太陽電池モジュール5kとを接続する。電路8hは、太陽電池モジュール5kとインバータ3とを接続する。遮断装置4dは、インバータ3からの制御信号に応じて太陽電池モジュール5kから出力される電圧を遮断することで、電路8g,8hを遮断する。これにより、太陽電池モジュール5jと太陽電池モジュール5kとの接続、並びに太陽電池モジュール5kとインバータ3との接続が遮断される。遮断装置4dは、太陽電池モジュール5kで発電される電力によって駆動される。遮断装置4dは、太陽電池モジュール5kに外付けされている。
【0035】
図2は、遮断装置4aの構成を模式的に示すブロック図である。遮断装置4aは、レギュレータ11と、信号受信部12と、リレー制御部13と、リレー14aと、バイパス回路15と、を含む。
【0036】
レギュレータ11は、太陽電池モジュール5bで発電された電力を電源として遮断装置4aを駆動させる駆動電源を生成し、遮断装置4aに安定した駆動電源を供給する。ここでは、単一の太陽電池モジュール5(太陽電池モジュール5b)で発電された電力のみを利用して遮断装置4aの駆動電源を生成する。これにより、レギュレータ11の駆動電圧範囲を小さく抑えることができるので、遮断装置4aの製造コストを抑えることができる。
【0037】
図3は、レギュレータ11の構成を模式的に示す回路図である。レギュレータ11の構成は、周知の構成であり、入力端子21a,21b、出力端子22a,22b、ラインフィルタ23、コンデンサ24,25、昇圧回路26、スイッチング素子27、制御回路28、トランス29、ダイオード30、DC/DCコンバータ31、フィードバック回路32等を含む。
【0038】
信号受信部12は、インバータ3の制御部3cからの制御信号を受信して、受信した制御信号をリレー制御部13に出力する。詳細には、インバータ3の制御部3cからの制御信号を検出する信号検出部16を介して、信号受信部12はインバータ3の制御部3cからの制御信号を受信する。
【0039】
リレー制御部13は、信号受信部12から出力された信号に基づいて、リレー14aのコイルに流れる電流値を制御して、リレー14aの接点を開閉制御する。リレー14aは、例えばメカニカルリレーであり、高電圧の直流電流を開閉可能である。
【0040】
リレー14aは、第1開閉部17aと、第2開閉部18aとを含む。第1開閉部17aは、電路8aに配置されている。第1開閉部17aは、太陽電池モジュール5aと太陽電池モジュール5bとの接続を開閉する。第1開閉部17aは、太陽電池モジュール5bの陰極側の端子に接続されている。第2開閉部18aは、電路8bに配置されている。第2開閉部18aは、太陽電池モジュール5bと太陽電池モジュール5cとの接続を開閉する。第2開閉部18aは、太陽電池モジュール5bの陽極側の端子に接続されている。
【0041】
遮断装置4aに駆動電源が供給されていないとき、第1開閉部17a及び第2開閉部18aは、常に開いた状態にある。したがって、遮断装置4aが駆動していないときは、太陽電池モジュール5aと太陽電池モジュール5bとの接続、並びに太陽電池モジュール5bと太陽電池モジュール5cとの接続が遮断された状態にある。
【0042】
バイパス回路15は、遮断装置4aが遮断状態のときに制御部3cからの制御信号を信号受信部12が受信できるようにするための回路である。遮断装置4aによって電路8a,8bが遮断された状態のとき、信号受信部12は、バイパス回路15を介して、制御部3cからの制御信号を受信することができる。
【0043】
遮断装置4b~4dは、接続される電路が遮断装置4aと異なる点を除いて遮断装置4aと同様の構成である。遮断装置4bは、第1開閉部17bと、第2開閉部18bとを含むリレー14bを含む。第1開閉部17bは、電路8cに配置されている。第1開閉部17bは、太陽電池モジュール5eの陰極側の端子に接続されており、太陽電池モジュール5dと太陽電池モジュール5eとの接続を開閉する。第2開閉部18bは、電路8dに配置されている。太陽電池モジュール5bの陽極側の端子に接続されており、太陽電池モジュール5eと太陽電池モジュール5fとの接続を開閉する。
【0044】
遮断装置4cは、第1開閉部17cと、第2開閉部18cとを含むリレー14cを含む。第1開閉部17cは、電路8eに配置されている。第1開閉部17cは、太陽電池モジュール5hの陰極側の端子に接続されており、太陽電池モジュール5gと太陽電池モジュール5hとの接続を開閉する。第2開閉部18cは、電路8fに配置されている。太陽電池モジュール5hの陽極側の端子に接続されており、太陽電池モジュール5hと太陽電池モジュール5iとの接続を開閉する。
【0045】
遮断装置4dは、第1開閉部17dと、第2開閉部18dとを含むリレー14dを含む。第1開閉部17dは、電路8gに配置されている。第1開閉部17dは、太陽電池モジュール5kの陰極側の端子に接続されており、太陽電池モジュール5jと太陽電池モジュール5kとの接続を開閉する。第2開閉部18dは、電路8hに配置されている。太陽電池モジュール5kの陽極側の端子に接続されており、太陽電池モジュール5kとインバータ3との接続を開閉する。なお、本実施形態では、遮断装置4dの第2開閉部18dは、省略してもよい。
【0046】
次に、図4を参照して遮断装置4a~4dの動作モードの一例について説明する。遮断装置4a~4dの動作モードは、スタートモード、アクティブモード、安全モードの3つの動作モードを含む。安全モードは、通常遮断モードと、緊急安全遮断モードと、を含む。したがって、遮断装置4a~4dは、スタートモード、アクティブモード、通常遮断モード、及び緊急安全遮断モードの4つの動作モードで動作する。
【0047】
スタートモードとは、太陽電池モジュール5に太陽光が当たり始めたときのモードである。このとき、太陽電池モジュール5は、太陽光を受けて電力を発電する。そして、太陽電池モジュール5bで発電された電力からレギュレータ11が生成した駆動電源によって遮断装置4aが駆動される。遮断装置4aが駆動されてリレー制御部13が信号受信部12を介してインバータ3の制御部3cからの制御信号を受信すると、図5に示すように、リレー制御部13はリレー14aの第1開閉部17a及び第2開閉部18aを閉じるように制御する。
【0048】
同様に、遮断装置4bは、太陽電池モジュール5eで発電された電力によって駆動され、インバータ3の制御部3cからの制御信号に応じて、リレー14bの第1開閉部17b及び第2開閉部18bを閉じる。同様に、遮断装置4cは、太陽電池モジュール5hで発電された電力によって駆動され、インバータ3の制御部3cからの制御信号に応じて、リレー14cの第1開閉部17c及び第2開閉部18cを閉じる。同様に、遮断装置4dは、太陽電池モジュール5kで発電された電力によって駆動され、インバータ3の制御部3cからの制御信号に応じて、リレー14dの第1開閉部17d及び第2開閉部18dを閉じる。これにより、グループ5A~5Dが遮断装置4a~4dを介して接続され、太陽電池モジュール5a~5kを含む各太陽電池モジュール5で発電された電力がインバータ3に出力される。
【0049】
アクティブモードは、太陽電池モジュール5が日中に太陽光を受けて発電している状態であり、実質的にスタートモードと同じである。したがって、アクティブモードでは、グループ5A~5Dが遮断装置4a~4dを介して接続された状態にあり、太陽電池モジュール5が発電した電力がインバータ3に出力される。
【0050】
通常遮断モードは、夜間、或いは雨等の天候の影響で、太陽電池モジュール5が太陽光を受けていないときのモードである。したがって、通常遮断モードでは、太陽電池モジュール5によって電力が発電されておらず、太陽電池モジュール5bから遮断装置4aに駆動電源が供給されていない。同様に、遮断装置4b、遮断装置4c及び遮断装置4dにも駆動電源が供給されていない。このため、通常遮断モードでは、遮断装置4a~4dの第1開閉部17a~17d及び第2開閉部18a~18dの各接点が全て開いた状態にある。なお、本実施形態では、インバータ3にAC電源から電力が供給されており、緊急安全遮断モード時を除いて、インバータ3の制御部3cから制御信号が常に出力されている。
【0051】
通常遮断モードにおいて、天候の不安定等の理由により、例えば太陽電池モジュール5b,5e,5h,5kの発電が不安定な状態のときは、太陽電池モジュール5b,5e,5h,5kから供給される電力に応じてリレー14a~14dがオン/オフ動作する。
【0052】
緊急安全遮断モードは、スタートモード、或いはアクティブモード中に、電路8a~8hを遮断して、太陽電池モジュール5からインバータ3への電力の出力を停止させるモードである。本実施形態では、図1に示すように、操作スイッチ35がインバータ3に接続されており、遮断装置4a~4dがスタートモード、或いはアクティブモード中のときに操作スイッチ35が操作されると、遮断装置4a~4dの動作モードが緊急安全遮断モードに切り替わる。
【0053】
詳細には、操作スイッチ35が操作されると、制御部3cは、制御信号の出力を停止する。信号検出部16が制御信号の一定周期停止を検出すると、信号受信部12及びリレー制御部13を介して、図1に示すようにリレー14a~14dの第1開閉部17a~17d及び第2開閉部18a~18dの各接点が全て開かれる。これにより、全ての太陽電池モジュール5から出力される電圧が遮断される。
【0054】
上記構成の太陽光発電システム1では、遮断装置4a~4dの動作モードが緊急安全遮断モードのときに、遮断装置4a~4dによって複数の太陽電池モジュール5を遮断することができる。例えば、遮断装置4aによってグループ5Aとグループ5Bとの接続、さらにはグループ5Aに属する太陽電池モジュール5aと太陽電池モジュール5bとの接続を遮断することができる。これにより、太陽電池モジュール5毎に遮断装置を設置する場合に比べて、遮断装置の設置コストの低減を図ることができる。また、ストリング2単位で太陽電池モジュール5aとインバータ3とを遮断する場合に比べて、より安全性の高い太陽光発電システムを提供することができる。
【0055】
ここで、緊急安全遮断モードでは、ストリング2の開放電圧が165V以下に分断されることが好ましい。太陽電池モジュール5の開放電圧が50Vの場合、ストリング2が16個の太陽電池モジュール5で構成されているので、ストリング2の開放電圧は800Vとなる。また、グループ5A~5D毎の開放電圧は200Vとなる。遮断装置4a~4dを上述した構成にすることで、緊急安全遮断モードでは、グループ5A~5D毎の開放電圧が、150Vと50Vとに分断されるとともに、グループ5A~5D間の接続も遮断される。すなわち、遮断装置4a~4dの第1開閉部17a~17d及び第2開閉部18a~18dの各接点が全て開いた状態では、ストリング2を構成する複数の太陽電池モジュール5が、3つの太陽電池モジュール5と1つの太陽電池モジュール5とに分断される。したがって、緊急安全遮断モードにおいて、太陽電池モジュール5が発電を継続した場合であっても、開放電圧は最大で150Vとなり、ストリング2単位でインバータ3との接続を遮断した場合に比べてより安全性が高くなる。
【0056】
また、太陽光発電システム1では、電力線6を利用して遮断装置4a~4dの駆動電源及びインバータ3との通信を確保することができる。これにより、例えば、既存の太陽光発電システムに遮断装置4a~4dを設置するときに、インバータ3と遮断装置4a~4dとを接続する追加配線を必要としない。このため、既存の太陽光発電システムに遮断装置4a~4dを設置する際の設置コストの低減を図ることができる。
【0057】
また、遮断装置4a~4dは、1個の太陽電池モジュール5に接続すればよいので、遮断装置4a~4dを複数の太陽電池モジュール5に接続する場合に比べて配線が短くかつ簡易になる。これにより、例えば、既存の太陽光発電システムに遮断装置4a~4dを設置する際の設置コストの低減や、柔軟性の高い施工が可能になる。
【0058】
また、遮断装置4a~4dでは、バイパスダイオードが省略されるので、遮断装置4a~4dの製造コストを抑えることができる。
【0059】
また、遮断装置4a~4dにバイパス回路15を設けることで、遮断装置4a~4dの動作モードを、制御部3cの制御信号に応じて緊急安全遮断モードからスタートモードに切り替えることができる。
【0060】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0061】
前記実施形態では、グループ5A~5Dのそれぞれが、4個の太陽電池モジュール5を含んでいたが、太陽電池モジュール5の個数は前記実施形態に限定されるものではない。また、グループ5A~5Dのそれぞれが必ずしも同じ個数の太陽電池モジュール5を含む必要はない。例えば、グループ5Aが3個の太陽電池モジュール5を含み、グループ5Bが5個の太陽電池モジュール5を含んでもよい。
【0062】
前記実施形態では、ストリング2が4つのグループ5A~5Dを含んでいたが、グループの数は前記実施形態に限定されるものではない。例えば、ストリング2が3つのグループを含んでもよいし、4つ以上のグループを含んでもよい。また、遮断装置4a~4dの配置や設置個数は、前記実施形態に限定されるものではない。例えば、前記実施形態において、遮断装置4d及び太陽電池モジュール5fは省略されてもよい。
【0063】
前記実施形態では、第1開閉部17aが太陽電池モジュール5aと太陽電池モジュール5bとの接続を開閉していたが、図6に示すように、例えば、第1開閉部17aによって太陽電池モジュール5aと太陽電池モジュール5aの陰極側の端子に接続される太陽電池モジュール5との接続を開閉してもよい。この場合は、グループAにおいて、開放電圧が100Vに分断される。なお、遮断装置4b~4cにおいても、グループ5B~5Dにおいて、開放電圧が100Vに分断されるように配置してもよい。
【0064】
前記実施形態では、操作スイッチ35の操作によって緊急安全遮断モードへの切り替えを実施していたが、スタートモード、或いはアクティブモードから緊急安全遮断モードへの切り替えは、前記実施形態に限定されるものではない。例えば、太陽光発電システム1に太陽電池モジュール5の出力状態を検出するセンサを設けてもよい。インバータ3の制御部3cは、センサで検出された太陽電池モジュール5の出力状態から異常を検出したときに制御信号を停止して、緊急安全遮断モードに切り替えてもよい。或いは、インバータ3に火災報知器又は火災警報器を接続して、インバータ3が火災報知器又は火災警報器から信号を受信したときに、制御部3cからの制御信号を停止して、緊急安全遮断モードに切り替えてもよい。
【0065】
前記実施形態では、遮断装置4aのリレー14aが第1開閉部17aと第2開閉部18aの2つの接点を備えていたが、単一の接点を備えるリレーを2つ設けることでリレー14aを構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明によれば、太陽光発電システムにおいて、遮断装置の設置コストの低減、及び安全性の向上を両立できる太陽光発電システムを提供することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 太陽光発電システム
2 ストリング
3 インバータ
4a~4d 遮断装置
5A~5D 太陽電池モジュールグループ
5 太陽電池モジュール
8a~8h 電路
12 信号受信部
15 バイパス回路
17a~17d 第1開閉部
18a~18d 第2開閉部
図1
図2
図3
図4
図5
図6