(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】アタッチメント、および、ヘッドマウントディスプレイ
(51)【国際特許分類】
H04N 5/64 20060101AFI20241106BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20241106BHJP
G02C 11/00 20060101ALI20241106BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
H04N5/64 511A
G02B27/02 Z
G02C11/00
G09F9/00 350Z
G09F9/00 312
(21)【出願番号】P 2021013648
(22)【出願日】2021-01-29
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉村 義弘
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-247482(JP,A)
【文献】特開2014-013954(JP,A)
【文献】特開2018-160838(JP,A)
【文献】登録実用新案第3123222(JP,U)
【文献】実開平07-044527(JP,U)
【文献】特表2002-529764(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/64
G02B 27/02
G02C 11/00
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示部を備えるヘッドマウントディスプレイ本体を、頭部に装着する対象物に取り付けるアタッチメントであって、
前記表示部
を支持
し、第1方向を回転軸とする第1回転軸と、前記第1方向を回転軸とする第2回転軸と、を有する支持部材と、
前記支持部材を前記対象物に取り付け
、湾曲形状の前側の基部と、前記基部の下端から後方に延出する下面部と、前記基部の上端から後方に延出する上面部と、を有する取付部と、
を備え、
前記支持部材は、
前記表示部を前記第1回転軸の軸回り方向に回転可能に支持
し、
前記支持部材は、前記取付部
の前記下面部に前記第2回転軸の軸回り方向に回転可能に支持さ
れ、
前記上面部には、前記上面部から前記下面部に向けて突出する複数の突出部が設けられ、
複数の前記突出部は、ねじ部を備えたノブであり、前後方向に並ぶ、アタッチメント。
【請求項2】
画像を表示する表示部と、
前記表示部を頭部に装着する対象物に取り付ける請求項
1に記載のアタッチメントと、を備える
、ヘッドマウントディスプレイ。
【請求項3】
前記表示部には、鼻パッドが取り付けられている
、請求項
2に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項4】
前記表示部は、第1画像を表示する第1表示部分と、第2画像を表示する第2表示部分と、前記第1表示部分及び前記第2表示部分を固定する固定部材と、を有し、
前記支持部材は、前記第1表示部分と前記第2表示部分との間で前記固定部材に取り付けられる
、請求項
2又は
3に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項5】
前記取付部は、前記第1表示部分と前記第2表示部分との間に配置されている
、請求項
4に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項6】
前記取付部は、前記第1方向に延びて前記支持部材に支持される延出部材と、前記延出部材の一端に支持された第1取付部と、前記延出部材の他端に支持された第2取付部と、を有し、
前記第1取付部と前記第2取付部と
のそれぞれ
は、
前記基部と、前記下面部と、前記上面部と、を有する
、請求項
5に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アタッチメント、および、ヘッドマウントディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘルメットなどの取付対象物を介して頭部に装着するヘッドマウントディスプレイが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、ヘルメットの鍔に取り付け可能な取付け部と、映像を表示する表示部と、表示部を回転可能に支持すると共に取付け部に対してボールジョイント機構により連結する支持部と、を備える映像表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のようにボールジョイント機構で表示部の位置を固定する場合、様々な方向に表示部の位置を調整可能である一方で、使用時には、様々な方向からの衝撃で表示部が位置ずれを起こし易い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための一態様は、画像を表示する表示部を備えるヘッドマウントディスプレイ本体を、頭部に装着する対象物に取り付けるアタッチメントであって、前記表示部を支持し、第1方向を回転軸とする第1回転軸と、前記第1方向を回転軸とする第2回転軸と、を有する支持部材と、前記支持部材を前記対象物に取り付け、湾曲形状の前側の基部と、前記基部の下端から後方に延出する下面部と、前記基部の上端から後方に延出する上面部と、を有する取付部と、を備え、前記支持部材は、前記表示部を前記第1回転軸の軸回り方向に回転可能に支持し、前記支持部材は、前記取付部の前記下面部に前記第2回転軸の軸回り方向に回転可能に支持され、前記上面部には、前記上面部から前記下面部に向けて突出する複数の突出部が設けられ、複数の前記突出部は、ねじ部を備えたノブであり、前後方向に並ぶ、アタッチメントである。
【0006】
上記課題を解決するための別の一態様は、画像を表示する表示部と、前記表示部を頭部に装着する対象物に取り付ける上記アタッチメントと、を備える、ヘッドマウントディスプレイである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態のヘッドマウントディスプレイの使用状態を示す正面図。
【
図2】第1実施形態のヘッドマウントディスプレイの使用状態を示す側面図。
【
図3】第1実施形態のヘッドマウントディスプレイの斜視図。
【
図5】第2実施形態のヘッドマウントディスプレイの使用状態を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0009】
[1.第1実施形態]
[1-1.ヘッドマウントディスプレイの全体構成]
図1は、第1実施形態のヘッドマウントディスプレイ1の使用状態を示す正面図である。
図2は、第1実施形態のヘッドマウントディスプレイ1の使用状態を示す側面図である。なお、
図2では、ヘッドマウントディスプレイ1の一部の図示を省略している。
以下、本実施の形態の説明では、ヘッドマウントディスプレイ1を装着した
図1に示す使用者Uにとっての方向を基準にして、前後、左右、および、上下を用いる。
【0010】
ヘッドマウントディスプレイ1は、使用者Uの頭部U1に装着された状態で使用者Uに虚像を視認させる頭部装着型表示装置、いわゆる、HMDである。HMDは、Head Mounted Displayの略称である。ヘッドマウントディスプレイ1は、表示部の一例としてのHMD本体10と、HMD本体10を、ヘルメット50に取り付けるアタッチメント20と、を備える。ヘルメット50は、頭部U1に装着される対象物の一例に対応する。HMD本体10は、ヘッドマウントディスプレイ本体に対応する。
【0011】
ヘッドマウントディスプレイ1は、ヘッドマウントディスプレイ1のHMD本体10の左側から延びるケーブル10aが有線接続される不図示の制御装置を備える。不図示の制御装置は、使用者Uの操作を受け付ける各種のボタン、スイッチ、及び、トラックパッドなどを備え、使用者Uが操作するコントローラーとして機能する。コントローラーによりヘッドマウントディスプレイ1のHMD本体10が制御される。
【0012】
[1-1-1.HMD本体の構成]
図3は、第1実施形態のヘッドマウントディスプレイ1の斜視図である。
図4は、
図1のIV-IV線に対応する断面図である。
ヘッドマウントディスプレイ1は両眼用のHMDであり、外観上は眼鏡形状を有する。ヘッドマウントディスプレイ1のHMD本体10は、左右方向に延びるフレーム11を有する。フレーム11は、固定部材の一例に対応する。フレーム11には、眼鏡のレンズ部分に対応する構成として、左導光板12、及び、右導光板13が固定される。左導光板12は、ヘッドマウントディスプレイ1の装着状態において使用者Uの左眼の眼前に位置する。右導光板13は、ヘッドマウントディスプレイ1の装着状態において使用者Uの右眼の眼前に位置する。左導光板12は、第1表示部分の一例に対応する。右導光板13は、第2表示部分の一例に対応する。
【0013】
左導光板12及び右導光板13は、光透過性の樹脂等によって形成されるプリズムなどの光学部品であり、後述するように、画像光を使用者の眼に導いて画像を視認させる。また、左導光板12及び右導光板13の表面に、波長フィルターとして機能する不図示の調光板を設けてもよい。この場合、調光板の光学特性を適宜選択することにより、可視光、赤外光及び紫外光等の任意の波長域の光の透過率を調整することができ、外部から左導光板12及び右導光板13に入射し、左導光板12及び右導光板13を透過する外光の光量を調整できる。
【0014】
フレーム11の左端には、後方に延出する左保持部14が設けられる。左保持部14は、ヘッドマウントディスプレイ1の装着状態において、フレーム11の左端から、使用者Uの左側頭部に対応する位置まで延出して設けられる。本実施形態では、左保持部14は、こめかみ程度まで延び左耳には届かない長さに構成される。左保持部14の内部には、左表示装置16が設けられる。左表示装置16は、第1表示装置の一例に対応する。
【0015】
左表示装置16は、左眼用の画像光を射出する。左表示装置16は、不図示の光学系を備え、その不図示の光学系により、左眼用の画像光を左導光板12に導く。左導光板12では、不図示のハーフミラーにより、前方からの外光と左眼用の画像光とが左眼に入射する。
【0016】
フレーム11の右端には、後方に延出する右保持部15が設けられる。右保持部15は、ヘッドマウントディスプレイ1の装着状態において、フレーム11の右端から、使用者Uの右側頭部に対応する位置まで延出して設けられる。本実施形態では、右保持部15は、左保持部14と略左右対称に構成されている。右保持部15の内部には、右表示装置17が設けられる。右表示装置17は、第2表示装置の一例に対応する。
【0017】
右表示装置17は、右眼用の画像光を射出する。右表示装置17は、不図示の光学系を備え、その不図示の光学系により、右眼用の画像光を右導光板13に導く。右導光板13では、不図示のハーフミラーにより、前方からの外光と右眼用の画像光とが右眼に入射する。
【0018】
このように、HMD本体10では、内部で処理した画像の画像光と外光とを重ねて使用者Uの眼に入射させ、使用者Uにとっては、左導光板12及び右導光板13を透かして外景が見え、この外景に重ねて、画像光による画像が視認される。
【0019】
フレーム11は、左導光板12と右導光板13との間に対応して連結部11aを有する。連結部11aは、
図1に示すように、使用者Uがヘッドマウントディスプレイ1を装着する装着状態で、使用者Uの眉間の近傍に対応する。
【0020】
フレーム11の連結部11aには、ヘッドマウントディスプレイ1の装着状態で使用者Uの鼻U2に接触可能な左右一対の鼻パッド18、19が設けられる。鼻パッド18、19は、樹脂で構成される。本実施形態の鼻パッド18、19は、
図1、
図2に示すように、使用者Uの鼻U2に接近、離間する程度に配置される。なお、
図2では、ヘッドマウントディスプレイ1の左保持部14については、左保持部14の一部のみを図示し、左保持部14と鼻パッド18と使用者Uの鼻U2の位置関係が分かるように図示している。本実施形態の鼻パッド18、19は、ヘッドマウントディスプレイ1が使用者Uにぶつかる際の衝撃を抑制するための部材である。その上で、鼻パッド18、19を鼻U2に当接するように構成し、鼻パッド18、19でヘッドマウントディスプレイ1を支持してもよい。
【0021】
本実施形態では、鼻パッド18、19はフレーム11に対して着脱可能に支持される。よって、使用者Uの好みに応じて鼻パッド18、19を装着したり、鼻パッド18、19を省略したりできる。鼻パッド18、19を省略することにより、例えば、歩行時の振動により、突出部としての鼻パッド18、19が鼻U2に接触することを抑制し、使用者Uへの不快感を抑制することが可能である。
【0022】
ここで、ヘッドマウントディスプレイ1についての左右方向は、第1表示部分と第2表示部分とが並ぶ方向、すなわち、本実施形態では、左導光板12と右導光板13とが並ぶ方向が対応する。ヘッドマウントディスプレイ1についての前後方向は、導光板12、13から使用者Uの眼に向けて画像光が射出される方向が対応する。ヘッドマウントディスプレイ1についての上下方向は、ヘッドマウントディスプレイ1の左右方向および前後方向に直交する方向が対応する。
【0023】
[1-1-2.アタッチメントの構成]
ヘッドマウントディスプレイ1のHMD本体10は、アタッチメント20を介してヘルメット50に取り付けられる。
アタッチメント20は、HMD本体10に固定される固定部21と、固定部21を回動可能に支持するリンク板22と、リンク板22をヘルメット50に取り付けるクリップ板23と、を有する。リンク板22は、支持部材の一例に対応する。クリップ板23は、取付部の一例に対応する。
【0024】
固定部21は、左右方向に延びる板状に形成される。固定部21は、HMD本体10のフレーム11の上面に固定される。固定部21は、連結部11aに対応させて固定される。すなわち、固定部21は、HMD本体10の左右中央部に固定される。これにより、固定部21から左導光板12の位置関係と、固定部21から右導光板13の位置関係と、を同じにすることができ、ヘッドマウントディスプレイ1をヘルメット50に取り付ける際の調整がし易くなっている。固定部21は、例えば、図示しない両面テープを用いて、フレーム11の上面に固定される。固定部21は、両面テープに代えて、ねじ止めで、フレーム11の上面に固定してもよい。固定部21の固定方法は、任意の方法で固定できる。ただし、固定部21は、繰り返し固定できる構成が望ましい。これにより、例えば、直接、頭部U1に装着させるための別機能のアタッチメントをHMD本体10に交換可能にすることができる。
【0025】
固定部21の上面には、上方に突出する左右一対の軸支持部21a、21bが形成されている。軸支持部21a、21bには、左右方向に貫通する不図示の貫通孔が形成され、その貫通孔には、左右方向に延びる下ヒンジ軸24が挿通される。左右方向、すなわち、顔の幅方向は、第1方向の一例に対応する。下ヒンジ軸24は、第1回転軸の一例に対応する。
【0026】
下ヒンジ軸24には、リンク板22が下ヒンジ軸24を中心として回動可能に支持される。リンク板22は、左右方向に直交する方向Lに延びる平板状である。リンク板22には、長手方向Lの一端に、長手方向Lに突出する左右一対の軸支持部22a、22bが形成されている。軸支持部22a、22bには、左右方向に貫通する不図示の貫通孔が形成されている。軸支持部22a、22bは、固定部21の軸支持部21a、21bの左右方向内側に配置され、貫通孔に下ヒンジ軸24が挿通される。これにより、下ヒンジ軸24の軸回り方向R1にリンク板22が回動する。
【0027】
リンク板22の軸支持部22a、22bの左右外端幅は、固定部21の軸支持部21a、21bの左右内端幅よりもやや大きく形成されている。軸支持部22a、22bの左右外端幅は、左側の軸支持部22aの左端と右側の軸支持部22bの右端との間の左右幅である。また、軸支持部21a、21bの左右内端幅は、左側の軸支持部21aの右端と右側の軸支持部21bの左端との間の左右幅である。よって、リンク板22の軸支持部22a、22bは、固定部21の軸支持部21a、21bの左右方向内側に配置される際に、圧入される。これにより、リンク板22と固定部21との間には、回動時に大きい摩擦力が生じる。この摩擦力によりリンク板22と固定部21との相対的な回動位置が保持される。すなわち、リンク板22に対するHMD本体10の姿勢が保持される。ここで、リンク板22と固定部21との間の摩擦力は、使用者Uの歩行や首振りなどの通常の作業動作による振動などでは回動位置が変化しないような摩擦力を生じさせるものである。すなわち、HMD本体10の姿勢を変更するために、使用者Uが意図的に力を作用させた場合にはリンク板22が固定部21に対して相対的に回動する程度の摩擦力に設定されている。
【0028】
リンク板22の長手方向Lの他端には、左右一対の軸支持部22c、22dが形成される。軸支持部22c、22dは、リンク板22に対して長手方向Lの他端側に突出する点以外は、一端側の軸支持部22a、22bと同様に形成される。軸支持部22c、22dには、左右方向に延びる上ヒンジ軸25が支持される。上ヒンジ軸25には、U字板状のクリップ板23が上ヒンジ軸25を中心として回動可能に支持される。上ヒンジ軸25は、第2回転軸の一例に対応する。
【0029】
クリップ板23は、
図4に示すように、前方が閉じて後方が開いたU字板状である。クリップ板23は、湾曲形状の前側の基部23aと、基部23aの下端から後方に延出する下面部23bと、基部23aの上端から後方に延出する上面部23cとを有する。上面部23cは、下面部23bよりも短く形成されている。下面部23bは、第2側部の一例に対応する。上面部23cは、第1側部の一例に対応する。
【0030】
下面部23bの下面には、
図1に示すように、下方に突出する左右一対の軸支持部23d、23eが形成されている。軸支持部23d、23eは、
図4に示すように、下面部23bの前後方向中央部よりも前側に形成されている。軸支持部23d、23eには、左右方向に貫通する貫通孔が形成されており、左右に延びる上ヒンジ軸25が挿通される。これにより、上ヒンジ軸25の軸回り方向R2にクリップ板23が回動する。軸支持部23d、23eの左右内端幅は、リンク板22の軸支持部22c、22dの左右外端幅よりも小さく形成されており、クリップ板23の軸支持部23d、23eの間には、リンク板22の軸支持部22c、22dが圧入される。これにより、HMD本体10の姿勢を変更するために、使用者Uが意図的に力を作用させた場合にはリンク板22がクリップ板23に対して相対的に回動する程度の摩擦力に設定されている。
【0031】
下面部23bの内面には、前後方向に延びるシート状の滑り止め26が設けられる。滑り止め26は、例えば、ゴムシートである。滑り止め26は、側面視では、軸支持部23d、23eよりも前方から延びて上面部23cの後端まで延びている。
【0032】
上面部23cには、
図4に示すように、上下方向に延びる貫通孔23f、23gが形成されている。貫通孔23f、23gは、前後一対設けられている。前側の貫通孔23fは、軸支持部23d、23eの位置に対応して形成されている。本実施形態では、前側の貫通孔23fは、軸支持部23d、23eのやや前方に形成され、ゴムシート26の前端26aよりも後側に形成される。また、後側の貫通孔23gは、ゴムシート26の後端部に対応して形成されており、ゴムシート26の後端26bよりも前方に形成される。貫通孔23f、23gには、雌ねじ23f1、23g1が形成されている。
【0033】
貫通孔23f、23gには、突出部の一例としてのノブ27、28がねじ止めされて配置される。ノブ27、28は、円柱状のノブ本体27a、28aと、ノブ本体27a、28aに固定されたねじ部27b、28bと、を備える。ノブ本体27a、28aを摘まんで回すことにより、ノブ27、28が上面部23cに対してねじ込まれたり、緩められたりする。ねじ部27b、28bの先端には、キャップ27c、28cが装着固定されている。キャップ27c、28cは、ゴムや樹脂で構成される。
【0034】
クリップ板23は、ヘルメット50の前部に取り付けられる。クリップ板23を取り付けらえる部分は、ヘルメット50の前部の鍔部51が好適である。クリップ板23は、鍔部51に対して差し込むように装着される。クリップ板23の下面部23bは鍔部51の下側に配置される。クリップ板23の上面部23cは、鍔部51の上側に配置される。このとき、下面部23bの滑り止め26が、鍔部51の下面に当接可能である。
【0035】
この状態で、ノブ27、28を回すことにより、上面部23cに対してノブ27、28がねじ込まれ、ねじ部27b、28bと下面部23bとの間隔が狭まる。さらに、ノブ27、28を回すことにより、鍔部51がねじ部27b、28bと下面部23bとで挟まれ、クリップ板23がヘルメット50に固定される。すなわち、HMD本体10がアタッチメント20を介してヘルメット50に取り付けられる。ねじ部27b、28bがキャップ27c、28cを介してヘルメット50を押し込むため、ヘルメット50が局所的に過剰に押圧されることが抑制される。また、ねじ部27b、28bがゴムシート26の内側を押圧するため、ゴムシート26に鍔部51の下面が押圧され易くて滑り難くなっている。
なお、本実施形態のキャップ27c、28cは、貫通孔23f、23gよりも大径であるため、ノブ27、28の上面部23cに対する抜け止め機能も有する。
【0036】
[1-2.ヘッドマウントディスプレイの使用方法]
ヘッドマウントディスプレイ1のヘルメット50への取り付け動作の一例を説明する。使用者Uは、ヘッドマウントディスプレイ1をヘルメット50に取り付ける際には、クリップ板23を、ヘルメット50の鍔部51の左右方向中央部に配置する。クリップ板23では、HMD本体10からの荷重が作用する軸支持部23d、23eは、下面部23bの前後方向中央部よりも前側に形成されており、下面部23bの前方側にHMD本体10の荷重がかかり易い。このとき、クリップ板23が前方で下方に引っ張られる際に、クリップ板23の上面部23cが前方で鍔部51に支持され易く、下面部23bの後方が上方に移動し易い。下面部23bは上面部23cよりも後方に長いため、下面部23bの後方が鍔部51に押圧され易く、滑り止め26が鍔部51に接触し易くなっている。よって、クリップ板23の仮り取り付け時の脱落が防止され易くなっている。
【0037】
クリップ板23が鍔部51に配置された状態で、ノブ27、28が回動されると、クリップ板23が鍔部51に固定される。このとき、後側のノブ28を先に回して固定し、前側のノブ27を固定することにより、ヘッドマウントディスプレイ1のノブ28のねじ部28b回りの回転、いわゆる、横ブレを抑制しながら、ヘルメット50に固定し易くできる。
特に、本実施形態では、U字状で直線状に延出する一つのクリップ板23を鍔部51に配置する構成である。このため、
図1に示すように、鍔部51の左右方向の中央部が山状に湾曲する場合には、下面部23b、上面部23cを鍔部51の左右方向の中央部の頂部51aに沿って差し込み易く、鍔部51に対する位置決めが容易である。
【0038】
クリップ板23を鍔部51に取り付けた状態で、ヘルメット50を頭部U1に対して適切に装着する。ヘルメット50を適切に装着すると、リンク板22を回動させて、HMD本体10の左導光板12が左眼の前方に位置し、右導光板13が右眼の前方に位置するように、HMD本体10を使用者Uの顔に近づける。このとき、アタッチメント20では、下ヒンジ軸24および上ヒンジ軸25の2か所で回動可能である。このため、1か所で回動する場合に比べて、HMD本体10の位置を、ヘルメット50の鍔部51の傾斜角度や、ヘルメット50と眼の高さの位置に合わせて調整し易くなっている。
特に、HMD本体10に鼻パッド18、19が装着されている場合には、鼻パッド18、19を使用者Uの鼻U2に接触する程度にHMD本体10を回動させることで、容易に、HMD本体10の位置決めができる。
【0039】
HMD本体10が使用者Uにとって好適な位置に角度や姿勢が調整されると、使用者Uは作業現場でヘッドマウントディスプレイ1を使用する。一般には、使用者Uは歩行したり首を振ったりしながら作業するため、ヘルメット50やヘッドマウントディスプレイ1には、様々な方向からの力が作用する。
【0040】
ここで、従来は、ヘルメット50に固定したヘッドマウントディスプレイは、ボールジョイント機構により、ヘルメット50に対して姿勢を調節している。ボールジョイント機構では、ヘルメット50に取り付け後に、様々な方向に位置を調節し易いが、その一方で、構成上様々な方向に位置が移動し易い。よって、使用時には、様々な衝撃によって容易に位置がずれる虞があった。
【0041】
これに対して、本実施形態のアタッチメント20では、クリップ板23をヘルメット50に固定した後には、左右方向に延びるヒンジ軸24、25の軸回り方向R1、R2にのみ回動する構成である。よって、上下方向に延びる回転軸や、前後方向に延びる回転軸を中心とする回転モーメントがヘッドマウントディスプレイ1に作用しても、位置がずれ難くなっている。
【0042】
そもそも、ヘルメット50自体も頭部U1に完全には固定されず、ある程度は、頭部U1に対して移動が許容される。このため、ヘッドマウントディスプレイ1をヘルメット50などに取り付けられる場合には、ヘルメット50を頭部U1に対して移動させることによってもHMD本体10の位置は調節可能である。
したがって、本実施形態では、過剰な角度調整を省略して角度調整を簡素化しつつ、ヘルメット50に装着されるHMD本体10の姿勢の調整に必要十分な調整が可能となっている。
【0043】
以上説明したように、本実施形態のアタッチメント20は、画像を表示するHMD本体10を、頭部U1に装着するヘルメット50に取り付けるアタッチメント20である。アタッチメント20は、HMD本体10を所定の姿勢で支持するリンク板22と、リンク板22をヘルメット50に取り付けるクリップ板23と、を備える。リンク板22は、第1方向の一例としての左右方向を回転軸とする下ヒンジ軸24と、左右方向を回転軸とする上ヒンジ軸25と、を有する。リンク板22は、下ヒンジ軸24の軸回り方向R1に回転可能に支持してHMD本体10を所定の姿勢で支持するとともに、クリップ板23に上ヒンジ軸25の軸回り方向R2に回転可能に支持され所定の姿勢でクリップ板23に支持される。したがって、クリップ板23をヘルメット50に取り付けた後は、左右方向の軸回り方向R1、R2にリンク板22を回動させることにより、HMD本体10の位置を調整することが出来る。また、左右方向の軸回り方向R1、R2以外に回動させる不要な調整を省略することができる。よって、ヘルメット50に取り付けるHMD本体10について必要十分な位置調整ができる。
【0044】
本実施形態のアタッチメント20では、クリップ板23は、ヘルメット50の第1側の一例としての上側に配置される上面部23cと、上面部23cに近接して配置されヘルメット50の第2側の一例としての下側に配置される下面部23bとを有する。クリップ板23では、上面部23cには、上面部23cから下面部23bに向けて突出しヘルメット50を押圧する突出部27、28が2以上設けられている。したがって、突出部の一点でヘルメット50を押圧する場合には押圧点回りに回動する場合があるが、クリップ板23によりヘルメット50を二点以上で押圧するため、突出部27、28の押圧点回りに回動することを抑制することができる。
【0045】
また、本実施形態のアタッチメント20では、突出部27、28は、ねじ部27b、28bを備えたノブ27、28である。したがって、ノブ27、28の回動量を調節することにより押圧量を調整できると共に、ノブ27、28毎に押圧量を調整することにより、クリップ板23の取付位置の調整が容易にできる。
【0046】
また、以上説明したように、本実施形態のヘッドマウントディスプレイ1は、画像を表示するHMD本体10と、HMD本体10を頭部U1に装着するヘルメット50に取り付けるアタッチメント20と、を備える。したがって、クリップ板23をヘルメット50に取り付けた後は、左右方向の軸回り方向R1、R2にリンク板22を回動させることにより、HMD本体10の位置を調整することが出来る。また、左右方向の軸回り方向R1、R2以外に回動させる不要な調整を省略することができる。よって、ヘルメット50に取り付けるHMD本体10について必要十分な位置調整ができる。
【0047】
本実施形態のヘッドマウントディスプレイ1では、HMD本体10には、鼻パッド18、19が取り付けられている。したがって、鼻パッド18、19を目安にしてヘッドマウントディスプレイ1の位置を調整することができる。
【0048】
また、本実施形態のヘッドマウントディスプレイ1では、HMD本体10は、第1画像の一例としての左眼用の画像を表示する左導光板12と、第2画像の一例としての右眼用の画像を表示する右導光板13と、を有する。また、HMD本体10は、左導光板12及び右導光板13を固定するフレーム11と、を有する。HMD本体10では、リンク板22は、左導光板12と右導光板13との間でフレーム11に取り付けられる。したがって、リンク板22がHMD本体10を左導光板12と右導光板13との間で支持するため、バランスよく支持できる。
【0049】
また、本実施形態のヘッドマウントディスプレイ1では、クリップ板23は、左導光板12と右導光板13との間に配置され、ノブ27、28は、上面部23cに直線上に二以上配置されている。したがって、ノブ27、28を直線上に配置することにより、ヘルメット50の湾曲面に取り付けることができる。
【0050】
[2.第2実施形態]
[2-1.ヘッドマウントディスプレイの構成]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、前述の第1実施形態と同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0051】
図5は、第2実施形態のヘッドマウントディスプレイ201の使用状態を示す正面図である。
第2実施形態のヘッドマウントディスプレイ201は、アタッチメント20に代えて、アタッチメント220を有する。
【0052】
[2-1-2.アタッチメントの構成]
第2実施形態のアタッチメント220では、リンク板22の上部には、クリップ板23に代えて、取付部223が回動可能に支持される。
取付部223は、左右方向に延びる長板状のステー224と、ステー224の左右両端に支持された取付部の一例としてのクリップ板225、226と、を有する。
【0053】
ステー224は、延出部材の一例に対応する。ステー224の下面には、下方に突出する左右一対の軸支持部224a、224bが形成されている。軸支持部224a、224bは、クリップ板23の軸支持部23d、23eと同様に構成されている。軸支持部224a、224bの間には、リンク板22の軸支持部22c、22dが圧入され、上ヒンジ軸25が挿通される。これにより、摩擦力により、リンク板22に対して上ヒンジ軸25の軸回り方向R2にステー224の角度、すなわち、取付部223の角度が調節される。
【0054】
ステー224の左端には、前後一対の軸支持部224cが形成されている。軸支持部224cには、前後方向に延びる回動軸227が支持される。回動軸227には、第1取付部の一例としての左クリップ板225が回動軸227を中心として回動可能に支持される。
【0055】
左クリップ板225は、前方が閉じて後方が開いたU字板状である。左クリップ板225は、クリップ板23に対応するように構成される。すなわち、左クリップ板225は、湾曲形状の前側の基部225aと、基部225aの下端から後方に延出する下面部225bと、基部225aの上端から後方に延出する上面部225cとを有する。下面部225bの下面には、下方に突出する不図示の軸支持部が形成される。不図示の軸支持部は、ステー224の前後一対の軸支持部224cの間に配置され、回動軸227が挿通される。これにより、左クリップ板225は、回動軸227の軸回り方向R3に回動可能に支持される。左クリップ板225には、ノブ229が設けられる。ノブ229は、ノブ27、28と同様に構成される。
上述の点以外は、左クリップ板225は、クリップ板23と同様に構成される。
【0056】
ステー224の右端には、前後一対の右側の軸支持部224dが形成されている。右側の軸支持部224dには、前後方向に延びる回動軸228が支持される。回動軸228には、第2取付部の一例としての右クリップ板226が回動軸228を中心として回動可能に支持される。右クリップ板226は、回動軸228の軸回り方向R4に回動可能に支持される。右クリップ板226は、左クリップ板225と左右対称に構成される。右クリップ板226は、基部226aと、下面部226bと、上面部226cとを有する。右クリップ板226には、ノブ230が設けられる。
【0057】
[2-2.ヘッドマウントディスプレイの使用動作]
ヘッドマウントディスプレイ201の取り付け動作の一例を説明する。使用者Uがヘッドマウントディスプレイ201をヘルメット50に取り付ける際には、左側のクリップ板225を、ヘルメット50の鍔部51の左部に取り付ける。また、右側のクリップ板226を、ヘルメット50の鍔部51の右部に取り付ける。クリップ板225、226は、鍔部51の頂部51aに対して左右対称に配置される。
【0058】
本実施形態では、左右のクリップ板225、226は、前後方向に延びる回動軸227、228を中心にして軸回り方向R3、R4に回動可能である。このため、鍔部51の傾斜に合わせて、クリップ板225、226を鍔部51に差し込み易くなっており、それぞれのノブ229、230でクリップ板225、226を鍔部51に固定可能となっている。よって、本実施形態でも、鍔部51が山状に湾曲する場合であっても、下面部225b、226b、上面部225c、226cで、湾曲した鍔部51に取り付け易くなっている。
【0059】
以上説明したように、本実施形態のアタッチメント220は、画像を表示するHMD本体10を、頭部U1に装着するヘルメット50に取り付けるアタッチメント220である。アタッチメント220は、HMD本体10を所定の姿勢で支持するリンク板22と、リンク板22をヘルメット50に取り付ける取付部223と、を備える。リンク板22は、左右方向を回転軸とする下ヒンジ軸24と、左右方向を回転軸とする上ヒンジ軸25と、を有する。リンク板22は、下ヒンジ軸24の軸回り方向R1に回転可能に支持してHMD本体10を所定の姿勢で支持するとともに、取付部223に上ヒンジ軸25の軸回り方向R2に回転可能に支持され所定の姿勢で取付部223に支持される。したがって、取付部223をヘルメット50に取り付けた後は、左右方向の軸回り方向R1、R2にリンク板22を回動させることにより、HMD本体10の位置を調整することが出来る。また、左右方向の軸回り方向R1、R2以外に回動させる不要な調整を省略することができる。よって、ヘルメット50に取り付けるHMD本体10について必要十分な位置調整ができる。
【0060】
本実施形態のヘッドマウントディスプレイ201では、取付部223は、左右方向に延びてリンク板22に支持されるステー224と、ステー224の一端に支持された左クリップ板225と、ステー224の他端に支持された右クリップ板226と、を有する。左クリップ板225と右クリップ板226とは、それぞれ、上面部225c、226cと下面部225b、226bとを有する。したがって、左右方向に離間してヘルメット50に取り付けることができる。
【0061】
上述した実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明を実施する具体的態様に過ぎず、本発明を限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、例えば以下に示すように、種々の態様において実施することが可能である。
【0062】
上記実施形態において、リンク板22は、固定部21やクリップ板23、取付部223に対して、圧入により回動時に摩擦力が生じる構成を説明した。しかし、例えば、ヒンジ軸24、25をねじ止めにより圧接させて摩擦力が生じるようにしてもよい。
【0063】
上記実施形態では、対象物の一例としてのヘルメット50に固定される構成を説明した。しかし、サンバイザーなどの鍔部を有する頭部に装着する対象物に固定される構成でもよい。
【0064】
上記実施形態では、HMD本体10がケーブル10aを介して図示しないコントローラーに有線接続される構成を説明した。しかし、有線接続に代えて、無線接続でもよく、例えば、HMD本体10から延びるケーブル10aを省略し、HMD本体10と、コントローラーとを無線通信により接続してもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…ヘッドマウントディスプレイ、10…HMD本体(ヘッドマウントディスプレイ本体)、11…フレーム(固定部材)、12…左導光板(第1表示部分)、13…右導光板(第2表示部分)、11a…連結部、12…左導光板(第1表示部分)、13…右導光板(第2表示部分)、14…左保持部、15…右保持部、16…左表示装置、17…右表示装置、18…鼻パッド、19…鼻パッド、21…固定部、21a…軸支持部、21b…軸支持部、22…リンク板(支持部材)、22a…軸支持部、22b…軸支持部、22c…軸支持部、22d…軸支持部、23…クリップ板(取付部)、23a…基部、23b…下面部(第2側部)、23c…上面部(第1側部)、23d…軸支持部、23e…軸支持部、24…下ヒンジ軸(第1回転軸)、25…上ヒンジ軸(第2回転軸)、27…ノブ(突出部)、27a…ノブ本体、27b…ねじ部、28…ノブ(突出部)、28a…ノブ本体、28b…ねじ部、50…ヘルメット(対象物)、223…取付部、224…ステー(延出部材)、225…左クリップ板(第1取付部)、225b…下面部(第2側部)、225c…上面部(第1側部)、226…右クリップ板(第2取付部)、226b…下面部(第2側部)、226c…上面部(第1側部)、229…ノブ(突出部)、230…ノブ(突出部)、L…長手方向、R1…軸回り方向、R2…軸回り方向、U…使用者、U1…頭部、U2…鼻。