(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】傾斜ステージ、光学デバイスおよびレーザー干渉計
(51)【国際特許分類】
G02B 7/00 20210101AFI20241106BHJP
G02B 7/198 20210101ALI20241106BHJP
【FI】
G02B7/00 B
G02B7/198
(21)【出願番号】P 2021018822
(22)【出願日】2021-02-09
【審査請求日】2023-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】北川 潤
【審査官】植野 孝郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-11258(JP,A)
【文献】特開2000-193864(JP,A)
【文献】特開2015-190993(JP,A)
【文献】特開2005-215507(JP,A)
【文献】中国実用新案第204203531(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/00
G02B 7/18- 7/24
G01B 9/00- 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置面、ならびに、前記載置面を貫通する貫通孔、前記載置面を貫通する
2つの第1ネジ孔および前記載置面を貫通する
2つの第2ネジ孔、を有するステージ部と、
前記ステージ部に対向する対向面、および、前記対向面に開口する第3ネジ孔、を有するベース部と、
第1先端部および第1基端部を有する
2本の第1調整ネジと、
第2先端部および第2基端部を有する
2本の第2調整ネジと、
第3先端部および第3基端部を有する支柱ネジと、を備え、
一方の前記第1調整ネジは、前記第1基端部が
一方の前記第1ネジ孔に螺合し、かつ、前記第1先端部が前記対向面に当接し、
一方の前記第2調整ネジは、前記第2基端部が
一方の前記第2ネジ孔に螺合し、かつ、前記第2先端部が前記対向面に当接し、
他方の前記第1調整ネジは、前記第1基端部が他方の前記第1ネジ孔に螺合し、かつ、前記第1先端部が前記対向面に当接し、
他方の前記第2調整ネジは、前記第2基端部が他方の前記第2ネジ孔に螺合し、かつ、前記第2先端部が前記対向面に当接し、
前記支柱ネジは、前記第3基端部が前記貫通孔に挿通され、かつ、前記第3先端部が前記第3ネジ孔に螺合し、
前記貫通孔の内径は、前記第3基端部の外径より大き
く、
前記載置面を平面視したとき、前記貫通孔は、第1軸と、前記第1軸と交差する第2軸との交点に設けられ、
前記第1軸上において、一方の前記第1ネジ孔および一方の前記第2ネジ孔は、前記貫通孔に対して互いに点対称な位置にあり、
前記第2軸上において、他方の前記第1ネジ孔および他方の前記第2ネジ孔は、前記貫通孔に対して互いに点対称な位置にあることを特徴とする傾斜ステージ。
【請求項2】
前記支柱ネジは、外径が前記貫通孔の内径より大きい頭部を有し、
前記頭部と前記ステージ部との間に設けられている弾性体を備える請求項1に記載の傾斜ステージ。
【請求項3】
前記弾性体は、コイルばねである請求項2に記載の傾斜ステージ。
【請求項4】
前記第1調整ネジに螺合する第1ナットおよび前記第2調整ネジに螺合する第2ナットの少なくとも一方を備える請求項1ないし
3のいずれか1項に記載の傾斜ステージ。
【請求項5】
請求項1ないし
4のいずれか1項に記載の傾斜ステージと、
前記載置面に載置されている光学部品と、
を備えることを特徴とする光学デバイス。
【請求項6】
レーザー光を射出する光源部と、
請求項
5に記載の光学デバイスと、
を備えることを特徴とするレーザー干渉計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾斜ステージ、光学デバイスおよびレーザー干渉計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光学部品の位置や角度方向を精密に制御する光学ステージが開示されている。この光学ステージは、2つの部品と、これらの部品間の距離を調整する調整ネジと、を備えている。一方の部品は、レンズや鏡等の光学部品を支持しており、調整ネジのねじこみによって部品間の距離が変化するように構成されている。これにより、光学部品の位置や角度方向を微調整することができる。また、他方の部品には、内部を貫通する曲管が設けられており、その中に調整ネジの力を伝達する球状部品が配置されている。これにより、歯車を用いることなく、調整ネジをねじこむ方向と、光学部品を移動させる方向と、を異ならせることができる。その結果、構造が簡単で、かつ、光学部品の調整作業がしやすい光学ステージが実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の光学ステージでは、調整ネジをねじ込む方向と、光学部品を移動させる方向と、を異ならせるため、部品の内部を貫通する曲管を設ける必要があり、構造の複雑化が避けられない。このため、光学ステージの小型化には限界がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の適用例に係る傾斜ステージは、
載置面、ならびに、前記載置面を貫通する貫通孔、前記載置面を貫通する第1ネジ孔および前記載置面を貫通する第2ネジ孔、を有するステージ部と、
前記ステージ部に対向する対向面、および、前記対向面に開口する第3ネジ孔、を有するベース部と、
第1先端部および第1基端部を有する第1調整ネジと、
第2先端部および第2基端部を有する第2調整ネジと、
第3先端部および第3基端部を有する支柱ネジと、
を備え、
前記第1調整ネジは、前記第1基端部が前記第1ネジ孔に螺合し、かつ、前記第1先端部が前記対向面に当接し、
前記第2調整ネジは、前記第2基端部が前記第2ネジ孔に螺合し、かつ、前記第2先端部が前記対向面に当接し、
前記支柱ネジは、前記第3基端部が前記貫通孔に挿通され、かつ、前記第3先端部が前記第3ネジ孔に螺合し、
前記貫通孔の内径は、前記第3基端部の外径より大きいことを特徴とする。
【0006】
本発明の適用例に係る光学デバイスは、
本発明の適用例に係る傾斜ステージと、
前記載置面に載置されている光学部品と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の適用例に係るレーザー干渉計は、
レーザー光を射出する光源部と、
本発明の適用例に係る光学デバイスと、
を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る傾斜ステージを示す斜視図である。
【
図3】
図2に示すステージ部の載置面を、X軸マイナス側に傾けた状態を示す断面図である。
【
図4】支柱ネジのねじ込み量を、
図3に比べて大きくした状態を示す断面図である。
【
図6】第1実施形態の変形例に係る傾斜ステージを示す断面図である。
【
図7】第2実施形態に係る傾斜ステージを示す斜視図である。
【
図9】第4実施形態に係るレーザー干渉計を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る傾斜ステージ、光学デバイスおよびレーザー干渉計の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
1.第1実施形態
まず、第1実施形態に係る傾斜ステージについて説明する。
【0011】
図1は、第1実施形態に係る傾斜ステージを示す斜視図である。
図2は、
図1に示す傾斜ステージの断面図である。なお、本願の各図では、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸およびZ軸を設定している。各軸を矢印で表し、矢印の先端側を「プラス」、矢印の基端側を「マイナス」とする。また、以下の説明では、Z軸プラス側を「上」、Z軸マイナス側を「下」として説明している。さらに、以下の説明では、ネジの頭部からネジの先端に向かって進む方向をネジの「進行方向」という。
【0012】
1.1.傾斜ステージの構造の概要
図1に示す傾斜ステージ1は、ステージ部2と、ベース部3と、を備える。傾斜ステージ1は、ベース部3を例えば図示しない架台等に固定された状態で使用される。また、ステージ部2で例えば光学部品等の物体を支持する。そして、ベース部3に対してステージ部2を微動させることにより、物体の傾斜方向や傾斜角度を調整する。
【0013】
1.1.1.ステージ部
ステージ部2は、載置面21および裏面22を有する板状部材である。載置面21および裏面22は、互いに非平行であってもよいが、本実施形態では互いに平行である。載置面21および裏面22は、それぞれX-Y面に広がっている。
【0014】
載置面21を平面視したとき、
図1に示す載置面21の形状は、四角形である。なお、この形状は、特に限定されず、円形であっても、四角形以外の多角形であっても、その他の形状であってもよい。
【0015】
ステージ部2は、貫通孔24と、ステージネジ孔25(第1ネジ孔)と、ステージネジ孔26と、ステージネジ孔27(第2ネジ孔)と、ステージネジ孔28と、を備える。これらの孔は、いずれも載置面21と裏面22の双方に開口している。つまり、これらの孔は、ステージ部2を貫通している。また、ステージネジ孔25~28の内周面にはネジ溝が設けられている。
【0016】
載置面21を平面視したとき、貫通孔24は、載置面21の中央部に位置している。中央部とは、載置面21に引いた2本の対角線の交点近傍を指す。また、ステージネジ孔25およびステージネジ孔27は、貫通孔24を挟んで、X軸方向の互いに反対側に位置している。さらに、ステージネジ孔26およびステージネジ孔28は、貫通孔24を挟んで、Y軸方向の互いに反対側に位置している。なお、貫通孔24の位置は、中央部に限定されない。
【0017】
ステージ部2の構成材料としては、剛性の高い材料であれば特に限定されず、例えば金属材料、セラミックス材料等が挙げられる。
【0018】
1.1.2.ベース部
ベース部3は、対向面31および裏面32を有する部材である。対向面31を平面視したとき、
図1に示す対向面31の形状は、四角形である。なお、この形状は、特に限定されず、円形であっても、四角形以外の多角形であっても、その他の形状であってもよい。また、本実施形態では、対向面31が、前述した載置面21とほぼ同じ大きさと同じ形状をなしているが、対向面31の大きさや形状は、載置面21と異なっていてもよい。
【0019】
ベース部3は、ベースネジ孔34(第3ネジ孔)を備える。
図2に示すベースネジ孔34は、対向面31のみに開口している。なお、ベースネジ孔34は、裏面32にも開口していてもよい。ベースネジ孔34の内周面にはネジ溝が設けられている。
【0020】
対向面31を平面視したとき、ベースネジ孔34は、対向面31の中央部に位置している。
【0021】
ベース部3の構成材料としては、剛性の高い材料であれば特に限定されず、例えば金属材料、セラミックス材料等が挙げられる。
【0022】
1.1.3.ネジ類、ばね等
図1に示す傾斜ステージ1は、支柱ネジ41、調整ネジ51(第1調整ネジ)、調整ネジ52、調整ネジ53(第2調整ネジ)、および、調整ネジ54を備える。
【0023】
支柱ネジ41は、頭部412と、基端部414および先端部416を含む本体部と、を備える。頭部412は、工具を差し込むための凹みを備え、本体部よりも外径が大きい部位である。本体部は、長尺の円柱状をなし、先端部416の外周面にはネジ溝が設けられている。先端部416が有するネジ溝は、ベースネジ孔34に設けられたネジ溝に螺合するようになっている。なお、基端部414の外周面にもネジ溝が設けられていてもよい。
【0024】
支柱ネジ41では、頭部412、基端部414および先端部416がこの順で並んでいれば、各部の長さや比は特に限定されない。
【0025】
また、前述した貫通孔24は、支柱ネジ41の本体部が挿通可能になっている。このため、貫通孔24の内径は、支柱ネジ41の本体部の外径より大きくなっている。これにより、支柱ネジ41と貫通孔24の内周面との間には隙間ができる。その結果、支柱ネジ41を緩めたとき、ステージ部2は、支柱ネジ41に対してZ軸まわりに回転することができ、かつ、ベース部3の対向面31に対し、載置面21を傾けることができる。また、隙間の大きさに応じて、載置面21の傾斜角度の調整範囲を設定することができる。なお、貫通孔24の上部は、下部に比べて内径が大きくなっている。これにより、貫通孔24内に頭部412を収容することができる。
【0026】
調整ネジ51は、頭部512と、基端部514および先端部516を含む本体部と、を備える。調整ネジ52は、頭部522と、基端部524および先端部526を含む本体部と、を備える。調整ネジ53は、頭部532と、基端部534および先端部536を含む本体部と、を備える。調整ネジ54は、頭部542と、基端部544および先端部546を含む本体部と、を備える。
【0027】
調整ネジ51では、頭部512、基端部514および先端部516がこの順で並んでいれば、各部の長さや比は特に限定されない。調整ネジ52~54でも同様である。
【0028】
頭部512、522、532、542は、それぞれ工具を差し込むための凹みを備え、本体部よりも外径が大きい部位である。本体部は、長尺の円柱状をなし、基端部514、524、534、544の各外周面にはネジ溝が設けられている。基端部514、524、534、544に設けられたネジ溝は、ステージネジ孔25~28に設けられたネジ溝に螺合するようになっている。なお、図示しているように、先端部516、526、536、546の外周面にもネジ溝が設けられていてもよい。また、ステージネジ孔25~28の各上部は、各下部に比べて内径が大きくなっている。これにより、ステージネジ孔25~28内に頭部512、522、532、542を収容することができる。
【0029】
図1に示す傾斜ステージ1は、ワッシャー42およびコイルばね43を備える。ワッシャー42およびコイルばね43は、それぞれ支柱ネジ41が挿通された状態で用いられる。つまり、支柱ネジ41は、ワッシャー42、コイルばね43およびステージ部2を、この順に挿通する。そして、支柱ネジ41の先端部416をベース部3のベースネジ孔34に挿入することにより、ワッシャー42およびコイルばね43が、支柱ネジ41とステージ部2との間に挟まれた状態になる。
【0030】
なお、ベースネジ孔34の深さは、支柱ネジ41が挿入されるのに十分な深さに設定される。つまり、ベースネジ孔34に支柱ネジ41を挿入したとき、支柱ネジ41がベースネジ孔34の底に達することがない程度に、十分な深さを確保しておくのが好ましい。これにより、支柱ネジ41のねじ込み量に応じて、ステージ部2をベース部3に押し付ける押付力を大きくすることができる。
【0031】
このようにして支柱ネジ41をベース部3に固定すると、ベース部3に固定された支柱ネジ41と、ステージ部2と、の間に隙間があるため、支柱ネジ41を基準にして、載置面21を様々な方向に傾けることができる。
【0032】
図3は、一例として、
図2に示すステージ部2の載置面21を、X軸マイナス側に傾けた状態を示す断面図である。
【0033】
図3に示すように、支柱ネジ41と貫通孔24の内周面との隙間は、ステージ部2を傾けるために必要なスペースになっている。そして、ベース部3の対向面31に対する載置面21の傾斜角度は、調整ネジ51、53のねじ込み量に応じて微調整することができる。
【0034】
図3は、
図2の状態に比べて、調整ネジ51をその進行方向とは反対方向に進むように回し、一方、調整ネジ53をその進行方向に進むように回した後の状態を示している。調整ネジ51、53のような螺旋のネジ溝を持つネジ部材は、それぞれ簡単な構造であるにもかかわらず、ねじ込み量を連続的に変化させることが容易である。このため、調整ネジ51、53を用いて載置面21の傾斜角度を変更する機構を設けることにより、載置面21が支持する光学部品等の傾斜角度を無段階に調整することができるので、微調整が容易な傾斜ステージ1を実現することができる。
【0035】
なお、
図3では、支柱ネジ41を緩めているので、支柱ネジ41の頭部412とワッシャー42との間には隙間がある。このため、
図3に示すコイルばね43は、自然状態にある。そして、この状態では、支柱ネジ41およびコイルばね43は、それぞれ、ステージ部2に対してほとんど作用していない。
【0036】
図4は、支柱ネジ41のねじ込み量を、
図3に比べて大きくした状態を示す断面図である。
【0037】
図4に示すコイルばね43は、ワッシャー42を介して、支柱ネジ41の頭部412とステージ部2との間に挟まれている。そして、
図4に示すコイルばね43は、Z軸方向に圧縮されている。その結果、圧縮状態にあるコイルばね43は、支柱ネジ41がステージ部2をベース部3に押し付ける押付力と、ステージ部2から支柱ネジ41が受ける抗力と、を仲介することができる。つまり、Z軸方向において、支柱ネジ41の頭部412とステージ部2との間にスペースがあっても、そのスペースをコイルばね43が埋めることによって、コイルばね43の反力を、ステージ部2に対する押付力として付与することができ、かつ、支柱ネジ41に対する抗力として付与することができる。その結果、Z軸方向で、押付力と抗力とが釣り合い、ステージ部2を強力に固定することができる。
【0038】
また、コイルばね43は、例えば
図4の支柱ネジ41を挟んだX軸方向の両側で、隙間の大きさが異なっていても、コイルピッチの変化によって追従することができる。このため、コイルばね43を設けることにより、
図4の支柱ネジ41を挟んだX軸方向の両側で、ステージ部2に対して押付力を付与することができ、かつ、支柱ネジ41に対する抗力を付与することができる。その結果、載置面21が傾いていても、ステージ部2をバランスよく固定することができる。また、圧縮されたコイルばね43が反力を発生し続けることにより、支柱ネジ41の緩みが抑制される。
【0039】
なお、コイルばね43は、各種弾性体で代替可能である。弾性体としては、コイルばね43の他、渦巻きばね、板ばね等の各種ばね、ゴムやエラストマー、発泡樹脂等の各種樹脂部品等が挙げられる。
【0040】
ただし、弾性体にはコイルばね43が好ましく用いられる。コイルばね43は、内部に支柱ネジ41を挿通させやすい構造を有し、伸縮しても外径や内径が変化しにくい。このため、傾斜ステージ1に用いられる弾性体として特に有用である。
【0041】
コイルばね43は、素線を螺旋状に巻いた圧縮コイルばねで構成されるが、素線の断面形状は、円形であっても、四角形であっても、その他の形状であってもよい。ただし、圧縮されたときの形状安定性等の観点から、素線の断面形状が四角形である角ばねが好ましく用いられる。角ばねをコイルばね43として用いることにより、支柱ネジ41の締結後、ステージ部2の固定状態をより安定して維持することができる。
【0042】
また、コイルばね43、すなわち弾性体は、必要に応じて設けられればよく、省略されてもよい。コイルばね43が省略された場合でも、支柱ネジ41がステージ部2に対して直接押付力を付与することができるので、ステージ部2を固定することができる。ワッシャー42も、必要に応じて設けられればよく、省略されてもよい。
【0043】
また、載置面21の傾斜角度の調整範囲は、前述したように、支柱ネジ41と貫通孔24の内周面との隙間に応じて決まる。具体的には、支柱ネジ41の外周面と貫通孔24の内周面とが接触していない状態から、載置面21の傾斜角度を徐々に大きくしていくと、所定の角度で、支柱ネジ41の外周面と貫通孔24の内周面とが接触する。そうすると、それ以上、載置面21の傾斜角度を大きくすることはできなくなる。
【0044】
図5は、
図2の部分拡大図である。
図5では、支柱ネジ41の基端部414の外径をφ414とし、貫通孔24の内径をφ24とする。基端部414の外径φ414は、貫通孔24の内径φ24よりも小さければよいが、好ましくは内径φ24の98%以下とされ、より好ましくは50%以上95%以下とされ、さらに好ましくは60%以上90%以下とされる。これにより、載置面21の傾斜角度の調整範囲を十分に確保することができ、かつ、ステージ部2が不安定になるまで傾斜角度が大きくなるのを防止することができる。
【0045】
また、
図5では、ワッシャー42の内径をφ42とし、コイルばね43の外径をφ43とする。コイルばね43の外径φ43は、貫通孔24の内径φ24およびワッシャー42の内径φ42の双方より大きいことが好ましい。これにより、コイルばね43がワッシャー42や貫通孔24に嵌るのを防止して、コイルばね43に対して確実に押付力を付与することができる。
【0046】
なお、コイルばね43の外径φ43は、ワッシャー42の内径φ42より大きければよいが、好ましくは内径φ42の102%以上とされ、より好ましくは105%以上200%以下とされ、さらに好ましくは110%以上150%以下とされる。これにより、コイルばね43がワッシャー42に嵌りにくくなり、かつ、コイルばね43の剛性が高くなりすぎるのを防止してステージ部2の傾きに対するコイルばね43の追従性を確保することができる。
【0047】
また、
図5では、支柱ネジ41の頭部412の外径をφ412とする。支柱ネジ41の頭部412の外径φ412は、貫通孔24の内径φ24よりも大きい。そして、頭部412とステージ部2との間に弾性体であるコイルばね43が設けられている。これにより、コイルばね43は、頭部412とステージ部2との間で安定して圧縮される。その結果、コイルばね43は、支柱ネジ41がステージ部2をベース部3に押し付ける押付力と、ステージ部2から支柱ネジ41が受ける抗力と、をより安定して仲介することができる。
【0048】
X軸方向における載置面21の傾斜角度は、前述したように、調整ネジ51、53のねじ込み量で調整することができる。具体的には、載置面21を平面視したとき、貫通孔24は、ステージネジ孔25(第1ネジ孔)とステージネジ孔27(第2ネジ孔)との間に設けられている。このため、調整ネジ51と調整ネジ53との間に支柱ネジ41が配置されることになる。その結果、傾斜ステージ1では、調整ネジ51、53のねじ込み量によって、載置面21をX軸プラス側に傾けることも、X軸マイナス側に傾けることもできる。これにより、傾斜ステージ1は、載置面21の傾斜方向をX軸の両方向に変更可能であるという高い自由度を、少なくとも3本のネジによって実現することができる。したがって、傾斜ステージ1では、特に、高機能と小型化とが両立している。
【0049】
また、調整ネジ51、53による調整量を等しくすれば、載置面21の傾斜角度を維持しながら、載置面21をZ軸に沿って並進させることもできる。したがって、傾斜ステージ1は、いわゆるZ軸ステージとして用いることもできる。
【0050】
一方、
図1に示す傾斜ステージ1では、Y軸方向における載置面21の傾斜角度を、調整ネジ52、54のねじ込み量で調整することができる。したがって、傾斜ステージ1では、4本の調整ネジ51~54のねじ込み量を調整することにより、Z軸まわりの全方向に向けて載置面21を傾けることができ、かつ、その傾斜角度を微調整することができる。
【0051】
なお、載置面21を平面視し、貫通孔24を対称の中心としたとき、ステージネジ孔25(第1ネジ孔)およびステージネジ孔27(第2ネジ孔)は、貫通孔24に対して互いに点対称な位置にあるのが好ましい。つまり、ステージネジ孔25、貫通孔24およびステージネジ孔27は、同一の直線上に位置しており、ステージネジ孔25と貫通孔24との距離と、ステージネジ孔27と貫通孔24との距離と、は等しくなっているのが好ましい。
【0052】
このような構成によれば、調整ネジ51の単位ねじ込み量で調整される傾斜角度と、調整ネジ53の単位ねじ込み量で調整される傾斜角度と、を等しくすることができる。これにより、光学部品等の傾斜角度を調整するときの傾斜ステージ1の操作性を高めることができる。
【0053】
同様に、貫通孔24を対称の中心としたとき、ステージネジ孔26およびステージネジ孔28も、互いに点対称な位置にあるのが好ましい。
【0054】
なお、調整ネジ51~54は、少なくとも2本あればよいが、
図1に示すように3本以上設けることにより、載置面21の傾斜方向および傾斜角度をより安定して保持することができる。
【0055】
また、調整ネジ51~54では、先端部516、526、536、546がベース部3の対向面31に当接している。「当接」とは、単に接している状態を指す。先端部516、526、536、546がベース部3の対向面31に当接することで、ベース部3に対するステージ部2の支持点を増やすことができる。これにより、ステージ部2を安定して固定することができる。また、調整ネジ51~54は、対向面31に拘束されることがなく、対向面31内の任意の位置に移動可能である。したがって、ステージ部2は、支柱ネジ41を回転軸として、ベース部3に対して相対的に回転することもできる。これにより、傾斜ステージ1では、Z軸まわりの全方向に向けて載置面21を傾ける微動に加え、Z軸まわりに載置面21を回転させる移動が可能になる。
【0056】
以上のように、本実施形態に係る傾斜ステージ1は、ステージ部2と、ベース部3と、調整ネジ51(第1調整ネジ)と、調整ネジ53(第2調整ネジ)と、支柱ネジ41と、を備える。ステージ部2は、載置面21、ならびに、載置面21に開口し、貫通する貫通孔24、載置面21に開口し、貫通するステージネジ孔25(第1ネジ孔)および載置面21に開口し、貫通するステージネジ孔27(第2ネジ孔)を有する。ベース部3は、ステージ部2に対向する対向面31、および、対向面31に開口するベースネジ孔34(第3ネジ孔)を有する。調整ネジ51は、先端部516(第1先端部)および基端部514(第1基端部)を有する。調整ネジ53は、先端部536(第2先端部)および基端部534(第2基端部)を有する。支柱ネジ41は、先端部416(第3先端部)および基端部414(第3基端部)を有する。
【0057】
そして、調整ネジ51では、基端部514がステージネジ孔25に螺合し、かつ、先端部516が対向面31に当接している。調整ネジ53では、基端部534がステージネジ孔27に螺合し、かつ、先端部536が対向面31に当接している。支柱ネジ41では、基端部414が貫通孔24に挿通され、かつ、先端部416がベースネジ孔34に螺合している。また、貫通孔24の内径φ24は、基端部414の外径φ414より大きい。
【0058】
このような構成によれば、支柱ネジ41がステージ部2を傾けるための支柱(基軸)として機能し、かつ、ステージ部2を固定する機能も有するため、傾斜ステージ1では、構造の簡素化が図られている。したがって、傾斜ステージ1は、小型化が容易である。
【0059】
また、調整ネジ51、53のねじ込み量によってステージ部2の傾斜方向および傾斜角度を調整することができる。このため、傾斜ステージ1によれば、載置面21に載置されている光学部品等の物体を、調整ネジ51、53の各進行方向とは異なる方向に移動させることができる。これにより、傾斜ステージ1が狭いスペースに置かれた場合でも、例えば載置面21側からZ軸方向に沿って作業者が手を伸ばし、調整ネジ51、53に対する作業を行うことができ、かつ、手を伸ばす方向とは異なる方向、例えばX軸方向やY軸方向に光学部品等を傾けることができる。その結果、光学部品等の物体を精度よく微動させることができ、かつ、小型で作業性に優れた傾斜ステージ1を実現することができる。
【0060】
また、傾斜ステージ1では、ベース部3とステージ部2との間で、接触面積が少なく抑えられている。具体的には、
図1に示す傾斜ステージ1の場合、1本の支柱ネジ41および4本の調整ネジ51~54のみが、接触部であるため、対向面31の面積に比べて接触面積を非常に小さくすることができる。これにより、ベース部3とステージ部2との間の熱抵抗を大きくすることができる。その結果、例えば光学部品のような熱に対する感受性が高い物体を載置面21に載置した場合でも、ベース部3からステージ部2への熱伝達を小さく抑えることができ、光学部品の熱による歪み等を少なくすることができる。
【0061】
なお、熱抵抗を大きくするという観点では、支柱ネジ41および調整ネジ51~54の構成材料を、熱伝導率の低い材料にするのが好ましい。熱伝導率の低い材料としては、例えば、セラミックス材料、ガラス材料、樹脂材料等が挙げられる。
【0062】
同様に、ワッシャー42の構成材料に、熱伝導率の低い材料を用いることで、熱抵抗を大きくすることができる。
【0063】
なお、傾斜ステージ1は、載置面21を傾ける目的のみで使用される必要はなく、例えば、前述したようにZ軸に沿って並進するZ軸ステージとして用いられてもよいし、Z軸まわりに回転する回転ステージとして用いられてもよい。
【0064】
1.2.傾斜ステージの使用方法
次に、傾斜ステージ1の使用方法について説明する。
【0065】
まず、ユーザーは、
図2に示すように、支柱ネジ41を緩める。これにより、ステージ部2を、Z軸まわりのいずれかの方向に向けて載置面21を傾けたり、Z軸に沿って並進させたり、Z軸まわりに回転させたりすることが可能になる。
【0066】
載置面21を傾ける場合には、調整ネジ51~54のねじ込み量を変えることにより、載置面21の傾斜方向と傾斜角度を調整する。
【0067】
載置面21の傾斜方向および傾斜角度が決まったら、支柱ネジ41を締める。これにより、コイルばね43が圧縮され、それに伴って、載置面21の姿勢を維持しながら、ステージ部2がベース部3に対して固定される。なお、支柱ネジ41は、コイルばね43の素線同士が互いに接触する状態になるまで締め付けることが好ましい。これにより、コイルばね43の状態が特に安定するとともに、コイルばね43が実質的に管体とみなすことができる状態になる。その結果、支柱ネジ41による押付力をほぼそのまま、ステージ部2の固定に利用することができ、特に安定した固定が可能になる。
【0068】
1.3.変形例
次に、第1実施形態の変形例に係る傾斜ステージについて説明する。
図6は、第1実施形態の変形例に係る傾斜ステージを示す断面図である。
【0069】
以下、変形例について説明するが、以下の説明では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、
図6において、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付している。
【0070】
図6に示す傾斜ステージ1は、ナット61、63およびコイルばね44が追加されていること以外、第1実施形態と同様である。
【0071】
すなわち、
図6に示す傾斜ステージ1は、ナット61、63およびコイルばね44を備える。なお、
図6は、支柱ネジ41を未だ締め付けていない状態を図示している。
【0072】
ナット61は、調整ネジ51に螺合している。そして、ナット61は、ステージ部2とベース部3との間に位置している。このナット61は、調整ネジ51のねじ込み量を調整した後、締め付けられる。これにより、調整ネジ51の調整後のねじ込み量を固定することができる。その結果、ねじ込み量が意図せず変化してしまうのを抑制することができる。
【0073】
同様に、ナット63は、調整ネジ53に螺合している。そして、ナット63は、ステージ部2とベース部3との間に位置している。ナット63を用いることにより、ナット61と同様、調整ネジ53の調整後のねじ込み量を固定することができる。その結果、ねじ込み量が意図せず変化してしまうのを抑制することができる。
【0074】
その他、調整ネジ52、54にも、図示しないナットが設けられていてもよい。また、ナット61、63は、いずれか一方が省略されていてもよい。
【0075】
コイルばね44は、支柱ネジ41に取り付けられている。そして、コイルばね44は、ステージ部2とベース部3との間に位置している。このコイルばね44は、ステージ部2とベース部3との間で反力を発生させ、ステージ部2を支柱ネジ41に押し付けるように作用する。このため、コイルばね43が圧縮し切った場合でも、さらに、ステージ部2の固定力を追加することができる。
【0076】
以上のように、本変形例に係る傾斜ステージ1は、調整ネジ51(第1調整ネジ)に螺合するナット61(第1ナット)および調整ネジ53(第2調整ネジ)に螺合するナット63(第2ナット)の少なくとも一方を備える。これにより、調整ネジ51、53のねじ込み量をナット61、63によって固定することができる。その結果、ねじ込み量が意図せず変化してしまうのを抑制することができる。
【0077】
なお、本変形例に係る傾斜ステージ1においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0078】
2.第2実施形態
次に、第2実施形態に係る傾斜ステージについて説明する。
【0079】
図7は、第2実施形態に係る傾斜ステージを示す斜視図である。
図8は、
図7に示す傾斜ステージの断面図である。
【0080】
以下、第2実施形態について説明するが、以下の説明では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、
図7および
図8において、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付している。
【0081】
第2実施形態は、載置面21における貫通孔やネジ孔の位置や数が異なること以外、第1実施形態と同様である。
【0082】
図7および
図8に示す傾斜ステージ1Aは、ステージ部2Aと、ベース部3Aと、を備える。
【0083】
ステージ部2Aは、載置面21を平面視したとき、略四角形をなす板状の部材である。ステージ部2Aは、貫通孔242、244、246を備える。これらの貫通孔242、244、246は、前述した貫通孔24と同様、ステージ部2Aを貫通している。そして、載置面21が有する4つの角部のうち、X軸マイナス側でかつY軸プラス側に位置する角部には、貫通孔242が設けられている。また、X軸プラス側でかつY軸マイナス側に位置する角部には、貫通孔244、246が設けられている。
【0084】
また、ステージ部2Aは、ステージネジ孔292、294、296を備える。これらのステージネジ孔292、294、296は、前述したステージネジ孔25~28と同様、ステージ部2を貫通し、内周面にはネジ溝が設けられている。そして、載置面21が有する4つの角部のうち、X軸マイナス側でかつY軸プラス側に位置する角部には、ステージネジ孔292、294が設けられている。また、X軸プラス側でかつY軸マイナス側に位置する角部には、ステージネジ孔296が設けられている。
【0085】
したがって、貫通孔242およびステージネジ孔292、294が設けられた角部と、貫通孔244、246およびステージネジ孔296が設けられた角部は、載置面21に引かれた1本の対角線の両側に位置している。そして、これらの角部同士の間に、光学部品93が載置されている。具体的には、ステージ部2Aの載置面21には、台座91、ホルダー92および光学部品93が載置されている。台座91は、ネジ912、914でステージ部2Aに固定されている。ホルダー92は、台座91に接着されており、光学部品93は、ホルダー92に接着されている。これにより、光学部品93がステージ部2Aに固定されている。光学部品93は、例えば反射面932を備えるミラーである。傾斜ステージ1Aによれば、反射面932の向きを微調整することができる。
【0086】
ベース部3Aは、ベースネジ孔342、344、346を備える。これらのベースネジ孔342、344、346は、前述したベースネジ孔34と同様、対向面31に開口し、内周面にはネジ溝が設けられている。
【0087】
図7に示す傾斜ステージ1Aは、支柱ネジ45、46、47、および、調整ネジ55、56、57を備える。支柱ネジ45~47は、前述した支柱ネジ41と同様の機能を有し、調整ネジ55~57は、前述した調整ネジ51~54と同様の機能を有する。
【0088】
支柱ネジ45は、頭部452と、基端部454および先端部456を含む本体部と、を備える。支柱ネジ46は、頭部462と、基端部464および先端部466を含む本体部と、を備える。支柱ネジ47は、頭部472と、基端部474および先端部476を含む本体部と、を備える。先端部456、466、476の各外周面には、ネジ溝が設けられている。これにより、支柱ネジ45、46、47は、ベースネジ孔342、344、346に螺合するようになっている。
【0089】
支柱ネジ45では、頭部452、基端部454および先端部456がこの順で並んでいれば、各部の長さや比は特に限定されない。支柱ネジ46、47でも同様である。
【0090】
また、前述した貫通孔242、244、246は、支柱ネジ45、46、47の本体部が挿通可能になっている。このため、貫通孔242、244、246の内径は、支柱ネジ45、46、47の本体部の外径より大きくなっている。これにより、支柱ネジ45、46、47と貫通孔242、244、246との間には隙間ができ、隙間の分だけ、ステージ部2Aの載置面21をベース部3Aの対向面31に対して傾けることが可能になる。
【0091】
調整ネジ55は、頭部552と、基端部554および先端部556を含む本体部と、を備える。調整ネジ56は、頭部562と、基端部564および先端部566を含む本体部と、を備える。調整ネジ57は、頭部572と、基端部574および先端部576を含む本体部と、を備える。基端部554、564、574の各外周面にはネジ溝が設けられている。これにより、調整ネジ55、56、57は、ステージネジ孔292、294、296に螺合するようになっている。また、先端部556、566、576は、ベース部3Aの対向面31に当接している。
【0092】
調整ネジ55では、頭部552、基端部554および先端部556がこの順で並んでいれば、各部の長さや比は特に限定されない。調整ネジ56、57でも同様である。
【0093】
傾斜ステージ1Aでは、支柱ネジ45、46、47を緩めることにより、ステージ部2Aの載置面21を傾けることができるようになる。そして、ベース部3Aの対向面31に対する載置面21の傾斜方向および傾斜角度は、調整ネジ55、56、57のねじ込み量に応じて微調整することができる。載置面21の傾斜方向および傾斜角度が決まったら、支柱ネジ45、46、47を締め付ける。これにより、ステージ部2Aが固定される。
【0094】
図7に示す傾斜ステージ1Aは、コイルばね432、434、436を備える。コイルばね432、434、436は、支柱ネジ45、46、47に挿通された状態で用いられる。支柱ネジ45、46、47の先端部456、466、476をベースネジ孔342、344、346に挿入することにより、コイルばね432、434、436が、支柱ネジ45、46、47とステージ部2Aとの間に挟まれた状態になる。このようなコイルばね432、434、436を設けることにより、支柱ネジ45、46、47の頭部452、462、472とステージ部2Aとの間にスペースがあっても、そのスペースをコイルばね432、434、436が埋めることによって、ステージ部2Aを強力に固定することができる。また、載置面21が傾いていても、コイルばね432、434、436が追従するので、ステージ部2Aをバランスよく固定することができる。
なお、傾斜ステージ1Aも、前述したワッシャー42を備えていてもよい。
【0095】
また、本実施形態では、載置面21を平面視したとき、ステージネジ孔292、294、296を結ぶ線分が二等辺三角形を形成している。このような配置にすることで、例えば、調整ネジ55、56と調整ネジ57との間のねじ込み量の差によって、載置面21に対する反射面932の仰角または俯角を微調整することができる。この場合、載置面21のうち、ステージネジ孔292が設けられている角部と、ステージネジ孔294、296が設けられている角部と、の間に光学部品93が設けられているのが好ましい。これにより、載置面21に対して反射面932の仰角を増やす方向にも、俯角を増やす方向にも、調整することが可能になる。
【0096】
さらに、本実施形態では、複数本の支柱ネジ45、46、47を備えることにより、第1実施形態に比べて、ステージ部2Aを固定する部位を増やすことができる。これにより、ステージ部2Aをより安定的に固定することができる。
以上のような第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0097】
3.第3実施形態
また、傾斜ステージ1Aと、載置面21に載置されている光学部品93と、で光学デバイス10が構成される。つまり、第3実施形態に係る光学デバイス10は、傾斜ステージ1Aと、光学部品93と、を備える。このような光学デバイス10は、光学部品93の光軸を微調整する機能を有し、かつ、傾斜ステージ1Aの構造が簡単であることから、光軸調整の作業性が良好で、かつ小型化が容易なものとなる。なお、光学部品93は、いかなる機能を持つ光学部品であってもよい。
【0098】
4.第4実施形態
図9は、第4実施形態に係るレーザー干渉計を示す模式図である。
【0099】
図9に示すレーザー干渉計100は、レーザー光源102(光源部)と、ビームスプリッター104、106、108と、ミラー110と、受光器112と、音響光学変調器AOMと、を備える。
【0100】
レーザー光源102は、周波数f0のレーザー光である出射光L1を出射する。出射光L1は、ビームスプリッター104、106を透過して、被測定物114で反射する。この反射光である物体光L3は、被測定物114の振動速度Vに応じてドップラーシフトを受けている。このため、物体光L3の周波数は、f0±fDとなる。この物体光L3は、ビームスプリッター106およびミラー110で順次反射し、ビームスプリッター108を透過して、受光器112で受光される。
【0101】
また、出射光L1の一部は、ビームスプリッター104で分岐し、音響光学変調器AOMに入射する。音響光学変調器AOMでは、出射光L1を周波数変調させ、周波数f0+fMの参照光L2を生成する。参照光L2は、ビームスプリッター108で反射し、受光器112で受光される。
【0102】
そして、受光器112では、物体光L3と参照光L2とを干渉させた、周波数fM±fDの干渉光L4を受光し、うなり信号を得る。そして、うなり信号から検出回路でドップラーシフトの周波数情報を取り出し、復調回路によって速度情報(振動速度V)を求めることができる。
【0103】
このようなレーザー干渉計100では、一例として、ミラー110が光学デバイス10で構成されている。これにより、ミラー110では、光学デバイス10が奏する効果により、物体光L3の反射方向を容易に微調整することができる。したがって、光軸調整の作業性に優れたレーザー干渉計100を実現することができる。また、光学デバイス10は小型化が図られているため、レーザー干渉計100の小型化を容易に図ることができる。
【0104】
なお、光学デバイス10は、ミラー110以外の光学要素で用いられていてもよい。また、音響光学変調器AOMに代えて、圧電素子等の振動素子を備える振動子型光変調器を用いるようにしてもよい。
【0105】
以上のように、本実施形態に係るレーザー干渉計100は、レーザー光を射出するレーザー光源102(光源部)と、光学デバイス10と、を備える。このようなレーザー干渉計100は、小型でかつメンテナンス性に優れる。
【0106】
以上、本発明の傾斜ステージ、光学デバイスおよびレーザー干渉計を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、前記実施形態の各部が同様の機能を有する任意の構成のものに置換されたものであってもよく、前記実施形態に任意の構成物が付加されたものであってもよい。
【符号の説明】
【0107】
1…傾斜ステージ、1A…傾斜ステージ、2…ステージ部、2A…ステージ部、3…ベース部、3A…ベース部、10…光学デバイス、21…載置面、22…裏面、24…貫通孔、25…ステージネジ孔、26…ステージネジ孔、27…ステージネジ孔、28…ステージネジ孔、31…対向面、32…裏面、34…ベースネジ孔、41…支柱ネジ、42…ワッシャー、43…コイルばね、44…コイルばね、45…支柱ネジ、46…支柱ネジ、47…支柱ネジ、51…調整ネジ、52…調整ネジ、53…調整ネジ、54…調整ネジ、55…調整ネジ、56…調整ネジ、57…調整ネジ、61…ナット、63…ナット、91…台座、92…ホルダー、93…光学部品、100…レーザー干渉計、102…レーザー光源、104…ビームスプリッター、106…ビームスプリッター、108…ビームスプリッター、110…ミラー、112…受光器、114…被測定物、242…貫通孔、244…貫通孔、246…貫通孔、292…ステージネジ孔、294…ステージネジ孔、296…ステージネジ孔、342…ベースネジ孔、344…ベースネジ孔、346…ベースネジ孔、412…頭部、414…基端部、416…先端部、432…コイルばね、434…コイルばね、436…コイルばね、452…頭部、454…基端部、456…先端部、462…頭部、464…基端部、466…先端部、472…頭部、474…基端部、476…先端部、512…頭部、514…基端部、516…先端部、522…頭部、524…基端部、526…先端部、532…頭部、534…基端部、536…先端部、542…頭部、544…基端部、546…先端部、552…頭部、554…基端部、556…先端部、562…頭部、564…基端部、566…先端部、572…頭部、574…基端部、576…先端部、912…ネジ、914…ネジ、932…反射面、AOM…音響光学変調器、L1…出射光、L2…参照光、L3…物体光、L4…干渉光、V…振動速度、f0…周波数、fD…周波数、fM…周波数、φ24…内径、φ412…外径、φ414…外径、φ42…内径、φ43…外径