(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】清掃ユニット、液体吐出装置および清掃ユニットの交換方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
B41J2/165 301
(21)【出願番号】P 2021022747
(22)【出願日】2021-02-16
【審査請求日】2023-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 和利
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-063115(JP,A)
【文献】特開2014-172239(JP,A)
【文献】特開平05-254137(JP,A)
【文献】特開平06-079880(JP,A)
【文献】特開昭57-061574(JP,A)
【文献】実開平04-050234(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 - 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する吐出ヘッドを清掃するための清掃部材と、
前記吐出ヘッドが対面可能な位置に配置される保持部に着脱可能に装着されるホルダーと、
を備え、
前記清掃部材は、液体を吸収可能な吸収体が弾性体に巻かれた状態で、前記ホルダーに保持され
、
前記保持部および前記ホルダーのうち少なくとも一方が磁石を有し、
前記保持部および前記ホルダーのうち少なくとも他方が前記磁石に引き寄せられる金属を有することを特徴とする、清掃ユニット。
【請求項2】
前記清掃部材が、前記弾性体に少なくとも一部が接着された前記吸収体を有して、前記ホルダーに着脱可能に装着されることを特徴とする、
請求項1に記載の清掃ユニット。
【請求項3】
前記ホルダーが、前記弾性体に巻かれた前記吸収体を押さえるように構成された、押さえ部材を有することを特徴とする、
請求項1に記載の清掃ユニット。
【請求項4】
前記ホルダーが、前記清掃部材を収容する収容部と、前記収容部から突出する把持部と、を有することを特徴とする、
請求項1から請求項
3のうち何れか一項に記載の清掃ユニット。
【請求項5】
前記弾性体が、直方体であって、天面と、前記天面と交差する第1面と、前記第1面の反対側の第2面とを有し、
前記吸収体が、少なくとも、前記天面、前記第1面および前記第2面を覆うように、前記弾性体に巻かれることを特徴とする、
請求項1から請求項
4のうち何れか一項に記載の清掃ユニット。
【請求項6】
液体を吐出するように構成された吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドが対面可能な位置に配置される保持部と、
前記保持部に対して着脱可能に装着される請求項1から請求項
5のうち何れか一項に記載の清掃ユニットと、
を備えることを特徴とする、液体吐出装置。
【請求項7】
前記吐出ヘッドが走査方向に沿って前記保持部に対して相対移動するように構成され、
前記吐出ヘッドおよび前記保持部の少なくとも一方を前記走査方向と交差する方向に移動させる移動機構をさらに備えることを特徴とする、
請求項
6に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
液体吐出装置における清掃ユニットの交換方法であって、
前記液体吐出装置は、
液体を吐出するように構成された吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドが対面可能な位置に配置される保持部と、を有し、
前記清掃ユニットは、
前記吐出ヘッドを清掃するための清掃部材と、
前記保持部に着脱可能に装着されるホルダーであって、前記清掃部材を保持するホルダーと、を有し、
前記保持部および前記ホルダーは、
両方のうち少なくとも一方が磁石を有し、
両方のうち少なくとも他方が前記磁石に引き寄せられる金属を有し、
前記交換方法は、
前記吐出ヘッドを前記保持部と対面しない位置に移動させることと、
前記清掃ユニットを前記保持部から取り外すことと、
交換用の清掃ユニットを前記保持部に取り付けることと、
を含むことを特徴とする清掃ユニットの交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、清掃ユニット、液体吐出装置および清掃ユニットの交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、吐出面を有するプリントヘッドと、吐出面を払拭するためのウレタン製の清掃部材と、清掃部材を固定するホルダーと、を備えるインクジェットプリンターを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プリントヘッドに直接接触する清掃部材は、取り付け時に、正確に位置合わせする必要がある。そのため、清掃部材を交換するときに、位置合わせに手間がかかったり、位置がずれたりする虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様にかかる清掃ユニットは、液体を吐出する吐出ヘッドを清掃するための清掃部材と、前記吐出ヘッドが対面可能な位置に配置される保持部に着脱可能に装着されるホルダーと、を備え、前記清掃部材は、液体を吸収可能な吸収体が弾性体に巻かれた状態で、前記ホルダーに保持される。
【0006】
本開示の一態様にかかる液体吐出装置は、液体を吐出するように構成された吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドが対面可能な位置に配置される保持部と、前記保持部に対して着脱可能に装着される上記清掃ユニットと、を備える。
【0007】
本開示の一態様にかかる液体吐出装置における清掃ユニットの交換方法において、前記液体吐出装置は、液体を吐出するように構成された吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドが対面可能な位置に配置される保持部と、を有し、前記清掃ユニットは、前記吐出ヘッドを清掃するための清掃部材と、前記保持部に着脱可能に装着されるホルダーであって、前記清掃部材を保持するホルダーと、を有する。前記交換方法は、前記吐出ヘッドを前記保持部と対面しない位置に移動させることと、前記清掃ユニットを前記保持部から取り外すことと、交換用の清掃ユニットを前記保持部に取り付けることと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】実施形態に係る清掃ユニットおよび保持部の斜視図。
【
図3】
図2の清掃ユニットおよび保持部の分解斜視図。
【
図4】
図2の清掃ユニットによる清掃について説明する図。
【
図5】
図2の清掃ユニットを使用して行う清掃処理のフローチャート。
【
図6】
図4の清掃ユニットが吐出ヘッドの第1側面に接触した状態を示す図。
【
図7】
図6の清掃ユニットが吐出ヘッドの吐出面に接触した状態を示す図。
【
図8】
図7の清掃ユニットが吐出ヘッドの第2側面に接触した状態を示す図。
【
図9】第1変更例の清掃ユニットおよび保持部を示す斜視図。
【
図11】
図10の清掃ユニットから吸収体を取り外した状態を示す斜視図。
【
図13】
図12の清掃ユニットにおける、吸収体の取り外しまたは取り付けの様子を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、実施形態に係る清掃ユニット50、液体吐出装置11、液体吐出装置11のメンテナンス方法、および、清掃ユニット50の交換方法について説明する。液体吐出装置11は、例えば、媒体10に対して印刷を行うインクジェット式のプリンターである。媒体10は、例えば用紙である。
【0010】
[液体吐出装置の全体構成]
図1に示すように、液体吐出装置11は、外装ケース12と、液体を吐出する1以上の吐出ヘッド22と、メンテナンス装置40と、を備える。液体吐出装置11が複数の吐出ヘッド22を有する場合、液体吐出装置11は、複数の吐出ヘッド22に個別に対応するように、複数のメンテナンス装置40を有する。
【0011】
液体吐出装置11は、外装ケース12を支持する1以上の支持脚部12aを有してもよい。外装ケース12は、その内部へのアクセスを許容する開閉部12bを有してもよい。使用者は、開閉部12bを開いて、媒体10のつまりの解消またはメンテナンス装置40の管理など、液体吐出装置11内のメンテナンスを行うことができる。
【0012】
液体吐出装置11は、吐出ヘッド22を保持するキャリッジ14と、媒体10を支持する支持台15と、を備えてもよい。媒体10は、図示しない搬送装置により、支持台15上に搬送され、その後、支持台15上から外装ケース12外に排出される。
【0013】
液体吐出装置11は、1以上のガイド軸16と、ガイド軸16を支持する支持機構17と、駆動機構18と、を備えてもよい。支持機構17は、ガイド軸16を昇降可能に支持してもよい。駆動機構18の駆動により、キャリッジ14はガイド軸16に沿って往復移動する。
【0014】
本実施形態において、キャリッジ14は、X軸に沿う走査方向に沿って移動する。媒体10は、Y軸に沿う搬送方向に搬送される。X軸、Y軸、およびZ軸は、互いに交差(例えば、直交)する。Z軸に沿う方向は、例えば鉛直方向であってもよいし、吐出ヘッド22が液体を吐出する方向であってもよい。
【0015】
液体吐出装置11は、操作パネル19と、コントローラー100とを備えてもよい。操作パネル19は、例えば、タッチパネル式のディスプレイ、キー、ボタン、またはスイッチを含む。コントローラー100は、操作パネル19を介して使用者の操作内容を取得することができる。コントローラー100は、操作パネル19のディスプレイに各種の情報を表示することができる。
【0016】
キャリッジ14は、1以上の液体収容体20を保持する。液体収容体20は、例えば液体を収容するタンク、カートリッジまたはパックである。液体収容体20は、キャリッジ14に着脱可能に装着されてもよい。複数の液体収容体20は、異なる種類の液体、例えば色が異なるインクを収容してもよい。液体収容体20には、別の液体収容体21から、供給チューブ(図示略)を通じて、液体が供給されるようにしてもよい。別の液体収容体21は、外装ケース12の内部または外部に配置される。
【0017】
吐出ヘッド22は、液体の吐出口である1以上のノズル23と、ノズル23が開口する吐出面24とを有する。吐出ヘッド22は、X軸と交差する2つの側面25,26を有してもよい。側面25,26はX軸と交差する面である。液体吐出装置11は、吐出ヘッド22内の液体を加圧する加圧機構(図示略)を有してもよい。キャリッジ14は、吐出ヘッド22をY軸、すなわち搬送方向に沿って移動させる移動機構27を有してもよい。
【0018】
[メンテナンス装置]
メンテナンス装置40は、各種のメンテナンス動作を行うように構成される。メンテナンス装置40は、外装ケース12の一方(
図1では右側)の側壁と支持台15との間に配置されている。メンテナンス装置40は、清掃ユニット50と、清掃ユニット50を保持する保持部60と、を備える。
【0019】
清掃ユニット50は、吐出ヘッド22を清掃するための清掃部材51と、保持部60に着脱可能に装着されるホルダー52と、を備える。保持部60は、吐出ヘッド22、特に吐出面24が対面可能な位置に配置される。例えば、保持部60は、平面視においてX軸に沿うキャリッジ14の移動経路と重なるように配置される。
【0020】
メンテナンス装置40は、さらに、吸引キャップ41、ワイパー42、または保湿キャップ43のうち少なくとも1つを有してもよい。ワイパー42は、例えば、板状の弾性体である。メンテナンス装置40は、吸引キャップ41とともに、吸引ポンプ44を備える。清掃ユニット50、保湿キャップ43、ワイパー42、吸引キャップ41、および支持台15は、走査方向に沿ってこの順に並んでもよい。
【0021】
メンテナンス装置40は、吸引キャップ41、ワイパー42、および保湿キャップ43をそれぞれ昇降させる第1,第2および第3昇降装置61,62,63を備えてもよい。昇降装置61,62,63は、例えば、ソレノイドまたはモーターの駆動力、あるいは、ばねなどの弾性部材の付勢力により、駆動される。第3昇降装置63は、保湿キャップ43とともに清掃ユニット50を昇降させてもよい。
【0022】
吐出面24が吸引キャップ41と対面するときのキャリッジ14の位置がクリーニング位置である。キャリッジ14がクリーニング位置にあるときに、第1昇降装置61の駆動により吸引キャップ41が上昇すると、吸引キャップ41がノズル23を囲むように吐出面24に接触する。この状態で吸引ポンプ44が駆動すると、ノズル23を通じて吐出ヘッド25内の液体が吸引キャップ41内に排出される。このメンテナンス動作を吸引クリーニングという。加圧機構(図示略)が駆動すると、ノズル23から液体が排出される。このメンテナンス動作を加圧クリーニングという。
【0023】
クリーニング位置において、吐出ヘッド22からキャップ43内に向けて液体を吐出するメンテナンス動作をフラッシングという。液体吐出装置11は、ノズル23の目詰まりを予防または解消するために、液体に含まれる気泡または異物が排出するクリーニングおよびフラッシングを行う。
【0024】
吐出面24が保湿キャップ43と対面するときのキャリッジ14の位置がホーム位置である。キャリッジ14がホーム位置にあるときに、第3昇降装置63の駆動により保湿キャップ43が上昇すると、保湿キャップ43がノズル23を囲むように吐出面24に接触する。これをキャッピングという。液体吐出装置11が休止または停止される時には、ノズル23の乾燥を抑制するために、キャッピングが行われる。
【0025】
第2昇降装置62の駆動により、ワイパー42は、吐出面24に接触可能なワイピング位置と、吐出面24に接触しない退避位置とに移動する。ワイパー42がワイピング位置にあるときに、キャリッジ14がクリーニング位置からホーム位置に向けて移動すると、ワイパー42が吐出面24を払拭する。このメンテナンス動作をワイピングという。
【0026】
[制御機構]
コントローラー100は、処理回路101、記憶部102、および通信部103を備えてもよい。記憶部102は、例えば、RAM及びROMのような不揮発性のメモリーを含む。記憶部102は、各種プログラムおよびプロフラムを実行する際に使用される情報、例えば各種の閾値を記憶する。液体吐出装置11には、各種のリムーバブルメモリーが装着されてもよい。
【0027】
処理回路101は、本開示に係るソフトウェア処理を実行するように構成される。処理回路101は、ソフトウェア処理の少なくとも一部を処理する専用のハードウェア回路(たとえばASIC等)を備えてもよい。すなわち、ソフトウェア処理は、1または複数のソフトウェア処理回路および1または複数の専用のハードウェア回路の少なくとも一方を備えた処理回路(processing circuitry)によって実行されればよい。
【0028】
通信部103は、各種のリムーバブルメモリーおよび通信インターフェース回路を含んでもよい。通信インターフェース回路は、有線または無線で液体吐出装置11に接続された他の装置と各種の通信プロトコルに従って通信するように構成される。処理回路101は、通信部103を介して、他の装置(例えば、使用者のコンピューター)から印刷用のデータである印刷ジョブを取得することができる。処理回路101は、記憶部102に記憶されたプログラムに基づいて、液体の吐出動作および各種のメンテナンス動作を実行させる。
【0029】
処理回路101は、例えば操作パネル19を通じて入力された指示に基づいて、液体の吐出動作を行わせる。より詳細には、支持台15上に搬送された媒体10に対して、キャリッジ14を往復移動させながら、吐出ヘッド22から液滴を吐出させる。これにより、液体吐出装置11がプリンターである場合には、印刷が行われる。印刷のために液滴の吐出が行われる支持台15上の領域を印刷領域という。
【0030】
処理回路101は、例えば、液体の吐出(印刷動作)が一定時間(例えば1時間)経過する毎に、吸引クリーニングを含む一連のメンテナンス動作を行わせる。これに加えて、処理回路101は、液体の吐出が終了して、液体吐出装置11が休止または停止する前にも、一連のメンテナンス動作を行わせてもよい。
【0031】
一連のメンテナンス動作には、例えば、吸引クリーニング、ワイピング、フラッシング、および清掃が含まれる。清掃は、清掃ユニット50により吐出ヘッド22に付着した液体および異物を除去するメンテナンス動作である。一連のメンテナンス動作の内容は、使用者の指示またはプログラムに応じて変更することができる。使用者の指示またはプログラムに応じて各メンテナンス動作を個別に行うこともできる。
【0032】
吸引クリーニングの後には、吐出面24に液滴が付着していることがある。そのため、処理回路101は、吸引クリーニングの後には、ワイピングを行ってもよい。ワイピングにより、吐出面24に付着した液滴および異物(例えば、紙粉)がノズル23付近から掻き取られる。ワイピングで掻き取られた異物を含む液体は、側面25,26付近に残ることがある。
【0033】
ワイピングの後には、ノズル23内のメニスカスが乱れていることがある。そのため、ワイピングの後には、ノズル23から液滴を吐出するフラッシングを行ってもよい。さらに、処理回路101は、ワイピングまたはフラッシングの後に、清掃ユニット50による吐出ヘッド22の清掃を行ってもよい。ワイピング後に清掃を行う場合、清掃はノズル23の近傍を避けて行ってもよい。ノズル23近傍は、ワイピングにより液体および異物が除去されているためである。
【0034】
[清掃ユニット]
図2に示すように、清掃部材51は、弾性体53と、液体を吸収可能な吸収体70とを有してもよい。弾性体53は、例えばウレタンフォームまたはシリコンゴムのゴムスポンジであってもよいし、柔軟なソリットゴム(例えば、シリコンゴム)であってもよい。清掃部材51は、ホルダー52に着脱可能に装着されてもよい。例えば、清掃部材51は、シート状の吸収体70が弾性体53に巻かれた状態で、ホルダー52に保持される。
【0035】
図3に示すように、保持部60は、ホルダー52が装着される装着凹部64を有してもよい。装着凹部64は、ホルダー52の装着方向に延びる4つの内壁面64aを有する。よって、ホルダー52は、この内壁面64aに案内されて、容易に保持部60に装着される。
【0036】
保持部60およびホルダー52の少なくとも一方(本実施形態では保持部60およびホルダー52の両方)は、金属製、例えば鉄またはアルミ製である。保持部60およびホルダー52のうち少なくとも他方は磁石65を有してもよい。一例では、保持部60は、装着凹部64の内底面64bに埋め込まれた磁石65を有する。
【0037】
シート状の吸収体70は、少なくとも一部が弾性体53に接着されていてもよい。すなわち、清掃部材51は、弾性体53に少なくとも一部が接着された吸収体70を有して、ホルダー52に着脱可能に装着されてもよい。接着には、例えば、両面テープまたは接着剤による接着、あるいは溶着が含まれる。吸収体70は、その一部、例えば両端のみが弾性体53に接着されていてもよいし、その全体が弾性体53に接着されていてもよい。
【0038】
吸収体70は、例えば、清掃性または吸収性に優れた布または紙である。布は、不織布または織布であってもよく、例えば、ポリエステル、ナイロンまたは綿の織布であってもよい。吸収体70は、例えばトレシー(登録商標)のような、極細繊維からなる厚手の織布であってもよい。
【0039】
弾性体53は、例えば直方体であって、天面54と、天面54と交差(直交)する第1面55と、第1面55の反対側の第2面56とを有してもよい。清掃部材51がホルダー52に装着されたときに、天面54はホルダー52から離れた位置に配置される。
【0040】
吸収体70は、少なくとも、天面54、第1面55および第2面56を覆うように、弾性体53に巻かれるとよい。一例の吸収体70は、面54,55,56に加えて、天面54の反対側の底面53aにも巻かれている。吸収体70の両端は、互いに重ならないように、第2面56に接着されてもよい。弾性体53の前面53bおよび背面53c(Y軸と交差する2面)は、吸収体70で覆われることなく、露出していてもよい。弾性体53に巻かれた吸収体70の外面において、天面54、第1面55および第2面56と重なる領域が、それぞれ、頂部清掃面74、第1清掃面75および第2清掃面76である。
【0041】
ホルダー52は、清掃部材51を収容する箱状の収容部57と、収容部57から突出する把持部58と、を有してもよい。把持部58は、ホルダー52の長手方向に延びる側面から突出していてもよい。使用者が清掃部材51を交換する際には、使用者は把持部58を把持することができる。
【0042】
[清掃ユニットによる吐出ヘッドの清掃]
図4に示すように、保持部60は、清掃ユニット50を昇降させるように構成された昇降機構67を備えてもよい。昇降機構67は、例えば、ソレノイドまたはモーターの駆動力、あるいは、ばねなどの弾性部材の付勢力により、清掃ユニット50を昇降させる。
【0043】
昇降機構67は、清掃ユニット50を昇降させることにより、頂部清掃面74の高さを、基準レベルL0、上昇レベルLu、または下降レベルLdに変化させる。上昇レベルLuは基準レベルL0より高く、基準レベルL0は下降レベルLdより高い。基準レベルL0は頂部清掃面74で吐出面24を清掃するときの高さである。上昇レベルLuは清掃面75,76でそれぞれ側面25,26を清掃するときの高さである。下降レベルLdは、頂部清掃面74が吐出ヘッド22に接触しない高さである。
【0044】
吐出ヘッド22は、キャリッジ14の移動に伴って、清掃部材51に対して走査方向に相対移動可能に構成されている。清掃時の吐出ヘッド22の移動方向Dcを
図4に白抜き矢印で示す。第1清掃位置P1および第2清掃位置P2は、移動方向Dcにおける位置である。頂部清掃面74の高さが上昇レベルLuのときに、第1側面25は第1清掃位置P1において第1清掃面75と接触する。同じく頂部清掃面74の高さが上昇レベルLuのときに、第2側面26は第2清掃位置P2において第2清掃面76と接触する。
【0045】
吐出ヘッド22および保持部60の少なくとも一方は、走査方向と交差する方向(搬送方向)に沿って移動可能に構成されていてもよい。一例では、吐出ヘッド22は、移動機構27の駆動により、Y軸に沿って往復移動するように構成されている。清掃部材51が吐出ヘッド22に接触した状態で吐出ヘッド22または保持部60が往復移動することを、往復拭きという。往復拭きにより、吐出ヘッド22を吸収体70で擦ることができる。
【0046】
ワイピングの後に清掃を行う場合、移動方向Dcに沿う吐出面24の清掃距離は、第1距離D1および第3距離D3である。第1距離D1は第3距離D3と等しくてもよい。第2距離D2は、ノズル23を含む領域の移動方向Dcに沿う長さである。このノズル23およびその周辺を含む領域をノズル領域という。第2距離D2は、第1距離D1および第3距離D3の各々より長くてもよい。
【0047】
距離D1,D2,D2を加算すると、吐出面24の移動方向Dcに沿う長さになる。吐出面24において、第1側面25から第1距離D1の範囲を、第1端部領域(
図4では右端領域)といい、第2側面26から第3距離D3の範囲を、第2端部領域(
図4では左端領域)という。距離D1,D3の各々は、頂部清掃面74の移動方向Dcに沿う長さより短くてもよい。この場合、吐出ヘッド22が移動方向Dcに移動しなくても、清掃部材51によって第1および第2端部領域の各々を往復拭きすることができる。
【0048】
[清掃処理]
図5に、吐出ヘッド22の清掃処理のフローを示す。清掃処理に係る動作は、処理回路101の制御に基づいて、上述した各種の機構または装置により実行される。
【0049】
まず、ステップS11では、吐出ヘッド22が、第1側面25が第1清掃位置P1に到達するまで、移動方向Dcに移動する。
ステップS12では、
図6に示すように、清掃部材51が上昇レベルLuまで上昇する。これにより、第1清掃面75が第1側面25に接触する。続くステップS13では、第1清掃面75が第1側面25をN1回(例えば2回)、往復拭きする。ステップS12,S13により、第1側面25が清掃される。
【0050】
ステップS14では、清掃部材51が基準レベルL0まで下降する。ステップS15では、
図7に示すように、吐出ヘッド22が、第1距離D1だけ、移動方向Dcに移動する。この移動の間、頂部清掃面74は吐出面24に接触している。続くステップS16では、頂部清掃面74が吐出面24の第1端部領域をN2回(例えば5回)往復拭きする。ステップS15,S16により、第1端部領域が清掃される。
【0051】
ステップS17では、清掃部材51が下降レベルLdまで下降する。これにより、清掃部材51は吐出ヘッド22から離れる。ステップS18では、吐出ヘッド22が、第2距離D2だけ、移動方向Dcに移動する。これにより、清掃部材51は、ノズル領域を清掃することなく、通過する。
【0052】
ステップS19では、清掃部材51が基準レベルL0まで上昇する。これにより、頂部清掃面74が吐出面24の第2端部領域に接触する。続くステップS20では、頂部清掃面74が第2端部領域をN2回(例えば5回)往復拭きする。第2端部領域を往復拭きする回数は、第1端部領域を往復拭きする回数と異なっていてもよい。ステップS19,S20により、吐出面24の第2端部領域が清掃される。
【0053】
ステップS21では、吐出ヘッド22が、第3距離D3だけ、移動方向Dcに移動する。これにより、第2側面26が第2清掃位置P2に到達する。ステップS22では、
図8に示すように、清掃部材51が上昇レベルLuまで上昇する。これにより、第2清掃面76が第2側面26に接触する。
【0054】
ステップS23では、第2清掃面76が第2側面26をN3回(例えば2回)、往復拭きする。ステップS23,S24により、第2側面26が清掃される。吐出面24の往復拭きの回数N2は、側面25,26の往復拭きの回数N1,N3よりも多くてもよい。回数N3は、回数N1と同じでもよいし、異なっていてもよい。ステップS24では、清掃部材51が下降レベルLdまで下降する。これにより、清掃部材51は吐出ヘッド22から離れて、清掃処理が終了する。
【0055】
清掃処理の後に液体の吐出処理(印刷処理)が予定されている場合には、吐出ヘッド22は印刷領域に移動する。清掃処理の後に印刷処理が予定されていない場合、吐出ヘッド22がホームポジションに移動して、キャッピングが行われる。吐出ヘッド22を清掃した後にキャッピングを行うと、液体吐出装置11の停止中に吐出ヘッド22に付着した液体が固化することが抑制される。
【0056】
本実施形態の清掃ユニット50の作用を説明する。
[清掃ユニットの交換]
使用者は、吸収体70が汚れると、清掃ユニット50を交換することができる。清掃ユニット50を交換するときには、まず、処理回路101の制御により、吐出ヘッド22を保持部60と対面しない位置に移動させる。この移動の前、後、または同時に、使用者は開閉部12bを開く。開閉部12bは、外装ケース12のどの位置に配置してもよいが、開閉部12bの近くに把持部58を配置するとよい。
【0057】
続いて、使用者は、清掃ユニット50を保持部60から取り外す。このとき、使用者は、把持部58を把持して、ホルダー52ごと清掃部材51を取り外す。続いて、使用者は、交換用の清掃ユニット50を保持部60に取り付ける。これにより、清掃ユニット50の交換が完了する。
【0058】
こうした交換に備えて、使用者は、予め、新しい複数の清掃ユニット50を用意しておいてもよい。そうすると、交換にかかる時間が短縮されるので、吐出処理の中断時間を短くして生産性を高めることが可能になる。
【0059】
[清掃部材の交換]
清掃ユニット50は、吸収体70が弾性体53と一体化された清掃部材51を有する。そのため、ホルダー52から清掃部材51を取り出し、その後新しい清掃部材51を取り付けるだけで、清掃部材51を交換することができる。
【0060】
仮に、吸収体であるロールシートを用いて吐出ヘッド22を清掃する場合、交換用のロールシートを巻き出したり送り出したりする機構を設ける必要がある。そのため、清掃のための装置が大型化する。これに対して、清掃ユニット50は、交換用の吸収体70を含まないので、サイズが小さい。また、清掃ユニット50はサイズが小さく、構成要素が少ないので、例えば公差により位置ずれが生じたとしても、影響が小さい。
【0061】
本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)把持部58を持ってホルダー52を保持部60に嵌め込むだけで、液体吐出装置11への清掃ユニット50の取り付けが完了する。よって、使用者は、汚れた清掃部材51を直接触ることなく、また、位置決めに手間取ることなく、清掃ユニット50を容易に交換することができる。
【0062】
(2)清掃部材51が吐出ヘッド22に接触する時には、弾性体53がクッションになることで、吐出ヘッド22に過度の負荷がかからない。よって、吐出ヘッド22に傷がつきにくい。
【0063】
(3)シート状の吸収体70は、弾性体53に巻かれている。そのため、吸収体70の撓みを抑制しつつ、吸収体70を吐出ヘッド22に面接触させることができる。
(4)弾性体53は吸収体70が巻かれていない2面(前面53bおよび背面53c)を有する。そのため、使用者は、この2面をつまむことにより、汚れた吸収体70に触れることなく、清掃部材51をホルダー52から取り外すことができる。
【0064】
(5)清掃部材51は、三面(頂部清掃面74、第1清掃面75および第2清掃面76)を有するので、吐出面24、側面25,26をそれぞれ別の面で清掃することができる。よって、ある面から除去した汚れを別の面に付着させることがない。
【0065】
(6)吸収体70により、吐出ヘッド22に付着した液体を吸収することができる。さらに、吐出ヘッド22を往復拭きすることにより、吐出ヘッド22に固着した異物も除去することができる。
【0066】
(7)ホルダー52は磁力によって保持部60に吸着されるので、簡易な構成で保持部60に着脱させることができる。また、使用者は、磁力で引き寄せられた金属が磁石65にぶつかるクリック音によって、ホルダー52の装着完了を知覚することができる。
【0067】
上記の実施形態は以下に示す変更例のように変更してもよい。また、それらの実施形態に含まれる構成と下記変更例に含まれる構成とを任意に組み合わせてもよいし、下記変更例に含まれる構成同士を任意に組み合わせてもよい。
【0068】
[第1変更例]
図9~
図11に示す第1変更例のように、保持部60は清掃ユニット50に加えて、1以上の保湿キャップ43を保持してもよい。この場合、第3昇降装置63または昇降機構67のうち一方を設けなくてもよい。保持部60は、清掃ユニット50が装着される位置に、磁石65が埋設された装着板66を有してもよい。保持部60は金属製であってもよい。
【0069】
図10に示すように、ホルダー52は、弾性体53に巻かれた吸収体70を押さえるように構成された、押さえ部材80をさらに備えてもよい。ホルダー52および押さえ部材80は共に板状であり、互いの間に清掃部材51を挟むように構成される。この場合、吸収体70は弾性体53に接着されていなくてもよい。
【0070】
押さえ部材80は、回動軸81を中心に回動可能にホルダー52に取り付けられてもよい。ホルダー52は、長手方向の一端から突出する把持部58を有してもよい。押さえ部材80は、ホルダー52に係合可能な係合部82を有してもよい。
【0071】
図11に示すように、ホルダー52は、係合部82と係合する受け部91を有してもよい。ホルダー52は、保持部60への装着時に磁石65と対向するように配置された金属板92を有してもよい。ホルダー52は、その全体が金属製であってもよい。ホルダー52は、装着板66に係合する1以上(例えば2つ)の脚部93を有してもよい。脚部93および装着板66の各々は、ホルダー52の装着方向に延びる面を有する。
【0072】
ホルダー52は、弾性体53が固定される回動部材94を有してもよい。弾性体53の底面53aは、回動部材94に固定されていてもよい。弾性体53および回動部材94は、Z軸に沿ってこの順に並んでいる。この場合、吸収体70は、天面54、第1面55および第2面56の三面を覆うように、弾性体53に巻かれる。
【0073】
回動部材94は、ホルダー52とは別体であって、回動軸81を中心に回動可能であってもよい。一体化された弾性体53および回動部材94は、押さえ部材80とホルダー52との間に挟まれるように構成されてもよい。
【0074】
押さえ部材80を回動させて開くと、弾性体53に対する吸収体70の取り付けおよび取り外しが可能になる。このとき、回動部材94も回動させると、面55,56がそれぞれホルダー52および押さえ部材80から離れる。そのため、吸収体70の着脱がしやすくなる。
【0075】
吸収体70は、弾性体53に巻かれた状態では、第1清掃面75と面一の部分が回動部材94とホルダー52との間に挟まれ、第2清掃面76と面一の部分が回動部材94と押さえ部材80との間に挟まれる。この吸収体70の両端は、回動部材94に沿って延ばしておくことができる。そのため、弾性体53に巻き付ける吸収体70の長さを厳密に設定する必要がない。
【0076】
第1変更例のように、弾性体53をホルダー52に一体化して、吸収体70のみを交換するようにすれば、弾性体53を繰り返し利用することができる。よって、交換に伴って生じる廃棄物は吸収体70のみである。弾性体53は、単体で、または回動部材94とともに、ホルダー52に対して着脱可能であってもよい。この場合、吸収体70と弾性体53とは、異なる頻度で交換することができる。
【0077】
[第2変更例]
図12~
図14に示す第2変更例のように、ホルダー52は、吸収体70が巻かれた弾性体53を挟む一対の押さえ部材80を有してもよい。一対の押さえ部材80の基端には、押さえ部材80を回動させるための回動軸を設けてもよい。第2変更例の吸収体70は、弾性体53に接着されていなくてもよい。弾性体53は、ホルダー52に固定されていてもよいし、固定されていなくてもよい。
【0078】
図13および
図14に示すように、一対の押さえ部材80は、互いに相対移動することにより開閉する。押さえ部材80が開くと、吸収体70は弾性体53から取り外すことができるようになる。使用済みの吸収体70を取り外した後には、交換用の吸収体70を弾性体53に巻いて、押さえ部材80を閉じる。これにより、吸収体70の交換が完了する。
【0079】
押さえ部材80は、互いに向き合う位置に、ぎざぎざの滑り止め83を有してもよい。滑り止め83により、吸収体70の位置すれを抑制することができる。一対の押さえ部材80の先端には、互いに係合する係合部を設けてもよい。
【0080】
[その他の変更例]
・清掃部材51を用いて吐出面24の全体を清掃してもよい。
・清掃部材51は、吐出面24および側面25,26のうち、少なくとも一面を清掃すればよい。
【0081】
・吸収体70は、弾性体53の少なくとも一面を覆っていればよい。
・弾性体53は、直方体以外の多面体であってもよいし、天面54が湾曲面であってもよい。
【0082】
・弾性体53はホルダー52に固定されていてもよいし、ホルダー52に対して着脱可能に装着されていてもよい。
・清掃ユニット50または清掃部材51は、弾性体53および吸収体70のうち、少なくとも一方を交換可能に有してもよい。
【0083】
・保持部60は、例えばホルダー52を収容する凹部、または、ホルダー52と係合する装着部を備えてもよい。この構成によれば、ホルダー52を保持部60に対して容易に位置決めすることができる。保持部60の凹部または装着部は、ホルダー52の装着方向に沿って延びる壁面、軸、または板を有してもよい。この構成によれば、ホルダー52を壁面、軸、または板に沿って案内することで、容易に位置決めができる。
【0084】
・保持部60に加えて、または保持部60に代えて、ホルダー52が磁石65を有してもよい。
・ホルダー52を保持部60に保持する方法は、磁石65の磁力に限らず、例えば、フックまたは面ファスナーであってもよいし、吸引機構による吸引であってもよい。
【0085】
・押さえ部材80は、ホルダー52と別体であってもよい。例えば、押さえ部材80は、弾性体53に巻かれた吸収体70を挟むクリップであってもよい。あるいは、押さえ部材80は、天面54および頂部清掃面74が通過可能な、剛性を有する枠または弾性を有するリングであってもよい。あるいは、押さえ部材80は、吸収体70および弾性体53に刺されるピンであってもよい。
【0086】
・液体吐出装置11は、インク以外の他の液体を吐出する液体吐出装置11であってもよい。液体吐出装置11から微小量の液滴となって吐出される液体の状態としては、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。ここでいう液体は、液体吐出装置11から吐出させることができるような材料であればよい。例えば、液体は、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属、金属融液、のような流状体を含むものとする。液体は、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなども含むものとする。液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体吐出装置11の具体例としては、例えば、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造等に用いられる電極材や色材等の材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を吐出する装置がある。液体吐出装置11は、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を吐出する装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を吐出する装置、捺染装置やマイクロディスペンサー等であってもよい。液体吐出装置11は、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ、光学レンズ、などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に吐出する装置であってもよい。液体吐出装置11は、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を吐出する装置であってもよい。
【0087】
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
1)液体を吐出する吐出ヘッドを清掃するための清掃部材と、前記吐出ヘッドが対面可能な位置に配置される保持部に着脱可能に装着されるホルダーと、を備え、前記清掃部材は、液体を吸収可能な吸収体が弾性体に巻かれた状態で、前記ホルダーに保持されることを特徴とする、清掃ユニット。
【0088】
この清掃ユニットによれば、清掃部材をホルダーを介して保持部に容易に着脱することができる。そのため、清掃部材の交換に手間がかからず、取り付けミスが生じにくい。
2)前記清掃部材が、前記弾性体に少なくとも一部が接着された前記吸収体を有して、前記ホルダーに着脱可能に装着されることを特徴とする、1)に記載の清掃ユニット。
【0089】
この清掃ユニットによれば、吸収体が弾性体と一体化しているので、清掃部材を容易にホルダーに着脱することができる。よって、交換用の新しい清掃ユニットを容易に準備することができる。
【0090】
3)前記ホルダーが、前記弾性体に巻かれた前記吸収体を押さえるように構成された、押さえ部材を有することを特徴とする、1)に記載の清掃ユニット。
この清掃ユニットによれば、吸収体のみの交換が可能となるため、弾性体は繰り返し使用することができる。よって、交換に伴って生じる廃棄物を少なくすることができる。
【0091】
4)前記保持部および前記ホルダーのうち少なくとも一方が金属製であり、
前記保持部および前記ホルダーのうち少なくとも他方が磁石を有することを特徴とする1)から3)のうち何れかに記載の清掃ユニット。
【0092】
この清掃ユニットによれば、磁石の磁力によって、ホルダーを保持部に対して着脱することができる。また、磁力により容易に位置決めできるで、清掃を安定して行うことができる。
【0093】
5)前記ホルダーが、前記清掃部材を収容する収容部と、前記収容部から突出する把持部と、を有することを特徴とする1)から4)のうち何れかに記載の清掃ユニット。
この清掃ユニットによれば、使用者は把持部を把持することにより、保持部に対する清掃ユニットの着脱を容易に行うことができる。また、清掃部材に触れることなく清掃ユニットを交換できるので、使用者の手が汚れることがない。
【0094】
6)前記弾性体が、直方体であって、天面と、前記天面と交差する第1面と、前記第1面の反対側の第2面とを有し、前記吸収体が、少なくとも、前記天面、前記第1面および前記第2面を覆うように、前記弾性体に巻かれることを特徴とする1)から5)のうち何れかに記載の清掃ユニット。
【0095】
この清掃ユニットによれば、吸収体の、天面、第1面および第2面をそれぞれ覆う部分により、吐出ヘッドの吐出面および2つの側面を清掃することができる。吐出ヘッドの異なる面を清掃するために清掃部材の向きを変える必要がないので、液体吐出装置の構成を簡素化することができる。
【0096】
7)液体吐出装置のための清掃ユニットであって、前記液体吐出装置は、液体を吐出するように構成された吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドが対面可能な位置に配置される保持部と、を備え、前記清掃ユニットは、前記保持部に着脱可能に装着されるホルダーを備え、前記ホルダーには、前記吐出ヘッドを清掃するための清掃部材が着脱可能に装着され、前記清掃部材は、弾性体と、前記弾性体に巻かれた、液体を吸収可能な吸収体と、を有することを特徴とする、清掃ユニット。
【0097】
この清掃ユニットによれば、清掃部材をホルダーを介して保持部に容易に着脱することができる。そのため、清掃部材の交換に手間がかからず、取り付けミスが生じにくい。
8)液体を吐出するように構成された吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドが対面可能な位置に配置される保持部と、前記保持部に対して着脱可能に装着される1)から7)のうち何れかに記載の清掃ユニットと、を備えることを特徴とする、液体吐出装置。
【0098】
この液体吐出装置によれば、清掃ユニットを保持部に装着することにより、吐出ヘッドを清掃することができる。また、清掃ユニットは保持部に着脱可能なため、清掃ユニットを交換することができる。
【0099】
9)前記吐出ヘッドが走査方向に沿って前記保持部に対して相対移動するように構成され、前記吐出ヘッドおよび前記保持部の少なくとも一方を前記走査方向と交差する方向に移動させる移動機構をさらに備えることを特徴とする、8)に記載の液体吐出装置。
【0100】
この液体吐出装置によれば、吐出ヘッドが走査方向に沿って移動することにより、吸収体を吐出ヘッドに接触させることができる。さらに、吐出ヘッドが吸収体に接触した状態で、吐出ヘッドと保持部とが走査方向と交差する方向に相対移動することにより、吸収体で吐出ヘッドを擦ることができる。これにより、吐出ヘッドをより効果的に清掃することができる。
【0101】
10)液体吐出装置における清掃ユニットの交換方法であって、前記液体吐出装置は、液体を吐出するように構成された吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドが対面可能な位置に配置される保持部と、を有し、前記清掃ユニットは、前記吐出ヘッドを清掃するための清掃部材と、前記保持部に着脱可能に装着されるホルダーであって、前記清掃部材を保持するホルダーと、を有し、前記交換方法は、前記吐出ヘッドを前記保持部と対面しない位置に移動させることと、前記清掃ユニットを前記保持部から取り外すことと、交換用の清掃ユニットを前記保持部に取り付けることと、を含むことを特徴とする清掃ユニットの交換方法。
【0102】
この方法によれば、清掃ユニットを保持部から取り外すことにより、使用済みの清掃部材を除去することができる。また、交換用の清掃ユニットを保持部に取り付けることにより、新しい清掃部材に交換することができる。
【符号の説明】
【0103】
10…媒体、11…液体吐出装置、12…外装ケース、12a…支持脚部、12b…開閉部、14…キャリッジ、15…支持台、16…ガイド軸、17…支持機構、18…駆動機構、19…操作パネル、20…液体収容体、21…液体収容体、22…吐出ヘッド、23…ノズル、24…吐出面、25…第1側面、26…第2側面、27…移動機構、40…メンテナンス装置、41…吸引キャップ、42…ワイパー、43…保湿キャップ、44…吸引ポンプ、50…清掃ユニット、51…清掃部材、52…ホルダー、53…弾性体、53a…底面、53b…前面、53c…背面、54…天面、55…第1面、56…第2面、57…収容部、58…把持部、60…保持部、61…第1昇降装置、62…第2昇降装置、63…第3昇降装置、64…装着凹部、64a…内壁面、64b…内底面、65…磁石、66…装着板、67…昇降機構、70…吸収体、74…頂部清掃面、75…第1清掃面、76…第2清掃面、80…押さえ部材、81…回動軸、82…係合部、83…滑り止め、91…受け部、92…金属板、93…脚部、94…回動部材、100…コントローラー、101…処理回路、102…記憶部、103…通信部、D1…第1距離、D2…第2距離、D3…第3距離、Dc…移動方向、L0…基準レベル、Ld…下降レベル、Lu…上昇レベル、P1…第1清掃位置、P2…第2清掃位置。