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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20241106BHJP
   G09G 3/34 20060101ALI20241106BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20241106BHJP
   G02B 27/01 20060101ALI20241106BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/34 J
G09G3/20 670M
G09G3/20 680B
G09G3/20 K
G02B27/01
H04N5/74 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021029406
(22)【出願日】2021-02-26
(65)【公開番号】P2022130805
(43)【公開日】2022-09-07
【審査請求日】2023-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 兼太郎
(72)【発明者】
【氏名】宮部 博之
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-087801(JP,A)
【文献】特開2012-023277(JP,A)
【文献】特開2005-045850(JP,A)
【文献】実開昭64-015971(JP,U)
【文献】特開2015-054555(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0321484(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/20
G09G 3/34-3/36
G02B 27/01
H04N 5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウインドシールドに表示像を投影する車両用表示装置において、
照明光源と、
前記照明光源をPWM駆動させる処理部と、
前記照明光源の駆動ラインに設けられるシャント抵抗と、
前記シャント抵抗の両端電圧に基づいて、前記駆動ラインの電流値を検出する電流検出部と、
前記電流検出部から出力される電流検出波形に基づいて、前記駆動ラインのピーク電流値を検出し、検出したピーク電流値を前記処理部にフィードバックするピーク電流検出部と、
前記電流検出部から出力される電流検出波形に基づいて、前記駆動ラインのデューティ比を検出し、検出したデューティ比を前記処理部にフィードバックするデューティ検出部とを備え、
前記処理部は、
前記照明光源に出力するPWM駆動信号のピーク電流値及びデューティ比毎に設定される前記ピーク電流検出部用の第1閾値と、前記照明光源に出力するPWM駆動信号のデューティ比毎に設定される前記デューティ検出部用の第2閾値とを記憶し、
前記ピーク電流検出部が検出したピーク電流値、及び前記デューティ検出部が検出したデューティ比に基づいて異常を判定する異常判定部を設け、
この異常判定部は、前記ピーク電流検出部が検出したピーク電流値と前記第1閾値との比較、及び前記デューティ検出部が検出したデューティ比と前記第2閾値との比較に基づいて異常を判定する車両用表示装置。
【請求項2】
ウインドシールドに表示像を投影する車両用表示装置において、
照明光源と、
前記照明光源をPWM駆動させる処理部と、
前記照明光源の駆動ラインに設けられるシャント抵抗と、
前記シャント抵抗の両端電圧に基づいて、前記駆動ラインの電流値を検出する電流検出部と、
前記電流検出部から出力される電流検出波形に基づいて、前記駆動ラインのピーク電流値を検出し、検出したピーク電流値を前記処理部にフィードバックするピーク電流検出部と、
前記電流検出部から出力される電流検出波形に基づいて、前記駆動ラインのデューティ比を検出し、検出したデューティ比を前記処理部にフィードバックするデューティ検出部とを備え、
前記ピーク電流検出部は、前記電流検出部から出力される電流検出波形を平滑化し、前記駆動ラインのピーク電流値に応じて変化する電圧値として前記処理部にフィードバックする平滑化回路を備える車両用表示装置。
【請求項3】
ウインドシールドに表示像を投影する車両用表示装置において、
照明光源と、
前記照明光源をPWM駆動させる処理部と、
前記照明光源の駆動ラインに設けられるシャント抵抗と、
前記シャント抵抗の両端電圧に基づいて、前記駆動ラインの電流値を検出する電流検出部と、
前記電流検出部から出力される電流検出波形に基づいて、前記駆動ラインのピーク電流値を検出し、検出したピーク電流値を前記処理部にフィードバックするピーク電流検出部と、
前記電流検出部から出力される電流検出波形に基づいて、前記駆動ラインのデューティ比を検出し、検出したデューティ比を前記処理部にフィードバックするデューティ検出部とを備え、
前記デューティ検出部は、前記電流検出部から出力される電流検出波形のピーク電圧値を所定の電圧値に変換するトランジスタ回路と、
前記トランジスタ回路から出力される波形を平滑化し、前記駆動ラインのデューティ比に応じて変化する電圧値として前記処理部にフィードバックする平滑化回路とを備える車両用表示装置。
【請求項4】
前記処理部は、
前記異常判定部が異常と判定したとき、前記照明光源を消灯させる異常処理部を備える、請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記電流検出部は、ノイズを吸収するノイズ吸収回路を備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【請求項6】
前記電流検出部は、検出した電流値を増幅する、請求項1から5のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウインドシールドに表示像を投影する車両用表示装置において、外光の光量(周辺の明るさ)に応じて表示器のバックライト用の発光ダイオードの出力(発光輝度)を変化させる技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-083429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、何らかの異常に起因して発光ダイオードの出力が制御目標値(設定値)に比べて過大となると、表示像がユーザにとって明るすぎてしまう場合がある。
【0005】
そこで、本開示は、異常に起因して表示像がユーザにとって明るすぎてしまう可能性を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの側面では、ウインドシールドに表示像を投影する車両用表示装置において、
照明光源と、
前記照明光源をPWM駆動させる処理部と、
前記照明光源の駆動ラインに設けられるシャント抵抗と、
前記シャント抵抗の両端電圧に基づいて、前記駆動ラインの電流値を検出する電流検出部と、
前記電流検出部から出力される電流検出波形に基づいて、前記駆動ラインのピーク電流値を検出し、検出したピーク電流値を前記処理部にフィードバックするピーク電流検出部と、
前記電流検出部から出力される電流検出波形に基づいて、前記駆動ラインのデューティ比を検出し、検出したデューティ比を前記処理部にフィードバックするデューティ検出部とを備え、
前記処理部は、
前記照明光源に出力するPWM駆動信号のピーク電流値及びデューティ比毎に設定される前記ピーク電流検出部用の第1閾値と、前記照明光源に出力するPWM駆動信号のデューティ比毎に設定される前記デューティ検出部用の第2閾値とを記憶し、
前記ピーク電流検出部が検出したピーク電流値、及び前記デューティ検出部が検出したデューティ比に基づいて異常を判定する異常判定部を設け、
この異常判定部は、前記ピーク電流検出部が検出したピーク電流値と前記第1閾値との比較、及び前記デューティ検出部が検出したデューティ比と前記第2閾値との比較に基づいて異常を判定する車両用表示装置が提供される。
また、別の側面では、ウインドシールドに表示像を投影する車両用表示装置において、
照明光源と、
前記照明光源をPWM駆動させる処理部と、
前記照明光源の駆動ラインに設けられるシャント抵抗と、
前記シャント抵抗の両端電圧に基づいて、前記駆動ラインの電流値を検出する電流検出部と、
前記電流検出部から出力される電流検出波形に基づいて、前記駆動ラインのピーク電流値を検出し、検出したピーク電流値を前記処理部にフィードバックするピーク電流検出部と、
前記電流検出部から出力される電流検出波形に基づいて、前記駆動ラインのデューティ比を検出し、検出したデューティ比を前記処理部にフィードバックするデューティ検出部とを備え、
前記ピーク電流検出部は、前記電流検出部から出力される電流検出波形を平滑化し、前記駆動ラインのピーク電流値に応じて変化する電圧値として前記処理部にフィードバックする平滑化回路を備える車両用表示装置が提供される。
また、別の側面では、ウインドシールドに表示像を投影する車両用表示装置において、
照明光源と、
前記照明光源をPWM駆動させる処理部と、
前記照明光源の駆動ラインに設けられるシャント抵抗と、
前記シャント抵抗の両端電圧に基づいて、前記駆動ラインの電流値を検出する電流検出部と、
前記電流検出部から出力される電流検出波形に基づいて、前記駆動ラインのピーク電流値を検出し、検出したピーク電流値を前記処理部にフィードバックするピーク電流検出部と、
前記電流検出部から出力される電流検出波形に基づいて、前記駆動ラインのデューティ比を検出し、検出したデューティ比を前記処理部にフィードバックするデューティ検出部とを備え
前記デューティ検出部は、前記電流検出部から出力される電流検出波形のピーク電圧値を所定の電圧値に変換するトランジスタ回路と、
前記トランジスタ回路から出力される波形を平滑化し、前記駆動ラインのデューティ比に応じて変化する電圧値として前記処理部にフィードバックする平滑化回路とを備える車両用表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、異常に起因して表示像がユーザにとって明るすぎてしまう可能性を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施例によるヘッドアップディスプレイの車両搭載状態を車両側方視で概略的に示す図である。
図2】ヘッドアップディスプレイの構成を示す概略図である。
図3】外光センサ、車載ユニット、回路基板及び光源基板を含む制御系を示す概略図である。
図4】光源基板のPWM駆動信号波形の一例を示す図である。
図5】回路基板に設けられるシャント抵抗及び電流検出部の一例を示す図である。
図6】回路基板に設けられるピーク電流検出部及びデューティ検出部の一例を示す図である。
図7】ピーク電流検出部の出力電圧と駆動ラインのピーク電流値及びデューティ比との関係を示す図である。
図8】回路基板の処理部により実現される機能構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら実施例について詳細に説明する。
【0010】
[ヘッドアップディスプレイ]
図1は、一実施例によるヘッドアップディスプレイHの車両搭載状態を車両側方視で概略的に示す図である。図2は、ヘッドアップディスプレイHの構成を示す概略図である。
【0011】
ヘッドアップディスプレイH(車両用表示装置の一例)では、図1に示すように、ウインドシールドWSに表示光Lが照射されると、車両VCを運転する運転者にとっては、ウインドシールドWSよりも前方に、当該照射によって得られた表示像(虚像表示)VIが見える。これにより、運転者は、前方風景と重畳させて表示像VIを視認できる。従って、運転者は、インストルメントパネル9内のメータを見る場合に比べて視線移動の少ない態様で車両情報等を把握でき、利便性及び安全性が向上する。なお、変形例では、ウインドシールドWSに代えて、コンバイナ等が利用されてもよい。
【0012】
図2は、ヘッドアップディスプレイHにおけるインストルメントパネル9内の構成を側面視で概略的に示す図である。
【0013】
ヘッドアップディスプレイHは、表示ユニット1と、平面鏡2と、凹面鏡3と、回路基板4と、をケース5に収容している。
【0014】
表示ユニット1は、光源となるバックライト用のLED110(照明光源の一例)が実装された光源基板11と、LED110から発せられた光を略平行光にするレンズ12と、レンズ12から発せられた略平行光に照らされる薄膜トランジスタ型の液晶パネル13と、を有する。表示ユニット1は、表示光Lを平面鏡2に向けて出射する。
【0015】
平面鏡2は、平面板状の樹脂基板と、樹脂基板の平面に形成された反射層とを含んで構成される。樹脂基板は、ポリカーボネートなどの樹脂から形成されている。反射層は、アルミニウム等の金属を樹脂基板の平面に蒸着させることで形成されている。平面鏡2は、表示ユニット1から出射された表示光Lを凹面鏡3に向けて反射する。
【0016】
凹面鏡3は、凹面を有する樹脂基板と、樹脂基板の凹面に形成された反射層と、から構成される。樹脂基板は、ポリカーボネートなどの樹脂から形成されている。反射層は、アルミニウム等の金属を樹脂基板の凹面上に蒸着させることで形成されている。凹面鏡3は、平面鏡2が反射した表示光Lを車両のウインドシールドWSに向けて反射する。
【0017】
回路基板4は、ヘッドアップディスプレイHの全体を制御する制御基板である。回路基板4には、処理部41(例えば、デシリアライザ)等が実装されている(図3参照)。また、回路基板4には、メスコネクタ40が実装されている。
【0018】
メスコネクタ40には、車両情報を伝送する信号線と車両VCのバッテリ電源を供給する電源線を有するハーネス6と電気的に接続するオスコネクタ60が挿入されて、車両情報が回路基板4に入力される。回路基板4は、ハーネス6から入力された車両情報を表示ユニット1に表示光Lとして出射させる。
【0019】
ケース5は、第1ケース50と、カバー51と、第2ケース52と、第3ケース53とを含み、第1収容部54と、第2収容部55と、第3収容部56と、を有する計器箱である。
【0020】
第1収容部54には、平面鏡2と凹面鏡3が収容されている。第2収容部55には、表示ユニット1が収容されている。第3収容部56には、回路基板4が収容されている。
【0021】
第1ケース50は、ポリプロピレン等の樹脂製のケースである。第1ケース50には、表示ユニット1が出射した表示光Lを第1収容部54に取り入れる入射口50aと、凹面鏡3が反射した表示光Lをケース5外に出射する出射口50bと、が形成されている。
【0022】
カバー51は、アクリル樹脂などの透光性樹脂をフィルム状にしたカバーである。カバー51は、出射口50bを覆って出射口50bから塵埃や水分などが第1収容部54に侵入することを防ぐ。
【0023】
第2ケース52は、アルミニウム等の金属で外側にフィン形状が形成されたケースである。第2ケース52は、第1ケース50と係合して第2収容部55に収容された表示ユニット1を覆うとともに、表示ユニット1の光源基板11上のLED110からの熱を放熱する放熱器としての機能も有する。
【0024】
第3ケース53は、ポリプロピレン等の樹脂で形成されたケースである。第3ケース53は、第1ケース50と係合して第3収容部56に収容された回路基板4を覆う。
【0025】
[ヘッドアップディスプレイの制御構成]
図3は、外光センサ70、車載ユニット72、回路基板4及び光源基板11を含む制御系を示す概略図であり、図4は、光源基板11のPWM駆動信号波形の一例を示す図であり、図5は、回路基板4に設けられるシャント抵抗43及び電流検出部44部の一例を示す図であり、図6は、回路基板4に設けられるピーク電流検出部45及びデューティ検出部46の一例を示す図であり、図7は、ピーク電流検出部45の出力電圧と駆動ライン400のピーク電流値及びデューティ比との関係を示す図である。なお、液晶パネル13の制御系は省略する。
【0026】
外光センサ70は、ヘッドアップディスプレイHが搭載される車両(例えばウインドシールドWSの上部付近)に設けられ、当該車両の周囲の明るさを検出する。具体的には、外光センサ70は、入射する光の量や強度に応じた電気信号を生成する。
【0027】
車載ユニット72は、上述したようにハーネス6を介して回路基板4に接続されてよい。車載ユニット72は、例えばECU(Electronic Control Unit)の形態である。車載ユニット72は、車速情報等のような各種の車両情報や、その他、例えばヘッドアップディスプレイHの表示像VIに係る明るさに関するユーザによる設定情報を、回路基板4に供給してよい。
【0028】
回路基板4には、図3に示すように、処理部41と、LEDドライバ42と、シャント抵抗43と、電流検出部44と、ピーク電流検出部45と、デューティ検出部46と、通信回路47とが実装されている。
【0029】
通信回路47は、例えばCAN(controller area network)等に準拠した車両ネットワークを介して車載ユニット72と通信する。通信回路47は、上述したように、例えばヘッドアップディスプレイHの表示像VIに係る明るさに関するユーザによる設定情報を取得する。
【0030】
処理部41は、外光センサ70や通信回路47を介して得られる各種情報に基づいて、LEDドライバ42を介してLED110を制御する。処理部41は、駆動デューティを設定し、設定した駆動デューティに応じたPWM制御信号をLEDドライバ42に与える。処理部41の機能構成の詳細は、図8以降を参照して後述する。
【0031】
LEDドライバ42は、処理部41からのPWM制御信号に基づいて、図4に示すような波形のPWM駆動信号を生成し、駆動ライン400を介して光源基板11上のLED110を駆動させる。
【0032】
図3及び図5に示すように、シャント抵抗43は、LED110の駆動ライン400に設けられる。電流検出部44は、シャント抵抗43の両端電圧に基づいて、駆動ライン400の電流値を検出する。本実施形態の電流検出部44は、シャント抵抗43の両端電圧に基づいて電流検出を行う機能と、電流検出値を増幅する機能とを備えた電流検出増幅IC440を用いて構成されており、100~200mVの電流検出値がピークで3V程度に増幅される。また、本実施形態の電流検出部44は、ノイズを吸収するノイズ吸収回路441を備える。ノイズ吸収回路441は、例えば、電流検出増幅IC440の一対の入力端子間に設けられるコンデンサである。
【0033】
ピーク電流検出部45は、電流検出部44から出力される電流検出波形に基づいて、駆動ライン400のピーク電流値を検出し、検出したピーク電流値を処理部41にフィードバックする。本実施形態のピーク電流検出部45は、電流検出部44から出力される電流検出波形を平滑化し、駆動ライン400のピーク電流値に応じて変化する電圧値(図7参照)として処理部41にフィードバックする平滑化回路451を備える。例えば、正常時において、駆動ライン400のピーク電流値が0.45Aで、デューティ比が50%のときは、図7に示すように、ピーク電流検出部45から1.5Vの電圧値が処理部41にフィードバックされる。平滑化回路451は、例えば、複数の抵抗4511、4512及び複数のコンデンサ4513、4514を用いて構成されるCR平滑回路である。
【0034】
デューティ検出部46は、電流検出部44から出力される電流検出波形に基づいて、駆動ライン400のデューティ比を検出し、検出したデューティ比を処理部41にフィードバックする。本実施形態のデューティ検出部46は、電流検出部44から出力される電流検出波形のピーク電圧値を所定の電圧値に変換するトランジスタ回路461と、トランジスタ回路461から出力される波形を平滑化し、駆動ライン400のデューティ比に応じて変化する電圧値として処理部41にフィードバックする平滑化回路462とを備える。トランジスタ回路461は、例えば、ベースが電流検出部44からの入力ラインに接続され、コレクタがプルアップ抵抗4611を介して電源(3.3V)に接続され、且つ平滑化回路462に接続され、エミッタがグランドに接続されるトランジスタ4612を用いて構成される。また、平滑化回路462は、例えば、複数の抵抗4621、4622及びコンデンサ4623を用いて構成されるCR平滑回路である。
【0035】
[処理部の機能構成]
図8は、回路基板4の処理部41により実現される機能構成の一例を示す図である。
【0036】
図8に示すように、処理部41は、駆動デューティ設定部411と、駆動制限部412と、制限用閾値マップ記憶部414とを含む。駆動デューティ設定部411及び駆動制限部412は、例えば、処理部41のCPU(Central Processing Unit)がメモリ内のプログラムを実行することで実現される。また、制限用閾値マップ記憶部414は、例えば、処理部41のメモリ(例えばROM:Read Only Memory)により実現される。
【0037】
駆動デューティ設定部411は、外光センサ70からのセンサ情報と、車載ユニット72からの設定情報とに基づいて、LED110を駆動するデューティ比を設定する。例えば、駆動デューティ設定部411は、車両の周辺の明るさが明るいほどLED110の出力(発光輝度)が大きくなるように、デューティ比を設定する。また、この際、駆動デューティ設定部411は、設定情報に基づいて、適宜、駆動デューティをユーザごとに設定(補正)する。なお、駆動デューティの設定方法の詳細は任意であり、他の方法で実現されてもよい。また、PWM駆動信号のピーク電流値は、固定であってもよいし、センサ情報や設定情報に応じて変動させてもよい。
【0038】
駆動制限部412は、LED110の駆動系における異常を監視し、所定の異常を検出した場合に、LED110の出力を停止(又は低下)させる。LED110の駆動系における異常は、処理部41よりも下流側の異常であってよく、LED110の出力が設定値(駆動デューティ設定部411により設定されるデューティ比)に比べて過大となるような異常を含む。すなわち、駆動デューティ設定部411により設定された駆動デューティよりも高いデューティ比でLED110が駆動されてしまうような異常を含む。例えば、駆動デューティ設定部411により設定されたデューティ比が70%であるのに対して、LED110が100%のデューティ比で駆動されてしまうような異常である。
【0039】
本実施形態の駆動制限部412は、一例として、検出ピーク電流取得部4120と、検出デューティ取得部4121と、閾値設定部4122と、異常判定部4123と、異常処理部4124とを含む。なお、制限用閾値マップ記憶部414は、駆動制限部412がLED110の駆動系における異常を判定するための閾値を記憶しており、例えば、LED110に出力するPWM駆動信号のピーク電流値及びデューティ比毎に設定されるピーク電流検出部45用の第1閾値(電圧閾値)と、LED110に出力するPWM駆動信号のデューティ比毎に設定されるデューティ検出部46用の第2閾値(電圧閾値)とを記憶している。
【0040】
検出ピーク電流取得部4120は、ピーク電流検出部45から入力されるアナログの電圧値をA/Dコンバータを介してデジタルの電圧値として取得する。
【0041】
検出デューティ取得部4121は、デューティ検出部46から入力されるアナログの電圧値をA/Dコンバータを介してデジタルの電圧値として取得する。
【0042】
閾値設定部4122は、制限用閾値マップ記憶部414に記憶されている閾値を参照し、現在出力しているPWM駆動信号に適合する第1閾値及び第2閾値を設定する。
【0043】
異常判定部4123は、ピーク電流検出部45が検出したピーク電流値、及びデューティ検出部46が検出したデューティ比に基づいて異常を判定する。具体的には、ピーク電流検出部45の出力電圧と第1閾値との比較、及びデューティ検出部46の出力電圧と第2閾値との比較に基づいて異常を判定することができ、例えば、ピーク電流検出部45の出力電圧が第1閾値を超え、且つデューティ検出部46の出力電圧が第2閾値を超えた場合に異常と判定したり、ピーク電流検出部45の出力電圧が第1閾値を超えた場合、又はデューティ検出部46の出力電圧が第2閾値を超えた場合に異常と判定する。
【0044】
異常処理部4124は、異常判定部4123が異常と判定したとき、LED110を消灯させる。具体的には、処理部41からLEDドライバ42に対するPWM制御信号の出力を停止させたり、駆動ライン400に別途設けられる遮断器(不図示)によってLED110に対するPWM駆動信号の出力を遮断する。
【0045】
[実施形態の効果]
以上のように構成された本実施形態によれば、ウインドシールドWSに表示像VIを投影するヘッドアップディスプレイHにおいて、LED110と、LED110をPWM駆動させる処理部41と、LED110の駆動ライン400に設けられるシャント抵抗43と、シャント抵抗43の両端電圧に基づいて、駆動ライン400の電流値を検出する電流検出部44と、電流検出部44から出力される電流検出波形に基づいて、駆動ライン400のピーク電流値を検出し、検出したピーク電流値を処理部41にフィードバックするピーク電流検出部45と、電流検出部44から出力される電流検出波形に基づいて、駆動ライン400のデューティ比を検出し、検出したデューティ比を処理部41にフィードバックするデューティ検出部46とを備えるので、ピーク電流検出部45が検出したピーク電流値、及びデューティ検出部46が検出したデューティ比に基づいて異常を判定したり、異常判定に基づいてLED110を消灯させることが可能となり、その結果、異常に起因して表示像VIがユーザにとって明るすぎてしまう可能性を低減することが可能となる。
【0046】
また、処理部41は、ピーク電流検出部45が検出したピーク電流値、及びデューティ検出部46が検出したデューティ比に基づいて異常を判定する異常判定部4123と、異常判定部4123が異常と判定したとき、LED110を消灯させる異常処理部4124とを備えるので、異常の発生を高精度に判定し、LED110を確実に消灯させることができる。
【0047】
また、処理部41は、LED110に出力するPWM駆動信号のピーク電流値及びデューティ比毎に設定されるピーク電流検出部45用の第1閾値と、LED110に出力するPWM駆動信号のデューティ比毎に設定されるデューティ検出部46用の第2閾値とを記憶し、異常判定部4123は、ピーク電流検出部45が検出したピーク電流値と第1閾値との比較、及びデューティ検出部46が検出したデューティ比と第2閾値との比較に基づいて異常を判定するので、LED110に出力するPWM駆動信号のピーク電流値及びデューティ比が変動する状況でも、異常の発生を高精度に判定することができる。
【0048】
また、電流検出部44は、ノイズを吸収するノイズ吸収回路441を備えるので、ノイズの影響を低減しつつ、PWM駆動信号のピーク電流値及びデューティ比を精度良く検出することができる。
【0049】
また、電流検出部44は、検出した電流値を増幅するので、シャント抵抗43によるロスを抑制しつつ、PWM駆動信号のピーク電流値及びデューティ比の検出に必要な電圧信号が得られる。
【0050】
また、ピーク電流検出部45は、電流検出部44から出力される電流検出波形を平滑化し、駆動ライン400のピーク電流値に応じて変化する電圧値として処理部41にフィードバックする平滑化回路451を備えるので、処理部41は、ピーク電流値に起因する異常を容易に判定することが可能になる。
【0051】
また、デューティ検出部46は、電流検出部44から出力される電流検出波形のピーク電圧値を所定の電圧値に変換するトランジスタ回路461と、トランジスタ回路461から出力される波形を平滑化し、駆動ライン400のデューティ比に応じて変化する電圧値として処理部41にフィードバックする平滑化回路462とを備えるので、処理部41は、デューティ比に起因する異常を容易に判定することが可能になる。
【0052】
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 表示ユニット
11 光源基板
110 LED
12 レンズ
13 液晶パネル
2 平面鏡
3 凹面鏡
4 回路基板
40 メスコネクタ
41 処理部
411 駆動デューティ設定部
412 駆動制限部
4120 検出ピーク電流取得部
4121 検出デューティ取得部
4122 閾値設定部
4123 異常判定部
4124 異常処理部
414 制限用閾値マップ記憶部
42 LEDドライバ
43 シャント抵抗
44 電流検出部
440 電流検出増幅IC
441 ノイズ吸収回路
45 ピーク電流検出部
451 平滑化回路
4511、4512 抵抗
4513、4514 コンデンサ
46 デューティ検出部
461 トランジスタ回路
4611 プルアップ抵抗
4612 トランジスタ
462 平滑化回路
4621、4622 抵抗
4623 コンデンサ
47 通信回路
400 駆動ライン
5 ケース
50 第1ケース
50a 入射口
50b 出射口
51 カバー
52 第2ケース
53 第3ケース
54 第1収容部
55 第2収容部
56 第3収容部
6 ハーネス
60 オスコネクタ
9 インストルメントパネル
70 外光センサ
72 車載ユニット
H ヘッドアップディスプレイ
L 表示光
VC 車両
VI 表示像
WS ウインドシールド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8