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特許7581974制御装置、制御方法、及び制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法、及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B30B 15/14 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
B30B15/14 M
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021034801
(22)【出願日】2021-03-04
(65)【公開番号】P2022135171
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2024-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】藤井 高史
【審査官】飯田 義久
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-164199(JP,A)
【文献】特開2016-120522(JP,A)
【文献】特開平02-074304(JP,A)
【文献】特開2011-098350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライダを上下方向に動作させることにより、材料にプレス加工を施すサーボプレス機であって、前記スライダを駆動するサーボモータと、前記スライダの位置を検出する位置検出部と、前記材料に作用する荷重を検出する荷重検出部と、を備えたサーボプレス機、を制御する制御装置であって、
前記位置検出部による位置検出結果及び前記荷重検出部による荷重検出結果を用いて、前記サーボモータの制御を行う制御部を備え、
前記制御部は、
前記スライダの最下点の位置である下死点位置に向かって前記スライダを下降させる下降動作と、
前記下死点位置で前記スライダを停止させる停止動作と、
前記下死点位置から前記スライダを上昇させる上昇動作と、を前記プレス加工での一連のステップの動作として行わせるとともに、
前記停止動作中に、前記荷重検出結果に基づいて、前記材料に作用する荷重が収束した状態にあるか否かを判別し、
前記材料に作用する荷重が収束した状態にあると判別した場合に、前記上昇動作を行わせる、制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記荷重検出部から新たに取得した前記荷重検出結果と、前記荷重検出結果の過去の所定期間内の平均値との差異が、予め設定された第1の閾値未満の場合に、前記材料に作用する荷重が収束した状態にあると判別する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記荷重検出部から前記荷重検出結果を取得し、取得した前記荷重検出結果の時系列データから、所定時間後に前記材料に作用する荷重の予測値である荷重予測値を求めて、前記制御部に出力する予測器を、さらに備え、
前記制御部は、
前記停止動作中に、
前記荷重予測値を用いて、前記材料に作用する荷重が収束した状態にあるか否かについて判別する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記予測器から新たに取得した前記荷重予測値と、前記荷重予測値の過去の所定期間内の平均値との差異が、予め設定された第2の閾値未満の場合に、前記材料に作用する荷重が収束した状態にあると判別する、請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記予測器は、
前記停止動作中の前記荷重検出結果の時系列データのうちの、第1期間内のデータと、前記第1期間の終了時点から前記所定時間後のデータとの組を教師データとして機械学習を行うことにより、前記第1期間内のデータを入力として、前記第1期間の終了時点から前記所定時間後のデータを前記荷重予測値として出力する学習モデルとして生成された学習モデルを有する、請求項3または4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記荷重検出部は、前記サーボモータのトルクを検出することにより、前記材料に作用する荷重を検出する荷重検出部である、請求項1から5のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記荷重検出部は、前記スライダによる荷重の少なくとも一部を前記材料に伝達するパンチに設けられたひずみゲージを含み、前記ひずみゲージにより歪量を検出することにより、前記材料に作用する荷重を検出する荷重検出部である、請求項1から5のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項8】
スライダを上下方向に動作させることにより、材料にプレス加工を施すサーボプレス機であって、前記スライダを駆動するサーボモータと、前記スライダの位置を検出する位置検出部と、前記材料に作用する荷重を検出する荷重検出部と、を備えたサーボプレス機、を制御する制御方法であって、
前記スライダの最下点の位置である下死点位置に向かって、前記スライダを下降させる下降動作ステップと、
前記下死点位置で前記スライダを停止させる停止動作ステップと、
前記下死点位置から前記スライダを上昇させる上昇動作ステップと、を備え、
前記停止動作ステップ中において、前記荷重検出部による荷重検出結果に基づいて、前記材料に作用する荷重が収束した状態にあるか否かを判別するサブステップを繰り返し実行し、
前記材料に作用する荷重が収束した状態にあると判別した場合に、前記上昇動作ステップに移行させる、制御方法。
【請求項9】
請求項1に記載の制御装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、上記制御部としてコンピュータを機能させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サーボプレス機を制御する制御装置、制御方法、及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プレスシステムの分野では、サーボモータによってスライダを介して駆動される金型としてのプレスツールを用いて、ワーク(材料)にプレス加工を施すサーボプレス機の普及が進んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-098350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サーボプレス機では、スライダを上下方向に動作させ、最下点の位置である下死点位置において、材料への荷重が最大となり得る。サーボプレス機では、下死点位置でのスライダの停止時間(下死点停止時間)において、ワークの変形を完了させる。そのため、下死点停止時間を長くすることにより、製品の仕上がり精度を向上させることが可能となる。
【0005】
一方、下死点停止時間の増大は、加工のサイクルタイムの長時間化をも招き、生産効率の低下をもたらす。このため、サーボプレス機では、製品の仕上がり精度の確保と、サイクルタイムの短縮との両立を図ることが求められている。
【0006】
本開示は上記の問題点を鑑みてなされたものであり、サーボプレス機での製品の仕上がり精度の確保と、サイクルタイムの短縮との両立を図ることが可能な制御装置、制御方法、及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、上述の課題を解決するために、以下の構成を採用する。
【0008】
本開示の一側面に係る制御装置は、スライダを上下方向に動作させることにより、材料にプレス加工を施すサーボプレス機であって、前記スライダを駆動するサーボモータと、前記スライダの位置を検出する位置検出部と、前記材料に作用する荷重を検出する荷重検出部と、を備えたサーボプレス機、を制御する制御装置であって、前記位置検出部による位置検出結果及び前記荷重検出部による荷重検出結果を用いて、前記サーボモータの制御を行う制御部を備え、前記制御部は、前記スライダの最下点の位置である下死点位置に向かって前記スライダを下降させる下降動作と、前記下死点位置で前記スライダを停止させる停止動作と、前記下死点位置から前記スライダを上昇させる上昇動作と、を前記プレス加工での一連のステップの動作として行わせるとともに、前記停止動作中に、前記荷重検出結果に基づいて、前記材料に作用する荷重が収束した状態にあるか否かを判別し、前記材料に作用する荷重が収束した状態にあると判別した場合に、前記上昇動作を行わせる構成を備えている。
【0009】
上記構成によれば、サーボプレス機での製品の仕上がり精度の確保と、サイクルタイムの短縮との両立を図ることが可能となる。
【0010】
上記一側面に係る制御装置において、前記制御部は、前記荷重検出部から新たに取得した前記荷重検出結果と、前記荷重検出結果の過去の所定期間内の平均値との差異が、予め設定された第1の閾値未満の場合に、前記材料に作用する荷重が収束した状態にあると判別してもよい。
【0011】
上記構成によれば、上記荷重が収束した状態にあるか否かについての判別精度を確実に向上させることができる。
【0012】
上記一側面に係る制御装置において、前記荷重検出部から前記荷重検出結果を取得し、取得した前記荷重検出結果の時系列データから、所定時間後に前記材料に作用する荷重の予測値である荷重予測値を求めて、前記制御部に出力する予測器を、さらに備え、前記制御部は、前記停止動作中に、前記荷重予測値を用いて、前記材料に作用する荷重が収束した状態にあるか否かについて判別してもよい。
【0013】
上記構成によれば、機械学習を用いた予測を利用して、上記荷重が収束した状態にあることをより早く判別することができ、収束判別を早期に行うことが可能となる。
【0014】
上記一側面に係る制御装置において、前記制御部は、前記予測器から新たに取得した前記荷重予測値と、前記荷重予測値の過去の所定期間内の平均値との差異が、予め設定された第2の閾値未満の場合に、前記材料に作用する荷重が収束した状態にあると判別してもよい。
【0015】
上記構成によれば、上記荷重が収束した状態にあるか否かについての判別精度を確実に向上させることができる。
【0016】
上記一側面に係る制御装置において、前記予測器は、前記停止動作中の前記荷重検出結果の時系列データのうちの、第1期間内のデータと、前記第1期間の終了時点から前記所定時間後のデータとの組を教師データとして機械学習を行うことにより、前記第1期間内のデータを入力として、前記第1期間の終了時点から前記所定時間後のデータを前記荷重予測値として出力する学習モデルとして生成された学習モデルを有してもよい。
【0017】
上記構成によれば、予測器において機械学習される学習モデルが用いられるので、サーボプレス機での下死点停止時間をより適切に動的に変更することができる。
【0018】
上記一側面に係る制御装置において、前記荷重検出部は、前記サーボモータのトルクを検出することにより、前記材料に作用する荷重を検出する荷重検出部であってもよい。
【0019】
上記構成によれば、サーボモータのトルクを用いることで、別途のセンサを設けることなく、材料に作用する荷重を検出することができる。
【0020】
上記一側面に係る制御装置において、前記荷重検出部は、前記スライダによる荷重の少なくとも一部を前記材料に伝達するパンチに設けられたひずみゲージを含み、前記ひずみゲージにより歪量を検出することにより、前記材料に作用する荷重を検出する荷重検出部であってもよい。
【0021】
上記構成によれば、ひずみゲージによって検出された歪量を用いることで、材料に作用する荷重をより直接的に検出することができる。
【0022】
また、本開示の一側面に係る制御方法は、スライダを上下方向に動作させることにより、材料にプレス加工を施すサーボプレス機であって、前記スライダを駆動するサーボモータと、前記スライダの位置を検出する位置検出部と、前記材料に作用する荷重を検出する荷重検出部と、を備えたサーボプレス機、を制御する制御方法であって、前記スライダの最下点の位置である下死点位置に向かって、前記スライダを下降させる下降動作ステップと、前記下死点位置で前記スライダを停止させる停止動作ステップと、前記下死点位置から前記スライダを上昇させる上昇動作ステップと、を備え、前記停止動作ステップ中において、前記荷重検出結果に基づいて、前記材料に作用する荷重が収束した状態にあるか否かを判別するサブステップを繰り返し実行し、前記材料に作用する荷重が収束した状態にあると判別した場合に、前記上昇動作ステップに移行させる構成を備えている。
【0023】
上記構成によれば、サーボプレス機での製品の仕上がり精度の確保と、サイクルタイムの短縮との両立を図ることが可能となる。
【0024】
また、本開示の一側面に係る制御プログラムは、制御装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、上記制御部としてコンピュータを機能させる。
【0025】
上記構成によれば、サーボプレス機での製品の仕上がり精度の確保と、サイクルタイムの短縮との両立を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本開示によれば、サーボプレス機での製品の仕上がり精度の確保と、サイクルタイムの短縮との両立を図ることが可能となる制御装置、制御方法、及び制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本開示の実施形態1に係る制御装置及びサーボプレス機の構成例を示すブロック図である。
図2】上記制御装置によるサーボプレス機の制御系を示す機能構成図である。
図3】上記サーボプレス機の基本動作を説明する図である。
図4図1に示した予測器の具体的な構成例を説明する図である。
図5】上記サーボプレス機での荷重検出結果の変化の具体例を示すグラフである。
図6】上記制御装置に含まれた予測器の動作例を説明する図である。
図7】上記制御装置に含まれた制御部の動作例を説明する図である。
図8】上記制御部での収束判別に用いられる具体的な数式を示す図である。
図9】上記制御装置の動作例を説明するフローチャートである。
図10】上記制御装置の別の動作例を説明するフローチャートである。
図11】上記制御装置での効果の具体例を説明する説明図である。
図12】本開示の実施形態2に係る制御装置及びサーボプレス機の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
〔実施形態1〕
§1 適用例
まず、図1から図3を用いて、本開示が適用される場面の一例について説明する。図1は、本開示の実施形態1に係る制御装置及びサーボプレス機の構成例を示すブロック図である。図2は、上記制御装置によるサーボプレス機の制御系を示す機能構成図である。図3は、上記サーボプレス機の基本動作を説明する図である。
【0029】
図1及び図2において、制御装置1は、例えば、製造現場において用いられ、サーボプレス機10を制御する装置である。制御装置1は、例えば、PLC(Programmable Logic Controller:プログラマブルロジックコントローラ)やサーボドライバによって実現される。
【0030】
制御装置1は、1又は複数のサーボプレス機10と接続されている。これによって、制御装置1とサーボプレス機10とは、材料Zにプレス加工を施して、製品Pを生産するプレスシステムを構成している。
【0031】
サーボプレス機10は、スライダ11を駆動するサーボモータ12を動力源とするプレス機器である。具体的には、サーボプレス機10では、図示しないアクチュエータによってサーボモータ12の回転運動を直線運動に変換する。そして、サーボプレス機10は、スライダ11を所定の上下方向に動作させることにより、スライダ11に取り付けられるプレスツール(図示せず)に当接している材料Zにプレス加工を行う。
【0032】
また、サーボプレス機10では、プレス加工での一連のステップの動作として、スライダ11の下降動作、停止動作、及び上昇動作が行われる。具体的にいえば、下降動作では、図3の時点T1から時点T2までで示すように、スライダ11は、例えば、上記上下方向での最上点の位置である上死点位置から当該上下方向での最下点の位置である下死点位置に向かって下降される。
【0033】
このスライダ11の下降動作では、その下降速度が、図3に矢印A及び矢印Bにて示すように、2段階に分けられている。つまり、スライダ11は、下死点位置に近づくと、下降速度が減速される。これにより、スライダ11が、慣性等の影響によって下死点位置で正確に停止できないことを抑えることが可能となり、材料Zに対して過荷重(オーバーシュート)となるのを抑制して、製品Pの仕上がり精度の低下が発生するのを大幅に抑制することができる。
【0034】
また、停止動作では、図3の時点T2から時点T3までで示されるように、スライダ11は、下死点位置で停止する。また、サーボプレス機10では、材料Zの材質や厚みなどに対応して、時点T2と時点T3と間の下死点停止時間を適切に設定することにより、製品Pの仕上がり精度を向上させることができる。尚、この下死点停止時間の最大値は、例えば、作業者による試し動作に基づいて決定されてもよい。
【0035】
また、上昇動作では、図3の時点T3から時点T4までで示されるように、スライダ11は、例えば、一定の上昇速度(同図3に矢印Cにて図示)で下死点位置から上死点位置に向かって上昇する。
【0036】
図1及び図2に示すように、制御装置1は、サーボプレス機10の動作に係るデータを収集し、機械学習する機能を有している。制御装置1は、サーボプレス機10から、例えば、位置検出部13からのスライダ11の位置検出結果、速度検出部14からのサーボモータ12の速度検出結果、及び荷重検出部15からの材料Zに作用する荷重検出結果などの情報を取得する。
【0037】
制御部5は、スライダ11の停止動作中に、荷重検出部15からの荷重検出結果を用いて、材料Zに作用する荷重が収束した状態にあるか否かを判別する。そして、制御部5は、材料Zに作用する荷重が収束した状態にあると判別した場合に、スライダ11に対して、停止動作から上昇動作を行わせる。
【0038】
よって本実施形態によれば、制御装置1は、上記停止動作における下死点停止時間を適宜変更することができ、サーボプレス機10に対して、材料Zに作用する荷重に応じて、スライダ11の下死点停止時間を動的に変更することができる。この結果、制御装置1は、サーボプレス機10での製品Pの仕上がり精度の確保と、サイクルタイムの短縮との両立を図ることが可能となる。
【0039】
§2 構成例
〔実施形態1〕
以下、本開示の一実施形態について、詳細に説明する。まず、本実施形態の制御装置1の制御対象であるサーボプレス機10について説明する。
【0040】
<サーボプレス機10の構成について>
図1及び図2に示すように、サーボプレス機10は、スライダ11と、サーボモータ12と、位置検出部13と、速度検出部14と、荷重検出部15を備えている。
【0041】
スライダ11は、上記プレスツールに当接した材料Zに対して、サーボモータ12の回転動作に応じた駆動力によって上記下降動作及び停止動作を行うことにより、材料Zにプレス加工を施して、製品Pを生産する。サーボモータ12は、制御装置1からの指示に従って、回転動作を行う。
【0042】
位置検出部13は、スライダ11の位置を検出する検出部であり、例えば、光学式のエンコーダなどの位置センサを含んでいる。位置検出部13は、上記位置センサの検出結果をスライダ11の位置検出結果として制御装置1に出力する。
【0043】
速度検出部14は、サーボモータ12の回転速度を検出する検出部であり、例えば、光学式のエンコーダを用いた速度センサを含んでいる。速度検出部14は、上記速度センサの検出結果をサーボモータ12の速度検出結果として制御装置1に出力する。
【0044】
荷重検出部15は、スライダ11による材料Zに対するプレス加工時に、当該材料Zに作用する荷重を検出する検出部である。この荷重検出部15は、例えば、サーボモータ12の電流を検出することにより、材料Zに作用する荷重を検出する荷重検出部である。そして、荷重検出部15は、その検出結果を材料Zに作用する荷重検出結果として制御装置1に出力する。
【0045】
また、上記の説明以外に、荷重検出部15は、スライダ11による荷重の少なくとも一部を材料Zに伝達するパンチ(図示せず)に設けられたひずみゲージを含み、ひずみゲージにより歪量を検出することにより、材料Zに作用する荷重を検出する荷重検出部であってもよい。
【0046】
また、荷重検出部15が、材料Zに作用する荷重を検出することにより、プレス加工時での材料Zに生じる応力を検知することが可能となる。すなわち、応力は、直接計測することが不可能であるため、本実施形態の制御装置1では、応力の代りの物性値として、荷重を計測して、サーボプレス機10の制御に利用している。
【0047】
<制御装置1の構成について>
図1に示すように、制御装置1は、予測器3と、記憶部4と、制御部5を備えている。
【0048】
予測器3は、予め定められたサンプリング周期ごとに荷重検出部15からの荷重検出結果の時系列データを入力するとともに、入力した荷重検出結果の時系列データから、所定時間後に材料Zに作用する荷重の予測値である荷重予測値を求めて、制御部5に出力する。
【0049】
また、予測器3は、荷重検出部15から入力した1回のプレス加工の荷重検出結果の上記サンプリング周期ごとの時系列データのうち、第1期間内のN個分(Nは、1以上の整数)の荷重検出結果の時系列データを説明変数とし、かつ、所定時間後であるM個後(Mは、1以上の整数)の荷重予測値を目的変数として、説明変数と目的変数とを関連付けた予測モデル(学習モデル)として構築された、例えば、ニューラルネットワークを有する。更に、予測器3は、構築した学習モデルをベースに、機械学習を継続し、学習モデルが逐次に更新されてもよい。
【0050】
具体的には、予測器3は、上記停止動作中の荷重検出結果の時系列データのうちの、第1期間内のデータ(つまり、上記N個分の荷重検出結果の時系列データ)と、第1期間の終了時点から所定時間後のデータ(M個後の荷重検出結果のデータ)との組を教師データとして機械学習を行うことにより、第1期間内のデータを入力として、第1期間の終了時点から所定時間後のデータを上記荷重予測値として出力する学習モデルとして生成された学習モデルを有する。
【0051】
ここで、図4を用いて、予測器3のより具体的な構成例について説明する。図4は、図1に示した予測器の具体的な構成例を説明する図である。
【0052】
図4に示すように、予測器3は、荷重検出部15からの荷重検出結果のデータT(t)を逐次取得するバッファ3aと、バッファ3aに接続されるとともに、ニューラルネットワークを用いて構成された学習モデル3bとを備える。
【0053】
バッファ3aには、図4に示すように、荷重検出部15から、上記第1期間内のデータT(t-N+1)~T(t)が保持される。学習モデル3bは、入力されたバッファ3aから第1期間内のデータT(t-N+1)~T(t)から、時点tよりも所定時間後(M個後)の荷重予測値YT(t)を求めて、制御部5に出力する。
【0054】
尚、上記の説明以外に、バッファ3aと、ニューラルネットワークを用いて構成された学習モデル3bに代えて、例えば、学習モデルとしての回帰型ニューラルネットワーク(RNN:Recurrent Neural Network)を用いて、予測器3を構成してよい。
【0055】
記憶部4は、制御部5によって用いられる各種データを記憶している。更に記憶部4はコンピュータに実行されることによって、コンピュータを制御部5あるいは予測器3として機能させる各種ソフトウェアを記憶していてもよい。また、記憶部4は、制御部5によって、サーボプレス機10から取得し、機械学習された、サーボプレス機10の動作に係るデータを記憶している。更に、記憶部4には、例えば、図示しない操作部を介して入力された後述の収束判別に用いられる後述の第1の閾値、第2の閾値や下死点停止時間の最大値などのデータが予め格納される。
【0056】
制御部5は、制御装置1の各部を統括的に制御する機能を備えている演算装置である。制御部5は、例えば1つ以上のプロセッサ(例えばCPUなど)が、1つ以上のメモリ(例えばRAMやROMなど)に記憶されているプログラムを実行することで制御装置1の各部を制御してもよい。
【0057】
また、制御部5は、図2に示すように、予測器3から荷重予測値を用いて、下死点停止時間を動的に変更する。つまり、制御部5は、サーボプレス機10への指令値を生成する指令値生成機能5a、スライダ11の位置を制御する位置制御機能5b、サーボモータ12の回転速度を制御する速度制御機能5c、サーボモータ12のトルクを制御するトルク制御機能5d、及び材料Zに作用する荷重の収束状態を判別する収束判別機能5eを備えている。
【0058】
また、制御部5は、荷重検出部15からの荷重検出結果を用いて、材料Zに作用する荷重が収束した状態にあると判別した場合に、サーボプレス機10に指示信号(指令値)を出力して、停止動作中のスライダ11について、上昇動作を行わせるように指示する。
【0059】
また、制御部5は、予測器3から荷重予測値を入力した場合、当該荷重予測値を用いて、材料Zに作用する荷重が収束した状態にあるか否かについて判別する。更に、制御部5は、後に詳述するように、記憶部4に予め設定された第2の閾値を用いて、材料Zに作用する荷重が収束した状態にあるか否かについて判別する。
【0060】
尚、予測器3から荷重予測値を入力しない場合、つまり、予測器3が制御装置1に設けられていない場合については、後掲の実施形態2において説明する。
【0061】
§3 動作例
<収束状態の判別動作>
図5も参照して、本実施形態の制御装置1での材料Zに作用する荷重の収束状態の判別動作の動作例について具体的に説明する。図5は、上記サーボプレス機での荷重検出結果の変化の具体例を示すグラフである。尚、図5の横軸の単位は、プレス加工でのステップに対応した時刻であり、縦軸は荷重(任意の単位)である。
【0062】
制御装置1が、例えば、4軸分のサーボモータ12を有するサーボプレス機10に対して、同一の材料Zにプレス加工を実行させた場合、上記4軸分のサーボモータ12では、図5に曲線K1、K2、K3、K4にそれぞれ示すように、材料Zに作用する荷重が変動する。そして、スライダ11の停止動作中に、図4に点線の円KS1、KS2、KS3、KS4にて囲んでいるあたりにおいて、4軸分の各軸では、材料Zの変形が完了すると荷重は、略一定値を示すようになる。
【0063】
なお、曲線K4にて荷重の変動が示される軸が、プレス加工を行う上記金型に最も近い位置に配置された軸であり、当該軸から材料Zに作用する荷重が最も遅く収束するため、制御装置1での収束状態の判別には、当該軸に設けられた荷重検出部15からの荷重検出結果が用いられる。
【0064】
本実施形態の制御装置1では、制御部5は、荷重検出部15からの荷重検出結果が略一定値を継続して示すようになるときに、材料Zに作用する荷重が収束した状態にあると判別する。そして、制御部5は、サーボプレス機10に対して、停止動作中のスライダ11を上昇動作させて、次の材料Zに対するプレス加工の準備段階とさせる。
【0065】
また、制御部5では、材料Zに応じて、下死点停止時間の最大値を適宜設定している。これにより、制御部5では、収束状態の判別動作を適切に行うことができなかった場合でも、例えば、後掲の図10のステップS13に示すように、スライダ11の停止動作(下死点停止時間)を強制的に終了させることができる。
【0066】
但し、下死点停止時間の最大値を小さくすると、材料Zでのスプリングバックが大きいものとなって、製品Pの仕上がり精度の低下を招くことがある。
【0067】
それゆえ、本実施形態の制御装置1では、下死点停止時間の最大値(時間閾値)について、例えば、熟練の作業者による試し動作に基づいて決定している。これにより、本実施形態の制御装置1では、同一の材料Zにプレス加工を施す場合でも、材料Zごとの厚みのばらつきなどによる悪影響を排除して、製品Pの仕上がり精度を確保しつつ、製品Pのサイクルタイムの長時間化を抑制してサーボプレス機10の生産性の低下を抑えることができる。
【0068】
<予測動作及び判別動作>
図6から図8も参照して、本実施形態の制御装置1での予測器3による予測動作とこの予測動作を用いた制御部5での判別動作の動作例について具体的に説明する。図6は、上記制御装置に含まれた予測器の動作例を説明する図である。図7は、上記制御装置に含まれた制御部の動作例を説明する図である。図8は、上記制御部での収束判別に用いられる具体的な数式を示す図である。
【0069】
図6において、曲線K5は、材料Zに作用する荷重の変動例を示す。また、図6において、予測器3の学習モデル3bには、プレス加工のN個分(Nは、1以上の整数)の荷重検出結果の時系列データ、例えば、図4に示した上記第1期間内のデータT(t-N+1)~T(t)を説明変数として入力される。このN個分の荷重検出結果の時系列データは、連続的に行われたプレス加工の実施回数に限定されるものではなく、例えば、Random Forestによる重要度解析などを用いて、決定したものでもよい。
【0070】
予測器3の学習モデル3bは、プレス加工のM個後(Mは、1以上の整数)の荷重予測値YT(t)を算出し、算出したM個後の荷重予測値YT(t)を目的変数として制御部5に出力する。つまり、予測器3の学習モデル3bは、上記説明変数を基に機械学習して、目的変数を出力するようにして構成される。
【0071】
次に、制御部5は、図8に示す(1)式を用いて、上記荷重が収束した状態にあるか否かについての収束判別を行う。ここで、図8において、YT(t-k)は、時点tからk個分前の荷重予測値であり、T(t)は、時点tの荷重検出結果である。また、Rは、収束判別に利用するデータのサンプル数の値(Rは、1以上の整数)であり、εは、収束判別を行うための閾値である。
【0072】
具体的には、荷重検出部15からの荷重検出結果は、図7の曲線70に示すように、収束状態を判別する収束値の初出点(荷重検出部15からの荷重検出結果が略一定値となる時点)t0の値T(t0)と、初出点t0よりも前の時点tの値T(t)と、初出点t0からM個後の時点t1の値T(t1)のように変動する。
【0073】
一方、曲線70の荷重検出結果に対する、M個後の荷重予測値は、初出点t0の前の時点において、予測器3による予測が十分正確であればYT(t-M)=T(t)が成立する。なお、図7の曲線71に示すように、荷重予測値は、時点tの値YT(t)と、初出点t0の値YT(t0)と、時点t1の値YT(t1)のように変動する。
【0074】
制御部5は、(1)式に示されるように、予測器3から新たに取得した荷重予測値と、荷重予測値の過去の所定期間内の平均値との差異が、予め設定された第2の閾値ε以下の場合に、材料Zに作用する荷重が収束した状態にあると判別する。例えば、図7に両矢印にて示すように、制御部5は、荷重予測値を用いることにより、荷重検出結果を用いて収束判別が行われる時点T1よりもM個分のステップの前の時点T0で収束状態になることを早期に収束状態になることの予測をすることができる。
【0075】
なお、上記Mの値、Nの値、あるいはRの値の設定値によっては、上記予測モデルでの予測精度や収束状態の判断精度の低下を招く恐れがある。このため、制御装置1において、例えば、荷重検出結果と荷重予測値とを基に、予測モデルでの予測精度の評価値(例えば、平均二乗誤差(RMSE;Root Mean Square error))を算出して、算出結果に対応して、予測モデルを再構築する構成でもよい。すなわち、制御装置1において、上記評価値も鑑みた機械学習を行う構成でもよい。
【0076】
また、上記(1)式を用いた収束状態を判断する構成に代えて、例えば、連続する荷重予測値の差分値を算出して、この差分値を基に収束状態を判断する構成でもよい。
【0077】
なお、予測器3が予測を行うためのパラメタである上記Mと、制御部5が収束判別に用いるためのパラメタである上記Rとは、互いに異なる値を用いてもよいし、同じ値を用いてもよい。
【0078】
<制御装置1の動作例>
図9及び図10も参照して、本実施形態の制御装置1の動作例について具体的に説明する。図9は、上記制御装置の動作例を説明するフローチャートである。図10は、上記制御装置の別の動作例を説明するフローチャートである。
【0079】
図9において、初めにステップS1で、制御装置1では、ユーザーの操作に応じて、下死点停止時間の最大値が設定される。具体的には、材料Zのプレス加工を行う前に、例えば、熟練の作業者による試し動作を行うことで、材料Zの厚み、サーボプレス機10でのスライダ11に生じる弾性変形や熱膨張などに起因して、プレス加工ごとに変化した下死点停止時間のばらつきのうち、最大時間となった下死点停止時間を当該下死点停止時間の最大値(時間閾値)として、記憶部4に予め記憶させる。
【0080】
次に、ステップS2で、制御装置1は、通常のプレス動作(プレス加工)をサーボプレス機10に行わせて、荷重検出結果の時系列データを収集する。
【0081】
次に、ステップS3で、制御装置1は、ユーザーが設定するNの値、Mの値、及びεの値に応じて、予測器3での学習モデルを構築する。
【0082】
予測器3での学習モデルを構築した後に、制御装置1は、構築した学習モデルを用いたプレス加工を行わせる。以下に、制御装置1を適用したプレス加工の処理について説明する。図10のステップS11で、サーボプレス機10に対して、スライダ11の下降動作を行わせる。
【0083】
次に、ステップS12で、制御装置1は、サーボプレス機10に対して、スライダ11の停止動作を行わせる。
【0084】
次に、ステップS13で、制御装置1は、停止動作での下死点停止時間が記憶部4に記憶されている最大値を超過したか否かについて判別する。制御装置1が、停止動作での下死点停止時間が最大値を超過していることを判別すると(S13でYES)、制御装置1は、停止動作を継続する必要がないと判断して、ステップS14に進む。すなわち、制御装置1は、停止動作を強制的に終了させて、上昇動作を行わせる。
【0085】
一方、制御装置1が、停止動作での下死点停止時間が最大値を超過していないことを判別すると(S13でNO)、予測器3は、予測モデルに基づいて、荷重予測値を算出する(ステップS15)。
【0086】
続いて、ステップS16で、制御部5は、荷重検出部15からの荷重検出結果が収束した状態にあるか否かを判別する。制御部5が、荷重検出結果が収束した状態にないことを判別すると(S16でNO)、制御装置1は、停止動作を継続する必要があると判断して、ステップS12に進む。
【0087】
一方、制御部5が、荷重検出結果が収束した状態にあることを判別すると(S16でYES)、制御装置1は、停止動作を継続する必要がないと判断して、ステップS14に進む。
【0088】
そして、ステップS14で、制御装置1は、サーボプレス機10に対して、スライダ11の停止動作を終了させ、上昇動作を行わせる。
【0089】
以上のように、本実施形態の制御装置1では、スライダ11の停止動作中に、荷重検出部15からの荷重検出結果を用いて、材料Zに作用する荷重が収束した状態にあるか否かを判別する。そして、制御装置1では、材料Zに作用する荷重が収束した状態にあると判別されると、スライダ11の停止動作を終了させて直ちに上昇動作を行わせる。これにより、本実施形態の制御装置1では、上記停止動作における下死点停止時間を適宜変更することができ、サーボプレス機10に対して、材料Zに作用する荷重に応じて、スライダ11の下死点停止時間を動的に変更することができる。
【0090】
ここで、図11を用いて、本実施形態の制御装置1の効果について具体的に説明する。図11は、上記制御装置での効果の具体例を説明する説明図である。尚、図11の横軸の単位は、プレス加工でのステップに対応した時刻であり、縦軸は荷重(任意の単位)及びスライダ11の位置(任意の単位)である。
【0091】
図11において、サーボプレス機10がプレス加工を行うと、荷重検出部15からの荷重検出結果は、一点鎖線K6にて例示するように、変動する。ここで、制御部5が、時点T10で材料Zに作用する荷重が収束した状態にあると判別すると、制御装置1は、サーボプレス機10に対して、時点T11でスライダ11の停止動作を終了させて上昇動作を開始させる。
【0092】
この結果、サーボプレス機10では、曲線S1に示すように、スライダ11は、時点T11で下死点位置から上死点位置に向かって上昇する。そして、サーボプレス機10では、スライダ11が時点T13で次の材料Zに対するプレス加工を行うことが可能となる。
【0093】
一方、下死点停止時間を動的に変更しない比較例では、例えば、時点T12で下死点停止時間が終了されると、比較例のサーボプレス機では、曲線S2に示すように、スライダは、時点T12で下死点位置から上死点位置に向かって上昇する。このため、比較例では、スライダは時点T14で次の材料Zに対するプレス加工を行うことが可能となる。
【0094】
すなわち、図11に示すように、本実施形態の制御装置1では、比較例に比べて、製品Pの仕上がり精度を維持しつつ、時点T14から時点T13の差の時間分だけサイクルタイムを短縮することができる。
【0095】
具体的にいえば、本実施形態の制御装置1では、材料Zに作用する荷重が収束した状態にあることを判別しているので、プレス加工された材料Zにおいて、塑性変形が完了している。つまり、本実施形態の制御装置1では、上記判別を行うことにより、材料Zにおいて、スプリングバックが発生し難い状態であることを検知しているため、製品Pの仕上がり精度を容易に確保することができる。
【0096】
また、本実施形態の制御装置1では、材料Zにばらつき、例えば、材料Zが板状部材である場合において、その厚みにばらつきがあったとしても、各材料Zにおいて、上記のようにスプリングバックが発生し難い状態であることを検知している。このため、本実施形態の制御装置1では、材料Zにばらつきがある場合でも、製品Pの仕上がり精度を容易に確保することができる。
【0097】
更に、本実施形態の制御装置1では、予測器3による機械学習を用いているので、材料Zで荷重が収束した状態にあることをより早く判別することができ、収束判別を早期に行うことが可能となる。この結果、本実施形態の制御装置1では、サイクルタイムの短縮を容易に行うことができる。
【0098】
〔実施形態2〕
本開示の他の実施形態について、図12を用いて以下に説明する。図12は、本開示の実施形態2に係る制御装置及びサーボプレス機の構成例を示すブロック図である。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0099】
実施形態2と実施形態1との主な相違点は、制御装置1において、予測器3の設置が割愛されている点である。
【0100】
実施形態2の制御装置1では、制御部5の収束判別機能5eには、実施形態1において予測器3が出力する荷重予測値YT(t)に変えて、荷重検出部15からの荷重検出結果が入力される。
【0101】
そして、実施形態2の制御装置1の制御部5は、例えば、荷重検出部15から新たに取得した荷重検出結果と、荷重検出結果の過去の所定期間内の平均値との差異が、予め設定された第1の閾値未満の場合に、材料Zに作用する荷重が収束した状態にあると判別する。これにより、実施形態2の制御装置1では、実施形態1と同様に、上記停止動作における下死点停止時間を適宜変更することができ、サーボプレス機10に対して、材料Zに作用する荷重に応じて、スライダ11の下死点停止時間を動的に変更することができる。
【0102】
この結果、実施形態2の制御装置1では、実施形態1のものと同様に、サーボプレス機10での製品Pの仕上がり精度の確保と、サイクルタイムの短縮との両立を図ることが可能となる。
【0103】
〔ソフトウェアによる実現例〕
制御装置1の機能ブロック(特に、制御部5)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0104】
後者の場合、制御部5は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本開示の目的が達成される。
【0105】
上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、磁気ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを更に備えていてもよい。
【0106】
また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0107】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0108】
1 制御装置
3 予測器
5 制御部
10 サーボプレス機
11 スライダ
12 サーボモータ
15 荷重検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12