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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】中継器及びサーボシステム
(51)【国際特許分類】
   G05D 3/12 20060101AFI20241106BHJP
   G05B 19/05 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
G05D3/12 W
G05B19/05 L
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021041155
(22)【出願日】2021-03-15
(65)【公開番号】P2022141032
(43)【公開日】2022-09-29
【審査請求日】2024-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 悌
【審査官】渡邊 捷太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-125405(JP,A)
【文献】国際公開第2018/150544(WO,A1)
【文献】特許第6349687(JP,B2)
【文献】特開2019-110727(JP,A)
【文献】特開2017-135961(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02233255(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 3/12
G05B 19/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーボドライバにより駆動されるモータの動作を示すフィードバック信号と前記モータにより駆動される駆動対象の変位に関連するパラメータを検出するセンサから出力された検出信号とを第1の信号線を介して出力するエンコーダと、前記サーボドライバとの通信を中継する中継器であって、
前記第1の信号線が接続され、前記エンコーダからの前記フィードバック信号及び前記検出信号を含む入力信号の入力を受け付ける入力部と、
第2の信号線が接続され、前記フィードバック信号及び前記検出信号を前記入力信号から分離し、分離した前記検出信号を前記第2の信号線を介して前記サーボドライバに出力する分離部と、
第3の信号線が接続され、前記分離部によって前記入力信号から分離された前記フィードバック信号を前記第3の信号線を介して前記サーボドライバに出力する通信部と、を備え、
前記中継器は、前記エンコーダを含む複数のエンコーダからの入力信号が入力可能に配置されるとともに、前記複数のエンコーダの夫々に対応するサーボドライバと通信可能に接続され、
前記分離部は、さらに、前記複数のエンコーダから入力された入力信号を、出力元エンコーダ毎にフィードバック信号と前記出力元エンコーダに関連付けられたセンサの検出信号とに分離し、分離した検出信号を前記出力元エンコーダに夫々対応するサーボドライバに送信し、
前記通信部は、前記分離部によって分離された前記フィードバック信号を、前記出力元エンコーダに夫々対応するサーボドライバに送信し、
前記中継器は、さらに、
前記サーボドライバのうちの第1サーボドライバによって駆動される第1モータの出力軸のみを駆動させて前記駆動対象を変位させる第1所定動作が行われたときに前記複数のエンコーダのいずれかから検出信号を受信した場合、該検出信号を送信したセンサを、前記第1サーボドライバに紐付けられる第1対応センサと認識する第1処理部と、
前記サーボドライバのうちの第2サーボドライバによって駆動される第2モータの出力軸のみを駆動させて前記第2モータによって駆動される第2駆動対象を変位させる第2所定動作が行われたときに前記複数のエンコーダのいずれかから検出信号を受信した場合、該検出信号を送信したセンサを、前記第2サーボドライバに紐付けられる第2対応センサ
と認識する第2処理部と、を備える、
中継器。
【請求項2】
前記第1所定動作は、前記駆動対象が、一方の端部から移動開始し他方の端部に到達するまでの、該駆動対象の駆動可能な全範囲における移動動作であり、
前記第2所定動作は、前記第2駆動対象が、一方の端部から移動開始し他方の端部に到達するまでの、該第2駆動対象の駆動可能な全範囲における移動動作である、
請求項に記載の中継器。
【請求項3】
前記第1処理部によって前記第1対応センサと認識されたセンサのセンサ種類を、前記第1対応センサと認識したときの前記駆動対象の駆動範囲における位置情報に基づいて判定し、前記第2処理部によって前記第2対応センサとして認識されたセンサのセンサ種類を、前記第2対応センサと認識したときの前記第2駆動対象の駆動範囲における位置情報に基づいて判定する判定部をさらに備える、
請求項またはに記載の中継器。
【請求項4】
サーボドライバにより駆動されるモータの動作を示すフィードバック信号と前記モータにより駆動される駆動対象の変位に関連するパラメータを検出するセンサから出力された検出信号とを第1の信号線を介して出力するエンコーダと、
前記サーボドライバと前記エンコーダとの通信を中継する中継器と、
を含むサーボシステムであって、
前記中継器は、
前記第1の信号線が接続され、前記エンコーダからの前記フィードバック信号及び前記検出信号を含む入力信号の入力を受け付ける入力部と、
第2の信号線が接続され、前記フィードバック信号及び前記検出信号を前記入力信号から分離し、分離した前記検出信号を前記第2の信号線を介して前記サーボドライバに出力する分離部と、
第3の信号線が接続され、前記分離部によって前記入力信号から分離された前記フィードバック信号を前記第2の信号線を介して前記サーボドライバに出力する通信部と、を備え、
前記中継器は、前記エンコーダを含む複数のエンコーダからの入力信号が入力可能に配置されるとともに、前記複数のエンコーダの夫々に対応するサーボドライバと通信可能に接続され、
前記分離部は、さらに、前記複数のエンコーダから入力された入力信号を、出力元エンコーダ毎にフィードバック信号と前記出力元エンコーダに関連付けられたセンサの検出信号とに分離し、分離した検出信号を前記出力元エンコーダに夫々対応するサーボドライバに送信し、
前記通信部は、前記分離部によって分離された前記フィードバック信号を、前記出力元エンコーダに夫々対応するサーボドライバに送信し、
前記中継器は、さらに、
前記サーボドライバのうちの第1サーボドライバによって駆動される第1モータの出力軸のみを駆動させて前記駆動対象を変位させる第1所定動作が行われたときに前記複数のエンコーダのいずれかから検出信号を受信した場合、該検出信号を送信したセンサを、前記第1サーボドライバに紐付けられる第1対応センサと認識する第1処理部と、
前記サーボドライバのうちの第2サーボドライバによって駆動される第2モータの出力軸のみを駆動させて前記第2モータによって駆動される第2駆動対象を変位させる第2所定動作が行われたときに前記複数のエンコーダのいずれかから検出信号を受信した場合、該検出信号を送信したセンサを、前記第2サーボドライバに紐付けられる第2対応センサと認識する第2処理部と、を備える、
サーボシステム。
【請求項5】
前記第1所定動作は、前記駆動対象が、一方の端部から移動開始し他方の端部に到達するまでの、該駆動対象の駆動可能な全範囲における移動動作であり、
前記第2所定動作は、前記第2駆動対象が、一方の端部から移動開始し他方の端部に到達するまでの、該第2駆動対象の駆動可能な全範囲における移動動作である、
請求項に記載のサーボシステム。
【請求項6】
前記中継器が、
前記第1処理部によって前記第1対応センサと認識されたセンサのセンサ種類を、前記第1対応センサと認識したときの前記駆動対象の駆動範囲における位置情報に基づいて判定し、前記第2処理部によって前記第2対応センサとして認識されたセンサのセンサ種類を、前記第2対応センサと認識したときの前記第2駆動対象の駆動範囲における位置情報に基づいて判定する判定部をさらに備える、
請求項またはに記載のサーボシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中継器及びサーボシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
サーボシステムでは、一般に、PLC等のコントローラからの指令に従って、サーボドライバによるサーボモータのサーボ制御が行われる。このサーボ制御においては、サーボモータが備えるエンコーダ以外の外部センサの検出信号が利用される場合がある。外部センサには、モータにより駆動される駆動対象の特定の位置を検出する限界センサ等が例示できる。従来では、このような外部センサは、センサケーブルによって、サーボドライバに接続される。ここで、サーボシステムが適用される場所において、レイアウト等の理由により、サーボドライバがサーボモータから離れている場合がある。このような場合には、サーボドライバとサーボモータとの間をつなぐケーブルに、比較的長いケーブルが必要である。一方で、上記駆動対象の動きを検出するための外部センサは、その駆動対象の近くに配置されなければならない。
【0003】
サーボモータとサーボドライバとの間の距離が大きいと、センサとサーボドライバとを接続するセンサケーブルも長くなる。センサケーブルが長くなると、たとえば、センサケーブルの配線作業(たとえばセンサケーブルの接続あるいは引回し等)に大きな手間を要するといった問題が発生する。そこで、特許文献1には、センサの近くに配置されているサーボモータのエンコーダに当該センサをケーブル接続し、センサの検出信号とエンコーダにより生成されるフィードバック信号とをエンコーダからサーボドライバに送信する技術が開示されている。当該技術によれば、センサをエンコーダに繋ぐことでセンサの検出信号をサーボドライバに渡すことができ、センサとサーボドライバ間の配線が長くなることを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6349687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の技術によれば、エンコーダは、フィードバック信号とセンサの検出信号とを1本のケーブルで出力することができるため、サーボドライバとエンコーダ間の配線を省力化することができる。しかしながら、サーボドライバによっては、フィードバック信号と検出信号とを夫々異なるケーブルから受信するように設計されているものもある。このようなサーボドライバに対しては上記エンコーダを採用することができなくなるため、上記エンコーダを採用することによる配線の省力化が困難となる。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、フィードバック信号と検出信号とを夫々異なるケーブルから受信するように設計されたサーボドライバに対して、フィードバック信号と検出信号とを1本のケーブルで出力するエンコーダの採用を可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る中継器は、サーボドライバにより駆動されるモータの動作を示すフィードバック信号と上記モータにより駆動される駆動対象の変位に関連するパラメータを検出するセンサから出力された検出信号とを第1の信号線を介して出力するエンコーダ
と、上記サーボドライバとの通信を中継する中継器である。上記第1の信号線が接続され、上記エンコーダからのフィードバック信号及び検出信号を含む入力信号の入力を受け付ける入力部と、第2の信号線が接続され、フィードバック信号及び検出信号を上記入力信号から分離し、分離した検出信号を第2の信号線を介して上記サーボドライバに出力する分離部と、第3の信号線が接続され、上記分離部によって入力信号から分離されたフィードバック信号を第3の信号線を介して上記サーボドライバに出力する通信部と、を備える。
【0008】
上記の中継器は、フィードバック信号とセンサの検出信号とを含む入力信号を第1の信号線を介して受信する。そして、中継器は、受信した入力信号から検出信号とフィードバック信号とを分離し、夫々を第2の信号線、第3の信号線を介して、サーボドライバに送信する。なお、センサとしては、駆動対象の位置に関連する原点センサ、限界センサ、リニアスケールとペアとなるフルクローズドセンサ等が例示できる。
【0009】
すなわち、本中継器は、1本の信号線を介してエンコーダから出力された入力信号をフィードバック信号と検出信号とに分離して、夫々を異なるケーブルで出力することができる。そのため、本中継器によれば、フィードバック信号と検出信号とを夫々異なるケーブルから受信するように設計されたサーボドライバに対して、フィードバック信号と検出信号とを1本のケーブルで出力するエンコーダの採用を可能とすることができる。
【0010】
上記中継器は、上記エンコーダを含む複数のエンコーダからの入力信号が入力可能に配置されるとともに、複数のエンコーダの夫々に対応するサーボドライバと通信可能に接続されてもよい。そして、上記分離部は、さらに、複数のエンコーダから入力された入力信号を、出力元エンコーダ毎にフィードバック信号と出力元エンコーダに関連付けられたセンサの検出信号とに分離し、分離した検出信号を出力元エンコーダに夫々対応するサーボドライバに送信してもよい。そして、通信部は、分離部によって分離されたフィードバック信号を、出力元エンコーダに夫々対応するサーボドライバに送信してもよい。このような中継器によれば、複数のエンコーダから入力信号が入力された場合に、フィードバック信号と検出信号とを出力元エンコーダに対応するサーボドライバに適切に振り分けて送信することができる。
【0011】
また、上記中継器は、さらに、上記サーボドライバのうちの第1サーボドライバによって駆動される第1モータの出力軸のみを駆動させて駆動対象を変位させる第1所定動作が行われたときに上記複数のエンコーダのうちのいずれかから検出信号を受信した場合、該検出信号を送信したセンサを、上記第1サーボドライバに紐付けられる第1対応センサと認識する第1処理部と、上記サーボドライバのうちの第2サーボドライバによって駆動される第2モータの出力軸のみを駆動させて上記第2モータによって駆動される第2駆動対象を変位させる第2所定動作が行われたときに上記複数のエンコーダのうちのいずれかから検出信号を受信した場合、該検出信号を送信したセンサを、上記第2サーボドライバに紐付けられる第2対応センサと認識する第2処理部と、を備えてもよい。
【0012】
第1所定動作では、上記第1モータのみが駆動され、サーボシステムに他の駆動軸がある場合は、他のモータは駆動されない。そのため、その第1所定動作が行われている期間において、センサにより何らかの検出信号が得られることは、当該センサは上記第1モータに関連するセンサであること、すなわち上記第1モータを駆動制御するサーボドライバに対応するセンサであることを意味する。なお、上記第1所定動作は、上記駆動対象が、一方の端部から移動開始し他方の端部に到達するまでの、該駆動対象の駆動可能な全範囲における移動動作であってもよいし、その他の形態の動作であってもよい。なお、第2所定動作では、上記第2モータのみが駆動され、サーボシステムに他の駆動軸がある場合は、他のモータは駆動されない。
【0013】
そこで、第1処理部は、第1所定動作が行われている期間において、センサから検出信号を受信した場合は、そのセンサを上記第1サーボドライバに対応するセンサ(対応センサ)として認識する。また、第2処理部は、第2所定動作が行われている期間において、センサから検出信号を受信した場合は、そのセンサを上記第2サーボドライバに対応するセンサ(対応センサ)として認識する。
【0014】
このように第1処理部と第2処理部によって、上記中継器は、第1サーボドライバによって受信されるように配置されるセンサ及び第2サーボドライバによって受信されるように配置されるセンサのそれぞれを好適に認識することができる。
【0015】
上述までの中継器は、第1処理部によって第1対応センサと認識されたセンサのセンサ種類を、第1対応センサと認識したときの駆動対象の駆動範囲における位置情報に基づいて判定し、第2処理部によって第2対応センサとして認識されたセンサのセンサ種類を、第2対応センサと認識したときの第2駆動対象の駆動範囲における位置情報に基づいて判定する判定部をさらに備えてもよい。対応センサの認識処理において、そのセンサ種類を判定することで、ユーザの利便性をさらに向上することができる。
【0016】
ここで、本発明をサーボシステムの側面から捉えることもできる。すなわち、サーボシステムは、サーボドライバにより駆動されるモータの動作を示すフィードバック信号と上記モータにより駆動される駆動対象の変位に関連するパラメータを検出するセンサから出力された検出信号とを第1の信号線を介して出力するエンコーダと、上記サーボドライバと上記エンコーダとの通信を中継する中継器と、を含む。そして、本サーボシステムにおける中継器は、上記第1の信号線が接続され、上記エンコーダからのフィードバック信号及び検出信号を含む入力信号の入力を受け付ける受付部と、第2の信号線が接続され、前記フィードバック信号及び前記検出信号を前記入力信号から分離し、分離した前記検出信号を前記第2の信号線を介して前記サーボドライバに出力する分離部と、第3の信号線が接続され、上記分離部によって入力信号から分離されたフィードバック信号を第3の信号線を介してサーボドライバに出力する通信部と、を備える。このような構成を採用することで、サーボシステムは、フィードバック信号と検出信号とを夫々異なるケーブルから受信するように設計されたサーボドライバに対して、フィードバック信号と検出信号とを1本のケーブルで出力するエンコーダの採用を可能とすることができる。
【発明の効果】
【0017】
フィードバック信号と検出信号とを夫々異なるケーブルから受信するように設計されたサーボドライバに対して、フィードバック信号と検出信号とを1本のケーブルで出力するエンコーダを採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係るサーボシステムの概略構成を示す第1の図である。
図2】モータの概略構成を示す第1の図である。
図3】中継器の機能的な構成を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係るサーボシステムの概略構成を示す第2の図である。
図5】中継器の分離部が有する機能的な構成を示す図である。
図6】センサ認識処理を実行する際に中継器において実行される処理の流れを示すフローチャートである。
図7図6に示すフローチャートのセンサ認識処理が行われた際の、PLC、中継器、サーボドライバ間で行われる具体的な処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。本開示では、サーボシステムの一つの例示的形態として、産業用システムを示す。しかしながら、本発明に係るサーボシステムの用途は特に限定されるものではない。
【0020】
<第1の実施形態>
図1は、サーボシステム100の構成例を概略的に示すブロック図である。図1を参照して、サーボシステム100は、PLC(Programmable Logic Controller)1と、サー
ボドライバ2と、中継器150とを含む。サーボドライバ2はサーボモータ3を駆動制御するように配置される。サーボモータ3の出力軸32は、カップリング51によって、ねじ軸52と繋がれている。ねじ軸52には精密ステージ53が配置され、サーボモータ(以下、「モータ」という)3の駆動により精密ステージ53が変位するように構成されている。精密ステージ53には、ワーク8が載せられている。このように図に示すサーボシステム100においては、モータ3による駆動軸の1本の駆動軸が設けられているが、駆動軸は2本以上設けられていてもよい。
【0021】
そして、モータ3による駆動軸においては、リニアスケール54と、原点センサ61と、限界センサ62、63と、フルクローズドセンサ64とが配置されている。これらのセンサは、検出対象である精密ステージ53の変位に関連するパラメータを検出する。
【0022】
原点センサ61は、精密ステージ53の原点位置を検出し、精密ステージ53が原点位置に到達したときにON信号を出力し、それ以外の位置にあるときはOFF信号を出力する。限界センサ62、63は、モータ3による駆動軸における精密ステージ53の可動範囲の端部位置を検出し、精密ステージ53が端部位置に到達したときにON信号を出力し、それ以外の位置にあるときはOFF信号を出力する。例えば、限界センサ62等がONした場合、モータ3が停止することで精密ステージ53が停止するように構成される。このような原点センサ61、限界センサ62、63には、光電センサ、近接センサ、ファイバセンサ等を用いることができる。また、別法として、原点センサや限界センサには、画像センサを用いてもよい。この場合、各センサによる検出信号は、画像信号となる。
【0023】
また、リニアスケール54は、ねじ軸52の軸方向に沿って設置される。リニアスケール54は、例えば反射型光電式のガラススケールであって、等ピッチのスリットが設けられている。そして、フルクローズドセンサ64は、精密ステージ53に設置されて、精密ステージ53と一体的に移動する。フルクローズドセンサ64は、発光部及び受光部(いずれも図示せず)を有する。発光部から出射された光は、対応するリニアスケール54のスリットで反射されて、受光部上に干渉縞を生成する。精密ステージ53が移動すると干渉縞も移動するため、受光部からの出力信号の強度は、精密ステージ53の移動に応じて変化する。したがって、受光部からの出力信号の強度変化を監視することにより、精密ステージ53の移動量を求めることができる。すなわち、フルクローズドセンサ64は、精密ステージ53の移動量を算出するための検出信号を出力し、その検出信号は、サーボドライバ2おけるフルクローズド制御に供される。
【0024】
ここで、PLC1は、サーボドライバ2に指令信号を出力する。PLC1は、予め準備されたプログラムに従う処理を実行することによって、たとえばサーボドライバ2の監視装置として機能する。
【0025】
そして、サーボドライバ2は、PLC1から指令信号を受ける。さらにサーボドライバ2は、モータ3らフィードバック信号を受けるとともに、対応する原点センサ61、限界センサ62、63あるいはフルクローズドセンサ64から出力される検出信号を受ける。サーボドライバ2においては、それぞれ、位置制御器、速度制御器、電流制御器等を利用
したフィードバック制御を行うサーボ系が形成されており、これらの信号を利用して、モータ3をサーボ制御し駆動する。
【0026】
また、モータ3は、モータ本体30とエンコーダ31とを含む。モータ3は、例えばACサーボモータである。モータ3は、サーボドライバ2からの駆動電流を、動力線40を介して給電される。エンコーダ31は、モータ本体30の動作を検出する。エンコーダ31は、検出された動作を示すフィードバック信号を、エンコーダケーブル41を介して中継器150に出力する。
【0027】
中継器150は、エンコーダケーブル41を介して入力された入力信号から、モータ本体30のフィードバック信号、原点センサ61、限界センサ62、63及びフルクローズドセンサ64の検出信号を分離し、分離した信号の夫々をケーブル81、82、83、84、85に出力する。
【0028】
続いて、各センサの配線について説明する。上記の通り、原点センサ61、限界センサ62、63及びフルクローズドセンサ64は、モータ3に関連する駆動軸に割り当てられる。そして、図1に示された形態においては、各センサからのセンサケーブルは、割り当てられている駆動軸のモータのエンコーダ31に接続される。
【0029】
次に、上記の通り、各センサがケーブルで接続されるエンコーダ31の機能的な構成について、図2に基づいて説明する。エンコーダ31は、信号生成部311と、入力部312と、A/D(アナログ-デジタル)変換部313と、通信部314と、電源供給部315と、表示部316とを含む。
【0030】
信号生成部311は、サーボドライバ2により駆動されるモータ3のモータ本体30の動作を検出して、検出された動作を示すフィードバック信号を生成する。フィードバック信号は通信部314に出力される。フィードバック信号には、例えばモータ本体30の回転軸の回転位置(角度)についての情報、当該回転軸の回転速度についての情報、当該回転軸の回転方向についての情報などが含まれる。信号生成部311の構成には、例えば公知のインクリメンタル型またはアブソリュート型の構成を適用することができる。
【0031】
入力部312は、各センサからの検出信号が入力される。本実施形態のエンコーダ31においては、原点センサ61のケーブル71、限界センサ62のケーブル72、限界センサ63のケーブル73、フルクローズドセンサ64のケーブル74が入力部312に接続される。入力部312は、例えば配線を接続するための端子台またはコネクタである。入力部312は、各ケーブルを介して、各センサからの検出信号を受けるための入力インターフェイスとして機能する。入力された検出信号は、入力部312からA/D変換部313に出力される。A/D変換部313は、入力部312からの検出信号をA/D変換して、その変換されたデジタル信号を通信部314に出力する。
【0032】
通信部314は、サーボドライバ2と通信するためのインターフェイスである。本実施の形態において、通信部314は、エンコーダケーブル41を介して、フィードバック信号及び各センサからの検出信号を送る。ここで、サーボドライバ2は、1本のエンコーダケーブル41でフィードバック信号と検出信号とを受信するようには設計されていない。そこで、本実施の形態では、エンコーダ31とサーボドライバ2との間の信号の送受信を中継する中継器150が設けられる。そして、エンコーダ31と中継器150とは、エンコーダケーブル41によって接続される。そして、通信部314は、フィードバック信号および各センサからの検出信号を中継器150を介してサーボドライバ2に送る。この実施の形態では、通信部314からのフィードバック信号及び検出信号の送信には、シリアル通信が適用される。これにより、ケーブルに含まれる信号線の本数を少なくすることが
できる。エンコーダケーブル41によるシリアル通信には、例えばRS-232C(Recommended Standards 232)、RS-422、あるいはRS-485などの公知の通信規
格を採用することができる。さらに、中継器150及びエンコーダケーブル41を介して、エンコーダ31はサーボドライバ2から電力が給電される。
【0033】
電源供給部315は、中継器150及びエンコーダケーブル41を介してサーボドライバ2から得た電力の一部を、ケーブルで接続された各センサに供給する機能部である。当該電力の一部は、通信部314から電源供給部315に渡される。なお、図2においては、入力部312に接続される各ケーブルと電源供給部315に接続される各ケーブルを別々に記載しているが、実際には同一のケーブルを介して、各センサからの検出信号の授受と電力の供給が行われる。
【0034】
表示部316は、各センサからの検出信号が入力部312に入力されたときに、その入力に応じて点灯するLEDである。すなわち、エンコーダ31には接続される各センサのケーブルの数に応じてLEDが配置されており、検出信号の入力があった場合にはその検出信号を送ってきたセンサに対応するLEDが点灯する。なお、表示部316は、LEDではなく液晶等のディスプレイでもよく、その場合、検出信号の入力があったセンサがそのディスプレイに表示されてもよい。
【0035】
サーボドライバ2とエンコーダ31との信号のやりとりを中継する中継器150の機能的な構成について、図3に基づいて説明する。中継器150は、入力部151と、分離部152と、通信部153と、電源供給部154とを含む。
【0036】
入力部151は、フィードバック信号及び各センサからの検出信号を含む信号がエンコーダケーブル41を介して入力される。入力部151は、例えばエンコーダケーブル41を接続するための端子台またはコネクタである。入力部151は、エンコーダケーブル41を介して、フィードバック信号及び各センサからの検出信号を含む信号を受けるための入力インターフェイスとして機能する。入力部151に入力された信号は、入力部151から分離部152に出力される。
【0037】
分離部152は、入力部151から入力された信号からフィードバック信号及び各センサからの検出信号を分離する。分離部152は、例えばケーブル81、82、83、84の夫々を接続するための端子台またはコネクタを含む。分離したフィードバック信号は、分離部152から通信部153に入力され、通信部153からケーブル85に出力される。また、分離した各センサの検出信号は、夫々異なるケーブル81、82、83、84に出力される。例えば、原点センサ61の検出信号はケーブル81に、限界センサ62からの検出信号はケーブル82に、限界センサ63からの検出信号はケーブル83に、フルクローズドセンサ64からの検出信号はケーブル84に、夫々出力される。各センサの検出信号の夫々をいずれのケーブルに出力するかは、例えば、PLC1によって指定される。分離部152は、例えば、演算装置、記憶装置等を含み、上記分離部152の処理は、分離部152において所定のプログラム等が実行されることで実現される。
【0038】
電源供給部154は、サーボドライバ2から得た電力の一部を、エンコーダケーブル41で接続されたエンコーダ31に供給する機能部である。当該電力の一部は、通信部153から電源供給部154に渡される。なお、図3においては、入力部151に接続されるエンコーダケーブル41と電源供給部154に接続されるエンコーダケーブル41を別々に記載しているが、実際には同一のケーブルを介して、各センサからの検出信号の授受と電力の供給が行われる。
【0039】
本実施形態では、フィードバック信号及び各センサからの検出信号を含む信号がエンコ
ーダ31からエンコーダケーブル41を介して中継器150に入力される。中継器150は、入力された信号からフィードバック信号と各センサの検出信号とを分離し、分離した信号の夫々をケーブル81、82、83、84、85に出力する。そのため、本実施形態によれば、フィードバック信号と検出信号の夫々を異なるケーブルを介して受信するように設計されたサーボドライバ2に対して、各センサから入力された検出信号とフィードバック信号とを一本のエンコーダケーブル41で出力するエンコーダ31を適用することができる。
【0040】
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、中継器150には、ひとつのサーボドライバ2が接続される。第2の実施形態では、中継器150に2つのサーボドライバが接続される例について説明する。第1の実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0041】
図4は、第2の実施形態に係るサーボシステムの概略構成を示す図である。サーボシステム100aでは、サーボドライバ2に加えてサーボドライバ2aを含む。サーボドライバ2とサーボドライバ2aとは通信ケーブル42により接続される。サーボドライバ2aはモータ3aを駆動制御するように配置される。モータ3aの出力軸32aは、カップリング51aによって、ねじ軸52aと繋がれている。ねじ軸52aには精密ステージ53aが配置され、モータ3aの駆動により精密ステージ53aが変位するように構成されている。精密ステージ53aには、ワーク8aが載せられている。
【0042】
モータ3aは、サーボドライバ2aからの駆動電流を、動力線40aを介して給電され
る。エンコーダ31aは、モータ本体30aの動作を検出し、検出した動作を示すフィードバック信号を、エンコーダケーブル41aを介してサーボドライバ2aに出力する。
【0043】
そして、モータ3aによる駆動軸においては、リニアスケール54aと、原点センサ61aと、限界センサ62a、63aと、フルクローズドセンサ64aとが配置されている。エンコーダ31aは、エンコーダ31とは異なり、センサの入力を受け付けるようには設計されていない。そこで、第2の実施形態では、原点センサ61aと、限界センサ62a、
63aと、フルクローズドセンサ64aからの検出信号は、ケーブル71a、72a、7
3a、74aを介して、エンコーダ31に入力されるようになっている。エンコーダ31は、原点センサ61aと、限界センサ62a、63aと、フルクローズドセンサ64aからの検出信号もエンコーダケーブル41を介して中継器150に出力する。
【0044】
第2の実施形態においても、中継器150は、エンコーダケーブル41を介して受信した信号から、フィードバック信号と各センサの検出信号とを分離する。上記の通り、第2の実施形態においては、サーボドライバ2に入力されるべき検出信号及びサーボドライバ2aに入力されるべき検出信号の双方が中継器150に入力される。
【0045】
各センサからの検出信号は、それを必要とする特定のサーボドライバまで到達する必要がある。原点センサ61、限界センサ62、63、フルクローズドセンサ64の検出信号は、サーボドライバ2に入力されるべき検出信号である。また、原点センサ61a、限界センサ62a、63a、フルクローズドセンサ64aの検出信号は、サーボドライバ2aに入力されるべき検出信号である。そのため、中継器150は、原点センサ61、限界センサ62、63、フルクローズドセンサ64の検出信号をサーボドライバ2に転送し、原点センサ61a、限界センサ62a、63a、フルクローズドセンサ64aの検出信号をサーボドライバ2aに転送する。
【0046】
このように検出信号を各サーボドライバに振り分けるためには、検出信号を送信するセンサと、その検出信号の宛先に対応するサーボドライバとの紐付け、すなわち中継器15
0による対応センサ(当該サーボドライバに対応するセンサ)の認識処理が必要となる。以下に、当該認識処理について説明する。
【0047】
ここで、図5に中継器150の分離部152が有する機能部の概略構成を示す。分離部152が所定のプログラム等を実行することで、図5に示す各機能部が実現される。分離部152は、記憶部1521、第1処理部1522、第2処理部1523、判定部1524、振り分け部1525を有するが、これら以外の機能部を有していても構わない。
【0048】
振り分け部1525は、入力部151から渡された信号からフィードバック信号と検出信号とを分離する。そして、分離したフィードバック信号を通信部153へ出力する。また、振り分け部1525は、後述の第1所定動作が行われているときには分離した検出信号を第1処理部1522に出力し、後述の第2所定動作が行われているときには分離した検出信号を第2処理部1523に出力する。
【0049】
記憶部1521は、分離部152による対応センサの認識処理に必要な情報等のように、分離部152で行われる処理に関連する情報を記憶する機能部である。なお、後述する対応センサの認識処理によって決定される、サーボドライバと各センサとの紐付け関係を表す情報(対応関係情報)が、当該記憶部1521に記憶される。そして、記憶された当該対応関係情報に基づいて、分離部152は、各センサから送られてくる検出信号の宛先を振り分け、宛先のサーボドライバに対して特定のセンサからの検出信号を送り出す処理を行う。
【0050】
第1処理部1522は、モータ3の出力軸32を駆動させて精密ステージ53を変位させる第1所定動作が行われたときに特定のセンサから検出信号を受信した場合、その特定のセンサをサーボドライバ2に紐付けられる対応センサと認識する機能部である。第1所定動作は、例えば、エンコーダケーブル41を介した中継器150からの指示に応じて、エンコーダ31がモータ3を制御することで実現される。当該特定のセンサは、まだ分離部152によって認識処理はされていないがその検出信号が中継器150によって受信されるように配置されており、最終的にサーボドライバ2に割り当てられるべきセンサであって、本実施形態の場合、原点センサ61、限界センサ62、63、フルクローズドセンサ64が該当する。なお、第1所定動作は、精密ステージ53が、一方の端部から移動開始し他方の端部に到達するまでの、その駆動可能な全範囲における移動動作である。
【0051】
第2処理部1523は、モータ3aの出力軸32aを駆動させて精密ステージ53aを変位させる第2所定動作が行われたときに特定のセンサから検出信号を受信した場合、その特定のセンサをサーボドライバ2aに紐付けられる対応センサと認識する機能部である。第2所定動作は、例えば、エンコーダケーブル41aを介した中継器150からの指示に応じて、エンコーダ31aがモータ3aを制御することで実現される。当該特定のセンサは、まだ分離部152によって認識処理はされていないがその検出信号が中継器150によって受信されるように配置されており、最終的にサーボドライバ2aに割り当てられるべきセンサであって、本実施形態の場合、原点センサ61a、限界センサ62a、63a、フルクローズドセンサ64aが該当する。なお、第2所定動作は、精密ステージ53aが、一方の端部から移動開始し他方の端部に到達するまでの、その駆動可能な全範囲における移動動作である。
【0052】
判定部1524は、第1処理部1522により認識されたセンサや第2処理部1523により認識されたセンサのセンサ種類を、各センサが認識されたときの精密ステージ53、53aの位置情報に基づいて判定する機能部である。各原点センサ61、61a、限界センサ62、63、62a、63a、フルクローズドセンサ64、64aは、精密ステージ53、53aの変位に従ってその検出信号が変動することから、その検出信号は精密ス
テージ53、53aの位置と強い相関がある。その相関性を利用して、判定部1524によるセンサ種類の判定処理が行われる。第1処理部1522、第2処理部1523による認識処理の結果や判定部1524によるセンサ種類が判定結果は、記憶部1521に記憶される。
【0053】
そして、振り分け部1525は、記憶部1521に第1処理部1522、第2処理部1523による認識処理の結果や判定部1524によるセンサ種類の判定結果が記憶されている場合には、記憶部1521に記憶された情報にしたがって、各センサの検出信号の夫々を、ケーブル81、82、83、84、91、92、93、94を介して、紐付けられたサーボドライバに出力する。
【0054】
次に、これらの機能部が協働することで実現されるセンサ認識処理について、図6及び図7に基づいて説明する。図6は、中継器150で行われる処理の流れを概略的に示したフローチャートであり、図7は、センサ認識処理が実行される際の、PLC1、中継器150間における処理の流れを概略的に示したフローチャートである。
【0055】
先ず、図6に基づいて、中継器150で行われる処理の流れについて説明する。図6に示す処理は、所定の時間間隔で繰返し実行される。先ず、S101では、PLC1からセンサ認識処理を実行する旨の指示が到達したか否かが判定される。S101で肯定判定されると処理はS102へ進み、否定判定されると処理は一旦終了する。
【0056】
S102では、PLC1から届いたセンサ認識処理の指示に従って、中継器150は、サーボドライバ2に第1所定動作の指示を行う。ここで、第1所定動作や第2所定動作によるスキャン動作は、センサ認識処理が行われる各駆動軸において、対応するモータのみが駆動したときにその駆動動作に呼応する形で検出信号が出されるセンサを抽出するために、その駆動軸の一方の端部から他方の端部まで、すなわち可動範囲の全てにおいて精密ステージを移動させるモータの動作である。より具体的には、ねじ軸52に沿った可動範囲の一方の端部に設けられているストッパ(図示せず)に精密ステージ53が接触した状態から、他方の端部に設けられているストッパ(図示せず)に精密ステージ53が接触するまで、モータ3を低速且つ一定速度で駆動させる。なお、この駆動の際、モータ3はトルク制御が行われることで、精密ステージ53がストッパに接触した際の衝撃を可及的に軽減させている。
【0057】
S103では、第1所定動作によるスキャン動作、すなわちモータ3によるスキャン動作が開始される。この場合、ねじ軸52の一方の端部に限界センサ62が配置され、他方の端部に限界センサ63が配置されているとすると、当該スキャン動作により、限界センサ62、原点センサ61、限界センサ63の順序で検出信号が各センサから接続先のエンコーダ31を介して中継器150に送られることになる。さらに、フルクローズドセンサ64からの検出信号は、スキャン動作が行われている間は終始、中継器150に送信されることになる。また、エンコーダ31には表示部316が設けられており、各センサからの検出信号が各エンコーダに入力されると、検出信号の入力タイミングにおいて表示部316のダイオードが点灯する。これにより、ユーザは、センサの検出信号の入力を視認できる。なお、各センサからの検出信号には、信号を生成したセンサを識別するための識別情報が含まれており、エンコーダ31から検出信号を受け取った中継器150は、どのセンサからの検出信号であるかは把握できる。S103の処理が終了すると、S104へ進む。
【0058】
S104では、S103で開始されたスキャン動作に従って、第1処理部1522によるセンサ認識処理が行われる。具体的には、第1所定動作によるスキャン動作に伴って原点センサ61、限界センサ62、63及びフルクローズドセンサ64の検出信号が中継器
150に到達することで、第1処理部1522によりこれらのセンサがサーボドライバ2に対応するセンサであることを認識する。
【0059】
さらに、S104では、判定部1524によるセンサ種類の判定が行われる。具体的には、限界センサ62、63、原点センサ61、フルクローズドセンサ64のうち、精密ステージ53の位置が可動範囲の最も外側に位置する際に検出信号を出すのが限界センサ62、63であるから、その検出信号が出された際の精密ステージ53の位置情報(最も外側に位置することを意味する位置情報)に基づいてセンサ種類を「限界センサ」と判定することができる。また、精密ステージ53の可動範囲の途中で検出信号を出すセンサの種類を「原点センサ」と判定することができる。また、スキャン動作が行われている間、すなわち精密ステージ53の位置にかかわらず常時検出信号が出されているセンサについては、その種類を「フルクローズドセンサ」と判定することができる。S104の処理が終了するとS105へ進む。
【0060】
S105では、第2所定動作によるスキャン動作、すなわちモータ3aによるスキャン動作が開始される。モータ3aによるスキャン動作の詳細は、S102と同様であるため、その説明を省略する。S106では、S103と同様に、各センサからの検出信号が中継器150に入力される。S107では、センサ認識処理及びセンサ種類の判定が行われる。センサ認識処理及びセンサ種類の判定処理の詳細は、S104における処理と同様であるため、その説明を省略する。S106及びS107の処理により、第2所定動作によるスキャン動作に伴って原点センサ61a、限界センサ62a、63a及びフルクローズドセンサ64aの検出信号が中継器150に到達することで、第2処理部1523によりこれらのセンサがサーボドライバ2aに対応するセンサであることを認識する。
【0061】
S108では、S104及びS107によるセンサ認識処理の結果が記憶部1521に記憶される。以上の処理により、サーボドライバ2に対応するセンサとして、原点センサ61、限界センサ62、63、フルクローズドセンサ64が認識されたたことになる。また、サーボドライバ2aに対応するセンサとして、原点センサ61a、限界センサ62a、63a、フルクローズドセンサ64aが認識されたことになる。
【0062】
次に、図6に示す処理が中継器150で実行されたときの、PLC1、中継器150、サーボドライバ2、2a間のやり取りについて、図7に基づいて説明する。先ず、S11でPLC1から中継器150及びサーボシステム100aに含まれるすべてのサーボドライバ2、2aに対してセンサ認識処理の指示が出される。この指示に従って、図6に示した処理が中継器150及び各サーボドライバで実行されることになる。そして、S21の処理の処理によって、先ずS31でサーボドライバ2においてモータ3が駆動されてスキャン動作が開始される(図6のS102の処理を参照)。このとき、モータ3aは停止している(S41の処理を参照)。そして、そのスキャン動作に伴って、原点センサ61、限界センサ62、63及びフルクローズドセンサ64の検出信号がエンコーダ31から中継器150に送信される(S22)。
【0063】
第1所定動作が終了すると、サーボドライバ2は、S32でモータ3を停止し、S33で第1所定動作の終了を中継器150に通知する。第1所定動作の終了を通知された中継器150は、S23で、それまでに検出信号を受信した原点センサ61、限界センサ62、63、フルクローズドセンサ64をサーボドライバ2に対応するセンサとして認識し、さらに、S24で、各センサのセンサ種類を判定する(図6のS104の処理を参照)。
【0064】
センサ種類の判定が終了すると、中継器150は、S25で、第2所定動作を行うようサーボドライバ2aに通知する。これにより、サーボドライバ2aは、自己の駆動軸においてスキャン動作を行う順番が到来したことを知る。
【0065】
次に、S42では、サーボドライバ2aにおいてモータ3aが駆動されてスキャン動作が開始される(図6のS105の処理を参照)。そして、そのスキャン動作に伴って、原点センサ61a、限界センサ62a、63a及びフルクローズドセンサ64aの検出信号が各センサからエンコーダ31に送信される。そして、中継器150は、各センサからの検出信号をエンコーダ31から受信する(S26)。
【0066】
これらの検出信号を受信した中継器150は、S27で、原点センサ61a、限界センサ62a、63a及びフルクローズドセンサ64aをサーボドライバ2aに対応するセンサとして認識し、さらに、S28で、各センサのセンサ種類を判定する(図6のS107の処理を参照)。センサ認識の結果及びセンサ種類の判定結果は、中継器150の記憶部1521に格納される(S29)。その後、中継器150は、S2Aで、全ての駆動軸でのスキャン動作が終了した旨をPLC1に通知する。これにより、PLC1は、S12で、センサ認識処理が完了したことを知る。
【0067】
上述までのサーボシステム100aにおけるセンサ認識処理が行われることで、中継器150は、サーボドライバ2、2aのそれぞれに対応するセンサを認識することができ、この結果、各センサの検出信号が、割り当てられたサーボドライバに好適に届けられることになる。
【0068】
なお、図4では、エンコーダ31aのフィードバック信号はサーボドライバ2aに入力され、原点センサ61a、限界センサ62a、63a及びフルクローズドセンサ64aの検出信号はエンコーダ31を介して中継器150に入力されたが、エンコーダ31aのフィードバック信号及び、原点センサ61a、限界センサ62a、63a及びフルクローズドセンサ64aの検出信号を含む入力信号も中継器150に入力されてもよい。そして、中継器150の分離部152は、入力部151で入力を受け付けた入力信号を、入力部151から受け取った入力信号を対応するエンコーダ毎(エンコーダ31、31a)にフィードバック信号と検出信号とに分離してもよい。そして、分離部152は、分離した検出信号の夫々をサーボドライバ2、2aに出力し、通信部153は分離部152によって分離されたフィードバック信号をサーボドライバ2、2aに出力してもよい。いずれの信号をいずれのサーボドライバに出力するかは、例えば、PLC1から受信した信号とサーボドライバとを対応付ける情報に基づいて決定してもよいし、上述の第1所定動作及び第2所定動作を用いて決定してもよい。
【0069】
<付記1>
サーボドライバ(2)により駆動されるモータ(3)の動作を示すフィードバック信号と前記モータ(3)により駆動される駆動対象(53)の変位に関連するパラメータを検出するセンサ(61、62、63、64)から出力された検出信号とを第1の信号線(41)を介して出力するエンコーダ(31)と、前記サーボドライバ(2)との通信を中継する中継器(150)であって、
前記第1の信号線(41)が接続され、前記エンコーダ(31)からの前記フィードバック信号及び前記検出信号を含む入力信号の入力を受け付ける入力部(151)と、
第2の信号線(81、82、83、84)が接続され、前記フィードバック信号及び前記検出信号を前記入力信号から分離し、分離した前記検出信号を前記第2の信号線を介して前記サーボドライバに出力する分離部(152)と、
第3の信号線(85)が接続され、前記分離部(152)によって前記入力信号から分離された前記フィードバック信号を前記第3の信号線(85)を介して前記サーボドライバ(2)に出力する通信部(153)と、を備える、
中継器。
【0070】
<付記2>
サーボドライバ(2)により駆動されるモータの動作を示すフィードバック信号と前記モータ(3)により駆動される駆動対象(53)の変位に関連するパラメータを検出するセンサ(61、62、63、64)から出力された検出信号とを第1の信号線(41)を介して出力するエンコーダ(31)と、
前記サーボドライバ(2)と前記エンコーダ(31)との通信を中継する中継器(150)と、
を含むサーボシステム(100)であって、
前記中継器(150)は、
前記第1の信号線(41)が接続され、前記エンコーダ(2)からの前記フィードバック信号及び前記検出信号を含む入力信号の入力を受け付ける入力部(151)と、
第2の信号線(81、82、83、84)が接続され、前記フィードバック信号及び前記検出信号を前記入力信号から分離し、分離した前記検出信号を前記第2の信号線を介して前記サーボドライバに出力する分離部(152)と、
第3の信号線(85)が接続され、前記分離部によって前記入力信号から分離された前記フィードバック信号を前記第3の信号線(85)を介して前記サーボドライバ(2)に出力する通信部(153)と、を備える、
サーボシステム。
【符号の説明】
【0071】
1 PLC
2、2a サーボドライバ
3、3a モータ
30、30a モータ本体
31、31a エンコーダ
32、32a 出力軸
53、53a 精密ステージ
54、54a リニアスケール
61、61a 原点センサ
62、62a、63、63a 限界センサ
64、64a フルクローズドセンサ
100、100a サーボシステム
150 中継器
151 入力部
152 分離部
153 通信部
154 電源供給部
1521 記憶部
1522 第1処理部
1523 第2処理部
1524 判定部
1525 振り分け部
311 信号生成部
312 入力部
314 通信部
315 電源供給部
316 表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7