(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】推力発生装置
(51)【国際特許分類】
B64C 27/68 20060101AFI20241106BHJP
B64D 27/30 20240101ALI20241106BHJP
B64C 11/32 20060101ALI20241106BHJP
B64C 27/605 20060101ALI20241106BHJP
F16H 25/08 20060101ALI20241106BHJP
F16H 25/22 20060101ALI20241106BHJP
F16C 35/077 20060101ALI20241106BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20241106BHJP
H02K 7/06 20060101ALI20241106BHJP
H02K 7/08 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
B64C27/68
B64D27/30
B64C11/32
B64C27/605
F16H25/08
F16H25/22 Z
F16C35/077
H02K7/14 A
H02K7/06 A
H02K7/08 Z
(21)【出願番号】P 2021050763
(22)【出願日】2021-03-24
【審査請求日】2023-10-11
(31)【優先権主張番号】P 2020137315
(32)【優先日】2020-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】郡司 大輔
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 浩保
(72)【発明者】
【氏名】居 超
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-52227(JP,A)
【文献】特開2000-345993(JP,A)
【文献】特開2018-207593(JP,A)
【文献】実開昭59-50899(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2008/0111399(US,A1)
【文献】特開2010-138912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 27/68,27/59,11/30,
B64D 27/30,
B64U 10/13,30/21,50/19,50/23,
H02K 7/06, 7/08, 7/14,
F16C 35/077,
F16H 25/08,25/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転翼の推力を発生させる第1モータと、
前記回転翼のピッチ角を変化させる回転運動を発生させる第2モータと、
前記第2モータの回転運動を直線運動に変換する第1変換部と、
前記第1変換部で変換された直線運動を回転運動に変換する第2変換部とを備え、
前記第1モータは、
ロータと、
ステータと、
前記ロータと対向する位置に前記ステータを収容可能なステータケースと、
前記ロータのロータ軸を回転自在に支持する軸受とを備え、
前記ステータケースは、前記軸受にかかるアキシアル荷重を受ける第1荷重受部を備え、
前記第1荷重受部は、前記アキシアル荷重の方向に応じて耐荷重が異な
る一方、前記軸受の外輪の軸方向端面のうちの飛翔体の装着面側にのみ設けられ、かつ、前記軸受の外輪の当該装着面側の軸方向端面に接触可能な第1段差を備え、
前記ロータ軸は、当該ロータ軸に一体形成された前記軸受にかかるアキシアル荷重を受ける第2荷重受部を備え、
前記第2荷重受部は、前記アキシアル荷重の方向に応じて耐荷重が異なる一方、前記飛翔体の装着面の反対側にのみ設けられ、かつ、前記軸受の内輪の当該反対側の軸方向端面に接触可能な第2段差を備え、
前記回転翼の回転運動によって、前記第1モータを前記装着面の反対側から前記装着面側に押す推力を発生する推力発生装置。
【請求項2】
前記軸受の外輪の軸方向端面のうちの、飛翔体の装着面の反対側に設けられ、前記ステータケースに装着可能なプレートを備えることを特徴とする請求項
1に記載の推力発生装置。
【請求項3】
前記ステータケースは、
前記軸受を介して前記ロータ軸を支持する内径部と、
前記内径部の径方向外側に設けられ、前記ロータと対向する位置で前記ステータを支持するフレームとを備えることを特徴とする請求項1
または2に記載の推力発生装置。
【請求項4】
前記軸受の内輪の軸方向端面のうちの、飛翔体の装着面側に設けられ、前記ロータ軸に装着可能なスナップリングを備えることを特徴とする請求項
1から3のいずれか1項に記載の推力発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、推力発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧を用いることなく、電動でプロペラ(回転翼)の回転軸に対する取付角度であるピッチを可変にする技術として、例えば、特許文献1に開示がある。この技術では、回転主軸は水車軸と発電機軸とからなり、入力軸は発電機軸の先端に配置され、駆動源である電動機からの動力が減速機および作動装置を介して入力軸に伝達増幅される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
飛翔体の推力を発生させるために、電動機が飛翔体に搭載されることがある。この場合、飛翔体の推力を向上させるために、電動機を軽量化するのが好ましいが、特許文献1には、電動機の軽量化に関する開示はない。
そこで、本発明は、回転翼の推力を受け止めつつ、推力を発生させるモータを軽量化することが可能な推力発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る推力発生装置によれば、回転翼の推力を発生させる第1モータと、前記回転翼のピッチ角を変化させる回転運動を発生させる第2モータと、前記第2モータの回転運動を直線運動に変換する第1変換部と、前記第1変換部で変換された直線運動を回転運動に変換する第2変換部とを備え、前記第1モータは、ロータと、ステータと、前記ロータと対向する位置に前記ステータを収容可能なステータケースと、前記ロータのロータ軸を回転自在に支持する軸受とを備え、前記ステータケースは、前記軸受にかかるアキシアル荷重を受ける第1荷重受部を備え、前記第1荷重受部は、前記アキシアル荷重の方向に応じて耐荷重が異なる。
【0006】
これにより、軸受にかかるアキシアル荷重をステータケース側で受ける場合、アキシアル荷重が大きい方向では耐荷重を大きくし、アキシアル荷重が小さい方向では耐荷重を小さくすることができる。このため、アキシアル荷重が大きい方向では第1荷重受部の強度を大きくし、アキシアル荷重が小さい方向では第1荷重受部の強度を小さくすることができ、回転翼の推力を受け止めつつ、推力を発生させる第1モータを軽量化することができる。
【0007】
また、本発明の一態様に係る推力発生装置によれば、前記第1荷重受部は、単方向のアキシアル荷重に対してのみ耐荷重を有する。
【0008】
これにより、軸受にかかるアキシアル荷重をステータケース側で受ける場合、アキシアル荷重がかかる方向にのみ耐荷重を持たせることができ、アキシアル荷重がかからない方向では耐荷重を持たせるための構造を省略することができる。このため、双方向のアキシアル荷重に対して耐荷重を持たせた場合に比べて、ステータケースを軽量化することができ、回転翼の推力を受け止めつつ、推力を発生させる第1モータを軽量化することができる。
【0009】
また、本発明の一態様に係る推力発生装置によれば、前記第1荷重受部は、前記ステータケースに設けられた第1段差を備え、前記第1段差は、前記軸受の外輪の軸方向端面に接触可能である。
【0010】
これにより、軸受を介して回転自在にロータ軸を支持しつつ、軸受の外輪にかかるアキシアル荷重を第1段差で受け止めることができる。このため、ステータケースの構成の複雑化を抑制しつつ、回転翼の推力を受け止めることができ、推力を発生させる第1モータを軽量化することができる。
【0011】
また、本発明の一態様に係る推力発生装置によれば、前記第1段差は、前記軸受の外輪の軸方向端面のうちの、飛翔体の装着面側にのみ設けられる。
【0012】
これにより、軸受の外輪の軸方向端面のうちの、飛翔体の装着面側にかかるアキシアル荷重を第1段差で受け止めることが可能となるとともに、軸受の外輪の軸方向端面の他方の側では段差を設ける必要がなくなり、ステータケースを薄肉化することができる。このため、回転翼の推力を受け止めつつ、推力を発生させる第1モータを軽量化することができる。
【0013】
また、本発明の一態様に係る推力発生装置によれば、前記軸受の外輪の軸方向端面のうちの、飛翔体の装着面の反対側に設けられ、前記ステータケースに装着可能なプレートを備える。
【0014】
これにより、軸受の外輪の軸方向端面のうちの、飛翔体の装着面側にのみ第1段差が設けられている場合においても、第1モータの高重量化を抑制しつつ、軸受を位置決めすることができる。
【0015】
また、本発明の一態様に係る推力発生装置によれば、前記ステータケースは、前記軸受を介して前記ロータ軸を支持する内径部と、前記内径部の径方向外側に設けられ、前記ロータと対向する位置で前記ステータを支持するフレームとを備える。
【0016】
これにより、ロータ軸の径方向外側にロータが設けられている場合においても、ロータ軸を回転自在に支持させつつ、ステータとロータとを対向配置することができる。
【0017】
また、本発明の一態様に係る推力発生装置によれば、前記ロータ軸は、前記軸受にかかるアキシアル荷重を受ける第2荷重受部を備え、前記第2荷重受部は、前記アキシアル荷重の方向に応じて耐荷重が異なる。
【0018】
これにより、軸受にかかるアキシアル荷重をロータ軸側で受ける場合、アキシアル荷重が大きい方向では耐荷重を大きくし、アキシアル荷重が小さい方向では耐荷重を小さくすることができる。このため、アキシアル荷重が大きい方向では第2荷重受部の強度を大きくし、アキシアル荷重が小さい方向では第2荷重受部の強度を小さくすることができ、回転翼の推力を受け止めつつ、推力を発生させる第1モータを軽量化することができる。
【0019】
また、本発明の一態様に係る推力発生装置によれば、前記第2荷重受部は、単方向のアキシアル荷重に対してのみ耐荷重を有する。
【0020】
これにより、軸受にかかるアキシアル荷重をロータ軸側で受ける場合、アキシアル荷重がかかる方向にのみ耐荷重を持たせることができ、アキシアル荷重がかからない方向では耐荷重を持たせるための構造を省略することができる。このため、双方向のアキシアル荷重に対して耐荷重を持たせた場合に比べて、ステータケースを軽量化することができ、回転翼の推力を受け止めつつ、推力を発生させる第1モータを軽量化することができる。
【0021】
また、本発明の一態様に係る推力発生装置によれば、前記第2荷重受部は、前記ロータ軸に設けられた第2段差を備え、前記第2段差は、前記軸受の内輪の軸方向端面に接触可能である。
【0022】
これにより、軸受を介して回転自在にロータ軸が支持されるのを可能としつつ、軸受の内輪にかかるアキシアル荷重を第2段差で受け止めることができる。このため、ステータケースの構成の複雑化を抑制しつつ、回転翼の推力を受け止めることができ、推力を発生させる第1モータを軽量化することができる。
【0023】
また、本発明の一態様に係る推力発生装置によれば、前記第2段差は、前記軸受の内輪の軸方向端面のうちの、飛翔体の装着面の反対側にのみ設けられる。
【0024】
これにより、軸受の内輪の軸方向端面のうちの、飛翔体の装着面の反対側にかかるアキシアル荷重を第2段差で受け止めることが可能となるとともに、軸受の内輪の軸方向端面の他方の側では段差を設ける必要がなくなり、ロータ軸を薄肉化することができる。このため、回転翼の推力を受け止めつつ、推力を発生させる第1モータを軽量化することができる。
【0025】
また、本発明の一態様に係る推力発生装置によれば、前記軸受の内輪の軸方向端面のうちの、飛翔体の装着面側に設けられ、前記ロータ軸に装着可能なスナップリングを備える。
【0026】
これにより、軸受の内輪の軸方向端面のうちの、飛翔体の装着面の反対側にのみ第2段差が設けられている場合においても、第1モータの高重量化を抑制しつつ、軸受を位置決めすることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の一つの態様によれば、回転翼の推力を受け止めつつ、推力を発生させるモータを軽量化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1(a)は、第1実施形態に係る推力発生装置に回転翼を取り付けた状態を示す斜視図、
図1(b)および
図1(c)は、第1実施形態に係る推力発生装置に取り付けられた回転翼のピッチ角を変化させた状態を示す側面図である。
【
図2】
図2は、
図1(a)の推力発生装置を回転軸の一端側から見たときの構成を分解して示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1(a)に示す推力発生装置を回転軸の他端側から見たときの構成を分解して示す斜視図である。
【
図4】
図4(a)は、
図2に示す推力発生装置の組み立て後の構成を示す斜視図、
図4(b)は、
図3に示す推力発生装置の組み立て後の構成を示す斜視図である。
【
図5】
図5(a)は、第1実施形態に係る推力発生装置の構成を示す平面図、
図5(b)は、
図5(a)のA-A線に沿って切断した断面図である。
【
図6】
図6(a)は、第1実施形態に係る推力発生装置の構成を示す平面図、
図6(b)は、
図6(a)のB-B線に沿って切断した断面図である。
【
図7】
図7(a)は、第1実施形態に係る推力発生装置の推力発生用モータの構成を示す平面図、
図7(b)は、
図7(a)のC-C線に沿って切断した断面図である。
【
図8】
図8(a)は、
図6のピッチ可変用モータ、垂直伝達部および回転直動変換部の構成を示す斜視図、
図8(b)は、
図8(a)のピッチ可変用モータ、垂直伝達部および直動案内部を除去した構成を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、
図1(b)のハブの構成を分解して示す斜視図である。
【
図10】
図10は、ラックが取り付けられた直動体とピニオンとの位置関係を示す上面図である。
【
図11】
図11(a)は、
図1(b)の回転翼のピッチ角に対応した直動体の位置を示す斜視図、
図11(b)は、
図1(c)の回転翼のピッチ角に対応した直動体の位置を示す斜視図である。
【
図13】
図13は、
図1(a)の推力発生用モータを斜め上方から見たときの構成を分解して示す斜視図である。
【
図14】
図14は、
図1(a)の推力発生用モータを斜め下方から見たときの構成を分解して示す斜視図である。
【
図15】
図15(a)は、第2実施形態に係る推力発生装置に回転翼を取り付けた状態を示す斜視図、
図15(b)および
図15(c)は、第2実施形態に係る推力発生装置に取り付けられた回転翼のピッチ角を変化させた状態を示す側面図である。
【
図16】
図16は、
図15(a)の推力発生装置を回転軸の一端側から見たときの構成を分解して示す斜視図である。
【
図17】
図17は、
図15(a)に示す推力発生装置を回転軸の他端側から見たときの構成を分解して示す斜視図である。
【
図18】
図18(a)は、
図16に示す推力発生装置の組み立て後の構成を示す斜視図、
図18(b)は、
図17に示す推力発生装置の組み立て後の構成を示す斜視図である。
【
図19】
図19(a)は、第2実施形態に係る推力発生装置の構成を示す平面図、
図19(b)は、
図19(a)のA-A線に沿って切断した断面図である。
【
図20】
図20(a)は、第2実施形態に係る推力発生装置の構成を示す平面図、
図20(b)は、
図20(a)のB-B線に沿って切断した断面図である。
【
図21】
図21は、
図15(b)のハブおよびエクステンションの構成を分解して示す斜視図である。
【
図22】
図22は、
図15(b)の装着部、ケースおよびエクステンションの構成を分解して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は本発明を限定するものではなく、実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の構成に必須のものとは限らない。実施形態の構成は、本発明が適用される装置の仕様や各種条件(使用条件、使用環境等)によって適宜修正または変更され得る。本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定され、以下の個別の実施形態によって限定されない。また、以下の説明に用いる図面は、各構成を分かり易くするため、実際の構造と縮尺および形状などを異ならせることがある。
【0030】
以下の説明では、推力発生装置で駆動される回転翼が3枚の場合を例にとるが、推力発生装置で駆動される回転翼は、必ずしも3枚に限定されることなく、N(Nは2以上の整数)枚であればよい。
図1(a)は、第1実施形態に係る推力発生装置に回転翼を取り付けた状態を示す斜視図、
図1(b)および
図1(c)は、第1実施形態に係る推力発生装置に取り付けられた回転翼のピッチ角を変化させた状態を示す側面図、
図2および
図3は、
図1(a)の推力発生装置の構成を分解して示す斜視図、
図4(a)および
図4(b)は、
図2および
図3の推力発生装置の組み立て後の構成を示す斜視図である。
【0031】
図1(a)、
図1(b)および
図1(c)において、推力発生装置1は、回転翼H1~H3を電動で駆動する。回転翼H1~H3は、グリップP1~P3をそれぞれ介して推力発生装置1に装着される。グリップP1~P3は、推力発生装置1から水平方向に放射状に延びるように回転翼H1~H3を支持する。推力発生装置1は、装着面1Aを介して飛翔体HSBに装着される。推力発生装置1が装着された飛翔体HSBは、例えば、モータで飛行するマルチコプター、飛行機、回転翼機および飛行機能を備える自動車などの飛行可能な機体または車体である。
図1(b)および
図1(c)に示すように、回転翼H1~H3が飛翔体HSBの下部に装着されている形式をプッシャ式と言う。プッシャ式では、飛翔体HSBは、推力発生装置1により下から押し上げられながら飛行する。
【0032】
図1(a)、
図1(b)、
図1(c)、
図2、
図3、
図4(a)および
図4(b)に示すように、推力発生装置1は、推力発生用モータ(第1モータ)2、ピッチ可変用モータ(第2モータ)5、回転伝達部6、回転直動変換部(第1変換部)7、直動回転変換部(第2変換部)8、エクステンション9およびハブ10を備える。推力発生用モータ2は、ステータ2A、ロータ2B、外側フレーム2C、内径部2Dおよび内側フレーム2Eを備える。また、ロータ2Bは、内径側にロータ軸4および中空部3A、3Bを備える。ロータ軸4の軸方向端部には、エクステンション9を介してハブ10を装着する装着部4Aが設けられる。
【0033】
内径部2Dの径方向外側には、内側フレーム2Eが位置し、内側フレーム2Eの径方向外側には、外側フレーム2Cが位置する。内径部2Dは、外側フレーム2C側に固定される。内側フレーム2Eは、ロータ軸4側に固定され、ロータ軸4とともに回転する。ロータ軸4は、内径部2D内に収容される。このとき、装着部4Aは、内径部2Dの軸方向外側に位置する。内側フレーム2Eの外周面に沿ってロータ2Bが位置する。外側フレーム2Cの内周面に沿ってステータ2Aが位置する。このとき、ロータ軸4、内径部2D、内側フレーム2E、ロータ2B、ステータ2Aおよび外側フレーム2Cは、回転軸S0から径方向外側に向かって同心円状に配置される。
【0034】
推力発生用モータ2は、
図1(b)の回転軸S0の軸回りに回転翼H1~H3を回転させ、回転翼H1~H3の推力Fを発生させる。ステータ2Aは、電磁鋼鈑と巻線を備え、ロータ2Bの外側に位置する。ステータ2A、内径部2Dおよび装着面1Aは、外側フレーム2Cに固定される。このとき、装着面1Aは、支持部1Cを介して外側フレーム2Cに固定することができる。内径部2Dは、スペーサ2Fを介して装着面1Aの裏側に固定することができる。スペーサ2Fは、推力発生用モータ2内に回転伝達部6を収容するための空間を確保することができる。
【0035】
装着面1Aは、回転伝達部6を外側フレーム2C内に挿入可能な開口1Bを備える。支持部1Cは、装着面1Aから外側フレーム2Cに向かって放射状に延びる。内径部2Dは、円筒形状であり、軸受U1を介してロータ軸4を回転自在に支持する。内側フレーム2Eは、円環状であり、ロータ2Bを支持する。外側フレーム2Cは、円環状であり、ステータ2Aを支持する。
【0036】
装着面1A、外側フレーム2C、内径部2D、内側フレーム2E、スペーサ2Fおよび支持部1Cは、例えば、ジュラルミンなどの合金で形成することができる。装着面1A、外側フレーム2C、内径部2D、内側フレーム2E、スペーサ2Fおよび支持部1Cは、例えば、鋳造、鍛造または切削加工などの方法で一体的に形成することができる。
【0037】
ロータ2Bは、磁石などにより構成され、ロータ軸4の外側に位置する。ロータ2Bおよびロータ軸4は、内側フレーム2Eに固定される。このとき、ロータ軸4は、支持部2Gを介して内側フレーム2Eに固定することができる。支持部2Gは、ロータ軸4から内側フレーム2Eに向かって放射状に延びる。ロータ軸4は、軸受U1を介して、回転軸S0の軸回りに回転する。ロータ軸4の回転に伴ってロータ2Bおよび内側フレーム2Eも回転軸S0の軸回りに回転する。ロータ軸4、装着部4A、内側フレーム2Eおよび支持部2Gは、例えば、ジュラルミンなどの合金で形成することができる。ロータ軸4、装着部4A、内側フレーム2Eおよび支持部2Gは、例えば、鋳造、鍛造または切削加工などの方法で一体的に形成することができる。
【0038】
中空部3A、3Bは、推力発生用モータ2内に位置する。また、中空部3Aは、ロータ2Bの円周方向に沿ってロータ2Bとロータ軸4の間に位置する。中空部3Bは、ロータ軸4の軸方向に沿ってロータ軸4内径側に位置する。
【0039】
ピッチ可変用モータ5は、回転翼H1~H3のピッチ角θ1~θ3を変化させる回転運動を発生させる。ピッチ可変用モータ5は、内径部2Dに固定される。ピッチ可変用モータ5の少なくとも一部は、推力発生用モータ2内に収容される。このとき、ピッチ可変用モータ5は、中空部3Aに位置することができる。ピッチ可変用モータ5の回転軸は、推力発生用モータ2の回転軸S0と並列に位置することができる。
【0040】
回転伝達部6は、ピッチ可変用モータ5で発生された回転運動を推力発生用モータ2の回転軸S0に対して垂直方向に伝える。すなわち、ピッチ可変用モータ5の回転軸と、推力発生用モータ2の回転軸S0は平行な異なる軸であり、回転伝達部6によりピッチ可変用モータ5で発生された回転運動を、推力発生用モータ2の回転軸S0の軸上に伝達する。回転伝達部6は、内径部2Dに固定される。回転伝達部6の少なくとも一部は、推力発生用モータ2内に収容される。
【0041】
回転直動変換部7は、ピッチ可変用モータ5で発生され、回転伝達部6を介して伝えられた回転運動を、回転軸S0の軸方向の直線運動LMに変換する。回転直動変換部7の少なくとも一部は、推力発生用モータ2内に収容される。このとき、回転直動変換部7の少なくとも一部は、中空部3B内に位置することができる。この場合、回転直動変換部7の少なくとも一部は、回転軸S0の軸方向に沿って中空部3Bから回転翼H1~H3側に突出させることができる。回転直動変換部7は、内径部2Dに固定される。
【0042】
直動回転変換部8は、回転直動変換部7で変換された直線運動LMを、各支持軸M1~M3の軸回りの回転運動に変換する。直動回転変換部8は、推力発生用モータ2の外部に位置する。
【0043】
エクステンション9は、回転軸S0の軸方向において、推力発生用モータ2と回転翼H1~H3との間の間隔を保つためのスペーサである。エクステンション9は、回転翼H1~H3が推力発生用モータ2に衝突するのを防止する。エクステンション9は、装着部4Aを介してロータ軸4に固定され、ロータ軸4とともに回転する。
【0044】
ハブ10は、直動回転変換部8を収容するとともに、グリップP1~P3がハブ10から突出した状態でグリップP1~P3を支持する。ハブ10は、エクステンション9を介して、ロータ軸4に固定される。すなわち、ハブ10は、ロータ軸4を介して回転軸S0の軸回りに回転可能な状態で外側フレーム2Cに支持される。ハブ10は、グリップP1~P3を介し、回転軸S0の軸方向に対して垂直方向に回転翼H1~H3を支持する。
【0045】
推力発生用モータ2が動作すると、ロータ2Bが回転軸S0を中心に回転することで、回転翼H1~H3が回転する。そして、各回転翼H1~H3の回転R1~R3に伴って回転翼H1~H3の推力Fが発生する。
【0046】
ここで、ピッチ可変用モータ5、回転伝達部6および回転直動変換部7は、外側フレーム2C側に固定される。このため、ロータ2Bが回転しても、ピッチ可変用モータ5、回転伝達部6および回転直動変換部7は、回転軸S0の軸回りに回転しない。
【0047】
また、ピッチ可変用モータ5が動作すると、各回転翼H1~H3は、各支持軸M1~M3の軸回りに回転し、回転翼H1~H3のピッチ角θ1~θ3が変化する。このとき、ピッチ可変用モータ5の回転運動は、回転伝達部6を介して回転直動変換部7に伝えられる。そして、ピッチ可変用モータ5の回転運動は、回転直動変換部7によって、回転軸S0の軸方向の直線運動LMに変換される。そして、回転直動変換部7で変換された1つの直線運動LMは、直動回転変換部8によって、各支持軸M1~M3の軸回りの3つの回転運動に変換される。そして、各支持軸M1~M3の回転運動は、グリップP1~P3をそれぞれ介し、各回転翼H1~H3に伝えられ、各回転翼H1~H3のピッチ角θ1~θ3が変化される。
【0048】
ここで、推力発生装置1は、回転翼H1~H3のピッチ角θ1~θ3を可変とすることにより、推力を変化させることができる。また、推力発生装置1は、ピッチ角θ1~θ3を可変とすることにより、推力変化の応答速度を速め、飛翔体の安定性を向上させることが可能となるとともに、ブレード長(回転翼H1~H3の長さ)を長くすることなく、飛翔体に必要な推力を確保することができ、推力発生装置1の大型化および重量増を抑制することができる。また、各状況で必要な推力は固定ピッチと比較した場合、推力発生用モータ2の低い回転数で発生できるので、回転数に依存する騒音を抑制することができる。
【0049】
また、推力発生装置1は、回転翼H1~H3のピッチ角θ1~θ3を電動で可変とすることにより、油圧を用いる必要がなくなる。このため、油の給排を制御する油圧制御ユニットおよび回転体に対してオイルシールを行うための複雑な回転シール機構を設ける必要がなくなり、推力発生装置1の大型化を抑制することが可能となるとともに、推力発生装置1のメンテナンス性を向上させることができる。
【0050】
また、直動回転変換部8は、回転直動変換部7で変換された1つの直線運動LMを、各支持軸M1~M3の軸回りの3つの回転運動に変換することにより、回転直動変換部7で変換された1つの直線運動LMに基づいて、3枚の回転翼H1~H3のピッチ角θ1~θ3を調整することができ、推力発生装置1の大型化を抑制することができる。
【0051】
さらに、回転直動変換部7の少なくとも一部を、推力発生用モータ2内に収容することにより、回転軸S0の軸方向において推力発生用モータ2からの回転直動変換部7の突出量を減らすことができる。このため、推力発生用モータ2で回転翼H1~H3の推進力を発生させ、ピッチ可変用モータ5で回転翼H1~H3のピッチ角θ1~θ3を可変とした場合においても、回転軸S0の軸方向に推力発生装置1をコンパクト化することが可能となる。
【0052】
さらに、回転直動変換部7の少なくとも一部を、中空部3B内に収容することにより、推力発生用モータ2を回転軸S0の軸方向に大型化することなく、回転直動変換部7の少なくとも一部を推力発生用モータ2内に収容することができ、回転軸S0の軸方向に推力発生装置1をコンパクト化することが可能となる。
【0053】
さらに、ピッチ可変用モータ5で発生された回転運動を、回転伝達部6を介して伝えることにより、推力発生用モータ2の回転軸S0とピッチ可変用モータ5の回転軸を並列に配置することが可能となり、ピッチ可変用モータ5を推力発生用モータ2内に収容することが可能となる。
【0054】
さらに、直動回転変換部8をハブ10内に収容することにより、回転軸S0の軸方向に推力発生装置1をコンパクト化することが可能となるとともに、直動回転変換部8が外部に露出するのを防止することが可能となる。
【0055】
ここで、回転翼H1~H3がロータ軸4の軸回りに回転すると、各回転翼H1~H3には遠心力F1~F3がそれぞれかかる。各回転翼H1~H3にかかる遠心力F1~F3は、グリップP1~P3をそれぞれ介し、各支持軸M1~M3に伝わる。このとき、各支持軸M1~M3は、各支持軸M1~M3に伝わった各遠心力F1~F3に基づいて、各支持軸M1~M3の回転軸芯を自動調整し、各支持軸M1~M3の軸回りの回転精度を向上させることができる。
【0056】
以下、回転伝達部6、回転直動変換部7および直動回転変換部8の構成および動作について、より具体的に説明する。
図5(a)および
図6(a)は、第1実施形態に係る推力発生装置の構成を示す平面図、
図5(b)は、
図5(a)のA-A線に沿って切断した断面図、
図6(b)は、
図6(a)のB-B線に沿って切断した断面図、
図7(a)は、第1実施形態に係る推力発生装置の推力発生用モータの構成を示す平面図、
図7(b)は、
図7(a)のC-C線に沿って切断した断面図である。
【0057】
図7(a)および
図7(b)において、ロータ2Bは、軸受U1を介し、回転軸S0の軸回りに回転可能な状態で外側フレーム2Cにて支持される。また、推力発生用モータ2内において、ロータ2Bとロータ軸4の間には中空部3Aが設けられ、ロータ軸4内には中空部3Bが設けられている。
【0058】
また、
図2、
図3、
図5(a)、
図5(b)、
図6(a)および
図6(b)において、回転伝達部6は、歯車G1~G3および支持部材BJ1~BJ3を備える。歯車G1~G3は、ピッチ可変用モータ5の回転運動を回転直動変換部7に伝える。歯車G1は、ボールねじ軸7Fの一端に取り付けられる。歯車G3は、ピッチ可変用モータ5の回転軸に取り付けられる。歯車G2は、歯車G1と歯車G3の間で歯車G1、G3と噛み合う位置に設けられる。
【0059】
内径部2Dは、支持部材BJ1を介し、歯車G1およびボールねじ軸7Fが回転可能な状態で歯車G1および回転直動変換部7を支持する。また、内径部2Dは、支持部材BJ3を介し、歯車G3およびピッチ可変用モータ5の回転軸を回転可能な状態で支持する。また、内径部2Dは、支持部材BJ1、BJ2を介し、歯車G2を回転可能な状態で支持する。このとき、歯車G2は、支持部材BJ1、BJ2で挟み込まれた状態で、歯車G1、G3と噛み合う位置に配置される。歯車G1~G3の材料は、例えば、炭素鋼であり、支持部材BJ1~BJ3の材料は、例えば、アルミ合金である。なお、回転伝達部の機構として、歯車の代わりにベルトを用いてもよい。
【0060】
回転直動変換部7の回転直動変換機構として、ボールねじを用いることができる。回転直動変換部7の回転直動変換機構として、すべりねじを用いるようにしてもよい。回転直動変換部7は、直動伝達軸7D、直動案内部7E、ボールねじ軸7Fおよびボールねじナット7Gを備える。
【0061】
直動案内部7Eは、回転軸S0に沿って直線運動する方向にボールねじナット7Gおよび直動伝達軸7Dを案内する。このとき、直動案内部7Eは、ボールねじ軸7Fの回転に伴ってボールねじナット7Gが回転運動するのを規制する。直動案内部7Eは、支持部材BJ1から突出する形状である。直動案内部7Eは、支持部材BJ1と一体的に設けることができる。
【0062】
ボールねじ軸7Fは、軸受U2を介し、回転可能な状態で支持部材BJ1にて支持されている。ボールねじ軸7Fは、転動体を介してボールねじナット7Gと螺合した状態で歯車G1とともに回転し、ボールねじナット7Gを直線運動させる。
ボールねじナット7Gは、ボールねじ軸7Fの回転運動に伴って直線運動し、その直線運動LMを直動伝達軸7Dに伝える。
【0063】
直動伝達軸7Dは、ボールねじナット7Gの直線運動LMを直動回転変換部8に伝える。直動伝達軸7Dは、ボールねじナット7Gに固定され、直動伝達軸7Dの先端は、軸受U3の内輪に挿入される。直動伝達軸7Dは、ボールねじナット7Gおよびボールねじ軸7Fの一部を内包する形状である。
【0064】
直動回転変換部8の直動回転変換機構として、ラックアンドピニオンを用いることができる。直動回転変換部8は、直動体11、ラックA1~A3、ケース21、支持軸M1~M3、軸受E1~E3、アダプタD1~D3およびピニオンB1~B3を備える。
【0065】
直動体11は、軸受U3を介し、直動伝達軸7Dの軸回りに回転可能な状態で支持される。このとき、直動体11は、直動伝達軸7Dとともに、回転軸S0の軸方向に沿って直線運動可能である。
【0066】
ラックA1~A3は、直動体11にて支持される。各ラックA1~A3は、ピニオンB1~B3とそれぞれ噛み合った状態で直動体11とともに直線運動し、ピニオンB1~B3をそれぞれ回転運動させる。
【0067】
各支持軸M1~M3は、推力発生装置1から水平方向に放射状に突出するようにグリップP1~P3をそれぞれ支持する。各支持軸M1~M3は、軸受E1~E3をそれぞれ介し、各支持軸M1~M3の軸回りに回転可能な状態でケース21にて保持される。グリップP1と支持軸M1は一体的に設け、グリップP2と支持軸M2は一体的に設け、グリップP3と支持軸M3は一体的に設けることができる。グリップP1~P3と支持軸M1~M3の材料は、例えば、ジュラルミンである。グリップP1~P3と支持軸M1~M3の耐久性を増大させるため、グリップP1~P3と支持軸M1~M3の材料として、例えば、チタンを用いてもよい。
【0068】
各ピニオンB1~B3は、各支持軸M1~M3にそれぞれ固定される。各ピニオンB1~B3は、各ラックA1~A3の直線運動LMに伴って回転運動し、その回転運動を各支持軸M1~M3に伝える。ピニオンB1~B3およびラックA1~A3の材料は、例えば、クロムモリブデン鋼である。
【0069】
ケース21は、ハブ10の一部として用いることができる。ケース21は、例えば、接合面のない非分割ケースである。非分割ケースは、インゴットからの削り出しで作製することができる。このとき、非分割ケースは、接着剤または溶接などで個片を繋ぎ合わせることなく作製することができる。非分割ケースは、繋ぎ目のないシームレスケースであってもよい。ケース21は、直動体11、ラックA1~A3、支持軸M1~M3、軸受E1~E3、アダプタD1~D3およびピニオンB1~B3を収容する。このとき、ケース21は、ロータ軸4の円周方向に120°の間隔で支持軸M1~M3を収容することができる。ケース21は、エクステンション9を介してロータ2Bの端面に固定される。また、ケース21は、回転軸S0の軸回りの回転時に各回転翼H1~H3にかかる遠心力F1~F3に対抗して各支持軸M1~M3を支持することができる。ケース21は、例えば、ジュラルミンなどの切削加工で一体的に形成することができる。
【0070】
各アダプタD1~D3は、支持軸M1~M3と軸受E1~E3との間に設けられ、支持軸M1~M3にてそれぞれ支持される。各アダプタD1~D3の内周面は、支持軸M1~M3の外周面に沿うように形成され、各アダプタD1~D3の外周面は、軸受E1~E3の内周面に沿うように形成される。これにより、各アダプタD1~D3は、各支持軸M1~M3の径の変化に対応しつつ、各軸受E1~E3の内周側で各支持軸M1~M3を支持させることができる。アダプタD1~D3の材料は、例えば、ジュラルミンである。
【0071】
各軸受U3、E1~E3は、例えば、複列アンギュラ玉軸受を用いることができる。複列アンギュラ玉軸受は、単列アンギュラ玉軸受を背面組合せにし、外輪を一体にしてもよいし、単列アンギュラ玉軸受を正面組合せにし、内輪を一体にしてもよい。複列アンギュラ玉軸受は、ラジアル荷重と両方向のアキシアル荷重(スラスト荷重とも言う)を負荷することができ、背面組合せではモーメント荷重も負荷できる。
【0072】
エクステンション9は、フランジ9Aを備える。フランジ9Aは、エクステンション9と一体的に設けることができる。エクステンション9は、フランジ9Aを介し、ロータ軸4の端面に取り付け可能である。ここで、ボルトJ6にてフランジ9Aをロータ軸4にねじ止めすることで、エクステンション9をロータ軸4に固定することができる。エクステンション9およびフランジ9Aの材料は、例えば、ジュラルミンである。
【0073】
フランジ9Aは、ロータ軸4の軸方向にフランジ9Aを貫通する貫通孔9Kを備える。貫通孔9Kは、ボルトJ6を挿入可能である。装着部4Aは、ボルトJ6をねじ込み可能な雌ねじ4Bを備える。雌ねじ4Bは、フランジ9Aの装着面側に位置する。貫通孔9Kおよび雌ねじ4Bは、ボルトJ6の挿入位置に対応させて配置することができる。ここで、貫通孔9Kを通してボルトJ6を雌ねじ4Bにねじ込み、ボルトJ6にてフランジ9Aを装着部4Aにねじ止めすることで、エクステンション9をロータ軸4に固定することができる。
【0074】
ピッチ可変用モータ5が回転すると、ピッチ可変用モータ5の回転運動に伴って歯車G1~G3が回転する。そして、歯車G1の回転運動に伴ってボールねじ軸7Fが回転し、ボールねじ軸7Fの回転運動に伴って、ボールねじナット7Gとともに直動伝達軸7Dが直線運動する。このとき、ボールねじナット7Gおよび直動伝達軸7Dの運動は、直動案内部7Eにて案内され、推力発生装置1内において、回転軸S0の軸方向に沿った直線運動に制限される。
【0075】
直動伝達軸7Dの直線運動LMは、直動体11に伝えられ、直動伝達軸7Dの直線運動LMに伴って、直動体11とともに各ラックA1~A3が直線運動する。このとき、各ラックA1~A3は、ピニオンB1~B3とそれぞれ噛み合った状態で直線運動し、各ピニオンB1~B3を回転させる。各ピニオンB1~B3の回転運動に伴って、各支持軸M1~M3がそれぞれの軸回りに回転する。そして、各支持軸M1~M3の回転運動は、グリップP1~P3をそれぞれ介し、各回転翼H1~H3に伝えられ、各回転翼H1~H3のピッチ角θ1~θ3が変化される。
【0076】
ここで、回転直動変換部7の回転直動変換機構としてボールねじを用いることにより、すべりねじを用いた場合に比べて、ピッチ可変に必要な駆動トルクを低減することができ、ピッチ可変用モータ5の省電力化を図ることができる。
また、回転直動変換部7に直動伝達軸7Dを設けることにより、ボールねじと直動体11を回転軸S0の軸方向に離間して配置することができ、ボールねじを推力発生用モータ2内に収容しつつ、直動体11をハブ10内に収容することができる。
さらに、直動回転変換部8の直動回転変換機構として、ラックアンドピニオンを用いることにより、各ラックA1~A3の長手方向を直動体11の直動方向に揃えることが可能となるとともに、各ピニオンB1~B3の円周方向を各支持軸M1~M3の円周方向に揃えることが可能となる。このため、3個のラックアンドピニオンの配置を直動体11の周囲でコンパクトにまとめることができ、各回転翼H1~H3に対応して3個のラックアンドピニオンを設けた場合においても、ハブ10の大型化を抑制しつつ、直動回転変換部8をハブ10内に収容することが可能となる。
【0077】
以下、回転伝達部6および回転直動変換部7の構成および動作について、さらに具体的に説明する。
図8(a)は、
図6のピッチ可変用モータ、回転伝達部および回転直動変換部の構成を示す斜視図、
図8(b)は、
図8(a)の回転直動変換部を支持する支持部材および直動案内部を除去した構成を示す斜視図である。
【0078】
図8(a)および
図8(b)において、支持部材BJ1は、ボルトJ1により内径部2Dに固定することができる。ボルトJ1は、例えば、支持部材BJ1の四隅に配置することができる。支持部材BJ2は、支持部材BJ1との間に歯車G2を挟み込んだ状態で、ボルトJ2と支柱31により支持部材BJ1に固定する。ボルトJ2は、例えば、支持部材BJ2の両端に配置することができる。歯車G2の両軸端は、軸受を介して支持部材BJ1およびBJ2に対し回転自在に支持される。支持部材BJ3は、ボルトJ3により内径部2Dに固定することができる。ボルトJ3は、例えば、支持部材BJ3の端部の2か所に配置することができる。また、支持部材BJ3は、ボルトJ4によりピッチ可変用モータ5を固定することができる。
【0079】
ボールねじナット7Gは、フランジ7Aを備える。フランジ7Aは、円筒を平行な二平面で切り取った形状であり、直動案内部7Eの開口部にフランジ7Aの突出部が配置される。フランジ7Aは、ボールねじナット7Gと一体的に設けることができる。
直動伝達軸7Dは、フランジ7Bおよび案内面7Cを備える。案内面7Cは、摺動部材7Hを備える。フランジ7Bおよび案内面7Cは、円筒を平行な二平面で切り取った形状であり、直動案内部7Eの開口部にフランジ7Bが配置される。
【0080】
フランジ7Bの平坦面と案内面7Cは一体の平面であってもよい。この平坦面は、互いに反対方向を向く2つの面であってもよい。フランジ7A、7Bの突出部には、ボルトJ5を挿入可能な領域を設けることができる。フランジ7A、7Bが重なった状態で、ボルトJ5にてフランジ7Aをフランジ7Bに固定することにより、直動伝達軸7Dをボールねじナット7Gに固定することができる。
【0081】
また、フランジ7Bの平坦面または案内面7Cには、摺動部材7Hを挿入可能な凹部を設けることができる。そして、その凹部に摺動部材7Hを挿入し、接着剤などでフランジ7Bに固定することができる。このとき、摺動部材7Hは、平坦面から突出する。摺動部材7Hの材料は、例えば、樹脂である。
【0082】
一方、直動案内部7Eの内側には、フランジ7A、7Bおよび案内面7Cの平坦面と対向する平面を設けることができる。そして、直動伝達軸7Dの直線運動LMに伴って摺動部材7Hが直動案内部7Eの平面を摺動することにより、直動伝達軸7Dの運動を回転軸S0の軸方向に制限することができる。
【0083】
ここで、フランジ7A、7Bの外周部の一部および案内面7Cに平坦面を設けるとともに、ボルトJ5を挿入可能な突出部をフランジ7A、7Bに設け、突出部を直動案内部7Eの開口部に配置することにより、直動案内部7Eの外径を小さくすることができ、推力発生用モータ2内のロータ軸4の径の増大を抑制しつつ、回転直動変換部7をロータ軸4内に収納することが可能となる。
【0084】
以下、直動回転変換部8の構成および動作について、さらに具体的に説明する。
図9は、
図1(b)のハブの構成を分解して示す斜視図、
図10は、
図3のラックが取り付けられた直動体とピニオンとの位置関係を示す上面図、
図11(a)は、
図1(b)の回転翼のピッチ角に対応した直動体の位置を示す斜視図、
図11(b)は、
図1(c)の回転翼のピッチ角に対応した直動体の位置を示す斜視図である。
【0085】
図9、
図10、
図11(a)および
図11(b)において、直動回転変換部8は、その直動方向の移動範囲を制限するため、リフトガイド19およびナットS1~S3を備える。リフトガイド19は、ガイドベース13およびガイドピンT1~T3を備える。ガイドベース13は、直動伝達軸7Dの先端を通過可能な開口14を備える。直動体11は、開口12、開口V1~V3および面Z1~Z3を備える。ハブ10は、ケース21、外蓋22および中蓋23を備える。ケース21は、収容部21A、中空部Q1~Q3、開口21Bおよび開口K1~K3を備える。中蓋23は、貫通孔23Aを備える。
【0086】
各面Z1~Z3は、直動体11が回転軸S0の軸回りに3回の回転対称となる位置に設けられる。3回の回転対称では、回転軸S0の軸回りに直動体11を120°だけ回転させる度に、回転後の形状を回転前の形状に重ねることができる。各面Z1~Z3は、ラックA1~A3をそれぞれ支持可能である。このとき、各面Z1~Z3は、各ラックA1~A3の歯がピニオンB1~B3の歯の方向を向く位置で各ラックA1~A3を支持する。
開口12には軸受U3が挿入され、さらに軸受U3の内輪には直動伝達軸7Dが挿入される。各開口V1~V3は、ガイドピンT1~T3をそれぞれ挿入可能である。
【0087】
直動体11は、軸受U3の外輪で支持され、直動伝達軸7Dの先端はナット15により軸受U3の内輪に固定される。軸受U3の外輪は、例えば、C型留め輪16にて直動体11に取り付けることができる。
【0088】
ガイドベース13は、ガイドピンT1~T3を直立した状態で支持する。ガイドピンT1~T3は、ガイドベース13と一体的に設けることができる。ガイドベース13の平面形状は、直動体11の平面形状と等しくすることができる。各開口V1~V3の位置は、ガイドピンT1~T3の位置に対応させることができる。
【0089】
開口21Bは、ラックA1~A3が取り付けられた直動体11をガイドベース13とともに収容部21Aに挿入可能である。各開口K1~K3は、各支持軸M1~M3をケース21内に挿入可能である。
【0090】
収容部21Aは、ラックA1~A3が取り付けられた直動体11をガイドベース13とともにケース21内に収容する。収容部21Aは、例えば、ケース21内に設けられた中空部または凹部である。収容部21Aの平面形状は、ガイドベース13の平面形状に対応させることができる。このとき、収容部21Aの平面形状は、回転軸S0の軸回りに3回の回転対称とすることができる。
【0091】
一方、各支持軸M1~M3を挿入可能な開口K1~K3は、収容部21Aの外側の円周面に沿って配置することができる。このとき、支持軸M1、ピニオンB1、軸受E1およびアダプタD1を挿入可能な中空部Q1と、支持軸M2、ピニオンB2、軸受E2およびアダプタD2を挿入可能な中空部Q2と、支持軸M3、ピニオンB3、軸受E3およびアダプタD3を挿入可能な中空部Q3をケース21に設けることができる。各中空部Q1~Q3には、開口21Bを介し、支持軸M1~M3、ピニオンB1~B3、軸受E1~E3およびアダプタD1~D3をそれぞれ挿入可能である。
【0092】
ガイドピンT1~T3の先端は、貫通孔23Aを介して中蓋23の外側に突出する。そして、ガイドピンT1~T3の先端が中蓋23の外側に突出した状態で、ナットS1~S3が各ガイドピンT1~T3の先端に装着されることで、収容部21A内にガイドベース13を配置することができる。
【0093】
中蓋23は、ケース21にて支持される。中蓋23は、ボルトJ7にてケース21に固定することができる。外蓋22は、中蓋23をカバーする。外蓋22は、中蓋23に固定することができる。中蓋23の材料は、例えば、ジュラルミン、外蓋22の材料は、例えば、樹脂である。
【0094】
そして、ラックA1~A3が取り付けられた直動体11は、収容部21Aに収納される。各ピニオンB1~B3が取り付けられた各支持軸M1~M3は、各中空部Q1~Q3に収納される。このとき、
図10に示すように、各支持軸M1~M3は、それぞれの回転軸JS1~JS3が直動体11の各面Z1~Z3に対して垂線方向JD1~JD3に向くように配置される。そして、各ラックA1~A3は、各ピニオンB1~B3と噛み合う位置で各面Z1~Z3上にそれぞれ支持される。
【0095】
直動伝達軸7Dの直線運動に伴って、直動体11とともに各ラックA1~A3が直線運動する。このとき、直動体11の運動は、ガイドピンT1~T3にて案内されるとともに、直動体11の直動方向の移動範囲が、ガイドベース13およびナットS1~S3にて制限される。各ラックA1~A3の直線運動に伴ってピニオンB1~B3がそれぞれ回転運動し、ピニオンB1~B3の回転運動に伴って、各支持軸M1~M3がそれぞれの軸回りに回転する。そして、各支持軸M1~M3の回転運動に伴って各回転翼H1~H3が回転し、各回転翼H1~H3のピッチ角θ1~θ3が変化される。例えば、直動体11が
図11(a)の位置にあるときは、各回転翼H1~H3のピッチ角θ1~θ3が
図1(b)に示すように設定され、直動体11が
図11(b)の位置にあるときは、各回転翼H1~H3のピッチ角θ1~θ3が
図1(c)に示すように設定される。
【0096】
ここで、回転軸S0の軸回りに3回の回転対称となる位置に各面Z1~Z3を設け、ラックA1~A3を各面Z1~Z3に配置するようにしたので、1個の直動体11を直線運動させることで、3個の各支持軸M1~M3の軸回りの3個の回転運動を発生させることができる。このため、直動回転変換部8をハブ10内に収容することを可能としつつ、3枚の回転翼H1~H3のピッチを可変とすることができる。
【0097】
上記の実施形態においては、各回転翼H1~H3は推力発生装置1の真下に配置され、推力発生装置1は飛翔体の機体の下部に装着される。このとき、推力発生用モータ2には、上方向に推力がかかる。このため、推力発生用モータ2にかかる推力の方向に応じて、推力発生用モータ2の耐荷重を異ならせることで、推力発生用モータ2を軽量化することができる。
【0098】
以下、推力発生用モータ2の軸受の支持構造について具体的に説明する。
図12は、
図7(b)のEA部を拡大して示す断面図、
図13は、
図1(a)の推力発生用モータを斜め上方から見たときの構成を分解して示す斜視図、
図14は、
図1(a)の推力発生用モータを斜め下方から見たときの構成を分解して示す斜視図である。
【0099】
図12から
図14において、推力発生用モータ2は、ステータケース40を備える。ステータケース40は、ロータ2Bと対向する位置にステータ2Aを収容可能である。ステータケース40は、軸受U1を介してロータ2Bのロータ軸4を回転自在に支持する。ステータケース40は、軸受U1にかかるアキシアル荷重を受ける。ここで、ステータケース40は、軸受U1にかかるアキシアル荷重の方向に応じて異なる耐荷重を有する。このとき、ステータケース40は、単方向(プッシャ専用の推力発生装置1では上方向)のアキシアル荷重に対してのみ耐荷重を有することができる。
【0100】
また、ロータ軸4は、軸受U1にかかるアキシアル荷重の方向に応じて異なる耐荷重を有する。このとき、ロータ軸4は、単方向(プッシャ専用の推力発生装置1では上方向)のアキシアル荷重に対してのみ耐荷重を有することができる。
【0101】
具体的には、ステータケース40は、外側フレーム2C、内径部2D、装着面1A、支持部1Cおよびスペーサ2Fを備える。軸受U1は、外輪U11および内輪U12を備える。
【0102】
内径部2Dの内周面には、外輪U11の外周面が接触可能である。内径部2Dの内周面には、外輪U11の軸方向端面に接触可能な段差DS1(第1荷重受部)が設けられる。このとき、段差DS1は、外輪U11の軸方向端面のうちの、飛翔体HSBの装着面側(プッシャ専用の推力発生装置1では上端面)にのみ設けることができる。
【0103】
ロータ軸4の外周面には、内輪U12の内周面が接触可能である。ロータ軸4の外周面には、内輪U12の軸方向端面に接触可能な段差DS2(第2荷重受部)が設けられる。このとき、段差DS2は、内輪U12の軸方向端面のうちの、飛翔体HSBの装着面の反対側(プッシャ専用の推力発生装置1では下端面)にのみ設けることができる。
【0104】
ここで、プッシャ専用の推力発生装置1では、回転翼H1~H3の推力Fは、推力発生用モータ2が下から押されるように推力発生用モータ2にかかる。このとき、回転翼H1~H3の推力Fは、ロータ軸4の段差DS2を介して内輪U12の下端面にかかり、内輪U12の下端面にかかる推力Fの反作用としての荷重をロータ軸4の段差DS2で受け止めることができる。さらに、内輪U12の下端面にかかる推力Fは、外輪U11の上端面を介して内径部2Dの段差DS1にかかり、外輪U11の上端面を介してかかる荷重を内径部2Dの段差DS1で受け止めることができる。このため、軸受U1を介して回転自在にロータ軸4を支持しつつ、軸受U1にかかるアキシアル荷重を段差DS1、DS2で受け止めることができる。
【0105】
ここで、内径部2Dの段差DS1は、外輪U11の上端面側のみに設けることで、外輪U11の下端面側に段差を設ける必要がなくなり、外輪U11の下端面側で内径部2Dを薄肉化することができる。ロータ軸4の段差DS2は、内輪U12の下端面側のみに設けることで、内輪U12の上端面側に段差を設ける必要がなくなり、内輪U12の上端面側でロータ軸4を薄肉化することができる。これにより、双方向のアキシアル荷重に対して耐荷重を持たせた場合に比べて、内径部2Dおよびロータ軸4を軽量化することができ、回転翼H1~H3の推力Fを受け止めつつ、推力発生用モータ2を軽量化することができる。
【0106】
一方、外輪U11の軸方向端面の他方の側(プッシャ専用の推力発生装置1では外輪U11の下端面)には、プレート43が設けられる。プレート43は、外輪U11の軸方向端面の他方の側を支持する。プレート43は、ボルトJ8で内径部2Dに固定することができる。これにより、外輪U11の軸方向端面のうちの、飛翔体HSBの装着面側にのみ段差DS1が設けられている場合においても、推力発生用モータ2の高重量化を抑制しつつ、外輪U11を位置決めすることができる。
【0107】
また、内輪U12の軸方向端面の他方の側(プッシャ専用の推力発生装置1では内輪U12の上端面)には、スナップリング41が設けられる。スナップリング41は、内輪U12の軸方向端面の他方の側を支持する。スナップリング41は、ロータ軸4の外周面に固定することができる。これにより、内輪U12の軸方向端面のうちの、飛翔体HSBの装着面の反対側にのみ段差DS2が設けられている場合においても、推力発生用モータ2の高重量化を抑制しつつ、内輪U12を位置決めすることができる。
【0108】
また、軸受U1上には、カバー42が設けられる。カバー42は、軸受U1の上端面を覆うことができる。このとき、カバー42は、軸受U1の上端面の平面形状に対応したリング状とすることができる。カバー42は、ボルトなどにより内径部2Dの内周面に固定することができる。
【0109】
以下、第2実施形態に係る推力発生装置について説明する。上述した第1実施形態では、推力発生用モータ2と回転翼H1~H3との間の間隔を保つためのスペーサとして、フランジ9Aを有するエクステンション9を用いた例について説明した。第2実施形態では、推力発生用モータ2と回転翼H1~H3との間の間隔を保つためのスペーサとして、フランジ9Aがないエクステンション9´を用いる例について説明する。
以下の説明では、第1実施形態の構成と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0110】
図15(a)は、第2実施形態に係る推力発生装置に回転翼を取り付けた状態を示す斜視図、
図15(b)および
図15(c)は、第2実施形態に係る推力発生装置に取り付けられた回転翼のピッチ角を変化させた状態を示す側面図、
図16および
図17は、
図15(a)の推力発生装置の構成を分解して示す斜視図、
図18(a)および
図18(b)は、
図16および
図17の推力発生装置の組み立て後の構成を示す斜視図、
図19(a)および
図20(a)は、第2実施形態に係る推力発生装置の構成を示す平面図、
図19(b)は、
図19(a)のA-A線に沿って切断した断面図、
図20(b)は、
図20(a)のB-B線に沿って切断した断面図である。
【0111】
【0112】
エクステンション9´は、回転軸S0の軸方向において、推力発生用モータ2と回転翼H1~H3との間の間隔を保つためのスペーサである。エクステンション9´は、回転翼H1~H3が推力発生用モータ2に衝突するのを防止する。エクステンション9´は、装着部4Aを介してロータ軸4に固定され、ロータ軸4とともに回転する。このとき、ハブ10は、エクステンション9´を介して、ロータ軸4に固定される。エクステンション9´は、ロータ軸4の軸方向に直動伝達軸7Dを通すために円筒状とすることができる。エクステンション9´は、
図2のエクステンション9のフランジ9Aがないという点以外はエクステンション9と同様に構成することができる。
【0113】
以下、エクステンション9´を介したロータ軸4の端面側へのハブ10の取り付け方法について具体的に説明する。
図21は、
図15(b)のハブおよびエクステンションの構成を分解して示す斜視図、
図22は、
図15(b)の装着部、ケースおよびエクステンションの構成を分解して示す斜視図、
図23は、
図22のケースの構成を示す下面図である。
【0114】
図21から
図23において、ケース21の収容部21Aは、頂面21Dを備える。頂面21Dは、エクステンション9´の装着側に位置する。頂面21Dには、円形状の開口21Cおよび貫通孔WA1~WA3が設けられている。貫通孔WA1~WA3は、開口21Cの周囲の3か所に配置することができる。各貫通孔WA1~WA3は、ボルトW1~W3の挿入可能である。エクステンション9´は、段差9Bおよび貫通孔WB1~WB3を備える。段差9Bは、エクステンション9´の内周面側でロータ軸4の軸方向に突出する。段差9Bは、開口21Cに挿入可能である。貫通孔WB1~WB3は、ロータ軸4の軸方向にエクステンション9´を貫通する。各貫通孔WB1~WB3は、ボルトW1~W3の挿入可能である。装着部4Aは、雌ねじWC1~WC3を備える。雌ねじWC1~WC3は、エクステンション9´の装着面側に位置する。各貫通孔WA1~WA3、WB1~WB3および各雌ねじWC1~WC3は、各ボルトW1~W3の挿入位置に対応させて配置することができる。中蓋23は、ねじJ7を挿入可能な貫通孔23Dを備える。このとき、外蓋22は、貫通孔23Dを塞ぐように中蓋23をカバーすることができる。
【0115】
そして、段差9Bを開口21Cに挿入し、ケース21の頂面21Dをエクステンション9´の下端側に突き合わせる。そして、ボルトW1~W3を収容部21A内に挿入し、貫通孔WA1~WA3をそれぞれ介してケース21から突出させ、さらに貫通孔WB1~WB3をそれぞれ介してエクステンション9´から突出させ、雌ねじWC1~WC3にねじ止めすることで、ケース21およびエクステンション9´を装着部4Aに固定することができる。このとき、ケース21内およびエクステンション9´内にボルトW1~W3を収めた状態でケース21およびエクステンション9´を装着部4Aに固定することができる。このため、ボルトW1~W3が推力発生装置1´の外部に露出するのを防止することが可能となるとともに、
図1(a)の推力発生装置1に比べて
図15(a)の推力発生装置1´の軽量化を図りつつ、推力発生装置1´からのボルトW1~W3の脱落を防止することができる。
【0116】
ここで、
図21に示すように、ケース21とエクステンション9´の対向面にノックピン9Eを挿入し、装着部4Aとエクステンション9´の対向面にマーカピン9Fを挿入することができる。なお、ノックピン9Eおよびマーカピン9Fはそれぞれ、ボルトW1~W3の個数に合わせて3個ずつ設けることができる。このとき、エクステンション9´の下端面側において、ノックピン9EとボルトW1~W3を円周方向に交互に配置することができる。また、装着部4Aにおいて、マーカピン9FとボルトW1~W3を円周方向に交互に配置することができる。これにより、ケース21およびエクステンション9´を装着部4Aにねじ止めするためのクリアランスを確保しつつ、ケース21およびエクステンション9´の位置決め精度を向上させることが可能となるとともに、ボルトW1~W3にかかる周方向のトルクを逃がすことができる。
【0117】
そして、直動体11、ラックA1~A3およびピニオンB1~B3が収容部21A内に配置された状態で、開口21Bを塞ぐように中蓋23がケース21に装着される。そして、ねじJ7が貫通孔23Dに挿入された状態で、ねじJ7がケース21にねじ込まれることで中蓋23がケース21に固定される。そして、ねじJ7が挿入された貫通孔23Dを塞ぐように外蓋22が中蓋23に装着される。これにより、ねじJ7が推力発生装置1´の外部に露出するのを防止することが可能となるとともに、ねじJ7の脱落を防止することができる。
【0118】
なお、ケース21と装着部4Aは、
図1(b)の推力発生装置1と
図15(b)の推力発生装置1とで共通である。このため、
図16のエクステンション9´では装着強度が不足する場合に、ケース21および装着部4Aを改変することなく、
図2のエクステンション9に交換することができる。
【0119】
また、上述した実施形態では、推力発生用モータ2と回転翼H1~H3との間の間隔を保つために、
図1(b)のエクステンション9または
図15(b)のエクステンション9´を設けた構成について示したが、エクステンション9またはエクステンション9´がなくても、推力発生用モータ2と回転翼H1~H3との間の間隔を十分維持できる場合は、エクステンション9またはエクステンション9´がなくてもよい。
図1(b)のエクステンション9がない場合、フランジ9Aをケース21に設けてもよい。
図15(b)のエクステンション9´がない場合、エクステンション9´による間隔分だけボルトW1~W3を短くし、ボルトW1~W3を用いてケース21を装着部4Aに直接固定することができる。
【符号の説明】
【0120】
1 推力発生装置、H1~H3 回転翼、P1~P3 グリップ、2 推力発生用モータ、2A ステータ、2B ロータ、3A、3B 中空部、4 ロータ軸、5 ピッチ可変用モータ、6 回転伝達部、7 回転直動変換部、8 直動回転変換部、9 エクステンション