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特許7582017ブランク材、紙製容器および蓋材付き紙製容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】ブランク材、紙製容器および蓋材付き紙製容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/20 20060101AFI20241106BHJP
   B65D 5/56 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
B65D5/20 Z BRL
B65D5/56 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021055813
(22)【出願日】2021-03-29
(65)【公開番号】P2022152878
(43)【公開日】2022-10-12
【審査請求日】2024-01-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100202304
【弁理士】
【氏名又は名称】塙 和也
(72)【発明者】
【氏名】岡田 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 文彦
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-302269(JP,A)
【文献】特表2013-545675(JP,A)
【文献】米国特許第03104012(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/20
B65D 5/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部パネルと、
前記底部パネルに第1折れ線を介して連結された複数の側部パネルと、
各々の側部パネルにそれぞれ第2折れ線を介して連結された複数のフランジ片パネルとを備え、
前記側部パネル同士の間に隙間が形成されており、
前記底部パネルに、底部破断線で少なくとも一部が囲まれた押し込み部が形成されており、
前記押し込み部は、前記第1折れ線をヒンジ部として折り曲げ可能であり、
前記第1折れ線は、ミシン目状に形成されている、ブランク材。
【請求項2】
前記底部破断線は、ミシン目状に形成されているか、あるいはハーフカット線である、請求項1に記載のブランク材。
【請求項3】
前記底部破断線の少なくとも一部は、円弧形状をもつ、請求項1または2に記載のブランク材。
【請求項4】
前記側部パネルに、前記第1折れ線を破断する際に、前記第1折れ線の破断の進行方向を案内する破断補助線が形成されている、請求項1乃至のいずれか一項に記載のブランク材。
【請求項5】
前記側部パネルに、ミシン目状に形成されているか、あるいはハーフカット線である側部破断線が形成されている、請求項1乃至のいずれか一項に記載のブランク材。
【請求項6】
前記側部破断線は、互いに離間して配置された複数の貫通部を有し、各々の前記貫通部は、それぞれ、第1部分と、前記第1部分とは異なる方向に延びる第2部分とを含む、請求項に記載のブランク材。
【請求項7】
請求項1乃至のいずれか一項に記載の前記ブランク材を組み立てることにより作製された紙容器と、
前記紙容器の表面に積層された成形フィルムとを備える、紙製容器。
【請求項8】
底部と、前記底部に第1折れ線を介して連結された複数の側部と、各々の側部にそれぞれ第2折れ線を介して連結された複数のフランジ片とを有する紙容器と、
前記紙容器の表面に積層された成形フィルムとを備え、
前記側部同士は、互いに連続することなく隣り合っており、
前記底部に、底部破断線で少なくとも一部が囲まれた押し込み部が形成されており、
前記押し込み部は、前記第1折れ線をヒンジ部として折り曲げ可能であり、
前記第1折れ線は、ミシン目状に形成されている、紙製容器。
【請求項9】
前記底部破断線は、ミシン目状に形成されているか、あるいはハーフカット線である、請求項に記載の紙製容器。
【請求項10】
前記底部破断線の少なくとも一部は、円弧形状をもつ、請求項またはに記載の紙製容器。
【請求項11】
前記側部に、前記第1折れ線を破断する際に、前記第1折れ線の破断の進行方向を案内する破断補助線が形成されている、請求項乃至10のいずれか一項に記載の紙製容器。
【請求項12】
前記側部に、ミシン目状に形成されているか、あるいはハーフカット線である側部破断線が形成されている、請求項乃至11のいずれか一項に記載の紙製容器。
【請求項13】
前記側部破断線は、互いに離間して配置された複数の貫通部を有し、各々の前記貫通部は、それぞれ、第1部分と、前記第1部分とは異なる方向に延びる第2部分とを含む、請求項12に記載の紙製容器。
【請求項14】
請求項乃至13のいずれか一項に記載の前記紙製容器と、
前記紙製容器を密封する蓋材とを備える、蓋材付き紙製容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ブランク材、紙製容器および蓋材付き紙製容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、持ち帰り用の飲食物(いわゆる、テイクアウト商品)や、宅配される飲食物を収容する容器が知られている。
【0003】
近年、海洋汚染の問題や環境負荷の低減を目的として、このような容器に使用する樹脂量の低減が求められており、樹脂量を削減したり、容器に使用する材質を変更したりすることが進められている。このような容器としては、紙容器と、上記紙容器の内壁に積層された成形フィルムとを備える紙製容器が知られている(例えば、特許文献1)。このような紙製容器では、食品が充填された後、蓋材によって、紙製容器が覆われるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2013-545675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような紙製容器では、内容物が固形物である場合、内容物を取り出しにくくなってしまう可能性がある。また、このような紙製容器では、環境負荷の低減を目的として、紙製容器に使用された紙のリサイクルが推進されている。このため、使用後に消費者が、紙容器から成形フィルムを簡単に剥離することができ、紙を容易にリサイクルできる容器が求められている。
【0006】
本開示はこのような点を考慮してなされたものであり、実用性およびリサイクル性を向上させることが可能な、ブランク材、紙製容器および蓋材付き紙製容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態によるブランク材は、底部パネルと、前記底部パネルに第1折れ線を介して連結された複数の側部パネルと、各々の側部パネルにそれぞれ第2折れ線を介して連結された複数のフランジ片パネルとを備え、前記側部パネル同士の間に隙間が形成されており、前記底部パネルに、底部破断線で少なくとも一部が囲まれた押し込み部が形成されている、ブランク材である。
【0008】
一実施の形態によるブランク材において、前記底部破断線は、ミシン目状に形成されているか、あるいはハーフカット線であってもよい。
【0009】
一実施の形態によるブランク材において、前記底部破断線の少なくとも一部は、円弧形状をもっていてもよい。
【0010】
一実施の形態によるブランク材において、前記押し込み部は、前記第1折れ線をヒンジ部として折り曲げ可能であり、前記第1折れ線は、ミシン目状に形成されていてもよい。
【0011】
一実施の形態によるブランク材において、前記側部パネルに、前記第1折れ線を破断する際に、前記第1折れ線の破断の進行方向を案内する破断補助線が形成されていてもよい。
【0012】
一実施の形態によるブランク材において、前記側部パネルに、ミシン目状に形成されているか、あるいはハーフカット線である側部破断線が形成されていてもよい。
【0013】
一実施の形態によるブランク材において、前記側部破断線は、互いに離間して配置された複数の貫通部を有し、各々の前記貫通部は、それぞれ、第1部分と、前記第1部分とは異なる方向に延びる第2部分とを含んでいてもよい。
【0014】
一実施の形態による紙製容器は、本開示による前記ブランク材を組み立てることにより作製された紙容器と、前記紙容器の表面に積層された成形フィルムとを備える、紙製容器である。
【0015】
一実施の形態による紙製容器は、底部と、前記底部に第1折れ線を介して連結された複数の側部と、各々の側部にそれぞれ第2折れ線を介して連結された複数のフランジ片とを有する紙容器と、前記紙容器の表面に積層された成形フィルムとを備え、前記側部同士は、互いに連続することなく隣り合っており、前記底部に、底部破断線で少なくとも一部が囲まれた押し込み部が形成されている、紙製容器である。
【0016】
一実施の形態による紙製容器において、前記底部破断線は、ミシン目状に形成されているか、あるいはハーフカット線であってもよい。
【0017】
一実施の形態による紙製容器において、前記底部破断線の少なくとも一部は、円弧形状をもっていてもよい。
【0018】
一実施の形態による紙製容器において、前記押し込み部は、前記第1折れ線をヒンジ部として折り曲げ可能であり、前記第1折れ線は、ミシン目状に形成されていてもよい。
【0019】
一実施の形態による紙製容器において、前記側部に、前記第1折れ線を破断する際に、前記第1折れ線の破断の進行方向を案内する破断補助線が形成されていてもよい。
【0020】
一実施の形態による紙製容器において、前記側部に、ミシン目状に形成されているか、あるいはハーフカット線である側部破断線が形成されていてもよい。
【0021】
一実施の形態による紙製容器において、前記側部破断線は、互いに離間して配置された複数の貫通部を有し、各々の前記貫通部は、それぞれ、第1部分と、前記第1部分とは異なる方向に延びる第2部分とを含んでいてもよい。
【0022】
一実施の形態による蓋材付き紙製容器は、本開示による前記紙製容器と、前記紙製容器を密封する蓋材とを備える、蓋材付き紙製容器である。
【発明の効果】
【0023】
本開示によれば、紙製容器および蓋材付き紙製容器の実用性およびリサイクル性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本実施の形態による蓋材付き紙製容器を示す垂直断面図である。
図2図2は、本実施の形態による紙製容器を示す斜視図である。
図3図3は、本実施の形態による紙製容器を示す平面図である。
図4図4は、本実施の形態による紙製容器を示す底面図である。
図5図5は、本実施の形態によるブランク材を示す平面図である。
図6図6は、本実施の形態による紙製容器の製造方法を示す断面図である。
図7図7は、本実施の形態による紙製容器の製造方法を示す断面図である。
図8図8は、本実施の形態による紙製容器の製造方法を示す断面図である。
図9図9は、本実施の形態による紙製容器の作用を説明する断面図(図4のIX-IX線断面図)である。
図10図10は、本実施の形態による紙製容器の作用を説明する断面図である。
図11図11は、本実施の形態による紙製容器の作用を説明する斜視図であって、紙製容器を紙容器の底部側から示す斜視図である。
図12図12は、本実施の形態による紙製容器の紙容器の第1変形例を底部側から示す斜視図である。
図13図13は、本実施の形態によるブランク材の第1変形例を示す平面図である。
図14図14は、本実施の形態による紙製容器の紙容器の第2変形例を底部側から示す斜視図である。
図15図15は、本実施の形態によるブランク材の第2変形例を示す平面図である。
図16図16は、本実施の形態による紙製容器の紙容器の第3変形例を底部側から示す斜視図である。
図17図17は、本実施の形態によるブランク材の第3変形例を示す平面図である。
図18図18は、実施例において、比較例のブランク材を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本実施の形態について説明する。図1乃至図11は本実施の形態を示す図である。以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。なお、以下に示す各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施の形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。なお、本明細書中、「上」および「下」とは、それぞれ紙製容器を正立させた状態(図1)における上方および下方のことをいう。なお、本明細書中、「表面」とは、内容物と向かい合う側の面、または紙製容器を正立させた際に上方を向く面のことをいう。
【0026】
蓋材付き紙製容器
図1に示すように、本実施の形態による蓋材付き紙製容器1は、紙製容器10と、紙製容器10を密封する蓋材50とを備えている。ここでは、まず、紙製容器10について説明する。
【0027】
紙製容器
図1乃至図4に示すように、紙製容器10は、紙容器20と、紙容器20の表面に積層された成形フィルム40とを備えている。このうち紙容器20は、後述するブランク材30を組み立てることにより作製されるものである。
【0028】
(紙容器)
紙容器20は、底部21と、底部21に第1折れ線22を介して連結された複数の側部23と、各々の側部23にそれぞれ第2折れ線24を介して連結された複数のフランジ片25とを有している。
【0029】
このうち底部21は、平面視略矩形状をもっている。なお、底部21が、平面視において八角形状等の多角形状をもっていてもよい。
【0030】
底部21と側部23とを連結する第1折れ線22は、ミシン目状に形成されていてもよく、ハーフカット線であってもよい。これにより、側部23を底部21に対して折り曲げやすくすることができる。なお、第1折れ線22がミシン目状に形成されている場合、後述するキャビティ側型60の吸引孔61から空気を吸引することにより、第1折れ線22近傍において、成形フィルム40が紙容器20に押しつけられる。これにより、成形フィルム40と紙容器20との密着性を向上できる。なお、「ミシン目状に形成されている」とは、紙容器20を貫通する貫通部分と、紙容器20を貫通しない非貫通部分とが線状に交互に並ぶように形成されていることをいう。また、「ハーフカット」とは、紙容器20をその厚み方向に途中までカットすることをいう。
【0031】
各々の側部23は、それぞれ底部21から上方に延びている。図示された例においては、紙容器20は4つの側部23を有しており、側部23は、全体として逆四角錐台形状に形成されている。しかしながら、これに限られるものではなく、側部23が、全体として逆八角錐台形状等の多角錐台形状に形成されていてもよい。
【0032】
複数の側部23同士は、互いに連続することなく隣り合っている。すなわち、各側部23同士が重なり合うことなく、互いに隣り合っている。これにより、紙容器20の全周にわたって、側部23と成形フィルム40との密着性を向上できるようになっている。また、各側部23同士が重なり合うことなく、互いに隣り合っていることにより、紙容器20に成形フィルム40を接着する際に、成形フィルム40にピンホール等が生じることを抑制できるようになっている。なお、各側部23間には、空気が通過するための微少な隙間が形成されており、後述するキャビティ側型60の吸引孔61から空気を吸引することにより、成形フィルム40が紙容器20に押しつけられるように構成されている。
【0033】
側部23とフランジ片25とを連結する第2折れ線24は、第1折れ線22と同様に、ミシン目状に形成されていてもよく、ハーフカット線であってもよい。これにより、フランジ片25を側部23に対して折り曲げやすくすることができる。なお、第2折れ線24がミシン目状に形成されている場合、後述するキャビティ側型60の吸引孔61から空気を吸引することにより、第2折れ線24近傍において、成形フィルム40が紙容器20に押しつけられる。これにより、成形フィルム40と紙容器20との密着性を向上できる。
【0034】
各々のフランジ片25は、それぞれ側部23の上端から側方に向けて水平に突出している。図示された例においては、紙容器20は4つのフランジ片25を有しており、フランジ片25は、全体として環状に形成されている。
【0035】
複数のフランジ片25同士は、互いに連続することなく隣接している。すなわち、各フランジ片25同士が重なり合うことなく、互いに隣接している。これにより、紙容器20の全周にわたって、フランジ片25と成形フィルム40との密着性を向上できるようになっている。また、各フランジ片25同士が重なり合うことなく、互いに隣接していることにより、紙容器20に成形フィルム40を接着する際に、成形フィルム40にピンホール等が生じることを抑制できるようになっている。さらに、各フランジ片25同士が重なり合うことなく、互いに隣接していることにより、紙製容器10の成形フィルム40のうち、フランジ片25に対応する領域に蓋材50をシールする際に、成形フィルム40と蓋材50との密着性を向上できるようになっている。これにより、蓋材50のシール不良が発生することを抑制できるようになっている。なお、本明細書中「隣接」とは、互いに隣り合う部材(例えば、フランジ片25)同士が全体にわたり隙間なく接触している場合の他、以下の(1)または(2)に該当する場合も含む。
(1)一の部材の一部のみが他の部材に対して接触した状態で、一の部材と他の部材とが互いに隣り合っていること。
(2)一の部材と他の部材とが互いに接触していない状態で、一の部材と他の部材とが互いに隣り合っている場合に、一の部材と他の部材との間の隙間の少なくとも一部が、一の部材および他の部材に対して成形フィルム40を接着する際に、成形フィルム40(後述するフィルム40a)が入り込むことができない程度の隙間であること。
【0036】
ここで、図3および図4に示すように、底部21に、破断可能な底部破断線27aで少なくとも一部が囲まれた押し込み部27が形成されている。この押し込み部27は、内容物Cを押し出すためのものである。
【0037】
本実施の形態では、押し込み部27は、底部21の長手方向(図3および図4の左右方向)両端部および短手方向(図3および図4の上下方向)の両端部に形成されており、底部21には、4つの押し込み部27が形成されている。また、底部21の長手方向両端部に形成された押し込み部27は、底部21の幅方向中央部に形成され、底部21の幅方向両端部に形成された押し込み部27は、底部21の長手方向中央部に形成されている。これにより、消費者が、互いに対向する一対の押し込み部27を押圧することによって、紙製容器10から内容物Cを取り出しやすくなっている。なお、底部21に形成される押し込み部27の個数は任意であり、例えば、底部21に形成される押し込み部27の個数は、3つ以下であってもよく、5つ以上であってもよい。
【0038】
押し込み部27は、第1折れ線22をヒンジ部として折り曲げ可能であってもよい。これにより、消費者が押し込み部27を押し込んだ際に、底部破断線27aを破断させやすくすることができる。ここで、側部23は、第1折れ線22に沿って、底部21に対して折り曲げられている。この場合、底部21のうち第1折れ線22近傍の領域は、上下方向に沿った力が加えられた場合に、他の領域よりも変形しにくくなる。このため、例えば、押し込み部27が、第1折れ線22に沿って、底部21の他の部分に対して折り曲げられるように構成されていることにより、消費者が押し込み部27を押し込んだ際に、押し込み部27周囲の領域の変形を抑制することができ、底部破断線27aを破断させやすくすることができる。
【0039】
本実施の形態では、押し込み部27を囲む底部破断線27aは、それぞれ第1折れ線22に至るまで延びている。これにより、押し込み部27を押し込むことによって底部破断線27aを破断させた場合、底部破断線27aの破断が進行すると、破断が第1折れ線22に到達する。これにより、消費者が、底部破断線27aを破断させた後に押し込み部27を摘まんで引っ張ることにより、第1折れ線22を容易に破断させることができる。
【0040】
この底部破断線27aは、ミシン目状に形成されているか、あるいはハーフカット線であってもよい。これにより、底部破断線27aを破断させやすくすることができ、押し込み部27によって、内容物を紙製容器10の外部に押し出しやすくすることができる。
【0041】
また、底部破断線27aの少なくとも一部は、円弧形状をもっていてもよい。これにより、消費者が押し込み部27を押し込んだ際に、底部破断線27aの破断を進行させやすくすることができる。このため、押し込み部27を押し込みやすくすることができる。図示された例においては、底部破断線27aの全体が円弧形状をもっており、底部破断線27aは、半円形状をもっている。
【0042】
(ブランク材)
次に、紙容器20を作製するためのブランク材30について説明する。図5に示すように、ブランク材30は、底部パネル31と、底部パネル31に第1折れ線32を介して連結された複数の側部パネル33と、各々の側部パネル33にそれぞれ第2折れ線34を介して連結された複数のフランジ片パネル35とを備えている。ブランク材30の底部パネル31、第1折れ線32、側部パネル33、第2折れ線34およびフランジ片パネル35は、それぞれ紙容器20の底部21、第1折れ線22、側部23、第2折れ線24およびフランジ片25に対応するものである。図示された例においては、ブランク材30は、側部パネル33およびフランジ片パネル35を4つずつ備えている。
【0043】
また、側部パネル33同士の間に隙間36が形成されている。この場合、各々の側部パネル33は、それぞれ台形状に形成されている。また、各々の側部パネル33は、それぞれ底部パネル31から延びる一対の側縁33aを有している。そして、側部パネル33の側縁33a同士の間に隙間36が形成されている。これにより、上述した紙製容器10において、各側部23同士が重なり合うことはなく、互いに隣り合うようになっている(図2乃至図4参照)。図示された例においては、各々の側部パネル33において、一対の側縁33aは、それぞれ、第1折れ線32側から第2折れ線34側に向かうにつれて、互いに離間する方向に延びている。
【0044】
ここで、図5に示すように、底部パネル31に、破断可能な底部破断線37aで少なくとも一部が囲まれた押し込み部37が形成されている。図示された例においては、押し込み部37は、底部パネル31の長手方向(図5の左右方向)両端部および短手方向(図5の上下方向)の両端部に形成されており、底部パネル31には、4つの押し込み部37が形成されている。
【0045】
押し込み部37および底部破断線37aは、それぞれ紙容器20の底部21に形成された押し込み部27および底部破断線27aに対応するものである。このため、押し込み部37は、第1折れ線32をヒンジ部として折り曲げ可能になっていてもよい。また、底部破断線37aは、ミシン目状に形成されているか、あるいはハーフカット線であってもよい。さらに、底部破断線37aの少なくとも一部が、円弧形状をもっていてもよい。
【0046】
このようなブランク材30の底部パネル31、側部パネル33およびフランジ片パネル35は、一体に形成されている。ブランク材30は、ブランク材30を構成する紙材料に対して打ち抜き加工等を施すことによって作製することができる。
【0047】
ブランク材30を構成する紙材料としては、例えば、坪量150g/m以上800g/m以下程度の各種の板紙、コート紙、カード紙、アイボリー紙、ミルクカートン原紙、カップ原紙、コートボール等の加工紙等を使用することができる。
【0048】
(成形フィルム)
次に、図1乃至図3により、成形フィルム40について説明する。この成形フィルム40は、紙容器20を保護する役割を果たす。また、成形フィルム40は、容器形状をもっており、紙容器20の表面の全面を覆っている。これにより、紙製容器10に充填された内容物が、紙製容器10から漏れ出すことを抑制している。成形フィルム40は、例えばヒートシール(熱溶着)により、紙容器20に接着されている。
【0049】
このような成形フィルム40としては、耐水性、密封性、そして熱融着性を有する熱可塑性樹脂からなるフィルムであればよい。成形フィルム40としては、例えば、各種のポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレ-ト(PET)、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン-アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリカーボネート、ポリブテン、ポリビニルアルコ-ル、その他の各種の熱可塑性樹脂のフィルムを単独ないしラミネートして使用することができる。特に、紙製容器10に対してガスバリア性を付与したい場合には、例えば、中間層にエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)などのガスバリア性材料を積層した積層体、具体的には、PE/EVOH/PE、PP/EVOH/PE、A(アモルファス)・PET/EVOH/PEなどの層構成の積層体を用いることができる。
【0050】
成形フィルム40は、例えば以下の層構成の積層体から作製されてもよい。
(外側)ポリエチレン(40μm)/アイオノマー(40μm)/ポリエチレン(40μm)(内側)
(外側)ポリプロピレン(30μm)/接着層(10μm)/アイオノマー(40μm)/接着層(10μm)/ポリプロピレン(30μm)(内側)
(外側)ポリエチレン(20μm)/アイオノマー(30μm)/接着層(10μm)/エチレン-ビニルアルコール共重合体(10μm)/接着層(10μm)/アイオノマー(15μm)/エチレン・酢酸ビニル共重合体(20μm)(内側)
【0051】
なお、上記各層は常法に従い、ドライラミネーション法、押出ラミネーション法、押出コーティング法その他のコーティング法によって形成される。
【0052】
蓋材
次に、蓋材50について説明する。蓋材50は、紙製容器10の成形フィルム40のうち、フランジ片25に対応する領域に全周にわたってシールされている。
【0053】
このような蓋材50は、例えば、PET/シーラント層、PP/シーラント層、PET/PP/シーラント層、PET/PE/シーラント層、Kコート延伸ナイロン(KON)/PE/シーラント層、などの層構成の積層体を用いることができる。また、蓋材50を構成する積層体は、例えば、中間層にエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)などのガスバリア性材料を積層した積層体であってもよい。蓋材50は、例えば、PET/PE/エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)/PE/シーラント層、などの層構成の積層体を用いることができる。また、バリア層として、アルミ箔や蒸着フィルム(アルミ蒸着や透明蒸着)を用いてもよい。さらに、シーラントには、いわゆるイージーピール性を発現させることができる樹脂材料を用いることが好ましい。
【0054】
蓋材50は、例えば以下の層構成の積層体から作製されてもよい。
(外側)透明蒸着層付きポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)/ナイロンフィルム(15μm)/ポリエチレンフィルム(40μm)(内側)
【0055】
なお、上記各層は常法に従い、ドライラミネーション法、押出ラミネーション法、押出コーティング法その他のコーティング法によって形成される。
【0056】
このような構成からなる蓋材付き紙製容器1では、まず、紙製容器10内に内容物が充填される。次に、紙製容器10の成形フィルム40のうち、フランジ片25に対応する領域に蓋材50がシールされる。これにより、内容物が充填された蓋材付き紙製容器1が得られる。なお、蓋材付き紙製容器1は、チルド食品用や冷凍食品用の容器であってもよく、あるいは、テイクアウト用の容器として使用することができる。また、内容物としては、カレールウやバター等の固形食品や、惣菜、精肉、乳製品等の食品であってもよい。とりわけ、本実施の形態による紙製容器10では、内容物が紙製容器10の成形フィルム40にぴったりと密着するように収容された固形食品(例えば、カレールウ)であっても、底部21に形成された押し込み部27を押圧することにより、内容物を紙製容器10から容易に取り出すことができる。このため、本実施の形態による蓋材付き紙製容器1は、カレールウやバター等の固形食品を収容する容器として好適に使用することができる。
【0057】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。ここでは、紙製容器10の製造方法、蓋材付き紙製容器1の製造方法および蓋材付き紙製容器1の使用方法について、図6乃至図11を用いて説明する。
【0058】
紙容器の製造方法
まず、ブランク材30を準備する。この際、まず、紙材料を準備し、次に、紙材料に対して打ち抜き加工等を施すことによって、ブランク材30が得られる。この際、ブランク材30の底部パネル31には、破断可能な底部破断線37aで少なくとも一部が囲まれた押し込み部37が形成される。
【0059】
次に、図6に示すように、ブランク材30を、キャビティ側型60に装着する。このキャビティ側型60には、吸引孔61が形成されており、吸引孔61から空気を吸引することによって、ブランク材30がキャビティ側型60に装着される。この際、ブランク材30の側部パネル33が、第1折れ線32に沿って底部パネル31に対して折り曲がる。同様に、ブランク材30のフランジ片パネル35が、第2折れ線34に沿って側部パネル33に対して折り曲がる。これにより、キャビティ側型60に装着された紙容器20が得られる。
【0060】
次いで、紙容器20の表面に成形フィルム40を積層する。この際、まず、図7に示すように、成形フィルム40を構成するフィルム40aが、紙容器20の上方に配置される。次に、フィルム40aが、コア側型62(図8参照)によって加熱される。そして、フィルム40aがコア側型62によって十分に加熱された後、吸引孔61から空気が吸引される。これにより、図8に示すように、フィルム40aが、紙容器20に吸い付けられる。また、この際、コア側型62が、フィルム40aを紙容器20に押しつける。これにより、フィルム40aが、紙容器20に密着する。
【0061】
その後、フィルム40aは、コア側型62設けられた切断機構63によって所望の形状に切断される。これにより、図8に示すように、紙容器20に積層された成形フィルム40が得られる。このようにして、紙製容器10が得られる。
【0062】
次に、蓋材付き紙製容器1の製造方法について説明する。
【0063】
まず、紙製容器10を作製することと並行して、蓋材50を準備する。この際、所定の積層体をドライラミネート法等によって作製する。その後、当該積層体を刃物等により所定の形状に打ち抜くことにより、蓋材50を作製する。
【0064】
次に、紙製容器10に内容物を充填し、蓋材50によって紙製容器10を密閉する。この際、まず、紙製容器10に内容物を充填する。次に、成形フィルム40のうちフランジ片25に対応する位置に、蓋材50を載置する。
【0065】
次いで、図示しないシール熱板等によって、蓋材50を成形フィルム40にシールする。この際、例えば窒素ガス等により、紙製容器10内の空気を置換してもよい。
【0066】
このようにして、紙製容器10と、紙製容器10を密閉する蓋材50とを備える、蓋材付き紙製容器1が得られる。
【0067】
蓋材付き紙製容器1から内容物を取り出す際、まず、紙製容器10から蓋材50を取り外す。
【0068】
次に、図9に示すように、紙製容器10の底部21を上向きにする。
【0069】
次いで、図10に示すように、消費者が、紙製容器10の底部21の押し込み部27を指で押圧する。このとき、消費者は、例えば、対向する一対の押し込み部27を指で押圧する。これにより、押圧された押し込み部27を囲む底部破断線27aが破断する。この際、例えば、底部破断線27aの破断が進行し、破断が第1折れ線22に到達する。そして、押し込み部27が、第1折れ線22をヒンジ部として、第1折れ線22に沿って折り曲げられる。また、このとき、内容物Cが消費者の指によって押圧され、内容物Cが、紙製容器10から押し出される。このようにして、内容物Cが、紙製容器10から取り出される。
【0070】
紙容器20をリサイクルする際、図11に示すように、紙製容器10の成形フィルム40から、紙容器20を除去する。この際、消費者が、底部破断線27aを破断させた後に押し込み部27を摘まんで引っ張ることにより、紙容器20を破断させる。このとき、紙容器20は、第1折れ線22沿って破断する。これにより、側部23が、底部21から分離される。その後、全ての側部23が底部21から分離され、紙容器20が成形フィルム40から除去される。
【0071】
以上のように本実施の形態によれば、底部21に、底部破断線27aで少なくとも一部が囲まれた押し込み部27が形成されている。これにより、消費者が押し込み部27を押圧することによって、底部破断線27aを破断させることができる。そして、消費者の指によって内容物Cを押圧することができる。これにより、内容物Cを紙製容器10から押し出すことができ、内容物Cを紙製容器10から容易に取り出すことができる。
【0072】
また、紙容器20をリサイクルする際には、消費者が、底部破断線27aを破断させた後に押し込み部27を摘まんで引っ張ることにより、紙容器20を成形フィルム40から容易に引き剥がすことができる。
【0073】
また、本実施の形態によれば、底部破断線27aが、ミシン目状に形成されているか、あるいはハーフカット線である。これにより、底部破断線27aを破断させやすくすることができ、押し込み部27によって、内容物を紙製容器10の外部に押し出しやすくすることができる。
【0074】
また、本実施の形態によれば、底部破断線27aの少なくとも一部が、円弧形状をもっている。これにより、消費者が押し込み部27を押し込んだ際に、底部破断線27aの破断を進行させやすくすることができる。このため、押し込み部27を押し込みやすくすることができる。
【0075】
さらに、本実施の形態によれば、押し込み部27が、第1折れ線22をヒンジ部として折り曲げ可能であり、第1折れ線22が、ミシン目状に形成されている。これにより、消費者が押し込み部27を押し込んだ際に、底部破断線27aを破断させやすくすることができ、かつ、第1折れ線22に沿って、側部23を底部21から容易に引き剥がすことができる。このため、紙容器20と成形フィルム40とを容易に分離できる。
【0076】
変形例
次に、図12乃至図17により、本実施の形態による紙容器20およびブランク材30の変形例について説明する。図12乃至図17において、図1乃至図11に示す実施の形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0077】
(第1変形例)
図12は、第1変形例による紙容器20を示し、図13は、第1変形例によるブランク材30を示している。図12において、側部23に、第1折れ線22を破断する際に、第1折れ線22の破断の進行方向を案内する破断補助線27bが形成されている。
【0078】
この破断補助線27bは、側部23を厚み方向に貫通する切込みであってもよい。図示された例においては、破断補助線27bは、各々の側部23に4つずつ形成されており、各々の破断補助線27bは、それぞれ第1折れ線22に至るまで延びている。また、一の側部23に形成された各々の破断補助線27bは、それぞれ、一の側部23の中央部から離れるにつれて、フランジ片25から底部21に向かう側へ傾斜している。これにより、消費者が押し込み部27を摘まんで引っ張ることにより、側部23を底部21から引き剥がす際に、紙容器20の破断が第1折れ線22から逸脱してしまった場合であっても、紙容器20の破断が破断補助線27bに到達しやすくすることができる。なお、側部23に形成される破断補助線27bの個数は任意であり、例えば、各々の側部23に形成される破断補助線27bの個数は、それぞれ、3つ以下であってもよく、5つ以上であってもよい。
【0079】
また、図13において、側部パネル33に、第1折れ線32を破断する際に、第1折れ線32の破断の進行方向を案内する破断補助線37bが形成されている。この破断補助線37bは、紙容器20の側部23に形成された破断補助線27bに対応するものである。
【0080】
本変形例では、側部23に、第1折れ線22を破断する際に、第1折れ線22の破断の進行方向を案内する破断補助線27bが形成されている。これにより、消費者が押し込み部27を摘まんで引っ張ることにより、側部23を底部21から引き剥がす際に、紙容器20の破断が第1折れ線22から逸脱してしまった場合であっても、紙容器20の破断が破断補助線27bに到達し得る。これにより、第1折れ線22を破断させやすくすることができる。
【0081】
(第2変形例)
図14は、第2変形例による紙容器20を示し、図15は、第2変形例によるブランク材30を示している。図14において、側部23に、ミシン目状に形成されているか、あるいはハーフカット線である側部破断線27cが形成されている。
【0082】
図示された例においては、側部破断線27cは、各々の側部23に2つずつ形成されており、各々の側部破断線27cは、それぞれ第1折れ線22に至るまで延びている。また、一の側部23に形成された一方の側部破断線27cは、第2折れ線24の一端に至るまで延びており、一の側部23に形成された他方の側部破断線27cは、第2折れ線24の他端に至るまで延びている。さらに、一の側部23に形成された各々の側部破断線27cは、それぞれ、一の側部23の中央部から離れるにつれて、底部21からフランジ片25に向かう側へ傾斜している。なお、側部23に形成される側部破断線27cの個数は任意であり、例えば、各々の側部23に形成される側部破断線27cの個数は、それぞれ、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。
【0083】
また、図15において、側部パネル33に、ミシン目状に形成されているか、あるいはハーフカット線である側部破断線37cが形成されている。この側部破断線37cは、紙容器20の側部23に形成された側部破断線27cに対応するものである。
【0084】
本変形例では、側部23に、ミシン目状に形成されているか、あるいはハーフカット線である側部破断線27cが形成されている。これにより、消費者が、押し込み部27を摘まんで引っ張ることにより、側部破断線27cに沿って側部23を破断させることができる。そして、破断した側部23を成形フィルム40から引き剥がすことができる。このため、紙容器20と成形フィルム40とを容易に分離できる。
【0085】
(第3変形例)
図16は、第3変形例による紙容器20を示し、図17は、第3変形例によるブランク材30を示している。図16において、側部破断線27cが、互いに離間して配置された複数の貫通部270を有し、各々の貫通部270が、それぞれ、第1部分271と、第1部分271とは異なる方向に延びる第2部分272とを含んでいる。
【0086】
図示された例においては、側部破断線27cは、各々の側部23に2つずつ形成されており、各々の側部破断線27cは、それぞれ第1折れ線22の近傍にまで延びている。また、一の側部23に形成された一方の側部破断線27cは、第2折れ線24の一端近傍にまで延びており、一の側部23に形成された他方の側部破断線27cは、第2折れ線24の他端近傍にまで延びている。なお、側部23に形成される側部破断線27cの個数は任意であり、例えば、各々の側部23に形成される側部破断線27cの個数は、それぞれ、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。
【0087】
上述したように、各々の側部破断線27cは、互いに離間して配置された複数の貫通部270をそれぞれ有している。本変形例では、側部破断線27cは、ミシン目状に形成されており、側部破断線27cは、互いに隣り合う貫通部270同士の間に設けられたつなぎ部275を更に有している。ここで、貫通部270は、紙容器20を貫通する部分である。一方、つなぎ部275は、紙容器20を貫通しない部分である。
【0088】
図示された例においては、各々の側部破断線27cは、それぞれ貫通部270を3つずつ有している。なお、各々の側部破断線27cがそれぞれ有する貫通部270の個数は任意であり、例えば、各々の側部破断線27cは、それぞれ、貫通部270を2つずつ有していてもよく、4つ以上の貫通部270を有していてもよい。
【0089】
各々の貫通部270は、それぞれ、第1部分271と、第1部分271とは異なる方向に延びる第2部分272とを含んでいる。一の側部23に形成された各々の側部破断線27cにおいて、各々の貫通部270の第1部分271は、それぞれ、一の側部23の中央部から離れるにつれて、底部21からフランジ片25に向かう側へ傾斜するように延びている。一方、第2部分272は、第1部分271の端部のうち、底部21側の端部に連結されており、当該一の側部23の長手方向に沿って延びている。これにより、消費者が押し込み部27を摘まんで引っ張ることにより、側部23を底部21から引き剥がす際に、紙容器20の破断が、一の貫通部270の第1部分271から逸脱してしまった場合であっても、紙容器20の破断が、当該一の貫通部270よりもフランジ片25側に位置する他の貫通部270の第2部分272に到達しやすくすることができる。なお、第1部分271が延びる方向および第2部分272が延びる方向は、図示された例に限られない。例えば、第2部分272が、当該第2部分272が形成された側部23の長手方向に非平行は方向に沿って延びていてもよい。また、第1部分271と第2部分272とが、互いに交差していてもよい。
【0090】
また、図17において、側部破断線37cが、互いに離間して配置された複数の貫通部370を有し、各々の貫通部370が、それぞれ、第1部分371と、第1部分371とは異なる方向に延びる第2部分372とを含んでいる。本変形例では、側部破断線37cは、ミシン目状に形成されており、側部破断線37cは、互いに隣り合う貫通部370同士の間に設けられたつなぎ部375を更に有している。この貫通部370、つなぎ部375、第1部分371および第2部分372は、それぞれ、紙容器20の側部破断線27cの貫通部270、つなぎ部275、第1部分271および第2部分272に対応するものである。
【0091】
本変形例では、側部破断線27cが、互いに離間して配置された複数の貫通部270を有し、各々の貫通部270が、それぞれ、第1部分271と、第1部分271とは異なる方向に延びる第2部分272とを含んでいる。これにより、消費者が押し込み部27を摘まんで引っ張ることにより、側部23を底部21から引き剥がす際に、紙容器20の破断が、一の貫通部270の第1部分271から逸脱してしまった場合であっても、紙容器20の破断が、当該一の貫通部270よりもフランジ片25側に位置する他の貫通部270の第2部分272に到達し得る。これにより、側部破断線27cに沿って側部23を破断させやすくすることができる。
【実施例
【0092】
次に、上記実施の形態における具体的実施例について述べる。
【0093】
(実施例1)
(1)内容物取り出し性評価試験
まず、内容物取り出し性評価試験を行った。この際、まず、図5に示すブランク材30を作製した。この場合、紙容器20の材料として、坪量が260g/mであるコート紙を準備した。そして、紙材を所定の形状に打ち抜き、ブランク材30を作製した。
【0094】
次に、得られたブランク材30をキャビティ側型60に装着して組み立てることにより、紙容器20を作製した。
【0095】
また、成形フィルム40として、以下の層構成を有するフィルム(厚み120μm)を準備した。
PE(40μm)/アイオノマー(40μm)/PE(40μm)
次に、紙容器20の表面にフィルムを積層することにより、紙製容器10を作製した。
【0096】
次に、紙製容器10に内容物Cとしてカレールウを充填した。
【0097】
その後、底部21に形成された押し込み部27を押圧することにより、内容物Cを紙製容器10から取り出せるか否かについて確認した。
【0098】
(2)剥離性評価試験
次に、剥離性評価試験を行った。この際、押し込み部27を摘まんで引っ張ることにより、内容物Cを取り出した後の紙製容器10の成形フィルム40から紙容器20を剥離した。そして、紙容器20の剥がしやすさを評価した。
【0099】
(実施例2)
図13に示すブランク材30を作製したこと、以外は実施例1と同様にして、内容物取り出し性評価試験および剥離性評価試験を行った。
【0100】
(実施例3)
図15に示すブランク材30を作製したこと、以外は実施例1と同様にして、内容物取り出し性評価試験および剥離性評価試験を行った。
【0101】
(実施例4)
図17に示すブランク材30を作製したこと、以外は実施例1と同様にして、内容物取り出し性評価試験および剥離性評価試験を行った。
【0102】
(比較例1)
図18に示すように、押し込み部37が形成されていない底部パネル31を備えるブランク材30Aを作製したこと、以外は実施例1と同様にして、内容物取り出し性評価試験および剥離性評価試験を行った。
【0103】
以上の結果を表1に示す。
【0104】
【表1】
【0105】
上記表1の内容物取り出し性の欄において、「○」は、紙製容器10から内容物Cを容易に取り出すことができたことを意味する。また、「×」は、紙製容器の底部を押圧した場合であっても、内容物Cを紙製容器から取り出すことができなかったことを意味する。
【0106】
また、上記表1の剥離性の欄において、「◎」は、成形フィルム40から紙容器20を剥離した際に、紙容器20に紙剥け(紙容器の一部が剥がれること)が生じていなく、かつ、成形フィルム40から紙容器20を容易に剥離できたことを意味する。また、「○」は、成形フィルム40から紙容器20を剥離した際に、紙容器20に紙剥けが生じていたが、成形フィルム40から紙容器20を容易に剥離できたことを意味する。さらに、「×」は、成形フィルム40から紙容器20を容易に剥離できなかったことを意味する。
【0107】
この結果、表1に示すように、比較例による紙容器では、紙製容器の底部を押圧した場合であっても、内容物Cを紙製容器から取り出すことができなかった。
【0108】
これに対して、実施例1乃至実施例4による紙製容器10では、底部21に形成された押し込み部27を押圧することにより、紙製容器10から内容物Cを容易に取り出すことができた。このため、本実施の形態による紙製容器10では、実用性を向上できることがわかった。
【0109】
また、表1に示すように、比較例による紙製容器では、押し込み部27が設けられていなかったため、成形フィルム40から紙容器20を容易には剥離できなかった。
【0110】
これに対して、実施例1乃至実施例4による紙製容器10では、成形フィルム40から紙容器20を容易に剥離できた。とりわけ、実施例2および実施例4による紙製容器10では、成形フィルム40から紙容器20を剥離した際に、紙容器20に紙剥けが生じていなく、かつ、成形フィルム40から紙容器20を容易に剥離できた。このように、本実施の形態による紙製容器10では、紙容器20をリサイクルする際に、紙容器20と成形フィルム40とを容易に分離でき、リサイクル性を向上できることがわかった。
【0111】
本開示は上記実施の形態および各変形例そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態および各変形例に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。実施の形態および各変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0112】
1 蓋材付き紙製容器
10 紙製容器
20 紙容器
21 底部
22 第1折れ線
23 側部
24 第2折れ線
25 フランジ片
27 押し込み部
27a 底部破断線
27b 破断補助線
27c 側部破断線
270 貫通部
271 第1部分
272 第2部分
30 ブランク材
31 底部パネル
32 第1折れ線
33 側部パネル
34 第2折れ線
35 フランジ片パネル
37 押し込み部
37a 底部破断線
37b 破断補助線
37c 側部破断線
370 貫通部
371 第1部分
372 第2部分
40 成形フィルム
50 蓋材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18