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特許7582019作業支援システムおよび作業支援複合システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】作業支援システムおよび作業支援複合システム
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20241106BHJP
   E02F 9/20 20060101ALI20241106BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
H04Q9/00 301B
E02F9/20 N
H04Q9/00 361
H04N7/18 J
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021058131
(22)【出願日】2021-03-30
(65)【公開番号】P2022154873
(43)【公開日】2022-10-13
【審査請求日】2023-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 龍一
(72)【発明者】
【氏名】森田 有輝
(72)【発明者】
【氏名】松田 優也
(72)【発明者】
【氏名】大谷 真輝
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 誠司
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 洋一郎
【審査官】山中 実
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-087004(JP,A)
【文献】特開2019-183561(JP,A)
【文献】特開2021-026398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
E02F 9/20
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の作業機械と、当該複数の作業機械のうち遠隔操作対象となる一の作業機械を遠隔操作するための遠隔操作装置と、作業支援サーバと、のそれぞれとの相互通信機能を有する遠隔操作システムであって、
前記複数の作業機械のうち遠隔操作対象となる候補である作業機械には、画像を撮像可能な実機撮像装置と、前記実機撮像装置により撮像された前記画像中に含まれるように撮像され、前記候補である作業機械に割り当てられた文字情報としての記載である実機識別情報と、が搭載されており、
前記作業支援サーバは、前記複数の作業機械のうち遠隔操作対象となる一の作業機械が選択されたか否かを判定し、前記一の作業機械が選択されたと判定されると当該選択された一の作業機械の情報である選択情報に対応する識別子により識別される連携作業機械と前記遠隔操作装置とを接続し、前記連携作業機械の前記実機撮像装置により撮像された前記画像を取得する処理と、前記連携作業機械の前記実機撮像装置により撮像された前記画像および前記選択情報を前記遠隔操作装置の出力インターフェースに出力させる処理と、を実行する
ことを特徴とする遠隔操作システム。
【請求項2】
複数の作業機械と、当該複数の作業機械のうち遠隔操作対象となる一の作業機械を遠隔操作するための遠隔操作装置と、作業支援サーバと、のそれぞれとの相互通信機能を有する遠隔操作システムであって、
前記複数の作業機械のうち遠隔操作対象となる候補である作業機械には、画像を撮像可能な実機撮像装置と、前記実機撮像装置により撮像された前記画像中に含まれるように撮像される実機識別情報と、が搭載されており、
前記作業支援サーバは、前記複数の作業機械のうち遠隔操作対象となる一の作業機械が選択されたか否かを判定し、前記一の作業機械が選択されたと判定されると当該選択された一の作業機械の情報である選択情報に対応する識別子により識別される連携作業機械と前記遠隔操作装置とを接続し、前記連携作業機械の前記実機撮像装置により撮像された前記画像を取得し、前記連携作業機械の前記実機撮像装置により撮像された前記画像を前記遠隔操作装置の出力インターフェースに出力させる処理と、前記連携作業機械の前記実機撮像装置により撮像された前記画像に前記実機識別情報が含まれているか否かを判定し、前記画像に前記実機識別情報が含まれていると判定されると、前記実機識別情報と前記選択情報との整合性を判定し、当該整合性の判定結果を前記遠隔操作装置の出力インターフェースに出力させる処理と、を実行する遠隔操作システム。
【請求項3】
複数の作業機械と、当該複数の作業機械のうち遠隔操作対象となる一の作業機械を遠隔操作するための遠隔操作装置と、作業支援サーバと、のそれぞれとの相互通信機能を有する遠隔操作システムであって、
前記複数の作業機械のうち遠隔操作対象となる候補である作業機械には、画像を撮像可能な実機撮像装置と、前記実機撮像装置により撮像された前記画像中に含まれるように撮像される実機識別情報と、が搭載されており、
前記作業支援サーバは、前記複数の作業機械のうち遠隔操作対象となる一の作業機械が選択されたか否かを判定し、前記一の作業機械が選択されたと判定されると当該選択された一の作業機械の情報である選択情報に対応する識別子により識別される連携作業機械と前記遠隔操作装置とを接続し、前記連携作業機械の前記実機撮像装置により撮像された前記画像を取得し、前記連携作業機械の前記実機撮像装置により撮像された前記画像を前記遠隔操作装置の出力インターフェースに出力させる処理と、前記画像に含まれている前記実機識別情報が前記選択情報に対応する前記実機識別情報と異なる場合に、前記複数の作業機械のうち前記連携作業機械以外の作業機械の前記実機撮像装置によって撮像された候補画像を取得し、前記候補画像を撮像した前記実機撮像装置を搭載する前記作業機械が真の連携作業機械であるか否かに関する整合情報を前記遠隔操作装置から取得し、前記候補画像を前記遠隔操作装置の出力インターフェースに出力させ、前記整合情報が前記真の連携作業機械であるときに、前記連携作業機械に対応する前記識別子を、前記候補画像を撮像した前記実機撮像装置を搭載している前記作業機械の識別子に書換える処理と、を実行することを特徴とする遠隔操作システム。
【請求項4】
前記作業支援サーバは、前記選択情報を前記遠隔操作装置の出力インターフェースに出力させる処理を実行することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の遠隔操作システム。
【請求項5】
前記作業支援サーバは、前記遠隔操作装置の入力インターフェースに入力された前記選択情報を取得する処理と、取得した前記選択情報を前記遠隔操作装置の出力インターフェースに出力させる処理と、を実行することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の遠隔操作システム。
【請求項6】
複数の作業機械と、当該複数の作業機械のうち遠隔操作対象となる一の作業機械を遠隔操作するための遠隔操作装置と、のそれぞれと通信可能である作業支援サーバであって、
前記複数の作業機械のうち遠隔操作対象となる候補である作業機械には、画像を撮像可能な実機撮像装置と、前記実機撮像装置により撮像された前記画像中に含まれるように撮像され、前記候補である作業機械に割り当てられた文字情報としての記載である実機識別情報と、が搭載されており、
前記複数の作業機械のうち遠隔操作対象となる一の作業機械が選択されたか否かを判定し、前記一の作業機械が選択されたと判定されると当該選択された一の作業機械の情報である選択情報に対応する識別子により識別される連携作業機械と前記遠隔操作装置とを接続し、前記連携作業機械の前記実機撮像装置により撮像された前記画像を取得する処理と、前記連携作業機械の前記実機撮像装置により撮像された前記画像および前記選択情報を前記遠隔操作装置の出力インターフェースに出力させる処理と、を実行することを特徴とする作業支援サーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の作業機械と、当該複数の作業機械のうち遠隔操作対象となる一の作業機械を遠隔操作するための遠隔操作装置と、のそれぞれとの相互通信機能を有する遠隔操作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オペレータが作業機械に搭乗せずに、作業機械を遠隔から操作することが行われている。このような作業機械としては、例えば、マスターとスレーブが互いに通信可能に設けられ、マスターに設けられた操作レバーをオペレータが操作することにより、作業機械の運転席に配置されたスレーブが作業機械の操作レバーを操作する遠隔操作システムが特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-176401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、1のマスターで2以上の作業機械を遠隔操作する場合、マスターと、作業機械の各々に設けられたスレーブと、を互いに通信可能に接続する必要がある。
【0005】
また、オペレータは、1の作業機械を操作する場合に、複数の作業機械のうちから1の作業機械を選択して、操作する対象の作業機械を切り替える。
【0006】
しかしながら、例えば、スレーブの接続設定が誤って行われた場合、オペレータが選択した作業機械とは、異なるスレーブに接続される場合がある。オペレータが作業機械に実搭乗する場合には乗る前に作業機械の外観や作業機械の位置する現場の様子を確認できるが、作業機械を遠隔操作する場合にはこれらの確認ができないので、オペレータが意図しない作業機械(異なるスレーブ)に接続したことに気づきにくい。オペレータが作業機械に搭載された撮像装置の映像により確認しようとしても、これらの映像は似通った映像であり区別がつきにくい。
【0007】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、オペレータが選択した作業機械と、マスターに接続されているスレーブの情報を出力させることが可能な遠隔システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するため本発明の第1の態様の遠隔操作システムは、複数の作業機械と、当該複数の作業機械のうち遠隔操作対象となる一の作業機械を遠隔操作するための遠隔操作装置と、作業支援サーバと、のそれぞれとの相互通信機能を有する遠隔操作システムであって、前記複数の作業機械のうち遠隔操作対象となる候補である作業機械には、画像を撮像可能な実機撮像装置と、前記実機撮像装置により撮像された前記画像中に含まれるように撮像され、前記候補である作業機械に割り当てられた文字情報としての記載である実機識別情報と、が搭載されており、前記作業支援サーバは、前記複数の作業機械のうち遠隔操作対象となる一の作業機械が選択されたか否かを判定し、前記一の作業機械が選択されたと判定されると当該選択された一の作業機械の情報である選択情報に対応する識別子により識別される連携作業機械と前記遠隔操作装置とを接続し、前記連携作業機械の前記実機撮像装置により撮像された前記画像を取得する処理と、前記連携作業機械の前記実機撮像装置により撮像された前記画像および前記選択情報を前記遠隔操作装置の出力インターフェースに出力させる処理と、を実行することを特徴とする。
【0009】
本発明の遠隔操作システムによれば、実機識別情報を含む画像および選択情報が遠隔操作装置の出力インターフェースから出力されることにより、例えば、当該遠隔操作装置に当該画像および選択情報を表示させることができる。よって、オペレータは、当該画像および選択情報を通じて、実機識別情報を視認することができる。したがって、オペレータは、選択情報と実機識別情報の異同を確認することにより、遠隔操作装置と接続されている作業機械と操作対象となる作業機械が一致しているか否かを確認することが可能となる。
【0010】
本発明の第2の態様の遠隔操作システムは、複数の作業機械と、当該複数の作業機械のうち遠隔操作対象となる一の作業機械を遠隔操作するための遠隔操作装置と、作業支援サーバと、のそれぞれとの相互通信機能を有する遠隔操作システムであって、前記複数の作業機械のうち遠隔操作対象となる候補である作業機械には、画像を撮像可能な実機撮像装置と、前記実機撮像装置により撮像された前記画像中に含まれるように撮像される実機識別情報と、が搭載されており、前記作業支援サーバは、前記複数の作業機械のうち遠隔操作対象となる一の作業機械が選択されたか否かを判定し、前記一の作業機械が選択されたと判定されると当該選択された一の作業機械の情報である選択情報に対応する識別子により識別される連携作業機械と前記遠隔操作装置とを接続し、前記連携作業機械の前記実機撮像装置により撮像された前記画像を取得し、前記連携作業機械の前記実機撮像装置により撮像された前記画像を前記遠隔操作装置の出力インターフェースに出力させる処理と、前記連携作業機械の前記実機撮像装置により撮像された前記画像に前記実機識別情報が含まれているか否かを判定し、前記画像に前記実機識別情報が含まれていると判定されると、前記実機識別情報と前記選択情報との整合性を判定し、当該整合性の判定結果を前記遠隔操作装置の出力インターフェースに出力させる処理と、を実行することを特徴とする。
【0011】
このような態様によれば、選択情報と実機識別情報の整合性を判定した判定結果が遠隔操作装置に送信されることにより、例えば、当該遠隔操作装置に当該判定結果を表示させることができる。
【0012】
本発明の第3の態様の遠隔操作システムは、複数の作業機械と、当該複数の作業機械のうち遠隔操作対象となる一の作業機械を遠隔操作するための遠隔操作装置と、作業支援サーバと、のそれぞれとの相互通信機能を有する遠隔操作システムであって、前記複数の作業機械のうち遠隔操作対象となる候補である作業機械には、画像を撮像可能な実機撮像装置と、前記実機撮像装置により撮像された前記画像中に含まれるように撮像される実機識別情報と、が搭載されており、前記作業支援サーバは、前記複数の作業機械のうち遠隔操作対象となる一の作業機械が選択されたか否かを判定し、前記一の作業機械が選択されたと判定されると当該選択された一の作業機械の情報である選択情報に対応する識別子により識別される連携作業機械と前記遠隔操作装置とを接続し、前記連携作業機械の前記実機撮像装置により撮像された前記画像を取得し、前記連携作業機械の前記実機撮像装置により撮像された前記画像を前記遠隔操作装置の出力インターフェースに出力させる処理と、前記画像に含まれている前記実機識別情報が前記選択情報に対応する前記実機識別情報と異なる場合に、前記複数の作業機械のうち前記連携作業機械以外の作業機械の前記実機撮像装置によって撮像された候補画像を取得し、前記候補画像を撮像した前記実機撮像装置を搭載する前記作業機械が真の連携作業機械であるか否かに関する整合情報を前記遠隔操作装置から取得し、前記候補画像を前記遠隔操作装置の出力インターフェースに出力させ、前記整合情報が前記真の連携作業機械であるときに、前記連携作業機械に対応する前記識別子を、前記候補画像を撮像した前記実機撮像装置を搭載している前記作業機械の識別子に書換える処理と、を実行することを特徴とする。
【0013】
このような態様によれば、オペレータの意思に基づいて、連携作業機械に対応する識別子を、候補画像を撮像した実機撮像装置を搭載している作業機械の識別子に変更される。このため、オペレータは、識別子が変更されるタイミングを認識することができる。
【0014】
本発明の第2および第3の態様の遠隔操作システムにおいて、前記作業支援サーバは、前記選択情報を前記遠隔操作装置の出力インターフェースに出力させる処理を実行することが好ましい。
このような態様によれば、例えば、遠隔操作装置に選択情報を表示させることができる。これによりオペレータは、実機識別情報を含む画像及び選択情報を目視することが可能となる。
【0015】
また、本発明の遠隔操作システムにおいて、前記作業支援サーバは、前記遠隔操作装置の入力インターフェースに入力された前記選択情報を取得する処理と、取得した前記選択情報を前記遠隔操作装置の出力インターフェースに出力させる処理と、を実行することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態としての作業支援複合システムの構成説明図である。
図2】作業支援サーバのデータベースに格納されたデータ構造の例を示す説明図である。
図3】遠隔操作装置の構成に関する説明図である。
図4】遠隔操作装置の画面表示の例を示す説明図である。
図5】作業機械の構成に関する説明図である。
図6】実機撮像装置による撮影された画像の例を示す説明図である。
図7】作業支援サーバによる作業支援処理の例を示すフローチャートである。
図8】作業支援サーバによる他の作業支援処理の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0017】
(遠隔操作システムの構成)
図1に示されている本発明の一実施形態としての作業支援システムは、遠隔操作装置20による第1の作業機械40及び、第2の作業機械50の遠隔操作を支援するための作業支援サーバ10により構成されている。作業支援サーバ10と、遠隔操作装置20、第1の作業機械40、第2の作業機械50のそれぞれとは共通のまたは別個のネットワークを介して相互に通信可能に構成されている。尚、本図においては、作業支援サーバ10は、第1の作業機械40又は、第2の作業機械50と接続可能にされているが、作業支援サーバ10は2台以上の作業機械と接続可能であればよく、その接続台数に制限はない。
【0018】
本実施例においては、作業支援サーバ10を、複数の作業機械と、当該複数の作業機械のうち遠隔操作対象となる一の作業機械を遠隔操作するための遠隔操作装置と、のそれぞれとの相互通信機能を有する遠隔操作システムとして説明する。また、本実施例においては、作業支援サーバ10、遠隔操作装置20、第1の作業機械40及び、第2の作業機械50によって複合システムを構成した作業支援システムの例を説明する。
【0019】
本発明の構成要素(ハードウェア)が、各種情報を「取得する」とは、当該情報を受信すること、当該情報を内部記憶装置(例えば、メモリ)および/または外部記憶装置(例えば、外部のデータベースサーバ)から読み取るまたは検索すること、受信、読み取り、検索等された情報を対象にして演算処理を実行することにより情報を算定、推定、予測、同定等すること、など、各種情報を後続の演算処理において利用可能な形態で準備するためのあらゆる演算処理を包含する概念である。
【0020】
(作業支援サーバの構成)
作業支援サーバ10は、データベース102と、第1支援処理要素121と、第2支援処理要素122と、を備えている。データベース102は、撮像画像データ等を記憶保持する。データベース102は、作業支援サーバ10とは別個のデータベースサーバにより構成されていてもよい。また、データベース102は、図2に示すように、第1の作業機械40又は、第2の作業機械50毎に割り当てられたネットワーク上で作業機械を識別するための識別子(例えば、作業機械ごとに割り当てられたIPアドレス)及び、第1の作業機械40又は、第2の作業機械50毎に割り当てられた識別子に対応する作業機械の情報を含む実機識別情報を保持している。尚、実機識別情報は、一の作業機械と、他の作業機械と、を識別可能な情報であればよく、例えば、製造番号等の固有番号、固有番号等の情報を保持した二次元コード、〇、△等の図形等でもよい。
【0021】
第1支援処理要素121及び第2支援処理要素122は、演算処理装置(シングルコアプロセッサまたはマルチコアプロセッサもしくはこれを構成するプロセッサコア)により構成され、メモリなどの記憶装置から必要なデータおよびソフトウェアを読み取り、当該データを対象として当該ソフトウェアに従った後述の演算処理を実行する。
【0022】
(遠隔操作装置の構成)
遠隔操作装置20は、遠隔制御装置200と、遠隔入力インターフェース210と、遠隔出力インターフェース220と、を備えている。遠隔制御装置200は、演算処理装置(シングルコアプロセッサまたはマルチコアプロセッサもしくはこれを構成するプロセッサコア)により構成され、メモリなどの記憶装置から必要なデータおよびソフトウェアを読み取り、当該データを対象として当該ソフトウェアにしたがった演算処理を実行する。
【0023】
遠隔入力インターフェース210は、遠隔操作機構211と、手元端末2240と、を備えている。遠隔出力インターフェース220は、遠隔画像出力装置221と、遠隔音響出力装置222と、遠隔無線通信機器224と、手元端末2240と、を備えている。手元端末2240は、遠隔入力インターフェース210および遠隔出力インターフェース220の両方を兼ねる。
【0024】
遠隔操作機構211には、走行用操作装置と、旋回用操作装置と、ブーム用操作装置と、アーム用操作装置と、バケット用操作装置と、が含まれている。各操作装置は、回動操作を受ける操作レバーを有している。走行用操作装置の操作レバー(走行レバー)は、作業機械40の下部走行体410を動かすために操作される。走行レバーは、走行ペダルを兼ねていてもよい。例えば、走行レバーの基部または下端部に固定されている走行ペダルが設けられていてもよい。旋回用操作装置の操作レバー(旋回レバー)は、作業機械40の旋回機構430を構成する油圧式の旋回モータを動かすために操作される。ブーム用操作装置の操作レバー(ブームレバー)は、作業機械40のブームシリンダ442を動かすために操作される。アーム用操作装置の操作レバー(アームレバー)は作業機械40のアームシリンダ444を動かすために操作される。バケット用操作装置の操作レバー(バケットレバー)は作業機械40のバケットシリンダ446を動かすために操作される。
【0025】
遠隔操作機構211を構成する各操作レバーは、例えば、図3に示されているように、オペレータOP1が着座するためのシートStの周囲に配置されている。シートStは、アームレスト付きのハイバックチェアのような形態であるが、ヘッドレストがないローバックチェアのような形態、または、背もたれがないチェアのような形態など、オペレータOP1が着座できる任意の形態の着座部であってもよい。
【0026】
シートStの前方に左右のクローラに応じた左右一対の走行レバー2110が左右横並びに配置されている。一つの操作レバーが複数の操作レバーを兼ねていてもよい。例えば、図2に示されているシートStの左側フレームの前方に設けられている左側操作レバー2111が、前後方向に操作された場合にアームレバーとして機能し、かつ、左右方向に操作された場合に旋回レバーとして機能してもよい。同様に、図3に示されているシートStの右側フレームの前方に設けられている右側操作レバー2112が、前後方向に操作された場合にブームレバーとして機能し、かつ、左右方向に操作された場合にバケットレバーとして機能してもよい。レバーパターンは、オペレータOP1の操作指示によって任意に変更されてもよい。
【0027】
手元端末2240は、例えば図3に示されているように、シートStの着座位置から見て右斜め前方に設置される表示装置である。手元端末2420は、例えば、タッチパネル等の入力手段を有する。手元端末2240は、例えば、図4に示すように、タッチパネル等の入力手段により、遠隔操作装置20と接続する第1の作業機械40又は、第2の作業機械50を選択可能となっている。手元端末2240は、その表示画面および入力面がシートSt側に向けられている。手元端末2240は、表示画面の角度調整が可能に構成されてもよい。
【0028】
具体的には、図4に示されるように、手元端末2240の表示画面において、その上欄22401に接続される候補である複数の作業機械A~Cの画像が表示されており、その下欄22402に外枠で囲われた作業機械A~Cが表示されている。上欄22401には、複数の作業機械A~Cの位置関係を示すマップが表示され、下欄22402には各作業機械A~Cの号機番号(実機識別情報)や仕様等が表示される。上欄22401又は、下欄22402の作業機械A~Cの画像のいずれかがオペレータOP1によってタップされ、遠隔操作装置20と接続する作業機械が選択されると、下欄22402において当該タップにより選択された作業機械A~Cの表示形態(外枠の色、外枠の枠線の太さ、作業機械のアイコンの点滅、背景色等)を非選択作業機械と識別可能に変更されるようになっている。
【0029】
遠隔画像出力装置221は、例えば図3に示されているように、シートStの前方、左斜め前方および右斜め前方のそれぞれに配置された略矩形状の画面を有する中央遠隔画像出力装置2210、左側遠隔画像出力装置2211および右側遠隔画像出力装置2212により構成されている。中央遠隔画像出力装置2210、左側遠隔画像出力装置2211および右側遠隔画像出力装置2212のそれぞれの画面(画像表示領域)の形状およびサイズは同じであってもよく相違していてもよい。
【0030】
中央遠隔画像出力装置2210、左側遠隔画像出力装置2211および右側遠隔画像出力装置2212のそれぞれの画面は、鉛直方向に対して平行であってもよく、鉛直方向に対して傾斜していてもよい。中央遠隔画像出力装置2210、左側遠隔画像出力装置2211および右側遠隔画像出力装置2212のうち少なくとも1つの画像出力装置が、複数に分割された画像出力装置により構成されていてもよい。例えば、中央遠隔画像出力装置2210が、略矩形状の画面を有する上下に隣接する一対の画像出力装置により構成されていてもよい。
【0031】
遠隔音響出力装置222は、一または複数のスピーカーにより構成され、例えば図2に示されているように、シートStの後方、左アームレスト後部および右アームレスト後部のそれぞれに配置された中央遠隔音響出力装置2220、左側遠隔音響出力装置2221および右側遠隔音響出力装置2222により構成されている。中央遠隔音響出力装置2220、左側遠隔音響出力装置2221および右側遠隔音響出力装置2222のそれぞれの仕様は同じであってもよく相違していてもよい。
【0032】
(第1の作業機械の構成)
図1に示されているように、第1の作業機械40は、実機制御装置400と、実機入力インターフェース41と、実機出力インターフェース42と、を備えている。実機制御装置400は、演算処理装置(シングルコアプロセッサまたはマルチコアプロセッサもしくはこれを構成するプロセッサコア)により構成され、メモリなどの記憶装置から必要なデータおよびソフトウェアを読み取り、当該データを対象として当該ソフトウェアにしたがった演算処理を実行する。
【0033】
第1の作業機械40は、例えば、油圧式、電動式または油圧式および電動式が組み合わされたハイブリッド駆動式のクローラショベル(建設機械)であり、図5に示されているように、クローラ式の下部走行体410と、下部走行体410に旋回機構430を介して旋回可能に搭載されている上部旋回体420と、を備えている。上部旋回体420の前方左側部にはキャブ424(運転室)が設けられている。上部旋回体420の前方中央部には作業機構440が設けられている。
【0034】
実機入力インターフェース41は、実機操作機構411と、実機撮像装置412と、実機状態センサ群414と、を備えている。実機操作機構411は、キャブ424の内部に配置されたシートの周囲に遠隔操作機構211と同様に配置された複数の操作レバーを備えている。
【0035】
遠隔操作レバーの操作態様に応じた信号を受信し、当該受信信号に基づいて実機操作レバーを動かす駆動機構またはロボットがキャブ424に設けられている。
【0036】
実機撮像装置412は、例えばキャブ424の内部に設置され、フロントウィンドウおよび左右一対のサイドウィンドウ越しに作動機構440の少なくとも一部を含む環境を撮像する。フロントウィンドウ(またはウィンドウフレーム)およびサイドウィンドウのうち一部または全部が省略されていてもよい。
【0037】
実機撮像装置412は、第1の作業機械40に割り当てられた固有番号としての実機識別情報(図6において、No.△△)が記載されたステッカーSTを含むように撮像する。実機識別情報が記載されたステッカーSTは、例えば、第1の作業機械40のフロントウィンドウに貼付されている。実機撮像装置412によって撮像された画像は、作業支援サーバ10に順次送信される。尚、実機識別情報は、ステッカーSTに限られず、例えばプレートに刻印されてもよいし、第1の作業機械40のフレームに刻印されてもよい。
【0038】
また、実機識別情報は、第1の作業機械40に複数設けられてもよい。例えば、固有番号及び固有番号を保持した二次元コードが記載されたステッカーSTが貼付されてもよい。このように複数の実機識別情報を作業機械に設ける場合は、同一のステッカーSTにすべての実機識別情報が記載されている必要はなく、例えば、一の実機識別情報が記載されたステッカーSTを複数貼付されてもよい。
【0039】
実機状態センサ群414は、上部旋回体420に対するブーム441の回動角度(起伏角度)、ブーム441に対するアーム443の回動角度、および、アーム443に対するバケット445の回動角度のそれぞれを測定するための角度センサ、下部走行体410に対する上部旋回体420の旋回角度を測定するための旋回角度センサ、バケット445に対して作用する外力を測定するための外力センサ、上部旋回体420に作用する3軸加速度を測定するための3軸加速度センサ等により構成されている。
【0040】
実機出力インターフェース42は、実機画像出力装置421と、実機無線通信機器422と、を備えている。実機画像出力装置421は、例えば、キャブ424の内部であってフロントウィンドウの近傍に配置されている。実機画像出力装置421は、省略されていてもよい。
【0041】
作動機構としての作業機構440は、上部旋回体420に起伏可能に装着されているブーム441と、ブーム441の先端に回動可能に連結されているアーム443と、アーム443の先端に回動可能に連結されているバケット445と、を備えている。作業機構440には、伸縮可能な油圧シリンダにより構成されているブームシリンダ442、アームシリンダ444およびバケットシリンダ446が装着されている。作業部として、バケット445のほか、ニブラ、カッター、マグネットなど、さまざまなアタッチメントが用いられてもよい。
【0042】
ブームシリンダ442は、作動油の供給を受けることにより伸縮してブーム441を起伏方向に回動させるように当該ブーム441と上部旋回体420との間に介在する。アームシリンダ444は、作動油の供給を受けることにより伸縮してアーム443をブーム441に対して水平軸回りに回動させるように当該アーム443と当該ブーム441との間に介在する。バケットシリンダ446は、作動油の供給を受けることにより伸縮してバケット445をアーム443に対して水平軸回りに回動させるように当該バケット445と当該アーム443との間に介在する。
【0043】
(第2の作業機械の構成)
図1に示されているように、第2の作業機械50は、実機制御装置500と、実機入力インターフェース51と、実機出力インターフェース52と、を備えている。実機制御装置500は、演算処理装置(シングルコアプロセッサまたはマルチコアプロセッサもしくはこれを構成するプロセッサコア)により構成され、メモリなどの記憶装置から必要なデータおよびソフトウェアを読み取り、当該データを対象として当該ソフトウェアにしたがった演算処理を実行する。
【0044】
第2の作業機械50は、例えば、油圧式、電動式または油圧式および電動式が組み合わされたハイブリッド駆動式のクローラショベル(建設機械)であり、図5に示されているように、クローラ式の下部走行体510と、下部走行体510に旋回機構530を介して旋回可能に搭載されている上部旋回体520と、を備えている。上部旋回体520の前方左側部にはキャブ524(運転室)が設けられている。上部旋回体520の前方中央部には作業機構540が設けられている。
【0045】
実機入力インターフェース51は、実機操作機構511と、実機撮像装置512と、実機状態センサ群514と、を備えている。実機操作機構511は、キャブ524の内部に配置されたシートの周囲に遠隔操作機構211と同様に配置された複数の操作レバーを備えている。
【0046】
遠隔操作レバーの操作態様に応じた信号を受信し、当該受信信号に基づいて実機操作レバーを動かす駆動機構またはロボットがキャブ524に設けられている。
【0047】
実機撮像装置512は、例えばキャブ524の内部に設置され、フロントウィンドウおよび左右一対のサイドウィンドウ越しに作動機構540の少なくとも一部を含む環境を撮像する。フロントウィンドウ(またはウィンドウフレーム)およびサイドウィンドウのうち一部または全部が省略されていてもよい。
【0048】
実機撮像装置512は、第2の作業機械50に割り当てられた実機識別情報が記載されたステッカーSTを含むように撮像する。実機識別情報が記載されたステッカーSTは、例えば、第2の作業機械50のフロントウィンドウに貼付されている。実機撮像装置512によって撮像された画像は、作業支援サーバ10に順次送信されデータベース102に格納される。尚、実機識別情報は、ステッカーSTに限られず、例えばプレートに刻印されてもよいし、第2の作業機械50のフレームに刻印されてもよい。
【0049】
実機状態センサ群514は、上部旋回体520に対するブーム541の回動角度(起伏角度)、ブーム541に対するアーム543の回動角度、および、アーム543に対するバケット545の回動角度のそれぞれを測定するための角度センサ、下部走行体510に対する上部旋回体520の旋回角度を測定するための旋回角度センサ、バケット545に対して作用する外力を測定するための外力センサ、上部旋回体520に作用する3軸加速度を測定するための3軸加速度センサ等により構成されている。
【0050】
実機出力インターフェース52は、実機画像出力装置521と、実機無線通信機器522と、を備えている。実機画像出力装置521は、例えば、キャブ524の内部であってフロントウィンドウの近傍に配置されている。実機画像出力装置521は、省略されていてもよい。
【0051】
作動機構としての作業機構540は、上部旋回体520に起伏可能に装着されているブーム541と、ブーム541の先端に回動可能に連結されているアーム543と、アーム543の先端に回動可能に連結されているバケット545と、を備えている。作業機構540には、伸縮可能な油圧シリンダにより構成されているブームシリンダ542、アームシリンダ544およびバケットシリンダ546が装着されている。作業部として、バケット545のほか、ニブラ、カッター、マグネットなど、さまざまなアタッチメントが用いられてもよい。
【0052】
ブームシリンダ542は、作動油の供給を受けることにより伸縮してブーム541を起伏方向に回動させるように当該ブーム541と上部旋回体520との間に介在する。アームシリンダ544は、作動油の供給を受けることにより伸縮してアーム543をブーム541に対して水平軸回りに回動させるように当該アーム543と当該ブーム541との間に介在する。バケットシリンダ546は、作動油の供給を受けることにより伸縮してバケット545をアーム543に対して水平軸回りに回動させるように当該バケット545と当該アーム543との間に介在する。
【0053】
前記構成の作業支援サーバ10、遠隔操作装置20、第1の作業機械40及び第2の作業機械50の連携により発揮される作業支援システムの作業支援処理について図7に示されているフローチャートを用いて説明する。
【0054】
作業支援システムは、遠隔操作装置20の起動をトリガーとして、作業支援処理を開始する。オペレータOP1によって遠隔操作装置20が起動されると(ステップS101:Y)、遠隔操作装置20は、例えば、手元端末2240の表示画面に遠隔操作装置20と接続する候補である第1の作業機械40や、第2の作業機械50を選択可能に表示する。オペレータOP1は、例えば、接続する候補である第1の作業機械40又は、第2の作業機械50を手元端末2240に表示される作業機械の画像をタッチすることにより選択する。遠隔操作装置20は、作業機械が選択されたか否かを判定する(ステップS102)。遠隔操作装置20は、作業機械が選択されたと判定すると(ステップS102:Y)、オペレータOP1によって選択された作業機械の情報(選択情報)を作業支援サーバ10に送信する(ステップS103)。
【0055】
作業支援サーバ10は、選択情報を受信するとデータベース102に格納する。作業支援サーバ10は、遠隔操作装置20から送信された選択情報を受信したことをトリガーとして、作業支援処理を開始する。作業支援サーバ10の第1支援処理要素121は、作業機械が選択されたか否かを判定する(ステップS201)。
【0056】
作業支援サーバ10の第1支援処理要素121は、データベース102を参照して選択情報が格納されているか否かに基づいてステップS201の判定を行う。作業支援サーバ10の第1支援処理要素121は、作業機械が選択されていないと判定した場合(ステップS201:N)、作業支援処理を終了する。
【0057】
作業支援サーバ10の第1支援処理要素121は、作業機械が選択されたと判定した場合(ステップS201:Y)、データベース102を参照して選択情報を取得し(ステップS202)、当該選択情報に対応する作業機械を実機識別情報を基に選定し、選定した作業機械の識別子により識別される連携作業機械の実機撮像装置が撮像した画像を取得する(ステップS203)。すなわち、第1支援処理要素121は、複数の作業機械のうち遠隔操作対象となる一の第1の作業機械40又は、第2の作業機械50が選択された選択情報を取得することが可能である。また、第1の支援処理要素121は、選択情報に対応する識別子により識別される連携作業機械と遠隔操作装置20とを接続することが可能である。さらに、第1の支援処理要素121は、遠隔操作装置20と接続された一の連携作業機械の実機撮像装置が撮像した画像を取得することが可能である。
【0058】
作業支援サーバ10の第2支援処理要素122は、取得された選択情報及び画像を遠隔操作装置20に送信し(ステップS204)、作業支援処理を終了する。
【0059】
遠隔操作装置20は、例えば、ステップS204において作業支援サーバ10から送信された画像を遠隔画像出力装置221に表示する。オペレータOP1は、遠隔画像出力装置221に表示された画像を目視により確認することにより、遠隔操作装置20と接続されている連携作業機械の実機撮像装置が撮像した画像中のステッカーSTが表す実機識別情報が、第1の作業機械40又は、第2の作業機械50の選択情報と合致しているかを確認することが可能となる。
【0060】
具体的には、オペレータOP1は、遠隔画像出力装置221に表示された画像に含まれている実機識別情報と、手元端末2240に選択情報と共に表示された実機識別情報と、を目視することにより両者が合致しているかを確認することができる。
【0061】
尚、オペレータOP1が、画像に含まれている実機識別情報と、選択情報に対応する実機識別情報と、を確認できる態様であれば、必ずしも手元端末2240に選択情報と共に実機識別情報が表示されなくてもよい。例えば、遠隔操作装置20は、遠隔音響出力装置222から選択情報及び選択情報に対応する実機識別情報を音声により出力させてもよい。また、オペレータOP1が選択情報及び選択情報と対応する実機識別情報が記載された紙媒体を参照し、画像に含まれている実機識別情報との合致の確認を行ってもよい。
【0062】
オペレータOP1は、合致していないことを確認した場合には、当該遠隔操作の中断、作業支援システムの再起動、システム管理者への連絡等の対応をとるなど実機識別情報と選択情報の合致しない状態の解消を図ることができる。
【0063】
また、遠隔操作装置20は、例えば、ステップS102にて手元端末2240に入力された操作の内容(第1の作業機械40又は、第2の作業機械50のいずれかが選択されたという内容)を、手元端末2240に表示する。図4に示される例のように、下欄22402にタップにより選択された作業機械A~Cの外枠の表示形態(色、枠線の太さ、点滅の有無)が変更されることで、オペレータOP1は、手元端末2240に表示される操作の内容を目視により確認すことにより、オペレータOP1が選択した作業機械がどれであるかを確認することが可能となる。また、当該操作の内容を遠隔画像出力装置221に表示してもよい。
【0064】
また、遠隔操作装置20は、手元端末2240や遠隔画像出力装置221に第2支援処理要素122より受信した選択情報を表示させるようにしてもよい。オペレータOP1は、受信した選択情報を目視により確認することにより、作業支援サーバ10の第1支援処理要素121により認識された選択情報を確認することが可能となる。受信した選択情報が、ステップS102にてオペレータOP1が選択した作業機械と合致していない場合には、当該遠隔操作の中断、作業支援システムの再起動、システム管理者への連絡等の対応をとるなど、選択情報が合致しない状態の解消を図ることができる。
【実施例2】
【0065】
実施例1においては、オペレータOP1が遠隔操作装置20の画像出力装置に表示された画像を視認することにより実機識別情報が選択情報と合致しているかを判断することが可能であった。実施例2においては、実機識別情報が選択情報と合致しているかは、作業支援サーバ10が判定する。
【0066】
図8に示すように、作業支援システムは、遠隔操作装置20の起動をトリガーとして、作業支援処理を開始する。オペレータOP1によって遠隔操作装置20が起動されると(ステップS301:Y)、遠隔操作装置20は、例えば、手元端末2240に遠隔操作装置20と接続する候補である第1の作業機械40や、第2の作業機械50を選択可能に表示する。オペレータOP1は、例えば、接続する候補である第1の作業機械40又は、第2の作業機械50を手元端末2240に表示される作業機械の画像をタッチすることにより選択する。遠隔操作装置20は、作業機械が選択されたか否かを判定する(ステップS302)。遠隔操作装置20は、作業機械が選択されたと判定すると(ステップS302:Y)、オペレータOP1によって選択された作業機械の情報(選択情報)を作業支援サーバ10に送信する(ステップS303)。
【0067】
作業支援サーバ10は、選択情報を受信するとデータベース102に格納する。作業支援サーバ10は、遠隔操作装置20から送信された選択情報を受信したことをトリガーとして、作業支援処理を開始する。作業支援サーバ10の第1支援処理要素121は、作業機械が選択されたか否かを判定する(ステップS401)。
【0068】
作業支援サーバ10の第1支援処理要素121は、データベース102を参照して選択情報が格納されているか否かに基づいてステップS401の判定を行う。作業支援サーバ10の第1支援処理要素121は、作業機械が選択されていないと判定した場合(ステップS401:N)、作業支援処理を終了する。
【0069】
作業支援サーバ10の第1支援処理要素121は、作業機械が選択されたと判定した場合(ステップS401:Y)、データベース102を参照して選択情報を取得し(ステップS402)、当該選択情報に対応する作業機械を実機識別情報に基づいて選定し、選定した作業機械の識別子により識別される連携作業機械の実機撮像装置が撮像した画像を取得する(ステップS403)。
【0070】
作業支援サーバ10の第1支援処理要素121は、例えば、取得した画像からOCR(Optical Character Recognition)等の文字認識手段によって実機識別情報を文字情報として抽出する機能を有する。第1支援処理要素121は、取得した画像に実機識別情報が含まれているか否かを判定し、実機識別情報が含まれている場合には実機識別情報として付与されている文字情報を抽出する。すなわち、第1支援処理要素121は、当該画像における実機識別情報の有無と、実機識別情報がある場合に作業機械の各々に割り当てられた実機識別情報を取得可能である。
【0071】
作業支援サーバ10の第2支援処理要素122は、第1支援処理要素121によって画像から抽出された実機識別情報が、ステップS402で取得された選択情報に対応する作業機械の識別子と整合しているかを判定する(ステップS404)。すなわち、第1支援処理要素121は、複数の作業機械のうち遠隔操作対象となる一の連携作業機械の実機撮像装置が撮像した画像から実機識別情報を認識可能である。
【0072】
また、第2支援処理要素122は、データベース102を参照して選択情報に対応する識別子を取得可能である。第2支援処理要素122は、第1支援処理要素121よって画像から抽出された実機識別情報に基づいて、データベース102を参照して、当該実機識別情報に対応する識別子を取得可能である。
【0073】
第2支援処理要素122は、選択情報に対応する識別子と、画像から抽出された実機識別情報に対応する識別子と、の整合性を判定することにより、選択情報に対応する作業機械の識別子と遠隔操作装置20が接続されている作業機械との整合性を判定可能である。
【0074】
作業支援サーバ10の第2支援処理要素122は、ステップS404の判定において、抽出した実機識別情報が選択情報に対応する作業機械の識別子と整合していると判定した場合(ステップS404:Y)、選択情報、画像及び当該判定結果を遠隔操作装置20に送信し、遠隔出力インターフェース220に出力させ(ステップS405)、作業支援処理を終了する。すなわち、作業支援サーバ10の第2支援処理要素122は、ステップS404の整合性の判定結果を遠隔操作装置20に送信し遠隔出力インターフェース220に出力させることが可能である。
【0075】
遠隔操作装置20は、整合しているという送信結果を受信すると、例えば、手元端末2240に当該判定結果を表示する。オペレータOP1は、表示される当該判定結果を目視することで、実機識別情報と選択情報が合致していることを確認することができる。尚、整合しているという送信結果は、遠隔画像出力装置221に出力されてもよい。
【0076】
作業支援サーバ10の第2支援処理要素122は、ステップS404の判定において、抽出した実機識別情報が選択情報に対応する作業機械の識別子と整合していないと判定した場合(ステップS404:N)、当該判定結果を遠隔操作装置20に送信し遠隔出力インターフェース220に出力させる(ステップS406)。
【0077】
遠隔操作装置20は、整合していないという送信結果を受信すると、例えば、手元端末2240に判定結果を表示する。オペレータOP1は、判定結果を目視することにより実機識別情報と選択情報に対応する作業機械の識別子が合致していないことを確認することができる。オペレータOP1は、合致していないことを確認した場合に、当該遠隔操作の中断、作業支援システムの再起動、システム管理者への連絡等の対応をとることで、実機識別情報と選択情報に対応する識別子の合致しない状態の解消を図ることができる。尚、整合していないという送信結果は、遠隔画像出力装置221に出力されてもよい。
【0078】
また、遠隔操作装置20は、例えば、ステップS102において手元端末2240に入力された操作の内容(第1の作業機械40又は、第2の作業機械50が選択された情報)、すなわち選択情報を、手元端末2240に表示してもよい。手元端末2240に表示させる選択情報は、これには限られず、例えば、遠隔画像出力装置221に第2支援処理要素122から送信された選択情報を表示させるようにしてもよい。
【0079】
実機識別情報と選択情報に対応する作業機械の識別子とが合致しない状態は、例えば、作業機械ごとに割り当てられる識別子を付与する際に誤った識別子を付与してしまう場合など接続設定が誤って行われた場合や、データベース102に識別子を登録する際に入力ミスによって生じるデータの不具合で発生しうる。
【0080】
前述した実機識別情報と選択情報に対応する作業機械の識別子の合致しない状態の解消方法では、作業を中断することになるが、作業の継続を優先する場合には以下のフローが採用できる。
【0081】
作業支援サーバ10の第2支援処理要素122は、実機識別情報と選択情報に対応する識別子を整合させる整合処理を開始させたか否かを判定する(ステップS407)。整合処理は、例えば、オペレータOP1が遠隔操作装置20の手元端末2240の表示画面をタッチする(処理開始ボタンを選択する)ことにより開始される。遠隔操作装置20は、オペレータOP1の選択に基づいて、整合処理の実行する実行指示情報又は、整合処理を実行しない処理不要情報を生成し、作業支援サーバ10に送信する。作業支援サーバ10は、ステップS407の判定を実行指示情報又は、処理不要情報に基づいて行う。
【0082】
オペレータOP1が整合処理を開始させなかった場合(ステップS407:N)、作業支援サーバ10は、作業支援処理を終了する。その一方、整合処理を開始させた場合(ステップS407:Y)、ステップS408に進む。
【0083】
作業支援サーバ10の第1支援処理要素121は、遠隔操作装置20が接続されている作業機械とは異なる他の作業機械の実機撮像装置によって撮像された画像(以下、候補画像とも称する)を作業支援サーバ10に送信させ、データベース102に格納する。すなわち、第1支援処理要素121は、他の作業機械の実機撮像装置によって撮像された候補画像を取得する(ステップS408)。第2支援処理要素122は、これらの候補画像を遠隔操作装置20に送信し、遠隔出力インターフェース220に順次出力させる。
【0084】
遠隔操作装置20は、これらの候補画像を遠隔画像出力装置221に選択可能に表示させると共に、接続を希望する候補画像の選択及び実機識別情報の選択を促すメッセージを手元端末2240に表示させる。オペレータOP1は、例えば、候補画像に含まれるステッカーSTの実機識別情報を頼りに、選択情報に対応する実機識別情報を含む候補画像を選択し、かつ当該実機識別情報を選択する。また、オペレータOP1は、これらの候補画像に接続を希望する候補画像がない場合は、その旨を選択する。遠隔操作装置20は、接続を希望する候補画像がない旨が選択された場合、作業機械未選択情報を生成する。
【0085】
遠隔操作装置20は、オペレータOP1によって選択された候補画像及び実機識別情報又は、作業機械未選択情報(以下、候補画像並びに実機識別情報及び、作業機械未選択情報を整合情報とも称する)を作業支援サーバ10に送信する。作業支援サーバ10の第2支援処理要素122は、遠隔操作装置20から送信された候補画像及び実機識別情報又は、作業機械未選択情報に基づいて、作業機械が選択されたか否かを判定する(ステップS409)。
【0086】
すなわち、作業支援サーバ10の第1支援処理要素121は、遠隔操作装置20遠隔入力インターフェース210から整合情報を取得可能である。尚、本実施例において、候補画像に含まれている実機識別情報及び、選択情報に対応する実機識別情報が整合性を有する作業機械を真の作業機械と称する。
【0087】
作業支援サーバ10は、オペレータOP1により選択情報に対応する実機識別情報がある候補画像が選択されない場合(ステップS409:N)、作業支援処理を終了する。
【0088】
作業支援サーバ10の第2支援処理要素122は、選択情報に対応する実機識別情報を含む候補画像が選択された場合(ステップS409:Y)、当該選択情報に対応する実機識別情報がある候補画像を有する作業機械に遠隔操作装置20を接続させるとともに、データベース102の接続切換前の識別子を接続切換後の識別子に書換える(ステップS410)。
【0089】
尚、これまで接続していた作業機械の識別子(ステップS410の書換え処理前の識別子)は、接続切換後の作業機械の識別子に書換えても合致するとは限らないので、「データベース102上要確認」等の注記を付けておき、システム管理者等が後から確認できるようにしておくとよい。
【0090】
作業支援サーバ10の第2支援処理要素122は、当該識別子の書換えが完了した旨を示す完了情報を遠隔操作装置20に送信し、作業支援処理を終了する。すなわち、作業支援サーバ10の第2支援処理要素122は、第1支援処理要素121により取得された整合情報が真の連携作業機械であるときに、連携作業機械に対応する識別子を、候補画像を撮像した実機撮像装置を搭載している作業機械の識別子に書換えることが可能である。
【0091】
遠隔操作装置20は、完了情報を受信すると、例えば、手元端末2240の表示画面に、接続先の作業機械の識別子を変更した旨及び、オペレータOP1に対して確認を促すメッセージを表示する。このような表示が行われることにより、オペレータOP1は、接続先の作業機械を変更した後に改めて接続されている作業機械を確認することができる。従って、オペレータOP1は、選択情報と実機識別情報の異同の確認の必要性を認識したうえで、作業機械を遠隔操作することが可能となる。
【0092】
以上の実施例1及び2の説明では、作業支援サーバ10によって作業支援処理が実行される説明をした。しかし、作業支援処理は、遠隔操作装置20によって行われてもよいし、第1の作業機械40又は、第2の作業機械50によって行われてもよい。
【0093】
また、画像は、第1の作業機械40の実機撮像装置412又は、第2の作業機械50の実機撮像装置512によって撮像されたものが取得されるように説明した。しかし、画像は、第1の作業機械40の実機撮像装置412又は、第2の作業機械50の実機撮像装置512以外の撮像装置によって撮像されたものが取得されるようにしてもよい。
【0094】
このような撮像装置としては、例えば、第1の作業機械40又は、第2の作業機械50の外観を撮像可能な位置に設けられた定点撮像装置や、ドローン等の飛行体に設けられた撮像装置が挙げられる。
【0095】
このような撮像装置を用いる場合、識別情報が記載されたステッカーSTは、第1の作業機械40及び第2の作業機械50の外部から視認可能な位置に設けられることが好ましい。このような位置としては、例えば、第1の作業機械40の上部旋回体420及び、第2の作業機械50の上部旋回体520の側面が挙げられる。尚、これらの撮像装置には、第1の作業機械40又は、第2の作業機械50が遠隔操作装置20に接続操作が行われた際にその旨が通知されるとよい。このようにすることで、撮像装置から作業支援サーバ10に画像の送信が開始されるようにすることができる。
【0096】
また、ステッカーSTは、二次元コードや図形を用いてもよい。ステッカーSTに二次元コードが付されている場合、作業支援サーバ10の第1支援処理要素121は、二次元コードから実機識別情報を抽出する。また、ステッカーSTに図形が付されている場合、作業支援サーバ10の第1支援処理要素121は、図形の相違を認識し、当該図形に対応する実機識別情報をデータベース102を参照して呼び出すようにしてもよい。
【0097】
また、以上の実施例1及び2において、遠隔操作装置20に対して新たに作業機械が接続されるとき又は、遠隔操作装置20に対して接続されていた作業機械を別の作業機械に切り換えるときに、作業機械の実機撮像装置が撮像した画像中のステッカーSTが表す実機識別情報が選択情報と合致しているかの確認をオペレータOP1に促すための通告を遠隔出力インターフェース220にしてもよい。
【符号の説明】
【0098】
10‥作業支援サーバ
121‥第1支援処理要素
122‥第2支援処理要素
20‥遠隔操作装置
40、50‥作業機械
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8