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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】車両用駆動装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 20/30 20160101AFI20241106BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20241106BHJP
   B60L 50/16 20190101ALI20241106BHJP
   F16H 59/38 20060101ALI20241106BHJP
   F16H 63/50 20060101ALI20241106BHJP
   B60K 6/442 20071001ALI20241106BHJP
   B60K 6/547 20071001ALI20241106BHJP
   B60K 6/387 20071001ALI20241106BHJP
   B60W 10/10 20120101ALI20241106BHJP
【FI】
B60W20/30
B60L15/20 K
B60L50/16
B60L15/20 S
F16H59/38
F16H63/50
B60K6/442 ZHV
B60K6/547
B60K6/387
B60W10/10 900
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021059969
(22)【出願日】2021-03-31
(65)【公開番号】P2022156339
(43)【公開日】2022-10-14
【審査請求日】2024-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】田中 将之
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-150450(JP,A)
【文献】特開2008-137542(JP,A)
【文献】特開2012-166574(JP,A)
【文献】特表2010-513107(JP,A)
【文献】特表2019-518647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/20 - 6/547
B60W 10/00 - 20/50
B60L 15/20
B60L 50/16
F16H 59/38
F16H 63/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関に駆動連結される入力部材と、
第1車輪に駆動連結される第1出力部材と、
ロータを備えた第1回転電機と、
前記ロータの回転に応じて回転するロータ伝動部材と、
前記入力部材と前記ロータ伝動部材との間の動力伝達を断接する切離用係合装置と、
前記ロータ伝動部材と前記第1出力部材との間の動力伝達経路に設けられた変速機と、
前記内燃機関、前記第1回転電機、前記切離用係合装置、及び前記変速機を制御する制御装置と、を備え、
前記変速機は、第1変速段、及び当該第1変速段とは変速比が異なる第2変速段を含む複数の変速段のいずれかを形成した状態、又は、いずれの前記変速段も形成しないニュートラル状態に、選択的に切り替え可能に構成され、
前記制御装置は、前記切離用係合装置が係合状態で、前記変速機が前記第1変速段を形成した状態から前記第2変速段を形成した状態への切り替えを行う場合に、変速制御を実行し、
前記変速機が前記第2変速段を形成した状態において、前記第1出力部材の回転に応じて定まる前記入力部材及び前記ロータ伝動部材の回転速度を、変速後同期回転速度として、
前記変速制御では、
前記切離用係合装置を係合状態から解放状態に変化させる切離制御と、前記第1回転電機の駆動力をゼロに近付ける駆動力低減制御とを行い、
前記切離制御が完了したことに基づいて、前記入力部材の回転速度を前記変速後同期回転速度に近付けるように前記内燃機関を制御する内燃機関同期制御を開始し、
前記駆動力低減制御及び前記切離制御の双方が完了したことに基づいて、前記変速機を前記ニュートラル状態とするニュートラル制御を開始し、
前記内燃機関同期制御の開始以降に、前記ニュートラル制御が完了したことに基づいて、前記ロータ伝動部材の回転速度を前記変速後同期回転速度に近付けるように前記第1回転電機を制御する回転電機同期制御を開始し、
前記内燃機関同期制御及び前記回転電機同期制御の双方の開始以降において、
前記入力部材の回転速度と前記ロータ伝動部材の回転速度との差が規定の第1閾値以下となる第1条件を満たした以降に、前記切離用係合装置を解放状態から係合状態に変化させ、
前記入力部材の回転速度と前記変速後同期回転速度との差が規定の第2閾値以下、かつ、前記ロータ伝動部材の回転速度と前記変速後同期回転速度との差が前記第2閾値以下となる第2条件を満たした以降に、前記変速機に前記第2変速段を形成させる、車両用駆動装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記第2条件を満たす前に前記第1条件を満たした場合には、前記変速機に前記第2変速段を形成させる前に、前記切離用係合装置を解放状態から係合状態に変化させる、請求項1に記載の車両用駆動装置。
【請求項3】
前記第2変速段は、前記第1変速段よりも変速比が小さい変速段であり、
前記制御装置は、前記ロータ伝動部材の回転速度が前記入力部材の回転速度よりも高い状態で、前記第1条件を満たした場合に、前記切離用係合装置を解放状態から係合状態に変化させる、請求項2に記載の車両用駆動装置。
【請求項4】
前記切離制御は、前記内燃機関の駆動力を前記内燃機関同期制御の目標駆動力に近付ける内燃機関駆動力制御を含み、
前記内燃機関駆動力制御の実行期間と前記駆動力低減制御の実行期間とを重複させる、請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
【請求項5】
前記第1車輪とは異なる第2車輪に駆動連結される第2出力部材に、前記第1出力部材を介することなく駆動連結され、又は、前記変速機と前記第1出力部材との間の動力伝達経路に配置されて前記第1出力部材に駆動連結された第2回転電機を更に備え、
前記制御装置は、前記変速制御の実行中、前記変速機を介して前記第1出力部材に伝達される前記第1回転電機及び前記内燃機関からの駆動力の変動を補うように、前記第2回転電機に駆動力を出力させる駆動力補助制御を実行する、請求項1から4のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関に駆動連結される入力部材と、車輪に駆動連結される出力部材と、ロータを備えた回転電機と、ロータの回転に応じて回転するロータ伝動部材と、入力部材とロータ伝動部材との間の動力伝達を断接する切離用係合装置と、ロータ伝動部材と出力部材との間の動力伝達経路に設けられた変速機と、を備えた車両用駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような車両用駆動装置の一例が、下記の特許文献1に開示されている。以下、「背景技術」及び「発明が解決しようとする課題」の説明では、特許文献1における符号を括弧内に引用する。
【0003】
特許文献1の車両用駆動装置では、切離用係合装置(2)が係合状態で、変速機(4)が変速段の切り替えを行う場合に、変速制御が実行される。この変速制御では、まず、切離用係合装置(2)を係合状態に維持しつつ、内燃機関(1)及び回転電機(3)の駆動力を減少させる等して、変速機(4)へ入力される駆動力を一時的に減少させた状態で、変速機(4)をニュートラル状態に切り替える。次に、回転電機(3)を制御することで、係合状態の切離用係合装置(2)を介して、内燃機関(1)の回転速度を、変速後における出力部材の回転に応じて定まる目標回転速度に近付ける。最後に、変速機(4)に目標の変速段を形成させる。
【0004】
このように、特許文献1の車両用駆動装置では、変速制御において切離用係合装置(2)を解放状態にすることなく係合状態を維持することで、変速制御に要する時間の短縮を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-150450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記の変速制御では、回転電機(3)を制御することで、係合状態の切離用係合装置(2)を介して、内燃機関(1)の回転速度を目標回転速度に近付ける。ここで、内燃機関(1)は、イナーシャが大きく、回転速度を変化させ難い。そのため、上記の変速制御では、内燃機関(1)の回転速度が目標回転速度に近付くまでに比較的多くの時間を要する。したがって、変速制御に要する時間を短縮することが難しかった。
【0007】
そこで、切離用係合装置が係合状態で変速機が変速段の切り替えを行う場合に実行する変速制御に要する時間を短く抑えることができる車両用駆動装置の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記に鑑みた、車両用駆動装置の特徴構成は、
内燃機関に駆動連結される入力部材と、
第1車輪に駆動連結される第1出力部材と、
ロータを備えた第1回転電機と、
前記ロータの回転に応じて回転するロータ伝動部材と、
前記入力部材と前記ロータ伝動部材との間の動力伝達を断接する切離用係合装置と、
前記ロータ伝動部材と前記第1出力部材との間の動力伝達経路に設けられた変速機と、
前記内燃機関、前記第1回転電機、前記切離用係合装置、及び前記変速機を制御する制御装置と、を備え、
前記変速機は、第1変速段、及び当該第1変速段とは変速比が異なる第2変速段を含む複数の変速段のいずれかを形成した状態、又は、いずれの前記変速段も形成しないニュートラル状態に、選択的に切り替え可能に構成され、
前記制御装置は、前記切離用係合装置が係合状態で、前記変速機が前記第1変速段を形成した状態から前記第2変速段を形成した状態への切り替えを行う場合に、変速制御を実行し、
前記変速機が前記第2変速段を形成した状態において、前記第1出力部材の回転に応じて定まる前記入力部材及び前記ロータ伝動部材の回転速度を、変速後同期回転速度として、
前記変速制御では、
前記切離用係合装置を係合状態から解放状態に変化させる切離制御と、前記第1回転電機の駆動力をゼロに近付ける駆動力低減制御とを行い、
前記切離制御が完了したことに基づいて、前記入力部材の回転速度を前記変速後同期回転速度に近付けるように前記内燃機関を制御する内燃機関同期制御を開始し、
前記駆動力低減制御及び前記切離制御の双方が完了したことに基づいて、前記変速機を前記ニュートラル状態とするニュートラル制御を開始し、
前記内燃機関同期制御の開始以降に、前記ニュートラル制御が完了したことに基づいて、前記ロータ伝動部材の回転速度を前記変速後同期回転速度に近付けるように前記第1回転電機を制御する回転電機同期制御を開始し、
前記内燃機関同期制御及び前記回転電機同期制御の双方の開始以降において、
前記入力部材の回転速度と前記ロータ伝動部材の回転速度との差が規定の第1閾値以下となる第1条件を満たした以降に、前記切離用係合装置を解放状態から係合状態に変化させ、
前記入力部材の回転速度と前記変速後同期回転速度との差が規定の第2閾値以下、かつ、前記ロータ伝動部材の回転速度と前記変速後同期回転速度との差が前記第2閾値以下となる第2条件を満たした以降に、前記変速機に前記第2変速段を形成させる点にある。
【0009】
この特徴構成によれば、切離用係合装置を係合状態から解放状態に変化させる切離制御が完了したことに基づいて、入力部材の回転速度を変速後同期回転速度に近付けるように内燃機関を制御する内燃機関同期制御を開始する。そのため、変速機をニュートラル状態とするニュートラル制御の完了を待つことなく、切離制御が完了したことに基づいて、内燃機関同期制御を開始することができる。また、本特徴構成によれば、回転電機同期制御の開始前に、内燃機関同期制御を開始する。したがって、比較的早期に内燃機関同期制御を開始させることができる。ここで、内燃機関は、イナーシャが大きく、回転速度を変化させ難い。しかし、上記のように、本特徴構成によれば、比較的早期に内燃機関同期制御を開始させることができるため、内燃機関同期制御の完了が遅れることを回避し易い。
また、本特徴構成によれば、切離用係合装置が解放状態で、ロータ伝動部材の回転速度を変速後同期回転速度に近付けるように第1回転電機を制御する回転電機同期制御を開始する。これにより、内燃機関を切り離した状態で回転電機同期制御を実行できるため、内燃機関のイナーシャの影響を受けることなく、ロータ伝動部材の回転速度を変速後同期回転速度に近付けることができる。したがって、回転電機同期制御に要する時間を短く抑えることができる。
以上のように、本特徴構成によれば、切離用係合装置が係合状態で変速機が変速段の切り替えを行う場合に実行する変速制御に要する時間を短く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る車両用駆動装置の第1駆動ユニットのスケルトン図
図2】実施形態に係る車両用駆動装置の第2駆動ユニットのスケルトン図
図3】実施形態に係る車両用駆動装置の制御ブロック図
図4】実施形態に係る車両用駆動装置の各動作モードにおける係合装置の状態を示す図
図5】切離用係合装置が係合状態で変速機がアップシフトを行う場合における変速制御の一例を示すフローチャート
図6】切離用係合装置が係合状態で変速機がアップシフトを行う場合における変速制御の一例を示すタイムチャート
図7】その他の実施形態に係る車両用駆動装置の第1駆動ユニットのスケルトン図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、実施形態に係る車両用駆動装置100について、図面を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態では、車両用駆動装置100は、一対の第1車輪W1を駆動する第1駆動ユニットDU1と、一対の第2車輪W2を駆動する第2駆動ユニットDU2と、を備えている。本実施形態では、第1車輪W1は車両の前輪であり、第2車輪W2は車両の後輪である。
【0012】
第1駆動ユニットDU1は、内燃機関EGに駆動連結される入力部材Iと、第1車輪W1に駆動連結される第1出力部材O1と、第1回転電機MG1と、ロータ伝動部材Tと、第1係合装置CL1と、変速機TMと、を備えている。本実施形態では、第1駆動ユニットDU1は、分配用差動歯車機構SPと、第2係合装置CL2と、第1出力用差動歯車機構DF1と、を更に備えている。また、本実施形態では、変速機TMは、第3係合装置CL3を備えている。
【0013】
ここで、本願において「駆動連結」とは、2つの回転要素が駆動力を伝達可能に連結された状態を指し、当該2つの回転要素が一体的に回転するように連結された状態、或いは当該2つの回転要素が1つ又は2つ以上の伝動部材を介して駆動力を伝達可能に連結された状態を含む。このような伝動部材としては、回転を同速で又は変速して伝達する各種の部材、例えば、軸、歯車機構、ベルト、チェーン等が含まれる。なお、伝動部材として、回転及び駆動力を選択的に伝達する係合装置、例えば、摩擦係合装置、噛み合い式係合装置等が含まれていても良い。ただし、遊星歯車機構の各回転要素について「駆動連結」という場合には、遊星歯車機構における複数の回転要素が、互いに他の回転要素を介することなく連結されている状態を指すものとする。
【0014】
本実施形態では、入力部材I、ロータ伝動部材T、第1係合装置CL1、及び第2係合装置CL2は、それらの回転軸心としての第1軸X1上に配置されている。そして、第1回転電機MG1は、その回転軸心としての第2軸X2上に配置されている。更に、変速機TMの第3係合装置CL3は、その回転軸心としての第3軸X3上に配置されている。また、第1出力部材O1及び第1出力用差動歯車機構DF1は、それらの回転軸心としての第4軸X4上に配置されている。
【0015】
本実施形態では、第2駆動ユニットDU2は、第2車輪W2に駆動連結される第2出力部材O2と、第2回転電機MG2と、カウンタギヤ機構CGと、第2出力用差動歯車機構DF2と、を備えている。
【0016】
本実施形態では、第2回転電機MG2は、その回転軸心としての第5軸X5上に配置されている。そして、カウンタギヤ機構CGは、その回転軸心としての第6軸X6上に配置されている。また、第2出力部材O2及び第2出力用差動歯車機構DF2は、それらの回転軸心としての第7軸X7上に配置されている。
【0017】
本例では、上記の軸X1~X7は、互いに平行に配置されている。以下の説明では、上記の軸X1~X7に平行な方向を、車両用駆動装置100の「軸方向L」とする。そして、軸方向Lの一方側を「軸方向第1側L1」とし、軸方向Lの他方側を「軸方向第2側L2」とする。本実施形態では、軸方向Lにおいて、内燃機関EGに対して入力部材Iが配置される側を軸方向第1側L1とし、その反対側を軸方向第2側L2としている。また、上記の軸X1~X7のそれぞれに直交する方向を、各軸を基準とした「径方向R」とする。なお、どの軸を基準とするかを区別する必要がない場合や、どの軸を基準とするかが明らかである場合には、単に「径方向R」と記す場合がある。
【0018】
本実施形態では、入力部材Iは、軸方向Lに沿って延在する入力軸1である。入力軸1は、伝達されるトルクの変動を減衰するダンパ装置DPを介して、内燃機関EGの出力軸ESに駆動連結されている。内燃機関EGは、燃料の燃焼により駆動されて動力を取り出す原動機(ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等)である。本実施形態では、内燃機関EGは、第1車輪W1の駆動力源として機能する。
【0019】
第1回転電機MG1は、第1車輪W1の駆動力源として機能する。第1回転電機MG1は、電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータ(発電機)としての機能とを有している。具体的には、第1回転電機MG1は、バッテリやキャパシタ等の蓄電装置BT(図3参照)との間で電力の授受を行うように、当該蓄電装置BTと電気的に接続されている。そして、第1回転電機MG1は、蓄電装置BTに蓄えられた電力により力行して駆動力を発生する。また、第1回転電機MG1は、内燃機関EGの駆動力、又は第1出力部材O1の側から伝達される駆動力により発電を行って蓄電装置BTを充電する。
【0020】
第1回転電機MG1は、第1ステータST1及び第1ロータRT1を備えている。第1ステータST1は、非回転部材(例えば、第1回転電機MG1等を収容するケース)に固定されている。第1ロータRT1は、第1ステータST1に対して回転自在に支持されている。本実施形態では、第1ロータRT1は、第1ステータST1に対して径方向Rの内側に配置されている。
【0021】
本実施形態では、第1ロータRT1には、軸方向Lに沿って延在するように形成された第1ロータ軸RS1を介して、第1ロータギヤRG1が一体的に回転するように連結されている。本実施形態では、第1ロータギヤRG1は、第2軸X2上に配置されている。図1に示す例では、第1ロータギヤRG1は、第1ロータRT1よりも軸方向第2側L2に配置されている。
【0022】
分配用差動歯車機構SPは、第1回転要素E1と、第2回転要素E2と、第3回転要素E3と、を備えている。第1回転要素E1は、入力部材Iに駆動連結されている。第3回転要素E3は、第1ロータRT1に駆動連結されている。本実施形態では、第2回転要素E2及び第3回転要素E3のそれぞれは、第1出力部材O1に駆動連結されている。
【0023】
本実施形態では、分配用差動歯車機構SPは、サンギヤS1とキャリヤC1とリングギヤR1とを備えた遊星歯車機構である。本例では、分配用差動歯車機構SPは、ピニオンギヤP1を支持するキャリヤC1と、ピニオンギヤP1に噛み合うサンギヤS1と、当該サンギヤS1に対して径方向Rの外側に配置されてピニオンギヤP1に噛み合うリングギヤR1と、を備えたシングルピニオン型の遊星歯車機構である。
【0024】
本実施形態では、分配用差動歯車機構SPの回転要素の回転速度の順は、第1回転要素E1、第2回転要素E2、第3回転要素E3の順となっている。したがって、本実施形態では、第1回転要素E1は、サンギヤS1である。そして、第2回転要素E2は、キャリヤC1である。また、第3回転要素E3は、リングギヤR1である。ここで、「回転速度の順」とは、各回転要素の回転状態における回転速度の順番のことである。各回転要素の回転速度は、遊星歯車機構の回転状態によって変化するが、各回転要素の回転速度の高低の並び順は、遊星歯車機構の構造によって定まるものであるため一定となる。
【0025】
第1係合装置CL1は、入力部材Iとロータ伝動部材Tとの間の動力伝達を断接する「切離用係合装置」である。本実施形態では、第1係合装置CL1は、入力部材Iと分配用差動歯車機構SPの第1回転要素E1としてのサンギヤS1との間の動力伝達を断接する。図1に示す例では、第1係合装置CL1は、分配用差動歯車機構SPに対して軸方向第2側L2に配置されている。本例では、第1係合装置CL1は、入力部材Iの側の回転要素である入力要素と、分配用差動歯車機構SPの側の回転要素である出力要素とを備え、これらの係合圧に応じて、係合の状態(係合状態/解放状態)が制御される摩擦係合装置である。
【0026】
第2係合装置CL2は、分配用差動歯車機構SPにおける第1回転要素E1、第2回転要素E2、及び第3回転要素E3の3つの回転要素のうちから選択される2つの間の動力伝達を断接する係合装置である。本実施形態では、第2係合装置CL2は、第2回転要素E2としてのキャリヤC1と、第3回転要素E3としてのリングギヤR1との間の動力伝達を断接するように構成されている。第2係合装置CL2が解放状態とされると、分配用差動歯車機構SPの3つの回転要素E1~E3が互いに相対回転可能な状態となる。一方、第2係合装置CL2が係合状態とされると、分配用差動歯車機構SPの3つの回転要素E1~E3が互いに一体的に回転する状態となる。図1に示す例では、第2係合装置CL2は、軸方向Lにおける第1係合装置CL1と分配用差動歯車機構SPとの間に配置されている。本例では、第2係合装置CL2は、ソレノイド、電動機、油圧シリンダ等のアクチュエータによって係合状態と解放状態とを切り替え可能に構成された噛み合い式係合装置(ドグクラッチ)である。
【0027】
本実施形態では、後述する「変速制御」を行う場合には、第2係合装置CL2が係合状態とされ、分配用差動歯車機構SPの3つの回転要素E1~E3が互いに一体的に回転する状態となる。この状態では、分配用差動歯車機構SPの全体(すなわち3つの回転要素E1~E3の全て)が、第1ロータRT1の回転に応じて回転する状態となる。したがって、本実施形態では、分配用差動歯車機構SPが、第1ロータRT1の回転に応じて回転する「ロータ伝動部材T」として機能する。なお、第2係合装置CL2が解放状態とされている場合には、分配用差動歯車機構SPの3つの回転要素E1~E3のうち、第3回転要素E3であるリングギヤR1が、「ロータ伝動部材T」として機能する。また、本実施形態では、第1ロータギヤRG1及びアイドラギヤIGも第1ロータRT1の回転に応じて回転するため、これらも「ロータ伝動部材T」として機能する。
【0028】
変速機TMは、ロータ伝動部材Tと第1出力部材O1との間の動力伝達経路に設けられている。変速機TMは、第1変速段、及び当該第1変速段とは変速比が異なる第2変速段を含む複数の変速段のいずれかを選択的に形成可能に構成されている。そして、変速機TMは、ロータ伝動部材Tの側から伝達される回転を、形成された変速段に応じた変速比で変速して第1出力部材O1の側へ伝達する。なお、変速機TMは、形成された変速段に応じた変速比が1の場合、ロータ伝動部材Tの側から伝達された回転をそのまま第1出力部材O1の側へ伝達する。本実施形態では、変速機TMは、第3係合装置CL3の状態に応じて、第1変速段、及び当該第1変速段よりも変速比が小さい第2変速段の2つの変速段のいずれかを選択的に形成する。
【0029】
また、変速機TMは、いずれの変速段も形成しないニュートラル状態に切り替え可能に構成されている。変速機TMがニュートラル状態の場合、変速機TMがロータ伝動部材Tから伝達された回転を第1出力部材O1に伝達しない状態、つまり、内燃機関EG及び第1回転電機MG1のいずれの駆動力も第1車輪W1に伝達されない状態となる。このように、変速機TMは、第1変速段、及び当該第1変速段とは変速比が異なる第2変速段を含む複数の変速段のいずれかを形成した状態、又は、いずれの変速段も形成しないニュートラル状態に、選択的に切り替え可能に構成されている。
【0030】
本実施形態では、変速機TMは、第1ギヤG1と、第2ギヤG2と、第3ギヤG3と、第4ギヤG4と、変速出力ギヤ3と、を備えている。本実施形態では、第1ギヤG1及び第2ギヤG2は、第1軸X1上に配置されている。そして、第3ギヤG3、第4ギヤG4、及び変速出力ギヤ3は、第3軸X3上に配置されている。
【0031】
第1ギヤG1は、分配用差動歯車機構SPの第2回転要素E2(ここでは、キャリヤC1)と一体的に回転するように連結されている。本実施形態では、第1ギヤG1は、分配用差動歯車機構SPに対して軸方向第1側L1に配置されている。
【0032】
第2ギヤG2は、分配用差動歯車機構SPの第3回転要素E3(ここでは、リングギヤR1)と一体的に回転するように連結されている。本実施形態では、第1軸X1を軸心とする筒状のギヤ形成部材2が設けられている。そして、ギヤ形成部材2の外周面に第2ギヤG2が形成され、ギヤ形成部材2の内周面にリングギヤR1が形成されている。また、本実施形態では、第2ギヤG2は、リングギヤR1に対して、径方向Rの外側であって、径方向Rに沿う径方向視で分配用差動歯車機構SPと重複する位置に配置されている。ここで、2つの要素の配置に関して、「特定方向視で重複する」とは、その視線方向に平行な仮想直線を当該仮想直線と直交する各方向に移動させた場合に、当該仮想直線が2つの要素の双方に交わる領域が少なくとも一部に存在することを指す。
【0033】
また、本実施形態では、第2ギヤG2は、第1軸X1~第4軸X4とは別軸上に配置されたアイドラギヤIGを介して、第1ロータギヤRG1に駆動連結されている。つまり、本実施形態では、第2ギヤG2と第1ロータギヤRG1とが、アイドラギヤIGの周方向の互いに異なる位置において、アイドラギヤIGに噛み合っている。これにより、第2ギヤG2と第1ロータギヤRG1とは、アイドラギヤIGを介して互いに連動して回転するように連結されている。
【0034】
第3ギヤG3と第4ギヤG4とは、互いに相対的に回転可能に支持されている。第3ギヤG3は、第1ギヤG1に噛み合っている。第4ギヤG4は、第2ギヤG2に噛み合っている。本実施形態では、第4ギヤG4は、第2ギヤG2の周方向におけるアイドラギヤIGとは異なる位置で、第2ギヤG2に噛み合っている。変速出力ギヤ3は、第3ギヤG3及び第4ギヤG4に対して相対的に回転可能に支持されている。
【0035】
第1ギヤG1の歯数と第2ギヤG2の歯数とは、互いに異なっている。つまり、第1ギヤG1の外径と第2ギヤG2の外径とが異なっている。そして、上述したように、第1ギヤG1と第2ギヤG2とが同軸上に配置されていると共に、第1ギヤG1に噛み合う第3ギヤG3と第2ギヤG2に噛み合う第4ギヤG4とが同軸上に配置されている。そのため、第1ギヤG1の外径が第2ギヤG2の外径よりも小さい場合には、第3ギヤG3の外径が第4ギヤG4の外径よりも大きい。一方、第1ギヤG1の外径が第2ギヤG2の外径よりも大きい場合には、第3ギヤG3の外径が第4ギヤG4の外径よりも小さい。したがって、第1ギヤG1に対する第3ギヤG3の歯数比と、第2ギヤG2に対する第4ギヤG4の歯数比とが異なっている。本実施形態では、第1ギヤG1の外径が第2ギヤG2の外径よりも小さく、第1ギヤG1の歯数は第2ギヤG2の歯数よりも少ない。そのため、本実施形態では、第3ギヤG3の外径が第4ギヤG4の外径よりも大きく、第3ギヤG3の歯数は第4ギヤG4の歯数よりも多い。したがって、本実施形態では、第1ギヤG1に対する第3ギヤG3の歯数比は、第2ギヤG2に対する第4ギヤG4の歯数比よりも大きい。
【0036】
第3係合装置CL3は、ロータ伝動部材Tと第1出力部材O1との間の動力伝達の状態を切り替える係合装置である。本実施形態では、第3係合装置CL3は、第3ギヤG3及び第4ギヤG4のいずれかを、変速出力ギヤ3に選択的に連結するように構成されている。本例では、第3係合装置CL3は、ソレノイド、電動機、油圧シリンダ等のアクチュエータによって係合状態と解放状態とを切り替え可能に構成された噛み合い式係合装置(ドグクラッチ)である。
【0037】
本実施形態では、第3係合装置CL3が第3ギヤG3を変速出力ギヤ3に連結させた場合、分配用差動歯車機構SPの第2回転要素E2としてのキャリヤC1と第1出力部材O1との間の動力伝達が行われる状態となる。一方、第3係合装置CL3が第4ギヤG4を変速出力ギヤ3に連結させた場合、分配用差動歯車機構SPの第3回転要素E3としてのリングギヤR1と第1出力部材O1との間の動力伝達が行われる状態となる。
【0038】
上述したように、本実施形態では、第1ギヤG1に対する第3ギヤG3の歯数比は、第2ギヤG2に対する第4ギヤG4の歯数比よりも大きい。そのため、第3係合装置CL3が第3ギヤG3を変速出力ギヤ3に連結させた場合には、比較的変速比が大きい第1変速段(低速段)が形成される。一方、第3係合装置CL3が第4ギヤG4を変速出力ギヤ3に連結させた場合には、比較的変速比が小さい第2変速段(高速段)が形成される。なお、変速機TMがいずれかの変速段を形成する場合における第3係合装置CL3の状態が、第3係合装置CL3の係合状態に相当する。一方、変速機TMがニュートラル状態である場合における第3係合装置CL3の状態が、第3係合装置CL3の解放状態に相当する。
【0039】
このように、本実施形態では、変速機TMは、互いに同軸上に配置された第1ギヤG1及び第2ギヤG2と、当該第1ギヤG1及び第2ギヤG2にそれぞれ噛み合い、互いに同軸上に配置された第3ギヤG3及び第4ギヤG4と、を備えた平行軸歯車式の変速機として構成されている。
【0040】
第1出力用差動歯車機構DF1は、第1出力部材O1の回転を一対の第1車輪W1に分配するように構成されている。本実施形態では、第1出力部材O1は、変速出力ギヤ3に噛み合う第1差動入力ギヤ4である。
【0041】
本実施形態では、第1出力用差動歯車機構DF1は、傘歯車型の差動歯車機構である。具体的には、第1出力用差動歯車機構DF1は、中空の第1差動ケースと、当該第1差動ケースと一体的に回転するように支持された第1ピニオンシャフトと、当該第1ピニオンシャフトに対して回転可能に支持された一対の第1ピニオンギヤと、当該一対の第1ピニオンギヤに噛み合って分配出力要素として機能する一対の第1サイドギヤと、を備えている。第1差動ケースには、第1ピニオンシャフト、一対の第1ピニオンギヤ、及び一対の第1サイドギヤが収容されている。
【0042】
本実施形態では、第1差動ケースには、第1出力部材O1としての第1差動入力ギヤ4が、当該第1差動ケースから径方向Rの外側に突出するように連結されている。そして、一対の第1サイドギヤのそれぞれには、第1車輪W1に駆動連結された第1ドライブシャフトDS1が一体的に回転するように連結されている。こうして、本実施形態では、第1出力用差動歯車機構DF1は、一対の第1ドライブシャフトDS1を介して、第1出力部材O1としての第1差動入力ギヤ4の回転を一対の第1車輪W1に分配する。
【0043】
図2に示すように、第2回転電機MG2は、第2車輪W2の駆動力源として機能する。第2回転電機MG2は、電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータ(発電機)としての機能とを有している。具体的には、第2回転電機MG2は、上記の蓄電装置BT(図3参照)との間で電力の授受を行うように、当該蓄電装置BTと電気的に接続されている。そして、第2回転電機MG2は、蓄電装置BTに蓄えられた電力により力行して駆動力を発生する。また、第2回転電機MG2は、回生中には、第2出力部材O2の側から伝達される駆動力により発電を行って蓄電装置BTを充電する。
【0044】
第2回転電機MG2は、第2ステータST2と、第2ロータRT2と、を備えている。第2ステータST2は、非回転部材(例えば、第2回転電機MG2等を収容するケース)に固定されている。第2ロータRT2は、第2ステータST2に対して回転自在に支持されている。本実施形態では、第2ロータRT2は、第2ステータST2に対して径方向Rの内側に配置されている。
【0045】
本実施形態では、第2ロータRT2には、軸方向Lに沿って延在するように形成された第2ロータ軸RS2を介して、第2ロータギヤRG2が一体的に回転するように連結されている。本実施形態では、第2ロータギヤRG2は、第5軸X5上に配置されている。図2に示す例では、第2ロータギヤRG2は、第2ロータRT2よりも軸方向第1側L1に配置されている。
【0046】
カウンタギヤ機構CGは、カウンタ入力ギヤ61と、カウンタ出力ギヤ62と、これらのギヤ61,62が一体的に回転するように連結するカウンタ軸63と、を備えている。
【0047】
カウンタ入力ギヤ61は、カウンタギヤ機構CGの入力要素である。本実施形態では、カウンタ入力ギヤ61は、第2ロータギヤRG2に噛み合っている。カウンタ出力ギヤ62は、カウンタギヤ機構CGの出力要素である。図2に示す例では、カウンタ出力ギヤ62は、カウンタ入力ギヤ61よりも軸方向第2側L2に配置されている。また、カウンタ出力ギヤ62は、カウンタ入力ギヤ61よりも小径に形成されている。
【0048】
第2出力用差動歯車機構DF2は、第2出力部材O2の回転を一対の第2車輪W2に分配するように構成されている。本実施形態では、第2出力部材O2は、カウンタギヤ機構CGのカウンタ出力ギヤ62に噛み合う第2差動入力ギヤ7である。
【0049】
本実施形態では、第2出力用差動歯車機構DF2は、傘歯車型の差動歯車機構である。具体的には、第2出力用差動歯車機構DF2は、中空の第2差動ケースと、当該第2差動ケースと一体的に回転するように支持された第2ピニオンシャフトと、当該第2ピニオンシャフトに対して回転可能に支持された一対の第2ピニオンギヤと、当該一対の第2ピニオンギヤに噛み合って分配出力要素として機能する一対の第2サイドギヤと、を備えている。第2差動ケースには、第2ピニオンシャフト、一対の第2ピニオンギヤ、及び一対の第2サイドギヤが収容されている。
【0050】
本実施形態では、第2差動ケースには、第2出力部材O2としての第2差動入力ギヤ7が、当該第2差動ケースから径方向Rの外側に突出するように連結されている。そして、一対の第2サイドギヤのそれぞれには、第2車輪W2に駆動連結された第2ドライブシャフトDS2が一体的に回転するように連結されている。こうして、本実施形態では、第2出力用差動歯車機構DF2は、一対の第2ドライブシャフトDS2を介して、第2出力部材O2(ここでは、第2差動入力ギヤ7)の回転を一対の第2車輪W2に分配する。
【0051】
図3に示すように、車両用駆動装置100は、内燃機関EG、第1回転電機MG1、第1係合装置CL1、及び変速機TMを制御する制御装置10を備えている。本実施形態では、制御装置10は、主制御部11と、内燃機関EGを制御する内燃機関制御部12と、第1回転電機MG1を制御する第1回転電機制御部13と、第2回転電機MG2を制御する第2回転電機制御部14と、第1係合装置CL1、第2係合装置CL2、及び第3係合装置CL3の係合の状態を制御する係合制御部15と、を備えている。
【0052】
主制御部11は、内燃機関制御部12、第1回転電機制御部13、第2回転電機制御部14、及び係合制御部15のそれぞれに対して、各制御部が担当する装置を制御する指令を出力する。内燃機関制御部12は、内燃機関EGが、主制御部11から指令された指令駆動力を出力するように、或いは、主制御部11から指令された指令回転速度となるように内燃機関EGを制御する。第1回転電機制御部13は、第1回転電機MG1が、主制御部11から指令された指令駆動力を出力するように、或いは、主制御部11から指令された指令回転速度となるように第1回転電機MG1を制御する。第2回転電機制御部14は、第2回転電機MG2が、主制御部11から指令された指令駆動力を出力するように、或いは、主制御部11から指令された指令回転速度となるように第2回転電機MG2を制御する。係合制御部15は、第1係合装置CL1、第2係合装置CL2、及び第3係合装置CL3のそれぞれが、主制御部11から指令された係合の状態となるように、第1係合装置CL1、第2係合装置CL2、及び第3係合装置CL3を動作させるためのアクチュエータ(図示を省略)を制御する。
【0053】
また、主制御部11は、車両用駆動装置100が搭載される車両の各部の情報を取得するために、当該車両の各部に設けられたセンサからの情報を取得可能に構成されている。本実施形態では、主制御部11は、SOCセンサSe1、車速センサSe2、アクセル操作量センサSe3、ブレーキ操作量センサSe4、及びシフト位置センサSe5からの情報を取得可能に構成されている。
【0054】
SOCセンサSe1は、第1回転電機MG1及び第2回転電機MG2と電気的に接続された蓄電装置BTの状態を検出するためのセンサである。SOCセンサSe1は、例えば、電圧センサや電流センサ等により構成されている。主制御部11は、SOCセンサSe1から出力される電圧値や電流値等の情報に基づいて、蓄電装置BTの充電量(SOC:State of Charge)を算出する。
【0055】
車速センサSe2は、車両用駆動装置100が搭載される車両の走行速度(車速)を検出するためのセンサである。本実施形態では、車速センサSe2は、第1出力部材O1の回転速度を検出するためのセンサである。主制御部11は、車速センサSe2の検出信号に基づいて、第1出力部材O1の回転速度(角速度)を算出する。第1出力部材O1の回転速度は車速に比例するため、主制御部11は、車速センサSe2の検出信号に基づいて車速を算出することができる。
【0056】
アクセル操作量センサSe3は、車両用駆動装置100が搭載される車両に設けられたアクセルペダルの運転者による操作量(アクセル開度)を検出するためのセンサである。主制御部11は、アクセル操作量センサSe3の検出信号に基づいて、アクセル開度を算出する。
【0057】
ブレーキ操作量センサSe4は、車両用駆動装置100が搭載される車両に設けられたブレーキペダルの運転者による操作量を検出するためのセンサである。主制御部11は、ブレーキ操作量センサSe4の検出信号に基づいて、運転者によるブレーキペダルの操作量を算出する。
【0058】
シフト位置センサSe5は、車両用駆動装置100が搭載される車両の運転者により操作されるシフトレバーの選択位置(シフト位置)を検出するためのセンサである。主制御部11は、シフト位置センサSe5の検出信号に基づいてシフト位置を算出する。シフトレバーは、パーキングレンジ(Pレンジ)、後進走行レンジ(Rレンジ)、ニュートラルレンジ(Nレンジ)、前進走行レンジ(Dレンジ)等を選択可能に構成されている。
【0059】
主制御部11は、上記のセンサSe1~Se5からの情報に基づいて、後述する第1駆動ユニットDU1における複数の動作モードの選択を行う。主制御部11は、係合制御部15を介して、第1係合装置CL1、第2係合装置CL2、及び第3係合装置CL3のそれぞれを、選択した動作モードに応じた係合の状態に制御することにより、当該選択した動作モードへ移行する。更に、主制御部11は、内燃機関制御部12、第1回転電機制御部13、及び第2回転電機制御部14を介して、内燃機関EG、第1回転電機MG1、及び第2回転電機MG2の動作状態を協調制御することにより、選択した動作モードに応じた適切な車両の走行を可能とする。
【0060】
図4に示すように、本実施形態では、車両用駆動装置100は、動作モードとして、電気式トルクコンバータモード(以下、「eTCモード」と記す)と、第1EVモードと、第2EVモードと、第1HVモードと、第2HVモードと、充電モードと、を備えている。
【0061】
図4に、本実施形態の各動作モードにおける、第1係合装置CL1、第2係合装置CL2、及び第3係合装置CL3の状態を示す。なお、図4の第1係合装置CL1及び第2係合装置CL2の欄において、「〇」は対象の係合装置が係合状態であることを示し、「×」は対象の係合装置が解放状態であることを示している。また、図4の第3係合装置CL3の欄において、「Lo」は変速機TMが第1変速段(低速段)を形成する場合における第3係合装置CL3の状態、つまり、第3係合装置CL3が第3ギヤG3を変速出力ギヤ3に連結させた状態であることを示している。そして、「Hi」は変速機TMが第2変速段(高速段)を形成する場合における第3係合装置CL3の状態、つまり、第3係合装置CL3が第4ギヤG4を変速出力ギヤ3に連結させた状態であることを示している。また、「N」は変速機TMがニュートラル状態である場合における第3係合装置CL3の状態、つまり、第3係合装置CL3が解放状態であることを示している。
【0062】
eTCモードは、分配用差動歯車機構SPにより、第1回転電機MG1のトルクを反力として内燃機関EGのトルクを増幅して第1出力部材O1に伝達することで車両を走行させるモードである。eTCモードは、内燃機関EGのトルクを増幅して第1出力部材O1に伝達することができるため、所謂、電気式トルクコンバータモードと称される。
【0063】
図4に示すように、eTCモードでは、第1係合装置CL1が係合状態、第2係合装置CL2が解放状態、第3係合装置CL3が係合状態とされる。そして、内燃機関EG及び第1回転電機MG1の駆動力が第1出力部材O1に伝達される。本実施形態のeTCモードでは、第1係合装置CL1が係合状態となり、第2係合装置CL2が解放状態となり、第3係合装置CL3が第1変速段(低速段)を形成した状態となるように制御される。
【0064】
本実施形態のeTCモードでは、第1回転電機MG1は、負回転しつつ正トルクを出力して発電し、分配用差動歯車機構SPは、第1回転電機MG1の駆動力と内燃機関EGの駆動力とを合わせて、内燃機関EGの駆動力よりも大きい駆動力を第2回転要素E2(ここでは、キャリヤC1)から出力する。そして、第2回転要素E2の回転は、変速機TMにおいて第1変速段(低速段)に応じた変速比で変速されて第1出力部材O1に伝達される。そのため、蓄電装置BTの充電量が比較的低い場合であってもeTCモードを選択可能である。
【0065】
第1EVモードは、内燃機関EG及び第1回転電機MG1のうち、第1回転電機MG1のみの駆動力により、比較的低速で車両を走行させるモードである。第2EVモードは、内燃機関EG及び第1回転電機MG1のうち、第1回転電機MG1のみの駆動力により、比較的高速で車両を走行させるモードである。
【0066】
図4に示すように、第1EVモード及び第2EVモードでは、第1係合装置CL1が解放状態、第2係合装置CL2が係合状態、第3係合装置CL3が係合状態とされる。そして、内燃機関EGが駆動力を出力しない停止状態とされ、第1回転電機MG1の駆動力が第1出力部材O1に伝達される。本実施形態の第1EVモードでは、第1係合装置CL1が解放状態となり、第2係合装置CL2が係合状態となり、第3係合装置CL3が第1変速段(低速段)を形成した状態となるように制御される。一方、本実施形態の第2EVモードでは、第1係合装置CL1が解放状態となり、第2係合装置CL2が係合状態となり、第3係合装置CL3が第2変速段(高速段)を形成した状態となるように制御される。
【0067】
本実施形態の第1EVモード及び第2EVモードでは、第1係合装置CL1が解放状態とされることにより、内燃機関EGが分配用差動歯車機構SPから分離されて、内燃機関EGと第1出力部材O1との間での動力伝達が遮断された状態となる。そして、第2係合装置CL2が係合状態とされることにより、分配用差動歯車機構SPの3つの回転要素E1~E3が互いに一体的に回転する状態となる。その結果、第1回転電機MG1の側から分配用差動歯車機構SPに入力される回転が、そのまま変速機TMに伝達される。そして、変速機TMに伝達された回転は、第3係合装置CL3の状態に応じて、第1EVモードでは第1変速段(低速段)の変速比、第2EVモードでは第2変速段(高速段)の変速比で変速されて、第1出力部材O1に伝達される。
【0068】
第1HVモードは、内燃機関EG及び第1回転電機MG1のうち、少なくとも内燃機関EGの駆動力により、比較的低速で車両を走行させるモードである。第2HVモードは、内燃機関EG及び第1回転電機MG1のうち、少なくとも内燃機関EGの駆動力により、比較的高速で車両を走行させるモードである。
【0069】
図4に示すように、本実施形態の第1HVモードでは、第1係合装置CL1及び第2係合装置CL2の双方が係合状態となり、第3係合装置CL3が第1変速段(低速段)を形成した状態となるように制御される。一方、本実施形態の第2HVモードでは、第1係合装置CL1及び第2係合装置CL2の双方が係合状態となり、第3係合装置CL3が第2変速段(高速段)を形成した状態となるように制御される。
【0070】
本実施形態の第1HVモード及び第2HVモードでは、第1係合装置CL1が係合状態とされることにより、内燃機関EGが分配用差動歯車機構SPに連結された状態となる。そして、第2係合装置CL2が係合状態とされることにより、分配用差動歯車機構SPの3つの回転要素E1~E3が互いに一体的に回転する状態となる。その結果、内燃機関EGの側及び第1回転電機MG1の側から分配用差動歯車機構SPに入力される回転が、そのまま変速機TMに伝達される。そして、変速機TMに伝達された回転は、第3係合装置CL3の状態に応じて、第1HVモードでは第1変速段(低速段)の変速比、第2HVモードでは第2変速段(高速段)の変速比で変速されて第1出力部材O1に伝達される。
【0071】
充電モードは、内燃機関EGの駆動力により第1回転電機MG1に発電を行わせて、蓄電装置BTを充電するモードである。図4に示すように、充電モードでは、第1係合装置CL1が係合状態となり、第2係合装置CL2が係合状態となり、第3係合装置CL3が解放状態となるように制御される。そして、内燃機関EGが駆動力を出力し、第1回転電機MG1が内燃機関EGの駆動力によって回転する第1ロータRT1の回転方向とは反対方向の駆動力を出力することにより発電するように制御される。なお、充電モードでは、車両を停車させていても良いし、第1回転電機MG1が発電した電力により第2回転電機MG2を力行させ、当該第2回転電機MG2の駆動力を第2車輪W2に伝達することで車両を走行させても良い。このように充電モードとしつつ第2回転電機MG2の駆動力によって車両を走行させるモードは、所謂、シリーズハイブリッドモードと称される。
【0072】
制御装置10は、第1係合装置CL1が係合状態で、変速機TMが第1変速段を形成した状態から第2変速段を形成した状態への切り替えを行う場合に、変速制御を実行する。上述したように、本実施形態では、第2変速段は、第1変速段よりも変速比が小さい変速段である。そのため、本実施形態では、制御装置10は、第1係合装置CL1が係合状態で、変速機TMがアップシフトを行う場合に、変速制御を実行する。上記の通り、本実施形態では、変速制御は、第1EVモードと第2EVモードとのモード移行、又は、第1HVモードと第2HVモードとのモード移行をする場合に実行される。いずれの場合でも、第2係合装置CL2は係合状態に維持され、ロータ伝動部材Tとしての分配用差動歯車機構SPの3つの回転要素E1~E3は互いに一体的に回転する状態となっている。
【0073】
制御装置10は、変速制御において、第1係合装置CL1を係合状態から解放状態に変化させる切離制御と、第1回転電機MG1の駆動力をゼロに近付ける駆動力低減制御とを行う。本実施形態の切離制御では、係合制御部15が、第1係合装置CL1を係合状態から解放状態に変化させる。また、本実施形態の駆動力低減制御では、第1回転電機制御部13が、第1回転電機MG1の駆動力がゼロとなるように第1回転電機MG1を制御する。
【0074】
制御装置10は、上記の切離制御が完了したことに基づいて、入力部材Iの回転速度である入力回転速度Niを変速後同期回転速度Ns2に近付けるように内燃機関EGを制御する内燃機関同期制御を開始する。本実施形態の内燃機関同期制御では、内燃機関制御部12が、入力回転速度Niが変速後同期回転速度Ns2となるように内燃機関EGを制御する。ここで、変速後同期回転速度Ns2は、変速機TMが第2変速段を形成した状態において、第1出力部材O1の回転に応じて定まる入力部材I及びロータ伝動部材Tの回転速度である。なお、開始時期が異なる複数の制御に関して、「第1の制御が完了したことに基づいて、第2の制御を開始する」とは、第1の制御の完了を条件として第2の制御を開始することを意味し、第1の制御が完了した直後に第2の制御を開始すること、及び第1の制御が完了して規定の時間経過後に第2の制御を開始することを含む。
【0075】
制御装置10は、上記の駆動力低減制御及び切離制御の双方が完了したことに基づいて、変速機TMをニュートラル状態とするニュートラル制御を開始する。本実施形態のニュートラル制御では、変速機TMが第1変速段(低速段)を形成している状態からニュートラル状態となるように、係合制御部15が第3係合装置CL3を解放状態とする。
【0076】
制御装置10は、上記の内燃機関同期制御の開始以降に、上記のニュートラル制御が完了したことに基づいて、ロータ伝動部材Tの回転速度であるロータ伝動回転速度Ntを変速後同期回転速度Ns2に近付けるように第1回転電機MG1を制御する回転電機同期制御を開始する。本実施形態の回転電機同期制御では、第1回転電機制御部13が、ロータ伝動回転速度Ntが変速後同期回転速度Ns2となるように第1回転電機MG1を制御する。
【0077】
制御装置10は、上記の内燃機関同期制御及び回転電機同期制御の双方の開始以降において、入力回転速度Niとロータ伝動回転速度Ntとの差が規定の第1閾値TH1以下となる第1条件(|Ni-Nt|≦TH1)を満たした以降に、第1係合装置CL1を解放状態から係合状態に変化させる。なお、第1閾値TH1は、例えば、入力回転速度Ni及びロータ伝動回転速度Ntの一方が、変速後同期回転速度Ns2から遠ざかるように変化しない値に設定すると好適である。
【0078】
また、制御装置10は、上記の内燃機関同期制御及び回転電機同期制御の双方の開始以降において、入力回転速度Niと変速後同期回転速度Ns2との差が規定の第2閾値TH2以下、かつ、ロータ伝動回転速度Ntと変速後同期回転速度Ns2との差が第2閾値TH2以下となる第2条件(|Ni-Ns2|≦TH2、かつ、|Nt-Ns2|≦TH2)を満たした以降に、変速機TMに第2変速段を形成させる。なお、第2閾値TH2は、例えば、第3係合装置CL3が噛み合い式係合装置(ドグクラッチ)である場合において、第3係合装置CL3を適切に係合状態とすることができる値に設定すると好適である。
【0079】
以上のように、車両用駆動装置100は、
内燃機関EGに駆動連結される入力部材Iと、
第1車輪W1に駆動連結される第1出力部材O1と、
第1ロータRT1を備えた第1回転電機MG1と、
第1ロータRT1の回転に応じて回転するロータ伝動部材Tと、
入力部材Iとロータ伝動部材Tとの間の動力伝達を断接する第1係合装置CL1と、
ロータ伝動部材Tと第1出力部材O1との間の動力伝達経路に設けられた変速機TMと、
内燃機関EG、第1回転電機MG1、第1係合装置CL1、及び変速機TMを制御する制御装置10と、を備え、
変速機TMは、第1変速段、及び当該第1変速段とは変速比が異なる第2変速段を含む複数の変速段のいずれかを形成した状態、又は、いずれの変速段も形成しないニュートラル状態に、選択的に切り替え可能に構成され、
制御装置10は、第1係合装置CL1が係合状態で、変速機TMが第1変速段を形成した状態から第2変速段を形成した状態への切り替えを行う場合に、変速制御を実行し、
変速機TMが第2変速段を形成した状態において、第1出力部材O1の回転に応じて定まる入力部材I及びロータ伝動部材Tの回転速度を、変速後同期回転速度Ns2として、
変速制御では、
第1係合装置CL1を係合状態から解放状態に変化させる切離制御と、第1回転電機MG1の駆動力をゼロに近付ける駆動力低減制御とを行い、
切離制御が完了したことに基づいて、入力部材Iの回転速度である入力回転速度Niを変速後同期回転速度Ns2に近付けるように内燃機関EGを制御する内燃機関同期制御を開始し、
駆動力低減制御及び切離制御の双方が完了したことに基づいて、変速機TMをニュートラル状態とするニュートラル制御を開始し、
内燃機関同期制御の開始以降に、ニュートラル制御が完了したことに基づいて、ロータ伝動部材Tの回転速度であるロータ伝動回転速度Ntを変速後同期回転速度Ns2に近付けるように第1回転電機MG1を制御する回転電機同期制御を開始し、
内燃機関同期制御及び回転電機同期制御の双方の開始以降において、
入力回転速度Niとロータ伝動回転速度Ntとの差が規定の第1閾値TH1以下となる第1条件を満たした以降に、第1係合装置CL1を解放状態から係合状態に変化させ、
入力回転速度Niと変速後同期回転速度Ns2との差が規定の第2閾値TH2以下、かつ、ロータ伝動回転速度Ntと変速後同期回転速度Ns2との差が第2閾値TH2以下となる第2条件を満たした以降に、変速機TMに第2変速段を形成させる。
【0080】
この構成によれば、第1係合装置CL1を係合状態から解放状態に変化させる切離制御が完了したことに基づいて、入力回転速度Niを変速後同期回転速度Ns2に近付けるように内燃機関EGを制御する内燃機関同期制御を開始する。そのため、変速機TMをニュートラル状態とするニュートラル制御の完了を待つことなく、切離制御が完了したことに基づいて、内燃機関同期制御を開始することができる。また、本構成によれば、回転電機同期制御の開始前に、内燃機関同期制御を開始する。したがって、比較的早期に内燃機関同期制御を開始させることができる。ここで、内燃機関EGは、イナーシャが大きく、回転速度を変化させ難い。しかし、上記のように、本構成によれば、比較的早期に内燃機関同期制御を開始させることができるため、内燃機関同期制御の完了が遅れることを回避し易い。
また、本構成によれば、第1係合装置CL1が解放状態で、ロータ伝動回転速度Ntを変速後同期回転速度Ns2に近付けるように第1回転電機MG1を制御する回転電機同期制御を開始する。これにより、内燃機関EGを切り離した状態で回転電機同期制御を実行できるため、内燃機関EGのイナーシャの影響を受けることなく、ロータ伝動回転速度Ntを変速後同期回転速度Ns2に近付けることができる。したがって、回転電機同期制御に要する時間を短く抑えることができる。
以上のように、本構成によれば、第1係合装置CL1が係合状態で変速機TMが変速段の切り替えを行う場合に実行する変速制御に要する時間を短く抑えることができる。
【0081】
本実施形態では、制御装置10は、上記の第2条件(|Ni-Ns2|≦TH2、かつ、|Nt-Ns2|≦TH2)を満たす前に、上記の第1条件(|Ni-Nt|≦TH1)を満たした場合には、変速機TMに第2変速段を形成させる前に、第1係合装置CL1を解放状態から係合状態に変化させる。
【0082】
この構成によれば、内燃機関同期制御における内燃機関EGの回転速度の変化が、回転電機同期制御における第1回転電機MG1の回転速度の変化に対して遅れた場合であっても、係合状態の第1係合装置CL1を介して、第1回転電機MG1から内燃機関EGに伝達される駆動力により内燃機関EGの回転速度の変化を促進することができる。これにより、内燃機関同期制御の完了が遅れることを回避し易い。したがって、変速制御に要する時間を短く抑えることができる。
【0083】
更に、上記の構成において、第2変速段は、第1変速段よりも変速比が小さい変速段であり、
制御装置10は、ロータ伝動回転速度Ntが入力回転速度Niよりも高い状態で、上記の第1条件(|Ni-Nt|≦TH1)を満たした場合に、第1係合装置CL1を解放状態から係合状態に変化させると好適である。
【0084】
この構成によれば、係合状態の第1係合装置CL1を介して、内燃機関EGから第1回転電機MG1に伝達される駆動力により第1回転電機MG1の回転速度の変化を促進することができる。これにより、回転電機同期制御の完了が遅れることを回避し易い。したがって、変速制御に要する時間を短く抑えることができる。
【0085】
本実施形態では、切離制御は、内燃機関EGの駆動力を内燃機関同期制御の目標駆動力Teに近付ける内燃機関駆動力制御を含み、
内燃機関駆動力制御の実行期間と駆動力低減制御の実行期間とを重複させる。
なお、本実施形態では、目標駆動力Teは、ゼロに近い値であって、内燃機関同期制御において入力回転速度Niを変速後同期回転速度Ns2に近付けることができる値である。
【0086】
この構成によれば、切離制御において、第1係合装置CL1を係合状態から解放状態に変化させると共に、内燃機関EGの駆動力を内燃機関同期制御の目標駆動力Teに近付ける。これにより、切離制御の完了後に内燃機関EGの回転速度が過剰に上昇することを回避することができる。
また、本構成によれば、内燃機関駆動力制御を含む切離制御と駆動力低減制御とを、並行して実行することができる。これにより、切離制御及び駆動力低減制御の完了に基づくニュートラル制御の開始時期を早めることができる。その結果、変速制御に要する時間を短く抑えることができる。
【0087】
また、本実施形態では、制御装置10は、切離制御の完了後であって、ニュートラル制御の開始前に、内燃機関同期制御を開始する。
【0088】
この構成によれば、回転電機同期制御の開始の条件となるニュートラル制御の開始前に、内燃機関同期制御を開始することができるため、内燃機関同期制御の完了が遅れることを回避し易い。したがって、変速制御に要する時間を短く抑えることができる。
【0089】
以下では、制御装置10による変速制御について、図5及び図6を参照して説明する。
【0090】
図5は、第1係合装置CL1が係合状態で変速機TMがアップシフトを行う場合における変速制御の一例を示すフローチャートである。
【0091】
図5に示すように、まず、制御装置10は、車両用駆動装置100の現在の動作モードが第1HVモードであるか否かを判断する(ステップ#1)。本例では、主制御部11が、内燃機関制御部12を介して内燃機関EGが駆動状態であるか否か、第1回転電機制御部13を介して第1回転電機MG1が力行状態であるか否か、係合制御部15を介して第1係合装置CL1及び第2係合装置CL2が係合状態であって、第3係合装置CL3が第1変速段(低速段)を形成した状態であるか否かを判断することにより、上記の判断を行う。
【0092】
制御装置10は、車両用駆動装置100の現在の動作モードが第1HVモードではないと判断した場合(ステップ#1:No)、制御を終了する。一方、制御装置10は、車両用駆動装置100の現在の動作モードが第1HVモードであると判断した場合(ステップ#1:Yes)、第2HVモードへの移行要求があるか否かを判断する(ステップ#2)。本例では、主制御部11が、SOCセンサSe1の検出信号に基づいて算出した蓄電装置BTの充電量、車速センサSe2の検出信号に基づいて算出した車速、アクセル操作量センサSe3の検出信号に基づいて算出したアクセル開度、ブレーキ操作量センサSe4の検出信号に基づいて算出したブレーキペダルの操作量、及びシフト位置センサSe5の検出信号に基づいて算出したシフト位置等に基づき、上記の判断を行う。
【0093】
制御装置10は、第2HVモードへの移行要求があった場合(ステップ#2:Yes)、第1車輪W1の駆動力源の駆動力を低減させる制御を開始する(ステップ#3)。この制御は、第1回転電機MG1の駆動力をゼロに近付ける駆動力低減制御と、内燃機関EGの駆動力を目標駆動力Teに近付ける内燃機関駆動力制御と、を含む。なお、駆動力低減制御と内燃機関駆動力制御とは、同時に開始する必要はなく、ずらして開始しても良い。本例では、内燃機関駆動力制御の完了後に、駆動力低減制御を実行する。
【0094】
そして、制御装置10は、第1係合装置CL1を係合状態から解放状態に変化させる切離制御を実行する(ステップ#4)。本例では、この切離制御と同期させて、上記の内燃機関駆動力制御を実行する。
【0095】
制御装置10は、切離制御が完了したことに基づいて、入力回転速度Niを変速後同期回転速度Ns2に近付けるように内燃機関EGを制御する内燃機関同期制御を開始する(ステップ#5)。
【0096】
そして、制御装置10は、ステップ#3において開始した第1車輪W1の駆動力源の駆動力を低減させる制御が完了したか否かを判断する(ステップ#6)。本例では、主制御部11が、内燃機関EGの駆動力が目標駆動力Teとなり、かつ、第1回転電機MG1の駆動力がゼロとなったか否かを判断することにより、上記の判断を行う。
【0097】
制御装置10は、第1車輪W1の駆動力源の駆動力を低減させる制御が完了したと判断した場合(ステップ#6:Yes)、変速機TMをニュートラル状態とするニュートラル制御を実行する(ステップ#7)。本例では、係合制御部15が、変速機TMが第1変速段を形成している状態からニュートラル状態に切り替わるように、第3係合装置CL3を制御する。
【0098】
制御装置10は、ニュートラル制御が完了したことに基づいて、ロータ伝動回転速度Ntを変速後同期回転速度Ns2に近付けるように第1回転電機MG1を制御する回転電機同期制御を開始する(ステップ#8)。
【0099】
そして、制御装置10は、入力回転速度Niとロータ伝動回転速度Ntとの差が規定の第1閾値TH1以下となる第1条件(|Ni-Nt|≦TH1)を満たしているか否かを判断する(ステップ#9)。
【0100】
制御装置10は、上記の第1条件(|Ni-Nt|≦TH1)を満たしていると判断した場合(ステップ#9:Yes)、第1係合装置CL1を解放状態から係合状態に変化させる(ステップ#10)。
【0101】
そして、制御装置10は、入力回転速度Niと変速後同期回転速度Ns2との差が規定の第2閾値TH2以下、かつ、ロータ伝動回転速度Ntと変速後同期回転速度Ns2との差が第2閾値TH2以下となる第2条件(|Ni-Ns2|≦TH2、かつ、|Nt-Ns2|≦TH2)を満たしているか否かを判断する(ステップ#11)。
【0102】
制御装置10は、上記の第2条件(|Ni-Ns2|≦TH2、かつ、|Nt-Ns2|≦TH2)を満たしていると判断した場合(ステップ#11:Yes)、変速機TMに第2変速段を形成させる(ステップ#12)。本例では、係合制御部15が、変速機TMがニュートラル状態から第2変速段を形成している状態に切り替わるように、第3係合装置CL3を制御する。そして、制御装置10は、変速制御を終了する。
【0103】
図6は、第1係合装置CL1が係合状態で変速機TMがアップシフトを行う場合における変速制御の一例を示すタイムチャートである。
【0104】
図6に示すように、まず、主制御部11は、第1係合装置CL1の目標係合圧(係合圧指令)を時間t1から次第に減少させて時間t2にゼロとなるように、係合制御部15に指令を行う(切離制御)。その結果、第1係合装置CL1が係合状態から解放状態に変化する。
【0105】
これと並行して、内燃機関制御部12は、内燃機関EGの駆動力が時間t1から次第に減少して時間t2に目標駆動力Teとなるように、内燃機関EGを制御する(内燃機関駆動力制御)。ここでは、目標駆動力Teは、負の値に設定されている。
【0106】
そして、内燃機関制御部12は、入力回転速度Niが時間t2から次第に減少して変速後同期回転速度Ns2に近付くように、内燃機関EGを制御する(内燃機関同期制御)。その結果、変速前同期回転速度Ns1と同値であった入力回転速度Niが、変速前同期回転速度Ns1から遠ざかるように、時間t2から減少し始める。このとき、第1係合装置CL1が解放状態となっているため、入力回転速度Niが変速前同期回転速度Ns1から遠ざかるように減少する一方で、ロータ伝動回転速度Ntは変速前同期回転速度Ns1を維持している。ここで、変速前同期回転速度Ns1は、変速機TMが第1変速段を形成した状態において、第1出力部材O1の回転に応じて定まる入力部材I及びロータ伝動部材Tの回転速度である。
【0107】
第1回転電機制御部13は、第1回転電機MG1の駆動力が時間t2から次第に減少して時間t3にゼロとなるように、第1回転電機MG1を制御する(駆動力低減制御)。
【0108】
時間t1から時間t3の間に、第1回転電機MG1の駆動力がゼロとなると共に、第1係合装置CL1の目標係合圧(係合圧指令)がゼロとなるのに伴い、第1駆動ユニットDU1の駆動力T1は、時間t1から次第に減少して時間t3にゼロとなる。
【0109】
第1駆動ユニットDU1の駆動力T1がゼロとなった後、係合制御部15は、時間t3から時間t4にかけて、変速機TMが第1変速段(低速段)を形成した状態からニュートラル状態となるように、第3係合装置CL3を制御する(ニュートラル制御)。
【0110】
変速機TMがニュートラル状態となった後、第1回転電機制御部13は、ロータ伝動回転速度Ntが時間t4から次第に減少して変速後同期回転速度Ns2に近付くように、第1回転電機MG1を制御する(回転電機同期制御)。その結果、変速前同期回転速度Ns1と同値であったロータ伝動回転速度Ntが、変速前同期回転速度Ns1から遠ざかるように、時間t4から減少し始める。
【0111】
その後、ロータ伝動回転速度Ntが入力回転速度Niに近付き、時間t5において、入力回転速度Niとロータ伝動回転速度Ntとの差が第1閾値TH1以下となる(|Ni-Nt|≦TH1)。本実施形態では、これに基づいて、主制御部11は、第1係合装置CL1が解放状態から係合状態に変化するように、第1係合装置CL1の目標係合圧(係合圧指令)を時間t5から次第に上昇させる指令を係合制御部15に行う。
【0112】
第1係合装置CL1が係合状態となるのに伴い、入力回転速度Niとロータ伝動回転速度Ntとが一体的に減少し、時間t6において、入力回転速度Niと変速後同期回転速度Ns2との差が第2閾値TH2以下、かつ、ロータ伝動回転速度Ntと変速後同期回転速度Ns2との差が第2閾値TH2以下となる(|Ni-Ns2|≦TH2、かつ、|Nt-Ns2|≦TH2)。そして、係合制御部15は、時間t6から時間t7にかけて、変速機TMがニュートラル状態から第2変速段(高速段)を形成した状態となるように、第3係合装置CL3を制御する。
【0113】
変速機TMが第2変速段(高速段)を形成した後、内燃機関制御部12は、内燃機関EGの駆動力が時間t7から次第に増加して時間t8に規定の目標駆動力となるように、内燃機関EGを制御する。更に、第1回転電機制御部13は、第1回転電機MG1の駆動力が時間t7から次第に増加して時間t8に規定の目標駆動力となるように、第1回転電機MG1を制御する。このように、本例では、制御装置10は、変速機TMに第2変速段を形成させた後、内燃機関EG及び第1回転電機MG1の駆動力をそれぞれの目標駆動力に近付ける駆動力復帰制御を行う。
【0114】
時間t7から時間t8にかけて、内燃機関EG及び第1回転電機MG1の駆動力がゼロから次第に上昇するのに伴い、第1駆動ユニットDU1の駆動力T1も、時間t7から時間t8にかけてゼロから次第に上昇する。
【0115】
本実施形態では、制御装置10は、変速制御の実行中、変速機TMを介して第1出力部材O1に伝達される第1回転電機MG1及び内燃機関EGからの駆動力の変動を補うように、第2回転電機MG2に駆動力を出力させる駆動力補助制御を実行する。図6に示す例では、変速制御の実行中、第1駆動ユニットDU1の駆動力T1と第2駆動ユニットDU2の駆動力T2との和(T3)が一定となるように、第2回転電機MG2が制御されている。
【0116】
なお、上述したように、本実施形態では、第2回転電機MG2は、第1車輪W1とは異なる第2車輪W2に駆動連結される第2出力部材O2に、第1出力部材O1を介することなく駆動連結されている。しかし、詳細な構成については後述するが、第2回転電機MG2が、変速機TMと第1出力部材O1との間の動力伝達経路に配置されて第1出力部材O1に駆動連結された構成(図7参照)としても良い。
【0117】
このように、本実施形態では、第1車輪W1とは異なる第2車輪W2に駆動連結される第2出力部材O2に、第1出力部材O1を介することなく駆動連結され、又は、変速機TMと第1出力部材O1との間の動力伝達経路に配置されて第1出力部材O1に駆動連結された第2回転電機MG2を更に備え、
制御装置10は、変速制御の実行中、変速機TMを介して第1出力部材O1に伝達される第1回転電機MG1及び内燃機関EGからの駆動力の変動を補うように、第2回転電機MG2に駆動力を出力させる駆動力補助制御を実行する。
【0118】
この構成によれば、変速制御の実行中に、車両全体における駆動力の変動を少なく抑えることができる。
【0119】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、車両用駆動装置100が第1駆動ユニットDU1と第2駆動ユニットDU2とを備えた構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、車両用駆動装置100が第1駆動ユニットDU1を備え、第2駆動ユニットDU2を備えていない構成としても良い。この場合、図7に示すように、第1駆動ユニットDU1が第2回転電機MG2を備えていても良い。図7に示す例では、第2回転電機MG2の第2ロータRT2と一体的に回転する第2ロータギヤRG2が、第1出力部材O1としての第1差動入力ギヤ4の周方向における変速出力ギヤ3とは異なる位置で、第1差動入力ギヤ4に噛み合っている。また、図示は省略するが、第2ロータギヤRG2が変速出力ギヤ3に噛み合う構成であっても良い。これらの構成では、第2回転電機MG2が、変速機TMと第1出力部材O1との間の動力伝達経路に配置されて第1出力部材O1に駆動連結されている。なお、車両用駆動装置100が第2回転電機MG2を備えていない構成としても良い。
【0120】
(2)上記の実施形態では、変速機TMが、第1変速段(低速段)及び第2変速段(高速段)の2つの変速段のいずれかを形成可能である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、変速機TMが3つ以上の変速段のいずれかを形成可能な構成であっても良い。
【0121】
(3)上記の実施形態では、変速機TMが平行軸歯車式の変速機である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、変速機TMが遊星歯車式の変速機として構成されていても良い。
【0122】
(4)上記の実施形態では、第1係合装置CL1が摩擦係合装置であり、第2係合装置CL2が噛み合い式係合装置である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、第1係合装置CL1が噛み合い式係合装置であっても良いし、第2係合装置CL2が摩擦係合装置であっても良い。また、上記の実施形態では、第3係合装置CL3が噛み合い式係合装置である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第3係合装置CL3が摩擦係合装置であっても良い。
【0123】
(5)上記の実施形態では、分配用差動歯車機構SPの全体、又は、分配用差動歯車機構SPの第3回転要素E3としてのリングギヤR1が、第1ロータRT1の回転に応じて回転するロータ伝動部材Tとして機能する構成を例として説明したが、そのような構成に限定されない。例えば、車両用駆動装置100が分配用差動歯車機構SPに代えて伝動ギヤ機構を備えた構成である場合、当該伝動ギヤ機構がロータ伝動部材Tとして機能しても良い。この場合においても、第1ロータRT1の回転に応じて回転する他の部材、例えば、上記の実施形態における第1ロータギヤRG1及びアイドラギヤIGを備える場合は、それらもロータ伝動部材Tとして機能する。また、第1回転電機MG1の第1ロータ軸RS1がロータ伝動部材Tとして機能しても良い。また、例えば、第1回転電機MG1が第1軸X1に配置され、車両用駆動装置100が、アイドラギヤIG、分配用差動歯車機構SP、伝動ギヤ機構等を備えない構成であっても良い。
【0124】
(6)上記の実施形態では、制御装置10は、第2条件(|Ni-Ns2|≦TH2、かつ、|Nt-Ns2|≦TH2)を満たす前に、第1条件(|Ni-Nt|≦TH1)を満たした場合には、変速機TMに第2変速段を形成させる前に、第1係合装置CL1を解放状態から係合状態に変化させる構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、変速機TMに第2変速段を形成させた後に、第1係合装置CL1を解放状態から係合状態に変化させる構成としても良い。
【0125】
(7)上記の実施形態では、第2変速段が第1変速段よりも変速比が小さい変速段である構成、つまり、変速機TMがアップシフトを行う場合に変速制御を実行する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第2変速段が第1変速段よりも変速比が大きい変速段である構成、つまり、変速機TMがダウンシフトを行う場合に変速制御を実行する構成としても良い。
【0126】
(8)上記の実施形態では、内燃機関EGの駆動力を内燃機関同期制御の目標駆動力Teに近付ける内燃機関駆動力制御の実行期間と、第1回転電機MG1の駆動力をゼロに近付ける駆動力低減制御の実行期間とを重複させる構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、内燃機関駆動力制御の実行期間と駆動力低減制御の実行期間とが重複していなくても良い。また、内燃機関駆動力制御を実行しない構成としても良い。
【0127】
(9)上記の実施形態では、変速制御の実行中、変速機TMを介して第1出力部材O1に伝達される第1回転電機MG1及び内燃機関EGからの駆動力の変動を補うように、第2回転電機MG2に駆動力を出力させる駆動力補助制御を実行する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、駆動力補助制御を実行しない構成としても良い。また、駆動力補助制御を実行する場合であっても、変速制御の実行中における第1回転電機MG1及び内燃機関EGからの駆動力の変動分の全部を第2回転電機MG2に駆動力により補うことに限らず、その一部を第2回転電機MG2に駆動力により補うようにしても良い。
【0128】
(10)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。したがって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本開示に係る技術は、内燃機関に駆動連結される入力部材と、車輪に駆動連結される出力部材と、ロータを備えた回転電機と、ロータの回転に応じて回転するロータ伝動部材と、入力部材とロータ伝動部材との間の動力伝達を断接する切離用係合装置と、ロータ伝動部材と出力部材との間の動力伝達経路に設けられた変速機と、を備えた車両用駆動装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0130】
100:車両用駆動装置、10:制御装置、I:入力部材、O1:第1出力部材、MG1:第1回転電機、RT1:第1ロータ(ロータ)、T:ロータ伝動部材、CL1:第1係合装置(切離係合装置)、TM:変速機、EG:内燃機関、W1:第1車輪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7