IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-車両の充電システム 図1
  • 特許-車両の充電システム 図2
  • 特許-車両の充電システム 図3
  • 特許-車両の充電システム 図4
  • 特許-車両の充電システム 図5
  • 特許-車両の充電システム 図6
  • 特許-車両の充電システム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】車両の充電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20241106BHJP
   B60L 53/31 20190101ALI20241106BHJP
【FI】
H02J7/00 301A
H02J7/00 P
B60L53/31
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021060823
(22)【出願日】2021-03-31
(65)【公開番号】P2022156900
(43)【公開日】2022-10-14
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木野村 茂樹
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-100448(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0013434(US,A1)
【文献】特開2012-196106(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0307477(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
B60L 53/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の充電システムであって、
前記車両に送電するための送電部を含む可動部と、
前記可動部が地下に収容された状態と、前記可動部が地上に露出した状態との間で前記可動部を昇降させる昇降装置と、
鍵部と操作ボタンとを含む操作ユニットと、
前記昇降装置を制御する制御装置と、を含み、
前記操作ユニットは、
前記鍵部がオン操作されているとき、前記可動部が地下に収容された状態であり、かつ、前記操作ボタンの上昇ボタンが操作されると、前記制御装置へ上昇要求を送信し、
前記鍵部が前記オン操作されているとき、前記可動部が地上に露出した状態であり、かつ、前記操作ボタンの下降ボタンが操作されると、前記制御装置へ下降要求を送信し、
前記制御装置は、
前記上昇要求を受信すると、前記可動部を上昇させる上昇制御を実行し、
前記下降要求を受信すると、前記可動部を下降させる下降制御を実行する、車両の充電システム。
【請求項2】
車両の充電システムであって、
前記車両に送電するための送電部を含む可動部と、
前記可動部が地下に収容された状態と、前記可動部が地上に露出した状態との間で前記可動部を昇降させる昇降装置と、
前記昇降装置を制御する制御装置と、を含み、
前記制御装置は、ユーザの携帯端末と通信可能に構成されており、
前記制御装置は、
前記携帯端末が前記可動部から所定距離内であるとき、前記可動部が地下に収容された状態であり、かつ、前記携帯端末に表示される上昇ボタンが操作されると、前記可動部を上昇させる上昇制御を実行し、
前記携帯端末が前記可動部から前記所定距離内であるとき、前記可動部が地上に露出した状態であり、かつ、前記携帯端末の下降ボタンが操作されると、前記可動部を下降させる下降制御を実行する、車両の充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の充電システムおよび車両の充電システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両外部から供給される電力による、いわゆるプラグイン充電が可能な車両の普及が進もうとしている。プラグイン充電のための充電設備は、一般に駐車場等に設置されるが、一定程度の設置スペースを占有する。そのため、充電システムを可動式とし、地下に収容する技術が提案されている。たとえば特許第5475407号公報(特許文献1)に開示された充電用ボールは、地面から立ち上がった状態にできるとともに、地下に収容された状態にできるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5475407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
可動式の充電システムにおいては、車両のユーザ以外の部外者のいたずら等により、可動部が不必要に昇降される可能性がある。
【0005】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであり、本開示の目的は、可動式の充電システムにおいて、可動部の不必要な昇降を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示のある局面に係る車両の充電システムは、可動部と、昇降装置と、インターフェースと、制御装置とを備える。可動部は、車両に送電するための送電部を含む。昇降装置は、可動部が地下に収容された状態と、可動部が地上に露出した状態との間で可動部を昇降させる。インターフェースは、ユーザと充電システムとの間で情報を入出力する。制御装置は、インターフェースを介して昇降操作を受け付けるための条件が満たされており、かつ、昇降操作が受け付けられた場合に、可動部を昇降させるように昇降装置を制御する。
【0007】
(2)インターフェースは、ユーザの鍵を用いてオン/オフ操作される鍵部を含む。上記条件は、ユーザにより鍵部のオン操作が行われたとの条件を含む。
【0008】
(3)インターフェースは、ユーザによる携帯端末の操作情報を取得する通信機器を含む。上記条件は、携帯端末が充電システムから所定距離内であるとの条件を含む。
【0009】
上記(1)~(3)の構成においては、インターフェースを介して昇降操作を受け付けるための条件が満たされている場合に、可動部が昇降される。すなわち、上記条件が満たされていない場合には、昇降操作が受け付けられたとしても可動部の昇降が抑制される。よって、上記(1)~(3)の構成によれば、可動部の不必要な昇降を抑制できる。
【0010】
(4)本開示の他の局面に係る車両の充電システムの制御方法において、充電システムは、車両に送電するための送電部を含む可動部と、可動部が地下に収容された状態と、可動部が地上に露出した状態との間で可動部を昇降させる昇降装置とを備える。制御方法は、インターフェースを介して昇降操作を受け付けるための条件が満たされており、かつ、昇降操作が受け付けられた場合に、可動部を昇降させるステップを含む。
【0011】
上記(4)の方法によれば、上記(1)の構成と同様に、可動部の不必要な昇降を抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、可動式の充電システムにおいて、可動部の不必要な昇降を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態1に係る車両の充電システムのレイアウトの一例を示す図である。
図2】地下に収容された充電スタンド、操作装置および車両の構成の一例を示す図である。
図3】地上に露出した充電スタンド、操作装置および車両の構成の一例を示す図である。
図4】実施の形態1における充電スタンドの上昇制御および下降制御の処理手順を示すフローチャートである。
図5】実施の形態2に係る車両の充電システムの構成の一例を示す図である。
図6】実施の形態2における充電スタンドの上昇制御および下降制御の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図7】実施の形態2における充電スタンドの上昇制御および下降制御の処理手順の他の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0015】
[実施の形態1]
<充電システムの構成>
図1は、実施の形態1に係る車両の充電システムのレイアウトの一例を示す図である。図1には、駐車場に設けられた複数の駐車スペースのうちの1つに1台の車両9が駐車している様子が図示されている。
【0016】
充電システム10は、複数の充電スタンド1と、操作ユニット2とを備える。複数の充電スタンド1の各々は、駐車スペースに隣接するスペース(たとえば歩道)に設置されている。充電スタンド1の設置数は特に限定されない。充電スタンド1の設置数は1台であってもよい。操作ユニット2は、複数の充電スタンド1に対するユーザ操作を受け付ける。
【0017】
充電システム10は、ユーザが操作ユニット2を制御することで、操作対象の充電スタンド1を地下に収容された「収容状態」と地上に露出した「露出状態」との間で昇降可能(上下方向に移動可能)に構成されている。図1では、地上に露出した充電スタンド1を実線で示し、地下に収容された充電スタンド1を破線で示している。
【0018】
図2は、地下に収容された充電スタンド1、操作ユニット2および車両9の構成の一例を示す図である。図3は、地上に露出した充電スタンド1、操作ユニット2および車両9の構成の一例を示す図である。収容状態とは図2に示すように、充電スタンド1の上端が地面と略同じ高さとなるまで充電スタンド1が低下した状態である。露出状態とは図3に示すように、充電スタンド1の上端が地上の所定高さまで充電スタンド1が上昇した状態である。
【0019】
充電スタンド1は、車両9のプラグイン充電が可能に構成されている。充電スタンド1は、たとえば円筒形状の筐体を有する。充電スタンド1は、地面に形成された凹部の底面に設置されている。この凹部は、充電スタンド1の筐体の外周面と所定の間隙を有するように形成されている。凹部の深さは、収容状態の充電スタンド1の鉛直方向の長さと同程度である。充電スタンド1は、可動部11と、昇降ユニット12と、コントローラ13とを含む。
【0020】
可動部11は昇降可能に構成されている。可動部11の昇降方向は、この例では鉛直方向であるが、鉛直方向から所定角度だけ傾いていてもよい。可動部11は、充電コネクタ111および充電ケーブル112を含む。充電コネクタ111および充電ケーブル112は、可動部11の上部に設けられた収容スペースに収容可能である。
【0021】
充電コネクタ111は、車両9のインレット91(後述)に接続される。充電コネクタ111は、充電ケーブル112の一方端に電気的に接続されている。充電ケーブル112の他方端には電源3が電気的に接続されている。電源3は、たとえば、商用電源などの交流電源である。充電ケーブル112と電源3との間に電力変換装置(図示せず)が設けられていてもよい。充電ケーブル112は、ユーザが充電コネクタ111を収容スペースから取り出すことによってインレット91まで伸縮可能である。なお、充電コネクタ111は、本開示に係る「送電部」の一例である。
【0022】
昇降ユニット12は、地面に形成された凹部の底面に固定されている。昇降ユニット12は、収容状態と露出状態との間で可動部11を昇降させる。昇降ユニット12には様々な機構を採用できる。具体的には、昇降ユニット12は、ラックピニオン式の機構を有していてもよいし、油圧シリンダを用いた機構を有していてもよいし、磁力式の機構を有していてもよい。ラックピニオン式の機構は、可動部11に固定されたラックギヤに噛み合わされたピニオンギヤを電動アクチュエータを用いて回転させることにより可動部11を昇降させる。油圧シリンダを用いた機構は、ピストンに接続されたロッドを可動部11に固定し、シリンダ本体に供給される油圧を増減させることにより可動部11を昇降させる。磁力式の機構は、可動部11と昇降ユニット12との間に磁力による反発力を発生させることにより可動部11を昇降させる。
【0023】
また、昇降ユニット12は、可動部11の上下方向の過度の移動を制限する機構(ストッパなど)を含むことが望ましい。これにより、昇降ユニット12は、可動部11が収容状態に相当する位置を超えて下降しないように構成されているとともに、可動部11が露出状態に相当する位置を超えて上昇しないように構成されている。なお、昇降ユニット12は、本開示に係る「昇降装置」に相当する。
【0024】
コントローラ13は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ131と、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などのメモリ132と、充電スタンド1の外部機器との間で有線および/または無線での通信が可能な通信モジュール133とを含む。本実施の形態において、通信モジュール133は、操作ユニット2との間で各種情報(操作ユニット2が受け付けたユーザ操作に関する情報など)をやり取りするように構成されている。通信モジュール133は、管理サーバ(図示せず)および/または他の充電スタンド1とも通信可能に構成されていてもよい。
【0025】
コントローラ13は、メモリ132に記憶された情報、通信モジュール133を経由して受信した情報、および/または、図示しないセンサ類から取得された情報に基づいて、充電スタンド1の構成機器(昇降ユニット12など)を制御する。コントローラ13は、可動部11を上昇させる「上昇制御」と、可動部11を下降させる「下降制御」とを実行する。上昇制御の実行条件は、充電スタンド1が収容状態であるとの条件と、操作ユニット2から上昇要求を受信したとの条件とを含む。下降制御の実行条件は、充電スタンド1が露出状態であるとの条件と、操作ユニット2から下降要求を受信したとの条件とを含む。これらの条件については図4にて詳細に説明する。なお、コントローラ13は、本開示に係る「制御装置」に相当する。
【0026】
操作ユニット2は、充電スタンド1に対する各種ユーザ操作を受け付ける。操作ユニット2は、鍵部21と、選択ボタン22と、操作ボタン23と、コントローラ24とを含む。
【0027】
鍵部21は、ユーザの鍵(物理的な鍵)を用いてオン/オフ操作される。ユーザが鍵を用いてオン操作を行うと、選択ボタン22および操作ボタン23への他の操作も受け付けられるようになる。一方、ユーザが鍵を用いてオン操作を行うまでは(すなわちオフ操作されている間は)、選択ボタン22および操作ボタン23への操作は受け付けられない。
【0028】
選択ボタン22は、ユーザが複数の充電スタンド1のなかから自身が使用する充電スタンド1を選択する操作を受け付ける。たとえば、複数の充電スタンド1の各々には互いに異なる番号が割り当てられ、その番号が駐車スペースに描かれている。選択ボタン22は、ユーザが充電スタンド1の番号を入力できるように構成されている。
【0029】
操作ボタン23は、ユーザのボタン操作(本開示に係る「昇降操作」)を受け付ける。操作ボタン23は、上昇ボタン231と、下降ボタン232とを含む。ユーザが上昇ボタン231を押下すると、操作ユニット2から充電スタンド1(選択ボタン22により選択された充電スタンド)へと上昇要求が送信される。ユーザが下降ボタン232を押下すると、操作ユニット2から充電スタンド1へと下降要求が送信される。
【0030】
なお、操作ボタン23の操作方式は特に限定されない。ボタン式に代えてまたは加えて、レバー式、タッチパネル式などの他の方式を採用してもよい。
【0031】
コントローラ24は、コントローラ13と同様に、CPUなどのプロセッサ241と、ROMおよびRAMなどのメモリ242と、有線通信および/または無線通信が可能な通信モジュール243とを含む。コントローラ24は、充電スタンド1との間でユーザ操作に関する情報をやり取りするように構成されている。
【0032】
なお、操作ユニット2を充電スタンド1と別に設けることは必須ではない。操作ユニット2は、充電スタンド1と一体的に構成されていてもよい。たとえば可動部11の上面に操作パネルを設けてもよい。
【0033】
車両9は、この例では電気自動車である。車両9は、プラグイン充電が可能な車両であればよく、たとえばプラグインハイブリッド車であってもよい。車両9は、インレット91と、充電器92と、バッテリ93と、インバータ94と、モータジェネレータ95とを含む。
【0034】
インレット91は、車両9の外装部分に設けられたリッド等のカバー(図示せず)の内部に配置されている。インレット91は、充電スタンド1の充電コネクタ111を挿入可能に構成されている。充電コネクタ111がインレット91に挿入されると、インレット91と充電コネクタ111とが電気的に接続される。これにより、充電スタンド1から車両9への電力伝送が可能になる。
【0035】
充電器92は、インレット91から交流電力が供給される場合には、その交流電力を直流電力に変換してバッテリ93に供給する。バッテリ93は、ニッケル水素電池またはリチウムイオン電池等の二次電池である。
【0036】
インバータ94は、バッテリ93に蓄えられた直流電力を交流電力に変換し、その交流電力をモータジェネレータ95に供給する。また、インバータ94は、モータジェネレータ95からの交流電力(回生電力)を直流電力に変換し、その直流電力をバッテリ93に充電する。モータジェネレータ95は、インバータ94からの電力供給を受けて駆動輪に回転力を与えることで車両9を走行させる。
【0037】
<処理フロー>
図4は、実施の形態1における充電スタンド1の上昇制御および下降制御の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、たとえば予め定められた周期毎にメインルーチン(図示せず)から呼び出されて実行される。各ステップは、操作ユニット2のコントローラ24によるソフトウェア処理により実現されるが、コントローラ24内に配置されたハードウェア(電気回路)により実現されてもよい。以下、ステップをSと略す。
【0038】
S11において、コントローラ24は、ユーザが鍵を用いて鍵部21に対してオン操作を行ったどうかを判定する。鍵部21がオン操作されていない場合(S11においてNO)、コントローラ24は、処理をメインルーチンに戻す。鍵部21がオン操作されると(S11においてYES)、コントローラ24は、処理をS12に進める。
【0039】
S12において、コントローラ24は、ユーザが選択ボタン22に対して充電スタンド1を選択する操作を行ったかどうかを判定する。コントローラ24は、ユーザが充電スタンド1を選択するまで待機し(S12においてNO)、ユーザが充電スタンド1を選択すると(S12においてYES)、処理をS13に進める。
【0040】
S13において、コントローラ24は、S12にて選択された充電スタンド1が収容状態であるか露出状態であるかを判定する。充電スタンド1が収容状態である場合(S13において収容状態)、コントローラ24は、処理をS14に進め、ユーザが上昇ボタン231を押下するまで待機する(S14においてNO)。ユーザが上昇ボタン231を押下すると(S14においてYES)、コントローラ24は、選択された充電スタンド1に対して上昇要求を送信する(S15)。これにより、当該充電スタンド1の上昇制御が実行される。
【0041】
一方、S13にて充電スタンド1が露出状態である場合(S13において露出状態)、コントローラ24は、処理をS16に進め、ユーザが下降ボタン232を押下するまで待機する(S16においてNO)。ユーザが下降ボタン232を押下すると(S16においてYES)、コントローラ24は、選択された充電スタンド1に対して下降要求を送信する(S17)。これにより、当該充電スタンド1の下降制御が実行される。S15またはS17の処理が終了すると、コントローラ24は、処理をメインルーチンに戻す。
【0042】
以上のように、実施の形態1においては、上昇ボタン231または下降ボタン232に対する操作が行われただけでは、操作ユニット2から充電スタンド1へと上昇要求または下降要求が送信されることはない。上昇要求および下降要求は、ユーザが鍵部21に対してオン操作を行った上でなければ送信されない。鍵部21のオン操作には鍵を要するため、鍵を持たない部外者は鍵部21を操作できない。したがって、実施の形態1によれば、部外者のいたずら等による、可動部11の不必要な昇降を抑制できる。
【0043】
[実施の形態2]
実施の形態2においては、充電スタンド1の上昇制御および下降制御をユーザの携帯端末を用いて管理する構成について説明する。
【0044】
図5は、実施の形態2に係る車両の充電システムの構成の一例を示す図である。充電システム20は、操作ユニット2を備えない点において、実施の形態1に係る充電システム10と異なる。充電スタンド1の通信モジュール133は、ユーザの携帯端末4と通信可能に構成されている。
【0045】
携帯端末4は、たとえばスマートホンであるが、携帯端末4の種類は特に限定されない。携帯端末4は、タブレット端末、スマートウォッチ等であってもよい。携帯端末4には、充電スタンド1を操作するためのアプリケーションソフトウェア(アプリ)がインストールされている。このアプリを用いて、携帯端末4の識別情報、および、ユーザ情報(たとえばユーザの氏名、住所、充電料金の支払い情報など)が事前に登録されている。
【0046】
図6は、実施の形態2における充電スタンド1の上昇制御および下降制御の処理手順の一例を示すフローチャートである。この例では簡単のため、ユーザにより充電スタンド1が予め選択されているものとする。実施の形態2において、各ステップは、充電スタンド1のコントローラ13によるソフトウェア処理により実現されるが、コントローラ13内に配置されたハードウェア(電気回路)により実現されてもよい。
【0047】
S21において、コントローラ13は、ユーザの携帯端末4が充電スタンド1から所定距離内(たとえば数十メートル以内)にあるかどうかを判定する。コントローラ13は、たとえば、携帯端末4のGPS(Global Positioning System)情報を取得できる。GPS情報の取得先は、携帯端末4であってもよいし、外部の管理サーバ(図示せず)であってもよい。あるいは、コントローラ13は、通信距離が数十メートル以内に限られる短距離通信がコントローラ13(通信モジュール133)と携帯端末4との間で確立された場合に、携帯端末4が充電スタンド1から所定距離内にあると判定してもよい。
【0048】
携帯端末4が充電スタンド1から所定距離外にある場合(S21においてNO)、コントローラ13は、処理をメインルーチンに戻す。携帯端末4が充電スタンド1から所定距離内にある場合(S21においてYES)、コントローラ13は、処理をS22に進める。
【0049】
S22において、コントローラ13は、充電スタンド1が収容状態であるか露出状態であるかを判定する。充電スタンド1が収容状態である場合(S22において収容状態)、コントローラ13は、処理をS23に進め、携帯端末4に表示される上昇ボタン(図示せず)をユーザが操作するまで待機する(S23においてNO)。ユーザが上昇ボタンを操作すると(S23においてYES)、コントローラ13は、上昇制御を実行する(S24)。
【0050】
充電スタンド1が露出状態である場合(S22において露出状態)、コントローラ13は、処理をS25に進め、携帯端末4に表示される下降ボタン(図示せず)をユーザが操作するまで待機する(S25においてNO)。ユーザが下降ボタンを操作すると(S25においてYES)、コントローラ13は、下降制御を実行する(S26)。S24またはS26の処理が終了すると、コントローラ13は、処理をメインルーチンに戻す。
【0051】
図7は、実施の形態2における充電スタンド1の上昇制御および下降制御の処理手順の他の一例を示すフローチャートである。この例でも、ユーザにより充電スタンド1が予め選択されているものとする。
【0052】
S31において、コントローラ13は、充電スタンド1が収容状態であるか露出状態であるかを判定する。充電スタンド1が収容状態である場合(S31において収容状態)、コントローラ13は、処理をS32に進め、携帯端末4に表示される上昇ボタン(図示せず)をユーザが操作するまで待機する(S32においてNO)。
【0053】
ユーザが上昇ボタンを操作すると(S32においてYES)、コントローラ13は、携帯端末4が充電スタンド1から所定距離内にあるかどうかを判定する。携帯端末4が充電スタンド1から所定距離内にある場合(S33においてYES)、コントローラ13は、上昇制御を実行する(S34)。これに対し、携帯端末4が充電スタンド1から所定距離外にある場合(S33においてNO)、コントローラ13は、S34の処理をスキップする。すなわち、コントローラ13は、上昇ボタンが操作されていても上昇制御を実行しない。
【0054】
充電スタンド1が露出状態である場合(S31において露出状態)、コントローラ13は、処理をS35に進め、携帯端末4に表示される下降ボタン(図示せず)をユーザが操作するまで待機する(S35においてNO)。
【0055】
ユーザが下降ボタンを操作すると(S35においてYES)、コントローラ13は、携帯端末4が充電スタンド1から所定距離内にあるかどうかを判定する。携帯端末4が充電スタンド1から所定距離内にある場合(S36においてYES)、コントローラ13は、下降制御を実行する(S37)。これに対し、携帯端末4が充電スタンド1から所定距離外にある場合(S36においてNO)、コントローラ13は、S37の処理をスキップする。すなわち、コントローラ13は、下降ボタンが操作されていても下降制御を実行しない。
【0056】
以上のように、実施の形態2においては、ユーザの携帯端末4が充電スタンド1から所定距離内にあることを上昇制御および下降制御の実行条件にする。携帯端末4が充電スタンド1から所定距離内にない場合には、上昇ボタンが操作されたとしても上昇制御は実行されない。下降制御についても同様である。ユーザの携帯端末4は予め登録されているため、登録済みの携帯端末4を持たない部外者は充電スタンド1を操作できない。したがって、実施の形態2によれば、部外者のいたずら等による、可動部11の不必要な昇降を抑制できる。
【0057】
なお、実施の形態2では、コントローラ13の通信モジュール133が本開示に係る「通信機器」に相当する。
【0058】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0059】
10,20 充電システム、 1 充電スタンド、2 操作ユニット、3 電源、4 携帯端末、11 可動部、111 充電コネクタ、112 充電ケーブル、12 昇降ユニット、13 コントローラ、131 プロセッサ、132 メモリ、133 通信モジュール、21 鍵部、22 選択ボタン、23 操作ボタン、231 上昇ボタン、232 下降ボタン、24 コントローラ、241 プロセッサ、242 メモリ、243 通信モジュール、9 車両、91 インレット、92 充電器、93 バッテリ、94 インバータ、95 モータジェネレータ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7