(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】同期捕捉回路
(51)【国際特許分類】
H04B 1/7075 20110101AFI20241106BHJP
H04B 1/7087 20110101ALI20241106BHJP
【FI】
H04B1/7075
H04B1/7087
(21)【出願番号】P 2021066226
(22)【出願日】2021-04-09
【審査請求日】2023-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【氏名又は名称】伊達 研郎
(74)【代理人】
【識別番号】100184022
【氏名又は名称】前田 美保
(72)【発明者】
【氏名】東海林 隆則
(72)【発明者】
【氏名】門田 行広
【審査官】川口 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-068616(JP,A)
【文献】特開平11-041141(JP,A)
【文献】特開平09-116465(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/7075
H04B 1/7087
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3以上の整数であるユニット数と2以上の整数の積である系列長を有しチップ時間で変化する2値を取る疑似乱数である拡散符号で拡散された信号を受信するスペクトラム拡散受信機で前記チップ時間の間隔を有する離散的な時点での前記系列長の個数の受信信号と乗算する前記拡散符号の前記系列長での位置である同期系列位置を求める同期捕捉回路であって、
同相成分および前記同相成分と90度の位相差を有する直交成分により複素数として表現され、1個のチップに超過係数の個数が含まれる前記受信信号について、前記系列長の個数の連続するチップに含まれる、前記超過係数を前記系列長に乗算して得られる総時点数、あるいは前記チップ時間の間隔を有するように選択された前記系列長の個数の前記受信信号の各々と、前記受信信号の各々が属するチップの前記系列長の中での位置に応じて決まる前記拡散符号の各々とを乗算して得られる複素数である逆拡散後受信信号を、前記総時点数または前記系列長である逆拡散個数だけ計算する、逆拡散後受信信号計算部と、
前記逆拡散個数を前記ユニット数で除算して得られるユニット個数の連続する前記逆拡散後受信信号の
和であるユニット相関値を計算するユニット相関値計算部と、
前記逆拡散個数から前記ユニット個数を減算して得られる差分個数以上かつ前記逆拡散個数以下の個数の前記逆拡散後受信信号の
和である相関値を計算する相関値積算部と、
前記ユニット相関値と1個前の前記ユニット相関値との間の位相差を有する複素数である差分位相値を計算する差分位相値計算部と、
前記差分位相値計算部を動作させるかどうかを制御する動作制御部と、
前記差分位相値の和である差分相関値を計算する差分相関値計算部と、
前記相関値または前記差分相関値である積算値であって、前記差分位相値計算部が動作する場合は前記差分相関値であり、前記差分位相値計算部が動作しない場合は前記相関値である前記積算値の電力を算出する電力算出部と、
1時点ずつ前記受信信号をずらして計算された前記総時点数の個数の前記電力を記憶する電力記憶部と、
前記電力記憶部が記憶する前記電力の最大値を取る位置に基づき前記同期系列位置を求めるピーク検出判定部とを備えた同期捕捉回路。
【請求項2】
計算に使用する前記逆拡散後受信信号により順序付けられた前記ユニット数の個数の前記ユニット相関値計算部を備えた、請求項1に記載の同期捕捉回路。
【請求項3】
異なる2個以上の値の前記ユニット数をとることができる、請求項1または請求項2に記載の同期捕捉回路。
【請求項4】
前記差分位相値計算部は、決められた振幅を有する前記差分位相値を計算する、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の同期捕捉回路。
【請求項5】
前記差分位相値計算部は、入力される2個の複素数の中で一方の複素数の複素共役と他方の複素数とを乗算して前記差分位相値を計算する、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の同期捕捉回路。
【請求項6】
前記動作制御部は、
周波数偏差が第1閾値以上である場合に、前記差分位相値計算部を動作させ、
前記周波数偏差が前記第1閾値よりも小さい場合に、前記差分位相値計算部を動作させない、請求項1から請求項5の何れか1項に記載の同期捕捉回路。
【請求項7】
前記差分位相値計算部が動作する場合は、前記差分相関値の位相に基づき前記周波数偏差を計算し、
前記差分位相値計算部が動作しない場合は、決められた期間での前記相関値の位相の時間変化率に基づき前記周波数偏差を計算する周波数偏差計算部とを備えた請求項6に記載の同期捕捉回路。
【請求項8】
前記逆拡散個数を前記ユニット数より小さい正の整数である2段ユニット数で除算して得られる整数である2段ユニット個数の連続する前記逆拡散後受信信号の
和である2段ユニット相関値を計算する、計算に使用する前記逆拡散後受信信号により順序付けられた前記2段ユニット数の個数の2段ユニット相関値計算部と、
前記2段ユニット相関値と1個前の前記2段ユニット相関値との間の位相差を有する複素数である2段差分位相値を計算する2段差分位相値計算部と、
前記2段差分位相値の和である2段差分相関値を計算する2段差分相関値計算部とを備え、
前記相関値積算部は、前記逆拡散個数から前記2段ユニット個数を減算して得られる2段差分個数以上かつ前記逆拡散個数以下の個数の前記逆拡散後受信信号の和を表す複素数である前記相関値を計算し、
前記動作制御部は、前記差分位相値計算部および前記2段差分位相値計算部のどちらか一方を動作させるか、どちらも動作させないかを制御し、
前記2段差分位相値計算部が動作する場合の前記積算値は前記2段差分相関値であり、
前記電力算出部は、前記相関値、前記差分相関値および前記2段差分相関値の何れかである前記積算値の電力を算出する、請求項1、請求項2、請求項4、請求項5の何れか1項に記載の同期捕捉回路。
【請求項9】
前記2段差分位相値計算部は、決められた振幅を有する前記2段差分位相値を計算する、請求項8に記載の同期捕捉回路。
【請求項10】
前記2段差分位相値計算部は、入力される2個の複素数の中で一方の複素数の複素共役と他方の複素数とを乗算して前記2段差分位相値を計算する、請求項8に記載の同期捕捉回路。
【請求項11】
前記動作制御部は、
周波数偏差が第1閾値以上である場合に、前記差分位相値計算部を動作させ、
前記周波数偏差が前記第1閾値よりも小さく決められた第2閾値よりも小さい場合に、前記差分位相値計算部および前記2段差分位相値計算部を動作させず、
前記周波数偏差が前記第1閾値よりも小さくかつ前記第2閾値以上である場合に、前記2段差分位相値計算部を動作させる、請求項8から請求項10の何れか1項に記載の同期捕捉回路。
【請求項12】
前記差分位相値計算部または前記2段差分位相値計算部が動作する場合は、前記差分相関値の位相に基づき前記周波数偏差を計算し、
前記差分位相値計算部および前記2段差分位相値計算部が動作しない場合は、決められた期間での前記相関値の位相の時間変化率に基づき前記周波数偏差を計算する周波数偏差計算部とを備えた請求項11に記載の同期捕捉回路。
【請求項13】
前記拡散符号が、前記ユニット数および2以上の整数である第1単位個数の積である第1の系列長を有し第1のチップ時間で変化する2値を取る疑似乱数である第1の拡散符号と、第2の系列長を有し前記第1のチップ時間を前記第2の系列長で除算した前記チップ時間で変化する2値を取る疑似乱数である第2の拡散符号とを乗算して得られる、前記第1の系列長および前記第2の系列長の積である前記系列長を有し前記チップ時間で変化する2値を取る疑似乱数である縦列接続拡散符号であり、
前記第2の系列長の個数の連続するチップに含まれる、前記超過係数を前記第2の系列長に乗算して得られる第2時点数、あるいは前記チップ時間の間隔を有するように選択された前記第2の系列長の個数の前記受信信号の各々と、前記受信信号の各々が属するチップの前記第2の系列長の中での位置に応じて決まる前記第2の拡散符号の各々とを乗算して得られる複素数である第2逆拡散後受信信号を計算する、前記第2時点数または前記第2の系列長である第2逆拡散個数の第2逆拡散後受信信号計算部と、
前記第2逆拡散個数の前記第2逆拡散後受信信号の
和である第2相関値を計算する第2相関値積算部と、
前記第1の系列長から1を減算して得られる整数である最小台数と前記第2時点数とを乗算して得られる整数以上の個数である保存数の、1時点ずつ前記受信信号をずらして計算された前記
第2相関値である第2積算値を記憶する第2積算値記憶部と、
前記第1のチップ時間ごとの時点で計算された前記第1の系列長の個数の前記第2積算値の各々と前記第1の拡散符号の各々とが入力され、前記第2積算値の各々と前記第1の拡散符号の各々とを乗算して得られる複素数である逆拡散後第2積算値を計算する、前記第1の系列長の個数の逆拡散後第2積算値計算部とを備え、
前記ユニット相関値計算部が、前記第1単位個数の連続する前記逆拡散後第2積算値の和
である前記ユニット相関値を計算するものである、請求項1または請求項2に記載の同期捕捉回路。
【請求項14】
1時点ずつ前記受信信号をずらして計算された前記積算値ごとに、決められた回数の前記積算値を累積加算する累積加算部をさらに備え、
前記動作制御部は、前記累積加算部を動作させるかどうかを制御し、
前記電力算出部は、前記累積加算部が動作する場合は前記累積加算部が出力する前記積算値の電力を算出し、前記累積加算部が動作しない場合は前記積算値の電力を算出する、請求項1から請求項
13の何れか1項に記載の同期捕捉回路。
【請求項15】
3以上の整数である第1分割数と2以上の整数である第1単位個数との積である第1の系列長を有し第1のチップ時間で変化する2値を取る疑似乱数である第1の拡散符号と、第2の系列長を有し前記第1のチップ時間を前記第2の系列長で除算したチップ時間で変化する2値を取る疑似乱数である第2の拡散符号とを乗算して得られる、前記第1の系列長および前記第2の系列長の積である系列長を有し前記チップ時間で変化する2値を取る疑似乱数である縦列接続拡散符号で拡散された信号を受信するスペクトラム拡散受信機で前記チップ時間の間隔を有する離散的な時点での前記系列長の個数の受信信号と乗算する前記縦列接続拡散符号の前記系列長での位置である同期系列位置を求める同期捕捉回路であって、
同相成分および前記同相成分と90度の位相差を有する直交成分により複素数として表現され、1個のチップに超過係数の個数が含まれる前記受信信号について、前記超過係数を前記
第2の系列長に乗算して得られる第2時点数、あるいは前記チップ時間の間隔を有するように選択された前記第2の系列長の個数の前記受信信号の各々と、前記受信信号の各々が属するチップの前記第2の系列長の中での位置に応じて決まる前記第2の拡散符号の各々とを乗算して得られる複素数である第2逆拡散後受信信号を計算する、
前記第2時点数
または前記第2の系列長である第2逆拡散個数の第2逆拡散後受信信号計算部と、
前記第2逆拡散個数の前記
第2逆拡散後受信信号の
和である第2相関値を計算する第2相関値積算部と、
前記第1の系列長から1を減算して得られる整数である最小台数と前記第2時点数とを乗算した数以上の個数である保存数の、1時点ずつ前記受信信号をずらして計算された前記第2相関値である第2積算値を記憶する第2積算値記憶部と、
前記第1のチップ時間ごとの時点で計算された前記第1の系列長の個数の前記第2積算値の各々と前記第1の拡散符号の各々とが入力され、前記第2積算値の各々と前記第1の拡散符号の各々とを乗算して得られる複素数である逆拡散後第2積算値を計算する、前記第1の系列長の個数の逆拡散後第2積算値計算部と、
前記第1の系列長から前記第1単位個数を減算して得られる整数である第1差分個数以上かつ前記第1の系列長以下の個数の前記逆拡散後第2積算値の
和である第1相関値を計算する第1相関値積算部と、
前記第1単位個数の連続する前記逆拡散後第2積算値の
和である単位第1相関値を計算する、計算に使用する前記逆拡散後第2積算値により順序付けられた前記第1分割数の個数の単位第1相関値計算部と、
前記単位第1相関値と1個前の前記単位第1相関値との間の位相差を有する複素数である第1差分位相値を計算する、前記第1分割数から1を減算して得られる整数である第1差分数の個数の第1差分位相値計算部と、
前記第1差分数の個数の前記第1差分位相値の和である第1差分相関値を計算する第1差分相関値計算部と、
前記第1差分位相値計算部を動作させるかどうかを制御する動作制御部と、
前記第1相関値または前記第1差分相関値である第1積算値であって、前記第1差分位相値計算部が動作する場合は前記第1差分相関値であり、前記第1差分位相値計算部が動作しない場合は前記第1相関値である前記第1積算値の電力を算出する電力算出部と、
1時点ずつ前記受信信号をずらして計算された前記第2時点数と前記第1の系列長の積である総時点数の個数の前記電力を記憶する電力記憶部と、
前記電力記憶部が記憶する前記電力の最大値を取る位置に基づき前記同期系列位置を求めるピーク検出判定部とを備えた同期捕捉回路。
【請求項16】
前記第1差分位相値計算部は、決められた振幅を有する前記第1差分位相値を計算する、請求項15に記載の同期捕捉回路。
【請求項17】
前記第1差分位相値計算部は、入力される2個の複素数の中で一方の複素数の複素共役と他方の複素数とを乗算して前記第1差分位相値を計算する、請求項15に記載の同期捕捉回路。
【請求項18】
前記動作制御部は、
周波数偏差が第1閾値以上である場合に、前記第1差分位相値計算部を動作させ、
前記周波数偏差が前記第1閾値よりも小さい場合に、前記第1差分位相値計算部を動作させない、請求項15に記載の同期捕捉回路。
【請求項19】
前記第1差分位相値計算部が動作する場合は、前記第1差分相関値の位相に基づき前記周波数偏差を計算し、
前記第1差分位相値計算部が動作しない場合は、決められた期間での前記第1相関値の位相の時間変化率に基づき前記周波数偏差を計算する周波数偏差計算部とを備えた請求項18に記載の同期捕捉回路。
【請求項20】
前記第1分割数よりも小さい正の整数である2段第1分割数で前記第1の系列長を除算して得られる整数である2段第1単位個数の連続する前記逆拡散後受信信号の
和である2段単位第1相関値を計算する、計算に使用する前記逆拡散後受信信号により順序付けられた前記2段第1分割数の個数の2段単位第1相関値計算部と、
前記2段単位第1相関値と1個前の前記2段単位第1相関値との間の位相差を有する複素数である2段第1差分位相値を計算する、前記2段第1分割数から1を減算して得られる整数である2段第1差分数の個数の2段第1差分位相値計算部と、
前記2段第1差分数の個数の前記2段第1差分位相値の和である2段第1差分相関値を計算する2段第1差分相関値計算部とを備え、
前記動作制御部は、前記第1差分位相値計算部および前記2段第1差分位相値計算部のどちらか1つを動作させるか、どちらも動作させないかを制御し、
前記2段第1差分位相値計算部が動作する場合の前記第1積算値は前記2段第1差分相関値であり、
前記電力算出部は、前記第1相関値、前記第1差分相関値および前記2段第1差分相関値の何れかである前記第1積算値の電力を算出する、請求項15から請求項17の何れか1に記載の同期捕捉回路。
【請求項21】
前記2段第1差分位相値計算部は、決められた振幅を有する前記2段第1差分位相値を計算する、請求項20に記載の同期捕捉回路。
【請求項22】
前記2段第1差分位相値計算部は、入力される2個の複素数の中で一方の複素数の複素共役と他方の複素数とを乗算して前記2段第1差分位相値を計算する、請求項20に記載の同期捕捉回路。
【請求項23】
前記動作制御部は、
周波数偏差が第1閾値以上である場合に、前記第1差分位相値計算部を動作させ、
前記周波数偏差が前記第1閾値よりも小さく決められた第2閾値よりも小さい場合に、前記第1差分位相値計算部および前記2段第1差分位相値計算部を動作させず、
前記周波数偏差が前記第1閾値よりも小さくかつ前記第2閾値以上である場合に、前記2段第1差分位相値計算部を動作させる、請求項20から請求項22の何れか1項に記載の同期捕捉回路。
【請求項24】
前記第1差分位相値計算部が動作する場合は、前記第1差分相関値の位相に基づき前記周波数偏差を計算し、
前記2段第1差分位相値計算部が動作する場合は、前記2段第1差分相関値の位相に基づき前記周波数偏差を計算し、
前記第1差分位相値計算部および前記2段第1差分位相値計算部が動作しない場合は、決められた期間での前記第1相関値の位相の時間変化率に基づき前記周波数偏差を計算する周波数偏差計算部とを備えた請求項23に記載の同期捕捉回路。
【請求項25】
1時点ずつ前記受信信号をずらして計算された前記第1積算値ごとに、決められた回数の前記第1積算値を累積加算する累積加算部をさらに備え、
前記動作制御部は、前記累積加算部を動作させるかどうかを制御し、
前記電力算出部は、前記累積加算部が動作する場合は前記累積加算部が出力する前記第1積算値の電力を算出し、前記累積加算部が動作しない場合は前記第1積算値の電力を算出する、請求項15から請求項24の何れか1項に記載の同期捕捉回路。
【請求項26】
前記拡散符号が、前記ユニット数と等しい第1の系列長を有し第1のチップ時間で変化する2値を取る疑似乱数である第1の拡散符号と、第2の系列長を有し前記第1のチップ時間を前記第2の系列長で除算した前記チップ時間で変化する2値を取る疑似乱数である第2の拡散符号とを乗算して得られる、前記第1の系列長および前記第2の系列長の積である前記系列長を有し前記チップ時間で変化する2値を取る疑似乱数である縦列接続拡散符号であり、
前記第2の系列長の個数の連続するチップに含まれる、前記超過係数を前記第2の系列長に乗算して得られる第2時点数、あるいは前記チップ時間の間隔を有するように選択された前記第2の系列長の個数の前記受信信号の各々と、前記受信信号の各々が属するチップの前記第2の系列長の中での位置に応じて決まる前記第2の拡散符号の各々とを乗算して得られる複素数である第2逆拡散後受信信号を計算する、前記第2時点数または前記第2の系列長である第2逆拡散個数の第2逆拡散後受信信号計算部と、
前記第2逆拡散個数の前記第2逆拡散後受信信号の
和である第2相関値を計算する第2相関値積算部と、
前記第2相関値と、前記第2相関値を計算する際に使用された前記受信信号よりも前記第1のチップ時間に1以上の整数である遅延チップ数を乗算した時間である第1遅延時間だけ前の時点の前記受信信号を使用して計算された前記第2相関値との間の位相差を有する複素数である第2差分位相値を計算する、前記動作制御部により動作するかどうかが制御される第2差分位相値計算部と、
前記第1の系列長から1を減算して得られる整数である最小台数と前記第2時点数とを乗算して得られる整数以上の個数である保存数の、1時点ずつ前記受信信号をずらして計算された前記第2相関値または前記第2差分位相値の何れかである第2積算値を記憶する第2積算値記憶部と、
前記第1のチップ時間ごとの時点で計算された前記第1の系列長の個数の前記第2積算値の各々が入力され、前記第2差分位相値計算部が動作する場合は、前記第1の拡散符号から決まる前記第1の系列長を有する拡散符号であって、前記第1の拡散符号の各々が前記遅延チップ数だけ前の前記第1の拡散符号と同じ値であることを表す無変化値と、前記第1の拡散符号が前記遅延チップ数だけ前の前記第1の拡散符号と異なる値であることを表す有変化値の2値を取る拡散符号である第1の差分符号の各々が入力され、前記第2差分位相値計算部が動作しない場合は、前記第1の拡散符号の各々が入力され、前記第2積算値の各々と前記第1の差分符号あるいは前記第1の拡散符号の各々とを乗算して得られる複素数である逆拡散後第2積算値を計算する、前記第1の系列長の個数の逆拡散後第2積算値計算部と、
前記第1の系列長の個数の前記逆拡散後第2積算値の
和である第1合計値を計算する第1合計値計算部とを備え、
前記第2逆拡散後受信信号計算部および前記逆拡散後第2積算値計算部が、前記逆拡散後受信信号計算部を構成し、
前記第2相関値積算部が、前記ユニット相関値計算部を構成し、
前記第2差分位相値計算部が、前記差分位相値計算部を構成し、
前記第2差分位相値計算部が動作する場合の前記
第1合計値計算部が前記差分相関値計算部であり
、前記第2差分位相値計算部が動作しない場合の前記
第1合計値計算部が前記相関値積算部であり、
前記電力算出部が、前記第1合計値の電力を算出する、請求項1に記載の同期捕捉回路。
【請求項27】
第1の系列長を有し第1のチップ時間で変化する2値を取る疑似乱数である第1の拡散符号と、第2の系列長を有し前記第1のチップ時間を前記第2の系列長で除算したチップ時間で変化する2値を取る疑似乱数である第2の拡散符号とを乗算して得られる、前記第1の系列長および前記第2の系列長の積である系列長を有し前記チップ時間で変化する2値を取る疑似乱数である縦列接続拡散符号で拡散された信号を受信するスペクトラム拡散受信機で前記チップ時間の間隔を有する離散的な時点での前記系列長の個数の受信信号と乗算する前記縦列接続拡散符号の前記系列長での位置である同期系列位置を求める同期捕捉回路であって、
同相成分および前記同相成分と90度の位相差を有する直交成分により複素数として表現され、1個のチップに超過係数の個数が含まれる前記受信信号について、前記超過係数を前記
第2の系列長に乗算して得られる第2時点数、あるいは前記チップ時間の間隔を有するように選択された前記第2の系列長の個数の前記受信信号の各々と、前記受信信号の各々が属するチップの前記第2の系列長の中での位置に応じて決まる前記第2の拡散符号の各々とを乗算して得られる複素数である第2逆拡散後受信信号を計算する、
前記第2時点数
または前記第2の系列長である第2逆拡散個数の第2逆拡散後受信信号計算部と、
前記第2逆拡散個数の前記
第2逆拡散後受信信号の
和である第2相関値を計算する第2相関値積算部と、
前記第2相関値と、前記第2相関値を計算する際に使用された前記受信信号よりも前記第1のチップ時間に1以上の整数である遅延チップ数を乗算した時間である第1遅延時間だけ前の時点の前記受信信号を使用して計算された前記第2相関値との間の位相差を有する複素数である第2差分位相値を計算する第2差分位相値計算部と、
前記第2差分位相値計算部を動作させるかどうかを制御する動作制御部と、
前記第1の系列長から1を減算して得られる整数である最小台数と前記第2時点数とを乗算した数以上の個数である保存数の、1時点ずつ前記受信信号をずらして計算された前記第2相関値または前記第2差分位相値の何れかである第2積算値を記憶する第2積算値記憶部と、
前記第1のチップ時間ごとの時点で計算された前記第1の系列長の個数の前記第2積算値の各々が入力され、前記第2差分位相値計算部が動作する場合は、前記第1の拡散符号から決まる前記第1の系列長を有する拡散符号であって、前記第1の拡散符号の各々が前記遅延チップ数だけ前の前記第1の拡散符号と同じ値であることを表す無変化値と、前記第1の拡散符号が前記遅延チップ数だけ前の前記第1の拡散符号と異なる値であることを表す有変化値の2値を取る拡散符号である第1の差分符号の各々が入力され、前記第2差分位相値計算部が動作しない場合は、前記第1の拡散符号の各々が入力され、前記第2積算値の各々と前記第1の差分符号あるいは前記第1の拡散符号の各々とを乗算して得られる複素数である逆拡散後第2積算値を計算する、前記第1の系列長の個数の逆拡散後第2積算値計算部と、
前記第1の系列長の個数の前記逆拡散後第2積算値の
和である第1合計値を計算する第1合計値計算部と、
前記第1合計値の電力を算出する電力算出部と、
1時点ずつ前記受信信号をずらして計算された前記第2時点数と前記第1の系列長の積である総時点数の個数の前記電力を記憶する電力記憶部と、
前記電力記憶部が記憶する前記電力の最大値を取る位置に基づき前記同期系列位置を求めるピーク検出判定部とを備えた同期捕捉回路。
【請求項28】
前記第2差分位相値計算部は、決められた振幅を有する前記第2差分位相値を計算する、
請求項26または請求項2
7に記載の同期捕捉回路。
【請求項29】
前記第2差分位相値計算部は、入力される2個の複素数の中で一方の複素数の複素共役と他方の複素数とを乗算して前記第2差分位相値を計算する、
請求項26または請求項2
7に記載の同期捕捉回路。
【請求項30】
前記動作制御部は、
周波数偏差が第1閾値以上である場合に、前記第2差分位相値計算部を動作させ、
前記周波数偏差が前記第1閾値よりも小さい場合に、前記第2差分位相値計算部を動作させない、請求項26から請求項29の何れか1項に記載の同期捕捉回路。
【請求項31】
前記遅延チップ数が2個以上の異なる値をとることができる、請求項26から請求項29の何れか1項に記載の同期捕捉回路。
【請求項32】
前記遅延チップ数が第1遅延チップ数と前記第1遅延チップ数よりも大きい第2遅延チップ数をとる、請求項31に記載の同期捕捉回路。
【請求項33】
前記動作制御部は、
周波数偏差が第4閾値以上である場合に、前記第1遅延チップ数で前記第2差分位相値計算部を動作させ、
前記周波数偏差が前記第4閾値よりも小さく決められた第1閾値よりも小さい場合に、前記第2差分位相値計算部を動作させず、
前記周波数偏差が第4閾値よりも小さくかつ前記第1閾値以上である場合に、前記第2遅延チップ数で前記第2差分位相値計算部を動作させる、請求項32に記載の同期捕捉回路。
【請求項34】
前記第2差分位相値計算部が動作する場合は、前記第1合計値の位相に基づき前記周波数偏差を計算し、
前記第2差分位相値計算部が動作しない場合は、決められた期間での前記第1合計値の位相の時間変化率に基づき前記周波数偏差を計算する周波数偏差計算部とを備えた請求項30または請求項33に記載の同期捕捉回路。
【請求項35】
1時点ずつ前記受信信号をずらして計算された前記第1合計値ごとに、決められた回数の前記第1合計値を累積加算する累積加算部をさらに備え、
前記動作制御部は、前記累積加算部を動作させるかどうかを制御し、
前記電力算出部は、前記累積加算部が動作する場合は前記累積加算部が出力する前記第1合計値の電力を算出し、前記累積加算部が動作しない場合は前記第1合計値の電力を算出する、請求項26から請求項34の何れか1項に記載の同期捕捉回路。
【請求項36】
前記第1の系列長が3以上の整数である第1分割数と2以上の整数である第1単位個数との積であり、
前記第1単位個数の連続する前記逆拡散後第2積算値の
和である単位第1相関値を計算する、計算に使用する前記逆拡散後第2積算値により順序付けられた前記第1分割数の個数の単位第1相関値計算部と、
前記単位第1相関値と1個前の前記単位第1相関値との間の位相差を有する複素数である第1差分位相値を計算する、前記第1分割数から1を減算して得られる整数である第1差分数の個数の第1差分位相値計算部と、
前記第1差分数の個数の前記第1差分位相値の和である第1差分相関値を計算する第1差分相関値計算部とを備え、
前記動作制御部は、前記第1差分位相値計算部を動作させるかどうかを制御し
、
前記電力算出部は、前記第1合計値または前記第1差分相関値
である第1積算値であって、前記第1差分位相値計算部が動作する場合は前記第1差分相関値であり、前記第1差分位相値計算部が動作しない場合は前記第1合計値である前記第1積算値の電力を算出する、請求項26から請求項29、請求項31から請求項32の何れか1項に記載の同期捕捉回路。
【請求項37】
3以上の整数である第1分割数と2以上の整数である第1単位個数との積である第1の系列長を有し第1のチップ時間で変化する2値を取る疑似乱数である第1の拡散符号と、第2の系列長を有し前記第1のチップ時間を前記第2の系列長で除算したチップ時間で変化する2値を取る疑似乱数である第2の拡散符号とを乗算して得られる、前記第1の系列長および前記第2の系列長の積である系列長を有し前記チップ時間で変化する2値を取る疑似乱数である縦列接続拡散符号で拡散された信号を受信するスペクトラム拡散受信機で前記チップ時間の間隔を有する離散的な時点での前記系列長の個数の受信信号と乗算する前記縦列接続拡散符号の前記系列長での位置である同期系列位置を求める同期捕捉回路であって、
同相成分および前記同相成分と90度の位相差を有する直交成分により複素数として表現され、1個のチップに超過係数の個数が含まれる前記受信信号について、前記超過係数を前記第2の系列長に乗算して得られる第2時点数、あるいは前記チップ時間の間隔を有するように選択された前記第2の系列長の個数の前記受信信号の各々と、前記受信信号の各々が属するチップの前記第2の系列長の中での位置に応じて決まる前記第2の拡散符号の各々とを乗算して得られる複素数である第2逆拡散後受信信号を計算する、前記第2時点数または前記第2の系列長である第2逆拡散個数の第2逆拡散後受信信号計算部と、
前記第2逆拡散個数の前記第2逆拡散後受信信号の和である第2相関値を計算する第2相関値積算部と、
前記第2相関値と、前記第2相関値を計算する際に使用された前記受信信号よりも前記第1のチップ時間に1以上の整数である遅延チップ数を乗算した時間である第1遅延時間だけ前の時点の前記受信信号を使用して計算された前記第2相関値との間の位相差を有する複素数である第2差分位相値を計算する第2差分位相値計算部と、
前記第1の系列長から1を減算して得られる整数である最小台数と前記第2時点数とを乗算した数以上の個数である保存数の、1時点ずつ前記受信信号をずらして計算された前記第2相関値または前記第2差分位相値の何れかである第2積算値を記憶する第2積算値記憶部と、
前記第1のチップ時間ごとの時点で計算された前記第1の系列長の個数の前記第2積算値の各々が入力され、前記第2差分位相値計算部が動作する場合は、前記第1の拡散符号から決まる前記第1の系列長を有する拡散符号であって、前記第1の拡散符号の各々が前記遅延チップ数だけ前の前記第1の拡散符号と同じ値であることを表す無変化値と、前記第1の拡散符号が前記遅延チップ数だけ前の前記第1の拡散符号と異なる値であることを表す有変化値の2値を取る拡散符号である第1の差分符号の各々が入力され、前記第2差分位相値計算部が動作しない場合は、前記第1の拡散符号の各々が入力され、前記第2積算値の各々と前記第1の差分符号あるいは前記第1の拡散符号の各々とを乗算して得られる複素数である逆拡散後第2積算値を計算する、前記第1の系列長の個数の逆拡散後第2積算値計算部と、
前記第1の系列長から前記第1単位個数を減算して得られる整数である第1差分個数以上かつ前記第1の系列長以下の個数の前記逆拡散後第2積算値の和である第1合計値を計算する第1合計値計算部と、
前記第1単位個数の連続する前記逆拡散後第2積算値の和である単位第1相関値を計算する、計算に使用する前記逆拡散後第2積算値により順序付けられた前記第1分割数の個数の単位第1相関値計算部と、
前記単位第1相関値と1個前の前記単位第1相関値との間の位相差を有する複素数である第1差分位相値を計算する、前記第1分割数から1を減算して得られる整数である第1差分数の個数の第1差分位相値計算部と、
前記第2差分位相値計算部および前記第1差分位相値計算部を動作させるかどうかを制御する動作制御部と、
前記第1差分数の個数の前記第1差分位相値の和である第1差分相関値を計算する第1差分相関値計算部と、
前記第1合計値または前記第1差分相関値である第1積算値であって、前記第1差分位相値計算部が動作する場合は前記第1差分相関値であり、前記第1差分位相値計算部が動作しない場合は前記第1合計値である前記第1積算値の電力を算出する電力算出部と、
1時点ずつ前記受信信号をずらして計算された前記第2時点数と前記第1の系列長の積である総時点数の個数の前記電力を記憶する電力記憶部と、
前記電力記憶部が記憶する前記電力の最大値を取る位置に基づき前記同期系列位置を求めるピーク検出判定部とを備えた同期捕捉回路。
【請求項38】
前記第2差分位相値計算部は、決められた振幅を有する前記第2差分位相値を計算する、請求項37に記載の同期捕捉回路。
【請求項39】
前記第2差分位相値計算部は、入力される2個の複素数の中で一方の複素数の複素共役と他方の複素数とを乗算して前記第2差分位相値を計算する、請求項37に記載の同期捕捉回路。
【請求項40】
前記遅延チップ数が2個以上の異なる値をとることができる、請求項37から請求項39の何れか1項に記載の同期捕捉回路。
【請求項41】
前記遅延チップ数が第1遅延チップ数と前記第1遅延チップ数よりも大きい第2遅延チップ数をとる、請求項40に記載の同期捕捉回路。
【請求項42】
前記第1差分位相値計算部ごとに設けられ、各前記第1差分位相値計算部に入力される2個の前記単位第1相関値の中の一律に決められた一方の前記単位第1相関値、または前記第1差分位相値の何れかを一律に切り替えて出力する、第1選択出力部と、
前記第1選択出力部の出力の和を計算する第1加算器とを備え、
各前記第1選択出力部が前記単位第1相関値を出力する場合の前記第1加算器は、前記第1合計値を計算する前記第1合計値計算部として動作し、
各前記第1選択出力部が前記第1差分位相値を出力する場合の前記第1加算器は、
前記第1差分相関値を計算する
前記第1差分相関値計算部として動作し、
前記動作制御部は、各前記第1選択出力部が前記単位第1相関値または前記第1差分位相値の何れを出力するかを一律に制御する、
請求項37から請求項41の何れか1項に記載の同期捕捉回路。
【請求項43】
最前または最新の前記単位第1相関値計算部の出力と前記第1加算器の間に設けられ、入力される複素数またはゼロを切り替えて出力する第1スイッチを備え、
前記第1選択出力部が前の方の前記単位第1相関値を出力する場合は、最新の前記単位第1相関値計算部の出力が前記第1スイッチに入力され、前記第1選択出力部が新しい方の前記単位第1相関値を出力する場合は、最前の前記単位第1相関値計算部の出力が前記第1スイッチに入力され
前記動作制御部は、
各前記第1選択出力部が前記単位第1相関値を出力する場合に、前記第1スイッチが入力される複素数を出力するように制御し、
各前記第1選択出力部が前記第1差分位相値を出力する場合に、前記第1スイッチがゼロを出力するように制御する、
請求項42に記載の同期捕捉回路。
【請求項44】
前記第1差分位相値計算部は、決められた振幅を有する前記第1差分位相値を計算する、
請求項37から
請求項43の何れか1項に記載の同期捕捉回路。
【請求項45】
前記第1差分位相値計算部は、入力される2個の複素数の中で一方の複素数の複素共役と他方の複素数とを乗算して前記第1差分位相値を計算する、
請求項37から
請求項43の何れか1項に記載の同期捕捉回路。
【請求項46】
前記動作制御部は、
周波数偏差が第1閾値以上である場合に、前記第2差分位相値計算部を動作させ、
前記周波数偏差が前記第1閾値よりも小さく決められた第2閾値よりも小さい場合に、前記第1差分位相値計算部および前記第2差分位相値計算部を動作させず、
前記周波数偏差が前記第1閾値よりも小さくかつ前記第2閾値以上である場合に、前記第1差分位相値計算部を動作させる、
請求項37から
請求項45の何れか1項に記載の同期捕捉回路。
【請求項47】
前記第2差分位相値計算部が動作する場合は、前記第1合計値の位相に基づき前記周波数偏差を計算し、
前記第1差分位相値計算部が動作する場合は、前記第1差分相関値の位相に基づき前記周波数偏差を計算し、
前記第2差分位相値計算部および前記第1差分位相値計算部が動作しない場合は、決められた期間での前記第1合計値の位相の時間変化率に基づき前記周波数偏差を計算する周波数偏差計算部とを備えた
請求項46に記載の同期捕捉回路。
【請求項48】
前記動作制御部は、
周波数偏差の時間変化である周波数変化率が変化率閾値以上である場合に、前記第2差分位相値計算部および前記第1差分位相値計算部を動作させ、
前記周波数変化率が前記変化率閾値よりも小さく、かつ前記周波数偏差が第1閾値以上である場合に、前記第2差分位相値計算部を動作させ、
前記周波数変化率が前記変化率閾値よりも小さく、かつ前記周波数偏差が前記第1閾値よりも小さく決められた第2閾値よりも小さい場合に、前記第1差分位相値計算部および前記第2差分位相値計算部を動作させず、
前記周波数変化率が前記変化率閾値よりも小さく、かつ前記周波数偏差が前記第1閾値よりも小さくかつ前記第2閾値以上である場合に、前記第1差分位相値計算部を動作させる、
請求項37から
請求項45の何れか1項に記載の同期捕捉回路。
【請求項49】
前記第2差分位相値計算部および前記第1差分位相値計算部が動作する場合は、前記第1差分相関値の位相に基づき前記周波数変化率を計算し、前記第1差分相関値の位相を積分した値に基づき前記周波数偏差を計算し、
前記第2差分位相値計算部が動作せず、かつ前記第1差分位相値計算部が動作する場合は、前記第1差分相関値の位相に基づき前記周波数偏差を計算し、前記第1差分相関値の位相の時間変化に基づき前記周波数変化率を計算し、
前記第1差分位相値計算部が動作せず、かつ前記第2差分位相値計算部が動作する場合は、前記第1合計値の位相に基づき前記周波数偏差を計算し、前記第1合計値の位相の時間変化に基づき前記周波数変化率を計算し、
前記第1差分
位相値計算部および前記第2差分位相値計算部が動作しない場合は、決められた期間での前記第1合計値の位相の時間変化を時間の2次関数で近似し、2次の係数に基づき前記周波数変化率を計算し、前記期間と前記周波数変化率に基づき前記周波数偏差を計算する周波数偏差計算部とを備えた
請求項48に記載の同期捕捉回路。
【請求項50】
前記第1分割数よりも小さい正の整数である2段第1分割数で前記第1の系列長を除算して得られる整数である2段第1単位個数の連続する前記逆拡散後第2積算値の
和である2段単位第1相関値を計算する、計算に使用する前記逆拡散後第2積算値により順序付けられた前記2段第1分割数の個数の2段単位第1相関値計算部と、
前記2段単位第1相関値と1個前の前記2段単位第1相関値との間の位相差を有する複素数である2段第1差分位相値を計算する、前記2段第1分割数から1を減算して得られる整数である2段第1差分数の個数の2段第1差分位相値計算部と、
前記2段第1差分数の個数の前記2段第1差分位相値の和である2段第1差分相関値を計算する2段第1差分相関値計算部とを備え、
前記動作制御部は、前記第1差分
位相値計算部および前記2段第1差分
位相値計算部のどちらか1つを動作させるか、どちらも動作させないかを制御し、
前記2段第1差分位相値計算部が動作する場合の前記第1積算値は前記2段第1差分相関値であり、
前記電力算出部は、前記第1合計値、前記第1差分相関値およ
び前記2段第1差分相関値の何れかである前記第1積算値の電力を算出する、
請求項37から
請求項45の何れか1項に記載の同期捕捉回路。
【請求項51】
前記2段第1差分位相値計算部は、決められた振幅を有する前記2段第1差分位相値を計算する、
請求項50に記載の同期捕捉回路。
【請求項52】
前記2段第1差分位相値計算部は、入力される2個の複素数の中で一方の複素数の複素共役と他方の複素数とを乗算して前記2段第1差分位相値を計算する、
請求項50に記載の同期捕捉回路。
【請求項53】
前記動作制御部は、
周波数偏差が第1閾値以上である場合に、前記第2差分位相値計算部を動作させ、
前記周波数偏差が前記第1閾値よりも小さく決められた第2閾値よりも小さい場合に、前記第2差分位相値計算部、前記第1差分位相値計算部および前記2段第1差分位相値計算部を動作させず、
前記周波数偏差が、前記第1閾値よりも小さくかつ前記第2閾値よりも大きく決められた第5閾値以上であり、かつ前記第1閾値よりも小さい場合に、前記第1差分位相値計算部を動作させ、
前記周波数偏差が前記第5閾値よりも小さくかつ前記第2閾値よりも大きい場合に、前記2段第1差分位相値計算部を動作させる、
請求項50から
請求項52の何れか1項に記載の同期捕捉回路。
【請求項54】
前記動作制御部は、
周波数偏差が第4閾値以上である場合に、前記第1遅延チップ数で前記第2差分位相値計算部を動作させ、
周波数偏差が前記第4閾値よりも小さく決められた第1閾値以上である場合に、前記第2遅延チップ数で前記第2差分位相値計算部を動作させ、
前記周波数偏差が前記第1閾値よりも小さく決められた第2閾値よりも小さい場合に、前記第2差分位相値計算部、前記第1差分位相値計算部および前記2段第1差分位相値計算部を動作させず、
前記周波数偏差が、前記第1閾値よりも小さくかつ前記第2閾値よりも大きく決められた第5閾値以上であり、かつ前記第1閾値よりも小さい場合に、前記第1差分位相値計算部を動作させ、
前記周波数偏差が前記第5閾値よりも小さくかつ前記第2閾値よりも大きい場合に、前記2段第1差分位相値計算部を動作させる、
請求項41に従属する場合の
請求項50から
請求項52の何れか1項に記載の同期捕捉回路。
【請求項55】
前記第2差分位相値計算部が動作する場合は、前記第1合計値の位相に基づき前記周波数偏差を計算し、
前記第1差分位相値計算部が動作する場合は、前記第1差分相関値の位相に基づき前記周波数偏差を計算し、
前記2段第1差分位相値計算部が動作する場合は、前記2段第1差分相関値の位相に基づき前記周波数偏差を計算し、
前記第2差分位相値計算部、前記第1差分位相値計算部および前記2段第1差分位相値計算部が動作しない場合は、決められた期間での前記第1合計値の位相の時間変化率に基づき前記周波数偏差を計算する周波数偏差計算部とを備えた
請求項53または
請求項54に記載の同期捕捉回路。
【請求項56】
前記動作制御部は、
周波数偏差の時間変化である周波数変化率が変化率閾値以上である場合に、前記第2差分位相値計算部および前記第1差分位相値計算部を動作させ、
前記周波数変化率が前記変化率閾値よりも小さく、かつ前記周波数偏差が第1閾値以上である場合に、前記第2差分位相値計算部を動作させ、
前記周波数変化率が前記変化率閾値よりも小さく、かつ前記周波数偏差が前記第1閾値よりも小さく決められた第2閾値よりも小さい場合に、前記第1差分位相値計算部、前記2段第1差分位相値計算部および前記第2差分位相値計算部を動作させず、
前記周波数変化率が前記変化率閾値よりも小さく、かつ、前記周波数偏差が、前記第1閾値よりも小さくかつ前記第2閾値よりも大きく決められた第5閾値以上であり、かつ前記第1閾値よりも小さい場合に、前記第1差分位相値計算部を動作させ、
前記周波数変化率が前記変化率閾値よりも小さく、かつ前記周波数偏差が前記第5閾値よりも小さくかつ前記第2閾値よりも大きい場合に、前記2段第1差分位相値計算部を動作させる、
請求項50から
請求項52の何れか1項に記載の同期捕捉回路。
【請求項57】
前記動作制御部は、
周波数偏差の時間変化である周波数変化率が変化率閾値以上である場合に、前記第2差分位相値計算部および前記第1差分位相値計算部を動作させ、
前記周波数変化率が前記変化率閾値よりも小さく、かつ周波数偏差が第4閾値以上である場合に、前記第1遅延チップ数で前記第2差分位相値計算部を動作させ、
前記周波数変化率が前記変化率閾値よりも小さく、かつ周波数偏差が前記第4閾値よりも小さく決められた第1閾値以上である場合に、前記第2遅延チップ数で前記第2差分位相値計算部を動作させ、
前記周波数変化率が前記変化率閾値よりも小さく、かつ前記周波数偏差が前記第1閾値よりも小さく決められた第2閾値よりも小さい場合に、前記第1差分位相値計算部、前記2段第1差分位相値計算部および前記第2差分位相値計算部を動作させず、
前記周波数変化率が前記変化率閾値よりも小さく、かつ、前記周波数偏差が、前記第1閾値よりも小さくかつ前記第2閾値よりも大きく決められた第5閾値以上であり、かつ前記第1閾値よりも小さい場合に、前記第1差分位相値計算部を動作させ、
前記周波数変化率が前記変化率閾値よりも小さく、かつ前記周波数偏差が前記第5閾値よりも小さくかつ前記第2閾値よりも大きい場合に、前記2段第1差分位相値計算部を動作させる、
請求項41に従属する場合の
請求項50から
請求項52の何れか1項に記載の同期捕捉回路。
【請求項58】
前記第2差分位相値計算部および前記第1差分位相値計算部が動作する場合は、前記第1差分相関値の位相に基づき前記周波数変化率を計算し、前記第1差分相関値の位相を積分した値に基づき前記周波数偏差を計算し、
前記第2差分位相値計算部および前記2段第1差分位相値計算部が動作せず、かつ前記第1差分位相値計算部が動作する場合は、前記第1差分相関値の位相に基づき前記周波数偏差を計算し、前記第1差分相関値の位相の時間変化に基づき前記周波数変化率を計算し、
前記第2差分位相値計算部および前記第1差分位相値計算部が動作せず、かつ前記2段第1差分位相値計算部が動作する場合は、前記2段第1差分相関値の位相に基づき前記周波数偏差を計算し、前記2段第1差分相関値の位相の時間変化に基づき前記周波数変化率を計算し、
前記第1差分位相値計算部および前記2段第1差分位相値計算部が動作せず、かつ前記第2差分位相値計算部が動作する場合は、前記第1合計値の位相に基づき前記周波数偏差を計算し、前記第1合計値の位相の時間変化に基づき前記周波数変化率を計算し、
前記第1差分
位相値計算部、前記第2差分位相値計算部および前記2段第1差分位相値計算部が動作しない場合は、決められた期間での前記第1合計値の位相の時間変化を時間の2次関数で近似し、2次の係数に基づき前記周波数変化率を計算し、前記期間と前記周波数変化率に基づき前記周波数偏差を計算する周波数偏差計算部とを備えた
請求項56または
請求項57に記載の同期捕捉回路。
【請求項59】
前記第2の系列長が3以上の整数である第2分割数と2以上の整数である第2単位個数との積であり、
前記第2単位個数の連続する前記第2の拡散符号を使用して計算された前記第2単位個数の前記逆拡散後受信信号の
和である単位第2相関値を計算する、計算に使用する前記第2の拡散符号により順序付けられた前記第2分割数の個数の単位第2相関値積算部と、
前記単位第2相関値と1個前の前記単位第2相関値との間の位相差を有する複素数である単位第2差分位相値を計算する、前記第2分割数から1を減算した個数の単位第2差分位相値計算部と、
前記単位第2差分位相値の
和である単位第2差分相関値を計算する単位第2差分相関値計算部とを備え、
前記動作制御部は、前記単位第2差分位相値計算部および前記第2差分位相値計算部のどちらか1つを動作させるか、どちらも動作させないかを制御し、
前記単位第2差分位相値計算部が動作する場合は、前記単位第2差分相関値が前記第2積算値記憶部に記憶され、
前記単位第2差分位相値計算部が動作しない場合は、前記第2積算値が前記第2積算値記憶部に記憶され
る、請求項26から
請求項49の何れか1項に記載の同期捕捉回路。
【請求項60】
前記第2の系列長が3以上の整数である第2分割数と2以上の整数である第2単位個数との積であり、
前記第2単位個数の連続する前記第2の拡散符号を使用して計算された前記第2単位個数の前記逆拡散後受信信号の
和である単位第2相関値を計算する、計算に使用する前記第2の拡散符号により順序付けられた前記第2分割数の個数の単位第2相関値積算部と、
前記単位第2相関値と1個前の前記単位第2相関値との間の位相差を有する複素数である単位第2差分位相値を計算する、前記第2分割数から1を減算して得られる整数である第2差分数の個数の単位第2差分位相値計算部と、
前記単位第2差分位相値計算部ごとに設けられ、各前記単位第2差分位相値計算部に入力される2個の前記単位第2相関値の中の一律に決められた一方の前記単位第2相関値、または前記単位第2差分位相値の何れかを一律に切り替えて出力する、第2選択出力部と、
前記第2選択出力部の出力の和を出力する第2加算器とを備え、
前記動作制御部は、各前記第2選択出力部が前記単位第2相関値または前記第2差分位相値の何れを出力するかを一律に制御し、
各前記第2選択出力部が前記単位第2相関値を出力する場合の前記第2加算器は、前記第2相関値を計算する前記第2相関値積算部として動作し、
各前記第2選択出力部が前記単位第2差分位相値を出力する場合の前記第2加算器は
、前記単位第2差分相関値を計算する前記単位第2差分相関値計算部として動作し、
前記単位第2差分位相値計算部が動作する場合は、前記単位第2差分相関値が前記第2積算値記憶部に記憶され、
前記単位第2差分位相値計算部が動作しない場合は、前記第2積算値が前記第2積算値記憶部に記憶される、請求項26から請求項29、
請求項37から
請求項45の何れか1項に記載の同期捕捉回路。
【請求項61】
最前または最新の前記単位第2相関値積算部の出力と前記第2加算器の間に設けられ、入力される複素数またはゼロを切り替えて出力する第2スイッチを備え、
前記第2選択出力部が前の方の前記単位第2相関値を出力する場合は、最新の前記単位第2相関値積算部の出力が前記第2スイッチに入力され、前記第2選択出力部が新しい方の前記単位第2相関値を出力する場合は、最前の前記単位第2相関値積算部の出力が前記第2スイッチに入力され
前記動作制御部は、
各前記第2選択出力部が前記単位第2相関値を出力するように制御する場合に、前記第2スイッチが入力される複素数を出力するように制御し、
各前記第2選択出力部が前記単位第2差分位相値を出力するように制御する場合に、前記第2スイッチがゼロを出力するように制御する、
請求項60に記載の同期捕捉回路。
【請求項62】
前記単位第2差分位相値計算部は、決められた振幅を有する前記単位第2差分位相値を計算する、
請求項59から
請求項61の何れか1項に記載の同期捕捉回路。
【請求項63】
前記単位第2差分位相値計算部は、入力される2個の複素数の中で一方の複素数の複素共役と他方の複素数とを乗算して前記単位第2差分位相値を計算する、
請求項59から
請求項61の何れか1項に記載の同期捕捉回路。
【請求項64】
前記動作制御部は、
周波数偏差が第1閾値よりも大きく決められた第3閾値以上である場合に、前記単位第2差分位相値計算部を動作させ、
前記周波数偏差が、前記第3閾値よりも小さくかつ前記第1閾値以上である場合に、前記
第2差分位相値計算部を動作させ、
前記周波数偏差が前記第1閾値よりも小さい場合に、前記単位第2差分位相値計算部および前記第2差分位相値計算部を動作させない、請求項26から請求項29の何れか1項に従属する場合の
請求項59から
請求項63の何れか1項に記載の同期捕捉回路。
【請求項65】
前記第2差分位相値計算部または前記単位第2差分位相値計算部が動作する場合は、前記第1合計値の位相に基づき前記周波数偏差を計算し、
前記第2差分位相値計算部および前記単位第2差分位相値計算部が動作しない場合は、決められた期間での前記第1合計値の位相の時間変化率に基づき前記周波数偏差を計算する周波数偏差計算部とを備えた
請求項64に記載の同期捕捉回路。
【請求項66】
前記動作制御部は、
周波数偏差が第1閾値よりも大きく決められた第3閾値以上である場合に、前記単位第2差分位相値計算部を動作させ、
前記周波数偏差が、前記第3閾値よりも小さくかつ前記第1閾値以上である場合に、前記第2差分位相値計算部を動作させ、
前記周波数偏差が前記第1閾値よりも小さく決められた第2閾値よりも小さい場合に、前記単位第2差分位相値計算部、前記第2差分位相値計算部および前記第1差分位相値計算部を動作させず、
前記周波数偏差が前記第1閾値よりも小さくかつ前記第2閾値以上である場合に、前記第1差分位相値計算部を動作させる、
請求項37から
請求項45の何れか1項に従属する場合の
請求項59から
請求項63の何れか1項に記載の同期捕捉回路。
【請求項67】
前記第1差分位相値計算部が動作する場合は、前記第1差分相関値の位相に基づき前記周波数偏差を計算し、
前記第2差分位相値計算部または前記単位第2差分位相値計算部が動作する場合は、前記第1合計値の位相に基づき前記周波数偏差を計算し、
前記第2差分位相値計算部、前記第1差分位相値計算部および前記単位第2差分位相値計算部が動作しない場合は、決められた期間での前記第1合計値の位相の時間変化率に基づき前記周波数偏差を計算する周波数偏差計算部とを備えた
請求項66に記載の同期捕捉回路。
【請求項68】
前記動作制御部は、
前記周波数偏差が第1閾値よりも大きく決められた第3閾値以上である場合に、前記単位第2差分位相値計算部を動作させ、
周波数偏差の時間変化である周波数変化率が変化率閾値以上であり、かつ前記周波数偏差が前記第3閾値よりも小さい場合に、前記第2差分位相値計算部および前記第1差分位相値計算部を動作させ、
前記周波数変化率が前記変化率閾値よりも小さく、かつ、前記周波数偏差が、前記第3閾値よりも小さく、かつ前記第1閾値以上である場合に、前記
第2差分位相値計算部を動作させ、
前記周波数変化率が前記変化率閾値よりも小さく、かつ前記周波数偏差が前記第1閾値よりも小さく決められた第2閾値よりも小さい場合に、前記単位第2差分位相値計算部、前記第2差分位相値計算部および前記第1差分位相値計算部を動作させず、
前記周波数変化率が前記変化率閾値よりも小さく、かつ前記周波数偏差が前記第1閾値よりも小さくかつ前記第2閾値以上である場合に、前記第1差分位相値計算部を動作させる、
請求項37から
請求項45の何れか1項に従属する場合の
請求項59から
請求項63の何れか1項に記載の同期捕捉回路。
【請求項69】
前記第2差分位相値計算部と前記第1差分位相値計算部とが動作する場合は、前記第1差分相関値の位相に基づき前記周波数変化率を計算し、前記第1差分相関値の位相を積分した値に基づき前記周波数偏差を計算し、
前記単位第2差分位相値計算部および前記第2差分位相値計算部が動作せず、かつ前記第1差分位相値計算部が動作する場合は、前記第1差分相関値の位相に基づき前記周波数偏差を計算し、前記第1差分相関値の位相の時間変化に基づき前記周波数変化率を計算し、
前記第1差分位相値計算部が動作せず、かつ前記単位第2差分位相値計算部または前記第2差分位相値計算部が動作する場合は、前記第1合計値の位相に基づき前記周波数偏差を計算し、前記第1合計値の位相の時間変化に基づき前記周波数変化率を計算し、
前記単位第2差分位相値計算部、前記第2差分位相値計算部および前記第1差分
位相値計算部が動作しない場合は、決められた期間での前記第1合計値の位相の時間変化を時間の2次関数で近似し、2次の係数に基づき前記周波数変化率を計算し、前記期間と前記周波数変化率に基づき前記周波数偏差を計算する周波数偏差計算部とを備えた
請求項68に記載の同期捕捉回路。
【請求項70】
前記動作制御部は、
周波数偏差の時間変化である周波数変化率が変化率閾値以上であり、かつ前記周波数偏差が第1閾値よりも大きく決められた第3閾値以上である場合に、前記単位第2差分位相値計算部および前記第1差分位相値計算部を動作させ、
前記周波数変化率が前記変化率閾値以上であり、かつ前記周波数偏差が前記第3閾値よりも小さい場合に、前記第2差分位相値計算部および前記第1差分位相値計算部を動作させ、
前記周波数変化率が前記変化率閾値よりも小さく、かつ前記周波数偏差が前記第3閾値以上である場合に、前記単位第2差分位相値計算部を動作させ、
前記周波数変化率が前記変化率閾値よりも小さく、かつ、前記周波数偏差が、前記第3閾値よりも小さく、かつ前記第1閾値以上である場合に、前記第2差分位相値計算部を動作させ、
前記周波数変化率が前記変化率閾値よりも小さく、かつ前記周波数偏差が前記第1閾値よりも小さく決められた第2閾値よりも小さい場合に、前記単位第2差分位相値計算部、前記第2差分位相値計算部および前記第1差分位相値計算部を動作させず、
前記周波数変化率が前記変化率閾値よりも小さく、かつ前記周波数偏差が前記第1閾値よりも小さくかつ前記第2閾値以上である場合に、前記第1差分位相値計算部を動作させる、
請求項37から
請求項45の何れか1項に従属する場合の
請求項59から
請求項63の何れか1項に記載の同期捕捉回路。
【請求項71】
前記単位第2差分位相値計算部または前記第2差分位相値計算部と前記第1差分位相値計算部とが動作する場合は、前記第1差分相関値の位相に基づき前記周波数変化率を計算し、前記第1差分相関値の位相を積分した値に基づき前記周波数偏差を計算し、
前記単位第2差分位相値計算部および前記第2差分位相値計算部が動作せず、かつ前記第1差分位相値計算部が動作する場合は、前記第1差分相関値の位相に基づき前記周波数偏差を計算し、前記第1差分相関値の位相の時間変化に基づき前記周波数変化率を計算し、
前記第1差分位相値計算部が動作せず、かつ前記単位第2差分位相値計算部または前記第2差分位相値計算部が動作する場合は、前記第1合計値の位相に基づき前記周波数偏差を計算し、前記第1合計値の位相の時間変化に基づき前記周波数変化率を計算し、
前記単位第2差分位相値計算部、前記第2差分位相値計算部および前記第1差分
位相値計算部が動作しない場合は、決められた期間での前記第1合計値の位相の時間変化を時間の2次関数で近似し、2次の係数に基づき前記周波数変化率を計算し、前記期間と前記周波数変化率に基づき前記周波数偏差を計算する周波数偏差計算部とを備えた
請求項70に記載の同期捕捉回路。
【請求項72】
1時点ずつ前記受信信号をずらして計算された前記第1積算値ごとに、決められた回数の前記第1積算値を累積加算する累積加算部をさらに備え、
前記動作制御部は、前記累積加算部を動作させるかどうかを制御し、
前記電力算出部は、前記累積加算部が動作する場合は前記累積加算部が出力する前記第1積算値の電力を算出し、前記累積加算部が動作しない場合は前記第1積算値の電力を算出する、請求項36から
請求項71の何れか1項に記載の同期捕捉回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、縦列接続系列の拡散符号で拡散されたスペクトラム拡散信号を伝送する電波を受信するスペクトラム拡散受信機で拡散符号が同期する位置を検出する同期捕捉回路に関する
【背景技術】
【0002】
縦列接続系列(CAT系列)の拡散符号で拡散されたスペクトラム拡散信号を伝送する電波を、従来方式のスペクトラム拡散受信機で捕捉する際には、周波数偏差がある場合には、相関特性が劣化する。周波数偏差が無くかつ拡散符号の同期が取れている場合は、相関処理による逆拡散後の受信信号は、シンボルごとに一定値を取るような信号になる。周波数偏差ΔFがある場合は、周波数偏差が無い場合に一定値となる期間(1シンボルの時間)での逆拡散後の受信信号のベクトルは、exp(j2π・ΔF・t)で複素平面において単位円上を回転していく波形になる。周波数偏差が存在する状態で相関を取ると、1シンボルの期間に受信信号のベクトルが360度の回転をする場合には、1シンボルの期間で受信信号の和である複素相関値は、振幅がほぼゼロになる。1シンボルでの回転角度が360度でなくても、大きい角度で回転する場合は、複素相関値の振幅は単位量よりも小さくなる。つまり、周波数偏差がある場合に、従来方式のスペクトラム拡散受信機では、相関特性が劣化する。
【0003】
周波数偏差を検出する方式として、以下の方式がある。拡散符号の1周期の受信ベースバンド信号を前の部分と後ろの部分に2分割して、前の部分の受信信号と拡散符号の前半部分とを相関演算して第1の相関演算信号を計算し、後ろの部分の受信信号と拡散符号の後半部分とで相関演算して第2の相関演算信号を計算する。第1の相関演算信号の複素共役と第2の相関演算信号を乗算することで、位相誤差ベクトルを計算する。位相誤差ベクトルを巡回積分することで、周波数偏差補正用の誤差信号を計算する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の方法では、周波数偏差が大きい場合に、第1の相関演算結果および第2の相関演算結果の位相差が360度を超える場合があり、位相誤差を正確に把握できない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この開示に係る同期捕捉回路は、3以上の整数であるユニット数と2以上の整数の積である系列長を有しチップ時間で変化する2値を取る疑似乱数である拡散符号で拡散された信号を受信するスペクトラム拡散受信機でチップ時間の間隔を有する離散的な時点での系列長の個数の受信信号と乗算する拡散符号の系列長での位置である同期系列位置を求めるものである。
同期捕捉回路は、同相成分および同相成分と90度の位相差を有する直交成分により複素数として表現され、1個のチップに超過係数の個数が含まれる受信信号について、系列長の個数の連続するチップに含まれる、超過係数を系列長に乗算して得られる総時点数、あるいはチップ時間の間隔を有するように選択された系列長の個数の受信信号の各々と、受信信号の各々が属するチップの系列長の中での位置に応じて決まる拡散符号の各々とを乗算して得られる複素数である逆拡散後受信信号を、総時点数または系列長である逆拡散個数だけ計算する、逆拡散後受信信号計算部と、逆拡散個数をユニット数で除算して得られるユニット個数の連続する逆拡散後受信信号の和であるユニット相関値を計算する、計算に使用する逆拡散後受信信号により順序付けられたユニット数の個数のユニット相関値計算部と、逆拡散個数からユニット個数を減算して得られる差分個数以上かつ逆拡散個数以下の個数の逆拡散後受信信号の和である相関値を計算する相関値積算部と、ユニット相関値と1個前のユニット相関値との間の位相差を有する複素数である差分位相値を計算する差分位相値計算部と、差分位相値計算部を動作させるかどうかを制御する動作制御部と、差分位相値の和である差分相関値を計算する差分相関値計算部と、差分位相値計算部が動作する場合は差分相関値の電力を算出し、差分位相値計算部が動作しない場合は相関値の電力を算出する電力算出部と、1時点ずつ受信信号をずらして計算された総時点数の個数の電力を記憶する電力記憶部と、電力記憶部が記憶する電力の最大値を取る位置に基づき同期系列位置を求めるピーク検出判定部とを備えたものである。
【0007】
また、3以上の整数である第1分割数と2以上の整数である第1単位個数との積である第1の系列長を有し第1のチップ時間で変化する2値を取る疑似乱数である第1の拡散符号と、第2の系列長を有し第1のチップ時間を第2の系列長で除算したチップ時間で変化する2値を取る疑似乱数である第2の拡散符号とを乗算して得られる、第1の系列長および第2の系列長の積である系列長を有しチップ時間で変化する2値を取る疑似乱数である縦列接続拡散符号で拡散された信号を受信するスペクトラム拡散受信機でチップ時間の間隔を有する離散的な時点での系列長の個数の受信信号と乗算する縦列接続拡散符号の系列長での位置である同期系列位置を求める同期捕捉回路である。
同期捕捉回路は、同相成分および同相成分と90度の位相差を有する直交成分により複素数として表現され、1個のチップに超過係数の個数が含まれる受信信号について、超過係数を第2の系列長に乗算して得られる第2時点数、あるいはチップ時間の間隔を有するように選択された第2の系列長の個数の受信信号の各々と、受信信号の各々が属するチップの第2の系列長の中での位置に応じて決まる第2の拡散符号の各々とを乗算して得られる複素数である第2逆拡散後受信信号を計算する、第2時点数または第2の系列長である第2逆拡散個数の第2逆拡散後受信信号計算部と、第2逆拡散個数の第2逆拡散後受信信号の和である第2相関値を計算する第2相関値積算部と、第1の系列長から1を減算して得られる整数である最小台数と第2時点数とを乗算した数以上の個数である保存数の、1時点ずつ受信信号をずらして計算された第2相関値である第2積算値を記憶する第2積算値記憶部と、第1のチップ時間ごとの時点で計算された第1の系列長の個数の第2積算値の各々と第1の拡散符号の各々とが入力され、第2積算値の各々と第1の拡散符号の各々とを乗算して得られる複素数である逆拡散後第2積算値を計算する、第1の系列長の個数の逆拡散後第2積算値計算部と、第1の系列長から第1単位個数を減算して得られる整数である第1差分個数以上かつ第1の系列長以下の個数の逆拡散後第2積算値の和である第1相関値を計算する第1相関値積算部と、第1単位個数の連続する逆拡散後第2積算値の和である単位第1相関値を計算する、計算に使用する逆拡散後第2積算値により順序付けられた第1分割数の個数の単位第1相関値計算部と、単位第1相関値と1個前の単位第1相関値との間の位相差を有する複素数である第1差分位相値を計算する、第1分割数から1を減算して得られる整数である第1差分数の個数の第1差分位相値計算部と、第1差分数の個数の第1差分位相値の和である第1差分相関値を計算する第1差分相関値計算部と、第1差分位相値計算部を動作させるかどうかを制御する動作制御部と、第1差分位相値計算部が動作する場合は第1差分相関値の電力を算出し、差分位相値計算部が動作しない場合は第1相関値の電力を算出する電力算出部と、1時点ずつ受信信号をずらして計算された第2時点数と第1の系列長の積である総時点数の個数の電力を記憶する電力記憶部と、電力記憶部が記憶する電力の最大値を取る位置に基づき同期系列位置を求めるピーク検出判定部とを備えたものである。
【0008】
また、第1の系列長を有し第1のチップ時間で変化する2値を取る疑似乱数である第1の拡散符号と、第2の系列長を有し第1のチップ時間を第2の系列長で除算したチップ時間で変化する2値を取る疑似乱数である第2の拡散符号とを乗算して得られる、第1の系列長および第2の系列長の積である系列長を有しチップ時間で変化する2値を取る疑似乱数である縦列接続拡散符号で拡散された信号を受信するスペクトラム拡散受信機でチップ時間の間隔を有する離散的な時点での系列長の個数の受信信号と乗算する縦列接続拡散符号の系列長での位置である同期系列位置を求める同期捕捉回路である。
同期捕捉回路は、同相成分および同相成分と90度の位相差を有する直交成分により複素数として表現され、1個のチップに超過係数の個数が含まれる受信信号について、超過係数を第2の系列長に乗算して得られる第2時点数、あるいはチップ時間の間隔を有するように選択された第2の系列長の個数の受信信号の各々と、受信信号の各々が属するチップの第2の系列長の中での位置に応じて決まる第2の拡散符号の各々とを乗算して得られる複素数である第2逆拡散後受信信号を計算する、第2時点数または第2の系列長である第2逆拡散個数の第2逆拡散後受信信号計算部と、第2逆拡散個数の第2逆拡散後受信信号の和である第2相関値を計算する第2相関値積算部と、第2相関値と、第2相関値を計算する際に使用された受信信号よりも第1のチップ時間に1以上の整数である遅延チップ数を乗算した時間である第1遅延時間だけ前の時点の受信信号を使用して計算された第2相関値との間の位相差を有する複素数である第2差分位相値を計算する第2差分位相値計算部と、第2差分位相値計算部を動作させるかどうかを制御する動作制御部と、第1の系列長から1を減算して得られる整数である最小台数と第2時点数とを乗算した数以上の個数である保存数の、1時点ずつ受信信号をずらして計算された第2相関値または第2差分位相値の何れかである第2積算値を記憶する第2積算値記憶部と、第1のチップ時間ごとの時点で計算された第1の系列長の個数の第2積算値の各々が入力され、第2差分位相値計算部が動作する場合は、第1の拡散符号から決まる第1の系列長を有する拡散符号であって、第1の拡散符号の各々が遅延チップ数だけ前の第1の拡散符号と同じ値であることを表す無変化値と、第1の拡散符号が遅延チップ数だけ前の第1の拡散符号と異なる値であることを表す有変化値の2値を取る拡散符号である第1の差分符号の各々が入力され、第2差分位相値計算部が動作しない場合は、第1の拡散符号の各々が入力され、第2積算値の各々と第1の差分符号あるいは第1の拡散符号の各々とを乗算して得られる複素数である逆拡散後第2積算値を計算する、第1の系列長の個数の逆拡散後第2積算値計算部と、第1の系列長の個数の逆拡散後第2積算値の和である第1合計値を計算する第1合計値計算部と、第1合計値の電力を算出する電力算出部と、1時点ずつ受信信号をずらして計算された第2時点数と第1の系列長の積である総時点数の個数の電力を記憶する電力記憶部と、電力記憶部が記憶する電力の最大値を取る位置に基づき同期系列位置を求めるピーク検出判定部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
この開示に係る同期捕捉回路によれば、周波数偏差が大きい場合でも、従来よりも高精度で拡散符号の同期系列位置を求められる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】スペクトラム拡散用送信機における縦列接続拡散符号PNを生成する拡散符号発生器の構成を示す図である。
【
図2】CA発生器が発生する第1の拡散符号CAの系列を示す図である。
【
図4】縦列接続拡散符号PNの系列を示す図である。
【
図5】スペクトラム拡散受信機の構成を示すブロック図である。
【
図6】スペクトラム拡散受信機が有するアナログ受信部の構成を示す図である。
【
図7】スペクトラム拡散受信機が有する直交検波器の構成を示す図である。
【
図8】スペクトラム拡散受信機が有するタイミング補正器の構成を示す図である。
【
図9】スペクトラム拡散受信機が有するAGCの構成を示す図である。
【
図10】スペクトラム拡散受信機が有する逆拡散器の構成を示す図である。
【
図11】スペクトラム拡散受信機が有する拡散符号発生器の構成を示す図である。
【
図12】スペクトラム拡散受信機が有する同期追従回路の構成を示す図である。
【
図13】同期追従回路において、タイミング誤差ΔTcと、電力差ΔR
2との関係を示す図である。
【
図14】縦列接続系列(CAT系列)のスペクトラム拡散受信機が有する実施の形態1に係る同期捕捉回路の構成を表す機能ブロック図である。
【
図15】実施の形態1に係る同期捕捉回路が有する第2差分位相値計算部の構成を示す図である。
【
図16】実施の形態1に係る同期捕捉回路が有する符号選択部の構成を示す図である。
【
図17】実施の形態1に係る同期捕捉回路が有する第1差分位相値計算部の構成を示す図である。
【
図18】実施の形態1に係る同期捕捉回路の第2差分位相値計算部が動作する動作状態を示す図である。
【
図19】実施の形態1に係る同期捕捉回路の粗検出時の第2差分位相値計算部が動作し、縦列接続拡散符号PNの同期がとれている場合の各部で計測される複素信号を示す図である。
【
図20】実施の形態1に係る同期捕捉回路の粗検出時の第2差分位相値計算部が動作し、第1の拡散符号CAの同期がとれており、第2相関値Bが小さい値をとる場合の各部で計測される複素信号を示す図である。
【
図21】実施の形態1に係る同期捕捉回路の粗検出時の第2差分位相値計算部が動作し、第1の拡散符号CAの同期がとれており、第2相関値Bがゼロに近い値をとる場合の各部で計測される複素信号を示す図である。
【
図22】実施の形態1に係る同期捕捉回路の粗検出時の符号位置による第2差分相関値WBおよび第1相関値Aの振幅の変化を示す図である。
【
図23】実施の形態1に係る同期捕捉回路の第2差分位相値計算部が動作しない動作状態を示す図である。
【
図24】実施の形態1に係る同期捕捉回路の粗検出時の第2差分位相値計算部が動作しない場合の各部で計測される複素信号を示す図である。
【
図25】実施の形態1に係る同期捕捉回路の第1差分位相値計算部が動作する動作状態を示す図である。
【
図26】実施の形態1に係る同期捕捉回路の粗検出時に第1差分位相値計算部が動作する場合の各部で計測される複素信号を示す図である。
【
図27】実施の形態1に係る同期捕捉回路の精検出時に第1差分位相値計算部が動作する場合の各部で計測される複素信号を示す図である。
【
図28】実施の形態1に係る同期捕捉回路の精検出時の符号位置による第1差分相関値WAおよび第1相関値Aの振幅の変化を示す図である。
【
図29】実施の形態1に係る同期捕捉回路の第1の変形例の構成を示す機能ブロック図である。
【
図30】実施の形態1に係る同期捕捉回路の第2の変形例の構成を示す機能ブロック図である。
【
図31】実施の形態1に係る同期捕捉回路の第2の変形例が使用されるスペクトラム拡散受信機の構成を示すブロック図である。
【
図32】実施の形態1に係る同期捕捉回路の第2の変形例が使用されるスペクトラム拡散受信機が有するタイミング補正器の構成を示すブロック図である。
【
図33】実施の形態1に係る同期捕捉回路の第2の変形例が使用されるスペクトラム拡散受信機が有する逆拡散器の構成を示すブロック図である。
【
図34】実施の形態1に係る同期捕捉回路の第3の変形例の構成を示す機能ブロック図である。
【
図35】実施の形態1に係る同期捕捉回路の第4の変形例の構成を示す機能ブロック図である。
【
図36】実施の形態1に係る同期捕捉回路の第5の変形例の構成を示す機能ブロック図である。
【
図37】実施の形態1に係る同期捕捉回路の第5の変形例が有する第2差分位相値計算部の構成を示す図である。
【
図38】実施の形態1に係る同期捕捉回路の第5の変形例が有する第1差分位相値計算部の構成を示す図である。
【
図39】実施の形態1に係る同期捕捉回路の第5の変形例の粗検出時の符号位置による第2差分相関値WBおよび第1相関値Aの振幅の変化を示す図である。
【
図40】実施の形態1に係る同期捕捉回路の第5の変形例の精検出時の符号位置による第1差分相関値WAおよび第1相関値Aの振幅の変化を示す図である。
【
図41】実施の形態1に係る同期捕捉回路の第6の変形例の構成を示す機能ブロック図である。
【
図42】実施の形態1に係る同期捕捉回路の第7の変形例の構成を示す機能ブロック図である。
【
図43】実施の形態1に係る同期捕捉回路の第8の変形例の構成を示す機能ブロック図である。
【
図44】実施の形態1に係る同期捕捉回路の第8の変形例が有する第1差分位相値計算部の構成を示す図である。
【
図45】実施の形態1に係る同期捕捉回路の第9の変形例の構成を示す機能ブロック図である。
【
図46】実施の形態1に係る同期捕捉回路の第9の変形例で第2差分位相値計算部および第1差分位相値計算部が動作する動作状態を示す図である。
【
図47】実施の形態1に係る同期捕捉回路の第9の変形例で粗検出時の第2差分位相値計算部および第1差分位相値計算部が動作し、縦列接続拡散符号PNの同期がとれている場合の各部で計測される複素信号を示す図である。
【
図48】実施の形態1に係る同期捕捉回路の第9の変形例で粗検出時の第2差分位相値計算部が動作し、第1差分位相値計算部が動作せず、縦列接続拡散符号PNの同期がとれている場合の各部で計測される複素信号を示す図である。
【
図49】実施の形態1に係る同期捕捉回路の第10の変形例の構成を示す機能ブロック図である。
【
図50】実施の形態2に係る同期捕捉回路の構成を示す機能ブロック図である。
【
図51】実施の形態2に係る同期捕捉回路を変形する第11の変形例の構成を示す機能ブロック図である。
【
図52】実施の形態2に係る同期捕捉回路を変形する第12の変形例の構成を示す機能ブロック図である。
【
図53】実施の形態3に係る同期捕捉回路の構成を示す機能ブロック図である。
【
図54】実施の形態3に係る同期捕捉回路が有する累積加算部の構成を示す図である。
【
図55】実施の形態4に係る同期捕捉回路の構成を示す機能ブロック図である。
【
図56】実施の形態4に係る同期捕捉回路が有する第2差分位相値計算部の構成を示す図である。
【
図57】実施の形態4に係る同期捕捉回路が有する符号選択部の構成を示す図である。
【
図58】実施の形態5に係る同期捕捉回路の構成を示す機能ブロック図である。
【
図59】実施の形態5に係る同期捕捉回路が有する第2差分位相値計算部の構成を示す図である。
【
図60】実施の形態5に係る同期捕捉回路が有する符号選択部の構成を示す図である。
【
図61】実施の形態6に係る同期捕捉回路の構成を示す機能ブロック図である。
【
図62】実施の形態6に係る同期捕捉回路が有する2段目の第1差分位相値計算部の構成を示す図である。
【
図63】実施の形態6に係る同期捕捉回路が有する第2差分位相値計算部が動作する動作状態を示す図である。
【
図64】実施の形態6に係る同期捕捉回路が有する1段目の第1差分位相値計算部が動作する動作状態を示す図である。
【
図65】実施の形態6に係る同期捕捉回路が有する2段目の第1差分位相値計算部が動作する動作状態を示す図である。
【
図66】実施の形態6に係る同期捕捉回路が有する2段目の第1差分位相値計算部が動作する場合の各部で計測される複素信号を示す図である。
【
図67】実施の形態7に係る同期捕捉回路の構成を示す機能ブロック図である。
【
図68】実施の形態8に係る同期捕捉回路の構成を示す機能ブロック図である。
【
図69】実施の形態9に係る同期捕捉回路の構成を示す機能ブロック図である。
【
図70】実施の形態10に係る同期捕捉回路の構成を示す機能ブロック図である。
【
図71】実施の形態10に係る同期捕捉回路が有する差分位相値計算部の構成を示す図である。
【
図72】実施の形態10に係る同期捕捉回路を変形する第13の変形例の構成を示す機能ブロック図である。
【
図73】実施の形態10に係る同期捕捉回路を変形する第13の変形例が有する差分位相値計算部の構成を示す図である。
【
図74】実施の形態10に係る同期捕捉回路を変形する第14の変形例の構成を示す機能ブロック図である。
【
図75】実施の形態11に係る同期捕捉回路の構成を示す機能ブロック図である。
【
図76】実施の形態6に係る同期捕捉回路が有する2段目の差分位相値計算部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
本開示に係る同期捕捉回路を有するスペクトラム拡散受信機は、図示しないスペクトラム拡散用送信機が送信するスペクトル拡散された送信信号を伝送する電波であるスペクトラム拡散波を受信する。同期捕捉回路は、スペクトル拡散された受信信号において拡散符号が同期する位置を検出する。スペクトラム拡散用送信機は、縦列接続拡散符号PNによって送信信号を拡散し、スペクトル拡散された送信信号を電波として送信する。
図1は、スペクトラム拡散用送信機が有する拡散符号発生器300の構成を示す図である。拡散符号発生器300は、縦列接続拡散符号PNを生成する。縦列接続拡散符号PNは、CAT系列の拡散符号とも呼ぶ。
【0012】
拡散符号発生器300は、CA発生器1001と、CB発生器1002と、乗算器1003とを備える。CA発生器1001は、2値を取る疑似乱数である第1の拡散符号CAを発生する。CB発生器1002は、2値を取る疑似乱数である第2の拡散符号CBを発生する。乗算器1003は、第1の拡散符号CAと第2の拡散符号CBとを乗算することによって、2値を取る疑似乱数である縦列接続拡散符号PNを発生する。
【0013】
図2は、CA発生器1001が発生する第1の拡散符号CAの系列を示す図である。第1の拡散符号CAは、値が「+1」または「-1」である疑似乱数である。第1の拡散符号CAの系列長は、第1の系列長(NAチップ)である。第1の拡散符号CAの1周期の時間は、TAである。第1の拡散符号CAは、第1のチップ時間SA(=TA/NA)が経過するごとに変化する。
【0014】
図3は、CB発生器1002が発生する第2の拡散符号CBの系列を示す図である。第2の拡散符号CBは、値が「+1」または「-1」である疑似乱数である。第2の拡散符号CBの系列長は、第2の系列長(NBチップ)である。第2の拡散符号CBの1周期の時間は、TBである。第2の拡散符号CBは、第2のチップ時間SB(=TB/NB)が経過するごとに変化する。ここで、TB=SA、SB=SA/NBである。すなわち、第2のチップ時間SBは、第1のチップ時間SAを第2の系列長NBで除算した値となる。NB>2のため、SA>SBである。第1の拡散符号CAの1チップの時間が、第2の拡散符号CBのNBチップの時間に対応する。
【0015】
図4は、拡散符号発生器300が発生する縦列接続拡散符号PNの系列を示す図である。縦列接続拡散符号PNは、値が「+1」または「-1」である疑似乱数である。縦列接続拡散符号PNの系列長は、第3の系列長(NCチップ)である。第3の系列長(NCチップ)は、第1の系列長(NAチップ)と第2の系列長(NBチップ)との積である縦列接続系列長である。つまり、NC=NA*NBである。縦列接続拡散符号PNの1周期の時間は、TP(=TA)である。縦列接続拡散符号PNは、第2のチップ時間SBが経過するごとに変化する。縦列接続拡散符号の系列は、CAT(Concatenated)系列とも呼ばれる。
【0016】
第2のチップ時間SBが、縦列接続拡散符号PNの2値が変化するチップ時間である。NAは、3以上の整数であるMAおよび2以上の整数であるDAの積で表される。MAを第1分割数と呼び、DAを第1単位個数と呼ぶ。MAをユニット数とも呼ぶ。
【0017】
図5は、スペクトラム拡散受信機1の構成を示すブロック図である。スペクトラム拡散受信機1は、アナログ受信部2と、ADC(Analog-to-Digital Converter)部3と、直交検波器4と、タイミング補正器5と、AGC(Auto Gain Control)部6と、逆拡散器7と、同期追従回路8と、同期捕捉回路9とを備える。アナログ受信部2、ADC部3、直交検波器4、タイミング補正器5、AGC部6、逆拡散器7および同期追従回路8は、直列に従属接続する。同期捕捉回路9は、逆拡散器7と並列してAGC部6の後段に接続する。
【0018】
アナログ受信部2は、アナログ受信信号を抽出する。ADC部3は、アナログ信号をデジタル信号へ変換する。直交検波部4は、IF信号を複素BB信号に変換する。BB信号は、通信される信号が変化する周波数帯域(Base Band)の信号である。IF信号は、BB信号の周波数よりも高く、搬送波の周波数よりも低い中間周波数の信号である。タイミング補正器5は、チップタイミングの補正を行う。AGC部6は、複素BB信号を決められた振幅に増幅する。逆拡散部7は、受信信号を逆拡散して縦列接続系列(以下CAT系列と表記)によって拡散される前の信号に戻す。同期追従回路8は、逆拡散部7の信号を元にタイミング補正を行うためにタイミングずれ量を推定する。同期捕捉回路9は、タイミング補正器5の出力に対してCAT系列の同期捕捉用を用いて拡散符号の位相同期を行う。
【0019】
アナログ受信部2は、スペクトラム拡散用送信機から送信された縦列接続拡散符号PNによって拡散された中間周波数信号IF0を受信して、中間周波数信号IF1を出力する。
【0020】
ADC部3は、アナログ受信部2の後段に縦続接続され、アナログの中間周波数信号IF1をデジタルの中間周波数信号IF2へ変換する。
【0021】
直交検波器4は、ADC部3の後段に縦続接続され、中間周波数信号IF2を複素BB信号(BBI1+jBBQ1)に変換する。複素BB信号は、複素数で表されるBB信号である。
【0022】
タイミング補正器5は、直交検波器4の後段に縦続接続され、同期追従回路8が検出したチップレート誤差(-ΔRc)を用いて、複素BB信号(BBI1+jBBQ1)のチップタイミングのずれを補正して、複素BB信号(BBI2+jBBQ2)を出力する。複素BB信号(BBI2+jBBQ2)は、SB/2ごとに値が変化する信号である。タイミング補正器5は、2倍でオーバサンプリングされた複素BB信号(BBI2+jBBQ2)を出力する。
【0023】
1個のチップに含まれる受信信号の個数を、超過係数と呼ぶ。受信信号は2倍でオーバサンプリングしているので、2NCが系列長の個数の連続するチップに含まれる、超過係数を系列長に乗算して得られる総時点数になる。オーバサンプリングしない場合は、系列長と総時点数とが同じになる。オーバサンプリングする場合でも、拡散符号の各々とチップ時間の間隔を有するように選択された系列長の個数の受信信号の各々とを乗算することで、受信信号を逆拡散してもよい。総時点数または系列長である逆拡散に使用する受信信号の個数を逆拡散個数と呼ぶ。逆拡散個数をユニット数で除算した値をユニット個数と呼ぶ。同期捕捉回路9では、総時点数2NCをユニット数MAで除算した値(2NC/MA=2NB*DA)がユニット個数になる。
【0024】
AGC部6は、タイミング補正器5の後段に縦続接続され、複素BB信号(BBI2+jBBQ2)の電力が基準値で示される一定値のレベルになるように増幅する。AGC部6は、増幅した複素BB信号(BBI3+jBBQ3)を出力する。AGC部6は、増幅後の信号レベルが基準値になるように、入力される信号のレベルに応じて増幅率を制御する。
【0025】
逆拡散器7は、AGC部6の後段に縦続接続され、複素BB信号(BBI3+jBBQ3)を逆拡散することによって、スペクトラム拡散用送信機における縦列接続拡散符号PNによるスペクラム拡散前の信号を復元する。逆拡散器7が出力する逆拡散された複素BB信号(BBI4+jBBQ4)は、図示しない復調部に入力される。復調部は、無線通信で使用される変調方式に応じて複素BB信号(BBI4+jBBQ4)を復調する。また、逆拡散器7は、複素BB信号(BBI4P+jBBQ4P)と、複素BB信号(BBI4M+jBBQ4M)を同期追従回路8へ出力する。複素BB信号(BBI4P+jBBQ4P)は、複素BB信号(BBI4+jBBQ4)を逆拡散する拡散符号よりもSB/2だけ遅れた拡散符号で、複素BB信号(BBI3+jBBQ3)を逆拡散した信号である。複素BB信号(BBI4M+jBBQ4M)は、複素BB信号(BBI4+jBBQ4)を逆拡散する拡散符号よりもSB/2だけ早い拡散符号で、複素BB信号(BBI3+jBBQ3)を逆拡散した信号である。
【0026】
同期追従回路8は、逆拡散器7から出力される信号に基づいて、チップレート誤差(-ΔRc)を推定し、タイミング補正器5に出力する。チップレート誤差(-ΔRc)は、複素BB信号(BBI4+jBBQ4)と縦列接続拡散符号PNとのタイミング誤差(ΔTc)を平均化して、チップレート(周波数)偏差(すなわち2倍オーバサンプリングあたりの位相変化量)に変換した値である。
【0027】
同期捕捉回路9は、AGC部6の出力を用いて、縦列接続拡散符号PNによってスペクトラム拡散された変調波の同期捕捉処理を実行する。同期捕捉回路9は、スペクトラム拡散用送信機との通信開始時に逆拡散のための拡散符号位相補正値(-ΔθPN)を求める。また、直交検波器4で使用する周波数と受信信号の搬送波の周波数(F)との差である周波数偏差(ΔF)を出力する。
【0028】
図6は、アナログ受信部2の構成を示す図である。アナログ受信部2は、帯域通過フィルタ(以下BPF)21と、増幅部(以下AMP)22と、低域通過フィルタ(以下LPF)23とを備える。
【0029】
BPF21は、中間周波数信号IF0から決められた周波数帯域よりも高いまたは低い周波数成分を低減して、ノイズおよびスプリアスを除去する。AMP22は、BPF21から出力される信号のレベルを適切な値に増幅する。LPF23は、決められた周波数帯域よりも高い周波数成分を低減して、ADC部3で生じる折返し雑音を除去して、中間周波数信号IF1を出力する。
【0030】
図7は、直交検波器4の構成を示す図である。直交検波器4は、90度の位相差を有する2個の正弦波によって、入力される中間周波数信号IF1を検波する。2個の正弦波は、(-F-ΔF)を積分した位相に基づいて変化する。ここで、(-ΔF)は、同期捕捉回路9が推定した周波数偏差の符号を反転した値である。(-F)は、予め定められた中間周波数信号IF1の搬送周波数の符号を反転した値である。
【0031】
直交検波器4は、加算器49と、数値制御発振器(以下NCO、Numerical Controlled Oscillator)46と、cos/-sin発生器45と、第1の乗算器41と、第2の乗算器42と、低域通過フィルタ(以下第1のLPF)43と、低域通過フィルタ(以下第2のLPF)44とを備える。
【0032】
加算器49は、(-ΔF)と(-F)とが入力されて、その和を出力する。加算器49は、サンプリング周期ごとに(-F-ΔF)をNCO46へ出力する。NCO46は、サンプリング周期ごとに加算器49から出力される(-F-ΔF)を積算して、IF信号の搬送波の位相(ξ)を出力する。
【0033】
cos/-sin発生器45は、NCO46が出力する位相(ξ)を有する複素ローカル信号(cosξ+jsinξ)を発生する。第1の乗算器41は、中間周波数信号IF1とcosξとを乗算する。第2の乗算器42は、中間周波数信号IF1と(-sinξ)とを乗算する。第1のLPF43は、第1の乗算器41の出力の高調波を除去して、BB信号BBI1を出力する。第2のLPF44は、第2の乗算器42の出力の高調波を除去して、BB信号BBQ1を出力する。
【0034】
図8は、タイミング補正器5の構成を示す図である。タイミング補正器5は、ADC部3におけるサンプリング周波数で生成されたBB信号BBIIおよびBBQ1を、第2のチップ時間SBの1/2の間隔(=第2の拡散符号CBの1チップに相当する周波数の2倍の周波数)で生成されるBB信号BBI2に変換する。すなわち、BB信号BBI2およびBBQ2は、2倍にオーバサンプリングされた信号となる。さらに、タイミング補正器5は、同期追従回路8が検出したチップレート誤差(-ΔRc)の値を用いて、BB信号BBI2およびBBBQ2のタイミング誤差を除去する。
【0035】
タイミング補正器5は、第1のFIRフィルタ型リサンプラ51と、第2のFIRフィルタ型リサンプラ52と、フィルタ係数更新部53と、NCO54と、加算器55とを備える。
【0036】
加算器55、NCO54、およびフィルタ係数更新部53は、(2Rc-ΔRc)で決まるサンプリング周波数のサンプリングタイミングを決定する。Rcは、第2の拡散符号CBの1チップに相当する周波数である。すなわち、Rc=1/SBである。加算器55は、2Rcと(-ΔRc)とを加算して、NCO54へ出力する。NCO54は、加算器55から出力される数値を決められた周期で加算して得られる位相であるΔθNCOを出力する。
【0037】
第1のFIRフィルタ型リサンプラ51および第2のFIRフィルタ型リサンプラ52は、有限個の入力値の系列とフィルタ係数とを畳み込み積分することによって、隣接するサンプリング時刻(ADC部3でのサンプリング周波数)の間のサンプリングタイミング(SB/2ごと)の複素BB信号の値を補間して出力する。通常、第1のFIRフィルタ型リサンプラ51および第2のFIRフィルタ型リサンプラ52のフィルタ係数として、理想LPFの時間応答となるsinc関数を用いることができる。タイミング補正器5における高いオーバサンプリング数から低いオーバサンプリング数への変換等を考慮して、sinc関数とは異なるフィルタ係数を用いてもよい。
【0038】
フィルタ係数更新部53は、ΔθNCOが2πになる出力タイミングと入力タイミングのずれに基づき、ずれを補正するための第1のFIRフィルタ型リサンプラ51および第2のFIRフィルタ型リサンプラ52のフィルタ係数を算出し、算出したフィルタ係数を第1のFIRフィルタ型リサンプラ51および第2のFIRフィルタ型リサンプラ52に設定する。フィルタ係数更新部53は、ΔθNCOが2πになる出力タイミングと、その出力タイミングに最も近い入力タイミングを検出する。フィルタ係数更新部53は、検出した出力タイミングと入力タイミングと間のずれを算出する。フィルタ係数更新部53は、算出したずれに応じて、第1のFIRフィルタ型リサンプラ51および第2のFIRフィルタ型リサンプラ52に設定するフィルタ係数を算出する。フィルタ係数更新部53は、算出したフィルタ係数を第1のFIRフィルタ型リサンプラ51および第2のFIRフィルタ型リサンプラ52に設定する。第1のFIRフィルタ型リサンプラ51および第2のFIRフィルタ型リサンプラ52は、フィルタ係数が設定されると、フィルタ係数を用いて畳み込み積分を実施してBB信号BBI2、BBQ2を出力する。
【0039】
第1のFIRフィルタ型リサンプラ51は、ADC部3におけるサンプリング周波数で生成されたBB信号BBI1が入力されて、(2Rc-ΔRc)であるサンプリング周波数を有するBB信号BBI2を出力する。第2のFIRフィルタ型リサンプラ52は、ADC部3におけるサンプリング周波数で生成されたBB信号BBQ1が入力されて、(2Rc-ΔRc)であるサンプリング周波数を有するBB信号BBQ2を出力する。
【0040】
図9は、AGC部6の構成を示す図である。AGC部6は、逆拡散器7および同期捕捉回路9に入力される複素BB信号(BBI2+jBBIQ)の電力のレベルが基準値で示される一定値のレベルになるように増幅する。AGC部6での増幅率は、入力される複素BB信号の電力のレベルに応じて変化する。逆拡散器7および同期捕捉回路9に入力される複素BB信号のレベルを一定にすることで、同期捕捉回路9において計算される相関値がピークになる位相(チップ)の検出が容易になる。
【0041】
AGC部6は、第1の乗算器61aと、第2の乗算器61bと、第1の2乗回路63aと、第2の2乗回路63bと、加算器64と、第1の変換器65と、減算器66と、第3の乗算器67aと、第4の乗算器67bと、LF(Loop Filter)部68と、第2の変換器69とを備える。
【0042】
第1の乗算器61aは、BB信号BBI2と、第2の変換器69の出力とを乗算して、BB信号BBI3を出力する。第2の乗算器61bは、BB信号BBQ2と、第2の変換器69の出力とを乗算して、BB信号BBQ3を出力する。第1の2乗回路63aは、BB信号BBI3の2乗を算出する。第2の2乗回路63bは、BB信号BBQ3の2乗を算出する。加算器64は、BB信号BBI3の2乗とBB信号BBQ3の2乗とを加算することによって、複素BB信号(BBI3+jBBQ3)の電力Pを算出する。
【0043】
第1の変換器65は、電力PをdB値に変換する。第1の変換器65は、電力Pに対して、10*Log10(P)をdB値として計算する。減算器66は、電力PのdB値から基準値REFを減算する。基準値REFは、AGC部6の出力電力Pの目標レベルである。AGC部6は、出力電力Pが基準値REFに一致するようにフィードバック制御する。第3の乗算器67aは、減算器66の出力にフィードバック制御用のマイナス符号を乗算する。第4の乗算器67bは、第3の乗算器67aの出力とGAIN値とを乗算する。LF部68は、雑音によるバラツキを吸収するために、第4の乗算器67bの出力を平均化処理する。
【0044】
第2の変換器69は、LF部68による平均化処理の結果X(dB値)を真値である電圧値に戻す。第2の変換器69は、X(dB値)に対して、電圧値として10X/20を計算する。第2の変換器69の出力が、第1の乗算器61aおよび第2の乗算器61bに送られることによって、入力されるBB信号BBI2、BBQ2に対してフィードバック制御が行われる。
【0045】
なお、
図9のAGC部6では、電力Pが基準値REFで示される一定値のレベルになるように制御している。ビット長削減のために、複素BB信号(BBI3+jBBQ3)の振幅の絶対値が一定値のレベルになるように制御してもよい。
【0046】
図10は、逆拡散器7の構成を示す図である。逆拡散器7は、複素BB信号(BBI3+jBBQ3)に同期した縦列接続拡散符号PNを乗算することによって、スペクトラム拡散用送信機において、縦列接続拡散符号PNを乗算する前の状態の複素BB信号(BBI4+jBBQ4)を出力する。縦列接続拡散符号PNは、値が「+1」または「-1」である疑似乱数による拡散符号である。「+1」に「+1」を乗算すると「+1」となり、「-1」に「-1」を乗算すると「+1」になるので、複素BB信号(BBI3+jBBQ3)に同期した縦列接続拡散符号PNを乗算することによって拡散成分が無くなることを利用する。同期捕捉回路9で推定した縦列接続拡散符号PNの位相補正値(-Δθ
PN)を用いて、縦列接続拡散符号PNの位相と複素BB信号(BBI3+jBBQ3)の位相とを合わせる。縦列接続拡散符号PNは、1チップ(2サンプル)単位で変化する。
【0047】
逆拡散器7は、拡散符号発生器79と、第1の乗算器71と、第2の乗算器72と、第3の乗算器73と、第4の乗算器74と、第5の乗算器75と、第6の乗算器76と、第1の1サンプル遅延回路78と、第2の1サンプル遅延回路77と、第1の積分&間引回路91と、第2の積分&間引回路92と、第3の積分&間引回路93と、第4の積分&間引回路94と、第5の積分&間引回路95と、第6の積分&間引回路96とを備える。
【0048】
拡散符号発生器79は、縦列接続拡散符号PNを出力する。拡散符号発生器79は、拡散符号発生器79は、第2のチップ時間SBの1/2の間隔(SB/2)で縦列接続拡散符号PNを出力する。ただし、拡散符号発生器79から出力される縦列接続拡散符号PNは、第2のチップ時間SBを単位にして値が変化する。拡散符号発生器79は、同期捕捉回路9から出力される拡散符号位相補正値(-ΔθPN)だけ、縦列接続拡散符号PNの位相をずらす。以降は、このずらし量が保持される。拡散符号位相補正値(-ΔθPN)だけ縦列接続拡散符号PNの位相をずらすことで、受信信号(BBI3+jBBQ3)と縦列接続拡散符号PNとが同期して、離散的な時点での受信信号(BBI3+jBBQ3)を逆拡散して、複素BB信号(BBI4+jBBQ4)を生成できる。
【0049】
第1の1サンプル遅延回路78は、縦列接続拡散符号PNを1サンプル(SB/2)だけ遅延させる。第2の1サンプル遅延回路77は、第1の1サンプル遅延回路78から出力される縦列接続拡散符号PNをさらに1サンプル(SB/2)だけ遅延させる。
第3の乗算器73および第4の乗算器74に入力される縦列接続拡散符号PNをPN(t)とする。第1の乗算器71および第2の乗算器72には、PN(t-SB/2)が入力される。第5の乗算器75および第6の乗算器76には、PN(t+SB/2)が入力される。
【0050】
第1の乗算器71、第3の乗算器73、および第5の乗算器75には、同じ時刻の2倍にオーバサンプリングで生成されたBB信号BBI3が入力される。第1の乗算器71、第3の乗算器73、および第5の乗算器75には、それぞれSB/2だけタイミングが異なる縦列接続拡散符号PNが入力される。第1の乗算器71、第3の乗算器73、第5の乗算器75は、SB/2だけタイミングが異なる縦列接続拡散符号PNを利用した複素BB信号の同相成分BBI3の逆拡散結果を出力する。
【0051】
第2の乗算器72、第4の乗算器74、および第6の乗算器76には、2倍にオーバサンプリングされた、BB信号BBI3と同じ時刻のBB信号BBQ3が入力される。第2の乗算器72、第4の乗算器74、および第6の乗算器76には、それぞれSB/2だけタイミングが異なる縦列接続拡散符号PNが入力される。第2の乗算器72、第4の乗算器74、および第6の乗算器76は、SB/2だけタイミングが異なる縦列接続拡散符号PNを利用した複素BB信号の直交成分BBQ3の逆拡散結果を出力する。
【0052】
逆拡散器7は、1シンボルで積分した逆拡散結果を1シンボルごとに出力する。そのために、第1の乗算器71、第2の乗算器72、第3の乗算器73、第4の乗算器74、第5の乗算器75、第6の乗算器76の出力は、第1の積分&間引回路91、第2の積分&間引回路92、第3の積分&間引回路93、第4の積分&間引回路94、第5の積分&間引回路95、第6の積分&間引回路96に入力される。
【0053】
積分&間引回路91~96は、乗算器71~76から出力される逆拡散結果をチップクロック単位で1シンボル期間にわたって積分し、1シンボル期間の積分値を1シンボルごとに後段に出力する。第1の積分&間引回路91は、1シンボル期間の積分値であるBB信号BBI4Mを同期追従回路8へ出力する。第2の積分&間引回路92は、1シンボル期間の積分値であるBB信号BBQ4Mを同期追従回路8へ出力する。第3の積分&間引回路93は、1シンボル期間の積分値であるBB信号BBI4を図示しない復調部に出力する。第4の積分&間引回路94は、1シンボル期間の積分値であるBB信号BBQ4を図示しない復調部に出力する。第5の積分&間引回路95は、1シンボル期間の積分値であるBB信号BBI4Pを同期追従回路8へ出力する。第6の積分&間引回路96は、1シンボル期間の積分値であるBB信号BBQ4Pを同期追従回路8へ出力する。
【0054】
積分&間引回路91~96では、積分値を後段へ出力すると同時に、積分値をゼロにリセットする処理が行われる。出力タイミングおよびリセットタイミングは、拡散符号発生器79が出力する制御信号CTによって制御される。リセットタイミングは、縦列接続拡散符号PNの系列が先頭に戻るタイミングに基づいて決められる。
【0055】
図11は、拡散符号発生器79の構成を示す図である。
拡散符号発生器79は、CA発生器2001と、CB発生器2002と、乗算器2003と、位相補正部2004とを備える。
【0056】
CA発生器2001は、2値を取る疑似乱数である第1の拡散符号CAを発生する。CB発生器2002は、2値を取る疑似乱数である第2の拡散符号CBを発生する。乗算器2003は、第1の拡散符号CAと第2の拡散符号CBとを乗算することによって、2値を取る疑似乱数である縦列接続拡散符号PNを発生する。位相補正部2004は、縦列接続拡散符号PNの位相を位相補正値(-ΔθPN)だけずらす。
【0057】
CA発生器2001が発生する第1の拡散符号CAは、スペクトラム拡散用送信機で使用されるCA発生器1001が発生する第1の拡散符号CAと同じである。CB発生器2002が発生する第2の拡散符号CBは、CB発生器1002が発生する第2の拡散符号CBと同じである。拡散符号発生器79が発生する縦列接続拡散符号PNは、拡散符号発生器300が発生する縦列接続拡散符号PNと同じである。なお、拡散符号発生器79が発生する縦列接続拡散符号PNは、位相を変更可能である。
【0058】
図12は、同期追従回路8の構成を示す図である。
同期追従回路8は、一般的にDLL(Delay Locked Loop)と呼ばれる。同期追従回路8は、第1の2乗回路81と、第2の2乗回路82と、第1の加算器85と、第3の2乗回路83と、第4の2乗回路84と、第2の加算器86と、減算器87と、第1の乗算器88aと、第2の乗算器88bと、LF部89とを備える。
【0059】
第1の2乗回路81は、BB信号BBI4Mの2乗を算出する。第2の2乗回路82は、BB信号BBQ4Mの2乗を算出する。第1の加算器85は、BB信号BBI4Mの2乗とBB信号BBQ4Mの2乗とを加算することによって、第2のチップ時間の1/2だけ早い(SB/2ずれた)複素BB信号(BBI4M+jBBQ4M)の電力P1を算出する。
【0060】
第3の2乗回路83は、BB信号BBI4Pの2乗を算出する。第4の2乗回路84は、BB信号BBQ4Pの2乗を算出する。第2の加算器86は、BB信号BBI4Pの2乗とBB信号BBQ4Pの2乗とを加算することによって、第2のチップ時間の1/2だけ遅い(-SB/2ずれた)複素BB信号(BBI4P+jBBQ4P)の電力P2を算出する。減算器87は、電力P2から電力P1を減算して、電力差ΔR2を出力する。
【0061】
図13は、タイミング誤差ΔTcと、電力差ΔR
2との関係を示す図である。縦列接続拡散符号PNのタイミング誤差ΔTcが-0.5チップ~0.5チップの範囲において、電力差ΔR
2は、縦列接続拡散符号PNのタイミング誤差ΔTcが大きくなると値が大きくなる性質を有する。この性質は、一般にSカーブと呼ばれる。タイミング誤差ΔTc=0である場合に、逆拡散後の電力R
2は最大になる。電力P1と電力P2は、電力R
2の最大値から同じだけ低下した電力になる。そのためΔTc=0では、電力差ΔR
2=0となる。ΔTc≠0である場合は、タイミング誤差ΔTcの絶対値が増加するに従って、逆拡散後の電力R
2は減少する。ΔTc=-0.5チップの場合は、第2のチップ時間の1/2だけ遅い(-SB/2ずれた)複素BB信号(BBI4P+jBBQ4P)の電力P2は、ΔTc=0の場合に電力R
2の最大値をとる。電力P1は、ΔTc=1チップの場合に低下した電力R
2となる。その結果、電力差ΔR
2は、正で最大になる。ΔTc=-0.5チップからΔTcが増加すると、電力P2は減少し、電力P1は増加する。そのため、ΔTc=-0.5チップからΔTcが増加すると、電力差ΔR
2は減少する。ΔTc=0.5チップの場合は、電力差ΔR
2は、負で最小になる。
【0062】
第1の乗算器88aは、電力差ΔR2とフィードバック制御用のマイナス値とを乗算する。第2の乗算器88bは、第1の乗算器88aの出力値とGAIN値とを乗算する。LF部89は、雑音によるバラツキを吸収するために第2の乗算器88bの出力を平均化処理することによって、チップレート誤差(-ΔRc)を出力する。平均化処理によって得られるチップレート誤差(-ΔRc)がタイミング補正器5に送られて、電力差ΔR2が0になるようにフィードバック制御が行われる。
【0063】
図14は、同期捕捉回路9の構成を示す図である。同期捕捉回路9はCAT系列である拡散符号でスペクトラム拡散を行った変調波の同期捕捉処理を行う回路である。同期捕捉回路9は、CB相関処理部901と、CA相関処理部910と、電力算出部920と、平均化処理部930と、ピーク検出判定部940と、周波数偏差計算部925と、動作制御部945とを備える。
図14には、同期捕捉回路9動作を説明するために複素信号を示す点P
1~P
6も示す。点P
1~P
6については、後で説明する。
【0064】
CB相関処理部901は、SB/2が経過するごとに、AGC部6が出力する2倍にオーバサンプリングされた複素BB信号(BBI3+jBBQ3)が入力される。CB相関処理部901は、
図11に示すCB発生器2002が出力する、1周期分(NB個)の第2の拡散符号CBを保持する。
【0065】
CB相関処理部901は、SB/2が経過して新たな複素BB信号(BBI3+jBBQ3)が入力されるごとに、NBチップ(=2NBサンプル)の複素BB信号(BBI3+jBBQ3)とNBチップ(=NBサンプル)の第2の拡散符号CBとの積和を計算する。
【0066】
【0067】
式(1)において、実数Xに対する[X]はガウス記号であり、Xを超えない整数を返す。式(1)では、k=2mおよびk=2m-1の複素BB信号(BBI3[k]+BBQ3[k])に対して、同じ第2の拡散符号CB[m]を乗算する。なお、複素BB信号は、添え字[k]が大きいものがより新しく受信された信号である。CB相関処理部901は、式(1)により計算した積和を第2相関値BとしてSB/2が経過するごとにCA相関処理部910に出力する。なお、第2相関値Bは複素数である。
【0068】
CB相関処理部901では、スペクトラム拡散用送信機で拡散する際の第2の拡散符号CBの位置と一致した位置で複素BB信号と乗算される場合に、第2相関値Bはピークをとる。第2相関値Bは、NBチップごとにピークをとる。
【0069】
第2相関値Bは、NBチップに含まれるすべての複素BB信号と第2の拡散符号CBとの積和ではなく、NBチップ内のSB間隔の時点での複素BB信号と第2の拡散符号CBの積和として計算してもよい。第2相関値Bは、以下に示す式(1A)で計算してもよい。
【0070】
【0071】
受信信号をオーバサンプリングしている場合は、NBチップに含まれるすべての複素BB信号の個数、あるいは1チップごとに1個すなわちNBチップに対してNB個の複素BB信号の個数の受信信号と第2の拡散符号CBとの積の和で、第2相関値Bを計算する。受信信号をオーバサンプリングしない場合は、NBチップごとに1個すなわちNB個の複素BB信号の個数の受信信号と第2の拡散符号CBとの積の和で、第2相関値Bを計算する。
【0072】
さらにCA相関処理部910では、第2相関値Bに対して第1の拡散符号CAを用いて相関処理を行い、その結果の合計加算値を第1相関値Aとして扱うことで、CAT系列の受信信号に対しての相関処理が完成する。第1相関値Aは、CAT系列の受信信号の相関値である。
【0073】
CA相関処理部910には、SB/2が経過するごとに新たな第2相関値Bが入力される。CA相関処理部910は、
図11に示すCA発生器2001が出力する第1の拡散符号CA[1:NA]を保持する。CA相関処理部910は、SB/2が経過するごとに、NA個のNBチップ(=2NBサンプル)間隔の第2相関値Bと、NA個の第1の拡散符号CAとの積和(第1相関値A)を計算する。第2相関値Bは、2NB個の複素BB信号(BBI3[i]+jBBQ3[i]、i=1~2NB)と、第2の拡散符号CB[m]、m=[(k+1)/2]、i=1~2NB)との積の和である。そのため、第1相関値Aは、2NB*NA個の複素BB信号(BBI3[i]+jBBQ3[i]、i=1~2NB*NA)と、縦列接続拡散符号PNとの積の和である。
【0074】
第1相関値Aは、2NBサンプルごとに第2相関値Bがピークをとる位置で小さいピークが発生し、NA個のピークの中の1個のピークが他のピークのNA倍程度の振幅のピークになる。第1相関値Aは、NB*NAチップごとにピークをとる。
【0075】
CA相関処理部910は、周波数偏差が大きい場合に対応できるように、第2相関値Bと、その第1のチップ時間前の複素BB信号で計算された第2相関値Bとの位相差および単位量の振幅を有する第2差分位相値を計算し、第2差分位相値と差分符号CDとの積和として計算する相関値も計算できる。単位量の振幅は、決められた振幅である。差分符号CDは、第1の拡散符号CAに対応して決まる拡散符号である。第1の拡散符号CAの各符号が1個前の符号と同じ値である場合に無変化値をとり、異なる符号である場合に有変化値をとる符号である。第2差分位相値の振幅を単位量にすることで、第2差分位相値を表現するために必要なビット数の上限値を、振幅を単位量にしない場合よりも小さくできる。
【0076】
さらに別の相関値として、CA相関処理部910は、決められた第1単位個数DAの第2相関値Bと第1の拡散符号CAの積和である単位第1相関値と、その1個前の単位第1相関値との位相差および単位量の振幅を有する第1差分位相値の和である第1差分相関値も計算できる。第1差分位相値の振幅を単位量にすることで、第1差分位相値を表現するために必要なビット数の上限値を、振幅を単位量にしない場合よりも小さくできる。
【0077】
第2相関値Bは、ユニット個数(2NB)の個数の連続する逆拡散後受信信号GRの和を表す複素数であるユニット相関値である。第2相関値Bがユニット相関値である場合は、ユニット数はNAである。単位第1相関値は、ユニット個数(2NB*DAの個数の連続する逆拡散後受信信号GRの和を表す複素数であるユニット相関値である。単位第1相関値がユニット相関値である場合は、ユニット数はMAである。同期捕捉回路9は、NA個とMA個という異なる2個のユニット数をとることができる。同期捕捉回路を、3個以上の異なるユニット数をとることができるようにしてもよい。
【0078】
第2差分位相値VBは、ユニット相関値(第2相関値B)と1個前のユニット相関値(第2相関値B)との間の位相差を有する複素数である差分位相値である。第2差分位相値計算部960は、差分位相値を計算する差分位相値計算部である。
【0079】
例えば、第2差分位相値VBまたは第1差分位相値を求めるために使用する2個の入力データを表現するために最大で8bit、平均振幅が4bit相当である場合を考える。複素乗算では入力データの4倍の32bitデータが累積加算前のデータとして必要になる。しかし、振幅を単位量にした場合には、平均振幅の4bitあればよい。このように計算に必要なビット数上限値を決められると、H/Wの設計が容易になり、かつ小規模なH/Wを使用することができる。
【0080】
CA相関処理部910が算出する複素相関値を第1積算値XAと呼ぶ。第1積算値XAは、電力算出部920に入力される。電力算出部920が実部と虚部の二乗和(すなわち電力C)を算出する。平均化処理部930は、電力算出部920が算出するSB/2間隔のNA*NBチップ(=NA*2NBサンプル=2NCサンプル)の個数の電力Cを記憶する。
【0081】
平均化処理部930は、2NCサンプルの中で同じ位置のサンプルの電力Cが計算されるごとに、電力Cの平均を算出する。平均化処理部930は、1時点(1サンプル)ずつ受信信号をずらして第1の拡散符号CAとの積和で計算された2NC個の第1積算値XAの電力Cを記憶する。平均化処理部930は、1時点ずつ受信信号をずらして計算された2NC個の第1積算値XAの電力Cを記憶する電力記憶部である。
【0082】
ピーク検出判定部940は、平均化処理部930に記憶されたSB/2間隔の2NC個の電力Cが最大のピークになる時点(サンプル)を求める。ピーク検出判定部940は、電力Cが最大のピークになる時点(サンプル)に基づいて、同期系列位置を求める。SB/2間隔の2NC個の電力Cのそれぞれは、1個の受信信号に対して異なる位置の拡散符号(2NC個)を乗算して得られる複素相関値の電力である。2NCサンプルの複素相関値のそれぞれは、異なる符号位置で逆拡散された受信信号の複素相関値である。同期系列位置は、複素相関値の電力が最大になる符号位置である。
【0083】
ピーク検出判定部940は、同期系列位置に基づいて、拡散符号位相補正値(-ΔθPN)を求めて、逆拡散器7に通知する。たとえば、第0サンプルがピークの場合には、ΔθPN=0となる。同期系列位置は、離散的な時点での受信信号と乗算する縦列接続拡散符号PNの縦列接続符号系列長での位置である。同期捕捉回路9は、拡散符号位相補正値(-θPN)すなわち同期系列位置を求める。
【0084】
通信開始後は、同期捕捉回路9は、拡散符号位相補正値(-ΔθPN)を逆拡散器7に通知しない。通信が途切れた後には、再度、同期捕捉回路9が動作して、拡散符号位相補正値(-ΔθPN)を求め、求めた拡散符号位相補正値(-ΔθPN)を、逆拡散器7に通知する。
【0085】
平均化処理部930において拡散符号の符号位置ごとに電力Cを平均により求める処理は、ノイズの影響により電力Cが最大のピークになる時点の誤差を低減させる。
【0086】
CA相関処理部910が算出する第1積算値XAは、周波数偏差計算部925にも入力される。周波数偏差計算部925は、第1積算値XAに基づき周波数偏差ΔFを計算する。
【0087】
動作制御部945は、CA相関処理部910および周波数偏差計算部925の動作を制御する。CA相関処理部910は、第2差分位相値計算部950、第1差分位相値計算部960および符号選択部970を有する。CA相関処理部910の構成は、後で説明する。動作制御部945は、制御信号G1、G2、G3、G4を出力する。G1は、第2差分位相値計算部950の動作を制御する。G2は、符号選択部970の動作を制御する。G3は、第1差分位相値計算部960の動作を制御する。G4は、周波数偏差計算部925の動作を制御する。
【0088】
G4は、同期捕捉回路9の動作モードを表す。動作モードは、第2差分位相値計算部950、第1差分位相値計算部960および符号選択部970の各々が動作または不動作の何れであるかにより異なる値をとる。動作モードにより、周波数偏差計算部925に入力される第1積算値XAのデータが変化する。周波数偏差計算部925は、G4により通知される動作モードに応じて、第1積算値XAを処理して周波数偏差ΔFを計算する。
【0089】
CB相関処理部901は、遅延処理部121と、第2相関値計算部122とを備える。遅延処理部121は、2NB個のD型フリップフロップ902(1)~(2NB)を備える。D型フリップフロップは、以下ではDFFと略す、図では四角の中に「D」を書いて表記する。第2相関値計算部122は、チップ相関器903(1)~(2NB)と、加算器904とを備える。第2相関値計算部122は、NB個の連続するチップに含まれる各複素BB信号と各第2の拡散符号CBとの積の和である第2相関値を計算する。
【0090】
DFF902(i)は、SB/2が経過するごとに、保持している複素BB信号(BBI3+jBBQ3)を後段のDFF902(i-1)へ出力するとともに、前段のDFF902(i+1)から送られてくる複素BB信号(BBI3+jBBQ3)を保持する。
【0091】
チップ相関器903(i)は、下に示す式(2)に従って、DFF902(i)に保持されている複素BB信号(BBI3[i]+jBBQ3[i])と、第2の拡散符号CB[m]とを乗算する。ここで、mはガウス記号により、m=[(i+1)/2]で計算する。
(BBI3[i]+jBBQ3[i])*CB[m]・・・(2)
【0092】
式(2)で計算される複素BB信号を、逆拡散後受信信号GRと呼ぶ。チップ相関器903(i)は、連続するNBチップに含まれるすべての受信信号から生成される複素BB信号の各々(BBI3[i]+jBBQ3[i])と、複素BB信号が含まれるチップごとに決まる第2の拡散符号CB[m]とを乗算して得られる逆拡散後受信信号を計算する逆拡散後受信信号計算部である。連続するNBチップに含まれるすべての受信信号から生成される複素BB信号の個数(2NB)を第2時点数と呼ぶ。CB相関処理部901でのチップ相関器903の個数は、第2時点数である。CB相関処理部が有するチップ相関器の個数を、第2逆拡散個数と呼ぶ。総時点数2NCは、第2時点数2NBと第1の系列長NAとの積(2NC=2NB*NA)でもある。
【0093】
加算器904は、2NB個のチップ相関器903(1)~(2NB)の出力を加算して、加算結果である第2相関値Bを出力する。第2相関値Bは、第2逆拡散個数の逆拡散後受信信号GRの和を表す複素数である。なお、チップ相関器903(i)は、BBI3用の乗算器とBBQ3用の乗算器とを有する。加算器904も、BBI3用の加算器とBBQ3用の加算器とを有する。加算器904は、第2相関値Bを計算する第2相関値積算部である。
【0094】
CA相関処理部910は、第2差分位相値計算部950、符号選択部970、MA個の単位第1相関値計算ユニット221(1)~(MA)、(MA-1)個の第1差分位相値計算部960(1)~(MA-1)、加算器914を有する。
【0095】
CA相関処理部910には、SB/2が経過するごとに新たな第2相関値Bが入力される。第2差分位相値計算部950は、新たに入力される第2相関値BとNBチップの時間だけ前に入力された第2相関値Bとの位相差を計算する。そして、第2差分位相値計算部950は、計算した位相差と単位量の振幅を有する第2差分位相値VBを計算する。第2差分位相値計算部950は、動作制御部945により制御されて、第2差分位相値VBを計算して出力するか、または第2相関値Bをそのまま出力する。第2差分位相値計算部950が出力する第2差分位相値VBまたは第2相関値Bの何れかを、第2積算値XBと呼ぶ。第2差分位相値VBは、拡散符号CAの1チップに相当する時間差を有する2時点での第2相関値Bの位相差を表す。第2差分位相値VBは、周波数偏差が存在する場合でも、同じ複素数を計算しやすくなる。ただし、2時点の第2相関値Bを使用するので、ノイズの影響が大きくなる。
【0096】
符号選択部970は、第1の拡散符号CAが入力されて、差分符号CDを生成して出力するか、または第1の拡散符号CAをそのまま出力する。符号選択部970は、動作制御部945により制御されて、第1の拡散符号CAまたは差分符号CDの何れかを出力する。符号選択部970は、第2差分位相値計算部950が第2差分位相値VBを出力する期間に、差分符号CDを出力する。符号選択部970は、第2差分位相値計算部950が第2相関値Bを出力する期間に、第1の拡散符号CAを出力する。符号選択部970が出力する第1の拡散符号CAまたは差分符号CDを、拡散符号CXとする。
【0097】
単位第1相関値計算ユニット221(i)は、DA個の遅延回路911(DA*i-DA+1)~(DA*i)、DA個のチップ相関器912(DA*i-DA+1)~(DA*i)、加算器913(i)を有する。同期捕捉回路9では、DA=4である。mを、1~NAの整数とする。遅延回路911(m)の出力は、チップ相関器912(m)の入力に接続する。遅延回路911(m)は、遅延回路911(m-1)の入力にも接続する。
【0098】
遅延回路911(NA)には、SB/2が経過するごとに第2差分位相値計算部950が出力する第2積算値XBが入力される。遅延回路911(m)は、2NB個の第2積算値XBを記憶する。遅延回路911(m)は、SB/2が経過するごとに1個の第2積算値XBが入力され、2NB個前に入力された第2積算値XBを出力する。m=2~NAの遅延回路911(m)が出力する第2積算値XBは、チップ相関器912(m)と遅延回路911(m-1)に入力される。遅延回路911(1)が出力する第2積算値XBは、チップ相関器912(1)に入力される。
【0099】
遅延回路911(m)は、直列接続した2NB個のDFFで実現してもよいし、2NB個以上の複素数を記憶できるRAM(Random Access Memory)などの記憶素子と書込み参照回路で実現してもよい。遅延回路911(m)として書込みと参照が同時にできるDPRAM(Dual Port Random Access Memory)を使用する場合は、(2NB+1)個以上の複素数を記憶できるDPRAMを使用する。
【0100】
CA相関処理部910は、DA*MA=NA個のチップ相関器912を有する。各チップ相関器912(m)は、入力される複素数である第2積算値XBと拡散符号CX[m]とを乗算する。チップ相関器912(m)は、第2積算値XBの実部用の乗算器と第2積算値XBの虚部用の乗算器とを有する。チップ相関器912(m)の出力を、逆拡散後第2積算値GBmとする。第2積算値XBが第2相関値Bである場合の逆拡散後第2積算値GBmは、第2相関値Bを第1の拡散符号CAで逆拡散した値になる。第2積算値XBが第2差分相関値WBである場合の逆拡散後第2積算値GBmは、第2差分相関値WBを差分符号CDで逆拡散した値になる。
【0101】
2NB個のチップ相関器903は、第2時点数の個数の受信信号の各々と、受信信号の各々が属するチップの第2の系列長の中での位置に応じて決まる第2の拡散符号の各々とを乗算して得られる複素数である第2逆拡散後受信信号を計算する、第2時点数である第2逆拡散個数の第2逆拡散後受信信号計算部である。
【0102】
NA個のチップ相関器912は、第1のチップ時間ごとの時点で計算された第1の系列長の個数の第2積算値の各々と第1の拡散符号の各々とが入力され、第2積算値の各々と第1の拡散符号の各々とを乗算して得られる複素数である逆拡散後第2積算値を計算する、第1の系列長の個数の逆拡散後第2積算値計算部である。
【0103】
2NB個のチップ相関器903とNA個のチップ相関器912は、総時点数の個数の受信信号の各々と、受信信号の各々が属するチップの系列長の中での位置に応じて決まる拡散符号の各々とを乗算して得られる複素数である逆拡散後受信信号を、総時点数である逆拡散個数だけ計算する、逆拡散後受信信号計算部である。
【0104】
加算器913(i)は、DA個のチップ相関器912(DA*i-DA+1)~(DA*i)の出力である逆拡散後第2積算値GBDA*i-DA+1~GBDA*iを加算して、加算結果である単位第1相関値UAiを出力する。加算器913(i)は、単位第1相関値UAiの実部用の加算器と単位第1相関値UAの虚部用の加算器とを有する。単位第1相関値UAiが、単位第1相関値計算ユニット221(i)の出力である。
【0105】
単位第1相関値計算ユニット221(i)は、DA個の連続する逆拡散後第2積算値GBDA*i-DA+1~GBDA*iの和を表す複素数である単位第1相関値UAiを計算する、計算に使用する逆拡散後第2積算値GBDA*i-DA+1~GBDA*iにより順序付けられたDA個の単位第1相関値計算部である。単位第1相関値計算ユニット221(1)~(MA)は、ユニット相関値を計算するユニット数の個数のユニット相関値計算部でもある。計算に使用する逆拡散後第2積算値GBDA*i-DA+1~GBDA*iの中で、最も前に受信された受信信号を使用する逆拡散後第2積算値GBDA*i-DA+1により、単位第1相関値計算ユニット221(i)を順序付ける。
【0106】
第1差分位相値計算部960(i)は、複素数である単位第1相関値UAi+1、UAiが入力されて、UAi+1、UAiの位相差および単位量の振幅を有する第1差分位相値VAiを計算する。第1差分位相値計算部960(i)は、動作制御部945により制御されて、第1差分位相値VAiまたは単位第1相関値UAi+1の何れかを出力する。第1差分位相値計算部960(i)は、単位第1相関値UAi+1と1個前の単位第1相関値UAiとの間の位相差を有する複素数である第1差分位相値VAiを計算する。また、第1差分位相値計算部960(i)は、単位第1相関値UAi+1または第1差分位相値VAiの何れかを一律に切り替えて出力する、第1選択出力部でもある。第1差分位相値計算部960(i)の出力を、単位第1積算値UWAiと呼ぶ。
【0107】
単位第1相関値UAiは、ユニット相関値でもある。第1差分位相値VAiは、ユニット相関値UAi+1と1個前のユニット相関値UAiとの間の位相差を有する複素数である差分位相値でもある。(MA-1)個の第1差分位相値計算部960(1)~(MA-1)の各々は、第1差分位相値VA1~VAMA-1の各々を計算する。MA-1を、第1分割数MAから1を減算して得られる整数である第1差分数と呼ぶ。第1差分位相値計算部960(i)は、差分位相値を計算する差分位相値計算部でもある。
【0108】
第1差分位相値計算部960(i)は、単位第1相関値UAiまたは第1差分位相値VAiの何れかを一律に切り替えて出力するようにしてもよい。第1差分位相値計算部960(i)は、入力される2個の単位第1相関値UAi+1およびUAiの中の前の方または新しい方の一律に決められた一方の単位第1相関値UAi+1またはUAiと、または第1差分位相値VAiとの何れかを一律に切り替えて出力する第1選択出力部でもある。動作制御部925は、各第1差分位相値計算部960が単位第1相関値または第1差分位相値の何れを出力するかを一律に制御する。
【0109】
加算器914は、(MA-1)個の第1差分位相値計算部960(1)~(MA-1)が出力する単位第1積算値UWA1~UWAMA-1を加算して、加算結果を出力する。加算器914は、複素数の実部用の加算器と虚部用の加算器とを有する。第1差分位相値計算部960(i)が第1差分位相値VAiを出力する場合は、加算器914の出力は、第1差分位相値VA1~VAMA-1の和である第1差分相関値WAである。第1差分位相値計算部960(i)が単位第1相関値UAi+1を出力する場合に、加算器914の出力を第1合計値と呼ぶ。第1合計値は、NA個の逆拡散後第2積算値GB1~GBNAの和を表す複素数である。加算器914は、第1合計値を計算する第1合計値計算部である。
【0110】
第2差分位相値計算部950が第2相関値Bを出力し、かつ第1差分位相値計算部960(i)が単位第1相関値UAi+1を出力する場合は、加算器914の出力は第1相関値Aである。第2差分位相値計算部950が第2差分位相値VBを出力し、かつ第1差分位相値計算部960(i)が単位第1相関値UAi+1を出力する場合は、加算器914の出力を、第2差分相関値WBと呼ぶ。なお、周波数偏差がない場合は、第2差分相関値WBは第1相関値Aに一致する。
【0111】
加算器914が出力する第1相関値Aでは、単位第1相関値UA1が加算されていない。単位第1相関値UA1と加算器914との間に、動作制御部945により入り切りが制御されるスイッチを設けてもよい。第1差分位相値計算部960(i)が単位第1相関値UAi+1を出力する場合に、そのスイッチが入りになるように動作制御部945が制御する。そのスイッチを有する場合には、加算器914は、単位第1相関値UA1も加算した第1相関値Aを出力する。
【0112】
第1差分位相値計算部960(i)が第1差分位相値VAiを出力する場合の加算器914は、(MA-1)個の第1差分位相値VAiの和である第1差分相関値WAを計算する第1差分相関値計算部として動作する。第2差分位相値計算部950が第2相関値Bを出力し、かつ第1差分位相値計算部960(i)が単位第1相関値UAi+1を出力する場合の加算器914は、第1相関値Aを計算する第1相関値積算部として動作する。加算器914が出力する第1差分相関値WA、第1相関値Aおよび第2差分相関値WBの何れかが、第1積算値XAである。
【0113】
加算器914は、2NB*DA*(MA-1)個の逆拡散後受信信号GRの和を表す複素数である相関値Aを計算する相関値積算部である。なお、2NB*DA*(MA-1)=2NC-2NB*DA*MAは、逆拡散個数2NCからユニット個数2NB*DA*MAを減算して得られる差分個数である。加算器914は、差分個数以上かつ逆拡散個数以下の逆拡散後受信信号GRの和を計算するものであればよい。
【0114】
第1差分位相値VAは、差分位相値でもある。そのため、第1差分相関値WAは、差分個数以上かつ逆算拡散個数以下の個数の差分位相値VAの和である差分相関値でもある。第1差分位相値計算部960が動作する場合の加算器914は、差分相関値を計算する差分相関値計算部でもある。第1差分位相値計算部960が動作しない場合の加算器914は、第1合計値を計算する第1合計値計算部である。
【0115】
第2差分位相値VBは、差分位相値でもある。そのため、第2差分相関値WBは、差分個数以上かつ逆算拡散個数以下の個数の差分位相値VBの和である差分相関値でもある。第2差分位相値計算部950が動作する場合の加算器914は、差分相関値を計算する差分相関値計算部でもある。
【0116】
NA個の遅延回路911の各々は、2NB個の第2積算値XBを記憶する。NA個の遅延回路911は、総時点数の第2積算値XBを記憶する第2積算値記憶部である。詳しくは、後述の変形例で説明するが、第2積算値記憶部は、第1の系列長(NA)から1を減算して得られる整数である最小台数(NA-1)と第2時点数(2NBまたはNB)とを乗算して得られる整数以上の個数である保存数の、第2積算値XBを記憶するものであればよい。
【0117】
電力算出部920は、第1積算値XAの電力を算出する。同期捕捉回路9では、第1積算値XAは、第1差分位相値計算部960が動作する場合は、第1差分相関値WAである。第2差分位相値計算部950が動作する場合は、第1積算値XAは第2差分相関値WBである。第1差分位相値計算部960および第2差分位相値計算部950が動作しない場合は、第1積算値XAは第1相関値Aである。第1差分位相値計算部960しない場合は、第2差分相関値WBまたは第1相関値Aは第1合計値である。第1積算値XAは、第1合計値または第1差分を相関値WAである
【0118】
図15を参照して、第2差分位相値計算部の構成を説明する。
図15は、実施の形態1に係る同期捕捉回路が有する第2差分位相値計算部の構成を示す図である。第2差分位相値計算部950は、振幅位相変換部951、遅延回路952、減算器953、振幅位相逆変換部954、SEL部955を有する。第2差分位相値計算部950には、SB/2が経過するごとに第2相関値Bが入力される。振幅位相変換部951は、直交座標で表現された第2相関値Bを、振幅と位相の極座標での値に変換する。入力される第2相関値Bを、B=BI+jBQと表現する。振幅位相変換部951は、第2相関値Bの振幅|B|と位相θ
Bを以下の式で計算する。
|B|=√(BI
2+BQ
2)
θ
B=sin
-1(BQ/|B|)
【0119】
振幅位相変換部951が出力する位相θBは、遅延回路952と減算器953に入力される。遅延回路952は、NBチップ(2NBサンプル)に相当する時間だけ遅延させる。NBチップ(2NBサンプル)に相当する時間は、第1のチップ時間SAに等しい。遅延回路952が出力する位相θBDELAYは、減算器953に入力される。減算器953は、以下の式で計算される位相差ΔθBを出力する。
ΔθB=θB-θBDELAY
【0120】
振幅位相逆変換部954は、位相差ΔθBが入力されて、単位量の振幅を有する複素数である第2差分位相値VB=VBI+jVBQを出力する。
VB=exp(jΔθB)
VBI=cos(ΔθB)
VBQ=sin(ΔθB)
第2差分位相値VBは、複素平面において単位円上に存在する複素数である。周波数偏差ΔFが一定である場合には、位相差ΔθBはΔθB=2π*ΔF*SAで一定となる。
【0121】
SEL部955には、第2相関値Bと第2差分位相値VBが入力される。SEL部955には、動作制御部945から制御信号G1が入力される。SEL部955は、制御信号G1がONの場合に、第2差分位相値VBを出力する。SEL部955は、制御信号G1がOFFの場合に、第2相関値Bを出力する。SEL部955の出力が、第2差分位相値計算部950の出力である。制御信号G1がONの場合に、第2差分位相値計算部950が動作して、第2差分位相値VBを出力する。制御信号G1がOFFの場合に、第2差分位相値計算部950が動作しないで、第2相関値Bが出力される。
【0122】
図16を参照して、符号選択部970の構成を説明する。
図16は、実施の形態1に係る同期捕捉回路が有する符号選択部の構成を示す図である。符号選択部970には、第1の拡散符号CA[k]が入力される。符号選択部970は、第1の拡散符号CA[k]または差分符号CD[k]を出力する。符号選択部970は、、遅延回路972、SEL部973を有する。動作制御部945は、制御信号G2により、符号選択部970の動作を制御する。遅延回路972は、CA[k]を1チップだけ遅延させる。つまり、遅延回路972は、CA[k-1]を出力する。乗算器971は、CA[k]とCA[k-1]を乗算する。乗算器971の出力が、差分符号CD[k]である。
【0123】
第1の拡散符号CA[k]および、差分符号CD[k]が「1」または「-1」を取る場合に、乗算器971および遅延回路972により、差分符号CD[k]を生成できることを示す。
差分符号CD[k]は、以下のような無変化値「1」と、有変化値「-1」という2値を取る。
CA[k]=CA[k-1]の場合に、CD[k]=「1」
CA[k]≠CA[k-1]の場合に、CD[k]=「-1」
【0124】
CA[k]とCA[k-1]を乗算する乗算器971は、以下のような値を出力する。
CA[k]=CA[k-1]=「1」の場合に、CD[k]=「1」
CA[k]=CA[k-1]=「-1」の場合に、CD[k]=「1」
CA[k]=「1」、CA[k-1]=「-1」の場合に、CD[k]=「-1」
CA[k]=「-1」、CA[k-1]=「1」の場合に、CD[k]=「-1」
【0125】
符号選択部970に入力される第1の拡散符号CA[k]および乗算器971が出力する差分符号CD[k]は、SEL部973に入力される。SEL部973は、動作制御部945から供給される制御信号G2により、CA[k]またはCD[k]の何れかを出力する。制御信号G2がONの場合は、CD[k]を出力する。制御信号G2がOFFの場合は、入力されたCA[k]をそのまま出力する。SEL部973の出力が、符号選択部970の出力である。符号選択部970が出力する符号をCX[k]とする。符号選択部970は、制御信号G2がONの場合に動作して、差分符号CD[k]を出力する。つまり、CX[k]=CD[k]である。符号選択部970は、制御信号G2がOFFの場合に動作しないで第1の拡散符号CA[k]を出力する。つまり、CX[k]=CA[k]である。
【0126】
第1の拡散符号CA[1:NA]から予め差分符号CD[1:NA]を計算して記憶しておいてもよい。符号選択部970は、入力される第1の拡散符号CA[k]に対して記憶している差分符号CD[k]を出力してもよい。符号選択部970は、入力される第1の拡散符号CA[k]に対して差分符号CD[k]を出力できるものであればどのようなものでもよい。
【0127】
制御信号G1、G2は、同期した値をとる。制御信号G1がONの値をとる場合に、制御信号G2もONの値をとる。制御信号G1がOFFの値をとる場合に、制御信号G2もOFFの値をとる。周波数偏差が存在しなければ、制御信号G1=G2=ONまたはG1=G2=OFFのどちら場合でも、CA相関処理部910は同じ値の第1相関値Aの値を計算できる。
【0128】
図17を参照して、第1差分位相値計算部の構成を説明する。
図17は、実施の形態1に係る同期捕捉回路が有する第1差分位相値計算部の構成を示す図である。第1差分位相値計算部960(i)は、振幅位相変換部961、振幅位相変換部962、減算器963、振幅位相逆変換部964、SEL部965を有する。第1差分位相値計算部960は、第2差分位相値計算部950と比較して、遅延回路952を有さない点、振幅位相変換部962を有する点が異なる。
【0129】
第1差分位相値計算部960(i)には、SB/2が経過するごとに単位第1相関値UAi+1およびUAiが入力される。振幅位相変換部961は、直交座標で表現された単位第1相関値UAi+1を、振幅と位相の極座標での値に変換する。入力される単位第1相関値UAi+1を、UAi+1=UAIi+1+jUAQi+1と表現する。振幅位相変換部961は、単位第1相関値UAi+1の振幅|UAi+1|と位相θUA(i+1)を以下の式で計算する。
|UAi+1|=√(UAIi+1
2+UAQi+1
2)
θUA(i+1)=sin-1(UAQi+1/|UAi+1|)
【0130】
振幅位相変換部962は、直交座標で表現された単位第1相関値UAiを、振幅と位相の極座標での値に変換する。振幅位相変換部962は、単位第1相関値UAiの振幅|UAi|と位相θUA(i)を以下の式で計算する。
|UAi|=√(UAIi
2+UAQi
2)
θUA(i)=sin-1(UAQi/|UAi|)
【0131】
振幅位相変換部961が出力する位相θUA(i+1)と振幅位相変換部962が出力する位相θUA(i)は、減算器963に入力される。減算器963は、以下の式で計算される位相差ΔθUA(i)を出力する。
ΔθUA(i)=θUA(i+1)-θUA(i)
【0132】
振幅位相逆変換部964は、位相差ΔθUA(i)が入力されて単位量の振幅を有する複素数である第1差分位相値VAi=VAIi+jVAQiを出力する。
VAi=exp(jΔθUA(i))
VAIi=cos(ΔθUA(i))
VAQi=sin(ΔθUA(i))
第1差分位相値VAiは、複素平面において単位円上に存在する複素数である。
【0133】
SEL部965には、単位第1相関値UAi+1と第1差分位相値VAiが入力される。SEL部965には、動作制御部945から制御信号G3が入力される。SEL部965は、制御信号G3がONの場合に、第1差分位相値VAiを出力する。SEL部965は、制御信号G3がOFFの場合に、単位第1相関値UAi+1を出力する。SEL部965の出力が、第1差分位相値計算部960(i)の出力である。制御信号G3がONの場合に、第1差分位相値計算部960(i)が動作して、第1差分位相値VAiを出力する。制御信号G3がOFFの場合に、第1差分位相値計算部960(i)が動作しないで、単位第1相関値UAi+1が出力される。
【0134】
周波数偏差計算部925は、CA相関処理部910が出力する第1積算値XAに基づき周波数偏差ΔFを計算する。周波数偏差計算部925には、動作制御部945から制御信号G4が入力される。制御信号G4は、第2差分位相値計算部950および第1差分位相値計算部960のどちらが動作するか、どちらも動作しないかを表す。制御信号G4は、例えば以下の何れかの値をとる。
(制御信号G4の値の意味)
0:第2差分位相値計算部950および第1差分位相値計算部960が不動作。
1:第1差分位相値計算部960が動作。
2:第2差分位相値計算部950が動作。
【0135】
第2差分位相値計算部950および第1差分位相値計算部960が動作しない(G4=0)場合は、第1積算値XAは第1相関値Aである。周波数偏差計算部925は、SB/2が経過するごとに第1相関値Aが入力される。周波数偏差計算部925は、最新の決められた期間TXでの第1相関値Aの位相の時間変化を近似する二乗誤差が最小になる1次関数を求める。1次関数の傾きAinclに基づき、周波数偏差ΔF=Aincl/(2π)を計算する。傾きAinclは、位相の時間変化率である周波数偏差に比例した値である。周波数偏差計算部925は、第1相関値Aの位相の時間変化率に基づき周波数偏差ΔFを計算する。
【0136】
第1差分位相値計算部960が動作する(G4=1)場合は、第1積算値XAは第1差分相関値WAである。第1差分位相値計算部960が動作する(G4=1)場合には、WAの位相は、DA*SAの時間で周波数偏差ΔFにより発生する位相変化である。期間TXに入力される第1差分相関値WAの平均をWAAVで表す。周波数偏差計算部925は、G4=1の場合には、ΔF=WAAV/(2π*DA*SA)でΔFを計算する。
【0137】
第2差分位相値計算部950が動作する(G4=2)場合には、第1積算値XAは第2差分相関値WBである。複素数である第2差分相関値WBの位相は、第1のチップ時間SAで周波数偏差ΔFにより発生する位相変化である。G4=2の場合には、周波数偏差計算部925は、ΔF=WAAV/(2π*SA)でΔFを計算する。周波数偏差計算部925は、第1差分相関値WAまたは第2差分相関値WBの位相に基づき周波数偏差ΔFを計算する。
【0138】
図14を参照して、同期捕捉回路9の信号を示す点P
1~P
6について説明する。
点P
1は、第2差分位相値計算部950の入力である。点P
1で計測される信号は、第2相関値Bである。点P
2は、第2差分位相値計算部950の出力である。点P
2で計測される信号は、第2積算値XBである。第2積算値XBは、第2差分位相値計算部950が動作する場合には第2差分位相値VBであり、第2差分位相値計算部950が動作しない場合には第2相関値Bである。
【0139】
点P3,1~P3,NAは、チップ相関器912(1)~(NA)の出力である。点P3,1~P3,NAで計測される信号は、逆拡散後第2積算値GB1~GBNAである。点P4,1~P4,MAは、加算器913(1)~(MA)の出力である。点P4,1~P4,MAは、単位第1相関値計算ユニット221(1)~(MA)の出力でもある。点P4,1~P4,MAで計測される信号は、単位第1相関値UA1~UAMAである。点P5,1~P5,MA-1は、第1差分位相値計算部960(1)~(MA-1)の出力である。P5,1~P5,MA-1で計測される信号は、単位第1積算値UWA1~UWAMA-1である。単位第1積算値UWAiは、第1差分位相値計算部960(i)が動作する場合は、第1差分位相値VAiである。第1差分位相値計算部960(i)が動作しない場合は、単位第1積算値UWAiは単位第1相関値UAi+1である。
【0140】
点P6は、加算器914の出力である。点P6は、CA相関処理部910の出力でもある。点P6で計測される信号は、第1積算値XAである。第2差分位相値計算部950および第1差分位相値計算部960が動作しない(G4=0)場合は、第1積算値XAは第1相関値Aである。第1差分位相値計算部960が動作する(G4=1)場合は、第1積算値XAは第1差分相関値WAである。第2差分位相値計算部950が動作する(G4=2)場合には、第1積算値XAは第2差分相関値WBである。
【0141】
動作を説明する。動作制御部945は、通信開始時には制御信号G1=G2=ON、G3=OFF、G4=2を出力する。同期捕捉回路9が、制御信号G1=G2=ON、G3=OFFで動作する期間を、粗検出の期間と呼ぶ。粗検出の期間において、周波数偏差ΔFが第1閾値TH1よりも小さくなる(ΔF<TH1)と、粗検出の期間が終了し、精検出の期間になる。精検出の期間では、動作制御部945は、制御信号G1=G2=OFF、G3=ON、G4=1を出力する。精検出の期間で周波数偏差ΔFがゼロと判断できる程度に小さくなると、動作制御部945は、制御信号G1=G2=G3=OFF、G4=0を出力する。周波数偏差ΔFがゼロと判断できる程度に小さいかどうかは、第1閾値TH1よりも小さく決められた第2閾値TH2(<TH1)と比較して判断する。精検出の期間において、周波数偏差ΔFが第2閾値TH2よりも小さくなる(ΔF<TH2)と、精検出を終了する。
【0142】
動作制御部945は、以下のように場合分けして制御信号を出力する。
(ア)ΔF≧TH1である(粗検出)場合は、第2差分位相値計算部950が動作するように、G4=2、G1=G2=ON、G3=OFFを出力する。
(イ)TH1>ΔF≧TH2である(精検出)場合は、第1差分位相値計算部960が動作するように、G4=1、G1=G2=OFF、G3=ONを出力する。
(ウ)TH2>ΔFである場合は、いずれも動作しないように、G4=0、G1=G2=G3=OFFを出力する。
【0143】
粗検出時の同期捕捉回路9の動作状態は、
図18に示すようになる。第2差分位相値計算部950は、第2差分位相値VBを出力する。符号選択部970は、差分符号CD[m]を出力する。
図18の動作状態で、同期捕捉回路9の点P
1~P
6で検出される複素信号を複素平面上に表示した図を、
図19に示す。
図19では、縦列接続拡散符号PNの同期がとれている場合の複素信号を示す。ここでは、NA=32、DA=4、MA=8としている。
【0144】
点P1は、第2差分位相値計算部950の入力である。点P1で計測される信号は、第2相関値Bである。点P2は、第2差分位相値計算部950の出力である。点P2で計測される信号は、第2積算値XBである。第2積算値XBは、第2差分位相値計算部950が動作する場合には第2差分位相値VBである。点P3,1~P3,NAは、チップ相関器912(1)~(NA)の出力である。点P3,1~P3,NAで計測される信号は、逆拡散後第2積算値GB1~GBNAである。点P4,1~P4,MAは、加算器913(1)~(MA)の出力である。点P4,1~P4,MAで計測される信号は、単位第1相関値UA1~UAMAである。点P5,1~P5,MA-1は、第1差分位相値計算部960(1)~(MA-1)の出力である。P5,1~P5,MA-1で計測される信号は、単位第1積算値UWA1~UWAMA-1である。単位第1積算値UWAiは、第1差分位相値計算部960(i)が動作しない場合は、単位第1相関値UAi+1である。点P6は、加算器914の出力である。点P6で計測される信号は、第1積算値XAである。第2差分位相値計算部950が動作する(G4=2)場合には、第1積算値XAは第2差分相関値WBである。
【0145】
図19(A)に、点P
1で計測される第2相関値Bを示す。
図19(B)に、点P
2で計測される第2差分位相値VBを示す。
図19(C)に、点P
3,1~P
3,NAで計測される逆拡散後第2積算値GB
1~GB
NAを示す。
図19(D)に、点P
4,1~P
4,MAで計測される単位第1相関値UA
1~UA
MAを示す。
図19(E)に、点P
5,1~P
5,MA-1で計測される単位第1積算値UWA
1~UWA
MA-1を示す。
図19(F)に、点P
6で計測される第2差分相関値WBを示す。
図19で、B
t、VB
tおよびWB
tでは、添え字tは時間を表す。添え字t+1は、添え字tに対応する時点から第1のチップ時間SAだけ経過した時点を表す。GB
mは、チップ相関器912(m)の出力であることを表す。UA
mは、加算器913(m)の出力であることを表す。VA
mは、第1差分位相値計算部960(m)の出力であることを表す。GB
mおよびUA
mは、VB
1がGB
1に対応し、VB
NAがGB
NAに対応する時点での値を示す。すなわち、t=NAとする。
【0146】
図19(A)に示す第2相関値B
tは、以下の式で計算できる値を取る。
B
t=CA[t]*NB*exp(j2πΔF*SA*t) t=1~NA
CA[t]は第1の拡散符号であり、SAごとにランダムに「+1」と「-」の値をとる。B
tは、2πΔF*SAで回転しながら時々180度(πラジアン)の位相変化が発生するような複素信号になる。
図19(A)では、2πΔF*SA≒0.49πラジアンすなわち約88度の位相がSAの間に変化する場合である。
【0147】
図19(B)に示す第2差分位相値VB
tは、以下の式で計算できる値を取る。
VB
t=CD[t]*exp(j2πΔF*SA) t=1~NA
CD[t]は差分符号であり、SAごとにランダムに「+1」と「-」の値をとる。VB
tは、2πΔF*SA≒約88度または(π+2πΔF*SA)≒約268度の位相を有する振幅1の複素数になる。なお、振幅|VB
t|=1の振幅の大きさは、振幅|B
t|=NBの振幅と等しいとする。第2差分位相値VB
tは、差分符号の値によるランダム性は残るが、同一方向を向く複素ベクトルになる。
【0148】
図19(C)に示す逆拡散後第2積算値GB
mは、以下の式で計算できる値を取る。なお、CD[m]
2=1である。
GB
m=CD[m]*VB
m=exp(j2πΔF*SA) m=1~NA
GB
mは、2πΔF*SA≒約88度の位相を有する振幅1の複素数になる。逆拡散後第2積算値GB
mは、同一方向の複素ベクトルになる。このように第2差分位相値計算部950を動作させることで、逆拡散後第2積算値GB
mの位相を同じにして、逆拡散後第2積算値GB
mの和である第1相関値Aの振幅を大きくできる。
【0149】
図19(D)に示す単位第1相関値UA
mは、2πΔF*SA≒約88度の位相を有する振幅が|UA
m|=DA=4の複素数になる。第1差分位相値計算部960(1)~(NA-1)が動作しないので、
図19(E)に示す単位第1相関値UA
i+1も、2πΔF*SA≒約88度の位相を有する振幅|UA
m+1|=DA=4である複素数になる。
図19(F)に示す第2差分相関値WB
NAは、2πΔF*SA≒約88度の位相を有する振幅|WB
NA|=(NA‐DA)=28である複素数になる。第1の拡散符号CA[m]の同期がとれていない場合の第2差分相関値WB
m、m=1~NA-1は、2πΔF*SA≒約88度の位相を有する振幅|WB
m|が小さい複素数になる。
【0150】
図20に、第2の拡散符号CBの同期がとれておらず、第2相関値Bの振幅が4である場合を示す。
図20(A)に示す第2相関値B
tは、以下の式で示すように振幅がNBではなく4である複素数である。
B
t=CA[t]*4*exp(j2πΔF*SA*t) t=1~NA
振幅の大きさが異なるが、
図20(A)に示すB
mは、
図19(A)に示すB
mと同様に、mが1増加するごとに2πΔF*SA≒約88度だけ位相が増加しながら時々180度(πラジアン)の位相変化が発生するような複素信号になる。
図20(B)に示す第2差分位相値VB
tは、振幅を単位量にしているので、
図19(B)と同じになる。
図20(C)などについても同様である。
【0151】
図21に、第2の拡散符号CBの同期がとれておらず、第2相関値Bの振幅が1未満で雑音成分の方が信号成分よりも大きい場合を示す。
図21(A)に示す第2相関値B
mは、振幅|B
m|がゼロに近くランダムな位相をとる複素信号になる。第2差分位相値VB
mおよび逆拡散後第2積算値GB
mは、ランダムな位相を有する振幅が1である複素信号である。GB
mを積算した第2差分相関値WB
NAも、振幅|A
NA|が
図21に示す場合は約8.5で第2相関値Bが大きい場合の約30%という小さい値になる。
【0152】
第2差分位相値計算部950が動作する場合に、SB/2が経過ごとに出力される第2差分相関値WBの振幅は、
図22に示すようになる。ここでは、NA=32、NB=8、NC=256の場合を示す。
図22には、第2差分位相値計算部950および第1差分位相値計算部960を動作させない場合の第1相関値Aを点線で示し、周波数偏差ΔF=0である場合の第1相関値A(符号A0で示す)を破線で示す。図では、第2差分位相値WBは、すべての符号位置での最大値で除算した値を示す。第1相関値AおよびA0は、すべての符号位置でのA0の最大値で除算した値を示す。
【0153】
第1の拡散符号CAの同期がとれている期間で、振幅|WB|=振幅|A0|=1となる。第1相関値Aの振幅|A|は、すべての符号位置で振幅|A|<0.1となっている。第2差分相関値WBを使用することで、周波数偏差ΔF≠0である場合でも第1の拡散符号CAの同期がとれている期間を検出できる。なお、第1の拡散符号CAの同期がとれている期間では、同期がとれていない符号位置においても、第2差分相関値WBの振幅|WB|が振幅|WB|=1となる理由は、VBの振幅を単位量にしているためである。
【0154】
比較例として、第2差分位相値計算部950および第1差分位相値計算部960を動作させない場合について説明する。
図23は、実施の形態1に係る同期捕捉回路の粗検出時の第2差分位相値計算部が動作しない動作状態を示す図である。
図24は、実施の形態1に係る同期捕捉回路の粗検出時の第2差分位相値計算部が動作しない場合の各部で計測される複素信号を示す図である。縦列接続拡散符号PNの同期がとれている場合を示す。
【0155】
図24(A)に示す第2相関値B
tは、
図19(A)に示すものと同じである。第2差分位相値計算部950が動作しない場合なので、点P
2でも第2相関値B
tが計測される。
図24(C)に示す逆拡散後第2積算値GB
mは、以下の式で計算できる値を取る。なお、CA[m]
2=1である。
GB
m=CA[m]*VB
m=exp(j2πΔF*SA*m) m=1~NA
GB
mは、GB
m-1に対して2πΔF*SA≒88度だけ大きい位相を有する振幅|GB
m|=1である複素数になる。
図24(A)では2πΔF*SA*DA≒88度なので、GB
4k-3、k=1~MAの位相が約88~32度の範囲に存在し、GB
4k-2、k=1~MAの位相が約176~120度の範囲に存在し、GB
4k-3、k=1~MAの位相が約264~208度の範囲に存在し、GB
4k、k=1~MAの位相が約344~296度の範囲に存在する。まとめると、GB
k、k=1~NAは、互いに34度の間隔を有する4か所の56度の範囲の中に存在することになる。
【0156】
図24(D)および(E)に示す単位第1相関値UA
mは、振幅|UA
m|≒0.10の複素数になる。UA
mの位相は、約220~156度の範囲に均等に存在する。
図24(F)に示す第1相関値A
NAは、縦列接続拡散符号PNの同期がとれている場合にも関わらず、振幅|A
NA|≒0.76の複素数になる。第2差分位相値計算部950が動作する場合には、振幅|A
NA|=28なので、約1/37になっている。振幅|A
NA|が小さく、雑音の影響が大きくなり、同期系列位置の精度が劣化する。このように周波数偏差ΔFが大きく、逆拡散後第2積算値GB
mが350度に近いあるいは360度を越えて分散して存在する場合は第1相関値A
NAの振幅がゼロに近い値になり、拡散符号の同期系列位置を正確に求めることが難しい。
【0157】
別の比較例として、第2差分位相値計算部950を動作させず、第1差分位相値計算部960を動作させる場合について説明する。
図25は、実施の形態1に係る同期捕捉回路の粗検出時に第1差分位相値計算部が動作する動作状態を示す図である。
図26は、実施の形態1に係る同期捕捉回路の粗検出時に第1差分位相値計算部が動作する場合の各部で計測される複素信号を示す図である。縦列接続拡散符号PNの同期がとれている場合を示す。
【0158】
図25では、第2差分位相値計算部950が動作しないので、点P
2で計測される信号は、第2相関値Bである。符号選択部970は、第1の拡散符号CA[m]を出力する。第1差分位相値計算部960が動作するので、P
5,1~P
5,MA-1で計測される信号は、第1差分位相値VA
iである。点P
6で計測される信号は、第1差分相関値WAである。
【0159】
図26(A)~(D)は、
図24(A)~(D)と同じである。
図26(D)に示す単位第1相関値UA
mは、振幅|UA
m|≒0.10の複素数になる。
図26(E)に示す第1差分位相値VA
1~VA
MA-1は、振幅|VA
m|=1で位相が約-8度の複素数になる。
図26(F)に示す第1相関値A
NAは、振幅|A
NA|=(MA-1)で位相が約-8度の複素数になる。第2差分位相値計算部950を動作させず、第1差分位相値計算部960を動作させる場合でも、第1差分位相値VA
1~VA
MA-1の位相をほぼ同じにして、第1差分相関値WA
NAの振幅|WA
NA|=(MA-1)になる。周波数偏差ΔFは、実際は時間SAで88度進むものを、SAの4倍の時間で8度遅れると計算する。周波数偏差ΔFが大きい場合には、第2差分位相値計算部950を動作させず第1差分位相値計算部960を動作させて計算した第1相関値A
NAの位相に基づき周波数偏差ΔFを計算することはできない。
【0160】
図26は、雑音成分を無視して計算したものである。雑音成分が大きい場合は、単位第1相関値UA
mは、振幅および位相が
図26(E)に示すものから大きく変化すると考えられる。雑音成分が大きい場合は、第1差分位相値VA
1~VA
MA-1の位相は、広い範囲に分散すると思われ、第1相関値A
NAの振幅|A
NA|は、(MA-1)よりも小さい値になると考えられる。
【0161】
第1差分位相値計算部において、特許文献1と同様に一方の複素数の複素共役をとって複素乗算する場合には、第1差分位相値VA1~VAMA-1は、振幅|VAm|≒0.010の複素数になる。周波数偏差ΔF=0の場合の、振幅|VAm|=DA2=16と比較して、約1/160になっており、拡散符号の同期系列位置を求める精度は低下する。
【0162】
第2差分位相値計算部950を動作させて周波数偏差ΔFが小さくなると、動作制御部945は、第2差分位相値計算部950を動作させず、第1差分位相値計算部960を動作させるように制御する。周波数偏差ΔFが小さくなり第1差分位相値計算部960を動作する状態で、同期捕捉回路9の各部で計測される複素信号は、
図27に示す状態になる。第1差分位相値計算部960が、第1差分相関値WAを出力する。
図27は、実施の形態1に係る同期捕捉回路の精検出時に第1差分位相値計算部が動作する場合の各部で計測される複素信号を示す図である。
図27での周波数偏差ΔFは、
図26の場合の周波数偏差ΔFの1/8である。すなわち、2πΔF*SA≒0.061πラジアン≒11度である。
【0163】
図27(A)に示す第2相関値B
tは、CA[t]が変化しないタイミングではB
tとB
t+1が2πΔF*SA≒11度の位相差を有して並ぶ。
図27(C)に示す逆拡散後第2積算値GB
mは、GB
mとGB
m+1が2πΔF*SA≒11度の位相差を有して並ぶ。
図27(D)に示す単位第1相関値UA
mは、UA
mとUA
m+1が2πΔF*SA*DA≒44度の位相差を有して並ぶ。そのため、
図27(E)に示す第1差分位相値VA
mは、2πΔF*SA*DA≒44度の位相を有する振幅1の複素数になる。
図27(F)に示す第1差分相関値WA
NAは、2πΔF*SA*DA≒44度の位相を有する振幅|WA
NA|が|WA
NA|=(MA-1)である複素数になる。
【0164】
周波数偏差ΔFが小さい場合には、第1差分位相値計算部960を動作させることで、周波数偏差ΔFが検出できる。第1差分位相値計算部960が動作する場合に、SB/2が経過ごとに出力される第1差分相関値WAの振幅は、
図28に示すようになる。
図28には、第1相関値Aと第1相関値A0も示す。
図28は、同期捕捉回路の精検出時の符号位置による第1差分相関値WAおよび第1相関値Aの振幅の変化を示す図である。精検出で得られる第1差分位相値WAは、第1の拡散符号CAおよび第2の拡散符号CBの同期がとれる符号位置を検出できる。第1差分位相値VAの振幅を単位量にしているので、第1の拡散符号CAの同期がとれていない期間では、振幅|WA|>振幅|A0|となる。なお、
図28に示す第1差分位相値計算部960が動作する場合には振幅|WA
NA|=(MA-1)であり、振幅|A|=NAよりも小さい。図では振幅を最大値で除算した値で示しているため、第1の拡散符号CAの同期がとれていない期間において、振幅|WA|が振幅|A0|に対する比率が実際よりも大きく図示される。
【0165】
同期捕捉回路9は、周波数偏差ΔFが大きい場合でも、従来よりも高精度に周波数偏差を計算して拡散符号の同期系列位置を求められる。
【0166】
以下で、実施の形態1の変形例について説明する。各変形例は、他の変形例と自由に組み合わせて実施できる。他の実施の形態にも、各変形例および複数の変形例の自由な組み合わせを適用できる。
【0167】
第1の変形例.
図29を参照して、実施の形態1に係る同期捕捉回路の第1の変形例の構成を説明する。
図29は、実施の形態1に係る同期捕捉回路の第1の変形例の構成を示す機能ブロック図である。第1の変形例では、CB相関処理部でSBごとの時点の受信信号と第2の拡散符号CBとの積の和を計算する。同期捕捉回路9Aは、CB相関処理部901Aを有する。
【0168】
CB相関処理部901Aは、遅延処理部121A、第2相関値計算部122Aを備える。遅延処理部121Aは、(2NB-1)個のDFF902(1)~(2NB-1)を備えている。遅延処理部121Aは、遅延処理部121と比較してDFFの個数が1個少ない。第2相関値計算部122Aは、NB個のチップ相関器903(2m-1)、m=1~NBを備えている。NB個の各チップ相関器903(2m-1)には、DFF902(2m-1)が出力する複素BB信号(BBI3[2m-1]+jBBQ3[2m-1])と、第2の拡散符号CB[m]が入力される。加算器904Aは、NB個のチップ相関器903(2m-1)、m=1~NBが出力するNB個の複素数の和を計算する。第2相関値計算部122Aは、前に示した式(1A)により第2相関値Bを計算する。CB相関処理部901Aが計算する第2相関値Bは、NB個の逆拡散後受信信号GRの和を表す複素数である。CB相関処理部901Aは、第2相関値Bを計算する逆拡散後受信信号積算部である。CB相関処理部901Aでは、第2逆拡散個数はNBである。逆拡散個数は、NCになる。ユニット個数は、NCをユニット数MAで除算した値(NC/MA=NB*DA)になる。
【0169】
同期捕捉回路9Aが有するNB個のチップ相関器903は、チップ時間の間隔を有するように選択された第2の系列長の個数の受信信号の各々と、受信信号の各々が属するチップの第2の系列長の中での位置に応じて決まる第2の拡散符号の各々とを乗算して得られる複素数である第2逆拡散後受信信号を計算する、第2の系列長である第2逆拡散個数の第2逆拡散後受信信号計算部である。
【0170】
NB個のチップ相関器903とNA個のチップ相関器912は、第2の系列長の個数の受信信号の各々と、受信信号の各々が属するチップの系列長の中での位置に応じて決まる拡散符号の各々とを乗算して得られる複素数である逆拡散後受信信号を、第2の系列長である逆拡散個数だけ計算する、逆拡散後受信信号計算部である。
【0171】
第1の変形例の同期捕捉回路9Aは、同期捕捉回路9と同様に動作する。同期捕捉回路9Aは、従来よりも高精度に周波数偏差を計算して拡散符号の同期系列位置を求められる。同期捕捉回路9Aは、第2相関値Bを、逆拡散の時と同じ式で計算できる。2倍のオーバサンプリングで全時点での受信信号を使用して第2相関値Bを計算する場合よりも、ピーク付近で計算時点が1個増減する場合の第2相関値Bの変化が大きくなる。また、同期捕捉回路9Aは、CB相関処理部901Aでの乗算器の個数を少なくできる。
【0172】
第2の変形例.
第2の変形例は、スペクトラム拡散受信機が受信信号をオーバサンプリングしないで、SBが経過するごとに複素BB信号を生成する場合である。
図30を参照して、実施の形態1に係る同期捕捉回路の第2の変形例の構成を説明する。
図30は、実施の形態1に係る同期捕捉回路の第2の変形例の構成を示す機能ブロック図である。
【0173】
第2の変形例の同期捕捉回路9Bには、受信信号をオーバサンプリングしないで、SBが経過するごとに複素BB信号が入力される。同期捕捉回路9Bは、CB相関処理部901B、CA相関処理部910B、平均化処理部930B、ピーク検出判定部940Bを有する。同期捕捉回路9Bには、SBが経過するごとに複素BB信号(BBI3+jBBQ3)が入力される。
【0174】
CB相関処理部901Bは、遅延処理部121B、第2相関値計算部122Bを備える。遅延処理部121Bは、NB個のDFF902(1)~(NB)を備えている。遅延処理部121Bは、遅延処理部121と比較してDFFの個数が半分である。第2相関値計算部122Bは、NB個のチップ相関器903(1)~(NB)を備えている。mを、m=1~NBの整数とする。NB個の各チップ相関器903(m)には、第2の拡散符号CB[m]が入力される。チップ相関器903(m)は、DFF902(m)が出力する複素BB信号(BBI3(m)+jBBQ3(m)とCB[m]とを乗算する。
【0175】
加算器904Bは、NB個のチップ相関器903(1)~(NB)が出力するNB個の複素数の和を計算する。第2相関値計算部122Bは、以下に示す式で第2相関値Bを計算する。
【0176】
【数3】
CB相関処理部901Bでは、第2逆拡散個数および第2時点数はNBである。
【0177】
同期捕捉回路9Bが有するNB個のチップ相関器903は、総時点数の個数の受信信号の各々と、受信信号の各々が属するチップの第2の系列長の中での位置に応じて決まる第2の拡散符号の各々とを乗算して得られる複素数である第2逆拡散後受信信号を計算する、総時点数である第2逆拡散個数の第2逆拡散後受信信号計算部である。
【0178】
NB個のチップ相関器903とNA個のチップ相関器912は、総時点数の個数の受信信号の各々と、受信信号の各々が属するチップの系列長の中での位置に応じて決まる拡散符号の各々とを乗算して得られる複素数である逆拡散後受信信号を、総時点数である逆拡散個数だけ計算する、逆拡散後受信信号計算部である。
【0179】
CA相関処理部910Bは、単位第1相関値計算ユニット221B(1)~(MA)を有する。単位第1相関値計算ユニット221B(i)では、DA個の遅延回路911B(DA*i-DA+1)~(DA*i)を変更している。遅延回路911B(m)は、NB個の第2積算値XBを記憶する。遅延回路911B(m)は、SBが経過するごとに1個の第2積算値XBが入力され、NB個前に入力された第2積算値XBを出力する。
【0180】
NA個の遅延回路911Bの各々は、NB個の第2積算値XBを記憶する。NA個の遅延回路911は、総時点数の第2積算値XBを記憶する第2積算値記憶部である。
【0181】
平均化処理部930Bは、NCサンプルの中で同じ位置のサンプルの電力Cが計算されるごとに、電力Cの平均を算出する。平均化処理部930Bは、1時点(1チップ)ずつ受信信号をずらして計算されたNC個の第1相関値Aの電力Cを記憶する。
【0182】
ピーク検出判定部940Bは、平均化処理部930Bに記憶されたNC個の電力Cが最大のピークになる時点を求める。
【0183】
オーバサンプリングしない場合のスペクトラム拡散受信機は、同期捕捉回路9B以外の構成要素も変更している。
図31から
図33を参照して、実施の形態1に係る同期捕捉回路の第2の変形例が使用されるスペクトラム拡散受信機の構成を説明する。
図31は、実施の形態1に係る同期捕捉回路の第2の変形例が使用されるスペクトラム拡散受信機の構成を示すブロック図である。
図32は、実施の形態1に係る同期捕捉回路の第2の変形例が使用されるスペクトラム拡散受信機が有するタイミング補正器の構成を示すブロック図である。
図33は、実施の形態1に係る同期捕捉回路の第2の変形例が使用されるスペクトラム拡散受信機が有する逆拡散器の構成を示すブロック図である。
【0184】
図31に示すように、本変形例のスペクトラム拡散受信機1Bが、実施の形態1のスペクトラム拡散受信機1と相違する点は、以下である。
スペクトラム拡散受信機1Bは、実施の形態1のタイミング補正器5、逆拡散器7、同期捕捉回路9に代えて、タイミング補正器5B、逆拡散器7B、同期捕捉回路9Bを備える。スペクトラム拡散受信機1Bは、実施の形態1の同期追従回路8を備えない。
【0185】
図32に示すように、タイミング補正器5Bが、実施の形態1のタイミング補正器5と相違する点は、NCO54には、(2Rc-ΔRc)ではなく、Rcが入力されることである。タイミング補正器5Bは、BBI1、BBQ1を2倍にオーバサンプリングしない。
【0186】
図33に示すように、逆拡散器7Bが、実施の形態1の逆拡散器7と相違する点は、第1の乗算器71、第2の乗算器72、第5の乗算器75、第6の乗算器76、第1の1サンプル遅延回路78、第2の1サンプル遅延回路77、第1の積分&間引回路91、第2の積分&間引回路92、第5の積分&間引回路95、第6の積分&間引回路96を備えない点である。オーバサンプリングしないので、逆拡散器7Bは、複素BB信号(BBI4+jBBQ4)だけを出力すればよいためである。
【0187】
第2の変形例の同期捕捉回路9Bは、同期捕捉回路9と同様に動作する。同期捕捉回路9Bは、周波数偏差ΔFが大きい場合でも、従来よりも高精度に周波数偏差を計算して拡散符号の同期系列位置を求められる。なお、受信信号をオーバサンプリングしていないので、同期追従回路によるチップタイミングの補正はできない。
【0188】
第3の変形例.
図34を参照して、実施の形態1に係る同期捕捉回路の第3の変形例の構成を説明する。
図34は、実施の形態1に係る同期捕捉回路の第3の変形例の構成を示す機能ブロック図である。第3の変形例では、CB相関処理部901が計算した第2相関値Bを、チップ相関器912(NA)および遅延回路911(NA‐1)に入力する。同期捕捉回路9Cは、CA相関処理部910Cを有する。
【0189】
CA相関処理部910Cでは、単位第1相関値計算ユニット221C(MA)だけが、単位第1相関値計算ユニット221(1)~(MA-1)とは構成が異なる。単位第1相関値計算ユニット221C(MA)は、遅延回路911(NA)を有さない。SB/2が経過するごとに第2差分位相値計算部950が出力し、単位第1相関値計算ユニット221C(MA)に入力される第2積算値XBは、チップ相関器912(NA)および遅延回路911(NA-1)に入力される。
【0190】
CA相関処理部910Cは、2NB個の第2相関値Bを記憶する(NA-1)個の遅延回路911を有する。(NA-1)個すなわち第1の系列長NAから1を減算して得られる整数を、最小台数と呼ぶ。(NA-1)個の遅延回路911は、2NB個すなわち第2時点数に最小台数を乗じた数の第2相関値Bを記憶する第2積算値記憶部である。CA相関処理部が記憶する第2相関値Bの個数は、第2時点数に最小台数を乗算して得られる整数以上であればよい。CA相関処理部が記憶する第2相関値Bの個数を、保存数と呼ぶ。保存数は、第2時点数に第1の系列長を乗算して得られる数よりも大きくてもよい。具体的には、第2差分位相値計算部950の出力と、チップ相関器912(NA)および遅延回路911(NA-1)の入力の間に、遅延回路を有しないか、1個以上の任意の個数の第2相関値Bを記憶する遅延回路を有すればよい。
【0191】
第3の変形例の同期捕捉回路9Cは、同期捕捉回路9と同様に動作する。同期捕捉回路9Cは、周波数偏差ΔFが大きい場合でも、従来よりも高精度に周波数偏差を計算して拡散符号の同期系列位置を求められる。同期捕捉回路9Cは、遅延回路あるいはメモリの個数を少なくして、構成が簡素になる。
【0192】
第4の変形例.
図35を参照して、実施の形態1に係る同期捕捉回路の第4の変形例の構成を説明する。
図35は、実施の形態1に係る同期捕捉回路の第4の変形例の構成を示す機能ブロック図である。第4の変形例では、CA相関処理部910Dが遅延回路911の替わりにメモリ部224を有する。同期捕捉回路9Dは、CA相関処理部910Dを有する。
【0193】
CA相関処理部910Dは、単位第1相関値計算ユニット221D(1)~(MA)、書込制御部223、メモリ部224、読出制御部225を有する。単位第1相関値計算ユニット221D(1)~(MA)は、遅延回路911(1)~(NA)を有さない。SB/2が経過するごとに第2差分位相値計算部950が出力する第2積算値XBは、書込制御部223によりメモリ部224の指定されたアドレスに書き込まれる。読出制御部225は、2NBサンプルの間隔を有してNA個の第2積算値XBが読み出される。
【0194】
メモリ部224は、シングルポートを有し、NN2個の第2相関値Bを記憶することができる。ただし、NN2≧2NB*(NA-1)+1である。メモリ部224は、1度には読み出しまたは書き込みしかできない。ここで、NALW=NN2-(2NB*(NA-1)+1)とする。NALWは、メモリ部224に第2相関値Bを記憶できる個数NN2が、記憶できなければならない必要最小数よりもどれだけ大きいかを表わす。NALW≧0である。第2時点数に最小台数を乗じた数以上の個数である保存数の第2相関値Bを記憶する第2積算値記憶部である。保存数の第2相関値Bを記憶する記憶装置でれば、第2積算値記憶部はどのようなものでもよい。
【0195】
書込制御部223は、メモリ部224のjwで指定されるアドレスに第2相関値Bを書き込む。jw=1~NN2である。jwは、順番に1ずつ増加する。jw=NN2の次は、jw=1に戻る。
【0196】
メモリ部224のjwで指定されるアドレスに第2相関値Bを書き込んだ後に、読出制御部225は、2NBサンプルの間隔を有してCB相関処理部901が出力したNA個の第2相関値Bをメモリ部224から読み出す。読出制御部225は、式(3)に従って、メモリ部224内のアドレスjr[k]、k=1~NAから読み出された第2相関値Bをチップ相関器912(k)に出力する。ここで、jwとjr[NA]との差を、変数NOSTで表わす。NALW≧NOST≧0である。
jr[k]=mod(jw-NOST+2NB*(k-NA), NN2)・・・(3)
【0197】
第4の変形例の同期捕捉回路9Dは、同期捕捉回路9と同様に動作する。同期捕捉回路9Dは、周波数偏差ΔFが大きい場合でも、従来よりも高精度に周波数偏差を計算して拡散符号の同期系列位置を求められる。
【0198】
第5の変形例.
図36を参照して、実施の形態1に係る同期捕捉回路の第5の変形例の構成を説明する。
図36は、実施の形態1に係る同期捕捉回路の第5の変形例の構成を示す機能ブロック図である。第5の変形例では、第2差分位相値計算部950Eおよび第1差分位相値計算部960Eが、1方の複素数の複素共役と他方の複素数とを乗算することで2個の複素数の位相差を有する複素数として差分位相値(第1差分位相値あるいは第2差分位相値)を計算する。同期捕捉回路9Eは、第2差分位相値計算部950Eおよび第1差分位相値計算部960Eを有するCA相関処理部910Eを有する。
【0199】
図37を参照して、第2差分位相値計算部950Eの構成を説明する。
図37は、実施の形態1に係る同期捕捉回路の第5の変形例が有する第2差分位相値計算部の構成を示す図である。第2差分位相値計算部950Eは、遅延回路952、複素共役部956および複素乗算器957を有する。
【0200】
第2差分位相値計算部950Eには、SB/2が経過するごとに第2相関値Bが入力される。遅延回路952は、NBチップ(2NBサンプル)に相当する時間(=第1のチップ時間SA)だけ遅延させる。遅延回路952は、遅延した第2相関値BDELAYを出力する。複素共役部956は、第2相関値BDELAYの複素共役BDELAY
*を計算して出力する。複素乗算器957は、BとBDELAY
*を複素数として乗算する。複素乗算器957は、第2差分位相値VBをVB=B*BDELAY
*を計算して出力する。第2差分位相値計算部950Eの出力は、第2差分位相値VBである。
【0201】
図38を参照して、第1差分位相値計算部の構成を説明する。
図38は、実施の形態1に係る同期捕捉回路の第5の変形例が有する第1差分位相値計算部の構成を示す図である。第1差分位相値計算部960E(i)は、複素共役部966および複素乗算器967を有する。
【0202】
第1差分位相値計算部960E(i)には、SB/2が経過するごとに単位第1相関値UAi+1およびUAiが入力される。複素共役部966は、単位第1相関値UAiの複素共役UAi
*を計算して出力する。複素乗算器967は、UAi+1とUAi
*を複素数として乗算する。複素乗算器967は、第1差分位相値VAi=UAi+1*UAi
*を計算して出力する。第1差分位相値計算部960Eの出力は、第1差分位相値VAである。
【0203】
第5の変形例の同期捕捉回路9Eは、同期捕捉回路9と同様に動作する。同期捕捉回路9Eは、周波数偏差ΔFが大きい場合でも、従来よりも高精度に周波数偏差を計算して拡散符号の同期系列位置を求められる。さらに、同期捕捉回路9Eは、同期捕捉回路9よりも同期系列位置を高精度で検出できる。
【0204】
第2差分位相値計算部950Eが動作する場合に、SB/2が経過ごとに出力される第2差分相関値WBの振幅は、
図39に示すようになる。
図39は、第5の変形例の同期捕捉回路の粗検出時の符号位置による第2差分相関値WBおよび第1相関値Aの振幅の変化を示す図である。
図39に示すように、複素共役をとる変形例5では、第1の拡散符号CAおよび第2の拡散符号CBの同期がとれる符号位置で第2差分相関値WBが最大のピークをとる。第2差分相関値WBにより、第1の拡散符号CAおよび第2の拡散符号CBの同期がとれる符号位置を検出できる。
【0205】
第1差分位相値計算部960Eが動作する場合に、SB/2が経過ごとに出力される第1差分相関値WAの振幅は、
図40に示すようになる。
図40は、第5の変形例の同期捕捉回路の精検出時の符号位置による第1差分相関値WAおよび第1相関値Aの振幅の変化を示す図である。
【0206】
第2差分位相値計算部950Eは、入力される第2相関値Bの振幅に比例した第2差分位相値VBを出力する。第1差分位相値計算部960E(i)は、入力される単位第1相関値UAi+1およびUAiに比例した第1差分位相値VAiを出力する。そのため、第2差分相関値WBおよび第1差分相関値WAは、計算に使用する第2相関値Bの振幅により変化する値を計算する。計算に使用する第2相関値Bの振幅が大きい場合には、第2差分相関値WBおよび第1差分相関値WAの振幅は大きくなる。第2相関値Bの振幅が小さい場合には、第2差分相関値WBおよび第1差分相関値WAの振幅は小さくなる。その結果、同期捕捉回路9Eは、第2相関値Bの相関結果の大小も考慮して同期系列位置を検出できる。
【0207】
第6の変形例.
図41を参照して、実施の形態1に係る同期捕捉回路の第6の変形例の構成を説明する。
図41は、実施の形態1に係る同期捕捉回路の第6の変形例の構成を示す機能ブロック図である。第6の変形例では、CA相関処理部910Fが第1差分位相値計算部960を有しない。同期捕捉回路9Fは、CA相関処理部910Fを有する。
【0208】
CA相関処理部910Fは、第1差分位相値計算部960を有しない。第1差分位相値計算部960を有しないので、単位第1相関値計算ユニット221および加算器913も有しない。加算器914Fは、チップ相関器912(1)~(NA)が出力する逆拡散後第2積算値GB1~GBNAを加算する。動作制御部945Fは、制御信号G3を出力しない。
【0209】
第1差分位相値計算部960を有しないので、動作制御部945Fは、制御信号G3を出力しない。制御信号G4Fの内容を変更している。制御信号G4Fは、例えば以下の何れかの値をとる。制御信号G4Fとして、G4F=0またはG4F=2が出力される。
(制御信号G4Fの値の意味)
0:第2差分位相値計算部950が不動作。
2:第2差分位相値計算部950が動作。
【0210】
周波数偏差計算部925Fは、G4F=0の場合は、第1相関値Aの位相の時間変化率に基づき周波数偏差ΔFを計算する。周波数偏差計算部925Fは、G4F=2の場合は、第2差分相関値WBの位相に基づき周波数偏差ΔFを計算する。
【0211】
動作制御部945Fは、以下のように場合分けして制御信号を出力する。
(ア)ΔF≧TH1である(粗検出)場合は、第2差分位相値計算部950が動作するように、G4F=2、G1=G2=ONを出力する。
(イ)TH1>ΔFである場合は、第2差分位相値計算部950を動作させないように、G4F=0、G1=G2=OFFを出力する。
【0212】
同期捕捉回路9Fでは、第1積算値XAは、第2差分位相値計算部950が動作する場合は、第2差分相関値WBである。第2差分位相値計算部950が動作しない場合は、第1積算値XAは第1相関値Aである。
【0213】
第6の変形例の同期捕捉回路9Fは、同期捕捉回路9と同様に動作する。同期捕捉回路9Fは、周波数偏差ΔFが大きい場合でも、従来よりも高精度に周波数偏差を計算して拡散符号の同期系列位置を求められる。ただし、同期捕捉回路9Fでは、ΔFが第1閾値TH1以上である(ΔF≧TH1)場合に、第2差分位相値計算部950が動作する。周波数偏差ΔFが第1閾値TH1より小さい(ΔF<TH1)場合に、第2差分位相値計算部950が動作しない。
【0214】
第7の変形例.
図42を参照して、実施の形態1に係る同期捕捉回路の第7の変形例の構成を説明する。
図42は、実施の形態1に係る同期捕捉回路の第7の変形例の構成を示す機能ブロック図である。第7の変形例では、単位第1相関値計算ユニット221(1)が出力する単位第1相関値UA
1も含めて第1相関値Aを計算できる。同期捕捉回路9Gは、CA相関処理部910Gを有する。
【0215】
CA相関処理部910Gは、スイッチ996を有する。スイッチ996は、単位第1相関値計算ユニット221(1)の出力と加算器914の間に設けられる。スイッチ996は、動作制御部945Gが出力する制御信号G5により、入り切りが制御される。制御信号G5は、第1差分位相値計算部960の動作を制御する制御信号G3がOFFの場合に、ONになる。ONの制御信号G5が入力される場合に、スイッチ996は入りになる。制御信号G3がONの場合に、制御信号G5がOFFになり、スイッチ996は切りになる。スイッチ996は、入りの場合に単位第1相関値UA1を出力する。スイッチ996は、切りの場合にゼロを出力する。このようにスイッチ996の入り切りを制御することで、単位第1相関値計算ユニット221(1)が出力する単位第1相関値UA1も含めて第1相関値Aを計算できる。
【0216】
動作制御部945Gは、制御信号G1、G2、G3、G4、G5を出力する。動作制御部945Gは、以下のように場合分けして制御信号を出力する。
(ア)ΔF≧TH1である場合は、第2差分位相値計算部950が動作し、単位第1相関値UA1も含めて第2差分相関値WBを計算できるように、G1=G2=ON、G3=OFF、G4=2、G5=ONを出力する。
(イ)TH1>ΔF≧TH2である場合は、第1差分位相値計算部960が動作するように、G4=1、G1=G2=OFF、G3=ON、G5=OFFを出力する。
(ウ)TH2>ΔFである場合は、いずれも動作せず、単位第1相関値UA1も含めて第1相関値Aを計算できるように、G4=0、G1=G2=G3=OFF、G5=ONを出力する。
【0217】
単位第1相関値計算ユニット221(i)にOFFの制御信号G3が入力される場合に、単位第1相関値計算ユニット221(i)が単位第1相関値UAiを出力するようにしてもよい。その場合には、スイッチ996は、単位第1相関値計算ユニット221(MA)の出力と加算器914の間に設けられる。その場合も、スイッチ996は、前述したのと同様に制御信号G5により入り切りが制御される。
【0218】
スイッチ996は、最前の単位第1相関値計算ユニット221(1)の出力または最新の単位第1相関値計算ユニット221(MA)の出力と加算器914の間に設けられ、入力される複素数またはゼロを切り替えて出力する第1スイッチである。加算器914は、第1選択出力部の出力の和を出力する第1加算器である。第1差分位相値計算部960(i)が前の方の単位第1相関値UAiを出力する場合は、最新の単位第1相関値計算ユニット221(MA)の出力がスイッチ996に入力される。第1差分位相値計算部960(i)が新しい方の単位第1相関値UAi+1を出力する場合は、最前の単位第1相関値計算ユニット221(1)の出力がスイッチ996に入力される。
【0219】
第7の変形例の同期捕捉回路9Gは、同期捕捉回路9と同様に動作する。同期捕捉回路9Gは、周波数偏差ΔFが大きい場合でも、従来よりも高精度に周波数偏差を計算して拡散符号の同期系列位置を求められる。同期捕捉回路9Gは、第1差分位相値計算部960を有し、かつ単位第1相関値計算ユニット221(1)が出力する単位第1相関値UA1も含めて第2差分相関値WBおよび第1相関値Aを計算できる。
【0220】
第8の変形例.
図43を参照して、実施の形態1に係る同期捕捉回路の第8の変形例の構成を説明する。
図43は、実施の形態1に係る同期捕捉回路の第8の変形例の構成を示す機能ブロック図である。第8の変形例では、第1相関値積算部と第1差分相関値計算部とがそれぞれ加算器を持つ。同期捕捉回路9Hは、CA相関処理部910Hおよび動作制御部945Hを変更している。
【0221】
CA相関処理部910Hは、第1差分位相値計算部960H(1)~(MA-1)、加算器915およびスイッチ916を有する。第1差分位相値計算部960Hの構成を
図44に示す。第1差分位相値計算部960Hは、SEL部965を有さない。第1差分位相値計算部960H(1)~(MA-1)は、動作する場合は常に第1差分位相値VA
1~VA
MA-1を出力する。第1差分位相値計算部960Hは、制御信号G3により動作が制御される。制御信号G3がONの場合に、第1差分位相値計算部960Hは動作する。G3がOFFの場合に、第1差分位相値計算部960Hは動作しない。
【0222】
加算器914は、(MA-1)個の第1差分位相値計算部960H(1)~(MA-1)が出力する第1差分位相値VA1~VAMA-1を加算して、第1差分相関値WAを出力する。
【0223】
加算器915には、単位第1相関値計算ユニット221(1)~(MA)が出力する単位第1相関値UA1~UAMAが入力される。加算器915は、UA1~UAMAの和である第1相関値Aを出力する。
【0224】
動作制御部945Hは、制御信号G1、G2、G3、G4、G6を出力する。制御信号G6は、スイッチ916の接続元を切り替える制御信号である。
【0225】
スイッチ916は、CA相関処理部910Hの出力として、加算器914の出力または加算器915の出力を切り替えて出力する。スイッチ916は、制御信号G6により制御される。G6とG3は、関連した値を取る。G3がONの場合に、G6は加算器914を接続元にする。スイッチ916は、第1差分相関値WAを出力する。G3がOFFの場合に、G6は加算器915を接続元にする。スイッチ916は、第1相関値Aを出力する。このようにスイッチ916を制御することで、第1差分位相値計算部960Hが動作する場合は、CA相関処理部910Hは第1差分相関値WAを出力する。第1差分位相値計算部960Hが動作しない場合は、CA相関処理部910Hは第1相関値Aまたは第2差分相関値WBを出力する。
【0226】
動作制御部945Hは、以下のように場合分けして制御信号を出力する。
(ア)ΔF≧TH1である場合は、第2差分位相値計算部950が動作し、第2差分相関値WBを出力するように、G4=2、G1=G2=ON、G3=OFF、G6=加算器915を出力する。
(イ)TH1>ΔF≧TH2である場合は、第1差分位相値計算部960が動作し、第1差分相関値WAを出力するように、G4=1、G1=G2=OFF、G3=ON、G6=加算器914を出力する。
(ウ)TH2>ΔFである場合は、いずれも動作せず、第1相関値Aを出力するように、G4=0、G1=G2=G3=OFF、G6=加算器915を出力する。
【0227】
第8の変形例の同期捕捉回路9Hは、同期捕捉回路9と同様に動作する。同期捕捉回路9Hは、周波数偏差ΔFが大きい場合でも、従来よりも高精度に周波数偏差を計算して拡散符号の同期系列位置を求められる。
【0228】
第9の変形例.
図45を参照して、実施の形態1に係る同期捕捉回路の第9の変形例の構成を説明する。
図45は、実施の形態1に係る同期捕捉回路の第9の変形例の構成を示す機能ブロック図である。第9の変形例では、周波数偏差の時間変化の度合いを表す周波数変化率が大きい場合に、第2差分位相値計算部および第1差分位相値計算部を同時に動作させる。同期捕捉回路9Jは、動作制御部945Jおよび周波数偏差計算部925Jを変更している。
【0229】
周波数変化率がゼロまたは小さい場合は、第2差分位相値計算部950が計算する第2差分位相値VBおよび第1差分位相値計算部960が計算する第1差分位相値VAは、周波数偏差ΔFで決まる位相を有する複素ベクトルになる。同一方向の複素ベクトルであるVBまたはVAを積算することで、第2差分相関値WBまたは第1差分相関値WAを大きな値にすることができる。その結果、周波数偏差ΔFが大きい場合でも、同期系列位置を従来よりも高精度で計算できる。
【0230】
周波数変化率が無視できないほど大きい場合は、第2差分位相値計算部950が計算する第2差分位相値VBの位相は周波数変化率に応じて変化する。第2差分位相値VBに対して第1差分位相値計算部960を動作させて、第1差分位相値VAを計算すると、第1差分位相値VAの位相は周波数変化率に応じた値になる。周波数変化率がゼロでない一定値の場合は、第2差分位相値計算部950および第1差分位相値計算部960を動作させる際に得られる第1差分位相値VAの位相は、周波数変化率に応じた一定値になる。第1差分位相値VAは同一方向の複素ベクトルになり、VAを加算することで拡散符号の符号が取れているかどうかをVAの振幅|VA|により判断できる。そのため、周波数変化率がゼロでない場合でも、同期系列位置を従来よりも高精度で求めることができる。
【0231】
動作制御部945Jは、周波数偏差ΔFおよび周波数変化率Fdiffに基づき、第2差分位相値計算部950および第1差分位相値計算部960を動作させるかどうかを制御する。動作制御部945Jは、制御信号G1、G2、G3、G4Jを出力する。
周波数変化計算部925Jは、周波数偏差ΔFおよび周波数変化率Fdiffを計算する。
【0232】
CA相関処理部910が出力する第1積算値XAの位相は、第2差分位相値計算部950および第1差分位相値計算部960が同時に動作する場合は、周波数変化率Fdiffに比例した値になる。第2差分位相値計算部950および第1差分位相値計算部960が同時に動作する場合のCA相関処理部910の出力を、微分位相値VCと呼ぶ。
動作制御部945Jが出力する制御信号G4Jは、以下の値をとる。
(制御信号G4Jの値の意味)
0:第2差分位相値計算部950および第1差分位相値計算部960が不動作。
1:第1差分位相値計算部960が動作。
2:第2差分位相値計算部950が動作。
3:第2差分位相値計算部950および第1差分位相値計算部960が動作。
【0233】
周波数変化計算部925Jは、制御信号G4Jに応じて計算方法を変更して周波数偏差ΔFおよび周波数変化率Fdiffを計算する。周波数変化計算部925Jが計算したΔFおよびFdiffは、動作制御部945Jに入力される。
【0234】
周波数変化計算部925Jは、CA相関処理部910から入力される第1積算値XAに基づき周波数偏差ΔFおよび周波数変化率Fdiffを計算する。第2差分位相値計算部950および第1差分位相値計算部960が動作しない(G4J=0)場合は、第1積算値XAは第1相関値Aである。周波数変化計算部925Jは、最新の決められた期間TXに入力される第1相関値Aの位相の時間変化を近似する二乗誤差が最小になる2次関数を求める。周波数変化計算部925Jは、求めた位相の時間変化を近似する2次関数の2次の項の係数AACCに基づき、周波数変化率Fdiff=AACC/(2π)を計算する。周波数変化計算部925Jは、2次関数の期間TXの最新の時点での接線の傾きAincl2に基づき、周波数偏差ΔFをΔF=Aincl2/(2π)で計算する。
【0235】
第2差分位相値計算部950または第1差分位相値計算部960の一方だけが動作する(G4J=2またはG4J=1)場合は、周波数変化計算部925Jは、期間TXに入力される第1積算値XAの位相の時間変化を近似する二乗誤差が最小になる1次関数を求める。G4J=2である場合は、第1積算値XAは第2差分相関値WBである。周波数変化計算部925Jは、求めた1次関数の傾きXAinclに基づき、Fdiff=XAincl/(2π*SA)でFdiffを計算する。1次関数の期間TXの最新の時点での値XALATESTに基づき、周波数変化計算部925JはΔF=XALATEST/(2π*SA)でΔFを計算する。G4J=1である場合は、第1積算値XAは第1差分相関値XAである。周波数変化計算部925Jは、Fdiff=XAincl/(2π*DA*SA)でFdiffを計算し、ΔF=XALATEST/(2π*DA*SA)でΔFを計算する。
【0236】
第2差分位相値計算部950および第1差分位相値計算部960が動作する(G4J=3)場合は、第1積算値XAは微分位相値VCである。微分位相値VCは、第1のチップ時間SAに発生する位相変化量のDA*SAの時間での変化量になる。期間TXでのXAの平均であるXAAVに基づき、周波数変化計算部925Jは、Fdiff=XAAV/(2π*DA*SA2)でFdiffを計算する。周波数変化計算部925Jは、XAを積分することでΔFを計算する。TXよりも小さい周期TYでFdiffを計算し、Fdiffを積分してΔFを計算してもよい。
【0237】
同期捕捉回路9Jでは、第1積算値XAは、第2差分位相値計算部950および第1差分位相値計算部960が動作する場合は、微分位相値VCである。第2差分位相値計算部950が動作し、かつ第1差分位相値計算部960が動作しない場合は、第1積算値XAは第2差分相関値WBである。第2差分位相値計算部950が動作せず、かつ第1差分位相値計算部960が動作する場合は、第1積算値XAは第1差分相関値WAである。第2差分位相値計算部950および第1差分位相値計算部960が動作しない場合は、第1積算値XAは第1相関値Aである。
【0238】
動作を説明する。動作制御部945Jは、周波数変化率Fdiffが変化率閾値THdiff以上である(Fdiff≧THdiff)場合に、第2差分位相値計算部950および第1差分位相値計算部960を動作させる。
【0239】
動作制御部945Jは、FdiffがTHdiffより小さい(Fdiff<THdiff)場合は、動作制御部945と同様に動作する。Fdiff<THdiffかつΔF≧TH1である場合は、第2差分位相値計算部950を動作させ、第1差分位相値計算部960を動作させない。Fdiff<THdiffかつTH1>ΔF≧TH2である場合は、第2差分位相値計算部950を動作させないで、第1差分位相値計算部960を動作させる。Fdiff<THdiffかつTH2>ΔFである場合に、第2差分位相値計算部950および第1差分位相値計算部960を動作させない。
【0240】
動作制御部945Jは、以下のように場合分けして制御信号を出力する。
(ア)Fdiff≧THdiffである場合は、第2差分位相値計算部950および第1差分位相値計算部960が動作するように、G4J=3、G1=G2=G3=ONを出力する。
(イ)Fdiff<THdiffかつΔF≧TH1である場合は、第2差分位相値計算部950が動作するように、G4J=2、G1=G2=ON、G3=OFFを出力する。
(ウ)Fdiff<THdiffかつTH1>ΔF≧TH2である場合は、第1差分位相値計算部960が動作するように、G4J=1、G1=G2=OFF、G3=ONを出力する。
(エ)Fdiff<THdiffかつTH2>ΔFである場合は、いずれも動作しないように、G4J=0、G1=G2=G3=OFFを出力する。
【0241】
第2差分位相値計算部950および第1差分位相値計算部960が動作する動作状態を、
図46に示す。第2差分位相値計算部950は、第2差分位相値VBを出力する。符号選択部970は、差分符号CD[m]を出力する。第1差分位相値計算部960が、第1差分相関値VAを出力する。
図46の動作状態で、同期捕捉回路9Jの点P
1~P
6で検出される複素信号を複素平面上に表示した図を、
図47に示す。
図47では、縦列接続拡散符号PNの同期がとれている場合の複素信号を示す。
【0242】
図47(A)に示す第2相関値B
mは、回転速度(2πΔF)が増加しながら回転して時々180度(πラジアン)の位相変化が発生するような複素信号になる。
図47(A)では、縦列接続拡散符号PNの1周期の時間であるTPが経過する間に、第1のチップ時間SAでの位相変化量(2πΔF*SA)が約90度から約150度まで増加する場合である。
【0243】
図47(B)に示す第2差分位相値VB
mは、約90度から約150度までの範囲1または約270度から330度の範囲2のどちらかをランダムにとり、範囲1および範囲2の中では時間の経過により増加する位相を有する振幅1の複素数である。
【0244】
図47(C)に示す逆拡散後第2積算値GB
mは、約90度から約150度までの範囲1で位相が時間の経過とともに増加する振幅1の複素数である。
【0245】
図47(D)に示す単位第1相関値UA
m、m=1~MAは、θ
UA(m)≒84+8*m(度)の角度を有する振幅が約DAの複素数である。
【0246】
図47(E)に示す第1差分位相値VA
mは、約8度の位相θ
VAを有する振幅1の複素数である。第1差分位相値VA
mが有する位相θ
VAは、SA時間に発生する周波数変化である。
【0247】
図47(F)に示す微分位相値VC
32は、約8度の位相θ
VAを有する振幅(MA-1)の複素数である。周波数変化率F
diffは、F
diff=θ
VA/(2π*SA)と計算できる。
【0248】
比較例として、
図47の場合と同じ受信信号で第2差分位相値計算部950だけを動作させる場合の同期捕捉回路9Jの点P
1~P
6で検出される複素信号を複素平面上に表示した図を、
図48に示す。
図48では、縦列接続拡散符号PNの同期がとれている場合の複素信号を示す。
図48(A)~(D)は、
図47(A)~(D)と同じである。第1差分位相値計算部960が動作しないので、
図48(E)に示すように点P
5,m、m=1~MA-1には、単位第1相関値UA
m+1、m=1~MA-1が出力される。
【0249】
図48(F)に示す第1差分相関値WAは、約0.95*NAの振幅で約124度の位相を有する複素数になる。周波数変化率F
diffの影響により、WAの振幅|WA|はF
diff=の場合の振幅|WA|の0.96倍になる。WAの位相θ
WAは、GBが変化する範囲の中央付近の値になる。
【0250】
周波数変化率Fdiffがさらに大きくなると、第2差分位相値計算部950だけを動作させる場合の振幅|WA|は小さくなり、ノイズの影響が大きくなって、周波数偏差ΔFの検出精度が低下する。第2差分位相値計算部950および第1差分位相値計算部960を動作させる場合は、Fdiffが大きくなっても振幅|WA|が変化せず、Fdiffに比例したθWAが得られる。
【0251】
周波数変化率Fdiffが変化率閾値THdiff以上である(Fdiff≧THdiff)場合に、第2差分位相値計算部950および第1差分位相値計算部960を動作させることで、第2差分位相値計算部950だけを動作させる場合よりも高精度に周波数偏差ΔFを計算できる。
【0252】
第10の変形例.
図49を参照して、実施の形態1に係る同期捕捉回路の第10の変形例の構成を説明する。
図49は、実施の形態1に係る同期捕捉回路の第10の変形例の構成を示す機能ブロック図である。第10の変形例は、周波数変化計算部を同期捕捉回路の外側に設けるように第9の変形例の同期捕捉回路9Jをさらに変形する。同期捕捉回路9Kは、周波数偏差計算部を有しない。周波数偏差計算部925Kは、同期捕捉回路の外部に設けられる。周波数偏差計算部925Kは、同期捕捉回路9Jからの情報、および同期捕捉回路から以外の情報も使用して、周波数偏差および周波数変化率を計算する。
【0253】
周波数偏差計算部925Kには、CA相関処理部910が出力する第1積算値XAが入力される。周波数偏差計算部925Kには、他の情報も入力される。周波数偏差計算部925Kに、他の情報を入力しなくてもよい。動作制御部945Kには、周波数偏差計算部925Kが計算する周波数偏差ΔFおよび周波数変化率Fdiffが入力される。周波数偏差計算部925Kが計算する周波数偏差ΔFは、直交検波器2に入力される。
【0254】
第10の変形例の同期捕捉回路9Kは、同期捕捉回路9Jと同様に動作する。同期捕捉回路9Kは、周波数偏差ΔFが大きい場合でも、従来よりも高精度に周波数偏差を計算して拡散符号の同期系列位置を求められる。さらに、周波数偏差計算部925Kが同期捕捉回路9Kの外側にあるので、周波数偏差計算部925Kが同期捕捉回路9Kで算出可能な情報以外の情報も使用して、周波数偏差ΔFおよび周波数変化率Fdiffをより高精度に計算できる。
以上のことは、他の実施の形態およびその変形例にもあてはまる。
【0255】
実施の形態2.
図50を参照して、実施の形態2に係る同期捕捉回路の構成を説明する。
図50は、実施の形態2に係る同期捕捉回路の構成を示す機能ブロック図である。実施の形態2は、周波数偏差ΔFがより大きい場合にも対応できるように、CB相関処理部の内部でも差分位相値を計算するように実施の形態1を変更した場合である。実施の形態1の各変形例を変更してもよい。第2の系列長NBは、3以上の整数である第2分割数MBおよび2以上の整数である第2単位個数DBの積で表される。すなわち、NB=MB*DBである。
【0256】
同期捕捉回路9Lは、CB相関処理部901Lおよび動作制御部945Lを変更している。CB相関処理部901Lは、第2相関値計算部122Lを有する。第2相関値計算部122Lは、加算器904の替わりにMB個の加算器904Lを有する。第2相関値計算部122Lは、(MB-1)個の単位第2差分位相値計算部905、スイッチ906および加算器907を有する。
【0257】
制御信号G4をG4Lに変更している。動作制御部945Lは、制御信号G1、G2、G3、G4Lに加えて、制御信号G7、G8を出力する。G7は、単位第2差分位相値計算部905の動作を制御する。G8は、スイッチ906の入り切りを制御する。G4Lは、単位第2差分位相値計算部905が動作する動作モードを表す値も有する。
【0258】
加算器904L(i)は、2DB個のチップ相関器902(2DB*i-2DB+1)~(2DB*i)の出力である逆拡散後受信信号GR2DB*i-2DB+1~GB2DB*iを加算して、加算結果である単位第2相関値UBiを出力する。加算器904L(i)は、単位第2相関値UBiの実部用の加算器と単位第2相関値UBの虚部用の加算器とを有する。
【0259】
単位第2差分位相値計算部905(i)は、複素数である単位第2相関値UBi+1、UBiが入力されて、UBi+1と1個前のUBiの間の位相差および単位量の振幅を有する単位第2差分位相値VUBiを計算する。単位第2差分位相値計算部905(i)は、動作制御部945Lが出力する制御信号G7により制御されて、単位第2差分位相値VUBiまたは単位第2相関値UBi+1の何れかを出力する。制御信号G6がONの場合に、単位第2差分位相値計算部905(i)は単位第2差分位相値VUBiを出力する。制御信号G6がOFFの場合に、単位第2差分位相値計算部905(i)は単位第2相関値UBi+1を出力する。ONのG7が入力されて、単位第2差分位相値計算部905(i)が単位第2差分位相値VUBiを計算して出力する場合が、単位第2差分位相値計算部905(i)が動作する場合である。動作制御部925Lは、各単位第2差分位相値計算部905が単位第2相関値または単位第2差分位相値の何れを出力するかを一律に制御する。
【0260】
単位第2差分位相値計算部905は、第1差分位相値計算部960と同様な構成を有する。単位第2差分位相値計算部905は、制御信号G3ではなく、G7によりその動作が制御される。
【0261】
単位第2差分位相値計算部905(i)は、単位第2相関値UBi+1と1個前の単位第2相関値UBiとの間の位相差を有する複素数である単位第2差分位相値VUBiを計算する。また、単位第2差分位相値計算部905(i)は、単位第2相関値UBi+1または単位第2差分位相値VUBi何れかを一律に切り替えて出力する、第2選択出力部でもある。
【0262】
スイッチ906は、単位第2差分位相値計算部905(1)の出力と加算器907の間に設けられる。スイッチ906は、動作制御部945Lが出力する制御信号G8により、入り切りが制御される。制御信号G8は、単位第2差分位相値計算部905の動作を制御する制御信号G7がOFFの場合に、ONになる。制御信号G7がOFFの場合に、単位第2差分位相値計算部905は単位第2相関値を出力する。G7がONの場合に、G8はOFFになる。制御信号G7がONの場合に、単位第2差分位相値計算部905は単位第2差分位相値を出力する。G8=ONが入力される場合に、スイッチ906は入りになる。G8=OFFが入力される場合に、スイッチ906は切りになる。スイッチ906は、入りの場合に単位第2相関値UBi+1を出力する。スイッチ906は、切りの場合にゼロを出力する。スイッチ906の入り切りを制御することで、単位第2差分位相値計算部905(1)が出力する単位第2相関値UBi+1も含めて第2相関値Bを計算できる。
【0263】
単位第2差分位相値計算部905(i)にOFFの制御信号G7が入力される場合に、単位第2相関値UBiを出力するようにしてもよい。その場合には、スイッチ906は、単位第2差分位相値計算部905(MA)の出力と加算器907の間に設けられる。スイッチ906は、前述と同様に制御信号G8により入り切りが制御される。
【0264】
スイッチ906は、最前の単位第2差分位相値計算部905(1)の出力または最新の単位第2差分位相値計算部905(MA)の出力と加算器907の間に設けられ、入力される複素数またはゼロを切り替えて出力する第2スイッチである。加算器907は、第2選択出力部の出力の和を出力する第2加算器である。単位第2差分位相値計算部905(i)が前の方の単位第2相関値UBiを出力する場合は、最新の単位第2差分位相値計算部905(MA)の出力がスイッチ906に入力される。単位第1相関値計算ユニット221(i)が新しい方の単位第2相関値UBi+1を出力する場合は、最前の単位第2差分位相値計算部905(1)の出力がスイッチ906に入力される。
【0265】
加算器907は、(MA-1)個の単位第2差分位相値計算部905(1)~(MA-1)の出力とスイッチ906の出力とを加算して、加算結果を出力する。加算器907は、複素数の実部用の加算器と虚部用の加算器とを有する。加算器907の出力を、単位第2積算値XUBと呼ぶ。単位第2積算値XUBは、単位第2差分位相値計算部905(i)が単位第2差分位相値VUBiを出力する場合は、単位第2差分位相値VUB1~VUBMA-1の和である単位第2差分相関値WUBである。単位第2差分位相値計算部905(i)が単位第2相関値UBi+1を出力する場合は、単位第2積算値XUBは第2相関値Bである。
【0266】
単位第2差分位相値計算部905(i)が単位第2差分位相値VUBiを出力する場合の加算器907は、(MA-1)個の単位第2差分位相値VUBiの和である単位第2差分相関値WUBを計算する単位第2差分相関値計算部として動作する。単位第2差分位相値計算部905(i)が単位第2相関値UBi+1を出力する場合の加算器907は、第2相関値Bを計算する第2相関値計算部として動作する。
【0267】
単位第2差分位相値計算部905が動作する場合は、単位第2差分相関値WUBが第2積算値記憶部に記憶される。単位第2差分位相値計算部905が動作しない場合は、第2積算値XBが第2積算値記憶部に記憶される。
【0268】
単位第2差分位相値計算部905が動作することにも対応するため、動作制御部945Lが出力する制御信号G4Lは、以下の値をとる。
(制御信号G4Lの値の意味)
0:単位第2差分位相値計算部905、第2差分位相値計算部950および第1差分位相値計算部960が不動作。
1:第1差分位相値計算部960が動作。
2:第2差分位相値計算部950が動作。
4:単位第2差分位相値計算部905が動作。
【0269】
CA相関処理部910が出力する第1積算値XAの位相は、単位第2差分位相値計算部905が動作する(G4L=4)場合は、周波数偏差に比例した値になる。単位第2差分位相値計算部905が動作する(G4L=4)場合のCA相関処理部910の出力も、第2積算値XBと呼ぶ。単位第2差分位相値計算部905が動作する場合の第2積算値XBの位相は、DB*SB時間で周波数偏差ΔFにより発生する位相変化と等しい。周波数偏差計算部925Lは、G4L=4の場合には、ΔF=XAAV/(2π*DB*SB)でΔFを計算する。G4L=0、G4L=1、G4L=2の場合は、周波数偏差計算部925Lは、周波数偏差計算部925と同様な方法でΔFを計算する。
【0270】
同期捕捉回路9Lでは、第1積算値XAは、第2差分位相値計算部950または単位第2差分位相値計算部905が動作する場合は、第2差分相関値WBである。第1差分位相値計算部960が動作する場合は、第1積算値XAは第1差分相関値WAである。第2差分位相値計算部950、単位第2差分位相値計算部905および第1差分位相値計算部960が動作しない場合は、第1積算値XAは第1相関値Aである。
【0271】
動作を説明する。動作制御部945Lは、周波数偏差ΔFの大きさに応じて、単位第2差分位相値計算部905、第2差分位相値計算部950および第1差分位相値計算部960の何れを動作させるかを決める。ここで、第3閾値TH3を第1閾値TH1よりも大きく決められた閾値(TH3>TH1)とする。
【0272】
動作制御部945Lは、以下のように場合分けして制御信号を出力する。
(ア)ΔF≧TH3である場合は、単位第2差分位相値計算部905が動作するように、G4L=4、G1=G2=G3=OFF、G7=ON、G8=OFFを出力する。
(イ)TH3>ΔF≧TH1である場合は、第2差分位相値計算部950が動作するように、G4L=2、G1=G2=ON、G3=OFF、G7=OFF、G8=ONを出力する。
(ウ)TH1>ΔF≧TH2である場合は、第1差分位相値計算部960が動作するように、G4L=1、G1=G2=OFF、G3=ON、G7=OFF、G8=ONを出力する。
(エ)TH2>ΔFである場合は、いずれも動作しないように、G4L=0、G1=G2=G3=OFF、G7=OFF、G8=ONを出力する。
【0273】
動作制御部945Lは、単位第2差分位相値計算部905、第2差分位相値計算部950および第1差分位相値計算部960のどれか1つを動作させるか、どちらも動作させないかを制御する。なお、動作制御部945Lは、単位第2差分位相値計算部905および第2差分位相値計算部950のどちらか1つを動作させるか、どちらも動作させないかを制御し、単位第2差分位相値計算部905および第2差分位相値計算部950のどちらも動作させない場合に、第1差分位相値計算部960を動作させるかどうかを制御するとも考えられる。
【0274】
通信開始時には、ΔFの大きさにより、単位第2差分位相値計算部905または第2差分位相値計算部950のどちらを動作させるかを決める。ΔF≧TH3である場合は、単位第2差分位相値計算部905を動作させる。ΔF<TH3である場合は、第2差分位相値計算部950を動作させる。通信開始時に、ΔFの大きさによらず、単位第2差分位相値計算部905を動作させるようにしてもよい。通信開始時に、ΔFの大きさによらず、第2差分位相値計算部950を動作させるようにしてもよい。
【0275】
同期捕捉回路9Lは、周波数偏差ΔFが大きい場合でも、従来よりも高精度に周波数偏差を計算して拡散符号の同期系列位置を求められる。同期捕捉回路9が対応できる最大の周波数偏差ΔFよりも大きいΔFに対しても、高精度で拡散符号の同期系列位置を求めることができる。
【0276】
同期捕捉回路9Lは、第2差分位相値計算部950および第1差分位相値計算部960を有する。第2差分位相値計算部950を有して第1差分位相値計算部960を有さない同期捕捉回路を、単位第2差分位相値計算部905を有するように変形してもよい。
【0277】
第11の変形例.
図51を参照して、実施の形態2に係る同期捕捉回路を変形する第11の変形例の構成を説明する。
図51は、実施の形態2に係る同期捕捉回路を変形する第11の変形例の構成を示す機能ブロック図である。第11の変形例では、周波数変化率が大きい場合に、第2差分位相値計算部および第1差分位相値計算部を同時に動作させる。同期捕捉回路9Mは、動作制御部945Mおよび周波数偏差計算部925Mを変更している。
【0278】
動作制御部945Mは、周波数偏差ΔFおよび周波数変化率Fdiffに基づき、第2差分位相値計算部950および第1差分位相値計算部960を動作させるかどうかを制御する。動作制御部945Mは、制御信号G1、G2、G3、G4M、G7、G8を出力する。
【0279】
CA相関処理部910が出力する第1積算値XAは、第2差分位相値計算部950および第1差分位相値計算部960が同時に動作する場合は、周波数変化率Fdiffに比例した値になる。
動作制御部945Mが出力する制御信号G4Mは、以下の値をとる。
(制御信号G4Mの値の意味)
0:単位第2差分位相値計算部905、第2差分位相値計算部950および第1差分位相値計算部960が不動作。
1:第1差分位相値計算部960が動作。
2:第2差分位相値計算部950が動作。
3:第2差分位相値計算部950および第1差分位相値計算部960が動作。
4:単位第2差分位相値計算部905が動作。
【0280】
周波数偏差計算部925Mは、G4M=0、G4M=1、G4M=2、G4M=3の場合は、周波数偏差計算部925Jと同様な方法でΔFおよびFdiffを計算する。G4M=4の場合には、周波数変化計算部925Mは、以下のようにしてΔFおよびFdiffを計算する。周波数変化計算部925Mは、期間TXに入力される第1積算値XAの位相の時間変化を近似する二乗誤差が最小になる1次関数を求める。周波数変化計算部925Mは、1次関数の傾きXAinclに基づき、Fdiff=XAincl/(2π*DB*SB)でFdiffを計算する。1次関数の期間TXの最新の時点での値XALATESTに基づき、周波数変化計算部925MはΔF=XALATEST/(2π*DB*SB)でΔFを計算する。
【0281】
同期捕捉回路9Mでは、第1積算値XAは、第2差分位相値計算部950および第1差分位相値計算部960が動作する場合は、微分位相値VCである。第2差分位相値計算部950または単位第2差分位相値計算部905が動作し、かつ第1差分位相値計算部960が動作しない場合は、第1積算値XAは第2差分相関値WBである。第2差分位相値計算部950および単位第2差分位相値計算部905が動作せず、かつ第1差分位相値計算部960が動作する場合は、第1積算値XAは第1差分相関値WAである。第2差分位相値計算部950、単位第2差分位相値計算部905および第1差分位相値計算部960が動作しない場合は、第1積算値XAは第1相関値Aである。
【0282】
動作を説明する。動作制御部945Mは、周波数偏差ΔFおよび周波数変化率Fdiffの大きさに応じて、単位第2差分位相値計算部905、第2差分位相値計算部950および第1差分位相値計算部960の何れを動作させるかを決める。なお、単位第2差分位相値計算部905、第2差分位相値計算部950および第1差分位相値計算部960の何れも動作させない場合もある。
【0283】
動作制御部945Mは、以下のように場合分けして制御信号を出力する。
(ア)ΔF≧TH3である場合は、単位第2差分位相値計算部905が動作するように、G4M=4、G1=G2=G3=OFF、G7=ON、G8=OFFを出力する。
(イ)TH3>ΔFかつFdiff≧THdiffである場合は、第2差分位相値計算部950および第1差分位相値計算部960が動作するように、G4M=3、G1=G2=G3=ON、G7=OFF、G8=ONを出力する。
(ウ)Fdiff<THdiffかつTH3>ΔF≧TH1である場合は、第2差分位相値計算部950が動作するように、G4M=2、G1=G2=ON、G3=OFF、G7=OFF、G8=ONを出力する。
(エ)Fdiff<THdiffかつTH1>ΔF≧TH2である場合は、第1差分位相値計算部960が動作するように、G4M=1、G1=G2=OFF、G3=ON、G7=OFF、G8=ONを出力する。
(オ)Fdiff<THdiffかつTH2>ΔFである場合は、いずれも動作しないように、G4M=0、G1=G2=G3=OFF、G7=OFF、G8=ONを出力する。
【0284】
同期捕捉回路9Mは、周波数偏差ΔFが大きい場合でも、従来よりも高精度に周波数偏差を計算して拡散符号の同期系列位置を求められる。同期捕捉回路9Mは、同期捕捉回路9が対応できる最大の周波数偏差ΔFよりも大きいΔFに対しても、高精度で拡散符号の同期系列位置を求めることができる。同期捕捉回路9Mは、周波数偏差に時間変化がある場合、すなわち周波数変化率Fdiffが変化率閾値THdiff以上である(Fdiff≧THdiff)場合に、第2差分位相値計算部950および第1差分位相値計算部960を動作させることで、第2差分位相値計算部950だけを動作させる場合よりも高精度に周波数偏差ΔFを計算できる。
【0285】
第12の変形例.
図52を参照して、実施の形態2に係る同期捕捉回路を変形する第12の変形例の構成を説明する。
図52は、実施の形態2に係る同期捕捉回路を変形する第12の変形例の構成を示す機能ブロック図である。第12の変形例では、周波数変化率が大きい場合に、単位第2差分位相値計算部または第2差分位相値計算部と、第1差分位相値計算部とを同時に動作させる。同期捕捉回路9Nは、動作制御部945Nを変更している。
【0286】
動作制御部945Nは、周波数偏差ΔFおよび周波数変化率Fdiffに基づき、第2差分位相値計算部950および第1差分位相値計算部960を動作させるかどうかを制御する。動作制御部945Nは、制御信号G1、G2、G3、G4N、G7、G8を出力する。
【0287】
CA相関処理部910が出力する第1積算値XAは、周波数変化率が大きく、単位第2差分位相値計算部または第2差分位相値計算部と、第1差分位相値計算部とが同時に動作する場合は、周波数変化率Fdiffに比例した値になる。
動作制御部945Nが出力する制御信号G4Nは、以下の値をとる。
(制御信号G4Nの値の意味)
0:単位第2差分位相値計算部905、第2差分位相値計算部950および第1差分位相値計算部960が不動作。
1:第1差分位相値計算部960が動作。
2:第2差分位相値計算部950が動作。
3:第2差分位相値計算部950および第1差分位相値計算部960が動作。
4:単位第2差分位相値計算部905が動作。
5:単位第2差分位相値計算部905および第1差分位相値計算部960が動作。
【0288】
周波数偏差計算部925Nは、G4N=0、G4N=1、G4N=2、G4N=3、G4N=4の場合は、周波数偏差計算部925Mと同様な方法でΔFおよびFdiffを計算する。単位第2差分位相値計算部905および第1差分位相値計算部960が動作する(G4N=5の場合)には、第1積算値XAは、微分位相値VCである。微分位相値VCは、DB*SB時間に発生する位相変化量のDA*SAの時間での変化量になる。期間TXでのXAの平均であるXAAVに基づき、周波数変化計算部925Nは、Fdiff=XAAV/(2π*DB*SB*DA*SA)でFdiffを計算する。周波数変化計算部925Nは、XAを積分することでΔFを計算する。TXよりも小さい周期TYでFdiffを計算し、Fdiffを積分してΔFを計算してもよい。
【0289】
同期捕捉回路9Nでは、第1積算値XAは、第2差分位相値計算部950または単位第2差分位相値計算部905と第1差分位相値計算部960とが動作する場合は、微分位相値VCである。その他の場合においては、同期捕捉回路9Nでの第1積算値XAは、同期捕捉回路9Lでの第1積算値XAと同様である。
【0290】
動作を説明する。動作制御部945Nは、周波数偏差ΔFおよび周波数変化率Fdiffの大きさに応じて、単位第2差分位相値計算部905、第2差分位相値計算部950および第1差分位相値計算部960の何れを動作させるかを決める。
【0291】
動作制御部945Nは、以下のように場合分けして制御信号を出力する。
(ア)Fdiff≧THdiffかつΔF≧TH3である場合は、単位第2差分位相値計算部905および第1差分位相値計算部960が動作するように、G4N=5、G1=G2=OFF、G3=ON、G7=ON、G8=OFFを出力する。
(イ)Fdiff≧THdiffかつTH3>ΔFである場合は、第2差分位相値計算部950および第1差分位相値計算部960が動作するように、G4N=3、G1=G2=G3=ON、G7=OFF、G8=ONを出力する。
(ウ)Fdiff<THdiffかつΔF≧TH3である場合は、単位第2差分位相値計算部905が動作するように、G4N=4、G1=G2=G3=OFF、G7=ON、G8=OFFを出力する。
(エ)Fdiff<THdiffかつTH3>ΔF≧TH1である場合は、第2差分位相値計算部950が動作するように、G4N=2、G1=G2=ON、G3=OFF、G7=OFF、G8=ONを出力する。
(オ)Fdiff<THdiffかつTH1>ΔF≧TH2である場合は、第1差分位相値計算部960が動作するように、G4N=1、G1=G2=OFF、G3=ON、G7=OFF、G8=ONを出力する。
(カ)Fdiff<THdiffかつTH2>ΔFである場合は、いずれも動作しないように、G4N=0、G1=G2=G3=OFF、G7=OFF、G8=ONを出力する。
【0292】
同期捕捉回路9Nは、周波数偏差ΔFが大きい場合でも、従来よりも高精度に周波数偏差を計算して拡散符号の同期系列位置を求められる。同期捕捉回路9Nは、同期捕捉回路9が対応できる最大の周波数偏差ΔFよりも大きいΔFに対しても、高精度で拡散符号の同期系列位置を求めることができる。同期捕捉回路9Nは、周波数偏差に時間変化がある場合、すなわち周波数変化率Fdiffが変化率閾値THdiff以上である(Fdiff≧THdiff)場合に、単位第2差分位相値計算部905または第2差分位相値計算部950と、第1差分位相値計算部960とが同時に動作させることで、単位第2差分位相値計算部905または第2差分位相値計算部950だけを動作させる場合よりも高精度に周波数偏差ΔFを計算できる。
【0293】
実施の形態3.
図53を参照して、実施の形態3に係る同期捕捉回路の構成を説明する。
図53は、実施の形態3に係る同期捕捉回路の構成を示す機能ブロック図である。実施の形態3は、拡散符号の位相(後で説明)ごとの第1積算値XAを決められた回数(L回)だけ加算する累積加算部980を有するように、実施の形態1を変更した場合である。実施の形態1の各変形例あるいは他の実施の形態を変更してもよい。同期捕捉回路9Pは、累積加算部980を有する。同期捕捉回路9Pは、動作制御部945Pを変更している。動作制御部945Pは、累積加算部980の動作を制御する制御信号G9を出力する。
【0294】
累積加算部980は、平均化処理部930と同様に、縦列接続拡散符号PNの1周期をSB/2間隔の時点(位相と呼ぶ)ごとのNA*NBチップ(=NA*2NBサンプル=2NCサンプル)の第1積算値XAを、L回加算されるまで保持する。L回加算されると、累積加算部980は、累積加算された第1積算値XAを出力する。そして、内部に保存している位相ごとの第1積算値XAの累積加算値をゼロにリセットする。L回は、例えば4回である。
【0295】
動作制御部945Pは、動作信号G9により、累積加算部980を動作させるかどうかを制御する。G9=ONである場合に、累積加算部980が動作する。G9=OFFである場合に、累積加算部980が動作しない。
【0296】
図54を参照して、累積加算部980の構成を説明する。
図54は、実施の形態3に係る同期捕捉回路が有する累積加算部の構成を示す図である。累積加算部980は、SEL部981、2NC個の累積加算回路982、SEL部983、制御回路984を有する。SEL部981は制御信号G9に応じて、入力される第1積算値XA
tをそのまま出力するか、累積加算した第1積算値XA
R
iを出力するかを切り替える。累積加算部980の出力を変数XA
Z
tで表す。G9=ONの場合に、SEL部981は累積加算した第1積算値XA
R
iを出力する(XA
Z
t=XA
R
i)。G9=OFFの場合に、SEL部981は累積加算していない第1積算値XA
tを出力する(XA
Z
t=XA
t)。累積加算回路982は、縦列接続拡散符号PNの1周期で受信される受信信号ごとに設けられる。累積加算回路982は、1周期の中で同じ位置の受信信号をL回加算する。L回加算すると累積加算した値は、ゼロにリセットされる。SEL部983は、第1積算値XA
tが入力されるごとに、2NC個の累積加算回路982の中の1個の出力を選択してSEL部981に入力する。制御回路984は、累積加算回路982およびSEL部983を制御する。
【0297】
すべての累積加算回路982
i(i=1~2NC)は、同じ構成を有する。
図54では、1番目の累積加算回路982
1の構成を示している。累積加算回路982
iは、データ取得部98A、加算器98B、DFF98C、ホールド部98Dを有する。データ取得部98Aは、第1積算値XA
tを取得する。加算器98Bは、取得した第1積算値XA
tとDFF98Cの出力を加算する。加算器98Bによる加算結果は、DFF98Cとホールド部98Dに入力される。DFF98Cは、1回前に入力された信号を保持して出力する。ホールド部98Dは、指示されたタイミングで入力される信号を保持して、保持している信号を出力する。ホールド部98Dが保持する信号が、累積加算した第1積算値XA
R
iである。ホールド部98Dの出力が、累積加算回路982
iの出力である。
【0298】
累積加算回路982iには、制御回路984からクロック信号CLKiと、リセット&ホールド信号RHiとが入力される。クロック信号CLKiは、累積加算部980に第1積算値XAtが入力されるごとに、制御回路984が発生させる。クロック信号CLKiは、累積加算回路982iのデータ取得部98Aに入力される。クロック信号CLKiが発生するごとに、制御回路984はカウンタiをi=mod(i, 2NC)+1と更新する。累積加算回路982iにクロック信号CLKiが入力されると、データ取得部98Aは第1積算値XAtを取り込んで、加算器98Bに出力する。クロック信号CLKiが入力されない時は、データ取得部98Aは第1積算値XAtを取り込まない。
【0299】
累積加算回路982iの動作を説明するために使用する変数を、以下のように定義する。
m:DFF98Cがリセットされてからの第1積算値XAtを取得した回数。
XAi、m:累積加算回路982iが取得した第1積算値XAt。
Yi、m:DFF98Cに入力される信号。
Zi、m:DFF98Cが出力する信号。
XAR
i:ホールド部98Dが保持する信号。
L:累積加算する回数。
DFF98Cのリセットについては、後で説明する。
【0300】
加算器98Bは、データ取得部98Aが取得した第1積算値XAi、mとDFF98Cの出力とを加算する。加算結果は、DFF98Cに入力される。つまり、以下の関係式が成立する。
Yi、m=Zi、m+XAi、m ・・・(4)
リセットされない場合は、DFF98Cは1回前に入力された信号を出力する。以下の関係式が成立する。
Zi、m=Yi、m-1 ・・・(5)
【0301】
制御回路984は、累積加算回路982iに何個のクロック信号CLKiを出力したか管理している、前回にリセット&ホールド信号RHiを出力してからL個目のクロック信号CLKiを出力する際には、制御回路984は、リセット&ホールド信号RHiも出力する。リセット&ホールド信号RHiは、累積加算回路982iのDFF98Cにホールド部98Dに入力される。リセット&ホールド信号RHiが入力されると、DFF98Cは保持している信号をゼロにリセットする。そのため、次のクロック信号CLKiが入力される際には、DFF98Cはゼロを出力する。すなわち、以下となる。
Zi、1=0 ・・・(6)
リセット&ホールド信号RHiが入力されると、ホールド部98Dは入力される信号を保持する。すなわち、以下の関係式が成立する。
XAR
i=Yi、L ・・・(7)
【0302】
累積加算回路982iにリセット&ホールド信号RHiが入力された後に、1個目のクロック信号CLKiが入力される場合には、式(4)と式(6)により、加算器98Bが出力するYi、1は、以下のようになる。
Yi、1=Zi、1+XAi、1=0+XAi、1=XAi、1 ・・・(8)
Yi、2以降は、式(8)と式(4)と式(5)により、以下となる。
Yi、2=Zi、2+XAi、2
=Yi、1+XAi、2=XAi、1+XAi、2 ・・・(9)
Yi、3=Zi、3+XAi、3=Yi、2+XAi、3
=XAi、1+XAi、2+XAi、3 ・・・(10)
Yi、m=Zi、m+XAi、m=Yi、m-1+XAi、m
=XAi、1+XAi、2+・・・+XAi、m ・・・(11)
Yi、L=Zi、L+XAi、L=Yi、L-1+XAi、L
=XAi、1+XAi、2+・・・+XAi、L ・・・(12)
【0303】
式(7)と式(12)とから、以下の式が得られる。
XAR
i=XAi、1+XAi、2+・・・+XAi、L ・・・(13)
式(13)は、L個の第1積算値XAtを累積加算した値であるXAR
iを累積加算回路982iが保持することを意味する。XAR
iは、L個の第1積算値XAtが入力されるごとに更新される。
【0304】
累積加算回路982i(i=1~2NC)が出力するXAR
iは、SEL部983に入力される。SEL部983には、制御回路984からカウンタiが入力される。SEL部983は、累積加算回路982iが出力するXAR
iを選択して、SEL部981に出力する。SEL部981は制御信号G9に応じて、入力される第1積算値XAtをそのまま出力するか、累積加算した第1積算値XAR
iを出力するかを切り替える。G9=ONの場合に、SEL部981は累積加算した第1積算値XAR
iを出力する。G9=OFFの場合に、SEL部981は累積加算していない第1積算値XAtを出力する。
【0305】
同期捕捉回路9Pでの第1積算値XAは、各場合において同期捕捉回路9での第1積算値XAと同様である。
【0306】
累積加算部980は、1時点ずつ受信信号をずらして計算された第1積算値XAごとに、決められた回数(L回)の第1積算値XAを累積加算する。電力算出部920は、累積加算部980が動作する場合は累積加算部980が出力する第1積算値XAZの電力を算出し、累積加算部980が動作しない場合は第1積算値XAの電力を算出する。
【0307】
他の実施の形態あるいはその変形を、累積加算部を有するように変更する場合は、累積加算部は電力算出部に入力される第1積算値を累積加算する。
【0308】
動作を説明する。同期捕捉回路9Pは、同期捕捉回路9と同様に動作する。累積加算部980が動作する場合は、各位相で第1積算値XAがL回だけ計算されるごとに、累積加算部980は各位相の累積加算された第1積算値XAを出力する。
【0309】
第1積算値XAは、電力算出部920に入力される。電力算出部920が実部と虚部の二乗和(すなわち電力C)を算出する。平均化処理部930は、電力算出部920が算出するSB/2間隔のNA*NBチップ(=NA*2NBサンプル=2NCサンプル)の個数の電力Cを記憶する。
【0310】
累積加算部980は、L個の第1積算値XAを加算するので、ノイズの影響を低減できる。電力ではなく第1積算値XAを加算するので、平均化処理部930よりもノイズの影響を除去する効果は大きいと考えられる。
【0311】
同期捕捉回路9Pは、周波数偏差ΔFが大きい場合でも、従来よりも高精度に周波数偏差を計算して拡散符号の同期系列位置を求められる。同期捕捉回路9Pは、ノイズが大きい場合でも同期捕捉回路9と比較してより正確に拡散符号の同期系列位置を求めることができる。
【0312】
実施の形態4.
図55を参照して、実施の形態4に係る同期捕捉回路の構成を説明する。
図55は、実施の形態4に係る同期捕捉回路の構成を示す機能ブロック図である。実施の形態4は、周波数偏差ΔFが変化するより広い範囲で第2差分位相値計算部が対応できるように、実施の形態1を変更した場合である。実施の形態1の各変形例あるいは他の実施の形態を変更してもよい。同期捕捉回路9Qは、CA相関処理部910Q、周波数偏差計算部925Q、動作制御部945Qを変更している。CA相関処理部910Qは、第2差分位相値計算部950Q、符号選択部970Qを変更している。
【0313】
図56を参照して、第2差分位相値計算部950Qの構成を説明する。
図56は、実施の形態4に係る同期捕捉回路が有する第2差分位相値計算部の構成を示す図である。
図56について、実施の形態1の場合の
図15とは異なる点を説明する。第2差分位相値計算部950Qは、遅延回路952に加えて遅延回路952
2を有し、さらにSEL部958を有する。SEL部955Qを変更している。
【0314】
第2差分位相値計算部950Qは、第2相関値Bを計算する際に使用された受信信号よりも遅延チップ数(1または2)だけ前の時点での受信信号を使用して計算された第2相関値Bとの間の位相差を有する複素数である第2差分値VBを計算する。遅延チップ数は、3個以上でもよい。また、遅延チップ数は、1、2、4などのように、連続する整数でなくてもよい。遅延チップ数は、1個以上の1以上の互いに異なる整数であればよい。
【0315】
遅延回路952は、入力される第2相関値BをNBチップ(2NBサンプル)に相当する時間だけ遅延させる。NBチップ(2NBサンプル)に相当する時間は、第1のチップ時間SAに等しい。遅延回路952の出力は、遅延回路9522に入力される。遅延回路9522は、入力される第2相関値BをNBチップ(2NBサンプル)に相当する時間だけ遅延させる。遅延回路952の出力は、第2差分位相値計算部950Qに入力される第2相関値Bに対して、NBチップ(2NBサンプル)に相当する時間だけ遅延する。遅延回路9522の出力は、2NBチップ(4NBサンプル)に相当する時間だけ遅延する。
【0316】
第2差分位相値計算部950Qは、制御信号G1Qにより動作が制御される。G1Qは、ON/OFFではなく、0、1、2の何れかの値をとる。G1Qが取る値は、例えば以下のようになる。G1Q>0である場合が、第2差分位相値計算部950Qが動作する場合である。
(制御信号G1Qの値の意味)
0:SEL部955Qが、第2相関値Bを選択して出力する。
1:SEL部958が遅延回路952の出力を選択し、SEL部955Qが第2差分位相値VBを選択して出力する。
2:SEL部958が遅延回路9522の出力を選択し、SEL部955Qが第2差分位相値VBを選択して出力する。
【0317】
SEL部958の出力が、位相θBDELAYである。位相θBDELAYの値は、SEL部958が遅延回路952および遅延回路9522の出力の何れを選択するかで変化する。位相θBDELAYは、減算器953に入力される。減算器953は、第2相関値Bの位相θBからθBDELAYを減算する。
【0318】
SEL部955Qは、G1Q=0の場合は、第2相関値Bを選択する。SEL部955Qは、G1Q>0の場合は、振幅位相逆変換部954が出力する第2差分位相値VBを選択する。
【0319】
図57を参照して、符号選択部970Qの構成を説明する。
図57は、実施の形態4に係る同期捕捉回路が有する符号選択部の構成を示す図である。符号選択部970Qは、遅延回路972に加えて遅延回路972
2を有し、乗算器971に加えて乗算器971
2を有する。SEL部973Qを変更している。
【0320】
遅延回路9722は、第1の拡散符号CA[k]を1チップだけ遅延させる。遅延回路972の出力が、遅延回路9722に入力される。遅延回路972にCA[k]が入力される場合に、遅延回路972がCA[k-1]を出力し、遅延回路9722がCA[k-2]を出力する。
【0321】
乗算器971は、CA[k]と遅延回路972が出力するCA[k-1]とを乗算する。乗算器971は、差分符号CD[k]を出力する。乗算器9712は、CA[k]と遅延回路9722が出力するCA[k-2]とを乗算する。
【0322】
乗算器9712は、以下のような値を取る差分符号CD2[k]を出力する。
CA[k]=CA[k-2]=「1」の場合に、CD2[k]=「1」
CA[k]=CA[k-2]=「-1」の場合に、CD2[k]=「1」
CA[k]=「1」、CA[k-2]=「-1」の場合に、CD2[k]=「-1」
CA[k]=「-1」、CA[k-2]=「1」の場合に、CD2[k]=「-1」
【0323】
差分符号CD2[k]は、kが偶数の場合の第1の系列長NAの拡散符号と、kが奇数の場合の第1の系列長NAの拡散符号とが交互に出力される、2NAの系列長を有する拡散符号になる。差分符号CD2[k]は、CA[k]に応じて一意に決まる。
【0324】
符号選択部970Qは、制御信号G2Qによりその動作が制御される。G2Qは、G11Qと同様に0~3の何れかの値を取る。G2Qが取る値は、例えば以下のようになる。
(制御信号G2Qの値の意味)
0:SEL部973Qが、CA[k]を選択して出力する。CX[k]=CA[k]。
1:SEL部973Qが、CD[k]を選択して出力する。CX[k]=CD[k]。
2:SEL部973Qが、CD2[k]を選択して出力する。CX[k]=CD2[k]。
【0325】
常にG2Q=G1Qとなるように、G1QおよびG2Qは生成される。周波数偏差が存在しなければ、G1Q=G2Q=0、G1Q=G2Q=1、G1Q=G2Q=2の何れの場合でも、CA相関処理部910Qは同じ値の第1相関値Aの値を計算できる。
【0326】
動作制御部945Qは、制御信号G1Q、G2Q、G3、G4Qを出力する。第1差分位相値計算部960を制御するG3は、実施の形態1の場合と同様にON/OFFの値をとる。周波数偏差計算部925Qの動作を制御するG4Qは、例えば以下の値をとる。
(制御信号G4Qの値の意味)
0:第2差分位相値計算部950Qおよび第1差分位相値計算部960が不動作。
1:第1差分位相値計算部960が動作。
2:第2差分位相値計算部950Qが動作。G1Q=1の場合。
3:第2差分位相値計算部950Qが動作。G1Q=2の場合。
【0327】
周波数偏差計算部925Qは、G4Q=0、G4Q=1、G4Q=2の場合は、周波数偏差計算部925と同様に動作する。G4Q=3の場合には、周波数偏差計算部925Qは、ΔF=WAAV/(4π*SA)でΔFを計算する。
【0328】
同期捕捉回路9Qでの第1積算値XAは、各場合において同期捕捉回路9での第1積算値XAと同様である。
【0329】
動作を説明する。動作制御部945Qは、通信開始時には制御信号G1Q=G2Q=1、G3=OFF、G4Q=2を出力する。同期捕捉回路9Qが動作して周波数偏差ΔFが計算できるようになると、動作制御部945QはΔFの大きさに応じて、G1Q、G2Q、G3、G4Qの値を変化させる。動作制御部945Qは、第1閾値TH1、第2閾値TH2に加えて、第4閾値TH4も使用する。各閾値は、TH2<TH1<TH4の関係が成立するように決める。同期捕捉回路9Qでは、G1Q=G2Q=1、G1Q=G2Q=2の何れかである期間を、粗検出の期間とする。
【0330】
動作制御部945Qは、以下のように場合分けして制御信号を出力する。
(ア1)ΔF≧TH4である(粗検出1)場合は、第2差分位相値計算部950Qが遅延チップ数=1で動作するように、G4Q=2、G1Q=G2Q=1、G3=OFFを出力する。1が、第1遅延チップ数である。
(ア2)TH4>ΔF≧TH1である(粗検出2)場合は、第2差分位相値計算部950Qが遅延チップ数=2で動作するように、G4Q=3、G1Q=G2Q=2、G3=OFFを出力する。第1遅延チップ数よりも大きい第2遅延チップ数は、2である。
(イ)TH4>ΔF≧TH2である(精検出)場合は、第1差分位相値計算部960が動作するように、G4Q=1、G1Q=G2Q=0、G3=ONを出力する。
(ウ)TH2>ΔFである場合は、いずれも動作しないように、G4Q=0、G1Q=G2Q=0、G3=OFFを出力する。
【0331】
同期捕捉回路9Qは、周波数偏差ΔFが大きい場合でも、従来よりも高精度に周波数偏差を計算して拡散符号の同期系列位置を求められる。同期捕捉回路9Qは、周波数偏差ΔFが小さくなっていく際に、同期捕捉回路9と比較して位相変化を検出するレベルをより細かく変化させることができ、高精度で拡散符号の同期系列位置を求めることができる。周波数偏差を求める精度も高精度になる。
【0332】
実施の形態5.
図58を参照して、実施の形態5に係る同期捕捉回路の構成を説明する。
図58は、実施の形態5に係る同期捕捉回路の構成を示す機能ブロック図である。実施の形態5は、実施の形態4を、第1差分位相値計算部960を有しないようにし、第2差分位相値計算部が取る遅延チップ数を変更した場合である。実施の形態5は、実施の形態1の第6の変形例に対して、第2差分位相値計算部950Fが複数の遅延チップ数をとるように変更した場合でもある。
【0333】
図58について、実施の形態1の第6の変形例についての
図41とは異なる点を説明する。同期捕捉回路9Fに対して、同期捕捉回路9Rは、CA相関処理部910R、周波数偏差計算部925R、動作制御部945Rを変更している。CA相関処理部910Rでは、第2差分位相値計算部950R、符号選択部970Rを変更している。第2差分位相値計算部950Rは、遅延チップ数=1または4の値をとる。遅延チップ数=4である場合の第2差分位相値計算部950Rは、第1差分位相値計算部960と同等の精度で周波数偏差を検出できる。そのため、同期捕捉回路9Rは、第1差分位相値計算部960を動作させる替わりに、遅延チップ数=4で第2差分位相値計算部950Rを動作させる。
【0334】
図59を参照して、第2差分位相値計算部950Rの構成を説明する。
図59は、実施の形態5に係る同期捕捉回路が有する第2差分位相値計算部の構成を示す図である。
図59について、実施の形態1の場合の
図14とは異なる点を説明する。第2差分位相値計算部950Rは、遅延回路952に加えて遅延回路952
4を有し、さらにSEL部958Rを有する。SEL部955Rを変更している。
【0335】
第2差分位相値計算部950Rは、第2相関値Bを計算する際に使用された受信信号よりも遅延チップ数(1または4)だけ前の時点での受信信号を使用して計算された第2相関値Bとの間の位相差を有する複素数である第2差分値VBを計算する。
【0336】
遅延回路952は、入力される第2相関値BをNBチップ(2NBサンプル)に相当する時間だけ遅延させる。NBチップ(2NBサンプル)に相当する時間は、第1のチップ時間SAに等しい。遅延回路952の出力は、遅延回路9524に入力される。遅延回路9524は、入力される第2相関値Bを3NBチップ(6NBサンプル)に相当する時間だけ遅延させる。遅延回路952の出力は、第2差分位相値計算部950Rに入力される第2相関値Bに対して、NBチップ(2NBサンプル)に相当する時間だけ遅延する。遅延回路9524の出力は、4NBチップ(8NBサンプル)に相当する時間だけ遅延する。
【0337】
第2差分位相値計算部950Rは、制御信号G1Rにより動作が制御される。G1Rは、ON/OFFではなく、0、1、4の何れかの値をとる。G1Rが取る値は、例えば以下のようになる。G1R>0である場合が、第2差分位相値計算部950Rが動作する場合である。
(制御信号G1Rの値の意味)
0:SEL部955Rが、第2相関値Bを選択して出力する。
1:SEL部958Rが遅延回路952の出力を選択し、SEL部955Rが第2差分位相値VBを選択して出力する。
4:SEL部958Rが遅延回路9524の出力を選択し、SEL部955Rが第2差分位相値VBを選択して出力する。
【0338】
SEL部958Rの出力が、位相θBDELAYである。位相θBDELAYの値は、SEL部958Rが遅延回路952および遅延回路9524の出力のどちらを選択するかで変化する。位相θBDELAYは、減算器953に入力される。減算器953は、第2相関値Bの位相θBからθBDELAYを減算する。
【0339】
SEL部955Rは、G1R=0の場合は、第2相関値Bを選択する。SEL部955Rは、G1R>0の場合は、振幅位相逆変換部954が出力する第2差分位相値VBを選択する。
【0340】
図60を参照して、符号選択部970Rの構成を説明する。
図60は、実施の形態5に係る同期捕捉回路が有する符号選択部の構成を示す図である。符号選択部970Rは、遅延回路972に加えて遅延回路972
2、遅延回路972
3、遅延回路972
4を有し、乗算器971に加えて乗算器971
2を有する。SEL部973Zを変更している。
【0341】
遅延回路9722、遅延回路9723および遅延回路9723のそれぞれは、第1の拡散符号CA[k]を1チップだけ遅延させる。遅延回路972の出力が、遅延回路9722に入力される。遅延回路9722の出力が、遅延回路9723に入力される。遅延回路9723の出力が、遅延回路9724に入力される。遅延回路972にCA[k]が入力される場合に、遅延回路972がCA[k-1]を出力し、遅延回路9722がCA[k-2]を出力し、遅延回路9723がCA[k-3]を出力し、遅延回路9724がCA[k-4]を出力する。
【0342】
乗算器971は、CA[k]と遅延回路972が出力するCA[k-1]とを乗算する。乗算器9712は、CA[k]と遅延回路9724が出力するCA[k-4]とを乗算する。
【0343】
乗算器9712は、以下のような値を取る差分符号CD4[k]を出力する。
CA[k]=CA[k-4]=「1」の場合に、CD4[k]=「1」
CA[k]=CA[k-4]=「-1」の場合に、CD4[k]=「1」
CA[k]=「1」、CA[k-4]=「-1」の場合に、CD4[k]=「-1」
CA[k]=「-1」、CA[k-4]=「1」の場合に、CD4[k]=「-1」
【0344】
差分符号CD4[k]は、4で割った余りが1であるkについての第1の系列長NAの拡散符号と、4で割った余りが2であるkについての第1の系列長NAの拡散符号と、4で割った余りが3であるkについての第1の系列長NAの拡散符号と、4で割った余りが0であるkについての第1の系列長NAの拡散符号とが繰り返し出力される、4NAの系列長を有する拡散符号になる。差分符号CD4[k]は、CA[k]に応じて一意に決まる。
【0345】
符号選択部970Rは、制御信号G2Rによりその動作が制御される。G2Rは、G11Zと同様に0~3の何れかの値を取る。G2Rが取る値は、例えば以下のようになる。
(制御信号G2Rの値の意味)
0:SEL部973Zが、CA[k]を選択して出力する。CX[k]=CA[k]。
1:SEL部973Zが、CD[k]を選択して出力する。CX[k]=CD[k]。
4:SEL部973Zが、CD4[k]を選択して出力する。CX[k]=CD4[k]。
【0346】
常にG2R=G1Rとなるように、G1RおよびG2Rは生成される。周波数偏差が存在しなければ、G1R=G2R=0、G1R=G2R=1、G1R=G2R=2、G1R=G2R=4の何れの場合でも、CA相関処理部910Rは同じ値の第1相関値Aの値を計算できる。
【0347】
動作制御部945Rは、制御信号G1R、G2R、G4Rを出力する。周波数偏差計算部925Rの動作を制御するG4Rは、例えば以下の値をとる。
(制御信号G4Rの値の意味)
0:第2差分位相値計算部950Rが不動作。
1:第2差分位相値計算部950Rが動作。G1R=4の場合。
2:第2差分位相値計算部950Rが動作。G1R=1の場合。
【0348】
周波数偏差計算部925Rは、G4R=0、G4R=2の場合は、周波数偏差計算部925と同様に動作する。G4=1の場合には、周波数偏差計算部925Rは、ΔF=WAAV/(8π*SA)でΔFを計算する。
【0349】
同期捕捉回路9Rでは、第1積算値XAは、第2差分位相値計算部950が動作する場合は、第2差分相関値WBである。第2差分位相値計算部950が動作しない場合は、第1積算値XAは第1相関値Aである。第2差分相関値WBまたは第1相関値Aは、第1合計値である。第1合計値は、NA個の逆拡散後第2積算値GB1~GBNAの和を表す複素数である。加算器914Fは、第1合計値を計算する第1合計値計算部である。電力算出部920は、第1合計値の電力を算出する。
【0350】
動作を説明する。動作制御部945Rは、通信開始時には制御信号G1R=G2R=1、G4R=2を出力する。同期捕捉回路9Rが動作して周波数偏差ΔFが計算できるようになると、動作制御部945RはΔFの大きさに応じて、G1R、G2R、G4Rの値を変化させる。動作制御部945Rは、第1閾値TH1、第2閾値TH2(TH2<TH1)を使用する。同期捕捉回路9Rでは、G4R=2である期間を、粗検出の期間とする。
【0351】
動作制御部945Rは、以下のように場合分けして制御信号を出力する。
(ア)ΔF≧TH1である(粗検出)場合は、第2差分位相値計算部950Rが遅延チップ数=1で動作するように、G1R=G2R=1、G4R=2を出力する。
(イ)TH1>ΔF≧TH2である(精検出)場合は、第2差分位相値計算部950Rが遅延チップ数=1で動作するように、G1R=G2R=4、G4R=1を出力する。
(ウ)TH2>ΔFである場合は、第2差分位相値計算部950Rが動作しないように、G1R=G2R=G4R=0を出力する。
【0352】
同期捕捉回路9Rは、周波数偏差ΔFが大きい場合でも、従来よりも高精度に周波数偏差を計算して拡散符号の同期系列位置を求められる。同期捕捉回路9Rは、同期捕捉回路9と同等の精度で拡散符号の同期系列位置を求めることができる。同期捕捉回路9Rは、第1差分位相値計算部960を有しないので、構成が簡素になる。
【0353】
実施の形態6.
図61を参照して、実施の形態6に係る同期捕捉回路の構成を説明する。
図61は、実施の形態6に係る同期捕捉回路の構成を示す機能ブロック図である。実施の形態6は、2段階化した第1差分位相値計算部を有するように、実施の形態1を変更した場合である。
図61について、実施の形態1についての
図14とは異なる点を説明する。
【0354】
実施の形態6では、MA=MC*DCとなる2個の整数MCとDCを使用する。MCは、ユニット数MAより小さい正の整数であればよい。DCは2以上の整数であればよい。
図61では、DC=2としている。MCを、2段第1分割数あるいは2段ユニット数と呼ぶ。MC-1を2段第1差分数あるいは2段差分数と呼ぶ。DCを2段単位個数と呼ぶ。逆拡散個数2NC=MA*2DA=MC*2DA*DCを、2段ユニット数MCで除算した2NC/MC=2DA*DCを2段ユニット個数あるいは2段第1単位個数と呼ぶ。2NC-2NC/MC=(MC-1)*2DA*DCを、2段差分個数あるいは2段第1差分個数と呼ぶ。
【0355】
同期捕捉回路9Sは、CA相関処理部910S、周波数偏差計算部925S、動作制御部945Sを変更している。CA相関処理部910Sは、MC個の加算器917、(MC-1)個の第1差分位相値計算部96C、スイッチ996、スイッチ997も有する。1個の加算器917は、DC個の第1差分位相値計算部960が出力する単位第1積算値UWAの和を取る。ただし、加算器917(1)は、(DC-1)個のUWAの和を取る。1個の加算器917が和をとるDC個の第1差分位相値計算部960は、その番号が連続するものである。つまり、加算器917(1)は、第1差分位相値計算部960(1)~(DC-1)が出力するUWA1~UWADC-1の和を計算する。1より大きいiでは、加算器917(i)は、第1差分位相値計算部960(DC*i-DC)~(DC*i-1)が出力するUWADC*i-DC~UWADC*i-1の和を計算する。加算器917(i)の出力を、単位第1相関値EAiと呼ぶ。
【0356】
第1差分位相値計算部96C(i)は、複素数である単位第1相関値EAi+1、EAiが入力されて、EAi+1、EAiの位相差および単位量の振幅を有する第1差分位相値FAiを計算する。なお、第1差分位相値計算部960が動作する場合には、第1差分位相値計算部96C(i)は第1差分位相値FAiを計算しない。第1差分位相値計算部96C(i)は、動作制御部945Sにより制御されて、第1差分位相値FAiまたは単位第1相関値EAi+1の何れかを出力する。第1差分位相値計算部96C(i)は、単位第1相関値EAi+1と1個前の単位第1相関値EAiとの間の位相差を有する複素数である第1差分位相値FAiを計算する。なお、第1差分位相値計算部96C(i)は、単位第1相関値EAiまたは第1差分位相値FAiの何れかを一律に切り替えて出力するようにしてもよい。CA相関処理部が2段の第1差分位相値計算部を有する場合には、第1差分位相値計算部960を1段目の第1差分位相値計算部と呼び、第1差分位相値計算部96Cを2段目の第1差分位相値計算部と呼ぶ。
【0357】
図62を参照して、2段目の第1差分位相値計算部の構成を説明する。
図62は、実施の形態6に係る同期捕捉回路が有する2段目の第1差分位相値計算部の構成を示す図である。第1差分位相値計算部96C(i)は、第1差分位相値計算部960(i)と同様な構成を有する。第1差分位相値計算部96C(i)では、SEL部965が制御信号G10により制御される。また、信号を異なる変数名で表している。なお、第1差分位相値計算部960(i)が有するSEL部965は、制御信号G3により制御される。第1差分位相値計算部960および第1差分位相値計算部96Cは、どちらも動作しないか、どちらか一方だけが動作するように制御される。
【0358】
第1差分位相値計算部96C(i)が処理する信号は、第1差分位相値計算部960(i)とは異なる変数で表現している。第1差分位相値計算部96C(i)には、単位第1相関値EAi、EAi+1が入力される。第1差分位相値計算部96C(i)は、第1差分位相値FAiを計算する。第1差分位相値計算部96C(i)は、第1差分位相値FAiまたは単位第1相関値EAi+1である単位第1積算値HAiを出力する。
【0359】
スイッチ996は、単位第1相関値計算ユニット221(1)の出力と加算器917(1)の間に設けられる。スイッチ996は、動作制御部945Sが出力する制御信号G5により、入り切りが制御される。制御信号G5は、第1差分位相値計算部960の動作を制御する制御信号G3がOFFの場合に、ONになる。制御信号G3がOFFの場合に、第1差分位相値計算部960は単位第1積算値を出力する。ONの制御信号G5が入力される場合に、スイッチ996は入りになる。制御信号G3がONの場合に、制御信号G5がOFFになり、スイッチ996は切りになる。制御信号G3がONの場合に、第1差分位相値計算部960は第1差分位相値を出力する。スイッチ996は、入りの場合に単位第1相関値UA1を出力する。スイッチ996は、切りの場合にゼロを出力する。このようにスイッチ996の入り切りを制御することで、単位第1相関値計算ユニット221(1)が出力する単位第1相関値UA1も含めて第1相関値Aを計算できる。
【0360】
スイッチ996は、最前の単位第1相関値計算ユニット221(1)の出力と加算器917(1)の間、または最新の単位第1相関値計算ユニット221(MA)の出力と加算器917(MC)の間に設けられ、入力される複素数またはゼロを切り替えて出力する第1スイッチである。第1差分位相値計算部960(i)が前の方の単位第1相関値UAiを出力する場合は、最新の単位第1相関値計算ユニット221(MA)の出力がスイッチ996に入力される。第1差分位相値計算部960(i)が新しい方の単位第1相関値UAi+1を出力する場合は、最前の単位第1相関値計算ユニット221(1)の出力がスイッチ996に入力される。
【0361】
スイッチ997は、加算器917(1)と加算器914の間に設けられる。スイッチ997は、動作制御部945Sが出力する制御信号G11により、入り切りが制御される。制御信号G11は、第1差分位相値計算部96Cの動作を制御する制御信号G10がOFFの場合に、ONになる。ONの制御信号G11が入力される場合に、スイッチ997は入りになる。制御信号G10がONの場合に、制御信号G11がOFFになり、スイッチ997は切りになる。スイッチ997は、入りの場合に単位第1相関値EAiを出力する。スイッチ997は、切りの場合にゼロを出力する。このようにスイッチ997の入り切りを制御することで、加算器917(1)が出力する単位第1相関値EA1も含めて第1相関値Aを計算できる。
【0362】
スイッチ997は、最前の加算器917(1)の出力と加算器914の間、または最新の加算器917(MC)の出力と加算器914の間に設けられ、入力される複素数またはゼロを切り替えて出力する第2スイッチである。第1差分位相値計算部96C(i)が前の方の単位第1相関値EAiを出力する場合は、最新の加算器917(MC)の出力がスイッチ997に入力される。第1差分位相値計算部96C(i)が新しい方の単位第1相関値EAi+1を出力する場合は、最前の加算器917(1)の出力がスイッチ997に入力される。
【0363】
加算器914は、(MC-1)個の第1差分位相値計算部96C(1)~(MC-1)が出力する単位第1積算値HA1~HAMC-1とスイッチ997の出力を加算して、加算結果である積算値XAを出力する。積算値XAは、第1差分位相値計算部960が動作する場合は、第1差分位相値VA1~VAMA-1の和である第1差分相関値WAである。第1差分位相値計算部96Cが動作する場合は、積算値XAは第1差分位相値FA1~FAMC-1の和である。第1差分位相値FA1~FAMC-1の和を、第1差分相関値WHと呼ぶ。第2差分位相値950が動作する場合は、積算値XAは第2差分位相値VB1~VBMAの和である第2差分相関値WBである。第2差分位相値950、第1差分位相値計算部960および第1差分位相値計算部96Cが動作しない場合は、積算値XAは単位第1相関値UA1~UAMAの和である第1相関値Aである。
【0364】
単位第1相関値EAiは、DC個の単位第1積算値UWAiの和を表す。単位第1相関値EAiは、2NC/MC個の連続する逆拡散後受信信号の和を表す複素数である2段ユニット相関値である。2段ユニット相関値を、2段単位第1相関値とも呼ぶ。加算器917(1)~(MC)は、2段ユニット相関値を計算する、計算に使用する逆拡散後受信信号GRにより順序付けられた2段ユニット数(MC)の個数の2段ユニット相関値計算部である。加算器917(1)~(MC)は、2段単位第1相関値を計算する、計算に使用する逆拡散後受信信号GRにより順序付けられた2段第1分割数MCの個数の2段単位第1相関値計算部でもある。
【0365】
2段差分位相値FAiは、2段ユニット相関値EAi+1と1個前の2段ユニット相関値EAiとの間の位相差を有する複素数である2段差分位相値である。第1差分位相値計算部96C(1)~(MC-1)は、2段差分位相値FAiを計算する2段差分位相値計算部である。
【0366】
第1差分相関値WHは、2段差分位相値FA1~FAMC-1の和である2段差分相関値である。2段差分位相値FA1~FAMC-1の和は、2段差分個数以上かつ逆拡散個数以下の逆拡散後受信信号の和である。第1差分位相値計算部96Cが動作する場合の加算器914は、2段差分相関値を計算する2段差分相関値計算部である。
【0367】
動作制御部945Sは、制御信号G1、G2、G3、G4S、G5、G10、G11を出力する。第1差分位相値計算部960を制御するG3は、実施の形態1の場合と同様にON/OFFの値をとる。周波数偏差計算部925Sの動作を制御するG4Sは、例えば以下の値をとる。動作制御部945Sは、第1差分位相値計算部960および第1差分位相値計算部96Cのどちらか一方を動作させるか、どちらも動作させないかを制御する。
(制御信号G4Sの値の意味)
0:第2差分位相値計算部950、第1差分位相値計算部960および第1差分位相値計算部96Cが不動作。
1:第1差分位相値計算部960が動作。
2:第2差分位相値計算部950が動作。
4:第1差分位相値計算部96Cが動作。
【0368】
周波数偏差計算部925Sは、G4S=0、G4S=1、G4S=2の場合は、周波数偏差計算部925と同様に動作する。G4S=4の場合には、周波数偏差計算部925Sは、ΔF=WAAV/(π*DA*DC*SA)でΔFを計算する。
【0369】
同期捕捉回路9Sでは、第1積算値XAは、第1差分位相値計算部960が動作する場合は、第1差分相関値WAである。第1差分位相値計算部96Cが動作する場合は、第1差分相関値WHである。第2差分位相値計算部950が動作する場合は、第1積算値XAは第2差分相関値WBである。第1差分位相値計算部960、第1差分位相値計算部96Cおよび第2差分位相値計算部950が動作しない場合は、第1積算値XAは第1相関値Aである。第1差分位相値計算部960および第1差分位相値計算部96Cが動作しない場合は、第1積算値XAは第1合計値である。第1積算値XAは、第1合計値、第1差分相関値WAまたは第1差分相関値WHである。
【0370】
動作を説明する。動作制御部945Sは、通信開始時には制御信号G4S=2、G1=G2=G5=G11=ON、G3=G10=OFFを出力する。同期捕捉回路9Sが動作して周波数偏差ΔFが計算できるようになると、動作制御部945SはΔFの大きさに応じて、G1、G2、G3、G4S、G5、G10、G11の値を変化させる。動作制御部945Sは、第1閾値TH1、第2閾値TH2に加えて、第5閾値TH5も使用する。各閾値は、TH2<TH5<TH1の関係が成立するように決める。同期捕捉回路9Sでは、G1=G2=ONである期間を、粗検出の期間とする。G3=ONまたはG10=ONである期間を、精検出の期間とする。
【0371】
動作制御部945Sは、以下のように場合分けして制御信号を出力する。
(ア)ΔF≧TH1である(粗検出)場合は、第2差分位相値計算部950R動作するように、G4S=2、G1=G2=G5=G11=ON、G3=G10=OFFを出力する。
(イ1)TH1>ΔF≧TH5である(精検出1)場合は、第1差分位相値計算部960が動作するように、G4S=1、G1=G2=G5=G10=OFF、G3=G11=ONを出力する。
(イ2)TH5>ΔF≧TH2である(精検出2)場合は、第1差分位相値計算部96Cが動作するように、G4S=4、G1=G2=G3=G11=OFF、G5=G10=ONを出力する。
(ウ)TH2>ΔFである場合は、いずれも動作しないように、G4S=0、G1=G2=G3=G10=OFF、G5=G11=ONを出力する。
【0372】
同期捕捉回路9Sは、粗検出および精検出1の期間では同期捕捉回路9と同様に動作する。
図63は、同期捕捉回路が有する第2差分位相値計算部950が動作する動作状態を示す図である。第2差分位相値計算部が動作する場合の各部で計測される複素信号は、同期捕捉回路9の場合の
図19と同様になる。
図64は、同期捕捉回路が有する1段目の第1差分位相値計算部960が動作する動作状態を示す図である。精検出1の期間に1段目の第1差分位相値計算部960が動作する場合の各部で計測される複素信号は、同期捕捉回路9の場合の
図27と同様になる。
【0373】
周波数偏差ΔFが第5閾値TH
5よりも小さくなると、2段目の第1差分位相値計算部96Cが動作する。
図65は、同期捕捉回路が有する2段目の第1差分位相値計算部96Cが動作する動作状態を示す図である。精検出2時に2段目の第1差分位相値計算部960が動作する場合の各部で計測される複素信号は、
図66に示すようになる。
図66での周波数偏差ΔFは、
図27に示す場合の周波数偏差ΔFの約45%である。実施の形態6に係る同期捕捉回路が有する2段目の第1差分位相値計算部が動作する場合の各部で計測される複素信号を示す図である。
【0374】
図66(C)では、
図27と比較して周波数偏差ΔFが小さくなっているが、
図27(C)と同様に逆拡散後受信信号GB
mの位相がしだいに増加している。
図66(D)に、点P
7.mで計測される単位第1相関値EA
mを示す。周波数偏差ΔFが小さいが、和を取るGB
mの個数をDC(=2)倍にしているので、EA
mは
図27(D)に示すUA
mと同様な位相を持つ振幅|EA
m|=7.8であるベクトルになる。
図66(E)に、点P
8.mで計測される第1差分位相値FA
mを示す。FA
mは、
図27(E)に示すUA
mと同様な位相を持つ単位ベクトルになる。
図66(F)に示すWH
32も、
図27(E)に示すWAと同様なベクトルになる。2段目の第1差分位相値計算部96Cが、周波数偏差ΔFが半分である場合に、1段目の第1差分位相値計算部960と同等な精度で、周波数偏差ΔFを検出できることが分かる。
【0375】
同期捕捉回路9Sは、周波数偏差ΔFが大きい場合でも、従来よりも高精度に周波数偏差を計算して拡散符号の同期系列位置を求められる。同期捕捉回路9Sは、周波数偏差ΔFが小さくなっていく際に、同期捕捉回路9と比較して位相変化を検出するレベルをより細かく変化させることができ、高精度で拡散符号の同期系列位置を求めることができる。周波数偏差を求める精度も高精度になる。
【0376】
実施の形態7.
図67を参照して、実施の形態7に係る同期捕捉回路の構成を説明する。
図67は、実施の形態7に係る同期捕捉回路の構成を示す機能ブロック図である。実施の形態7は、実施の形態4に係る同期捕捉回路が有する第2差分位相値計算部を有するように、実施の形態6を変更した場合である。
図67について、実施の形態6についての
図61とは異なる点を説明する。
【0377】
同期捕捉回路9Tは、CA相関処理部910T、周波数偏差計算部925T、動作制御部945Tを変更している。CA相関処理部910Tは、第2差分位相値計算部950Q、符号選択部970Qを有する。第2差分位相値計算部950Qは、第2相関値Bを計算する際に使用された受信信号よりも遅延チップ数(1または2)だけ前の時点での受信信号を使用して計算された第2相関値Bとの間の位相差を有する複素数である第2差分値VBを計算する。符号選択部970Qは、CA[k]、CD[k]、CD2[k]の何れかを選択して出力する。
【0378】
動作制御部945Tは、制御信号G1Q、G2Q、G3、G4T、G5、G10、G11を出力する。第2差分位相値計算部950Qを制御するG1Qは、実施の形態4の場合と同様に0、1、2の何れかの値をとる。符号選択部970Qは、実施の形態4の場合と同様に0、1、2の何れかの値をとる。常にG1Q=G2Qとなるように制御される。第1差分位相値計算部960を制御するG3、スイッチ996を制御するG5、第1差分位相値計算部96Cを制御するG10およびスイッチ996を制御するG11は、実施の形態6の場合と同様にON/OFFの値をとる。周波数偏差計算部925Tの動作を制御するG4Tは、例えば以下の値をとる。
(制御信号G4Tの値の意味)
0:第2差分位相値計算部950、第1差分位相値計算部960および第1差分位相値計算部96Cが不動作。
1:第1差分位相値計算部960が動作。
2:第2差分位相値計算部950Qが動作。G1Q=1の場合。
3:第2差分位相値計算部950Qが動作。G1Q=2の場合。
4:第1差分位相値計算部96Cが動作。
【0379】
周波数偏差計算部925Tは、G4T=0、G4T=1、G4T=2の場合は、周波数偏差計算部925と同様に動作する。G4T=3の場合には、周波数偏差計算部925Tは、ΔF=WAAV/(4π*SA)でΔFを計算する。G4T=4の場合には、周波数偏差計算部925Tは、ΔF=WAAV/(π*DA*DC*SA)でΔFを計算する。
【0380】
各場合において、同期捕捉回路9Tでの第1積算値XAは、同期捕捉回路9Sでの第1積算値XAと同様である。
【0381】
動作を説明する。動作制御部945Tは、通信開始時には制御信号G4T=2、G1Q=G2Q=1、G3=OFF、G3=G10=OFF、G5=G11=ONを出力する。同期捕捉回路9Tが動作して周波数偏差ΔFが計算できるようになると、動作制御部945TはΔFの大きさに応じて、G1Q、G2Q、G3、G4S、G5、G10、G11の値を変化させる。動作制御部945Tは、第1閾値TH1、第2閾値TH2に加えて、第4閾値TH4および第5閾値TH5も使用する。各閾値は、TH2<TH5<TH1<TH4の関係が成立するように決める。同期捕捉回路9Tでは、G1Q=G2Q=1、G1Q=G2Q=2の何れかである期間を、粗検出の期間とする。G3=ONまたはG10=ONである期間を、精検出の期間とする。
【0382】
動作制御部945Tは、以下のように場合分けして制御信号を出力する。
(ア1)ΔF≧TH4である(粗検出1)場合は、第2差分位相値計算部950Tが遅延チップ数=1で動作するように、G4T=2、G1Q=G2Q=1、G3=G10=OFF、G5=G11=ONを出力する。
(ア2)TH4>ΔF≧TH1である(粗検出2)場合は、第2差分位相値計算部950Tが遅延チップ数=2で動作するように、G4T=3、G1Q=G2Q=2、G3=G10=OFF、G5=G11=ONを出力する。
(イ1)TH1>ΔF≧TH5である(精検出1)場合は、第1差分位相値計算部960が動作するように、G4T=1、G1Q=G2Q=0、G3=G11=ON、G5=G10=OFFを出力する。
(イ2)TH5>ΔF≧TH2である(精検出2)場合は、第1差分位相値計算部96Cが動作するように、G4T=4、G1Q=G2Q=0、G3=G11=OFF、G5=G10=ONを出力する。
(ウ)TH2>ΔFである場合は、いずれも動作しないように、G4T=0、G1Q=G2Q=0、G3=G10=OFF、G5=G11=ONを出力する。
【0383】
同期捕捉回路9Tは、粗検出1および粗検出2の期間では同期捕捉回路9Qと同様に動作する。同期捕捉回路9Tは、精検出1および精検出2の期間では同期捕捉回路9Sと同様に動作する。
【0384】
同期捕捉回路9Tは、周波数偏差ΔFが大きい場合でも、従来よりも高精度に周波数偏差を計算して拡散符号の同期系列位置を求められる。同期捕捉回路9Tは、周波数偏差ΔFが小さくなっていく際に、同期捕捉回路9と比較して位相変化を検出するレベルをより細かく変化させることができ、高精度で拡散符号の同期系列位置を求めることができる。周波数偏差を求める精度も高精度になる。
【0385】
実施の形態8.
図68を参照して、実施の形態8に係る同期捕捉回路の構成を説明する。
図68は、実施の形態8に係る同期捕捉回路の構成を示す機能ブロック図である。実施の形態8は、第2差分位相値計算部を有しないように、実施の形態1を変更した場合である。
図68について、実施の形態1についての
図14とは異なる点を説明する。
【0386】
同期捕捉回路9Uは、CA相関処理部910U、周波数偏差計算部925U、動作制御部945Uを変更している。CA相関処理部910Uは、第2差分位相値計算部950、符号選択部970を有しない。
【0387】
動作制御部945Uは、第1差分位相値計算部960および周波数偏差計算部925Uの動作を制御する。動作制御部945Uは、制御信号G3、G4Uを出力する。動作制御部945Uは、動作制御部945と比較して、制御信号G1、G2を出力しない点が異なる。
【0388】
周波数偏差計算部925Uの動作を制御するG4Uは、例えば以下の値をとる。G4Uは、動作制御部945が出力するG4と比較して、G4U=2をとらない点が異なる。
(制御信号G4Uの値の意味)
0:第1差分位相値計算部960が不動作。
1:第1差分位相値計算部960が動作。
【0389】
周波数偏差計算部925Uは、周波数偏差計算部925におけるG4=0、G4=1の場合と同様に周波数偏差ΔFを計算する。
【0390】
同期捕捉回路9Uでは、第1積算値XAは、第1差分位相値計算部960が動作する場合は、第1差分相関値WAである。第1差分位相値計算部960が動作しない場合は、第1積算値XAは第1相関値Aである。
【0391】
動作を説明する。動作制御部945Uは、通信開始時には制御信号G4=1、G3=ONを出力する。第1差分位相値計算部960が動作する状態で、周波数偏差ΔFがゼロと判断できる程度に小さくなると、動作制御部945Uは、制御信号G4=0、G3=OFFを出力する。周波数偏差ΔFがゼロと判断できる程度に小さいかどうかは、第1閾値TH1と比較して判断する。周波数偏差ΔFが第1閾値TH1よりも小さくなる(ΔF<TH1)と、第1差分位相値計算部960を動作させないで不動作にする。
【0392】
動作制御部945Uは、以下のように場合分けして制御信号を出力する。
(ア)ΔF≧TH1である場合は、第1差分位相値計算部960が動作するように、G4=1、G3=ONを出力する。
(イ)TH1>ΔFである場合は、いずれも動作しないように、G4=0、G3=OFFを出力する。
【0393】
第1差分位相値計算部960は、拡散符号の1周期の受信信号を3以上に決められた整数であるMA個に分割して、分割した期間での逆拡散後第2積算値GBmの和の複素数の間での位相変化を求めて周波数偏差を計算する。そのため、特許文献1に示された1周期の受信信号を2分割する従来の方法よりも高精度で拡散符号の同期系列位置を求められる。周波数偏差を求める精度も高精度になる。
【0394】
逆拡散後第2積算値GBiの和を計算する個数であるDAは、1以上であればよい。DA=1とする場合には、番号が連続する2個のチップ相関器912(i)~(i+1)の出力を第1差分位相値計算部960(i)に入力させればよい。その場合には、単位第1相関値計算ユニット221および加算器913は設けなくてもよい。DA=1の場合の第1差分位相値計算部960は、第2差分位相値計算部950と同等の精度で周波数偏差を計算して拡散符号の同期系列位置を求められる。
【0395】
実施の形態9.
図69を参照して、実施の形態9に係る同期捕捉回路の構成を説明する。
図69は、実施の形態9に係る同期捕捉回路の構成を示す機能ブロック図である。実施の形態9は、第2差分位相値計算部を有しないように、実施の形態6を変更した場合である。
図69について、実施の形態6についての
図61とは異なる点を説明する。
【0396】
同期捕捉回路9Vは、CA相関処理部910V、周波数偏差計算部925V、動作制御部945Vを変更している。CA相関処理部910Vは、第2差分位相値計算部950、符号選択部970を有しない。
【0397】
動作制御部945Vは、第1差分位相値計算部960、第1差分位相値計算部96Cおよび周波数偏差計算部925Vの動作を制御する。動作制御部945Vは、制御信号G3、G4V、G5、G10、G11を出力する。動作制御部945Vは、動作制御部945Sと比較して、制御信号G1、G2を出力しない点が異なる。
【0398】
周波数偏差計算部925Vの動作を制御するG4Vは、例えば以下の値をとる。G4Vは、動作制御部945Sが出力するG4Sと比較して、G4V=2をとらない点が異なる。
(制御信号G4Vの値の意味)
0:第1差分位相値計算部960および第1差分位相値計算部96Cが不動作。
1:第1差分位相値計算部960が動作。
4:第1差分位相値計算部96Cが動作。
【0399】
周波数偏差計算部925Vは、周波数偏差計算部925SにおけるG4S=0、G4S=1、G4S=4の場合と同様に周波数偏差ΔFを計算する。
【0400】
同期捕捉回路9Vでは、第1積算値XAは、第1差分位相値計算部960が動作する場合は、第1差分相関値WAである。第1差分位相値計算部96Cが動作する場合は、第1差分相関値WHである。第1差分位相値計算部960および第1差分位相値計算部96Cが動作しない場合は、第1積算値XAは第1相関値Aである。
【0401】
動作を説明する。動作制御部945Vは、通信開始時には制御信号G4V=2、G5=G11=ON、G3=G10=OFFを出力する。同期捕捉回路9Vが動作して周波数偏差ΔFが計算できるようになると、動作制御部945VはΔFの大きさに応じて、G3、G4V、G5、G10、G11の値を変化させる。動作制御部945Vは、第1閾値TH1と第2閾値TH2を使用する。各閾値は、TH2<TH1の関係が成立するように決める。
【0402】
動作制御部945Vは、以下のように場合分けして制御信号を出力する。
(ア)ΔF≧TH1である場合は、第1差分位相値計算部960が動作するように、G4V=1、G5=G10=OFF、G3=G11=ONを出力する。
(イ)TH1>ΔF≧TH2である場合は、第1差分位相値計算部96Cが動作するように、G4V=4、GG3=G11=OFF、G5=G10=ONを出力する。
(ウ)TH2>ΔFである場合は、いずれも動作しないように、G4V=0、G3=G10=OFF、G5=G11=ONを出力する。
【0403】
第1差分位相値計算部96Cは、拡散符号の1周期の受信信号を3以上に決められた整数であるMC個に分割して、分割した期間での逆拡散後第2積算値GBmの和の複素数の間での位相変化を求めて周波数偏差を計算する。そのため、特許文献1に示された1周期の受信信号を2分割する従来の方法よりも高精度で拡散符号の同期系列位置を求められる。
【0404】
第1差分位相値計算部960は、MA=MC*DC個がある。DCは2以上の整数である。第1差分位相値計算部960は、第1差分位相値計算部96Cよりも多くの個数があり、拡散符号の1周期の受信信号をより細かく分割するので、より大きな周波数変化ΔFが発生している場合でも、従来の方法よりも高精度で拡散符号の同期系列位置を求められる。周波数偏差を求める精度も高精度になる。
【0405】
同期捕捉回路9Vは第2差分位相値計算部950を有しないので、DAは1以上であればよい。DA=1とする場合には、第1差分位相値計算部960が第2差分位相値計算部950と同様に動作する。ただし、NA個の第1差分位相値計算部960が必要になる。第2差分位相値計算部950を有する方が構成が簡素になる。
【0406】
実施の形態10.
図70を参照して、実施の形態10に係る同期捕捉回路の構成を説明する。
図70は、実施の形態10に係る同期捕捉回路の構成を示す機能ブロック図である。実施の形態10は、縦列接続拡散符号に限定せず一般の拡散符号が第1差分位相値計算部と同等な構成を有するように、実施の形態8を変更した場合である。
図70について、実施の形態8についての
図68とは異なる点を説明する。
【0407】
同期捕捉回路9Wは、CB相関処理部901、CA相関処理部910Uを有さない。それらの替わりに、同期捕捉回路9Wは相関処理部921を有する。相関処理部921は、受信信号であるBB信号(BBI3+jBBQ3)と拡散符号CEとの相関処理を実施する。BB信号は、2倍でオーバサンプリングされている。1チップに2個のBB信号があり、BB信号の超過係数は2である。また、周波数偏差計算部925Wと動作制御部945Wを変更している。2NEは、超過係数2を系列長NEに乗算して得られる総時点数である。なお、受信信号をオーバサンプリングしない場合、総時点数は、系列長NEと同じになる。
【0408】
拡散符号CEは、M系列、Gold符号等の拡散符号である。拡散符号CEの系列長をNE、チップ時間をSEとする。2値をとる疑似乱数である拡散符号であれば、どのような拡散符号でもよい。系列長NEは、ユニット数MEと単位個数DEの積で表される。すなわち、NE=DE*MEである。ユニット数MEは、3以上の整数である。単位個数DEは、2以上の整数である。2DEは、総時点数2NEをユニット数で除算して得られるユニット個数である。
【0409】
相関処理部921は、ME個の単位相関値計算ユニット231(1)~221(ME)、(ME-1)個の差分位相値計算部990(1)~(ME-1)、スイッチ996、加算器926を有する。相関処理部921は、全部で2NE個のDFF922を有する。2NE個のDFF922は、番号順に縦列に接続する。各単位相関値計算ユニット231(i)は、2DE個ずつのDFF922を有する。単位相関値計算ユニット231(1)は、DFF922(1)~(2DE)を有する。単位相関値計算ユニット231(i)は、DFF922(2DE*(i-1)+1)~(2DE*i)を有する。単位相関値計算ユニット231(ME)は、DFF922(2NE-2DE+1)~(2NE)を有する。単位相関値計算ユニット231(1)のDFF922(2DE)は、単位相関値計算ユニット231(2)に属するDFF922(2DE+1)に接続する。単位相関値計算ユニット231(i)のDFF922(2DE*i)は、単位相関値計算ユニット231(i+1)に属するDFF922(2DE*i+1)に接続する。そのため、各単位相関値計算ユニット231(i)は番号順に縦列に接続する。単位相関値計算ユニット231(2ME)が有するDFF922(2ME)に、SE/2が経過するごとにBB信号(BBI3+jBBQ3)が入力される。
【0410】
各単位相関値計算ユニット231(i)は、2DE個のDFF922(2DE*(i-1)+1)~(2DE*i)と、2DE個のチップ相関器923(2DE*(i-1)+1)~(2DE*i)と1個の加算器924(i)とを有する。1個のチップ相関器923(i)は、下に示す式(14)に従って、DFF922(k)に保持されている複素BB信号(BBI3[k]+jBBQ3[k])と、拡散符号CE[m]とを乗算する。mは、ガウス記号により、m=[(k+1)/2]で計算する。乗算して得られる信号を逆拡散後受信信号GRと呼ぶ。
【0411】
逆拡散後受信信号GR[k]は、下に示す計算式で計算する
GR[k]=(BBI3[k]+jBBQ3[k])*CB[m]・・・(14)
なお、チップ相関器923(k)の番号kは、BB信号を供給するDFF922(k)の番号kと同じにしている。BB信号を2倍にオーバサンプリングしているので、拡散符号CE[m]は、チップ相関器923(2m-1)とチップ相関器923(2m)に供給される。
【0412】
加算器924(i)は、2DE個のチップ相関器923(2DE*(i-1)+1)~(2DE*i)が出力するGR2DE*(i-1)+1~GR2DE*iの和を計算する。加算器924(i)が計算するGR2DE*(i-1)+1~GR2DE*iの和を、単位相関値UEiと呼ぶ。単位相関値UEiが、単位相関値計算ユニット231(i)の出力である。
【0413】
単位相関値UEiは、ユニット個数(2DE)の連続する逆拡散後受信信号GRの和を表す複素数であるユニット相関値である。単位相関値計算ユニット231(1)~(NE)は、ユニット相関値を計算する計算に使用する逆拡散後受信信号により順序付けられたユニット数(ME)の個数のユニット相関値計算部である。
【0414】
差分位相値計算部990(i)には、単位相関値計算ユニット231(i)、(i+1)が出力する単位相関値UEi、UEi+1が入力される。差分位相値計算部990(i)は、制御信号G3Wにより動作するかどうかが制御される。G3W=ONの場合は、差分位相値計算部990(i)が動作し、UEi、UEi+1の位相差および単位量の振幅を有する差分位相値VEiを計算する。G3W=OFFの場合は、差分位相値計算部990(i)が動作しないで、差分位相値計算部990(i)はUEi+1を出力する。差分位相値計算部990(i)は、動作制御部945Wにより制御されて、差分位相値VEiまたは単位相関値UEi+1の何れかを出力する。差分位相値計算部990(i)の出力を、単位積算値UWEiと呼ぶ。
【0415】
差分位相値VEiは、ユニット相関値UEi+1と1個前のユニット相関値UEiとの間の位相差を有する複素数である。差分位相値計算部990(i)は、差分位相値VEiを計算する。
【0416】
スイッチ996は、単位相関値計算ユニット231(1)の出力と加算器926の間に設けられる。スイッチ996は、動作制御部945Wが出力する制御信号G5により、入り切りが制御される。制御信号G5は、差分位相値計算部990の動作を制御する制御信号G3WがOFFの場合に、ONになる。ONの制御信号G5が入力される場合に、スイッチ996は入りになる。制御信号G3WがONの場合に、制御信号G5がOFFになり、スイッチ996は切りになる。スイッチ996は、入りの場合に単位相関値UE1を出力する。スイッチ996は、切りの場合にゼロを出力する。このようにスイッチ996の入り切りを制御することで、単位相関値計算ユニット231(1)が出力する単位相関値UE1も含めて相関値Eを計算できる。
【0417】
加算器926は、(ME-1)個の差分位相値計算部990(1)~(ME-1)が出力する単位積算値UWE1~UWEME-1と、スイッチ996の出力を加算して、加算結果を出力する。加算器926は、複素数の実部用の加算器と虚部用の加算器とを有する。差分位相値計算部990(i)が動作して差分位相値VEiを出力する場合は、加算器926の出力は、差分位相値VE1~VEME-1の和である差分相関値WEである。差分相関値WEを計算する場合の加算器926は、差分相関値計算部である。差分位相値計算部990(i)が動作しないで単位相関値UEi+1を出力する場合は、スイッチ996が入りになり、加算器926の出力は、単位相関値UE1~UEMEをの和である相関値Eである。相関値Eを計算する場合の加算器926は、相関値積算部である。加算器926の出力が、相関処理部921の出力である。相関処理部921が出力する差分相関値WEまたは相関値Eを、積算値XEと呼ぶ。
【0418】
スイッチ996は無くてもよい。スイッチ996が無い場合は、加算器926が出力する相関値Eでは、単位相関値UE1が加算されない。差分位相値計算部990が動作しない場合に、単位相関値UEiを出力するようにしてもよい。その場合には、スイッチ996は、単位相関値計算ユニット231(ME-1)の出力と加算器926の間に設けられる。
【0419】
実施の形態1の第1の変形例のように、オーバサンプリングした受信信号を、チップ時間の間隔を有するように選択された系列長の個数の受信信号の各々と、受信信号の各々が属するチップの系列長の中での位置に応じて決まる拡散符号の各々とを乗算して相関値Eを計算してもよい。その場合には、相関値Eは系列長NEの個数の逆拡散後受信信号GRの和を表すことになる。総時点数または系列長を逆拡散個数と呼ぶ。ユニット個数は、逆拡散個数をユニット数で除算して得られる個数である。逆拡散個数からユニット個数を減算して得られる数を差分個数と呼ぶ。
【0420】
加算器926は、2NE個の逆拡散後受信信号GRの和を表す複素数である相関値Eを計算する相関値積算部である。なお、スイッチ996が無い場合は、相関値Eは2NE―2DE個の逆拡散後受信信号GRの和を表す複素数になる。2NE―2DEは、差分個数である。加算器926は、差分個数以上かつ逆拡散個数以下の逆拡散後受信信号GRの和を計算するものであればよい。
【0421】
図71を参照して、差分位相値計算部の構成を説明する。
図71は、実施の形態10に係る同期捕捉回路が有する差分位相値計算部の構成を示す図である。差分位相値計算部990は、符号が異なるだけで、第1差分位相値計算部960と同様な構成を有する。差分位相値計算部990(i)は、振幅位相変換部991、振幅位相変換部992、減算器993、振幅位相逆変換部994、SEL部995を有する。
【0422】
差分位相値計算部990(i)には、SE/2が経過するごとに単位相関値UEi+1およびUEiが入力される。振幅位相変換部991は、直交座標で表現された単位相関値UEi+1を、振幅と位相の極座標での値に変換する。入力される単位相関値UEi+1を、UEi+1=UEIi+1+jUEQi+1と表現する。振幅位相変換部991は、単位相関値UEi+1の振幅|UEi+1|と位相θUE(i+1)を以下の式で計算する。
|UEi+1|=√(UEIi+1
2+UEQi+1
2)
θUE(i+1)=sin-1(UEQi+1/|UEi+1|)
【0423】
振幅位相変換部992は、直交座標で表現された単位相関値UEiを、振幅と位相の極座標での値に変換する。振幅位相変換部992は、単位相関値UEiの振幅|UEi|と位相θUE(i)を以下の式で計算する。
|UEi|=√(UEIi
2+UEQi
2)
θUE(i)=sin-1(UEQi/|UEi|)
【0424】
振幅位相変換部991が出力する位相θUE(i+1)と振幅位相変換部992が出力する位相θUE(i)は、減算器993に入力される。減算器993は、以下の式で計算される位相差ΔθUE(i)を出力する。
ΔθUE(i)=θUE(i+1)-θUE(i)
【0425】
振幅位相逆変換部994は、位相差ΔθUE(i)が入力されて単位量の振幅を有する複素数である差分位相値VEi=VEIi+jVEQiを出力する。
VEi=exp(jΔθUE(i))
VEIi=cos(ΔθUE(i))
VEQi=sin(ΔθUE(i))
差分位相値VEiは、複素平面において単位円上に存在する複素数である。
【0426】
SEL部995には、単位相関値UEi+1と差分位相値VEiが入力される。SEL部995には、動作制御部945Wから制御信号G3Wが入力される。SEL部995は、制御信号G3WがONの場合に、差分位相値VEiを出力する。SEL部995は、制御信号G3WがOFFの場合に、単位相関値UEi+1を出力する。SEL部995の出力が、差分位相値計算部990(i)の出力である。制御信号G3WがONの場合に、差分位相値計算部990(i)は差分位相値VEiを出力する。制御信号G3WがOFFの場合に、差分位相値計算部990(i)は単位相関値UEi+1を出力する。
【0427】
動作制御部945Wは、差分位相値計算部990、スイッチ996および周波数偏差計算部925Wの動作を制御する。動作制御部945Wは、制御信号G3W、G4W、G5を出力する。動作制御部945Wは、動作制御部945と比較して、制御信号G1、G2を出力しない点、G5を出力する点が異なる。動作制御部945Wは、差分位相値計算部990を動作させるかどうかを制御する。
【0428】
周波数偏差計算部925Wの動作を制御するG4Wは、例えば以下の値をとる。G4Wは、動作制御部945が出力するG4と比較して、G4W=2をとらない点が異なる。
(制御信号G4Wの値の意味)
0:差分位相値計算部990が不動作。
1:差分位相値計算部990が動作。
【0429】
周波数偏差計算部925Wは、相関処理部921が出力する積算値XEに基づき周波数偏差ΔFを計算する。周波数偏差計算部925Wには、動作制御部945Wから制御信号G4Wが入力される。周波数偏差計算部925Wは、G4Wの値に応じた方法で周波数偏差ΔFを計算する。
【0430】
差分位相値計算部990が動作しない(G4W=0)場合は、積算値XEは相関値Eである。周波数偏差計算部925Wは、SE/2が経過するごとに相関値Eが入力される。周波数偏差計算部925Wは、最新の決められた期間TXに入力される相関値Eの位相の時間変化を近似する二乗誤差が最小になる1次関数を求める。1次関数の傾きEinclに基づき、周波数偏差ΔF=Eincl/(2π)を計算する。傾きEinclは、周波数偏差の時間変化である周波数変化率に比例した値である。周波数偏差計算部925Wは、相関値Eの位相の時間変化率に基づき周波数偏差ΔFを計算する。
【0431】
差分位相値計算部990が動作する(G4W=1)場合は、積算値XEは差分相関値WEである。差分位相値計算部990が動作する(G4W=1)場合には、WEの位相は、DE*SEの時間で周波数偏差ΔFにより発生する位相変化である。期間TXに入力される差分相関値WEの平均をWEAVで表す。周波数偏差計算部925Wは、G4W=1の場合には、ΔF=WEAV/(2π*DE*SE)でΔFを計算する。
【0432】
動作を説明する。動作制御部945Wは、通信開始時には制御信号G3W=ON、G4W=1、G5=OFFを出力する。差分位相値計算部990が動作する状態で、周波数偏差ΔFがゼロと判断できる程度に小さくなると、動作制御部945Wは、制御信号G3W=OFF、G4W=0、G5=ONを出力する。周波数偏差ΔFがゼロと判断できる程度に小さいかどうかは、第1閾値TH1と比較して判断する。周波数偏差ΔFが第1閾値TH1よりも小さくなる(ΔF<TH1)と、動作制御部945Wは差分位相値計算部990を動作させないで不動作にする。
【0433】
動作制御部945Wは、以下のように場合分けして制御信号を出力する。
(ア)ΔF≧TH1である場合は、差分位相値計算部990が動作するように、G4W=1、G3W=ON、G5=OFFを出力する。
(イ)TH1>ΔFである場合は、差分位相値計算部990が動作しないように、G4W=0、G3W=OFF、G5=ONを出力する。
【0434】
差分位相値計算部990は、拡散符号の1周期の受信信号を3以上に決められた整数であるME個に分割して、分割した期間での逆拡散後受信信号GRの和の複素数の間での位相変化を求めて周波数偏差を計算する。そのため、特許文献1に示された1周期の受信信号を2分割する従来の方法よりも高精度で拡散符号の同期系列位置を求められる。周波数偏差を求める精度も高精度になる。
【0435】
以下で、実施の形態10の変形例について説明する。各変形例は、他の変形例と自由に組み合わせて実施できる。他の実施の形態にも、各変形例および複数の変形例の自由な組み合わせを適用できる。
【0436】
第13の変形例.
図72を参照して、実施の形態10に係る同期捕捉回路を変形する第13の変形例の構成を説明する。
図72は、実施の形態10に係る同期捕捉回路を変形する第13の変形例の構成を示す機能ブロック図である。第13の変形例では、差分位相値計算部990Aが動作しない場合に、単位相関値UE
iを出力する。
【0437】
同期捕捉回路9WAは、同期捕捉回路9Wと比較して、相関処理部921Aを変更している。相関処理部921Aは、差分位相値計算部990Aを有する。また、スイッチ996が、単位相関値計算ユニット231(ME-1)の出力と加算器926の間に設けられる。
【0438】
図73を参照して、差分位相値計算部990Aの構成を説明する。
図73は、実施の形態10に係る同期捕捉回路を変形する第13の変形例が有する差分位相値計算部の構成を示す図である。
図73について、実施の形態10の場合の
図71とは異なる点を説明する。
【0439】
SEL部995には、単位相関値UEiと差分位相値VEiが入力される。SEL部995は、制御信号G3WがONの場合に、差分位相値VEiを出力する。SEL部995は、制御信号G3WがOFFの場合に、単位相関値UEi+1を出力する。つまり、制御信号G3WがONの場合に、差分位相値計算部990A(i)は差分位相値VEiを出力する。制御信号G3WがOFFの場合に、差分位相値計算部990A(i)は単位相関値UEiを出力する。
【0440】
同期捕捉回路9WAは、同期捕捉回路9Wと同様に動作して同様な効果が得られる。
【0441】
第14の変形例.
図74を参照して、実施の形態10に係る同期捕捉回路を変形する第14の変形例の構成を説明する。
図74は、実施の形態10に係る同期捕捉回路を変形する第14の変形例の構成を示す機能ブロック図である。第13の変形例では、スイッチ996を有しない。スイッチ996を有しない分だけ、同期捕捉回路は構成が簡素になる。
【0442】
同期捕捉回路9WBは、同期捕捉回路9Wと比較して、相関処理部921Bと動作制御部945WBを変更している。相関処理部921Bは、スイッチ996を有さない点が、相関処理部921とは異なる。動作制御部945WBは、差分位相値計算部990および周波数偏差計算部925Wの動作を制御する。動作制御部945WBは、制御信号G3W、G4Wを出力する。
【0443】
加算器926は、(ME-1)個の差分位相値計算部990(1)~(ME-1)が出力する単位積算値UWE1~UWEME-1を加算して、加算結果である積算値XEを出力する。積算値XEは、差分位相値計算部990が動作する場合は、差分位相値VE1~VEME-1の和である差分相関値WEである。積算値XEは、差分位相値計算部990が動作しない場合は、単位相関値UE1~UEME-1の和である相関値Eである。UEMEが相関値Eに加算されないので、相関処理部921Aが出力する相関値Eは、相関処理部921が出力する相関値よりも精度がよくない場合がある。
【0444】
動作を説明する。動作制御部945WBは、通信開始時には制御信号G3W=ON、G4W=1を出力する。差分位相値計算部990が動作する状態で、周波数偏差ΔFがゼロと判断できる程度に小さくなると、動作制御部945WBは、制御信号G3W=OFF、G4W=0を出力する。周波数偏差ΔFがゼロと判断できる程度に小さいかどうかは、第2閾値TH2と比較して判断する。周波数偏差ΔFが第2閾値TH2よりも小さくなる(ΔF<TH2)と、差分位相値計算部990を動作させないで不動作にする。
【0445】
動作制御部945Wは、以下のように場合分けして制御信号を出力する。
(ア)ΔF≧TH2である場合は、差分位相値計算部990が動作するように、G4W=1、G3W=ONを出力する。
(イ)TH2>ΔFである場合は、差分位相値計算部990が動作しないように、G4W=0、G3W=OFFを出力する。
【0446】
同期捕捉回路9WBは、周波数偏差ΔFが大きい場合でも、従来よりも高精度に周波数偏差を計算して拡散符号の同期系列位置を求められる。
【0447】
同期捕捉回路9WBは、ΔF≧TH2である場合は、同期捕捉回路9Wと同様に動作する。TH2>ΔFである場合は、同期捕捉回路9WBとほぼ同様に動作する。同期捕捉回路9WBが使用する相関値Eは、UEMEが含まれていない。そのため、TH2>ΔFである場合は、同期捕捉回路9WBは、拡散符号の同期系列位置を求める精度が低くなる場合が発生する可能性がある。同期捕捉回路9WBは、同期捕捉回路9Wと比較して構成が簡素である。
【0448】
実施の形態11.
図75を参照して、実施の形態11に係る同期捕捉回路の構成を説明する。
図75は、実施の形態11に係る同期捕捉回路の構成を示す機能ブロック図である。実施の形態11は、差分位相値計算部を2段に設けるように、実施の形態10を変更した場合である。
図75について、実施の形態10についての
図70とは異なる点を説明する。ここで、ユニット数ME=DH*MHであるとする。MHは3以上の整数であり、DHは2以上の整数である。MHを2段ユニット数と呼ぶ。MH-1を、2段差分数と呼ぶ。DHを2段単位個数と呼ぶ。2NE/MHを、2段ユニット個数と呼ぶ。2DH*(MH-1)=2NE-2NE/MHを2段差分個数と呼ぶ。
【0449】
同期捕捉回路9Yは、相関処理部921Y、周波数偏差計算部925Yおよび動作制御部945Yを変更している。相関処理部921Yは、MH個の加算器927、(MH-1)個の差分位相値計算部99E、スイッチ997も有する。1個の加算器927は、DH個の差分位相値計算部990が出力する単位積算値UWEの和を取る。ただし、加算器927(1)は、(DH-1)個のUWEとスイッチ996の出力の和を取る。1個の加算器927が和をとるDH個の差分位相値計算部990は、その番号が連続するものである。つまり、加算器927(1)は、差分位相値計算部990(1)~(DH-1)が出力するUWE1~UWEDH-1とスイッチ996の出力の和を計算する。1より大きいiでは、加算器927(i)は、差分位相値計算部990(DH*i-DH)~(DH*i-1)が出力するUWEDH*i-DH~UWEDH*i-1の和を計算する。加算器927(i)の出力を、単位相関値UHiと呼ぶ。
【0450】
スイッチ996は、単位相関値計算ユニット231(1)の出力と加算器927(1)の間に設けられる。スイッチ996は、動作制御部945Yが出力する制御信号G5により、入り切りが制御される。制御信号G5は、差分位相値計算部990の動作を制御する制御信号G3WがOFFの場合に、ONになる。ONの制御信号G5が入力される場合に、スイッチ996は入りになる。制御信号G3WがONの場合に、制御信号G5がOFFになり、スイッチ996は切りになる。スイッチ996は、入りの場合に単位相関値UE1を出力する。スイッチ996は、切りの場合にゼロを出力する。このようにスイッチ996の入り切りを制御することで、単位相関値計算ユニット231(1)が出力する単位相関値UE1も含めて相関値Eを計算できる。
【0451】
スイッチ996は、最前の単位相関値計算ユニット231(1)の出力と加算器927(1)の間、または最新の単位相関値計算ユニット231(ME)の出力と加算器927(MH)の間に設けられ、入力される複素数またはゼロを切り替えて出力するスイッチである。差分位相値計算部990(i)が前の方の単位相関値UEiを出力する場合は、最新の単位相関値計算ユニット231(ME)の出力がスイッチ996に入力される。差分位相値計算部990(i)が新しい方の単位相関値UEi+1を出力する場合は、最前の単位相関値計算ユニット231(1)の出力がスイッチ996に入力される。
【0452】
スイッチ997は、加算器927(1)と加算器926の間に設けられる。スイッチ997は、動作制御部945Yが出力する制御信号G11により、入り切りが制御される。制御信号G11は、差分位相値計算部99Eの動作を制御する制御信号G10YがOFFの場合に、ONになる。ONの制御信号G11が入力される場合に、スイッチ997は入りになる。制御信号G10YがONの場合に、制御信号G11がOFFになり、スイッチ997は切りになる。スイッチ997は、入りの場合に単位相関値値UHiを出力する。スイッチ997は、切りの場合にゼロを出力する。このようにスイッチ997の入り切りを制御することで、加算器927(1)が出力する単位相関値UH1も含めて相関値Eを計算できる。
【0453】
スイッチ997は、最前の加算器927(1)の出力と加算器926の間、または最新の加算器927(MH)の出力と加算器926の間に設けられ、入力される複素数またはゼロを切り替えて出力する第2スイッチである。差分位相値計算部99E(i)が前の方の単位相関値UHiを出力する場合は、最新の加算器927(MH)の出力がスイッチ997に入力される。差分位相値計算部99E(i)が新しい方の単位相関値UHi+1を出力する場合は、最前の加算器927(1)の出力がスイッチ997に入力される。
【0454】
差分位相値計算部99E(i)は、複素数である単位相関値UHi+1、UHiが入力されて、UHi+1、UHiの位相差および単位量の振幅を有する差分位相値VHiを計算する。なお、差分位相値計算部990が動作する場合には、差分位相値計算部99E(i)は差分位相値VHiを計算しない。差分位相値計算部99E(i)は、動作制御部945Yにより制御されて、差分位相値VHiまたは単位相関値UHi+1の何れかである単位積算値UWHiを出力する。差分位相値計算部99E(i)は、単位相関値UHi+1と1個前の単位相関値UHiとの間の位相差を有する複素数である差分位相値VHiを計算する。なお、差分位相値計算部99E(i)は、単位相関値UHiまたは差分位相値VHiの何れかを一律に切り替えて出力するようにしてもよい。差分位相値計算部990を1段目の差分位相値計算部と呼び、差分位相値計算部99Eを2段目の差分位相値計算部と呼ぶ。
【0455】
図76を参照して、2段目の差分位相値計算部の構成を説明する。
図76は、実施の形態6に係る同期捕捉回路が有する2段目の差分位相値計算部の構成を示す図である。差分位相値計算部99E(i)は、差分位相値計算部990(i)と同様な構成を有する。差分位相値計算部99E(i)では、SEL部965が制御信号G10Yにより制御される点と、信号を表す変数が異なる。なお、差分位相値計算部990(i)が有するSEL部965は、制御信号G3Wにより制御される。差分位相値計算部990および差分位相値計算部99Eは、どちらも動作しないか、どちらか一方だけが動作するように制御される。
【0456】
差分位相値計算部99E(i)が処理する信号は、差分位相値計算部990(i)とは異なる変数で表現している。差分位相値計算部99E(i)には、単位相関値UHi、UHi+1が入力される。差分位相値計算部99E(i)は、差分位相値VHiを計算する。差分位相値計算部99E(i)は、差分位相値VHiまたは単位相関値UHi+1である単位積算値UWHiを出力する。
【0457】
加算器926は、(MH-1)個の差分位相値計算部99E(1)~(MH-1)が出力する単位積算値UWH1~UWHMH-1とスイッチ997の出力を加算して、加算結果である積算値XEを出力する。積算値XEは、差分位相値計算部990が動作する場合は、差分位相値VE1~VEME-1の和である差分相関値WEである。差分位相値計算部99Eが動作する場合は、積算値XEは差分位相値VH1~VHMH-1の和である差分相関値WHである。差分位相値計算部990および差分位相値計算部99Eが動作しない場合は、積算値XEは単位相関値UE1~UEMEの和である相関値Eである。
【0458】
単位相関値UHiは、2段ユニット個数の連続する逆拡散後受信信号GRの和を表す複素数である2段ユニット相関値である。加算器927(1)~(MH)は、2段ユニット相関値を計算する計算に使用する逆拡散後受信信号により順序付けられた2段ユニット数(MH)の個数の2段ユニット相関値計算部である。
【0459】
差分位相値VHiは、2段ユニット相関値UHi+1と1個前の2段ユニット相関値UHiとの間の位相差を有する複素数である2段差分位相値である。差分位相値計算部99E(i)は、2段差分位相値を計算する2段差分位相値計算部である。
【0460】
差分相関値WHは、2段差分位相値VH1~VHMH-1の和である2段差分相関値である。2段差分位相値VH1~VHMH-1の和は、2段差分個数以上かつ逆拡散個数以下の逆拡散後受信信号の和である。差分位相値計算部99Eが動作する場合の加算器926は、2段差分相関値を計算する2段差分相関値計算部である。
【0461】
動作制御部945Yは、制御信号G3W、G4Y、G5、G10Y、G11を出力する。差分位相値計算部990を制御するG3Wは、実施の形態10の場合と同様にON/OFFの値をとる。周波数偏差計算部925Yの動作を制御するG4Yは、例えば以下の値をとる。動作制御部945Yは、差分位相値計算部990および差分位相値計算部99Eのどちらか一方を動作させるか、どちらも動作させないかを制御する。
(制御信号G4Yの値の意味)
0:差分位相値計算部990および差分位相値計算部99Eが不動作。
1:差分位相値計算部990が動作。
4:差分位相値計算部99Eが動作。
【0462】
周波数偏差計算部925Yは、G4Y=0、G4Y=1の場合は、周波数偏差計算部925Wと同様に動作する。G4Y=4の場合には、周波数偏差計算部925Yは、ΔF=WAAV/(π*DE*DH*SE)でΔFを計算する。
【0463】
動作を説明する。動作制御部945Yは、通信開始時には制御信号G4Y=2、G5=G11=ON、G3W=G10Y=OFFを出力する。同期捕捉回路9Yが動作して周波数偏差ΔFが計算できるようになると、動作制御部945YはΔFの大きさに応じて、G3W、G4Y、G5、G10Y、G11の値を変化させる。動作制御部945Yは、第1閾値TH1と第2閾値TH2を使用する。各閾値は、TH2<TH1の関係が成立するように決める。G3W=ONである期間を、精検出1の期間とする。G10Y=ONである期間を、精検出2の期間とする。
【0464】
同期捕捉回路9Yでは、積算値XEは、差分位相値計算部990が動作する場合は、差分相関値WEである。差分位相値計算部99Eが動作する場合は、積算値XEは2段差分相関値である差分相関値WHである。差分位相値計算部990および差分位相値計算部99Eが動作しない場合は、積算値XEは相関値Eである。
【0465】
動作制御部945Yは、以下のように場合分けして制御信号を出力する。
(ア)ΔF≧TH1である(精検出1)場合は、差分位相値計算部990が動作するように、G4Y=1、G3W=G11=ON、G5=G10Y=OFFを出力する。
(イ)TH1>ΔF≧TH2である(精検出2)場合は、差分位相値計算部99Eが動作するように、G4Y=4、G3W=G11=OFF、G5=G10Y=ONを出力する。
(ウ)TH2>ΔFである場合は、いずれも動作しないように、G4Y=0、G3W=G10Y=OFF、G5=G11=ONを出力する。
【0466】
同期捕捉回路9Yは、精検出1の期間では同期捕捉回路9Wと同様に動作する。周波数偏差ΔFが第1閾値TH1よりも小さくなると、精検出2の期間となり2段目の差分位相値計算部99Eが動作する。
【0467】
第1差分位相値計算部96Cは、拡散符号の1周期の受信信号を3以上に決められた整数であるMH個に分割して、分割した期間での逆拡散後受信信号GRmの和の複素数の間での位相変化を求めて周波数偏差を計算する。そのため、特許文献1に示された1周期の受信信号を2分割する従来の方法よりも高精度で拡散符号の同期系列位置を求められる。周波数偏差を求める精度も高精度になる。
【0468】
差分位相値計算部990は、ME=DE*MH個がある。DEは2以上の整数である。差分位相値計算部990は、差分位相値計算部99Eよりも多くの個数があり、拡散符号の1周期の受信信号をより細かく分割するので、より大きな周波数変化ΔFが発生している場合でも、従来の方法よりも高精度で周波数偏差を計算して拡散符号の同期系列位置を求められる。
【0469】
同期捕捉回路9Yは、周波数偏差ΔFが大きい場合でも、従来よりも高精度に周波数偏差を計算して拡散符号の同期系列位置を求められる。同期捕捉回路9Yは、周波数偏差ΔFが小さくなっていく際に、同期捕捉回路9Wと比較して位相変化を検出するレベルをより細かく変化させることができ、高精度で拡散符号の同期系列位置を求めることができる。周波数偏差を求める精度も高精度になる。
【0470】
各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の変形や一部の構成要素を省略すること、あるいは一部の構成要素の省略や変形をした各実施の形態の自由な組み合わせが可能である。
【符号の説明】
【0471】
1 スペクトラム拡散受信機
2 アナログ受信部
3 ADC部(Analog Digital Converter)
4 直交検波部
5 タイミング補正器
6 AGC(Auto Gain Control)
7 逆拡散部
8 同期追従回路
9、9A、9B、9C、9D、9E、9F、9G、9H、9J、9K、9L、9M、9N、9P、9Q、9R、9S、9T、9U、9V、9W、9WA、9WB、9Y 同期捕捉回路
21 BPF(Band Pass Filter)
22 増幅部(AMP)
23 低域通過フィルタ(LPF)
41 第1の乗算器
42 第2の乗算器
43 第1の低域通過フィルタ(第1のLPF)
44 第2の低域通過フィルタ(第2のLPF)
45 cos/-sin変換器
46 数値制御発振器(NCO、Numerical Controlled Oscillator)
49 加算器、
51、52 FIRフィルタ(Finite Impulse Responseフィルタ)
53 フィルタ係数更新
54 数値制御発振器(NCO)
61a、61b 乗算器
63a、63b 二乗回路
64 加算器
65 10log10変換器
66 減算器
67 乗算器
68 LF (Loop Filter)
69 10x/20 変換器
71、72、73、74、75、76 乗算器
77、78 1サンプル遅延素子(DFF)
79 拡散符号発生部
81、82、83、84 二乗回路
85、86 加算器
87 減算器
88a、88b 乗算器
89 LF (Loop Filter)
121、121A、121B 遅延処理部
122、122A、122B、122L 第2相関値計算部
221、221C、221D 単位第1相関値計算ユニット
223 書込制御部
224 メモリ部
225 読出制御部
231 単位相関値計算ユニット
901、901A、901B、901L CB相関処理部
902 遅延素子(DFF)
903 チップ相関器(第2逆拡散後受信信号計算部、逆拡散後受信信号計算部)
904、904L 加算器
905 単位第2差分位相値計算部
906 スイッチ(第2スイッチ)
907 加算器(第2加算器)
910、910A、910B、910C、910D、910E、910F、910G、910H、910K、910Q、910R、910S、910T、910U、910V CA相関処理部
911、911B 遅延回路
912 チップ相関器(逆拡散後第2積算値計算部、逆拡散後受信信号計算部)
913 加算器
914 加算器(第1加算器、第1相関値積算部、差分相関値計算部、第1合計値計算部、2段差分相関値計算部)
914F 加算器(第1加算器、第1合計値計算部)
915 加算器
916 スイッチ
917 加算器
921、921A、921B 相関処理部
922 遅延素子(DFF)
923 チップ相関器
924 加算器
926 加算器(差分相関値計算部、相関値積算部)
927 加算器
920 電力算出部
925、925F、925J、925K、925N、925P、925Q、925R、925S、925T、925U、925V、925W、925Y 周波数偏差計算部
930、930B 平均化処理部(電力記憶部)
940、940B ピーク検出判定部
945、945F、945G、945H、945J、945K、945L、945M、945N、945P、945Q、945R、945S、945T、945U、945V、945W、945Y 動作制御部
950、950E、950P、950Q、950R 第2差分位相値計算部
951 振幅位相変換部
952、9522、9523 遅延回路
953 減算器
954 振幅位相逆変換部
955 SEL部(選択回路)
956 複素共役部
957 複素乗算器
960、960E、960H 第1差分位相値計算部(第1選択出力部)
96C 第1差分位相値計算部
961 振幅位相変換部
962 振幅位相変換部
963 減算器
964 振幅位相逆変換部
965 SEL部(選択回路)
966 複素共役部
967 複素乗算器
970、970Q、970R 符号選択部
971、9712、9713 減算部
972、9722、9723 遅延素子(DFF)
973 SEL部(選択回路)
980 累積加算部
981 SEL部
982 累積加算回路
983 SEL部
984 制御回路
98A データ取得部
98B 加算器
98C 遅延素子(DFF)
98D ホールド部
990、99E 差分位相値計算部
991 振幅位相変換部
992 振幅位相変換部
993 減算器
994 振幅位相逆変換部
995 SEL部(選択回路)
996 スイッチ(第1スイッチ)
997 スイッチ(第2スイッチ)
1001 拡散符号A発生器
1002 拡散符号B発生器
1003 乗算器
G1、G1Q、G1R 制御信号(第2差分位相値計算部の制御用)
G2、G2Q、G2R 制御信号(符号選択部の制御用)
G3 制御信号(第1差分位相値計算部の制御用)
G3W 制御信号(差分位相値計算部の制御用)
G4、G4F、G4J、G4L、G4M、G4N、G4Q、G4R、G4S、G4T、G4U、G4V、G4W、G4Y 制御信号(周波数偏差計算部の制御用)
G5 制御信号(スイッチ996の制御用)
G6 制御信号(第1相関値と第1差分相関値の切替スイッチの制御用)
G7 制御信号(単位第2差分位相値計算部の制御用)
G8 制御信号(スイッチ906の入り切り制御用)
G9 制御信号(累積加算部の制御用)
G10 制御信号制御信号(2段目の第1差分位相値計算部の制御用)
G10Y 制御信号制御信号(2段目の差分位相値計算部の制御用)
G11 制御信号(スイッチ997の制御用)
A 第1相関値、
B 第2相関値
CA 第1の拡散符号、
CB 第2の拡散符号、
CD 第1の拡散符号から決まる差分符号、
CX 符号選択部970が出力する拡散符号(CAまたはCD)、
DA 第1単位個数
DB 第2単位個数
DC 2段単位個数
MA 第1分割数(ユニット数)
MB 第2分割数
MC 2段第1分割数(2段ユニット数)
NA 第1の系列長
NB 第2の系列長
NC 第3の系列長(縦列接続系列長、系列長)
SA 第1のチップ時間
SB 第2のチップ時間(チップ時間)
TA 第1の拡散符号CAの1周期の時間
TB 第2の拡散符号CBの1周期の時間
TP 縦列接続拡散符号PNの1周期の時間
UA 単位第1相関値
UB 単位第2相関値
VA 第1差分位相値
VB 第2差分位相値
VC 微分位相値
UWA 単位第1積算値(単位第1相関値UAまたは第1差分位相値VA)
EA 単位第1相関値
FA 第1差分位相値
HA 単位第1積算値(単位第1相関値EAまたは第1差分位相値FA)
WH 第1差分相関値(2段差分相関値、2段第1差分相関値)
WA 第1差分相関値(差分相関値)
WB 第2差分相関値(差分相関値)
VUB 単位第2差分位相値
WUB 単位第2差分相関値
XUB 単位第2積算値(第2相関値Bまたは単位第2差分相関値WUB)
XA 第1積算値(第1相関値Aまたは第1差分相関値WAまたは第2差分相関値WBまたは微分位相値VC)
XB 第2積算値(第2相関値Bまたは第2差分位相値VB)
SE チップ時間
E 相関値
CE 拡散符号
NE 系列長
DE 単位個数
DH 2段単位個数
ME ユニット数
MH 2段ユニット数
UE 単位相関値
VE 差分位相値
WE 差分相関値
UWE 単位積算値(単位相関値UEまたは差分位相値VE)
XE 積算値
UH 単位相関値
VH 差分位相値
UWH 単位積算値(単位相関値UHまたは差分位相値VH)