(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】車載ドライブレコーダ装置
(51)【国際特許分類】
G07C 5/00 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
G07C5/00 Z
(21)【出願番号】P 2021067919
(22)【出願日】2021-04-13
【審査請求日】2024-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹中 淳
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-102092(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両周辺を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された撮像画像に基づいて前記自車両周辺に存在する他車両に関する他車両情報を取得する他車両情報取得部と、
前記他車両情報取得部により取得された前記他車両情報に基づいて、前記他車両の割り込みを判定した後に前記他車両のあおり運転を判定する他車両シーン判定部と、
前記他車両シーン判定部により前記他車両が割り込んだと判定された際に、該判定前後の所定時間において前記撮像部により撮像された撮像画像を記録部の上書き禁止領域に記録させ、さらに前記他車両シーン判定部により前記他車両があおり運転を行っていると判定された際に、当該他車両が前記撮像部の画角から外れるまでの前記撮像画像を前記上書き禁止領域に記録させる記録制御部と、
を含む車載ドライブレコーダ装置。
【請求項2】
前記他車両シーン判定部は、前記他車両が割り込んだと判定されてから所定時間以内に、前記他車両が所定の減速走行を行う、及び前記他車両が所定の蛇行走行を行う、の何れか一方を満たした場合に、前記あおり運転であると判定する請求項1に記載の車載ドライブレコーダ装置。
【請求項3】
前記他車両シーン判定部は、前記他車両が、前記自車両が走行する自車走行車線の外から前記自車両前方の特定領域へ進入してきた場合に、前記割り込みであると判定する請求項1又は請求項2に記載の車載ドライブレコーダ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載ドライブレコーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、自車両と後続車両との車間距離に基づいて後続車両のあおり運転を検知し、後方の画像を記録する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術においては、自車両前方で行われる蛇行走行や急減速等の妨害走行行為を含む他車両のあおり運転行為の全貌を記録することへの考慮が不足しており、改善の余地がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、自車両に対するあおり運転の検出精度を高めると共に、あおり運転行為の全貌を記録することができる車載ドライブレコーダ装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の本発明に係る車載ドライブレコーダ装置は、自車両周辺を撮像する撮像部と、前記撮像部により撮像された撮像画像に基づいて前記自車両周辺に存在する他車両に関する他車両情報を取得する他車両情報取得部と、前記他車両情報取得部により取得された前記他車両情報に基づいて、前記他車両の割り込みを判定した後に前記他車両のあおり運転を判定する他車両シーン判定部と、前記他車両シーン判定部により前記他車両が割り込んだと判定された際に、該判定前後の所定時間において前記撮像部により撮像された撮像画像を記録部の上書き禁止領域に記録させ、さらに前記他車両シーン判定部により前記他車両があおり運転を行っていると判定された際に、当該他車両が前記撮像部の画角から外れるまでの前記撮像画像を前記上書き禁止領域に記録させる記録制御部と、を含む。
【0007】
請求項1に記載の本発明に係る車載ドライブレコーダ装置によれば、他車両情報に基づいて、他車両の割り込みを判定した後に他車両のあおり運転を判定する他車両シーン判定部と、他車両が割り込んだと判定された際に、判定前後の所定時間において撮像部により撮像された撮像画像を記録部の上書き禁止領域に記録させ、さらに他車両があおり運転を行っていると判定された際に、他車両が撮像部の画角から外れるまでの撮像画像を上書き禁止領域に記録させる記録制御部とを含んでいる。このように割り込みを判定した後であおり運転を判定することによって、他車両により繰り返し行われる危険行為をあおり運転として検出することができるので、あおり運転の検出精度を高めることができる。また、他車両があおり運転を行っていると判定された際に、他車両が撮像部の画角から外れるまでの撮像画像を上書き禁止領域に記録させるので、録画時間が延長されることになり、あおり運転行為の全貌を記録することができる。なお、「あおり運転行為の全貌を記録する」とは、あおり運転行為が確認可能な動画像を記録することを意図しており、あおり運転行為を行っている他車両全体が撮像画像内に存在していなくてもよい。
【0008】
請求項2に記載の本発明に係る車載ドライブレコーダ装置は、請求項1に記載の車載ドライブレコーダ装置において、前記他車両シーン判定部は、前記他車両が割り込んだと判定されてから所定時間以内に、前記他車両が所定の減速走行を行う、及び前記他車両が所定の蛇行走行を行う、の何れか一方を満たした場合に、前記あおり運転であると判定する。
【0009】
請求項2に記載の本発明に係る車載ドライブレコーダ装置によれば、他車両が割り込んだと判定されてから所定時間以内に、他車両が所定の減速走行を行う、及び他車両が所定の蛇行走行を行う、の何れか一方を満たした場合に、あおり運転であると判定される。これにより、自車両に対する割り込みから所定時間以内に、次の危険行為が検出された場合にあおり運転であると判定されるので、他車両により繰り返し行われる危険行為を自車両に対するあおり運転として検出することができ、あおり運転の検出精度を高めることができる。
【0010】
請求項3に記載の本発明に係る車載ドライブレコーダ装置は、請求項1又は請求項2に記載の車載ドライブレコーダ装置において、前記他車両シーン判定部は、前記他車両が、前記自車両が走行する自車走行車線の外から前記自車両前方の特定領域へ進入してきた場合に、前記割り込みであると判定する。
【0011】
請求項3に記載の本発明に係る車載ドライブレコーダ装置によれば、他車両が、自車両が走行する自車走行車線の外から自車両前方の特定領域へ進入してきた場合に、割り込みであると判定する。これにより、他車両が自車走行車線の外から自車両前方の特定領域に侵入してきた場合に、割り込みであると判定されるので、自車両に対する割り込み行為を精度よく検出することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明に係る車載ドライブレコーダ装置は、自車両に対するあおり運転の検出精度を高めると共に、あおり運転行為の全貌を記録することができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態に係る車載ドライブレコーダ装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態に係る制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】第1実施形態に係る制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】前方カメラにより取得された撮像画像の一例を示す一例図である。
【
図5】第1実施形態に係る制御装置による一連の制御の流れを示すフローチャートである。
【
図6】第1実施形態に係る割り込み判定処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】第1実施形態に係るあおり運転判定処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】第2実施形態に係る制御装置による一連の制御の流れを示すフローチャートである。
【
図9】第2実施形態に係るあおり運転判定処理の流れを示すフローチャート(その1)である。
【
図10】第2実施形態に係るあおり運転判定処理の流れを示すフローチャート(その2)である。
【
図11】第3実施形態に係る車載ドライブレコーダ装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1~
図7を用いて本発明の第1実施形態に係る車載ドライブレコーダ装置10について説明する。なお、以下の説明において前後左右上下の方向を示して説明するときは、車両の前後左右上下の方向を示すものとする。
【0015】
図1は第1実施形態に係る車載ドライブレコーダ装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
図1に示されるように、第1実施形態の車載ドライブレコーダ装置10は、車両(以下「自車両」と呼ぶ)に搭載されており、撮像部としての前方カメラ12、車速検出部14、記録部16、及び制御装置20を備えている。
【0016】
前方カメラ12は、自車両の前方を撮像するカメラであり、カラーCCD(Charge Coupled Device)カメラ等で構成されている。前方カメラ12は、それぞれ自車両の前部の室内側又は室外側の車幅方向中央に設置されている。前方カメラ12は、制御装置20からの撮像信号に基づいて所定のフレームレートで自車両前方を撮像すると共に、撮像画像データを制御装置20と記録部16の後述する自動上書き領域16Aとに出力する。
【0017】
車速検出部14は、自車両の車輪(左前輪、右前輪、左後輪、及び右後輪)毎に設けられた車輪速センサ(図示省略)を備えており、車速検出部14は、車輪速センサによって得られた自車両の各車輪の回転速度を用いて車速を検出する。各車輪速センサは、対応する車輪が所定角度回転する毎に一つのパルス信号(車輪パルス信号)PSを発生させる。車速検出部14は、各車輪速センサから送信されてくる車輪パルス信号PSの単位時間におけるパルス数を計測し、その計測したパルス数に基づいて各車輪の回転速度(車輪速度)を取得する。車速検出部14は、各車輪の車輪速度に基づいて自車両の速度を取得する。一例として、車速検出部14は、4つの車輪の車輪速度の平均値を車速として取得する。
【0018】
記録部16は、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリであり、本実施形態においては、記録されるデータ量が容量を超えた場合に自動的にデータが上書きされて記録される自動上書き領域16Aと、自動上書きが禁止された自動上書き禁止領域16Bとを備えている。自動上書き領域16Aには、前方カメラ12で撮影された撮像画像、並びに車速検出部14によって検出された自車両の車速度及び操舵角等が記録される。自動上書き禁止領域16Bには、後述する他車両シーン判定部220により他車両が割り込んだと判定された際、及び他車両があおり運転を行っていると判定された際に、これらに関係する撮像画像が記録される。なお、割り込みやあおり運転については後で詳細に説明する。
【0019】
図2は本実施形態に係る制御装置20のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2に示されるように、制御装置20は、ECU(Electronic Control Unit)であり、CPU(Central Processing Unit)22、ROM(Read only Memory)24、RAM(Random Access Memory)26、ストレージ28、入出力I/F30を含んで構成されている。CPU22、ROM24、RAM26、ストレージ28及び入出力I/F30は、バス32を介して相互に通信可能に接続されている。
【0020】
CPU22は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU22は、ROM24又はストレージ28からプログラムを読み出し、RAM26を作業領域としてプログラムを実行する。CPU22は、ROM24又はストレージ28に記録されているプログラムに従って、後述する各構成の制御及び各種の演算処理を行う。
【0021】
ROM24は、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM26は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記録する。ストレージ28は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記録装置により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。
【0022】
入出力I/F30は、制御装置20が前方カメラ12、車速検出部14、及び記録部16等と入出力するためのインタフェースである。
【0023】
図3は制御装置20の機能構成の例を示すブロック図である。
図3に示されるように、制御装置20は、他車両情報取得部210と、他車両シーン判定部220と、記録制御部230と、を有する。各機能構成は、CPU22がROM24又はストレージ28に記録された実行プログラムを読み出し、これを実行することによって実現される。
【0024】
他車両情報取得部210は、前方カメラ12により撮像された撮像画像に基づいて自車両周辺に存在する他車両に関する他車両情報を取得する。前方カメラ12により撮像された撮像画像を一例として以下説明する。
図4は前方カメラ12により撮像された撮像画像50の一例を示す一例図である。なお、
図4に示される撮像画像50は、片側2車線の道路において、自車両が自車走行車線(一例として左車線)60Aを走行中に前方カメラ12により撮像された画像であり、撮像画像50内の他車両40は、追い越し車線(一例として右車線)60Bから自車走行車線60Aに入ってきた車両である。
【0025】
他車両情報取得部210は、前方カメラ12により時系列に撮像された複数の撮像画像50に対して、公知の画像解析方法を使用して、撮像画像50内に他車両が存在するか否かを判定する。他車両40が撮像画像50内に存在する場合には、公知の画像解析方法を使用することにより、他車両情報として、車線60Cの位置、自車両から先行車までの距離、先行車のウインカーの点灯有無、先行車のブレーキランプの点灯有無、及び単位時間当たりの先行車の左右移動量等を取得する。取得した他車両情報は、他車両シーン判定部220に出力される。
【0026】
他車両シーン判定部220は、他車両情報取得部210により取得された他車両情報及び車速検出部14により取得された車速情報に基づいて、他車両の割り込みを判定した後に他車両のあおり運転を判定する。
【0027】
先ず、他車両の割り込み判定について説明する。割り込み判定は、他車両が、自車両が走行する自車走行車線60Aの外から自車両前方の特定領域へ進入してきた場合に割り込みであると判定する。本実施形態においては、一例として以下に示す条件(a)から条件(d)の全ての条件が成立した場合に、他車両シーン判定部220は他車両が割り込んだと判定する。
【0028】
(a)自車両速度Vが第1自車両速度閾値Vth1以上である。なお、本実施形態において、第1自車両速度閾値Vth1は一例として30km/hとする。
(b)自車両が走行する自車走行車線への他車両の車線変更がある。
(c)下記条件(1)(2)の車間距離条件の何れかが成立する。
(1)自車両速度Vが第2自車両速度閾値Vth2以下であり、車間距離Lが第1車間距離閾値Lth1以下である。なお、本実施形態において、第2自車両速度閾値Vth2は一例として70km/hとし、第1車間距離閾値Lth1は一例として6mとする。
(2)自車両速度Vが第2自車両速度閾値Vth2より大きく、車間距離Lが第2車間距離閾値Lth2以下である。なお、本実施形態において、第2車間距離閾値Lth2は一例として10mとする。
【0029】
(d)上記条件(b)が成立後、すなわち車線変更後経過時間Taが車線変更後経過時間閾値Tath経過する間、他車両のウインカーが点灯していない。なお、ウインカーの法廷点滅周期は60~120回/secである。従って、1sec以上ウインカーを監視すべく、本実施形態において、車線変更後経過時間閾値Tathは一例として1.2secとする。
【0030】
なお、本実施形態においては、上記条件(1)及び条件(2)が成立した場合に、自車両前方の特定領域へ進入してきたと判定される。
【0031】
そして、上記条件(a)から条件(d)の全ての条件が成立した場合に、他車両シーン判定部220は他車両が割り込んだと判定して、制御装置20に割り込み判定プラグX1を「1」として出力する。
【0032】
次に他車両のあおり運転判定について説明する。あおり運転判定は、他車両が割り込んだと判定されてから所定時間以内に他車両が所定の減速走行を行った場合に、あおり運転であると判定する。本実施形態においては、減速走行は一例としてブレーキランプの点灯の有無によって判定しており、以下に示す条件(e)及び条件(f)の両方が成立した場合に、他車両シーン判定部220は他車両があおり運転を行っていると判定する。
【0033】
(e)割り込み判定成立後経過時間Tbが第1割り込み判定成立後経過時間閾値Tbth1以内の間に、他車両のブレーキランプが点灯していない。なお、本実施形態において、第1割り込み判定成立後経過時間閾値Tbth1は一例として3secとする。
(f)下記条件(3)(4)の車間距離条件の何れかが成立する。
(3)自車両速度Vが第2自車両速度閾値Vth2以下であり、車間距離Lが第3車間距離閾値Lth3以下である。なお、本実施形態において、第3車間距離閾値Lth3は一例として7mとする。
(4)自車両速度Vが第2自車両速度閾値Vth2より大きく、車間距離Lが第4車間距離閾値Lth4以下である。なお、本実施形態において、第4車間距離閾値Lth4は一例として12mとする。
【0034】
上記条件(e)及び条件(f)の両方が成立した場合に、他車両シーン判定部220は他車両があおり運転を行っていると判定して、制御装置20にあおり運転ブレーキ判定プラグX2を「1」として出力する。
【0035】
記録制御部230は、他車両シーン判定部220により他車両が割り込んだと判定された際の判定前後の所定時間において、すなわち制御装置20に割り込み判定プラグX1が「1」として出力される前後の所定時間において前方カメラ12により撮像された撮像画像を記録部16の自動上書き禁止領域16Bに記録させる。本実施形態においては、一例として割り込み判定プラグX1が「1」として出力される前の6secの間と、出力された後の20secの間に撮像された撮像画像を記録させる。
【0036】
さらに記録制御部230は、他車両シーン判定部220により他車両があおり運転を行っていると判定された際に、この他車両が前方カメラ12の画角から外れるまでの撮像画像を上書き禁止領域に記録させる。ここで、画角から外れるまでの撮像画像は、撮像画像50内に上記他車両が存在する画像のことをいう。
【0037】
次に、車載ドライブレコーダ装置10の作用について説明する。
【0038】
図5は制御装置20による制御を説明するためのフローチャートである。CPU22がROM24又はストレージ28からプログラムを読み出してRAM26に展開して実行することにより、CPU22による制御処理が行なわれる。
【0039】
先ず、他車両シーン判定部220は、他車両情報取得部210により取得された他車両情報と、車速検出部14により取得された車速情報に基づいて、他車両の割り込みを判定する割り込み判定処理を行う(ステップS11)。
図6は割り込み判定処理の流れを示すフローチャートである。
【0040】
図6に示されるように、他車両シーン判定部220は、割り込み判定プラグX1が「0」であるか否かを判定する(ステップS21)。割り込み判定プラグX1が「0」でない場合(ステップS21;NO)、割り込み判定プラグX1が「1」である、すなわち既に割り込みがあったと判定されているので、CPU22は
図5のステップS12へ処理を移行する。
【0041】
ステップ21にて、割り込み判定プラグX1が「0」である場合(ステップS21;YES)、他車両シーン判定部220は、上述した条件(a)すなわち自車両速度Vが第1自車両速度閾値Vth1以上であるか否かを判定する(ステップS22)。条件(a)が成立しない場合(ステップS22;NO)、CPU22は
図5のステップS12へ処理を移行する。条件(a)が成立する場合(ステップS22;YES)、他車両シーン判定部220は、上述した条件(b)すなわち自車両が走行する自車走行車線60Aへの他車両の車線変更があるか否かを判定する(ステップS23)。
【0042】
ステップS23にて条件(b)が成立しない場合(ステップS23;NO)、CPU22は
図5のステップS12へ処理を移行する。条件(b)が成立する場合(ステップS23;YES)、自車両に搭載された第1タイマ(図示省略)が、車線変更後経過時間Taの測定を開始する(ステップS24)。
【0043】
次に、他車両シーン判定部220は、上述した条件(c)のうち自車両速度Vが第2自車両速度閾値Vth2以下であるか否かを判定する(ステップS25)。自車両速度Vが第2自車両速度閾値Vth2以下である場合(ステップS25;YES)、他車両シーン判定部220は、上述した条件(1)のうち車間距離Lが第1車間距離閾値Lth1以下であるか否かを判定する(ステップS26)。
【0044】
ステップS26にて、車間距離Lが第1車間距離閾値Lth1以下でない場合(ステップS26;NO)、CPU22は
図5のステップS12へ処理を移行する。ステップS26にて、車間距離Lが第1車間距離閾値Lth1以下である場合(ステップS26;YES)、CPU22はステップS28へ処理を移行する。
【0045】
一方、ステップS25にて、自車両速度Vが第2自車両速度閾値Vth2より大きい場合(ステップS25;NO)、他車両シーン判定部220は、上述した条件(2)のうち車間距離Lが第2車間距離閾値Lth2以下であるか否かを判定する(ステップS27)。
【0046】
ステップS27にて、車間距離Lが第2車間距離閾値Lth2以下でない場合(ステップS27;NO)、CPU22は
図5のステップS12へ処理を移行する。ステップS27にて、車間距離Lが第2車間距離閾値Lth2以下である場合(ステップS27;YES)、CPU22はステップS28へ処理を移行する。
【0047】
次に、ステップS28にて、他車両シーン判定部220は、上述した条件(d)すなわち車線変更後経過時間Taが車線変更後経過時間閾値Tath以上経過し、その間、他車両のウインカーの点灯していないか否かを判定する(ステップS28)。ウインカーが点灯していない場合(ステップS28;YES)、他車両シーン判定部220は、他車両が割り込んだと判定して、制御装置20に割り込み判定プラグX1を「1」として出力し(ステップS29)、CPU22は
図5のステップS12へ処理を移行する。
【0048】
ステップS28にて、ウインカーが点灯していた場合(ステップS28;NO)、他車両シーン判定部220は、車線変更後経過時間Taが車線変更後経過時間閾値Tathよりも小さい値か否か、すなわち車線変更後経過時間Taが車線変更後経過時間閾値Tath経過したか否かを判定する(ステップS30)。車線変更後経過時間Taが車線変更後経過時間閾値Tath経過していない場合すなわちTa<Tathの場合(ステップS30;YES)、他車両シーン判定部220は、車線変更後経過時間Taが車線変更後経過時間閾値Tath経過するまでステップS28の処理を繰り返し行う。
【0049】
一方、ステップS30にて、車線変更後経過時間Taが車線変更後経過時間閾値Tath経過した場合すなわちTa≧Tathの場合(ステップS30;NO)、第1タイマは車線変更後経過時間Taの測定を終了し(ステップS31)、CPU22は
図5のステップS12へ処理を移行する。
【0050】
以上のようにして、他車両シーン判定部220は、他車両の割り込みを判定する割り込み判定処理を行う。
【0051】
次に、
図5に戻り、CPU22は、割り込み判定プラグX1が「1」であるか否かを判定する(ステップS12)。割り込み判定プラグX1が「1」でない場合(ステップS12;NO)、CPU22は一連の制御処理を終了させる。一方、割り込み判定プラグX1が「1」である場合(ステップS12;YES)、記録制御部230は、制御装置20に割り込み判定プラグX1が「1」として出力される前後の所定時間において前方カメラ12により撮像された撮像画像の記録部16の自動上書き禁止領域16Bへの録画(記録)を開始させる(ステップS13)。
【0052】
次に、他車両シーン判定部220は、他車両情報取得部210により取得された他車両情報と、車速検出部14により取得された車速情報に基づいて、他車両のあおり運転を判定するあおり運転判定処理を行う(ステップS14)。
図7はあおり運転判定処理の流れを示すフローチャートである。
【0053】
図7に示されるように、他車両シーン判定部220は、割り込み判定プラグX1が「1」であるか否かを判定する(ステップS41)。割り込み判定プラグX1が「1」でない場合(ステップS41;NO)には、割り込み判定プラグX1が「0」である、すなわち既に割り込みがなかったと判定されているので、CPU22は
図5のステップS15へ処理を移行する。
【0054】
ステップ41にて、割り込み判定プラグX1が「1」である場合(ステップS41;YES)には、自車両に搭載された第2タイマ(図示省略)が、割り込み判定成立後経過時間Tbの測定を開始する(ステップS42)。
【0055】
次に、他車両シーン判定部220は、あおり運転ブレーキ判定プラグX2が「0」であるか否かを判定する(ステップS43)。あおり運転ブレーキ判定プラグX2が「0」でない場合(ステップS43;NO)には、あおり運転ブレーキ判定プラグX2が「1」である、すなわち既にあおり運転があったと判定されているので、CPU22は
図5のステップS15へ処理を移行する。
【0056】
あおり運転ブレーキ判定プラグX2が「0」である場合(ステップS43;YES)には、他車両シーン判定部220は、上述した条件(e)すなわち割り込み判定成立後経過時間Tbが第1割り込み判定成立後経過時間閾値Tbth1以内の間で、他車両のブレーキランプが点灯したか否かを判定する(ステップS44)。ブレーキランプが点灯した場合(ステップS44;YES)、上述した条件(f)のうち自車両速度Vが第2自車両速度閾値Vth2以下であるか否かを判定する(ステップS45)。
【0057】
ステップS45にて、自車両速度Vが第2自車両速度閾値Vth2以下である場合(ステップS45;YES)、他車両シーン判定部220は、上述した条件(3)のうち車間距離Lが第3車間距離閾値Lth3以下であるか否かを判定する(ステップS46)。車間距離Lが第3車間距離閾値Lth3以下である場合(ステップS46;YES)、他車両シーン判定部220は、他車両があおり運転をしたと判定して、制御装置20にあおり運転ブレーキ判定プラグX2を「1」として出力し(ステップS47)、第2タイマは割り込み判定成立後経過時間Tbの測定を終了して(ステップS48)、CPU22は
図5のステップS15へ処理を移行する。
【0058】
一方、ステップS46にて、車間距離Lが第3車間距離閾値Lth3以下でない場合(ステップS46;NO)、他車両シーン判定部220は、他車両があおり運転をしていないと判定して、CPU22は
図5のステップS15へ処理を移行する。
【0059】
また、ステップS45にて、自車両速度Vが第2自車両速度閾値Vth2以下でない場合(ステップS45;NO)、他車両シーン判定部220は、上述した条件(4)のうち車間距離Lが第4車間距離閾値Lth4以下であるか否かを判定する(ステップS49)。車間距離Lが第4車間距離閾値Lth4以下である場合(ステップS49;YES)、他車両シーン判定部220は、他車両があおり運転をしたと判定して、制御装置20にあおり運転ブレーキ判定プラグX2を「1」として出力し(ステップS47)、第2タイマは割り込み判定成立後経過時間Tbの測定を終了して(ステップS48)、CPU22は
図5のステップS15へ処理を移行する。
【0060】
一方、ステップS49にて、車間距離Lが第4車間距離閾値Lth4以下でない場合(ステップS49;NO)、他車両シーン判定部220は、他車両があおり運転をしていないと判定して、CPU22は
図5のステップS15へ処理を移行する。
【0061】
また、ステップS44にて、ブレーキランプが点灯していない場合(ステップS44;NO)、割り込み判定成立後経過時間Tbが第1割り込み判定成立後経過時間閾値Tbth1よりも大きい値か否か、すなわち割り込み判定成立後経過時間Tbが第1割り込み判定成立後経過時間閾値Tbth1経過したか否かを判定する(ステップS50)。割り込み判定成立後経過時間Tbが第1割り込み判定成立後経過時間閾値Tbth1経過した場合すなわちTb>Tbth1の場合(ステップS50;YES)、第2タイマは割り込み判定成立後経過時間Tbの測定を終了し(ステップS51)、CPU22は
図5のステップS15へ処理を移行する。
【0062】
一方、ステップS50にて、割り込み判定成立後経過時間Tbが第1割り込み判定成立後経過時間閾値Tbth1経過していない場合すなわちTb≦Tbth1の場合(ステップS50;NO)、他車両シーン判定部220は、割り込み判定成立後経過時間Tbが第1割り込み判定成立後経過時間閾値Tbth1経過するまでステップS44以降の処理を繰り返し行う。
【0063】
以上のようにして、他車両シーン判定部220は、他車両のあおり運転を判定するあおり運転判定処理を行う。
【0064】
次に、
図5に戻り、CPU22は、あおり運転ブレーキ判定プラグX2が「1」であるか否かを判定する(ステップS15)。あおり運転ブレーキ判定プラグX2が「1」でない場合(ステップS15;NO)、記録制御部230は前方カメラ12により撮像された撮像画像の記録部16の自動上書き禁止領域16Bへの録画(記録)を終了させて、CPU22は一連の制御処理を終了させる。
【0065】
一方、あおり運転ブレーキ判定プラグX2が「1」である場合(ステップS15;YES)、記録制御部230は、前方カメラ12により撮像された撮像画像の記録部16の自動上書き禁止領域16Bへの録画(記録)を延長させる(ステップS16)。すなわち、割り込み判定プラグX1が「1」として出力された後の20secより後に撮像された撮像画像を続けて記録させる。
【0066】
次に、記録制御部230は、割り込み判定プラグX1が「1」として出力された後の20secより後に撮像された撮像画像において、撮像画像内に先行車(他車両)が存在しないか否かを判定する(ステップS17)。ステップS17にて、先行車が存在する場合(ステップS17;NO)、記録制御部230は、先行車が前方カメラ12の画角から外れるまでの撮像画像を上書き禁止領域16Bに記録させる。
【0067】
一方、先行車が存在しない場合(ステップS17;YES)、記録制御部230は、先行車が前方カメラ12の画角から外れたとして、撮像画像の録画(記録)を終了させて、CPU22は一連の制御処理を終了させる。このようにして、制御装置20による一連の処理が行われる。
【0068】
次に、第1実施形態の作用及び効果について説明する。
【0069】
第1実施形態に係る車載ドライブレコーダ装置10によれば、他車両の割り込みを判定した後で他車両のあおり運転を判定することによって、他車両により繰り返し行われる危険行為をあおり運転として検出することができるので、あおり運転の検出精度を高めることができる。また、他車両があおり運転を行っていると判定された際に、他車両が撮像部の画角から外れるまでの撮像画像を上書き禁止領域に記録させるので、録画時間が延長されることになり、あおり運転行為の全貌を記録することができる。
【0070】
また、第1実施形態に係る車載ドライブレコーダ装置10によれば、他車両が割り込んだと判定されてから所定時間以内に、他車両が所定の減速走行を行う場合に、あおり運転であると判定される。これにより、自車両に対する割り込みから所定時間以内に、次の危険行為が検出された場合にあおり運転であると判定されるので、他車両により繰り返し行われる危険行為を自車両に対するあおり運転として検出することができ、あおり運転の検出精度を高めることができる。
【0071】
また、第1実施形態に係る車載ドライブレコーダ装置10によれば、割り込み判定とあおり運転判定を分けて行うことによって、他車両により繰り返し行われる危険行為を高い精度で検出することができる。これにより、危険行為に相当しない不要な録画を削減することができる。
【0072】
また、第1実施形態に係る車載ドライブレコーダ装置10によれば、割り込み判定において、上記条件(C)を、条件(1)及び条件(2)のように、自車両速度Vの車速域を限定することにより、渋滞時の割り込み等、危険行為ではないシーンを除外することができる。これにより、危険行為に相当しない不要な録画を削減することができる。また、車間距離Lの閾値を自車両速度Vによって変えることにより、危険な割り込みの検出精度を高めることができる。
【0073】
また、第1実施形態に係る車載ドライブレコーダ装置10では、他車両が、自車両が走行する自車走行車線60Aの外から自車両前方の特定領域へ進入してきた場合に、割り込みであると判定している。これにより、他車両が自車走行車線60Aの外から自車両前方の特定領域に侵入してきた場合に、割り込みであると判定されるので、自車両に対する割り込み行為を精度よく検出することができる。
【0074】
次に、
図8~
図10を用いて本発明の第2実施形態に係る車載ドライブレコーダ装置10Aについて説明する。なお、第2実施形態の車載ドライブレコーダ装置10Aは、
図1~
図3に示される第1実施形態の車載ドライブレコーダ装置10と概略同様の構成とすることができるため、ここでの図示及び詳細な説明は省略し、異なる箇所についてのみ詳細に説明する。
【0075】
第1実施形態の車載ドライブレコーダ装置10において、他車両シーン判定部220は他車両が割り込みを行った後で他車両が所定の減速走行を行った場合にあおり運転であると判定している。これに対して第2実施形態の車載ドライブレコーダ装置10Aでは、他車両シーン判定部220は他車両が割り込みを行った後で、他車両が所定の減速走行を行う、及び他車両が所定の蛇行走行を行う、の何れか一方を満たした場合にあおり運転であると判定している。
【0076】
第2実施形態においては、蛇行走行は一例として先行車の左右移動量又は車線逸脱回数によって判定しており、以下に示す条件(g)及び条件(h)の両方が成立した場合に、他車両シーン判定部220は蛇行走行により他車両があおり運転を行っていると判定する。
【0077】
(g)割り込み判定成立後経過時間Tbが第2割り込み判定成立後経過時間閾値Tbth2以内である。なお、本実施形態において、第2割り込み判定成立後経過時間閾値Tbth2は一例として10secとする。
(h)下記条件(5)(6)の何れかが成立する。
(5)先行車の左右移動量Wが左右移動量閾値Wth以上である。なお、本実施形態において、左右移動量閾値Wthは一例として4mとする。
(6)先行車の車線逸脱回数LDが車線逸脱回数閾値LDth以上である。なお、本実施形態において、車線逸脱回数閾値LDthは一例として4回とする。
【0078】
上記条件(g)及び条件(h)の何れかが成立した場合に、他車両シーン判定部220は他車両があおり運転を行っていると判定して、制御装置20にあおり運転蛇行判定プラグX3を「1」として出力する。
【0079】
次に、第2実施形態の車載ドライブレコーダ装置の作用について説明する。
【0080】
図8は第2実施形態の制御装置20による制御を説明するためのフローチャートである。
図8のステップS61~ステップS63の処理については、
図5のステップS11~ステップS13と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0081】
図8に示されるように、ステップS63にて記録制御部230が自動上書き禁止領域16Bへの録画(記録)を開始させると(ステップS63)、次に、他車両シーン判定部220は、他車両情報取得部210により取得された他車両情報と、車速検出部14により取得された車速情報に基づいて、他車両のあおり運転を判定するあおり運転判定処理を行う(ステップS64)。
図9及び
図10はあおり運転判定処理の流れを示すフローチャートである。
【0082】
図9に示されるように、他車両シーン判定部220は、割り込み判定プラグX1が「1」であるか否かを判定する(ステップS71)。割り込み判定プラグX1が「1」でない場合(ステップS71;NO)、割り込み判定プラグX1が「0」である、すなわち既に割り込みがなかったと判定されているので、CPU22は
図8のステップS65へ処理を移行する。
【0083】
ステップ71にて、割り込み判定プラグX1が「1」である場合(ステップS71;YES)、自車両に搭載された第2タイマ(図示省略)が、割り込み判定成立後経過時間Tbの測定を開始する(ステップS72)。
【0084】
次に、他車両シーン判定部220は、あおり運転ブレーキ判定プラグX2が「0」であるか否か、及び運転蛇行判定プラグX3が「0」であるか否かを判定する(ステップS73)。あおり運転ブレーキ判定プラグX2及び運転蛇行判定プラグX3が「0」でない場合(ステップS73;NO)、あおり運転ブレーキ判定プラグX2及び運転蛇行判定プラグX3が「1」である、すなわち既にあおり運転があったと判定されているので、CPU22は
図8のステップS65へ処理を移行する。
【0085】
あおり運転ブレーキ判定プラグX2及び運転蛇行判定プラグX3が「0」である場合(ステップS73;YES)、他車両シーン判定部220は、上述した条件(e)すなわち割り込み判定成立後経過時間Tbが第1割り込み判定成立後経過時間閾値Tbth1以内の間で、他車両のブレーキランプが点灯したか否かを判定する(ステップS74)。ブレーキランプが点灯した場合(ステップS74;YES)、上述した条件(f)のうち自車両速度Vが第2自車両速度閾値Vth2以下であるか否かを判定する(ステップS75)。
【0086】
ステップS75にて、自車両速度Vが第2自車両速度閾値Vth2以下である場合(ステップS75;YES)、他車両シーン判定部220は、上述した条件(3)のうち車間距離Lが第3車間距離閾値Lth3以下であるか否かを判定する(ステップS76)。車間距離Lが第3車間距離閾値Lth3以下である場合(ステップS76;YES)、他車両シーン判定部220は、他車両があおり運転をしたと判定して、制御装置20にあおり運転ブレーキ判定プラグX2を「1」として出力し(ステップS77)、第2タイマは割り込み判定成立後経過時間Tbの測定を終了して(ステップS78)、CPU22は
図8のステップS65へ処理を移行する。
【0087】
一方、ステップS76にて、車間距離Lが第3車間距離閾値Lth3以下でない場合(ステップS76;NO)、他車両シーン判定部220は、
図10のステップS81へ処理を移行する。
【0088】
また、ステップS75にて、自車両速度Vが第2自車両速度閾値Vth2以下でない場合(ステップS75;NO)、他車両シーン判定部220は、上述した条件(4)のうち車間距離Lが第4車間距離閾値Lth4以下であるか否かを判定する(ステップS79)。車間距離Lが第4車間距離閾値Lth4以下である場合(ステップS79;YES)、他車両シーン判定部220は、他車両があおり運転をしたと判定して、制御装置20にあおり運転ブレーキ判定プラグX2を「1」として出力し(ステップS77)、第2タイマは割り込み判定成立後経過時間Tbの測定を終了して(ステップS78)、CPU22は
図5のステップS65へ処理を移行する。
【0089】
一方、ステップS79にて、車間距離Lが第4車間距離閾値Lth4以下でない場合(ステップS79;NO)、他車両シーン判定部220は、
図10のステップS81へ処理を移行する。
【0090】
また、ステップS74にて、ブレーキランプが点灯していない場合(ステップS74;NO)、割り込み判定成立後経過時間Tbが第1割り込み判定成立後経過時間閾値Tbth1よりも大きい値か否か、すなわち割り込み判定成立後経過時間Tbが第1割り込み判定成立後経過時間閾値Tbth1経過したか否かを判定する(ステップS80)。割り込み判定成立後経過時間Tbが第1割り込み判定成立後経過時間閾値Tbth1経過した場合すなわちTb>Tbth1の場合(ステップS80;YES)、他車両シーン判定部220は、
図10のステップS81へ処理を移行する。
【0091】
一方、ステップS80にて、割り込み判定成立後経過時間Tbが第1割り込み判定成立後経過時間閾値Tbth1経過していない場合すなわちTb≦Tbth1の場合(ステップS80;NO)、他車両シーン判定部220は、割り込み判定成立後経過時間Tbが第1割り込み判定成立後経過時間閾値Tbth1経過するまでステップS74以降の処理を繰り返し行う。
【0092】
次に、
図10に示されるように、ステップS81にて、他車両シーン判定部220は、上述した条件(g)すなわち割り込み判定成立後経過時間Tbが第2割り込み判定成立後経過時間閾値Tbth2以内であるか否かを判定する(ステップS81)。ステップS81にて条件(g)が成立する場合(ステップS81;YES)、他車両シーン判定部220は、上述した条件(h)の条件(5)すなわち先行車の左右移動量Wが左右移動量閾値Wth以上であるか否かを判定する(ステップS82)。
【0093】
ステップS82にて条件(5)が成立する場合(ステップS82;YES)、他車両シーン判定部220は他車両があおり運転を行っていると判定して、制御装置20にあおり運転蛇行判定プラグX3を「1」として出力し(ステップS83)、CPU22は
図9のステップ78へ処理を移行して、第2タイマは割り込み判定成立後経過時間Tbの測定を終了し(ステップS78)、CPU22は
図5のステップS65へ処理を移行する。
【0094】
ステップS82にて条件(5)が成立しない場合(ステップS82;NO)、上述した条件(h)の条件(6)すなわち先行車の車線逸脱回数LDが車線逸脱回数閾値LDth以上であるか否かを判定する(ステップS84)。
【0095】
ステップS84にて条件(6)が成立する場合(ステップS84;YES)、他車両シーン判定部220は他車両があおり運転を行っていると判定して、制御装置20にあおり運転蛇行判定プラグX3を「1」として出力し(ステップS83)、CPU22は
図9のステップ78へ処理を移行して、第2タイマは割り込み判定成立後経過時間Tbの測定を終了し(ステップS78)、CPU22は
図5のステップS65へ処理を移行する。
【0096】
ステップS84にて条件(6)が成立しない場合(ステップS84;NO)、割り込み判定成立後経過時間Tbが第2割り込み判定成立後経過時間閾値Tbth2よりも大きい値か否か、すなわち割り込み判定成立後経過時間Tbが第2割り込み判定成立後経過時間閾値Tbth2経過したか否かを判定する(ステップS85)。割り込み判定成立後経過時間Tbが第2割り込み判定成立後経過時間閾値Tbth2経過した場合すなわちTb>Tbth2の場合(ステップS85;YES)、他車両シーン判定部220は、
図9のステップS78へ処理を移行する。
【0097】
一方、ステップS85にて、割り込み判定成立後経過時間Tbが第2割り込み判定成立後経過時間閾値Tbth2経過していない場合すなわちTb≦Tbth2の場合(ステップS85;NO)、他車両シーン判定部220は、割り込み判定成立後経過時間Tbが第2割り込み判定成立後経過時間閾値Tbth2経過するまでステップS81以降の処理を繰り返し行う。
【0098】
以上のようにして、他車両シーン判定部220は、他車両のあおり運転を判定するあおり運転判定処理を行う。
【0099】
次に、
図8に戻り、CPU22は、あおり運転ブレーキ判定プラグX2が「1」であるか否かを判定する(ステップS65)。あおり運転ブレーキ判定プラグX2が「1」でない場合(ステップS65;NO)、CPU22は、あおり運転蛇行判定プラグX3が「1」であるか否かを判定する(ステップS66)。あおり運転蛇行判定プラグX3が「1」でない場合(ステップS66;NO)、CPU22は、ステップS69に処理を移行して、撮像画像の録画(記録)を終了させて(ステップS69)、CPU22は一連の制御処理を終了させる。
【0100】
一方、ステップS65にて、あおり運転ブレーキ判定プラグX2が「1」である場合(ステップS65;YES)、及びステップS66にて、あおり運転蛇行判定プラグX3が「1」である場合(ステップS66;YES)、記録制御部230は、前方カメラ12により撮像された撮像画像の記録部16の自動上書き禁止領域16Bへの録画(記録)を延長させる(ステップS67)。すなわち、割り込み判定プラグX1が「1」として出力された後の20secより後に撮像された撮像画像を続けて記録させる。
【0101】
次に、記録制御部230は、割り込み判定プラグX1が「1」として出力された後の20secより後に撮像された撮像画像において、撮像画像内に先行車(他車両)が存在しないか否かを判定する(ステップS68)。ステップS68にて、先行車が存在する場合(ステップS68;NO)、記録制御部230は、先行車が前方カメラ12の画角から外れるまでの撮像画像を上書き禁止領域16Bに記録させる。
【0102】
一方、先行車が存在しない場合(ステップS68;YES)、記録制御部230は、先行車が前方カメラ12の画角から外れたとして、撮像画像の録画(記録)を終了させて、CPU22は一連の制御処理を終了させる。このようにして、第2実施形態の制御装置20による一連の処理が行われる。
【0103】
次に、第2実施形態の作用及び効果について説明する。
【0104】
第2実施形態に係る車載ドライブレコーダ装置によれば、上述した第1実施形態に係る車載ドライブレコーダ装置10と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0105】
また、第2実施形態に係る車載ドライブレコーダ装置によれば、あおり運転の判定に他車両の減速走行に加えて、他車両の蛇行走行も考慮している。そのため、あおり運転の検出精度をより高めることができる。
【0106】
次に、
図11を用いて本発明の第3実施形態に係る車載ドライブレコーダ装置10Bについて説明する。なお、第3実施形態の車載ドライブレコーダ装置10Bにおいては、
図1~
図3に示される第1実施形態の車載ドライブレコーダ装置10と同様の構成については、同符号を付与してここでの詳細な説明は省略し、異なる箇所についてのみ詳細に説明する。
【0107】
図11に示されるように、第3実施形態の車載ドライブレコーダ装置10Bは、第1実施形態の車載ドライブレコーダ装置10の構成に加えて、さらにON/OFFスイッチ17と警報装置18とを備えている。
【0108】
ON/OFFスイッチ17は、車載ドライブレコーダ装置10Bが搭載された車両の乗員によりオン又はオフされるスイッチであり、記録部16への撮像画像の録画の開始及び終了を操作するスイッチである。本実施形態においては、ON/OFFスイッチ17がオンにされると、記録部16の自動上書き領域16Aへの前方カメラ12により撮像された撮像画像の録画が開始されると共に、制御装置20による
図5~
図7、又は
図8~
図10の一連の制御が開始される。また、ON/OFFスイッチ17がオフにされると、上記録画が終了されると共に、制御装置20による上記一連の制御も終了される。
【0109】
警報装置18は、乗員により視認可能な位置に設けられたランプ(図示省略)、及びスピーカ(図示省略)等により構成されている。警報装置18は、記録部16の上書き禁止領域16Bへの録画が開始された際に、上記ランプを点灯させたり、上記スピーカから警報音を出力させたりすることにより、乗員に自車両に対して他車両による割り込み運転やあおり運転が行われている旨を報知する。
【0110】
次に、第3実施形態の作用及び効果について説明する。
【0111】
第3実施形態に係る車載ドライブレコーダ装置10Bによれば、上述した第1実施形態及び第2実施形態に係る車載ドライブレコーダ装置10、10Aと同様の作用及び効果を得ることができる。
【0112】
また、第3実施形態に係る車載ドライブレコーダ装置10Bによれば、ON/OFFスイッチ17を備えているので、乗員は記録部16への録画の開始又は終了を操作することが可能となる。
【0113】
また、第3実施形態に係る車載ドライブレコーダ装置10Bによれば、警報装置18を備えているので、記録部16の上書き禁止領域16Bへの録画が開始又は終了した際の上記報知により、自車両に対して他車両による割り込み運転やあおり運転が行われていることや、割り込み運転やあおり運転が終わったことを知ることができる。
【0114】
なお、第3実施形態に係る車載ドライブレコーダ装置10Bは、ON/OFFスイッチ17と警報装置18とを備えているが、本発明はこれに限られず、ON/OFFスイッチ17のみを備えていてもよいし、警報装置18のみを備えていてもよい。
【0115】
また、上記第1実施形態においては、あおり運転の判定に減速走行を使用し、上記第2実施形態においては、あおり運転の判定に減速走行と蛇行走行を使用したが、本発明はこれに限られず、あおり運転の判定に蛇行走行のみを使用してもよい。
【0116】
また、上記実施形態においては、車速検出部14は、車輪速センサによって得られた値に基づいて車速を検出しているが、本発明はこれに限られない。例えば、加速度センサによって得られた自車両の加速度を用いて車速を検出してもよいし、GNSS(Global Navigation Satellite System)によって得られた位置情報を用いて車速を検出してもよい。
【0117】
また、上記実施形態では、前方カメラ12を構成するカメラは、カラーCCDで構成されているが、本発明はこれに限られない。例えばモノクロCCDであってもよいし、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラ等他の種類のカメラで構成されていてもよい。
【0118】
また、上記実施形態では、第1自車両速度閾値Vth1は一例として30km/hとしたが、本発明はこれに限られず、例えば25km/hとしてもよいし、35km/hとしてもよいし、値は適宜変更することができる。
【0119】
また、上記実施形態では、第2自車両速度閾値Vth2は一例として70km/hとしたが、本発明はこれに限られず、例えば65km/hとしてもよいし、75km/hとしてもよいし、値は適宜変更することができる。
【0120】
また、上記実施形態では、第1車間距離閾値Lth1は一例として6mとしたが、本発明はこれに限られず、例えば5mとしてもよいし、7mとしてもよいし、値は適宜変更することができる。
【0121】
また、上記実施形態では、第2車間距離閾値Lth2は一例として10mとしたが、本発明はこれに限られず、例えば9mとしてもよいし、11mとしてもよいし、値は適宜変更することができる。
【0122】
また、上記実施形態では、第3車間距離閾値Lth3は一例として7mとしたが、本発明はこれに限られず、例えば6mとしてもよいし、8mとしてもよいし、値は適宜変更することができる。
【0123】
また、上記実施形態では、第4車間距離閾値Lth4は一例として12mとしたが、本発明はこれに限られず、例えば10mとしてもよいし、14mとしてもよいし、値は適宜変更することができる。
【0124】
また、上記実施形態では、車線変更後経過時間閾値Tathは一例として1.2secとしたが、本発明はこれに限られず、例えば1.0secとしてもよいし、1.4secとしてもよいし、値は適宜変更することができる。
【0125】
また、上記実施形態では、第1割り込み判定成立後経過時間閾値Tbth1は一例として3secとしたが、本発明はこれに限られず、例えば2secとしてもよいし、4secとしてもよいし、値は適宜変更することができる。
【0126】
また、上記実施形態では、第2割り込み判定成立後経過時間閾値Tbth2は一例として10secとしたが、本発明はこれに限られず、例えば9secとしてもよいし、11secとしてもよいし、値は適宜変更することができる。
【0127】
また、上記実施形態では、左右移動量閾値Wthは一例として4mとしたが、本発明はこれに限られず、例えば3mとしてもよいし、5mとしてもよいし、値は適宜変更することができる。
【0128】
また、上記実施形態では、車線逸脱回数閾値LDthは一例として4回としたが、本発明はこれに限られず、例えば3回としてもよいし、5回としてもよいし、値は適宜変更することができる。
【0129】
また、上記実施形態では、他車両シーン判定部220は、上記条件(a)~条件(d)の全ての条件が成立した場合に他車両が割り込んだと判定したが、本発明はこれに限られない。例えば条件(b)のみが成立した場合に割り込んだと判定してもよいし、条件(b)~条件(d)が成立した場合に割り込んだと判定してもよいし、適宜変更することができる。
【0130】
また、上記実施形態では、他車両シーン判定部220は、上記条件(e)及び条件(f)の両方の条件が成立した場合に他車両が減速走行によるあおり運転を行っていると判定したが、本発明はこれに限られない。例えば条件(f)のみが成立した場合に減速走行によるあおり運転が行われたと判定してもよいし、適宜変更することができる。
【0131】
また、上記実施形態では、他車両シーン判定部220は、上記条件(g)及び条件(h)の両方の条件が成立した場合に他車両が蛇行走行によるあおり運転を行っていると判定したが、本発明はこれに限られない。例えば条件(h)のみが成立した場合に蛇行走行によるあおり運転が行われたと判定してもよいし、適宜変更することができる。
【0132】
また、上記実施形態で
図2に示されるCPU22がソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した各処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、各処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0133】
また、上記実施形態で説明した各プログラムは、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0134】
なお、上記実施形態は、適宜組み合わされて実施可能である。
【0135】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0136】
10 車載ドライブレコーダ装置
12 前方カメラ(撮像部)
16 記録部
210 他車両情報取得部
220 他車両シーン判別部
230 記録制御部
40 他車両(先行車)
50 撮像画像
60A 自車走行車線