(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】クリーニング装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
G03G21/00 318
(21)【出願番号】P 2021073187
(22)【出願日】2021-04-23
【審査請求日】2023-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中根 良樹
(72)【発明者】
【氏名】中野 健
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06349816(US,B1)
【文献】特開2011-145353(JP,A)
【文献】特開2017-044898(JP,A)
【文献】特開2001-142371(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被清掃体を清掃する清掃部を備えるクリーニング装置であって、
前記清掃部は、
前記被清掃体と当接する当接部分が、所定方向で連続する凹凸形状で構成される弾性部材と、
前記弾性部材を支持する支持部材と、
を有し、
前記清掃部は、前記弾性部材における前記被清掃体への当接圧が前記所定方向で一定になるように構成されて
おり、
前記弾性部材は、前記凹凸形状の凹部における前記被清掃体と当接することによる撓み量と、前記凹凸形状の凸部における前記被清掃体と当接することによる撓み量とが一定になるように構成されている、
クリーニング装置。
【請求項2】
前記支持部材における前記弾性部材の支持部分は、前記所定方向で連続する凹凸形状で構成されている、
請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記支持部材は、前記支持部分の先端から前記当接部分の先端までの距離である、前記弾性部材の自由長が前記所定方向で一定となるように、前記弾性部材を支持する、
請求項2に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記弾性部材は、前記凹凸形状を構成する端部と繋がる前記被清掃体側を向く面において、前記凹部に対応する第1部分が、前記凸部に対応する第2部分よりも突出している、
請求項
1~3の何れか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記凹部における、前記支持部材における前記弾性部材の支持部分の先端から前記当接部分の先端までの距離の3乗で、前記凹部における前記被清掃体に当接することによる撓み量を除算した第1除算値は、前記凸部における、前記支持部材における前記弾性部材の支持部分の先端から前記当接部分の先端までの距離の3乗で、前記凸部における前記被清掃体に当接することによる撓み量を除算した第2除算値と等しい、
請求項
4に記載のクリーニング装置。
【請求項6】
前記弾性部材と前記被清掃体との当接点における、前記被清掃体の接線と、前記弾性部材とのなす角度は、前記所定方向で一定である、
請求項
1~
5の何れか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項7】
前記凹凸形状は、凹部と凸部と、前記凹部と前記凸部とを結ぶ傾斜部であって、前記所定方向に対して傾斜する傾斜部とを含む、
請求項1~
6の何れか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項8】
前記凹凸形状は、波型形状または三角形状である、
請求項
7に記載のクリーニング装置。
【請求項9】
前記傾斜部における前記所定方向に対する傾斜角は、5度から45度までの範囲を含む、
請求項
7または請求項
8に記載のクリーニング装置。
【請求項10】
前記清掃部は、前記所定方向に移動可能に構成されている、
請求項1~
9の何れか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項11】
前記清掃部の移動距離は、前記弾性部材の前記凹凸形状における隣り合う2つの凸部間の距離よりも小さい、
請求項
10に記載のクリーニング装置。
【請求項12】
被清掃体を清掃する清掃部を備えるクリーニング装置であって、
前記清掃部は、
前記被清掃体と当接する当接部分が、所定方向で連続する凹凸形状で構成される弾性部材と、
前記弾性部材を支持する支持部材と、
を有し、
前記清掃部は、
前記弾性部材における前記被清掃体への当接圧が前記所定方向で一定になるように構成されており、
前記所定方向に移動可能に構成されており、
前記清掃部の移動距離は、前記弾性部材の前記凹凸形状における隣り合う2つの凸部間の距離よりも小さい、
クリーニング装置。
【請求項13】
前記弾性部材の前記凹凸形状における前記所定方向の端部は、凹部となっている、
請求項1~12の何れか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項14】
前記被清掃体と、請求項1~13の何れか1項に記載のクリーニング装置と、を備える、
画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニング装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置においては、像担持体等の被清掃体を清掃するための清掃部が設けられる。このような清掃部は、被清掃体に対して摺動することで被清掃体を清掃するので、摩耗し、ひいては清掃部に係る部品を交換する必要が生じる。画像形成装置においては、部品の交換周期を長くすることで、画像形成装置のダウンタイムを減らしたいというニーズが存在するため、清掃部に係る部品の摩耗低減が重要となる。
【0003】
例えば、特許文献1には、板状の支持部材に支持された弾性部材の、被清掃体への接触部分が、長手方向に連続した波型形状に構成された装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、波型形状の凸部分と、凹部分とで、被清掃体への当接圧が異なるので、長手方向(所定方向)全体で弾性部材の当接圧のムラが生じ、ひいては清掃不良が発生するおそれがあった。
【0006】
本発明の目的は、所定方向全体で弾性部材の当接圧のムラが生じることを抑制することが可能なクリーニング装置および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るクリーニング装置は、
被清掃体を清掃する清掃部を備えるクリーニング装置であって、
前記清掃部は、
前記被清掃体と当接する当接部分が、所定方向で連続する凹凸形状で構成される弾性部材と、
前記弾性部材を支持する支持部材と、
を有し、
前記清掃部は、前記弾性部材における前記被清掃体への当接圧が前記所定方向で一定になるように構成されており、
前記弾性部材は、前記凹凸形状の凹部における前記被清掃体と当接することによる撓み量と、前記凹凸形状の凸部における前記被清掃体と当接することによる撓み量とが一定になるように構成されている。
【0008】
本発明に係る画像形成装置は、
前記被清掃体と、上記のクリーニング装置とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、所定方向全体で弾性部材の当接圧のムラが生じることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を概略的に示す図である。
【
図2】本実施の形態に係る画像形成装置の制御系の主要部を示す図である。
【
図6A】平坦形状を有する弾性部材の感光体ドラムとの接触部分の拡大断面図である。
【
図6B】本実施の形態に係る弾性部材の感光体ドラムとの接触部分の拡大断面図である。
【
図7】弾性部材の当接角について説明するための図である。
【
図9】X方向の端部を凹部とした弾性部材を示す図である。
【
図10】凹凸形状が三角形状である構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。
図2は、本実施の形態に係る画像形成装置1の制御系の主要部を示す図である。
【0012】
図1および
図2に示す画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置1は、感光体ドラム413上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト421に一次転写し、中間転写ベルト421上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙S(記録媒体)に二次転写することにより、画像を形成する。
【0013】
また、画像形成装置1には、YMCKの4色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
【0014】
図2に示すように、画像形成装置1は、画像読取部10、操作表示部20,画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60および制御部101を備える。
【0015】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)102、ROM(Read Only Memory)103、RAM(Random Access Memory)104等を備える。CPU102は、ROM103から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM104に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部72に格納されている各種データが参照される。記憶部72は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。
【0016】
制御部101は、通信部71を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部101は、例えば、外部の装置から送信された画像データを受信し、この画像データ(入力画像データ)に基づいて用紙Sに画像を形成させる。通信部71は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
【0017】
図1に示すように、画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11および原稿画像走査装置12(スキャナー)等を備えて構成される。
【0018】
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11により、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることが可能となる。
【0019】
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿またはコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
【0020】
図2に示すように、操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21および操作部22として機能する。表示部21は、制御部101から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部101に出力する。
【0021】
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定またはユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。例えば、画像処理部30は、制御部101の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
【0022】
図1に示すように、画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、中間転写ユニット42等を備える。
【0023】
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示および説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、CまたはKを添えて示すこととする。
図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
【0024】
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414およびドラムクリーニング装置415等を備える。
【0025】
感光体ドラム413は、例えばドラム状の金属基体の外周面に、有機光導電体を含有させた樹脂よりなる感光層が形成された有機感光体よりなる。
【0026】
制御部101は、感光体ドラム413を回転させる駆動モーター(図示略)に供給される駆動電流を制御することにより、感光体ドラム413を一定の周速度で回転させる。
【0027】
帯電装置414は、例えば帯電チャージャーであり、コロナ放電を発生させることにより、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。
【0028】
露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。その結果、感光体ドラム413の表面のうちレーザー光が照射された画像領域には、背景領域との電位差により各色成分の静電潜像が形成される。
【0029】
現像装置412は、二成分逆転方式の現像装置であり、感光体ドラム413の表面に各色成分の現像剤を付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。
【0030】
現像装置412には、例えば帯電装置414の帯電極性と同極性の直流現像バイアス、または交流電圧に帯電装置414の帯電極性と同極性の直流電圧が重畳された現像バイアスが印加される。その結果、露光装置411によって形成された静電潜像にトナーを付着させる反転現像が行われる。
【0031】
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413を清掃するための清掃部200等を有し、中間転写ベルト421に転写されずに感光体ドラム413の表面に残留するトナーを除去する。ドラムクリーニング装置415は、本発明の「クリーニング装置」に対応する。ドラムクリーニング装置415の詳細については後述する。
【0032】
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、複数の支持ローラー423、二次転写ローラー424およびベルトクリーニング装置426等を備える。
【0033】
中間転写ユニット42は、無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも一つは駆動ローラーで構成され、その他は従動ローラーで構成される。例えば、K成分用の一次転写ローラー422よりもベルト走行方向の下流側に配置されるローラー423Aが駆動ローラーであることが好ましい。これにより、一次転写ニップにおけるベルトの走行速度を一定に保持しやすくなる。駆動ローラー423Aが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。
【0034】
一次転写ローラー422は、各色成分の感光体ドラム413に対向して、中間転写ベルト421の内周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、一次転写ローラー422が感光体ドラム413に圧接されることにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー像を転写するための一次転写ニップが形成される。
【0035】
二次転写ローラー424は、駆動ローラー423Aのベルト走行方向下流側に配置されるバックアップローラー423Bに対向して、中間転写ベルト421の外周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、二次転写ローラー424がバックアップローラー423Bに圧接されることにより、中間転写ベルト421から用紙Sへトナー像を転写するための二次転写ニップが形成される。
【0036】
一次転写ニップを中間転写ベルト421が通過する際、感光体ドラム413上のトナー像が中間転写ベルト421に順次重ねて一次転写される。具体的には、一次転写ローラー422に一次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト421の裏面側、つまり、一次転写ローラー422と当接する側にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は中間転写ベルト421に静電的に転写される。
【0037】
その後、用紙Sが二次転写ニップを通過する際、中間転写ベルト421上のトナー像が用紙Sに二次転写される。具体的には、バックアップローラー423Bに二次転写バイアスを印加し、用紙Sの表面側、つまり、中間転写ベルト421と当接する側にトナーと同極性の電荷を付与することにより、トナー像は用紙Sに静電的に転写され、当該用紙Sは定着部60に向けて搬送される。
【0038】
ベルトクリーニング装置426は、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナーを除去する。なお、二次転写ローラー424に代えて、二次転写ローラーを含む複数の支持ローラーに、二次転写ベルトがループ状に張架された構成いわゆるベルト方式の二次転写ユニットを採用しても良い。
【0039】
定着部60は、用紙Sの定着面、つまりトナー像が形成されている面側に配置される定着面側部材を有する上側定着部60A、用紙Sの裏面つまり定着面の反対の面側に配置される裏面側支持部材を有する下側定着部60B、および加熱源60C等を備える。定着面側部材に裏面側支持部材が圧接されることにより、用紙Sを挟持して搬送する定着ニップが形成される。
【0040】
定着部60は、トナー像が二次転写され、搬送されてきた用紙Sを定着ニップで加熱、加圧することにより、用紙Sにトナー像を定着させる。定着部60は、定着器F内にユニットとして配置される。
【0041】
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52および搬送経路部53等を備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a~51cには、坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙Sが予め設定された種類毎に収容される。搬送経路部53は、レジストローラー対53a等の複数の搬送ローラーを有する。
【0042】
給紙トレイユニット51a~51cに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。そして、画像形成部40において、中間転写ベルト421のトナー像が用紙Sの一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。画像形成された用紙Sは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により機外に排紙される。
【0043】
次に、ドラムクリーニング装置415の詳細について説明する。
図3は、清掃部200の側面図である。
【0044】
なお、本実施の形態の清掃部200の構造を説明するにあたり、直交座標系(X,Y,Z)を使用する。後述する図においても共通の直交座標系(X,Y,Z)で示している。X方向は、感光体ドラム413の幅方向に平行な方向である。Y方向は、感光体ドラム413の幅方向(X方向)および弾性部材210の厚みの方向に直交する方向であって、後述する弾性部材210が、後述する支持部材220の支持部分から延出する方向である。Z方向は、弾性部材210の厚みの方向である。
【0045】
図3に示すように、上述したように、ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413を清掃するための清掃部200を有する。清掃部200は、弾性部材210と、支持部材220とを有する。
【0046】
弾性部材210は、X方向およびY方向に延びる板状の部材であり、例えばウレタンゴムで構成される。また、弾性部材210のX方向の長さは、弾性部材210のY方向の長さよりも長くなっている。X方向は、本発明の「所定方向」に対応する。
【0047】
なお、弾性部材210の厚み(Z方向の長さ)は、例えば0.5~2.0mm等、画像形成装置1の大きさに応じて適宜設定される。また、弾性部材210のY方向の長さは、5~12mm等、画像形成装置1の大きさに応じて適宜設定される。
【0048】
弾性部材210は、Y方向の+側の端部211が感光体ドラム413の表面に当接するように配置される。これにより、弾性部材210は、感光体ドラム413に当接することで、中間転写ベルト421に転写されずに感光体ドラム413の表面に残留するトナーを除去する。
【0049】
また、
図4に示すように、弾性部材210のY方向の+側の端部211は、X方向で連続する凹凸形状で構成されている。つまり、弾性部材210の感光体ドラム413への当接部分は、X方向で連続する凹凸形状で構成されている。
【0050】
凹凸形状は、凹部211Aと凸部211Bと、凹部211Aと凸部211Bとを結ぶ傾斜部211Cであって、X方向に対して傾斜する傾斜部211Cとを含む波型形状である。X方向で連続する凹凸形状は、例えば、凹部211Aと凸部211Bとで構成される波型形状がX方向で繰り返されるような形状である。より詳細には、X方向で連続する凹凸形状は、1つの凸部211Bを挟む2つの凹部211Aと、当該1つの凸部211Bとを結ぶ2つの傾斜部211Cが、当該1つの凸部211Bに対して略対称となるように配置された形状がX方向で繰り返される形状である。
【0051】
図4に示される弾性部材210のY方向の端部211は、X方向の-側の端部から、凸部211B、傾斜部211C、凹部211A、傾斜部211C、凸部211Bの並び順で、凹凸形状が連続した構成となっている。
【0052】
また、傾斜部211CにおけるX方向に対する傾斜角は、例えば5度から45度までの範囲である。
【0053】
弾性部材210は、転写後の感光体ドラム413上の転写残トナーを掻き取るため、感光体ドラム413に所定の押圧力で当接する。そのため、弾性部材210と感光体ドラム413との間で発生する摩擦力に起因して弾性部材210が摩耗する。
【0054】
本実施の形態では、弾性部材210のY方向の+側の端部211が、傾斜部211Cを含む凹凸形状となることで、弾性部材210と感光体ドラム413とが接触することによって発生する摩擦力を傾斜部211Cに係る部分に作用させることができる。
【0055】
言い換えると、Y方向に平行な、感光体ドラム413の移動方向に沿って発生する応力を、傾斜部211Cが存在することにより、Y方向に対して斜行する方向(傾斜部211Cに略直交する方向)に作用させることができる。これにより、弾性部材210内部における応力振動が低減されるので、当該摩擦力に起因する、弾性部材210の摩耗の影響を低減することができる。
【0056】
また、
図4および
図5に示すように、弾性部材210のZ方向の端面(凹凸形状を構成するY方向の+側の端部211と繋がる感光体ドラム413側を向く面)212は、X方向で連続する凹凸形状を有する。Z方向の端面212における凹凸形状は、Y方向の端面の形状と同様に波型形状であるが、Z方向の端面212の凹部分212Aが、Y方向の端部211の凸部211Bに対応する位置に位置し、Z方向の端面212の凸部分212Bが、Y方向の端部211の凹部211Aに対応する位置に位置する。
【0057】
つまり、弾性部材210は、Z方向の端面212において、Y方向の端部211における凹部211Aに対応する第1部分(凸部分212B)が、Y方向の端部211における凸部211Bに対応する第2部分(凹部分212A)よりも、Z方向の+側に突出した構成となっている。
【0058】
ところで、
図6Aに示すように、弾性部材310のZ方向の端面が平坦な構成である場合、Y方向の端部311の凹部311Aの感光体ドラム413へ当接することによる撓み量D1と、Y方向の端部311の凸部311Bの感光体ドラム413へ当接することによる撓み量D2とが異なるものとなる。具体的には、Y方向の端部311の凹部311Aは、凸部311Bよりも、感光体ドラム413に対して凹んでいる分、Y方向の端部311の凹部311Aの撓み量D1が、Y方向の凸部311Bの撓み量D2よりも小さくなる。
【0059】
そのため、凹部311Aの位置と凸部311Bの位置とで弾性部材310の当接圧が異なるものとなり、ひいてはX方向で当接圧のムラが生じるので、弾性部材310と感光体ドラム413との間をトナーがすり抜ける要因となる。また、凹部311Aの撓み量D1と凸部311Bの撓み量D2との差を小さくするために、凹凸形状を微小にすると、弾性部材と感光体ドラムとが接触することによって発生する摩擦力の影響が大きくなり、弾性部材が摩耗しやすくなったり、精度要求を満足しない生産物が多く発生して歩留まりが悪化するおそれがあった。
【0060】
それに対し、本実施の形態では、
図6Bに示すように、弾性部材210が、Y方向の端部211の凹部211Aの箇所が、Y方向の端部211の凸部211Bの箇所よりも、Z方向の+側に突出した構成となっているので、Z方向の+側に突出した部分(凸部分212B)を感光体ドラム413に食い込ませることができる。
【0061】
そして、凸部分212Bの凹部分212Aに対する突出量や、弾性部材210の配置等を調整することで、Y方向の端部211における凹凸形状の凹部211Aにおける撓み量D3と、Y方向の端部211における凹凸形状の凸部211Bにおける撓み量D4とを一定にすることができる。
【0062】
つまり、弾性部材210が、撓み量D3と撓み量D4とが一定になるように構成されることで、清掃部200が、弾性部材210における感光体ドラム413への当接圧がX方向で一定になるように構成される。
【0063】
その結果、Y方向の端部211における凹凸形状に起因する、X方向の当接圧の差を吸収することができ、ひいては弾性部材210と感光体ドラム413との間をトナーがすり抜けることを抑制することができる。
【0064】
そして、Y方向の端部211における凹部211Aに係る撓み量D3と、Y方向の端部211における凸部211Bに係る撓み量D4とを一定にすることができるので、Y方向の端部211における凹凸形状を大きくすることができ、ひいては弾性部材210の摩耗の発生をさらに低減することができる。
【0065】
また、弾性部材210のZ方向の端面212における凹凸形状は、凹部分212Aと凸部分212Bと、凹部分212Aと凸部分212Bとを結ぶ傾斜部分で構成されているが、X方向の各位置における撓み量が、一定になるように凹凸形状を構成することが好ましい。具体的には、X方向の各位置における撓み量が、X方向の各位置における自由長の3乗で除算した値がX方向の各位置において一定になるように、弾性部材210のZ方向の端面212における凹凸形状を構成することが望ましい。
【0066】
X方向の各位置における自由長は、支持部材220の支持部分の先端(支持部材220のY方向の+側の端部の先端)から、弾性部材210の当接部分の先端(Y方向の+側の端部211の先端)までの距離(Y方向の長さ)である。
【0067】
例えば、弾性部材210における凹凸形状の凹部211Aの、感光体ドラム413に当接することによる撓み量D3を、当該凹部211Aにおける自由長の3乗で除算した第1除算値が、弾性部材210における凹凸形状の凸部211Bの、感光体ドラム413に当接することによる撓み量D4を、当該凸部211Bにおける自由長の3乗で除算した第2除算値と等しくなるようにZ方向の端面212における凹凸形状が構成される。
【0068】
これにより、弾性部材210の感光体ドラム413への当接圧をX方向で一定にすることができる。
【0069】
また、
図7に示すように、弾性部材210におけるZ方向の端面212における凹凸形状は、弾性部材210と感光体ドラム413との当接点における、感光体ドラム413の接線と、弾性部材210とのなす角度(以下、弾性部材210の当接角)が、X方向で一定となるように構成されている。
【0070】
具体的には、凹部分212Aに対応する当接角θ1が、凸部分212Bに対応する当接角θ2と等しくなるように、弾性部材210が配置されている。
【0071】
当接角θ1は、弾性部材210のZ方向の端面212における凹部分212Aに対応する、感光体ドラム413との当接点P1における感光体ドラム413の接線T1とZ方向の端面212における凹部分212Aに対応する部分とのなす角度である。
【0072】
当接角θ2は、弾性部材210のZ方向の端面212における凸部分212Bに対応する、感光体ドラム413との当接点P2における感光体ドラム413の接線T2とZ方向の端面212における凸部分212Bに対応する部分とのなす角度である。
【0073】
なお、当接点P1,P2における破線で示す感光体ドラム413は、凹部分212Aと凸部分212Bとが感光体ドラム413に食い込んだ際の感光体ドラム413の位置を示している。
【0074】
例えば、弾性部材におけるZ方向の端面が平坦である構成の場合、弾性部材のY方向の端部の凹部と凸部とで撓み量が異なることから、弾性部材の当接角が異なるものとなる。そのため、弾性部材における掻き取り力がX方向で異なるものとなるので、掻き取り力が弱くなる部分でトナーのすり抜けが発生したり、掻き取り力が強くなる部分で弾性部材の摩耗が発生しやすくなる。
【0075】
それに対し、本実施の形態では、弾性部材210の当接角がX方向で一定となるように構成されているので、トナーのすり抜けの抑制、および、弾性部材210の摩耗の抑制の両立を図ることができる。
【0076】
図8に示すように、支持部材220は、弾性部材210を支持する板金であり、ドラムクリーニング装置415を構成する筐体等に固定される。支持部材220は、SECC等の鋼板をL字状に折り曲げて構成されている(
図3も参照)。
【0077】
支持部材220は、Y方向の+側の端部において、弾性部材210のZ方向の-側から、弾性部材210のY方向の-側の端部を支持する。支持部材220と弾性部材210とは、接着剤(例えば、熱可塑性のホットメルト系接着剤)や両面テープ等により、接着される。
【0078】
支持部材220のY方向の+側の端部221は、弾性部材210のY方向の端部211と同様に、X方向に連続した凹凸形状を有する。つまり、支持部材220における弾性部材210の支持部分は、X方向で連続する凹凸形状で構成されており、弾性部材210のY方向の端部211と略同じ形状で構成されている。
【0079】
具体的には、支持部材220の凹凸形状は、凹部221Aと凸部221Bとで構成される波型形状がX方向で繰り返されるような形状であり、弾性部材210のY方向の端部211と同様に、凹部221Aと凸部221Bと、凹部221Aと凸部221Bとを結ぶ傾斜部221Cとを有する。
【0080】
より詳細には、支持部材220における凹凸形状の凹部221AのX方向の位置が、弾性部材210におけるY方向の端部211の凹部211AのX方向の位置と同じである。また、支持部材220における凹凸形状の凸部221BのX方向の位置が、弾性部材210におけるY方向の端部211の凸部211BのX方向の位置と同じである。
【0081】
さらに、支持部材220における凹凸形状の傾斜部221CのX方向の位置が、弾性部材210におけるY方向の端部211の傾斜部211CのX方向の位置と同じである。また、支持部材220の傾斜部221Cは、X方向の位置が同じである、弾性部材210の傾斜部211Cと略平行である。
【0082】
これにより、支持部材220は、弾性部材210の自由長が、X方向で一定となるように、弾性部材210を支持する。
【0083】
例えば、弾性部材210の凹部211Aと、支持部材220の凹部221Aとに対応する自由長F1が、弾性部材210の凸部211Bと、支持部材220の凸部221Bとに対応する自由長F2と同じ長さとなる。
【0084】
このように、弾性部材210の自由長が、X方向の各位置において一定であるので、感光体ドラム413に対して弾性部材210が摺動した際における、弾性部材210の剛性をX方向で均一にすることができる。
【0085】
これにより、弾性部材210における感光体ドラム413への当接圧をX方向で一定にすることができる。すなわち、本実施の形態では、清掃部200が、弾性部材210における感光体ドラム413への当接圧がX方向で一定になるように構成されている。その結果、弾性部材210の当接圧において、X方向全体でムラが生じることを抑制することができ、ひいては清掃不良が発生することを抑制することができる。
【0086】
また、支持部材220は、弾性部材210のZ方向の端面212の凹凸形状に合わせて、Z方向の端面が凹凸形状になるように構成されているが、Z方向の端面を凹凸形状に構成しなくても良い。
【0087】
また、清掃部200は、X方向に移動可能に構成されていても良い。本実施の形態では、弾性部材210のY方向の端部211が凹凸形状を有するので、弾性部材210の摩耗を低減しやすい構成となっている。しかし、凹凸形状における凸部211Bと、凹部211Aとを結ぶ傾斜部211Cにおける変曲点周辺では、傾斜角が小さくなるので、弾性部材210の摩耗を低減する効果が小さくなる。
【0088】
そのため、変曲点周辺でトナーがすり抜ける量が多くなって、すり抜ける際に感光体ドラム413の表面が傷ついてしまう。特に凹部211Aには、トナーがたまりやすいので、凹部211Aに係る変曲点周辺でのすり抜け量が多くなりやすい。
【0089】
そこで、制御部101等の制御により、清掃部200をX方向に移動させて、変曲点周辺の部分を一定の位置に止まらせないようにする。その結果、トナーがすり抜ける際に発生する感光体ドラム413の表面の傷をX方向で分散することができるので、当該傷による影響度合いを低減することができる。
【0090】
また、清掃部200の移動距離は、弾性部材210の凹凸形状における隣り合う2つの凸部211B間の距離よりも小さくなるように、清掃部200を構成すると良い。
【0091】
このようにすることで、清掃部200を移動させた際に、例えば所定の凹部211Aが、所定の凹部211Aの隣に位置する凹部211Aに対応する位置に移動することを抑制することができる。つまり、トナーのすり抜けが発生しやすい位置から、トナーのすり抜けが発生しやすい別の位置に移動することを抑制することができる。
【0092】
なお、本実施の形態では、X方向で当接圧が一定になるとは、例えば、X方向における平均当接圧に対する、当接圧の最大値と当接圧の最小値との差分を除算した値が10%以下であることを示している。また、当該値が、例えば6%以下等、可能な限り小さくなることが好ましい。
【0093】
なお、上記実施の形態では、弾性部材210の凹凸形状におけるY方向の+側の端部211に係るX方向の端部が凸部211Bとなっていたが、本発明はこれに限定されず、
図9に示すように、X方向の端部が凹部211Aであっても良い。
【0094】
弾性部材210のX方向の端部は、弾性部材210の外側から拘束されていないため、感光体ドラム413の回転に起因して変形しやすい状態となっている。
【0095】
そして、弾性部材210のX方向の端部が凸部211Bであると、感光体ドラム413から引き付けられる力を受ける、つまり、凸部211Bにおける傾斜部211Cの部分に、X方向の端部の外側に向かう力(傾斜部211Cに略直交する方向に沿う力)が作用するので、弾性部材210のめくれが発生する場合がある。
【0096】
それに対し、弾性部材210のX方向の端部が凹部211Aであると、凹部211Aにおける傾斜部211Cの部分に、X方向の端部の内側に向かう力が作用するので、弾性部材210のめくれが発生しにくくなる。
【0097】
すなわち、弾性部材210の凹凸形状におけるY方向の端部211に係るX方向の端部を凹部211Aとすることで、弾性部材210のめくれが発生することを抑制することができる。
【0098】
また、上記実施の形態では、凹凸形状として波型形状を例示したが、本発明はこれに限定されず、三角形状(
図10参照)であっても良いし、鋸刃形状であっても良い。
【0099】
また、上記実施の形態では、凹凸形状として、凹部と凸部とを結ぶ線が、X方向に対して傾斜する傾斜部を含む形状を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、凹凸形状が矩形波状の形状であっても良い。ただし、応力振動抑制の観点から、凹凸形状が、上記の傾斜部を含む形状であることが好ましい。
【0100】
また、上記実施の形態では、清掃部におけるX方向の当接圧が一定になる構成として、弾性部材のZ方向の端面が凹凸形状であり、かつ、支持部材のY方向の+側の端部が凹凸形状である構成を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、清掃部におけるX方向の当接圧が一定になる構成として、弾性部材のZ方向の端面が凹凸形状であること、および、支持部材のY方向の+側の端部が凹凸形状であること、の少なくとも一つを有する構成であれば良い。
【0101】
また、上記実施の形態では、感光体ドラムを被清掃体とするドラムクリーニング装置をクリーニング装置として例示したが、本発明はこれに限定されず、ベルトクリーニング装置等、感光体ドラム以外のものを被清掃体とする装置をクリーニング装置としても良い。
【0102】
その他、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0103】
次に、本実施の形態に係る画像形成装置1の評価実験について説明する。まず、
図1に示す画像形成装置1を用いて、清掃不良の発生について評価する実験(第1評価実験)を行った。評価条件としては、温度条件を23℃、湿度条件を50%RH、用紙のサイズをA3サイズ、用紙に形成する画像を、用紙の長手方向の中央部に位置する幅20mmの縦帯ベタ画像とした。
【0104】
図11に第1評価実験の実験結果を示す。
図11における「初期」は、新品の清掃部200において1000枚の用紙に画像形成した後の、清掃不良の評価結果である。
図11における「耐久」は、新品の清掃部200において1000k枚の用紙に画像形成した後の清掃不良の評価結果である。
図11における摩耗幅は、1000k枚の用紙に画像形成した後の弾性部材の摩耗幅を示す。
【0105】
清掃不良の評価結果における「×」は、弾性部材をすり抜けたトナーが、他の部材(例えば、潤滑剤を塗布するブラシ)における、幅20mmを超える範囲に付着したものであり、清掃不良の度合いが比較的大きいものである。清掃不良の評価結果における「△」は、弾性部材をすり抜けたトナーが、他の部材における、幅20mm以下の範囲に付着したものであり、清掃不良の度合いが比較的小さく、実用上問題ないレベルのものである。清掃不良の評価結果における「○」は、弾性部材をトナーがすり抜けず、かつ、他の部材にトナーが付着していないものである。清掃不良の評価結果における「◎」は、弾性部材をトナーがすり抜けず、かつ、弾性部材および他の部材にトナーが付着していないものである。
【0106】
第1実施例は、
図4に示す構成における傾斜部におけるX方向に対する傾斜角が3度のものである。第2実施例は、
図4に示す構成における傾斜部におけるX方向に対する傾斜角が5度のものである。第3実施例は、
図4に示す構成における傾斜部におけるX方向に対する傾斜角が20度のものである。第4実施例は、
図4に示す構成における傾斜部におけるX方向に対する傾斜角が45度のものである。第5実施例は、
図4に示す構成における傾斜部におけるX方向に対する傾斜角が50度のものである。第6実施例は、
図4に示す構成における傾斜部におけるX方向に対する傾斜角が20度のものであって、清掃部を移動可能に構成したものである。
【0107】
第1比較例は、弾性部材のY方向の端部が平坦形状であるものである。第2比較例は、弾性部材のY方向の端部が凹凸形状であって、Z方向の端面が平坦形状であり、かつ、Y方向の端部が平坦形状であるものである。
【0108】
図11における実験結果によれば、第1比較例においては、「初期」においては、清掃不良は発生しなかったが、「耐久」においては、清掃不良の度合いが比較的大きなものとなった。また、第1比較例においては、比較的大きな摩耗幅となったことが、「耐久」における清掃不良の要因であると考えられる。
【0109】
第2比較例においては、「初期」において、比較的小さな度合いの清掃不良が発生したことが確認され、「耐久」において、比較的大きな度合いの清掃不良が発生したことが確認された。「初期」における清掃不良においては、当接圧および当接角においてX方向でムラが発生したことが清掃不良の発生要因であると考えられる。また、「耐久」における清掃不良においては、傾斜部においては、応力振動抑制の効果により、摩耗幅が小さくなったものの、凹部、凸部においては、当接圧および当接角においてX方向でムラが発生したことにより、トナーのすり抜けが多くなり、摩耗幅が大きくなったことが清掃不良の発生要因であると考えられる。
【0110】
第1実施例~第6実施例においては、「初期」においては、清掃不良は発生しなかった。これは、弾性部材の当接圧および当接角がX方向で一定となったことが要因であると考えられる。
【0111】
「耐久」においては、第1実施例および第5実施例においては、比較的小さな度合いの清掃不良が発生したことが確認された。しかし、摩耗幅については、第1比較例および第2比較例よりも減少しているため、第1比較例および第2比較例の清掃不良と比較して、軽微な清掃不良となった。つまり、弾性部材の凹凸形状の傾斜部により、弾性部材内部の応力振動が低減され、摩耗が減少したことが確認できた。
【0112】
また、第2実施例~第4実施例および第6実施例においては、「耐久」において、清掃不良が発生しないことが確認された。つまり、第1実施例および第5実施例と比較して、傾斜部の傾斜角を5~45度の範囲が傾斜角の範囲として好ましいことが確認できた。
【0113】
また、第6実施例においては、「耐久」において、清掃不良が全く発生しないことが確認され、傾斜部の傾斜角が同じである第3実施例よりも、清掃不良の抑制効果が向上したことが確認された。これは、清掃部を移動させることで、感光体ドラムへの傷がX方向で分散され、全体的に当該傷による影響度合いを低減することができたことによると考えられる。
【0114】
次に、上記の第4実施例において、凹凸形状のX方向の端部を凸部とした第7実施例と、凹凸形状のX方向の端部を凹部とした第8実施例とにおいて、当該端部のめくれが発生するかを評価する実験(第2評価実験)を行った。
【0115】
評価条件としては、温度条件を30℃、湿度条件を80%RH、用紙のサイズをA3サイズ、用紙に形成する画像を、カバレッジが0%のもの、印刷枚数を、1500枚とし、めくれの発生の有無、および、めくれの発生枚数を確認した。
図12に第2評価実験の実験結果を示す。
【0116】
図12に示すように、第7実施例では、1500枚中221枚のめくれが発生したことが確認された。それに対し、第8実施例では、全くめくれが発生しないことが確認された。つまり、凹凸形状のX方向の端部を凹部とすることで、めくれの発生を抑制できることが確認された。
【符号の説明】
【0117】
1 画像形成装置
40 画像形成部
200 清掃部
210 弾性部材
211 端部
211A 凹部
211B 凸部
211C 傾斜部
212 端面
212A 凹部分
212B 凸部分
220 支持部材
221 端部
221A 凹部
221B 凸部
221C 傾斜部
413 感光体ドラム
415 ドラムクリーニング装置