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特許7582056洗浄水タンク装置、及びそれを備えた水洗便器装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】洗浄水タンク装置、及びそれを備えた水洗便器装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 1/35 20060101AFI20241106BHJP
   E03D 1/24 20060101ALI20241106BHJP
   E03D 1/36 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
E03D1/35
E03D1/24
E03D1/36
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021078917
(22)【出願日】2021-05-07
(65)【公開番号】P2022043981
(43)【公開日】2022-03-16
【審査請求日】2024-03-08
(31)【優先権主張番号】P 2020149155
(32)【優先日】2020-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100159846
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 尚
(72)【発明者】
【氏名】北浦 秀和
(72)【発明者】
【氏名】林 信宏
(72)【発明者】
【氏名】志牟田 晃大
(72)【発明者】
【氏名】黒石 正宏
(72)【発明者】
【氏名】橋本 博
(72)【発明者】
【氏名】篠原 弘毅
(72)【発明者】
【氏名】畑間 健司
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第01162320(EP,A1)
【文献】特開2021-139279(JP,A)
【文献】中国実用新案第2677468(CN,Y)
【文献】特開2009-257061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 1/00- 7/00
E03D 11/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水洗便器への洗浄水の供給を行う洗浄水タンク装置であって、
上記水洗便器に供給すべき洗浄水を貯留すると共に、貯留した洗浄水を上記水洗便器へ排出するための排水口が形成された貯水タンクと、
上記排水口を開閉し、上記水洗便器への洗浄水の供給、停止を行う排水弁と、
供給された水道水の給水圧を利用して、上記排水弁を駆動する排水弁水圧駆動部と、
上記排水弁と上記排水弁水圧駆動部とを連結して上記排水弁水圧駆動部の駆動力により上記排水弁を引き上げると共に、所定のタイミングで切断され、上記排水弁を降下させるクラッチ機構と、
上記貯水タンク内の水位に応じて作動され、上記クラッチ機構の切断後に上記排水弁と係合して上記排水弁の降下を規制する保持姿勢と、上記排水弁の降下を規制しない非保持姿勢とが切り替えられるフロート機構と、を有し、
上記排水弁水圧駆動部は、
供給された洗浄水が流入するシリンダと、
上記シリンダ内に摺動可能に配置されるピストンであって、上記ピストンは、上記シリンダ内を圧力室と背圧室とに区画し、さらに、上記ピストンは上記圧力室に流入した洗浄水の圧力により第1の位置から第2の位置に移動される、上記ピストンと、
上記シリンダ内の洗浄水を流出させる流出部と、
上記クラッチ機構の切断後に、上記圧力室と上記流出部とを連通させる連通機構と、を備える、洗浄水タンク装置。
【請求項2】
上記クラッチ機構の切断、及び、上記連通機構による上記圧力室と上記流出部との連通は、上記ピストンの変位に応じて行われ、上記クラッチ機構が切断される切断位置より上記第2の位置側に上記連通機構により上記圧力室と上記流出部とが連通される連通位置がある、請求項1記載の洗浄水タンク装置。
【請求項3】
上記ピストンが上記第2の位置に到達した後も上記シリンダ内への洗浄水の供給が維持されている状態においては、上記連通機構が上記圧力室と上記流出部とを連通させている状態が維持される、請求項2に記載の洗浄水タンク装置。
【請求項4】
上記連通機構は、上記圧力室と上記背圧室とを連通させるピストン内部流路を形成することにより、上記圧力室と上記流出部とを上記ピストン内部流路及び上記背圧室を介して連通させる、請求項2又は3に記載の洗浄水タンク装置。
【請求項5】
上記排水弁水圧駆動部は、さらに、上記ピストンから上記シリンダに形成された貫通孔部を通して延びるロッドを備え、上記ロッドは、上記連通機構の少なくとも一部を構成し、上記ロッドが、上記ピストンの位置に応じて上記圧力室と上記流出部とを連通させる連通流路を形成するように構成されている、請求項2又は3に記載の洗浄水タンク装置。
【請求項6】
上記連通流路は、上記ピストンの上記連通位置に対応するように上記シリンダ内に現れる上記ロッドの連通流路開始位置から上記ロッドの遠位端まで上記ロッドの内部において延びる通路により形成される、請求項5に記載の洗浄水タンク装置。
【請求項7】
上記連通流路は、上記ロッドの外面部において上記ピストンの上記連通位置に対応するように上記シリンダ内に現れる上記ロッドの連通流路開始位置から上記ロッドの遠位端まで形成された溝部により形成される、請求項5に記載の洗浄水タンク装置。
【請求項8】
上記ロッドは、上記ピストンから上記クラッチ機構に向けて延びる上記クラッチ機構用の作動ロッド、とは反対側に向けて延びるロッドである、請求項6又は7に記載の洗浄水タンク装置。
【請求項9】
上記流出部は、上記シリンダにおいて、上記ピストンの上記第2の位置よりもさらに上記シリンダの端部側の位置に設けられる、請求項2乃至6の何れか1項に記載の洗浄水タンク装置。
【請求項10】
上記連通機構は、開状態で上記ピストン内部流路を形成させ、閉状態で上記ピストン内部流路を閉じる連通弁として形成され、
上記連通弁は、上記ピストンが上記第1の位置に向けて移動するとき、開状態を維持する、請求項4に記載の洗浄水タンク装置。
【請求項11】
上記連通弁は、上記ピストンが上記第1の位置に位置するとき、開状態となっている、請求項10に記載の洗浄水タンク装置。
【請求項12】
上記連通弁は、上記ピストンが上記第1の位置に位置するときに上記シリンダへの洗浄水の供給が開始される場合、開状態から閉状態に変化される、請求項10又は11に記載の洗浄水タンク装置。
【請求項13】
水洗便器装置であって、
請求項1乃至12の何れか1項に記載の洗浄水タンク装置と、
この洗浄水タンク装置から供給される洗浄水により洗浄される上記水洗便器と、
を有することを特徴とする水洗便器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄水タンク装置に関し、特に、水洗便器への洗浄水の供給を行う洗浄水タンク装置、及びそれを備えた水洗便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ロータンク装置が開示されている。このロータンク装置は、水圧シリンダ装置を備えており、供給された水の水圧により、水圧シリンダ装置を作動させ、ロータンクの排水弁を開弁するように構成されている。このロータンク装置においては、水圧シリンダ装置への水の供給、停止が電磁弁により制御されており、電磁弁の作動に基づいて、排水弁の開閉が制御される。即ち、電磁弁を作動させることにより、供給された水を水圧シリンダ装置へ流入させると、水圧シリンダ装置内のピストンが押し上げられ、このピストンの上昇により排水弁が引き上げられ、排水弁が開弁される。また、電磁弁により、水圧シリンダ装置への水の供給を停止させると、水圧シリンダ装置内の水が徐々に水抜き部から流出されるに伴って、ピストンが徐々に下降し、排水弁が閉弁される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-257061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示されるようなロータンク装置では、水圧シリンダ装置内のピストンを押し上げた後、水圧シリンダ装置内の水が徐々に水抜き部から流出され、これに伴ってピストンが徐々に下降する。このとき、水圧シリンダ装置内の水が水抜き部から流出されるのに時間がかかり、ピストンの下降に時間がかかるという問題があった。ピストンの下降に時間がかかる場合には、排水弁の閉弁まで時間を要すると共に一回の洗浄動作の完了までの時間が比較的長くなるという問題もある。仮に、水圧シリンダ装置内の水を早く抜こうとする場合には、追加の電磁弁を設けて水圧シリンダ装置内の水の流出を制御する必要があり、装置の大型化の問題が生じる。
【0005】
従って、本発明は、追加の電磁弁を必要としない比較的簡易な構成により、圧力室の洗浄水の圧力を低下させやすくできる洗浄水タンク装置、及びそれを備えた水洗便器装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一実施形態は、水洗便器への洗浄水の供給を行う洗浄水タンク装置であって、上記水洗便器に供給すべき洗浄水を貯留すると共に、貯留した洗浄水を上記水洗便器へ排出するための排水口が形成された貯水タンクと、上記排水口を開閉し、上記水洗便器への洗浄水の供給、停止を行う排水弁と、供給された水道水の給水圧を利用して、上記排水弁を駆動する排水弁水圧駆動部と、上記排水弁と上記排水弁水圧駆動部とを連結して上記排水弁水圧駆動部の駆動力により上記排水弁を引き上げると共に、所定のタイミングで切断され、上記排水弁を降下させるクラッチ機構と、上記貯水タンク内の水位に応じて作動され、上記クラッチ機構の切断後に上記排水弁と係合して上記排水弁の降下を規制する保持姿勢と、上記排水弁の降下を規制しない非保持姿勢とが切り替えられるフロート機構と、を有し、上記排水弁水圧駆動部は、供給された洗浄水が流入するシリンダと、上記シリンダ内に摺動可能に配置されるピストンであって、上記ピストンは、上記シリンダ内を圧力室と背圧室とに区画し、さらに、上記ピストンは上記圧力室に流入した洗浄水の圧力により第1の位置から第2の位置に移動される、上記ピストンと、上記シリンダ内の洗浄水を流出させる流出部と、上記クラッチ機構の切断後に、上記圧力室と上記流出部とを連通させる連通機構と、を備えることを特徴としている。
このように構成された本発明の一実施形態によれば、連通機構が、クラッチ機構の切断後に圧力室と流出部とを連通させる。これにより、追加の電磁弁を必要としない比較的簡易な構成により、圧力室の洗浄水を流出部に流出させ、圧力室の洗浄水の圧力を低下させやすくでき、ピストンが第2の位置から第1の位置側に戻りやすくできると共に、クラッチ機構が切断されるまでの排水弁の引き上げが、圧力室と流出部との連通により妨げられることを防ぐことができ、また、クラッチ機構の切断が所定のタイミングで規定通り行われるため貯水タンク内の水位に応じて移動されるフロート機構の動作も影響を受けにくく、規定通りの動作をしやすくできる。また、ピストンが第2の位置から第1の位置側に戻りやすくできるので、排水弁の閉弁までの時間を短縮できると共に一回の洗浄動作の完了までの時間が比較的短くできる。
【0007】
本発明の一実施形態において、好ましくは、上記クラッチ機構の切断、及び、上記連通機構による上記圧力室と上記流出部との連通は、上記ピストンの変位に応じて行われ、上記クラッチ機構が切断される切断位置より上記第2の位置側に上記連通機構により上記圧力室と上記流出部とが連通される連通位置がある。
このように構成された本発明の一実施形態によれば、クラッチ機構が切断されるまでの排水弁の引き上げを、圧力室と流出部との連通により妨げることをより確実に防ぐことができ、また、クラッチ機構の切断が所定のタイミングで規定通り行われるため貯水タンク内の水位に応じて移動されるフロート機構の動作もより影響を受けにくく、規定通りの動作をより確実にしやすくできる。
【0008】
本発明の一実施形態において、好ましくは、上記ピストンが上記第2の位置に到達した後も上記シリンダ内への洗浄水の供給が維持されている状態においては、上記連通機構が上記圧力室と上記流出部とを連通させている状態が維持される。
このように構成された本発明の一実施形態によれば、上記ピストンが上記第2の位置に到達した後も上記シリンダ内への洗浄水の供給が維持されている状態においては、上記連通機構が上記圧力室と上記流出部とを連通させている状態が維持される。これにより、ピストンが上記第2の位置に到達して動作を停止した後に圧力室側の洗浄水の圧力の上昇を抑制でき、給水停止後にピストンが第1の位置側に戻りを開始する際に、圧力室の洗浄水の圧力をより低下させやすくでき、ピストンが第2の位置から第1の位置側にさらに戻りやすくできる。
【0009】
本発明の一実施形態において、好ましくは、上記連通機構は、上記圧力室と上記背圧室とを連通させるピストン内部流路を形成することにより、上記圧力室と上記流出部とを上記ピストン内部流路及び上記背圧室を介して連通させる。
このように構成された本発明の一実施形態によれば、上記連通機構は、上記圧力室と上記背圧室とを連通させるピストン内部流路を形成することにより、上記圧力室と上記流出部とを上記ピストン内部流路及び上記背圧室を介して連通させる。これにより、比較的簡易な構成により、圧力室の洗浄水をピストン内部流路及び背圧室を介して流出部に流出させ、圧力室の洗浄水の圧力を低下させやすくでき、ピストンが第2の位置から第1の位置側により戻りやすくできると共に、クラッチ機構が切断されるまでの排水弁の引き上げを、圧力室と流出部との連通により妨げることをより防ぐことができ、クラッチ機構の切断まで排水弁の引き上げにより貯水タンクの排水口から規定通り排水でき、また、クラッチ機構の切断が所定のタイミングで規定通り行われるため貯水タンク内の水位に応じて移動されるフロート機構の動作も影響をより受けにくく、規定通りの動作をよりしやすくできる。
【0010】
本発明の一実施形態において、好ましくは、上記排水弁水圧駆動部は、さらに、上記ピストンから上記シリンダに形成された貫通孔部を通して延びるロッドを備え、
上記ロッドは、上記連通機構の少なくとも一部を構成し、上記ロッドが、上記ピストンの位置に応じて上記圧力室と上記流出部とを連通させる連通流路を形成するように構成されている。
このように構成された本発明の一実施形態によれば、上記ロッドは、上記連通機構の少なくとも一部を構成し、上記ロッドが、上記ピストンの位置に応じて上記圧力室と上記流出部とを連通させる連通流路を形成するように構成されている。これにより、比較的簡易な構成により、圧力室の洗浄水を連通流路を介して流出部に流出させ、圧力室の洗浄水の圧力を低下させやすくでき、ピストンが第2の位置から第1の位置側により戻りやすくできると共に、クラッチ機構が切断されるまでの排水弁の引き上げを、圧力室と流出部との連通により妨げることをより防ぐことができ、クラッチ機構の切断まで排水弁の引き上げにより貯水タンクの排水口から規定通り排水でき、また、クラッチ機構の切断が所定のタイミングで規定通り行われるため貯水タンク内の水位に応じて移動されるフロート機構の動作も影響をより受けにくく、規定通りの動作をよりしやすくできる。
【0011】
本発明の一実施形態において、好ましくは、上記連通流路は、上記ピストンの上記連通位置に対応するように上記シリンダ内に現れる上記ロッドの連通流路開始位置から上記ロッドの遠位端まで上記ロッドの内部において延びる通路により形成される。
このように構成された本発明の一実施形態によれば、このように構成された本発明の一実施形態によれば、連通流路は、上記ピストンの上記連通位置に対応するように上記シリンダ内に現れる上記ロッドの連通流路開始位置から上記ロッドの遠位端まで上記ロッドの内部において延びる通路により形成されるので、連通流路が上記ロッドの連通流路開始位置から形成できると共に、連通流路がロッドの外面部側に形成される場合と比べて、ロッドの内部の連通流路を通って流れる洗浄水の流量のばらつきを抑制しやすくできる。
【0012】
本発明の一実施形態において、好ましくは、上記連通流路は、上記ロッドの外面部において上記ピストンの上記連通位置に対応するように上記シリンダ内に現れる上記ロッドの連通流路開始位置から上記ロッドの遠位端まで形成された溝部により形成される。
このように構成された本発明の一実施形態によれば、上記連通流路は、上記ロッドの外面部において上記ピストンの上記連通位置に対応するように上記シリンダ内に現れる上記ロッドの連通流路開始位置から上記ロッドの遠位端まで形成された溝部により形成されるので、連通流路が上記ロッドの連通流路開始位置から形成できると共に、比較的簡易な溝部により形成できる。
【0013】
本発明の一実施形態において、好ましくは、上記ロッドは、上記ピストンから上記クラッチ機構に向けて延びる上記クラッチ機構用の作動ロッド、とは反対側に向けて延びるロッドである。
このように構成された本発明の一実施形態によれば、上記ロッドは、上記ピストンから上記クラッチ機構に向けて延びるクラッチ機構用の作動ロッド、とは反対側に向けて延びるロッドである。これにより、作動ロッドとは反対側に延びるロッドにより連通流路が形成でき、上記クラッチ機構用の作動ロッドが連通流路を形成することにより作動ロッドの強度が低下されることを抑制できる。
【0014】
本発明の一実施形態において、好ましくは、上記流出部は、上記シリンダにおいて、上記ピストンの上記第2の位置よりもさらに上記シリンダの端部側の位置に設けられる。
このように構成された本発明の一実施形態によれば、上記流出部は、上記シリンダにおいて、上記ピストンの上記第2の位置よりもさらに上記シリンダの端部側の位置に設けられる。これにより、比較的簡易な構成により、ピストンが第2の位置にある状態で圧力室の洗浄水をピストンよりさらにシリンダの遠位の端部側の背圧室を介して流出部に流出させ、圧力室の洗浄水の圧力を低下させやすくでき、ピストンが第2の位置から第1の位置側により戻りやすくできると共に、クラッチ機構が切断されるまでの排水弁の引き上げを、圧力室と流出部との連通により妨げることをより防ぐことができ、クラッチ機構の切断まで排水弁の引き上げにより貯水タンクの排水口から規定通り排水でき、また、クラッチ機構の切断が所定のタイミングで規定通り行われるため貯水タンク内の水位に応じて移動されるフロート機構の動作も影響をより受けにくく、規定通りの動作をよりしやすくできる。
【0015】
本発明の一実施形態において、好ましくは、上記連通機構は、開状態で上記ピストン内部流路を形成させ、閉状態で上記ピストン内部流路を閉じる連通弁として形成され、上記連通弁は、上記ピストンが上記第1の位置に向けて移動するとき、開状態を維持する。
このように構成された本発明の一実施形態によれば、連通弁は、上記ピストンが上記第1の位置に向けて移動するとき、開状態を維持するので、ピストンが第1の位置に向けて移動するとき、洗浄水が圧力室からピストン内部流路を介して背圧室に流出でき、ピストンが第1の位置に向けて移動する移動速度を高めることができる。
【0016】
本発明の一実施形態において、好ましくは、上記連通弁は、上記ピストンが上記第1の位置に位置するとき、開状態となっている。
このように構成された本発明の一実施形態によれば、連通弁は、上記ピストンが上記第1の位置に位置するとき、開状態となっているので、上記ピストンが上記第1の位置に位置するとき、洗浄水が背圧室からピストン内部流路を介して圧力室に流出でき、背圧室の洗浄水の残水をより確実に且つ比較的早期に排出できる。
【0017】
本発明の一実施形態において、好ましくは、上記連通弁は、上記ピストンが上記第1の位置に位置するときに上記シリンダへの洗浄水の供給が開始される場合、開状態から閉状態に変化される。
このように構成された本発明の一実施形態によれば、上記連通弁は、上記ピストンが上記第1の位置に位置するときに上記シリンダへの洗浄水の供給が開始される場合、開状態から閉状態に変化されるので、シリンダへの洗浄水の供給が開始される場合に、ピストンが受ける洗浄水の供給開始の衝撃を抑制できると共に、供給開始以後においては、ピストンは圧力室に流入した洗浄水の圧力を有効に利用して第2の位置に移動されることができる。
【0018】
また、本発明の一実施形態は、水洗便器装置であって、水洗便器と、圧力室の洗浄水の圧力を低下させやすくできる洗浄水タンク装置と、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、圧力室の洗浄水の圧力を低下させやすくできる洗浄水タンク装置、及びそれを備えた水洗便器装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置を備えた水洗便器装置全体を示す斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の概略構成を示す断面図である。
図3】本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置に備えられた水圧駆動部及び排水弁の断面図である。
図4】本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置において、図3のIV-IV線に沿う断面図である。
図5】本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置に備えられているクラッチ機構を構成する部品を分解して示す分解斜視図である。
図6】本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置において、排水弁が閉弁されているときのクラッチ機構の状態を示す部分拡大断面図である。
図7】本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置において、連結解除時におけるクラッチ機構の状態を示す部分拡大断面図である。
図8】本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置において、連結直前におけるクラッチ機構の状態を示す部分拡大断面図である。
図9】本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置において、クラッチ機構を連結させる際の状態を示す部分拡大断面図である。
図10】本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置に備えられている排水/真空破壊弁の断面図であり、給水制御装置からの給水が行われていない状態を示している。
図11】本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置に備えられている排水/真空破壊弁の断面図であり、給水制御装置からの給水が行われている状態を示している。
図12】本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置において、ピストンの変位及び高さ位置、シリンダ給水の状態、クラッチ機構の状態、ピストン内部流路の状態、及び排水/真空破壊弁からの排水の状態等の時間変化を示すタイミングチャートである。
図13】本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置において、水圧駆動部においてピストンが上昇している途中の状態を示す部分拡大断面図である。
図14】本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置において、クラッチ機構が切断される直前の状態を示す部分拡大断面図である。
図15】本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置において、水圧駆動部においてピストンが第2の位置に到達した状態を示す部分拡大断面図である。
図16】本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置において、排水弁が弁座まで下降した状態を示す部分拡大断面図である。
図17】本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置において、クラッチ機構が再び接続された状態を示す部分拡大断面図である。
図18】本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置の概略構成を示す断面図である。
図19】本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置に備えられた水圧駆動部及び排水弁の断面図である。
図20】本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置において、図19のXX-XX線に沿う断面図である。
図21】本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置の水圧駆動部の斜視図である。
図22】本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置の水圧駆動部における、パッキン、ピストン及び弁構成部材を分解した状態で斜め下方から見た分解斜視図である。
図23】本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置の水圧駆動部における、パッキン、ピストン及び弁構成部材を分解した状態で斜め上方から見た分解斜視図である。
図24】本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置の水圧駆動部におけるパッキン、ピストン、弁構成部材及びロッドを組み合わせた状態で上方から見て、連通弁が開状態となる場合のピストン開口、弁構成部材側開口等の位置を説明する図である。
図25図24のXXV-XXV線に沿って見た断面図である。
図26】本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置の水圧駆動部におけるパッキン、ピストン、弁構成部材及びロッドを組み合わせた状態で上方から見て、連通弁が閉状態となる場合のピストン開口、弁構成部材側開口等の位置を説明する図である。
図27図26のXXVII-XXVII線に沿って見た断面図である。
図28】本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置において、接続状態となっているクラッチ機構を示す部分拡大断面図である。
図29】本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置において、接続の解除状態となっているクラッチ機構を示す部分拡大断面図である。
図30】本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置において、ピストンの変位及び高さ位置、シリンダ給水の状態、クラッチ機構の状態、第1ピストン内部流路の状態、及び排水/真空破壊弁からの排水の状態等の時間変化を示すタイミングチャートである。
図31】本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置において、シリンダ給水が開示される時点における水圧駆動部の状態を示す部分拡大断面図である。
図32】本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置において、水圧駆動部においてピストンが上昇している途中の状態を示す部分拡大断面図である。
図33】本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置において、水圧駆動部において第1係合部と第2係合部とが当接を開始する直後の状態を示す部分拡大断面図である。
図34】本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置において、水圧駆動部においてピストンが第2の位置に到達した状態を示す部分拡大断面図である。
図35】本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置において、水圧駆動部においてピストンが下降している途中の状態を示す部分拡大断面図である。
図36】本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置における水圧駆動部の変形例を示す斜視図である。
図37】本発明の第3実施形態による洗浄水タンク装置の概略構成を示す概略断面図である。
図38】本発明の第3実施形態による洗浄水タンク装置に備えられた排水弁水圧駆動部の内部構造を示す概略斜視図である。
図39図38のXXXIX-XXXIX線に沿って見た断面図である。
図40】本発明の第3実施形態による洗浄水タンク装置において、ピストンの変位及び高さ位置、シリンダ給水の状態、クラッチ機構の状態、連通流路の状態等の時間変化を示すタイミングチャートである。
図41】本発明の第3実施形態による洗浄水タンク装置において、排水弁水圧駆動部においてピストンが第2の位置に向けて移動している途中の状態を示す概略断面図である
図42】本発明の第3実施形態による洗浄水タンク装置において、クラッチ機構が切断される状態を示す概略断面図である。
図43】本発明の第3実施形態による洗浄水タンク装置において、排水弁水圧駆動部においてピストンが第2の位置に到達した状態を示す概略断面図である。
図44】本発明の第3実施形態による洗浄水タンク装置において、排水弁水圧駆動部においてピストンが第1の位置に向けて戻る状態を示す概略断面図である。
図45】本発明の第4実施形態による洗浄水タンク装置の概略構成を示す概略断面図である。
図46】本発明の第4実施形態による洗浄水タンク装置に備えられた排水弁水圧駆動部の内部構造を示す概略斜視図である。
図47】本発明の第4実施形態による洗浄水タンク装置に備えられた排水弁水圧駆動部の第1ロッドを流出管側から見た状態を示す正面図である。
図48図36のXXXXVIII-XXXXVIII線に沿って見た断面図である。
図49】本発明の第4実施形態による洗浄水タンク装置において、排水弁水圧駆動部においてピストンが第2の位置に向けて移動している途中の状態を示す概略断面図である。
図50】本発明の第4実施形態による洗浄水タンク装置において、クラッチ機構が切断される状態を示す概略断面図である。
図51】本発明の第4実施形態による洗浄水タンク装置において、排水弁水圧駆動部においてピストンが第2の位置に到達した状態を示す概略断面図である。
図52】本発明の第4実施形態による洗浄水タンク装置において、排水弁水圧駆動部においてピストンが第1の位置に向けて戻る状態を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、添付図面を参照して、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置及びそれを備えた水洗便器装置を説明する。以下の説明から、当業者にとって、多くの改良や他の実施の形態が明らかである。従って、以下の説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更し組み替えることができる。
図1は本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置を備えた水洗便器装置全体を示す斜視図である。図2は本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の概略構成を示す断面図である。図3は本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置に備えられた水圧駆動部及び排水弁の断面図である。図4は本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置において、図3のIV-IV線に沿う断面図である。
【0022】
図1に示すように、本発明の第1実施形態による水洗便器装置1は、水洗便器である水洗便器本体2と、この水洗便器本体2の後部に載置された洗浄水タンク装置4とを備えている。本実施形態の水洗便器装置1は、使用後に、壁面に取り付けられたリモコン装置6を操作するか、便座に設けられた人体検知センサである人感センサ8が使用者の離座を検知した後、所定時間経過することにより、水洗便器本体2のボウル部2aの洗浄が行われるように構成されている。本実施形態による洗浄水タンク装置4は、リモコン装置6又は人感センサ8からの指示信号に基づいて、水洗便器本体2への洗浄水の供給を行うように構成され、より具体的には、内部に貯留されている洗浄水を水洗便器本体2に排出し、この洗浄水によりボウル部2aを洗浄するように構成されている。このように、水洗便器本体2は洗浄水タンク装置4から供給される洗浄水により洗浄される。
なお、本実施形態では人感センサ8は便座に設けられているが、本発明はこの形態に限るものではなく、使用者の着座、離座や接近、離脱、手をかざす動作を検知できる位置に設けられていればよく、例えば、水洗便器本体2や洗浄水タンク装置4に設けることもできる。また、人感センサ8は、使用者の着座、離座や接近、離脱、手をかざす動作を検知できるものであればよく、例えば、赤外線センサやマイクロ波センサを人感センサ8として使用することができる。
【0023】
図2に示すように、洗浄水タンク装置4は、水洗便器本体2に供給すべき洗浄水を貯留する貯水タンク10と、この貯水タンク10に設けられた排水口10aを開閉するための排水弁12と、供給された水道水の給水圧を利用して排水弁12を駆動する排水弁水圧駆動部である水圧駆動部14と、を有する。さらに、洗浄水タンク装置4は、水圧駆動部14及び貯水タンク10内への給水を制御する給水制御装置18と、給水制御装置18に取り付けられた電磁弁20と、を貯水タンク10の内部に有する。
【0024】
貯水タンク10は、水洗便器本体2に供給すべき洗浄水を貯留するように構成されたタンクであり、その底部には貯留した洗浄水を水洗便器本体2へ排出するための排水口10aが形成されている。また、貯水タンク10内において、排水口10aの下流側にはオーバーフロー管10bが接続されている。このオーバーフロー管10bは、排水口10aの近傍から垂直に立ち上がり、貯水タンク10内に貯留されている洗浄水の水面よりも上方まで延びている。従って、オーバーフロー管10bの上端から流入した洗浄水は、排水口10aをバイパスして、水洗便器本体2へ直接流出する。
【0025】
次に、図2乃至図4を参照して、水圧駆動部及び排水弁の構造を説明する。図3は水圧駆動部14及び排水弁12の断面図であり、図4は、図3における切断面に対して直角な方向に切断した断面図である。
排水弁12は、排水口10aを開閉するように配置された直動式の弁体であり、棒状の弁軸12aと、その下端に取り付けられた弁体部12bから構成されている。排水弁12は、排水口10aを開閉することにより水洗便器本体2への洗浄水の供給、停止を行う。この排水弁12が鉛直方向に引き上げられることにより、排水口10aが開弁され、貯水タンク10内の洗浄水が水洗便器本体2に排出されて、ボウル部2aが洗浄される。
【0026】
水圧駆動部14は、排水弁12の上方に設けられ、水道から供給された洗浄水の給水圧を利用して、排水弁12を駆動するように構成されている。具体的には、水圧駆動部14は、給水制御装置18(図2)から流入管24aを介して供給された洗浄水が流入するシリンダ14aと、このシリンダ14a内に摺動可能に配置されたピストン14bと、ピストン14bの第2の位置H2よりもシリンダ14aの遠位の端部側に設けられ、シリンダ14a内の洗浄水を流出させる排水口から延びると共に流出管24bが接続される接続部14oと、を有する。さらに、ピストン14bには、駆動部材であるロッド15が取り付けられ、このロッド15は、シリンダ14aの下端から突出して排水弁12に向けて延びている。また、ロッド15は、排水弁12の弁体部12bの中心から立ち上がる弁軸12aと同一直線上に位置するように配置されており、排水弁12とロッド15は同軸上に配置されている。
【0027】
ピストン14bは、シリンダ14a内をピストン14bの手前側の圧力室14gと、ピストン14bの背側の背圧室14hとに区画し、さらに、ピストン14bは圧力室14gに流入した洗浄水の圧力により第1の位置H1(図3参照)から第2の位置H2(図15参照)まで移動される。
【0028】
さらに、シリンダ14aの内部にはスプリング14cが配置されており、ピストン14bを下方に向けて付勢している。また、ピストン14bの外周には弾性部材である環状のパッキン14eが取り付けられており、このパッキン14eは下側が開いた逆U字形断面に形成されている。さらに、パッキン14eは、弾性変形した状態でシリンダ14aの内壁面に接触され、シリンダ14aの内壁面とピストン14bの間の水密性が確保されている。また、ロッド15の下端と排水弁12の接続部には、クラッチ機構22が設けられており、このクラッチ機構22により、ロッド15と排水弁12が連結され、所定のタイミングでロッド15と排水弁12の連結が解除される。
【0029】
シリンダ14aは、ほぼ円筒形の部材であり、その中心軸線Aが鉛直方向に向けて配置されると共に、内部にピストン14bを摺動可能に受け入れている。また、シリンダ14aは、下端から上方に向けて内径が連続的に僅かに拡大するようにテーパ状に形成されている。シリンダ14aは、シリンダ14aの端部側に向けて開口する筒状の第1部材14lと、第1部材14lと接続する筒状の第2部材14nであって、第2部材14nは、第1部材14lの開口を覆う蓋部を形成する第2部材14nと、を備えている。第1部材14lは、円筒状に形成されると共に概ね円形の底部を備えている。第2部材14nは、概ね円形の天井部を備えている。第1部材14lと第2部材14nとは水密に連結されている。また、図3に示すように、シリンダ14aの第1部材14lの下端部には、駆動部給水路である流入管24aが接続されており、給水制御装置18(図2)から流出した水がシリンダ14a内に流入するようになっている。このため、シリンダ14a内のピストン14bは、シリンダ14aに流入した水により、スプリング14cの付勢力に抗して押し上げられる。
【0030】
シリンダ14aの上部の第2部材14nには流出口が設けられている。接続部14oは、第2部材14nの流出口から延びている。接続部14oは第2部材14nの側壁に設けられる。流出部である流出管24b(図2参照)は、接続部14oに取付けられ、接続部14oの基部の流出口を介してシリンダ14aの内部と連通している。流出管24bは、シリンダ14a内の洗浄水を流出させるようになっている。従って、シリンダ14a下部に接続された流入管24aからシリンダ14a内に水が流入すると、ピストン14bは、流入した水の圧力により、第1の位置H1(図3参照)であるシリンダ14aの下部から上方の第2の位置H2(図15参照)へ押し上げられる。そして、シリンダ14aに流入した水は流出孔から流出管24bを通って流出する。即ち、ピストン14bは、水道水の圧力により、シリンダ14aの第1の位置H1から第2の位置H2へ移動される。流出管24bは、シリンダ14aにおいて、ピストン14bの第2の位置H2よりもさらにピストン14bの背面側の位置に設けられる。
【0031】
接続部14oが複数種類の方向のうち選択した方向、例えば第1部材14lに対して予め設定された4つの方向のうち選択した1つの方向、に向けられるように第2部材14nと第1部材14lとの取付け構造が形成されている。このような取付け構造により第2部材14nが第1部材14lに対して複数の回転された位置において係止される。よって、接続部14oが所望の方向に向くように第2部材14nを取付けることができる。このような構造を達成できるように第1部材14lと第2部材14nとは嵌合されて接続されているが、第2部材14nが第1部材14lに対して回転しないように構成される場合には、第1部材14lと第2部材14nとは溶着、接合等により接続されていてもよい。
【0032】
また、図2に示すように、シリンダ14aから延びる流出管24bの先端部には流出管分岐部24cが設けられている。流出管分岐部24cにおいて分岐した流出管24bは、その一方が貯水タンク10内に水を流出させ、他方がオーバーフロー管10bの中に水を流出させるように構成されている。従って、シリンダ14aから流出した水の一部は、オーバーフロー管10bを通って水洗便器本体2に排出され、残りは貯水タンク10内に貯留される。なお、流出管24bの先端(流出開口部)は、所定水位L1よりも上方且つオーバーフロー管10bの頂部の高さにより規定されるオーバーフロー水位よりも上方に位置する。よって、流出管24bは、常に空気が吸入され得るように配置されている。従って、後述するように、ピストン14bがシリンダ14a内で第2の位置H2から第1の位置H1に向けて戻るときに、空気が流出管24bから吸入されることができ、ピストン14bがよりスムーズに移動しやすくされている。
【0033】
図3及び図4に示すように、ロッド15は、ピストン14bに接続された棒状の部材であり、シリンダ14aの底面に形成された貫通孔14fを通って、シリンダ14aの中から下方に突出するように延びている。また、ロッド15の下端は、クラッチ機構22を介して排水弁12に連結されている。このため、シリンダ14aに水が流入してピストン14bが押し上げられると、ピストン14bに接続されたロッド15が排水弁12を上方に吊り上げ、排水弁12が開弁される。
【0034】
また、シリンダ14aの下方から突出するロッド15と、シリンダ14aの貫通孔14fの内壁との間には、隙間が設けられ、シリンダ14aに流入した水の一部は、この隙間から流出する。隙間から流出した水は、貯水タンク10内に流入する。なお、この隙間は比較的流路断面積が狭く、流路抵抗が大きい。このため、隙間から水が流出する状態であっても、水勢が強い場合には、流入管24aからシリンダ14aに流入する水によりシリンダ14a内の圧力が上昇し、スプリング14cの付勢力に抗してピストン14bが押し上げられる。
【0035】
さらに、ロッド15と排水弁12の弁軸12aの間には、クラッチ機構22が設けられている。クラッチ機構22は、排水弁12と水圧駆動部14のロッド15とを連結して水圧駆動部14の駆動力により排水弁12を引き上げる。クラッチ機構22は、排水弁12が所定の位置まで吊り上げられると、排水弁12の弁軸12aをロッド15から切り離すように構成されている。クラッチ機構22が切り離された状態では、排水弁12は、ピストン14b及びロッド15の動きに連動しなくなり、浮力に抵抗しながら重力により降下する。
【0036】
また、図4に示すように、排水弁12の弁軸12aの近傍には、フロート機構である排水弁フロート機構26が設けられている。この排水弁フロート機構26は、ロッド15が所定距離吊り上げられ、クラッチ機構22により排水弁12が切り離された後、排水弁12が降下して、排水口10aを閉弁させるのを遅延させるように構成されている。具体的には、排水弁フロート機構26は、フロート部26aと、このフロート部26aと連動した係合部26bと、フロート部26aと係合部26bを連結するフロート軸26cを有する。排水弁フロート機構26は貯水タンク10内の水位に応じて作動される。排水弁フロート機構26は、クラッチ機構22の切断後に排水弁12と係合して排水弁12の降下を規制する保持姿勢と、排水弁12の降下を規制しない非保持姿勢とが切り替えられるように構成されている。
【0037】
一方、排水弁12の弁軸12aには係合突起112cが設けられており、排水弁12が吊り上げられた状態では、係合突起112cは、排水弁フロート機構26の係合部26bよりも上方に位置する(なお、図4は排水弁12が降下した状態を示している)。吊り上げられた排水弁12がクラッチ機構22により切り離されると、降下してきた排水弁12の係合突起112cが、係合部26bと係合し、排水弁12の降下を阻止する。次いで、貯水タンク10内の水位低下と共にフロート部26aが下降し、貯水タンク10内の水位が所定水位まで低下すると、フロート部26aは係合部26bを、図4に想像線で示す解除位置まで回動させる。係合部26bが解除位置へ回動されると、係合部26bと係合突起112cの係合が解除される。係合が解除されることにより、排水弁12が降下して、排水口10aに着座する(図4に示す状態)。これにより、排水弁12の閉弁が遅延され、適正量の洗浄水が、排水口10aから排出されるようになっている。
【0038】
一方、図2に示すように、給水制御装置18と水圧駆動部14の間の流入管24aには、排水/真空破壊弁30が設けられている。
流入管24a内の給水制御装置18側が負圧になった場合には、排水/真空破壊弁30により、流入管24aに外気が吸引され、水圧駆動部14側からの水の逆流が防止される。
【0039】
また、図2に示すように、給水制御装置18は、電磁弁20の作動に基づいて水圧駆動部14への給水を制御すると共に、貯水タンク10への給水、停止を制御するように構成されている。即ち、給水制御装置18は、水道に接続された給水管32と、水圧駆動部14に接続された流入管24aとの間に接続されており、コントローラ28からの指示信号に基づいて、給水管32から供給された水の、水圧駆動部14への供給、停止を制御する。本実施形態においては、給水制御装置18から流出した水は、全量が流入管24aを通って水圧駆動部14に供給される。水圧駆動部14に供給された水の一部は、シリンダ14aの貫通孔14fの内壁とロッド15の間の隙間から流出して貯水タンク10へ流入する。また、水圧駆動部14に供給された水の多くは、流出管24bを通ってシリンダ14aから流出し、流出管分岐部24cにおいて貯水タンク10に流入する部分と、オーバーフロー管10bを介して水洗便器本体2に流入する部分に分岐される。
【0040】
さらに、水道から供給された水は、貯水タンク10の外側に配置された止水栓32a、この止水栓32aの下流側の、貯水タンク10の中に配置された定流量弁32bを介して給水制御装置18に供給される。止水栓32aは、メンテナンス時等に洗浄水タンク装置4への水の供給を停止させるために設けられており、通常は開栓された状態で使用される。定流量弁32bは、水道から供給された水を、所定流量で給水制御装置18に流入させるために設けられており、水洗便器装置1の設置環境に関わらず一定流量の水が給水制御装置18に供給されるように構成されている。
【0041】
また、給水制御装置18には電磁弁20が取り付けられており、この電磁弁20の作動に基づいて、給水制御装置18から水圧駆動部14への給水が制御される。具体的には、リモコン装置6や人感センサ8からの信号をコントローラ28が受信し、コントローラ28は電磁弁20に電気信号を送り、これを作動させる。
【0042】
一方、給水制御装置18には、給水弁フロート34も接続されており、貯水タンク10内の貯水水位を所定水位L1に設定するように構成されている。給水弁フロート34は貯水タンク10内に配置されており、貯水タンク10の水位上昇と共に上昇して、水位が所定水位L1まで上昇すると、給水制御装置18から水圧駆動部14への給水を停止させるように構成されている。
【0043】
給水制御装置18は、給水管32及び流入管24aが接続された本体部36と、この本体部36の中に配置された主弁体38と、この主弁体38が着座する弁座40と、給水弁フロート34によって回動されるアーム部42と、このアーム部42の回動によって移動されるフロート側パイロット弁44と、電磁弁側パイロット弁50と、を有する。
【0044】
本体部36は、下部に給水管32の接続部、一側に流入管24aの接続部が設けられた部材であり、流入管24aの反対側の側面には、電磁弁20が取り付けられるように構成されている。また、本体部36の内部には、弁座40が形成されており、この弁座40は、接続部に接続された流入管24aに連通するようになっている。さらに、本体部36の内部には、弁座40を開閉するように主弁体38が配置されており、開弁時においては、給水管32から流入した水道水が、弁座40を通って、流入管24aに流出するように構成されている。
【0045】
主弁体38は、概ね円板状のダイヤフラム式の弁体であり、弁座40に対して着座、離座できるように、本体部36の中に取り付けられている。また、本体部36内には、主弁体38に対して、弁座40の反対側に、圧力室36aが形成されている。即ち、圧力室36aは、本体部36の内壁面と主弁体38によって画定され、この圧力室36a内の圧力が高くなると、この圧力によって主弁体38が弁座40に押しつけられて、弁座40に着座する。
【0046】
一方、電磁弁20は、本体部36に取り付けられており、電磁弁側パイロット弁50を進退させることができるように構成されている。即ち、電磁弁側パイロット弁50は、圧力室36aに設けられたパイロット弁口(図示せず)を開閉させるように構成されている。また、フロート側パイロット弁44は、圧力室36aに設けられたフロート側パイロット弁口(図示せず)を開閉させるように構成されている。
【0047】
給水弁フロート34はアーム部42によって支持されており、このアーム部42にはフロート側パイロット弁44が連結されている。そして、貯水タンク10内の水位が所定水位L1まで上昇している状態では給水弁フロート34が上方に押し上げられ、これに伴いフロート側パイロット弁44が、圧力室36aのフロート側パイロット弁口(図示せず)を閉弁させている。一方、貯水タンク10内の洗浄水が排水され、貯水タンク10内の水位が低下すると、給水弁フロート34が下方に下がり、フロート側パイロット弁44が移動して、フロート側パイロット弁口が開弁される。
【0048】
この構成により、貯水タンク10内の水位が所定水位L1にあり、電磁弁20に通電されていない、便器洗浄の待機時においては、主弁体38のパイロット弁口(図示せず)、及び本体部36のフロート側パイロット弁口(図示せず)は、共に閉弁状態となっている。
【0049】
また、給水管32から供給された水道水は圧力室36a内に流入する。ここで、電磁弁側パイロット弁50がパイロット弁口(図示せず)を閉弁させ、且つフロート側パイロット弁44がフロート側パイロット弁口(図示せず)を閉弁させている状態では、流入した水道水により圧力室36a内の圧力が上昇する。このように圧力室36a内の圧力が上昇すると、この圧力により主弁体38が弁座40に向けて押圧され、主弁体38により弁座40が閉弁される。
【0050】
一方、電磁弁20に通電が行われ、電磁弁側パイロット弁50がパイロット弁口(図示せず)を開弁させると、圧力室36a内の圧力が低下し、これにより主弁体38が弁座40から引き離され、弁座40が開弁される。また、貯水タンク10内の水位が所定水位L1よりも低下している状態においては、給水弁フロート34が下がり、フロート側パイロット弁44がフロート側パイロット弁口(図示せず)を開弁させる。これにより、圧力室36a内の圧力が低下し、弁座40が開弁される。このように、主弁体38のパイロット弁口又はフロート側パイロット弁口の何れか一方でも開弁されている状態では、圧力室36a内の圧力が低下し、弁座40は開弁される。
【0051】
次に、図5乃至図9を新たに参照して、排水弁12とロッド15を連結するクラッチ機構22を説明する。
図5は、クラッチ機構22を構成する部品を分解して示す分解斜視図である。図6は、排水弁12が閉弁されているときのクラッチ機構22の状態を示す部分拡大断面図である。図7は、連結解除時におけるクラッチ機構22の状態を示す部分拡大断面図である。図8は、連結直前におけるクラッチ機構22の状態を示す部分拡大断面図である。図9は、クラッチ機構22を連結させる際の状態を示す部分拡大断面図である。
【0052】
まず、図5に示すように、クラッチ機構22は、ロッド15の下端部、排水弁12の弁軸12aの上端部、及びこの上端部に取り付けられた可動部材60を備えている。即ち、ロッド15は、水圧駆動部14のピストン14bの下面から下方に延びており、このロッド15の下端部がクラッチ機構22の一部を構成する。また、弁軸12aの上端部には、可動部材60が回動可能に取り付けられており、この可動部材60がロッド15の下端部と係合/解除されることにより、ロッド15と排水弁12が連結・解除される。
【0053】
ロッド15の下端部には、薄肉部15a、及び引上部15bが形成され、これらがクラッチ機構22の一部として機能する。一方、排水弁12の弁軸12aの上端部には、支持部12dが設けられている。この支持部12dは、側方が開放されるように形成された一対の軸受から構成されており、可動部材60の両端が回動可能に取り付けられる。
【0054】
ロッド15下端の薄肉部15aは、ロッド15の上部よりも細く形成された部分である。ロッド15の引上部15bは、薄肉部15aの下端から、両側に水平方向に突出するように形成された部分であり、排水弁12を引き上げる際は、ロッド15の引上部15bと可動部材60が係合する。
【0055】
可動部材60は、横向きに延びるベースプレート62と、このベースプレート62の両端から外方に延びる一対の回転軸66と、ベースプレート62の両側部から縦方向に立ち上がる一対のアーム64と、各アーム64の上端から内方に向けて延びる当接部68と、を有する。可動部材60の各回転軸66は、弁軸12aの上端部に設けられた各支持部12dに受け入れられ、可動部材60が回動可能に支持される。
【0056】
ベースプレート62は、横向きに延びる板状の部分であり、上面視でT字形に形成されている。アーム64は、T字形のベースプレート62の両端から上方に向けて夫々立ち上がるように形成されている。クラッチ機構22の連結時においては、ロッド15下端の薄肉部15a及び引上部15bが、一対のアーム64の間に位置する。回転軸66は、ベースプレート62の左右両端、且つ各アーム64の基端から、夫々水平方向に突出するように形成され、弁軸12aの各支持部12dに受け入れられている。
【0057】
当接部68は、各アーム64の上端から内方に向けて突出するように形成されている。当接部68は、回転軸66と平行な方向から見て、断面が涙滴状に形成され、下側が円弧状の曲面に形成されている。また、クラッチ機構22の連結時においては、ロッド15下端の薄肉部15aが各当接部68の間に位置し、引上部15bの両端が各当接部68の下側に位置する。
【0058】
次に、図6乃至図9を参照して、クラッチ機構22の作用を説明する。
まず、排水弁12が排水口10aに着座し、クラッチ機構22が連結された状態においては、可動部材60は図6に示す「係合位置」にされている。可動部材60が係合位置に配置された状態では、ロッド15下端の引上部15bが、可動部材60の当接部68の真下に位置する。水圧駆動部14(図2)に洗浄水が供給され、図6に示す状態からロッド15が上方に引き上げられると、ロッド15によって排水弁12が鉛直上方に引き上げられる。即ち、ロッド15が引き上げられると、可動部材60が係合位置を維持したまま、ロッド15の引上部15bの上面15cと、可動部材60の当接部68の下端が係合し、排水弁12が引き上げられる。
【0059】
なお、図6に示されている排水弁12が排水口10aに着座されている状態では、ロッド15の引上部15b下端の被当接部15dと、可動部材60のベースプレート62上面との間には、クリアランスCが存在する。図6に示す状態から、ロッド15が上方に引き上げられた場合には、引上部15bの上面15cと当接部68が係合して、排水弁12が引き上げられる。
【0060】
また、クラッチ機構22が連結された状態で、ロッド15と共に排水弁12が引き上げられると、可動部材60は、水圧駆動部14のシリンダ14aの底面に接近する。そして、排水弁12が所定位置まで引き上げられると、図7に示すように、シリンダ14aの底面から下方に突出した規制部70の先端が可動部材60のベースプレート62に当接する。ベースプレート62が規制部70の先端に当接することにより、可動部材60は、図6に示す「係合位置」から図7に示す「非係合位置」へ、回転軸66を中心に回動される。可動部材60が「非係合位置」に回動されると、ロッド15の引上部15bと可動部材60の当接部68の係合が解除され、クラッチ機構22の連結が解除される。即ち、可動部材60が回転軸66を中心に回動されると、アーム64の先端に設けられた当接部68が移動して、ロッド15下端の引上部15bから外れ、当接部68と引上部15bの係合が解除される。
【0061】
クラッチ機構22の連結が解除されると、排水弁12がロッド15から切り離され、排水弁12が下降して、排水口10aに着座する。これにより、貯水タンク10から水洗便器本体2への洗浄水の排出が停止される。
次いで、水圧駆動部14への洗浄水の供給が停止されると、シリンダ14aの内部に配置されたスプリング14cの付勢力により、ピストン14b及びロッド15が下降する。図8に示すように、ロッド15が下降することにより、ロッド15の下端が、排水口10aに着座している排水弁12に取り付けられた可動部材60に接近する。なお、可動部材60の重心は、図8において、回転軸66の中心よりも左側に位置するため、図7においてクラッチ機構22の連結が解除された後も、可動部材60は「非係合位置」を維持している。
【0062】
ロッド15が更に下降すると、図9に示すように、ロッド15の被当接部15dが可動部材60のベースプレート62に当接し、可動部材60が図9における時計回りに回動される。これにより、「非係合位置」にされていた可動部材60が図6に示す「係合位置」に回動されて図6に示す状態に復帰し、クラッチ機構22が連結される。
【0063】
次に、図10及び図11を新たに参照して、給水制御装置18と水圧駆動部14との間に接続された排水/真空破壊弁30を説明する。
図10は給水制御装置18からの給水が行われていない状態における排水/真空破壊弁30の断面図であり、図11は給水が行われている状態における排水/真空破壊弁30の断面図である。
【0064】
図10及び図11に示すように、排水/真空破壊弁30は、弁体ケース72と、フラップ弁体80と、パッキン82と、を有する。弁体ケース72は、箱状の本体部74と、この本体部74の上面に取り付けられた流入管接続部材76と、本体部74の下部側面に取り付けられた流出管接続部材78から構成されている。
【0065】
弁体ケース72の本体部74は、下側の一方の隅が切り欠かれた概ね直方体の箱状に構成されている。本体部74の上面は開口されており、この開口部74aを塞ぐように流入管接続部材76が取り付けられている。また、本体部74の、切り欠かれていない方の下部側面には流出管接続部材78の取付部74bが設けられており、そこに流出管接続部材78が取り付けられている。さらに、本体部74の側面、且つ取付部74bの上側には、吸気/排水開口74cが設けられている。この吸気/排水開口74cは、概ね鉛直方向に向けられた、縦長の長方形の開口である。フラップ弁体80が開弁された状態では、この吸気/排水開口74cを介して外気が吸入されると共に、流入管24aから逆流した水が流出し、貯水タンク10内に排出される。
【0066】
流入管接続部材76には、上方に向けて突出するように通水管取付部76aが設けられており、この通水管取付部76aに、給水制御装置18(図2)から延びる通水管が接続されている。このため、給水制御装置18から流出した水は、排水/真空破壊弁30の上部に設けられた通水管取付部76aから、鉛直下方に向けて弁体ケース72内に流入する。
【0067】
流出管接続部材78には、水平方向に向けて突出するように通水管取付部78aが設けられており、この通水管取付部78aに、流入管24aが接続されている。このため、給水制御装置18から供給され、弁体ケース72内に流入した水は、通水管取付部78aを通って排水/真空破壊弁30から流出し、流入管24aを介して水圧駆動部14に供給される。
【0068】
フラップ弁体80は、弁体ケース72内に回動可能に取り付けられた概ねL字形の部材であり、図10に示す状態と、図11に示す状態の間で回動される。L字形のフラップ弁体80の交点近傍には、水平方向に延びる支軸80aが形成され、この支軸80aは、流入管接続部材76に設けられた軸受部76bによって回動可能に支持されている。また、フラップ弁体80は、横方向に延びるアーム部を備え、このアーム部の先端に供給水受部80bが設けられている。供給水受部80bは、通水管取付部76aの下方に、通水管取付部76aを覆うように配置されている。このため、通水管取付部76aを介して水が流入すると、フラップ弁体80の供給水受部80bが下方に押され、フラップ弁体80は、図10に示す状態から図11に示す状態に回動される。
【0069】
さらに、フラップ弁体80は、支軸80aから下方に延びる弁板部80cと、弁板部80cの下側に設けられた排水受部80dと、を有する。弁板部80cは、本体部74側面に設けられた吸気/排水開口74cに対向するように配置され、フラップ弁体80が図11に示す状態に回動されると、吸気/排水開口74cを覆うように構成されている。また、弁板部80cの、吸気/排水開口74cに対向する側の面には、薄板状のパッキン82が取り付けられており、フラップ弁体80が図11に示す状態に回動されたとき、弁板部80cと吸気/排水開口74cの間がシールされる。
【0070】
排水受部80dは、弁板部80cの下側に形成され、流出管接続部材78の通水管取付部78aに対向するように配置される。このため、流入管24aから通水管取付部78aに水が逆流してくると、排水受部80dが押されて、図11に示す状態から図10に示す状態に回動される。通水管取付部78aから逆流した水は、吸気/排水開口74cを通って流出し、貯水タンク10内に排出される。
【0071】
さらに、弁板部80cには、吸気/排水開口74cから突出するように、取付シャフト80eが設けられ、この取付シャフト80eの先端部には、錘82aが取り付けられている。この錘82aを取り付けることにより、フラップ弁体80全体の重心が、支軸80aよりも吸気/排水開口74cに近い側(図10図11における右側)に位置するようになる。この結果、フラップ弁体80を、支軸80aを中心に図11における時計回りに回動させる力のモーメントが作用し、水の静圧及び動圧が作用しない状態では、フラップ弁体80は図10に示す位置に回動される。
【0072】
また、本体部74の切欠部分の底面には、コイルスプリング84が、鉛直上方に向けて取り付けられている。このコイルスプリング84の上端は、フラップ弁体80の供給水受部80bの下方に位置する。図11に示すように、吸気/排水開口74cが弁板部80cによって閉塞されている状態では、コイルスプリング84の上端が供給水受部80bに当接し、フラップ弁体80は時計回りに回動する方向に付勢される。一方、フラップ弁体80が図10に示す位置に回動された状態では、コイルスプリング84の上端と供給水受部80bは当接せず、コイルスプリング84による付勢力は作用しない。
【0073】
次に、図3図15等を参照して、連通機構について説明する。
水圧駆動部14は、さらに、クラッチ機構22の切断後に、圧力室14gと流出管24bとを連通させる連通機構46を備えている。
連通機構46は、ピストン14bの位置に応じて圧力室14gと背圧室14hとを連通させるピストン内部流路52を形成することにより、圧力室14gと流出管24bとをピストン内部流路52及び背圧室14hを介して連通させる。
ピストン内部流路52は、ロッド15の環状の構造体の内側において管状に形成され、円柱状の空間を形成している。ピストン内部流路52は、ロッド15のクラッチ機構22側に形成された入口部52aから、ピストン14bの背圧室14h側に開口するように形成された出口部52bまで延びている。入口部52aは、ロッド15の側壁に形成されると共に、ロッド15の外部からロッド15の内部のピストン内部流路52まで貫通する開口を形成している。出口部52bは、ピストン内部流路52の遠位側の端部においてロッド15の軸方向に開口する開口を形成している。出口部52bは、ピストン14bの背圧室側の近傍に形成される。
【0074】
入口部52aは、ピストン14bの圧力室14g側且つピストン14bから所定距離離れた位置に形成される。例えば、入口部52aから出口部52bまでの長さは、シリンダ14aの内部の全長より短く、例えば、全長の5割乃至9割の長さとされている。よって、ピストン14bが第1の位置H1にあるとき、ピストン14b(出口部52b)から所定距離離れた入口部52aがシリンダ14a外に位置すると共にこの入口部52aが貯水タンク10内に開口するように位置決めされる。よって、圧力室14gと背圧室14hとを連通させるピストン内部流路52は閉じられた状態であり形成されていない状態となっている。
【0075】
なお、図3図13図14に示すように、ピストン14bが第1の位置H1から第2の位置H2に移動する途中においては、入口部52aがシリンダ14aの貫通孔14fの内壁に面する位置にあるため、入口部52aと貫通孔14fの内壁との間にわずかな隙間があるものの入口部52aはほぼ閉じられた状態とされ、圧力室14gと背圧室14hとを連通させるピストン内部流路52は形成されていない状態(閉じられた状態)となっている。図15に示すように、ピストン14bが第2の位置H2にあるとき、ピストン14b(出口部52b)から所定距離離れた入口部52aがシリンダ14a内の圧力室14gに開口するように位置決めされる。よって、連通機構46は、ピストン14bが第2の位置H2にあるとき、圧力室14gと背圧室14hとを連通させるピストン内部流路52を形成することにより、圧力室14gと流出管24bとをピストン内部流路52及び背圧室14hを介して連通させる。一方で、連通機構46は、ピストン14bが第1の位置H1にあるとき、圧力室14gと背圧室14hとを連通させるピストン内部流路52は形成されていない状態(閉じられた状態)とさせると共に、ピストン内部流路52が背圧室14hとシリンダ14a外部の貯水タンク10内とを連通させている。また、連通機構46は、ピストン14bが第1の位置H1と第2の位置H2との間の位置にあるときには、圧力室14gと背圧室14hとを連通させるピストン内部流路52は形成されていない状態(閉じられた状態)とさせると共に、ピストン内部流路52は背圧室14hとシリンダ14a外部の貯水タンク10内とも十分に連通させていない状態となっている。連通機構46は、連通させる状態と連通させない状態との切換機能を有する。
【0076】
次に、図2図12等を参照して、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置4、及びそれを備えた水洗便器装置1の一連の洗浄動作を説明する。
まず、図2に示す便器洗浄の待機状態(時刻T0)においては、貯水タンク10内の水位は所定水位L1(例えば満水水位)にあり、この状態では、給水制御装置18の電磁弁側パイロット弁50及びフロート側パイロット弁44(図2)は、共に閉弁状態となり、弁座40は主弁体38によって閉弁されている。よって、給水制御装置18から水圧駆動部14への給水は停止された状態(OFF状態)である。また、図3に示すように、待機状態において、水圧駆動部14のピストン14bはシリンダ14a内において第1の位置H1にある。ピストン14bの第1の位置H1は移動可能範囲のうちの下限の位置である。ピストン14bはシリンダ14a内において停止されている。このとき、ピストン14bが、貯水タンク10の満水水位となる所定水位L1より上方に位置する。ロッド15及び排水弁12は最も下降された状態で停止しており、クラッチ機構22は接続状態となっている。接続状態には、クラッチ機構22が、ロッド15と排水弁12とをほぼ連結させている状態、すなわち、ロッド15と排水弁12との間にわずかに隙間があったとしてもロッド15の引き上げ開始直後にすぐにロッド15と排水弁12とが係合して排水弁12を引き上げるようなほぼ連結させている状態が含まれる。連通機構46により形成されるピストン内部流路52は、ピストン14bが第1の位置H1にあり、入口部52aがシリンダ14aの外部且つ貯水タンク10の内部に位置するので、閉じられた状態(圧力室14gと背圧室14hとの連通が形成されていない状態)とされている。ピストン内部流路52は、背圧室14hとシリンダ14a外部の貯水タンク10内とを連通させているが、待機状態においては、背圧室14h側に洗浄水が存在していないため、ピストン内部流路52を介した排水もなされていない状態となっている。また、流入管24aから逆流した水による排水/真空破壊弁30からの貯水タンク10内への排水は行われていない状態(OFF状態)とされている。
【0077】
次に、時刻T1において、使用者がリモコン装置6の洗浄ボタンを押すと、リモコン装置6は、便器洗浄の指示信号をコントローラ28に送信する。なお、本実施形態の水洗便器装置1においては、人感センサ8によって使用者の離座が検知された後、リモコン装置6の洗浄ボタンが押されることなく、所定時間経過した場合にも、便器洗浄の指示信号がコントローラ28に送信される。
【0078】
便器洗浄をすべき指示信号を受信すると、コントローラ28は、電磁弁20(図2)を作動させ、電磁弁側パイロット弁50をパイロット弁口から離座させる。これにより、圧力室36a内の圧力が低下し、主弁体38が弁座40から離座して、主弁体38が開弁される。給水制御装置18が開弁されると、給水管32から流入した洗浄水が、給水制御装置18を介して水圧駆動部14に供給される。これにより、図13に示すように、水圧駆動部14のピストン14bが押し上げられ、ロッド15を介して排水弁12が引き上げられ、貯水タンク10内の洗浄水が排水口10aから水洗便器本体2へ排出される。即ち、排水弁12は、給水管32を介して給水された水道水の給水圧に基づく水圧駆動部14の駆動力により駆動され、開弁される。排水弁12が開弁されると、貯水タンク10内に貯留されていた洗浄水(水道水)が、排水口10aを通って水洗便器本体2のボウル部2aに排出され、ボウル部2aが洗浄される。
【0079】
また、貯水タンク10内の洗浄水が排出されると、貯水タンク10内の水位が所定水位L1よりも低下するので、給水弁フロート34が下がる。これにより、アーム部42(図2参照)が回動し、フロート側パイロット弁44が開弁される。なお、フロート側パイロット弁口(図示せず)が開弁した状態では、電磁弁側パイロット弁50を閉弁させても、圧力室36a内の圧力が上昇することはないため、主弁体38の開弁状態を維持することができる。このため、コントローラ28は電磁弁20に通電して主弁体38を開弁させた後、所定時間経過して、貯水タンク10内の水位が低下すると、電磁弁20への通電を停止させる。これにより、電磁弁側パイロット弁50は閉弁されるが、フロート側パイロット弁口が開弁されているため、主弁体38は弁座40から離座したままになる。即ち、コントローラ28は、電磁弁20に短時間通電するだけで、長時間にわたって主弁体38を開弁させることができる。
【0080】
時刻T1において、給水制御装置18から水圧駆動部14への給水が開始された状態(ON状態)となり、シリンダ14aの圧力室14g内に洗浄水の流入が開始される。図13に示すように、シリンダ14aの圧力室14g内に流入した洗浄水は、スプリング14cの付勢力に抗して第1の位置H1からピストン14bの上昇を開始させる。ピストン14bの上昇が開始されると、ピストン14bと共にロッド15が上昇し、クラッチ機構22は接続状態であるので、ロッド15の引き上げ開始直後にすぐにロッド15と排水弁12とが係合して排水弁12を引き上げる。ピストン内部流路52は、依然として入口部52aが貫通孔14fの内側に位置するので、閉状態とされている。また、流入管24aから逆流した水による排水/真空破壊弁30からの貯水タンク10内への排水は行われていない状態(OFF状態)とされている。
【0081】
時刻T2において、ピストン14bが押し上げられ、これに伴いロッド15及び排水弁12が所定位置まで引き上げられると(図7及び図14参照)、クラッチ機構22が、排水弁12をロッド15から切り離す。クラッチ機構22が切断される高さのピストン14bの所定位置を第3の位置H3とする。第3の位置H3は、第2の位置H2よりも低い高さの位置となっている。シリンダ14aから下方に突出する規制部70が可動部材60を「非係合位置」へ回動させ、ロッド15の引上部15bと可動部材60の当接部68との係合が解除される。これにより、ロッド15はピストン14bと共に上方に押し上げられたままになる一方、排水弁12は自重により降下する。しかしながら、切り離された排水弁12の係合突起112c(図5参照)は、排水弁フロート機構26の係合部26b(図2参照)と係合し、排水弁12の降下が阻止される。これにより、貯水タンク10の排水口10aは開弁されたままとなり、貯水タンク10からの排水が継続される。
【0082】
ここで、貯水タンク10内の水位が、所定水位L1よりも低い第2の所定水位まで低下すると、排水弁フロート機構26のフロート部26a(図4参照)が下降し、これが係合部26bを、図4に想像線で示す非係合位置に移動させる。これにより、排水弁12の係合突起112cと係合部26bとの係合が解除され、排水弁12は再び降下し始める。その後、排水弁12が貯水タンク10の排水口10aを閉弁させ、水洗便器本体2への洗浄水の排出が停止される。排水口10aが閉弁された後も、給水制御装置18内の弁座40は開弁された状態にあるため、給水管32から供給された水が水圧駆動部14内に流入し、水圧駆動部14から流出した水は、流出管24bを通って貯水タンク10内に流入するので、貯水タンク10内の水位が上昇する。
【0083】
圧力室14g内への洗浄水の給水は引き続き継続されており、ピストン14b及びロッド15は、クラッチ機構22の切断後も引き続き上昇する。ピストン14bが第3の位置H3にあるとき、入口部52aがシリンダ14aの貫通孔14fの内壁に面する位置にあるため、入口部52aと貫通孔14fの内壁との間にわずかな隙間があるものの入口部52aはほぼ閉じられた状態とされ、圧力室14gと背圧室14hとを連通させるピストン内部流路52は閉じられた状態でありピストン内部流路52は形成されていない状態となっている。また、流入管24aから逆流した水による排水/真空破壊弁30からの貯水タンク10内への排水は行われていない状態(OFF状態)とされている。
【0084】
時刻T3において、ピストン14bさらに押し上げられると共にロッド15が上昇し、ピストン14bが第4の位置H4に到達するとき、入口部52aが圧力室14g内に開口する位置に到達する。よって、圧力室14gと背圧室14hとを連通させるピストン内部流路52が形成され、開状態となる。よって、洗浄水が、圧力室14gから入口部52aを介してピストン内部流路52に流入し、ピストン内部流路52から出口部52bを通って背圧室14hに流出し、背圧室14hから流出管24bに流出される。
【0085】
第4の位置H4は、第3の位置H3よりも高い位置に位置し且つ第2の位置H2よりもわずかに低い位置に位置している。すなわち、クラッチ機構22の切断、及び、連通機構46による圧力室14gと流出管24bとの連通は、ピストン14bの変位に応じて行われ、クラッチ機構22が切断される切断位置(第3の位置H3)より第2の位置H2側に連通機構46により圧力室14gと流出管24bとが連通される連通位置である第4の位置H4がある。ピストン14bが第4の位置H4から第2の位置H2までの位置にある間は、入口部52aが圧力室14gに開口され、ピストン内部流路52が圧力室14gと背圧室14hとを連通させる流路を形成している。
【0086】
時刻T3において、圧力室14g内への洗浄水の給水は引き続き継続されており、ピストン14b及びロッド15は、ピストン内部流路52の連通後も引き続き上昇する。クラッチ機構22は切断された状態となっている。また、流入管24aから逆流した水による排水/真空破壊弁30からの貯水タンク10内への排水は行われていない状態(OFF状態)とされている。
【0087】
時刻T4において、図15に示すように、ピストン14bがさらに押し上げられて第2の位置H2に到達するとき、ピストン14bは、シリンダ14aの遠位側の端部14kから突出する突起部である突出部14mに当接して停止される。第2の位置H2は、シリンダ14a内において、第1の位置H1から最も遠位側の位置、例えば最も高い位置となっている。このとき、圧力室14g内への洗浄水の給水は引き続き継続されており、ピストン14bは引き続き押し圧力を受けているが、突出部14mに当接しておりこれ以上押し上げられないようになって停止している。ピストン14bが突出部14mに当接して停止した状態で、背圧室14hの空間が依然として形成されるようになっている。突出部14mは、ピストン14bと当接してピストン14bの摺動を第2の位置H2までに規制する。突出部14mは、シリンダ14aの中心軸線Aに対して排水口とは反対側の領域内に形成される。突出部14mは排水口と対向する縦壁を形成している。突出部14mは出口部52bから背圧室14hに流入する洗浄水が排水口側に流れやすくなるような縦壁面を形成している。
【0088】
ピストン14bが第2の位置H2に到達した後もシリンダ14a内への洗浄水の供給が維持されている状態においては、連通機構46が圧力室14gと流出管24bとを連通させている状態が維持される。ピストン内部流路52は開状態となっているので、洗浄水が、圧力室14gから入口部52aを介してピストン内部流路52に流入し、ピストン内部流路52から出口部52bを通って背圧室14hに流出し、背圧室14hから流出管24bに流出されている。よって、圧力室14g側の水圧と背圧室14h側の水圧とがほぼ等しくなっている。流出管24bに流出された洗浄水の一部は貯水タンク10内に流入するので、貯水タンク10内の水位が上昇する。クラッチ機構22は切断された状態となっている。また、流入管24aから逆流した水による排水/真空破壊弁30からの貯水タンク10内への排水は行われていない状態(OFF状態)とされている。
【0089】
時刻T5において、貯水タンク10内の洗浄水の水位が所定水位L1まで上昇すると、給水弁フロート34(図2参照)が上昇し、アーム部42を介してフロート側パイロット弁44が移動され、フロート側パイロット弁44が閉弁される。これにより、フロート側パイロット弁口(図示せず)及び主弁体38のパイロット弁口(図示せず)が閉弁されるので、圧力室36a内の圧力が上昇し、主弁体38が弁座40に着座する。この結果、給水制御装置18から水圧駆動部14のシリンダ14aへの給水が停止されてOFF状態となる。水圧駆動部14のピストン14bは、圧力室14gへの洗浄水の供給が停止されると共にピストン14bの押し上げ力が低減され、スプリング14cの付勢力により徐々に押し下げられる。
【0090】
時刻T5においては、図16に示すように、ピストン内部流路52が圧力室14gと背圧室14hとを連通させる流路を形成している。しかしながら、ピストン14bが下降を開始するとすぐに、入口部52aが圧力室14g内から貫通孔14fの内壁に面する位置まで下降されるため、ピストン内部流路52が閉状態となる。以後もピストン14b及びロッド15が下降を継続する。なお、クラッチ機構22は切断された状態となっている。時刻T5において、給水制御装置18からシリンダ14aへの給水が停止されるとき、流入管24aから逆流した水による排水/真空破壊弁30からの貯水タンク10内への排水が開始され、圧力室14g内の洗浄水が流入管24aを介して排水/真空破壊弁30から貯水タンク10内に排水される排水状態(ON状態)とされている。よって、圧力室14g側の水圧を比較的速く下げられる。
【0091】
時刻T6においては、図17に示すように、ロッド15の下端が弁軸12aの上端近傍まで下降し、引上部15b下端の被当接部15dがベースプレート62上面と当接することにより可動部材60を「係合位置」に回動させ、ロッド15の引上部15bと可動部材60の当接部68を係合させるクラッチ機構22の接続状態となる。
【0092】
時刻T7においては、さらにロッド15が下降して、被当接部15dがベースプレート62上面と当接した状態で停止される(図4参照)。よって、可動部材60は待機状態の姿勢に戻る。このとき、ピストン14bは、下降動作が終了し、シリンダ14a内において第1の位置H1に戻る。時刻T5乃至T7において、給水制御装置18からシリンダ14aへの給水は停止された状態のままとなっている。また、ピストン内部流路52も閉状態となっている。時刻T5乃至T7において、圧力室14g内の洗浄水は、流入管24aを介して排水/真空破壊弁30から貯水タンク10内に排水されると共に、シリンダ14aの貫通孔14fの内壁とロッド15の間の隙間14dから流出し、この水は、貯水タンク10に流入する。以上により、一回の便器洗浄が終了し、水洗便器装置1は、便器洗浄の待機状態に復帰する。
【0093】
上述した本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置4によれば、連通機構46が、クラッチ機構22の切断後に圧力室14gと流出管24bとを連通させる。これにより、追加の電磁弁を必要としない比較的簡易な構成により、圧力室14gの洗浄水を流出管24bに流出させ、圧力室14gの洗浄水の圧力を低下させやすくでき、ピストン14bが第2の位置H2から第1の位置H1側に戻りやすくできると共に、クラッチ機構22が切断されるまでの排水弁12の引き上げが、圧力室14gと流出管24bとの連通により妨げられることを防ぐことができ、また、クラッチ機構22の切断が所定のタイミングで規定通り行われるため貯水タンク10内の水位に応じて移動されるフロート機構の動作も影響を受けにくく、規定通りの動作をしやすくできる。また、ピストン14bが第2の位置H2から第1の位置H1側に戻りやすくできるので、排水弁12の閉弁までの時間を短縮できると共に一回の洗浄動作の完了までの時間が比較的短くできる。
【0094】
さらに、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置4によれば、クラッチ機構22が切断されるまでの排水弁12の引き上げを、圧力室14gと流出管24bとの連通により妨げることをより確実に防ぐことができ、また、クラッチ機構22の切断が所定のタイミングで規定通り行われるため貯水タンク10内の水位に応じて移動される排水弁フロート機構26の動作もより影響を受けにくく、規定通りの動作をより確実にしやすくできる。
【0095】
さらに、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置4によれば、ピストン14bが第2の位置H2に到達した後もシリンダ14a内への洗浄水の供給が維持されている状態においては、連通機構46が圧力室14gと流出管24bとを連通させている状態が維持される。これにより、ピストン14bが第2の位置H2に到達して動作を停止した後に圧力室14g側の洗浄水の圧力の上昇を抑制でき、給水停止後にピストン14bが第1の位置H1側に戻りを開始する際に、圧力室14gの洗浄水の圧力をより低下させやすくでき、ピストン14bが第2の位置H2から第1の位置H1側にさらに戻りやすくできる。
【0096】
さらに、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置4によれば、連通機構46は、圧力室14gと背圧室14hとを連通させるピストン内部流路52を形成することにより、圧力室14gと流出管24bとをピストン内部流路52及び背圧室14hを介して連通させる。これにより、比較的簡易な構成により、圧力室14gの洗浄水をピストン内部流路52及び背圧室14hを介して流出管24bに流出させ、圧力室14gの洗浄水の圧力を低下させやすくでき、ピストン14bが第2の位置H2から第1の位置H1側により戻りやすくできると共に、クラッチ機構22が切断されるまでの排水弁12の引き上げを、圧力室14gと流出管24bとの連通により妨げることをより防ぐことができ、クラッチ機構22の切断まで排水弁12の引き上げにより貯水タンク10の排水口から規定通り排水でき、また、クラッチ機構22の切断が所定のタイミングで規定通り行われるため貯水タンク10内の水位に応じて移動されるフロート機構26の動作も影響をより受けにくく、規定通りの動作をよりしやすくできる。
【0097】
さらに、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置4によれば、流出管24bは、シリンダ14aにおいて、ピストン14bの第2の位置H2よりもさらにシリンダ14aの端部側の位置に設けられる。これにより、比較的簡易な構成により、ピストン14bが第2の位置H2にある状態で圧力室14gの洗浄水をピストン14bよりさらにシリンダ14aの遠位の端部側の背圧室14hを介して流出管24bに流出させ、圧力室14gの洗浄水の圧力を低下させやすくでき、ピストン14bが第2の位置H2から第1の位置H1側により戻りやすくできると共に、クラッチ機構22が切断されるまでの排水弁の引き上げを、圧力室14gと流出管24bとの連通により妨げることをより防ぐことができ、クラッチ機構22の切断まで排水弁12の引き上げにより貯水タンク10の排水口から規定通り排水でき、また、クラッチ機構22の切断が所定のタイミングで規定通り行われるため貯水タンク10内の水位に応じて移動されるフロート機構26の動作も影響をより受けにくく、規定通りの動作をよりしやすくできる。
【0098】
さらに、本発明の第1実施形態は、水洗便器装置1であって、水洗便器本体2と、圧力室14gの洗浄水の圧力を低下させやすくできる洗浄水タンク装置4と、を有することを特徴としている。
【0099】
次に、図18乃至図36により、本発明の第2実施形態による水洗便器装置101を説明する。第2実施形態は、本発明による水洗便器装置101の水圧駆動部及びクラッチ機構を異なる構造にした例である。
第2実施形態による水洗便器装置101は、上述した第1実施形態による水洗便器装置1と構造がほぼ同じであるため、本発明の第2実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様な部分については図面に同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0100】
図18に示すように、本発明の第1実施形態による水洗便器装置101は、水洗便器である水洗便器本体2と、この水洗便器本体2の後部に載置された洗浄水タンク装置104とを備えている。
【0101】
洗浄水タンク装置4は、供給された水道水の給水圧を利用して排水弁12を駆動する排水弁水圧駆動部である水圧駆動部114を有する。
【0102】
次に、図18乃至図20を参照して、水圧駆動部及び排水弁の構造を説明する。
水圧駆動部14は、このシリンダ14a内に摺動可能に配置されたピストン114bと、シリンダ14aの内部から外部まで延び、排水弁12と連結可能なロッド115と、ピストン14bの第2の位置H2よりもシリンダ14aの端部側に設けられ、シリンダ14a内の洗浄水を流出させる排水口から延びると共に流出管124bが接続される接続部114oと、を備える。このロッド115は、シリンダ14aの下端から突出して排水弁12に向けて延びている。また、ロッド115は、排水弁12の弁体部12kの中心から立ち上がる弁軸12aと同一直線上に位置するように配置されており、排水弁12とロッド115は同軸上に配置されている。
【0103】
ピストン114bは、シリンダ14a内をピストン114bの手前側の圧力室14gとピストン114bの背側の背圧室14hとに区画し、さらに、ピストン114bは圧力室14gに流入した洗浄水の圧力により第1の位置H1から第2の位置H2(図20参照)に移動される。
【0104】
ロッド115の下端と排水弁12の接続部には、クラッチ機構122が設けられており、このクラッチ機構122により、ロッド115と排水弁12が連結され、所定のタイミングでロッド115と排水弁12の連結が解除される。
【0105】
一方、シリンダ14aの上部には流出口が設けられている。接続部114oは、第2部材14nの流出口から延びている。接続部114oは、内面に螺合面を形成している。接続部114oは第2部材14nの天井壁に設けられる。流出部である流出管124bは、接続部114oに取付けられ、接続部114oの基部の流出口を介してシリンダ14aの内部と連通している。流出管124bは、シリンダ14a内の洗浄水を流出させるようになっている。従って、シリンダ14a下部に接続された流入管124aからシリンダ14a内に水が流入すると、ピストン114bは、流入した水の圧力により、第1の位置H1(図19参照)であるシリンダ14aの下部から上方の第2の位置H2(図20参照)へ押し上げられる。そして、シリンダ14aに流入した水は流出孔から流出管124bを通って流出する。即ち、ピストン114bは、水道水の圧力により、シリンダ14aの第1の位置H1から第2の位置H2へ移動される。流出管124bは、シリンダ14aにおいて、ピストン14bの第2の位置H2よりもさらにピストン14bの背面側(遠位側)の位置に設けられる。図2に示すように、シリンダ14aから延びる流出管124bの先端部には流出管分岐部24cが設けられている。
【0106】
上述のように流出管124bは、ピストン114bの第2の位置H2よりもさらにピストン114bの背面側(遠位側)の位置で接続部114oを介してシリンダ14aに接続されればよい。従って、接続部114oは、図19等に示すような第2部材14nのほぼ中央の位置に限られず、第2部材14nの天井壁の端部側や側壁等に設けられてもよい。また、接続部114oは、第2部材14nから特定の方向に延びて流出管124bと接続するように形成されていてもよい。このように接続部114oが端部側や側壁等に設けられる等して流出管124bの接続の位置や方向を特定することとなる場合、接続部114oが複数種類の方向のうち選択した方向、例えば第1部材14lに対して予め設定された4つの方向のうち選択した1つの方向、に向けられるように第2部材14nと第1部材14lとの取付け構造が形成される。このような取付け構造により第2部材14nが第1部材14lに対して複数の回転された位置において係止される。よって、接続部114oが所望の方向に向くように第2部材14nを取付けることができる。なお、第2部材14nが第1部材14lに対して複数の回転された位置において係止される場合においても、後述するように第2係合部192(図33参照)には複数のシリンダ側山形部分192aが形成され、第1係合部188には複数の山形部分188aが形成されており、第2部材14nが第1部材14lに対して回転されたそれぞれの位置において、第2係合部192と第1係合部188とが噛み合う(山形部分と谷形部分とが噛み合う)ように形成されている。また、このような構造を達成できるように第1部材14lと第2部材14nとは嵌合されて接続されているが、第2部材14nが第1部材14lに対して回転しないように構成される場合には、第1部材14lと第2部材14nとは溶着、接合等により接続されていてもよい。
【0107】
図3及び図4に示すように、ロッド115は、棒状の部材であり、シリンダ14aの底面に形成された貫通孔14fを通って、シリンダ14aの中から下方に突出するように延びている。また、ロッド115の下端は、クラッチ機構22を介して排水弁12に連結されている。このため、シリンダ14aに水が流入してピストン14bが押し上げられると、ピストン114b又は後述する弁構成部材114iに接続されたロッド115が排水弁12を上方に吊り上げ、排水弁12が開弁される。
【0108】
さらに、ロッド15と排水弁12の弁軸12aの間には、クラッチ機構122が設けられている。クラッチ機構122は、排水弁12と水圧駆動部114のロッド115とを連結して水圧駆動部114の駆動力により排水弁12を引き上げる。クラッチ機構122は、排水弁12が所定の位置まで吊り上げられたとき、ロッド115の回転により、排水弁12の弁軸12aをロッド115から切り離すように構成されている。クラッチ機構122が切り離された状態では、排水弁12は、ピストン14b及びロッド15の動きに連動しなくなり、浮力に抵抗しながら重力により降下する。
【0109】
次に、図19乃至図27を参照して、水圧駆動部114のより詳細な構造を説明する。
水圧駆動部114のピストン114bは、圧力室14gに流入した洗浄水の給水圧力を受けて第1の位置H1から第2の位置H2に向けて第1方向D1(図19参照)に移動されるように形成されている。また、ピストン114bは、シリンダ14a内への洗浄水の流入が停止又は減少されることにより第1方向D1に移動されていたピストン114bが戻るとき、シリンダ14a内において第2の位置H2から第1の位置H1に向けて第1方向D1と逆向きの第2方向D2に移動するように形成されている。
【0110】
ピストン114bは、内側においてシリンダ14aの中心軸線A(図19参照)に平行に延びる縦壁を形成する内側筒部154と、内側筒部154から外側に延びると共に環状のディスク状に形成されている第1プレート部156と、第1プレート部156の外側部分からシリンダ14aの中心軸線A(図19参照)に平行に延びる縦壁を形成する外側筒部158と、外側筒部158の頂部からシリンダ14aの中心軸線Aと平行にさらに突出する背圧室側突出部159と、第1プレート部156から圧力室14g側に延びる圧力室側突出部161とを備えている。
【0111】
内側筒部154は、第1プレート部156から背圧室14h側に立ち上がるように形成されている。内側筒部154は、外側筒部158よりも低い高さの縦壁を形成している。内側筒部154は、その内側に、弁構成部材114iの第1係合部188を回動可能に受け入れるように形成されている。
第1プレート部156は、圧力室14g側に平坦なシート面156a(図22参照)を形成している。第1プレート部156は、薄い厚みの平板状に形成されている。第1プレート部156には、ピストン開口157が形成されている。ピストン開口157は、4つ形成され、環状の第1プレート部156において90度おきに均等な間隔で配置されている。なお、ピストン開口157は、1つでもよく、又は4つ以外の複数で形成されてもよい。さらに、ピストン開口157は、環状の第1プレート部156において均等な間隔で配置されていなくてもよい。複数のピストン開口157は、第1プレート部156の周方向に並ぶように配置されている。ピストン開口157は、第1プレート部156を圧力室14g側から見たときに、長方形の開口を形成しており、その短辺が第1プレート部156の円周方向に延び、その長辺が第1プレート部156の半径方向に延びている。ピストン開口157は、第1プレート部156を圧力室14g側から背圧室14h側まで中心軸線Aに沿って貫通する貫通口を形成している。
【0112】
外側筒部158は、第1プレート部156から背圧室14h側に立ち上がるように形成されている。外側筒部158は、その外側面にパッキン14eを取付けるように形成されている。
背圧室側突出部159は、環状の外側筒部158のうち2か所の対向する位置に形成されている。すなわち、背圧室側突出部159は、環状の外側筒部において180度おきに均等な間隔で配置されている。背圧室側突出部159は、頂部に平坦部分を形成するように台状に形成されている。背圧室側突出部159は、1つでもよく、又は2つ以外の複数で形成されてもよい。
圧力室側突出部161は、第1プレート部156から棒状に延びている。圧力室側突出部161は、中心軸線A(図19参照)と平行に延びている。
【0113】
水圧駆動部114は、さらに、ピストン114bと共に第1の位置H1から第2の位置H2まで移動可能に形成されると共にピストン114bの第1プレート部156に沿うように取付けられる弁構成部材114iを備えている。弁構成部材114iは、ピストン114bと組合せることにより、シリンダ14a内の圧力室14gと背圧室14hとを連通させる流路の複数の開口を開閉する連通弁116(図8及び図9参照)を形成している。連通弁116は複数の開口を開閉するように少なくとも1つ形成される。弁構成部材114iは、第1の位置H1から第2の位置H2までの移動とは別にピストン114bに対して相対的に移動可能に形成されている。弁構成部材114iは、ロッド115と平行な軸線の周りに回動するように形成される。
【0114】
弁構成部材114iは、ロッド115の外側において環状のディスク状に形成されている第2プレート部186と、第2プレート部186の内側部分から背圧室14h側に向けて立ち上がる第1係合部188と、洗浄水の流れを受けて回転される受力部190とを備えている。
【0115】
第2プレート部186は、背圧室14h側に平坦面186aを形成すると共に圧力室14g側に平坦面を形成している。第2プレート部186は、背圧室14h側に平坦面186aを形成しているので、第2プレート部186は、第1プレート部156に沿って平行に配置されると共に、第2プレート部186は第1プレート部156に沿って平行に回動することが可能である。弁構成部材114iは、ピストン114bのシート面156aに対して平行に移動するように形成される。例えば、弁構成部材114iの平坦面186aがシート面156aに対して平行に回転移動するように形成されている。第2プレート部186は、薄い厚みの平板状に形成されている。第2プレート部186には、弁構成部材側開口187が形成されている。弁構成部材側開口187は、4つ形成され、環状の第2プレート部186において90度おきに均等な間隔で配置されている。なお、弁構成部材側開口187は、1つでもよく、又は4つ以外の複数で形成されてもよい。さらに、弁構成部材側開口187は、環状の第2プレート部186において均等な間隔で配置されていなくてもよい。複数の弁構成部材側開口187は、第2プレート部186の周方向に並ぶように配置されている。弁構成部材側開口187は、第2プレート部186を圧力室14g側から見たときに、長方形の開口を形成しており、その短辺が第2プレート部186の円周方向に延び、その長辺が第2プレート部186の半径方向に延びている。弁構成部材側開口187は、第2プレート部186を圧力室14g側から背圧室14h側まで中心軸線Aに沿って貫通する貫通口を形成している。弁構成部材側開口187は、ピストン開口157よりもわずかに大きな開口を形成している。
【0116】
第2プレート部186には、弁構成部材側開口187を囲うようにリブ194(図23参照)が形成されている。リブ194は、弁構成部材114iのピストン114bに対向する面の一部に、突出するように形成されている。リブ194は、第2プレート部186の表面からわずかに隆起した突出部を形成している。リブ194は、全ての弁構成部材側開口187及びガイド開口189の周りを覆うように形成されると共に同じ高さに形成されている。従って、第2プレート部186と、シート面156aとがリブ194を介して接するようになっている。リブ194は、弁構成部材側開口187の周囲以外の第2プレート部186上に形成されていてもよい。また、リブ194は、ピストン114bの弁構成部材114iに対向するシート面156a側の面の一部に形成されていてもよい。
【0117】
第2プレート部186には、さらに、圧力室側突出部161を受け入れるガイド開口189も形成されている。ガイド開口189は、第2プレート部186において、円周方向に延び、円弧状の開口部を形成している。よって、ガイド開口189は、圧力室側突出部161を受け入れた状態で、弁構成部材114iがピストン114bに対して回動する範囲を規制し、弁構成部材114iの回動範囲及び回転方向を規定している。ガイド開口189は、例えば、弁構成部材114iの回動範囲を、例えば約15度乃至45度の範囲内の角度、より好ましくは30度とするように形成されている。ガイド開口189は、弁構成部材側開口187の一つと接続されているが、ガイド開口189は、弁構成部材側開口187の一つと別に形成されていてもよい。
【0118】
第1係合部188は、シリンダ14aの遠位側の端部14kに向けて延びる突出部分を形成している。第1係合部188は、円筒状の筒状部分の先端部が複数の山形部分188aを形成するように形成されている。第1係合部188は、4つの三角形状の山形部分188aを形成している。山形部分188aはその側面に傾斜部である傾斜面188bを形成している。後述するように、この傾斜面188bが、相対するシリンダ側山形部分192aのシリンダ側傾斜面192bに当接することにより、第1係合部188及び弁構成部材114iに円周方向への回転力を生じさせ、弁構成部材114iを連通弁116の開状態に対応する位置まで回動させるようになっている。よって、第1係合部188は、ピストン114bが第2の位置H2(図34参照)に到達して第1係合部188と第2係合部192とが係合されるときに、弁構成部材114iをピストン114bの移動の向きとは異なる向きにピストン114bに対して相対的に移動させる傾斜面188bを備える。よって、連通弁116を開状態とするように弁構成部材114iがピストン114bに対して相対的に移動される向きは、ピストン114bの移動の向きとは異なる向きである。弁構成部材114iは、ピストン114bの移動の向きに対して直交する向きに移動するように形成される。山形部分188aは、4つ形成され、環状の第1係合部188において90度おきに均等な間隔で配置されている。なお、山形部分188aは、1つでもよく、又は4つ以外の複数で形成されてもよい。さらに、山形部分188aは、シリンダ側山形部分192aと当接して第1係合部188に回転力を生じさせるように形成されていれば、第1係合部188において均等な間隔で配置されていなくてもよい。
【0119】
受力部190は、水平断面が航空機の翼状に形成される羽根を複数備えている。受力部190の羽根は、ロッド115の外周に沿って配置され、流入管24aから圧力室14gに流入する洗浄水の流れを受けてロッド115を中心に回転されるように配置されている。受力部190は、第2プレート部186と接続され、受力部190の回転に合わせて第2プレート部186が回転される。受力部190は、待機状態から1方向のみに回転されるように回転方向が規制されて配置されている。よって、受力部190は、待機状態から所定の1方向のみに回転され、合わせて第2プレート部186が同方向に回転される。
【0120】
なお、図3に示すように、シリンダ14aは、シリンダ14aの第2の位置H2よりも遠位側の端部14kから背圧室14h側に向けて内側に立ち上がる第2係合部192を備えている。第2係合部192は、シリンダ14aの内側に向けて延びる突出部分を形成している。第2係合部192は、第1係合部188と対になるように第1係合部188と同様に形成され、円筒状の筒状部分の先端部が複数のシリンダ側山形部分192aを形成する。第2係合部192は、4つの三角形状のシリンダ側山形部分192aを形成している。シリンダ側山形部分192aはその側面に傾斜部であるシリンダ側傾斜面192bを形成している。よって、第2係合部192は、ピストン114bが第2の位置H2に到達して第1係合部188と第2係合部192とが係合されるときに、弁構成部材114iをピストン114bの移動の向きとは異なる向きにピストン114bに対して相対的に移動させるシリンダ側傾斜面192bを備える。シリンダ側山形部分192aは、4つ形成され、環状の第2係合部192において90度おきに均等な間隔で配置されている。なお、シリンダ側山形部分192aは、1つでもよく、又は4つ以外の複数で形成されてもよい。さらに、シリンダ側山形部分192aは、山形部分188aと当接して第1係合部188に回転力を生じさせるように形成されていれば、第2係合部192において均等な間隔で配置されていなくてもよい。第1係合部188及び第2係合部192の少なくとも一方は、傾斜部である傾斜面188b又はシリンダ側傾斜面192bを備えている。
【0121】
ロッド115は、ピストン114b又は弁構成部材114iに接続される。本実施形態においては、ロッド115は、弁構成部材114iに接続され、ピストン114bには接続されていない。再び本実施形態を説明すると、ロッド115は、弁構成部材114iに接続されているので、弁構成部材114iの回動に合わせてロッド115も回動するように形成されている。ロッド115が弁構成部材114iから延びる状態において、ロッド115の内部と第1係合部188の内部とが連続した第2ピストン内部流路152を形成している。
【0122】
ここで、水圧駆動部114は、さらに、クラッチ機構122の切断後に、圧力室14gと流出管124bとを連通させる第1連通機構145(図22及び図23参照)を備えている。第1連通機構145は、ピストン114b及び弁構成部材114iにより連通弁116として形成されている。第1連通機構145は、ピストン114bの位置に応じて圧力室14gと背圧室14hとを連通させる第1ピストン内部流路151(図24及び図25参照)を形成することにより、圧力室14gと流出管124bとを連通弁116及び背圧室14hを介して連通させる。より具体的には、後述するように弁構成部材114iの弁構成部材側開口187がピストン114bのピストン開口157と同じ位置に位置する場合には、連通弁116は開状態とされ、圧力室14gと背圧室14hとを連通させる第1ピストン内部流路151が形成される。連通弁116は開状態で第1ピストン内部流路151を形成させ、閉状態で第1ピストン内部流路151を閉じる。第1ピストン内部流路151は、弁構成部材側開口187とピストン開口157とが連通した流路として形成される。
【0123】
よって、第1連通機構145は、弁構成部材側開口187がピストン開口157と同じ位置に位置するとき、圧力室14gと背圧室14hとを連通させる第1ピストン内部流路151を形成することにより、連通弁116を開状態とさせ、圧力室14gと流出管124bとを第1ピストン内部流路151及び背圧室14hを介して連通させる。
一方で、第1連通機構145は、弁構成部材側開口187がピストン開口157と異なる位置に位置するとき、圧力室14gと背圧室14hとを連通させる第1ピストン内部流路151を形成されていない状態(閉じられた状態)とさせ、連通弁116を閉状態とさせる。
【0124】
水圧駆動部114は、さらに、クラッチ機構122の切断後に、圧力室14gと流出管124bとを連通させる第2連通機構146を備えている。第2連通機構146は、ピストン114bの位置に応じて圧力室14gと背圧室14hとを連通させる第2ピストン内部流路152を形成することにより、圧力室14gと流出管124bとを第2ピストン内部流路152及び背圧室14hを介して連通させる。第2ピストン内部流路152は、ロッド115及び第1係合部188の環状の構造体の内側において管状に形成され、円柱状の空間を形成している。第2ピストン内部流路152は、ロッド115のクラッチ機構122側に形成された入口部152aから、ピストン114bの背圧室14h側に開口するように形成された出口部152bまで延びている。入口部152aは、ロッド115の側壁に向けた開口として形成される。出口部152bは、第1係合部188の端部においてロッド115の軸方向に開口する中心開口を形成している。出口部152bは、ピストン114bの背圧室側の近傍に形成される。
【0125】
これに対し、入口部152aは、ピストン114bの圧力室14g側且つピストン114bから所定距離離れた位置に形成される。例えば、入口部152aから出口部152bまでの長さは、シリンダ14aの内部の全長より短く、例えば、全長の5割乃至9割の長さとされている。よって、ピストン114bが第1の位置H1にあるとき、ピストン114b(出口部152b)から所定距離離れた入口部152aがシリンダ14a外に位置すると共にこの入口部152aが貯水タンク10内に開口するように位置決めされる。よって、圧力室14gと背圧室14hとを連通させる第2ピストン内部流路152は形成されていない状態(閉じられた状態)となっており、第2ピストン内部流路152は、貯水タンク10側に接続されている。
【0126】
なお、ピストン114bが第1の位置H1から第2の位置H2に移動する途中においては、入口部152aがシリンダ14aの外部にあるときには、圧力室14gと背圧室14hとを連通させる第2ピストン内部流路152は閉じられた状態であり形成されていない状態となっている。また、入口部52aがシリンダ14aの貫通孔14fの内壁に面する位置にあるときには、入口部152aと貫通孔14fの内壁との間にわずかな隙間があるものの入口部152aはほぼ閉じられた状態とされ、圧力室14gと背圧室14hとを連通させる第2ピストン内部流路152は閉じられた状態であり形成されていない状態となっている。ピストン114bが第2の位置H2にあるとき、ピストン114b(出口部152b)から所定距離離れた入口部152aがシリンダ14a内の圧力室14gに開口するように位置決めされる。よって、第2連通機構146は、ピストン114bが第2の位置H2にあるとき、圧力室14gと背圧室14hとを連通させる第2ピストン内部流路152を形成することにより、圧力室14gと流出管124bとを第2ピストン内部流路152及び背圧室14hを介して連通させる。一方で、第2連通機構146は、ピストン114bが第1の位置H1にあるとき、圧力室14gと背圧室14hとを連通させる第2ピストン内部流路152を形成されていない状態(閉じられた状態)とさせると共に、第2ピストン内部流路152が背圧室14hとシリンダ14a外部の貯水タンク10内とを連通させている。なお、水圧駆動部114は、第2連通機構146を省略した状態で、第1連通機構145のみを備えていてもよい。第1連通機構145及び/又は第2連通機構146は、連通させる状態と連通させない状態との切換機能を有する。
【0127】
次に、図28及び図29を新たに参照して、排水弁12とロッド115を連結するクラッチ機構122を説明する。
図28は、本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置において、接続状態となっているクラッチ機構を示す部分拡大断面図である。図29は、本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置において、接続の解除状態となっているクラッチ機構を示す部分拡大断面図である。
【0128】
クラッチ機構122は、例えば、図24に示すような連通弁116の開状態から図26に示すような連通弁116の閉状態に変化するように、弁構成部材114iが第1回転方向B1と逆の第2回転方向B2(図26参照)に回動されると共にロッド115が第2回転方向B2に回動されることにより、排水弁12とロッド115とが連結されるように形成される。
また、図26及び図29に示すように、クラッチ機構122は、弁構成部材114iがピストン114bに対して第1回転方向B1に回動されると共にロッド115が第1回転方向B1に回動されることにより、排水弁12とロッド115との連結が切断されるように形成される。
【0129】
より具体的には、クラッチ機構122は、ロッド115の下端部におけるロッド係合部115aと、排水弁12の弁軸12aの上端部における弁軸係合部112kとを備えている。即ち、ロッド115は、水圧駆動部114のピストン114bの下面から下方に延びており、このロッド115の下端部におけるロッド係合部115aがクラッチ機構122の一部を構成する。また、弁軸12aの上端部における弁軸係合部112kがクラッチ機構122の一部を構成する。弁軸係合部112kがロッド係合部115aと係合/解除されることにより、ロッド115と排水弁12が連結・解除される。
【0130】
図28に示すように、ロッド係合部115aは、ロッド115の下端部において、ロッド軸部115bの下方に形成される。ロッド係合部115aは、直方体形状に形成され、その外縁が円柱形状のロッド軸部115bよりも外側まで延びるように形成されている。
弁軸係合部112kは、弁軸12aの上端部の第1側部112eから上方に延びた後に内側にL字状に曲がる第1係合爪部112lと、第1側部112eと対向する第2側部112fから上方に延びた後に内側にL字状に曲がる第2係合爪部112dとを備えている。第1係合爪部112lは、第1側部112e側において弁軸12aの第3側部112g側の位置に位置し、第2係合爪部112dは、第2側部112f側において弁軸12aの第4側部112h側の位置に位置している。第3側部112g及び第4側部112hは第1側部112eの側方に位置し、第4側部112hは第3側部112gと対向している。弁軸係合部112kは、第1係合爪部112lと、第1係合爪部112lと対向する第2係合爪部112dとにより、ロッド係合部115aと係合する係合部を形成している。
【0131】
第1係合爪部112lは、内側に延びる係合部分のうち側方部分が斜めに切り欠かれた第1斜面部112iを形成している。
第2係合爪部112dは、内側に延びる係合部分のうち側方部分が斜めに切り欠かれた第2斜面部112j(図19参照)を形成している。第1斜面部112iと、第2斜面部112jとは対向するように配置され、第1斜面部112iと、第2斜面部112jとは平行に延びている。第1斜面部112iと、第2斜面部112jとの間の距離は、ロッド係合部115aの短辺の長さよりもわずかに大きく且つ長辺の長さよりも短く形成されている。従って、図28に示すように、ロッド係合部115aが第1係合爪部112lや第2係合爪部112dと平行な姿勢をとっている状態でロッド係合部115aが上昇するときには、ロッド係合部115aが第1係合爪部112lや第2係合爪部112dと係合し、ロッド係合部115aが弁軸12aを引き上げるように弁軸係合部112kと連結される。
一方、図29に示すように、ロッド係合部115aが回動され、第1係合爪部112lの第1斜面部112i及び第2係合爪部112dの第2斜面部112jと平行な姿勢をとっている状態のときは、ロッド係合部115aが、第1斜面部112iと第2斜面部112jとの間を通過し、ロッド係合部115aが第1係合爪部112lや第2係合爪部112dと係合しなくなり、又は係合したとしても係合が外れて、ロッド係合部115aと弁軸係合部112kとの連結が解除される。
【0132】
次に、図28及び図29を参照して、クラッチ機構122の作用を説明する。
まず、待機状態においては、排水弁12が排水口10aに着座しており、クラッチ機構122は、図29に示すような、連結解除状態(非接続状態)となっている。クラッチ機構122が連結解除状態(非接続状態)となっている状態では、ロッド係合部115aが、上方に引き上げられた際に第1係合爪部112lや第2係合爪部112dと係合しないような向き(又は第1係合爪部112lや第2係合爪部112dを引き上げられる程度まで十分に係合しないような向き)、例えば上面視で第1斜面部112i及び第2斜面部112jとほぼ平行な姿勢の向きに配置されている。
【0133】
水圧駆動部114(図31)への洗浄水の供給が開始されると、受力部190が洗浄水の流れを受けて、ロッド115を回転させる。よって、ロッド係合部115aが、図28に示すような、上方に引き上げられた際に第1係合爪部112lや第2係合爪部112dと係合するような向き、例えば上面視で第1係合爪部112lや第2係合爪部112dとほぼ平行な姿勢の向きとなるように回転される。この時点では、ロッド係合部115aと、弁軸係合部112kとの間には、依然として上方にクリアランスCが存在する。図28に示す状態から、ロッド115が上方に引き上げられた場合には、ロッド係合部115aと弁軸係合部112kとが係合して、排水弁12が引き上げられる。水圧駆動部114に洗浄水が供給され、図28に示す状態からロッド115が上方に引き上げられると、ロッド係合部115aによって弁軸係合部112kが鉛直上方に引き上げられる。即ち、ロッド115が引き上げられると、ロッド係合部115aが弁軸係合部112kとの連結状態(クラッチ機構122が連結された状態)を維持したまま、排水弁12が引き上げられる。
【0134】
また、クラッチ機構122が連結された状態で、ロッド115と共に排水弁12が所定距離引き上げられると、ピストン114bが第2の位置H2に到達する。ピストン114bが第2の位置H2に到達するとき、弁構成部材114iが第1回転方向B1に回動され、ロッド115が第1回転方向B1に回動され、ロッド係合部115aが図14から図15に示すような、ロッド係合部115aと弁軸係合部112kとの連結が解除される姿勢に回動される。よって、ロッド係合部115aと弁軸係合部112kとの係合が解除され、クラッチ機構122の連結が解除される。
【0135】
クラッチ機構122の連結が解除されると、排水弁12がロッド115から切り離され、排水弁12が下降して、排水口10aに着座する。これにより、貯水タンク10から水洗便器本体2への洗浄水の排出が停止される。
次いで、水圧駆動部114への洗浄水の供給が停止されると、ピストン114b及びロッド115が下降する。図29に示すように、ロッド係合部115aが回転された姿勢のまま下降され、弁軸係合部112kの先端の係合部よりも下方まで下降する。
【0136】
ロッド115が更に下降すると、図29に示すように、ロッド115のロッド係合部115aが弁軸12aの頂部に当接して停止される。このとき、クラッチ機構122の連結は解除された状態のままとなり、以後洗浄水タンク装置は待機状態に戻る。
【0137】
次に、図18図30乃至図35等を参照して、本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置104、及びそれを備えた水洗便器装置101の一連の洗浄動作を説明する。
図30は、本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置において、ピストンの変位、シリンダ給水の状態、クラッチ機構の状態、第1ピストン内部流路の状態、及び排水/真空破壊弁からの排水の状態等の時間変化を示すタイミングチャートである。縦軸においてピストンの変位及び高さ位置、シリンダ給水のON状態とOFF状態の切換、クラッチ機構の接続状態と解除状態の切換、第1ピストン内部流路の開状態と閉状態の切換、及び排水/真空破壊弁からの排水のON状態とOFF状態の切換の変化を示し、横軸において時間経過を示している。
【0138】
まず、図18に示す便器洗浄の待機状態(時刻T10)においては、貯水タンク10内の水位は所定水位L1(例えば満水水位)にあり、この状態では、給水制御装置18の電磁弁側パイロット弁50及びフロート側パイロット弁44(図18参照)は、共に閉弁状態となり、弁座40は主弁体38によって閉弁されている。よって、給水制御装置18から水圧駆動部114への給水は停止された状態(OFF状態)である。また、図19示すように、待機状態において、水圧駆動部114のピストン114bはシリンダ14a内において第1の位置H1にある。ピストン114bの第1の位置H1は移動可能範囲のうちの下限の位置である。ピストン114bはシリンダ14a内において停止されている。このとき、ピストン114bが、貯水タンク10の所定水位L1より上方に位置する。ロッド115及び排水弁12は最も下降された状態で停止しており、クラッチ機構122は連結が解除された状態(非接続状態)となっている。
【0139】
図24及び図25に示すように、ピストン114bが第1の位置H1にあるとき、弁構成部材114iの弁構成部材側開口187がピストン114bのピストン開口157とほぼ同じ位置に重なるように位置し、連通弁116が開状態とされるので、第1連通機構145により形成される第1ピストン内部流路151は、開状態とされている。
また、図19に示すように、第2連通機構146により形成される第2ピストン内部流路152は、ピストン114bが第1の位置H1にあり、入口部152aがシリンダ14aの外部且つ貯水タンク10の内部に位置するので、閉じられた状態(圧力室14gと背圧室14hとの連通が形成されていない状態)とされている。第2ピストン内部流路152は、背圧室14hとシリンダ14a外部の貯水タンク10内とを連通させているが、待機状態においては、背圧室14h側に洗浄水が存在していないため、第2ピストン内部流路152を介した排水もなされていない状態となっている。また、流入管24aから逆流した水による排水/真空破壊弁30からの貯水タンク10内への排水は行われていない状態(OFF状態)とされている。
【0140】
次に、時刻T11において、使用者がリモコン装置6の洗浄ボタンを押すと、リモコン装置6は、便器洗浄の指示信号をコントローラ28に送信する。なお、本実施形態の水洗便器装置101においては、人感センサ8によって使用者の離座が検知された後、リモコン装置6の洗浄ボタンが押されることなく、所定時間経過した場合にも、便器洗浄の指示信号がコントローラ28に送信される。
【0141】
便器洗浄をすべき指示信号を受信すると、コントローラ28は、電磁弁20(図18参照)を作動させ、電磁弁側パイロット弁50をパイロット弁口から離座させる。これにより、圧力室36a内の圧力が低下し、主弁体38が弁座40から離座して、主弁体38が開弁される。給水制御装置18が開弁されると、給水管32から流入した洗浄水が、給水制御装置18を介して水圧駆動部114に供給される。これにより、図31において矢印F1に示すように、流入管24aからシリンダ14aへの給水が開始され、シリンダ給水がON状態となる。流入管24aからシリンダ14a内に流入した洗浄水が受力部190に当たり、受力部190が洗浄水の流れを受けて、弁構成部材114iを回転させる。このとき、弁構成部材114iは、第2回転方向B2(図26参照)に回動されると共にロッド115が第2回転方向B2に回動されることにより、排水弁12とロッド115とが連結され、接続状態となる。弁構成部材114iは、第2回転方向B2に、例えば約15度乃至45度の範囲内の角度、より好ましくは30度の角度で回動される。よって、弁構成部材114iは、ピストン114bに対して相対的に回転され、弁構成部材側開口187がピストン開口157と異なる位置(ずれた位置)に位置することとなる。よって、第1ピストン内部流路151は閉状態となり、連通弁116を閉状態とされる。このように、連通弁116は、ピストン114bが第1の位置H1に位置するときにシリンダ14aへの洗浄水の供給が開始される場合、開状態から閉状態に変化される。
【0142】
よって、水圧駆動部114のピストン114bが押し上げられ、ロッド115を介して排水弁12が引き上げられ、貯水タンク10内の洗浄水が排水口10aから水洗便器本体2へ排出される。即ち、排水弁12は、給水管32を介して給水された水道水の給水圧に基づく水圧駆動部114の駆動力により駆動され、開弁される。排水弁12が開弁されると、貯水タンク10内に貯留されていた洗浄水(水道水)が、排水口10aを通って水洗便器本体2のボウル部2aに排出され、ボウル部2aが洗浄される。なお、第2ピストン内部流路152は、背圧室14hとシリンダ14a外部の貯水タンク10内とを連通させているが、基本的には背圧室14h側に洗浄水が存在していないため、第2ピストン内部流路152を介した排水は基本的にはなされていない状態となっている。また、流入管24aから逆流した水による排水/真空破壊弁30からの貯水タンク10内への排水は行われていない状態(OFF状態)とされている。
【0143】
また、貯水タンク10内の洗浄水が排出されると、貯水タンク10内の水位が所定水位L1よりも低下するので、給水弁フロート34が下がる。これにより、アーム部42(図2参照)が回動し、フロート側パイロット弁44が開弁される。なお、フロート側パイロット弁口(図示せず)が開弁した状態では、電磁弁側パイロット弁50を閉弁させても、圧力室36a内の圧力が上昇することはないため、主弁体38の開弁状態を維持することができる。このため、コントローラ28は電磁弁20に通電して主弁体38を開弁させた後、所定時間経過して、貯水タンク10内の水位が低下すると、電磁弁20への通電を停止させる。これにより、電磁弁側パイロット弁50は閉弁されるが、フロート側パイロット弁口が開弁されているため、主弁体38は弁座40から離座したままになる。即ち、コントローラ28は、電磁弁20に短時間通電するだけで、長時間にわたって主弁体38を開弁させることができる。
【0144】
時刻T11において、給水制御装置18から水圧駆動部114への給水が開始された状態(ON状態)となり、シリンダ14aの圧力室14g内に洗浄水の流入が開始される。図30に示すように、シリンダ14aの圧力室14g内に流入した洗浄水は、第1の位置H1からピストン114bの上昇を開始させる。ピストン114bの上昇が開始されると、ピストン14bと共にロッド115が上昇し、クラッチ機構122は接続状態であるので、ロッド115の引き上げ開始直後にすぐにロッド115と排水弁12とが係合して排水弁12を引き上げる。
【0145】
図18に示すように、時刻T11からT12までの間において、第1連通機構145は、弁構成部材側開口187がピストン開口157と異なる位置に位置し、第1ピストン内部流路151は閉じられた状態であり、連通弁116は閉状態となっている。よって、シリンダ14aの圧力室14g内に流入した洗浄水は、第1方向D1に、ピストン114bを押し上げて移動させる。このように、ピストン114bが第1方向D1に移動するとき(移動を開始する時)、弁構成部材114iは移動されており、連通弁116は閉状態とされている。
【0146】
時刻T12において、ピストン114bが押し上げられ、これに伴いロッド115及び排水弁12が所定位置である第3の位置H3まで引き上げられると(図33参照)、第1係合部188が第2係合部192に当接し始める。第3の位置H3は、第2の位置H2よりも低い高さの位置となっている。このとき、第1係合部188の山形部分188aの傾斜面188bが第2係合部192のシリンダ側山形部分192aのシリンダ側傾斜面192bと、当接を開始し、山形部分188aがシリンダ側山形部分192aに対して回動を開始する。すなわち、弁構成部材114iが第2回転方向B2に回動され、ロッド係合部115aと弁軸係合部112kとの連結が解除される姿勢に回動される。これにより、ロッド係合部115aと弁軸係合部112kとの係合が解除され、クラッチ機構122の連結が解除される。よって、排水弁12がロッド115から切り離され、排水弁12が下降を開始する。これにより、ロッド115はピストン114bと共に上方に押し上げられたままになる一方、排水弁12は自重により降下する。切り離された排水弁12の係合突起12l(図18参照)は、排水弁フロート機構26の係合部26b(図18参照)と係合し、排水弁12の降下が阻止される。これにより、貯水タンク10の排水口10aは開弁されたままとなり、貯水タンク10からの排水が継続される。
【0147】
ここで、貯水タンク10内の水位が、所定水位L1よりも低い第2の所定水位まで低下すると、排水弁フロート機構26のフロート部26a(図20参照)が下降し、これが係合部26bを、図20に想像線で示す非係合位置に移動させる。これにより、排水弁12の係合突起12lと係合部26bとの係合が解除され、排水弁12は再び降下し始める。その後、排水弁12が貯水タンク10の排水口10aを閉弁させ、水洗便器本体2への洗浄水の排出が停止される。排水口10aが閉弁された後も、給水制御装置18内の弁座40は開弁された状態にあるため、給水管32から供給された水が水圧駆動部114内に流入し、水圧駆動部114から流出した水は、流出管124bを通って貯水タンク10内に流入するので、貯水タンク10内の水位が上昇する。
【0148】
時刻T13において、弁構成部材114iが第1回転方向B1に回動され、弁構成部材114iの弁構成部材側開口187がピストン開口157とほぼ同じ位置に重なる。これにより、連通弁116が開状態とされる。よって、圧力室14gと背圧室14hとを連通させる第1ピストン内部流路151が形成され且つ開状態とされる。よって、洗浄水が、圧力室14gから第1ピストン内部流路151を介して背圧室14hに流出し、背圧室14hから流出管124bに流出される。連通弁116が開状態とされるとき、ピストン114bは第4の位置H4(図30参照)にある。
【0149】
連通弁116が開状態とされるときとほぼ同時期に、入口部152aが圧力室14g内に開口する位置に到達する。よって、圧力室14gと背圧室14hとを連通させる第2ピストン内部流路152も形成され、開状態となる。よって、洗浄水が、圧力室14gから入口部152aを介して第2ピストン内部流路152に流入し、第2ピストン内部流路152から出口部152bを通って背圧室14hに流出し、背圧室14hから流出管124bに流出される。第4の位置H4は、第3の位置H3よりも高い位置に位置し且つ第2の位置H2よりもわずかに低い位置に位置している。すなわち、クラッチ機構122の切断、及び、第1連通機構145(又は第2連通機構146)による圧力室14gと流出管124bとの連通は、ピストン114bの変位に応じて行われ、クラッチ機構122が切断される切断位置(第3の位置H3)より第2の位置H2側に第1連通機構145(又は第2連通機構146)により圧力室14gと流出管124bとが連通される連通位置である第4の位置H4がある。ピストン114bが第4の位置H4から第2の位置H2までの位置にある間は、入口部152aが圧力室14gに開口され、第2ピストン内部流路152が圧力室14gと背圧室14hとを連通させる流路を形成している。時刻T13以後も、圧力室14g内への洗浄水の給水は引き続き継続されており、ピストン114b及びロッド115は、クラッチ機構122の切断後も引き続き上昇する。クラッチ機構122は切断された状態となっている。弁構成部材114iが回動されながら上昇する。また、流入管24aから逆流した水による排水/真空破壊弁30からの貯水タンク10内への排水は行われていない状態(OFF状態)とされている。
【0150】
時刻T14において、図34に示すように、ピストン114bがさらに押し上げられて第2の位置H2に到達するとき、ピストン114bは、背圧室側突出部159がシリンダ14aの遠位側の端部14kから突出する突起部である突出部114mに当接した状態で停止される。このときピストン114bの第1係合部188がシリンダ14aの第2係合部192と係合した状態となっている。よって、弁構成部材114iの回動は、図24に示すような、連通弁116が開状態とされている所定の位置で停止される。ピストン114bが突出部114mに当接して停止した状態で、背圧室14hの空間が依然として形成されるようになっている。突出部14mは、ピストン14bと当接してピストン14bの上下方向の摺動を第2の位置H2までに規制する。突出部114mは、排水口の半径方向外側且つシリンダ内の領域に形成される。突出部114mは縦壁を形成している。突出部114mは背圧室14hに流入する洗浄水が突出部114mから排水口側に流れやすくなるような縦壁面も形成している。ピストン114bが第2の位置H2に到達した後もシリンダ14a内への洗浄水の供給が維持されている状態においては、第1連通機構145(又は第2連通機構146)が圧力室14gと流出管124bとを連通させている状態が維持される。
【0151】
第2の位置H2は、シリンダ14a内において、第1の位置H1から最も遠位側の位置、例えば最も高い位置となっている。このとき、圧力室14g内への洗浄水の給水は引き続き継続されており、ピストン114bは引き続き押し圧力を受けているが、背圧室側突出部159が突出部14mに当接しておりこれ以上押し上げられないようになって停止している。第1ピストン内部流路151が開状態となっているので、洗浄水が、圧力室14gから第1ピストン内部流路151を介して背圧室14hに流出し、背圧室14hから流出管124bに流出される。また、第2ピストン内部流路152が開状態となっているので、洗浄水が、圧力室14gから入口部152aを介して第2ピストン内部流路152に流入し、第2ピストン内部流路152から出口部152bを通って背圧室14hに流出し、背圧室14hから流出管124bに流出されている。よって、圧力室14g側の水圧と背圧室14h側の水圧とがほぼ等しくなっている。流出管124bに流出された洗浄水の一部は貯水タンク10内に流入するので、貯水タンク10内の水位が上昇する。クラッチ機構122は切断された状態となっている。また、流入管24aから逆流した水による排水/真空破壊弁30からの貯水タンク10内への排水は行われていない状態(OFF状態)とされている。
【0152】
時刻T15において、貯水タンク10内の洗浄水の水位が所定水位L1まで上昇すると、給水弁フロート34(図18参照)が上昇し、アーム部42を介してフロート側パイロット弁44が移動され、フロート側パイロット弁44が閉弁される。これにより、フロート側パイロット弁口(図示せず)及び主弁体38のパイロット弁口(図示せず)が閉弁されるので、圧力室36a内の圧力が上昇し、主弁体38が弁座40に着座する。この結果、給水制御装置18から水圧駆動部114のシリンダ14aへの給水が停止されてOFF状態となる。水圧駆動部114のピストン114bは、圧力室14gへの洗浄水の供給が停止されると共にピストン114bの押し上げ力が低減され、重力により徐々に押し下げられる。ピストン114bが第2方向D2に移動するとき、弁構成部材114iがピストン114bに対して相対的に移動された状態となることにより、連通弁116は開状態とされる。連通弁116を開状態とするように弁構成部材114iがピストン114bに対して相対的に移動される向きは、ピストン114bの移動の第2方向D2の向きとは異なる向きである。
【0153】
時刻T15においては、第1ピストン内部流路151及び第2ピストン内部流路152が圧力室14gと背圧室14hとを連通させる流路を形成している。しかしながら、ピストン114bが下降を開始するとすぐに、入口部152aが圧力室14g内から貫通孔14fの内壁に面する位置まで下降されるため、第2ピストン内部流路152が閉状態となる。しかしながら、弁構成部材114iは、ほぼ回動しない状態で、シリンダ14a内で第1の位置H1に向けて移動するので、第1ピストン内部流路151は依然として開状態を継続する。すなわち、連通弁116は、ピストン114bが第1の位置H1に向けて移動するとき、開状態を維持する。よって、ピストン114bがシリンダ14a内で第1の位置H1に向けてより移動しやすくできる。以後もピストン114b及びロッド115が下降を継続する。なお、クラッチ機構122は切断された状態となっている。
【0154】
時刻T15において、給水制御装置18からシリンダ14aへの給水が停止されるとき、流入管24aから逆流した水による排水/真空破壊弁30からの貯水タンク10内への排水が開始され、圧力室14g内の洗浄水が流入管24aを介して排水/真空破壊弁30から貯水タンク10内に排水される排水状態(ON状態)とされている。
【0155】
時刻T16においては、ロッド115の下端が弁軸12aの上端近傍まで下降する。ロッド115のロッド係合部115aが、第1斜面部112iと第2斜面部112jとの間を通過して下降する。このとき、ロッド係合部115aは、第1斜面部112i及び第2斜面部112jと平行な姿勢をとっている状態であり、ロッド係合部115aと弁軸係合部112kとの連結は解除されている状態である。第2ピストン内部流路152が背圧室14hとシリンダ14aの外部の貯水タンク10内とを接続する流路を形成するので、背圧室14h内の洗浄水を効率的に貯水タンク10内に排水して、ピストン114bを効率的に動作させることができる。
【0156】
時刻T17においては、さらにロッド115が下降して、ロッド係合部115aが弁軸12aの頂部に当接して停止される(図29参照)。このとき、ロッド係合部115aは、第1斜面部112i及び第2斜面部112jと平行な姿勢をとっている状態であり、ロッド係合部115aと弁軸係合部112kとの連結は解除されている状態である。このように、クラッチ機構122は待機状態の姿勢に戻る。このとき、図19に示すように、ピストン114bは、下降動作が終了し、シリンダ14a内において第1の位置H1に戻る。時刻T15乃至T17において、給水制御装置18からシリンダ14aへの給水は停止された状態のままとなっている。時刻T15乃至T17において、第1ピストン内部流路151は、開状態とされている。また、時刻T15乃至T17において、圧力室14g内の洗浄水は、流入管24aを介して排水/真空破壊弁30から貯水タンク10内に排水されると共に、シリンダ14aの貫通孔14fの内壁とロッド115の間の隙間14dから流出し、この水は、貯水タンク10に流入する。以上により、一回の便器洗浄が終了し、水洗便器装置101は、便器洗浄の待機状態に復帰する。
【0157】
本発明を実施するための形態は上記に限定されるものではなく、さらなる他の変形例を適用することができる。
例えば、本発明の第2実施形態の水圧駆動部114においてピストン114bにロッド115を接続するように構成してもよい。この変形例に関し、上述した第2実施形態と同一部分には同一符号を付し説明は省略する。
【0158】
図36は、本発明の第2実施形態の水圧駆動部の変形例を示す概略断面図である。図36は、連通弁116が閉状態であり、ピストン114bが上昇する途中の状態を示している。
ロッド115は、弁構成部材114iに接続されず、ピストン114bに接続されている。ロッド115は、ピストン114bに接続されているので、弁構成部材114iの回動に合わせてロッド115が回動されないように形成されている。なお、この変形例においても水圧駆動部114は、さらに、クラッチ機構22の切断後に、圧力室14gと流出管124bとを連通させる第1連通機構145を備えている。第1連通機構145は、弁構成部材側開口187(図示せず)がピストン開口157と同じ位置に位置するとき、圧力室14gと背圧室14hとを連通させる第1ピストン内部流路151を形成することにより、連通弁116を開状態とさせ、圧力室14gと流出管124bとを第1ピストン内部流路151及び背圧室14hを介して連通させる。
一方で、第1連通機構145は、弁構成部材側開口187がピストン開口157と異なる位置に位置するとき、圧力室14gと背圧室14hとを連通させる第1ピストン内部流路151は形成されていない状態(閉じられた状態)とさせ、連通弁116を閉状態とさせる。
【0159】
この変形例においては、ロッド115の内部と第1係合部188の内部とが連通した第2ピストン内部流路152が形成されない構造となっている。すなわち、水圧駆動部114は、クラッチ機構22の切断後に、圧力室14gと流出管124bとを連通させる第2連通機構146を省略した構造となっている。このように、水圧駆動部114は、第1連通機構145を備えた状態で、第2連通機構146を省略してもよい。
【0160】
この変形例においては、上述のようにロッド115が回動されない。従って、排水弁12とロッド115を連結するクラッチ機構22は、第1実施形態に示すような、ロッド115の中心軸線を中心とした回転動作を前提としないクラッチ機構により構成される。このようなクラッチ機構22は、ロッド115の下端と排水弁12の接続部に設けられ、このクラッチ機構22により、ロッド115と排水弁12が連結され、所定のタイミングでロッド115と排水弁12の連結が解除される。クラッチ機構22は、排水弁12が所定の位置まで吊り上げられると、規制部70により排水弁12の弁軸12aをロッド115から切り離すように構成されている。クラッチ機構22が切り離された状態では、排水弁12は、ピストン114b及びロッド115の動きに連動しなくなり、浮力に抵抗しながら重力により降下する。
【0161】
また、第2実施形態においては、弁構成部材114iは、ピストン114bに対して相対的に回転されるように構成されていたが、他の変形例として、弁構成部材114iは、ピストン114bに対して相対的に移動されるように構成されていればよい。例えば、弁構成部材114iは、ピストン114bに対して相対的に平行移動されるように構成されることができる。
よって、弁構成部材114iがピストン114bに対して相対的に平行移動されることにより、弁構成部材側開口187がピストン開口157と同じ位置に位置するとき、第1連通機構145は、圧力室14gと背圧室14hとを連通させる第1ピストン内部流路151を形成することにより、連通弁116を開状態とさせ、圧力室14gと流出管124bとを第1ピストン内部流路151及び背圧室14hを介して連通させる。
一方で、第1連通機構145は、弁構成部材114iは、ピストン114bに対して相対的に平行移動されることにより、弁構成部材側開口187がピストン開口157と異なる位置に位置するとき、圧力室14gと背圧室14hとを連通させる第1ピストン内部流路151は閉じられた状態であり形成されていない状態とさせ、連通弁116を閉状態とさせる。
【0162】
またこのような他の変形例において、弁構成部材114iは、ピストン114bに対して相対的に平行移動しつつピストン114bから離れる移動をするように構成されてもよい。弁構成部材114iがピストン114bに対して相対的に平行移動しつつピストン114bから離れる移動をすることにより、移動前又は移動後の各位置において、第1連通機構145は、連通弁116(すなわち、第1ピストン内部流路151)を開状態又は閉状態とするように切換構造を形成できる。このように、弁構成部材114iが、ピストン114bに対する回動に限られず、ピストン114bに対して相対的に移動されることにより、連通弁116が開状態又は閉状態とされることができる。
【0163】
上述した本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置4によれば、第1連通機構145及び/又は第2連通機構146が、クラッチ機構122の切断後に圧力室14gと流出管124bとを連通させる。これにより、追加の電磁弁を必要としない比較的簡易な構成により、圧力室14gの洗浄水を流出管124bに流出させ、圧力室14gの洗浄水の圧力を低下させやすくでき、ピストン114bが第2の位置H2から第1の位置H1側に戻りやすくできると共に、クラッチ機構122が切断されるまでの排水弁12の引き上げが、圧力室14gと流出管124bとの連通により妨げられることを防ぐことができ、クラッチ機構122の切断まで排水弁12の引き上げにより貯水タンク10の排水口から規定通り排水でき、また、クラッチ機構122の切断が所定のタイミングで規定通り行われるため貯水タンク10内の水位に応じて移動されるフロート機構26の動作も影響を受けにくく、規定通りの動作をしやすくできる。また、ピストン114bが第2の位置H2から第1の位置H1側に戻りやすくできるので、排水弁12の閉弁までの時間を短縮できると共に一回の洗浄動作の完了までの時間が比較的短くできる。
【0164】
さらに、本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置4によれば、連通弁116は、上記ピストン114bが上記第1の位置に向けて移動するとき、開状態を維持するので、ピストン114bが第1の位置に向けて移動するとき、洗浄水が圧力室14gからピストン内部流路を介して背圧室に流出でき、ピストン114bが第1の位置に向けて移動する移動速度を高めることができる。
【0165】
さらに、本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置4によれば、連通弁116は、ピストン114bが第1の位置H1に位置するとき、開状態となっているので、ピストン114bが第1の位置H1に位置するとき、洗浄水が背圧室14hから第1ピストン内部流路151を介して圧力室14gに流出でき、背圧室14hの洗浄水の残水をより確実に且つ比較的早期に排出できる。
【0166】
さらに、本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置4によれば、連通弁116は、ピストン114bが第1の位置H1に位置するときにシリンダ14aへの洗浄水の供給が開始される場合、開状態から閉状態に変化されるので、シリンダ14aへの洗浄水の供給が開始される場合に、ピストン114bが受ける洗浄水の供給開始の衝撃を抑制できると共に、供給開始以後においては、ピストン114bは圧力室14gに流入した洗浄水の圧力を有効に利用して第2の位置H2に移動されることができる。
【0167】
さらに、本発明の第2実施形態は、水洗便器装置101であって、水洗便器本体2と、圧力室14gの洗浄水の圧力を低下させやすくできる洗浄水タンク装置104と、を有することを特徴としている。
【0168】
次に、図37乃至図44を参照して、本発明の第3実施形態による水洗便器装置を説明する。
第3実施形態による水洗便器装置201は、上述した第1実施形態による水洗便器装置と構造がほぼ同じであるため、本発明の第3実施形態の第1実施形態とは異なる点を主に説明し、同様な部分については図面又は明細書中で同じ参照符号を使用して説明する又は同様な部分についての説明を省略する。
【0169】
図37に示すように、本発明の第3実施形態による水洗便器装置201は、水洗便器本体2の後部に載置された、本発明の第3実施形態による洗浄水タンク装置204を有している。本実施形態による洗浄水タンク装置204は、リモコン装置6又は人感センサ8からの指示信号に基づいて、内部に貯留されている洗浄水を水洗便器本体2に排出し、この洗浄水によりボウル部2aを洗浄するように構成されている。
【0170】
洗浄水タンク装置204は、排水弁12を引き上げる排水弁引き上げ部である排水弁水圧駆動部114を備える。また、洗浄水タンク装置204は、水道からの排水弁水圧駆動部114への給水を制御する給水制御装置18を内部に有する。
【0171】
洗浄水タンク装置204は、さらに、排水弁12と排水弁水圧駆動部114とを連結して排水弁水圧駆動部114の駆動力により排水弁12を引き上げると共に、所定のタイミングで切断され、排水弁12を降下させるクラッチ機構130を有している。クラッチ機構130は、排水弁水圧駆動部114から側方に延びる第2ロッド133の移動方向の前方に設けられ、第2ロッド133の作動部と、排水弁12につながるクラッチ機構130の受動部176とを連結・解除するように構成されている。クラッチ機構130は、排水弁12のケーシング113とは別体として形成され、ケーシング113の外方に離間して配置されている。
【0172】
クラッチ機構130は、第2ロッド133の遠位端に位置する作動部133aと、排水弁水圧駆動部114から横方向に延びる第2ロッド133の移動方向の延長線上に設けられる受動部176と、受動部176に接続された受動部用弾性部材178と、受動部176及び受動部用弾性部材178を支持する第1支持体180と、第1支持体180に接続された支持体用弾性部材182と、支持体用弾性部材182を支持する第2支持体184と、第2ロッド133の移動方向への受動部176の所定距離以上の移動を規制すると共に受動部176を受動部用弾性部材178側に移動させる規制部286と、を備えている。
【0173】
作動部133aは、受動部176の第1平面176aと当接するように形成される。第1平面176aは、第2ロッド133の移動方向に対して直交する方向に延びる。よって、第1平面176aは、受動部用弾性部材178が自然長の状態において、作動部133aの正面に位置する。よって、第2ロッド133が受動部176に向けて移動するときに、第2ロッド133の作動部133aが第1平面176aを押圧し、第2ロッド133及び受動部176が共に横方向に移動する。受動部176及び第1支持体180が移動することにより後述するように連結部材288により排水弁12が引き上げられる。支持体用弾性部材182の伸縮方向は横方向、例えば第2ロッド133の移動方向である。第1支持体180は、支持体用弾性部材182と接続され、支持体用弾性部材182の伸縮方向に移動するようになっている。
【0174】
受動部176は、第1平面176aと反対側に斜面176bを形成している。受動部が規制部286に向けて移動されるときに、この斜面176bが規制部286と接することにより、この斜面176bが受動部用弾性部材178側に押圧され、移動される。よって、第2ロッド133と受動部176との当接が外れ、クラッチ機構130の連結が解除される。受動部176は、クラッチ機構130の連結の切断をするように可動する。このとき、受動部用弾性部材178は自然長より縮められた状態となっている。受動部用弾性部材178の伸縮方向は縦方向、例えば第2ロッド133の移動方向と直交する方向である。受動部用弾性部材178はバネ等の弾性部材により形成される。
【0175】
第1支持体180及び受動部176は、クラッチ機構130の連結が解除されると、支持体用弾性部材182により元の自然長の位置に戻るように排水弁水圧駆動部114側(排水弁12側)に向けて移動する。よって、排水弁12は自由落下する状態となる。支持体用弾性部材182は、バネ等の弾性部材により形成される。
【0176】
第2支持体184は、貯水タンク10に固定されている。第2支持体184は、規制部286と接続されている。規制部286は、受動部176の斜面176bと当接するように形成される。規制部286は、受動部176の移動方向上に配置される。規制部286は、第1平面176aと第2ロッド133との当接を解除させるように受動部176を第2ロッド133からずれるように移動させるように形成される。
【0177】
第1支持体180と、排水弁12の弁軸12aの上端とは、連結部材288により接続されている。連結部材288はワイヤ、玉鎖等である。従って、第1支持体180が第2ロッド133により押し圧されて排水弁12から離れる場合に、連結部材288により物理的に排水弁12が引き上げられる。連結部材288は、可撓性を有している。連結部材288は、第1支持体180と排水弁12との間において湾曲された連結部材用導管191内に配置されている。連結部材用導管191は連結部材288を導くような管状の通路を形成している。
【0178】
排水弁12の上方には排水弁12を内部に収容するケーシング113が形成され、ケーシング113は下方側が開口された円筒形状に形成されている。ケーシング113は、排水弁水圧駆動部114やクラッチ機構130とは別体として形成され、排水弁水圧駆動部114とも離間して配置されている。ケーシング113は、貯水タンク10に固定されている。ケーシング113は、排水弁水圧駆動部114と独立して設けられた独立配置型のケーシングを構成している。
【0179】
排水弁12は、排水弁水圧駆動部114の駆動力により引き上げられ、所定の高さまで引き上げられる所定のタイミングでクラッチ機構130が切断され、自重により降下する。排水弁12が降下する際、排水弁12は排水弁フロート機構26によって所定時間保持され、排水弁12が排水口10aに着座するまでの時間が調整される。
【0180】
次に、図37乃至図44を参照して、排水弁水圧駆動部114について説明する。
図37等に示すように、排水弁水圧駆動部114は、水道から供給された洗浄水(水道水)の給水圧を利用して、排水弁12を駆動するように構成されている。
排水弁水圧駆動部114は、給水制御装置18から供給された水道水が洗浄水として供給されるシリンダ114aと、このシリンダ114a内に摺動可能に配置されたピストン128と、ピストン128からシリンダ114aに形成された第1貫通孔部114fを通して延びる第1ロッド132と、ピストン128からシリンダ114aに形成された第2貫通孔部114qを通して延びる第2ロッド133とを備える。排水弁水圧駆動部114は、樹脂により形成されている。
【0181】
さらに、シリンダ114aの内部には付勢部材であるスプリング14cが配置されており、ピストン128を第1の位置H11側に向けて付勢している。
【0182】
シリンダ114aは水平方向向きの横置き型のシリンダを形成している。シリンダ114aは内部にピストン128を横方向に摺動可能に受け入れている。シリンダ114aは、ほぼ円筒形の部材であり、その中心軸線が水平方向に向けて配置されると共に、内部にピストン128を摺動可能に受け入れている。図37に示すように、シリンダ114aの入口側部分には、駆動部給水路である流入管24aが接続されており、給水制御装置18から流出した水がシリンダ114a内に流入するようになっている。このため、シリンダ114a内のピストン128は、シリンダ114aに流入した水により、スプリング14cの付勢力に抗して押し上げられる。
【0183】
また、シリンダ114aから延びる流出管24bの先端部には流出管分岐部24cが設けられている。流出管分岐部24cにおいて分岐した流出管24bは、その一方が貯水タンク10内に水を流出させ、他方がオーバーフロー管10bの中に水を流出させるように構成されている。
【0184】
シリンダ114aは、さらに、シリンダ114aの第1の位置側の側壁に形成された第1貫通孔部114fを、備えている。第1貫通孔部114fが流出管24bと接続されている。第1貫通孔部114fは、シリンダ114aの側壁に形成された貫通孔の周囲部分からシリンダの内側に向けて立ち上がる堤部114jを備えている。堤部114jは、正面視で第1ロッド132の周りに環状に形成される。堤部114jがピストン128の底面と接した状態で第1ロッド132の連通流路入口部170aは、第1貫通孔部114fの内壁に面する位置に位置決めされる。
【0185】
本実施形態においては、ピストン128は、シリンダ114a内で横方向に移動するように構成されている。ピストン128は、洗浄水がシリンダ114a内に流入することにより第1の位置H11(図37参照)から第2の位置H12(図43参照)に移動される。ピストン128の第1の位置H11は入口部114l側に位置し、その第2の位置H12は、第1の位置H11よりクラッチ機構130側に位置している。第2の位置H12は、例えばシリンダ114aの入口部114l側に対して反対側の奥側の位置である。ピストン128は、シリンダ114a内をピストン128の手前側の圧力室114gと、ピストン128の背側の背圧室114hとに区画し、さらに、ピストン128は圧力室114gに流入した洗浄水の圧力により第1の位置H11(図37参照)から第2の位置H12(図43参照)まで移動される。なお、ピストン128がシリンダ114a内で水平方向に移動する形態に限られず、シリンダが斜め方向や上下方向等に配置され、ピストン128がシリンダ14a内で他の方向(例えば斜め方向や上下方向等)に移動する形態であってもよい。
【0186】
第1ロッド132は、ピストン128の入口側の面に接続された棒状の部材である。第1ロッド132は、ピストン128から入口部114l側の圧力室114gに向けて延び、入口部側の側壁の第1貫通孔部114fを通って外側方向に延びている。第1ロッド132は、第1貫通孔部114fから延びる流出管24b内まで延びている。第1ロッド132の近位端は、ピストン128に接続され、第1ロッド132の遠位端は、流出管24bの内部に位置するように構成されている。第1ロッド132は、ピストン128からクラッチ機構130に向けて延びるクラッチ機構用の作動ロッドである第2ロッド133、とは反対側に向けて水平方向に延びるロッドである。ピストン128からシリンダ114aに形成された貫通孔部を通して延びるロッドは、必ずしも第1ロッド132と第2ロッド133とに区別されるものに限られず、第1ロッド132と第2ロッド133とが一つのロッドとして形成されていてもよい。
【0187】
第2ロッド133は、ピストン128の背圧室114h側の面に接続された棒状の部材であり、ピストン128と排水弁12を連結するようにピストン128から水平方向に延びている。第2ロッド133は、ピストン128から奥側部114t側に向けて延び、奥側の側壁に形成された第2貫通孔部114qを通って、シリンダ114aの中から側方に突出するように延びている。第2ロッド133は、第1ロッド132と反対側に向けて延びている。第2ロッド133の近位端は、ピストン128に接続され、第2ロッド133の遠位端は、クラッチ機構130の受動部176に作用するように構成されている。
【0188】
図39に示すように、第1ロッド132の中心軸線G1及び第1貫通孔部114fの中心軸線G2は、シリンダ114aの中心軸線G3と同一軸線上に位置している。第1ロッド132の外径D1は、第1貫通孔部114fの内径D2よりもわずかに小さく、第1ロッド132が第1貫通孔部114f内に嵌合すると共に左右に摺動可能に形成されている。
【0189】
排水弁水圧駆動部114は、さらに、シリンダ114aに形成されると共に洗浄水が流入する入口部114lと、クラッチ機構130の切断後に、圧力室114gと流出管24bとを連通させる連通機構246を備えている。連通機構246は、例えば、第1ロッド132と、シリンダ114aとにより形成される。
【0190】
入口部114lは、流入管24aと接続される。入口部114lは、シリンダ114aの第1の位置より上流側の部分に接続されている。入口部114lは、ピストン128の上流側に連通する流路を形成する。給水制御装置18から流出した洗浄水は入口部114lからシリンダ114a内に流入するようになっている。シリンダ114aには水道水の給水圧を利用して洗浄水が流入される。このため、シリンダ114a内のピストン128は、シリンダ114aに流入した洗浄水により、スプリング14cの付勢力に抗して押し上げられる。
【0191】
第1ロッド132は、連通機構246の少なくとも一部を構成している。第1ロッド132が、ピストン128の位置に応じて圧力室114gと流出管24bとを連通させる連通機構246の連通流路270を形成するように構成されている。連通流路270は、主排水経路としての排水経路を形成している。主排水経路としての連通流路270は、流入管24aからシリンダ114aに流入した洗浄水が、流入した流量の半分以上の流量で流出できるような大きさの流路を形成している。連通流路270の流路断面積は、後述する補助排水流路の流路断面積よりも大きい。連通流路270の流路断面積は、例えば、入口部114lの流路断面積の20%以上、好ましくは30%以上、さらに好ましくは40%以上である。
【0192】
連通機構246は、ピストン128の位置に応じて圧力室114gと流出管24bとを連通させる連通流路270を形成することにより、圧力室114gと流出管24bとを連通流路270を介して連通させる。連通機構246の連通流路270は、入口部114lとは別に設けられる。連通流路270は、第1ロッド132の内部において延びる中空の内部通路により形成される。連通流路270は、ピストン128の連通位置(連通流路が形成されるピストン128の第4の位置H14)に対応するようにシリンダ114a内に現れる第1ロッド132の連通流路開始位置132dから第1ロッド132の遠位端132bまで延びる通路により形成される。連通流路270は、第1ロッド132の環状の構造体の内側において管状に形成され、中空の内部通路を形成している。連通流路270は、第1ロッド132のピストン128側に形成された連通流路入口部170aから、流出管24b側に開口するように形成された出口部170bまで延びている。連通流路入口部170aは、第1ロッド132の側壁に形成されると共に、第1ロッド132の外部から第1ロッド132の内部の連通流路270まで貫通する開口を形成している。出口部170bは、第1ロッド132の遠位側の端部において第1ロッド132の軸方向に開口する開口を形成している。
【0193】
連通流路入口部170aは、ピストン128の圧力室114g側且つピストン128から所定距離離れた連通流路開始位置132dに形成される。よって、ピストン128が第1の位置H11にあるとき、ピストン128から所定距離離れた連通流路入口部170aが第1貫通孔部114fの内壁に面する位置に位置する。よって、圧力室114gと流出管24bとを連通させる連通流路270は閉じられた状態となっている。第1ロッド132のピストン128との接続部から連通流路開始位置132dまでの距離、換言すると、第1の位置H11から第4の位置H14までの距離は、例えばシリンダ114a内でのピストン128の移動可能距離の3分の2以上の距離となっている。
【0194】
なお、図37図41図42に示すように、ピストン128が第1の位置H11から第2の位置H12に移動する途中においては、連通流路入口部170aがシリンダ114aの第1貫通孔部114fの内壁に面する位置にあるため、連通流路入口部170aと第1貫通孔部114fの内壁との間にわずかな隙間があるものの連通流路入口部170aはほぼ閉じられた状態とされ、圧力室114gと流出管24bとを連通させる連通流路270は形成されていない状態(閉じられた状態)となっている。図43に示すように、ピストン128が第2の位置H12にあるとき、ピストン128から所定距離離れた連通流路入口部170aがシリンダ114a内の圧力室114gに開口するように位置決めされる。よって、連通機構246は、ピストン128が第2の位置H12にあるとき、圧力室114gと流出管24bとを連通させる連通流路270を形成することにより、圧力室114gと流出管24bとを連通流路270を介して連通させる。一方で、図37に示すように、連通機構246は、ピストン128が第1の位置H11にあるとき、連通流路270は形成されていない状態(閉じられた状態)とさせている。また、図41に示すように、連通機構246は、ピストン128が第1の位置H11と第2の位置H12との間の位置にあるときには、連通流路270は形成されていない状態(閉じられた状態)とさせている。連通機構246は、連通させる状態と連通させない状態との切換弁のような切換機能を有する。また、連通機構246は、シリンダ114aからの洗浄水の主排水経路を形成する機能を有する。また、連通機構246は、貯水タンク10への洗浄水の主給水経路を形成する機能を有する。
【0195】
連通流路270は、主排水経路として機能するような大きさ及び形状に形成され、第1ロッド132と第1貫通孔部114fとの間に形成されるような隙間状の補助排水流路とは異なる。例えば、補助排水流路は、流入管24aからシリンダ114aに流入した洗浄水が、流入した流量の3分の1以下、より好ましくは4分の1以下の流量で流出できるような大きさの流路を形成している。また、例えば、補助排水流路の流路断面積は、入口部114lの流路断面積の3分の1以下、より好ましくは4分の1以下、さらに好ましくは15%以下である。
【0196】
コントローラ28は、CPU及びメモリ等を内蔵し、メモリ等に記録された所定の制御プログラムに基づいて後述する大洗浄モード及び小洗浄モード等を実行するように接続された機器を制御する。コントローラ28は、リモコン装置6、人感センサ8、電磁弁20等と電気的に接続されている。
【0197】
次に、図37乃至図44等を参照して、本発明の第3実施形態による洗浄水タンク装置204、及びそれを備えた水洗便器装置201の一連の洗浄動作を説明する。
第3実施形態における洗浄水タンク装置204等の洗浄動作は、第1実施形態における洗浄水タンク装置4等の洗浄動作と重複する部分があるため、重複する部分の説明は第1実施形態の説明を参照することとして省略する。
【0198】
まず、図37に示す便器洗浄の待機状態(時刻T20)においては、給水制御装置18から水圧駆動部14への給水は停止された状態(OFF状態)である。また、排水弁水圧駆動部114のピストン128はシリンダ114a内において第1の位置H11にある。ピストン128の第1の位置H11は移動可能範囲のうちの最も入口側の位置である。ピストン128はシリンダ114a内において停止されている。排水弁12は最も下降された状態で停止しており、第2ロッド133は、クラッチ機構130の受動部176と離間した位置に位置し、クラッチ機構130は連結が解除された状態となっている。ピストン128が第1の位置H11にあり、ピストン128の下面部128cが、シリンダ114aの堤部114jの頂部114kと当接している。連通流路入口部170aがシリンダ114aの第1貫通孔部114fの内壁に面する位置に位置するので、連通流路270の連通流路入口部170aが閉じられた状態(圧力室114gと流出管24bとの連通が形成されていない状態)とされている。
【0199】
次に、時刻T21において、使用者がリモコン装置6の洗浄ボタンを押すと、リモコン装置6は、便器洗浄の指示信号をコントローラ28に送信する。
【0200】
便器洗浄をすべき指示信号を受信すると、コントローラ28は、電磁弁20を作動させ、主弁体38を開弁させる。給水制御装置18が開弁されると、給水管32から流入した洗浄水が、給水制御装置18を介して排水弁水圧駆動部114に供給される。これにより、排水弁水圧駆動部114のピストン128が押し上げられ、第2ロッド133の作動部133aが受動部176に向けて進められる。連通流路270は、依然として連通流路入口部170aが第1貫通孔部114fの内側に位置するので、閉状態とされている。ピストン128の上昇時において、シリンダ114aの圧力室114g内に流入した洗浄水は、シール機能を有するパッキン14eによって圧力室114g内に主に留められ、ピストン128を上昇させる力を生じさせる。
【0201】
図41に示すように、ピストン128及び第2ロッド133が第2の位置H12に向けて移動するとき、作動部133aが受動部176の第1平面176aに当接し、受動部176及び第1支持体180が支持体用弾性部材182を収縮させるようにしながら横方向に押し進められる。これにより第1支持体180と接続された連結部材288が引き上げられ、連結部材288により排水弁12が引き上げられる。よって、排水弁12が引き上げられることにより、貯水タンク10内の洗浄水が排水口10aから水洗便器本体2へ排出される。排水弁12が引き上げられる際、排水弁12の弁軸12aに設けられた保持爪12cが排水弁フロート機構26の係合部26bを押し上げて回動させ、保持爪12cは係合部26bを越えて上昇する。
【0202】
次に、図42に示すように、時刻T22において、更に受動部176が規制部286に向けて進められ且つ押し当てられるとき、斜面176bが規制部286と接することにより、この斜面176bが受動部用弾性部材178側に押圧され、受動部176が受動部用弾性部材178側に移動される。よって、第2ロッド133と受動部176との当接が外れ、クラッチ機構130の連結が解除される。即ち、排水弁12が所定の高さまで引き上げられたときに、クラッチ機構130の受動部176が、規制部286に当たり、クラッチ機構130が切断される。クラッチ機構130が切断された後も、連通流路入口部170aが開口されるまでは、連通流路270は閉状態である。クラッチ機構130が切断されるピストン128の所定位置を第3の位置H13とする。第3の位置H13は、第2の位置H12よりも第1の位置側に近い位置となっている。
【0203】
時刻T22において、クラッチ機構130が切断されると、排水弁12は、自重により排水口10aに向けて降下し始める。降下してきた排水弁12の保持爪12cが、排水弁フロート機構26の係合部26bと係合し、排水弁12は係合部26bによって所定の高さに保持される。排水弁12が係合部26bによって保持されることにより、排水口10aは開弁状態に維持され、貯水タンク10内の洗浄水の水洗便器本体2への排出が維持される。このとき、フロート側パイロット弁44は依然として開状態であり、給水管32から流入した洗浄水が、給水制御装置18を介して排水弁水圧駆動部114に供給される。
【0204】
次に、時刻T23において、ピストン128がさらに押し進められて第1ロッド132がピストンと共に移動し、ピストン128が第4の位置H14に到達するとき、連通流路入口部170aが圧力室114g内に開口する位置に到達する。よって、圧力室114gと流出管24bとを連通させる連通流路270が形成され、開状態となる。よって、洗浄水が、圧力室114gから連通流路入口部170aを介して連通流路270に流入し、連通流路270から出口部170bを通って流出管24bに流出される。
【0205】
第4の位置H14は、第3の位置H13よりもピストンの奥側の位置に位置し且つ第2の位置H12よりもわずかに入口側(手前側)の位置に位置している。すなわち、クラッチ機構130の切断、及び、連通機構246による圧力室114gと流出管24bとの連通は、ピストン128の変位に応じて行われ、クラッチ機構130が切断される切断位置(第3の位置H13)より第2の位置H12側に連通機構246により圧力室114gと流出管24bとが連通される連通位置である第4の位置H14がある。ピストン128が第4の位置H14から第2の位置H12までの位置にある間は、連通流路入口部170aが圧力室114gに開口され、連通流路270が圧力室114gと流出管24bとを連通させる流路を形成している。
【0206】
時刻T23において、圧力室114g内への洗浄水の給水は引き続き継続されており、ピストン128及び第1ロッド132は、連通流路270の連通後も引き続き上昇する。クラッチ機構130は切断された状態となっている。
【0207】
図43に示すように、ピストン128及び第1ロッド132がさらに押し進められ、第2の位置H12まで到達される。このとき連通流路270は開状態とされている。これにより、矢印F21に示すように、洗浄水が連通流路270から流出管24bに排出され、洗浄水が主給水として流出管24bの下流端の吐出部から貯水タンク10内に吐出される。
【0208】
また、貯水タンク10内の水位が、所定水位WL1まで低下すると、排水弁フロート機構26のフロート部26aが下降し、これが係合部26bを移動させる。これにより、弁軸12aと係合部26bとの係合が解除され、弁軸12a及び排水弁12は再び降下し始める。排水弁12が排水口10aに着座し、排水口10aが閉塞される。給水弁フロート34は依然としてオフ状態であるため、給水制御装置18の開弁状態が維持され、貯水タンク10への給水が継続される。
【0209】
時刻T24においてピストン128が第2の位置H12に到達した後もシリンダ114a内への洗浄水の供給が維持されている状態においては、連通機構246が圧力室114gと流出管24bとを連通させている状態が維持される。連通流路270は開状態となっているので、洗浄水が、圧力室114gから連通流路入口部170aを介して流出管24bに流出されている。よって、圧力室114g側の水圧と流出管24b側の水圧とがほぼ等しくなっている。流出管24bに流出された洗浄水の一部は貯水タンク10内に流入するので、貯水タンク10内の水位が上昇する。クラッチ機構130は切断された状態となっている。
【0210】
時刻T25において、図44に示すように、貯水タンク10内の洗浄水の水位が所定水位L1まで上昇すると、給水弁フロート34(図37参照)が上昇し、フロート側パイロット弁44が閉弁される。これにより、給水制御装置18から排水弁水圧駆動部114への給水が停止されてOFF状態となる。圧力室114gへの洗浄水の供給が停止されると共に、ピストン128は、スプリング14cの付勢力により徐々に戻り方向に押し戻される。
【0211】
時刻T25の時点においては、図43に示すように、連通流路270は圧力室114gと流出管24bとを連通させる流路を形成している。しかしながら、図44に示すように、ピストン128が戻り移動を開始するとすぐに、連通流路入口部170aが圧力室114g内から第1貫通孔部114fの内壁に面する位置まで下降されるため、連通流路270が閉状態となる。以後もピストン128及び第1ロッド132が戻り移動を継続する。時刻T25において、給水制御装置18からシリンダ114aへの給水が停止されることにより、洗浄水が補助排水流路から貯水タンク10内に排水され、圧力室114g内の洗浄水が補助排水流路から貯水タンク10内に排水される排水状態とされる。よって、圧力室114g側の水圧を比較的速く下げられる。
【0212】
時刻T26においては、図37に示すように、ピストン128は、戻り動作が終了し、シリンダ114a内において第1の位置H11に戻る。クラッチ機構130は切断された状態となっている。連通流路270は閉状態となっている。時刻T25からT26までの間において、圧力室114g内の洗浄水は、補助排水流路から貯水タンク10内に排水されると共に、シリンダ114aの第1貫通孔部114fの内壁と第1ロッド132の間の隙間から流出し、この水は、貯水タンク10に流入する。以上により、一回の便器洗浄が終了し、水洗便器装置201は、便器洗浄の待機状態に復帰する。
【0213】
このように構成された本発明の第3実施形態によれば、第1ロッド132は、連通機構246の少なくとも一部を構成し、第1ロッド132が、ピストン128の位置に応じて圧力室114gと流出管24bとを連通させる連通流路270を形成するように構成されている。これにより、比較的簡易な構成により、圧力室114gの洗浄水を連通流路270を介して流出管24bに流出させ、圧力室114gの洗浄水の圧力を低下させやすくでき、ピストン128が第2の位置H12から第1の位置H11側により戻りやすくできると共に、クラッチ機構130が切断されるまでの排水弁12の引き上げを、圧力室114gと流出管24bとの連通により妨げることをより防ぐことができ、クラッチ機構130の切断まで排水弁12の引き上げにより貯水タンクの排水口から規定通り排水でき、また、クラッチ機構130の切断が所定のタイミングで規定通り行われるため貯水タンク10内の水位に応じて移動されるフロート機構26の動作も影響をより受けにくく、規定通りの動作をよりしやすくできる。
【0214】
このように構成された本発明の第3実施形態によれば、連通流路270は、ピストン128の連通位置に対応するようにシリンダ114a内に現れる第1ロッド132の連通流路開始位置132dから第1ロッド132の遠位端まで第1ロッド132の内部において延びる通路により形成されるので、連通流路270が第1ロッド132の連通流路開始位置132dから形成できると共に、連通流路270が第1ロッド132の外面部側に形成される場合と比べて、第1ロッド132の内部の連通流路270を通って流れる洗浄水の流量のばらつきを抑制しやすくできる。
【0215】
このように構成された本発明の第3実施形態によれば、第1ロッド132は、ピストン128からクラッチ機構130に向けて延びるクラッチ機構用の作動ロッドである第2ロッド133、とは反対側に向けて延びるロッドである。これにより、作動ロッドとは反対側に延びるロッドにより連通流路270が形成でき、クラッチ機構用の作動ロッドが連通流路270を形成することにより作動ロッドの強度が低下されることを抑制できる。
【0216】
次に、図45乃至図52を参照して、本発明の第4実施形態による水洗便器装置を説明する。
第4実施形態による水洗便器装置301は、第3実施形態の排水弁水圧駆動部114の第1ロッド132以外の構造については上述した第3実施形態による水洗便器装置と構造がほぼ同じであるため、本発明の第4実施形態の第3実施形態とは異なる点を主に説明し、同様な部分については図面又は明細書中で同じ参照符号を使用して説明する又は同様な部分についての説明を省略する。
【0217】
図45に示すように、本発明の第4実施形態による水洗便器装置301は、水洗便器本体2の後部に載置された、本発明の第4実施形態による洗浄水タンク装置304を有している。洗浄水タンク装置304は、排水弁12を引き上げる排水弁引き上げ部である排水弁水圧駆動部314を備える。
【0218】
次に、図45乃至図48を参照して、排水弁水圧駆動部314について説明する。
図45等に示すように、排水弁水圧駆動部314は、水道から供給された洗浄水(水道水)の給水圧を利用して、排水弁12を駆動するように構成されている。排水弁水圧駆動部314は、ピストン128からシリンダ114aに形成された第1貫通孔部114fを通して延びる第1ロッド332を備える。
【0219】
第1ロッド332は、ピストン128の入口側の面に接続された棒状の部材である。第1ロッド332は、ピストン128から入口部114l側の圧力室114gに向けて延び、入口部側の側壁の第1貫通孔部114fを通って外側方向に延びている。第1ロッド332は、第1貫通孔部114fから延びる流出管24b内まで延びている。第1ロッド332の近位端は、ピストン128に接続され、第1ロッド332の遠位端は、流出管24bの内部に位置するように構成されている。第1ロッド332は、ピストン128からクラッチ機構130に向けて延びるクラッチ機構130用の作動ロッドである第2ロッド133、とは反対側に向けて水平方向に延びるロッドである。堤部114jがピストン128の底面と接した状態で第1ロッド332の連通流路入口部170aは、第1貫通孔部114fの内壁に面する位置に位置決めされる。ピストン128からシリンダ114aに形成された貫通孔部を通して延びるロッドは、必ずしも第1ロッド332と第2ロッド133とに区別されるものに限られず、第1ロッド332と第2ロッド133とが一つのロッドとして形成されていてもよい。
【0220】
排水弁水圧駆動部314は、さらに、クラッチ機構130の切断後に、圧力室114gと流出管24bとを連通させる連通機構346を備えている。連通機構346は、例えば、第1ロッド332と、シリンダ114aとにより形成される。
【0221】
第1ロッド332は、連通機構346の少なくとも一部を構成している。第1ロッド332が、ピストン128の位置に応じて圧力室114gと流出管24bとを連通させる連通機構346の連通流路370を形成するように構成されている。連通流路370は、主排水経路としての排水経路を形成している。主排水経路としての連通流路370は、流入管24aからシリンダ114aに流入した洗浄水が、流入した流量の半分以上の流量で流出できるような大きさの流路を形成している。連通流路370の流路断面積は、後述する補助排水流路の流路断面積よりも大きい。連通流路370の流路断面積は、例えば、入口部114lの流路断面積の20%以上、好ましくは30%以上、さらに好ましくは40%以上である。
【0222】
連通機構346は、ピストン128の位置に応じて圧力室114gと流出管24bとを連通させる連通流路370を形成することにより、圧力室114gと流出管24bとを連通流路370を介して連通させる。連通機構346の連通流路370は、入口部114lとは別に設けられる。
【0223】
連通流路370は、第1ロッド332の外面部において内側に向かって切り欠くように形成された溝部が第1ロッド332の側部において連通流路開始位置332dから第1ロッド332の遠位端332bまで延びることにより形成される。連通流路開始位置332dは、ピストン側の近位端から離間した位置に位置する。連通流路開始位置332dは、ピストンの連通位置(第4の位置H14)に対応するようにシリンダ114a内に現れる第1ロッド332の連通流路開始位置である。連通流路370は、第1ロッド332の外周に沿って4つ並んで配置されている。連通流路370は、それぞれの断面が扇形の流路を形成している。連通流路370は、第1ロッド332の外面部側に形成されると共に第1ロッド332と第1貫通孔部114fとの間の流路を形成している。連通流路370の連通流路入口部370aは、第1ロッド332の移動に伴って連通流路370の溝部が第1貫通孔部114fよりもシリンダ内側まで位置しているときに、連通流路370の溝部が第1貫通孔部114fよりシリンダ内側において側方に開口することにより形成されている。図47に示すように、第1ロッド332の軸方向に沿って流出管24b側から見た正面視において連通流路370は、第1ロッド332の外周に沿った4か所に形成されている。連通流路370の各断面の扇形の中心角はそれぞれ約72度とされている。連通流路370は、連通流路入口部370aから、流出管24b側に開口するように形成された出口部370bまで延びている。出口部370bは、第1ロッド332の遠位側の端部において第1ロッド332の軸方向に開口する開口を形成している。第1ロッド332の近位端332cから連通流路開始位置332dまでの距離、換言すると、第1の位置H11から第4の位置H14までの距離は、例えばシリンダ114a内でのピストン128の移動可能距離の3分の2以上の距離となっている。
【0224】
ピストン128が第1の位置H11にあるとき、ピストン128から所定距離離れた連通流路入口部370aが第1貫通孔部114fの内壁に面するように位置決めされる。よって、圧力室114gと流出管24bとを連通させる連通流路370は閉じられた状態であり形成されていない状態となっている。
【0225】
なお、図45図49図50に示すように、ピストン128が第1の位置H11から第2の位置H12に移動する途中においては、連通流路入口部370aが第1貫通孔部114fの内壁に面する位置にあるため、連通流路入口部370aは閉状態とされ、連通流路370は形成されていない状態(閉じられた状態)となっている。
図51に示すように、ピストン128が第2の位置H12にあるときには、連通流路入口部370aがシリンダ114a内の圧力室114gに開口する。よって、連通機構346は、ピストン128が第2の位置H12にあるとき、連通流路370を形成することにより、圧力室114gと流出管24bとを連通流路370を介して連通させる。一方で、図45に示すように、連通機構346は、ピストン128が第1の位置H11にあるとき、連通流路370は形成されていない状態(閉状態)とさせている。また、図50に示すように、連通機構346は、ピストン128が第1の位置H11と第4の位置H14との間の位置にあるときには、連通流路370は形成されていない状態(閉状態)とされ、図51に示すように、連通機構346は、ピストン128が第4の位置H14と第2の位置H12との間の位置にあるときには、連通流路370が開状態とされている。連通機構346は、連通流路370の閉状態と開状態との切換弁のような切換機能を有する。
【0226】
連通流路370は、主排水経路として機能するような大きさ及び形状に形成され、第1ロッド332と第1貫通孔部114fとの間に形成されるような隙間状の補助排水流路とは異なる。例えば、補助排水流路は、流入管24aからシリンダ114aに流入した洗浄水が、流入した流量の3分の1以下、より好ましくは4分の1以下の流量で流出できるような大きさの流路を形成している。また、例えば、補助排水流路の流路断面積は、入口部114lの流路断面積の3分の1以下、より好ましくは4分の1以下、さらに好ましくは15%以下である。補助排水流路は、さらに例えば、第1ロッド332の近位端332cから遠位端332bまで第1ロッド332の側部を内側に向かって切り欠くように形成された溝部372aを備えていてもよい。溝部372aは、断面が扇形の流路を形成している。よって、ピストン128が第1の位置H11に位置するとき、補助排水流路の溝部372aは開状態とされている。ピストン128の位置によらず、補助排水流路は常に開状態とされている。しかしながら、補助排水流路は断面積が小さいため排水には時間を要し、排水流路としてはあくまでも補助的なものである。補助排水流路、例えば第1ロッド332と第1貫通孔部114fとの間の隙間状流路及び溝部372aの断面積の最小値は、連通流路370の断面積の最小値よりも小さい。隙間状流路及び溝部372の断面積の最小値は、連通流路370の断面積の最小値の50%以下である。図47に示すように、第1ロッド332の軸方向に沿って流出管24b側から見た正面視において溝部372aは、第1ロッド332の外周に沿った1か所に形成されている。溝部372aの断面の扇形の中心角は約72度とされている。
【0227】
次に、図45乃至図52等を参照して、本発明の第4実施形態による洗浄水タンク装置304、及びそれを備えた水洗便器装置301の一連の洗浄動作を説明する。第4実施形態における洗浄水タンク装置304等の洗浄動作は、第3実施形態における洗浄水タンク装置4等の洗浄動作と重複する部分が多くあるため、重複する部分の説明は第3実施形態の説明を参照することとして省略する。なお、本発明の第4実施形態による洗浄水タンク装置における、ピストンの変位及び位置等の時間変化を示すタイミングチャートは、図40に示す第3実施形態による洗浄水タンク装置における、ピストンの変位及び位置等の時間変化を示すタイミングチャートと同様であるので、図40を参照すると共に図示を省略する。また、図40に示す時刻T20乃至時刻T22、時刻T25乃至時刻T26については第3実施形態における洗浄水タンク装置4等の洗浄動作と同様であるので、図51乃至図53等において状態を図示すると共に説明を省略する。
【0228】
図40の時刻T23において、ピストン128がさらに押し進められて、第1ロッド332がピストンと共に移動し、ピストン128が第4の位置H14に到達するとき、連通流路370の溝部が第1貫通孔部114fよりもシリンダ内側に現れ、圧力室114g内に開口する位置に到達し、連通流路入口270aを形成する。よって、圧力室114gと流出管24bとを連通させる連通流路370が形成され、開状態となる。よって、洗浄水が、圧力室114gから連通流路入口部370aを介して連通流路370に流入し、連通流路370から出口部370bを通って流出管24bに流出される。
【0229】
第4の位置H14は、第3の位置H13よりもピストンの奥側の位置に位置し且つ第2の位置H12よりもわずかに入口側(手前側)の位置に位置している。すなわち、クラッチ機構130の切断、及び、連通機構346による圧力室114gと流出管24bとの連通は、ピストン128の変位に応じて行われ、クラッチ機構130が切断される切断位置(第3の位置H13)より第2の位置H12側に連通機構346により圧力室114gと流出管24bとが連通される連通位置である第4の位置H14がある。ピストン128が第4の位置H14から第2の位置H12までの位置にある間は、連通流路入口部370aが圧力室114gに開口され、連通流路370が圧力室114gと流出管24bとを連通させる流路を形成している。
【0230】
時刻T23において、圧力室114g内への洗浄水の給水は引き続き継続されており、ピストン128及び第1ロッド332は、連通流路370の連通後も引き続き第2の位置H12まで移動する。クラッチ機構130は切断された状態となっている。
【0231】
図51に示すように、ピストン128及び第1ロッド332がさらに押し進められ、第2の位置H12まで到達される。このとき連通流路370は開状態とされている。これにより、矢印F31に示すように、洗浄水が連通流路370から流出管24bに排出され、洗浄水が主給水として流出管24bの下流端の吐出部から貯水タンク10内に吐出される。
【0232】
時刻T24においてピストン128が第2の位置H12に到達した後もシリンダ114a内への洗浄水の供給が維持されている状態においては、連通機構346が圧力室114gと流出管24bとを連通させている状態が維持される。連通流路370は開状態となっているので、洗浄水が、圧力室114gから連通流路入口部370aを介して流出管24bに流出されている。よって、圧力室114g側の水圧と流出管24b側の水圧とがほぼ等しくなっている。流出管24bに流出された洗浄水の一部は貯水タンク10内に流入するので、貯水タンク10内の水位が上昇する。
【0233】
時刻T25において、貯水タンク10内の洗浄水の水位が所定水位L1まで上昇すると、給水弁フロート34が上昇し、フロート側パイロット弁44が閉弁される。これにより、給水制御装置18から排水弁水圧駆動部114への給水が停止されてOFF状態となる。
【0234】
時刻T25の時点においては、図51に示すように、連通流路370が圧力室114gと流出管24bとを連通させる流路を形成している。しかしながら、図52に示すように、ピストン128が戻り移動を開始するとすぐに、連通流路入口部370aが圧力室114g内から第1貫通孔部114fの内壁に面する位置まで移動されるため、連通流路370が閉状態となる。以後もピストン128及び第1ロッド332が戻り移動を継続する。時刻T25において、給水制御装置18からシリンダ114aへの給水が停止されることにより、洗浄水が補助排水流路からの貯水タンク10内に排水され、圧力室114g内の洗浄水が補助排水流路から貯水タンク10内に排水される排水状態とされる。よって、圧力室114g側の水圧を比較的速く下げられ、ピストン128が比較的早期に戻ることができる。
以後、時刻T26になると一連の洗浄動作を終了し、水洗便器装置301は、便器洗浄の待機状態に復帰する。
【0235】
このように構成された本発明の第4実施形態によれば、連通流路370は、第1ロッド332の外面部においてピストン128の連通位置に対応するようにシリンダ128内に現れる第1ロッド332の連通流路開始位置332dから第1ロッド332の遠位端332bまで形成された溝部372aにより形成されるので、連通流路370が第1ロッド332の連通流路開始位置332dから形成できると共に、比較的簡易な溝部により形成できる。
【符号の説明】
【0236】
1 水洗便器装置
4 洗浄水タンク装置
10 貯水タンク
10a 排水口
12 排水弁
14 水圧駆動部
14a シリンダ
14b ピストン
14g 圧力室
14h 背圧室
22 クラッチ機構
36a 圧力室
46 連通機構
52 ピストン内部流路
101 水洗便器装置
104 洗浄水タンク装置
114 水圧駆動部
114b ピストン
116 連通弁
122 クラッチ機構
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