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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】方法、情報処理装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20241106BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20241106BHJP
   G08G 1/123 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
G08G1/00 J
G01C21/34
G08G1/123 A
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021087987
(22)【出願日】2021-05-25
(65)【公開番号】P2022181128
(43)【公開日】2022-12-07
【審査請求日】2024-02-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100187078
【弁理士】
【氏名又は名称】甲原 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】林 雅敏
(72)【発明者】
【氏名】柏井 忠大
(72)【発明者】
【氏名】松谷 慎太郎
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-134663(JP,A)
【文献】特開2011-095850(JP,A)
【文献】特開2019-008431(JP,A)
【文献】特開2013-019683(JP,A)
【文献】特開2020-119131(JP,A)
【文献】特開2016-095178(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0101974(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
G08G 1/00 - 99/00
G09B 23/00 - 29/14
G06Q 10/00 - 10/30
G06Q 30/00 - 30/08
G06Q 50/00 - 50/20
G06Q 50/26 - 99/00
G16Z 99/00
G08B 23/00 - 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
災害支援を行う車両と通信する情報処理装置が実行する方法であって、
前記車両が災害支援場所へ移動する経路を決定すること、及び
前記経路の通行実績を示す情報を取得するステップと、現在から過去の対象期間における前記経路の通行実績が無い場合、前記経路の少なくとも一部の空撮画像に基づいて前記経路の通行可否を判定するステップと、を有する処理を実行すること、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記対象期間における前記経路の通行実績がある場合、又は前記経路が通行可能と判定された場合、前記経路に沿って前記災害支援場所へ移動する指示を前記車両へ送信することを更に含む、方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法であって、
前記経路が通行不可と判定された場合、前記車両又は前記経路を変更して前記処理を再実行することを更に含む、方法。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一項に記載の方法であって、
前記処理は、前記対象期間における前記経路の通行実績が無い場合、無人航空機に撮像要求を送信するステップと、前記撮像要求に基づいて前記経路の前記少なくとも一部を空撮した前記無人航空機から前記空撮画像を取得するステップと、を更に有する、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
前記撮像要求は、前記経路の前記少なくとも一部を示す情報を含む、方法。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一項に記載の方法であって、
前記情報処理装置は、前記空撮画像に基づいて、前記経路の前記少なくとも一部で障害物又は道路の破損を検出すると、前記経路が通行不可と判定する、方法。
【請求項7】
請求項1から6の何れか一項に記載の方法であって、
前記情報処理装置は、前記空撮画像と、前記車両の車種又は寸法とに基づいて、前記経路の通行可否を判定する、方法。
【請求項8】
災害支援を行う車両と通信する通信部と、制御部と、を備える情報処理装置であって、
前記制御部は、
前記車両が災害支援場所へ移動する経路を決定し、
前記経路の通行実績を示す情報を取得するステップと、現在から過去の対象期間における前記経路の通行実績が無い場合、前記経路の少なくとも一部の空撮画像に基づいて前記経路の通行可否を判定するステップと、を有する処理を実行する、
情報処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の情報処理装置であって、
前記制御部は、前記対象期間における前記経路の通行実績がある場合、又は前記経路が通行可能と判定された場合、前記経路に沿って前記災害支援場所へ移動する指示を、前記通信部を介して前記車両へ送信することを更に含む、情報処理装置。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の情報処理装置であって、
前記制御部は、前記経路が通行不可と判定された場合、前記車両又は前記経路を変更して前記処理を再実行する、情報処理装置。
【請求項11】
請求項8から10の何れか一項に記載の情報処理装置であって、
前記処理は、前記対象期間における前記経路の通行実績が無い場合、無人航空機に撮像要求を送信するステップと、前記撮像要求に基づいて前記経路の前記少なくとも一部を空撮した前記無人航空機から前記空撮画像を取得するステップと、を更に有する、情報処理装置。
【請求項12】
請求項11に記載の情報処理装置であって、
前記撮像要求は、前記経路の前記少なくとも一部を示す情報を含む、情報処理装置。
【請求項13】
請求項8から12の何れか一項に記載の情報処理装置であって、
前記制御部は、前記空撮画像に基づいて、前記経路の前記少なくとも一部で障害物又は道路の破損を検出すると、前記経路が通行不可と判定する、情報処理装置。
【請求項14】
請求項8から13の何れか一項に記載の情報処理装置であって、
前記制御部は、前記空撮画像と、前記車両の車種又は寸法とに基づいて、前記経路の通行可否を判定する、情報処理装置。
【請求項15】
災害支援を行う車両と通信するコンピュータに、
前記車両が災害支援場所へ移動する経路を決定すること、及び
前記経路の通行実績を示す情報を取得するステップと、現在から過去の対象期間における前記経路の通行実績が無い場合、前記経路の少なくとも一部の空撮画像に基づいて前記経路の通行可否を判定するステップと、を有する処理を実行すること、
を実行させる、プログラム。
【請求項16】
請求項15に記載のプログラムであって、
前記コンピュータに、前記対象期間における前記経路の通行実績がある場合、又は前記経路が通行可能と判定された場合、前記経路に沿って前記災害支援場所へ移動する指示を前記車両へ送信することを更に実行させる、プログラム。
【請求項17】
請求項15又は16に記載のプログラムであって、
前記コンピュータに、前記経路が通行不可と判定された場合、前記車両又は前記経路を変更して前記処理を再実行することを更に実行させる、プログラム。
【請求項18】
請求項15から17の何れか一項に記載のプログラムであって、
前記処理は、前記対象期間における前記経路の通行実績が無い場合、無人航空機に撮像要求を送信するステップと、前記撮像要求に基づいて前記経路の前記少なくとも一部を空撮した前記無人航空機から前記空撮画像を取得するステップと、を更に有する、プログラム。
【請求項19】
請求項18に記載のプログラムであって、
前記撮像要求は、前記経路の前記少なくとも一部を示す情報を含む、プログラム。
【請求項20】
請求項15から19の何れか一項に記載のプログラムであって、
前記コンピュータは、前記空撮画像に基づいて、前記経路の前記少なくとも一部で障害物又は道路の破損を検出すると、前記経路が通行不可と判定する、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、方法、情報処理装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両を用いて災害支援を行う技術が知られている。例えば特許文献1には、契約車両の4輪車と2輪車それぞれのプローブデータに基づいて、4輪車と2輪車の両方とも通れない道路と、2輪車のみ通れる道路と、4輪車及び2輪車の両方が通れる道路と、に区別した道路交通情報を作成する、災害時の車両の迂回路支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-209809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両を用いて災害支援を行う技術には改善の余地があった。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、車両を用いて災害支援を行う技術を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る方法は、
災害支援を行う車両と通信する情報処理装置が実行する方法であって、
前記車両が災害支援場所へ移動する経路を決定すること、及び
前記経路の通行実績を示す情報を取得するステップと、現在から過去の対象期間における前記経路の通行実績が無い場合、前記経路の少なくとも一部の空撮画像に基づいて前記経路の通行可否を判定するステップと、を有する処理を実行すること、を含む。
【0007】
本開示の一実施形態に係る情報処理装置は、
災害支援を行う車両と通信する通信部と、制御部と、を備える情報処理装置であって、
前記制御部は、
前記車両が災害支援場所へ移動する経路を決定し、
前記経路の通行実績を示す情報を取得するステップと、現在から過去の対象期間における前記経路の通行実績が無い場合、前記経路の少なくとも一部の空撮画像に基づいて前記経路の通行可否を判定するステップと、を有する処理を実行する。
【0008】
本開示の一実施形態に係るプログラムは、
災害支援を行う車両と通信するコンピュータに、
前記車両が災害支援場所へ移動する経路を決定すること、及び
前記経路の通行実績を示す情報を取得するステップと、現在から過去の対象期間における前記経路の通行実績が無い場合、前記経路の少なくとも一部の空撮画像に基づいて前記経路の通行可否を判定するステップと、を有する処理を実行すること、を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一実施形態によれば、車両を用いて災害支援を行う技術が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態に係るシステムの概略構成を示すブロック図である。
図2】車両の概略構成を示すブロック図である。
図3】無人航空機の概略構成を示すブロック図である。
図4】情報処理装置の概略構成を示すブロック図である。
図5】情報処理装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について説明する。
【0012】
(実施形態の概要)
図1を参照して、本開示の実施形態に係るシステム1の概要について説明する。システム1は、車両10と、無人航空機20と、情報処理装置30と、を備える。車両10及び情報処理装置30は、例えばインターネット及び移動体通信網等を含むネットワーク40と通信可能に接続される。
【0013】
車両10は、例えば自動車であるが、これに限られず任意の車両であってもよい。自動車は、例えばガソリン自動車、電気自動車(EV;Electric Vehicle)、ハイブリッド自動車(HV;Hybrid Vehicle)、プラグインハイブリッド自動車(PHV;Plug-in Hybrid Vehicle)、又は燃料電池自動車(FCV;Fuel Cell Vehicle)等であるが、これらに限られない。車両10は、運転者によって直接又は遠隔から運転可能であってもよい。車両10は、例えばSAE(Society of Automotive Engineers)において定義されるレベル1乃至5等の自動運転が可能であってもよい。システム1が備える車両10の数は、任意に定められてもよい。
【0014】
本実施形態において車両10は、災害支援を行うために用いられる。例えば車両10は、家庭用電力を供給する機能(以下、「電力供給機能」ともいう。)を有してもよい。例えば、車両10がオルタネータ、バッテリ、又は燃料電池等の電源からの電力を家庭用電力に変換する変換器と、専用又は汎用の電源プラグを挿入可能なコンセントと、を備えることにより、家庭用電力を供給する電力供給機能が実現され得る。家庭用電力は、例えば日本では、電圧が100Vであり、周波数が50Hz又は60Hzの交流電力である。しかしながら、家庭用電力の電圧及び周波数はこれに限られない。或いは、家庭用電力は直流電力であってもよい。車両10は、災害時に災害支援を必要とする場所(例えば、避難施設等。以下、「災害支援場所」ともいう。)に移動することによって、災害支援場所に家庭用電力を供給する災害支援を実施可能である。しかしながら、車両10を用いて行われる災害支援は、家庭用電力の供給に限られない。車両10は、電力供給機能を有していなくてもよい。例えば、車両10は、支援物資を輸送する災害支援、又は車両10を被災者の避難場所として活用する災害支援等、任意の災害支援を行うために用いられてもよい。車両10は、例えば災害支援を行うために用いられる自動車として予め情報処理装置30に登録されてもよい。
【0015】
無人航空機20は、人が搭乗しない任意の航空機である。例えばドローン又はマルチコプタ等の航空機が、無人航空機20として採用可能である。無人航空機20は、自律的に又は情報処理装置30と協働することによって、飛行可能である。例えば、無人航空機20は、情報処理装置30から指示された飛行経路に沿って飛行可能であってもよく、情報処理装置30から指示された場所まで自律的に飛行可能であってもよい。また無人航空機20は、例えばカメラを用いて障害物を検出すると、自律的に当該障害物を迂回可能であってもよい。本実施形態において無人航空機20は、後述するように情報処理装置30からの要求に応じて、車両10が災害支援場所へ移動する経路の少なくとも一部の空撮画像を生成する。
【0016】
情報処理装置30は、例えばPC(Personal Computer)、スマートフォン、タブレット端末、又はサーバ等のコンピュータである。情報処理装置30は、ネットワーク40を介して車両10及び無人航空機20と通信可能である。
【0017】
まず、本実施形態の概要について説明し、詳細については後述する。情報処理装置30は、災害支援を行う車両10が災害支援場所へ移動する経路を決定する。情報処理装置30は、当該経路の通行実績を示す情報を取得する。そして情報処理装置30は、現在から過去の対象期間における当該経路の通行実績が無い場合、当該経路の少なくとも一部の空撮画像に基づいて当該経路の通行可否を判定する。
【0018】
災害時においては、例えば経路の通行実績がある場合であっても、最後に通行実績があった時刻から一定の時間が経過する間に、落石又は土砂崩れ等により道路上に障害物が発生し、又は道路に亀裂等の破損が発生する可能性がある。すなわち、災害時においては、経路の通行実績がある場合であっても、当該経路が後発的に通行不可となる場合がある。
【0019】
ここで、例えば経路の通行実績がある場合に当該経路が通行可能と判定する手法では、当該経路が後発的に通行不可となったことを必ずしも検出できない。このため、災害支援車両が災害支援場所に向かう経路上で進行できなくなり、災害支援が滞る等の不都合が発生し得る。これに対して本実施形態によれば、対象期間における経路の通行実績が無い場合、空撮画像に基づいて当該経路の通行可否が判定される。したがって、例えば通行実績のみに基づいて経路の通行可否を判定する手法と比較して、経路の通行可否の判定精度が向上する点で、車両を用いて災害支援を行う技術が改善される。
【0020】
次に、システム1の各構成について詳細に説明する。
【0021】
(車両の構成)
図2に示すように、車両10は、通信部11と、測位部12と、記憶部13と、制御部14と、を備える。
【0022】
通信部11は、ネットワーク40に接続する1つ以上の通信インタフェースを含む。当該通信インタフェースは、例えば4G(4th Generation)若しくは5G(5th Generation)等の移動体通信規格に対応するが、これらに限られない。本実施形態において、車両10は、通信部11及びネットワーク40を介して情報処理装置30と通信する。
【0023】
測位部12は、車両10の位置情報を取得する1つ以上の装置を含む。具体的には、測位部12は、例えばGPSに対応する受信機を含むが、これに限られず、任意の衛星測位システムに対応する受信機を含んでもよい。
【0024】
記憶部13は、1つ以上のメモリを含む。メモリは、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等であるが、これらに限られない。記憶部13に含まれる各メモリは、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部13は、車両10の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部13は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及び組み込みソフトウェア等を記憶してもよい。記憶部13に記憶された情報は、例えば通信部11を介してネットワーク40から取得される情報で更新可能であってもよい。
【0025】
制御部14は、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のプログラマブル回路、1つ以上の専用回路、又はこれらの組合せを含む。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)若しくはGPU(Graphics Processing Unit)等の汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサであるがこれらに限られない。プログラマブル回路は、例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)であるがこれに限られない。専用回路は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)であるがこれに限られない。また制御部14は、車両10に搭載されるECU(Electronic Control Unit)を含んでもよい。制御部14は、車両10全体の動作を制御する。
【0026】
(無人航空機の構成)
図3に示すように、無人航空機20は、通信部21と、測位部22と、撮像部23と、記憶部24と、制御部25と、を備える。
【0027】
通信部21は、ネットワーク40に接続する1つ以上の通信インタフェースを含む。当該通信インタフェースは、例えば移動体通信規格に対応するが、これらに限られず、任意の通信規格に対応してもよい。本実施形態において、無人航空機20は、通信部21を介して情報処理装置30と通信する。
【0028】
測位部22は、衛星測位システムに対応する受信機を含む。当該受信機は、例えばGPSに対応するが、これに限られず、任意の衛星測位システムに対応してもよい。また測位部22は、例えばジャイロセンサ、地磁気センサ、及び気圧センサを含む。本実施形態において無人航空機20は、測位部22を用いて自機の位置情報、自機が向いている方角、及び自機の傾きを取得可能である。測位部22によって取得される無人航空機20の位置情報は、緯度及び経度を含む二次元座標データを含んでもよく、緯度及び経度に加えて高度を含む三次元座標データを含んでもよい。
【0029】
撮像部23は、1つ以上のカメラを含む。撮像部23に含まれるカメラは、無人航空機20の飛行中に地上の空撮画像を生成可能である。また、撮像部23に含まれるカメラは、無人航空機20の周囲に存在する障害物を撮像可能であってもよい。障害物の画像は、例えば無人航空機20が当該障害物を自律的に迂回して飛行するために用いられ得る。
【0030】
記憶部24は、1つ以上のメモリを含む。記憶部24に含まれる各メモリは、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部24は、無人航空機20の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部24は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及び組み込みソフトウェア等を記憶してもよい。記憶部24に記憶された情報は、例えば通信部21を介してネットワーク40から取得される情報で更新可能であってもよい。
【0031】
制御部25は、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のプログラマブル回路、1つ以上の専用回路、又はこれらの組合せを含む。制御部25は、無人航空機20全体の動作を制御する。
【0032】
(情報処理装置の構成)
図4に示すように、情報処理装置30は、通信部31と、記憶部32と、制御部33と、を備える。
【0033】
通信部31は、ネットワーク40に接続する1つ以上の通信インタフェースを含む。当該通信インタフェースは、例えば移動体通信規格、有線LAN(Local Area Network)規格、又は無線LAN規格に対応するが、これらに限られず、任意の通信規格に対応してもよい。本実施形態において、情報処理装置30は、通信部31及びネットワーク40を介して車両10と通信する。なお、情報処理装置30は、通信部31及びネットワーク40を介して、本実施形態に係る車両10以外の自動車と通信してもよい。
【0034】
記憶部32は、1つ以上のメモリを含む。記憶部32に含まれる各メモリは、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部32は、情報処理装置30の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部32は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、データベース、及び地図情報等を記憶してもよい。記憶部32に記憶された情報は、例えば通信部31を介してネットワーク40から取得される情報で更新可能であってもよい。
【0035】
制御部33は、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のプログラマブル回路、1つ以上の専用回路、又はこれらの組合せを含む。制御部33は、情報処理装置30全体の動作を制御する。
【0036】
(情報処理装置の動作フロー)
図5を参照して、本実施形態に係る情報処理装置30の動作について説明する。ここでは、システム1が複数の車両10を備えるものとして説明する。
【0037】
ステップS100:情報処理装置30の制御部33は、災害情報を取得する。
【0038】
具体的には、制御部33は、通信部31及びネットワーク40を介して、外部サーバから災害情報を取得する。災害情報は、例えば災害支援場所を示す情報を含むがこれに限られず、災害に関する任意の情報を含んでもよい。
【0039】
ステップS101:制御部33は、1つの車両10と、当該車両10が災害支援場所へ移動する経路と、を決定する。
【0040】
具体的には、制御部33は、システム1が備える複数の車両10の中から1つの車両10を決定する。制御部33は、例えば車両10の現在の位置情報又は車両10の保管場所を出発地とし、災害支援情報に示される災害支援場所を目的地として経路探索を行い、車両10が災害支援場所へ移動する経路を決定する。決定される経路は、例えば地図情報における1つ以上の道路リンクを含んで構成されてもよい。
【0041】
ステップS102:制御部33は、当該経路の通行実績を示す情報を取得する。
【0042】
当該経路の通行実績を示す情報の取得には、任意の手法が採用可能である。例えば、制御部33は、通信部31及びネットワーク40を介して通信可能な各自動車の位置情報に基づいて、地図情報における道路リンク毎に、道路リンクに相当する道路上を走行している自動車を検出すると、検出した日時を当該道路リンクの通行実績として記憶部32に蓄積してもよい。制御部33は、ステップS101で経路が決定されると、当該経路を構成する各道路リンクの通行実績を記憶部32から取得してもよい。或いは、制御部33は、ステップS101で決定された経路を構成する各道路リンクの通行実績を、通信部31及びネットワーク40を介して外部サーバから直接取得してもよい。
【0043】
ステップS103:制御部33は、現在から過去の対象期間における当該経路の通行実績があるか否かを判定する。対象期間における当該経路の通行実績があると判定された場合(ステップS103-Yes)、処理はステップS104に進む。一方、対象期間における当該経路の通行実績が無いと判定された場合(ステップS103-No)、処理はステップS105に進む。
【0044】
具体的には、制御部33は、対象期間において、当該経路を構成する全ての道路リンクの通行実績がある場合、対象期間における当該経路の通行実績があると判定する。一方、制御部33は、対象期間において、当該経路を構成する1つ以上の道路リンクのうち少なくとも1つの道路リンクの通行実績が無い場合、対象期間における当該経路の通行実績が無いと判定する。なお、対象期間の長さは例えば1時間であるが、これに限られず任意に定められてもよい。
【0045】
ステップS104:ステップS103で対象期間における当該経路の通行実績があると判定された場合(ステップS103-Yes)、又は後述するステップS108で当該経路が通行可能と判定された場合(ステップS108-Yes)、制御部33は、当該経路に沿って災害支援場所へ移動する指示(以下、「災害支援指示」ともいう。)を、通信部31及びネットワーク40を介して車両10へ送信する。
【0046】
災害支援指示は、当該経路を示す情報を含む。車両10の制御部14は、当該災害支援指示に示される当該経路に沿って、車両10の運転者に対する経路案内を行い、又は自動運転により車両10の移動を開始する。
【0047】
ステップS105:ステップS103で対象期間における当該経路の通行実績が無いと判定された場合(ステップS103-No)、制御部33は、無人航空機20に撮像要求を送信する。
【0048】
撮像要求は、当該経路の少なくとも一部を示す情報を含む。当該情報は、当該経路の当該少なくとも一部の位置情報を含んでもよく、当該経路の当該少なくとも一部を無人航空機20が空撮可能となる位置への飛行経路情報を含んでもよい。例えば、制御部33は、当該経路を構成する1つ以上の道路リンクのうち、ステップS103で通行実績が無いと判定された各道路リンクを特定する。制御部33は、当該経路のうち特定された各道路リンクに対応する部分を示す情報を含む撮像要求を、通信部31及びネットワーク40を介して無人航空機20へ送信する。無人航空機20の制御部25は、当該撮像要求に示される当該経路の当該少なくとも一部を空撮可能となる位置に向かって、無人航空機20の飛行を開始する。そして制御部25は、当該経路の当該少なくとも一部の空撮画像を生成する。
【0049】
ステップS106:制御部33は、ステップS105の撮像要求に基づいて当該経路の当該少なくとも一部を空撮した無人航空機20から、通信部31及びネットワーク40を介して当該経路の当該少なくとも一部の空撮画像を取得する。
【0050】
ステップS107:制御部33は、取得された空撮画像に基づいて当該経路の通行可否を判定する。
【0051】
例えば、制御部33は、空撮画像に基づいて、当該経路の当該少なくとも一部で障害物又は道路の破損を検出すると、当該経路が通行不可と判定してもよい。障害物又は道路の破損の検出には、任意の画像認識手法が採用可能である。一方、制御部33は、障害物及び道路の破損が検出されない場合、当該経路が通行可能と判定してもよい。
【0052】
ステップS108:当該経路が通行可能と判定された場合(ステップS108-Yes)、処理はステップS104に進む。一方、当該経路が通行不可と判定された場合(ステップS108-No)、処理はステップS109に進む。
【0053】
ステップS109:ステップS108で当該経路が通行不可と判定された場合(ステップS108-No)、制御部33は、車両10又は経路を変更する。その後、処理はステップS102に戻る。
【0054】
具体的には、制御部33は、ステップS101で決定された車両10を、システム1が備える複数の車両10の中で変更してもよい。或いは制御部33は、ステップS101で決定された経路を、例えばステップS107で障害物又は道路の破損が検出された道路リンクを含まないように変更してもよい。その後、ステップS102~S108の処理が再実行される。
【0055】
以上述べたように、本実施形態に係る情報処理装置30は、災害支援を行う車両10が災害支援場所へ移動する経路を決定する。情報処理装置30は、当該経路の通行実績を示す情報を取得する。そして情報処理装置30は、現在から過去の対象期間における当該経路の通行実績が無い場合、当該経路の少なくとも一部の空撮画像に基づいて当該経路の通行可否を判定する。
【0056】
かかる構成によれば、対象期間における経路の通行実績が無い場合、空撮画像に基づいて当該経路の通行可否が判定される。したがって、例えば通行実績のみに基づいて経路の通行可否を判定する手法と比較して、経路の通行可否の判定精度が向上する点で、車両を用いて災害支援を行う技術が改善される。
【0057】
本開示を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び改変を行ってもよいことに注意されたい。したがって、これらの変形及び改変は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部又は各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0058】
例えば、上述した実施形態において、情報処理装置30の構成及び動作を、互いに通信可能な複数のコンピュータに分散させた実施形態も可能である。
【0059】
また、上述した実施形態において、情報処理装置30が、空撮画像に基づいて、車両10が災害支援場所へ移動する経路の少なくとも一部で障害物又は道路の破損を検出すると、当該経路が通行不可と判定する例について説明した。ここで、情報処理装置30は、空撮画像と、車両10の車種又は寸法と、に基づいて、当該経路の通行可否を判定してもよい。具体的には、情報処理装置30の制御部33は、当該経路の当該少なくとも一部に相当する道路を空撮画像上で特定する。制御部33は、特定された道路の通行可能な幅を検出する。例えば、道路上に障害物が存在する場合、「通行可能な幅」は、道路の幅方向における長さから、障害物の幅方向における長さを差し引いた長さであってもよい。そして制御部33は、検出された通行可能な幅が、車両10の車種又は寸法から特定される車両10の幅よりも短い場合、当該経路が通行不可と判定してもよい。
【0060】
また、例えば汎用のコンピュータを、上述した実施形態に係る情報処理装置30として機能させる実施形態も可能である。具体的には、上述した実施形態に係る情報処理装置30の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを、汎用のコンピュータのメモリに格納し、プロセッサによって当該プログラムを読み出して実行させる。したがって、本開示は、プロセッサが実行可能なプログラム、又は当該プログラムを記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体としても実現可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 システム
10 車両
11 電力供給部
12 通信部
13 測位部
14 記憶部
15 制御部
20 情報処理装置
21 通信部
22 記憶部
23 制御部
30 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5