(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】移動体システム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/43 20240101AFI20241106BHJP
【FI】
G05D1/43
(21)【出願番号】P 2021094206
(22)【出願日】2021-06-04
【審査請求日】2024-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】西村 隆
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-079744(JP,A)
【文献】特開2020-067702(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0318306(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第112519921(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00 - G05D 1/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに配達する商品を積載する台車ユニットと、
自律走行機能を有し、前記台車ユニットを牽引する走行ユニットと、
前記走行ユニットと通信可能なサーバ装置と、を備え、
前記サーバ装置は、
ユーザのリクエストを受け付けるリクエスト受付部と、
リクエストを実行する前記走行ユニットおよび前記台車ユニットを選択し、選択した前記台車ユニットをリクエストに応じた提供日時および配達場所へ前記走行ユニットに牽引させる指示情報を生成し、選択した前記走行ユニットに送信する指示部と、を有し、
前記走行ユニットは、
指示情報にしたがって、ユーザに商品を配達する配達場所に前記台車ユニットを移動させ、
前記台車ユニットは、ユーザに配達した商品を利用するスペースを作る設備を有し、
前記指示部は、前記走行ユニットの位置情報と前記走行ユニットのスケジュール情報とをもとにリクエストを実行する前記走行ユニットを選択し、前記台車ユニットに搭載された装置の種類と前記台車ユニットの位置情報と前記台車ユニットのスケジュール情報とをもとにリクエストを実行する前記台車ユニットを選択することを特徴とする移動体
システム。
【請求項2】
前記走行ユニットまたは前記台車ユニットは、ユーザに商品を受け渡す前にユーザ端末装置からユーザIDを受け取って、前記サーバ装置にユーザIDを送信してユーザ認証を実行させることを特徴とする請求項1に記載の移動体システム。
【請求項3】
前記走行ユニットは、カメラを有し、
前記指示部は、配達場所に到着した前記走行ユニットから周辺の撮像画像を受け取って解析して前記走行ユニットを駐車させる駐車場所を算出し、算出した駐車場所を前記走行ユニットに指示することを特徴とする請求項1または2に記載の移動体システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律走行可能な移動体を用いる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、前輪を有する先頭部と、後輪を有する末尾部と、先頭部と末尾部との間に連結されることで先頭部と末尾部とを一体化させる積載部とを備える車両が開示されている。この積載部は、車両から分離可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザにとって配達された商品を受け取るとともに、その商品をその場で利用できる設備があれば便利である。
【0005】
本発明の目的は、商品を配達する移動体においてユーザの利便性を向上する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の移動体システムは、ユーザに配達する商品を積載する台車ユニットと、自律走行機能を有し、台車ユニットを牽引する走行ユニットと、台車ユニットおよび走行ユニットと通信可能なサーバ装置と、を備える。
サーバ装置は、ユーザのリクエストを受け付けるリクエスト受付部と、リクエストを実行する走行ユニットおよび台車ユニットを選択し、選択した台車ユニットをリクエストに応じた提供日時および配達場所へ走行ユニットに牽引させる指示情報を生成し、選択した走行ユニットに送信する指示部と、を有する。走行ユニットは、指示情報にしたがって、ユーザに商品を配達する配達場所に台車ユニットを移動させ、台車ユニットは、ユーザに配達した商品を利用するスペースを作る設備を有する。指示部は、走行ユニットの位置情報と走行ユニットのスケジュール情報とをもとにリクエストを実行する走行ユニットを選択し、台車ユニットに搭載された装置の種類と台車ユニットの位置情報と台車ユニットのスケジュール情報とをもとにリクエストを実行する台車ユニットを選択する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、商品を配達する移動体においてユーザの利便性を向上する技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】移動体システムの構成の概要を示す図である。
【
図6】食事場所を提供する設備を搭載した台車ユニットを示す図である。
【
図7】室内空間を提供する設備を搭載した台車ユニットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、実施例の移動体10の斜視図を示す。
図2は、分離状態の移動体10の斜視図を示す。移動体10は、走行ユニット12と、物を載せることが可能な台車ユニット14とを備える。走行ユニット12は自律走行機能を有し、一方、台車ユニット14は自律走行機能を有しない。移動体10の全長は2m(メートル)から3m程度、全幅は50cmから1.8m程度、全高は1.5mから2.5m程度であってよい。
【0010】
図2に示すように、走行ユニット12は、台車ユニット14から連結分離可能である。走行ユニット12と台車ユニット14とが連結されることで、移動体10が構成される。なお、走行ユニット12または台車ユニット14の単体を、移動体と呼んでもよい。
【0011】
走行ユニット12と台車ユニット14とが連結分離可能に構成されることで、走行ユニット12は、台車ユニット14を目標位置まで牽引すると、台車ユニット14を切り離して、別のタスクを実行できる。たとえば別のタスクが、別の台車ユニット14を別の目標位置まで牽引するタスクである場合、当該走行ユニット12は、当該別の台車ユニット14が配置されている位置まで移動して、当該別の台車ユニット14と連結し、別の目標位置まで牽引する。
【0012】
切り離された台車ユニット14は、その場所でサービスを提供する。実施例において、台車ユニット14は、たとえば商品を販売する店舗サービスを提供できる。台車ユニット14が提供する各種サービスについては後述する。台車ユニット14は、サービスの提供が終了すると、走行ユニット12に連結されて、走行ユニット12により特定の場所まで牽引されてよい。移動体システム1において、移動体10を構成する走行ユニット12と台車ユニット14の組み合わせは固定されておらず、走行ユニット12と台車ユニット14の組み合わせは、サーバ装置16により適宜決定されてよい。
【0013】
台車ユニット14は、収容空間を形成する本体部40を備える。収容空間は、前輪42および後輪44が設けられる基部40aと、基部40aに対向して設けられる天井部40bと、前壁部40cおよび後壁部40dによって画成され、車幅方向に貫通した空間として構成される。なお、一対の前輪42および後輪44の回転軸方向を左右方向または車幅方向といい、左右方向に直交し、台車ユニット14が走行する方向を前後方向という。
【0014】
前壁部40cおよび後壁部40dには、互いに対向する複数の突条部40eが形成され、棚板などを取付可能になっている。たとえば複数の突条部40eに棚板を配置し、棚板に商品を載せることで、台車ユニット14を、店舗サービスを提供する移動店舗として機能させることができる。走行ユニット12および台車ユニット14の各構成について、さらに
図3を参照しつつ説明する。
【0015】
図3は、移動体10の構成を説明するための図である。走行ユニット12は、車輪20、本体部22、検出センサ24、連結装置26、処理装置30、通信部32、駆動装置34および電源装置36を有する。台車ユニット14は、本体部40、前輪42、後輪44、脚部46、被連結部48、電源装置50、処理装置52、通信部54および搭載装置56を有する。
【0016】
車輪20は、左右に一対設けられ、本体部22に回転可能に支持される。一対の車輪20には、駆動装置34がそれぞれ設けられ、駆動装置34が車輪20を回転させる。駆動装置34はモータを含み、処理装置30が生成する駆動指示に応じて、車輪20を回転させる。一対の車輪20が互いに独立に回転することで、一対の車輪20の回転数の差により、走行ユニット12が左右に曲がることができる。なお本体部22には、一対の車輪20に加えて、1つ以上の補助車輪(不図示)が設けられてよい。
【0017】
本体部22は、車体フレームと内部構造を覆うカバーとにより構成される。検出センサ24は、本体部22に設けられ、進行方向の物体を検出する。検出センサ24は、カメラ、ミリ波レーダ、赤外線レーザ、音波センサなどであってよく、またはそれらの組合せであってよい。検出センサ24は、本体部22の前部のみならず、本体部22の様々な位置に設けられて、後方または横方向の物体を検出してよい。検出センサ24は、検出結果を処理装置30に供給する。
【0018】
連結装置26は、本体部22の後部に設けられ、
図2に示す台車ユニット14の被連結部48に連結される。処理装置30は、走行ユニット12と台車ユニット14とが接近した状態で、一対の車輪20の駆動を制御して連結装置26と被連結部48とを接続し、ロック機構を作動させることで、連結装置26を被連結部48に連結させる機能を有する。連結装置26が被連結部48に連結すると、連結完了を示す信号を処理装置30に送出する。連結装置26と被連結部48とを連結するロック機構は、たとえば鉤状の引っ掛け部を備えて機械的に連結する構造を有してよいが、電磁的に連結する構造を有してもよい。処理装置30は、ロック機構を解除することで、連結装置26と被連結部48とを分離する。
【0019】
電源装置36は、充電可能な電池であり、走行ユニット12に搭載した各装置に電力を供給する。電源装置36は、台車ユニット14の電源装置50と電力の送受が可能であってよい。処理装置30は、電源装置36の残存エネルギー量を監視する。
【0020】
処理装置30は、詳細は後述するが、走行ユニット12の自律走行を制御する。処理装置30は、検出センサ24の検出結果および走行ユニット12の位置情報をもとに、駆動装置34を駆動させ、走行ユニット12の自律走行を実現する。通信部32は、ネットワークに接続して台車ユニット14および/または不図示のサーバ装置と通信する。なお走行ユニット12と台車ユニット14との距離が近い場合、走行ユニット12の通信部32と台車ユニット14の通信部54は、ネットワーク2を介さずに直接通信してよい。
【0021】
台車ユニット14の本体部40は、
図2に示すように矩形に形成された枠体を有し、物体を載せる収容空間を構成する。台車ユニット14が走行ユニット12から切り離された状態では、台車ユニット14の脚部46が地面に接地して、移動不能とされ、台車ユニット14の位置が固定される。なお本体部40の収容空間の両側面には、空間を仕切るための開閉ドアが設けられてよい。
【0022】
本体部40の内側の収容空間には、サービスの種類に応じた様々な装置が収容可能である。たとえば本体部40に冷蔵庫を収容することで、移動体10は、動く冷蔵庫として機能できる。また本体部40に商品を搭載した商品棚を収容することで、移動体10は、動く店舗として機能できる。また本体部40の両側面の開口部にディスプレイ装置を設けることで、移動体10は、動くディスプレイとして機能できる。サービスの種類に応じた装置は、搭載装置56を含むが、電子機器に限られず、単にテーブルや椅子であってもよい。
【0023】
一対の前輪42および一対の後輪44が本体部40に回転可能に支持される。台車ユニット14は、前輪42および後輪44を駆動する駆動装置を有しない。被連結部48は、本体部40の前部に設けられ、走行ユニット12の連結装置26に連結される。被連結部48は、連結装置26に位置を知らせる機能を有し、例えば、赤外線等の位置信号を出力してよい。連結装置26と被連結部48とが連結すると、被連結部48は、連結完了を示す信号を処理装置52に送出してよい。
【0024】
一対の脚部46は、本体部40の前部に設けられ、地面に対して進退可能に構成される。脚部46は、地面に対して進行して接地すると、台車ユニット14の移動を制限するストッパとして機能する。そのため台車ユニット14が走行ユニット12から切り離された状態では、脚部46は地面に対して進行して接地し、ストッパとなる。一方、台車ユニット14が走行ユニット12に連結されると、脚部46は後退して、接地していない状態となる。たとえば処理装置52が、被連結部48から連結完了を示す信号を取得すると、脚部46を後退させて、地面から離してよい。
【0025】
電源装置50は、水素、ガソリン、電気などの少なくともいずれかをエネルギー源とし、台車ユニット14に搭載した搭載装置56等に電力を供給する。
図2には、本体部40前方の3つのスロットに挿入された3つの水素タンクが示されている。処理装置52は、電源装置50の残存エネルギー量を監視する。
【0026】
処理装置52は、脚部46や搭載装置56を制御する。通信部54は、ネットワークに接続して走行ユニット12や不図示のサーバ装置と通信する。搭載装置56は、本体部40の収容空間内に設けられ、例えば、冷蔵庫、ディスプレイ、スピーカ、エアコンディショナー装置などである。本体部40の収容空間には、サービスの種類に応じて様々な装置を搭載可能である。
【0027】
図4は、移動体システム1の構成の概要を示す図である。移動体システム1は、走行ユニット12、台車ユニット14、サーバ装置16およびユーザ端末装置18を備える。走行ユニット12および台車ユニット14のそれぞれは無線通信機能を有し、基地局である無線局4経由で、インターネットなどのネットワーク2を介してサーバ装置16に通信可能に接続する。走行ユニット12と台車ユニット14は、ネットワーク2を介して通信できるが、連結している場合にネットワーク2を介さずに直接通信できてもよい。ユーザ端末装置18はネットワーク2を介してサーバ装置16に通信可能に接続する。
【0028】
ユーザ端末装置18は、ユーザによって、商品の購入および台車ユニット14の利用を予約するために用いられる。ユーザ端末装置18は、台車ユニット14を予約するリクエスト情報をサーバ装置16に送信する。ユーザ端末装置18は無線通信機能を有してもよい。
【0029】
サーバ装置16は、複数の走行ユニット12および台車ユニット14の位置および状態を管理する。サーバ装置16は、複数の走行ユニット12および台車ユニット14の位置および状態にもとづいて、各走行ユニット12の動作を決定する。サーバ装置16は、ユーザ端末装置18からリクエストを受け付けて、リクエストに応じて配車するよう走行ユニット12および台車ユニット14に指示する。走行ユニット12は、サーバ装置16から送信される動作指示にもとづいて移動し、必要であれば台車ユニット14を牽引する。
【0030】
図5は、移動体システム1の機能構成を示す図である。走行ユニット12の検出センサ24は、走行ユニット12の周辺に位置するオブジェクトの検出結果を処理装置30に送出する。連結装置26は、走行ユニット12の移動によって被連結部48に向かって接近することで被連結部48にロックする。連結装置26は、処理装置30の指示に応じて被連結部48とのロックを解除する。連結装置26は、ロック状態またはロック解除状態であるか示す情報を処理装置30に送出する。
【0031】
位置情報取得部28は、衛星測位システムを用いて走行ユニット12の現在位置情報を取得し、取得した位置情報を処理装置30に供給する。位置情報取得部28は、GPS(Global Positioning System)受信機であってよい。処理装置30は、走行ユニット12の現在位置情報を、走行ユニット12の識別情報(走行ユニットID)とともに、通信部32からサーバ装置16に送信する。現在位置情報の送信は、周期的に行われることが好ましい。
【0032】
駆動装置34は、処理装置30の指示に応じて駆動する。駆動装置34は、出力を複数段階に設定でき、車輪20の時間当たりの回転数を設定できる。駆動装置34は、走行ユニット12を走行させる走行機構として機能する。電源装置36は、残存エネルギー量を処理装置30に送出する。残存エネルギー量は、絶対値であってよく、満充電に対する現在の充電量の割合であってよい。
【0033】
処理装置30は、サーバ装置16から送信された目的地(行き先)を示す情報を受け取って、目的地情報と、予め保持されるマップ情報と、位置情報取得部28から取得した現在位置情報とをもとに目標走行ルートを導出する。処理装置30は、マップ情報と、現在位置情報とを用いて、目標走行ルートを走行するように駆動装置34を制御し、走行ユニット12を目的地まで走行させる。
【0034】
目的地までの走行中、処理装置30は、検出センサ24による検出結果をもとに、走行ユニット12の周囲に存在するオブジェクトに関する情報を取得する。対象となるオブジェクトは、構造物や側溝などの走行に障害となる静的なオブジェクトと、人や他の移動体10などの移動可能なオブジェクト(移動オブジェクト)を含む。処理装置30は、周囲のオブジェクトとの衝突を回避するように進行方向および走行速度を決定し、駆動装置34を駆動する。
【0035】
台車ユニット14の電源装置50は、残存エネルギー量を処理装置52に送出する。位置情報取得部58は、衛星測位システムを用いて台車ユニット14の位置情報を取得し、取得した位置情報を処理装置52に供給する。位置情報取得部58は、GPS受信機であってよい。通信部54は、台車ユニット14の位置情報および搭載設備などを含む台車情報を、台車ユニット14の識別情報(台車ユニットID)を付してサーバ装置16に送信する。
【0036】
搭載装置56は、ユーザの操作または処理装置52の指示に応じて作動する。搭載装置56は、提供可能なサービスの種類によって異なる。台車ユニット14で提供するサービスの種類には、食事場所を提供するサービス、室内空間を提供するサービス、キッチンを提供するサービス、物品を販売スペースを提供するサービス、広告を表示するサービスなどがある。食事場所を提供するサービスでは、台車ユニット14にテーブルおよび椅子が搭載される。室内空間を提供するサービスでは、台車ユニット14に室内空間を形成するコンテナが搭載される。コンテナ内にはデスク、ソファ、ディスプレイなど、サービスに応じた設備が搭載される。物品を販売スペースを提供するサービスでは、台車ユニット14に冷蔵庫や棚が搭載される。広告を表示するサービスでは、台車ユニット14の開口の両面にディスプレイ装置が搭載される。
【0037】
ユーザは、台車ユニット14に搭載されたキッチンやテーブルを利用して、食事ができる。ユーザは、台車ユニット14に搭載されたコンテナ室内に入って作業ができる。ユーザは、台車ユニット14に搭載された冷蔵庫に生鮮食品等を並べて販売することができる。このように、サービスの種類に応じた設備を台車ユニット14に搭載することで台車ユニット14が複数種類のサービスを提供できる。台車ユニット14の搭載装置56は、台車ユニット14毎に異ならせてよく、ユーザのリクエスト毎に搭載されてよい。
【0038】
処理装置52は、電源装置50の残存エネルギー量、台車ユニット14の位置情報を取得して、通信部54を介してサーバ装置16に送信させる。処理装置52は、電源装置50のエネルギー量が所定値以下になったことをサーバ装置16に送信してもよい。処理装置52は、搭載装置56を制御してよく、例えばユーザの利用開始時に搭載装置56であるエアコンディショナー装置を作動させてよい。
【0039】
図6は、食事場所を提供する設備を搭載した台車ユニット14を示す図である。本体部40には、本体部40の開口を開閉可能な開閉部材70が設けられる。開閉部材70は、本体部40の天井部40bに回転可能に設けられ、
図6に示す開状態では屋根として機能する。
【0040】
本体部40の内側には、テーブル72および椅子74が設けられる。テーブル72は水平方向にスライド可能に設けられ、本体部40の外に張り出した状態で使用可能である。ユーザは、椅子74に座って、テーブル72に弁当などを置いて食事ができる。
図6には記載していないが、本体部40内に商品を保持するケース、給湯器、食器などの設備がさらに設けられてよい。椅子74は、本体部40内部に置かれる態様を示したが、本体部40の外に置かれてもよい。テーブル72はスライドで展開される態様を示したが、折りたたんだ状態から展開させる態様であってもよい。いずれにしても、テーブル72は、台車ユニット14の移動時に本体部40に収容された状態をとり、サービス提供時に本体部40の外部に展開された状態をとる。開閉部材70やテーブル72の展開動作は電動制御で実行されてもよいが、ユーザによって手動で実行されてもよい。
【0041】
図7は、室内空間を提供する設備を搭載した台車ユニット14を示す図である。台車ユニット14にコンテナ76が搭載されている。コンテナ76は閉鎖した室内空間を形成する。コンテナ76は、幅方向に伸縮可能に設けられ、
図7では本体部40よりも幅方向に突出しているが、本体部40の幅に収まる状態にすることも可能である。コンテナ76には、出入り口にドア78が設けられており、ドア78を開けばユーザがコンテナ76内に出入り可能となる。ユーザは、コンテナ76内で休憩したり、衣服を着替えたりできる。
【0042】
図8は、サーバ装置16の機能構成を示す図である。
図8において、さまざまな処理を行う機能ブロックとして記載される各要素は、ハードウェア的には、回路ブロック、メモリ、その他のLSIで構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。サーバ装置16は、通信部60、走行ユニット情報取得部62、台車ユニット情報取得部64および指示部66を備える。
【0043】
通信部60は、走行ユニット12、台車ユニット14およびユーザ端末装置18と通信する。リクエスト受付部61は、ユーザ端末装置18から移動体10の利用を要求するリクエスト情報をユーザIDとともに取得し、ユーザのリクエストを受け付ける。リクエスト情報は、リクエスト情報には、購入する商品、台車ユニット14の利用の有無、サービスの提供日時(配達日時)、サービスの提供場所(配達場所)を示す情報が含まれる。ユーザは、ユーザ端末装置18のアプリケーションプログラムに、購入する商品、台車ユニット14の利用の有無、サービスの提供日時、サービスの提供場所を入力して、リクエスト情報としてサーバ装置16に送信する。サービスの提供場所は、予め定められており、ユーザがいずれの提供場所で利用を希望するか選択する。
【0044】
走行ユニット情報取得部62は、走行ユニット12から走行ユニット情報および走行ユニットIDを取得する。走行ユニット情報は、走行ユニット12の位置情報、電源装置36の残存エネルギー量および走行ユニットIDを含む。また、走行ユニット情報取得部62は、指示部66から走行ユニット12の行動予定を示すスケジュール情報を取得し、走行ユニット情報に含めて保持する。
【0045】
台車ユニット情報取得部64は、台車ユニット14から台車ユニット情報および台車ユニットIDを取得する。台車ユニット情報は、台車ユニット14の位置情報、電源装置50の残存エネルギー量、搭載装置56の種類および台車ユニットIDを含む。また、台車ユニット情報取得部64は、指示部66から台車ユニット14の行動予定を示すスケジュール情報を取得し、台車ユニット情報に含めて保持する。
【0046】
指示部66は、ユーザのリクエストに応じた配車を指示する。リクエスト受付部61がユーザのリクエストを受け付けると、指示部66は、リクエストを実行する走行ユニット12および台車ユニット14を選択する。指示部66は、走行ユニット12の位置情報と走行ユニット12のスケジュール情報とをもとにリクエストを実行する走行ユニット12を選択する。指示部66は、台車ユニット14の搭載装置56の種類と台車ユニット14の位置情報と台車ユニット14のスケジュール情報とをもとにリクエストを実行する台車ユニット14を選択する。指示部66は、選択した台車ユニット14をリクエストに応じた提供日時および提供場所へ走行ユニット12に牽引させる指示情報を生成し、選択した走行ユニット12に送信する。サービスの提供日時および提供場所は、商品の配達日時および配達場所でもある。指示部66は、リクエストに応じたサービスを提供する指示情報を生成し、選択した台車ユニット14に送信する。
【0047】
走行ユニット12は、指示情報にしたがって、ユーザが購入した商品を積載した台車ユニット14に連結し、その台車ユニット14を配達日時および配達場所に移動させる。
【0048】
台車ユニット14は、ユーザに配達する商品を積載するとともに、ユーザに配達する商品を配達場所で利用するスペースを作る設備を搭載する。これにより、ユーザは、移動体10から受け取った商品をその場にある台車ユニット14で利用できる。
【0049】
例えば、配達する商品は、飲食物であり、配達場所で利用するスペースを作る設備は、
図6に示すテーブル72や椅子74である。移動体10は、商品として飲食物をユーザに配達するとともに、台車ユニット14は、
図6に示す食事場所を提供する設備を配達場所で展開して、ユーザに利用させる。これにより、ユーザは飲食物の配達場所で座って食事ができる。
【0050】
また、配達する商品は、衣服であり、配達場所で利用するスペースを作る設備は、
図7に示すコンテナ76であってよい。移動体10は、衣服をユーザに配達するとともに、台車ユニット14は、配達された衣服をコンテナ76内で着るスペースを提供できる。コンテナ76内にはミラーが設けられている。移動体10は、ユーザが脱いだ服を預かってもよく、脱いだ服をユーザの自宅に届けてもよい。
【0051】
また、コンテナ76内で利用する商品は、化粧品や映像記録媒体などであってよい。化粧品を配達する場合、コンテナ76に化粧台が設けられる。映像記録媒体を配達する場合、コンテナ76にディスプレイが設けられる。このように、台車ユニット14は、台車ユニット14内の空間を提供できる。
【0052】
サーバ装置16の指示部66は配達場所に到着した走行ユニット12から周辺の撮像画像を解析して、最適な駐車場所を算出して、算出した駐車場所で走行ユニット12に駐車するよう指示してよい。
【0053】
移動体システム1では、ユーザに商品を受け渡す前にユーザ認証を実行してよい。例えば、走行ユニット12または台車ユニット14は、ユーザ端末装置18からユーザIDを近距離無線通信で受け取って、サーバ装置16にユーザIDを送信してユーザ認証を実行してよい。また、走行ユニット12が搭載したカメラでユーザを撮像してサーバ装置16に送信し、サーバ装置16でユーザの撮像画像と認証用データとを照合してユーザ認証を実行してよい。このように、移動体10が、ユーザデータを取得してサーバ装置16に送信し、サーバ装置16が、ユーザ認証を実行する。
【0054】
なお実施例はあくまでも例示であり、各構成要素の組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0055】
1 移動体システム、 10 移動体、 12 走行ユニット、 14 台車ユニット、 16 サーバ装置、 18 ユーザ端末装置、 20 車輪、 22 本体部、 24 検出センサ、 26 連結装置、 28 位置情報取得部、 30 処理装置、 32 通信部、 34 駆動装置、 36 電源装置、 40 本体部、 42 前輪、 44 後輪、 46 脚部、 48 被連結部、 50 電源装置、 52 処理装置、 54 通信部、 56 搭載装置、 58 位置情報取得部、 60 通信部、 61 リクエスト受付部、 62 走行ユニット情報取得部、 64 台車ユニット情報取得部、 66 指示部。