(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】移動体システム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/43 20240101AFI20241106BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20241106BHJP
【FI】
G05D1/43
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2021094207
(22)【出願日】2021-06-04
【審査請求日】2024-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】西村 隆
(72)【発明者】
【氏名】戸松 伸之
(72)【発明者】
【氏名】片岡 孝生
(72)【発明者】
【氏名】栗栖 怜史
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 紀尚
【審査官】牧 初
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-79460(JP,A)
【文献】特開2005-326202(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0160264(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第115146145(CN,A)
【文献】特開2019-117618(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00- 1/87
G08G 1/00-99/00
G06Q 50/00-50/20
G06Q 50/26-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが移動体の利用を申し込むリクエスト情報であって、ユーザの希望エリア情報を含むリクエスト情報を取得するリクエスト情報取得部と、
駐車場オーナによって設定された駐車場料金を含む駐車場情報を保持する駐車場情報保持部と、
ユーザの希望エリア内にある駐車場情報を抽出する駐車場情報抽出部と、
駐車場情報に含まれる駐車場料金をもとに、ユーザのリクエストに対する利用料金を算出する料金算出部と、
算出された利用料金で配車することをユーザが承諾した場合に、承諾された駐車場に移動体を配車させることを決定する配車決定部と、を備えることを特徴とする移動体システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行可能な移動体を用いる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、前輪を有する先頭部と、後輪を有する末尾部と、先頭部と末尾部との間に連結されることで先頭部と末尾部とを一体化させる積載部とを備える車両が開示されている。この積載部は、車両から分離可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
移動体を利用したサービスを提供する場合に、移動体を駐車する場所を確保できるか問題となる。そこで移動体の駐車する場所を確保して、利用料金をユーザに提案できると好ましい。
【0005】
本発明の目的は、移動体を用いたサービスを適切な利用料金で提案できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の移動体システムは、ユーザが移動体の利用を申し込むリクエスト情報であって、ユーザの希望エリア情報を含むリクエスト情報を取得するリクエスト情報取得部と、駐車場オーナによって設定された駐車場料金を含む駐車場情報を保持する駐車場情報保持部と、ユーザの希望エリア内にある駐車場情報を抽出する駐車場情報抽出部と、駐車場情報に含まれる駐車場料金をもとに、ユーザのリクエストに対する利用料金を算出する料金算出部と、算出された利用料金で配車することをユーザが承諾した場合に、承諾された駐車場に移動体を配車させることを決定する配車決定部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、移動体を用いたサービスを適切な利用料金で提案できる技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】移動体システムの構成の概要を示す図である。
【
図7】移動体の配車を決定する処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、実施例の移動体10の斜視図を示す。
図2は、分離状態の移動体10の斜視図を示す。移動体10は、走行ユニット12と、物を載せることが可能な台車ユニット14とを備える。走行ユニット12は自律走行機能を有し、一方、台車ユニット14は自律走行機能を有しない。移動体10の全長は2m(メートル)から3m程度、全幅は50cmから1.2m程度、全高は1.5mから2.5m程度であってよい。
【0010】
図2に示すように、走行ユニット12は、台車ユニット14から連結分離可能である。走行ユニット12と台車ユニット14とが連結されることで、移動体10が構成される。なお、走行ユニット12または台車ユニット14の単体を、移動体と呼んでもよい。
【0011】
走行ユニット12と台車ユニット14とが連結分離可能に構成されることで、走行ユニット12は、台車ユニット14を目標位置まで牽引すると、台車ユニット14を切り離して、別のタスクを実行できる。たとえば別のタスクが、別の台車ユニット14を別の目標位置まで牽引するタスクである場合、当該走行ユニット12は、当該別の台車ユニット14が配置されている位置まで移動して、当該別の台車ユニット14と連結し、別の目標位置まで牽引する。
【0012】
切り離された台車ユニット14は、その場所でサービスを提供する。実施例において、台車ユニット14は、たとえば商品を販売する店舗サービスを提供できる。台車ユニット14が提供する各種サービスについては後述する。台車ユニット14は、サービスの提供が終了すると、走行ユニット12に連結されて、走行ユニット12により特定の場所まで牽引されてよい。移動体システム1において、移動体10を構成する走行ユニット12と台車ユニット14の組み合わせは固定されておらず、走行ユニット12と台車ユニット14の組み合わせは、サーバ装置16により適宜決定されてよい。
【0013】
台車ユニット14は、収容空間を形成する本体部40を備える。収容空間は、前輪42および後輪44が設けられる基部40aと、基部40aに対向して設けられる天井部40bと、前壁部40cおよび後壁部40dによって画成され、車幅方向に貫通した空間として構成される。なお、一対の前輪42および後輪44の回転軸方向を左右方向または車幅方向といい、左右方向に直交し、台車ユニット14が走行する方向を前後方向という。
【0014】
前壁部40cおよび後壁部40dには、互いに対向する複数の突条部40eが形成され、棚板などを取付可能になっている。たとえば複数の突条部40eに棚板を配置し、棚板に商品を載せることで、台車ユニット14を、店舗サービスを提供する移動店舗として機能させることができる。走行ユニット12および台車ユニット14の各構成について、さらに
図3を参照しつつ説明する。
【0015】
図3は、移動体10の構成を説明するための図である。走行ユニット12は、車輪20、本体部22、検出センサ24、連結装置26、処理装置30、通信部32、駆動装置34および電源装置36を有する。台車ユニット14は、本体部40、前輪42、後輪44、脚部46、被連結部48、電源装置50、処理装置52、通信部54および搭載装置56を有する。
【0016】
車輪20は、左右に一対設けられ、本体部22に回転可能に支持される。一対の車輪20には、駆動装置34がそれぞれ設けられ、駆動装置34が車輪20を回転させる。駆動装置34はモータを含み、処理装置30が生成する駆動指示に応じて、車輪20を回転させる。一対の車輪20が互いに独立に回転することで、一対の車輪20の回転数の差により、走行ユニット12が左右に曲がることができる。なお本体部22には、一対の車輪20に加えて、1つ以上の補助車輪(不図示)が設けられてよい。
【0017】
本体部22は、車体フレームと内部構造を覆うカバーとにより構成される。検出センサ24は、本体部22に設けられ、進行方向の物体を検出する。検出センサ24は、カメラ、ミリ波レーダ、赤外線レーザ、音波センサなどであってよく、またはそれらの組合せであってよい。検出センサ24は、本体部22の前部のみならず、本体部22の様々な位置に設けられて、後方または横方向の物体を検出してよい。検出センサ24は、検出結果を処理装置30に供給する。
【0018】
連結装置26は、本体部22の後部に設けられ、
図2に示す台車ユニット14の被連結部48に連結される。処理装置30は、走行ユニット12と台車ユニット14とが接近した状態で、一対の車輪20の駆動を制御して連結装置26と被連結部48とを接続し、ロック機構を作動させることで、連結装置26を被連結部48に連結させる機能を有する。連結装置26が被連結部48に連結すると、連結完了を示す信号を処理装置30に送出する。連結装置26と被連結部48とを連結するロック機構は、たとえば鉤状の引っ掛け部を備えて機械的に連結する構造を有してよいが、電磁的に連結する構造を有してもよい。処理装置30は、ロック機構を解除することで、連結装置26と被連結部48とを分離する。
【0019】
電源装置36は、充電可能な電池であり、走行ユニット12に搭載した各装置に電力を供給する。電源装置36は、台車ユニット14の電源装置50と電力の送受が可能であってよい。処理装置30は、電源装置36の残存エネルギー量を監視する。
【0020】
処理装置30は、詳細は後述するが、走行ユニット12の自律走行を制御する。処理装置30は、検出センサ24の検出結果および走行ユニット12の位置情報をもとに、駆動装置34を駆動させ、走行ユニット12の自律走行を実現する。通信部32は、ネットワークに接続して台車ユニット14および/または不図示のサーバ装置と通信する。なお走行ユニット12と台車ユニット14との距離が近い場合、走行ユニット12の通信部32と台車ユニット14の通信部54は、ネットワーク2を介さずに直接通信してよい。
【0021】
台車ユニット14の本体部40は、
図2に示すように矩形に形成された枠体を有し、物体を載せる収容空間を構成する。台車ユニット14が走行ユニット12から切り離された状態では、台車ユニット14の脚部46が地面に接地して、移動不能とされ、台車ユニット14の位置が固定される。なお本体部40の収容空間の両側面には、空間を仕切るための開閉ドアが設けられてよい。
【0022】
本体部40の内側の収容空間には、サービスの種類に応じた様々な装置が収容可能である。たとえば本体部40に冷蔵庫を収容することで、移動体10は、動く冷蔵庫として機能できる。また本体部40に商品を搭載した商品棚を収容することで、移動体10は、動く店舗として機能できる。また本体部40の両側面の開口部にディスプレイ装置を設けることで、移動体10は、動くディスプレイとして機能できる。サービスの種類に応じた装置は、搭載装置56を含むが、電子機器に限られず、単にテーブルや椅子であってもよい。
【0023】
一対の前輪42および一対の後輪44が本体部40に回転可能に支持される。台車ユニット14は、前輪42および後輪44を駆動する駆動装置を有しない。被連結部48は、本体部40の前部に設けられ、走行ユニット12の連結装置26に連結される。被連結部48は、連結装置26に位置を知らせる機能を有し、例えば、赤外線等の位置信号を出力してよい。連結装置26と被連結部48とが連結すると、被連結部48は、連結完了を示す信号を処理装置52に送出してよい。
【0024】
一対の脚部46は、本体部40の前部に設けられ、地面に対して進退可能に構成される。脚部46は、地面に対して進行して接地すると、台車ユニット14の移動を制限するストッパとして機能する。そのため台車ユニット14が走行ユニット12から切り離された状態では、脚部46は地面に対して進行して接地し、ストッパとなる。一方、台車ユニット14が走行ユニット12に連結されると、脚部46は後退して、接地していない状態となる。たとえば処理装置52が、被連結部48から連結完了を示す信号を取得すると、脚部46を後退させて、地面から離してよい。
【0025】
電源装置50は、水素、ガソリン、電気などの少なくともいずれかをエネルギー源とし、台車ユニット14に搭載した搭載装置56等に電力を供給する。
図2には、本体部40前方の3つのスロットに挿入された3つの水素タンクが示されている。処理装置52は、電源装置50の残存エネルギー量を監視する。
【0026】
処理装置52は、脚部46や搭載装置56を制御する。通信部54は、ネットワークに接続して走行ユニット12や不図示のサーバ装置と通信する。搭載装置56は、本体部40の収容空間内に設けられ、例えば、冷蔵庫、ディスプレイ、スピーカ、エアコンディショナー装置などである。本体部40の収容空間には、サービスの種類に応じて様々な装置を搭載可能である。
【0027】
図4は、移動体システム1の構成の概要を示す図である。移動体システム1は、走行ユニット12、台車ユニット14、サーバ装置16、ユーザ端末装置18およびオーナ端末装置19を備える。走行ユニット12および台車ユニット14のそれぞれは無線通信機能を有し、基地局である無線局4経由で、インターネットなどのネットワーク2を介してサーバ装置16に通信可能に接続する。走行ユニット12と台車ユニット14は、ネットワーク2を介して通信できるが、連結している場合にネットワーク2を介さずに直接通信できてもよい。ユーザ端末装置18およびオーナ端末装置19はネットワーク2を介してサーバ装置16に通信可能に接続する。
【0028】
ユーザ端末装置18は、ユーザによって、台車ユニット14の利用を予約するために用いられる。ユーザ端末装置18は、台車ユニット14を予約するリクエスト情報をサーバ装置16に送信する。ユーザ端末装置18は無線通信機能を有してもよい。
【0029】
オーナ端末装置19は、駐車場オーナによって、自身が保有する駐車場を登録する手続きを実行する。駐車場オーナは、移動体10に貸し出し可能な駐車場の位置、駐車場の利用可能時間および駐車場料金を、オーナ端末装置19のアプリケーションプログラムに入力する。駐車場料金は、時間帯や曜日によって変動するよう設定されてよい。これにより、駐車場オーナは、駐車場料金を自由に設定して駐車場を有効に活用できる。オーナ端末装置19は、駐車場オーナによって入力された駐車場情報をサーバ装置16に送信する。これにより、駐車場料金が設定された駐車場がサーバ装置16に保持される。
【0030】
サーバ装置16は、複数の走行ユニット12および台車ユニット14の位置および状態を管理する。サーバ装置16は、複数の走行ユニット12および台車ユニット14の位置および状態にもとづいて、各走行ユニット12の動作を決定する。サーバ装置16は、ユーザ端末装置18からリクエストを受け付けて、リクエストに応じて配車するよう走行ユニット12および台車ユニット14に指示する。走行ユニット12は、サーバ装置16から送信される動作指示にもとづいて移動し、必要であれば台車ユニット14を牽引する。
【0031】
図5は、移動体システム1の機能構成を示す図である。走行ユニット12の検出センサ24は、走行ユニット12の周辺に位置するオブジェクトの検出結果を処理装置30に送出する。連結装置26は、走行ユニット12の移動によって被連結部48に向かって接近することで被連結部48にロックする。連結装置26は、処理装置30の指示に応じて被連結部48とのロックを解除する。連結装置26は、ロック状態またはロック解除状態であるか示す情報を処理装置30に送出する。
【0032】
位置情報取得部28は、衛星測位システムを用いて走行ユニット12の現在位置情報を取得し、取得した位置情報を処理装置30に供給する。位置情報取得部28は、GPS(Global Positioning System)受信機であってよい。処理装置30は、走行ユニット12の現在位置情報を、走行ユニット12の識別情報(走行ユニットID)とともに、通信部32からサーバ装置16に送信する。現在位置情報の送信は、周期的に行われることが好ましい。
【0033】
駆動装置34は、処理装置30の指示に応じて駆動する。駆動装置34は、出力を複数段階に設定でき、車輪20の時間当たりの回転数を設定できる。駆動装置34は、走行ユニット12を走行させる走行機構として機能する。電源装置36は、残存エネルギー量を処理装置30に送出する。残存エネルギー量は、絶対値であってよく、満充電に対する現在の充電量の割合であってよい。
【0034】
処理装置30は、サーバ装置16から送信された目的地(行き先)を示す情報を受け取って、目的地情報と、予め保持されるマップ情報と、位置情報取得部28から取得した現在位置情報とをもとに目標走行ルートを導出する。処理装置30は、マップ情報と、現在位置情報とを用いて、目標走行ルートを走行するように駆動装置34を制御し、走行ユニット12を目的地まで走行させる。
【0035】
目的地までの走行中、処理装置30は、検出センサ24による検出結果をもとに、走行ユニット12の周囲に存在するオブジェクトに関する情報を取得する。対象となるオブジェクトは、構造物や側溝などの走行に障害となる静的なオブジェクトと、人や他の移動体10などの移動可能なオブジェクト(移動オブジェクト)を含む。処理装置30は、周囲のオブジェクトとの衝突を回避するように進行方向および走行速度を決定し、駆動装置34を駆動する。
【0036】
台車ユニット14の電源装置50は、残存エネルギー量を処理装置52に送出する。位置情報取得部58は、衛星測位システムを用いて台車ユニット14の位置情報を取得し、取得した位置情報を処理装置52に供給する。位置情報取得部58は、GPS受信機であってよい。通信部54は、台車ユニット14の位置情報および搭載設備などを含む台車情報を、台車ユニット14の識別情報(台車ユニットID)を付してサーバ装置16に送信する。
【0037】
搭載装置56は、ユーザの操作または処理装置52の指示に応じて作動する。搭載装置56は、提供可能なサービスの種類によって異なる。台車ユニット14で提供するサービスの種類には、食事場所を提供するサービス、お祈り場所、休憩場所または仕事場所を提供するサービス、キッチンを提供するサービス、物品を販売スペースを提供するサービス、広告を表示するサービスなどがある。食事場所を提供するサービスでは、台車ユニット14にテーブルおよび椅子が搭載される。お祈り場所、休憩場所または仕事場所を提供するサービスでは、台車ユニット14に室内空間を形成するコンテナが搭載される。コンテナ内にはデスク、ソファ、ベッドなど、サービスに応じた設備が搭載される。物品を販売スペースを提供するサービスでは、台車ユニット14に冷蔵庫や棚が搭載される。広告を表示するサービスでは、台車ユニット14の開口の両面にディスプレイ装置が搭載される。
【0038】
例えば、ユーザは、台車ユニット14に搭載されたキッチンを利用して、カフェテリアなどの飲食店を一時的に運営できる。ユーザは、台車ユニット14に搭載されたコンテナ室内に入って作業ができる。ユーザは、台車ユニット14に搭載された冷蔵庫に生鮮食品等を並べて販売することができる。このように、サービスの種類に応じた設備を台車ユニット14に搭載することで台車ユニット14が複数種類のサービスを提供できる。台車ユニット14の搭載装置56は、台車ユニット14毎に異ならせてよく、ユーザのリクエストに応じて搭載されてよい。
【0039】
処理装置52は、電源装置50の残存エネルギー量、台車ユニット14の位置情報を取得して、通信部54を介してサーバ装置16に送信させる。処理装置52は、電源装置50のエネルギー量が所定値以下になったことをサーバ装置16に送信してもよい。処理装置52は、搭載装置56を制御してよく、例えばユーザの利用開始時に搭載装置56であるエアコンディショナー装置を作動させてよい。
【0040】
図6は、サーバ装置16の機能構成を示す図である。
図6において、さまざまな処理を行う機能ブロックとして記載される各要素は、ハードウェア的には、回路ブロック、メモリ、その他のLSIで構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。サーバ装置16は、配車決定部60、駐車場予約部62、通信部64、出力処理部66、駐車場情報保持部68、リクエスト受付部70、駐車場抽出部72および料金算出部74を備える。
【0041】
通信部64は、走行ユニット12、台車ユニット14、ユーザ端末装置18およびオーナ端末装置19とそれぞれ通信可能であり、情報を送受する。駐車場情報保持部68は、オーナ端末装置19から取得した駐車場情報を保持する。駐車場情報には、駐車場オーナによって設定された駐車場の位置および料金に加えて、駐車場の空きの有無、駐車場ID、利用可能時間帯などの情報が含まれる。駐車場の空きの有無は、別のユーザによって先に利用の予約がなされているか示す。
【0042】
リクエスト受付部70は、ユーザ端末装置18からサービスの種類および希望エリアを含むリクエスト情報をユーザIDとともに取得する。リクエスト情報は、移動体10の利用を要求するものである。リクエスト情報には、移動体10の台車ユニット14で提供するサービスの種類、サービスの希望日時、サービスの希望エリアを示す情報が含まれる。ユーザは、ユーザ端末装置18のアプリケーションプログラムに、サービスの種類、サービスの希望日時、サービスの希望エリアを入力して、リクエスト情報としてサーバ装置16に送信する。サービスの希望エリアは、予め定められており、ユーザがいずれの希望エリアで利用を希望するか選択する。リクエスト受付部70は、ユーザのリクエストを受け付けると、リクエスト情報を駐車場抽出部72に送出する。
【0043】
駐車場抽出部72は、駐車場情報保持部68によって保持される複数の駐車場情報を参照して、リクエスト情報に示す希望エリア内にあり、希望日時に利用可能な駐車場情報を抽出する。駐車場抽出部72は、リクエスト情報を入力すると最適な駐車場情報を出力する抽出モデルを有する。抽出モデルは、ニューラルネットワークの手法などを用いて学習して生成されてよい。駐車場抽出部72は、リクエスト情報に示すサービスの種類の応じて最適な駐車場情報を抽出してよい。駐車場抽出部72は、リクエスト情報を入力して希望エリア内に含まれる複数の駐車場のスコアを算出し、スコアが最も高い駐車場を抽出する。駐車場抽出部72は、抽出した駐車場情報を料金算出部74に送出する。駐車場抽出部72は、駐車場情報を抽出できなかった場合、その結果を出力処理部66に送出し、ユーザに通知させる。
【0044】
料金算出部74は、駐車場情報に含まれる駐車場料金をもとに、ユーザのリクエストに対する移動体10の利用料金を算出する。利用料金は、基本料金と、設備料金、駐車場料金などを加算して算出される。基本料金および設備料金は、予め設定されており、利用時間に比例する。設備料金は、台車ユニット14に搭載した設備によって設定されるため、リクエスト情報に示すサービスの種類によって定まる。設備料金は、設備のクオリティによって変動してよい。例えば、設備のクオリティは高、中、低の3段階あり、高の設備クオリティで、最も設備料金が高くなる。駐車場料金は、駐車場オーナによって設定されており、利用時間に比例する。このように、料金算出部74は、ユーザのリクエストと、抽出した駐車場に応じた適切な利用料金を算出できる。
【0045】
料金算出部74は、ユーザにサービス提供中の台車ユニット14から搭載装置56の使用量情報を取得し、追加の利用料金を算出してよい。料金算出部74は、算出した利用料金を出力処理部66に送出し、出力処理部66は、利用料金をユーザ端末装置18に出力し、ユーザに通知する。
【0046】
出力処理部66は、抽出された駐車場での移動体10の利用料金を通信部64を介してユーザ端末装置18に送信し、ユーザ端末装置18は、ユーザに利用料金を表示する。ユーザは、利用料金を承諾するか否かユーザ端末装置18に入力し、ユーザ端末装置18は、ユーザが利用料金を諾否した結果をサーバ装置16に送信する。これにより、ユーザに適切な利用料金を表示できるため、ユーザは料金を認識して移動体10のサービスを利用できる。
【0047】
配車決定部60は、ユーザ端末装置18から取得したユーザの諾否の結果を取得し、料金算出部74によって算出された利用料金で配車することをユーザが承諾した場合に、承諾された駐車場に移動体10を配車させることを決定する。これにより、ユーザのリクエストが成立する。配車決定部60は、決定したリクエストを出力処理部66に送出し、出力処理部66は、リクエストに応じた配車を移動体10に指示する。この配車指示には、台車ユニット14を移動させる日時、駐車場の場所が定められている。配車決定部60は、算出した利用料金でユーザが承諾しなかった場合に、駐車場抽出部72に駐車場を再度抽出させる。
【0048】
駐車場予約部62は、配車決定部60によって決定された駐車場を、ユーザの希望日時で予約し、予約情報を駐車場情報保持部68に保持させる。これにより、予約結果が駐車場情報に追加される。駐車場予約部62は、駐車場の予約結果を出力処理部66に送出し、出力処理部66は、予約結果をオーナ端末装置19に出力する。
【0049】
移動体10の走行ユニット12は、配車指示を取得すると、配車指示にしたがって台車ユニット14を定められた駐車場の場所に移動させる。これにより、予め予約した駐車場に移動体10を駐車できるため、移動体10がサービスを提供する際に問題なく駐車できる。
【0050】
図7は、移動体10の配車を決定する処理のフローチャートである。リクエスト受付部70は、ユーザ端末装置18からリクエスト情報を取得し、ユーザのリクエストを受け付ける(S10)。リクエスト情報には、サービスの種類、希望日時、希望エリアが定められている。
【0051】
駐車場抽出部72は、駐車場情報保持部68から駐車場情報を取得し(S12)、希望エリアに含まれる駐車場情報を抽出する(S14)。駐車場抽出部72が駐車場情報を抽出できない場合(S14のN)、出力処理部66はユーザ端末装置18に希望エリアで利用できないことを通知し、本処理を終了する。
【0052】
駐車場抽出部72が希望エリアに含まれる最適な駐車場情報を抽出した場合(S14のY)、料金算出部74は、抽出した駐車場情報の料金を加算して利用料金を算出する(S16)。出力処理部66は、抽出した駐車場と、算出した利用料金とを承諾するかユーザに確認するため、駐車場情報および利用料金をユーザ端末装置18に出力する(S18)。
【0053】
ユーザが承諾しない場合(S20のN)、駐車場抽出部72は、別の駐車場情報を再度抽出する(S14)。ユーザが承諾した場合(S20のY)、つまり、ユーザ端末装置18から承諾したことを示す情報を受け取った場合に、配車決定部60は、移動体10の配車を決定する(S22)。駐車場予約部62は、配車が決定すると、ユーザが承諾した駐車場を予約し(S24)、予約結果を駐車場情報保持部68に保持させる。
【0054】
出力処理部66は、リクエストに応じた配車を移動体10に指示する(S26)。また、出力処理部66は、ユーザのリクエストが許可されたことをユーザ端末装置18に出力する(S28)。
【0055】
なお実施例はあくまでも例示であり、各構成要素の組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0056】
1 移動体システム、 10 移動体、 12 走行ユニット、 14 台車ユニット、 16 サーバ装置、 18 ユーザ端末装置、 19 オーナ端末装置、 20 車輪、 22 本体部、 24 検出センサ、 26 連結装置、 28 位置情報取得部、 30 処理装置、 32 通信部、 34 駆動装置、 36 電源装置、 40 本体部、 42 前輪、 44 後輪、 46 脚部、 48 被連結部、 50 電源装置、 52 処理装置、 54 通信部、 56 搭載装置、 58 位置情報取得部、 60 配車決定部、 62 駐車場予約部、 64 通信部、 66 出力処理部、 68 駐車場情報保持部、 70 リクエスト受付部、 72 駐車場抽出部、 74 料金算出部。