(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 3/08 20060101AFI20241106BHJP
B64D 47/00 20060101ALI20241106BHJP
H01Q 1/12 20060101ALI20241106BHJP
H01Q 1/28 20060101ALI20241106BHJP
H01Q 1/42 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
H01Q3/08
B64D47/00
H01Q1/12 E
H01Q1/28
H01Q1/42
(21)【出願番号】P 2021096274
(22)【出願日】2021-06-09
【審査請求日】2023-08-07
(31)【優先権主張番号】P 2020100098
(32)【優先日】2020-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【氏名又は名称】伊達 研郎
(74)【代理人】
【識別番号】100184022
【氏名又は名称】前田 美保
(72)【発明者】
【氏名】及川 厚武
(72)【発明者】
【氏名】加藤 靖暁
(72)【発明者】
【氏名】山添 裕啓
(72)【発明者】
【氏名】酒井 貴行
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-080200(JP,A)
【文献】特開2011-103338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 3/08
B64D 47/00
H01Q 1/12
H01Q 1/28
H01Q 1/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主反射鏡を有するアンテナ部と、
前記主反射鏡が向く方向である指向方向の方位角を変更する方位角軸の回りに回転可能である方位角架台と、
前記アンテナ部を支持し、前記方位角軸と直交する仰角軸の回りに回転可能である仰角軸構造体と、
前記方位角架台の上に設けられて前記仰角軸の回りに回転可能に前記仰角軸構造体を支持する仰角軸構造体支持部と、
前記方位角架台を前記方位角軸の回りに回転可能に支持する基礎部と、
前記アンテナ部から送信電波として放射される送信信号を増幅する増幅器と、
前記基礎部と前記増幅器を収容する下側容器と、
前記下側容器の上側に取り付けられて前記下側容器と共に、前記アンテナ部を収容するレド-ムとを備え、
前記増幅器は前記下側容器の内側面に搭載され、
前記増幅器が搭載された前記内側面に対応する位置の前記下側容器の外側面に放熱フィンが設けられた、アンテナ装置。
【請求項2】
前記放熱フィンの各フィンが前記方位角軸に平行に設けられた、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記レド-ムの外形は下部が円筒状であり、
前記下側容器は、前記方位角軸に垂直な平面での前記外側面の間隔である容器幅が前記レド-ムの円筒状の部分の直径よりも小さい部分を有し、
前記放熱フィンは、前記方位角軸に直交しかつ前記容器幅が最小に見える方向である最小容器幅方向から見る場合に前記容器幅の範囲内に設けられている、請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記増幅器に電力を供給する電源部をさらに備えた請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記放熱フィンが設けられた前記外側面に対応する位置の前記内側面に前記電源部が搭載された、請求項4に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記放熱フィンが、角部を挟んで隣接する2つの前記外側面に設けられた、請求項1、請求項2、請求項4および請求項5の何れか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
2つの前記放熱フィンの前記角部の側に配置された端部において、前記方位角軸に平行である方向から見る場合に、前記放熱フィンが有する各フィンの先端が直線上に存在するように各フィンの長さが決められている、請求項6に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記下側容器が、前記方位角軸を含みかつ前記角部を通る平面に関して対称な形状を有する、請求項6または請求項7に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記レド-ムの外形は下部が円筒状であり、
前記下側容器は、前記方位角軸に垂直な平面での前記外側面の間隔である容器幅が前記レド-ムの円筒状の部分の直径よりも小さい部分を有し、
前記放熱フィンは、前記方位角軸に直交しかつ前記容器幅が最小に見える方向である最小容器幅方向から見る場合に前記容器幅の範囲内に設けられている、請求項4から請求項8の何れか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
前記下側容器は、前記容器幅が変化する曲面である前記外側面の部分を有する、請求項3または請求項9に記載のアンテナ装置。
【請求項11】
移動体に搭載される、請求項1から請求項10の何れか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項12】
前記最小容器幅方向が移動体の機首方向に平行になるように前記移動体に搭載される、請求項3または請求項9または請求項10に記載のアンテナ装置。
【請求項13】
前記移動体が回転翼により下降気流を発生させる回転翼機であり、
前記下降気流が流れる位置に搭載される、請求項11または請求項12に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動体に搭載されるアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体に搭載される通信装置では、通信装置およびアンテナ装置の小型化および軽量化が望まれている。また、従来と同程度のスペ-スおよび重量で、より強い電波を送信できるアンテナ装置が望まれている。特に、航空機やヘリコプタ(回転翼機)に搭載されるアンテナ装置では、空気抵抗を低減するために小型化することが望まれている。
【0003】
方位角および仰角を変更できるアンテナ装置は、方位角軸の回りに回動可能な可動側架台と、可動側架台に設けられた2本の支持ア-ムにより、アンテナの主反射鏡を仰角軸の回りに回動可能に支持する(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
アンテナ装置を小型化および軽量化するために、アンテナの仰角を変更する機構を片持ちにする構造が提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2では、平面アンテナを使用している。
【0005】
仰角を変更する機構を片持ちにする構造を有するアンテナ装置において、ベ-スプレ-ト50の上面にアンテナを支持するフレ-ム90を固定し、発熱体であるRFU54をベ-スプレ-ト50の下側にRFU基板52を介して固定し、熱をRFU基板52、ベ-スプレ-ト50およびフレ-ム90を介して放熱する構造が示されている(特許文献3参照)。特許文献3では、アンテナ装置10がレ-ダド-ム12の内部に収容される。
【0006】
増幅器(8)と増幅器(8)が発生する熱を放熱する放熱器(9)を、ベ-スプレ-ト(6)の上側で、AZ軸(2)の回りに回転するストラクチャ(5)の一端側に配置し、ストラクチャ(5)のもう一端側に配置するアンテナ(1)およびフレ-ム(7)のカウンタウェイトとする構造が示されている(特許文献4参照)。特許文献4では、
図2にレド-ムの内にアンテナ(1)を収容することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2012-80200
【文献】特開2006-94353
【文献】特開2006-94340
【文献】特公平6-66573
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のアンテナ装置では、発熱部品である増幅器が発生する熱を放熱器によりレド-ムの内部の空間に放熱している。レド-ムの内部は閉空間であり、アンテナ装置の外部に放熱する場合と比較して、冷却効率は低いと考えられる。また、アンテナ装置を連続して使用するとレド-ムの内部の空気の温度が上昇して、冷却効率が低下すると思われる。
【0009】
本開示は、従来よりも効率よく増幅器を冷却できるアンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示に係るアンテナ装置は、主反射鏡を有するアンテナ部と、主反射鏡が向く方向である指向方向の方位角を変更する方位角軸の回りに回転可能である方位角架台と、アンテナ部を支持し、方位角軸と直交する仰角軸の回りに回転可能である仰角軸構造体と、方位角架台の上に設けられて仰角軸の回りに回転可能に仰角軸構造体を支持する仰角軸構造体支持部と、方位角架台を方位角軸の回りに回転可能に支持する基礎部と、アンテナ部から送信電波として放射される送信信号を増幅する増幅器と、基礎部と増幅器を収容する下側容器と、下側容器の上側に取り付けられて下側容器と共に、指向方向を変更可能にアンテナ部を収容するレド-ムとを備え、増幅器は下側容器の内側面に搭載され、増幅器が搭載された内側面に対応する位置の下側容器の外側面に放熱フィンが設けられたものである。
【発明の効果】
【0011】
本開示に係るアンテナ装置によれば、従来よりも効率よく増幅器を冷却できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態1に係るアンテナ装置の斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係るアンテナ装置の正面図である。
【
図3】実施の形態1に係るアンテナ装置の右側面図である。
【
図4】実施の形態1に係るアンテナ装置の背面図である。
【
図5】実施の形態1に係るアンテナ装置の左側面図である。
【
図6】実施の形態1に係るアンテナ装置の平面図である。
【
図7】実施の形態1に係るアンテナ装置の底面図である。
【
図8】実施の形態1に係るアンテナ装置のXZ平面に平行な断面での断面図である。
【
図9】実施の形態1に係るアンテナ装置のYZ平面に平行な断面での断面図である。
【
図10】実施の形態1に係るアンテナ装置の方位角架台よりも上側の部材を除いた状態での斜視図である。
【
図11】実施の形態1に係るアンテナ装置の方位角架台よりも上側の部材を除いた状態での平面図である。
【
図12】実施の形態1に係るアンテナ装置のベ-スの部分でのベ-スの底面に平行な断面での断面図である。
【
図13】実施の形態1に係るアンテナ装置がヘリコプタに搭載された状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
図1から
図9を参照して、実施の形態1に係るアンテナ装置100の構造を説明する。
図1は、アンテナ装置100の斜視図である。
図2から
図7に、アンテナ装置100の六面図を示す。
図2が正面図、
図3が右側面図、
図4が背面図、
図5が左側面図、
図6が平面図、
図7が底面図である。
図8は、
図6に示すAA断面での断面図である。
図9は、
図6に示すBB断面での断面図である。アンテナ装置100についての座標系として、XYZ座標系を定義する。X軸は、平面図である
図6における左右方向の軸である。
図6における右向きを、X軸の正の向きとする。Y軸は、
図6における上下方向の軸である。
図6における上向きを、Y軸の正の向きとする。Z軸は、正面図である
図2における上下方向の軸である。
図2における上向きを、Z軸の正の向きとする。アンテナ装置100は、移動体に搭載される。Y軸が移動体の移動方向に平行になるように、アンテナ装置100は、移動体に搭載される。AA断面は、アンテナ装置のXZ平面に平行な断面である。BB断面は、アンテナ装置のXZ平面に平行な断面である。
【0014】
アンテナ装置100は、アンテナ部1、偏波軸駆動部2、仰角軸構造体3、片持ち支持部4、方位角架台5、固定側架台6、ベ-ス7、制御部8、電源フィルタ9、モ-タ駆動部10およびレド-ム11を有する。アンテナ部1は、送信電波を放射し受信電波を受信する。アンテナ部1は、主反射鏡12、放射器13および副反射器14を有する。主反射鏡12は、電波を反射する反射面を有する。反射面は凹面である。主反射鏡12が向く方向すなわち主反射鏡12の指向方向が、アンテナ部1の指向方向である。
【0015】
アンテナ部1は、方位角、仰角および偏波角を変更可能に支持される。アンテナ部1は、直線偏波の電波を送受信する。偏波角は、電波の偏波面と地面との間の角度である。偏波軸駆動部2は、偏波角を変更する機構である。仰角軸構造体3は、アンテナ部1と偏波軸駆動部2を保持する構造体である。片持ち支持部4は、仰角を変更可能に仰角軸構造体3を支持する部材である。方位角架台5は、方位角軸(
図1、
図2に符号AZで図示)の回りに回転する架台である。方位角架台5に、片持ち支持部4が設けられる。固定側架台6は、方位角架台5を回転可能に支持する部材である。ベ-ス7は、移動体に取り付けられる部材である。ベ-ス7に、固定側架台6が固定される。制御部8は、アンテナ装置100を制御する。電源フィルタ9は、電源電圧を安定させるためのフィルタである。モ-タ駆動部10は、モ-タ(電動機)を駆動する電流を発生させる回路である。モ-タは、指向方向を指令値に変更する動力、および指向方向を指令値に維持する動力を発生させる。レド-ム11は、ベ-ス7の上に装着されてアンテナ部1などを保護する。
図1から
図9は、レド-ム11を外した状態での図である。図において、レド-ム11の外形線を2点鎖線で示す。
図1から
図9では、アンテナ装置100は、片持ち支持部4がX軸に平行になるように方位角架台5が回転しており、アンテナ部1がZ軸方向を向く状態である。
【0016】
放射器13は、送信電波を放射し、受信電波を受信する。放射器13は、内部を信号が伝わる円筒である。主反射鏡12は、例えば直径が40cm程度で深さが10cm程度のボウルのような形状である。主反射鏡12は、アルミニウム製である。放射器13は、主反射鏡12の反射面から出ている。副反射器14は、円筒状の放射器13の先端に設けられる。副反射器14は、放射器13から放射される送信電波を主反射鏡12の反射面の方向に反射する。また、副反射器14は、主反射鏡12で反射された受信電波を放射器13の方向に反射する。副反射器14は、樹脂製の装着部品15(
図8および
図9に図示)と接続している。装着部品15は、先細りの断面が円形である棒状の部材である。装着部品15の直径は、最大の箇所で放射器13の内径とほぼ同じである。装着部品15が放射器13の内部に挿入されることで、副反射器14が放射器
13の先端に配置される。装着部品15は樹脂製なので、放射器13の内部を通る送信信号および受信信号に装着部品15が与える影響は、十分に小さい。
【0017】
送信電波および受信電波は、偏波面が互いに直交する直線偏波の電波である。送信電波および受信電波のどちらか一方が垂直偏波であり、もう一方が水平偏波である。垂直偏波の電波は、偏波面が地面に垂直な電波である。水平偏波の電波は、偏波面が地面に平行な電波である。送信電波または受信電波のどちらを垂直偏波にするかは、通信システムごとに決められる。偏波軸駆動部2は、アンテナ装置100が搭載される移動体の姿勢に応じて放射器13を回転させる機構である。移動体と共にアンテナ装置100が傾いた場合などに、送信電波の偏波面が地面に対して垂直または水平になるように、偏波軸駆動部2は放射器13および副反射器14を回転させる。放射器13は、主反射鏡12の中央に設けられた開口を、回転可能に通る。放射器13が回転する軸を偏波軸(
図1、
図2に符号POLで図示)と呼ぶ。偏波軸は、放射器13の中心を通る。偏波軸駆動部2は、偏波軸の回りに放射器13と共に回転可能であり、かつ仰角軸構造体3に支持される偏波軸構造体である。偏波軸駆動部2の仰角軸構造体3に対する回転角度が、偏波角である。放射器13および副反射器14を偏波軸の回りに回転させるのではなく、アンテナ部1全体を偏波軸の回りに回転させてもよい。
【0018】
ベ-ス7は、アンテナ装置100の下部に配置された構成要素を収容する下側容器である。ベ-ス7の内部には、固定側架台6が収容される。ベ-ス7が、移動体に取り付けられる。ベ-ス7の形状は、後で説明する。ベ-ス7の内側の底面の中央に固定側架台6が固定されている。固定側架台6は、上から見ると円形の部材である。固定側架台6は、ベ-ス7の底面に接続する部分は円柱状である。固定側架台6は、円柱状の部分の上に環状(ド-ナツ状)の部分を有する。方位角架台5は、固定側架台6に対して回転可能に設けられた部材である。方位角軸(
図1、
図2に符号AZで図示)は、ベ-ス7の底面に垂直な回転軸である。方位角軸は、Z軸に平行である。方位角架台5は、方位角軸の回りに回転可能である。方位角軸は、アンテナ部1の指向方向の方位角を変更する回転軸である。方位角は、固定側架台6に対する方位角架台5の回転角度である。
【0019】
片持ち支持部4は、方位角架台5の上側に設けられる。片持ち支持部4は、方位角架台5の上面に底面が接続して、上方に延在する。片持ち支持部4は、仰角軸構造体3を回転可能に支持する。仰角軸構造体3は、仰角軸の回りに回転可能である。仰角軸(
図1、
図2に符号ELで図示)は、方位角軸に垂直かつベ-ス7の底面に平行な回転軸である。ベ-ス7の底面および仰角軸は、XY平面に平行である。仰角軸は、アンテナ部1の指向方向の仰角を変更する回転軸である。仰角は、仰角軸構造体3の片持ち支持部4に対する回転角度である。
【0020】
仰角軸構造体3は、片持ち支持部4に支持され、アンテナ部1および偏波軸駆動部2を支持する。方位角軸をAZ軸、仰角軸をEL軸、偏波軸(
図1、
図2に符号POLで図示)をPOL軸と呼ぶ。AZ軸とEL軸は、直交する。EL軸とPOL軸は、直交する。
【0021】
制御部8は、アンテナ部1の指向方向を変更するために、AZ軸、EL軸およびPOL軸をそれぞれ駆動するモ-タを制御する。制御部8は、外部から入力される移動体の位置および機首が向く方向(機首方向)、アンテナ部1の姿勢情報などをもとに、アンテナ部1の方位角、仰角および偏波角が取るべき角度である指令値を決める。制御部8は、アンテナ部1が実際に向いている方向の方位角、仰角および偏波角が指令値と一致するように各軸のモ-タを制御する。方位角の指令値を方位角指令値、仰角の指令値を仰角指令値、偏波角の指令値を偏波角指令値とそれぞれ呼ぶ。
【0022】
制御部8は、演算処理するCPUなどが搭載された回路基板などを有する。電源フィルタ9は、モ-タの駆動に使用される直流電源の電圧を安定させるためのフィルタである。モ-タ駆動部10は、AZ軸、EL軸およびPOL軸を駆動するモ-タに供給されるパルス電流を生成するパワ-半導体を有する回路である。モ-タ駆動部10は、制御部8により制御される。レド-ム11は、ベ-ス7と合わさってアンテナ装置100を保護する覆いである。レド-ム11は、ベ-ス7の上側に取り付けられる。レド-ム11およびベ-ス7は、アンテナ部1を収容する。ベ-ス7およびレド-ム11の内部には、アンテナ部1が指向方向を変更可能に収容される。レド-ム11の上部は半球状の外形を有し、下部は円筒状である。レド-ム11の下部の円筒状の部分は、下端の直径が上端での直径よりも2%程度大きい。レド-ム11の下端が微小に広がっているので、レド-ム11をベ-ス7に装着しやすい。レド-ム11の下端での円筒状の部分の直径をレドーム直径と呼ぶ。
【0023】
偏波軸駆動部2は、主反射鏡支持円筒部16、POL軸駆動モ-タ17、導波管18、電波分離器19、導波管20、ロ-タリジョイント21、ベアリング22、ベアリング23およびエンコ-ダ24を有する。主反射鏡支持円筒部16は、主反射鏡12の背面の中央を支持する円筒である。主反射鏡支持円筒部16は、仰角軸構造体3により支持される。POL軸駆動モ-タ17は、放射器13などを回転させる電動機である。POL軸駆動モ-タ17は、主反射鏡支持円筒部16の内側に設けられる。POL軸駆動モ-タ17は、偏波角を指令値に変更する動力および指令値に維持する動力を発生させる偏波角変更電動機である。
【0024】
図8および
図9に示すように、導波管18、電波分離器19、導波管20およびロ-タリジョイント21は、放射器13の下側に直列に設けられる。導波管18は、放射器13の下端に接続する。電波分離器19は、導波管18の下端に接続する。電波分離器19は、受信電波を送信電波から分離する。電波分離器19は、直交する偏波面を有する電波を分離する機能を有する。電波分離器19を放射器13の近くに設けているので、受信電波と送信電波とを効率よく分離できる。送信電波としてアンテナ部1から放射される送信信号は、導波管20から電波分離器19に入る。分離された受信電波から生成される受信信号が伝送される経路は、後で説明する。
【0025】
導波管20は、電波分離器19の下側に接続する導波管である。ロ-タリジョイント21は、導波管20を電波結合導波管25に回転可能に接続する。電波結合導波管25は、仰角軸構造体3の一部を構成する。電波結合導波管25は、
図8に示すように、偏波軸駆動部2の下端から仰角軸構造体3のEL軸より少し低い位置まで折れ線状に延在する。導波管20およびロ-タリジョイント21には、受信信号は通らず、送信信号だけが通る。電波結合導波管25および導波管20は、送信信号を仰角軸構造体3から放射器13に伝える導波管である。
【0026】
POL軸駆動モ-タ17は、ダイレクトドライブモ-タ(DDモ-タと略す)である。DDモ-タは、回転させる対象の軸にモ-タの回転軸が直結するモ-タである。主反射鏡支持円筒部16の内側に、POL軸駆動モ-タ17の固定子17S(
図8、
図9に図示)が設けられ、固定子17Sの内側に回転子17R(
図8、
図9に図示)が設けられる。回転子17Rの内側を、放射器13および導波管18が通る。導波管18の外側面に設けられたPOL軸に垂直な環状の板材が、回転子17Rに接続する。環状の板材により回転子17Rに接続されるので、導波管18などが回転子17Rと共に回転する。回転子17Rに接続する環状の板材は、主反射鏡12の背面に近い位置に設けられる。ベアリング22は、POL軸駆動モ-タ17の下側に設けられる。ベアリング22は、導波管18の外側面と主反射鏡支持円筒部16の間に設けられる。ベアリング23は、ロ-タリジョイント21とその表面カバ-の間に設けられる。ベアリング22、23は、POL軸の回りに回転する部材の摩擦抵抗を低減する。エンコ-ダ24は、放射器13の下端の外側で、主反射鏡支持円筒部16の下側の位置に配置される。エンコ-ダ24は、POL軸駆動モ-タ17の回転子17Rの回転角度を検出する。エンコ-ダ24は、POL軸に垂直な環状の平板を有する構造である。環状の平板は、導波管18と共に回転する。エンコ-ダ24は、環状の平板に刻まれた目盛り線を読むことで回転角度を検出する。POL軸駆動モ-タ17により、POL軸駆動モ-タ17の回転子17R、放射器13、導波管18、電波分離器19、導波管20が、POL軸の回りに回転する。POL軸の回りの回転角度は、例えば+130度から―130度の範囲である。
【0027】
片持ち支持部4は、支柱26、EL軸支持円筒部27および導波管保持部28を有する。支柱26は、方位角架台5の上面から上側に出る部材である。支柱26の底面は、等脚台形のAZ軸側の辺を円弧状に切り取った形状の外形を有する。支柱26は、底面から径方向の外側上方に向かう斜柱体のような外形を有する。支柱26は、各面が薄い板状であり、軽量化のために各面に開口を設けている。支柱26は、アルミニウム製である。EL軸支持円筒部27は、EL軸を回転軸とする円筒である。EL軸支持円筒部27は、支柱26により支持される。EL軸支持円筒部27の内側に仰角軸構造体3を構成する部材の一部が回転可能に挿入される。EL軸支持円筒部27は、支柱26の上部に設けられたEL軸の回りに回転可能に仰角軸構造体3の片端を支持する仰角軸構造体支持部である。
【0028】
導波管保持部28は、導波管29を保持する部材である。導波管29は、片持ち支持部4および方位角架台5に固定される導波管である。導波管保持部28は、EL軸が通る部分の導波管29を保持する。導波管29の形状は、後で説明する。導波管保持部28は、円筒状の部材である。導波管保持部28は、EL軸支持円筒部27および仰角軸構造体3の内側に存在する。EL軸支持円筒部27と導波管保持部28との間には、仰角軸構造体3が存在する。導波管保持部28は、EL軸支持円筒部27とは分離している。導波管保持部28または導波管29を、仰角軸構造体3がEL軸の回りに回転することを妨げない位置でEL軸支持円筒部27に接続するようにしてもよい。例えば、EL軸支持円筒部27のAZ軸から遠い側の端部と導波管29とを接続する部材を設けてもよい。
【0029】
仰角軸構造体3は、電波結合導波管25、主反射鏡支持部30、EL軸駆動モ-タ31、ロ-タリジョイント32、エンコ-ダ33、ベアリング34およびベアリング35を有する。主反射鏡支持部30は、XY平面に略平行に延在して、その先端部が主反射鏡支持円筒部16と接続する。主反射鏡支持部30は、アンテナ部1および偏波軸駆動部2を支持する。EL軸駆動モ-タ31は、仰角軸構造体3をEL軸支持円筒部27に対して回転させる動力を発生する。ロ-タリジョイント32は、電波結合導波管25と導波管29とを回転可能に接続する。エンコ-ダ33は、仰角軸構造体3のEL軸支持円筒部27に対する回転角度を計測する。ベアリング34およびベアリング35は、仰角軸構造体3がEL軸の回りに回転する際の摩擦抵抗を低減する。
【0030】
EL軸駆動モ-タ31は、EL軸支持円筒部27の内側に設けられる。EL軸駆動モ-タ31は、DDモ-タである。EL軸駆動モ-タ31の固定子31SはEL軸支持円筒部27の内側に設けられ、固定子31Sの内側に回転子31Rが設けられる。回転子31Rの内側には、導波管保持部28が存在する。そのため、EL軸が通る部分の導波管29は、回転子31Rの内側に存在する。回転子31Rは仰角変更内円筒部に設けられており、導波管29は、仰角変更内円筒部の内側を通る。EL軸駆動モ-タ31の回転子31Rには、主反射鏡支持部30が接続する。回転子31Rが回転すると、主反射鏡支持部30、アンテナ部1および偏波軸駆動部2がEL軸の回りに回転する。EL軸駆動モ-タ31は、仰角を指令値に変更する動力および指令値に維持する動力を発生する仰角変更電動機である。
【0031】
ベアリング34を介して、EL軸支持円筒部27がEL軸駆動モ-タ31の回転子31Rを回転可能に支持する。ベアリング34は、AZ軸が存在する側のEL軸支持円筒部27の端面に設けられる。EL軸駆動モ-タ31の回転子31Rが、ベアリング35を介して、その内側に導波管保持部28を保持する。ベアリング35は、回転子31Rと導波管保持部28との間に設けられる。ベアリング35は、EL軸支持円筒部27のAZ軸が存在する側の端に設けられる。EL軸に沿う方向では、ベアリング35はベアリング34と重なる位置に設けられる。べアリング35は、EL軸に沿う方向での長さがベアリング34よりも短い。ベアリング35は、EL軸に垂直な平面ではベアリング34よりもEL軸に近い側に存在する。ベアリング35があるので、EL軸駆動モ-タ31の回転子31Rが、導波管保持部28に対して回転可能である。ベアリング35は、クロスロ-ラベアリングである。
【0032】
エンコ-ダ33は、導波管保持部28の外周面において、EL軸に平行な方向ではベアリング34とEL軸駆動モ-タ31との間に設けられる。エンコ-ダ33は、EL軸駆動モ-タ31の回転子31Rの回転角度を検出する。エンコ-ダ33は、EL軸に垂直な環状の平板が導波管保持部28の外側に設けられた構造である。環状の平板に刻まれた目盛り線を回転子31R側に設けられた読み取り器が読むことで、エンコ-ダ33は回転子31Rの回転角度を検出する。
【0033】
EL軸支持円筒部27は、EL軸を回転軸とする円筒である仰角変更外円筒部である。EL軸駆動モ-タ31の回転子31Rは、EL軸支持円筒部27の内側に回転可能に配置されたEL軸を回転軸とする円筒である仰角変更内円筒部に設けられる。EL軸をDDモ-タで駆動しない場合にも、支柱26に支持されるEL軸支持円筒部27と、EL軸支持円筒部27の内側に回転可能に配置されたEL軸を回転軸とする円筒である仰角変更内円筒部とを備えるようにしてもよい。
【0034】
電波結合導波管25は、径方向の外側かつ上方に折れ線状に延在する部分と、折れ線の途中で分岐して上方に延在する部分とを有する導波管である。電波結合導波管25の折れ線状の部分の偏波軸駆動部2側の部分は、ベース7の底面に平行に延在する。電波結合導波管25の偏波軸駆動部2側の一端は、ロ-タリジョイント21に接続する。電波結合導波管25の折れ線状の部分の他端は、ロ-タリジョイント32に接続する。電波結合導波管25のロ-タリジョイント32に接続する部分は、ベース7の底面に垂直に延在する。ロ-タリジョイント32は、仰角軸構造体3に含まれる。電波結合導波管25は、折れ線状の部分をロ-タリジョイント32からロ-タリジョイント21の方向へ送信信号を伝える。ロ-タリジョイント32は、電波結合導波管25を導波管29に回転可能に接続する。導波管29は、導波管保持部28に保持される。
【0035】
導波管29は、片持ち支持部4および方位角架台5に固定される導波管である。
図8に示すように、導波管29は、導波管保持部28で保持される部分ではEL軸上を延在する。AZ軸を中心とする円の径方向において片持ち支持部4よりも外側で、導波管29は下側に折れ曲がる。また、AZ軸に平行に延在する導波管29は、方位角架台5の上端よりも少し高い位置で、XY平面に平行な平面上で径方向の中心側に折れ曲がる。さらに、XY平面に平行に延在する部分の導波管29は、AZ軸が存在する位置で、下側に折れ曲がる。下向きに折れ曲がった導波管29は、AZ軸上を延在する。AZ軸上を延在する部分の導波管29は、方位角架台5に保持される。AZ軸上を延在する部分の導波管29は、ロ-タリジョイント36に接続する。ロ-タリジョイント36は、導波管29を導波管37に回転可能に接続する。導波管37は、固定側架台6およびベ-ス7に固定される。
【0036】
電波結合導波管25の分岐には、同軸信号線38(図示せず)が接続する。同軸信号線38は、低雑音増幅器39と電波結合導波管25の分岐とを接続する。低雑音増幅器39は、電波分離器19から出力される受信信号を増幅する。同軸信号線38により、電波分離器19により分離され増幅された受信信号が、電波結合導波管25の分岐に入力される。受信信号は、電波結合導波管25においてロ-タリジョイント32の方向へ伝わる。受信信号を電波結合導波管25に入力することで、受信信号のために送信信号とは別にロ-タリジョイントを設けることが不要になる。EL軸およびAZ軸でロ-タリジョイントがそれぞれ1個でよいので、アンテナ装置100を小型かつ軽量にできる。
【0037】
電波分離器19により送信信号とは分離された受信信号は、低雑音増幅器39により増幅される。増幅された受信信号は、同軸信号線38に入力される。低雑音増幅器39は、主反射鏡12の背面側に配置される。低雑音増幅器39は、主反射鏡12と共にEL軸の回りに回転する。EL軸駆動モ-タ31の負荷を減らすために、低雑音増幅器39での増幅率および重量を総合的に判断して決めている。低雑音増幅器39の増幅率を必要最小限にして、低雑音増幅器39を軽量にしている。受信信号を必要な信号強度に増幅するため、ベ-ス7の内部にも低雑音増幅変換器40を設けている。低雑音増幅変換器40については、後で説明する。
【0038】
制御部8は、方位角架台
5の上側で支柱26と共にAZ軸を挟む位置に配置する。制御部8は、2個の筐体に分割して収容される。制御部8が有する2個の筐体は、
図1から
図9に示す状態では、X軸方向から見ると略長方形で、Y軸方向から見ると長方形のAZ軸に近い側の上の角を切り取った略5角形の形状である。
図3において左側の筐体を制御部8Lとし、右側の筐体を制御部8Rとする。制御部8Lの方が高く側面の幅が狭い。制御部8Rの高さは、制御部8Lの高さの80%程度である。制御部8Rの側面の幅は、制御部8Lの側面の幅の110%程度である。制御部8L、8Rは、方位角架台5に垂直な背面板を有する。制御部8L、8Rの背面板は、
図1から
図9に示す状態ではYZ平面に平行である。AZ軸を含みYZ平面に平行な平面(制御部配置面)に対して、制御部8Lが制御部8Rよりも少し中心に近く配置されている。制御部8Lの背面板の厚さ方向の中央を、制御部配置面が通る。制御部8Rの制御部配置面から遠い側の面と制御部配置面との距離は、制御部8Lでの制御部配置面から遠い側の面と制御部配置面との距離の約130%である。なお、制御部8を1個あるいは3個以上の筐体に収容してもよい。
【0039】
電源フィルタ9は、支柱26の下側かつ径方向の外側の位置に配置する。モ-タ駆動部10は、方位角架台
5の上側かつ制御部8の下側の位置に配置する。モ-タ駆動部10は、上から見ると円弧状であり、厚さ(高さ)が一定である形状である。円弧状のモ-タ駆動部10は、半円を少し越える中心角を有する。円弧状のモ-タ駆動部10は、X軸方向において支柱26の下側に少し入る位置にYZ平面に平行な2個の端面を有する。モ-タ駆動部10の端面には、各モ-タへ駆動信号を伝達するための信号線が接続する端子(
図1に図示)が設けられる。
【0040】
アンテナ部1の指向方向に関して説明する。EL軸の回りに、仰角軸構造体3、偏波軸駆動部2およびアンテナ部1が回転する。EL軸の回転可能な範囲(仰角回転範囲)は、0度から90度の範囲である。ここで、仰角は、AZ軸に垂直な平面とアンテナ部1の指向方向とがなす角度である。仰角=0度の場合は、アンテナ部1がAZ軸に直交する方向を向く。仰角=90度の場合は、アンテナ部1がAZ軸に平行な方向を向く。ベ-ス7の底面が水平である姿勢をアンテナ装置100がとる場合は、AZ軸に直交する方向は水平方向であり、AZ軸に平行な方向は天頂方向である。アンテナ部1は、仰角が90度を超えないように抑止する図示しない抑止具を有する。方位角は、仰角が90度未満の場合にアンテナ部1の指向方向をXY平面に射影した直線とY軸とがなす角度である。
図1から
図9に示す状態では、アンテナ部1の指向方向は、方位角が180度であり、仰角は90度である。
【0041】
アンテナ部1の指向方向が仰角=0度である場合は、
図3に示す制御部8Lが存在する側にアンテナ部1が向く場合である。
図1から
図9に示す方位角=180度の場合は、仰角=0度ではアンテナ部1がY軸の負の向きを向く。抑止具を変更して仰角が90度を超えることを可能にして、制御部8Rが存在する側にもアンテナ部1が向くことができる場合には、アンテナ部1の指向方向は、仰角=180度すなわちAZ軸に直交する方向を向くことはできない。アンテナ部1がAZ軸に直交する方向を向く前に、制御部8Rと主反射鏡12の背面とが干渉する。
【0042】
図1から
図9に加えて、
図10から
図12を参照して、方位角架台5、固定側架台6およびベ-ス7の構造、ならびにベ-ス7の内部に収容する機器について説明する。
図10は、実施の形態1に係るアンテナ装置の方位角架台よりも上側の部材を除いた状態での斜視図である。
図11は、実施の形態1に係るアンテナ装置の方位角架台よりも上側の部材を除いた状態での平面図である。
図12は、実施の形態1に係るアンテナ装置のベ-スの部分でのベ-スの底面に平行な断面での断面図である。
図12は、
図2に示すCC断面での断面図である。
図12は、Z軸方向において導波管37が存在する位置での断面図である。
【0043】
固定側架台6は、ベ-ス7の内側の底面の中央に固定される。固定側架台6の上に、方位角架台5がAZ軸の回りに回転可能に載る。固定側架台6は、方位角架台5を方位角軸の回りに回転可能に支持する基礎部である。方位角は、方位角架台5の固定側架台6に対する回転角度である。方位角架台5は、固定側架台6に対して角度範囲の制限なく回転できる。そのため、移動体が通信しながら旋回する場合などに、旋回の回数に上限は存在しない。
【0044】
固定側架台6は、円盤状の基部6Aと、基部6Aから上に出た環状部6Bと、環状部6Bの上側に設けられた頂部6Cとを有する。環状部6Bは、Z軸に平行な方向から見ると、基部6Aの直径よりも外径が小さいド-ナツ状である。頂部6Cの外形は、円錐台の上に円柱が接続した形状である。頂部6Cの円柱の径は、円錐台の上面の径よりも小さい。頂部6Cの上面にはZ軸方向に貫通穴が設けられている。頂部6Cの貫通穴と環状部6Bの内側を、導波管29が通る。基部6Aの上面には円筒状の窪みであるジョイント収納部6Dが存在する。ジョイント収納部6Dの底面は基部6Aの上面に平行であり、ジョイント収納部6Dの側面は基部6Aの上面に垂直である。ジョイント収納部6Dの底面の中央には、開口が設けられている。
【0045】
方位角架台5は、導波管保持部41、ロ-タリジョイント36、AZ外輪部42、機器搭載部43、AZ軸駆動モ-タ44、エンコ-ダ45、ベアリング46およびベアリング47を有する。導波管保持部41は、AZ軸が通る部分の導波管29を保持する。ロ-タリジョイント36は、導波管29の下側に接続する。ロ-タリジョイント36は、導波管29を導波管37に回転可能に接続する。導波管保持部41は、固定側架台6の環状部6Bの内側に存在する。ロ-タリジョイント36は、導波管保持部41の下側に接続して、ジョイント収納部6Dに回転可能に収納される。AZ外輪部42は、基部6Aおよび環状部6Bの外側に存在する環状(ド-ナツ状)の部材である。AZ外輪部42は、導波管保持部41とは分離している。AZ外輪部42の底面側には中央がへこんだ段差が設けられる。段差は、AZ軸を中心とする同心円状に2段階に設けられる。AZ外輪部42の内側で、下側の段差に基部6Aの上面が接し、上側の段差に環状部6Bの上面が接する。
【0046】
機器搭載部43に、片持ち支持部4、制御部8、電源フィルタ9およびモ-タ駆動部10が固定される。機器搭載部43は、AZ外輪部42の上部に固定される。機器搭載部43は、上面部材43A、側面部材43Bおよび平面部材43Cを主に有する。上面部材43Aは、上から見ると環状(ド-ナツ状)で側面から見ると円錐台の上に円柱が接続した形状を有する。上面部材43Aでは、円錐台の上面の環の外径よりも、その上の円柱の直径の方が小さい。側面部材43Bは、外形が円柱状の部材である。側面部材43Bは、下端にフランジを有し、環状の平面である上面を有する。側面部材43Bのフランジが、方位角架台5を構成するAZ外輪部42の上部に固定される。上面部材43Aの下端側の周辺部が、側面部材43Bの上面にネジ止めされる。平面部材43Cは、上から見ると長方形の外形を有するXY平面に平行な平面を有する部材である。平面部材43Cは、支柱26の外周側において支柱26の底面よりも低い位置に設けられる。平面部材43CのX軸に平行な側の端部は、短く上側に折り曲げられている。平面部材43Cは、側面部材43Bの下端のフランジにネジ止めされる。平面部材43Cには、電源フィルタ9が載置して固定される。モ-タ駆動部10は、側面部材43Bに固定される。
【0047】
AZ軸駆動モ-タ44は、DDモ-タである。AZ軸駆動モ-タ44は、固定側架台6に固定された円筒状の固定子44Sの外側を円筒状の回転子44Rが回転する構造のモ-タである。AZ軸駆動モ-タ44の固定子44Sは、環状部6Bの上部の外周面に設けられる。AZ軸駆動モ-タ44の回転子44Rは、固定子44Sの径方向の外側において側面部材43Bの内周面に固定される。AZ軸駆動モ-タ44は、方位角を指令値に変更する動力および指令値に維持する動力を発生する方位角変更電動機である。
【0048】
ベアリング46は、AZ外輪部42の側面と固定側架台6の基部6Aの間に配置される。ベアリング46は、AZ外輪部42を固定側架台6に対して回転可能にする。ベアリング47は、ロ-タリジョイント36とジョイント収納部6Dの間に配置される。ベアリング47は、導波管保持部41およびロ-タリジョイント36を固定側架台6に対して回転可能にする。エンコ-ダ45は、方位角架台5が有する上面部材43Aの上部の円筒の内側で、固定側架台6の頂部6Cの上部の円筒の外側に配置される。エンコ-ダ45は、環状の平板を有する。エンコ-ダ45は、環状の平板に刻まれた目盛り線を読むことで、AZ軸駆動モ-タ44の回転子44Rの回転角度を検出する。
【0049】
図8および
図9に示すように、固定側架台6の環状部6Bの内側と、方位角架台5が有する導波管保持部41の外側には、スリップリング48が設けられる。スリップリング48は、固定側架台6と方位角架台5の間で制御部8への電源線と信号線を回転可能に接続する。
【0050】
ベ-ス7の内部には、通信装置の構成要素であるBUC(Block Up Converter)49を収容している。BUC49は、入力される送信信号の周波数(BB周波数)を送信電波の周波数(RF周波数)に変換して、かつ増幅する機能を有する。RF周波数は、BB周波数よりも高い。BUC49をアンテナ装置100の内部に収容することで、移動体の内部に設置する通信装置が要するスペ-スや重量を低減できる。ベ-ス7の内部には、BUC49以外の通信に必要な機器を収容してもよい。
【0051】
BUC49は、電源部50、電源フィルタ51、周波数変換器52および増幅器53を主に有して構成する。電源部50は、増幅器53に電力を供給する。電源部50は、アンテナ装置100の外部から供給される直流電力をRF周波数の交流電力に変換して、増幅器53に供給する。電源フィルタ51は、直流電力の雑音を除去して電源部20に直流電力を供給する。周波数変換器52は、BB周波数の送信信号をRF周波数の送信信号に変換する。なお、BB周波数ではなく中間周波数の送信信号をRF周波数の送信信号に変換する場合もある。中間周波数は、BB周波数よりも高くRF周波数よりも低い周波数である。増幅器53は、固体電力増幅器(SSPA、Solid State Power Amplifier)である。増幅器53は、入力される送信信号を増幅する。ベ-ス7の内部には、BUC49の構成要素全部ではなく、少なくとも増幅器53を収容すればよい。
【0052】
増幅器に外部から電力が供給されるアンテナ装置では、BUCは電源部と電源フィルタを有さない。また、外部から交流電力が供給されて、周波数や電圧などを変換した交流電力を供給する電源部を備えるアンテナ装置も存在する。電源部を有さない、あるいは入力される交流電力を周波数および電圧の少なくとも一方を変更した交流電力に変換する電源部を有するアンテナ装置にも、本開示は適用できる。
【0053】
送信信号は、図示しない入力端子からアンテナ装置100の内部に導入される。送信信号は同軸信号線54(図示せず)を通って、周波数変換器52に入力される。周波数変換器52でRF周波数に変換された送信信号は、同軸信号線55(図示せず)を通って増幅器53に入力される。増幅器53は、入力された送信信号を増幅する。増幅された送信信号は、第1フィルタ56、カプラ57、第2フィルタ58、電波分離導波管59を経由して導波管37に入力される。カプラ57は、双方向性結合器である。カプラ57は、送信信号をモニタできるように、送信信号の一部を分岐させる。第1フィルタ56および第2フィルタ58は、電波天文業務や固定無線業務への干渉が発生しないように、これらの業務で使用される周波数帯域の信号を送信信号から除去する。第2フィルタ58から出力される送信信号は、電波分離導波管59に入力される。電波分離導波管59に入力される送信信号は、RF周波数に変換され、かつ増幅器53で増幅された送信信号である。
【0054】
電波分離導波管59は、3端子を有する導波管である。電波分離導波管59の1個の端子には、第2フィルタ58が接続する。別の1個の端子には、導波管37が接続する。残りの1個の端子には、低雑音増幅変換器40が接続する。電波分離導波管59は、第2フィルタ58が出力する送信信号を、アンテナ部1に接続する導波管37に出力する。電波分離導波管59は、導波管37から入力される受信信号を低雑音増幅変換器40に出力する。
【0055】
電波分離導波管59は、第2フィルタ58から入力される送信信号を導波管37に出力する。導波管37は、ロ-タリジョイント36に接続する。増幅器53で増幅された送信信号は、第1フィルタ56、カプラ57、第2フィルタ58、電波分離導波管59、導波管37、ロ-タリジョイント36、導波管29、ロ-タリジョイント32、電波結合導波管25、ロ-タリジョイント21、導波管20、電波分離器19および導波管18という経路で、放射器13に入力される。導波管37、導波管29、電波結合導波管25、導波管20および導波管18は、放射器13が送信電波として放射する送信信号を放射器13へ伝送する導波管である。
【0056】
放射器13は、入力されるRF周波数の送信信号を、送信電波として空間に放射する。放射された送信電波は、副反射器14で主反射鏡12の方向へ反射される。主反射鏡12は、送信電波を指向方向に向けて反射する。指向方向には、通信相手である例えば通信衛星が存在する。ここでは、通信衛星は静止衛星とする。なお、本開示に係るアンテナ装置を使用する通信装置は、静止衛星ではない通信衛星、他の移動体、地上局などを通信相手にすることができる。
【0057】
電波分離導波管59は、導波管37から入力される受信信号を低雑音増幅変換器40に出力する。低雑音増幅変換器40は、RF周波数の受信信号をBB周波数の受信信号に変換し、かつ受信信号を増幅する。増幅された受信信号は、図示しない出力端子からアンテナ装置100の外部に存在する通信装置に入力される。
【0058】
ベ-ス7の形状を説明する。ベ-ス7の下部の外形は、略5角形の断面を有する柱体である。そのため、ベ-ス7の底面の形状は、略5角形である。ベ-ス7の上部は、円筒である。ベ-ス7は、略5角形の断面を有する柱体の上に円柱を組み合わせた外形を有する。ベ-ス7の上部の円筒には、その上側にフランジが設けられる。ベ-ス7の円筒の部分の高さは、略5角形の断面を有する柱体の部分の高さの3分の1程度である。
【0059】
ベ-ス7のフランジの上側には図示しない複数個の取付金具が設けられている。レド-ム11の下端がベ-ス7のフランジよりも下に来る位置で、レド-ム11の側面が取付金具に固定される。
【0060】
図7を参照して、略5角形であるベ-ス7の底面の形状を説明する。ベ-ス7の底面は、Y軸に関して対称である。ベ-ス7は、Y軸およびZ軸を含むYZ平面に関して対称な形状を有する。
図7における上側をY軸負側、下側をY軸正側、右側をX軸正側、左側をX軸負側と呼ぶ。略5角形であるベ-ス7の底面の外形線では、Y軸に対して斜めな2個の辺が接続する角がY軸正側に存在し、Y軸負側にY軸に垂直な辺が存在し、Y軸に垂直な辺とY軸に対して斜めな辺との間をY軸に沿った2個の辺が結ぶ。ベ-ス7の底面の外形線において、Y軸に沿う左右の辺は、Y軸に平行な直線である2個の部分と、直線の部分の間をつなぐ円弧の一部の部分を有する。Y軸に平行な左右の直線の部分の間隔は、Y軸負側で狭く、Y軸正側で広い。外形線のY軸に垂直な直線と左右のY軸に平行な直線との間のY軸負側における角部は、円弧の一部で結ばれる。外形線の左右のY軸に平行な線のY軸正側に、約50度の角度で斜めに直線が微小な円弧を介してそれぞれ接続する。外形線における2本のY軸に対して斜めの直線は、互いに約100度の角度をなす。2本の斜めの直線は、Y軸正側においてX軸の中央で間に円弧状の角部を挟んで互いに接続する。ベ-ス7の対称面は、ベ-ス7のY軸正側の角部を通る。
【0061】
ベ-ス7の外側面および内側面は、底面に対して垂直である。外側面と底面の間の接続部分は丸く面取りされている。Y軸負側のベ-ス7の側面には、アンテナ装置100の入出力の端子を配置する。なお、入出力の端子は図示していない。
【0062】
ベ-ス7のY軸正側の角部の両側の外側面には、放熱フィン60A、60Bを設けている。放熱フィン60A、60Bは、ベ-ス7の角部を挟んで隣接する。また、ベ-ス7には、放熱フィン60A、60Bが設けられる部分の外側面の内側(内側面)に、それぞれ搭載平面7A、7Bが設けられている。搭載平面7A、7Bに対応する位置のベ-ス7の外側面に放熱フィン60A、60Bがそれぞれ設けられている。放熱フィン60A、60Bは、YZ平面に関して左右対称な形状である。放熱フィン60A、60Bは、各フィンをZ軸に平行に設けている。放熱フィン60A、60Bの各フィンの根元をつなぐ部材は、各フィンに平行な方向から見ると横長の長方形の形状である。放熱フィン60A、60Bの高さは、ベース7の高さよりも低い。そのため、放熱フィン60A、60Bを設けることで、ベ-ス7の高さは高くならない。
【0063】
放熱フィン60A、60Bは、その両端部でフィンの長さを短くしている。放熱フィン60A、60BのY軸負側の端部では、放熱フィン60A、60Bの各フィンの先端がY軸に平行なベ-ス7の側面よりも微小に内側に位置するように、各フィンの長さを短くしている。放熱フィン60A、60BのY軸負側の端部では、放熱フィン60A、60Bが有する各フィンの先端がY軸に平行な直線上に存在する。そのため、
図2および
図4に示すように、Y軸に平行な方向からアンテナ装置100を見る場合のアンテナ装置100の断面積は、放熱フィン60A、60Bを設けることで増加しない。
【0064】
図7に示すように、放熱フィン60A、60BのY軸正側の端部では、フィンの長さを短くしている。放熱フィン60A、60BのY軸正側の端部は、ベ-ス7の角部の側に配置された端部である。Z軸に平行な方向から見る場合に、放熱フィン60A、60BのY軸正側の端部で各フィンの先端がX軸に平行な直線上に存在する。放熱フィン60A、60BのY軸正側の端部では、放熱フィン60A、60Bの各フィンの先端がベ-ス7の角部よりも僅かにY軸正側に位置するように、各フィンの長さが中央部の各フィンよりも短く決められている。X軸に平行な方向からアンテナ装置100を見る場合には、放熱フィン60A、60Bを設けることで、断面積が僅かに増加する。放熱フィン60A、60Bがその間のベ-ス7の角部から出る量と、放熱フィン60A、60Bによる冷却効果を総合的に判断して、放熱フィン60A、60Bの設置位置、各フィンの長さを決める。ベ-ス7の底面の各辺に対応する外側面の何れかに放熱フィンを設ける場合に、その外側面の底面に沿う辺の長さの全部に放熱フィンを設けなくてもよい。底面に沿う辺の一部に相当する長さの放熱フィンを、その外側面に設けてもよい。
【0065】
放熱フィン60A、60BをY軸に対して斜めに設けているので、Y軸に平行な方向から見る場合の放熱フィン60A、60BのXY平面に平行な方向での幅を、レド-ム直径よりも小さくできる。放熱フィン60A、60Bを直線状に並べる場合の合計の長さは、レド-ム直径よりも大きい。電源部50は、外側面に放熱フィンが設けられた位置に対応する内側面とは異なる位置に搭載してもよい。その場合には、放熱フィンはベ-スの1つの外側面に設けてもよい。放熱フィンを設ける外側面の底面に沿う辺の長さは、レド-ム直径よりも小さくする。増幅器の長さが長く分割できる場合は、角部を挟んで隣接する2つのベ-スの外側面に設けた放熱フィンに対応する位置の内側面に増幅器を搭載してもよい。
【0066】
ベ-ス7の下部のXY平面に平行な断面が略5角形である柱体において、XY平面における柱体の幅を容器幅と呼ぶ。XY平面における柱体の幅は、XY平面におけるベース7の外側面の間隔である。ベ-ス7の容器幅は、Y軸に平行な方向から見る場合に最小になる。ベ-ス7の下部の柱体の幅は、Y軸に平行な方向から見る場合に、レド-ム直径よりも小さい。放熱フィン60A、60Bは、Y軸に平行な方向から見るとベ-ス7の下部の柱体の範囲内に設けられている。放熱フィン60A、60Bは、Y軸に平行な方向から見る場合に容器幅の範囲内に設けられている。容器幅が最小に見える方向を、最小容器幅方向と呼ぶ。ベ-ス7では、最小容器幅方向はY軸に平行な方向である。ベ-スの形状を変更する場合には、最小容器幅方向は、Y軸に平行な方向とは異なる方向になる場合がある。
【0067】
アンテナ装置100において、X軸方向の長さを装置幅、Y軸方向の長さを装置長、Z軸方向の長さを装置高と呼ぶ。
図6および
図7に示すように、アンテナ装置100では装置長が装置幅よりも4%程度大きい。装置長が装置幅よりも大きい理由は、Y軸正側においてベ-ス7の角部がレド-ム11よりも出ており、ベ-ス7の角部よりも放熱フィン60A、60Bが出ているからである。
【0068】
ベ-ス7は、BUC49を収容する。BUC49は送信信号を増幅する。そのため、BUC49は大きな電力を消費する。アンテナ装置100を小型かつ軽量に維持した上で、BUC49を効率的に冷却する構造について説明する。BUC49の構成要素の中で大きな熱を発生する構成要素は、増幅器53と電源部50である。増幅器53を効率的に冷却するために、増幅器53はベ-ス7の内側面に設けられた搭載平面7Aに搭載する。増幅器53の発熱部分が搭載平面7Aに密着するように、増幅器53を搭載平面7Aに搭載する。同様に、電源部50を効率的に冷却するために、電源部50はベ-ス7の内側面に設けられた搭載平面7Bに搭載する。電源部50の発熱部分が搭載平面7Bに密着するように、増幅器53を搭載平面7Aに搭載する。搭載平面7A、7Bは、XY平面に平行な方向に同じ長さを有する。放熱フィン60Aおよび搭載平面7Aに挟まれる部分と放熱フィン60Bおよび搭載平面7Bに挟まれる部分では、ベ-ス7の他の部分よりも肉厚である。肉厚にする理由は、放熱フィン60A、60Bの各フィンの根元を連結する部分を、ベ-ス7の側面と兼用しているためである。ベ-ス7に放熱フィン60A、60Bを設けるので、部品を追加することなく、発熱部品である増幅器53および電源部50を効果的に冷却できる。発熱部品で発生する熱を放熱フィン60A、60Bによりアンテナ装置100の外部に直接、放熱できるので、非常に効率よく冷却できる。
【0069】
図1、
図2、
図3、
図5に示すように、主反射鏡12の背面側に、姿勢センサ61を配置する。姿勢センサ61は、傾斜角度と加速度を含む姿勢情報を検出する。姿勢センサ61が検出した姿勢情報は、制御部8に入力される。制御部8は、姿勢情報と外部から入力される移動体の位置情報および機首方向を基にアンテナ部1の指向方向の指令値を決める。さらに、制御部8は、アンテナ部1の指向方向および偏波角が指令値に一致するように、POL軸駆動モ-タ17、EL軸駆動モ-タ31およびAZ軸駆動モ-タ44を制御する。モ-タ駆動部10は、制御部8により制御されて、POL軸駆動モ-タ17、EL軸駆動モ-タ31およびAZ軸駆動モ-タ44を駆動するパルス電流を生成する。
【0070】
制御部8およびモ-タ駆動部10は、POL軸駆動モ-タ17、EL軸駆動モ-タ31およびAZ軸駆動モ-タ44を制御および駆動する指向方向変更制御駆動装置を構成する。制御部8およびモ-タ駆動部10のすべてを、方位角架台よりも上側で支柱と共にAZ軸を挟む位置に配置してもよい。方位角架台よりも上側で支柱と共にAZ軸を挟む位置は、仰角軸構造体の両端を支持する従来のアンテナ部の支持構造が占有する空間に含まれる位置である。制御部8およびモ-タ駆動部10の少なくとも一部を、方位角架台よりも上側で支柱と共にAZ軸を挟む位置に配置すればよい。そうすることで、仰角軸構造体の両端を支持するアンテナ部の支持構造が占有する空間に別の装置を配置して、空間を有効に利用できる。その結果、従来よりもアンテナ装置を小型かつ軽量にできる。従来と同様な大きさを有する場合には、従来よりも強いあるいは指向性が高い電波を放射できるアンテナ装置が得られる。
【0071】
制御部8およびモ-タ駆動部10の過半の部分は、AZ軸を含みかつEL軸に垂直な平面に対して支柱26が存在しない側に配置している。そのため、方位角架台5と共にAZ軸の回りに回転する部分の重心を、AZ軸の上またはAZ軸の近傍に配置できる。そうすることで、AZ軸の回りに方位角架台5を回転させるために必要なトルクを低減でき、AZ軸駆動モ-タ44として小型のモ-タを使用できる。AZ軸駆動モ-タ44を小型にすることで、アンテナ装置100を小型化かつ軽量化できる。制御部8およびモ-タ駆動部10を、AZ軸を含みかつEL軸に垂直な平面に対して支柱26が存在する側と、支柱26が存在しない側にどのように配分して配置するかは、方位角架台5と共にAZ軸の回りに回転する部分の重心がAZ軸に近くなるように決める。
【0072】
制御部8には、通信相手である静止衛星の位置が予め保存されている。アンテナ装置100が搭載される移動体は、GPS受信機などにより移動体の位置情報と機首方向を測定する。測定された移動体の位置情報および機首方向は、制御部8に入力される。アンテナ部1が静止衛星との通信を開始した後は、受信信号の信号強度も制御部8に入力される。
【0073】
制御部8は、静止衛星を初期補足する際には、移動体の位置情報および機首方向と静止衛星の位置情報から、アンテナ部1が静止衛星の方向を向く指向方向の指令値を生成する。姿勢センサ61からの姿勢情報、エンコ-ダ24からのPOL軸の角度、エンコ-ダ33からのEL軸の角度、エンコ-ダ45からのAZ軸の角度に基づき、アンテナ部1の指向方向の指令値とアンテナ部1の指向方向が一致するように、制御部8はPOL軸駆動モ-タ17、EL軸駆動モ-タ31およびAZ軸駆動モ-タ44を制御する。
【0074】
通信を開始した後は、制御部8は、アンテナ部1の指向方向を微小に変化させて、受信信号の信号強度が増加する方向にアンテナ部1の指向方向の指令値を変化させる。姿勢情報から移動体の姿勢の急激なあるいは定常的な変化を検出した場合は、アンテナ部1が静止衛星の方向を向くことが維持できるように、移動体の姿勢の変化を打ち消す方向に、アンテナ部1の指向方向および偏波角の指令値を決めて、指令値とアンテナ部1の実際の指向方向および偏波角が一致するようにPOL軸駆動モ-タ17、EL軸駆動モ-タ31およびAZ軸駆動モ-タ44を制御する。
【0075】
例えば、静止衛星ではない通信衛星と通信する場合には、アンテナ装置の外部で各時点での通信衛星と移動体の位置が求められる。さらに通信衛星と移動体の位置から、移動体の姿勢によらないアンテナ部の指向方向が求められる。アンテナ装置は、外部から指向方向の指令値、移動体の姿勢情報が入力されて、姿勢センサ61からの姿勢情報、各エンコ-ダからの角度情報を基に、アンテナ部の指向方向が指令値を向くために必要な各軸の角度値を求める。アンテナ装置は、求めた角度値になるように各軸のモ-タを制御および駆動する。
【0076】
図13は、移動体であるヘリコプタ(回転翼機)90にアンテナ装置100が搭載された状態を示す斜視図である。
図13では、点線で囲んだ範囲を拡大する図も示す。アンテナ装置100は、ヘリコプタ90が水平な姿勢をとっている場合に、アンテナ装置100のAZ軸が鉛直になるようにヘリコプタ90に取り付けられる。すなわち、アンテナ装置100のXY平面がヘリコプタ90の機体の水平面と平行になるように、アンテナ装置100はヘリコプタ90に搭載される。例えば、ヘリコプタ90の機体の前方右側の上部から出る支持棒91の先端にアンテナ装置100は取り付けられる。
【0077】
アンテナ装置100は、Y軸が機首方向と平行になるようにヘリコプタ90に搭載される。そうすることで、ヘリコプタ90の機体を機首から見た場合の幅方向にアンテナ装置100のX軸が平行になり、Z軸が機体の高さ方向と平行になる。Y軸を機首方向に平行にすることで、アンテナ装置100の機首方向から見る断面積は、X軸を機首方向に平行に向けた場合よりも小さくなる。これは、アンテナ装置100では、装置幅が装置長よりも小さいためである。機首方向から見る断面積を小さくできるので、ヘリコプタ90が移動する際の空気抵抗を低減できる。装置幅を大きくすることなく放熱フィン60A、60Bを設けているので、放熱フィン60A、60Bを設けることによる空気抵抗の増加は発生しない。ベ-ス7は、断面積が小さいY軸負側の側面が機首方向を向くように設置している。ベ-ス7のX軸正側およびX軸負側の外側面は、曲面で容器幅を増加させており、空気抵抗を低減できる。ベ-ス7のX軸正側およびX軸負側の外側面は、機首方向に垂直であるXZ平面での容器幅を決める外側面である。ベ-ス7は、容器幅が変化する外側面の部分を有する。容器幅が変化するベ-ス7の外側面の部分は、Y軸に沿う方向での外側面である。
【0078】
アンテナ装置100は、ヘリコプタ90が有するロ-タ(回転翼)92が回転して発生する下降気流が流れる位置に搭載される。ヘリコプタ90は、ロ-タ92が回転して下降気流を発生させる回転翼機である。ヘリコプタ90が離陸している場合にはロ-タ92は回転しており、下降気流がアンテナ装置100の放熱フィン60A、60Bにあたる。また、放熱フィン60A、60Bの各フィンは、下降気流が流れるZ軸の方向に平行になるように設けられている。そのため、放熱フィン60A、60Bの各フィンの近傍を流れる空気の量を大きくでき、放熱フィン60A、60Bの放熱量を大きくできる。すなわち、放熱フィン60A、60Bの冷却能力を大きくできる。
【0079】
アンテナ装置100が搭載される移動体は、ヘリコプタ以外の移動体でもよい。移動体としては、航空機、飛行船、ドロ-ンなどの有人あるいは無人の空中移動体、自動車や鉄道車両などの地上を移動する移動体、船舶や潜水艦など水上または水中を移動する移動体でもよい。ヘリコプタ以外の移動体に搭載する場合も、Y軸が機首方向に平行になるように移動体に搭載する。そのように搭載することで、機首方向から見るアンテナ装置の断面積を小さくできるので、移動体が移動する際の空気抵抗あるいは水の抵抗を低減できる。
【0080】
アンテナ装置は、POL軸および偏波軸駆動部を備えないものでもよい。POL軸および偏波軸駆動部を備えないアンテナ装置では、仰角軸構造体がアンテナ部を支持する。制御部およびモ-タ駆動部は、AZ軸駆動モ-タおよびEL軸駆動モ-タを制御および駆動する。あるいは、アンテナ部全体がPOL軸の回りに回転してもよい。アンテナ部全体がPOL軸の回りに回転するアンテナ装置では、偏波軸駆動部がアンテナ部を支持し、仰角軸構造体は偏波軸駆動部を介してアンテナ部を支持する。
【0081】
アンテナ装置は、EL軸に加えて、EL軸と直交するXEL軸(補助軸)を備えるものでもよい。XEL軸の回転できる角度範囲は、EL軸の回転できる角度範囲よりも狭くする。AZ軸、EL軸およびXEL軸を備えるアンテナ装置は、アンテナ部が天頂方向の近傍において通信相手を追尾しやすいという特徴がある。AZ軸とEL軸を有してXEL軸を有さないアンテナ装置では、アンテナ部が天頂方向の近傍を向いている場合に、EL軸による回転方向と直交する方向には、アンテナ部の指向方向を変更することが難しい。これは、高仰角になる天頂方向の近傍では、AZ軸回りの回転により変更されるアンテナ部の指向方向の変化量が小さいからである。EL軸およびXEL軸を有するアンテナ装置では、天頂方向の近傍にアンテナ部が向いている場合にも、EL軸およびXEL軸の角度を変更することで、通信相手を追尾できる。EL軸およびXEL軸を有するアンテナ装置では、アンテナ部の指向方向が高仰角でない場合は、指向方向は主にAZ軸とEL軸で変更する。高仰角でない場合は、XEL軸の角度は、移動体の姿勢の両方向の急変に同じように対応できるように、XEL軸の回りに回転できる角度範囲の中央の角度とする。
【0082】
XEL軸も有するアンテナ装置では、アンテナ部および偏波軸駆動部を支持する補助軸構造体を備える。偏波軸駆動部は、放射器だけをPOL軸の回りに回転させるものでも、アンテナ部全体をPOL軸の回りに回転させるものでもよい。補助軸構造体は、XEL軸の回りに仰角軸構造体よりも狭い角度範囲で回転可能である。補助軸構造体は、片持ち支持される仰角軸構造体によりXEL軸の回りに回転可能に支持される。仰角軸構造体は、補助軸構造体を介してアンテナ部を支持する。
【0083】
補助軸構造体の仰角軸構造体に対するXEL軸の回りの回転角度である補助角は、XEL駆動モ-タにより指令値に変更されて指令値に維持される。XEL駆動モ-タは、補助角を指令値に変更する動力および指令値に維持する動力を発生させる補助角変更電動機である。制御部およびモ-タ駆動部は、XEL軸駆動モ-タも制御および駆動する。
【0084】
EL軸およびXEL軸を有するアンテナ装置は、POL軸および偏波軸駆動部を備えないものでもよい。POL軸および偏波軸駆動部を備えないが、XEL軸および補助軸構造体を備えるアンテナ装置では、補助軸構造体がアンテナ部を支持する。
【0085】
XEL軸および補助軸構造体を備えるアンテナ装置では、XEL軸回りの回転も考慮して、方位角架台よりも上側で支柱と共にAZ軸を挟む位置に、アンテナ部などと干渉しないように制御部およびモ-タ駆動部の少なくとも一部を配置する。仰角および補助角が決められた角度範囲内の各角度である場合に、アンテナ部、偏波軸駆動部、補助軸構造体および仰角軸構造体が存在する空間領域を、アンテナ存在範囲と呼ぶ。XEL軸および補助軸構造体を備えないアンテナ装置でも、仰角が決められた角度範囲内の各角度である場合に、アンテナ部、偏波軸駆動部および仰角軸構造体が存在する空間領域を、アンテナ存在範囲と呼ぶ。アンテナ存在範囲の外側で、かつ方位角架台よりも上側で支柱と共にAZ軸を挟む位置に、制御部およびモ-タ駆動部の少なくとも一部を配置する。
【0086】
ベ-スの外側面に放熱フィンを設け、放熱フィンが設けられた外側面に対応するベースの位置の内側面に発熱部品を搭載する冷却構造は、アンテナ装置100とは異なるアンテナ装置にも適用できる。アンテナ装置は、アンテナ部を両持ちで支持するものでもよい。POL軸を有さないアンテナ装置でもよく、XEL軸を有するアンテナ装置でもよい。主反射鏡を有するアンテナ部を、指向方向の方位角および仰角を変更可能に、ベ-スおよびレド-ムの内部に収容するアンテナ装置であればよい。
【0087】
アンテナ部の指向方向に関して、仰角を変更できる範囲を仰角回転範囲と呼ぶ。仰角は、AZ軸に垂直な平面とアンテナ部の指向方向とがなす角度である。アンテナ装置100の仰角回転範囲は、0度から90度である。仰角=0度は、アンテナ部1がAZ軸に直交する方向(方位角軸直交方向)を向く状態である。仰角=90度は、アンテナ部1がAZ軸に平行な方向(方位角軸方向)を向く状態である。
【0088】
方位角架台よりも上側で支柱と共にAZ軸を挟む位置に設けている制御部の形状を変更して、方位角軸方向から両側に方位角軸直交方向まで仰角を変更できるようにしてもよい。例えばアンテナ装置100において、以下の(A)~(C)で規定するような形状に制御部8Rの形状を変更したアンテナ装置では、制御部8Rが存在する側にアンテナ部1が向く場合でもアンテナ部1の指向方向は方位角直交方向に向くことができる。
(A)制御部配置面よりも
図3における左側の制御部8Lが存在する空間を、左側装置空間と呼ぶ。
(B)制御部配置面に関して、左側装置空間と対称な空間を右側装置空間と呼ぶ。
(C)制御部8Rの形状を、右側装置空間の範囲内に存在するような形状に変更する。
【0089】
方位角軸方向から両側に方位角軸直交方向まで仰角を変更できるアンテナ装置では、ある方位角方向(方位角1)でアンテナ部が方位角軸直交方向(仰角=0度)を向いている状態から、仰角だけを変化させると、アンテナ部が方位角軸方向(仰角=90度)を向く状態をとった後に、方位角1と180度異なる方位角2においてアンテナ部が方位角軸直交方向(仰角=0度)を向く状態をとることができる。方位角2においてアンテナ部が方位角軸直交方向を向く状態は、方位角1からの角度で仰角を定義すると、仰角=180度である。
【0090】
移動体に搭載されるアンテナ装置では、通信相手を追尾できることを保証する仰角の範囲がアンテナ装置の仕様書に規定される場合がある。アンテナ装置が通信相手を追尾できることを保証する仰角の下限値を、仰角下限値(変数ELlowで表わす)と呼ぶ。アンテナ装置が通信相手を追尾できることを保証する仰角の上限値を、仰角上限値(変数ELHighで表わす)と呼ぶ。アンテナ装置の仰角回転範囲を、仰角最小値(変数ELminで表わす)から仰角最大値(変数ELmaxで表わす)までとする。
【0091】
仰角回転範囲が、以下のように決められたアンテナ装置を考える。角度の単位は度である。
ELlow<ELHigh≦90 (1)
ELmin≦ELlow (2)
ELHigh≦ELmax (3)
180-ELlow≦ELmax (4)
式(1)は、仰角下限値と仰角上限値の間の関係を表す。式(2)および式(3)は、仰角下限値と仰角上限値の間の範囲で通信相手を追尾する上で必要な、アンテナ装置の仰角回転範囲の条件を表す。式(4)は、天頂近傍を通過する通信相手と継続して通信する場合に必要な、アンテナ装置の仰角回転範囲の条件を表す。
【0092】
低軌道衛星などの通信相手と、仰角下限値の位置から通信を開始して、通信相手が天頂近傍を通過して追尾開始時とは反対側の方位角の方向で仰角下限値になる位置まで継続して通信する場合に使用されるアンテナ装置は、式(1)から式(4)を満足する仰角回転範囲を持つ必要がある。
【0093】
式(4)を満足しない仰角回転範囲を持つアンテナ装置では、仰角がELmaxになると、それ以上は仰角を増加させることができない。アンテナ部の指向方向の方位角を180度回転させて、仰角が90度以下の範囲で通信相手を追尾することになる。方位角を180度回転させる期間の少なくとも一部では、通信相手との通信ができなくなる。
【0094】
式(1)から式(4)を満足する仰角回転範囲を持つアンテナ装置では、方位角を180度変更することを発生させることなく、仰角下限値の位置から追尾開始時とは反対側の方位角の方向で仰角下限値になる位置まで通信相手と継続して通信できる。
【0095】
式(1)から式(4)を満足する仰角回転範囲は、方位角軸方向(仰角=90度)を含み、かつ方位角軸方向の両側において決められた仰角下限値(ELlow)以上である仰角の範囲である。なお、仰角回転範囲(ELminからELmax)は、方位角軸方向(仰角=90度)に関して対称でなくてもよい。
【0096】
式(1)から式(4)を満足する仰角回転範囲を持ち、かつXEL軸および補助軸構造体を備えるアンテナ装置では、通信相手をより適切に追尾することができる。
【0097】
各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の変形や一部の構成要素を省略すること、あるいは一部の構成要素の省略や変形をした各実施の形態の自由な組み合わせが可能である。
【符号の説明】
【0098】
100 アンテナ装置、
1 アンテナ部、
2 偏波軸駆動部(偏波軸構造体)、
3 仰角軸構造体、
4 片持ち支持部、
5 方位角架台、
6 固定側架台(基礎部)、
6A 基部、
6B 環状部、
6C 頂部、
6D ジョイント収納部、
7 ベ-ス、
7A、7B 搭載平面(内側面)、
8 制御部(指向方向変更制御駆動装置)、
9 電源フィルタ、
10 モ-タ駆動部(指向方向変更制御駆動装置)、
11 レド-ム、
12 主反射鏡、
13 放射器、
14 副反射器、
15 装着部品、
16 主反射鏡支持円筒部、
17 POL軸駆動モ-タ(偏波角変更電動機)、
17S 固定子、
17R 回転子、
18 導波管、
19 電波分離器、
20 導波管、
21 ロ-タリジョイント、
22 ベアリング、
23 ベアリング、
24 エンコ-ダ、
25 電波結合導波管、
26 支柱、
27 EL軸支持円筒部(仰角軸構造体支持部、仰角変更外円筒部)、
28 導波管保持部、
29 導波管、
30 主反射鏡支持部、
31 EL軸駆動モ-タ(仰角変更電動機)、
31S 固定子、
31R 回転子(仰角変更内円筒部)、
32 ロ-タリジョイント、
33 エンコ-ダ、
34 ベアリング、
35 ベアリング、
36 ロ-タリジョイント、
37 導波管、
38 同軸信号線、
39 低雑音増幅器、
40 低雑音増幅変換器、
41 導波管保持部、
42 AZ外輪部、
43 機器搭載部、
43A 上面部材、
43B 側面部材、
43C 平面部材、
44 AZ軸駆動モ-タ(方位角変更電動機)、
44S 固定子、
44R 回転子、
45 エンコ-ダ、
46 ベアリング、
47 ベアリング、
48 スリップリング、
49 BUC、
50 電源部、
51 電源フィルタ、
52 周波数変換器、
53 増幅器、
54 同軸信号線、
55 同軸信号線、
56 第1フィルタ、
57 カプラ、
58 第2フィルタ、
59 電波分離導波管、
60A、60B 放熱フィン、
61 姿勢センサ、
90 ヘリコプタ(移動体、回転翼機)、
91 支持棒、
92 ロ-タ。