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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】電力供給制御システム及び産業車両
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20241106BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20241106BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20241106BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20241106BHJP
   B60L 58/18 20190101ALI20241106BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/00 301B
H02J7/00 Y
H01M10/48 Z
B60L3/00 N
B60L50/60
B60L58/18
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021098477
(22)【出願日】2021-06-14
(65)【公開番号】P2022190240
(43)【公開日】2022-12-26
【審査請求日】2023-09-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 卓矢
(72)【発明者】
【氏名】丸山 均
【審査官】三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-196963(JP,A)
【文献】特開2020-131934(JP,A)
【文献】国際公開第2016/031843(WO,A1)
【文献】特開平8-50928(JP,A)
【文献】特開平8-116604(JP,A)
【文献】特開2001-297800(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
H01M 10/42-10/48
B60L 1/00-3/12
B60L 7/00-13/00
B60L 15/00-58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された電池の種類を判別すると共に、当該電池による前記車両への電力供給を制御する電力供給制御システムであって、
電池制御装置を有する第1の電池又は電池制御装置を有しない第2の電池からの電力を受給する受給部と、前記電池と電気的に接続される電気コネクタと、前記電池制御装置と情報通信可能に接続される通信コネクタと、を有する車両制御装置と、
前記電気コネクタに前記電池が接続された場合に、前記通信コネクタの接続の有無を判定する接続判定部と、
前記接続判定部の判定結果及び前記受給部への電力の供給状況に基づいて、前記電池から前記受給部への電力供給の可否を制御する供給制御部と、を備え、
前記供給制御部は、
前記通信コネクタが接続と判定され且つ前記受給部への電力の供給が無い場合に前記電池が前記第1の電池であると判断し、前記受給部への電力供給を許可し、
前記通信コネクタが非接続と判定され且つ前記受給部への電力の供給が無い場合に前記電池が不明であると判断し、前記受給部への電力供給を禁止し、
前記通信コネクタが非接続と判定され且つ前記受給部への電力の供給が有る場合に前記電池が前記第2の電池であると判断する電力供給制御システム。
【請求項2】
前記電池の搭載に関する搭載電池情報を格納する格納部と、
前記格納部に格納された前記搭載電池情報と、前記電気コネクタに接続された電池の識別に関する電池情報とを比較する比較部と、を更に備える請求項1記載の電力供給制御システム。
【請求項3】
前記比較部は、前記車両制御装置内に設けられている請求項2記載の電力供給制御システム。
【請求項4】
前記比較部は、前記電池制御装置内に設けられている請求項2記載の電力供給制御システム。
【請求項5】
前記接続判定部は、前記車両制御装置と前記電池制御装置との間のCAN通信の接続成否に基づいて前記通信コネクタの接続の有無を判定する請求項1~4のいずれか一項記載の電力供給制御システム。
【請求項6】
前記接続判定部は、前記通信コネクタに対する前記電池の物理的な接続を検知する接続検知回路を有し、前記接続検知回路の開閉状態に基づいて前記通信コネクタの接続の有無を判定する請求項1~5のいずれか一項記載の電力供給制御システム。
【請求項7】
前記供給制御部は、前記電池が前記第2の電池であると判断した場合に、通信状態が異常である旨の状態情報を生成する請求項1~6のいずれか一項記載の電力供給制御システム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項の電力供給制御システムを構成する前記車両制御装置を搭載してなる産業車両。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力供給制御システム及び産業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両に正しい種類の電池が搭載されたか否かを判定可能にする車両搭載電池判定システムが記載されている。この従来のシステムは、電池を収容する電池パックに設けられると共に当該電池の識別に関する電池情報を記憶する電池側の第1制御装置と、車両に搭載されるべき電池に関する搭載電池情報を記憶する車両側の第2制御装置とを備えている。このシステムでは、例えば第1制御装置と第2制御装置との間の通信によりにおいて搭載電池情報と電池情報とを比較し、車両に搭載された電池が搭載用電池と一致するか否かを判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-58150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両に搭載され得る電池には、電地自身の電力供給を制御するための電池制御装置を有する電池と、電池制御装置を有しない電池とが存在する。電池制御装置を有しない電池が車両に搭載される場合、車両制御装置と電池との間で通信がなされないため、搭載電池情報と電池情報との比較を行わずに電池からの電力供給がなされることとなる。一方、電池制御装置を有する電池が車両に搭載される場合であっても、通信コネクタの差し忘れ等に起因して電池制御装置と車両制御装置との間での通信がなされないため、電池の種類及び接続状態に応じた適切な制御を行うことに課題が存在している。
【0005】
本開示は、上記課題の解決のためになされたものであり、車両に搭載された電池の種類及び接続状態に応じて適切な制御を実行できる電力供給制御システム及びこれを搭載した産業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る電力供給制御システムは、車両に搭載された電池の種類を判別すると共に、当該電池による車両への電力供給を制御する電力供給制御システムであって、電池制御装置を有する第1の電池又は電池制御装置を有しない第2の電池からの電力を受給する受給部と、電池と電気的に接続される電気コネクタと、電池制御装置と情報通信可能に接続される通信コネクタと、を有する車両制御装置と、電気コネクタに電池が接続された場合に、通信コネクタの接続の有無を判定する接続判定部と、接続判定部の判定結果及び受給部への電力の供給状況に基づいて、電池から受給部への電力供給の可否を制御する供給制御部と、を備える。供給制御部は、通信コネクタが接続と判定され且つ受給部への電力の供給が無い場合に電池が第1の電池であると判断し、受給部への電力供給を許可し、通信コネクタが非接続と判定され且つ受給部への電力の供給が無い場合に電池が不明であると判断し、受給部への電力供給を禁止し、通信コネクタが非接続と判定され且つ受給部への電力の供給が有る場合に電池が第2の電池であると判断する。
【0007】
この電力供給制御システムでは、通信コネクタの接続の有無及び受給部への電力の供給状況に基づいて、車両に搭載された電池の種類が判断される。このような構成によれば、車両に搭載された電池が電池制御装置を有する第1の電池、電池制御装置を有しない第2の電池、又は不明のいずれであるかを判断できるほか、第1の電池の搭載の際の通信コネクタの差し忘れ等を判断できる。したがって、この電力供給システムでは、車両に搭載された電池の種類及び接続状態に応じて適切な制御を実行できる。
【0008】
電力供給制御システムは、電池の搭載に関する搭載電池情報を格納する格納部と、格納部に格納された搭載電池情報と、電気コネクタに接続された電池の識別に関する電池情報とを比較する比較部と、を更に備えていてもよい。これにより、電気コネクタに接続された電池を適切に動作させることが可能となる。
【0009】
比較部は、車両制御装置内に設けられていてもよい。この場合、搭載電池情報と電池情報との比較処理を車両制御装置側で完結させることができる。
【0010】
比較部は、電池制御装置内に設けられていてもよい。この場合、搭載電池情報と電池情報との比較処理を電池制御装置側で実行させることで、既存の車両制御装置に対する変更を少なくすることが可能となる。
【0011】
接続判定部は、車両制御装置と電池制御装置との間のCAN通信の接続成否に基づいて通信コネクタの接続の有無を判定してもよい。この場合、既存の構成を用いて通信コネクタの接続の有無を判定できる。
【0012】
接続判定部は、通信コネクタに対する電池の物理的な接続を検知する接続検知回路を有し、接続検知回路の開閉状態に基づいて通信コネクタの接続の有無を判定してもよい。この場合、通信コネクタの接続の有無をより確実に検知できる。
【0013】
供給制御部は、電池が第2の電池であると判断した場合に、通信状態が異常である旨の状態情報を生成してもよい。この場合、例えば車両に搭載される電池を第1の電池に限定する運用が容易となる。
【0014】
産業車両は、電力供給制御システムを構成する車両制御装置を搭載していてもよい。上記電力供給制御システムを構成する車両制御装置を適用した産業車両では、車両に搭載された電池の種類及び接続状態に応じて適切な制御を実行できる。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、車両に搭載された電池の種類及び接続状態に応じて適切な制御を実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】電力供給制御システムの概要を示す図である。
図2】電力供給制御システムの概要を示す図である。
図3】電力供給制御システムの概要を示す図である。
図4】車両制御装置及び電池制御装置の機能を示すブロック図である。
図5】電力供給制御システムの動作を示すフローチャートである。
図6】電力供給制御システムの動作を示すフローチャートである。
図7】電力供給制御システムの変形例に係る機能を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本開示の一側面に係る電力供給制御システムの好適な実施形態について詳細に説明する。
【0018】
図1図3は、本開示の一実施形態に係る電力供給制御システムの概要を示す図である。電力供給制御システム1は、車両2に搭載された電池の種類を判別すると共に、当該電池による車両2への電力供給を制御するシステムである。電力供給制御システム1が適用される車両2としては、例えば電気自動車やハイブリッド車などの乗用車、フォークリフトなどの産業車両が挙げられる。車両2に搭載され得る電池には、電地自身の電力供給を制御するための電池制御装置を有する第1の電池と、電池制御装置を有しない第2の電池とが存在する。第1の電池の例としてはリチウムイオン二次電池が挙げられ、第2の電池の例としては鉛蓄電池が挙げられる。
【0019】
図1は、車両2に第1の電池3が搭載される例を示す。車両2は、車両自身の様々な制御を統括的に管理する車両制御装置20を備えている。車両制御装置20は、例えばECU(Electronic Control Unit)である。車両制御装置20は、通信コネクタ4及び電気コネクタ5を有している。車両2に第1の電池3が搭載される際に、通信コネクタ4及び電気コネクタ5が接続される。第1の電池3は、電池制御装置30及び出力遮断リレー7を備えている。
【0020】
車両制御装置20及び電池制御装置30は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、CAN(Controller Area Network)通信回路等を有する電子制御ユニットである。車両制御装置20では、例えば、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムをCPUで実行することにより各種の機能を実現する。
【0021】
通信コネクタ4は、車両制御装置20と電池制御装置30とを情報通信可能に接続するコネクタであり、例えばCAN通信用のコネクタである。通信コネクタ4において、一方は車両制御装置20に接続されており、他方は電池制御装置30に接続されている。
【0022】
電気コネクタ5は、車両制御装置20と車両2に搭載された電池(図1の例では第1の電池3)とを電気的に接続する導電性のコネクタである。電気コネクタ5において、一方は車両制御装置20に接続されており、他方は第1の電池3における出力遮断リレー7に接続されている。この出力遮断リレー7によって、電気コネクタ5に第1の電池3が接続された場合であって、第1の電池3から車両制御装置20への電力の供給が無条件で行われないようになっている。
【0023】
接続検知回路6は、通信コネクタ4に対する電池の物理的な接続を検知する。接続検知回路6は、例えば通信コネクタ4の接続部分と一体的に形成されたショートピンにより構成されている。接続検知回路6では、通信コネクタ4の接続状態に対応して、導電性のループ回路の開閉状態が変化する。具体的には、通信コネクタ4が物理的に接続されると、接続検知回路6も閉じて電気的に接続される。通信コネクタ4が物理的に接続解除されると、接続検知回路6も開いて電気的な接続が解除される。換言すると、接続検知回路6が閉じている場合には、通信コネクタ4が接続されている状態を検知でき、接続検知回路6が開いている場合には、通信コネクタ4が接続されていない状態を検知できる。接続検知回路6の開閉状態は、電気的な接続の有無により検知できる。接続検知回路6は、車両制御装置20が有していてもよく、電池制御装置30が有していてもよい。
【0024】
電池制御装置30は、出力遮断リレー7に対して電力供給を制御する指示情報を出力遮断リレー7に出力する。出力遮断リレー7は、指示情報に応答して、車両制御装置20に対する電力供給の可否を切り替える。図1の例では、電池制御装置30は、電力供給を許可する旨の指示情報を出力遮断リレー7に出力する。出力遮断リレー7は、当該指示情報に応答して、車両制御装置20に対し電力を供給する。
【0025】
図2は、車両2に第1の電池3が搭載される際に、通信コネクタ4が接続されておらず、電気コネクタ5は接続されている例を示す。通信コネクタ4が接続解除状態であることに伴い、接続検知回路6は開いた状態となっている。また、車両制御装置20と電池制御装置30との間では、情報通信が不能の状態となっている。図2の例では、電池制御装置30は、電力供給を禁止する旨の指示情報を出力遮断リレー7に出力する。出力遮断リレー7は、当該指示情報に応答して、車両制御装置20に対する電力供給を禁止する。
【0026】
図3は、車両2に第2の電池8が搭載される例を示す。車両2に第2の電池8が搭載される際に、電気コネクタ5が接続される。第2の電池8は電池制御装置を有しないため、通信コネクタ4は接続されていない。通信コネクタ4が接続解除状態であることに伴い、接続検知回路6は開いた状態となっている。
【0027】
電気コネクタ5において、一方は車両制御装置20に接続されており、他方は第2の電池8に接続されている。電気コネクタ5に第2の電池8が接続された時点で、車両制御装置20への電力の供給が行われる。
【0028】
図4は、車両制御装置20及び電池制御装置30の機能を示すブロック図である。電池制御装置30は、接続判定部31(第1の接続判定部)、及び供給制御部32(第1の供給制御部)を有している。車両制御装置20は、機能要素として接続判定部21(第2の接続判定部)、供給制御部22(第2の供給制御部)、受給部23、格納部24、及び比較部25を有している。
【0029】
接続判定部31は、電気コネクタ5に電池が接続された場合に、通信コネクタ4の接続の有無を判定する。例えば、接続判定部31は、車両制御装置20と電池制御装置30との間のCAN通信の接続成否に基づいて通信コネクタ4の接続の有無を判定する。これに代えて又は加えて、接続判定部31は、通信コネクタ4に対する電池の物理的な接続を検知する接続検知回路6を有し、接続検知回路6の開閉状態に基づいて通信コネクタ4の接続の有無を判定する。
【0030】
供給制御部32は、接続判定部31の判定結果及び受給部23への電力の供給状況に基づいて、電池から受給部23への電力供給の可否を制御する。例えば、通信コネクタ4が接続と判定され且つ受給部23への電力の供給が無い場合に、供給制御部32は、車両2に搭載された電池が第1の電池3であると判断し、第1の電池3から受給部23への電力供給を許可する。供給制御部32は、電気コネクタ5に接続された電池の識別に関する電池情報により電池の種類を判断する。電池情報は、例えば電池自身が第1の電池3であることを示す情報である。電池情報は、電池制御装置30の所定の記憶装置内に格納されている。
【0031】
接続判定部21は、接続判定部31と同様の機能を有している。接続判定部31により通信コネクタ4の接続の有無を判定できない場合、接続判定部21が当該接続の有無を判定する。接続判定部31により通信コネクタ4の接続の有無が判定できない場合とは、一例では、車両2に第2の電池8が搭載された場合、車両制御装置20が接続検知回路6を有している場合等である。
【0032】
供給制御部22は、供給制御部32と同様の機能を有している。供給制御部32により電池から受給部23への電力供給の可否を制御できない場合、供給制御部22が当該電力供給の可否を制御する。供給制御部32により電池から受給部23への電力供給の可否を制御できない場合とは、一例では、車両2に第2の電池8が搭載された場合等である。この場合、供給制御部22は、受給部23が電力を受給するためのリレー等を切り替えてもよい。供給制御部22は、電池が第2の電池8であると判断した場合に、通信状態が異常である旨の状態情報を生成する。状態情報は、通信コネクタ4が接続されていないことに起因する通信状態の異常を示す。
【0033】
受給部23は、電池制御装置30を有する第1の電池3又は電池制御装置を有しない第2の電池8からの電力を受給する。受給部23には、電気コネクタ5の一方が接続されている。
【0034】
格納部24は、車両制御装置20の所定の記憶装置内に、電池の搭載に関する搭載電池情報を格納する。搭載電池情報は、例えば車両2に搭載され得る電池の種類、電池の出力の適正値、電池の保護機能に関するパラメータ等に関する情報である。格納部24は、搭載電池情報が第1の電池3であるか、又は第2の電池8であるかを指定するために車両2のユーザの操作を受け付けてもよい。
【0035】
比較部25は、通信コネクタ4を介して、電池情報を電池制御装置30から受信する。そして、比較部25は、格納部24に格納された搭載電池情報と、受信した電池情報とを比較する。
【0036】
図5及び図6を参照して、電力供給制御システム1の動作の一例を説明する。まず、図5において、車両2に電池が搭載される際に、電気コネクタ5が接続される(ステップS01)。
【0037】
接続判定部31は、通信コネクタ4の接続の有無を判定する(ステップS02)。例えば、接続判定部31は、車両制御装置20と電池制御装置30との間のCAN通信の接続成否に基づいて、通信コネクタ4の接続の有無を判定する。接続判定部31は、CAN通信が成功する場合に通信コネクタ4の接続が有りと判定し、CAN通信が失敗する場合に通信コネクタ4の接続が無いと判定する。これに代えて又は加えて、接続判定部31は、接続検知回路6を有し、接続検知回路6の開閉状態に基づいて通信コネクタ4の接続の有無を判定する。接続判定部31は、接続検知回路6が閉じた状態である場合に通信コネクタ4の接続が有りと判定し、接続検知回路6が開いた状態である場合に通信コネクタ4の接続が無いと判定する。
【0038】
通信コネクタ4の接続が有りの場合(ステップS03にてYES)、処理はステップS04に進む。通信コネクタ4の接続が無しの場合(ステップS03にてNO)、処理はステップS10に進む。
【0039】
供給制御部32は、通信コネクタ4が接続と判定され且つ受給部23への電力の供給が無い場合に電池が第1の電池3であると判断する(ステップS04)。供給制御部32は、例えば電池情報により電池の種類を判断する。電池の種類の判断は、供給制御部22により行われてもよい。例えば、供給制御部22は、通信コネクタ4を介して、電池情報を電池制御装置30から受信することにより、電池の種類を判断する。
【0040】
供給制御部32は、受給部23への電力供給を許可する(ステップS05)。供給制御部32は、電力供給を許可する旨の指示情報を出力遮断リレー7に出力する。出力遮断リレー7は、供給制御部32からの指示情報に応答して、受給部23に対し電力を供給する。電力の供給は、ステップS04の前に行われてもよい。
【0041】
比較部25は、通信コネクタ4を介して、電池情報を電池制御装置30から受信する。そして、比較部25は、格納部24に格納された搭載電池情報と、受信した電池情報とを比較する(ステップS06)。
【0042】
搭載電池情報と電池情報とが一致する場合(ステップS07にてYES)、処理はステップS08に進む。搭載電池情報と電池情報とが一致しない場合(ステップS07にてNO)、処理はステップS09に進む。
【0043】
電力供給制御システム1は、正常な制御が可能であるとして、受給部23への電力の供給を継続する(ステップS08)。比較部25は、比較の結果が正常であることを示す情報を、車両2が備えているディスプレイ等に表示させることにより、車両2のユーザに正常制御を通知してもよい。
【0044】
比較部25は、比較の結果が異常であることを示す情報を、車両2が備えているディスプレイ等に表示させることにより、車両2のユーザに異常を通知する(ステップS09)。
【0045】
図6に移り、通信コネクタ4の接続が無しの場合(ステップS03にてNO)の処理を説明する。供給制御部32,22は、受給部23への電力の供給の有無を判定する。受給部23への電力の供給が無しの場合(ステップS10にてNO)、処理はステップS11に進む。受給部23への電力の供給が有りの場合(ステップS10にてYES)、処理はステップS13に進む。
【0046】
供給制御部32は、通信コネクタ4が非接続と判定され且つ受給部23への電力の供給が無い場合に搭載電池情報と電池情報との比較が不可能であり、電池が不明であると判断する(ステップS11)。
【0047】
供給制御部32は、受給部23への電力供給を禁止する(ステップS12)。供給制御部32は、電力供給を禁止する旨の指示情報を出力遮断リレー7に出力する。出力遮断リレー7は、当該指示情報に応答して、受給部23に対する電力供給を禁止する。
【0048】
供給制御部22は、通信コネクタ4が非接続と判定され且つ受給部23への電力の供給が有る場合に電池が第2の電池8であると判断する(ステップS13)。供給制御部22は、例えば電池情報により電池の種類を判断する。ここでの電池情報は、第2の電池8を示す情報であり、供給制御部22等により生成されてもよい。
【0049】
比較部25は、格納部24に格納された搭載電池情報と電池情報とを比較する(ステップS14)。
【0050】
搭載電池情報と電池情報とが一致する場合(ステップS15にてYES)、処理はステップS16に進む。搭載電池情報と電池情報とが一致しない場合(ステップS15にてNO)、処理はステップS17に進む。
【0051】
電力供給制御システム1は、正常な制御が可能であるとして、受給部23への電力の供給を継続する(ステップS16)。また、供給制御部22は、通信コネクタ4が接続されていないことに起因して通信状態が異常である旨の状態情報を生成して出力する。供給制御部22は、状態情報を車両2が備えているディスプレイ等に表示させることにより、車両2のユーザに状態情報を通知してもよい。
【0052】
比較部25は、比較の結果が異常であることを示す情報を、車両2が備えているディスプレイ等に表示させることにより、車両2のユーザに異常を通知する(ステップS17)。
【0053】
以上説明したように、電力供給制御システム1では、通信コネクタ4の接続の有無及び受給部23への電力の供給状況に基づいて、車両2に搭載された電池の種類が判断される。このような構成によれば、車両2に搭載された電池が電池制御装置30を有する第1の電池3、電池制御装置30を有しない第2の電池8、又は不明のいずれであるかを判断できるほか、第1の電池3の搭載の際の通信コネクタ4の差し忘れ等を判断できる。したがって、この電力供給システムでは、車両2に搭載された電池の種類及び接続状態に応じて適切な制御を実行できる。
【0054】
本実施形態では、電力供給制御システム1は、電池の搭載に関する搭載電池情報を格納する格納部24と、格納部24に格納された搭載電池情報と、電気コネクタ5に接続された電池の識別に関する電池情報とを比較する比較部25と、を更に備えている。これにより、電気コネクタ5に接続された電池を適切に動作させることが可能となる。
【0055】
本実施形態では、比較部25は、車両制御装置20内に設けられている。この場合、搭載電池情報と電池情報との比較処理を車両制御装置20側で完結させることができる。
【0056】
本実施形態では、接続判定部21,31は、車両制御装置20と電池制御装置30との間のCAN通信の接続成否に基づいて通信コネクタ4の接続の有無を判定している。この場合、既存の構成を用いて通信コネクタ4の接続の有無を判定できる。
【0057】
本実施形態では、接続判定部21,31は、通信コネクタ4に対する電池の物理的な接続を検知する接続検知回路を有し、接続検知回路の開閉状態に基づいて通信コネクタ4の接続の有無を判定している。この場合、通信コネクタ4の接続の有無をより確実に検知できる。
【0058】
供給制御部22は、電池が第2の電池8であると判断した場合に、通信状態が異常である旨の状態情報を生成している。この場合、例えば車両2に搭載される電池を第1の電池3に限定する運用が容易となる。
【0059】
産業車両は、電力供給制御システム1を構成する車両制御装置20を搭載していてもよい。上記電力供給制御システム1を構成する車両制御装置20を適用した産業車両では、車両2に搭載された電池の種類及び接続状態に応じて適切な制御を実行できる。
【0060】
本開示は、上記実施形態に限られるものではない。例えば、図7に示されるように、比較部25は、電池制御装置30内に設けられていてもよい。この場合、比較部25は、通信コネクタ4を介して、車両制御装置20の起動状況確認要求、搭載電池情報の取得要求等を所定の時間間隔で車両制御装置20に送信する。比較部25は、格納部24に格納された搭載電池情報を車両制御装置20から受信する。そして、比較部25は、受信した搭載電池情報と、電池情報とを比較する。比較部25は、比較の結果を車両制御装置20に送信し、比較の結果を車両2が備えているディスプレイ等に表示させる。この場合、搭載電池情報と電池情報との比較処理を電池制御装置30側で実行させることで、既存の車両制御装置20に対する変更を少なくすることが可能となる。
【0061】
その他、上記実施形態では、車両2に第2の電池8が搭載された場合に、供給制御部22によって状態情報が生成され出力されるものと説明したが、状態情報の生成及び出力は必須ではない。
【0062】
また、接続判定部21,31は、CAN通信が成功、又は接続検知回路6が閉じた状態である場合に通信コネクタ4の接続が有りと判定してもよい。接続判定部21,31は、CAN通信が失敗、且つ接続検知回路6が開いた状態である場合に通信コネクタ4の接続が無いと判定してもよい。この場合、接続検知回路6のみが断線(故障)している場合でも、通信コネクタ4の接続の有無を判定できる。
【符号の説明】
【0063】
1…電力供給制御システム、2…車両、3…第1の電池、4…通信コネクタ、5…電気コネクタ、6…接続検知回路、7…出力遮断リレー、8…第2の電池、20…車両制御装置、21,31…接続判定部、22,32…供給制御部、23…受給部、24…格納部、25…比較部、30…電池制御装置。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7