(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】車両用表示制御装置及び車両用表示制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/26 20060101AFI20241106BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20241106BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
G01C21/26 C
G01C21/26 B
G09B29/00 A
H04N7/18 J
(21)【出願番号】P 2021105741
(22)【出願日】2021-06-25
【審査請求日】2023-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】野原 雅史
(72)【発明者】
【氏名】李 昊舟
(72)【発明者】
【氏名】小林 太郎
(72)【発明者】
【氏名】梅澤 朝樹
(72)【発明者】
【氏名】北村 遥
(72)【発明者】
【氏名】崔 晋海
【審査官】篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】特許第6692981(JP,B1)
【文献】特開2006-098924(JP,A)
【文献】特開2003-294457(JP,A)
【文献】特開2016-134009(JP,A)
【文献】特開平09-134121(JP,A)
【文献】特開2007-058093(JP,A)
【文献】特開2017-227477(JP,A)
【文献】特開2011-052960(JP,A)
【文献】特開2016-057088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
G09B 29/00
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車周辺の周辺情報を取得する周辺情報取得部(14)と、
自車速度を取得する自車速度取得部(15)と、
前記周辺情報を示す
画像であって自車走行中の走行道路を示す走行道路画像を含む周辺画像と、自車を示す自車画像とを表示装置に表示させる表示制御部(17)と、を備え、
前記表示制御部は、レンズ長の長さに相当する望遠度及び画角の広さに相当する広角度を設定可能であり、前記自車速度が低速であると、表示の縮尺を、前記望遠度を相対的に大きく設定すると共に前記広角度を相対的に小さく設定して前記周辺画像と前記自車画像とを前記表示装置に表示させ、前記自車速度が高速であると、表示の縮尺を、前記広角度を相対的に大きく設定すると共に前記望遠度を相対的に小さく設定して前記周辺画像と前記自車画像とを前記表示装置に表示させ
、表示画面上における前記走行道路画像の消失点の車両進行方向座標を前記自車速度の高低に関係なく固定とする車両用表示制御装置。
【請求項2】
自車の経路案内地点への接近を判定する接近判定部(16)を備え、
前記表示制御部は、
自車の経路案内地点への接近が判定されると、表示画面上における前記走行道路画像の消失点の車両進行方向座標を遠方に移動させる請求項1に記載した車両用表示制御装置。
【請求項3】
前記周辺画像は、立体物を示す立体物画像を含み、
前記表示制御部は、
経路案内地点周辺の特定の立体物画像を、前記特定の立体物画像を除く立体物画像と差別化して前記表示装置に表示させる請求
項2に記載した車両用表示制御装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、
前記経路案内地点周辺の特定の立体物画像を非透過で前記表示装置に表示させ、前記特定の立体物画像を除く立体物画像を半透明で又はぼかして前記表示装置に表示させる請求
項3に記載した車両用表示制御装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、
前記経路案内地点周辺の特定の立体物画像を3次元形状で前記表示装置に表示させ、前記特定の立体物画像を除く立体物画像を2次元形状で前記表示装置に表示させる請求
項3に記載した車両用表示制御装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、
表示の縮尺を線形に変更可能であり、前記表示の縮尺を、前記自車速度が増加することに応じて望遠度を大きく且つ広角度を小さく変更し、前記自車速度が減少することに応じて前記望遠度を小さく且つ前記広角度を大きく変更する請求項1から
5の何れか一項に記載した車両用表示制御装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、表示画面上における前記自車画像の後端の車両進行方向座標を前記自車速度の高低に関係なく固定とする請求項
1から6の何れか一項に記載した車両用表示制御装置。
【請求項8】
前記周辺画像は、立体物を示す立体物画像を含み、
前記表示制御部は、
前記自車速度が低速であると、前記立体物画像を3次元形状で前記表示装置に表示させる請求項
1から7の何れか一項に記載した車両用表示制御装置。
【請求項9】
前記周辺画像は、立体物を示す立体物画像を含み、
前記表示制御部は、
前記自車速度が高速であると、前記立体物画像を半透明で又はぼかして前記表示装置に表示させる請求項
1から7の何れか一項に記載した車両用表示制御装置。
【請求項10】
車両用表示制御装置(1)の制御部(2)に、
自車周辺の周辺情報を取得する周辺情報取得手順と、
自車速度を取得する自車速度取得手順と、
前記周辺情報を示す画像であって自車走行中の走行道路を示す走行道路画像を含む周辺画像と、自車を示す自車画像とを表示装置に表示させる場合に、前記自車速度が低速であると、表示の縮尺を、レンズ長の長さに相当する望遠度を相対的に大きく設定すると共に画角の広さに相当する広角度を相対的に小さく設定して前記周辺画像と前記自車画像とを前記表示装置に表示させ、前記自車速度が高速であると、表示の縮尺を、前記広角度を相対的に大きく設定すると共に前記望遠度を相対的に小さく設定して前記周辺画像と前記自車画像とを前記表示装置に表示させ、表示画面上における前記走行道路画像の消失点の車両進行方向座標を前記自車速度の高低に関係なく固定とする表示制御手順と、を実行させる車両用表示制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示制御装置及び車両用表示制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、カメラユニットやミリ波レーダ等の周辺監視センサにより認識された自車周辺の周辺情報を取得し、周辺情報を示す周辺画像と、自車を示す自車画像とを表示装置に表示させる車両用表示制御装置が供されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の車両用表示制御装置においては、自車周辺の走行環境をドライバに認識させ易くするために、表示の縮尺を道路種別毎に変更することが想定される。しかしながら、表示の縮尺が広角であると、自車周辺の走行環境の詳細な情報をドライバに提示し難い問題がある。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、自車周辺の走行環境をドライバに適切に提示することができる車両用表示制御装置及び車両用表示制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載した発明によれば、周辺情報取得部(14)は、自車周辺の周辺情報を取得する。自車速度取得部(15)は、自車速度を取得する。表示制御部(17)は、周辺情報を示す画像であって自車走行中の走行道路を示す走行道路画像を含む周辺画像と、自車を示す自車画像とを表示装置に表示させる。表示制御部は、自車速度が低速であると、表示の縮尺を、望遠度を相対的に大きく設定すると共に広角度を相対的に小さく設定して周辺画像と自車画像とを表示装置に表示させ、自車速度が高速であると、表示の縮尺を、広角度を相対的に大きく設定すると共に望遠度を相対的に小さく設定して周辺画像と自車画像とを表示装置に表示させ、表示画面上における走行道路画像の消失点の車両進行方向座標を前記自車速度の高低に関係なく固定とする。
【0007】
自車速度が低速であると、表示の縮尺を、望遠度を相対的に大きく設定すると共に広角度を相対的に小さく設定して周辺画像と自車画像とを表示装置に表示するようにした。表示の縮尺を、望遠度を相対的に大きく設定すると共に広角度を相対的に小さく設定することで、自車周辺の走行環境の詳細な情報をドライバに提示することができる。自車速度が増加すると、表示の縮尺を望遠に設定したままでは周辺画像の表示移動が速かったり前方表示距離が短くて運転操作に余裕を持たせられなかったりする等の不具合が生じる可能性があるが、自車速度が高速であると、表示の縮尺を、広角度を相対的に大きく設定すると共に望遠度を相対的に小さく設定して周辺画像と自車画像とを表示装置に表示するようにした。周辺画像の表示移動の煩わしさを解消すると共に前方表示距離を長く確保することができ、自車周辺の走行環境に加えて遠方までの走行環境もドライバに提示することができる。これにより、自車周辺の走行環境をドライバに適切に提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】自車速度に応じて表示の縮尺を変更する態様を示す図
【
図4】自車画像の後端及び走行道路画像の消失点を示す図
【
図6】目印となる立体物画像を非透過で表示すると共に、目印とならない立体物画像を半透明で表示した態様を示す図
【
図8】経路案内地点接近時処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、自動運転機能を備える車両について例示するが、自動運転機能を備えない車両に適用することも可能である。例えば自動車等の車両に搭載されている車両用表示制御装置1において、制御部2は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びI/O(Input/Output)を備えるマイクロコンピュータにより構成されている。マイクロコンピュータは、非遷移的実体的記憶媒体に格納されているコンピュータプログラムを実行することで、コンピュータプログラムに対応する処理を実行し、車両用表示制御装置1の動作全般を制御する。マイクロコンピュータはプロセッサと同じ意味である。非遷移的実体的記憶媒体は、ハードウェアを他のコンピュータ資源と共有していても良い。
【0010】
制御部2は、ドライバの運転操作を支援する運転支援機能と、ドライバの運転操作を代行可能な自動運転機能とを実現させる。即ち、車両用表示制御装置1が搭載されている車は、自動運転機能が作動することで自動運転による自動運転走行が可能となる。運転支援機能は、米国自動車技術会の規定する自動運転レベルにおいて、レベル2以下の自動運転機能に相当する。レベル2以下の自動運転では、ドライバによる周辺監視義務が存在する。一方、自動運転機能は、システムが制御主体となるレベル3以上の自動運転機能に相当する。レベル3以上の自動運転では、ドライバによる周辺監視義務が存在しないアイズオフ自動運転となる。レベル3以上の自動運転機能により自動運転走行する期間では、予め規定された運転以外の特定行為がドライバに許可される。
【0011】
車両用表示制御装置1は、車載ネットワークの通信バス3に一つのノードとして接続されている。通信バス3には、周辺監視センサ4と、ロケータ5と、V2X(Vehicle to Everything)通信機6と、走行制御ECU(Electronic Control Unit)7等がノードとして接続されている。通信バス3に接続されているノードは、通信バス3を介して相互にデータ通信可能である。又、これらのノードは、通信バス3を介さずに相互にデータ通信可能であっても良い。
【0012】
周辺監視センサ4は、自車周辺の走行環境を監視する自律センサであり、例えば複数のカメラユニット8と、複数のミリ波レーダ9とを備える。カメラユニット8は、単眼カメラ又は複眼カメラを含み、自車の前方範囲、後方範囲及び左右の各側方範囲を含む自車周辺を撮像し、その撮像した撮像データを検出情報として車両用表示制御装置1等に送信する。カメラユニット8は、撮像データを送信することに代え、撮像データを解析して解析データを生成し、その生成した解析データを検出情報として車両用表示制御装置1等に送信しても良い。ミリ波レーダ9は、ミリ波又は準ミリ波を自車周辺に向けて照射し、自車周辺の移動物体及び静止物体等で反射された反射波の受信状態を示す受信データを検出情報として車両用表示制御装置1等に送信する。周辺監視センサ4は、カメラユニット8やミリ波レーダ9に加え、ライダ(LiDAR:Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)やソナー等を備える構成であっても良い。
【0013】
ロケータ5は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機10と、慣性センサ11と、地図データベース12とを備える。ロケータ5は、GNSS受信機10により受信する測位信号、慣性センサ11の計測結果及び車速情報等を組み合わせ自車位置及び進行方向等を逐次測位する。ロケータ5は、測位すると、自車位置を示す自車位置情報及び進行方向を示す進行方向情報を含むロケータ情報を車両用表示制御装置1等に送信する。地図データベース12は、多数の3次元地図データ及び2次元地図データを格納した大容量の記憶媒体を主体として構成されている。3次元地図データは、道路の3次元形状での形状情報及び各レーンの詳細情報等、運転支援及び自動運転に必要な情報を含む。ロケータ5は、自車周辺の地図データを地図データベース12から読み出し、その読み出した地図データを車両用表示制御装置1等に送信する。
【0014】
V2X通信機6は、車外通信ユニットであり、例えば車車間通信、路車間通信及びセルラー通信等を行う。V2X通信機6は、他車のV2X通信機と車車間通信を行ったり路側通信機と路車間通信を行ったりすることで、例えば自車周辺の物標(例えば前方車両や後続車両等の他車等)及び警告対象(例えば歩行者や自転車等)の相対位置を示す情報を受信する。V2X通信機6は、地図データサーバとセルラー通信を行うことで、地図データサーバから送信される自車周辺の地図データを受信する。
【0015】
走行制御ECU7は、ブレーキ制御ECU、駆動制御ECU及び操舵制御ECUの機能を備え、ドライバの運転操作に基づいた操作指令及び車両用表示制御装置1から入力する制御指令の何れかに基づいて各輪のブレーキ制御、車載動力源の出力制御及び操舵角制御を継続的に行う。又、走行制御ECU7は、各輪のハブ部分に配置されている車輪速センサ13から検出信号を入力し、その入力した検出信号に基づいて自車の現在の走行速度を示す車速情報を生成し、その生成した車速情報を車両用表示制御装置1等に送信する。
【0016】
制御部2は、周辺情報取得部14と、自車速度取得部15と、接近判定部16と、表示制御部17とを備える。これらの各部12~15は、車両用表示制御プログラムにより実行される機能に相当する。即ち、制御部2は、車両用表示制御プログラムを実行することで各部14~17の機能を行う。
【0017】
周辺情報取得部14は、周辺監視センサ4から送信される検出情報を受信し、自車周辺の周辺情報を取得する。自車速度取得部15は、走行制御ECU7から送信される車速情報を受信し、自車速度を取得する。
【0018】
接近判定部16は、ロケータ5から送信されるロケータ情報を受信し、その受信したロケータ情報に含まれる自車位置情報及び進行方向情報を、ナビゲーション機能により設定されている現在位置から目的地までの案内経路と照合し、自車の経路案内地点への接近を判定する。接近判定部16は、例えば自車位置が案内経路上の右折地点から所定距離以内であり、進行方向が当該右折地点に向かう方向であると判定すると、自車位置が経路案内地点に接近していることを判定する。
【0019】
表示制御部17は、表示指令信号をメータディスプレイ18に出力し、
図2に示すように、周辺情報を示す周辺画像と、自車を示す自車画像とをメータディスプレイ18に表示させる。メータディスプレイ18は、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro-Luminescence)を主体とする構成されており、表示装置に相当する。尚、表示装置として、メータディスプレイ18に代え、センターインフォメーションディスプレイ(CID(Center Information Display))やヘッドアップディスプレイ(HUD(Head-Up Display))を用いても良い。ヘッドアップディスプレイを用いる構成では、ドライバの前方に結像される画像の光をウィンドシールドの投影領域に投影することで、自車の前景と重なる虚像としてドライバに認識させることが可能となる。
【0020】
周辺画像は、周辺監視センサ4により監視されている自車周辺の走行環境をリアルタイムで可視化した画像であり、自車を後方から俯瞰した態様で自車周辺の走行環境が再現された画像である。周辺画像は、道路や立体物に相当するオブジェクトを仮想のモデリング空間にレイアウトし、仮想のカメラ位置からオブジェクト群を撮像した3次元画像又は2次元画像として表示される。周辺画像には、自車が走行中の道路を示す走行道路画像、自車に先行する先行車を示す先行車画像、道路の路面上にペイントされている区画線を示す区画線画像、道路端を示す道路端画像、案内経路を示す案内経路画像、レーンキープのラインを示すライン画像、立体物を示す立体物画像等が含まれる。立体物は、地上から立設されている物体全般を示し、建物、信号機、道路標識等を意味する。
【0021】
自車画像は、周辺画像の中央からやや下寄りの位置に、自車の上面及び後面の外観形状を模して態様で表示される。即ち、自車の進行方向側では広い範囲で周辺画像が表示され、自車の進行方向とは反対方向側では狭い範囲で周辺画像が表示される。このように自車画像の周辺に、走行道路画像、先行車画像、区画線画像、道路端画像、案内経路画像、ライン画像、立体物画像等が表示されることで、自車周辺の走行環境をドライバに認識させることが可能となる。尚、走行道路画像、区画線画像、道路端画像、案内経路画像、ライン画像は、道路の形状情報を用いて表示される。又、自車画像は、自車アイコンと同意である。
【0022】
表示制御部17は、周辺画像と自車画像とをメータディスプレイ18に表示させる場合の機能として、自車速度に応じて表示の縮尺を変更する機能と、自車の経路案内地点への接近に応じて表示の態様を変更する機能とを備える。以下、各機能について順次説明する。
【0023】
(1)自車速度に応じて表示の縮尺を変更する機能
表示制御部17は、
図3に示すように、自車速度が低速であると、表示の縮尺を望遠に設定し、自車速度が高速であると、表示の縮尺を広角に設定する。具体的には、表示制御部17は、表示の縮尺を線形に変更可能であり、自車速度が増加すると、望遠度を大きく且つ広角度を小さく変更し、自車速度が減少すると、望遠度を小さく且つ広角度を大きく変更する。望遠度とは、望遠の程度を示す指標であり、レンズ長の長さとも表現することができる。望遠度が大きく、レンズ長が長いほど、自車周辺の走行環境の詳細な情報を見せることが可能となる。広角度とは、広角の程度を示す指標であり、画角の広さとも表現することができる。広角度が大きく、画角が広いほど、自車周辺の走行環境だけでなく遠方までの走行環境も見せることが可能となる。
【0024】
又、表示制御部17は、
図4に示すように、表示画面上における自車画像の後端の車両進行方向座標を自車速度の高低に関係なく固定とする。即ち、自車速度が変化しても自車画像の後端の位置は変化しない。又、表示制御部17は、
図4に示すように、表示画面上における走行道路画像の消失点の車両進行方向座標を自車速度の高低に関係なく固定とする。即ち、自車速度が変化しても走行道路画像の消失点の位置は変化しない。尚、表示制御部17は、自車の車幅方向をX座標方向とし、自車の車長方向をY座標方向とすると、車両進行方向座標をY座標で演算する。
【0025】
又、表示制御部17は、自車速度が低速であると、立体物画像を3次元形状でメータディスプレイ18に表示させる。表示制御部17は、自車速度が高速であると、
図5に示すように、立体物画像を半透明でメータディスプレイ18に表示させる。表示制御部17は、立体物画像を半透明でメータディスプレイ18に表示させることに代え、ぼかしてメータディスプレイ18に表示させても良い。
【0026】
(2)自車の経路案内地点への接近に応じて表示の態様を変更する機能
表示制御部17は、自車の経路案内地点への接近が判定されると、表示画面上における走行道路画像の消失点の車両進行方向座標を遠方に移動させる。又、表示制御部17は、経路案内地点周辺の目印となる立体物画像を、目印とならない立体物画像と差別化してメータディスプレイ18に表示させる。具体的には、表示制御部17は、
図6に示すように、目印となる立体物画像を非透過でメータディスプレイ18に表示させ、目印とならない立体物画像を半透明で又はぼかしてメータディスプレイ18に表示させる。又、表示制御部17は、目印となる立体物画像を3次元形状でメータディスプレイ18に表示させ、目印とならない立体物画像を2次元形状でメータディスプレイ18に表示させても良い。
【0027】
次に、上記した構成の作用について
図7から
図8を参照して説明する。ここでは、制御部2が行う処理として、縮尺変更処理と、経路案内地点接近時処理とについて説明する。
【0028】
(1)縮尺変更処理
制御部2は、例えばイグニッションがオフからオンに切り替わったことで縮尺変更処理の開始条件の成立を判定すると、縮尺変更処理を開始する。縮尺変更処理の開始条件は、例えばイグニッションがオフからオンに切り替わったことに限らず、ドライバが経路案内を開始させるための所定操作を行ったことでも良い。制御部2は、縮尺変更処理を開始すると、周辺監視センサ4から送信される検出情報を受信し、自車周辺の周辺情報を取得し(S1、周辺情報取得手順に相当する)、走行制御ECU7から送信される車速情報を受信し、自車速度を取得する(S2、自車速度取得手順に相当する)。
【0029】
制御部2は、例えば直近で取得した自車速度と、直近よりも以前に(例えば直近から数ミリ秒前に)取得した自車速度とを比較し、自車速度が増加中であるか減少中であるかを判定する(S3,S4)。制御部2は、例えば直近で取得した自車速度が、直近よりも以前に取得した自車速度に対して増加しており、自車速度が増加中であると判定すると(S3:YES)、表示の縮尺を、望遠度を小さく且つ広角度を大きく変更する(S5、表示制御手順に相当する)。このとき、自車速度が増加することに追従して広角度が徐々に大きくなり、自車周辺の走行環境だけでなく遠方までの走行環境もドライバに徐々に認識させることが可能となる。
【0030】
一方、制御部2は、例えば直近で取得した自車速度が、直近よりも以前に取得した自車速度に対して減少していると判定すると、自車速度が減少中であると判定し(S3:YES)、表示の縮尺を、望遠度を大きく且つ広角度を小さく変更する(S6、表示制御手順に相当する)。このとき、自車速度が減少することに追従して望遠度が徐々に大きくなることで、自車周辺の走行環境の詳細な情報をドライバに徐々に認識させることが可能となる。
【0031】
制御部2は、縮尺変更処理の終了条件の成立を判定する(S7)。制御部2は、例えばイグニッションがオンからオフに切り替わったことで縮尺変更処理の終了条件の成立を判定すると(S7:YES)、縮尺変更処理を終了する。縮尺変更処理の終了条件は、例えばイグニッションがオンからオフに切り替わったことに限らず、ドライバが経路案内を終了させるための所定操作を行ったことでも良い。制御部2は、例えばイグニッションがオンのままであり、縮尺変更処理の終了条件の未成立を判定すると(S7:NO)、上記したステップS1に戻り、ステップS1以降を繰り返す。即ち、制御部2は、自車速度が増減することに追従して表示の縮尺の変更を継続する。
【0032】
(2)経路案内地点接近時処理
制御部2は、自車の経路案内地点への接近を判定すると、経路案内地点接近時処理を開始する。制御部2は、経路案内地点接近時処理を開始すると、表示画面上における周辺画像内の自車走行中の走行道路を示す走行道路画像の消失点の車両進行方向座標を遠方に移動させる(S11)。制御部2は、経路案内地点周辺に目印となる立体物画像が存在するか否かを判定する(S12)。
【0033】
制御部2は、経路案内地点周辺に目印となる立体物画像が存在すると判定すると(S12:YES)、その目印となる立体物画像を、目印とならない立体物画像と差別化してメータディスプレイ18に表示させる(S13)。即ち、制御部2は、差別化することとして、目印となる立体物画像を非透過でメータディスプレイ18に表示させ、目印とならない立体物画像を半透明で又はぼかしてメータディスプレイ18に表示させる。又、制御部2は、差別化することとして、目印となる立体物画像を3次元形状でメータディスプレイ18に表示させ、目印とならない立体物画像を2次元形状でメータディスプレイ18に表示させても良い。
【0034】
制御部2は、経路案内地点接近時処理の終了条件の成立を判定する(S14)。制御部2は、例えば自車が経路案内地点に到達したことで経路案内地点接近時処理の終了条件の成立を判定すると(S14:YES)、経路案内地点接近時処理を終了する。制御部2は、例えば自車が経路案内地点に到達しておらず、経路案内地点接近時処理の終了条件の未成立を判定すると(S14:NO)、上記したステップS11に戻り、ステップS11以降を繰り返す。
【0035】
以上に説明したように本実施形態によれば、次に示す作用効果を得ることができる。
車両用表示制御装置1において、自車速度が低速であると、表示の縮尺を望遠に設定して周辺画像と自車画像とをメータディスプレイ18に表示するようにした。自車周辺の走行環境の詳細な情報をドライバに提示することができる。自車速度が高速であると、表示の縮尺を望遠に設定したままでは周辺画像の表示移動が速かったり前方表示距離が短くて運転操作に余裕を持たせられなかったりする等の不具合が生じる可能性があるが、表示の縮尺を広角に設定して周辺画像と自車画像とをメータディスプレイ18に表示するようにした。周辺画像の表示移動の煩わしさを解消すると共に前方表示距離を長く確保することができ、自車周辺の走行環境に加えて遠方までの走行環境もドライバに提示することができる。これにより、自車周辺の走行環境をドライバに適切に提示することができる。
【0036】
表示の縮尺を線形に変更し、自車速度が増加することに応じて望遠度を大きく変更すると共に広角度を小さく変更し、自車速度が減少することに応じて望遠度を小さく変更すると共に広角度を大きく変更するようにした。自車速度が増加することに追従して広角度が徐々に大きくなることで、遠方の走行環境をドライバに徐々に提示することができる。自車速度が減少することに追従して望遠度が徐々に大きくなることで、自車周辺の走行環境の詳細な情報をドライバに徐々に提示することができる。ドライバが目視する実世界と同様に自然な変化をドライバに提示することができる。
【0037】
表示の縮尺を線形に変更する場合に表示基準が定まっていないと、ドライバに不安感を与える可能性があるが、自車画像の後端及び走行道路画像の消失点の各車両進行方向座標を自車速度の高低に関係なく固定とするようにした。表示基準を定めることで、より自然な変化をドライバに提示することができる。
【0038】
自車速度が低速であると、立体物画像を3次元形状でメータディスプレイ18に表示するようにした。表示の縮尺を望遠に設定することに加え、立体物画像を3次元形状で表示することで、自車周辺の走行環境の詳細な情報をより適切にドライバに提示することができる
【0039】
自車速度が高速であると、立体物画像を半透明で又はぼかしてメータディスプレイ18に表示するようにした。表示の縮尺を広角に設定することに加え、立体物画像を半透明で又はぼかして表示することで、周辺画像の表示移動の煩わしさをより解消することができる。
【0040】
自車が経路案内地点に接近すると、走行道路画像の消失点の車両進行方向座標を遠方に移動させるようにした。自車と経路案内地点との詳細な位置関係をドライバに提示することができる。その場合、経路案内地点への接近時の自車速度が高速であると、表示の縮尺を広角に設定することで、広範囲な情報をドライバに提示することができ、経路案内地点への接近時の自車速度が低速であると、表示の縮尺を望遠に設定することで、自車周辺の走行環境の詳細な情報をドライバに提示することができる。
【0041】
経路案内地点周辺の目印となる立体物画像を、目印とならない立体物画像と差別化してメータディスプレイ18に表示するようにした。目印となる立体物画像を強調することで、分かりやすい経路案内をドライバに提示することができる。差別化することとして、目印となる立体物画像を非透過で表示し、目印とならない立体物画像を半透明で又はぼかして表示することで、透過度の違いにより目印となる立体物画像を強調することができる。差別化することとして、目印となる立体物画像を3次元形状で表示し、目印とならない立体物画像を2次元形状で表示することで、形状の違いにより目印となる立体物画像を強調することができる。差別化することとして色彩の違いを用いても良い。
【0042】
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、更には、それらに一要素のみ、それ以上、或いはそれ以下を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0043】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。或いは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によりプロセッサを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。若しくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路により構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより実現されても良い。又、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていても良い。
【符号の説明】
【0044】
図面中、1は車両用表示制御部、2は制御部、14は周辺情報取得部、15は自車速度取得部、16は接近判定部、17は表示制御部である。