(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】車両および充電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/10 20060101AFI20241106BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20241106BHJP
B60L 53/30 20190101ALI20241106BHJP
B60L 53/66 20190101ALI20241106BHJP
B60L 53/62 20190101ALI20241106BHJP
【FI】
H02J7/10 B
H02J7/00 P
B60L53/30
B60L53/66
B60L53/62
(21)【出願番号】P 2021115661
(22)【出願日】2021-07-13
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】元平 暉人
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-140721(JP,A)
【文献】特開2020-048288(JP,A)
【文献】特開2012-209995(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0241085(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/10
H02J 7/00
B60L 53/30
B60L 53/66
B60L 53/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電設備からの電力で搭載された蓄電装置を充電する車両において、
前記充電設備が出力することができる出力可能電圧値を示す第1電圧値を取得する通信部と、
前記蓄電装置の最大電圧値を示す第2電圧値が前記第1電圧値よりも大きいときには、前記第1電圧値以下である第3電圧値を充電電圧上限値として、前記充電設備に送信する処理部と、
を備え
、
前記処理部は、前記第1電圧値を取得する前に、前記第2電圧値を前記充電電圧上限値として送信しており、
前記処理部は、前記第1電圧値を取得して、前記第2電圧値が前記第1電圧値よりも大きいときには、前記第3電圧値を前記充電電圧上限値として、前記充電設備に再度送信する、車両。
【請求項2】
前記処理部は、前記第2電圧値が前記第1電圧値以下であるときには、前記第2電圧値を前記充電電圧上限値として前記充電設備に送信する、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記第3電圧値は、前記第1電圧値である、請求項1または請求項2に記載の車両。
【請求項4】
充電設備からの電力で搭載された蓄電装置を充電する車両において、
前記充電設備が出力することができる出力可能電圧値を示す第1電圧値を取得する通信部と、
前記蓄電装置の最大電圧値を示す第2電圧値が前記第1電圧値よりも大きいときには、前記第1電圧値以下である第3電圧値を充電電圧上限値として、前記充電設備に送信する処理部と、
を備え、
前記処理部は、前記第1電圧値を取得する前に、前記第2電圧値を前記充電電圧上限値として送信しており、
前記処理部は、前記第1電圧値を取得して、前記第2電圧値が前記第1電圧値よりも大きいときには、リトライメッセージを送信し、
前記処理部は、前記リトライメッセージを送信した後に、前記第3電圧値を前記充電電圧上限値として、前記充電設備に再度送信する
、車両。
【請求項5】
蓄電装置が登載された車両と、前記蓄電装置に電力を供給する充電設備とを備えた充電システムであって、
前記充電設備は、前記車両に前記充電設備が出力することができる最大出力電圧を示す第1電圧値を送信し、
前記車両は、前記蓄電装置の最大電圧値を示す第2電圧値が前記第1電圧値よりも大きいときには、前記第1電圧値以下である第3電圧値を充電電圧上限値として、前記充電設備に送信し
、
前記車両は、前記第1電圧値を取得する前に、前記第2電圧値を前記充電電圧上限値として送信しており、
前記車両は、前記第1電圧値を取得して、前記第2電圧値が前記第1電圧値よりも大きいときには、前記第3電圧値を前記充電電圧上限値として、前記充電設備に再度送信する、充電システム。
【請求項6】
前車両は、前記第2電圧値が前記第1電圧値以下であるときには、前記第2電圧値を前記充電電圧上限値として前記充電設備に送信する、請求項
5に記載の充電システム。
【請求項7】
前記第3電圧値は、前記第1電圧値である、請求項
5または請求項
6に記載の充電システム。
【請求項8】
蓄電装置が登載された車両と、前記蓄電装置に電力を供給する充電設備とを備えた充電システムであって、
前記充電設備は、前記車両に前記充電設備が出力することができる最大出力電圧を示す第1電圧値を送信し、
前記車両は、前記蓄電装置の最大電圧値を示す第2電圧値が前記第1電圧値よりも大きいときには、前記第1電圧値以下である第3電圧値を充電電圧上限値として、前記充電設備に送信し、
前記車両は、前記第1電圧値を取得する前に、前記第2電圧値を前記充電電圧上限値として送信し、
前記第1電圧値を取得して、前記第2電圧値が前記第1電圧値よりも大きいときには、リトライメッセージを送信し、
前記リトライメッセージを送信した後に、前記第3電圧値を前記充電電圧上限値として、前記充電設備に再度送信する
、充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両および充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から車両外部に設けられた充電設備と、蓄電装置を含む車両とを備えた充電システムについて知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の充電システムによっては、車両に搭載された蓄電装置の最大電圧が充電設備の最大出力電圧よりも大きいときは、充電設備は充電を開始しない場合がある。しかし、車両としては、可能な範囲まで蓄電装置を充電したい場合がある。
【0005】
本開示は、上記のような課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、車両に搭載された蓄電装置の最大電圧が充電設備の最大出力電圧よりも大きい場合であっても、充電設備に充電を開始させることができる車両および充電システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る車両は、充電設備からの電力で搭載された蓄電装置を充電する車両において、前記充電設備が出力することができる出力可能電圧値を示す第1電圧値を取得する通信部と、前記蓄電装置の最大電圧値を示す第2電圧値が前記第1電圧値よりも大きいときには、前記第1電圧値以下である第3電圧値を充電電圧上限値として、前記充電設備に送信する処理部とを備える。
【0007】
本開示に係る充電システムは、蓄電装置が登載された車両と、前記蓄電装置に電力を供給する充電設備とを備えた充電システムであって、前記充電設備は、前記車両に前記充電設備が出力することができる最大出力電圧を示す第1電圧値を送信し、前記車両は、前記蓄電装置の最大電圧値を示す第2電圧値が前記第1電圧値よりも大きいときには、前記第1電圧値以下である第3電圧値を充電電圧上限値として、前記充電設備に送信する。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る車両および充電システムによれば、車両に搭載された蓄電装置の最大電圧が充電設備の最大出力電圧よりも大きい場合であっても、充電設備に充電を開始させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る充電システム1を模式的に示すブロック図である。
【
図3】各コネクタが接続されてから充電開始までの充電フローを示すフロー図である。
【
図4】各コネクタが接続されてから充電開始までの充電フローを示すフロー図である。
【
図5】実施の形態2に係る充電システム1Aを模式的に示すブロック図である。
【
図7】充電諸元配置段階(S214)を示すフロー図である。
【
図8】充電システム1Bを模式的に示す模式図である。
【
図9】充電開始までの制御フローを示すフロー図である。
【
図10】充電パラメータ段階S404を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1から
図10を用いて、本実施の形態に係る充電システムおよび車両について説明する。
図1から
図10に示す構成のうち、同一または実質的に同一の構成については、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る充電システム1を模式的に示すブロック図である。充電システム1は、車両2および充電設備3を備える。
【0011】
充電設備3は、充電ケーブル11と、設備側コネクタ12と、変換器13と、ELB(漏電遮断器)14と、通信部15と、制御部16と、制御電源17と、リレー18,19と、フォトカプラ20と、入力部21とを含む。
【0012】
充電ケーブル11は、一対の充電用ライン31と、一対の通信用ライン32と、制御用ライン33とを有する。
【0013】
充電用ライン31、31は、車両2に充電電力を供給する電力線である。通信用ライン32、32は、車両2と通信をするための通信線である。制御用ライン33は、一対の充電開始停止ライン34、34と、コネクタ接続確認ライン35と、充電禁止許可ライン36と、グランドライン37とを含む。
【0014】
設備側コネクタ12は、充電ケーブル11の先端に設けられている。設備側コネクタ12には、充電用ライン31に接続された端子と、通信用ライン32に接続された端子と、制御用ライン33に接続された端子と、充電開始停止ライン34に接続された端子と、コネクタ接続確認ライン35に接続された端子と、充電禁止許可ライン36に接続された端子と、グランドライン37に接続された端子とを含む。
【0015】
設備側コネクタ12には、ラッチ45と、ラッチホールド回路44とが設けられている。ラッチ45は、設備側コネクタ12が車両側コネクタ52に接続されることで、車両側コネクタ52に係合して、設備側コネクタ12が車両側コネクタ52から外れないようにする。ラッチホールド回路44は、充電中において、設備側コネクタ12が車両側コネクタ52から外れないように、ラッチ45による係合状態をホールドする。
【0016】
変換器13はAC入力電源40に接続されている。AC入力電源40は、AC/DC整流器と、DC/ACインバータと、絶縁トランスと、AC/DC整流器とを備える。
【0017】
電圧計41は、設備側コネクタ12の端子とAC入力電源40との間に設けられており、充電用ライン31,31同士の間の電圧を測定する。電圧計41は、測定した電圧値を制御部16に送信している。電流計42は、一方の充電用ライン31に設けられている。電圧計41は、測定した電圧値を制御部16に送信している。地絡検知器43は、各充電用ライン31と、グランドライン37とに接続されている。地絡検知器43は、検知結果を制御部16に送信している。
【0018】
変換器13は、AC入力電源40から供給される交流電力を直流電力に変換する。ELB14は、変換器13とAC入力電源40との間に配置されており、変換器13およびAC入力電源40を電気的に接続したり、切断したりする。
【0019】
通信部15は、CAN(Controller Area Network)などの通信プロトコルに基づいて、車両2と通信する。
【0020】
制御部16は、変換器13と、ELB14と、通信部15と、リレー18,19と、フォトカプラ20などの制御を行う。
【0021】
制御部16は記憶部22を含む。記憶部22には、出力可能電圧値V0などが格納されている。
【0022】
制御電源17は、通信部15と、制御部16と、リレー18,19と、フォトカプラ20などに駆動電力を供給する電源である。
【0023】
リレー18は、制御電源17の正極側と、充電開始停止ライン34との間に接続されており、制御部16からの制御信号に基づいて、制御電源17の正極と充電開始停止ライン34との接続および切断とを行う。
【0024】
リレー19は、制御電源17の負極(接地電圧)と、充電開始停止ライン34との間に接続されており、制御部16からの制御信号に基づいて、制御電源17の負極と充電開始停止ライン34との接続および切断とを行う。
【0025】
フォトカプラ20は、コネクタ接続確認ライン35の導通可否に応じた事前準備確認信号S7を制御部16に伝達する。フォトカプラ20は、入力側の発光素子にオン電流が流れると、出力側の受光素子が事前準備確認信号S7を制御部16に出力する。
【0026】
入力部21は、ユーザが操作するインターフェースであり、たとえば、タッチパネルなどである。ユーザは入力部21に表示される充電開始ボタンを押すことで、充電を開始させることができる。入力部21において充電開始ボタンが押されると、充電開始トリガーS0が制御部16に送信される。
【0027】
次に、車両2について説明する。
車両2は、車両側コネクタ52と、蓄電装置53と、通信部54と、制御部55と、制御系電源56と、リレー57,58と、フォトカプラ59,60と、スイッチ61と、検知回路62とを含む。
【0028】
また、車両2は、一対の充電用ライン71と、一対の通信用ライン72と、制御ライン73とを含む。制御ライン73は、一対の充電開始停止ライン74(74A,74B)と、コネクタ接続ライン75と、コネクタ接続ライン75と、グランドライン77とを含む。車両側コネクタ52には各ラインに対応する端子が設けられている。
【0029】
設備側コネクタ12が車両側コネクタ52に接続されると、設備側コネクタ12および車両側コネクタ52に設けられた各端子が接続される。これにより、充電用ライン31と充電用ライン71と、通信用ライン32と通信用ライン72と、充電開始停止ライン34と充電開始停止ライン74と、コネクタ接続確認ライン35とコネクタ接続ライン75と、充電禁止許可ライン36と充電許可禁止ライン76と、グランドライン37とグランドライン77とが電気的に接続される。
【0030】
蓄電装置53は、車両2を走行させる駆動用モータおよびインバータを含む駆動装置に電力を供給する二次バッテリである。通信部54は、CANなどの通信プロトコルに基づいて、充電設備3と通信する。
【0031】
制御部55は、通信部54と、制御系電源56と、リレー57,58と、フォトカプラ59などの駆動を制御する。制御系電源56は、通信部54と、制御部55と、制御系電源56などの各機器に電力を供給する電源である。
【0032】
制御部55は、記憶部67を含み、記憶部67には、蓄電装置53の電池最大電圧値V1と、電池耐力上限値V4とを含む情報が格納されている。電池最大電圧値V1とは、たとえば、満充電時における蓄電装置53の電圧である。なお、電池最大電圧値V1は、たとえば、SOCが80%であるときの蓄電装置53の電圧値であってもよい。
【0033】
電池耐力上限値V4は、車両2が蓄電装置53を保護するために充電を停止する電圧である。
【0034】
リレー57は、充電用ライン71と蓄電装置53との間の接続および切断を行う。リレー57は、通常の状態において開放されている。リレー58、リレー18およびリレー19が閉状態となると、充電設備3の制御電源17から駆動電力がリレー57に供給される。
【0035】
リレー57に駆動電力が供給されると、リレー57が閉状態となり、蓄電装置53および充電用ライン71が接続される。
【0036】
リレー58の一端は、リレー18に接続された一方の充電開始停止ライン74Aに接続されており、リレー58の他端は、リレー19に接続された他方の充電開始停止ライン74Bに接続されている。そして、リレー18,19およびリレー58が閉状態となることで、リレー57に駆動電力が供給され、リレー57が閉状態となる。
【0037】
フォトカプラ59は、コネクタ同士が接続された状態において、リレー18が閉状態となると、制御部55に事前準備合図信号S1を送信する。具体的には、フォトカプラ59は、充電開始停止ライン74Aおよび接地電位に接続された発光素子と、制御部55および制御系電源56の間に接続された受光素子とを含む。
【0038】
コネクタが接続された状態において、リレー18が閉状態となると発光素子が発光し、受光素子が受光する。そして、受光素子が制御部55に事前準備合図信号S1を送信する。
【0039】
フォトカプラ60は、各コネクタが接続された状態において、リレー18,19の開閉状態に応じて、充電開始合図信号S2を制御部55に送信する。具体的には、充電開始停止ライン74Aおよび充電開始停止ライン74Bに接続された発光素子と、制御系電源56および接地電位に接続された受光素子とを含む。
【0040】
そして、各コネクタが接続された状態において、リレー18,19が閉状態となると、発光素子が発光し、受光素子が受光する。そして、受光素子は、充電開始合図信号S2を制御部55に送信する。
【0041】
スイッチ61は、各コネクタが接続された状態において、制御部55からオン電流が供給されると、コネクタ接続ライン75を電気的に導通させる。
【0042】
具体的には、スイッチ61は、コネクタ接続ライン75および接地電位の間に接続されている。スイッチ61に制御部55からオン電流が供給されると、スイッチ61はコネクタ接続ライン75を接地電位に接続する。
【0043】
図2は、検知回路62を示すブロック図である。検知回路62は、設備側コネクタ12および車両側コネクタ52が接続された状態において、コネクタ接続確認信号S3を制御部55に送信する。検知回路62は、スイッチ63と、フォトカプラ64と、スイッチ65とを含む。車両2のイグニッションスイッチがONとなると、スイッチ63に制御部55からオン電流が供給され、スイッチ63がONとなる。フォトカプラ63がONとなると、スイッチ65は閉状態となり、スイッチ65はコネクタ接続ライン75およびフォトカプラ64を電気的に接続する。フォトカプラ64は、発光素子および受光素子を含む。
【0044】
スイッチ65が閉状態となると、発光素子には、制御電源17からの駆動電力が供給され、発光する。受光素子は、発光素子からの光を受光して、制御部55にコネクタ接続確認信号S3を送信する。
【0045】
図3および
図4は、各コネクタが接続されてから充電開始までの充電フローを示すフロー図である。なお、明細書および
図3などにおいて、「S」は「Step」を意味する。
【0046】
設備側コネクタ12および車両側コネクタ52が接続された状態で、制御部16が充電開始トリガーS0を受信する(S10)と、制御部16は、リレー18を閉状態にする(S12)。リレー18が閉状態となると、フォトカプラ59から事前準備合図信号S1が制御部55に送信される。なお、充電開始トリガーS0は、ユーザの操作によって、入力部21から制御部16に送信される。
【0047】
制御部55は、事前準備合図信号S1を受信すると、制御部55は、コネクタ接続確認信号S3を受信したかを判断する(S112)。
【0048】
制御部55は、コネクタ接続確認信号S3を受信していないと判断すると(S112にてNo)、制御部55は、異常通知を充電設備3に通知する(S113)。
【0049】
制御部55はコネクタ接続確認信号S3を受信したと判断すると(S112にてYes)、制御部55は、通信用ライン72および通信用ライン32を通して、コネクタ接続完了信号S4を制御部16に送信する(S114)。
【0050】
制御部16はコネクタ接続完了信号S4を所定期間内に受信したかを判断している(S14)。制御部16はコネクタ接続完了信号S4を所定期間内に受信したと判断すると(S14にてYes)、制御部16は、通信用ライン32および通信用ライン72を通して、制御部55に充電器CANデータD0を送信する。充電器CANデータD0には、充電設備3の出力可能電圧値V0を含む。
【0051】
制御部55は、出力可能電圧値V0が電池最大電圧値V1以上であるかを判断する(S116)。制御部55は、出力可能電圧値V0が電池最大電圧値V1以上であると判断すると(S116にてYes)、制御部55は制御部16に、充電電圧上限値V2および電池耐力上限値V4を送信する(S118)。この際、充電電圧上限値V2は、電池最大電圧値V1である。なお、充電電圧上限値V2は、蓄電装置53の最大電圧値として、制御部55から制御部16に送信される値である。
【0052】
制御部55は、電池最大電圧値V1が出力可能電圧値V0よりも大きいと判断すると(S116にてNo)、制御部55は制御部16に充電電圧上限値V2と、電池耐力上限値V4とを送信する(S120)。この際、充電電圧上限値V2は、最大電圧値V3に設定されており、最大電圧値V3は出力可能電圧値V0以下の値である。なお、最大電圧値V3を出力可能電圧値V0として設定してもよい。
【0053】
制御部16は充電電圧上限値V2を受信すると、判定処理を行う(S22)。
具体的には、出力可能電圧値V0が充電電圧上限値V2以上であるかを判断する(S22)。制御部16は、出力可能電圧値V0が充電電圧上限値V2以上である場合には、蓄電装置53を満充電まで充電することができると判断する。
【0054】
その一方で、制御部16は、充電電圧上限値V2が出力可能電圧値V0よりも大きい場合には、蓄電装置53を満充電まで充電することができないと判断する。
【0055】
そのため、制御部16は、充電電圧上限値V2が出力可能電圧値V0よりも大きい場合には、異常通知を制御部55に送信する(S13)。この異常通知には、蓄電装置53を満充電まで充電することができないことを示す電池不適合通知を含めるようにしてもよい。そして、制御部16は、充電を開始しない。
【0056】
制御部16は、出力可能電圧値V0が充電電圧上限値V2以上であると判断すると(S22にてYes)、制御部16は、出力可能電流値I0を算出する(S26)。
【0057】
出力可能電流値I0は、電池耐力上限値V4および出力可能電圧値V0のう小さい電圧値に基づいて算出される。制御部16は、制御部55に出力可能電流値I0を送信する(S28)。
【0058】
制御部55は、出力可能電流値I0を受信する(S122)と、スイッチ61をONにする(S124)。スイッチ61がONとなると、フォトカプラ20の発光素子が発光して、フォトカプラ20の受光素子が受光する。フォトカプラ20の受光素子は、制御部16に事前準備確認信号S7を送信する。これにより、制御部16は事前準備確認信号S7を受信する(S30)。
【0059】
図4において、制御部16は、事前準備確認信号S7を受信すると、ラッチホールドを行う(S32)。具体的には、ラッチホールド回路44を駆動させて、ラッチ45のロック状態をホールドする。
【0060】
そして、制御部16は、リレー57が開放状態であるかを確認する(S34)。具体的には、電圧計41から取得した電圧値が所定電圧以下である場合には、リレー57が開放されていると判断し、電圧計41から取得した電圧値が所定電圧よりも大きいと判断すると、リレー57が閉状態であると判断する。
【0061】
制御部16は、リレー57が閉状態において、であると判断すると(S34にてNo)、制御部16は、制御部55に異常通知を送信する(S36)。
【0062】
制御部16は、リレー57が開放状態であると判断すると(S32にてYes)、制御部16は、絶縁診断を実施する(S38)。
【0063】
具体的には、変換器13を駆動して、所定電圧を出力する。そして、電流計42から取得した電流値と、地絡検知器43からの出力値とに基づいて、充電設備3側の絶縁診断を行う。
【0064】
制御部16は、絶縁診断の結果、異常があると判断すると(S38にてNo)、制御部55に異常通知を送信する(S36)。
【0065】
制御部16は、絶縁診断の結果、問題がないと判断すると(S38にてYes)、リレー19を閉状態にする(S40)。リレー18は既に閉状態であり、リレー19が閉状態となることで、フォトカプラ60の発光素子が発光し、フォトカプラ60の受光素子が受光する。そして、フォトカプラ60の受光素子は、充電開始合図信号S2を制御部55に送信する。これにより、制御部55は、充電開始合図信号S2を受信する(S126)。
【0066】
制御部16は、車両充電可能フラグS5を送信する(S42)。車両充電可能フラグS5は、通信用ライン32と通信用ライン72とを通して、制御部16に送信される。
【0067】
制御部55は、充電開始合図信号S2および車両充電可能フラグS5を受信したかを判断している(S128)。制御部55は、車両充電可能フラグS5および充電開始合図信号S2を受信すると(S128にてYes)、リレー58を閉状態にする(S130)。
【0068】
ここで、リレー58が閉状態となると、制御電源17からリレー57に駆動電力が供給される。これにより、リレー57が閉状態となる(S132)。
【0069】
制御部16は、リレー57が閉状態であることを確認する(S44)。具体的には、リレー57が閉状態となると、電圧計41には蓄電装置53の電圧が印加されることになる。そこで、制御部16は電圧計41から取得した電圧値が所定値以上である場合には、リレー57が閉状態であると判断する。
【0070】
制御部55は、充電指令値S6を制御部16に送信する(S48)。制御部55は充電指令値S6を出力可能電流値I0よりも小さい値に設定する。制御部16は、リレー57が閉状態であると判断すると(S44にてYes)、充電指令値S6に基づいて充電を開始する(S50)。
【0071】
本実施の形態1に係る充電システム1において、制御部55は、S18~S20において、電池最大電圧値V1が出力可能電圧値V0よりも大きいと判断すると、充電電圧上限値V2として、出力可能電圧値V0以下の最大電圧値V3を送信する。
【0072】
このため、充電設備3の制御部16において、充電電圧上限値V2が出力可能電圧値V0よりも大きいと判断されて、充電が開始されないことを抑制することができる。その結果、充電が開始され、蓄電装置53をある程度充電することができる。
(実施の形態2)
図5は、実施の形態2に係る充電システム1Aを模式的に示すブロック図である。
【0073】
充電システム1Aは、車両102と、充電装置103とを備える。
車両102は、蓄電装置110と、充電インレット113と、電力配線114と、車両コントローラ137とを備える。
【0074】
充電インレット113は、DC(+)端子150と、DC(-)端子151と、PE端子152と、S(+)端子153と、S(-)端子154と、CC1端子155と、CC2端子156と、筐体157とを含む。各端子150~156は、筐体157内に収容されており、各端子は絶縁されている。
【0075】
車両102は、車両コントローラ137と、DC(+)配線130と、DC(-)配線131と、PE線132と、S(+)信号線133と、S(-)信号線134と、CC1通信線135と、CC2通信線136と、車両コントローラ137と、接触器K5,K6と、スイッチSW2,SWvとを含む。
【0076】
DC(+)配線130およびDC(-)配線131は、蓄電装置110に接続されている。DC(+)配線130はDC(+)端子150に接続されており、DC(-)配線131はDC(-)端子151に接続されている。PE線132はアース線であり、PE端子152に接続されている。
【0077】
S(+)信号線133と、S(-)信号線134と、CC1通信線135と、CC2通信線136とは、車両コントローラ137に接続されている。S(+)信号線133は、S(+)端子153に接続されており、S(-)信号線134はS(-)端子154に接続されている。CC1通信線135はCC1端子155に接続されており、CC2通信線136はCC2端子156に接続されている。
【0078】
接触器K5はDC(+)配線130に設けられており、接触器K6はDC(-)配線131に設けられている。CC1通信線135には抵抗R4が接続されており、スイッチSW2は、抵抗R4と直列的にCC1通信線135に接続されている。スイッチSWvはCC2通信線136に設けられている。車両コントローラ137は、接触器K5,K6と、スイッチS2,SvのON/OFFの切替制御をする。
【0079】
車両コントローラ137には、BMS(battery management system)138が設けられている。
【0080】
充電装置103は、充電器122と、DC(+)配線160と、DC(-)配線161と、PE線162と、S(+)信号線163と、S(-)信号線164と、CC1通信線165と、CC2通信線166と、接触器K1と、接触器K2と、スイッチS1と、電圧測定装置145と、ブリーダ回路146と、IMD(絶縁監視装置:Insulation monitoring device)147と、充電器コントローラ173とを含む。
【0081】
プラグ120は、DC(+)端子180と、DC(-)端子181と、PE端子182と、S(+)端子183と、S(-)端子184と、CC1端子185と、CC2端子186と、筐体187とを含む。各端子は、筐体187内に収容されている。
【0082】
DC(+)配線160とDC(-)配線161とは、充電器122に接続されている。DC(+)配線160は、DC(+)端子180に接続されており、DC(-)配線161はDC(-)端子181に接続されている。PE線162は、アース線であり、PE線162はPE端子182に接続されている。
【0083】
S(+)信号線163と、S(-)信号線164と、CC1通信線165とは、充電器コントローラ173に接続されている。S(+)信号線163は、S(+)端子183に接続されており、S(-)信号線164はS(-)端子184に接続されている。
【0084】
CC1通信線165はCC1端子185に接続されている。CC2通信線166は一端がPE線162に接続されており、他端がCC2端子186に接続されている。
【0085】
接触器K1は、DC(+)配線160に設けられており、接触器K2はDC(-)配線161に設けられている。CC1通信線165には抵抗R1が設けられており、スイッチSW1は抵抗R1と並行になるようにCC1通信線165に接続されている。
【0086】
電圧測定装置145は、DC(+)配線160およびDC(-)配線161を接続するように設けられている。具体的には、DC(+)配線160のうちDC(+)端子180および接触器K1の間と、DC(-)配線161のうちDC(-)端子181および接触器K2の間とに接続されている。
【0087】
IMD47は、充電器122および接触器K1,K2の間であって、DC(+)配線160およびDC(-)配線161を接続するように設けられている。さらに、IMD147はPE線162にも接続されている。ブリーダ回路146は、充電器122および接触器K1,K2の間であって、DC(+)配線160およびDC(-)配線161を接続するように設けられている。
【0088】
プラグ120が充電インレット113に接続された状態においては、DC(+)端子150とDC(+)端子180とが接続され、DC(-)端子151とDC(-)端子181とが接続されている。PE端子152はPE端子182に接続され、S(+)端子153はS(+)端子183に接続される。S(-)端子154はS(-)端子184に接続され、CC1端子155はCC1端子185に接続される。CC2端子156はCC2端子186に接続される。
【0089】
車両コントローラ137は検出ポイントP2,P3を周期的に監視しており、充電器コントローラ173は検出ポイントP1を周期的に監視している。
【0090】
充電器コントローラ173は、充電器122と、スイッチSW1のON/OFF切替制御と、接触器K1,K2のON/OFF切替制御とを行う。
【0091】
車両コントローラ137は、スイッチSW2およびスイッチSWvのON/OFF切替制御と、接触器K5,K6のON/OFF切替制御を行う。
【0092】
上記のように充電インレット113にプラグ120が接続されると、充電を実施するための各種制御が実行される。
【0093】
図6は、充電フローの概要を示すフロー図である。
図6において、充電フローは、接続確認段階(S210)と、粘着チェック段階(S211)と、絶縁試験段階(S212)と、充電ハンドシェーク段階(S213)と、充電諸元配置段階(S214)と、充電段階(S215)と、充電終了段階(S216)とを含む。
【0094】
ここで、接続確認段階においては、充電インレット113およびプラグ120が接続されているかを確認する。
【0095】
図5において、未接続状態T0(充電インレット113およびプラグ120が接続されていない状態)においては、スイッチSW1、SW2,SWvと、接触器K1、K2と、接触器K5,K6は、開状態である。この際、検出ポイントP1の電圧は、たとえば、12Vである。検出ポイントP2の電圧は0Vである。
【0096】
接続状態T1(プラグ120が充電インレット113に差し込まれた状態)においては、スイッチSW1、SW2,SWvと、接触器K1、K2と、接触器K5,K6は、開状態である。検出ポイントP1は2.95V、検出ポイントP2は2.25V、検出ポイントP3は0Vである。すなわち、プラグ120が充電インレット113に嵌合されることで、検出ポイントP1の電圧は、12Vから2.95Vに変化し、検出ポイントP2の電圧は、0Vから2.25Vになる。
【0097】
そして、充電器コントローラ173は検出ポイントP1の電圧変動を検知することでプラグ120が充電インレット113にはめ込まれたことを検知することができる。車両コントローラ137は、検出ポイントP2の電圧変動を検知することで、プラグ120が充電インレット113にはめ込まれたことを検知することができる。
【0098】
接続状態T1後のウェイクアップT2は、スイッチSW1が閉状態となる。そして、充電器コントローラ173は、検出ポイントP1の電圧が8.98Vとなると、充電ハンドシェークメッセージの送信を開始する。なお、各種メッセージは、S(+)信号線163およびS(+)信号線133と、S(-)信号線164およびS(-)信号線134を通して実行される。
【0099】
車両コントローラ137は検出ポイントP2が8.28Vであることを検出し、CC1通信線136とCC1通信線166とが接続されていることを確認する。そして、車両コントローラ137は充電器コントローラ173とメッセージの送受信を開始する。
【0100】
ウェイクアップT2後のウェイクアップT3においては、充電器コントローラ173は、スイッチSWvを閉状態にする。その後、車両コントローラ137は検出ポイントP3の電圧を検出して、検出ポイントP3の電圧に基づいて、接続された充電装置のバージョンを判断する。たとえば、検出ポイントP3の電圧が6Vである場合には、車両コントローラ137は、ChaoJi充電器に接続されたと判断する。
【0101】
車両コントローラ137は、充電インレット113に接続された充電装置のバージョンを判断した後、車両コントローラ137はスイッチSWvを開状態にする。
【0102】
ウェイクアップT3後のウェイクアップT4において、車両コントローラ137は、電子ロックをONにして、充電インレット113とプラグ120とをロックする。このようにして、接続確認段階(S210)が完了する。
【0103】
次に、粘着チェック段階(S211)について説明する。粘着チェック段階においては、接触器K5,K6が粘着していないかを検出する。具体的には、接触器K5および接触器K6は、開状態(OFF)の状態であり、充電器コントローラ173は接触器K1および接触器K2を開状態(OFF)として、電圧測定装置145が電圧測定する。そして、電圧測定装置145が測定した電圧が、たとえば、10Vを超えていない場合には、充電器コントローラ173は接触器K5および接触器K6が粘着していないと判断する。
【0104】
次に、絶縁試験段階(S212)について説明する。
車両コントローラ137は接触器K1,K2を閉状態(ON)にする。なお、接触器K5および接触器K6は開状態(OFF)である。そして、充電器コントローラ173は、充電器122から電力を出力して、IMD147を用いて絶縁試験を実施する。たとえば、DC(+)配線160およびPE線162の間の絶縁と、DC(-)配線161およびPE線162の間の絶縁とを確認する。
【0105】
そして、充電器コントローラ173は、各絶縁状態が問題ないことを確認すると、充電器コントローラ173は、ブリーダ回路146を駆動させて、その後に、接触器K1および接触器K2を開状態(OFF)にする。このようにして、絶縁試験段階を終了する。
【0106】
図6に戻って、ハンドシェーク段階(S213)においては、BMS138および充電器コントローラ173はバージョンメッセージ、放電互換性情報、識別メッセージを交換する。
【0107】
次に、充電諸元配置段階(S214)について説明する。充電ハンドシェーク段階が完了した後、充電器コントローラ173およびBMS38は、各種の充電諸元メッセージを送受信して、双方に充電可能かを判断する。
図7は、充電諸元配置段階(S214)を示すフロー図である。
【0108】
BMS138は、充電器コントローラ173に動力蓄電池の充電諸元メッセージBCPを送信する(Step220)。
【0109】
充電諸元メッセージBCPには、蓄電装置10の充電電圧上限値(最高許容充電総電圧)V2と、最高許容充電電流値と、最高許容温度などを示す情報が含まれている。ここで、初期値としての充電電圧上限値V2は、電池最大電圧値V1に設定されている。
【0110】
なお、充電電圧上限値V2は、蓄電装置110の最大電圧として、BMS138から充電器コントローラ173に送信される値である。なお、電池最大電圧値V1は、たとえば、蓄電装置110が満充電時における蓄電装置110の電圧である。なお、電池最大電圧値V1は、蓄電装置110のSOCが80%であるときの蓄電装置110の電圧値であってもよい。
【0111】
充電器コントローラ173は、充電諸元メッセージBCPを受信する(S250)と、充電器コントローラ173は、充電器時間同期情報メッセージCTSと、充電器最大出力能力メッセージCMLと、充電器充放電方向請求メッセージCCDとを送信する(S252)。
【0112】
充電器時間同期情報メッセージCTSには、充電器コントローラ173がBMS138に送信する時間同期情報が含まれている。
【0113】
充電器最大出力能力メッセージCMLには、出力可能電圧値(最高出力電圧)V0と、最低出力電圧値と、最大出力電流値と、最小出力電流値とを示す情報が含まれている。
【0114】
充電器充放電方向請求メッセージCCDには、充電装置103からの充放電方向を示す情報が含まれている。たとえば、「00」は充電を示し、「01」は放電を示す。
【0115】
BMS138は、充電器最大出力能力メッセージCMLに含まれる出力可能電圧値V0に基づいて、判定処理を行う(S224)。具体的には、出力可能電圧値V0が充電電圧上限値V2以上であるかを判断する。ここで、充電電圧上限値V2の初期値は、電池最大電圧値V1に設定されている。初めの判定処理においては出力可能電圧値V0が電池最大電圧値V1以上であるかを判断する。
【0116】
ここで、BMS138は、出力可能電圧値V0が充電電圧上限値V2以上であると判断すると(S224にてYes)、BMS138は、充電準備完了メッセージBROを送信する(S230)。
【0117】
充電準備完了メッセージBROは、BM1S38は充電装置103に充電のスタンバイが完了したことを示すメッセージである。BMS138は、スタンバイ状態となると、接触器K5,K6を閉状態(ON)とする(S232)。そして、BMS138は充電諸元配置段階S214を終了する。
【0118】
充電器コントローラ173は、充電器時間同期情報メッセージCTSなどを送信した後、判定処理を行う(S254)。具体的には、出力可能電圧値V0が充電電圧上限値V2以上であるかを判断する。なお、充電諸元メッセージBCPに格納されている充電電圧上限値V2の初期値は、電池最大電圧値V1である。そのため、最初に判定処理を行う際には、充電器コントローラ173は、出力可能電圧値V0が電池最大電圧値V1以上であるかを判断することになる。
【0119】
充電器コントローラ173は、出力可能電圧値V0が充電電圧上限値V2(電池最大電圧値V1)以上であると判断すると(S254にてYes)、充電器コントローラ173は充電器出力準備完了メッセージCROを送信する。充電器出力準備完了メッセージCROは、充電装置103がBMS38に充電のスタンバイが完了したことを示すメッセージである。そして、充電器コントローラ173は、接触器K1,K2をONにする(S262)。
【0120】
ここで、BMS138は、上記のS224において、充電電圧上限値V2(電池最大電圧値V1)が出力可能電圧値V0よりも大きいと判断すると(S224にてNo)、BMS138は、リトライメッセージS10を送信したかを判断する(S225)。
【0121】
BMS138は、リトライメッセージS10を送信していないと判断すると(S225にてNo)、BMS138は、充電電圧上限値V2として、最大電圧値V3を設定する(S226)。具体的には、充電電圧上限値V2の初期値は、電池最大電圧値V1に設定されており、BMS138は、充電電圧上限値V2の値を最大電圧値V3に更新する。最大電圧値V3は、出力可能電圧値V0以下の値である。なお、最大電圧値V3として、出力可能電圧値V0を設定してもよい。
【0122】
BMS138は充電電圧上限値V2は、充電電圧上限値V2の値を更新した後(S226)、BMS138は、リトライメッセージS10を送信する(S228)。
【0123】
そして、BMS138は、充電諸元メッセージBCPを再度、送信する(S220)。この際、充電諸元メッセージBCPに含まれる充電電圧上限値V2は、最大電圧値V3である。
【0124】
BMS138は、充電器時間同期情報メッセージCTSなどを再度受信して(S222)、判定処理を行う(S224)。具体的には、BMS138は、出力可能電圧値V0が充電電圧上限値V2以上であるかを判断する。この際、充電電圧上限値V2は、最大電圧値V3である。最大電圧値V3は、出力可能電圧値V0以下である。
【0125】
そのため、BMS138は、出力可能電圧値V0は充電電圧上限値V2(最大電圧値V3)以上であると判断すると(S224にてYes)、BMS138は、充電準備完了メッセージBROを送信し(S230)、接触器K5,K6をONにする(S232)。
【0126】
上記S254において、充電器コントローラ173は、充電電圧上限値V2が出力可能電圧値V0よりも大きいと判断すると(S254にてNo)、充電器コントローラ173は、リトライメッセージS10を受信したかを判断する(S256)。なお、最初に充電器コントローラ173が判定処理を行う場合には、充電電圧上限値V2には電池最大電圧値V1が設定されている。
【0127】
充電器コントローラ173は、リトライメッセージS10を受信したと判断すると(S256にてNo)、充電器コントローラ173はBMS138から充電諸元メッセージBCPを受信する(S250)。
【0128】
この際、BMS138は、充電諸元メッセージBCPに含まれる充電電圧上限値V2は、最大電圧値V3に更新されている。
【0129】
充電器コントローラ173は、充電器時間同期情報メッセージCTSと、充電器最大出力能力メッセージCMLと、充電器充放電方向請求メッセージCCDとを送信する(S252)。
【0130】
そして、充電器コントローラ173は、再度、判定処理を行う(S254)。具体的には、出力可能電圧値V0は充電電圧上限値V2以上であるかを判断する。この際、充電電圧上限値V2は、最大電圧値V3となっており、最大電圧値V3は出力可能電圧値V0以下の値である。
【0131】
このため、充電器コントローラ173は、出力可能電圧値V0は充電電圧上限値V2以上であると判断することになる。
【0132】
充電器コントローラ173は、出力可能電圧値V0が充電電圧上限値V2以上であると判断すると(S254にてYes)、充電器コントローラ173は充電器出力準備完了メッセージCROを送信する。充電器出力準備完了メッセージCROは、充電装置103がBMS38に充電のスタンバイが完了したことを示すメッセージである。そして、充電器コントローラ173は、接触器K1,K2をONにする(S262)。
【0133】
上記S224において、BMS138は、充電電圧上限値V2が出力可能電圧値V0よりも大きいと判断し(S224にてNo)、さらに、リトライメッセージS10を既に送信していると判断すると(S225にてYes)、BMS138は、エラーメッセージを送信する(S234)。
【0134】
このように、本実施の形態においては、BMS138は2回目のリトライメッセージS10を送信しない。
【0135】
上記S254において、充電器コントローラ173は、充電電圧上限値V2が出力可能電圧値V0よりも大きいと判断し(S254にてNo)、リトライメッセージS10を受信していないと判断すると(S256にてNo)、エラーメッセージを送信する(S258)。
【0136】
そして、充電諸元配置段階S214において、接触器K1,K2,K5,K6がONになると(S232、S262)、充電段階S215に移行する。
【0137】
充電段階S215においては、BMS138は、充電器コントローラ173に需要電圧(V)および需要電流(A)を送信し、充電器コントローラ173は、受信した需要電圧(V)および需要電流(A)に基づいて、車両102に電力を供給する。
【0138】
そして、蓄電装置110のSOCが目標SOCとなると、BMS138および充電器コントローラ173は、充電を終了し、充電終了段階S216に移行する。
【0139】
充電終了段階S216においては、BMS138および充電器コントローラ173は、互いに統計データを送受信する。たとえば、充電器コントローラ173はBMS138に半導体基板の累積充電時間などの情報を送信する。
(実施の形態3)
図8などを用いて、実施の形態3に係る充電システム1Bについて説明する。
【0140】
図8は、充電システム1Bを模式的に示す模式図である。
充電システム1Bは、車両201と、充電設備202とを含む。
【0141】
車両201は、蓄電装置210と、充電コネクタ211と、電力線212と、CPLT線(control pilot line)213と、EVCC(electric Vehicle communication controller)214とを含む。
【0142】
電力線212は、蓄電装置210および充電コネクタ211に接続されている。CPLT線213は、充電コネクタ211およびEVCC214に接続されている。
【0143】
充電設備202は、変換器230と、充電コード231と、充電プラグ232と、電力線233と、CPLT線234と、SECC(supply Equipment Communication Controller)235とを含む。
【0144】
変換器230は、外部電源236に接続されている。変換器230は、外部電源236から供給される交流電力を直流電力に変換する。充電プラグ232は、充電コード231の先端に設けられている。
【0145】
電力線233は、変換器230および充電プラグ232に接続されている。CPLT線234は、SECC235および充電プラグ232に接続されている。
【0146】
図9は、充電開始までの制御フローを示すフロー図である。
充電フローは、通信セットアップ段階S400と、サービス発見段階S401と、サービス選択段階S402と、認証段階S403と、充電パラメータ段階S404と、ケーブルチェック段階S405と、プリチャージ段階S406と、充電段階S407と、充電終了段階S408と、溶着チェック段階S409と、セッション終了段階S410とを含む。
【0147】
通信セットアップ段階S400において、EVCC214と、SECC235との間のデータリンクが確立される。
【0148】
サービス発見段階S401においては、充電設備202が提供するサービス内容をEVCC214は取得する。
【0149】
サービス選択段階S402においては、EVCC214は、充電設備202から受けるサービス内容を選択および確定します。
【0150】
認証段階S403においては、EVCC214は、課金方式と、電力契約情報とをSECC235に送信します。SECC235は、電力契約情報内容を外部のセカンダリーアクターによって認証してもらいます。
【0151】
充電パラメータ段階S404においては、EVCC214およびSECC235との間で各種充電パラメータに関する情報を交換します。
【0152】
図10は、充電パラメータ段階S404を示すフロー図である。
EVCC214は、充電パラメータ発見要求(charge Parameter Discovery Req)S20をSECC235に送信する(S500)。この充電パラメータ発見要求S20には、充電電圧上限値V2と、最大充電電流値と、最小充電電流値とを含む。ここで、充電電圧上限値V2の初期値は、電池最大電圧値V1である。なお、本実施の形態3においては、電池最大電圧値V1は「EV Maximum Voltage」に相当する。
【0153】
SECC235は、充電パラメータ発見要求S20を受信すると(S600にてYes)、判定処理を行う(S602)。この判定処理においては、出力可能電圧値V0が充電電圧上限値V2以上であるかを判断する。
【0154】
そして、出力可能電圧値V0が充電電圧上限値V2以上であると判断すると(S602にてYes)、充電パラメータ発見応答(ChargeParameterDiscoveryRes)S21を送信する(S604)。このレスポンスコード(Response Code)S22が含まれており、レスポンスコードS22は「OK」を示すコードが格納される。
【0155】
その一方で、SECC235は、充電電圧上限値V2が出力可能電圧値V0よりも大きいと判断すると(S602にてNo)、充電パラメータ発見応答S21を送信する(S606)。この際、充電パラメータ発見応答S21に格納されているレスポンスコードS22は「No」である。
【0156】
そして、SECC235は所定期間を経過していないと判断すると(S608にてNo)、上記のS600~S606を繰り返す。なお、所定期間は、最初に充電パラメータ発見要求S20を受信してから所定期間を経過したかを判断する。
【0157】
充電パラメータ発見応答S21には、出力可能電圧値V0と、最大充電電力値と、最大充電電流値とが含まれる。なお、本実施の形態においては、出力可能電圧値V0は、「EVSEMaximumVoltage」に相当する。
【0158】
EVCC214は、充電パラメータ発見要求S20を送信した後、充電パラメータ発見応答S21を受信するまで待機する(S501)。EVCC214は、充電パラメータ発見応答S21を受信すると(S501にてYes)、判定処理を行う(S502)。具体的には、出力可能電圧値V0が充電電圧上限値V2以上であるかを判断する。なお、初期状態においては、充電電圧上限値V2は、電池最大電圧値V1に設定されている。
【0159】
そして、EVCC214は、出力可能電圧値V0が充電電圧上限値V2以上であると判断すると(S502にてYes)、再度、充電パラメータ発見要求S20を送信する(S503)。この充電パラメータ発見要求S20の充電電圧上限値V2は、電池最大電圧値V1である。そして、ケーブルチェック段階S405に移行する。
【0160】
EVCC214は、充電電圧上限値V2が出力可能電圧値V0よりも大きいと判断すると(S502にてNo)、EVCC214は、充電電圧上限値V2に最大電圧値V3を設定する(S504)。なお、最大電圧値V3は、出力可能電圧値V0以下の値である。なお、最大電圧値V3を出力可能電圧値V0と同じ値としてもよい。
【0161】
EVCC214は、再度、充電パラメータ発見要求S20を送信する(S506)。この際、充電パラメータ発見要求S20に含まれる充電電圧上限値V2は、最大電圧値V3に設定されている。
【0162】
ここで、SECC235は、最初に充電パラメータ発見要求S20を受信してから所定期間が経過するまで、上記のS600~S606を繰り返す。
【0163】
このため、SECC235は、再度、充電パラメータ発見要求S20を受信すると、判定処理を行う(S602)。
【0164】
この際、充電電圧上限値V2は最大電圧値V3に設定されており、最大電圧値V3は出力可能電圧値V0以下である。
【0165】
このため、SECC235は、出力可能電圧値V0は充電電圧上限値V2以上であると判断し(S602にてYes)、SECC235は充電パラメータ発見応答S21を送信する(S604)。この際、レスポンスコードS22は、「OK」である。
【0166】
SECC235は、所定期間を経過したと判断すると(S608にてYes)、SECC235は、最終的なレスポンスコードS22が「OK」であるかを判断する(S610)。
【0167】
そして、最後に送信した充電パラメータ発見応答S21のレスポンスコードS22が「OK」であると判断すると(S610にてYes)、正常に、ケーブルチェック段階S405に移行する。その一で、最後に送信した充電パラメータ発見応答S21のレスポンスコードS22が「NO」であると判断すると(S610にてNo)、SECC235は、エラーメッセージを送信する(S612)。この場合、SECC235は、ケーブルチェック段階S405に移行しない。
【0168】
そして、
図9に戻って、EVCC214およびSECC235がケーブルチェック段階S405に移行すると、EVCC214およびSECC235は、ケーブルチェックを行う。具体的にはEVCC214は、CableCheckReq信号をSECC235に送信する。そして、SECC235はCableCheckRes信号を返信する。そして、EVCC214およびSECC235は充電プラグ232および充電コネクタ211が良好に接続されているかを確認する。
【0169】
プリチャージ段階S406においては、充電設備202から車両201に低電力で電力を供給する。
【0170】
具具体的には、EVCC214はPreChargeReq信号を送信する。このPreChargeReq信号には、目標電圧値などが含まれている。SECC235は、PreChargeRes信号を送信する。このようにして、事前充電を行うことで、各部材に問題がないかを予め確認する。
【0171】
そして、充電段階S407において、本充電を行う。具体的には、EVCC214は、
PowerDeliveryReq信号およびCurrentDemandReq信号を送信する。この際、PowerDeliveryReq信号には、充電開始を要求する「Start」フラグが含まれている。CurrentDemandReq信号には、たとえば、最大充電電力(EVMaximumChargePower)と、最大充電電流(EVMaximumChargeCurrent)と、充電電圧上限値V2(最大充電電圧(EVMaximumVoltage))と目標充電電力(EVTargetEnergyRequest)と、が含まれる。充電電圧上限値V2は、上記のS506において、充電パラメータ発見要求S20が再送されている場合には、最大電圧値V3に設定されている。
【0172】
そして、SECC235は、PowerDeliveryRes信号およびCurrentDemandRes信号を送信する。PowerDeliveryRes信号には、充電を開始することを意味するOKフラグが含まれている。CurrentDemandRes信号には、出力電圧(EVSEPresentVoltage)と、出力電圧(EVSEPresentCurrent)と、出力可能電圧値V0(最大出力電圧(EVSEMaximumChargeVoltage))と、最大出力電流(EVSEMaximumChargeCurrent)と、最大出力電力(EVSEMaximumChargePower)とを含む。
【0173】
そして、充電が完了すると、EVCC214は、PowerDeliveryReq信号を送信する。このPowerDeliveryReq信号には、充電開始を要求する「Stop」フラグが含まれている。
【0174】
SECC235は、PowerDeliveryRes信号を返信する。PowerDeliveryRes信号には、充電を終了することを示すOKフラグが含まれている。そして、EVCC214は充電を終了する。
【0175】
溶着チェック段階S409においては、EVCC214およびSECC235は、溶着チェックを行い。その後、セッション終了段階S410において、EVCC214およびSECC235は、互いの通信を終了する。
【0176】
上記の充電システム1Bによれば、充電パラメータ段階S404において、EVCC214は、出力可能電圧値V0に基づいて、充電電圧上限値V2を調整しており、充電が開始されないことを抑制している。
【0177】
これにより、車両201は、充電設備202から電力を受電することができ、蓄電装置210を充電することができる。
【0178】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0179】
1,1A,1B 充電システム、2,102,201 車両、3,202 充電設備、10,53,110,210 蓄電装置、11 充電ケーブル、12 設備側コネクタ、13,230 変換器、15,54 通信部、16,55 制御部、17 制御電源、18,19,57,58 リレー、20,59,60,63,64 フォトカプラ、21 入力部、22,67 記憶部、31,71 充電用ライン、32,72 通信用ライン、33 制御用ライン、34,74,74A,74B 充電開始停止ライン、35 コネクタ接続確認ライン、36 充電禁止許可ライン、37,77 グランドライン、40 入力電源、41 電圧計、42 電流計、43 地絡検知器、44 ラッチホールド回路、45 ラッチ、52 車両側コネクタ、56 制御系電源、62 検知回路、73 制御ライン、75 コネクタ接続ライン、76 充電許可禁止ライン、103 充電装置、113 充電インレット、114 電力配線、120 プラグ、122,CAN 充電器、137 車両コントローラ、145 電圧測定装置、146 ブリーダ回路、157,187 筐体、173 充電器コントローラ、211 充電コネクタ、212,233 電力線、231 充電コード、232 充電プラグ、236 外部電源、BCP 諸元メッセージ、BRO 充電準備完了メッセージ、CCD 充電器充放電方向請求メッセージ、CML 充電器最大出力能力メッセージ、CRO 充電器出力準備完了メッセージ、CTS 充電器時間同期情報メッセージ、D0 充電器CANデータ、I0 出力可能電流値、K1,K2,K5,K6 接触器、P1,P2,P3 検出ポイント、R1,R4 抵抗、S0 充電開始トリガー、S1 事前準備合図信号、S2 充電開始合図信号、S3 コネクタ接続確認信号、S4 コネクタ接続完了信号、S5 車両充電可能フラグ、S6 充電指令値、S7 事前準備確認信号、S10 リトライメッセージ、S20 充電パラメータ発見要求、S21 充電パラメータ発見応答、S22 レスポンスコード、S214 諸元配置段階、S215,S407 充電段階、S216,S408 充電終了段階、S400 通信セットアップ段階、S401 サービス発見段階、S402 サービス選択段階、S403 認証段階、S404 充電パラメータ段階、S405 ケーブルチェック段階、S406 プリチャージ段階、S409 溶着チェック段階、S410 セッション終了段階、SOC 目標、T0 未接続状態、T1 接続状態、T2,T3,T4 ウェイクアップ、V0 出力可能電圧値、V1 電池最大電圧値、V2 充電電圧上限値、V3 最大電圧値、V4 電池耐力上限値。