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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】異常動作検出システム
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/20 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
E02F9/20 N
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021115784
(22)【出願日】2021-07-13
(65)【公開番号】P2023012254
(43)【公開日】2023-01-25
【審査請求日】2024-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】藤原 翔
(72)【発明者】
【氏名】細 幸広
(72)【発明者】
【氏名】邱 進軍
(72)【発明者】
【氏名】宗正 佳樹
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/181874(WO,A1)
【文献】特開2020-033836(JP,A)
【文献】特開2021-050474(JP,A)
【文献】特開2021-055256(JP,A)
【文献】特開2001-303621(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象部を含み、自動運転される作業機械と、
前記監視対象部の目標位置に関する情報である目標位置情報を取得する目標位置取得部と、
前記目標位置取得部に取得された前記目標位置情報に基づいて、前記監視対象部が前記目標位置に配置されたと仮定したときの前記監視対象部の位置よりも外側の所定の範囲である異常動作範囲を設定する異常動作範囲設定部と、
前記監視対象部の現在の位置の情報を取得する現在位置取得部と、
前記現在位置取得部に取得された前記監視対象部の現在の位置が、前記異常動作範囲の内側であるか否かを判定する異常動作判定部と、
を備える、
異常動作検出システム。
【請求項2】
請求項1に記載の異常動作検出システムであって、
前記作業機械は、
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回可能に搭載された上部旋回体と、
前記上部旋回体に取り付けられ、作業を行うアタッチメントと、
を備え、
前記監視対象部は、前記アタッチメントの先端部である、
異常動作検出システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の異常動作検出システムであって、
前記現在位置取得部は、前記作業機械の外部から撮像された画像に基づいて前記監視対象部の現在の位置の情報を取得する、
異常動作検出システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の異常動作検出システムであって、
前記異常動作範囲設定部は、前記作業機械の自動運転の作業フェーズの変化に伴って前記異常動作範囲を変化させる、
異常動作検出システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の異常動作検出システムであって、
前記目標位置取得部は、前記監視対象部の所定時間ごとの前記目標位置情報を取得し、
前記異常動作範囲設定部は、前記所定時間ごとに前記異常動作範囲を変化させる、
異常動作検出システム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の異常動作検出システムであって、
前記異常動作範囲設定部は、前記作業機械の周囲に設定される侵入禁止範囲を前記異常動作範囲に含ませる、
異常動作検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械の異常動作を監視する異常動作検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1などに、自動運転される作業機械が撮像され、撮像されたデータに基づいて、適切な位置で作業機械に放土させることを図った技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-293708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
同文献に記載の技術では、自動運転される作業機械の動作が異常であることを検出することはできない。
【0005】
そこで、本発明は、自動運転される作業機械の動作が異常であることを検出することができる異常動作検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
異常動作検出システムは、作業機械と、目標位置取得部と、異常動作範囲設定部と、現在位置取得部と、異常動作判定部と、を備える。前記作業機械は、監視対象部を含み、自動運転される。前記目標位置取得部は、前記監視対象部の目標位置に関する情報である目標位置情報を取得する。前記異常動作範囲設定部は、前記目標位置取得部に取得された前記目標位置情報に基づいて、前記監視対象部が前記目標位置に配置されたと仮定したときの前記監視対象部の位置よりも外側の所定の範囲である異常動作範囲を設定する。現在位置取得部は、前記監視対象部の現在の位置の情報を取得する。異常動作判定部は、前記現在位置取得部に取得された前記監視対象部の現在の位置が、前記異常動作範囲の内側であるか否かを判定する。
【発明の効果】
【0007】
上記構成により、自動運転される作業機械の動作が異常であることを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】異常動作検出システム1の作業機械10などを横から見た図である。
図2図1に示す異常動作検出システム1を示すブロック図である。
図3図1に示す作業機械10などを上から見た図であり、作業計画の例を示す図である。
図4図3相当図であり、上部旋回体13の旋回範囲などに基づいて設定された正常動作範囲Aなどを示す図である。
図5図3相当図であり、複数の作業フェーズの情報に基づいて設定された正常動作範囲Aなどを示す図である。
図6図3相当図であり、1つの作業フェーズの情報に基づいて設定された正常動作範囲Aなどを示す図である。
図7図3相当図であり、特定の時刻での正常動作範囲Aなどを示す図である。
図8図3に示す作業機械10の周囲の侵入禁止範囲Dなどを上から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1図8を参照して、異常動作検出システム1について説明する。
【0010】
異常動作検出システム1は、図1に示す作業機械10の異常動作を検出するシステムである。異常動作検出システム1は、例えば、作業機械10の作業現場(建設現場など)に設けられる。異常動作検出システム1は、作業機械10と、姿勢検出部21(図2参照)と、撮像装置25と、作業機械コントローラ30(図2参照)と、監視コントローラ40(図2参照)と、を備える。
【0011】
作業機械10は、作業を行う機械であり、例えば建設作業を行う建設機械である。作業機械10は、自動運転される自動運転作業機械である。作業機械10は、例えばショベルでもよく、クレーンでもよい。以下では、主に、作業機械10がショベル(自動運転ショベル)である場合について説明する。作業機械10は、下部走行体11と、上部旋回体13と、アタッチメント15と、駆動制御部17(図2参照)と、監視対象部19と、を備える。
【0012】
下部走行体11は、作業機械10を走行させる。下部走行体11は、例えばクローラを備える。
【0013】
上部旋回体13は、下部走行体11に旋回可能に搭載される。上部旋回体13は、下部走行体11に対して旋回中心13a(図3参照)を中心として旋回可能である。
【0014】
アタッチメント15は、作業対象物に対して作業を行う部分であり、例えば、ブーム15aと、アーム15bと、先端アタッチメント15cと、を備える。ブーム15aは、上部旋回体13に起伏可能(上下方向に回転可能)に取り付けられる。アーム15bは、ブーム15aに対して回転可能に取り付けられる。先端アタッチメント15cは、アタッチメント15の先端部に設けられ、アーム15bに回転可能に取り付けられる。先端アタッチメント15cは、例えば土砂などをすくうバケットでもよく、物を挟む装置(グラップルなど)でもよく、破砕や掘削などを行う装置(ブレーカなど)でもよい。アタッチメント15の作業の対象である作業対象物は、土砂でもよく、石でもよく、コンクリートなどの構造物でもよく、廃棄物でもよい。アタッチメント15の特定の部位(例えば先端アタッチメント15cの先端部など)を、特定部位15tとする。
【0015】
駆動制御部17(図2参照)は、作業機械10を駆動させるアクチュエータを制御する。例えば、駆動制御部17は、下部走行体11に対して上部旋回体13を旋回させるモータ(図示なし)を制御する。駆動制御部17は、上部旋回体13に対してブーム15aを起伏させるシリンダ(図示なし)を制御する。駆動制御部17は、ブーム15aに対してアーム15bを回転させるシリンダ(図示なし)を制御する。駆動制御部17は、アーム15bに対して先端アタッチメント15cを回転させるシリンダ(図示なし)を制御する。
【0016】
監視対象部19は、異常動作をしているか否かの監視の対象となる部分である。監視対象部19は、作業機械10の全体でもよく、作業機械10の一部でもよい。監視対象部19は、上部旋回体13の全体でもよく、一部でもよく、例えば上部旋回体13の後端部(カウンタウエイト)でもよい。監視対象部19は、下部走行体11の全体でもよく、一部でもよい。監視対象部19は、アタッチメント15の全体でもよく、一部でもよい。例えば、監視対象部19は、アタッチメント15のうち、旋回中心13a(図3参照)から最も遠い部分を含んでもよい。例えば、監視対象部19は、アタッチメント15の先端部(具体的には例えば先端アタッチメント15c)でもよい。通常、作業機械10は、アタッチメント15の先端部で作業を行うので、アタッチメント15の先端部を監視することで、作業機械10が異常動作しているか否かを適切に検出することができる。例えば、監視対象部19は、先端アタッチメント15cの全体でもよく、先端アタッチメント15cの一部(例えば先端アタッチメント15cの先端部)でもよい。以下では、主に、監視対象部19が、先端アタッチメント15cの全体である場合について説明する。
【0017】
姿勢検出部21(図2参照)は、作業機械10の姿勢を検出する。姿勢検出部21は、作業機械10に搭載されてもよく、作業機械10の外部に配置されてもよい(図2に示す撮像装置25、作業機械コントローラ30、および監視コントローラ40も同様)。例えば、姿勢検出部21は、図1に示す作業機械10の基準となる部位の、作業現場に対する位置および向きを検出する。作業機械10の基準となる部位は、例えば上部旋回体13または下部走行体11の特定の部位でもよく、例えば上部旋回体13へのブーム15aの取付部(ブームフット)などでもよい。姿勢検出部21(図2参照)は、位置測位システム(例えば衛星測位システムなど)により検出を行うものでもよい。位置測位システムは、衛星測位システムでもよく、例えばGNSS(global navigation satellite system)でもよい。位置測位システムは、トータルステーションを用いたものでもよい。
【0018】
この姿勢検出部21(図2参照)は、下部走行体11に対する上部旋回体13の、旋回角度や旋回角速度などを検出してもよい。姿勢検出部21は、上部旋回体13に対するブーム15aの、回転角度(起伏角度)や回転角速度などを検出してもよい。姿勢検出部21は、ブーム15aに対するアーム15bの回転角度や回転角速度などを検出してもよい。姿勢検出部21は、アーム15bに対する先端アタッチメント15cの回転角度や回転角速度などを検出してもよい。姿勢検出部21は、角度を検出するセンサ(例えばロータリエンコーダなど)を備えてもよく、水平面に対する傾斜を検出するセンサを備えてもよく、アタッチメント15を駆動するシリンダ(図示なし)のストロークを検出するセンサを備えてもよい。
【0019】
撮像装置25は、撮像対象物を撮像する。例えば、撮像装置25の撮像対象物は、監視対象部19である。撮像装置25の撮像対象物は、作業機械10を含んでもよい。撮像装置25の撮像対象物は、作業機械10の周囲の物(車両、建屋E2など(図8参照))を含んでもよい。撮像装置25は、撮像対象物の二次元情報(例えば、位置、形状)を検出してもよい。撮像装置25は、撮像対象物の三次元情報を検出してもよく、距離の情報(奥行きの情報)を有する画像(距離画像)を取得してもよい。撮像装置25は、距離画像と二次元画像とに基づいて、撮像対象物の三次元情報を検出してもよい。撮像装置25は、1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよい。撮像装置25は、作業機械10に搭載されてもよく、作業機械10の外部に配置されてもよい。撮像装置25は、二次元の情報を検出するカメラ(単眼カメラ)を備えてもよい。撮像装置25は、レーザー光を用いて三次元の情報を検出する装置を備えてもよく、例えばLIDAR(Light Detection and Ranging)を備えてもよく、例えばTOF(Time Of Flight)センサを備えてもよい。撮像装置25は、電波を用いて三次元の情報を検出する装置(例えばミリ波レーダなど)を備えてもよい。撮像装置25は、ステレオカメラを備えてもよい。
【0020】
作業機械コントローラ30は、図2に示すように、信号の入出力、演算(処理)、情報の記憶などを行うコンピュータである(監視コントローラ40も同様)。例えば、作業機械コントローラ30の機能は、作業機械コントローラ30の記憶部に記憶されたプログラムが演算部で実行されることにより実現される(監視コントローラ40も同様)。作業機械コントローラ30は、作業機械10(図1参照)の自動運転の制御を行う。
【0021】
この作業機械コントローラ30は、監視コントローラ40に情報を送信する。例えば、作業機械コントローラ30は、作業機械10(図1参照)の機体情報を監視コントローラ40に送信してもよい。作業機械10の機体情報は、図1に示す作業機械10の構成要素(例えば下部走行体11、上部旋回体13、ブーム15a、アーム15b、先端アタッチメント15cの少なくともいずれか)の、寸法の情報を含んでもよく、形状の情報を含んでもよい。例えば、作業機械コントローラ30は、姿勢検出部21(図2参照)に検出された作業機械10の姿勢の情報を監視コントローラ40に送信してもよい。例えば、作業機械コントローラ30は、作業計画(後述)に関する情報を監視コントローラ40に送信してもよい。例えば、図2に示す作業機械コントローラ30は、作業機械10(図1参照)が自動運転により動作しているときに、どの作業フェーズ(後述)で作業機械10が動作しているかの情報(現在の作業フェーズの情報)を監視コントローラ40に送信してもよい。図2に示すように、作業機械コントローラ30は、作業計画設定部31を備える。
【0022】
作業計画設定部31は、作業機械10(図3参照)の作業計画を設定する。作業計画は、作業機械10の作業の目標に関する情報である。作業計画は、作業機械10の走行の目標軌跡(目標ルート)の情報を含んでもよい。作業計画は、図3に示す先端アタッチメント15c(特定部位15tを含む部分)が作業を行う目標範囲(目標捕捉範囲P1、目標解放範囲P3)の情報を含んでもよい。作業計画は、特定部位15tの目標軌跡(目標持上旋回軌跡P2、目標復帰旋回軌跡P4)の情報を含んでもよい。作業計画は、上部旋回体13の旋回角度の情報を含んでもよく、旋回中心13aから特定部位15tまでの半径の情報を含んでもよく、作業機械10の底面から特定部位15tまでの高さの情報を含んでもよい。
【0023】
この作業計画設定部31(図2参照)は、作業計画に含まれる複数の作業フェーズ(作業の内容)を設定する。具体的には例えば、作業フェーズには、捕捉フェーズと、持上旋回フェーズと、解放フェーズと、復帰旋回フェーズと、がある。捕捉フェーズは、先端アタッチメント15cが、目標捕捉範囲P1で作業対象物を捕捉する(例えば土砂を掘削する)フェーズである。例えば、目標捕捉範囲P1は、作業対象物が集められた場所など(例えば土砂山など)に設定される。持上旋回フェーズは、先端アタッチメント15cが作業対象物を捕捉した状態で、目標捕捉範囲P1から目標解放範囲P3に向かって、目標持上旋回軌跡P2に沿って、特定部位15tが移動するフェーズである。解放フェーズは、先端アタッチメント15cが、目標解放範囲P3で作業対象物を解放する(例えば排土する)フェーズである。目標解放範囲P3は、例えば輸送車両の荷台の上の範囲などに設定される。復帰旋回フェーズは、目標解放範囲P3から目標捕捉範囲P1に向かって、目標復帰旋回軌跡P4に沿って、特定部位15tが移動するフェーズである。例えば、捕捉フェーズと、持上旋回フェーズと、解放フェーズと、復帰旋回フェーズと、の一連の作業フェーズが、繰り返し行われる。
【0024】
作業計画は、ティーチングにより作業計画設定部31(図2参照)に設定されてもよく、ティーチング以外の方法(例えば数値入力など)により作業計画設定部31に設定されてもよい。ティーチングは、次のように行われる。作業者(オペレータ)が作業機械10に搭乗して作業機械10を操作する、または、作業者が作業機械10を遠隔操作する。例えば、作業者は、作業機械10を操作することで、目標範囲(目標捕捉範囲P1や目標解放範囲P3)として設定したい範囲の特定の位置(例えば目標捕捉範囲P1の角となる位置など)に特定部位15tを配置する。そして、作業計画設定部31(図2参照)は、特定部位15tが配置された位置に基づいて、目標範囲を設定する。また、例えば、作業者は、作業機械10を操作することで、目標軌跡(目標持上旋回軌跡P2や目標復帰旋回軌跡P4)として設定したい軌跡に沿うように特定部位15tを移動させる。そして、作業計画設定部31(図2参照)は、特定部位15tが移動した軌跡を、目標軌跡として設定する。
【0025】
監視コントローラ40(図2参照)は、作業機械10の動作が異常動作か否かの判定などを行う。なお、図2に示す監視コントローラ40と作業機械コントローラ30とは、兼用されてもよく、別々に設けられてもよい。監視コントローラ40は、目標位置取得部41と、正常動作範囲設定部43と、異常動作範囲設定部45と、現在位置取得部47と、異常動作判定部51と、措置部53と、を備える。
【0026】
目標位置取得部41は、図3に示す監視対象部19の目標位置に関する情報である目標位置情報を取得する。図2に示すように、目標位置取得部41は、作業機械コントローラ30から目標位置情報を取得する。目標位置取得部41は、異常動作範囲B(図4参照)の設定に必要な目標位置情報を取得する。目標位置情報は、例えば、作業計画の情報(目標軌跡や目標範囲の情報)を含んでもよく、現在の作業フェーズがどの作業フェーズであるかを表す情報を含んでもよく、作業機械10の機体情報を含んでもよい。目標位置情報は、三次元情報でもよく、二次元情報でもよい。この二次元情報は、例えば作業現場を上から見た位置の情報でもよく、斜め上から作業現場を撮像した画像における位置の情報などでもよい。
【0027】
正常動作範囲設定部43は、正常動作範囲A(図4参照)を設定(自動的に計算)する。正常動作範囲設定部43は、目標位置取得部41に取得された目標位置情報に基づいて、正常動作範囲Aを設定する。図4に示す正常動作範囲Aは、監視対象部19が目標位置に配置されたと仮定したときの、監視対象部19の位置に基づいて設定される。正常動作範囲Aは、作業計画に従って作業機械10が作業を行うと仮定したときの、監視対象部19の位置(監視対象部19が配置されると想定される位置)に基づいて設定される。正常動作範囲Aは、監視対象部19が目標位置に配置されたと仮定したときの、監視対象部19の位置と厳密に一致する必要はない。作業機械10が正常に動作しても、監視対象部19の位置は、目標位置に対してずれる場合が想定される。そのため、例えば、正常動作範囲Aは、監視対象部19が目標位置に配置されたと仮定したときの、監視対象部19の位置よりも広い範囲に設定されてもよい。例えば、監視対象部19の目標位置に対する正常動作範囲Aの広さは、作業機械10のうち作動する部分(例えば上部旋回体13やアタッチメント15)の作動速度(目標作動速度または実際の速度)や、質量などに基づいて設定されてもよい。正常動作範囲Aは、二次元の範囲でもよく、三次元の範囲でもよい。正常動作範囲Aの具体例については後述する。
【0028】
異常動作範囲設定部45(図2参照)は、異常動作範囲Bを設定(自動的に計算)する。異常動作範囲設定部45は、目標位置取得部41(図2参照)に取得された目標位置情報に基づいて、異常動作範囲Bを設定する。さらに詳しくは、異常動作範囲設定部45は、正常動作範囲Aに基づいて異常動作範囲Bを設定する。異常動作範囲Bは、監視対象部19が目標位置に配置されたと仮定したときの監視対象部19の位置よりも外側の所定の範囲である。例えば、異常動作範囲Bは、正常動作範囲A以外の範囲である。異常動作範囲Bは、二次元の範囲でもよく、三次元の範囲でもよい。異常動作範囲Bの具体例については後述する。
【0029】
現在位置取得部47(図2参照)は、監視対象部19の現在の位置を取得する。現在位置取得部47は、監視対象部19の現在の位置に基づいて、現在位置範囲Cを設定する。現在位置範囲Cは、監視対象部19の現在の位置と厳密に一致する必要はない。現在位置範囲Cは、監視対象部19の少なくとも一部を含む範囲である。現在位置範囲Cは、二次元の範囲でもよく、三次元の範囲でもよい。
【0030】
この現在位置取得部47(図2参照)は、監視対象部19の現在の位置を、作業機械10の外部から撮像された画像(二次元画像または三次元の距離画像)から取得してもよい。具体的には、現在位置取得部47は、監視対象部19の現在の位置を、作業機械10の外部に配置された撮像装置25から取得してもよい。以下では、主に、撮像装置25(図1参照)が作業機械10の外部に設けられ、姿勢検出部21(図2参照)が作業機械10に搭載された場合について説明する。
【0031】
ここで、現在位置取得部47(図2参照)が、作業機械10から(さらに詳しくは作業機械コントローラ30(図2参照)から)送信された情報に基づいて監視対象部19の現在の位置を取得する場合について検討する。この場合、作業機械10から送信された情報に誤りがあると、現在位置取得部47は、監視対象部19の現在の位置を正しく取得できない。例えば、作業機械10に搭載された姿勢検出部21(図2参照)が故障した場合、作業機械コントローラ30(図2参照)が故障した場合、または、機械情報が誤っている場合などに、現在位置取得部47は、監視対象部19の現在の位置を正しく取得できない。上記「機械情報が誤っている場合」は、例えば、アタッチメント15が交換されたが、交換後のアタッチメント15の情報(寸法、形状)が作業機械コントローラ30に正しく入力されていない場合などが含まれる。例えば、作業機械コントローラ30が故障した場合は、作業機械10の動作が異常動作となる場合があり、さらに、作業機械コントローラ30から現在位置取得部47に誤った情報が送信される場合がある。
【0032】
一方、現在位置取得部47(図2参照)が、監視対象部19の現在の位置を、作業機械10の外部(具体的には撮像装置25(図2参照))から撮像された画像から取得する場合は、作業機械10から送信された情報に誤りがあることによる問題が生じない。したがって、現在位置取得部47は、監視対象部19の現在の位置を正しく取得することができる。
【0033】
この現在位置取得部47(図2参照)は、例えば次のように、画像に基づく現在位置範囲Cの設定を行う。現在位置取得部47は、二次元画像に基づいて、人工知能などによる画像認識により監視対象部19の位置を特定し、現在位置範囲Cを設定してもよい。例えば、現在位置取得部47は、三次元の距離画像に基づいて、監視対象部19の位置を特定し、現在位置範囲Cを設定してもよい。現在位置取得部47は、二次元画像に基づいて画像における監視対象部19の範囲を特定し、この範囲に対応する三次元情報を抽出し、抽出された三次元情報に基づいて監視対象部19の三次元位置を特定し、現在位置範囲Cを設定してもよい。
【0034】
この現在位置取得部47(図2参照)は、作業機械10に搭載された姿勢検出部21(図2参照)が検出した作業機械10の姿勢に基づいて、監視対象部19の現在の位置を取得してもよい。現在位置取得部47は、姿勢検出部21が検出した作業機械10の姿勢、および、撮像装置25(図2参照)が取得した監視対象部19の位置に基づいて、監視対象部19の現在の位置を取得してもよい。
【0035】
異常動作判定部51(図2参照)は、現在位置取得部47(図2参照)に取得された監視対象部19の現在の位置が、異常動作範囲Bの内側であるか否かを判定する。異常動作判定部51は、監視対象部19の現在の位置が異常動作範囲Bの内側である場合、作業機械10の動作が異常動作であると判定する。異常動作判定部51は、監視対象部19の現在の位置が異常動作範囲Bの内側でない場合、作業機械10の動作が異常動作ではない(例えば正常動作である)と判定する。
【0036】
この異常動作判定部51(図2参照)の判定(すなわち監視対象部19の現在の位置が、異常動作範囲Bの内側であるか否か)は、具体的には例えば次のように行われる。[例1a]異常動作判定部51は、現在位置範囲Cの少なくとも一部が、異常動作範囲Bの内側にあるか(侵入したか)否かを判定してもよい。[例1b]異常動作判定部51は、現在位置範囲Cの少なくとも一部が、正常動作範囲Aからはみ出しているか否かを判定してもよい。[例2a]異常動作判定部51は、現在位置範囲Cの全体が、異常動作範囲Bの内側にあるか否かを判定してもよい。[例2b]異常動作判定部51は、現在位置範囲Cの全体が、正常動作範囲Aからはみ出ているか否かを判定してもよい。
【0037】
この異常動作判定部51(図2参照)の判定方法に応じて、正常動作範囲A、異常動作範囲B、および現在位置範囲Cが適切に設定される。具体的には例えば、異常動作判定部51の判定方法に応じて、実際の監視対象部19の位置に対する、現在位置範囲Cの広さ(実際より広いか、狭いか、一致するかなど)が設定されてもよい(正常動作範囲AおよびBについても同様)。なお、現在位置範囲Cが正常動作範囲Aからはみ出ているか否かが判定されること(上記[例2a][例2b])は、現在位置範囲Cが異常動作範囲Bの内側にあるか否かが判定されること(上記[例1a][例1b])と実質的に等しい。正常動作範囲設定部43が正常動作範囲Aを設定し、現在位置範囲Cが正常動作範囲Aからはみ出ているか否かを異常動作判定部51が判定することは、異常動作範囲設定部45が異常動作範囲Bを設定し、現在位置範囲Cが異常動作範囲Bの内側か否かを異常動作判定部51が判定することと実質的に等しい。
【0038】
措置部53(図2参照)は、作業機械10の動作が異常動作であると異常動作判定部51(図2参照)が判定した場合に、予め定められた措置(例えば措置部53に予め定められた措置)を行う。措置部53が行う措置の具体例は、次の通りである。措置部53が行う措置は、作業機械10の動作の制限でもよい。この場合、措置部53は、作業機械コントローラ30(図2参照)に動作を制限する指令を出力する。措置部53による作業機械10の動作の制限は、監視対象部19の停止でもよく、作業機械10全体の停止でもよい。措置部53による作業機械10の動作の制限は、監視対象部19の減速でもよく、作業機械10全体の減速でもよい。措置部53が行う措置は、警告でもよい。例えば、措置部53は、監視コントローラ40(図2参照)に警告を行わせてもよく、監視コントローラ40とは別の装置に警告を行わせてもよい。この警告は、例えば、音、光、表示、および振動の少なくともいずれかによる警告でもよい。措置部53は、何らかの条件に応じて、措置の内容(作業機械10の動作の制限の度合い、警告の度合いなど)を変えてもよい。例えば、措置部53は、現在位置範囲Cが異常動作範囲Bに入った量や、作業機械10の作動速度の大きさなどに応じて、措置の内容を変えてもよい。措置部53は、作業機械10の動作の制限と、警告と、を両方行ってもよい。
【0039】
(範囲設定の具体例)
正常動作範囲Aおよび異常動作範囲Bは、様々に設定可能である。正常動作範囲Aおよび異常動作範囲Bは、下部走行体11に対する上部旋回体13の目標旋回角度に基づいて設定されてもよい。正常動作範囲Aおよび異常動作範囲Bは、監視対象部19のうち旋回中心13aから最も遠い部分の目標位置(例えば目標作業半径)に基づいて設定されてもよい。正常動作範囲Aおよび異常動作範囲Bは、監視対象部19の目標高さ(例えば作業機械10の底面に対する高さ)に基づいて設定されてもよい。正常動作範囲Aおよび異常動作範囲Bは、作業計画の全体での監視対象部19の目標位置情報に基づいて設定されてもよく、作業計画の一部での監視対象部19の目標位置情報に基づいて設定されてもよい。以下では、正常動作範囲Aおよび異常動作範囲Bの具体例を説明する。
【0040】
(最小値、最大値に基づく範囲設定)
異常動作範囲Bは、監視対象部19の目標位置情報に含まれる旋回角度、作業半径、および、監視対象部19の高さの少なくともいずれかの、最小値および最大値などの情報に基づいて設定されてもよい。具体的には例えば、目標位置取得部41(図2参照)は、一連の作業フェーズ(捕捉フェーズ、持上旋回フェーズ、解放フェーズ、および復帰旋回フェーズ)の情報を取得する。具体的には例えば、目標位置取得部41は、一連の作業フェーズでの旋回角度、作業半径、および監視対象部19の高さなどを取得する。
【0041】
例えば、正常動作範囲設定部43(図2参照)は、一連の作業フェーズに従って監視対象部19が移動するとき(さらに詳しくは移動すると仮定したとき)の、上部旋回体13の旋回角度の最小値および最大値を取得または算出する。正常動作範囲設定部43は、旋回角度が最小値から最大値の間で変化したときに監視対象部19が配置され得る範囲を算出し、この範囲に基づいて正常動作範囲Aを設定する。
【0042】
例えば、正常動作範囲設定部43(図2参照)は、一連の作業フェーズに従って監視対象部19が移動すると仮定したときの、作業半径の最小値および最大値を取得または算出する。正常動作範囲設定部43は、最小値から最大値までの間の作業半径で監視対象部19が移動したときに監視対象部19が配置され得る範囲を算出し、この範囲に基づいて正常動作範囲Aを設定する。
【0043】
例えば、正常動作範囲設定部43(図2参照)は、一連の作業フェーズに従って監視対象部19が移動すると仮定したときの、監視対象部19の高さの最小値および最大値を取得または算出する。正常動作範囲設定部43は、監視対象部19の高さの最小値から最大値までの間で、監視対象部19が移動したときに監視対象部19が配置され得る範囲を算出し、この範囲に基づいて正常動作範囲Aを設定する。
【0044】
図4に示す例では、正常動作範囲Aは、目標捕捉範囲P1および目標解放範囲P3で監視対象部19が作業すると仮定したときに監視対象部19が配置される範囲を含む。正常動作範囲Aは、目標持上旋回軌跡P2および目標復帰旋回軌跡P4に沿って特定部位15t(例えば先端アタッチメント15c)が移動すると仮定したときに監視対象部19が配置され得る範囲を含む。図4に示す例では、正常動作範囲Aは、上から見たときに扇形または略扇形の領域である。例えば、正常動作範囲Aは、上から見て扇形になるように、円柱または略円柱の一部を削除したような三次元の領域でもよい。異常動作範囲設定部45(図2参照)は、正常動作範囲A以外の範囲を異常動作範囲Bとする。
【0045】
上記のように、異常動作判定部51(図2参照)は、現在位置範囲Cが異常動作範囲Bの内部に入ったときに、作業機械10の動作が異常動作であると判定する。図4に示す例では、異常動作判定部51は、現在の上部旋回体13の旋回角度が、異常動作範囲Bとして設定された旋回角度の範囲内となったときに、作業機械10の動作が異常動作であると判定する。
【0046】
(作業フェーズごとの目標位置に基づく範囲設定)
図5に示すように、異常動作範囲Bは、作業フェーズごとに設定される監視対象部19の目標位置情報に基づいて設定されてもよい。具体的には例えば、目標位置取得部41(図2参照)は、一連の各作業フェーズの情報を取得する。例えば、正常動作範囲設定部43は、範囲A1、範囲A2、範囲A3、および範囲A4を設定する。例えば、正常動作範囲設定部43は、範囲A1、範囲A2、範囲A3、および範囲A4を重ね合わせた範囲を、正常動作範囲Aとして設定してもよい。具体的には例えば、範囲A1は、捕捉フェーズにおいて、目標捕捉範囲P1内で監視対象部19が作業対象物を捕捉する作業を行うと仮定したときに、監視対象部19が配置されると想定される範囲に基づいて設定される。例えば、範囲A2は、持上旋回フェーズにおいて、目標持上旋回軌跡P2に沿って特定部位15tが移動すると仮定したときに、監視対象部19が通ると想定される範囲(軌跡)に基づいて設定される。例えば、範囲A3は、解放フェーズにおいて、目標解放範囲P3内で監視対象部19が作業対象物を解放する作業を行うと仮定したときに、監視対象部19が配置されると想定される範囲に基づいて設定される。範囲A4は、復帰旋回フェーズにおいて、目標復帰旋回軌跡P4に沿って特定部位15tが移動すると仮定したときに、監視対象部19が通ると想定される範囲(軌跡)に基づいて設定される。そして、異常動作範囲設定部45は、正常動作範囲A以外の範囲、すなわち、範囲A1、範囲A2、範囲A3、および範囲A4のいずれでもない領域を、異常動作範囲Bとする。
【0047】
(作業フェーズの変化に伴う範囲の変化)
異常動作範囲Bは、作業フェーズの変化(進行)に伴って、変化させられてもよい(切り替えられてもよい)。この場合、作業計画に設定された作業フェーズの変化に沿った移動を監視対象部19がしない場合(狙いと異なる移動を監視対象部19がした場合)、作業機械10の動作が異常動作と判定される。
【0048】
具体的には例えば、目標位置取得部41(図2参照)は、現在の作業フェーズがどの作業フェーズであるかを表す情報を取得する。目標位置取得部41は、現在の作業フェーズの次回の作業フェーズの情報を取得してもよく、さらに後に行われる予定の作業フェーズの情報を取得してもよい。目標位置取得部41は、一連の(全ての)作業フェーズの情報を取得してもよい。目標位置取得部41は、作業機械10が作業している最中などに、作業フェーズでの監視対象部19の目標位置が変更された場合に、目標位置を更新してもよい。
【0049】
正常動作範囲設定部43(図2参照)は、現在の作業フェーズがどの作業フェーズであるかに応じて、正常動作範囲Aを設定する(切り替える)。具体的には例えば、正常動作範囲設定部43は、現在の作業フェーズが捕捉フェーズのとき、範囲A1を正常動作範囲Aとして設定する。正常動作範囲設定部43は、現在の作業フェーズが持上旋回フェーズのとき、範囲A2を正常動作範囲Aとして設定する。正常動作範囲設定部43は、現在の作業フェーズが解放フェーズのとき、範囲A3を正常動作範囲Aとして設定する。正常動作範囲設定部43は、現在の作業フェーズが復帰旋回フェーズのとき、範囲A4を正常動作範囲Aとして設定する。そして、異常動作範囲設定部45は、現在の作業フェーズがどの作業フェーズであるかに応じて、異常動作範囲Bを設定する(切り替える)。
【0050】
具体的には例えば、図6に示す例では、現在の作業フェーズは、復帰旋回フェーズであり、正常動作範囲Aは、範囲A4である。そして、異常動作範囲Bは、範囲A4以外の範囲である。この例では、現在位置範囲Cが範囲A4以外の領域(すなわち異常動作範囲B)の内側であれば、図5に示す範囲A1、範囲A2、および範囲A3の少なくともいずれかに現在位置範囲Cが入っていても、作業機械10の動作が異常動作であると判定される。
【0051】
(所定時間ごとの範囲の変化)
図7に示すように、異常動作範囲Bは、所定時間ごとに変化させられてもよい。さらに詳しくは、異常動作範囲Bは、作業計画に設定された時間(時刻)と監視対象部19の目標位置との関係を示す情報(時系列の情報)に基づいて、変化させられてもよい。この場合、作業計画に設定された時系列の情報に沿って監視対象部19が移動しない場合、作業機械10の動作が異常動作と判定される。例えば、作業計画に設定された速度で監視対象部19が移動しない場合、作業機械10の動作が異常動作と判定される。この場合、監視対象部19の作業速度も加味したリアルタイムな異常動作の判定が可能になる。
【0052】
具体的には例えば、目標位置取得部41(図2参照)は、監視対象部19の所定時間ごとの目標位置情報(時系列の情報)を取得する。この「所定時間」は、例えば1秒などであり、1秒未満でもよく、1秒より大きくてもよい。さらに具体的には、目標位置取得部41は、時刻がt+n(n=0、1、2・・・)のときの監視対象部19の目標位置を取得する。図7に示す目標復帰旋回軌跡P4上の各点(「t」、「t+1」、「t+2」・・・)は、各時刻での監視対象部19の目標位置の例である。目標位置取得部41は、あるフェーズ(例えば復帰旋回フェーズ)での監視対象部19の開始位置(図7に示す例では「t」)から終了位置(図7に示す例では「t+11」)までのうち、全ての目標位置を取得してもよく、一部のみの目標位置を取得してもよい。目標位置取得部41は、現在の時刻(例えばt4)以降の時刻(例えばt4、t5、t6など)の目標位置を取得してもよい。例えば、作業機械10が動作している最中に、作業計画(具体的には目標軌跡や目標速度)が変化する場合がある。この場合、目標位置取得部41は、変化後の作業計画を取得する(さらに詳しくは、変化後の監視対象部19の目標位置を取得する)ことが好ましい。目標位置取得部41が監視対象部19の目標位置を取得した後に作業計画が変えられた場合、目標位置取得部41は、変更後の作業計画に基づいて目標位置を更新してもよい。これらの場合、作業計画の変化に伴った適切な異常動作範囲Bの設定が可能になる。
【0053】
例えば、正常動作範囲設定部43(図2参照)は、正常動作範囲Aを所定時間ごとに設定し、正常動作範囲Aを所定時間ごとに切り替える。正常動作範囲設定部43は、ある時刻に対応する目標位置に監視対象部19が配置されたと仮定したときの、監視対象部19の位置に基づいて、正常動作範囲Aを設定する。具体的には、ある時刻tの時の正常動作範囲Aは、この時刻tに対応する目標位置に監視対象部19が配置されたと仮定したときの、監視対象部19の位置に基づいて設定される。具体的には例えば、目標位置取得部41(図2参照)が、ある時刻t+1の時に、次回の時刻t+2の目標位置を取得し、正常動作範囲設定部43が、時刻t+2の時の正常動作範囲Aを決定してもよい。そして、異常動作範囲設定部45は、異常動作範囲Bを所定時間ごとに設定し、異常動作範囲Bを所定時間ごとに切り替える。
【0054】
(侵入禁止範囲D)
異常動作範囲設定部45(図2参照)は、図8に示すように、作業機械10の周囲に設定される侵入禁止範囲Dを異常動作範囲Bに含むようにしてもよい。例えば、侵入禁止範囲Dは、監視対象部19が接触すると問題が生じ得る物が存在する範囲、およびその周辺の範囲などに設定される。具体的には例えば、侵入禁止範囲Dは、人が侵入する範囲に設定されてもよく、輸送車両(ダンプなど)の運転室E1およびその周辺に設定されてもよく、建屋E2およびその周辺に設定されてもよい。異常動作範囲設定部45(図2参照)は、撮像装置25(図2参照)が撮像した画像(二次元画像または三次元の距離画像)に基づいて、侵入禁止範囲Dを自動的に設定してもよい。異常動作範囲設定部45は、作業機械10が作業を行う現場(作業現場)の情報(例えば三次元情報など)に基づいて、侵入禁止範囲Dを自動的に設定してもよい。侵入禁止範囲Dは、異常動作範囲設定部45に予め設定されてもよい。
【0055】
(第1の発明の効果)
図2に示す異常動作検出システム1による効果は、次の通りである。異常動作検出システム1は、作業機械10(図1参照)と、目標位置取得部41と、異常動作範囲設定部45と、現在位置取得部47と、異常動作判定部51と、を備える。作業機械10(図1参照)は、監視対象部19(図1参照)を含み、自動運転される。
【0056】
[構成1]目標位置取得部41は、監視対象部19(図1参照)の目標位置の情報である目標位置情報を取得する。異常動作範囲設定部45は、目標位置取得部41に取得された目標位置情報に基づいて、図4に示す異常動作範囲Bを設定する。異常動作範囲Bは、監視対象部19が目標位置に配置されたと仮定したときの監視対象部19の位置よりも外側(例えば正常動作範囲Aよりも外側)の所定の範囲である。現在位置取得部47(図2参照)は、監視対象部19の現在の位置の情報(例えば現在位置範囲C)を取得する。異常動作判定部51(図2参照)は、現在位置取得部47(図2参照)に取得された監視対象部19の現在の位置が、異常動作範囲Bの内側であるか否かを判定する。
【0057】
上記[構成1]では、監視対象部19の現在の位置が、異常動作範囲Bの内側であるか否かが判定される。異常動作範囲Bは、監視対象部19の目標位置の情報である目標位置情報に基づいて設定され、監視対象部19が目標位置に配置されたと仮定したときの監視対象部19の位置よりも外側(例えば正常動作範囲Aよりも外側)の所定の範囲である。よって、異常動作範囲Bが設定されない場合や、監視対象部19の目標位置に基づくことなく異常動作範囲Bが設定される場合などに比べ、監視対象部19の位置の異常を適切に検出することができる。その結果、自動運転される作業機械10の動作が異常であることを検出することができる。
【0058】
(第2の発明の効果)
作業機械10は、下部走行体11と、上部旋回体13と、アタッチメント15と、を備える。上部旋回体13は、下部走行体11に旋回可能に搭載される。アタッチメント15は、上部旋回体13に取り付けられ、作業を行う。
【0059】
[構成2]監視対象部19は、アタッチメント15の先端部である。
【0060】
上記[構成2]により、次の効果が得られる。通常、アタッチメント15の先端部(具体的には先端アタッチメント15c)は、作業が行われる部分である。上記[構成2]では、このアタッチメント15の先端部が監視対象部19であり、アタッチメント15の先端部の位置が監視される。よって、アタッチメント15の先端部とは異なる部分の位置が監視される場合に比べ、作業機械10の動作の異常を適切に検出することができる。
【0061】
(第3の発明の効果)
[構成3]現在位置取得部47(図2参照)は、作業機械10の外部(例えば撮像装置25(図1参照))から撮像された画像に基づいて監視対象部19の現在の位置の情報を取得する。
【0062】
上記[構成3]により、次の効果が得られる。現在位置取得部47(図2参照)が、作業機械10で取得された情報のみに基づいて監視対象部19の現在の位置の情報を取得する場合、作業機械10で取得された情報に誤りがあれば、監視対象部19の現在の位置の情報が誤った情報となる。一方、上記[構成3]では、現在位置取得部47(図2参照)は、作業機械10の外部から撮像された画像に基づいて監視対象部19の現在の位置の情報を取得する。よって、作業機械10で取得された情報に誤りがある場合でも、監視対象部19の現在の位置の情報を正確に取得することができる。
【0063】
(第4の発明の効果)
[構成4]異常動作範囲設定部45(図2参照)は、作業機械10の自動運転の作業フェーズの変化に伴って、図5に示す異常動作範囲Bを変化させる。
【0064】
上記[構成4]により、作業フェーズの変化に応じた適切な範囲を、異常動作範囲Bとして設定することができる。よって、作業機械10の異常動作をより適切に検出することができる。
【0065】
(第5の発明の効果)
[構成5]目標位置取得部41(図2参照)は、図7に示すように、監視対象部19の所定時間ごとの目標位置情報を取得する。異常動作範囲設定部45(図2参照)は、所定時間ごとに異常動作範囲Bを変化させる。
【0066】
上記[構成5]により、監視対象部19の所定時間ごとの目標位置情報に基づいた適切な範囲を、異常動作範囲Bとして設定することができる。よって、作業機械10の異常動作をより精度良く(細かく)検出することができる。
【0067】
(第6の発明の効果)
[構成6]異常動作範囲設定部45(図2参照)は、図8に示すように、作業機械10の周囲に設定される侵入禁止範囲Dを異常動作範囲Bに含ませる。
【0068】
上記[構成6]により、現在の監視対象部19の位置が異常動作範囲Bの内側に入ったことを検出する処理(プログラム)を利用して、監視対象部19が侵入禁止範囲Dの内側に入ったことを検出する処理を行うことができる。
【0069】
(変形例)
上記実施形態は様々に変形されてもよい。例えば、上記実施形態の各構成要素の配置や形状が変更されてもよい。例えば、図2に示す構成要素どうしの接続は変更されてもよい。例えば、各範囲(図4に示す正常動作範囲A、異常動作範囲B、現在位置範囲C、図8に示す侵入禁止範囲Dなど)は、様々に設定可能であり、例えば手動操作により変えられてもよく、何らかの条件に応じて自動的に変えられてもよい。例えば、構成要素の数が変更されてもよく、構成要素の一部が設けられなくてもよい。例えば、構成要素どうしの固定や連結などは、直接的でも間接的でもよい。例えば、互いに異なる複数の部材や部分として説明したものが、一つの部材や部分とされてもよい。例えば、一つの部材や部分として説明したものが、互いに異なる複数の部材や部分に分けて設けられてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 異常動作検出システム
10 作業機械
11 下部走行体
13 上部旋回体
15 アタッチメント
19 監視対象部
41 目標位置取得部
45 異常動作範囲設定部
47 現在位置取得部
51 異常動作判定部
53 措置部
B 異常動作範囲
D 侵入禁止範囲
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8