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特許7582106内燃機関用のスパークプラグ及びこれを備えた内燃機関
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】内燃機関用のスパークプラグ及びこれを備えた内燃機関
(51)【国際特許分類】
   H01T 13/54 20060101AFI20241106BHJP
   H01T 13/20 20060101ALI20241106BHJP
   H01T 13/32 20060101ALI20241106BHJP
   F02B 19/08 20060101ALI20241106BHJP
   F02B 19/12 20060101ALI20241106BHJP
   F02B 23/10 20060101ALI20241106BHJP
   F02P 13/00 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
H01T13/54
H01T13/20 B
H01T13/32
F02B19/08 A
F02B19/12 D
F02B19/12 B
F02B23/10 P
F02B23/10 T
F02P13/00 302A
F02P13/00 302B
F02P13/00 303A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021121091
(22)【出願日】2021-07-22
(65)【公開番号】P2023016618
(43)【公開日】2023-02-02
【審査請求日】2024-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 明光
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-024608(JP,A)
【文献】特開2021-093293(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01T 13/54
H01T 13/20
H01T 13/32
F02B 19/08
F02B 19/12
F02B 23/10
F02P 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の絶縁碍子(3)と、
該絶縁碍子の内周側に保持されると共に該絶縁碍子から先端側に突出した中心電極(4)と、
上記絶縁碍子を内周側に保持する筒状のハウジング(2)と、
上記中心電極との間に放電ギャップ(G)を形成する接地電極(6)と、
上記放電ギャップが配される副燃焼室(50)を覆うよう上記ハウジングの先端部に設けられたプラグカバー(5)と、を有し、
上記プラグカバーには、上記副燃焼室と外部とを連通させる複数の噴孔(51)が形成されており、該噴孔は、該噴孔を介して上記副燃焼室に気流が導入されることによって該副燃焼室にスワール流が生じるように形成されており、
上記接地電極は、上記ハウジング又は上記プラグカバーに固定された固定端部(61)から上記副燃焼室内に突出しており、
上記放電ギャップは、上記中心電極の中心対向側面(41)と上記接地電極の接地対向側面(63)とが、互いにプラグ径方向に対向することにより形成されており、
上記複数の噴孔のうちの一部の上記噴孔は、上記接地電極の突出端部(62)の突出側に形成された突出側噴孔(510)であり、
上記接地対向側面の突出側端縁(631)の先端である端縁先端(632)は、プラグ軸方向(Z)から見たとき、プラグ中心軸(C)までの距離(D1)よりも、上記突出側噴孔の内側開口部(511)の中心(511C)までの距離(D2)が短い位置に配置されており、
上記突出側端縁は、プラグ軸方向から見たとき、上記放電ギャップよりも、該放電ギャップを通過する上記スワール流の下流側の位置に配されており、
上記突出側噴孔の中心軸を含むと共にプラグ軸方向に沿った断面視において、上記端縁先端は、上記突出側噴孔を開口方向に延長した延長領域(510E)よりも先端側に位置しており、
上記突出側噴孔とプラグ周方向に隣接すると共に、プラグ軸方向から見たとき、該突出側噴孔よりも上記スワール流の上流側に形成されている上記突出側噴孔以外の上記噴孔を隣接噴孔(512)としたとき、上記端縁先端から上記突出側噴孔までの距離(D3)は、上記端縁先端から該隣接噴孔までの距離(D4)以下である、内燃機関用のスパークプラグ(1)。
【請求項2】
上記接地対向側面の先端側端縁(633)は、上記接地電極の長手方向における、上記放電ギャップの位置から上記突出端部までにわたって、上記突出端部に近づくほど先端側に向かうように傾斜しているか、又はプラグ軸方向に対して直交している、請求項1に記載の内燃機関用のスパークプラグ。
【請求項3】
上記接地対向側面は、上記固定端部から上記突出端部までにわたって、連続した平面状に形成されている、請求項1又は2に記載の内燃機関用のスパークプラグ。
【請求項4】
上記突出側噴孔は、他の上記噴孔よりも開口面積が大きい、請求項1~3のいずれか一項に記載の内燃機関用のスパークプラグ。
【請求項5】
請求項4に記載の内燃機関用のスパークプラグを備えた内燃機関(10)であって、
主燃焼室(11)と、
上記プラグカバーの外表面(52)が上記主燃焼室に面するように配置された上記スパークプラグと、
上記主燃焼室に直接燃料を噴射するインジェクタ(12)と、を有し、
上記スパークプラグは、上記インジェクタから噴射された上記燃料を含む噴射流(F)が、上記突出側噴孔の外側開口部(513)に向かうように、配置されている、内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関用のスパークプラグ及びこれを備えた内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に開示されているように、放電ギャップが配される副燃焼室を備えたスパークプラグが知られている。当該スパークプラグは、接地電極の側面と中心電極の側面との間に放電ギャップを形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】独国特許出願公開第102017107679号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のスパークプラグは、放電ギャップの配置が、副燃焼室に形成される気流を考慮したものとなっておらず、着火性向上の観点から、改善の余地がある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、着火性を向上させることができる内燃機関用のスパークプラグ及びこれを備えた内燃機関を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、筒状の絶縁碍子(3)と、
該絶縁碍子の内周側に保持されると共に該絶縁碍子から先端側に突出した中心電極(4)と、
上記絶縁碍子を内周側に保持する筒状のハウジング(2)と、
上記中心電極との間に放電ギャップ(G)を形成する接地電極(6)と、
上記放電ギャップが配される副燃焼室(50)を覆うよう上記ハウジングの先端部に設けられたプラグカバー(5)と、を有し、
上記プラグカバーには、上記副燃焼室と外部とを連通させる複数の噴孔(51)が形成されており、該噴孔は、該噴孔を介して上記副燃焼室に気流が導入されることによって該副燃焼室にスワール流が生じるように形成されており、
上記接地電極は、上記ハウジング又は上記プラグカバーに固定された固定端部(61)から上記副燃焼室内に突出しており、
上記放電ギャップは、上記中心電極の中心対向側面(41)と上記接地電極の接地対向側面(63)とが、互いにプラグ径方向に対向することにより形成されており、
上記複数の噴孔のうちの一部の上記噴孔は、上記接地電極の突出端部(62)の突出側に形成された突出側噴孔(510)であり、
上記接地対向側面の突出側端縁(631)の先端である端縁先端(632)は、プラグ軸方向(Z)から見たとき、プラグ中心軸(C)までの距離(D1)よりも、上記突出側噴孔の内側開口部(511)の中心(511C)までの距離(D2)が短い位置に配置されており、
上記突出側端縁は、プラグ軸方向から見たとき、上記放電ギャップよりも、該放電ギャップを通過する上記スワール流の下流側の位置に配されており、
上記突出側噴孔の中心軸を含むと共にプラグ軸方向に沿った断面視において、上記端縁先端は、上記突出側噴孔を開口方向に延長した延長領域(510E)よりも先端側に位置しており、
上記突出側噴孔とプラグ周方向に隣接すると共に、プラグ軸方向から見たとき、該突出側噴孔よりも上記スワール流の上流側に形成されている上記突出側噴孔以外の上記噴孔を隣接噴孔(512)としたとき、上記端縁先端から上記突出側噴孔までの距離(D3)は、上記端縁先端から該隣接噴孔までの距離(D4)以下である、内燃機関用のスパークプラグ(1)にある。
【0007】
本発明の他の態様は、上記内燃機関用のスパークプラグを備えた内燃機関(10)であって、
主燃焼室(11)と、
上記プラグカバーの外表面(52)が上記主燃焼室に面するように配置された上記スパークプラグと、
上記主燃焼室に直接燃料を噴射するインジェクタ(12)と、を有し、
上記突出側噴孔は、他の上記噴孔よりも開口面積が大きく、
上記スパークプラグは、上記インジェクタから噴射された上記燃料を含む噴射流(F)が、上記突出側噴孔の外側開口部(513)に向かうように、配置されている、内燃機関にある。
【発明の効果】
【0008】
上記スパークプラグにおいて、噴孔は、噴孔を介して副燃焼室に気流が導入されることによって副燃焼室にスワール流が生じるように形成されている。また、接地電極は、接地対向側面を有する。それゆえ、副燃焼室に形成されたスワール流は、接地対向側面に案内されて、放電ギャップを通過しやすい。それゆえ、放電ギャップに形成された放電は伸長しやすい。その結果、着火性を向上させることができる。
【0009】
また、上記スパークプラグは、突出側噴孔を有する。また、端縁先端は、上記位置に配置されている。それゆえ、放電ギャップに形成された放電は、突出側噴孔を介して副燃焼室から流出する気流によって、突出側噴孔に向かって伸長しやすい。その結果、着火性を向上させることができる。
【0010】
上記内燃機関において、スパークプラグは、インジェクタから噴射された噴射流が、他の噴孔よりも開口面積が大きい突出側噴孔の外側開口部に向かうように、配置されている。これにより、燃料密度の高い混合気が、突出側噴孔から副燃焼室内へ導入されやすくなる。その結果、燃料密度の高い混合気が、放電ギャップに到達しやすくなり、着火性を向上させることができる。
【0011】
以上のごとく、上記態様によれば、着火性を向上させることができる内燃機関用のスパークプラグ及びこれを備えた内燃機関を提供することができる。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態1における、スパークプラグの先端部付近の、プラグ軸方向に沿った断面図であって、図2のI-I線矢視断面相当図。
図2図3のII-II線矢視断面相当の図。
図3図2のIII矢視図。
図4図6のIV-IV線矢視断面相当の図。
図5】実施形態1における、噴孔の中心軸の延長線を示す、プラグ軸方向から見た図。
図6】実施形態1における、距離D1と距離D2とを示す断面図。
図7】実施形態1における、突出側噴孔を開口方向に延長した延長領域と端縁先端との位置関係を説明する、断面説明図。
図8】実施形態1における、距離D3と距離D4とを示す断面図。
図9】実施形態1における、距離D9を示す断面図。
図10】実施形態1における、圧縮行程において副燃焼室に形成されたスワール流の向きを説明する、プラグ軸方向から見た説明図。
図11】実施形態1における、圧縮行程時の、放電が伸長する前のスパークプラグの先端部の断面図。
図12】実施形態1における、圧縮行程時の、放電が伸長したときのスパークプラグの先端部の断面図。
図13】実施形態1における、膨張行程において副燃焼室に形成された気流の向きを示す断面図。
図14】実施形態1における、膨張行程時の、放電の起点が端縁先端まで移動したときのスパークプラグの先端部の断面図。
図15】実施形態1における、膨張行程時の、放電の起点が突出側噴孔まで移動したときのスパークプラグの先端部の断面図。
図16】実施形態1における、膨張行程時の、放電が主燃焼室まで伸長したときのスパークプラグの先端部の断面図。
図17】実施形態1における、内燃機関の断面図。
図18】実施形態2における、スパークプラグの先端部のプラグ軸方向に直交する断面図。
図19】実施形態3における、スパークプラグの先端部付近の、プラグ軸方向に沿った断面図であって、図20のXIX-XIX線矢視断面相当図。
図20図19のXX-XX線矢視断面相当の図。
図21】実施形態4における、スパークプラグの先端部付近の、プラグ軸方向に沿った断面図であって、図22のXXI-XXI線矢視断面相当図。
図22図21のXXII-XXII線矢視断面相当の図。
図23】実施形態5における、スパークプラグの先端部付近の、プラグ軸方向に沿った断面図。
図24】実施形態6における、スパークプラグの先端部付近の、プラグ軸方向に沿った断面図であって、図25のXXIV-XXIV線矢視断面相当図。
図25図24のXXV-XXV線矢視断面相当の図。
図26】実施形態7における、スパークプラグの先端部付近の、プラグ軸方向に沿った断面図。
図27】実施形態7における、スパークプラグの先端部付近の、プラグ軸方向に沿った断面を、接地電極の突出側から見た図。
図28】実施形態8における、内燃機関の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態1)
内燃機関用のスパークプラグ及びこれを備えた内燃機関に係る実施形態について、図1図17を参照して説明する。
本形態の内燃機関用のスパークプラグ1は、図1図4に示すごとく、筒状の絶縁碍子3と、中心電極4と、筒状のハウジング2と、接地電極6と、プラグカバー5と、を有する。中心電極4は、絶縁碍子3の内周側に保持されると共に絶縁碍子3から先端側に突出している。ハウジング2は、絶縁碍子3を内周側に保持する。接地電極6は、中心電極4との間に放電ギャップGを形成する。プラグカバー5は、放電ギャップGが配される副燃焼室50を覆うようハウジング2の先端部に設けられている。
【0014】
プラグカバー5には、副燃焼室50と外部とを連通させる複数の噴孔51が形成されている。噴孔51は、噴孔51を介して副燃焼室50に気流が導入されることによって副燃焼室50にスワール流が生じるように形成されている。
【0015】
接地電極6は、ハウジング2又はプラグカバー5に固定された固定端部61から副燃焼室50内に突出している。放電ギャップGは、中心電極4の中心対向側面41と接地電極6の接地対向側面63とが、互いにプラグ径方向に対向することにより形成されている。
【0016】
複数の噴孔51のうちの一部の噴孔51は、接地電極6の突出端部62の突出側に形成された突出側噴孔510である。接地対向側面63の突出側端縁631の先端である端縁先端632は、図6に示すごとく、プラグ軸方向Zから見たとき、プラグ中心軸Cまでの距離D1よりも、突出側噴孔510の内側開口部511の中心511Cまでの距離D2が短い位置に配置されている。
【0017】
また、突出側端縁631は、図10に示すごとく、プラグ軸方向Zから見たとき、放電ギャップGよりも、放電ギャップGを通過するスワール流A2の下流側の位置に配されている。
【0018】
また、図7に示すごとく、突出側噴孔510の中心軸を含むと共にプラグ軸方向Zに沿った断面視において、端縁先端632は、突出側噴孔510を開口方向に延長した延長領域510Eよりも先端側に位置している。
【0019】
図10に示すごとく、突出側噴孔510とプラグ周方向に隣接すると共に、プラグ軸方向Zから見たとき、突出側噴孔510よりもスワール流A1の上流側に形成されている突出側噴孔510以外の噴孔51を隣接噴孔512とする。このとき、図8に示すごとく、端縁先端632から突出側噴孔510までの距離D3は、端縁先端632から隣接噴孔512までの距離D4以下である。
【0020】
本形態のスパークプラグ1は、例えば、自動車等の内燃機関における着火手段として用いることができる。図17に示すごとく、ハウジング2のネジ部21を、シリンダヘッド13のプラグホール130の雌ネジ部に螺合して、スパークプラグ1が内燃機関10に取り付けられる。
【0021】
内燃機関10は、シリンダ16内を往復運動するピストン17を備える。主燃焼室11は、ピストン17の往復運動によって、容積変化する。内燃機関10には、吸気ポート141及び排気ポート151が形成されており、それぞれ吸気弁14又は排気弁15が備えられている。
【0022】
そして、スパークプラグ1の軸方向Zの一端が、内燃機関10の主燃焼室11に配置される。スパークプラグ1の軸方向Zにおいて、主燃焼室11に露出する側を先端側、その反対側を基端側というものとする。また、スパークプラグ1の軸方向Zを、適宜、プラグ軸方向Z、或いは単に、Z方向ともいう。なお、プラグ中心軸Cは、スパークプラグ1の中心軸Cを意味するものとする。また、プラグ径方向とは、プラグ中心軸Cに直交する平面上において、プラグ中心軸Cを中心とする円の半径方向を意味する。また、プラグ周方向は、プラグ中心軸Cを中心とする円周に沿った方向である。また、プラグ中心軸Cは、本形態において、中心電極4の中心軸でもある。
【0023】
本形態において、プラグカバー5は、ハウジング2の先端部に溶接等によって接合されている。スパークプラグ1が内燃機関10に取り付けられた状態において、プラグカバー5は、副燃焼室50を主燃焼室11と区画している。
【0024】
本形態において、プラグカバー5は、図4に示すごとく、周壁部53と底壁部54と角部55とを有する。周壁部53は、副燃焼室50の外周側の一部を覆う略円筒形状の部分である。底壁部54は、副燃焼室50の先端側を覆う部分である。角部55は、周壁部53の先端と底壁部54の外周とを曲面状に繋ぐ部分である。周壁部53の基端部は、ハウジング2の先端部に接合されている。
【0025】
プラグカバー5において、噴孔51は、角部55に形成されている。噴孔51は、図2図5図6図8図9に示すごとく、Z方向から見たとき、プラグ周方向に等間隔で形成されている。また、噴孔51は、図1図4図7に示すごとく、先端側へ向かうほどプラグ径方向の外側へ向かうように、Z方向に対して傾斜して開口している。
【0026】
本形態において、プラグカバー5には、4つの噴孔51が形成されており、そのうちの一つが突出側噴孔510となっている。また、隣接噴孔512は、図2図5図8図9に示すごとく、突出側噴孔510に対し、プラグ周方向に略90°ずれた位置に形成されている。
【0027】
図17に示すごとく、内燃機関10に設置されたスパークプラグ1において、プラグカバー5に形成された噴孔51は、副燃焼室50と主燃焼室11とを連通させている。内燃機関10の圧縮行程等においては、噴孔51を通じて主燃焼室11から副燃焼室50へ、気流が導入される。そして、噴孔51を通じて副燃焼室50に導入される気流によって、副燃焼室50にスワール流(図10の破線矢印A1参照)が形成される。
【0028】
具体的には、図5に示すごとく、噴孔51の中心軸の延長線51Lは、Z方向から見て、プラグ径方向に対して傾斜している。つまり、本形態において、噴孔51は、Z方向から見たとき、噴孔51とプラグ中心軸Cとを通過するプラグ径方向に延びる仮想直線VLに対して、噴孔51の中心軸の延長線51Lが鋭角の角度をもって傾斜している。噴孔51は、各噴孔51における仮想直線VLに対する噴孔51の中心軸の延長線51Lの傾斜方向が、プラグ周方向における同じ側となっている。
【0029】
このような噴孔51の形成態様により、図10に示すごとく、噴孔51を介して副燃焼室50に導入された気流によって、副燃焼室50にスワール流A1が形成される。本形態の場合、スワール流A1は、プラグ中心軸Cの周りに、図10における時計回りの螺旋状に生じる。
【0030】
また、Z方向から見たとき、接地電極6の突出端部62は、その突出方向が、スワール流A1に沿うように、突出している。また、突出端部62は、Z方向から見たとき、突出側噴孔510よりも、スワール流A1の上流側に位置している。突出端部62は、Z方向から見たとき、隣接噴孔512よりも、スワール流A1の下流側に位置している。
【0031】
図2に示すごとく、Z方向から見たとき、突出端部62の突出方向において、突出側噴孔510と放電ギャップGとは、突出端部62を挟んで、互いに反対側に位置している。また、Z方向から見たとき、突出端部62の突出方向において、突出側噴孔510と接地電極6の固定端部61とは、突出端部62を挟んで、互いに反対側に位置している。
【0032】
また、図5に示すごとく、突出端部62から突出側噴孔510までの距離D5は、突出端部62から隣接噴孔512までの距離D6以下である。
【0033】
また、突出側噴孔510は、他の噴孔51よりも開口面積が大きい。つまり、突出側噴孔510の内径は、他の噴孔51の内径よりも大きい。突出側噴孔510の内径は、例えば、突出側噴孔510以外の噴孔51の内径の1.2倍~1.4倍とすることができる。また、突出側噴孔510の開口面積は、例えば、突出側噴孔510以外の噴孔51の開口面積の1.4倍~2.0倍とすることができる。
【0034】
本形態においては、図9に示すごとく、Z方向から見たとき、接地電極6を突出方向に延長した延長領域6Eと、突出側噴孔510とは、互いに重なっている。
【0035】
また、接地電極6は、棒状に形成されている。具体的には、接地電極6は、略四角柱形状をなしている。つまり、接地電極6は、4つの平坦な側面を備えており、そのうちの一つが接地対向側面63となっている。また、接地電極6は、ハウジング2に固定されている。
【0036】
図1に示す、接地対向側面63における、接地電極6の長手方向に直交する方向の幅D7は、図2に示す、Z方向から見たときの接地電極6の厚みD8よりも大きい。
【0037】
接地対向側面63は、図1図2に示すごとく、固定端部61から突出端部62までにわたって、連続した平面状に形成されている。
【0038】
接地対向側面63の先端側端縁633は、接地電極6の長手方向における、放電ギャップGの位置から突出端部62までにわたって、突出端部62に近づくほど先端側に向かうように傾斜しているか、又はプラグ軸方向Zに対して直交している。本形態において、先端側端縁633は、図1に示すごとく、接地電極6の長手方向における、放電ギャップGの位置から突出端部62までにわたって、突出端部62に近づくほど先端側に向かうように傾斜している。
【0039】
接地電極6は、図1図3に示すごとく、突出端部62に近づくほど先端側に向かうように傾斜している。本形態において、先端側端縁633は、固定端部61から突出端部62までにわたって、突出端部62に近づくほど先端側に向かうように傾斜している。
【0040】
また、突出側端縁631の端縁先端632は、図7に示すごとく、突出側噴孔510の基端よりも先端側に位置している。また、端縁先端632は、突出側噴孔510の内側開口部511の中心511Cよりも先端側に位置している。
【0041】
図9に示すごとく、プラグ径方向における端縁先端632からプラグカバー5の周壁部53の内壁面56までの距離D9は、距離D1(図6参照)よりも短い。
【0042】
また、図7に示すごとく、Z方向における、端縁先端632からプラグカバー5の底壁部54の内壁面56までの距離D10は、プラグカバー5の厚みD11以下である。
【0043】
また、図1図4に示すごとく、中心電極4の中心対向側面41は平面状に形成されている。そして、平面状の接地対向側面63と、平面状の中心対向側面41とを、接地電極6の厚み方向に互いに対向させることにより、放電ギャップGが形成されている。中心対向側面41は、接地対向側面63に沿うように、形成されている。
【0044】
放電ギャップGは、接地対向側面63と中心対向側面41とが、互いに略平行に対向することにより形成されている。放電ギャップGは、例えば、接地対向側面63と中心対向側面41とが接地電極6の厚み方向に互いに対向している間の領域である。
【0045】
また、本形態において、中心電極4は、図3図4に示すごとく、絶縁碍子3よりも先端側において、基径部42とギャップ形成部43とを有する。基径部42は、略円柱形状を呈している。ギャップ形成部43は、基径部42よりも先端側に形成されていると共に、接地電極6との間に放電ギャップGを形成する。つまり、ギャップ形成部43に、平面状の中心対向側面41が形成されている。
【0046】
本形態において、ギャップ形成部43は、略半円柱形状を呈している。つまり、ギャップ形成部43は、中心電極4の長手方向に直交する断面の形状が略半円形状となっている。
【0047】
次に、上記スパークプラグ1を備えた内燃機関10について説明する。
内燃機関10は、図17に示すごとく、主燃焼室11と、スパークプラグ1と、インジェクタ12と、を有する。スパークプラグ1は、プラグカバー5の外表面52が主燃焼室11に面するように配置されている。インジェクタ12は、主燃焼室11に直接燃料を噴射する。スパークプラグ1は、インジェクタ12から噴射された燃料を含む噴射流Fが、突出側噴孔510の外側開口部513に向かうように、配置されている。なお、図17に示す矢印Fは、燃料噴射直後の噴射流の向きを示すものであり、これは、必ずしも、圧縮行程又は膨張行程における主燃焼室11内の気流と一致するものではない。また、噴射流Fが突出側噴孔510の外側開口部513に向かうような状態は、図17に示すプラグカバー5近傍の噴射流Fの方向から突出側噴孔510の外側開口部513が見えるような状態である。
【0048】
内燃機関10において、スパークプラグ1は、Z方向から見たとき、突出側噴孔510の外側開口部513が、排気弁15側を向くように、配置されている(図示略)。
【0049】
また、吸気ポート141に隣接する位置に、インジェクタ12が設けてある。インジェクタ12は、主燃焼室11の中心軸側に向かって燃料を噴射するような姿勢にて、取り付けられている。
【0050】
圧縮行程においては、主燃焼室11内の雰囲気が圧縮され、噴孔51を介して、副燃焼室50へ気流が流入する。これにより、副燃焼室50内にスワール流が形成されると共に、副燃焼室50内の圧力も上昇する。そして、例えば、圧縮行程において、インジェクタ12が燃料を直接、主燃焼室11へ噴射する。
【0051】
そして、主燃焼室11へ噴射された燃料は、主燃焼室11内の空気と共に噴射流Fを形成して、ピストン17の基端面に当たる。本形態において、ピストン17の基端面は、凹状面を有する。ピストン17の基端面に当たった噴射流Fは、軌道を変えて、基端側、すなわちスパークプラグ1側へ向かう。このとき、噴射流Fは、図17に示すごとく、スパークプラグ1における突出側噴孔510の外側開口部513付近に到達する。
【0052】
噴射流Fは、燃料割合の比較的大きい混合気となっている。それゆえ、噴射流Fが到達した突出側噴孔510の外側開口部513付近は、燃料を多く含む混合気となる。そして、この混合気は、スワール流が形成されている副燃焼室50に、突出側噴孔510を介して引き込まれることとなる。そして、突出側噴孔510から引き込まれた燃料密度の高い混合気が、放電ギャップGに向かうこととなる。
【0053】
そして、圧縮上死点付近において、スパークプラグ1の放電ギャップGに放電を生じさせる。これにより、混合気への着火が効率的に行われる。なお、上述の燃料噴射タイミング、スパークプラグ1の放電点火タイミングは、後述するように、状況や目的等によって、種々変更しうる。
【0054】
次に、本形態の作用効果を説明する。
上記スパークプラグ1において、噴孔51は、噴孔51を介して副燃焼室50に気流が導入されることによって副燃焼室50にスワール流が生じるように形成されている。また、接地電極6は、接地対向側面63を有する。それゆえ、副燃焼室50に形成されたスワール流は、接地対向側面63に案内されて、放電ギャップGを通過しやすい。それゆえ、放電ギャップGに形成された放電は伸長しやすい。その結果、着火性を向上させることができる。
【0055】
圧縮行程等においては、図10に示すごとく、噴孔51を介して副燃焼室50に気流が導入されることにより、副燃焼室50にスワール流A1が生じる。また、Z方向から見たとき、突出端部62は、その突出方向が、スワール流A1に沿うように、突出している。それゆえ、スワール流A1の一部は、接地対向側面63に案内されることにより、放電ギャップGを通過しやすい。また、放電ギャップGを通過するスワール流A2は、Z方向から見たとき、突出端部62の突出方向に沿って流れやすい。それゆえ、Z方向から見たとき、図11に示すように放電ギャップGに形成された放電Sは、図12に示すごとく、スワール流A2によって、突出端部62の突出側に向かって伸長しやすい。その結果、圧縮行程等において、着火性を向上させることができる。
【0056】
さらに、放電によって着火した初期火炎は、スワール流A1によって副燃焼室50の、より基端側へ運ばれやすい。これによって、噴孔51から充分離れた位置から火炎が広がり、充分に内圧が高い状態で、火炎ジェットが噴孔51から主燃焼室11に噴出することが期待できる。その結果、内燃機関10の高負荷時のノック抑制、低負荷時もしくは中負荷時におけるEGR率(すなわち、排気再循環率)の向上が期待でき、出力及び燃費の向上、エミッション低減が期待できる。
【0057】
また、上記スパークプラグ1は、突出側噴孔510を有する。また、端縁先端632は、上記位置に配置されている。それゆえ、放電ギャップGに形成された放電は、突出側噴孔510を介して副燃焼室50から流出する気流によって、突出側噴孔510に向かって伸長しやすい。その結果、着火性を向上させることができる。
【0058】
膨張行程においては、ピストン17が先端側に移動することにより、主燃焼室11が副燃焼室50に対して陰圧となる。これにより、噴孔51を介して、副燃焼室50から主燃焼室11へとガスが導出される。これにより、図13に示すごとく、副燃焼室50において、噴孔51よりも基端側の位置から噴孔51へと向かう気流A3が形成される。また、膨張行程時においては、圧縮行程時に形成されたスワール流が残留する。つまり、膨張行程時においても、圧縮行程時のスワール流と同じ向きの、弱いスワール流が残留する。そして、図14図15に示すごとく、この残留スワール流A4の一部は、接地対向側面63に案内されることにより、放電ギャップGを通過しやすい。また、放電ギャップGを通過するスワール流A5は、Z方向から見たとき、突出端部62の突出方向に沿って流れやすい。それゆえ、Z方向から見たとき、放電ギャップGに形成された放電Sは、スワール流A5によって、突出端部62の突出側に向かって伸長しやすい。そして、スワール流A5によって伸長した放電Sは、さらに、突出側噴孔510を介して副燃焼室50から流出する気流A3によって、突出側噴孔510及び主燃焼室に向かって伸長しやすい。その結果、膨張行程時における着火性を向上することができる。
【0059】
また、端縁先端632は、上記条件を満たす位置に配置されている。それゆえ、放電Sの接地電極6側の起点は、接地電極6から突出側噴孔510の内周面に移りやすい。具体的には、図14に示すごとく、放電Sの接地電極6側の起点SPは、スワール流A5及び気流A3によって、接地対向側面63上を突出側噴孔510側へと向かい、端縁先端632に移動する。そして、起点SPは、気流A3によって、端縁先端632からプラグカバー5の底壁部54の内壁面56に移る。その後、さらに、放電Sの起点SPは、図15に示すごとく、底壁部54の内壁面56に沿って突出側噴孔510の内周面にまで移動する。そうすると、更に放電Sは伸長されると共に、図16に示すごとく、放電Sの一部が突出側噴孔510から主燃焼室側へ飛び出すことも期待できる。これによって、膨張行程時における主燃焼室の着火性を向上させることができる。
【0060】
また、自動車エンジン等の内燃機関が冷えている状態で稼働させる冷間始動時などにおいては、上記膨張行程にて放電を発生させることにより、以下のメリットがある。冷間始動時などは、プラグカバー5、中心電極4、ハウジング2、絶縁碍子3等が低温となっていることがある。また、内燃機関10の運転が軽負荷域にあり、燃料密度が低くなっていることがある。そのため、放電によって副燃焼室50内の混合気を着火させたとしても、発生した初期火炎が低温のプラグカバー5や中心電極4等に触れて冷やされることにより、火炎が主燃焼室へ充分に噴出されないこともある。
【0061】
したがって、特に冷間始動時等においては、主燃焼室に向かって放電を伸長させることにより、初期火炎とプラグカバー5や中心電極4等との接触を抑制することができる。これにより、初期火炎のエネルギ損失を抑えやすい。また、主燃焼室の混合気を直接着火することも可能となる。その結果、冷間始動時等における着火性を向上させることができる。
【0062】
つまり、本形態のスパークプラグ1は、内燃機関10の運転が高負荷域及び軽負荷域のどちらの場合であっても、着火性を向上させることができる。
【0063】
また、突出側噴孔510は、他の噴孔51よりも開口面積が大きい。それゆえ、膨張行程において、突出側噴孔510を介して副燃焼室50から流出する気流が強くなりやすい。それゆえ、放電ギャップGに生じた放電が、突出側噴孔510に向かって一層伸長しやすいと共に、主燃焼室側へ一層飛び出しやすい。その結果、膨張行程における着火性を一層向上させることができる。
【0064】
幅D7(図1参照)は、厚みD8(図2参照)よりも大きい。それゆえ、接地対向側面63は、スワール流を放電ギャップGへと一層案内しやすい。それゆえ、放電ギャップGに生じた放電は一層伸長しやすい。その結果、着火性を一層向上させることができる。
【0065】
先端側端縁633は、接地電極6の長手方向における、放電ギャップGの位置から突出端部62までにわたって、突出端部62に近づくほど先端側に向かうように傾斜している。それゆえ、膨張行程において、放電ギャップGに生じた放電の接地電極6側の起点は、気流によって、先端側端縁633に沿って、端縁先端632へと移動しやすい。それゆえ、膨張行程において、放電が一層伸長しやすい。その結果、膨張行程における着火性を一層向上させることができる。
【0066】
接地対向側面63は、固定端部61から突出端部62までにわたって、連続した平面状に形成されている。それゆえ、接地対向側面63は、スワール流を放電ギャップGへと、より一層案内しやすい。その結果、放電ギャップGに生じた放電は、より一層伸長しやすい。
【0067】
放電ギャップGは、平面状の接地対向側面63と平面状の中心対向側面41とが、互いに略平行に対向することにより形成されている。それゆえ、接地電極6側及び中心電極4側の放電の起点位置を分散させやすい。そのため、接地電極6及び中心電極4が局部的に摩耗することを抑制し、放電ギャップGの距離が拡大することを抑制することができる。その結果、スパークプラグ1の寿命を延ばすことができる。
【0068】
上記内燃機関10において、スパークプラグ1は、インジェクタ12から噴射された噴射流Fが、他の噴孔51よりも開口面積が大きい突出側噴孔510の外側開口部513に向かうように、配置されている。これにより、燃料密度の高い混合気が、突出側噴孔510から副燃焼室50内へ導入されやすくなる。その結果、燃料密度の高い混合気が、放電ギャップGに到達しやすくなり、着火性を向上させることができる。
【0069】
また、例えば、内燃機関の高負荷運転において、プレイグニッションの抑制を目的として、リタード噴射、リタード点火を行う場合がある。リタード噴射、リタード点火は、一般的な燃料噴射及び点火のタイミングよりも遅いタイミングで行う、燃料噴射及び点火である。つまり、インジェクタ12からの燃料噴射タイミングを、例えば、圧縮行程における、ピストン17が上死点に達する直前のタイミングとする。具体的には、例えば、BTDC30°のタイミングにて、燃料を噴射する。BTDCは、Before Top Dead Center の略であり、圧縮上死点に対してどの程度前のクランク角のタイミングかを示す。そして、スパークプラグ1の点火を、実質的に圧縮上死点のタイミングとする。
【0070】
このようなタイミングにて、燃料噴射及び点火を行うことで、所望のタイミングよりも早いタイミングでの着火、すなわち早期着火を抑制し、プレイグニッションを抑制することができる。その一方で、リタード噴射を行う場合、燃料が主燃焼室11に供給される際には、すでに副燃焼室50内にある程度空気が充填されていると共に、主燃焼室11内の気流も弱まった状態となる。そうすると、プラグカバー5に形成された噴孔51から副燃焼室50に導入される燃料が、比較的少なくなりやすい状況となる。
【0071】
しかし、本形態のスパークプラグ1は、インジェクタ12から噴射された噴射流が、他の噴孔51よりも開口面積が大きい突出側噴孔510の外側開口部513に向かうように、配置されている。それゆえ、燃料密度の高い混合気が、突出側噴孔510から副燃焼室50内へ導入されやすい。その結果、副燃焼室50内における着火性を向上させ、ひいては、主燃焼室11の着火性を向上させることができる。
【0072】
以上のごとく、本形態によれば、着火性を向上させることができる内燃機関用のスパークプラグ1及びこれを備えた内燃機関10を提供することができる。
【0073】
(実施形態2)
本形態は、図18に示すごとく、実施形態1に対し、中心電極4の形状を変更した形態である。
【0074】
本形態において、中心電極4のギャップ形成部43は、図18に示すごとく、中心電極4の長手方向に直交する断面の形状が欠円形状となっている。Z方向から見たとき、中心対向側面41から接地対向側面63までの距離は、中心電極4の中心軸から接地対向側面63までの距離よりも近い。
その他は、実施形態1と同様である。なお、実施形態2以降において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
本形態においても、実施形態1と同様の作用効果を有する。
【0075】
(実施形態3)
本形態は、図19図20に示すごとく、実施形態1に対し、中心電極4の形状を変更した形態である。
【0076】
本形態において、中心電極4は、図19図20に示すごとく、絶縁碍子3よりも先端側において、略円柱形状を呈している。ギャップ形成部43の外径は、基径部42の外径と同等の大きさである。
【0077】
また、接地対向側面63と共に放電ギャップGを形成する中心対向側面41は、曲面状となっている。
その他は、実施形態1と同様である。
【0078】
中心電極4は、絶縁碍子3よりも先端側において、略円柱形状を呈している。それゆえ、中心電極4を容易に形成することができる。その結果、スパークプラグ1の生産性を向上させることができる。
【0079】
また、ギャップ形成部43は、略円柱形状を呈している。それゆえ、組み付け時において放電ギャップGを形成する際、中心対向側面41と接地対向側面63とを容易に対向させることができる。それゆえ、放電ギャップGを容易に形成しやすい。その結果、スパークプラグ1の生産性を向上させることができる。
その他、実施形態1と同様の作用効果を有する。
【0080】
(実施形態4)
本形態は、図21図22に示すごとく、実施形態3に対し、中心電極4の形状を変更した形態である。
【0081】
本形態において、中心電極4の基径部42とギャップ形成部43とは、それぞれ略円柱形状を呈している。ギャップ形成部43の外径は、基径部42の外径よりも小さい。
その他の構成及び作用効果は、実施形態3と同様である。
【0082】
(実施形態5)
本形態は、図23に示すごとく、実施形態1に対し、接地電極6の形状を変更した形態である。
【0083】
本形態において、接地電極6は、図23に示すごとく、固定端部61を含む固定側部64と、突出端部62を含む傾斜部65とを有する。固定側部64は、Z方向に直交する方向に沿って形成されている。傾斜部65は、突出端部62に近づくに従って先端側に向かうようにZ方向に対して傾斜している。
【0084】
接地対向側面63は、固定側部64の固定端部61から傾斜部65の突出端部62までにわたって、連続した平面状に形成されている。
その他の構成及び作用効果は、実施形態1と同様である。
【0085】
(実施形態6)
本形態は、図24図25に示すごとく、実施形態5に対し、接地電極6の形状を変更した形態である。
【0086】
接地電極6は、図25に示すごとく、Z方向から見たとき、略L字形状を呈している。具体的には、Z方向から見たとき、接地電極6は、固定側部64の長手方向と傾斜部65の長手方向とが互いに直交するように、屈曲している。
その他の構成及び作用効果は、実施形態5と同様である。
【0087】
(実施形態7)
本形態は、図26図27に示すごとく、実施形態1に対し、接地電極6の形状を変更した形態である。
【0088】
接地電極6は、図26図27に示すごとく、小幅部66と、小幅部66よりもZ方向の幅が大きい大幅部67とを有する。小幅部66は固定端部61を有する。大幅部67は突出端部62を有する。
【0089】
接地電極6は、接地電極6の長手方向における放電ギャップGの位置から突出端部62までにわたって大幅部67が形成されている。
【0090】
大幅部67における接地対向側面63の先端側端縁633は、接地電極6の長手方向における、放電ギャップGの位置から突出端部62までにわたって、Z方向に対して直交している。
その他は、実施形態1と同様である。
【0091】
先端側端縁633は、接地電極6の長手方向における、放電ギャップGの位置から突出端部62までにわたって、Z方向に対して直交している。それゆえ、膨張行程において、放電ギャップGに生じた放電の接地電極6側の起点は、気流によって、先端側端縁633に沿って、端縁先端632へと移動しやすい。それゆえ、膨張行程において、放電が一層伸長しやすい。その結果、膨張行程における着火性を一層向上させることができる。
その他、実施形態1と同様の作用効果を有する。
【0092】
(実施形態8)
本形態は、図28に示すごとく、実施形態1に対し、内燃機関10に設置されたスパークプラグ1の配置を変更した形態である。
【0093】
本形態の内燃機関10は、図28に示すごとく、インジェクタ12から噴射された噴射流Fの一部が、直接、スパークプラグ1に向かうよう構成されている。そこで、本形態においては、スパークプラグ1を、突出側噴孔510の外側開口部513に、噴射流Fの一部が直接向かうように、配置している。つまり、インジェクタ12は、燃料を含む噴射流Fの一部が、直接、突出側噴孔510の外側開口部513に向かうように、主燃焼室11に燃料を噴射することとなる。
【0094】
本形態において、スパークプラグ1は、Z方向から見たとき、突出側噴孔510の外側開口部513が、吸気弁14側を向くように、配置されている(図示略)。
その他は、実施形態1と同様である。
【0095】
スパークプラグ1は、インジェクタ12から噴射された噴射流Fが、直接、突出側噴孔510の外側開口部513に向かうように、配置されている。これにより、燃料密度の高い混合気が、突出側噴孔510から副燃焼室50内へ確実に導入されやすくなる。その結果、燃料密度の高い混合気が、放電ギャップGに確実に到達しやすくなり、着火性を確実に向上させることができる。
その他、実施形態1と同様の作用効果を有する。
【0096】
上記実施形態1~8において、接地電極6は、略四角柱形状を呈する。ただし、接地電極6は、例えば、平面状の接地対向側面を備えた略半円柱形状とすることができる。このとき、接地対向側面は、接地電極の長手方向における、放電ギャップの位置から突出端部までにわたる部分のみを平面状とすることができる。
【0097】
上記実施形態1~8において、プラグカバー5には、4つの噴孔51が形成されている。ただし、噴孔は、プラグカバーに5つ以上形成することもできる。また、プラグカバーに形成された噴孔の数は、3つ以下とすることもできる。
【0098】
また、放電ギャップを形成する中心電極の先端部と接地電極とのそれぞれに、チップを接合することもできる。つまり、中心対向側面に接合されたチップと接地対向側面に接合されたチップとの間に、放電ギャップを形成することもできる。チップは、例えば、イリジウムや白金等の貴金属、又はこれらを主成分とする合金とすることができる。
【0099】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0100】
1…スパークプラグ、2…ハウジング、3…絶縁碍子、4…中心電極、41…中心対向側面、5…プラグカバー、50…副燃焼室、51…噴孔、510…突出側噴孔、510E…延長領域、511…内側開口部、511C…内側開口部の中心、512…隣接噴孔、6…接地電極、61…固定端部、62…突出端部、63…接地対向側面、631…突出側端縁、632…端縁先端、C…プラグ中心軸、G…放電ギャップ、Z…プラグ軸方向
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図9
図10
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図15
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