(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】電力システムおよび電力算出方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20241106BHJP
H02J 7/10 20060101ALI20241106BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20241106BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20241106BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20241106BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20241106BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/10 P
H02J3/38 110
H02J3/32
H02J3/00 180
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2021124173
(22)【出願日】2021-07-29
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木野村 茂樹
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-027697(JP,A)
【文献】特開2021-010250(JP,A)
【文献】特開2016-218648(JP,A)
【文献】特開2013-240242(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0311017(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
H02J3/00-5/00
B60L1/00-3/12
B60L7/00-13/00
B60L15/00-58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両外部から供給される電力を用いてバッテリを充電する外部充電、および、前記バッテリの電力を車両外部に供給する外部放電が可能に構成された車両と、
前記外部充電および前記外部放電において、前記車両外部の交流電源と前記車両との間で電力の授受を行なう充電スタンドと、
前記車両および前記充電スタンドと通信可能に構成されたサーバとを備え、
前記外部充電および前記外部放電において、前記車両と前記充電スタンドとの間で授受される電力が交流電力である場合には、前記車両は、
前記充電スタンドから供給される交流電力を直流電力に変換し、かつ、前記バッテリから供給される直流電力を交流電力に変換することが可能に構成された第1充電器と、
前記第1充電器に
おける電力変換前の電力を検出する第1検出装置とを含み、
前記第1検出装置の検出値を用いて、前記充電スタンドから供給された充電電力または前記充電スタンドに供給した放電電力を計測し、当該計測結果である第1計測値を前記サーバに送信し、
前記外部充電および前記外部放電において、前記車両と前記充電スタンドとの間で授受される電力が直流電力である場合には、前記充電スタンドは、
前記交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換し、かつ、前記車両から供給される直流電力を交流電力に変換することが可能に構成された第2充電器と、
前記第2充電器に
おける電力変換前の電力を検出する第2検出装置とを含み、
前記第2検出装置の検出値を用いて、前記車両に供給した充電電力または前記車両から供給された放電電力を計測し、当該計測結果である第2計測値を前記サーバに送信する、電力システム。
【請求項2】
前記車両と前記充電スタンドとは、互いに通信可能に構成され、
前記充電スタンドは、前記第2計測値を前記車両に送信可能に構成され、
前記車両は、前記第2計測値を前記サーバに送信可能に構成される、請求項1に記載の
電力システム。
【請求項3】
前記充電スタンドは、前記サーバとの通信ができない場合に、前記第2計測値を前記車両に送信する、請求項2に記載の電力システム。
【請求項4】
前記車両と前記充電スタンドとは、互いに通信可能に構成され、
前記車両は、前記第1計測値を前記充電スタンドに送信可能に構成され、
前記充電スタンドは、前記第1計測値を前記サーバに送信可能に構成される、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電力システム。
【請求項5】
前記車両は、前記サーバとの通信ができない場合に、前記第1計測値を前記充電スタンドに送信する、請求項4に記載の電力システム。
【請求項6】
前記サーバは、
前記車両を管理する第1サーバと、
前記充電スタンドを管理する第2サーバとを含み、
前記第1サーバおよび前記第2サーバは、互いに通信可能に構成され、
前記車両は、前記第1計測値を前記第1サーバに送信し、
前記充電スタンドは、前記第2計測値を前記第2サーバに送信し、
前記第1サーバおよび前記第2サーバは、前記第1計測値および前記第2計測値を共有する、請求項1に記載の電力システム。
【請求項7】
車両、充電スタンドおよび前記車両およびサーバとを備えた電力システムにおいて、前記車両が授受する電力量を算出する電力算出方法であって、
前記車両は、前記車両外部から供給される電力を用いてバッテリを充電する外部充電、および、前記バッテリの電力を車両外部に供給する外部放電が可能に構成され、
前記充電スタンドは、前記外部充電および前記外部放電において、前記車両外部の交流電源と前記車両との間で電力の授受を行なうように構成され、
前記サーバは、前記車両および前記充電スタンドと通信可能に構成され、
前記外部充電および前記外部放電において、前記車両と前記充電スタンドとの間で授受される電力が交流電力である場合には、前記車両は、
前記充電スタンドから供給される交流電力を直流電力に変換し、かつ、前記バッテリから供給される直流電力を交流電力に変換することが可能に構成された第1充電器と、
前記第1充電器に
おける電力変換前の電力を検出する第1検出装置とを含み、
前記電力算出方法は、
前記車両が、前記第1検出装置の検出値を用いて、前記充電スタンドから供給された充電電力または前記充電スタンドに供給した放電電力を計測するステップと、
前記車両が、当該計測結果である第1計測値を前記サーバに送信するステップとを含み、
前記外部充電および前記外部放電において、前記車両と前記充電スタンドとの間で授受される電力が直流電力である場合には、前記充電スタンドは、
前記交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換し、かつ、前記車両から供給される直流電力を交流電力に変換することが可能に構成された第2充電器と、
前記第2充電器に
おける電力変換前の電力を検出する第2検出装置とを含み、
前記電力算出方法は、
前記充電スタンドが、前記第2検出装置の検出値を用いて、前記車両に供給した充電電力または前記車両から供給された放電電力を計測するステップと、
前記充電スタンドが、当該計測結果である第2計測値を前記サーバに送信するステップとを含む、電力算出方法。
【請求項8】
車両外部から供給される電力を用いてバッテリを充電する外部充電、および、前記バッテリの電力を車両外部に供給する外部放電が可能に構成された車両と、
前記外部充電および前記外部放電において、前記車両外部の交流電源と前記車両との間で電力の授受を行なう充電スタンドと、
前記充電スタンドと通信可能に構成されたサーバとを備え、
前記外部充電および前記外部放電において、前記車両と前記充電スタンドとの間で授受される電力が交流電力である場合には、前記充電スタンドは、
前記車両に供給する充電電力、および、前記車両から供給される放電電力を検出する第3検出装置を含み、
前記第3検出装置の検出値を用いて、前記充電電力または前記放電電力を計測し、当該計測結果である第3計測値を前記サーバに送信し、
前記外部充電および前記外部放電において、前記車両と前記充電スタンドとの間で授受される電力が直流電力である場合には、前記充電スタンドは、
前記交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換し、かつ、前記車両から供給される直流電力を交流電力に変換することが可能に構成された充電器と、
前記充電器に
おける電力変換前の電力を検出する第4検出装置とを含み、
前記第4検出装置の検出値を用いて、前記車両に供給した充電電力または前記車両から供給された放電電力を計測し、当該計測結果である第4計測値を前記サーバに送信する、電力システム。
【請求項9】
車両外部から供給される電力を用いてバッテリを充電する外部充電、および、前記バッテリの電力を車両外部に供給する外部放電が可能に構成された車両と、
前記外部充電および前記外部放電において、前記車両外部の交流電源と前記車両との間で電力の授受を行なう充電スタンドと、
前記車両と通信可能に構成されたサーバとを備え、
前記外部充電および前記外部放電において、前記車両と前記充電スタンドとの間で授受される電力が交流電力である場合には、前記車両は、
前記充電スタンドから供給される交流電力を直流電力に変換し、かつ、前記バッテリから供給される直流電力を交流電力に変換することが可能に構成された充電器と、
前記充電器に
おける電力変換前の電力を検出する第5検出装置とを含み、
前記第5検出装置の検出値を用いて、前記充電スタンドから供給された充電電力または前記充電スタンドに供給した放電電力を計測し、当該計測結果である第5計測値を前記サーバに送信し、
前記外部充電および前記外部放電において、前記車両と前記充電スタンドとの間で授受される電力が直流電力である場合には、前記車両は、
前記充電スタンドから供給される充電電力、および、前記充電スタンドへ供給する放電電力を検出する第6検出装置を含み、
前記第6検出装置の検出値を用いて、前記充電電力または前記放電電力を計測し、当該計測結果である第6計測値を前記サーバに送信する、電力システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力システムおよび電力算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2011-166971号公報(特許文献1)には、車両のユーザに対して、車載電池の充電の進行状態を知らせることができる給電システムが開示されている。この給電システムは、給電スタンドと、ユーザが利用する端末機と、給電スタンドおよび端末機と通信するサーバとを備える。給電スタンドは、充電ケーブルを介して車載電池に供給した電力を計測し、その計測結果をサーバに送信する。サーバは、給電スタンドから受けた計測結果と、車載電池の充電特性データとを参照して、車載電池の充電の進行状態を演算する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-166971号公報
【文献】特開2015-162986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
たとえば、バーチャルパワープラント(VPP:Virtual Power Plant)の分散型エネルギーリソース(DER:Distributed Energy Resource)として車両が活用される場合、系統から車両に供給された充電電力量、および、車両から系統に供給された放電電力量を精度よく計測することが求められる。
【0005】
ここで、車両に電力を供給する充電スタンドには、車両に交流(AC:Alternating current)を供給するAC充電スタンドと、車両に直流(DC:Direct Current)を供給する直流充電スタンドとがある。AC充電スタンドから供給される交流電力を用いて、車載のバッテリを充電するAC充電が実行される場合には、車載の充電器が交流電力を直流電力に変換する。DC充電スタンドから供給される直流電力を用いて、車載のバッテリを充電するDC充電が実行される場合には、DC充電スタンドに備わる充電器が交流電力を直流電力に変換する。
【0006】
交流電力から直流電力への変換には、電力変換損失が生じる。直流電力への変換前の電力を計測する場合と、直流電力への変換後の電力を計測する場合とが混在すると、充電電力量を精度よく算出することができなくなってしまう。これは、放電電力量においても同様である。
【0007】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、車両に供給された充電電力量および車両から持ち出される放電電力量を精度よく計測することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この開示のある局面に係る電力システムは、車両外部から供給される電力を用いてバッテリを充電する外部充電、および、バッテリの電力を車両外部に供給する外部放電が可能に構成された車両と、外部充電および外部放電において、車両外部の交流電源と車両との間で電力の授受を行なう充電スタンドと、車両および充電スタンドと通信可能に構成されたサーバとを備える。外部充電および外部放電において、車両と充電スタンドとの間で授受される電力が交流電力である場合には、車両は、充電スタンドから供給される交流電力を直流電力に変換し、かつ、バッテリから供給される直流電力を交流電力に変換することが可能に構成された第1充電器と、第1充電器に入出力される電力を検出する第1検出装置とを含み、第1検出装置の検出値を用いて、充電スタンドから供給された充電電力または充電スタンドに供給した放電電力を計測し、当該計測結果である第1計測値をサーバに送信する。外部充電および外部放電において、車両と充電スタンドとの間で授受される電力が直流電力である場合には、充電スタンドは、交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換し、かつ、車両から供給される直流電力を交流電力に変換することが可能に構成された第2充電器と、第2充電器に入出力される電力を検出する第2検出装置とを含み、第2検出装置の検出値を用いて、車両に供給した充電電力または車両から供給された放電電力を計測し、当該計測結果である第2計測値をサーバに送信する。
【0009】
上記構成によれば、外部充電においては、交流電力が第1充電器または第2充電器で直流電力に変換される前の充電電力が計測され、その計測結果(充電電力量または放電電力量)が算出される。外部放電においては、直流電力が第1充電器または第2充電器で交流電力に変換される前の放電電力が計測され、その計測結果(充電電力量または放電電力量)が算出される。そのため、算出された充電電力量および放電電力量には、電力変換の損失分が含まれない。よって、充電電力量および放電電力量を精度よく算出することができる。精度よく算出された充電電力量および放電電力量がサーバに送られ、これらが電力管理等に活用される。
【0010】
ある実施の形態においては、車両と充電スタンドとは、互いに通信可能に構成される。充電スタンドは、第2計測値を車両に送信可能に構成される。車両は、第2計測値をサーバに送信可能に構成される。
【0011】
上記構成によれば、充電スタンドによって算出された第2計測値は、車両を経由してサーバに送られる。これにより、たとえば、充電スタンドとサーバとが通信できないような場合にも、第2計測値をサーバに送信することができる。
【0012】
ある実施の形態においては、充電スタンドは、サーバとの通信ができない場合に、第2計測値を車両に送信する。
【0013】
たとえば、通信不良等により、充電スタンドとサーバとが通信できなくなる場合が生じ得る。上記構成によれば、上記のような場合に、車両を経由してサーバに第2計測値を送信することができる。
【0014】
ある実施の形態においては、車両と充電スタンドとは、互いに通信可能に構成される。車両は、第1計測値を充電スタンドに送信可能に構成される。充電スタンドは、第1計測値をサーバに送信可能に構成される。
【0015】
上記構成によれば、車両によって算出された第1計測値は、充電スタンドを経由してサーバに送られる。これにより、たとえば、車両とサーバとが通信できないような場合にも、第1計測をサーバに送信することができる。
【0016】
ある実施の形態においては、車両は、サーバとの通信ができない場合に、第1計測値を充電スタンドに送信する。
【0017】
たとえば、通信不良等により、充電スタンドとサーバとが通信できなくなる場合が生じ得る。上記構成によれば、上記のような場合に、充電スタンドを経由してサーバに第1計測値を送信することができる。
【0018】
ある実施の形態においては、サーバは、車両を管理する第1サーバと、充電スタンドを管理する第2サーバとを含む。第1サーバおよび第2サーバは、互いに通信可能に構成される。車両は、第1計測値を第1サーバに送信する。充電スタンドは、第2計測値を第2サーバに送信する。第1サーバおよび第2サーバは、第1計測値および第2計測値を共有する。
【0019】
この開示の他の局面に係る電力算出方法は、車両、充電スタンドおよびサーバとを備えた電力システムにおいて、車両が授受する電力量を算出する電力算出方法である。車両は、車両外部から供給される電力を用いてバッテリを充電する外部充電、および、バッテリの電力を車両外部に供給する外部放電が可能に構成される。充電スタンドは、外部充電および外部放電において、車両外部の交流電源と車両との間で電力の授受を行なうように構成される。外部充電および外部放電において、車両と充電スタンドとの間で授受される電力が交流電力である場合には、車両は、充電スタンドから供給される交流電力を直流電力に変換し、かつ、バッテリから供給される直流電力を交流電力に変換することが可能に構成された第1充電器と、第1充電器に入出力される電力を検出する第1検出装置とを含む。そして、上記方法は、車両が、第1検出装置の検出値を用いて、充電スタンドから供給された充電電力または充電スタンドに供給した放電電力を計測するステップと、車両が、当該計測結果である第1計測値をサーバに送信するステップとを含む。外部充電および外部放電において、車両と充電スタンドとの間で授受される電力が直流電力である場合には、充電スタンドは、交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換し、かつ、車両から供給される直流電力を交流電力に変換することが可能に構成された第2充電器と、第2充電器に入出力される電力を検出する第2検出装置とを含む。そして、上記方法は、充電スタンドが、第2検出装置の検出値を用いて、車両に供給した充電電力または車両から供給された放電電力を計測するステップと、充電スタンドが、当該計測結果である第2計測値をサーバに送信するステップとを含む。
【0020】
この開示の他の局面に係る電力システムは、車両外部から供給される電力を用いてバッテリを充電する外部充電、および、バッテリの電力を車両外部に供給する外部放電が可能に構成された車両と、外部充電および外部放電において、車両外部の交流電源と車両との間で電力の授受を行なう充電スタンドと、充電スタンドと通信可能に構成されたサーバとを備える。外部充電および外部放電において、車両と充電スタンドとの間で授受される電力が交流電力である場合には、充電スタンドは、車両に供給する充電電力、および、車両から供給される放電電力を検出する第3検出装置を含み、第3検出装置の検出値を用いて、充電電力または放電電力を計測し、当該計測結果である第3計測値をサーバに送信する。外部充電および外部放電において、車両と充電スタンドとの間で授受される電力が直流電力である場合には、充電スタンドは、交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換し、かつ、車両から供給される直流電力を交流電力に変換することが可能に構成された充電器と、充電器に入出力される電力を検出する第4検出装置とを含み、第4検出装置の検出値を用いて、車両に供給した充電電力または車両から供給された放電電力を計測し、当該計測結果である第4計測値をサーバに送信する。
【0021】
この開示の他の局面に係る電力システムは、車両外部から供給される電力を用いてバッテリを充電する外部充電、および、バッテリの電力を車両外部に供給する外部放電が可能に構成された車両と、外部充電および外部放電において、車両外部の交流電源と車両との間で電力の授受を行なう充電スタンドと、車両と通信可能に構成されたサーバとを備える。外部充電および外部放電において、車両と充電スタンドとの間で授受される電力が交流電力である場合には、車両は、充電スタンドから供給される交流電力を直流電力に変換し、かつ、バッテリから供給される直流電力を交流電力に変換することが可能に構成された充電器と、充電器に入出力される電力を検出する第5検出装置とを含み、第5検出装置の検出値を用いて、充電スタンドから供給された充電電力または充電スタンドに供給した放電電力を計測し、当該計測結果である第5計測値をサーバに送信する。外部充電および外部放電において、車両と充電スタンドとの間で授受される電力が直流電力である場合には、車両は、充電スタンドから供給される充電電力、および、充電スタンドへ供給する放電電力を検出する第6検出装置を含み、第6検出装置の検出値を用いて、充電電力または放電電力を計測し、当該計測結果である第6計測値をサーバに送信する。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、車両に供給された充電電力量および車両から持ち出される放電電力量を精度よく計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施の形態1に係る電力システムの概略的な構成を示す図である。
【
図3】AC充電において実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【
図4】AC放電において実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【
図5】DC充電において実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【
図6】DC放電において実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【
図7】変形例1に係る電力システムの概略的な構成を示す図である。
【
図8】変形例1における、DC充電において実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【
図9】変形例1における、DC放電において実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【
図10】変形例2に係る電力システムの概略的な構成を示す図である。
【
図11】変形例2における、AC充電において実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【
図12】変形例2における、AC放電において実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【
図13】実施の形態2に係る電力システムの概略的な構成を示す図である。
【
図14】実施の形態2における、AC充電において実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【
図15】実施の形態2における、AC放電において実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【
図16】実施の形態3に係る電力システムの概略的な構成を示す図である。
【
図17】実施の形態3における、DC充電において実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【
図18】実施の形態3における、DC放電において実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0025】
[実施の形態1]
<電力システムの構成>
図1は、実施の形態1に係る電力システム1の概略的な構成を示す図である。実施の形態1に係る電力システム1は、電力系統PGと、マイクログリッドMGと、車両2A,2Bと、車両管理サーバ3と、AC充電スタンド4と、DC充電スタンド4と、充電スタンド管理サーバ6と、EMS(Energy Management System)サーバ7と、送配電事業者サーバ8と、受変電設備9とを備える。車両2A,2B、車両管理サーバ3、AC充電スタンド4、DC充電スタンド4、および、充電スタンド管理サーバ6は、充電システムを構成する。充電システムは、マイクログリッドMGにおいて、電力調整リソース(分散型エネルギーリソース:DER)として機能する。なお、電力調整リソースとしては、上記の充電システムの他にも、いずれも図示しないが、工場エネルギー管理システム(FEMS:Factory Energy Management System)、ビルエネルギー管理システム(BEMS:Building Energy Management System)、ホームエネルギー管理システム(HEMS:Home Energy Management System)、発電機、自然変動電源、および、電力貯蔵システム(ESS:Energy Storage System)、等が含まれてもよい。
【0026】
マイクログリッドMGは、1つの街(たとえば、スマートシティ)全体に電力を供給する電力網である。マイクログリッドMG内の電力の需給は、EMSサーバ7によって管理される。マイクログリッドMGにおいて複数の電力調整リソースは、配電系統10によって接続されている。マイクログリッドMGは、電力系統PGに並列および解列可能に構成される。
【0027】
送配電事業者サーバ8は、電力系統PGの需給を管理するコンピュータである。電力系統PGは、図示しない発電所および送配電設備によって構築される電力網である。実施の形態1では、電力会社が発電事業者および送配電事業者を兼ねる。電力会社は、一般送配電事業者に相当し、電力系統PG(商用電力系統)を保守および管理する。電力会社は、電力系統PGの管理者に相当する。送配電事業者サーバ8は、電力会社に帰属する。
【0028】
受変電設備9は、マイクログリッドMGの連系点(受電点)に設けられ、電力系統PGとマイクログリッドMGとの並列(接続)および解列(切離し)を切替え可能に構成される。受変電設備9は、マイクログリッドMGと電力系統PGとの接続点に位置する。
【0029】
マイクログリッドMGが電力系統PGと接続された状態で連系運転しているときには、受変電設備9は、電力系統PGから交流電力を受電し、受電した電力を降圧してマイクログリッドMGへ供給する。マイクログリッドMGが電力系統PGから切り離された状態で自立運転しているときには、電力系統PGからマイクログリッドMGへの電力供給は行なわれない。受変電設備9は、高圧側(一次側)の開閉装置(たとえば、区分開閉器、断路器、遮断器、および負荷開閉器)、変圧器、保護リレー、計測機器、および制御装置を含んで構成される。EMSサーバ7は、マイクログリッドMGに関する情報(たとえば、電力波形)を受変電設備9から受信するとともに、受変電設備9へ並列および解列を指示するように構成される。
【0030】
EMSサーバ7は、送配電事業者サーバ8、車両管理サーバ3および充電スタンド管理サーバ6の各々と通信可能に構成される。通信プロトコルは、OpenADRであってもよい。EMSサーバ7は、送配電事業者サーバ8から電力系統PGの需給調整を要請されたときに、電力調整リソースに対してDR(デマンドレスポンス)を実施してもよい。なお、電力調整リソースが車両2A,2B、AC充電スタンド4およびDC充電スタンド5である場合には、EMSサーバ7は、車両管理サーバ3および充電スタンド管理サーバ6に対してDRを実施してもよい。また、EMSサーバ7は、需給調整市場の要請に応じて電力調整リソースに対してDRを実施してもよい。また、EMSサーバ7は、マイクログリッドMGの需給調整を行なうために、電力調整リソースに対してDRを実施してもよい。
【0031】
充電スタンド管理サーバ6は、マイクログリッドMGに電気的に接続されるAC充電スタンド4およびDC充電スタンド5を管理するサーバである。なお、実施の形態1においては、電力調整リソースに含まれるAC充電スタンド4およびDC充電スタンド5の数が1台ずつであるが、これらの含有数は任意である。
【0032】
充電スタンド管理サーバ6は、車両管理サーバ3およびEMSサーバ7の各々と通信可能に構成される。また、充電スタンド管理サーバ6は、AC充電スタンド4およびDC充電スタンド5の各々と通信可能に構成される。充電スタンド管理サーバ6は、AC充電スタンド4およびDC充電スタンド5から車両2A,2Bへの供給電力量(充電電力量)を管理する。また、充電スタンド管理サーバ6は、車両2A,2BからAC充電スタンド4およびDC充電スタンド5への放電電力量(充電電力量)を管理する。
【0033】
AC充電スタンド4は、充電ケーブル44を介して車両2Aに交流電力を供給するための充電設備である。AC充電が行なわれる際には、充電ケーブル44の先端に設けられた充電コネクタ(図示せず)が車両2A(後述のACインレット31)に接続される。
【0034】
DC充電スタンド5は、充電ケーブル58を介して車両2Bに直流電力を供給するための充電設備である。DC充電が行なわれる際には、充電ケーブル58の先端に設けられた充電コネクタ(図示せず)が車両2B(後述のDCインレット38)に接続される。
【0035】
車両管理サーバ3は、車両2A,2Bを管理するサーバである。車両管理サーバ3は、充電スタンド管理サーバ6およびEMSサーバ7の各々と通信可能に構成される。また、車両管理サーバ3は、車両2A,2Bの各々と通信可能に構成される。車両管理サーバ3は、たとえば、車両2A,2Bの各々が搭載するバッテリ20(
図2)の充電状態を管理する。また、車両管理サーバ3は、AC充電スタンド4およびDC充電スタンド5から車両2A,2Bへの供給電力量(充電電力量)を管理する。また、
車両管理サーバ3は、車両2A,2BからAC充電スタンド4およびDC充電スタンド5への放電電力量(充電電力量)を管理する。
【0036】
なお、実施の形態1では、車両管理サーバ3と充電スタンド管理サーバ6とを個別に設けているが、車両管理サーバ3と充電スタンド管理サーバ6との機能を兼ねたサーバを設けてもよい。なお、車両管理サーバ3および充電スタンド管理サーバ6は、本開示に係る「サーバ」の一例に相当する。
【0037】
車両2A,2Bは、電気自動車である。実施の形態1では、車両2Aと車両2Bとは、同様の構成を有する。以下においては、車両2Aと車両2Bとを特に区別しない場合には、単に「車両2」と称する場合がある。なお、実施の形態1においては、電力調整リソースに含まれる車両2の数が2台であるが、車両2の含有数は任意である。また、実施の形態1においては、電力調整リソースに含まれるAC充電スタンド4およびDC充電スタンド5の数がそれぞれ1台であるが、AC充電スタンド4およびDC充電スタンド5の含有数は任意である。
【0038】
実施の形態1に係る車両2は、AC充電スタンド4から供給される交流電力を用いて、車載のバッテリ20(
図2)を充電するAC充電が可能に構成される。また、車両2は、DC充電スタンド5から供給される直流電力を用いて、車載のバッテリ20(
図2)を充電するDC充電が可能に構成される。また、車両2は、バッテリ20の電力を交流電力に変換して、変換された交流電力をAC充電スタンド4に供給するAC放電が可能に構成される。さらに、車両2は、バッテリ20の電力をDC充電スタンド5に供給するDC放電が可能に構成される。なお、車両2は、AC充電、DC充電、AC放電、および、DC放電のうちの少なくとも1つが可能であればよい。より具体的には、AC充電スタンド4と電気的に接続される車両2Aは、AC充電およびAC放電のうちの少なくとも一方が可能な車両であればよい。DC充電スタンド5と電気的に接続される車両2Bは、DC充電およびDC放電のうちの少なくとも一方が可能な車両であればよい。また、車両2は、電気自動車に限られるものではなく、たとえば、プラグインハイブリッド自動車あるいは燃料電池自動車であってもよい。
【0039】
AC充電スタンド4は、制御装置41と、通信装置42と、リレー回路43と、充電ケーブル44とを含む。
【0040】
通信装置42は、充電スタンド管理サーバ6との双方向通信が可能に構成されている。通信装置42は、たとえば、W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、LTE(Long Term Evolution)等の通信規格や、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.11等の無線LAN(Local Area Network)規格に準拠した通信モジュールを含む。また、通信装置42は、充電ケーブル44を介して電気的に接続された車両2Aの通信装置29A(
図2)との双方向通信が可能に構成されている。通信装置42と車両2(通信装置29)との通信は、たとえば、CAN(Controller Area Network)の通信プロトコルに従うCAN通信であってもよいし、電力線通信(PLC:Power Line Communication)であってもよい。あるいは、通信装置42と車両2(通信装置29)との通信は、無線通信であってもよい。
【0041】
制御装置41は、CPU(Central Processing Unit)と、メモリ(ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory))と、各種信号が入出力される入出力ポートとを含んで構成される(いずれも図示せず)。制御装置41は、各センサなどからの信号の入力および各機器への制御信号の出力を行なうとともに、各機器の制御を行なう。なお、これらの制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で構築して処理することも可能である。
【0042】
リレー回路43は、配電系統10に電気的に接続されている電力線L1と、充電ケーブル44に電気的に接続されている電力線L2との間に設けらている。リレー回路43は、制御装置41からの指令に従って、閉成状態と開放状態とを切り替える。制御装置41は、車両2から受ける指令に従って、リレー回路43を制御する。リレー回路43が閉成状態になると、配電系統10からの電力が車両2に供給されたり(AC充電)、車両2からの電力が配電系統10に供給されたりする(AC放電)。
【0043】
DC充電スタンド5は、制御装置51と、通信装置52と、充電器53と、電圧センサ54,55と、電流センサ56,57と、充電ケーブル58とを含む。
【0044】
通信装置52は、充電スタンド管理サーバ6との双方向通信が可能に構成されている。通信装置52は、たとえば、W-CDMA、LTE等の通信規格や、IEEE802.11等の無線LAN規格に準拠した通信モジュールを含む。また、通信装置52は、充電ケーブル58を介して電気的に接続された車両2Bの通信装置29B(
図2)との双方向通信が可能に構成されている。通信装置52と車両2(通信装置29)との通信は、たとえば、CAN通信であってもよいし、電力線通信であってもよい。あるいは、通信装置52と車両2(通信装置29)との通信は、無線通信であってもよい。
【0045】
充電器53は、配電系統10に電気的に接続されている電力線L3と、充電ケーブル58に電気的に接続されている電力線L4との間に設けらている。充電器53は、制御装置51からの指令に従って、マイクログリッドMGの配電系統10から供給される交流電力を、車両2Bに供給するための直流電力に変換する。充電器53によって電力変換された直流電力は、充電ケーブル58を介して車両2Bに供給される。この直流電力を用いて、車両2Bのバッテリ20が充電される。また、充電器53は、制御装置51からの指令に従って、充電ケーブル58を介して車両2Bから供給された直流電力を交流電力に変換する。充電器53によって電力変換された交流電力は、配電系統10に供給される。
【0046】
電圧センサ54は、電力線L3に印加される電圧Vd1を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置51に出力する。
【0047】
電圧センサ55は、電力線L4に印加される電圧Vd2を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置51に出力する。
【0048】
電流センサ56は、電力線L3を流れる電流Id1を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置51に出力する。
【0049】
電流センサ57は、電力線L4を流れる電流Id2を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置51に出力する。
【0050】
DC充電時においては、電圧Vd1は、充電器53による電力変換が行なわれる前の電力(配電系統10からDC充電スタンド5に供給される電力)の電圧である。電流Id1は、充電器53による電力変換が行なわれる前の電力の電流である。そして、電圧Vd2は、充電器53による電力変換が行なわれた後の電力の電圧である。電流Id2は、充電器53による電力変換が行なわれる後の電力の電流である。
【0051】
DC放電時においては、電圧Vd2は、充電器53による電力変換が行なわれる前の電力(車両2からDC充電スタンド5に供給される電力)の電圧である。電流Id2は、充電器53による電力変換が行なわれる前の電力の電流である。そして、電圧Vd1は、充電器53による電力変換が行なわれた後の電力の電圧である。電流Id1は、充電器53による電力変換が行なわれる後の電力の電流である。
【0052】
制御装置51は、CPUと、メモリ(ROMおよびRAM)と、各種信号が入出力される入出力ポートとを含んで構成される(いずれも図示せず)。制御装置51は、各センサなどからの信号の入力および各機器への制御信号の出力を行なうとともに、各機器の制御を行なう。なお、これらの制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で構築して処理することも可能である。
【0053】
制御装置51は、DC充電において、車両2からの要求に応じた電力を出力するように充電器53を制御する。また、制御装置51は、DC放電において、配電系統10の状態(系統電圧および/または系統電流)に応じた電力を出力するように充電器53を制御する。
【0054】
図2は、車両2の概略的な構成を示す図である。車両2は、バッテリ20と、監視ユニット21と、システムメインリレー(以下「SMR(System Main Relay)」とも称する)25と、パワーコントロールユニット(以下「PCU(Power Control Unit)」とも称する)26と、モータジェネレータ27と、駆動輪28と、通信装置29と、ECU(Electronic Control Unit)30とを備える。
【0055】
バッテリ20は、車両2の駆動電源(すなわち動力源)として車両2に搭載される。バッテリ20は、積層された複数の電池を含んで構成される。電池は、たとえば、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等の二次電池である。また、電池は、正極と負極との間に液体電解質を有する電池であってもよいし、固体電解質を有する電池(全固体電池)であってもよい。
【0056】
監視ユニット21は、バッテリ20の状態を監視する。監視ユニット21は、電圧センサ22と、電流センサ23と、温度センサ24とを含む。電圧センサ22は、バッテリ20の電圧(バッテリ電圧)VBを検出し、その検出結果を示す信号をECU30に出力する。電流センサ23は、バッテリ20の入出力電流(バッテリ電流)IBを検出し、その検出結果を示す信号をECU30に出力する。温度センサ24は、バッテリ20の温度(バッテリ温度)TBを検出し、その検出結果を示す信号をECU30に出力する。
【0057】
SMR25は、PCU26とバッテリ20とを結ぶ電力線PL,NLに電気的に接続されている。SMR25が閉成状態であると、バッテリ20からPCU26に電力が供給される。SMR25が開放状態であると、バッテリ20からPCU26に電力が供給されない。SMR25は、ECU30からの制御信号に従って、閉成状態と開放状態とを切り替える。
【0058】
PCU26は、ECU30からの制御信号に応じて、バッテリ20に蓄えられた直流電力を交流電力に変換してモータジェネレータ27に供給する。また、PCU26は、モータジェネレータ27が発電した交流電力を直流電力に変換してバッテリ20に供給する。PCU26は、たとえば、インバータと、インバータに供給される直流電圧をバッテリ20の出力電圧以上に昇圧するコンバータとを含んで構成される。
【0059】
モータジェネレータ27は、たとえば、ロータに永久磁石が埋設された三相交流同期電動機である。モータジェネレータ27は、PCU26により駆動されて回転駆動力を発生する。モータジェネレータ27が発生した駆動力は、伝達ギヤを介して駆動輪28に伝達される。
【0060】
通信装置29は、車両管理サーバ3との双方向通信が可能に構成されている。通信装置29は、たとえば、W-CDMA、LTE等の通信規格や、IEEE802.11等の無線LAN規格に準拠した通信モジュールを含む。また、通信装置29は、AC充電スタンド4の通信装置42(
図1)との双方向通信が可能に構成されている。通信装置29とAC充電スタンド4(通信装置42)との通信は、たとえば、CANの通信プロトコルに従うCAN通信であってもよいし、電力線通信であってもよい。なお、通信装置29とAC充電スタンド4(通信装置42)との通信は、無線通信であってもよい。さらに、通信装置29は、DC充電スタンド5の通信装置52(
図1)との双方向通信が可能に構成されている。通信装置29とDC充電スタンド5(通信装置52)との通信は、たとえば、CAN通信であってもよいし、電力線通信であってもよい。なお、通信装置29とDC充電スタンド5(通信装置52)との通信は、無線通信であってもよい。
【0061】
ECU30は、CPUと、メモリ(ROMおよびRAM)と、各種信号が入出力される入出力ポートとを含んで構成される(いずれも図示せず)。ECU30は、各センサなどからの信号の入力および各機器への制御信号の出力を行なうとともに、各機器の制御を行なう。なお、これらの制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で構築して処理することも可能である。
【0062】
ECU30は、バッテリ20のSOC(State Of Charge)を算出可能に構成される。SOCの算出方法としては、たとえば、電流値積算(クーロンカウント)による手法、または、開放電圧(OCV:Open Circuit Voltage)の推定による手法など、種々の公知の手法を採用できる。
【0063】
さらに、車両2は、AC充電およびAC放電を行なうための構成として、ACインレット31と、AC充電リレー32と、充電器33と、電圧センサ34,35と、電流センサ36,37とを備える。
【0064】
ACインレット31は、AC充電スタンド4の充電ケーブル44の先端に設けられた充電コネクタ(図示せず)が接続可能に構成される。ACインレット31は、AC充電またはAC放電が行なわれない場合には、図示しないAC充電リッドに覆われている。AC充電またはAC放電が行なわれる場合には、AC充電リッドが開かれてACインレット31に充電ケーブル44の充電コネクタが接続される。AC充電時には、ACインレット31は、AC充電スタンド4から供給される交流電力を受ける。AC放電時には、ACインレット31は、充電器33から供給される交流電力を受ける。
【0065】
AC充電リレー32は、バッテリ20とACインレット31との電気的な接続/遮断を行なうためのリレーである。AC充電リレー32は、SMR25およびPCU26を接続する電力線PL,NLと、ACインレット31との間に電気的に接続される。AC充電リレー32は、ECU30からの制御信号に従って、閉成状態と開放状態とを切り替える。
【0066】
充電器33は、ACインレット31とAC充電リレー32との間に電気的に接続される。ACインレット31と充電器33とは、電力線CPL1,CNL1により電気的に接続されている。AC充電リレー32と充電器33とは、電力線CPL2,CNL2により電気的に接続されている。充電器33は、ECU30からの指令に従って、AC充電スタンド4からACインレット31に入力される交流電力を、バッテリ20の電圧VBに応じた電圧を有する直流電力に変換する。充電器33によって電力変換された直流電力は、AC充電リレー32およびSMR25を介してバッテリ20へ供給され、バッテリ20が充電される(AC充電)。また、充電器33は、ECU30からの指令に従って、バッテリ20の電力を交流電力に変換する。充電器33によって変換された交流電力は、ACインレット31を介してAC充電スタンド4に供給される。
【0067】
電圧センサ34は、電力線CPL1,CNL1間の電圧Vc1を検出し、その検出結果を示す信号をECU30に出力する。
【0068】
電圧センサ35は、電力線CPL2,CNL2間の電圧Vc2を検出し、その検出結果を示す信号をECU30に出力する。
【0069】
電流センサ36は、電力線CPL1,CNL1を流れる電流Ic1を検出し、その検出結果を示す信号をECU30に出力する。
【0070】
電流センサ37は、電力線CPL2,CNL2を流れる電流Ic2を検出し、その検出結果を示す信号をECU30に出力する。
【0071】
さらに、車両2は、DC充電およびDC放電を行なうための構成として、DCインレット38と、DC充電リレー39とを備える。
【0072】
DCインレット38は、DC充電スタンド5の充電ケーブル58の先端に設けられた充電コネクタ(図示せず)が接続可能に構成される。DCインレット38は、DC充電またはDC放電が行なわれない場合には、図示しないDC充電リッドに覆われている。DC充電またはDC放電が行なわれる場合には、DC充電リッドが開かれてDCインレット38に充電ケーブル58の充電コネクタが接続される。DC充電時には、DCインレット38は、DC充電スタンド5から供給される直流電力を受ける。DC放電時には、DCインレット38は、バッテリ20から供給される直流電力を受ける。
【0073】
DC充電リレー39は、バッテリ20とDCインレット38との電気的な接続/遮断を行なうためのリレーである。DC充電リレー39は、電力線PL,NLと、DCインレット38との間に電気的に接続される。DC充電リレー39は、ECU30からの制御信号に従って、閉成状態と開放状態とを切り替える。
【0074】
図1および
図2を参照して、電力系統PGやマイクログリッドMGの需給調整を適切に行なうためには、配電系統10から車両2へ供給した充電電力量、および、車両2から配電系統10へ供給した放電電力量を精度よく算出することが求められる。
【0075】
たとえば、車両2が充電電力および放電電力を計測して、充電電力量および放電電力量を算出する構成としたり、充電スタンド(AC充電スタンド4およびDC充電スタンド5)が充電電力および放電電力を計測して、充電電力量および放電電力量を算出する構成としたりすることが考えられる。しかしながら、充電器33,53で行なわれる電力変換には、電力変換損失が伴なう。そのため、電力変換前の電力を計測する場合と、電力変換後の電力を計測する場合とが混在すると、充電電力量および放電電力量を精度よく計測することができなくなってしまう。
【0076】
そこで、実施の形態1においては、AC充電およびAC放電を行なう場合には、車両2で充電電力および放電電力を計測し、DC充電およびDC放電を行なう場合には、DC充電スタンド5で充電電力および放電電力を計測する。
【0077】
AC充電において、車両2のECU30は、電圧センサ34の検出値(電圧Vc1)および電流センサ36の検出値(電流Ic1)を用いて、充電電力を計測する。充電器33での電力変換前の電力を計測するので、計測された電力には、電力変換の損失分が含まれない。そして、車両2のECU30は、AC充電の実行中に計測された充電電力を積算して、AC充電における充電電力量を算出する。それゆえに、配電系統10から供給された充電電力量を精度よく計測することができる。なお、たとえば、AC充電スタンド4に電圧センサおよび電流センサを設けて、車両2の充電器33による電力変換前の電力を計測することも可能であるが、この場合には、電圧センサおよび電流センサを設ける追加のコストおよび工数がかかる。充電器33とともに備えられた電圧センサ34および電流センサ36を活用することで、追加のコストおよび工数を要することなく、かつ、精度よく充電電力量を算出することができる。なお、実際にバッテリ20に供給される電力量を充電電力量としたい場合には、電圧センサ35の検出値(電圧Vc2)および電流センサ37の検出値(電流Ic2)を用いて充電電力を計測し、その積算値を充電電力量として算出すればよい。
【0078】
AC放電において、車両2のECU30は、電圧センサ35の検出値(電圧Vc2)および電流センサ37の検出値(電流Ic2)を用いて、放電電力を計測する。充電器33での電力変換前の電力量を計測するので、計測された電力には、電力変換の損失分が含まれない。そして、車両2のECU30は、AC放電の実行中に計測された放電電力を積算して、AC放電における放電電力量を算出する。それゆえに、バッテリ20から供給された放電電力量を精度よく計測することができる。なお、実際に配電系統10へ供給される電力量を放電電力量としたい場合には、車両2のECU30は、電圧センサ34の検出値(電圧Vc1)および電流センサ36の検出値(電流Ic1)を用いて放電電力を計測し、その積算値を放電電力量として算出すればよい。
【0079】
車両2のECU30は、通信装置29を介して、算出された充電電力量および/または算出された放電電力量を車両管理サーバ3に送信する。車両管理サーバ3は、受信した充電電力量および/または放電電力量を充電スタンド管理サーバ6に送信する。これによって、AC充電における充電電力量および/またはAC放電における放電電力量が、充電スタンド管理サーバ6と共有される。また、車両管理サーバ3は、充電電力量および/または放電電力量をEMSサーバ7に送信する。これにより、EMSサーバ7は、マイクログリッドMGの需給状態を適切に管理することができる。
【0080】
DC充電において、DC充電スタンド5の制御装置51は、電圧センサ54の検出値(電圧Vd1)および電流センサ56の検出値(電流Id1)を用いて、充電電力を計測する。充電器53での電力変換前の電力を計測するので、計測された充電電力には、電力変換の損失分が含まれない。そして、DC充電スタンド5の制御装置51は、DC充電の実行中に計測した充電電力を積算して、DC充電における充電電力量を算出する。それゆえに、配電系統10から供給された充電電力量を精度よく算出することができる。なお、実際にバッテリ20に供給される電力量を充電電力量としたい場合には、電圧センサ55の検出値(電圧Vd2)および電流センサ57の検出値(電流Id2)を用いて充電電力を計測し、その積算値を充電電力量として算出すればよい。
【0081】
DC放電において、DC充電スタンド5の制御装置51は、電圧センサ55の検出値(電圧Vd2)および電流センサ57の検出値(電流Id2)を用いて、放電電力を計測する。充電器53での電力変換前の電力量を計測するので、計測された電力には、電力変換の損失分が含まれない。そして、DC充電スタンド5の制御装置51は、DC放電の実行中に計測した放電電力を積算して、DC放電における放電電力量を算出する。それゆえに、バッテリ20から供給された放電電力量を精度よく算出することができる。なお、実際に配電系統10へ供給される電力量を放電電力量としたい場合には、DC充電スタンド5の制御装置51は、電圧センサ54の検出値(電圧Vd1)および電流センサ56の検出値(電流Id1)を用いて放電電力を計測し、その積算値を放電電力量として算出すればよい。
【0082】
DC充電スタンド5の制御装置51は、通信装置52を介して、算出された充電電力量および/または算出された放電電力量を充電スタンド管理サーバ6に送信する。充電スタンド管理サーバ6は、受信した充電電力量および/または放電電力量を車両管理サーバ3に送信する。これによって、DC充電における充電電力量および/またはDC放電における放電電力量が、車両管理サーバ3と共有される。また、充電スタンド管理サーバ6は、充電電力量および/または放電電力量をEMSサーバ7に送信する。これにより、EMSサーバ7は、マイクログリッドMGの需給状態を適切に管理することができる。
【0083】
<フローチャート>
<<AC充電>>
図3は、AC充電において実行される処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、たとえば、上げDR(電力需要の増加の要請)を実施する条件が成立した際に開始される。
図3、後述の
図4,11,12に示すフローチャートの各ステップ(以下ステップを「S」と略す)は、車両2AのECU30A、AC充電スタンド4の制御装置41、車両管理サーバ3、充電スタンド管理サーバ6、および、EMSサーバ7によるソフトウェア処理によって実現される場合について説明するが、その一部あるいは全部が、ECU30A内、制御装置41内、車両管理サーバ3内、充電スタンド管理サーバ6内、および/または、EMSサーバ7内に作製されたハードウェア(電気回路)によって実現されてもよい。
【0084】
S1において、EMSサーバ7は、送配電事業者サーバ8から電力系統PGの需給調整(電力需要の増加)を要請されたことに応答して、車両管理サーバ3に対して上げDRを実施する。
【0085】
S2において、車両管理サーバ3は、上げDRに応答して、車両2Aに充電要求を送信する。
【0086】
S3において、車両2Aのユーザが上げDRへの応答を承諾し、ACインレット31にAC充電スタンド4の充電ケーブル44の充電コネクタを接続する。そして、車両2Aのユーザによる充電開始操作が行なわれる。充電開始操作は、たとえば、ACインレット31に充電ケーブル44の充電コネクタが接続された状態において、車両2AのHMI装置(図示せず)に表示された充電開始ボタン(図示せず)を押す操作であってもよい。車両2AのECU30Aは、充電開始操作が行なわれたことを検知すると、AC充電の開始要求をAC充電スタンド4に出力する。
【0087】
S4において、AC充電スタンド4の制御装置41は、開始要求に応答して、車両2Aへの交流電力の供給を開始する。これにより、AC充電が開始される。
【0088】
S5において、車両2AのECU30Aは、AC充電が開始されると、AC充電スタンド4から供給される充電電力の計測を開始する。車両2AのECU30Aは、AC充電の実行中、すなわち、AC充電スタンド4から充電電力が供給されている間、AC充電スタンド4から供給される充電電力の計測を継続する。なお、車両2AのECU30Aは、電圧センサ34の検出値(電圧Vc1)および電流センサ36の検出値(電流Ic1)を用いて、充電電力の計測を行なう。
【0089】
S6において、車両2AのECU30Aは、AC充電の終了条件が成立した判断すると、AC充電の終了要求をAC充電スタンド4に出力する。AC充電の終了条件は、たとえば、バッテリ20Aが満充電状態になったという条件、バッテリ20AのSOCが予め設定されたSOCに到達したという条件、予め設定された充電時間が経過したという条件、充電要求により要求されている電力量の供給を受けたという条件、等を含んでもよい。
【0090】
S7において、AC充電スタンド4の制御装置41は、終了要求に応答して、車両2Aへの交流電力の供給を終了する。これにより、AC充電が終了される。
【0091】
S8において、車両2AのECU30Aは、S5において計測された充電電力の積算値を充電電力量として算出し、算出された充電電力量を車両管理サーバ3に送信する。
【0092】
S9において、車両管理サーバ3は、車両2Aから受けた充電電力量をEMSサーバ7に送信する。
【0093】
S10において、車両管理サーバ3は、車両2Aから受けた充電電力量を充電スタンド管理サーバ6に送信する。
【0094】
<<AC放電>>
図4は、AC放電において実行される処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、たとえば、下げDR(電力需要の抑制の要請)を実施する条件が成立した際に開始される。
【0095】
S11において、EMSサーバ7は、送配電事業者サーバ8から電力系統PGの需給調整(電力需要の抑制)を要請されたことに応答して、車両管理サーバ3に対して下げDRを実施する。
【0096】
S12において、車両管理サーバ3は、下げDRに応答して、車両2Aに放電要求を送信する。
【0097】
S13において、車両2Aのユーザが下げDRへの応答を承諾し、ACインレット31にAC充電スタンド4の充電ケーブル44の充電コネクタを接続する。そして、車両2Aのユーザによる放電開始操作が行なわれる。放電開始操作は、たとえば、ACインレット31に充電ケーブル44の充電コネクタが接続された状態において、車両2のHMI装置(図示せず)に表示された放電開始ボタン(図示せず)を押す操作であってもよい。車両2AのECU30Aは、放電開始操作が行なわれたことを検知すると、AC放電を開始する開始通知をAC充電スタンド4に出力する。
【0098】
S14において、車両2AのECU30Aは、充電器33を制御して、AC充電スタンド4への放電を開始する。
【0099】
S15において、車両2AのECU30Aは、AC放電を開始すると、AC充電スタンド4へ供給する放電電力の計測を開始する。車両2AのECU30Aは、AC放電の実行中、すなわち、AC充電スタンド4へ放電電力を供給している間、AC充電スタンド4へ供給する放電電力の計測を継続する。なお、車両2AのECU30Aは、電圧センサ35の検出値(電圧Vc2)および電流センサ37の検出値(電流Ic2)を用いて、放電電力の計測を行なう。
【0100】
S16において、車両2AのECU30Aは、AC放電の終了条件が成立した判断すると、AC充電スタンド4への交流電力の供給を停止し、AC放電の終了通知をAC充電スタンド4に出力する。AC放電の終了条件は、たとえば、バッテリ20AのSOCが下限SOCまたは予め設定されたSOCに到達したという条件、予め設定された放電時間が経過したという条件、放電要求により要求されている電力量を供給したという条件、等を含んでもよい。
【0101】
S17において、車両2AのECU30Aは、S15において計測された放電電力の積算値を放電電力量として算出し、算出された放電電力量を車両管理サーバ3に送信する。
【0102】
S18において、車両管理サーバ3は、車両2Aから受けた放電電力量をEMSサーバ7に送信する。
【0103】
S19において、車両管理サーバ3は、車両2Aから受けた放電電力量を充電スタンド管理サーバ6に送信する。
【0104】
<<DC充電>>
図5は、DC充電において実行される処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、たとえば、上げDRを実施する条件が成立した際に開始される。
図5、後述の
図6,8,9に示すフローチャートの各ステップは、車両2BのECU30B、DC充電スタンド5の制御装置51、車両管理サーバ3、充電スタンド管理サーバ6、および、EMSサーバ7によるソフトウェア処理によって実現される場合について説明するが、その一部あるいは全部が、ECU30B内、制御装置51内、車両管理サーバ3内、充電スタンド管理サーバ6内、および/または、EMSサーバ7内に作製されたハードウェア(電気回路)によって実現されてもよい。
【0105】
S21において、EMSサーバ7は、送配電事業者サーバ8から電力系統PGの需給調整(電力需要の増加)を要請されたことに応答して、車両管理サーバ3に対して上げDRを実施する。
【0106】
S22において、車両管理サーバ3は、上げDRに応答して、車両2Bに充電要求を送信する。
【0107】
S23において、車両2Bのユーザが上げDRへの応答を承諾し、DCインレット38にDC充電スタンド5の充電ケーブル58の充電コネクタを接続する。そして、車両2Bのユーザによる充電開始操作が行なわれる。車両2BのECU30Bは、充電開始操作が行なわれたことを検知すると、DC充電の開始要求をDC充電スタンド5に出力する。
【0108】
S24において、DC充電スタンド5の制御装置51は、開始要求に応答して、車両2Bへの直流電力の供給を開始する。これにより、DC充電が開始される。
【0109】
S25において、DC充電スタンド5の制御装置51は、DC充電を開始すると、車両2Bへ供給する充電電力の計測を開始する。DC充電スタンド5の制御装置51は、DC充電の実行中、すなわち、車両2Bへ充電電力を供給している間、車両2Bへ供給する充電電力の計測を継続する。なお、DC充電スタンド5の制御装置51は、電圧センサ54の検出値(電圧Vd1)および電流センサ56の検出値(電流Id1)を用いて、充電電力の計測を行なう。
【0110】
S26において、車両2BのECU30Bは、DC充電の終了条件が成立した判断すると、DC充電の終了要求をDC充電スタンド5に出力する。DC充電の終了条件は、上述のAC充電の終了条件と同様の条件を採用することができる。
【0111】
S27において、DC充電スタンド5の制御装置51は、終了要求に応答して、車両2Bへの直流電力の供給を終了する。これにより、DC充電が終了される。
【0112】
S28において、DC充電スタンド5の制御装置51は、S25において計測された充電電力の積算値を充電電力量として算出し、算出された充電電力量を充電スタンド管理サーバ6に送信する。
【0113】
S29において、充電スタンド管理サーバ6は、DC充電スタンド5から受けた充電電力量をEMSサーバ7に送信する。
【0114】
S30において、充電スタンド管理サーバ6は、DC充電スタンド5から受けた充電電力量を車両管理サーバ3に送信する。
【0115】
<<DC放電>>
図6は、DC放電において実行される処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、たとえば、下げDRを実施する条件が成立した際に開始される。
【0116】
S31において、EMSサーバ7は、送配電事業者サーバ8から電力系統PGの需給調整(電力需要の抑制)を要請されたことに応答して、車両管理サーバ3に対して下げDRを実施する。
【0117】
S32において、車両管理サーバ3は、下げDRに応答して、車両2Bに放電要求を送信する。
【0118】
S33において、車両2Bのユーザが下げDRへの応答を承諾し、DCインレット38にDC充電スタンド5の充電ケーブル58の充電コネクタを接続する。そして、車両2Bのユーザによる放電開始操作が行なわれる。車両2BのECU30Bは、放電開始操作が行なわれたことを検知すると、DC放電を開始する開始通知をDC充電スタンド5に出力する。
【0119】
S34において、車両2BのECU30Bは、DC充電スタンド5への放電を開始する。
【0120】
S35において、DC充電スタンド5の制御装置51は、充電器53を制御して、車両2Bから受ける直流電力を交流電力に変換して、配電系統10に供給する。DC充電スタンド5の制御装置51は、DC放電が開始されると、配電系統10へ供給する放電電力の計測を開始する。DC充電スタンド5の制御装置51は、DC放電の実行中、すなわち、配電系統10へ放電電力を供給している間(車両2Bから電力の供給を受けている間)、配電系統10へ供給する放電電力の計測を継続する。なお、DC充電スタンド5の制御装置51は、電圧センサ55の検出値(電圧Vd2)および電流センサ57の検出値(電流Id2)を用いて、放電電力の計測を行なう。
【0121】
S36において、車両2BのECU30Bは、DC放電の終了条件が成立した判断すると、DC充電スタンド5への放電電力の供給を停止し、DC放電の終了通知をDC充電スタンド5に出力する。DC放電の終了条件は、上述のAC放電の終了条件と同様の条件を採用することができる。
【0122】
S37において、DC充電スタンド5の制御装置51は、S35において計測された放電電力の積算値を放電電力量として算出し、算出された放電電力量を充電スタンド管理サーバ6に送信する。
【0123】
S38において、充電スタンド管理サーバ6は、車両2Bから受けた放電電力量をEMSサーバ7に送信する。
【0124】
S39において、充電スタンド管理サーバ6は、車両2Bから受けた放電電力量を車両管理サーバ3に送信する。
【0125】
以上のように、実施の形態1に係る電力システム1においては、AC充電およびAC放電を行なう場合には、車両2で充電電力および放電電力を計測し、DC充電およびDC放電を行なう場合には、DC充電スタンド5で充電電力および放電電力を計測する。これにより、AC充電、AC放電、DC充電およびDC放電のいずれにおいても、充電器33,53での電力変換前の電力(充電電力または放電電力)に基づいて充電電力量または放電電力量が算出される。算出された充電電力量および放電電力量には、電力変換の損失分が含まれない。よって、充電電力量および放電電力量を精度よく算出することができる。すなわち、配電系統10から車両2へ供給した充電電力量、および、車両2から配電系統10へ供給した放電電力量を精度よく計測することができる。
【0126】
さらに、充電器33とともに備えられた電圧センサ34,35および電流センサ36,37、ならびに、充電器53とともに備えられた電圧センサ54,55および電流センサ56,57を活用して、充電電力および放電電力を計測することで、追加のコストおよび工数が発生することを抑制することができる。
【0127】
[変形例1]
DC充電スタンド5と充電スタンド管理サーバ6との間に通信不良が生じる場合もあり得る。このような場合においても、DC充電における充電電力量および/またはDC放電における放電電力量を、各種サーバ(車両管理サーバ3、充電スタンド管理サーバ6、およびEMSサーバ7)に適切に出力することが望ましい。なお、以下では、DC充電スタンド5において算出された充電電力量および放電電力量を総称して、「第1計測電力量」とも称する。
【0128】
図7は、変形例1に係る電力システム1Aの概略的な構成を示す図である。電力システム1Aは、実施の形態1に係る電力システム1に対して、DC充電スタンド5が第1計測電力量を送信する送信先が異なる。
【0129】
充電スタンド管理サーバ6との通信が行なえない場合には、DC充電スタンド5の制御装置51は、通信装置52を介して、第1計測電力量を車両2Bに送信する。車両2BのECU30Bは、DC充電スタンド5から第1計測電力量を受けると、通信装置29Bを介して、第1計測電力量を車両管理サーバ3に送信する。そして、車両管理サーバ3は、車両2Bから受けた第1計測電力量をEMSサーバ7に送信する。これにより、EMSサーバ7がDC充電における充電電力量および/またはDC放電における放電電力量を認識することができる。
【0130】
また、車両管理サーバ3は、車両2Bから受けた第1計測電力量を充電スタンド管理サーバ6に送信する。これにより、充電スタンド管理サーバ6がDC充電における充電電力量および/またはDC放電における放電電力量を認識することができる。
【0131】
なお、変形例1が適用されるのは、DC充電スタンド5と充電スタンド管理サーバ6との通信が行なえない場合に限られない。たとえば、DC充電スタンド5は、常時、第1計測電力量を車両2Bに送信する構成としてもよい。このような構成であれば、充電スタンド管理サーバ6を省略することも可能である。
【0132】
図8は、変形例1における、DC充電において実行される処理の手順を示すフローチャートである。
図8のフローチャートは、
図5のフローチャートに対して、S28からS30の処理を削除し、S40からS44の処理を追加したものである。
図8のフローチャートのその他の処理は、
図5のフローチャートの処理と同様であるため、同じステップ番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0133】
S40において、DC充電スタンド5の制御装置51は、充電スタンド管理サーバ6との間で通信不良が生じていることを検知する。なお、S40において、充電スタンド管理サーバ6との間での通信不良が検知されなかった場合には、
図5のS28からS30の処理が実行されればよい。
【0134】
S41において、DC充電スタンド5の制御装置51は、S25において計測された充電電力の積算値を充電電力量として算出し、算出された充電電力量を車両2Bに送信する。
【0135】
S42において、車両2BのECU30Bは、DC充電スタンド5から受けた充電電力量を車両管理サーバ3に送信する。
【0136】
S43において、車両管理サーバ3は、車両2Bから受けた充電電力量をEMSサーバ7に送信する。
【0137】
S44において、車両管理サーバ3は、車両2Bから受けた充電電力量を充電スタンド管理サーバ6に送信する。
【0138】
なお、S40の処理を省略し、DC充電スタンド5の制御装置51は、常時、充電電力量を車両2Bに送信するものとしてもよい。
【0139】
図9は、変形例1における、DC放電において実行される処理の手順を示すフローチャートである。
図9のフローチャートは、
図6のフローチャートに対して、S37からS39の処理を削除し、S45からS49の処理を追加したものである。
図9のフローチャートのその他の処理は、
図6のフローチャートの処理と同様であるため、同じステップ番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0140】
S45において、DC充電スタンド5の制御装置51は、充電スタンド管理サーバ6との間で通信不良が生じていることを検知する。なお、S45において、充電スタンド管理サーバ6との間での通信不良が検知されなかった場合には、
図6のS37からS39の処理が実行されればよい。
【0141】
S46において、DC充電スタンド5の制御装置51は、S35において計測された放電電力の積算値を放電電力量として算出し、算出された放電電力量を車両2Bに送信する。
【0142】
S47において、車両2BのECU30Bは、DC充電スタンド5から受けた放電電力量を車両管理サーバ3に送信する。
【0143】
S48において、車両管理サーバ3は、車両2Bから受けた放電電力量をEMSサーバ7に送信する。
【0144】
S49において、車両管理サーバ3は、車両2Bから受けた放電電力量を充電スタンド管理サーバ6に送信する。
【0145】
なお、S45の処理を省略し、DC充電スタンド5の制御装置51は、常時、放電電力量を車両2Bに送信するものとしてもよい。
【0146】
以上のように、変形例1に係る電力システム1Aでは、DC充電スタンド5と充電スタンド管理サーバ6との通信が行なえない場合であっても、車両2Bを経由して、充電電力量および/または放電電力量を各種サーバ(車両管理サーバ3、充電スタンド管理サーバ6およびEMSサーバ7)に送信することができる。
【0147】
[変形例2]
車両2Aと車両管理サーバ3との間に通信不良が生じる場合もあり得る。このような場合においても、AC充電における充電電力量および/またはAC放電における放電電力量を、各種サーバ(車両管理サーバ3、充電スタンド管理サーバ6、およびEMSサーバ7)に適切に出力することが望ましい。なお、以下では、車両2Aにおいて算出された充電電力量および放電電力量を総称して、「第2計測電力量」とも称する。
【0148】
図10は、変形例2に係る電力システム1Bの概略的な構成を示す図である。電力システム1Bは、実施の形態1に係る電力システム1に対して、車両2Aが第2計測電力量を送信する送信先が異なる。
【0149】
車両2Aと車両管理サーバ3との通信が行なえない場合には、車両2AのECU30Aは、通信装置29Aを介して、第2計測電力量をAC充電スタンド4に送信する。AC充電スタンド4の制御装置41は、車両2Aから第2計測電力量を受けると、通信装置42を介して、第2計測電力量を充電スタンド管理サーバ6に送信する。そして、充電スタンド管理サーバ6は、AC充電スタンド4から受けた第2計測電力量をEMSサーバ7に送信する。これにより、EMSサーバ7がAC充電における充電電力量および/またはAC放電における放電電力量を認識することができる。
【0150】
また、充電スタンド管理サーバ6は、AC充電スタンド4から受けた第2計測電力量を車両管理サーバ3に送信する。これにより、車両管理サーバ3がAC充電における充電電力量および/またはAC放電における放電電力量を認識することができる。
【0151】
なお、変形例2が適用されるのは、車両2Aと車両管理サーバ3との通信が行なえない場合に限られない。たとえば、車両2Aは、常時、第2計測電力量をAC充電スタンド4に送信する構成としてもよい。このような構成であれば、車両管理サーバ3を省略することも可能である。
【0152】
図11は、変形例2における、AC充電において実行される処理の手順を示すフローチャートである。
図11のフローチャートは、
図3のフローチャートに対して、S8からS10の処理を削除し、S50からS54の処理を追加したものである。
図11のフローチャートのその他の処理は、
図3のフローチャートの処理と同様であるため、同じステップ番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0153】
S50において、車両2AのECU30Aは、車両管理サーバ3との間で通信不良が生じていることを検知する。なお、S50において、車両管理サーバ3との間での通信不良が検知されなかった場合には、
図3のS8からS10の処理が実行されればよい。
【0154】
S51において、車両2AのECU30Aは、S5において計測された充電電力の積算値を充電電力量として算出し、算出された充電電力量をAC充電スタンド4に送信する。
【0155】
S52において、AC充電スタンド4の制御装置41は、車両2Aから受けた充電電力量を充電スタンド管理サーバ6に送信する。
【0156】
S53において、充電スタンド管理サーバ6は、AC充電スタンド4から受けた充電電力量をEMSサーバ7に送信する。
【0157】
S54において、充電スタンド管理サーバ6は、AC充電スタンド4から受けた充電電力量を車両管理サーバ3に送信する。
【0158】
なお、S50の処理を省略し、車両2AのECU30Aは、常時、充電電力量をAC充電スタンド4に送信するものとしてもよい。
【0159】
図12は、変形例2における、AC放電において実行される処理の手順を示すフローチャートである。
図12のフローチャートは、
図4のフローチャートに対して、S17からS19の処理を削除し、S55からS59の処理を追加したものである。
図12のフローチャートのその他の処理は、
図4のフローチャートの処理と同様であるため、同じステップ番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0160】
S55において、車両2AのECU30Aは、車両管理サーバ3との間で通信不良が生じていることを検知する。なお、S55において、車両管理サーバ3との間での通信不良が検知されなかった場合には、
図4のS17からS19の処理が実行されればよい。
【0161】
S56において、車両2AのECU30Aは、S15において計測された放電電力の積算値を放電電力量として算出し、算出された放電電力量をAC充電スタンド4に送信する。
【0162】
S57において、AC充電スタンド4の制御装置41は、車両2Aから受けた放電電力量を充電スタンド管理サーバ6に送信する。
【0163】
S58において、充電スタンド管理サーバ6は、AC充電スタンド4から受けた放電電力量をEMSサーバ7に送信する。
【0164】
S59において、充電スタンド管理サーバ6は、AC充電スタンド4から受けた放電電力量を車両管理サーバ3に送信する。
【0165】
なお、S55の処理を省略し、車両2AのECU30Aは、常時、放電電力量をAC充電スタンド4に送信するものとしてもよい。
【0166】
以上のように、変形例2に係る電力システム1Bでは、車両2Aと車両管理サーバ3との通信が行なえない場合であっても、AC充電スタンド4を経由して、充電電力量および/または放電電力量を各種サーバ(車両管理サーバ3、充電スタンド管理サーバ6およびEMSサーバ7)に送信することができる。
【0167】
[実施の形態2]
図13は、実施の形態2に係る電力システム1Cの概略的な構成を示す図である。実施の形態2に係る電力システム1Cは、実施の形態1に係る電力システム1に対して、車両管理サーバ3を省略し、かつ、AC充電スタンド4をAC充電スタンド4Cに代えたものである。電力システム1Cのその他の構成は、電力システム1の構成と同様であるため、同じ符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0168】
電力システム1Cでは、AC充電、AC放電、DC充電およびDC放電において、充電スタンド(AC充電スタンド4およびDC充電スタンド5)が電力の計測を行ない、充電電力量および放電電力量を算出する。そして、算出された充電電力量および放電電力量は、充電スタンドから充電スタンド管理サーバ6へ送られ、さらに、充電スタンド管理サーバ6からEMSサーバ7へ送られる。DC充電およびDC放電において実行される処理は、実施の形態1と同様であるため、繰り返し説明しない。
【0169】
AC充電スタンド4Cは、AC充電スタンド4に対して、電圧センサ45および電流センサ46を追加したものである。
【0170】
電圧センサ45は、電力線L1に印加される電圧Vc3を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置41に出力する。
【0171】
電流センサ46は、電力線L1を流れる電流Ic3を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置41に出力する。
【0172】
AC充電において、制御装置41は、電圧センサ45の検出値(電圧Vc3)および電流センサ46の検出値(電流Ic3)を用いて、充電電力を計測する。制御装置41は、AC充電の実行中に計測した充電電力を積算して、AC充電における充電電力量を算出する。充電電力量の算出には、車両2Aの充電器33で電力変換される前の電力が用いられるので、算出された充電電力量には、電力変換の損失分が含まれない。それゆえに、配電系統10から供給された充電電力量を精度よく算出することができる。
【0173】
AC放電において、制御装置41は、電圧センサ45の検出値(電圧Vc3)および電流センサ46の検出値(電流Ic3)を用いて、放電電力を計測する。制御装置41は、AC放電の実行中に計測した放電電力を積算して、AC放電における放電電力量を算出する。この場合には、算出された放電電力量には、電力変換の損失分が含まれるが、配電系統10へ供給される実際の放電電力量を算出することができる。
【0174】
制御装置41は、通信装置42を介して、算出した充電電力量および算出した放電電力量を充電スタンド管理サーバ6に送信する。充電スタンド管理サーバ6は、充電電力量および放電電力量をEMSサーバ7に送信する。これにより、EMSサーバ7は、マイクログリッドMGの需給状態を適切に管理することができる。
【0175】
図14は、実施の形態2における、AC充電において実行される処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、たとえば、上げDR(電力需要の増加の要請)を実施する条件が成立した際に開始される。実施の形態2においては、電力需要の増加の要請は、EMSサーバ7から車両2Aに直接送信される。
【0176】
S61において、EMSサーバ7は、送配電事業者サーバ8から電力系統PGの需給調整(電力需要の増加)を要請されたことに応答して、車両2Aに上げDRを要請する。
【0177】
S62において、車両2Aのユーザが上げDRへの応答を承諾し、ACインレット31にAC充電スタンド4Cの充電ケーブル44の充電コネクタを接続する。そして、車両2Aのユーザによる充電開始操作が行なわれる。車両2AのECU30Aは、充電開始操作が行なわれたことを検知すると、AC充電の開始要求をAC充電スタンド4Cに出力する。
【0178】
S63において、AC充電スタンド4Cの制御装置41は、開始要求に応答して、車両2Aへの交流電力の供給を開始する。これにより、AC充電が開始される。
【0179】
S64において、AC充電スタンド4Cの制御装置41は、AC充電が開始されると、車両2Aへ供給する充電電力の計測を開始する。AC充電スタンド4Cの制御装置41は、AC充電の実行中、すなわち、車両2Aへ充電電力を供給している間、車両2Aへ供給する充電電力の計測を継続する。
【0180】
S65において、車両2AのECU30Aは、AC充電の終了条件が成立した判断すると、AC充電の終了要求をAC充電スタンド4に出力する。
【0181】
S66において、AC充電スタンド4Cの制御装置41は、終了要求に応答して、車両2Aへの交流電力の供給を終了する。これにより、AC充電が終了される。
【0182】
S67において、AC充電スタンド4Cの制御装置41は、S64において計測された充電電力の積算値を充電電力量として算出し、算出された充電電力量を充電スタンド管理サーバ6に送信する。
【0183】
S68において、充電スタンド管理サーバ6は、AC充電スタンド4Cから受けた充電電力量をEMSサーバ7に送信する。
【0184】
図15は、実施の形態2における、AC放電において実行される処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、たとえば、下げDR(電力需要の抑制の要請)を実施する条件が成立した際に開始される。実施の形態2においては、電力需要の抑制の要請は、EMSサーバ7から車両2Aに直接送信される。
【0185】
S71において、EMSサーバ7は、送配電事業者サーバ8から電力系統PGの需給調整(電力需要の抑制)を要請されたことに応答して、車両2Aに対して下げDRを実施する。
【0186】
S72において、車両2Aのユーザが下げDRへの応答を承諾し、ACインレット31にAC充電スタンド4Cの充電ケーブル44の充電コネクタを接続する。そして、車両2Aのユーザによる放電開始操作が行なわれる。車両2AのECU30Aは、放電開始操作が行なわれたことを検知すると、AC放電を開始する開始通知をAC充電スタンド4Cに出力する。
【0187】
S73において、車両2AのECU30Aは、充電器33を制御して、AC充電スタンド4Cへの放電を開始する。
【0188】
S74において、AC充電スタンド4Cの制御装置41は、AC放電が開始されると、車両2Aから供給される放電電力の計測を開始する。AC充電スタンド4Cの制御装置41は、AC放電の実行中、すなわち、車両2Aから放電電力の供給を受けている間、車両2Aから供給される放電電力の計測を継続する。
【0189】
S75において、車両2AのECU30Aは、AC放電の終了条件が成立した判断すると、AC充電スタンド4Cへの放電電力の供給を停止し、AC放電の終了通知をAC充電スタンド4Cに出力する。
【0190】
S76において、AC充電スタンド4Cの制御装置41は、S74において計測された電力の積算値を放電電力量として算出し、算出された放電電力量を充電スタンド管理サーバ6に送信する。
【0191】
S77において、充電スタンド管理サーバ6は、AC充電スタンド4Cから受けた放電電力量をEMSサーバ7に送信する。
【0192】
以上のように、実施の形態2に係る電力システム1Cでは、AC充電、AC放電、DC充電およびDC放電において、AC充電スタンド4CおよびDC充電スタンド5が電力の計測を行ない、充電電力量および放電電力量の算出を行なう。AC充電スタンド4Cに電圧センサ45および電流センサ46を設けるコストおよび工数を要するものの、車両管理サーバ3を省略することが可能となる。
【0193】
[実施の形態3]
図16は、実施の形態3に係る電力システム1Dの概略的な構成を示す図である。実施の形態3に係る電力システム1Dは、実施の形態1に係る電力システム1に対して、充電スタンド管理サーバ6を省略し、かつ、DC充電スタンド5をDC充電スタンド5Dに代えたものである。電力システム1Dのその他の構成は、電力システム1の構成と同様であるため、同じ符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0194】
電力システム1Dでは、AC充電、AC放電、DC充電およびDC放電において、車両2が電力の計測を行ない、充電電力量および放電電力量を算出する。そして、算出された充電電力量および放電電力量は、車両2から車両管理サーバ3へ送られ、さらに、車両管理サーバ3からEMSサーバ7へ送られる。AC充電およびAC放電において実行される処理は、実施の形態1と同様であるため、繰り返し説明しない。
【0195】
DC充電スタンド5Dの制御装置51は、DC充電の開始時またはDC充電の終了時に、充電器53の変換効率を示す情報を車両2Bに送信するように構成される。変換効率は、たとえば、充電器53の仕様に基づいて予め算出され、DC充電スタンド5Dに含まれる記憶装置(図示せず)等に記憶されている。制御装置51は、記憶装置から変換効率を示す情報を読み出して、読み出された変換効率を示す情報を、通信装置52を介して車両2Bに送信する。
【0196】
DC充電において、車両2BのECU30Bは、監視ユニット21の電圧センサ22の検出値(電圧VB)および電流センサ23の検出値(電流IB)を用いて、充電電力を計測する。ECU30Bは、DC充電の実行中に計測した充電電力を積算して、DC充電における充電電力量を算出する。そして、ECU30Bは、DC充電における充電電力量と、DC充電スタンド5から受けた変換効率を示す情報とを用いて、配電系統10から供給された充電電力量を算出する。たとえば、下記(1)の式に示されるように、DC充電における充電電力量を変換効率で除算することで、配電系統10から供給された充電電力量を算出してもよい。
【0197】
配電系統10から供給された充電電力量=DC充電における充電電力量/変換効率・・・(1)
変換効率の情報を用いることで、充電器53による電力変換の損失分を含まない充電電力量を算出できる。それゆえに、配電系統10から供給された充電電力量を精度よく算出することができる。
【0198】
DC放電において、車両2BのECU30Bは、監視ユニット21の電圧センサ22の検出値(電圧VB)および電流センサ23の検出値(電流IB)を用いて、放電電力を計測する。ECU30Bは、DC放電の実行中に計測した放電電力を積算して、DC放電における放電電力量を算出する。算出された放電電力量には、電力変換損失が含まれない。それゆえに、車両2BからDC充電スタンド5へ供給する放電電力量を精度よく算出することができる。なお、配電系統10へ供給される実際の電力量を放電電力量としたい場合には、DC放電における充電器53の変換効率を示す情報をDC充電スタンド5から取得し、当該変換効率を示す情報を用いて、配電系統10へ供給される放電電力量を算出してもよい。
【0199】
ECU30Bは、通信装置29Bを介して、算出した充電電力量および算出した放電電力量を車両管理サーバ3に送信する。車両管理サーバ3は、充電電力量および放電電力量をEMSサーバ7に送信する。これにより、EMSサーバ7は、マイクログリッドMGの需給状態を適切に管理することができる。
【0200】
図17は、実施の形態3における、DC充電において実行される処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、たとえば、上げDR(電力需要の増加の要請)を実施する条件が成立した際に開始される。
【0201】
S81において、EMSサーバ7は、送配電事業者サーバ8から電力系統PGの需給調整(電力需要の増加)を要請されたことに応答して、車両管理サーバ3に上げDRを要請する。
【0202】
S82において、車両管理サーバ3は、上げDRに応答して、車両2Bに充電要求を送信する。
【0203】
S83において、車両2Bのユーザが上げDRへの応答を承諾し、DCインレット38にDC充電スタンド5Dの充電ケーブル58の充電コネクタを接続する。そして、車両2Bのユーザによる充電開始操作が行なわれる。車両2BのECU30Bは、充電開始操作が行なわれたことを検知すると、DC充電の開始要求をDC充電スタンド5Dに出力する。
【0204】
S84において、DC充電スタンド5Dの制御装置51は、開始要求に応答して、車両2Bへの直流電力の供給を開始する。これにより、DC充電が開始される。
【0205】
S85において、車両2BのECU30Bは、DC充電が開始されると、DC充電スタンド5Dから供給される充電電力の計測を開始する。車両2BのECU30Bは、DC充電の実行中、すなわち、DC充電スタンド5Dから充電電力の供給を受けている間、DC充電スタンド5Dから受けた充電電力の計測を継続する。
【0206】
S86において、車両2BのECU30Bは、DC充電の終了条件が成立した判断すると、DC充電の終了要求をDC充電スタンド5Dに出力する。
【0207】
S87において、DC充電スタンド5Dの制御装置51は、終了要求に応答して、車両2Bへの直流電力の供給を終了する。これにより、DC充電が終了される。
【0208】
S88において、DC充電スタンド5Dの制御装置51は、DC充電における充電器53の変換効率を示す情報を車両2Bに通知する。
【0209】
S89において、車両2BのECU30Bは、S85において計測された充電電力の積算値と、変換効率を示す情報とを用いて、充電電力量を算出する。
【0210】
S90において、車両2BのECU30Bは、S89で算出された充電電力量を車両管理サーバ3に送信する。
【0211】
S91において、車両管理サーバ3は、車両2Bから受けた充電電力量をEMSサーバ7に送信する。
【0212】
図18は、実施の形態3における、DC放電において実行される処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、たとえば、下げDR(電力需要の抑制の要請)を実施する条件が成立した際に開始される。
【0213】
S100において、EMSサーバ7は、送配電事業者サーバ8から電力系統PGの需給調整(電力需要の抑制)を要請されたことに応答して、車両管理サーバ3に対して下げDRを実施する。
【0214】
S101において、車両管理サーバ3は、下げDRに応答して、車両2Bに放電要求を送信する。
【0215】
S102において、車両2Bのユーザが下げDRへの応答を承諾し、DCインレット38にDC充電スタンド5Dの充電ケーブル58の充電コネクタを接続する。そして、車両2Bのユーザによる放電開始操作が行なわれる。車両2BのECU30Bは、放電開始操作が行なわれたことを検知すると、DC放電を開始する開始通知をDC充電スタンド5Dに出力する。
【0216】
S103において、車両2BのECU30Bは、DC充電スタンド5Dへの放電を開始する。
【0217】
S104において、車両2BのECU30Bは、DC放電が開始されると、バッテリ20BからDC充電スタンド5Dへ供給する放電電力の計測を開始する。車両2BのECU30Bは、DC放電の実行中、DC充電スタンド5Dへ供給する放電電力の計測を継続する。
【0218】
S105において、車両2BのECU30Bは、DC放電の終了条件が成立した判断すると、DC充電スタンド5Dへの放電電力の供給を停止し、DC放電の終了通知をDC充電スタンド5Dに出力する。
【0219】
S106において、車両2BのECU30Bは、S104において計測された放電電力の積算値を放電電力量として算出し、算出された放電電力量を車両管理サーバ3に送信する。
【0220】
S107において、車両管理サーバ3は、車両2Bから受けた放電電力量をEMSサーバ7に送信する。
【0221】
以上のように、実施の形態3に係る電力システム1Dでは、AC充電、AC放電、DC充電およびDC放電において、車両2A,2Bが電力の計測を行ない、充電電力量および放電電力量の算出を行なう。これにより、充電スタンド管理サーバ6を省略することができる。
【0222】
また、DC充電においては、DC充電スタンド5Dから車両2Bに充電器53の変換効率を示す情報が送信される。車両2Bは、変換効率を示す情報を用いて充電電力量を算出する。これにより、配電系統10から供給された充電電力量を精度よく算出することができる。なお、変換効率としては、一律の値(たとえば90%、等)を予め車両2に記憶しておくことも可能である。
【0223】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0224】
1,1A,1B,1C,1D 電力システム、2,2A,2B 車両、3 車両管理サーバ、4,4C AC充電スタンド、5,5D DC充電スタンド、6 充電スタンド管理サーバ、7 EMSサーバ、8 送配電事業者サーバ、9 受変電設備、10 配電系統、20,20A,20B バッテリ、21 監視ユニット、22 電圧センサ、23 電流センサ、24 温度センサ、25 SMR、26 PCU、27 モータジェネレータ、28 駆動輪、29,29A,29B 通信装置、30 ECU、31 ACインレット、32 AC充電リレー、33 充電器、34,35 電圧センサ、36,37 電流センサ、38 DCインレット、39 DC充電リレー、41 制御装置、42 通信装置、43 リレー回路、44 充電ケーブル、45 電圧センサ、46 電流センサ、51 制御装置、52 通信装置、53 充電器、54,55 電圧センサ、56,57 電流センサ、58 充電ケーブル、CNL1,CNL2,CPL1,CPL2,L1,L2,L3,L4,NL,PL 電力線、MG マイクログリッド、PG 電力系統。