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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】車両用清掃システム
(51)【国際特許分類】
   F04B 45/04 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
F04B45/04 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021130125
(22)【出願日】2021-08-06
(65)【公開番号】P2023024067
(43)【公開日】2023-02-16
【審査請求日】2024-01-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】青山 貴裕
【審査官】森 秀太
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-083305(JP,A)
【文献】特開平06-317258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 45/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮流体(CA1)を生成する駆動ポンプ(23)と、
前記圧縮流体に基づいて出力流体(CA2)を生成する弁装置(24)と、
前記出力流体を清掃対象(11,12等)に吹付けるための噴射ノズル(25)と
を備え、前記出力流体の吹付けにより前記清掃対象に付着した異物の除去清掃を行う車両用清掃システム(20)であって、
前記弁装置は、
前記駆動ポンプから前記圧縮流体を導入する導入流路(38)の開閉を行う第1弁体(33a)と、前記噴射ノズルに向けて前記出力流体を吐出する吐出流路(39)の開閉を行う第2弁体(33b)とを有するとともに、前記導入流路及び前記吐出流路と連通する弁室(36)の一部を構成するダイヤフラム(33)と、
前記導入流路及び前記吐出流路の閉弁方向に前記第1及び第2弁体を押付ける付勢部材(34,35)と
を備え、前記導入流路及び前記吐出流路の閉弁状態にて前記圧縮流体の一部を前記弁室への漏れ(CAx)として生じさせて前記弁室内に前記圧縮流体の充填を行い、前記導入流路側の第1圧力(P1)と前記弁室内の第2圧力(P2)とで協働して前記ダイヤフラムを変位させて前記第1及び第2弁体を開弁として前記駆動ポンプの吐出圧力(P0)よりも高い圧力まで蓄圧した前記出力流体を生成するように構成されるものであり、
更に、前記弁室内に充填される前記圧縮流体の一部を前記吐出流路への漏れ(CAy)として生じさせて前記吐出流路側に前記第2圧力を意図的に逃がす圧力逃がし部(39b,31g)を備えており、
前記吐出流路は、筒状に突出する形状をなす開口部(39a)を有するものであり、
前記圧力逃がし部は、前記開口部の筒状に突出する部分の先端面の一部を凹ませた形状をなす圧力逃がし溝(39b)であり、
前記圧力逃がし溝は、前記導入流路の開口部(38a)に近い側の部位に設けられており、
前記弁室への漏れ発生時の流路断面積であって前記第1弁体と前記導入流路の前記開口部との間の流路断面積A1と、前記吐出流路への漏れ発生時の流路断面積であって前記圧力逃がし溝の流路断面積A2と、前記噴射ノズルの噴射口(25a)の流路断面積A3との関係が「A2<A1<A3」に設定されている、
車両用清掃システム。
【請求項2】
前記圧縮流体及び前記出力流体は圧縮エア(CA1)及び出力エア(CA2)であり、
前記駆動ポンプは、前記圧縮エアを生成するエアポンプである、
請求項1に記載の車両用清掃システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の清掃対象に流体を吹付けて異物を除去清掃する車両用清掃システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の高度運転支援や自動運転の技術が進みつつあり、車両の周囲状況を把握するためのセンサが増えつつある。その一つとして例えば、光学センサを用いる測距システムであるLIDAR(Light Detection and Ranging、又はLaser Imaging Detection and Ranging)が知られ、自車と対象物との間での投受光による距離測定が行われている。
【0003】
車両の周囲状況を把握するセンサは、そのセンシング面として例えばレンズやカバーガラス等の外表面が車両の外側に露出する態様となっている。そのため、センサのセンシング面に雨滴等の異物が付着すると、光学センサの光路上に異物が位置することになり、上記測距システム等において測距精度が低下する懸念があった。
【0004】
そこで、センサのセンシング面にエアや洗浄液、これらの混合流体等を吹付けて、センシング面に付着した異物を除去清掃する技術の開発検討が行われている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-83305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に開示の技術では、ダイヤフラムを含む弁装置が用いられている。弁装置は、駆動ポンプから供給される圧縮エアを駆動ポンプの吐出圧力よりも高い圧力まで蓄圧し、蓄圧した高圧のエアを噴射ノズルに吐出することを繰り返して、高圧でパルス状とした出力エアを生成している。このような出力エアを弁装置にて生成することにより、センサのセンシング面の清掃力が高められている。
【0007】
しかしながら、ダイヤフラムを用いる弁装置では、エアの蓄圧時にそのダイヤフラムが振動することが懸念事項としてある。ダイヤフラムの振動は異音の発生に繋がるため、ダイヤフラムの無用な振動の抑制を図ることが検討課題としてあった。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明の目的は、弁装置に備えられるダイヤフラムの無用な振動を抑制し、異音の発生を抑制することができる車両用清掃システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する車両用清掃システムは、圧縮流体(CA1)を生成する駆動ポンプ(23)と、前記圧縮流体に基づいて出力流体(CA2)を生成する弁装置(24)と、前記出力流体を清掃対象(11,12等)に吹付けるための噴射ノズル(25)とを備え、前記出力流体の吹付けにより前記清掃対象に付着した異物の除去清掃を行う車両用清掃システム(20)であって、前記弁装置は、前記駆動ポンプから前記圧縮流体を導入する導入流路(38)の開閉を行う第1弁体(33a)と、前記噴射ノズルに向けて前記出力流体を吐出する吐出流路(39)の開閉を行う第2弁体(33b)とを有するとともに、前記導入流路及び前記吐出流路と連通する弁室(36)の一部を構成するダイヤフラム(33)と、前記導入流路及び前記吐出流路の閉弁方向に前記第1及び第2弁体を押付ける付勢部材(34,35)とを備え、前記導入流路及び前記吐出流路の閉弁状態にて前記圧縮流体の一部を前記弁室への漏れ(CAx)として生じさせて前記弁室内に前記圧縮流体の充填を行い、前記導入流路側の第1圧力(P1)と前記弁室内の第2圧力(P2)とで協働して前記ダイヤフラムを変位させて前記第1及び第2弁体を開弁として前記駆動ポンプの吐出圧力(P0)よりも高い圧力まで蓄圧した前記出力流体を生成するように構成されるものであり、更に、前記弁室内に充填される前記圧縮流体の一部を前記吐出流路への漏れ(CAy)として生じさせて前記吐出流路側に前記第2圧力を意図的に逃がす圧力逃がし部(39b,31g)を備えている。
【0010】
上記車両用清掃システムによれば、弁装置において、駆動ポンプから供給される圧縮流体に基づいて清掃対象への吹付けに適した出力流体を生成する過程で、ダイヤフラムを変位させて第1及び第2弁体を開弁状態とする前に、弁室内の圧力である第2圧力を上昇させることが行われる。その際、弁室内の第2圧力の過剰上昇により弁室の一部を構成するダイヤフラムに振動が生じ得るが、弁室内に充填される圧縮流体の一部を吐出流路に漏れとして生じさせて第2圧力を意図的に逃がすように圧力逃がし部が機能する。これにより、ダイヤフラムの振動が抑制され、異音の発生を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態における車両用清掃システムを示す構成図である。
図2】同実施形態の車両用清掃システムの清掃装置を示す断面図である。
図3】同実施形態の清掃装置の弁装置を示す斜視断面図である。
図4】同実施形態の弁装置の一部を拡大した斜視図である。
図5】同実施形態の動作説明に用いる断面図であり、(a)は全体、(b)は拡大した一部を示す図である。
図6】同実施形態の動作説明に用いる断面図である。
図7】同実施形態の動作説明に用いる波形図である。
図8】同実施形態の動作説明に用いる波形図である。
図9】比較例の動作説明に用いる波形図である。
図10】同実施形態の弁装置の動作特性を示す遷移図である。
図11】同実施形態の弁装置の動作説明に用いる波形図である。
図12】変更例における車両用清掃システムの清掃装置を示す断面図である。
図13】同変更例の清掃装置の弁装置に用いるダイヤフラムの断面図である。
図14】別の変更例における車両用清掃システムの清掃装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、車両用清掃システムの一実施形態について説明する。
[車両用清掃システムの全体構成]
図1に示す車両10には、前端中央部に第1測距センサ11が設置され、後端中央部に第2測距センサ12が設置されている。第1及び第2測距センサ11,12は、車両10のそれぞれ前方及び後方に向けた所定波長の光の投受光を行う光学センサを用いて構成されるものである。第1及び第2測距センサ11,12は、それぞれ自車と前方対象物及び後方対象物との距離を測定するLIDAR等の測距システムに用いられ、車両10の高度運転支援や自動運転等を実施するシステムに用いられる。
【0013】
第1及び第2測距センサ11,12は、それぞれ自身の例えばレンズやカバーガラス等の外表面であるセンシング面11a,12aが車両10の外側に露出する態様となっている。すなわち、測距精度の低下懸念のある雨滴等の異物が各センシング面11a,12aに付着し得るため、車両10には各センシング面11a,12aに付着した異物の除去清掃を行う車両用清掃システム20が搭載されている。車両用清掃システム20は、第1及び第2清掃装置21,22を備える。第1清掃装置21は、車両10の前端中央部に設置の第1測距センサ11を清掃対象とし、第2清掃装置22は、車両10の後端中央部に設置の第2測距センサ12を清掃対象としている。
【0014】
第1及び第2清掃装置21,22は、それぞれ駆動ポンプ23、弁装置24及び噴射ノズル25を備える。駆動ポンプ23は、圧縮エアCA1を連続的に弁装置24に供給可能である。弁装置24は、駆動ポンプ23から供給される圧縮エアCA1を更に高圧かつパルス状に変換した出力エアCA2を生成し、噴射ノズル25に供給する。噴射ノズル25は、弁装置24にて生成した高圧でパルス状の出力エアCA2を各測距センサ11,12のセンシング面11a,12aに向けて吹付けて、各センシング面11a,12aに付着した異物の除去清掃が行われる。
【0015】
第1及び第2清掃装置21,22の各駆動ポンプ23は、車両10に搭載の各種ECU(Electronic Control Unit)、すなわち上位ECU50、前側ECU51及び後側ECU52により制御される。前側ECU51は、第1清掃装置21の駆動ポンプ23を制御する機能を含み、後側ECU52は、第2清掃装置22の駆動ポンプ23を制御する機能を含む。上位ECU50は、前側ECU51及び後側ECU52の統括制御を行う。
【0016】
[第1及び第2清掃装置、弁装置の詳細構成]
図2に示すように、第1及び第2清掃装置21,22は、駆動ポンプ23、弁装置24及び噴射ノズル25をそれぞれ用いた同一構成となっている。なお、第1及び第2清掃装置21,22は同一構成であるため、図2を用いた共通の説明とする。
【0017】
第1及び第2清掃装置21,22において、駆動ポンプ23と弁装置24とは接続ホース26にて互いに接続されており、弁装置24と噴射ノズル25とは接続ホース27にて互いに接続される。接続ホース26,27は、ゴムホース等、可撓性材料にて構成される。駆動ポンプ23は、圧縮エアCA1を連続的に生成可能な電動エアポンプにて構成される。弁装置24は、駆動ポンプ23から連続的に供給される圧縮エアCA1を更に高圧かつパルス状に変換した出力エアCA2を生成する。弁装置24は、弁装置24にて生成した出力エアCA2を噴射ノズル25に供給する。噴射ノズル25は、自身の噴射口25aが図1に示す第1及び第2測距センサ11,12のセンシング面11a,12aに向けられて配置される。噴射ノズル25は、弁装置24にて生成した高圧でパルス状の出力エアCA2を各センシング面11a,12aの好適範囲に向けて吹付ける。
【0018】
図2及び図3に示すように、弁装置24は、ベース部材31、カバー部材32、ダイヤフラム33及び付勢バネ34,35を備える。これら構成部品のうち、ベース部材31の一部、カバー部材32、ダイヤフラム33及び付勢バネ34,35にて弁本体部30が構成される。本実施形態の弁装置24は、換言すれば、列挙したベース部材31、カバー部材32、ダイヤフラム33及び付勢バネ34,35のみの構成部品にて簡素に構成されたものである。なお、以降の説明では、ベース部材31が下側、カバー部材32が上側とするが、弁装置24の使用時の向きはこれに限定されない。
【0019】
ベース部材31は、樹脂製であり、上側部分に基台部31a、下側部分に接続部31bを有する。基台部31aは、弁本体部30の筐体の下側部分を構成するものであり、円形状の底壁部31cと、底壁部31cの周縁部分から上方に立設される円環状の側壁部31dとを有する。これに対し、カバー部材32は、弁本体部30の筐体の上側部分を構成するものであり、円形状の上壁部32aと、上壁部32aの周縁部分から下方に延出される円環状の側壁部32bとを有する。ベース部材31とカバー部材32とは、側壁部31dの上端面と側壁部32bの下端面とが互いに当接するようにして組付けられ、各端面間でダイヤフラム33の周縁部33xを挟持し、この周縁部33xの挟持によりシールが図られている。ダイヤフラム33は、自身と基台部31aの底壁部31cと側壁部31dとで形成される空間を弁室36とし、カバー部材32の上壁部32aと側壁部32bとで形成される空間を背圧室37として区画する。
【0020】
接続部31bは、基台部31aの下面側に設けられ、基台部31aの底壁部31cから一旦下方に延びそこから二股に延びる逆T字状をなしている。接続部31bは、二股に分かれた一方側を駆動ポンプ23側の接続ホース26と接続するためのポンプ側接続部31e、二股に分かれた他方側を噴射ノズル25側の接続ホース27と接続するためのノズル側接続部31fとしている。ポンプ側接続部31eの内側に形成される導入流路38と、ノズル側接続部31fの内側に形成される吐出流路39とはそれぞれ独立している。基台部31aの底壁部31cの略中央部には、導入流路38及び吐出流路39の各開口部38a,39aがそれぞれ独立して形成される。各開口部38a,39aは、底壁部31cの底面上から若干円筒状に突出する形状をなしている。
【0021】
ダイヤフラム33は、可撓性材料にて略円板状に形成され、略中央部において、導入流路38及び吐出流路39の各開口部38a,39aと対向する位置のそれぞれに略円柱状の弁体33a,33bを有する。ダイヤフラム33は、各弁体33a,33bと周縁部33xとがともに所定の厚みを有している。一方、ダイヤフラム33のそれ以外の部位、すなわち弁体33aと弁体33bとの間や各弁体33a,33bと周縁部33xとの間は、各弁体33a,33b及び周縁部33xよりも薄い薄肉部33cとして構成される。つまり、ダイヤフラム33は、固定される周縁部33xに対し薄肉部33cを介して繋がる各弁体33a,33bが変位可能に、しかも各弁体33a,33b同士もそれぞれ独立して変位可能に構成される。このような各弁体33a,33bの変位動作により、弁体33aは、導入流路38の開口部38aと当接又は離間して駆動ポンプ23側と弁室36との間の流路の開閉を行う。弁体33bは、吐出流路39の開口部39aと当接又は離間して噴射ノズル25側と弁室36との間の流路の開閉を行う。
【0022】
カバー部材32は、樹脂製であり、上壁部32aにおける各弁体33a,33bと対向する位置のそれぞれに突状部32c,32dを有する。各突状部32c,32dは、圧縮コイルバネよりなる付勢バネ34,35の位置規制用の突部であり、各突状部32c,32dにそれぞれ付勢バネ34,35の上部側が挿入される。各付勢バネ34,35の上端部は上壁部32aに当接する。これに対し、各付勢バネ34,35の下端部は各弁体33a,33bに当接する。つまり、各付勢バネ34,35は、上壁部32aを起点として自身の付勢力により各弁体33a,33bを下方に、すなわち各弁体33a,33bを導入流路38及び吐出流路39の各開口部38a,39aへの押付力を生じさせる。なお、付勢バネ35の付勢力は、付勢バネ34の付勢力よりも相対的に小さい設定である。
【0023】
ここで、各弁体33a,33bの上面においても突部33d,33eが設けられ、各付勢バネ34,35の下部側が各突部33d,33eに挿入されている。すなわち、各付勢バネ34,35と各弁体33a,33bとの相対的な位置規制が行われ、相互間の位置ずれが抑えられている。特に本実施形態のようにダイヤフラム33の中心から偏倚した位置に設けられる各弁体33a,33bに対し、常に適切な押付力を各付勢バネ34,35から付与するのに好適である。なお、各突部33d,33eや各突状部32c,32dを特に設けなくてもよい。
【0024】
カバー部材32の上壁部32aには、各突状部32c,32dよりも外側位置において、各弁体33a,33bの変位動作が背圧室37内の圧力の影響を受けないように背圧室37とカバー部材32の外部と連通する2つの連通孔32eが設けられている。背圧室37が各連通孔32eを介して大気開放とされることで、弁装置24におけるダイヤフラム33の弁体33a,33bの速やかな動作が損なわれないようになっている。
【0025】
また、弁装置24は、ダイヤフラム33の無用な振動を抑制する構造が採られている。図4に示すように、吐出流路39の開口部39aには、ダイヤフラム33の弁体33bが当接して座面となる筒状に突出する部分の先端面に、周方向一部を凹ませた形状をなす内圧逃がし溝39bが設けられている。内圧逃がし溝39bは、断面半円状の溝形状をなしており、径方向に直線状に延びて内外を連通する。また、内圧逃がし溝39bは、開口部39aの周方向のうち、導入流路38の開口部38aに最も近い位置に1つ設けられている。内圧逃がし溝39bは、弁室36内の圧縮エアCA1の一部を下流側の吐出流路39に適度に逃がして弁室36内の圧力P2(図5参照)を調整し、ダイヤフラム33の無用な振動の抑制に寄与する。
【0026】
上記したように、導入流路38の開口部38aを開閉する弁体33a側が第1弁部30a、吐出流路39の開口部39aを開閉する弁体33b側が第2弁部30bであり、弁装置24の弁本体部30は第1及び第2弁部30a,30bを有する。第1及び第2清掃装置21,22は、上記した弁装置24をそれぞれ備えて構成される。このような車両用清掃システム20の第1及び第2清掃装置21,22の各弁装置24を含む動作、及び各弁装置24のダイヤフラム33の振動抑制については後に詳述する。
【0027】
[本実施形態の車両用清掃システムの動作及び作用]
本実施形態の車両用清掃システム20の動作及び作用について説明する。
車両用清掃システム20において、例えば清掃対象の第1及び第2測距センサ11,12の各センシング面11a,12aに雨滴等の異物が付着したことに基づき、若しくは異物の有無にかかわらず所定時間毎に、上位ECU50に清掃指令が生じる。上位ECU50に第1及び第2清掃装置21,22に対する清掃指令が生じると、前側及び後側ECU51,52を通じて各清掃装置21,22の駆動ポンプ23の駆動が行われる。
【0028】
駆動ポンプ23が駆動されていない非駆動状態では、各清掃装置21,22の弁装置24の非作動状態であり、図2に示すように、第1及び第2弁部30a,30bが閉弁状態となっている。すなわち、ダイヤフラム33の各弁体33a,33bが導入流路38及び吐出流路39の各開口部38a,39aに当接している。導入流路38の開口部38aは密閉状態であり、吐出流路39の開口部39aについては内圧逃がし溝39b分だけエア漏れを許容する略密閉状態となっている。
【0029】
そして、駆動ポンプ23の駆動にて圧縮エアCA1が連続的に供給されると、付勢バネ34の付勢による弁体33aの閉弁状態の維持作用にて、弁装置24の導入流路38及び接続ホース26を含む導入側の圧力P1が図7の矢印aにて示すように上昇する。導入側の圧力P1は、図3に示すように、弁体33aに作用する面積S1分の部位33a1、すなわち開口部38aの内側の比較的狭い部位に作用する。弁体33aに作用する押上力F1は、導入側の圧力P1と面積S1との積、F1=P1×S1である。そして、導入側の閉弁状態の圧力P1は、図7に示すように、駆動ポンプ23の吐出圧力P0よりも十分に高い圧力まで高められる。なお、本実施形態で用いる駆動ポンプ23の吐出圧力P0は、駆動ポンプ23と噴射ノズル25とを接続ホース26で直接接続(すなわち、弁装置24などを介さないで接続)した場合に駆動ポンプ23を駆動したときの接続ホース26内の圧力である。そのため、駆動ポンプ23自体の吐出口を締め切った場合の吐出圧力ではなく、駆動ポンプ23からの吐出流量がゼロの場合の吐出圧力でもない。
【0030】
また、導入側の圧力P1の上昇に伴い、第1弁部30aにおいては、図5に示すように、弁体33aと開口部38aとの間に僅かな隙間が生じて、上昇した圧力P1に基づく圧縮エアCA1の一部が漏れCAxとして弁室36に僅かに漏出する構成となっている。図8に示すように、導入側の圧力P1が圧力P1aまで上昇すると、上記した弁室36への漏れCAxが生じるようになっている。そのため、弁室36内の圧力P2についても徐々に上昇する。弁室36内の圧力P2は、図3に示すように、ダイヤフラム33の薄肉部33cに作用する面積S2分の部位33c1、すなわち開口部38a,39aの外側の薄肉部33c全体(厳密には弁体33aの上記面積S1等を除く弁体33a,33bの周縁部を含む)の比較的広い部位に作用する。この場合、薄肉部33cに作用する押上力F2は、弁室36内の圧力P2と面積S2との積、F2=P2×S2である。圧力P2が作用する薄肉部33cの面積S2は圧力P1が作用する弁体33aの面積S1よりも広いため、圧力P2が圧力P1より低くても押上力F2としての影響力は大である。
【0031】
ここで、導入側の圧力P1が最大圧力P1maxとなるまでの上昇過程において、第1弁部30aでは圧縮エアCA1の一部を漏れCAxとして生じさせて弁室36内の圧力P2を上昇させることが行われる。図9に示す比較例では、圧力P2が最大圧力P2maxに到達した後に大きく上下に変動する事象が生じ得る。比較例の弁装置(図示略)は、本実施形態でいう弁室36内の圧力P2を適度に逃がす内圧逃がし溝39b(図4及び図5参照)を有していない構造である。そのため、比較例の弁装置の動作としては、弁室36内の圧力P2が比較的速く上昇し、最大圧力P2maxの到達後においても圧力P2の過剰上昇が生じ易い。この圧力P2の過剰上昇は、ダイヤフラム33を変位させようとする力になるが、一方で導入側の圧力P1が最大圧力P1maxの到達前であると、ダイヤフラム33の大きな変位は生じない。結果、ダイヤフラム33には第2弁部30bの弁体33bを僅かに押上げるような小さな変位が生じ、圧力P2の過剰上昇分が下流側の吐出流路39に逃げる。またこのとき、弁体33bを押上げての圧力P2の逃げとなるため、圧力P2の低下が比較的大きく生じ易い。以降、弁室36内の圧力P2の上下動は比較的大きく繰り返し生じて、しかもこの圧力P2の変動は意図せず成り行きで生じ得る。このような圧力P2の大きな上下動は、ダイヤフラム33の弁体33bを小刻みに小さく変位させてダイヤフラム33を振動させることに繋がるものである。
【0032】
これに対し、本実施形態の弁装置24は、図4及び図5に示すように、第2弁部30bにおいて弁室36内に充填される圧縮エアCA1の一部を漏れCAyとして下流側の吐出流路39に適度に逃がす内圧逃がし溝39bが設けられている。内圧逃がし溝39bは、弁室36内の圧力P2を適度に逃がす機能を有する。そのため、図8に示すように、弁室36内の圧力P2が比較例よりも比較的緩やかな上昇となり、最大圧力P2maxの到達後においても圧力P2の過剰上昇分は内圧逃がし溝39bを通じて下流側の吐出流路39に逃げる。このようなダイヤフラム33の変位を極力生じさせないような内圧逃がし溝39bを通じての圧力P2の逃がしは意図したものであり、弁室36内の圧力P2を適度に上昇させつつ安定的に推移させることが可能である。このように本実施形態の弁装置24では、ダイヤフラム33の弁体33bを小刻みに小さく変位させるようなダイヤフラム33の動作、すなわちダイヤフラム33の振動は抑制されるものとなっている。
【0033】
ちなみに、第1弁部30aにおける漏れCAx発生時の流路断面積A1は、この場合第1弁体33aと導入流路38の開口部38aとの間の流路断面積であり、導入側の圧力P1と漏れCAxの流量とで算出可能である。また、第2弁部30bにおける漏れCAy発生時の流路断面積A2は、この場合内圧逃がし溝39bの流路断面積である。そして、噴射ノズル25における噴射口25aの流路断面積A3とすると、本実施形態の弁装置24の上記動作を好適に行わせるには各流路断面積A1,A2,A3の関係が「A2<A1<A3」を満たすように設定とすることが好ましい。「A2<A1」と設定することは、弁室36内の圧力P2の適度な蓄圧が生じることを意味する。「A1<A3」と設定することは、弁室36内の圧力P2の適度な逃げが生じることを意味する。
【0034】
そして、弁室36内の圧力P2が最大圧力P2maxとなった後に導入側の圧力P1も最大圧力P1maxとなる図7に示す点bになると、両圧力P1,P2が第1及び第2圧力として協働してダイヤフラム33を大きく変位させる。すなわち、図3及び図6に示すように、弁体33a側の押上力F1と薄肉部33c側の押上力F2とを合算したダイヤフラム33の押上力「F1+F2」が付勢バネ34,35による押付力を上回る。これにより、ダイヤフラム33全体が押上げられて大きく変位し、第1及び第2弁部30a,30bがともに開弁状態になる。つまり、各弁体33a,33bがともに開口部38a,39aから離間し、導入流路38、弁室36及び吐出流路39が導通状態となる。
【0035】
開弁直前の導入側の圧力P1は、駆動ポンプ23の吐出圧力P0よりも十分に高い図7に示す点bまで高められており、開弁により導入流路38側の高圧の圧縮エアCA1が一気に弁室36を経て吐出流路39に流れる。吐出側の圧力P3は、図7の矢印cにて示すように急増する。つまり、噴射ノズル25には、高圧のエアが出力エアCA2として供給される。
【0036】
また、吐出側の圧力P3の急増の一方で、導入側の圧力P1は、図7の矢印dにて示すように急減する。やがて、吐出側の圧力P3が導入側の圧力P1と一致する図7に示す点e以降は、両圧力P3,P1がともに低下していき、図7に示す点fになると、ダイヤフラム33が開弁から閉弁に切替わる。つまり、図3に示す弁室36内の圧力P2も低下していき、両圧力P1,P2に基づくダイヤフラム33の押上力「F1+F2」よりも付勢バネ34,35による押付力が勝る。これにより、第1及び第2弁部30a,30bの各弁体33a,33bが導入流路38及び吐出流路39の各開口部38a,39aを閉塞する。吐出側の圧力P3はゼロとなり、導入側の圧力P1は再び上昇に転じ、ダイヤフラム33が開弁するまで再び高められる。このような繰り返しの動作により、高圧でパルス状の出力エアCA2が次々に生成される。
【0037】
このようにして生成される高圧でパルス状の出力エアCA2は、噴射ノズル25から第1及び第2測距センサ11,12の各センシング面11a,12aに対して吹付けられる。これにより、各センシング面11a,12aに付着し得る雨滴等の異物の効果的な除去清掃が行われ、測距精度を良好に維持することが可能である。しかも、駆動ポンプ23の吐出圧力P0よりも十分に高圧の出力エアCA2が生成可能なため、駆動ポンプ23に小型のものを使用することもできる。
【0038】
なお、図1に示すように、車両10に一般に搭載されるウォッシャ装置13と第1及び第2清掃装置21,22とを前側ECU51を通じて協働させる構成としてもよい。ウォッシャ装置13は、タンク13aに貯留された洗浄液をウォッシャポンプ13bの駆動にてウインドシールド等に供給するものである。そして、洗浄液を各センシング面11a,12aに供給した後に出力エアCA2を吹付けるようにすれば、エアの吹付けだけでは落ちにくい汚れ等の異物除去清掃の効果向上も期待できる。
【0039】
[本実施形態の弁装置の動作特性]
本実施形態の弁装置24の動作特性について追記する。
図10に示すように、本実施形態の弁装置24は、第1及び第2特性X1,X2の2つの動作特性上を都度切り替わる構成となっている。第1特性X1は、噴射口の口径の大きい第1の口径のノズルと直接ホースで駆動ポンプ23とを接続した場合の特性である。第1特性X1は、圧力に対する流量が大である。第2特性X2は、噴射口の口径が第1の口径のノズルに比べて極めて小さい第2の口径のノズルと直接ホースで駆動ポンプ23とを接続した場合の特性である。第2特性X2は、圧力に対する流量が極めて小さい。つまり、第1の口径のノズルと直接ホースで駆動ポンプ23とを接続した場合が弁体33aの開弁状態と等価であり、第2の口径のノズルと直接ホースで駆動ポンプ23とを接続した場合が弁体33aの閉弁状態で漏れCAxが生じている状態に等価である。
【0040】
弁装置24において、ダイヤフラム33の弁体33aが導入流路38の開口部38aを閉弁している状態では、動作が第2特性X2上で遷移し(図10中、矢印α1)、導入側の圧力P1が短時間で高まり蓄圧されていく。このとき、圧力P1の上昇に伴いエアの流量が僅かに増加しているのは、本実施形態の弁装置24では、弁体33aが閉弁状態であっても開口部38aとの間に僅かな隙間を生じさせて漏れCAxを生じさせているためである。漏れCAxは、極めて小さな口径の第2の口径のノズルから吐出させているかのようである。
【0041】
そして、導入側の圧力P1が最大圧力P1maxに到達すると、弁体33aが開状態となるように変位し、その最大圧力P1maxに基づく出力エアCA2が弁体33aより下流側に吐出される。このときの弁装置24は、動作が第1特性X1側に移行する(図10中、矢印α2)。弁装置24は、あたかも大きな口径の第1の口径のノズルから吐出させているかのように第1特性X1上に沿って(図10中、矢印α3)、高圧で漏れCAxよりも十分に流量の大きい出力エアCA2を瞬間的に吐出する。
【0042】
やがて、導入側の圧力P1が最小圧力P1minに到達すると、弁体33aが閉状態となるように変位し、動作が第2特性X2側に戻る。以降、矢印α1にて示す蓄圧、漏れの過程、矢印α2にて示す開変位の過程、矢印α3にて示す出力エアCA2の吐出の過程から矢印α1の過程への戻りが繰り返される。すなわち、図11に示すような圧力変化が繰り返されることで、高圧でパルス状の出力エアCA2の生成及び吐出が行われる。
【0043】
なお、本実施形態では、駆動ポンプ23自体の吐出口を締め切ったその締切圧を「Ps」とすると、最大圧力P1maxは、締切圧Psの1/3より大きくなるように設定される(Ps/3<P1max)。一方、最小圧力P1minは、締切圧Psの2/3より小さくなるように設定される(P1min<2Ps/3)。勿論、P1min<P1maxである。また、ダイヤフラム33の弁体33aが開動作する圧力P1maxから閉動作する圧力P1minまで変化するが、圧力P1minは、圧力P1maxの80%より小さくなるように設定される(P1min<0.8P1max)。
【0044】
[本実施形態の効果]
本実施形態の効果について説明する。
(1)本実施形態に用いる弁装置24は、駆動ポンプ23から供給される圧縮エアCA1に基づいて清掃対象の各測距センサ11,12のセンシング面11a,12aへの吹付けに適した出力エアCA2を生成する。出力エアCA2の生成過程において、弁装置24では、ダイヤフラム33を変位させて第1及び第2弁体33a,33bを開弁状態とする前に、弁室36内の圧力P2を上昇させることが行われる。その際、弁室36内の圧力P2の過剰上昇により弁室36の一部を構成するダイヤフラム33に振動が生じ得るが、弁室36内に充填される圧縮エアCA1の一部が圧力逃がし溝39bを通じて吐出流路39に漏れCAyとして生じる。つまり、弁室36内の圧力P2を適度に安定して上昇させつつ圧力変動を意図して逃がすように圧力逃がし溝39bを機能させることができる。これにより、ダイヤフラム33の振動を抑制でき、異音の発生を抑制することができる。
【0045】
(2)本実施形態では、弁室36への漏れCAx発生時の流路断面積A1と、吐出流路39への漏れCAy発生時の流路断面積A2と、噴射ノズル25の噴射口25aの流路断面積A3との関係が「A2<A1<A3」に設定されている。「A2<A1」と設定することで弁室36内の圧力P2が適度に蓄圧でき、「A1<A3」と設定することで弁室36内の圧力P2の適度な逃げが生じる。つまり、各流路断面積A1,A2,A3を好ましい関係とすることで、弁装置24の好適動作が可能である。
【0046】
(3)本実施形態では、弁室36内の圧力P2を逃がす圧力逃がし部が、吐出流路39の開口部39aの筒状に突出する部分の先端面の一部を凹ませた形状の圧力逃がし溝39bとして構成されている。つまり、圧力逃がし溝39bを容易に形成することができる。
【0047】
(4)圧力逃がし溝39bは、導入流路38の開口部38aに近い側の部位に設けられている。つまり、弁室36内の圧力P2を上昇させるための圧縮エアCA1の漏れCAxを直接的に受け易い位置にあるため、圧力逃がし溝39bによる圧力P2の逃がしを効果的に行うことが期待できる。
【0048】
[変更例]
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0049】
・弁装置24の構成は一例であり、適宜変更してもよい。
例えば、図12及び図13に示すように、弁装置24に用いるダイヤフラム33をゴム部品33αと樹脂部品33βとの2種の部品で構成してもよい。ゴム部品33αには、周縁部33x、薄肉部33c、第1弁体33aにおける導入流路38の開口部38aとの当接部位33ax、及び第2弁体33bにおける吐出流路39の開口部39aとの当接部位33bxが連続して一体的に設けられている。また、ゴム部品33αには、各弁体33a,33bの当接部位33ax,33bxの反対側に、樹脂部品33βを装着するための装着凹部33fが設けられている。樹脂部品33βは、第1弁体33a側の付勢バネ34を支持する突部33dを有する部品と、第2弁体33b側の付勢バネ35を支持する突部33eを有する部品との2つの部品よりなる。各樹脂部品33βは、ゴム部品33αに設けたそれぞれの装着凹部33fに装着させるための嵌合部33gを有している。各樹脂部品33βには、その装着時の空気抜きとなる貫通孔33hが中央部に貫通するようにして設けられている。また、各樹脂部品33βには、自身を含む各弁体33a,33bの変位時にカバー部材32に対して自身の案内を行うための案内片33iが設けられている。このようなダイヤフラム33を用いてもよい。
【0050】
また、第2弁部30bにおいて、弁室36内の圧力P2を下流側の吐出流路39に漏れCAyとして適度に逃がす内圧逃がし部として内圧逃がし溝39bは一例であり、適宜変更してもよい。内圧逃がし溝39bは、吐出流路39の開口部39aにおいて導入流路38の開口部38aに最も近い位置に1つ設けたが、設ける位置は周方向のいずれであってもよい。また、周方向に複数設けてもよい。また、断面半円状で径方向に直線状に延びる溝形状以外の形状としてもよい。また、開口部39a以外に設けてもよく、例えば図14に示すように、ベース部材31の底壁部31cに形成され弁室36と吐出流路39とを連通する内圧逃がし通路31gを設けてもよい。内圧逃がし通路31gは、例えば上下方向に直線状に延びる通路形状をなしている。第2弁部30bにおける漏れCAy発生時の流路断面積A2は、この内圧逃がし通路31gの流路断面積である。内圧逃がし通路31gは、弁体33bと当接する吐出流路39の開口部39aの形状変更を伴わない態様の一例である。
【0051】
また、上記以外で弁室36内の圧力P2を下流側に逃がすために弁室36と吐出流路39とが連通する極微小な孔や溝等としてもよい。
また、ダイヤフラム33において、圧力P2の作用する薄肉部33cの面積S2が圧力P1の作用する弁体33aの面積S1よりも広い設定(S2>S1)であったが、面積S1,S2を同等、若しくは逆の関係としてもよい。
【0052】
また、ダイヤフラム33を共用して第1及び第2弁部30a,30bを略同一の弁構造としたが、第1及び第2弁部30a,30bを互いに大きく異なる弁構造のものを用いて構成してもよい。
【0053】
・弁装置24と駆動ポンプ23との間、弁装置24と噴射ノズル25との間のそれぞれに接続ホース26,27を用いたが、接続ホース26,27のいずれか、若しくは両方を省略してもよい。この場合、弁装置24と駆動ポンプ23とを一体的に、弁装置24と噴射ノズル25とを一体的に、更に駆動ポンプ23と弁装置24と噴射ノズル25とを一体的に構成してもよい。ちなみに、弁装置24にて生成した出力エアCA2の噴射ノズル25までの配管ロスを低減することが好ましく、弁装置24と噴射ノズル25とを互いに近づけて配置するのが好ましい。駆動ポンプ23については、弁装置24の近くに配置しても遠くに配置しても構わないため、例えば第1及び第2清掃装置21,22で共通で1つ用いる構成とすることも可能である。
【0054】
・エアを清掃対象に吹付けるものであったが、空気以外の気体、水や洗浄液等の液体、これらの混合流体等よりなる各種流体を吹付ける態様としてもよい。
・測距センサ11,12は、車両10の前端中央部と車両10の後端中央部にそれぞれ配置されているものであったが、車両10の左右側面に配置されているものであってもよい。
【0055】
・測距センサ11,12を清掃対象としたがこれに限らない。例えば、車両10の周囲を撮像するカメラ、測距センサやカメラといった光学センサ以外のセンサ、センサ以外で、例えば図1に示すヘッドライト15、テールランプ16、ミラー17等を清掃対象としてもよい。また、反射鏡を用いる従前のミラー17のみならず、近年そのミラー17に代わって採用されつつあるデジタルアウターミラー18のカメラの外表面を清掃対象としてもよい。
【符号の説明】
【0056】
11,12 第1及び第2測距センサ(清掃対象)、20 車両用清掃システム、23 駆動ポンプ、24 弁装置、25 噴射ノズル、31g 圧力逃がし通路(圧力逃がし部)、33a 第1弁体、33b 第2弁体、34,35 付勢バネ(付勢部材)、36 弁室、38 導入流路、39 吐出流路、39b 圧力逃がし溝(圧力逃がし部)、CA1 圧縮エア(圧縮流体)、CA2 出力エア(出力流体)、CAx,CAy 漏れ、P0 吐出圧力、P1 圧力(第1圧力)、P2 圧力(第2圧力)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14