(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】蓄電モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20241106BHJP
H01M 50/609 20210101ALI20241106BHJP
H01M 50/627 20210101ALI20241106BHJP
H01G 11/84 20130101ALI20241106BHJP
H01M 10/058 20100101ALN20241106BHJP
H01M 10/0566 20100101ALN20241106BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M50/609
H01M50/627
H01G11/84
H01M10/058
H01M10/0566
(21)【出願番号】P 2021135744
(22)【出願日】2021-08-23
【審査請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】村田 卓也
(72)【発明者】
【氏名】浅井 真也
(72)【発明者】
【氏名】磯村 亮太
(72)【発明者】
【氏名】福田 敬志
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 信清
(72)【発明者】
【氏名】近藤 悠史
(72)【発明者】
【氏名】山下 裕介
【審査官】松嶋 秀忠
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-156834(JP,A)
【文献】特開2019-139994(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04-39
H01M 50/60-691
H01G 11/84-86
H01G 13/00-06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向に積層された複数の電極と、隣り合う前記電極間の空間を封止する封止部と、前記封止部に形成されると共に前記空間の内外を連通し、前記第一方向と交差する第二方向に開口する開口部と、を含んで構成される積層体と、前記空間に収容される電解液と、を備える、蓄電モジュールの製造方法であって、
前記第一方向が鉛直方向に沿うように、搬送パレットに前記積層体を載置する載置工程と、
前記開口部に液密に接続可能な第一接続部と、被接続部に接続可能な第二接続部と、前記第一接続部と前記第二接続部とを連通する流路と、を有する流路ユニットを準備して、前記第二接続部における前記被接続部に対する接続部分が前記開口部よりも鉛直方向の上方に位置するように、前記載置工程において載置された前記積層体の前記開口部に前記流路ユニットの前記第一接続部を接続する接続工程と、
前記接続工程の後、前記流路ユニットの前記第二接続部に前記電解液の供給配管の前記被接続部を接続し、前記流路ユニットを介して前記空間に前記電解液を供給する供給工程と、
前記供給工程の後、前記第二接続部から前記供給配管の前記被接続部を取り外し、前記開口部と前記第一接続部とが接続された状態で、前記第一方向が鉛直方向に沿うように前記搬送パレットに載置された前記積層体を次工程が実施される場所にまで搬送する搬送工程と、を含む、蓄電モジュールの製造方法。
【請求項2】
前記第一接続部は、前記積層体に対して付勢された状態で前記開口部と接続される、請求項1記載の蓄電モジュールの製造方法。
【請求項3】
前記供給工程の前に、前記第一方向に所定圧力で前記積層体を拘束する拘束部材を前記積層体に取り付ける拘束工程を更に含む、請求項1記載の蓄電モジュールの製造方法。
【請求項4】
前記拘束工程では、前記拘束部材の一の側面と前記積層体において前記開口部が形成された側面とが面一となるように、前記積層体に前記拘束部材を取り付ける、請求項3記載の蓄電モジュールの製造方法。
【請求項5】
前記流路ユニットと前記拘束部材とは互いに着脱可能に構成されており、
前記接続工程では、前記拘束部材に前記流路ユニットを取り付けることにより、前記積層体の前記開口部に前記第一接続部が接続される、請求項3又は4記載の蓄電モジュールの製造方法。
【請求項6】
前記搬送工程では、前記第二接続部から前記被接続部を取り外したときに前記第二接続部が閉じられる、請求項1~5の何れか一項記載の蓄電モジュールの製造方法。
【請求項7】
前記搬送工程において搬送された前記場所において、前記流路ユニットが接続された状態の前記積層体を充放電装置に収容して前記積層体を活性化する前記次工程としての活性化工程を更に含み、
前記活性化工程では、活性化に伴って前記空間で発生するガスを前記第二接続部を介して排出する、請求項1~6の何れか一項記載の蓄電モジュールの製造方法。
【請求項8】
前記活性化工程では、前記第二接続部にガスバッグの前記被接続部を接続する、請求項7記載の蓄電モジュールの製造方法。
【請求項9】
前記活性化工程の後、前記積層体の前記開口部が鉛直上方を向くように前記積層体の体勢を変えた後、前記開口部から前記流路ユニットを取り外し、前記開口部を封止する封止工程を更に含む、請求項7又は8記載の蓄電モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
第一方向に積層された複数の電極と、隣り合う電極間の各空間を封止する封止部(シール材)と、封止部に形成されると共に空間の内外を連通し、第一方向と交差する第二方向に開口する開口部と、を含んで構成される積層体と、各空間に収容される電解液と、を備える、蓄電モジュールが知られている(例えば、特許文献1)。このような蓄電モジュールの製造工程には、例えば、電極が積層された積層体を形成する積層工程、電極間の空間に開口部を介して電解液を供給する供給工程、電解液が供給された積層体を活性化させる活性化工程及び上記開口部を封止して蓄電モジュールを形成する封止工程等が含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記蓄電モジュールの製造工程では、鉛直方向に電極が積層された状態で積層体を搬送したり積層体に処理を施したりすることが、ハンドリングのし易さ等の面で望まれている。ところが、積層体の電極間の空間に電解液が注入されてから積層体の開口部が封止されるまでの、蓄電モジュールの一連の製造工程では、積層体を鉛直方向に電極が積層された状態にすると開口部が水平方向に沿った方向に開口することになる。このため、鉛直方向に電極が積層された状態で積層体を搬送したり積層体に処理を施したりするためには、開口部から電解液が漏れ出さないように対処する必要がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、積層体を鉛直方向に電極が積層された状態に配置したまま、積層体への電解液の供給及び供給工程に続く次工程への積層体の搬送を行ったとしても、積層体の開口部から電解液が漏れ出すことを抑制可能な蓄電モジュールの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の蓄電モジュールの製造方法は、第一方向に積層された複数の電極と、隣り合う電極間の空間を封止する封止部と、封止部に形成されると共に空間の内外を連通し、第一方向と交差する第二方向に開口する開口部と、を含んで構成される積層体と、空間に収容される電解液と、を備える、蓄電モジュールの製造方法であって、第一方向が鉛直方向に沿うように、搬送パレットに積層体を載置する載置工程と、開口部に液密に接続可能な第一接続部と、被接続部に接続可能な第二接続部と、第一接続部と第二接続部とを連通する流路と、を有する流路ユニットを準備して、第二接続部における被接続部に対する接続部分が開口部よりも鉛直方向の上方に位置するように、載置工程において載置された積層体の開口部に流路ユニットの第一接続部を接続する接続工程と、接続工程の後、流路ユニットの第二接続部に電解液の供給配管の被接続部を接続し、流路ユニットを介して空間に電解液を供給する供給工程と、供給工程の後、第二接続部から供給配管の被接続部を取り外し、開口部と第一接続部とが接続された状態で、第一方向が鉛直方向に沿うように搬送パレットに載置された積層体を次工程が実施される場所にまで搬送する搬送工程と、を含む。
【0007】
この方法では、第一方向が鉛直方向に沿うように搬送パレットに載置された積層体の開口部は、水平方向に沿う方向に開口している。このように水平方向に沿う方向に開口する開口部から電解液が供給された積層体では、開口部から電解液が漏れ出す可能性が高くなるものの、本発明の方法では、供給工程の後も、被接続部に対する接続部分が開口部よりも鉛直方向における上方に位置する第二接続部を有する流路ユニットを取り外すことなく次の工程が実施される場所まで搬送されるので、搬送中に積層体から電解液が漏れ出すことを抑制できる。この結果、積層体を鉛直方向に電極が積層された状態に配置したまま、積層体への電解液の供給及び供給工程に続く次工程への積層体の搬送を行ったとしても、積層体の開口部から電解液が漏れ出すことを抑制できる。
【0008】
本発明の蓄電モジュールの製造方法では、第一接続部は、積層体に対して付勢された状態で開口部と接続されてもよい。この方法では、セルスタックの開口部に流路ユニットをより液密に接続することができる。
【0009】
本発明の蓄電モジュールの製造方法では、供給工程の前に、第一方向に所定圧力で積層体を拘束する拘束部材を積層体に取り付ける拘束工程を更に含んでもよい。この方法では、電解液を供給する時に開口部近傍が膨らんで、空間の内部まで電解液が供給されない事態となることを抑制することができる。
【0010】
本発明の蓄電モジュールの製造方法では、拘束工程では、拘束部材の一の側面と積層体において開口部が形成された側面とが面一となるように、積層体に拘束部材を取り付けてもよい。この方法では、開口部に接続される例えば流路ユニット等の部材又は装置が、拘束部材に干渉することを抑制することができ、開口部に部材又は装置を取り付けるときの作業性を向上させることができる。
【0011】
本発明の蓄電モジュールの製造方法では、流路ユニットと拘束部材とは互いに着脱可能に構成されており、接続工程では、拘束部材に流路ユニットを取り付けることにより、積層体の開口部に第一接続部が接続されてもよい。この方法では、拘束部材に流路ユニットを取り付ける簡易な作業によって開口部に第一接続部が接続されるので、開口部に流路ユニットを取り付けるときの作業性を向上させることができる。
【0012】
本発明の蓄電モジュールの製造方法の搬送工程では、第二接続部から被接続部を取り外したときに第二接続部が閉じられてもよい。この方法では、空間内の電解液が第二接続部から漏れ出すことを確実に防止することができる。
【0013】
本発明の蓄電モジュールの製造方法では、搬送工程において搬送された場所において、流路ユニットが接続された状態の積層体を充放電装置に収容して積層体を活性化する次工程としての活性化工程を更に含み、活性化工程では、活性化に伴って空間で発生するガスを第二接続部を介して排出してもよい。この方法では、容易に排気設備に接続することができるので、活性化工程での作業性を向上させることができる。
【0014】
本発明の蓄電モジュールの製造方法の活性化工程では、第二接続部にガスバッグの被接続部を接続してもよい。この方法では、大規模な設備に接続されることなく、簡易な準備作業によって活性化工程で排気されるガスを回収することができる。
【0015】
本発明の蓄電モジュールの製造方法では、活性化工程の後、積層体の開口部が鉛直上方を向くように積層体の体勢を変えた後、開口部から流路ユニットを取り外し、開口部を封止する封止工程を更に含んでもよい。この方法では、開口部を封止するときには、開口部が上方を向くように体勢が代えられるので、流路ユニットの取り外しの際に開口部から電解液が漏れ出すことを抑制できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、積層体を鉛直方向に電極が積層された状態に配置したまま、積層体への電解液の供給及び供給工程に続く次工程への積層体の搬送を行ったとしても、積層体の開口部から電解液が漏れ出すことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る蓄電モジュールを示す概略的な断面図である。
【
図2】
図2は、X軸方向から見た電極積層体の側面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る蓄電モジュールの製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、第一ユニット及び第二ユニットを示す斜視図である。
【
図5】
図5は、一対の規制部材を取り外した状態の第一ユニット及び第二ユニットを示す斜視図である。
【
図6】
図6は、X軸方向から見た被挟持体を挟持した状態の第一ユニットを示す側面図である。
【
図7】
図7(A)は、拘束部材及び規制部材をZ軸方向から見た上面図であり、
図7(B)は、拘束部材及び規制部材をX軸方向から見た側面図である。
【
図8】
図8は、第一ユニットに第二ユニットが取り付けられた状態をY軸方向から見た断面図である。
【
図9】
図9(A)は、第一接続部及びノズルをZ軸方向から見た上面図であり、
図9(B)は、第一接続部をX軸方向から見た正面図であり、
図9(C)は、第一接続部及びノズルをY軸方向から見た側面図である。
【
図10】
図10(A)は、接続部材の一例をY軸方向から見た断面図であり、
図10(B)は、接続部材の他の一例をY軸方向から見た断面図である。
【
図11】
図11は、一対の規制部材を取り外した状態の変形例1に係る第一ユニット及び変形例1に係る第二ユニットを示す斜視図である。
【
図12】
図12(A)は、一対の規制部材を取り外した状態の変形例2に係る第一ユニット及び変形例2に係る第二ユニットをY軸方向から見た側面図であり、
図12(B)は、変形例2に係る接続片が嵌合される凹部をZ軸方向から見た上面図である。
【
図13】
図13(A)は、変形例2に係る接続片を示す斜視図であり、
図13(B)は、一対の規制部材と接続片とが取り付けられた状態の変形例2に係る第一ユニット及び変形例2に係る第二ユニットをY軸方向から見た側面図である。
【
図14】
図14(A)は、一対の規制部材を取り外した状態の変形例3に係る第一ユニット及び変形例3に係る第二ユニットをY軸方向から見た側面図であり、
図14(B)は、変形例3に係る接続片を示す斜視図であり、
図14(C)は、一対の規制部材が取り外された状態の変形例3に係る第一ユニット及び第二ユニットへ変形例3に係る接続片を取り付ける方法を示す図である。
【
図15】
図15(A)は、変形例4に係る第一接続部及びノズルをZ軸方向から見た上面図であり、
図15(B)は、変形例4に係る第一接続部をX軸方向から見た正面図であり、
図15(C)は、変形例4に係る第一接続部及びノズルをY軸方向から見た側面図である。
【
図16】
図16(A)~
図16(E)のそれぞれは、変形例4に係る第一接続部の突出部の形状の一例を示した断面図である。
【
図17】
図17(A)は、変形例5に係る第一接続部及びノズルをZ軸方向から見た上面図であり、
図17(B)は、変形例5に係る第一接続部をX軸方向から見た正面図であり、
図17(C)は、変形例5に係る第一接続部及びノズルをY軸方向から見た側面図である。
【
図18】
図18は、変形例5に係る第一接続部及びノズルをY軸方向から見た側面図である。
【
図19】
図19(A)は、確認窓が形成される変形例6に係る第一ベース部をZ軸方向から見た上面図であり、
図19(B)は、Z軸方向から見た確認窓を拡大して示した図である。
【
図21】
図21は、変形例7に係る第一ユニット及び第二ユニットを示す斜視図である。
【
図22】
図22は、変形例7に係る第一ユニット及び第二ユニットを示す斜視図である。
【
図23】
図23は、変形例7に係る第一ユニット及び第二ユニットを示す斜視図である。
【
図24】
図24は、変形例に係る蓄電モジュールを示す概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら本開示の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。
【0019】
図1に示される蓄電モジュール1は、本実施形態の蓄電モジュールの製造方法によって製造される蓄電モジュールの一例である。蓄電モジュール1は、例えば、フォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリに用いられる。蓄電モジュール1は、例えばリチウムイオン二次電池又はニッケル水素二次電池等の二次電池である。蓄電モジュール1は、電気二重層キャパシタであってもよい。本実施形態では、蓄電モジュール1がリチウムイオン二次電池である場合を例示する。本実施形態の蓄電モジュール1は、例えば、X軸方向及びY軸方向に沿う1辺の幅が1000mm以上であり、かつZ軸方向に沿う厚みが100mm以下の扁平な大型電池である。
【0020】
蓄電モジュール1は、電極積層体10と、封止部20と、電解液19と、を備えている。電極積層体10は、複数のバイポーラ電極(電極)11と、負極終端電極(電極)12と、正極終端電極(電極)13と、複数のセパレータ14と、を有している。
【0021】
各バイポーラ電極11は、集電体15と、正極活物質層16と、負極活物質層17と、を有している。集電体15は、例えばシート状に形成されている。集電体15は、Z軸方向から見て例えば矩形状に形成されている。正極活物質層16は、集電体15の第一面15aに設けられている。正極活物質層16は、Z軸方向から見て例えば矩形状に形成されている。負極活物質層17は、集電体15の第二面15bに設けられている。負極活物質層17は、Z軸方向から見て例えば矩形状に形成されている。集電体15の第一面15aは、Z軸方向の一方を向く面であり、
図1の例ではZ軸方向正側を向いている。集電体15の第二面15bはZ軸方向の他方を向く面であり、
図1の例ではZ軸方向負側を向いている。
【0022】
負極活物質層17は、Z軸方向から見て正極活物質層16よりも一回り大きい。つまり、Z軸方向から見た平面視において、正極活物質層16の形成領域の全体が負極活物質層17の形成領域内に位置している。複数のバイポーラ電極11は、正極活物質層16と負極活物質層17とが互いに対向するようにZ軸方向に沿って積層されている。すなわち、複数のバイポーラ電極11の積層方向Dは、Z軸方向に沿うように積層されている。
【0023】
負極終端電極12は、集電体15と、負極活物質層17と、を有している。負極終端電極12は、正極活物質層16を有していない。つまり、負極終端電極12の集電体15の第一面15aには、活物質層が設けられていない。負極終端電極12の集電体15の第一面15aは、露出している。負極終端電極12は、電極積層体10のZ軸方向における第一端に配置されている。負極終端電極12の負極活物質層17は、電極積層体10のZ軸方向における第一端寄りに位置するバイポーラ電極11の正極活物質層16に対向している。電極積層体10のZ軸方向における第一端は、
図1の例ではZ軸方向の正側の端部である。
【0024】
正極終端電極13は、集電体15と、正極活物質層16と、を有している。正極終端電極13は、負極活物質層17を有していない。つまり、正極終端電極13の集電体15の第二面15bには、活物質層が設けられていない。正極終端電極13の集電体15の第二面15bは、露出している。正極終端電極13は、電極積層体10のZ軸方向における第二端に配置されている。正極終端電極13の正極活物質層16は、電極積層体10のZ軸方向における第二端寄りに位置するバイポーラ電極11の負極活物質層17に対向している。電極積層体10のZ軸方向における第二端は、
図1の例ではZ軸方向の負側の端部である。
【0025】
セパレータ14は、隣り合うバイポーラ電極11,11の間、負極終端電極12とバイポーラ電極11との間、及び、正極終端電極13とバイポーラ電極11との間に配置されている。セパレータ14は、正極活物質層16と負極活物質層17との間に介在している。セパレータ14は、正極活物質層16と負極活物質層17とを隔離することで、隣り合う電極の接触による短絡を防止しつつ、リチウムイオン等の電荷担体を通過させる。
【0026】
集電体15は、リチウムイオン二次電池の放電又は充電の間、正極活物質層16及び負極活物質層17に電流を流し続けるための化学的に不活性な電気伝導体である。集電体15の材料は、例えば、金属材料、導電性樹脂材料又は導電性無機材料等である。導電性樹脂材料の例に、導電性高分子材料又は非導電性高分子材料に必要に応じて導電性フィラーが添加された樹脂等が含まれる。集電体15は、複数の層を備えていてもよい。この場合、集電体15の各層は、上記の金属材料又は導電性樹脂材料を含んでいてもよい。
【0027】
集電体15の表面には、被覆層が形成されていてもよい。当該被覆層は、例えばメッキ処理又はスプレーコート等の公知の方法によって形成されていてもよい。集電体15は、例えば、板状、箔状(例えば金属箔)、フィルム状又はメッシュ状等に形成されていてもよい。金属箔の例には、アルミニウム箔、銅箔、ニッケル箔、チタン箔又はステンレス鋼箔等が含まれる。ステンレス鋼箔の例には、例えば、JIS G 4305:2015にて規定されるSUS304、SUS316又はSUS301等が含まれる。集電体15は、上記の金属の合金箔又は複数の上記金属の箔を一体化した箔であってもよい。集電体15が箔状に形成されている場合、集電体15の厚さは、例えば、1μm~100μmであってもよい。
【0028】
正極活物質層16は、リチウムイオン等の電荷担体を吸蔵及び放出し得る正極活物質を含んでいる。正極活物質の例には、層状岩塩構造を有するリチウム複合金属酸化物、スピネル構造を有する金属酸化物、ポリアニオン系化合物等が含まれる。正極活物質は、リチウムイオン二次電池に使用可能なものであればよい。正極活物質層16は、複数の正極活物質を含んでいてもよい。本実施形態では、正極活物質層16は、複合酸化物としてのオリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO4)を含んでいる。
【0029】
負極活物質層17は、リチウムイオン等の電荷担体を吸蔵及び放出し得る負極活物質を含んでいる。負極活物質は、単体、合金又は化合物のいずれであってもよい。負極活物質の例には、リチウム、炭素、金属化合物等が含まれる。負極活物質は、リチウムと合金化可能な元素もしくはその化合物等であってもよい。炭素の例には、天然黒鉛、人造黒鉛、ハードカーボン(難黒鉛化性炭素)又はソフトカーボン(易黒鉛化性炭素)等が含まれる。人造黒鉛の例には、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ等が含まれる。リチウムと合金化可能な元素の例には、シリコン(ケイ素)又はスズ等が含まれる。本実施形態では、負極活物質層17は、炭素系材料としての黒鉛を含んでいる。
【0030】
正極活物質層16及び負極活物質層17のそれぞれ(以下、単に「活物質層」ともいう)は、必要に応じて電気伝導性を高めるための導電助剤、結着剤、電解質(ポリマーマトリクス、イオン伝導性ポリマー、電解液19等)、イオン伝導性を高めるための電解質支持塩(リチウム塩)等をさらに含み得る。導電助剤は、各電極11,12,13の導電性を高めるために添加される。導電助剤は、例えばアセチレンブラック、カーボンブラック又はグラファイト等である。
【0031】
活物質層に含まれる成分又は当該成分の配合比及び活物質層の厚さは特に限定されず、リチウムイオン二次電池についての従来公知の知見が適宜参照され得る。活物質層の厚さは、例えば2~150μmである。活物質層は、ロールコート法等の公知の方法によって集電体15の表面に形成されていてもよい。集電体15の表面(片面又は両面)又は活物質層の表面には、各電極11,12,13の熱安定性を向上させるために、耐熱層が設けられていてもよい。耐熱層は、例えば、無機粒子と結着剤とを含み、その他に増粘剤等の添加剤を含んでいてもよい。
【0032】
結着剤の例には、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂、アクリル酸又はメタクリル酸等のアクリル系樹脂、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム等のアルギン酸塩、水溶性セルロースエステル架橋体、デンプン-アクリル酸グラフト重合体等が含まれる。これらの結着剤は、単独で又は複数で用いられ得る。溶媒の例には、水、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)等が含まれる。
【0033】
セパレータ14は、例えば、電解質を吸収保持するポリマーを含む多孔性シート又は不織布であってもよい。セパレータ14の材料の例には、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリオレフィン、ポリエステル等が含まれる。セパレータ14は、単層構造又は多層構造を有していてもよい。多層構造は、例えば、接着層又は耐熱層としてのセラミック層等を有していてもよい。セパレータ14には、電解質が含浸されていてもよい。セパレータ14に含浸される電解質の例としては、非水溶媒と非水溶媒に溶解された電解質塩とを含む液体電解質(電解液19)が挙げられる。
【0034】
セパレータ14に電解液19が含浸される場合、その電解質塩としては、LiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(FSO2)2、LiN(CF3SO2)2等の公知のリチウム塩が用いられていてもよい。また、非水溶媒としては、環状カーボネート類、環状エステル類、鎖状カーボネート類、鎖状エステル類、エーテル類等の公知の溶媒が用いられていてもよい。なお、二種以上のこれらの公知の溶媒材料が組合せて用いられていてもよい。
【0035】
封止部20は、電極積層体10を取り囲むように、電極積層体10の周縁部に形成されている。封止部20は、各集電体15の周縁部において、各集電体15の第一面15a及び第二面15bのそれぞれに接合されている。なお、封止部20は、各集電体15の第一面15a及び第二面15bの少なくとも一方に接合されていればよい。封止部20は、隣り合うバイポーラ電極11,11の集電体15,15間、負極終端電極12の集電体15とバイポーラ電極11の集電体15との間、及び、正極終端電極13の集電体15とバイポーラ電極11の集電体15との間の空間Sをそれぞれ封止している。以下、隣り合うバイポーラ電極11,11の集電体15,15間、負極終端電極12の集電体15とバイポーラ電極11の集電体15との間、及び、正極終端電極13の集電体15とバイポーラ電極11の集電体15との間を、簡略して「隣り合う各電極11,12,13の間」と称する。
【0036】
封止部20は、各電極11,12,13の積層方向Dから見て矩形枠状である。封止部20は、隣り合う各電極11,12,13の間に位置する部分と、集電体15の縁部よりも外側に位置する部分とを有している。隣り合う各電極11,12,13の間では、封止部20は、正極活物質層16及び負極活物質層17の周囲を取り囲み、隣り合う集電体15,15及び封止部20により空間Sが形成されている。
【0037】
空間Sには、電解液19が収容されている。封止部20は、空間Sに電解液19を封止している。封止部20は、蓄電モジュール1の外部から空間S内への水分の侵入を防止し得る。また、封止部20は、例えば充放電反応等によって各電極11,12,13から発生したガスが蓄電モジュール1の外部に漏出することを防止する。封止部20の一部が、隣り合う集電体15,15の間に配置されることにより、一対の集電体15,15の間の間隔を保持するスペーサとしても機能している。封止部20は、積層方向Dから見て、正極活物質層16及び負極活物質層17から離間している。積層方向Dから見て、集電体15の縁部よりも外側に位置する部分は、電極積層体10の積層方向Dの一端に配置された負極終端電極12から積層方向Dの他端に配置された正極終端電極13まで積層方向Dに延在し、隣り合う各電極11,12,13の集電体15,15間に位置する部分のそれぞれを連結している。
【0038】
封止部20は、絶縁材料を含み、隣り合う集電体15,15間を絶縁することによって、隣り合う集電体15,15間の短絡を防止する。封止部20を構成する材料の例には、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ABS樹脂、及びAS樹脂等の樹脂材料、並びにこれらの樹脂材料を変性させたものが含まれる。
【0039】
封止部20は、電極積層体10の側方(電極積層体10のX軸方向における両端部分及び電極積層体10のY軸方向における両端部分)を覆う本体部21と、本体部21からZ軸方向に突出する一対の突出部22と、を含んでいる。突出部22は、本体部21のうち開口部20bが形成される部分の上端及び下端に設けられる。
図1及び
図2に示されるように、封止部20には、蓄電モジュール1の製造工程において、各空間Sに電解液19を供給するための複数の開口部20bが形成されている。開口部20bは、各空間Sの内外を連通し、積層方向Dと直交する方向(第二方向)に開口している。具体的には、複数の開口部20bは、封止部20の積層方向Dに沿って延びる側面20aに開口している。各空間Sに連通する開口部20bは、積層方向Dに互いに隣り合う空間Sに形成される開口部20b,20b同士が、積層方向Dに重ならないように、積層方向D及びX軸方向の両方に直交する方向(Y軸方向)に離間して配置されている。
【0040】
一方、積層方向Dに隣り合っていない各空間Sに連通する開口部20bのいくつかは、互いに積層方向Dに重なるように、Y軸方向における位置が一致するように配置されている。本実施形態では、蓄電モジュール1には、空間Sが六つ形成されており、積層方向Dの一端から数えて奇数個目に配置される三つの空間Sにそれぞれ連通する三つの開口部20bが互いに積層方向Dに重なるように配置されている。そして、当該三つの開口部20bからY軸方向に離間して、積層方向Dの一端から数えて偶数個目に配置される三つの空間Sにそれぞれ連通する三つの開口部20bが互いに積層方向Dに重なるように配置されている。
【0041】
開口部20bが設けられた封止部20の側面20aには、各開口部20bを取り囲むように側面20aから突出する枠部20cが形成されている。複数の枠部20cのうち、積層方向Dに重なるように配置された開口部20bを取り囲む枠部20c同士は、互いに連結されて枠部連結体20dを構成している。本実施形態の封止部20では、積層方向Dの一端から数えて奇数個目となる三つの開口部20bをそれぞれ取り囲む三つの枠部20c同士が連結された枠部連結体20dと、積層方向Dの一端から数えて偶数個目となる三つの開口部20bをそれぞれ取り囲む三つの枠部20c同士が連結された枠部連結体20dと、が構成されている。なお、
図2では枠部20c及び枠部連結体20dはクロスハッチングにより強調して示されている。
【0042】
各枠部20c(枠部連結体20d)の突出方向(X軸方向)における先端には封止シート25が設けられている。封止シート25は、各枠部20cの先端の全周にわたって接合されることで、各枠部20cにそれぞれ囲まれた開口部20bを覆って封止している。なお、
図2では、封止シート25を省略した状態の蓄電モジュール1を示している。
【0043】
次に、主に
図3を参照しながら蓄電モジュール1の製造方法の一例を説明する。まず、各電極11,12,13を積層することにより、
図1に示される蓄電モジュール1の各開口部20bが封止される前の電極積層体10(積層体)を準備する(積層工程S1)。この時点では、各枠部20cの先端に封止シート25が設けられておらず、各開口部20bが側面20aに開口して露出している。なお、以下の記載では便宜上、各開口部20bが封止される前の電極積層体10を単に電極積層体10と称することがある。
【0044】
続いて、電極の積層方向DがZ軸方向(鉛直方向)に沿うように、後段にて詳述する第一ユニット100(
図4~
図7参照)を構成する一対の拘束部材30,30のうち一方の拘束部材(搬送パレット)30(ここでは、Z軸方向下方に配置される拘束部材30)に電極積層体10を載置する(載置工程S2)。特に、前述したような電極の積層方向Dに扁平かつ大型な蓄電モジュール1である場合には、安定のために電極の積層方向DがZ軸方向に沿うように電極積層体10が載置されることが望ましい。以下、鉛直方向に沿う方向をZ軸方向(第一方向)、Z軸方向に直交すると共に水平方向に沿う方向をX軸方向(第二方向)、Z軸方向及びX軸方向の両方に直交すると共に水平方向に沿う方向をY軸方向として説明する。
【0045】
続いて、電極積層体10をZ軸方向に所定圧力で拘束する第一ユニット100を電極積層体10に取り付ける(拘束工程S3)。より詳細には、まず、一対の拘束部材30,30のうち一方の拘束部材30に載置された電極積層体10の上に、一対の拘束部材30,30のうち他方の拘束部材30を載置して、電極積層体10が一対の拘束部材30,30にて挟持された被挟持体HBを形成する。続いて、被挟持体HBをZ軸方向に圧縮し、圧縮された被挟持体HBを一対の規制部材40,40によって挟持する。なお、被挟持体HBに対する一対の規制部材40,40の取り付け方は、後段にて詳述される。
【0046】
圧縮された被挟持体HBは、Z軸方向に伸張しようとし、一対の規制部材40,40によってその伸張が規制される。すなわち、被挟持体HBは、一対の規制部材40,40によって積層方向Dに圧縮された状態で拘束される。また、拘束工程S3では、一対の拘束部材30,30の一の側面30e,30eと電極積層体10において開口部20bが形成された側面20aとが面一となるように、電極積層体10に一対の拘束部材30,30を取り付ける。
【0047】
続いて、
図8に示されるような、第一接続部63と、第二接続部72と、第一接続部63と第二接続部72とを連通する流路61a,62a,63a,71と、を有する第二ユニット(流路ユニット)200を準備する。そして、第二接続部72における被接続部110に対する接続部分が第一接続部63における開口部20bとの接続部分よりもZ軸方向の上方に位置するように、載置工程S2において載置された電極積層体10の開口部20bに流路部60を接続する(接続工程S4)。接続工程S4では、第一接続部63を電極積層体10に対して押し付けることにより、開口部20bに第一接続部63が接続される。接続工程S4では、第一ユニット100に第二ユニット200が取り付けられることで、電極積層体10の開口部20bに流路部60(第一接続部63)が接続される。なお、第一ユニット100に対する第二ユニット200の取付手順については、後段にて詳述される。
【0048】
続いて、第二接続部72に電解液19の供給配管120の先端部113(被接続部110)が接続され、第二ユニット200を介して電極積層体10の空間Sに電解液19が供給される(供給工程S5)。空間Sへの電解液19の供給が終了すると、第二接続部72から供給配管120の先端部113を取り外す。次に、一方の拘束部材30に積層方向DがZ軸方向に沿うように載置された電極積層体10を、次工程が実施される場所にまで搬送する(搬送工程S6)。電極積層体10は、第一ユニット100及び第二ユニット200が取り付けられたまま、すなわち、電極積層体10の開口部20bに第二ユニット200の第一接続部63が接続されたまま搬送される。
【0049】
なお、図示はしないが第二接続部72に、外部と流路71との連通を開閉するバルブが設けられている場合には、第二接続部72から供給配管120の先端部113を取り外したときに、当該バルブを閉じてもよい。このようなバルブとしては、被接続部110が接続されたときに開状態となり、被接続部110が取り外されたときに閉状態となるワンタッチカップリングが用いられ得る。また、第二接続部72は、逆止弁が設けられていてもよい。これらの構成では、第二接続部72から電解液19が漏れ出ることを確実に防止すると共に、第二接続部72から流路71ひいては電極積層体10に異物等が侵入することを防止できる。
【0050】
続いて、搬送工程S6において搬送された所定の場所において、第一ユニット100及び第二ユニット200が取り付けられた状態の電極積層体10が充放電装置に収容される。充放電装置に収容された電極積層体10は拘束部材30,30(電源接続部34,34)を介して外部電源により充電が実施されて活性化される(活性化工程S7)。活性化工程S7においては、活性化に伴って電極積層体10の空間Sに発生するガスが、第二接続部72を介して排出される。すなわち、電極積層体10の開口部20bから排出されるガスは、第一接続部63及び流路61a,62a,63a,71を介して第二接続部72から排出される。本実施形態の活性化工程S7では、第二接続部72にガスを捕集するガスバッグの接続部(被接続部110)が接続される。ガスバッグは、例えば、樹脂製の袋が用いられる。
【0051】
続いて、電極積層体10の開口部20bが鉛直上方を向くように電極積層体10の体勢を変えた後、第二ユニット200が第一ユニット100から取り外される。すなわち、電極積層体10の開口部20bから第一接続部63が取り外される。これにより、封止部20の側面20a及び開口部20bが露出する。続いて、開口部20bが封止される(封止工程S8)。開口部20bの封止は、例えば封止シート25を各開口部20bを囲う枠部20cの先端に熱溶着することで実施される。続いて、電極積層体10を拘束する第一ユニット100が電極積層体10から取り外される(解除工程S9)。
【0052】
次に、上述した蓄電モジュール1の製造方法における一連の工程で用いられる拘束治具Jについて詳細に説明する。拘束治具Jは、
図4に示されるように、第一ユニット100と、第二ユニット200と、を備えている。第二ユニット200は、第一ユニット100に着脱自在に設けられている。
【0053】
第一ユニット100は、複数の電極がZ軸方向(第一方向)に積層された電極積層体10に対してZ軸方向の拘束荷重を付加した状態で拘束する。
図4~
図6に示されるように、第一ユニット100は、一対の拘束部材30,30と、一対の規制部材40,40と、挿通部材36と、を備える。一対の拘束部材30,30は、電極積層体10においてZ軸方向(積層方向)における両端に配置される。一対の拘束部材30,30のそれぞれは、例えば、ステンレス、アルミニウム又は鉄等の材料により形成されている。一対の拘束部材30,30のそれぞれは、本体部31と、弾性体33と、電源接続部34と、を有する。
【0054】
本体部31は、電極積層体10側の内側面31aと内側面31aとは反対側の外側面31bとを有している。本体部31は、外側面31bから電極積層体10の外側に向けて突出する突出リブ32を有する。突出リブ32は、拘束部材30の強度の向上を図るために設けられている。後段にて詳述する規制部材40によって被挟持体HBが挟持されたとき、突出リブ32は、Z軸方向において規制部材40の接触部41と同じ高さか、接触部41よりも高くなるように、外側面31bから突出している。被挟持体HBは、電極積層体10とZ軸方向における両端に配置された一対の拘束部材30,30とからなる積層体をいう。本実施形態では、突出リブ32と接触部41とが面一となるように形成されている。これにより、被挟持体HBを挟持した状態の第一ユニット100を安定した状態で、平面部位に載置することができる。
【0055】
弾性体33は、本体部31の内側面31aに固着されている。弾性体33の例には、絶縁性を有するゴム部材又は皿バネが含まれる。ゴム部材を固着する場合には、Z軸方向から見た平面視におけるサイズを、本体部31の平面視におけるサイズと等しくなるように形成する。皿バネが導電性を有する場合には、皿バネと本体部31との間に絶縁性のシート部材を配置したり、本体部31の内側面31aを絶縁性材料でコーティングしたりする。また、弾性体33には、活性化工程S7での充放電に使用される導電性の電源接続部34が固着されていてもよい。すなわち、電源接続部34は、弾性体33において本体部31と反対側の面に固着されている。拘束部材30が被挟持体HBを挟持するとき、弾性体33及び電源接続部34は、Z軸方向において、本体部31と電極積層体10との間に設けられる。なお、本実施形態では、一対の拘束部材30,30のそれぞれに、弾性体33が設けられる例を挙げて説明したが、一対の拘束部材30,30の一方にのみ配置されていてもよい。
【0056】
一対の拘束部材30,30のそれぞれは、矩形形状に形成されており、その四隅には、挿通部材36が挿通される挿通孔31cが形成されている。拘束部材30のY軸方向に互いに対向する二辺のそれぞれには、後段に詳述する規制部材40の補強リブ43が挿入される切欠部37が形成されている。すなわち、切欠部37は、規制部材40に設けられる補強リブ43の数、形成位置に対応して設けられている。
【0057】
一対の拘束部材30,30のそれぞれには、第一ユニット100と第二ユニット200とを着脱自在にする固定部35が形成されている。固定部35は、一対の拘束部材30,30において着脱方向であるX軸方向に突出する張出部35a,35aと、張出部35a,35aのそれぞれに形成される挿通孔35b,35bと、を含んで構成される。なお、固定部35を介した第一ユニット100と第二ユニット200との着脱手順は、後段にて詳述する。
【0058】
一対の規制部材40,40は、Z軸方向に圧縮された状態の被挟持体HBのZ軸方向に直交(交差)するY軸方向における両端をそれぞれ挟持する。一対の規制部材40,40のそれぞれは、例えば、拘束部材30と同じ材料により形成されている。一対の規制部材40,40のそれぞれは、一対の接触部41,41と、接続部42と、補強リブ43と、を有している。
【0059】
一対の接触部41,41は、被挟持体HBの一対の本体部31,31のそれぞれにZ軸方向の外側から接触すると共にZ軸方向に直交する板状に形成されている。X軸方向における接触部41のサイズは、X軸方向における電極積層体10のサイズと同じ又は電極積層体10のサイズよりも長い。また、X軸方向における接触部41のサイズは、X軸方向における被挟持体HBの拘束部材30のサイズと同じである。接触部41は、本体部31の外側面31bに接触する接触部41の内側面41aと、内側面41aと反対側の外側面41bと、を有している。また、一対の接触部41,41は、挿通部材36が挿通される挿通孔41cが形成されている。挿通孔41cは、X軸方向における接触部41の端部近傍に二つ形成されている。
【0060】
接続部42は、一対の接触部41,41を接続すると共にY軸方向に直交する板状に形成されている。X軸方向における接続部42のサイズは、X軸方向における電極積層体10のサイズと同じ又は電極積層体10のサイズよりも長い。また、X軸方向における接続部42のサイズは、X軸方向における被挟持体HBの拘束部材30及び接触部41のサイズと同じである。一対の接触部41,41と接続部42から構成される規制部材40の形状は、X軸方向から見たときに、コの字状(U字状)となっている。
【0061】
補強リブ43は、接触部41と接続部42とを接続し、X軸方向から見たときに三角形状に形成された板状の部位である。補強リブ43は、規制部材40の強度を補強するために設けられる。補強リブ43は、規制部材40によって被挟持体HBが挟持されたときに拘束部材30に形成された切欠部37に配置(挿入)される。
【0062】
挿通部材36は、拘束部材30の挿通孔31cと規制部材40の挿通孔41cとに挿通される棒状部材である。より詳細には、一対の接触部41,41及び一対の拘束部材30,30には、一対の規制部材40,40が被挟持体HBを挟持した状態において、一対の接触部41,41及び一対の拘束部材30,30の両方をZ軸方向に貫通する貫通する貫通孔(すなわち、挿通孔31c及び挿通孔41c)がZ軸方向から見た平面視において四箇所(複数)形成されている。挿通部材36は、一対の規制部材40,40が被挟持体HBを挟持した状態において、複数の貫通孔のそれぞれに挿通される。
【0063】
挿通部材36は、例えばポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド等のエンジニアリングプラスチックによって形成されている。一対の規制部材40,40が被挟持体HBを挟持した状態において、複数の貫通孔(すなわち、挿通孔31c及び挿通孔41c)のそれぞれに挿通部材36を挿通すれば、一対の拘束部材30,30に対する一対の規制部材40,40の相対位置が固定される。言い換えれば、拘束部材30を含む被挟持体HBを一対の規制部材40,40によって挟持した状態で、拘束部材30の挿通孔31cと規制部材40の挿通孔41cとに挿通部材36を挿通すれば、拘束部材30に対して規制部材40が位置決めされる。
【0064】
ここで、拘束工程S3において、第一ユニット100を用いて電極積層体10を拘束する手順について説明する。上述の電極積層体10は、Z軸方向における両端に配置される一対の拘束部材30,30を介して圧縮されて、被挟持体HBが形成される。なお、圧縮前の被挟持体HBのZ軸方向の高さ(厚み)のサイズは、Z軸方向における規制部材40の一対の接触部41,41間の距離よりも長い。また、圧縮後の被挟持体HBのZ軸方向の高さのサイズは、Z軸方向における規制部材40の一対の接触部41,41間の距離よりも短い。次に、上述した一対の規制部材40,40が準備される。
【0065】
次に、圧縮された状態の被挟持体HBが、上述した一対の規制部材40によって挟持される。より詳細には、一対の拘束部材30,30の切欠部37に、一対の規制部材40の補強リブ43のそれぞれを挿入するように、Z軸方向に圧縮された状態の被挟持体HBが、一対の規制部材40の一対の接触部41,41の間に挿入される。そして、被挟持体HBの圧縮を解除する。これにより、圧縮が解放されたときの被挟持体HBのZ軸方向への伸張が一対の規制部材40によって規制される。被挟持体HBは、一対の規制部材40によって強固に挟持されてZ軸方向に拘束された状態が維持される。
【0066】
本実施形態の第一ユニット100は、被挟持体HB全体に均等に荷重がかかるように、一対の規制部材40,40のそれぞれの接触部41,41が、一対の拘束部材30,30のそれぞれの縁部に対し、X軸方向に沿った線を対称軸として線対称になるように形状寸法が形成されている。また、一対の拘束部材30,30のそれぞれの全体形状も、例えば、外形寸法、厚み、リブ配置及びリブ形状等が互いに同じとなるように形成されている。これにより、電極積層体10全体に均等に荷重を作用させることができる。
【0067】
次に、第二ユニット200について詳細に説明する。
図4、5、8に示されるように、第二ユニット200は、電極積層体10に形成される枠部連結体20dに押し当てられて開口部20bのそれぞれに接続されることで、電極積層体10に形成された各空間Sと被接続部110とを連通する。被接続部110の例は、供給工程S5で接続される電解液19の供給配管120の先端部113、活性化工程S7で接続される空間Sで発生した気体の排気管の接続部(図示せず)又は気体を捕集するガスバッグの接続部等が含まれる。第二ユニット200は、ベース部51と、流路部60と、を有する。
【0068】
ベース部51は、流路部60を支持する。流路部60は、電極積層体10の開口部20bに接続されることで空間Sに連通する。流路部60は、電極積層体10に形成される枠部連結体20dの数に対応して設けられる。本実施形態では、第二ユニット200に二個の流路部60が設けられている例を挙げて説明する。なお、説明の便宜のため、
図4、5、6、11、14(A)、21、22、23では、具体的な枠部連結体20dの数、開口部20bの数の図示を省略し、
図21、22、23では、流路部60の数の図示を省略している。
【0069】
ベース部51は、第一ベース部52及び第二ベース部53を有する。第一ベース部52及び第二ベース部53は、流路部60を挟持すると共に流路部60を着脱自在に支持している。流路部60は、本体管61と、ノズル62と、第一接続部63と、弾性部67と、取付部68と、接続部材70と、を有する。
【0070】
本体管61は、電極積層体10の開口部20bに接続されたときに電極積層体10の空間Sと被接続部110との間でやりとりされる媒体(例えば電解液19)を流通させる複数の流路61aを有する、X軸方向に延在する管部材である。ノズル62は、本体管61の先端に取り付けられており、本体管61の各流路61aに連通する複数の流路62aが形成されている。ノズル62の先端(X軸方向において本体管61が取り付けられる側とは反対側の端部)には、電極積層体10の開口部20bと流路部60(流路61a,62a,63a,71)とを液密に接続する第一接続部63が固着されている。
【0071】
第一接続部63は、エチレン・プロピレンゴム、フッ素ゴム等の弾性を有する材料によって形成されている。
図9(C)に示されるように、第一接続部63は、把持部62Eによってノズル62に取り付けられている。第一接続部63は、把持部62Eによってノズル62に取付可能な形状に形成されている。具体的には、第一接続部63は、ノズル62の先端からはみ出すと共に、X軸方向にノズル62の基端(本体管61側)へ向かって延出する部分63eを有する。把持部62Eは、ネジ止め又は挟み込み等によって、第一接続部63の上記延出する部分63eを把持する。このような構成の把持部62Eを採用することによって、X軸方向に比較的薄い第一接続部63をノズル62に取り付けることができる。X軸方向に比較的薄い第一接続部63は、電極積層体10へ押しつけた際の変形量が小さく済み、第一接続部63の耐久性を向上させることができる。把持部62Eは、ノズル62の先端よりもX軸方向に離れた位置に形成されている。この構成では、第一接続部63を電極積層体10の開口部20bに接続するときに、把持部62Eが電極積層体10に干渉することを防止できる。
【0072】
図9(A)、
図9(B)、
図9(C)、及び
図10(A)に示されるように、第一接続部63は、各流路62aに連通する複数の流路63aが形成されている。複数の流路61a,62a,63aは、それぞれ枠部連結体20dの各枠部20cに囲まれた開口部20bの数に対応して設けられる。本実施形態の流路部60では、一つの枠部連結体20dに対して流路61a,62a,63aがそれぞれ3個ずつ設けられている。複数の流路61a,62a,63aは、枠部連結体20d内における開口部20bの位置に対応するようにZ軸方向に沿って配列されている。
【0073】
図4、5、8に戻り、取付部68は、本体管61を支持する。より詳細には、本体管61は取付部68の貫通穴に挿通されると共に、取付部68は本体管61を本体管61の延在方向に移動可能に支持する。取付部68は、四角柱状の部材であり、第一ベース部52及び第二ベース部53に着脱自在に取り付けられる。X軸方向における取付部68の電極積層体10と対向する側面には、当該側面からノズル62にかけて設けられたバネ状の弾性部67を有する。弾性部67は、第一接続部63が電極積層体10に押しられていない状態において、Z軸方向から見たときに、第一接続部63が第一ベース部52及び第二ベース部53からX軸方向に突出するように第一接続部63(ノズル62)を付勢した状態で支持している。そして、第一接続部63が電極積層体10に押し付けられたとき、本体管61及びノズル62はX軸方向(本体管61の延在方向)に取付部68側へ移動する。このとき、弾性部67はノズル62と取付部68との間で圧縮されて、ノズル62及び第一接続部63を電極積層体10に対して付勢する。第一ベース部52には、挿通孔52aが形成され、第二ベース部53には、挿通孔53aが形成され、取付部68には、一対の挿通孔68a,68aが形成されている。
【0074】
第一ベース部52の挿通孔52aに挿通された挿通部材69を取付部68の一方の挿通孔68aに挿入することで、第一ベース部52と取付部68とが固定される。第一ベース部52の挿通孔52aに挿通された挿通部材69が取付部68の一方の挿通孔68aから抜き出されることで、第一ベース部52と取付部68とが分離される。同様に、第二ベース部53の挿通孔53aに挿通された挿通部材69を取付部68の他方の挿通孔68aに挿入することで、第二ベース部53と取付部68とが固定される。第二ベース部53の挿通孔53aに挿通された挿通部材69が取付部68の他方の挿通孔68aから抜き出されることで、第二ベース部53と取付部68とが分離される。
【0075】
第一ベース部52及び第二ベース部53には、第一ユニット100と第二ユニット200とを着脱自在にする固定部55が形成されている。固定部55は、第一ベース部52及び第二ベース部53において着脱方向であるX軸方向に突出する張出部55a,55aと、張出部55a,55aのそれぞれに形成される挿通孔55b,55bと、を含んで構成される。
【0076】
ここで、第一ユニット100に第二ユニット200を取り付ける手順について説明する。第一ベース部52の張出部55aと一方の拘束部材30の張出部35aとを重ねた状態で第一ベース部52の挿通孔55bと一方の拘束部材30の挿通孔35bとに挿通部材56が挿通されると、第一ベース部52と一方の拘束部材30とが固定される。第二ベース部53の張出部55aと他方の拘束部材30の張出部35aとを重ねた状態で第二ベース部53の挿通孔55bと他方の拘束部材30の挿通孔35bとに挿通部材56が挿通されることで、第二ベース部53と他方の拘束部材30とが固定される。これにより、第一ユニット100に、第二ユニット200が取り付けられる。
【0077】
上記の固定部55を介して、第一ベース部52及び第二ベース部53が一対の拘束部材30,30に固定されたときに、流路部60は、電極積層体10の開口部20bに液密に接続される。本実施形態では、第一ユニット100に、第二ユニット200が取り付けられたとき、弾性部67によって第一接続部63が電極積層体10に対して付勢して押しつけられることによって、第一接続部63の各流路63aと各開口部20bとが液密に接続され、電極積層体10の各開口部20bと、流路部60に形成される各流路61a,62a,63aと、が連通される。
【0078】
なお、第一ユニット100及び第二ユニット200は、第二ユニット200を第一ユニット100の取付位置(第一ベース部52の挿通孔55bと一方の拘束部材30の挿通孔35bとの両方に挿通部材56を挿通できる位置であり、かつ第二ベース部53の挿通孔55bと他方の拘束部材30の挿通孔35bとの両方に挿通部材56を挿通できる位置)にまで相対移動可能に構成されている。
【0079】
具体的には、第一ユニット100及び第二ユニット200は、第二ユニット200が第一ユニット100に取り付けられたとき、一方の拘束部材30に形成される固定部35と他方の拘束部材30に形成される固定部35とは、Z軸方向において、第一ベース部52に形成される固定部55と第二ベース部53に形成される固定部55との間に配置されるように構成されている。第二ユニット200は、第一ユニット100への取付位置にまで、Y軸方向にスライド移動可能に設けられている。なお、本実施形態では、第一ユニット100と第二ユニット200とは、X軸方向にもスライド移動可能に設けられている。
【0080】
次に、第一ユニット100から第二ユニット200を取り外す手順について説明する。挿通部材56が第一ベース部52の挿通孔55b及び一方の拘束部材30の挿通孔35bから抜き出され、第二ベース部53の挿通孔55b及び他方の拘束部材30の挿通孔35bから挿通部材56が抜き出されると、第一ベース部52と一方の拘束部材30とが分離され、第二ベース部53と他方の拘束部材30とが分離される。これにより、第二ユニット200が第一ユニット100から分離される。
【0081】
第二ユニット200の説明に戻り、接続部材70は、
図8に示されるように、鉛直上方から被接続部110が連結される部分である。接続部材70は、本体管61の延在方向において、本体管61にノズル62が取り付けられる端部とは反対側の端部に設けられる。接続部材70には、本体管61の各流路61aに連通して媒体が流通する複数の流路71が形成されている。流路71は、流路61aに連通する一端と、当該一端と反対側の他端との間で、流路61aの延在方向(X軸方向)から鉛直上方(Z軸方向の正側)に向けて屈曲する屈曲部71aを有する。
【0082】
流路71のうち、屈曲部71aから他端の間の部分は、鉛直上方に沿って延びている。各流路71の他端には、接続部材70に形成された凸状の複数の第二接続部72が設けられている。複数の第二接続部72は、X軸方向に沿って配設されている。第二接続部72と被接続部110との接続部分のそれぞれは、流路61a,62a,63a,71を介して連通する各開口部20bよりも鉛直上方に位置している。また、第二接続部72のそれぞれは、流路61a,62a,63a,71及び開口部20bを介して連通する各空間Sよりも鉛直上方に位置している。
【0083】
被接続部110の一例は、電解液19が供給される供給配管120の先端部113である。例えば、供給工程S5では、接続部材70に供給配管120が連結される。接続部材70と供給配管120との連結は、第二接続部72に、供給配管120の先端部113に形成された凹部112とを嵌合させることによって行われる。先端部113には、第二接続部72と先端部113との連結を容易にするための誘導部114が形成されている。誘導部114は、第二接続部72を先端部113の凹部112に誘導する。
【0084】
先端部113と第二接続部72との連結を容易にするための構成は、上述した構成に限定されるものではなく、例えば、
図10(B)に示されるように、接続部材70に形成された棒状の被誘導部73を、先端部113Aに形成された誘導部114Aによって誘導する構成であってもよい。この構成であっても、被誘導部73を誘導部114Aに誘導することによって間接的に、第二接続部72を先端部113Aの凹部112に誘導することができる。
【0085】
以上に説明したように、本実施形態の第一ユニット100は、電極積層体10に取り付けられることで、電極積層体10をZ軸方向に所定の荷重を負荷した状態で拘束することができる。また、本実施形態の第二ユニット200は、第一ユニット100に取り付けられることで、電極積層体10の開口部20bに流路部60を接続することができる。
【0086】
以下では、蓄電モジュール1の製造方法の作用効果について説明する。上記実施形態の蓄電モジュール1の製造方法では、Z軸方向が鉛直方向に沿うように一方の拘束部材30に載置された電極積層体10の開口部20bは、水平方向に沿う方向に開口している。このように水平方向に沿う方向に開口する開口部20bから電解液19が供給された電極積層体10では、開口部20bから電解液19が漏れ出す可能性が高くなる。この点、上記実施形態の蓄電モジュール1の製造方法では、供給工程S5の後も、第二接続部72における被接続部110に対する接続部分が開口部20bよりも鉛直方向の上方に位置する第二ユニット200を取り外すことなく次の工程が実施される場所まで搬送されるので、搬送中に電極積層体10から電解液19が漏れ出すことを抑制できる。この結果、電解液19を注入した後の電極積層体10を、電極積層体10が鉛直方向に積層された状態のままかつ開口部20bから電解液19が漏れ出すことを抑制しつつ、一連の製造工程を実施することができる。
【0087】
上記実施形態の蓄電モジュール1の製造方法では、接続工程S4では、第一接続部63が電極積層体10に対して付勢されるので、電極積層体10の開口部20bに第二ユニット200をより液密に接続することができる。
【0088】
上記実施形態の蓄電モジュール1の製造方法では、供給工程S5の前に、Z軸方向に所定圧力で拘束する拘束部材30,30を電極積層体10に取り付ける拘束工程S3を含んでいる。これにより、電解液19を供給する時に開口部20b近傍の集電体15が変形してZ軸方向に膨らんで、電解液19が開口部20b近傍に留まってしまい空間Sの内部まで電解液19が供給されない事態となることを抑制することができる。
【0089】
上記実施形態の蓄電モジュール1の製造方法では、拘束工程S3では、拘束部材30,30の一の側面30eと電極積層体10において開口部20bが形成された側面20aとが面一となるように、電極積層体10に拘束部材30,30が取り付けられる。これにより、開口部20bに接続される例えば第二ユニット200等の部材が、拘束部材30,30に干渉することを抑制することができ、開口部20bに第二ユニット200を取り付けるときの作業性を向上させることができる。
【0090】
上記実施形態の蓄電モジュール1の製造方法では、第一ユニット100と第二ユニット200とは互いに着脱可能に構成されており、接続工程S4では、第一ユニット100に第二ユニット200を取り付けることにより、電極積層体10の開口部20bに第一接続部63が接続される。これにより、第一ユニット100に第二ユニット200を取り付ける簡易な作業によって開口部20bに第一接続部63が接続されるので、開口部20bに第一接続部63を取り付けるときの作業性を向上させることができる。
【0091】
上記実施形態の蓄電モジュール1の製造方法において活性化工程S7では、活性化に伴って空間Sから排出されるガスを接続部材70を介して排出させている。これにより、容易に排気設備に接続することができるので、活性化工程での作業性を向上させることができる。
【0092】
上記実施形態の蓄電モジュール1の製造方法において活性化工程では、接続部材70に被接続部110としてのガスバッグを接続させてもよい。この方法では、大規模な設備に接続されることなく、簡易な準備作業によって活性化工程で排気されるガスを捕集することができる。
【0093】
上記実施形態の蓄電モジュール1の製造方法における封止工程では、電極積層体10の開口部20bが鉛直上方を向くように電極積層体10の体勢を変えた後、開口部20bから第二ユニット200を取り外し、開口部20bを封止する。これにより、開口部20bを封止するときには、開口部20bが上方を向くように体勢が代えられるので、第二ユニット200の取り外しの際に開口部20bから電解液19が漏れ出すことを抑制できる。
【0094】
以上、一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られない。発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0095】
(変形例1)
上記実施形態の第一ユニット100の固定部35の構成に代えて、
図11に示される固定部135の構成にすると共に、上記実施形態の第二ユニット200の固定部55の構成に代えて、
図11に示される固定部155の構成としてもよい。具体的には、第一ユニット100の固定部135は、一対の拘束部材30,30において着脱方向であるX軸方向に突出する張出部35a,35aと、張出部35a,35aのそれぞれに形成される挿通孔35b,35bと、張出部35a,35aのそれぞれに形成される凹部35c,35cと、を含んで構成される。第二ユニット200の固定部155は、一対のベース部51,51において着脱方向であるX軸方向に突出する張出部55a,55aと、張出部55a,55aのそれぞれに形成される挿通孔55b,55bと、張出部55a,55aのそれぞれに形成される凸部55c,55cと、を含んで構成される。凹部35c,35c及び凸部55c,55cは、それぞれY軸方向に沿って延びている。凹部35c,35cは、張出部35a,35aのY軸方向の一端から他端にかけて形成されている。凸部55c,55cは、張出部55a,55aのY軸方向の一端から他端にかけて形成されている。
【0096】
変形例1に係る第一ユニット100及び第二ユニット200の構成では、第二ユニット200の固定部155に形成される凸部55cを第一ユニット100の固定部135に形成される凹部35cに嵌合させる簡易な作業で、第一ユニット100に対する第二ユニット200のX軸方向への移動を規制できる。変形例1の第二ユニット200は、上記実施形態の第二ユニット200と異なり、第一ユニット100への取付位置にまで、Y軸方向に沿ってスライド移動させることにより着脱される。変形例1の第二ユニット200を第一ユニット100に着脱する際には、Z軸方向から見たときに、第一接続部63が第一ベース部52及び第二ベース部53からX軸方向に突出しないように、第一接続部63(ノズル62)をX軸方向に圧縮した状態で、第二ユニット200がY軸方向に沿ってスライド移動させる。挿通孔35b,55bに挿通部材56が挿通されると、第一ユニット100に対する第二ユニット200のY軸方向への移動が規制される。
【0097】
(変形例2)
上記実施形態及び変形例では、第一ユニット100と第二ユニット200とが、第一ユニット100に形成された固定部35と第二ユニット200に形成された固定部55とを介して互いに固定される例を挙げて説明したが、例えば
図13(A)に示されるような接続片80を介して互いに固定されてもよい。接続片80は、互いに対向する一対の板状の第一部分81,81と、第一部分81,81同士を接続する板状の第二部分82と、第一部分81,81から第一部分81,81の対向方向(Z軸方向)に向けて突出する一対の突出部83,83と、を有している。以下、このような接続片80を用いて接続される第一ユニット100及び第二ユニット200の特有の構成について説明する。
【0098】
図12(A)に示される第一ユニット100は、説明の便宜のため規制部材40の記載を省略する。第一ユニット100を構成する一対の拘束部材30,30のそれぞれには、接続片80の突出部83が嵌合可能な凹部31dが形成されている。より詳細には、凹部31dは、一対の拘束部材30,30のそれぞれにおける本体部31の外側面31bに形成されている。また、第二ユニット200を構成する一対のベース部51,51のそれぞれには、接続片80の突出部83が嵌合可能な凹部51dが形成されている。より詳細には、凹部51dは、一対のベース部51,51のそれぞれにおける外側面51aに形成されている。
図12(B)に示されるように、凹部31d,51dのY軸方向におけるサイズL1は、
図13(A)に示される突出部83のY軸方向におけるサイズL1と略同等に形成されている。
【0099】
図13(B)に示されるように、第一ユニット100に対する第二ユニット200の取り付けは、凹部31d,51dが形成された第一ユニット100及び第二ユニット200をX軸方向に並べた後、第一ユニット100及び第二ユニット200の凹部31d,51dに突出部83,83が挿入されるように、Y軸方向から接続片80を取り付ける。なお、変形例2の第一ユニット100では、規制部材40のX軸方向におけるサイズが、上記実施形態と比べて短く形成されている。このため、上述の方法により取り付けられた接続片80と規制部材40とは互いに干渉することなくX軸方向に横並びして配置される。このとき、接続片80の第二部分82と規制部材40の接続部42とは、Y軸方向に面一(段差が無い状態)となることが好ましい。
【0100】
変形例2に係る第一ユニット100及び第二ユニット200では、上記実施形態及び変形例1と同様に、固定部35,55に挿通孔35b,55bが設けられ、当該挿通孔35b,55bに挿通部材56が挿通されてもよいし、固定部35,55に挿通孔35b,55bは設けられなくてもよい。また、拘束部材30に形成された凹部31dに代えて凸部を形成し、ベース部51に形成された凹部51dに代えて凸部を形成し、このような凸部に嵌合可能な凹部が形成された接続片80を用いて、第一ユニット100に第二ユニット200を固定してもよい。
【0101】
(変形例3)
上記変形例2と同様に、第二ユニット200は、
図14(B)に示されるような接続片80Aを用いて、第一ユニット100に取り付けてもよい。接続片80Aが、変形例2に係る接続片80と異なるのは、板状の本体板85と、本体板85から突出する一対の突出部86,86と、を備える点である。
【0102】
また、
図14(B)に示されるように、第一ユニット100及び第二ユニット200は、上記実施形態で説明した構成に加え、一対の拘束部材30,30のそれぞれにおける本体部31の外側面31bにY軸方向に延在する凹部31eが形成され、一対のベース部51,51のそれぞれにおける外側面51aにY軸方向に延在する凹部51eが形成されている。これらの凹部31e,51eは、接続片80Aの突出部86が嵌合可能に形成されている。より詳細には、凹部31eの外側面31bに対する深さ及び凹部51eの外側面51aに対する深さは、突出部86のZ軸方向における高さと略同等に形成されている。
【0103】
図14(C)に示されるように、第一ユニット100に対する第二ユニット200の取り付けは、凹部31e,51eが形成された第一ユニット100及び第二ユニット200をX軸方向に並べた後、第一ユニット100及び第二ユニット200の凹部31e,51eに突出部86,86が挿入されるように、Z軸方向から接続片80Aが取り付けられる。なお、変形例3では、接続片80Aを第一ユニット100及び第二ユニット200に取り付けたときに、接続片80Aと規制部材40とが互いに干渉しないように、規制部材40のX軸方向におけるサイズ及び接続片80AのX軸方向におけるサイズが適宜調整される。なお、拘束部材30に形成された凹部31eに代えて凸部を形成し、ベース部51に形成された凹部51eに代えて凸部を形成し、このような凸部に嵌合可能な凹部が形成された接続片80Aを用いて、第一ユニット100に第二ユニット200を固定してもよい。
【0104】
(変形例4)
上記実施形態及び変形例の第二ユニット200の第一接続部63の先端面63cは、
図9に示されるようにフラットに形成され、電極積層体10の側面20aには枠部20c(枠部連結体20d)が形成されている例を挙げて説明したが、これに限定されない。
図15(A)、
図15(B)、
図15(C)及び
図16(A)に示されるように、例えば、第一接続部63の先端面63cには、流路63aを取り囲むように突出する突出部63bが形成され、電極積層体10の側面20aには枠部20c(枠部連結体20d)が形成されていなくてもよい。例えば、突出部63bの先端の断面形状は、半円状に形成されている。このように、第一接続部63に突出部63bが形成される構成であれば、電極積層体10の側面20aに枠部20c(枠部連結体20d)が形成されていなくても、第一接続部63と電極積層体10との密着性を高めることができる。
【0105】
また、突出部63bの先端の断面形状は、
図16(A)に示されるような半円状だけでなく、
図16(B)に示されるような角状、
図16(C)及び
図16(D)に示されるようなテーパ状、
図16(E)に示されるようなM字状に形成されていてもよい。
【0106】
(変形例5)
上記実施形態及び変形例の第二ユニット200では、第一接続部63が把持部62Eによってノズル62に取り付けられる例を挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、
図17(A)~
図17(C)に示されるように、Y軸方向における両端部近傍に帯状の磁石63M,63Mが埋め込まれた第一接続部63を採用することによって、磁性を有するステンレス鋼製のノズル62に固着してもよい。この構成では、ノズル62の外周面に把持部62Eを設ける必要がないので、流路部60のサイズを小さくすることができる。これにより、電極積層体10の開口部20bの数が増え、その数に合わせて流路部60を増やす場合であっても、流路部60同士が干渉し合うことを抑制できる。
【0107】
また、
図18に示されるように、上記実施形態と同様に第一接続部63の把持部62Eを設ける場合であっても、ノズル62の先端から電極積層体10が配置される側に突出させ、第一接続部63のZ軸方向における両端を把持させてもよい。この場合には、一対の拘束部材30,30のX軸方向における第二ユニット200側の側面30eが、電極積層体10において開口部20bが形成される側面20aよりも後方に離間するように電極積層体10に第一ユニット100が取り付けられる。すなわち、第一ユニット100には、第一接続部63が電極積層体10の側面20aに押し付けられたときの把持部62Eの逃げ部分が形成される。この構成では、第一接続部63を把持部62Eによってノズル62に取付可能な形状に作成する必要が無くシンプルな形状にできるので、第一接続部63の加工費用を削減することができる。
【0108】
(変形例6)
上記実施形態及び変形例に係る第二ユニット200の第一ベース部52の構成に加え、
図19(A)に示されるような確認窓52Wを形成してもよい。確認窓52Wは、第一ユニット100に第二ユニット200が取り付けられた電極積層体10の第一接続部63と枠部連結体20d(開口部20b)との接続状態をZ軸方向から視認するために設けられる開口部分である。したがって、確認窓52Wは、枠部連結体20dの数に対応して形成されている。作業者は、確認窓52WをZ軸方向から見ることにより、第一接続部63と枠部連結体20dとの接続部分を視認することができる。
【0109】
確認窓52Wが形成される位置は、第一ユニット100(一対の拘束部材30,30)が電極積層体10をどのように挟持するかに合わせて形成される。より詳細には、確認窓52Wの形成位置は、X軸方向における電極積層体10の側面20a(開口部20bが形成されている側面20a)とX軸方向における拘束部材30の側面30eとの位置関係に基づいて設定される。
図19(B)に示される確認窓52Wの位置は、X軸方向において電極積層体10の枠部連結体20dが拘束部材30の側面30eから突出するように、第一ユニット100が電極積層体10を挟持することを前提とした場合に対応する一例を示している。
【0110】
図20(A)は、一方の拘束部材30に切欠状の確認窓30Wが形成され、第一ベース部52に切欠状の確認窓52Wが形成されている。確認窓30W及び確認窓52Wは、互いに組み合わされることによって一つの開口された確認窓を形成している。
図20(A)に示される確認窓30W及び確認窓52Wの位置は、X軸方向において電極積層体10の枠部連結体20dが拘束部材30の側面30eから少し突出するように、第一ユニット100が電極積層体10を挟持すること、又は、X軸方向において電極積層体10の枠部連結体20dと拘束部材30の側面30eとが面一となるように、第一ユニット100が電極積層体10を挟持することを前提とした場合に対応する一例を示している。
【0111】
図20(B)は、第一ベース部52に切欠状の確認窓52Wが形成されている。
図20(B)に示される確認窓52Wの位置も、X軸方向において電極積層体10の枠部連結体20dが拘束部材30の側面30eから突出するように、第一ユニット100が電極積層体10を挟持することを前提とした場合に対応する一例を示している。
図20(C)は、拘束部材30に確認窓30Wとしての開口部が形成されている。
図20(C)に示される確認窓30Wの位置は、X軸方向において電極積層体10の枠部連結体20dが拘束部材30の側面30eから控えるように第一ユニット100が電極積層体10を挟持することを前提とした場合に対応する一例を示している。
【0112】
なお、
図19(A)、
図20(A)、
図20(B)及び
図20(C)の何れの確認窓30W,52Wも、Z軸方向から見たときにY軸方向における第一接続部63の全て視認できるサイズに形成されている例を挙げて説明したが、例えば、少なくともY軸方向における第一接続部63の両端部が確認できるようなサイズの確認窓を設けてもよい。このような確認窓の構成とすれば、電極積層体10に対する拘束部材30及び/又は第一ベース部52の拘束面積を増やすことができる。
【0113】
(変形例7)
上記実施形態の第一ユニット100及び第二ユニット200に代えて、
図21に示されるような第一ユニット100A及び第二ユニット(流路ユニット)200Aを用いてもよい。この変形例7に係る第一ユニット100Aが上記実施形態及び変形例に係る第一ユニット100と異なるのは、
図21に示されるように、上記一対の拘束部材30,30のうち、Z軸方向下方に配置される拘束部材131AがZ軸方向上方に配置される拘束部材131BよりもX軸方向に長い点である。更に詳細には、拘束部材131Aは、拘束部材131Bと比べてX軸方向へ電極積層体10から突出するように延びている。また、変形例7に係る第二ユニット200Aが上記実施形態及び変形例に係る第二ユニット200と異なるのは、一対のベース部51を有さない点である。すなわち、第二ユニット200において、本体管61と、ノズル62と、第一接続部63と、弾性部67と、接続部材70と、を有する流路部60は、取付部68を介して第一ユニット100の拘束部材131Aに取り付けられる。
【0114】
取付部68は、拘束部材131Aに対して着脱自在に取り付けられる。例えば、取付部68は、取付部68に形成された挿通孔68a,68aと拘束部材131Aに形成された挿通孔(図示せず)に挿通部材69,69が挿通されることによって、拘束部材131Aに取り付けられる。このとき、流路部60は、電極積層体10の開口部20bに液密に接続される。また、取付部68は、挿通孔68a,68aと拘束部材131Aに形成された挿通孔とから挿通部材69,69を抜き出すことによって、拘束部材131Aから取り外される。
【0115】
なお、基本的には、変形例7に係る第一ユニット100A及び第二ユニット200Aの構成に類似するが、
図22に示されるように、接続部材70が、X軸方向において取付部68よりも電極積層体10側に配置されてもよい。この場合には、弾性部67が、本体管61と、ノズル62と、第一接続部63と、接続部材70とを、X軸方向に付勢する。
【0116】
また、基本的には、変形例7に係る第一ユニット100A及び第二ユニット200Aの構成に類似するが、
図23に示されるように、Z軸方向上方に配置される拘束部材131CとZ軸方向下方に配置される拘束部材131AとのX軸方向におけるサイズが同じであってもよい。取付部68は、例えば、拘束部材131Cに形成された挿通孔131Ca,131Caと、取付部68に形成された挿通孔68a,68aと、拘束部材131Aに形成された挿通孔(図示せず)と、に挿通部材69,69が挿通されることによって、拘束部材131C及び拘束部材131Aに取り付けられる。このとき、流路部60は、電極積層体10の開口部20bに液密に接続される。また、取付部68は、挿通孔131Ca,131Caと、挿通孔68a,68aと、拘束部材131Aに形成された挿通孔とから挿通部材69,69を抜き出すことによって、拘束部材131Aから取り外される。
【0117】
図21~
図23では、一対の拘束部材30,30を拘束する規制部材40,40の図示は省略しているが、圧縮された状態の電極積層体10を挟持して、その電極積層体10が伸張することを規制部材40,40によって規制する点は同じである。
【0118】
(その他の変形例)
上記実施形態及び一部の変形例では、一対の拘束部材30,30を規制部材40,40によって挟持することで電極積層体10を拘束していたが、これに限られない。例えば、規制部材40,40を用いず、一対の拘束部材30,30に複数のボルトを挿通させた上で、各ボルトにナットを締結し、当該締結力によって電極積層体10を拘束してもよい。
【0119】
上記実施形態及び変形例では、
図1に示されるように、集電体15の第一面15aに正極活物質層16が塗工され、集電体15の第二面15bに負極活物質層17が塗工されたバイポーラ電極11がセパレータ14を介して積層された構成の蓄電モジュール1を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、
図24に示されるように、第一面15Aaに正極活物質層16が塗工された集電体115Aの第二面15Abと、第二面115Baに負極活物質層17が塗工された集電体115Bの第二面115Bbとを接触させ、互いに接する集電体115A及び集電体115Bを一つの集電体とする疑似的なバイポーラ電極11Aがセパレータ14を介して積層された構成の蓄電モジュール1Aであってもよい。
【符号の説明】
【0120】
1,1A…蓄電モジュール、10…電極積層体(積層体)、11,11A…バイポーラ電極(電極)、12…負極終端電極(電極)、13…正極終端電極(電極)、14…セパレータ、15,115A,115B…集電体、19…電解液、20…封止部、20a…側面、20b…開口部、20c…枠部、20d…枠部連結体、25…封止シート、30…拘束部材(搬送パレット)、40…規制部材、51…ベース部、60…流路部、61…本体管、62…ノズル、63…第一接続部、70…接続部材、72…第二接続部、100,100A…第一ユニット、110…被接続部、120…供給配管、200,200A…第二ユニット(流路ユニット)、D…積層方向、HB…被挟持体、J…拘束治具、S…空間。