(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】車両、サーバおよび送電装置
(51)【国際特許分類】
B60L 53/124 20190101AFI20241106BHJP
B60M 7/00 20060101ALI20241106BHJP
B60L 5/00 20060101ALI20241106BHJP
H02J 50/60 20160101ALI20241106BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20241106BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20241106BHJP
H02J 50/40 20160101ALI20241106BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
B60L53/124
B60M7/00 X
B60L5/00 B
H02J50/60
H02J50/80
H02J50/10
H02J50/40
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
(21)【出願番号】P 2021138811
(22)【出願日】2021-08-27
【審査請求日】2024-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津下 聖悟
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 真輝
(72)【発明者】
【氏名】高橋 祐希
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-502538(JP,A)
【文献】国際公開第2012/176264(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/002634(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0259682(US,A1)
【文献】中国実用新案第212289530(CN,U)
【文献】特開2023-29011(JP,A)
【文献】特開2023-23162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00- 3/12
B60L 7/00-13/00
B60L 15/00-58/40
B60M 7/00
H02J 50/10
H02J 50/40
H02J 50/60
H02J 50/80
H02J 7/00- 7/12
H02J 7/34- 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両外部の送電部から非接触で受電する受電部と、
前記受電部が前記送電部から受電しているときに、前記車両の周囲に設定された検知領域における検知対象を検知するように構成された検知部と、
前記検知部により前記検知対象が検知された場合に、前記送電部の送電電力を低減させる制御部とを備えた車両であって、
前記送電部が設置される設置領域の周囲には、車線領域と、歩道領域とが位置しており、
前記車線領域は、前記設置領域に対して第1方向に位置しており、
前記歩道領域は、前記設置領域に対して第2方向に位置しており、
前記検知領域は、第1部分領域と、第2部分領域とを含み、
前記第1部分領域は、前記車両に対して前記第1方向に位置しており、
前記第2部分領域は、前記車両に対して前記第2方向に位置しており、
前記受電部が前記送電部から受電しているときに前記車両の上方から前記車両を平面視したときに、前記車両から、前記第1方向における前記第1部分領域の外側外縁までの長さは、前記車両から、前記第2方向における前記第2部分領域の外側外縁までの長さよりも、短い、車両。
【請求項2】
前記第1部分領域は、前記車両および前記車線領域の間に設定されている、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記第2部分領域は、前記歩道領域に達するように設定されている、請求項1または請求項2に記載の車両。
【請求項4】
前記第1方向および前記第2方向は、前記車両の現在位置の周辺の道路の情報を示す道路情報に従って認識される、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両。
【請求項5】
前記車両は、さらに、
第1リアドアと、
前記第1リアドアに対向する第2リアドアとを備え、
前記第2方向は、前記第1リアドアが開いており、かつ、前記第2リアドアが閉じている場合に、前記第2リアドアから前記第1リアドアへの方向として認識される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車両。
【請求項6】
車両の外部の送電部から非接触で受電する受電部と、前記受電部が前記送電部から受電しているときに、前記車両の周囲に設定された検知領域における検知対象を検知するように構成された検知部とを備えたシステムのサーバであって、
前記送電部が設置される設置領域の周囲には、車線領域と、歩道領域とが位置しており、
前記車線領域は、前記設置領域に対して第1方向に位置しており、
前記歩道領域は、前記設置領域に対して第2方向に位置しており、
前記検知領域は、第1部分領域と、第2部分領域とを含み、
前記第1部分領域は、前記車両に対して前記第1方向に位置しており、
前記第2部分領域は、前記車両に対して前記第2方向に位置しており、
前記サーバは、
前記検知部により前記検知対象が検知されたことを示す検知情報を取得する取得部と、
前記取得部が前記検知情報を取得した場合に、前記送電部の送電電力を低減させる制御部とを備え、
前記受電部が前記送電部から受電しているときに前記車両の上方から前記車両を平面視したときに、前記車両から、前記第1方向における前記第1部分領域の外側外縁までの長さは、前記車両から、前記第2方向における前記第2部分領域の外側外縁までの長さよりも、短い、サーバ。
【請求項7】
前記第1部分領域は、前記車両および前記車線領域の間に設定されている、請求項6に記載のサーバ。
【請求項8】
前記第2部分領域は、前記歩道領域に達するように設定されている、請求項6または請求項7に記載のサーバ。
【請求項9】
前記第1方向および前記第2方向は、前記車両の現在位置の周辺の道路の情報を示す道路情報に従って認識される、請求項6から請求項8のいずれか1項に記載のサーバ。
【請求項10】
前記車両は、さらに、
第1リアドアと、
前記第1リアドアに対向する第2リアドアとを備え、
前記第2方向は、前記第1リアドアが開いており、かつ、前記第2リアドアが閉じている場合に、前記第2リアドアから前記第1リアドアへの方向として認識される、請求項6から請求項9のいずれか1項に記載のサーバ。
【請求項11】
車両に搭載される受電部に非接触で送電する送電部と、
前記送電部が前記受電部に送電しているときに、前記車両の周囲に設定された検知領域における検知対象を検知するように構成された検知部と、
前記検知部により前記検知対象が検知された場合に、前記送電部の送電電力を低減させる制御部とを備えた送電装置であって、
前記送電部が設置される設置領域の周囲には、車線領域と、歩道領域とが位置しており、
前記車線領域は、前記設置領域に対して第1方向に位置しており、
前記歩道領域は、前記設置領域に対して第2方向に位置しており、
前記検知領域は、第1部分領域と、第2部分領域とを含み、
前記第1部分領域は、前記車両に対して前記第1方向に位置しており、
前記第2部分領域は、前記車両に対して前記第2方向に位置しており、
前記受電部が前記送電部から受電しているときに前記車両の上方から前記車両を平面視したときに、前記車両から、前記第1方向における前記第1部分領域の外側外縁までの長さは、前記車両から、前記第2方向における前記第2部分領域の外側外縁までの長さよりも、短い、送電装置。
【請求項12】
前記第1部分領域は、前記車両および前記車線領域の間に設定されている、請求項11に記載の送電装置。
【請求項13】
前記第2部分領域は、前記歩道領域に達するように設定されている、請求項11または請求項12に記載の送電装置。
【請求項14】
前記第1方向および前記第2方向は、前記車両の現在位置の周辺の道路の情報を示す道路情報に従って認識される、請求項11から請求項13のいずれか1項に記載の送電装置。
【請求項15】
前記車両は、さらに、
第1リアドアと、
前記第1リアドアに対向する第2リアドアとを備え、
前記第2方向は、前記第1リアドアが開いており、かつ、前記第2リアドアが閉じている場合に、前記第2リアドアから前記第1リアドアへの方向として認識される、請求項11から請求項14のいずれか1項に記載の送電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両、サーバおよび送電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2012-165497号公報(特許文献1)は、車両用の非接触給電システムを開示する。非接触給電システムは、給電装置(送電装置)と、受電装置と、生体検知手段と、非接触給電制御装置とを備える。給電装置は、車両の外部に設けられる。受電装置は、車両に設けられる。生体検知手段は、車両の周囲の検知領域における生体の存在を検知する。非接触給電制御装置は、給電装置が受電装置に給電している間に生体検知手段により生体の存在が検知された場合に、生体の存在が検知されていない場合と比べて、給電装置から受電装置への給電電力を制限する(送電電力を低減させる)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
送電装置が設置される設置領域の周囲には、車線領域と、歩道領域とが位置していることがある。歩道領域において、多くの人が居るケースが想定される。この際、人が電気機器を所持している場合には、車両外部の送電部から車両の受電部が受電している間(非接触電力伝送中)に発生する漏洩電磁界によって電気機器が影響を受けるという弊害が生じる。
【0005】
その一方で、車線領域において、歩道領域と比較して多くの人が居るケースは想定されにくい。むしろ、車線領域において他の車両が走行していることが想定される。このため、車両への非接触電力伝送中に、車線領域において走行している他の車両が検知領域に入ると、当該他の車両が検知され、送電部の送電電力が低減される可能性がある。その結果、車両への非接触電力伝送を良好に実施することができないという弊害が生じる。
【0006】
このように、従来技術においては、送電装置が設置される設置領域の周囲の領域の種類に応じて検知領域を設定することについて検討されておらず、上記のような弊害が生じるという課題があった。
【0007】
本開示は、上記のような課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、送電装置が設置される設置領域の周囲の領域の種類に応じて、各種弊害が生じることを抑制することができる車両、サーバおよび送電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の車両は、受電部と、検知部と、制御部とを備える。受電部は、車両外部の送電部から非接触で受電する。検知部は、受電部が送電部から受電しているときに、車両の周囲に設定された検知領域における検知対象を検知するように構成される。制御部は、検知部により検知対象が検知された場合に、送電部の送電電力を低減させる。送電部が設置される設置領域の周囲には、車線領域と、歩道領域とが位置している。車線領域は、設置領域に対して第1方向に位置している。歩道領域は、設置領域に対して第2方向に位置している。検知領域は、第1部分領域と、第2部分領域とを含む。第1部分領域は、車両に対して第1方向に位置している。第2部分領域は、車両に対して第2方向に位置している。受電部が送電部から受電しているときに車両の上方から車両を平面視したときに、車両から、第1方向における第1部分領域の外側外縁までの長さは、車両から、第2方向における第2部分領域の外側外縁までの長さよりも、短い。
【0009】
たとえば、携帯電話などの電気機器を携帯した歩行者が車両の周囲を歩行する際、車線領域よりも歩道領域を歩行する可能性の方が高い。その一方で、上記の構成によれば、車両の周囲において、歩行領域を歩行する歩行者を良好に検知することができ、車両の周囲の歩行者などの検知対象を検知すると送電電力を低減することができる。そのため、車両の周囲において、歩道領域を歩行する歩行者が電気機器を携帯していたとしても、送電の際に発生する漏洩電磁界によって当該電気機器が影響を受けることを抑制することができる。
【0010】
車線領域において、歩行者などは少ない一方で、車両などの検知対象が多く存在する。そして、送電時に発生する漏洩電磁界から車両などの検知対象が受ける影響は小さい。そして、車両などを検知する度に送電電力を低減すると、結果として電力伝送を良好に実施できなくなる。一方で、上記の構成によれば、車両100から、第1方向における第1部分領域の外側外縁までの長さが短いため、車線領域460を走行する車両100Aなどの検知対象430を検知することによる送電電力の低減を抑制することができる。その結果、電力伝送を良好に実施することができる。
【0011】
第1部分領域は、車両および車線領域の間に設定されていてもよい。
上記の構成によれば、車線領域における検知対象は、第1部分領域に入らないため、検知されない。よって、車両への非接触電力伝送中に、車線領域において走行している他の車両の検知に起因して送電部の送電電力が低減される事態を回避することができる。その結果、車両への非接触電力伝送を特に良好に実施することができる。
【0012】
第2部分領域は、歩道領域に達するように設定されていてもよい。
上記の構成によれば、歩道領域における検知対象が第2部分領域に入りやすくなるため、その検知対象の検知に起因して送電部の送電電力が低減されて漏洩電磁界が低減され易くなる。その結果、歩道領域における検知対象の電気機器への漏洩電磁界による影響を特に低減させ易くすることができる。
【0013】
第1方向および第2方向は、車両の現在位置の周辺の道路の情報を示す道路情報に従って認識されてもよい。
【0014】
車両は、さらに、第1リアドアと、第1リアドアに対向する第2リアドアとを備えていてもよい。第2方向は、第1リアドアが開いており、かつ、第2リアドアが閉じている場合に、第2リアドアから第1リアドアへの方向として認識されてもよい。
【0015】
上記の構成によれば、第1方向および第2方向が正確に認識される。その結果、第1部分領域および第2部分領域を正確に設定することができる。
【0016】
本開示のサーバは、車両の外部の送電部から非接触で受電する受電部と、受電部が送電部から受電しているときに、車両の周囲に設定された検知領域における検知対象を検知するように構成された検知部とを備えたシステムのサーバである。送電部が設置される設置領域の周囲には、車線領域と、歩道領域とが位置している。車線領域は、設置領域に対して第1方向に位置している。歩道領域は、設置領域に対して第2方向に位置している。検知領域は、第1部分領域と、第2部分領域とを含む。第1部分領域は、車両に対して第1方向に位置している。第2部分領域は、車両に対して第2方向に位置している。サーバは、取得部と、制御部とを備える。取得部は、検知部により検知対象が検知されたことを示す検知情報を取得する。制御部は、取得部が検知情報を取得した場合に、送電部の送電電力を低減させる。受電部が送電部から受電しているときに車両の上方から車両を平面視したときに、車両から、第1方向における第1部分領域の外側外縁までの長さは、車両から、第2方向における第2部分領域の外側外縁までの長さよりも、短い。
【0017】
第1部分領域は、車両および車線領域の間に設定されていてもよい。
第2部分領域は、歩道領域に達するように設定されていてもよい。
【0018】
第1方向および第2方向は、車両の現在位置の周辺の道路の情報を示す道路情報に従って認識されてもよい。
【0019】
車両は、さらに、第1リアドアと、第1リアドアに対向する第2リアドアとを備えていてもよい。第2方向は、第1リアドアが開いており、かつ、第2リアドアが閉じている場合に、第2リアドアから第1リアドアへの方向として認識されてもよい。
【0020】
本開示の送電装置は、送電部と、検知部と、制御部とを備える。送電部は、車両に搭載される受電部に非接触で送電する。検知部は、送電部が受電部に送電しているときに、車両の周囲に設定された検知領域における検知対象を検知するように構成される。制御部は、検知部により検知対象が検知された場合に、送電部の送電電力を低減させる。送電部が設置される設置領域の周囲には、車線領域と、歩道領域とが位置している。車線領域は、設置領域に対して第1方向に位置している。歩道領域は、設置領域に対して第2方向に位置している。検知領域は、第1部分領域と、第2部分領域とを含む。第1部分領域は、車両に対して第1方向に位置している。第2部分領域は、車両に対して第2方向に位置している。受電部が送電部から受電しているときに車両の上方から車両を平面視したときに、車両から、第1方向における第1部分領域の外側外縁までの長さは、車両から、第2方向における第2部分領域の外側外縁までの長さよりも、短い。
【0021】
第1部分領域は、車両および車線領域の間に設定されていてもよい。
第2部分領域は、歩道領域に達するように設定されていてもよい。
【0022】
第1方向および第2方向は、車両の現在位置の周辺の道路の情報を示す道路情報に従って認識されていてもよい。
【0023】
車両は、さらに、第1リアドアと、第1リアドアに対向する第2リアドアとを備えていてもよい。第2方向は、第1リアドアが開いており、かつ、第2リアドアが閉じている場合に、第2リアドアから第1リアドアへの方向として認識されてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本開示によれば、送電装置が設置される設置領域の周囲の領域の種類に応じて、各種弊害が生じることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本実施の形態における非接触電力伝送システムの全体構成を概略的に示す図である。
【
図2】カメラの位置調整方法を説明するための図である。
【
図3】検知部が検知対象を検知するための検知領域を説明するための図である。
【
図4】走行レーン用の送電装置の構成を詳細に示す図である。
【
図5】車両が駐車領域において非接触充電を実行しているときに検知領域が設定される様子を説明するための図である。
【
図6】車両が充電レーンを走行している間に検知領域が設定される様子を説明するための図である。
【
図7】本実施の形態における検知領域の設定方法を説明するための図である。
【
図8】本実施の形態における検知領域の設定方法を説明するための図である。
【
図9】本実施の形態における検知領域の具体的な設定方法を説明するための図である。
【
図10】ECUによる検知領域の具体的な設定方法を説明するための図である。
【
図11】実施の形態1に従う車両の非接触充電に伴う一連の処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図12】ECUによる検知領域の設定処理の詳細を示す図である。
【
図13】カメラが設置領域の上方に設けられている様子を示す図である。
【
図14】カメラが回転することによって、検知領域が設定される様子を示す図である。
【
図15】カメラが充電レーンの上方に設けられている様子を示す図である。
【
図16】実施の形態2における車両の非接触充電に伴う一連の処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図17】制御部による検知領域の設定処理の詳細の一例を示すフローチャートである。
【
図18】制御部による検知領域の設定処理の詳細の他の一例を示すフローチャートである。
【
図19】実施の形態3における車両の非接触充電に伴う一連の処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図20】サーバの処理部による検知領域の設定処理の詳細の一例を示すフローチャートである。
【
図21】処理部による検知領域の設定処理の詳細の他の一例を示す図である。
【0026】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明を繰り返さない。
【0027】
[実施の形態1]
図1は、本実施の形態における非接触電力伝送システムの全体構成を概略的に示す図である。
図1を参照して、非接触電力伝送システム10は、車両100と、送電装置90Aおよび送電装置90Bと、サーバ200とを備える。
【0028】
車両100は、走行用の蓄電装置が搭載された電動車であって、たとえば電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)である。車両100は、蓄電装置160と、受電装置180と、センサ部110と、撮像部120と、ドア部145と、検知部(画像処理部)170と、ナビゲーションシステム135と、充電ボタン137と、通信部140と、ECU(Electronic Control Unit)190とを備える。これらの構成要素は、CAN(Controller Area Network)通信などの車載ネットワーク150を通じて互いに接続されている。
【0029】
蓄電装置160は、走行用の電力を蓄える電力貯蔵要素である。蓄電装置160は、たとえば、リチウムイオン電池またはニッケル水素電池などの二次電池、および、電気二重層キャパシタなどの蓄電素子を含んで構成される。蓄電装置160の蓄電量は、例えば、SOC(State of Charge)により表される。蓄電装置160には、その電圧、電流および温度をそれぞれ検出する電圧センサ、電流センサおよび温度センサが設けられている(いずれも図示せず)。これらのセンサの検出値は、ECU190に出力される。
【0030】
受電装置180は、受電部181と、電力変換装置182と、リレー183とを含む。受電部181は、受電コイル(図示せず)を含む。受電部181は、車両100の外部の送電装置90Aの送電部92A、または、送電装置90Bの送電部92B(いずれも後述)から非接触で電力を受電する。
【0031】
電力変換装置182は、受電部181により非接触で受電された電力を、蓄電装置160の電圧レベルの直流電力に変換する。
【0032】
リレー183は、電力変換装置182と蓄電装置160との間に設けられる。受電部181が電力を受けている間に、電力変換装置182が作動するとともにリレー183が閉状態に制御されると、蓄電装置160が充電される。以下、受電部181により受電された電力を用いた蓄電装置160の充電を、車両100の「非接触充電」とも称する。
【0033】
送電装置90Aは、車両100の駐車領域に設けられる。送電装置90Aは、車両100の受電部181に非接触で送電するように構成される。送電装置90Aは、送電部92Aと、通信部95Aと、検知部(画像処理部)99Aと、制御部98Aとを含む。
【0034】
送電部92Aは、車両100に搭載される受電部181に電磁界を通して非接触で送電する。具体的には、送電部92Aは、送電コイル(図示せず)を含み、系統電源(図示せず)から送電コイルに交流電流が供給されると、この送電コイルの周囲に電磁界が形成される。そして、受電部181に設けられた受電コイルがこの電磁界を通じて受電する。これにより、送電部92Aから受電部181に電力が伝送される。
【0035】
通信部95Aは、車両100との間の近距離通信を確立するように構成される。通信部95Aは、例えば、送電装置90Aの情報を示す信号を近距離通信によって車両100に送信する。この信号は、送電装置90Aが車両100の受電部181に直ちに送電可能であることを示す信号(以下、送電装置90Aの「ファースト信号」とも称する)を含む。通信部95Aは、サーバ200と通信するように構成されていてもよい。検知部99Aは、検知部170(後述)と同様の機能を有する画像処理回路である。
【0036】
制御部98Aは、CPUなどのプロセッサおよびメモリを含む(いずれも図示せず)。制御部98Aは、メモリに格納されたプログラムに従って、送電部92A、通信部95Aおよび検知部99Aを制御する。
【0037】
送電装置90Bは、車両100が非接触充電を実行するために走行する走行レーンである充電レーン(後述)に設けられる。送電装置90Bは、送電部92Bと、通信部95Bと、検知部(画像処理部)99Bと、制御部98Bとを含む。検知部99Bは、検知部170(後述)と同様の機能を有する画像処理回路である。送電装置90Bの詳細な構成については、後ほど詳しく説明する。
【0038】
以下、送電装置90Aおよび送電装置90Bのうちいずれか一方を送電装置90と記載することがある。同様に、送電部92Aおよび送電部92Bのうちいずれか一方を送電部92と記載することがある。通信部95Aおよび通信部95Bのうちいずれか一方を通信部95と記載することがある。検知部99Aおよび検知部99Bのうちいずれか一方を検知部99と記載することがある。制御部98Aおよび制御部98Bのうちいずれか一方を通信部95と記載することがある。
【0039】
センサ部110は、超音波センサ112と、光センサ114とを含む。超音波センサ112は、発信器と、受信器とを含む(いずれも図示せず)。発信器は、車両100の周辺の対象物に向けて超音波を発信する。受信器は、対象物により反射された超音波(反射波)を受信するように構成される。そして、受信部により受信された反射波の強度(受信強度)に応じて、車両100の周囲の領域における対象物の有無が検知される。同様に、光センサ114は、照光器と、受光器とを含む(いずれも図示せず)。照光器は、車両100の周辺の対象物に向けて光波を照射する。受光器は、対象物により反射された光波を受信するように構成される。そして、受光器により受信された反射光の強度(受光強度)に応じて、車両100の周囲の領域における対象物の有無が検知される。超音波センサ112および光センサ114による対象物の検知方法ならびに検知結果の利用方法の詳細については、後ほど詳しく説明する。
【0040】
撮像部120は、カメラ121R,121F,122Rおよび122Lと、駆動機構125とを含む。カメラ121R,121F,122Rおよび122Lは、それぞれ、車両100の後方画像、前方画像、右方画像および左方画像を撮影する。本実施の形態では、これらのカメラは、魚眼カメラであるものとするが、これに限定されない。駆動機構125は、カメラ121R,121F,122Rおよび122Lに接続される。駆動機構125は、これらのカメラの位置を調整するために設けられる。これらのカメラの位置調整方法については、後ほど詳しく説明する。
【0041】
ドア部145は、リアドア147Aおよび147Bと、ドアセンサ148Aおよび148Bとを含む。リアドア147Aおよび147Bは、車両100のフロントドア(図示せず)の後方に設けられる。リアドア147Bは、リアドア147Aに対向する。
【0042】
ドアセンサ148Aは、リアドア147Aの開閉状態(開状態または閉状態のいずれであるか)を検出する。ドアセンサ148Bは、リアドア147Bの開閉状態を検出する。ドアセンサ148Aおよび148Bの検出結果を示す検出信号は、ECU190に出力される。
【0043】
検知部170は、送電部92から受電部181が電力を受電しているとき(車両100の非接触充電中)に、車両100の周囲に設定された検知領域(後述)における検知対象を検知するように構成される。検知部170は、画像処理回路である。検知部170は、カメラ121Rにより撮影された画像にパターン認識などの公知の画像処理技術を適用することによって、その画像における検知対象(一例として、人などの生体)を検知する。これにより、車両100の後方の検知対象が検知される。同様に、検知部170は、カメラ121F,カメラ122R,122Lにより撮影された画像における検知対象を検知する。このように、車両100の周囲(前方、後方、右方および左方)の検知対象が検知される。検知部170による検知結果を示す信号は、車載ネットワーク150を通じてECU190に出力される。
【0044】
ナビゲーションシステム135は、GPS(Global Positioning System)受信部130と、道路情報データ132とを含む。GPS受信部130は、人工衛星からの電波に基づいて車両100の現在位置を特定する。車両100の現在位置を示す位置情報は、ECU190またはサーバ200により利用される。道路情報データ132は、車両100の現在位置の周辺の道路の情報を含む道路情報を示す。
【0045】
充電ボタン137は、車両100の非接触充電が実行されることを希望するユーザにより操作される。ユーザは、充電ボタン137を操作することによって、充電ボタン137のオン/オフ状態を切り替えることができる。車両100の非接触充電は、充電ボタン137の状態がオン状態である場合に実行され、充電ボタン137の状態がオフ状態である場合には実行されない。充電ボタン137がオン状態またはオフ状態のいずれであるかを示す信号は、ECU190に入力される。充電ボタン137は、物理的なボタンであってもよいし、ソフトウェアにより実現されるボタン(例えば、タッチスクリーンに表示されるボタン)であってもよい。
【0046】
通信部140は、車両100の外部の送電装置90との間で近距離通信を確立するように構成される。さらに、通信部140は、インターネットなどの通信ネットワークを通じて、サーバ200と通信するように構成される。
【0047】
ECU190は、CPU191と、メモリ192と、入出力インターフェース193とを含んで構成される。メモリ192は、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを含む(いずれも図示せず)。ROMは、CPU191により実行されるプログラムなどを格納する。RAMは、CPU191により参照されるデータなどを一時的に格納する。
【0048】
ECU190は、各センサ信号、並びにメモリに記憶されたプログラム、データおよびマップなどに従って、車両100の各機器を制御する。一例として、ECU190は、センサ部110、撮像部120、通信部140、ドア部145、検知部170および受電装置180(電力変換装置182およびリレー183)を制御する。
【0049】
ECU190は、蓄電装置160の電圧、電流および温度に従って、蓄電装置160のSOCを算出する。SOCの算出手法として、OCV(Open Circuit Voltage)とSOCとの関係を示すOCV-SOCカーブ(マップなど)を用いた手法などの公知の手法が用いられる。
【0050】
ECU190は、送電装置90を用いて非接触充電を実行するように構成される。例えば、ECU190は、通信部140を通じて送電装置90に充電開始要求を送信するとともに、リレー183をオン状態に制御する。これにより、非接触充電が開始される。そして、蓄電装置160のSOCが充電しきい値に到達すると、ECU190は、車両100に電力を送電している送電装置90に、通信部140を通じて充電停止要求を送信する。これにより、接触充電が終了する。充電しきい値は、例えば、蓄電装置160が満充電されているときのSOCであり、実験などにより適宜予め定められる。
【0051】
ECU190は、検知部170が検知対象を検知するための領域である検知領域を設定するように構成されている。具体的には、ECU190は、駆動機構125を制御することによって、カメラ121R,121F,122Rおよび122Lの位置を調整する。これにより、ECU190は、検知領域の範囲を調整しつつ検知領域を設定することができる。検知領域は、サーバ200により設定されてもよい。検知領域の設定方法の詳細については、後述する。
【0052】
ECU190は、検知部170により検知対象が検知された場合に、車両100の受電部181に電力を送電している送電部92(作動中の送電部)の送電電力を低減させる。例えば、送電部92Aが作動している間に検知対象が検知された場合、ECU190は、送電部92Aの送電電力を低減させるための要求を、通信部140を通じて送電装置90Aに送信する。同様に、送電部92Bが作動している間に検知対象が検知された場合、ECU190は、送電部92Bの送電電力を低減させるための要求を、通信部140を通じて送電装置90Bに送信する。作動中の送電部92の送電電力を低減させることは、送電部92を停止することであってもよい。
【0053】
ECU190は、通信部140を通じて、サーバ200と各種情報をやり取りする。一例として、ECU190は、車両100の各種情報を示す車両情報をサーバ200に送信する。車両情報は、車両100の位置情報と、リアドア147Aおよび147Bの開閉状態を示す情報とを含む。検知領域がサーバ200により設定される場合には、ECU190は、サーバ200から、通信部140を通じて検知領域の設定範囲を受ける。
【0054】
サーバ200は、据え置き型の装置であってもよいし、携帯型のいわゆるモバイルサーバであってもよい。サーバ200は、通信部(取得部)210と、記憶部220と、処理部(制御部)230とを備える。
【0055】
通信部210は、車両100と通信するように構成される。通信部210は、車両情報を通信によって取得(受信)する。検知領域がサーバ200により設定される場合には、通信部210は、検知領域の設定範囲を車両100に送信する。
【0056】
記憶部220は、送電装置情報データベース(DB)221と、道路情報データベース(DB)222と、車両情報データベース(DB)226とを含む。
【0057】
送電装置情報DB221は、そのDBに登録された送電装置90の位置を示す情報を格納する。道路情報DB222は、地図情報データを含む道路情報データを格納する。
【0058】
車両情報DB226は、車両100のID、および、車両100の位置情報などを格納する。これらのデータベースは、処理部230により最新の状態に逐次更新される。
【0059】
処理部230は、CPU231と、メモリ232とを含む。CPU231は、メモリ232に格納されたプログラムおよびデータを実行する。メモリ232は、ROMと、RAMとを含む(いずれも図示せず)。ROMは、CPU231により実行されるプログラムなどを格納する。RAMは、CPU231により参照されるデータなどを一時的に格納する。
【0060】
図2は、カメラ122Lの位置調整方法を説明するための図である。
図2を参照して、車両100には、凹部125Rが形成されている。カメラ122Lは、車両100の凹部125R内に設けられている。凹部125Rの口部分には、カメラ122Lを保護するための強化プラスチック(図示せず)が装着されている。この例では、カメラ122Lの撮像領域は、地面405における領域422Lである。
【0061】
ECU190は、駆動機構125(
図1)を制御することによって、凹部125Rの深さ方向dR1における、カメラ122Lの位置(深さde)を調整することができる。例えば、ECU190は、凹部125R内で、深さ方向dR1に向けてカメラ122Lを動かすことによって、深さ方向dR1においてカメラ122Lの位置がより深くなるようにカメラ122Lの位置を設定することができる。他方、ECU190は、深さ方向dR1とは反対の方向dR2に向けてカメラ122Lを動かすことによって、深さ方向dR1においてカメラ122Lの位置がより浅くなるようにカメラ122Lの位置を設定することができる。
【0062】
同様に、車両100には、さらに3つの凹部が形成されている(いずれも図示せず)。カメラ121F,121Rおよび122Rは、それぞれ、この3つの凹部内に設けられている。そして、ECU190は、これらの3つのカメラの各々について、対応する凹部の深さ方向における位置(深さ)を、カメラ122Lの場合と同様に駆動機構125を用いて調整することができる。
【0063】
図3は、検知部170が検知対象を検知するための検知領域を説明するための図である。
図3を参照して、FR方向は、車両100の前方向を表す。RE方向は、車両100の後方向を表す。RI方向は、車両100の右方向を表す。LE方向は、車両100の左方向を表す。すなわち、FR方向およびRE方向は、車両100の移動方向を表す。RI方向およびLE方向は、車両100の移動方向に対する横方向を表す。
【0064】
カメラ121Rの撮像領域は、地面405における領域421Rである。領域421Rは、車両100に対してRE方向に位置している。カメラ121Fの撮像領域は、地面405における領域421Fである。領域421Fは、車両100に対してFR方向に位置している。カメラ122Rの撮像領域は、地面405における領域422Rである。領域422Rは、車両100に対してRI方向に位置している。カメラ122Lの撮像領域は、地面405における領域422Lである。領域422Lは、車両100に対してLE方向に位置している。この例では、各カメラの撮影領域の一部(例えば、領域421R)は、他のカメラの撮影領域の一部(例えば、領域422L)に重畳している。
【0065】
検知部170(
図1)は、各カメラの撮影領域の画像(撮影画像)における検知対象を検知する。そのため、領域420R,420F,421Lおよび421Rを含んで構成される検知領域400に検知対象430(例えば、人)が入った場合に、検知部170は、各カメラの撮影画像を用いて検知対象430を検知することができる。領域421R,421F,422Lおよび422Rの各々は、検知領域400の部分領域に相当する。
【0066】
図4は、走行レーン用の送電装置90Bの構成を詳細に示す図である。送電装置90Bは、車両100が非接触充電を実行するために走行する走行レーンである充電レーン500に設けられる。
【0067】
通信部95Bは、送電装置90Bと車両100との間の近距離通信を確立するために設けられる。通信部95Bは、例えば、送電装置90Bの情報を示す信号を近距離通信によって車両100に送信する。この信号は、送電装置90Bが車両100の受電部181に直ちに送電可能であることを示す信号(送電装置90Bのファースト信号)を含む。通信部95Bは、サーバ200と通信するように構成されていてもよい。
【0068】
送電部92Bは、送電モジュール910,920,930,940,950および960と、電源回路912,922,932,942,952および962とを含む。
【0069】
送電モジュール910,920,930,940,950および960は、一列に配置されている。送電モジュール910,920,930,940,950および960は、それぞれ送電コイル911,921,931,941,951および961を含む。各送電モジュールは、車両100の通過を検出するための検出器(図示せず)をさらに含む。この検出器は、光学センサおよび重量センサなどを含む。これらの送電モジュールは、
図3の例では、充電レーン500の下方に設けられているが、充電レーン500の側壁に設けられていてもよい。
図3には6つの送電モジュール910,920,930,940,950および960が示されているが、送電モジュールの数は限定されない。
【0070】
電源回路912,922,932,942,952および962は、それぞれ送電モジュール910,920,930,940,950および960に接続される。各電源回路は、商用電源80からの交流電力を、電圧レベルの異なる交流電力に変換する。変換後の交流電力は、対応する送電モジュールに供給される。
【0071】
制御部98Bは、CPUなどのプロセッサおよびメモリを含む(いずれも図示せず)。制御部98Bは、メモリに格納されたプログラムに従って、送電部92B、検知部99Bおよび通信部95Bを制御する。
【0072】
制御部98Bは、上記検出器からの検出信号に従って、車両100の走行位置を特定する。そして、車両100と送電装置90Bとの近距離通信が確立している場合に、制御部98Bは、送電装置90Bのファースト信号を、通信部95Bを通じて車両100に送信する。
【0073】
充電ボタン137(
図1)がオン状態であり、かつ、通信部140がファースト信号を受信している場合(車両100が非接触充電可能な状態にある場合)に、ECU190は、通信部140を通じて充電開始要求を送電装置90Bに送信する。
【0074】
この要求に応答して、送電装置90Bの制御部98Bは、送電モジュール910,920,930,940,950および960のうち車両100が上方に位置している送電モジュール内の送電コイルに、商用電源80からの電力を供給するための制御を実行する。具体的には、制御部98Bは、この送電モジュール内の送電コイルに接続される電源回路から、その送電コイルに交流電力が供給されるようにその電源回路を制御する。
【0075】
例えば、送電モジュール910の上方に車両100が検出された場合、電源回路912により変換された交流電力が送電コイル911に供給される。これにより、送電コイル911に交流電流が流れるため、送電コイル911の周囲に電磁界が形成される。車両100の受電装置18内の受電部181の受電コイルは、車両100が充電レーン500を走行している間に電磁界を通して非接触で受電する。その後、送電モジュール910の上方に車両100が検出されなくなると、制御部98Bは、送電コイル911への交流電力の供給が停止されるように電源回路912を制御する。制御部98Bは、このような制御を送電モジュール910,920,930,940,950および960ごとに実行する。これにより、車両100の走行中に、受電装置180により受電された電力を用いて蓄電装置160が充電される(走行中充電)。
【0076】
図5は、車両100が駐車領域において非接触充電を実行しているときに検知領域が設定される様子を説明するための図である。
【0077】
図5を参照して、設置領域450は、送電装置90Aが設置される領域であり、この例では、駐車領域である。車両100が非接触充電可能な状態にある場合に、車両100と送電装置90Aの送電部92Aとの位置合わせが完了すると、ECU190は、通信部140を通じて送電装置90Aに充電開始要求を送信する。送電装置90Aの通信部95Aがこの要求を受信すると、制御部98Aは、車両100の受電部181に非接触で送電するように送電部92Aを制御する。これにより、設置領域450において車両100の非接触充電が実行される。この例では、設置領域(駐車領域)450において車両100の非接触充電が実行されている間、車両100は停車している。
【0078】
設置領域450の周囲には、車線領域460と、歩道領域440とが位置している。車線領域460は、設置領域450に対してRI方向に位置している。歩道領域440は、設置領域450に対してLE方向に位置している。区分線91Aは、設置領域(駐車領域)450と、車線領域460とを区分する。
【0079】
送電部92Aから車両100の受電部181が受電している間(非接触電力伝送中)、漏洩電磁界LEMFが送電部92Aから発生する。そのため、車両100の周辺の人370(検知対象430に相当)が電気機器380を所持している場合には、漏洩電磁界LEMFにより電気機器380が影響を受けるという弊害が生じる。電気機器380は、例えば、スマートフォンなどの携帯端末機器、または、ウェアラブルデバイスなどである。
【0080】
そこで、漏洩電磁界LEMFによる電気機器380への影響の低減のために、非接触充電の実行中には検知領域400が設定される。これにより、人370などの検知対象430が検知領域400に入るほど送電部92A(車両100)に近づいた場合、検知部170により検知対象430が検知される。
【0081】
ECU190は、検知部170による検知対象430の検知に応答して、送電部92Aの送電電力を低減させる。具体的には、ECU190は、送電部92Aの送電電力が低減されるように、通信部140を通じて送電装置90Aに要求を出力する。送電装置90Aの制御部98Aは、この要求に応答して、送電部92Aの送電電力が低減されるように送電部92Aを制御する。その結果、送電部92Aから発生する漏洩電磁界LEMFの強度が、デフォルトの強度(検知対象430が検知領域400内にいない場合の強度)であるI0よりも低くなる。なお、漏洩電磁界LEMFの強度の比較は、同じ位置において行われることが前提とされる。
【0082】
このように、検知領域400において検知対象430が検知された場合、検知領域400において検知対象430が検知されていない場合よりも、漏洩電磁界LEMFの強度が低くなる。その結果、仮に、電気機器380を所持した人370が車両100に近づいたとしても、漏洩電磁界LEMFによる電気機器380への影響が低減される。
【0083】
図6は、車両100が充電レーン500を走行している間に検知領域400が設定される様子を説明するための図である。
【0084】
図6を参照して、充電レーン500は、送電装置90Bが設置される設置領域450に相当する。区分線91Bは、充電レーン500と、充電レーン500に隣接する車線領域460とを区分するセンターラインである。車両100Aについては、後述する。
【0085】
車両100が充電レーン500を走行している間、
図5の場合と同様に、漏洩電磁界LEMFによる電気機器380への影響の低減のために車両100の周囲に検知領域400が設定される。
【0086】
図7および
図8は、本実施の形態における検知領域400の設定方法を説明するための図である。これらの図は、受電部181が送電部92から受電しているときに車両100の上方(Z方向)から車両100を平面視したときの図である。
【0087】
図7を参照して、歩道領域440において、多くの人370が居るケースが想定される。その一方で、車線領域460において、歩道領域440と比較して多くの人370が居るケースは想定されにくい。むしろ、車線領域460において他の車両100Aが走行していることが想定される。
【0088】
このため、車両100への非接触電力伝送(車両100の非接触充電)中に、車線領域460において走行している他の車両100Aが検知領域410に入ると、車両100Aが検知され、送電部92Aの送電電力が低減される可能性がある。その結果、車両100への非接触電力伝送を良好に実施することができないという弊害が生じる。そこで、検知領域400を適切に設定することが要望される。
【0089】
図8を参照して、本実施の形態では、車両100から、RI方向における領域422R1の外側外縁E1までの長さ(第1長さL1)が、車両100から、LE方向における領域422L1の外側外縁E2までの長さ(第2長さL2)よりも短くなるように検知領域420(400)が設定される(L1<L2)。
【0090】
本実施の形態では、第1長さL1は、車両100から外側外縁E1までの長さの最大値(
図8のI11,I12およびI13のうち最も長いI12)である。同様に、第2長さL2は、車両100から外側外縁E2までの長さの最大値(
図8のI21,I22およびI23のうち最も長いI22)である。外側外縁E1,E2は、Z方向から車両100を平面視したときの、検知領域400の「外側」の外縁である。領域422R1は、検知領域420のうち、車両100に対してRI方向に位置する部分領域(第1部分領域)であり、領域422R(
図3)に対応する。領域422L1は、検知領域420のうち、車両100に対してLE方向に位置する部分領域(第2部分領域)であり、領域422L(
図3)に対応する。領域422L1の面積は、領域422R1の面積よりも大きい。
【0091】
例えば、携帯電話などの電気機器380を携帯した人370が車両100の周囲を歩行する際、車線領域460よりも歩道領域440を歩行する可能性の方が高い。その一方で、上記の構成によれば、車両100の周囲において、歩道領域440を歩行する人370を良好に検知することができ、車両100の周囲の人370などの検知対象430を検知すると送電電力を低減することができる。そのため、車両100の周囲において、歩道領域440を歩行する人370が電気機器380を携帯していたとしても、車両100の非接触充電の際に発生する漏洩電磁界LEMFの強度が、デフォルトの強度であるI0(
図6)からI1(
図7)に低減されやすい。よって、漏洩電磁界LEMFにより電気機器380が影響を受けることを抑制することができる。
【0092】
車線領域460において、人370などは少ない一方で、車両100Aなどの検知対象430が多く存在する。そして、漏洩電磁界LEMFから車両100Aなどの検知対象430が受ける影響は小さい。そして、車両100Aなどを検知する度に送電電力を低減すると、結果として車両100の非接触充電を良好に実施できなくなる。一方で、上記の構成によれば、第1長さL1が短いため、車線領域460を走行する車両100Aなどの検知対象430を検知することによる送電電力の低減を抑制することができる。その結果、車両100の非接触充電を良好に実施することができる。
【0093】
この例では、領域422R1は、車両100および車線領域460の間に設定されている。言い換えれば、領域422R1の外側外縁E1がRI方向において区分線91Aを超えないように検知領域420(より詳細には、領域422R1)が設定される。数学的には、第1長さL1が第1基準長さL10を超えないように領域422R1が設定される(L1<L10)。第1基準長さL10は、車両100から区分線91Aまでの距離である。
【0094】
このように領域422R1が設定されると、車線領域460における検知対象430は、領域422R1に入らないため、検知されない。よって、車両100への非接触電力伝送中に、車線領域460において走行している他の車両100Aの検知に起因して送電装置90Aの送電部92Aの送電電力が低減される事態が回避される。その結果、車両100への非接触電力伝送を特に良好に実施することができる。
【0095】
領域422L1は、歩道領域440に達するように設定されている。数学的には、第2長さL2が第2基準長さL11以上になるように領域422L1が設定される(L11≦L2)。第2基準長さL11は、車両100から歩道領域440までの距離である。
【0096】
このように領域422L1が設定されると、歩道領域440における検知対象430(人370)が領域422L1に特に入りやすくなる。そのため、検知対象430の検知に起因して送電装置90Aの送電部92Aの送電電力が低減されて、漏洩電磁界LEMFの強度がI0(
図6)からI1(
図7)に低減され易くなる。その結果、歩道領域440における検知対象430の電気機器380への漏洩電磁界LEMFによる影響を特に低減させ易くすることができる。
【0097】
ECU190は、車両100の現在位置の周辺の道路の情報を示す道路情報データ132(
図1)に従って、車両100から車線領域460への方向(第1方向)と、車両100から歩道領域440への方向(第2方向)とを認識する。すなわち、ECU190は、車両100と車線領域460との位置関係、および、車両100と歩道領域440との位置関係を、道路情報データ132に従って認識する。この例では、第1方向は、RI方向であり、第2方向は、LE方向である。
【0098】
ECU190は、リアドア147Aおよび147Bの開閉状態に従って、第1方向および第2方向を認識してもよい。例えば、リアドア147Aが開いており、かつ、リアドア147Bが閉じている場合に、車両100の乗員がリアドア147Aの開口部を通じて車両100の搭乗空間から歩道領域440に移動すると考えられる。そのため、この場合、ECU190は、リアドア147Aからリアドア147Bへの方向を、第2方向として認識してもよい。これに伴い、ECU190は、第2方向とは反対の方向を第1方向と認識してもよい。
【0099】
このように、ECU190は、道路情報データ132、または、リアドア147Aおよび147Bの開閉状態に従って、第1方向および第2方向を正確に認識することができる。その結果、ECU190は、第1長さL1が第2長さL2よりも短くなるように、検知領域400(より詳細には、領域422L1および領域422R1)を正確に設定することができる。
【0100】
図9および
図10は、ECU190による検知領域400の具体的な設定方法を説明するための図である。
図2を参照して説明したように、ECU190は、凹部125Rの深さ方向dR1における、カメラ122Lの位置(深さde)を調整することができる。同様に、ECU190は、カメラ121F,121Rおよび122Rの各々について、対応する凹部の深さ方向における位置(深さ)を調整することができる。
【0101】
図9を参照して、カメラ122Lの位置が深さ方向dR1において深い位置である場合(深さdeがde1である場合)、カメラ121Rによる撮影領域は、地面405における領域422L0である。
【0102】
図10を参照して、カメラ122Lの位置が深さ方向dR1において浅い位置である場合(深さdeがde2である場合)、カメラ121Rによる撮影領域は、地面405における領域422L1(
図8)である。領域422L1は、領域422L0(
図9)よりも広い。
【0103】
このように、ECU190が深さ方向dR1における、カメラ122Lの位置(深さde)を調整することによって、カメラ122Lによる撮影領域の広さを調整することができる。カメラ122Lの深さdeと、第2長さL2との関係は、マップとしてECU190のメモリ192に予め格納されている。同様に、ECU190がカメラ121F,121Rおよび122Rの位置(対応する凹部における深さ)を調整することによって、これらのカメラによる撮影領域の広さを調整することができる。例えば、凹部におけるカメラ122Rの深さ(図示せず)と、第1長さL1との関係は、マップとしてECU190のメモリ192に予め格納されている。
【0104】
ECU190は、上述のようにカメラ121R,121F,122Rおよび122Lの撮影領域(
図3の領域421R,421F,422Rおよび422Lに相当)の広さを調整することによって、検知領域400の広さを調整することができる。よって、ECU190は、第1長さL1が第2長さL2よりも短くなるように検知領域400(より詳細には、領域422R1および領域422L1)を設定することができる。
【0105】
図11は、実施の形態1に従う車両100の非接触充電に伴う一連の処理の一例を説明するためのフローチャートである。この一連の処理は、車両100の充電ボタン137(
図1)がオン状態になると開始される。以下の説明において、
図8を適宜参照する。
【0106】
図11を参照して、車両100のECU190は、送電装置90から、通信部140を通じて、ファースト信号を受信したか否かを判定する(ステップS105)。ECU190は、ファースト信号を受信していない場合(ステップS105においてNO)、ファースト信号を受信するまで上記の判定処理を実行する。他方、ECU190は、ファースト信号を受信した場合(ステップS105においてYES)、ステップS130へ処理を進める。
【0107】
次いで、ECU190は、検知領域400(420)を設定する(ステップS130)。この処理の詳細については、
図12を参照して説明する。
【0108】
次いで、ECU190は、通信部140を通じて送電装置90に送電開始要求を出力する(ステップS135)。
【0109】
次いで、送電装置90の制御部98は、通信部95を通じてこの要求を受けると、受電部181への送電を開始するように送電部92を制御する(ステップS340)。その結果、車両100の非接触充電が開始される。その後、送電装置90における処理は、ステップS345に進む。
【0110】
車両100のECU190は、検知領域420において検知対象430が検知されたか否かを、検知部170からの信号に従って判定する(ステップS145)。検知対象430が検知された場合(ステップS145においてYES)、ECU190は、送電部92の送電電力を低減させるための要求(送電電力低減要求)を送電装置90に出力する(ステップS155)。他方、検知対象430が検知されない場合(ステップS145においてNO)、ECU190は、通常の送電電力の要求を送電装置90に出力する(ステップS160)。通常の送電電力の要求とは、送電電力が低減されてない(例えば、デフォルトの送電電力である)状態において送電が行われるように出力される要求である。ステップS155またはS160の処理の後、車両100における処理は、ステップS165に進む。
【0111】
送電装置90の制御部98は、通信部95を通じて、送電電力低減要求を受けたか否かを判定する(ステップS345)。制御部98は、送電電力低減要求を受けた場合(ステップS345においてYES)、受電部181への送電電力を低減させるように送電部92を制御する(ステップS360)。これにより、漏洩電磁界LEMFの強度は、デフォルトの強度であるI0(
図5)からI1(
図7)に低減される。そして、送電部92Aの送電電力が低減された状況において、非接触充電が継続する。その後、送電装置90における処理は、ステップS375に進む。
【0112】
他方、制御部98は、送電電力低減要求を受けていない場合、すなわち、通常の送電電力を受けた場合(ステップS345においてYES)、送電部92の送電電力を通常の電力(例えば、デフォルトの電力)に制御する(ステップS365)。その後、送電装置90における処理は、ステップS375に進む。
【0113】
車両100のECU190は、蓄電装置160のSOCが充電しきい値に到達したか否かを判定する(ステップS165)。SOCが充電しきい値に到達していない場合(ステップS165においてNO)、ECU190は、ステップS145に処理を戻す。他方、SOCが充電しきい値に到達した場合(ステップS165においてYES)、ECU190は、送電装置90に送電停止要求を出力する(ステップS170)。
【0114】
送電装置90の制御部98は、車両100からの送電停止要求を、通信部95を通じて受けたか否かを判定する(ステップS375)。制御部98は、送電停止要求を受けていない場合(ステップS375においてNO)、ステップS345に処理を戻す。他方、制御部98は、送電停止要求を受けた場合(ステップS375においてYES)、受電部181への送電を停止するように送電部92を制御する(ステップS380)。その結果、車両100の非接触充電が終了し、一連の処理が終了する。
【0115】
図12は、ECU190による検知領域400の設定処理(
図11のステップS130)の詳細を示す図である。
【0116】
図12を参照して、ECU190は、第1リアドアが開いており、かつ、第2リアドアが閉じているか否かを、ドアセンサ148Aおよび148B(
図1)の検出信号に従って判定する(ステップS1305)。この例では、第1リアドアは、リアドア147Aであり、第2リアドアは、リアドア147Bであるものとする。
【0117】
第1リアドアが開いており、かつ、第2リアドアが閉じているという条件が満たされない場合(ステップS1305においてNO)、ECU190は、ステップS1320に処理を進める。第1リアドアが開いており、かつ、第2リアドアが閉じている場合(ステップS1305においてYES)、ECU190は、ステップS1310に処理を進める。
【0118】
ECU190は、第2リアドアから第1リアドアへの方向(この例では、
図8のリアドア147Bからリアドア147AへのRI方向)を第1方向として認識する(ステップS1310)。
【0119】
これに伴い、ECU190は、第1リアドアから第2リアドアへの方向(この例では、
図8のリアドア147Aからリアドア147BへのLE方向)を第2方向として認識する(ステップS1315)。その後、処理は、ステップS1335に進む。
【0120】
ステップS1320において、ECU190は、GPS受信部130(
図1)からの信号に従って、車両100の現在位置を取得する(ステップS1320)。
【0121】
次いで、ECU190は、車両100の現在位置の周辺の道路の情報を示す道路情報を、道路情報データ132(
図1)から取得する(ステップS1325)。これにより、ECU190は、車両100が現在位置している設置領域450と、歩道領域440と、車線領域460との位置関係を認識することができる。
【0122】
ECU190は、取得された道路情報(具体的には、上記の位置関係)に従って、車両100から車線領域460への方向(第1方向)、および、車両100から歩道領域440への方向(第2方向)を認識する(ステップS1330)。
【0123】
そして、ECU190は、車両100の現在位置と、区分線91A(または区分線91B)の位置とに従って、第1基準長さL10を算出する(ステップS1335)。区分線91Aの位置を示す情報は、上記の道路情報に含まれる。第1基準長さL10は、第1長さL1が第1基準長さL10を超えないという第1の条件(L1<L10)が満たされるための基準として用いられる。
【0124】
同様に、ECU190は、車両100の現在位置と、歩道領域440の位置とに従って、第2基準長さL11を算出する(ステップS1340)。第2基準長さL11は、第2長さL2が第2基準長さL11以上になるという第2の条件(L11≦L2)が満たされるための基準として用いられる。
【0125】
ECU190は、第1の条件および第2の条件が満たされる範囲内で、第1長さL1が第2長さL2よりも短くなるように検知領域400(420)を設定する(ステップS1345)。具体的には、ECU190は、第1長さL1が第2長さL2よりも短くなるように、カメラ122Rの深さ、およびカメラ122Lの深さde(
図10)を調整する。
【0126】
以上のように、本実施の形態では、車両100から、RI方向における領域422R1の外側外縁E1までの第1長さL1が、車両100から、LE方向における領域422L1の外側外縁E2までの第2長さL2よりも短くなるようにECU190が検知領域420(400)を設定する。
【0127】
例えば、携帯電話などの電気機器380を携帯した人370が車両100の周囲を歩行する際、車線領域460よりも歩道領域440を歩行する可能性の方が高い。その一方で、上記の構成によれば、車両100の周囲において、歩道領域440を歩行する人370を検知領域420において良好に検知することができ、車両100の周囲の人370などの検知対象430を検知領域420において検知すると送電電力を低減することができる。そのため、車両100の周囲において、歩道領域440を歩行する人370が電気機器380を携帯していたとしても、車両100の非接触充電の際に発生する漏洩電磁界LEMFの強度が、デフォルトの強度であるI0(
図6)からI1(
図7)に低減されやすい。よって、漏洩電磁界LEMFにより電気機器380が影響を受けることを抑制することができる。
【0128】
車線領域460において、人370などは少ない一方で、車両100Aなどの検知対象430が多く存在する。そして、漏洩電磁界LEMFから車両100Aなどの検知対象430が受ける影響は小さい。そして、車両100Aなどを検知する度に送電電力を低減すると、結果として車両100の非接触充電を良好に実施できなくなる。一方で、上記の構成によれば、第1長さL1が短いため、車線領域460を走行する車両100Aなどの検知対象430を検知することによる送電電力の低減を抑制することができる。その結果、車両100の非接触充電を良好に実施することができる。
【0129】
[実施の形態1の変形例]
上述の実施の形態1では、撮像部120および検知部170を用いて検知対象430が検知された。これに対して、センサ部110が本開示における「検知部」として機能してもよい。具体的には、センサ部110の超音波センサ112または光センサ114を用いて検知対象430が検知されてもよい。
【0130】
例えば、超音波センサ112が用いられる場合、FR方向、RE方向、RI方向およびLE方向(いずれも
図3)における検知対象430を検知するための4つの超音波センサ112(それぞれ、第1、第2、第3および第4の超音波センサとも称する)が用いられる。各超音波センサ112は、発信器と受信器との組を含む。
【0131】
そして、各超音波センサ112について、検知しきい値がECU190により設定される。具体的には、発信器から発信されて検知対象430により反射された反射波の受信強度が検知しきい値以上である場合に、超音波センサ112は、検知対象430を検知するものとする。検知対象430の検知結果は、各超音波センサ112からECU190に出力される。
【0132】
ECU190は、車両100の非接触充電が実行される場合に、車両100から歩道領域440への方向である第2方向(
図8の例では、LE方向)の検知しきい値が、車両100から車線領域460への方向である第1方向(
図8の例では、RI方向)の検知しきい値よりも小さくなるように各検知しきい値を設定する。
【0133】
一般的に、検知対象430が車両100から遠いほど、発信器から発信されて検知対象430により反射された反射波の受信強度が低くなる。そのため、検知しきい値が小さくなるほど、各超音波センサ112は、車両100からより遠い検知対象430をも検知することができる。
【0134】
よって、ECU190が上記のように検知しきい値を設定することによって、検知領域400の第2長さL2を、第1長さL1よりも長くすることができる。言い換えれば、第1長さL1を第2長さよりも短くすることができる。このように、検知対象430の検知のために超音波センサ112が用いられる場合、検知対象430の色、および車両100の周囲の明るさに関係なく検知対象430を検知することができる。
【0135】
同様に、検知対象430の検知のために光センサ114が用いられてもよい。この場合、FR方向、RE方向、RI方向およびLE方向における検知対象430を検知するための4つの光センサ114(それぞれ、第1、第2、第3および第4の光センサとも称する)が用いられる。ECU190は、各光センサ114について、超音波センサ112の場合と同様に、検知しきい値を設定する。具体的には、ECU190は、第4の光センサの検知しきい値(LE方向)が、第3の光センサの検知しきい値(RI方向)よりも小さくなるように各検知しきい値を設定する。
【0136】
一般的に、光センサ114の検知精度および応答性は、超音波センサ112の検知精度および応答性よりも優れている。よって、上記のように、検知対象430の検知のために光センサ114が用いられる場合、超音波センサ112の場合よりも検知精度を高めつつ応答性を早めることができる。
【0137】
なお、検知部としてのセンサ部110により検知対象430が検知された場合に、ECU190は、車両100に電力を送電している送電部92の送電電力を低減させる。
【0138】
[実施の形態2]
実施の形態2では、検知領域400が、車両100のECU190に代えて、送電装置90の制御部98により設定される場合を説明する。この実施の形態2では、車両100の周囲の領域(車両100が位置している領域を含む)を撮影するためのカメラが、車両100の外部に設けられる。
【0139】
図13は、カメラが設置領域450の上方に設けられている様子を示す図である。この図は、受電部181が送電部92から受電しているときに車両100の上方(Z方向)から車両100を平面視したときの図である。
【0140】
図11を参照して、カメラ331は、設置領域(駐車領域)450の上方に設けられている。カメラ331による撮影領域は、検知領域425(400)に相当する。
【0141】
カメラ331により撮影された画像(撮影画像)における検知対象430は、送電装置90Aの検知部99Aにより検知される。そのため、検知領域425における検知対象430は、検知部99Aにより検知される。検知部99Aは、送電部92Aが受電部181に送電しているとき(車両100の非接触充電中)に、検知対象430を検知する。
【0142】
領域4211は、検知領域425のうち、車両100に対してRI方向に位置する部分領域(第1部分領域)である。同様に、領域4212は、検知領域425のうち、車両100に対してLE方向に位置する部分領域(第2部分領域)である。このように、検知領域425(400)の各部分領域は、単一のカメラ331により撮影されてもよく、必ずしも異なるカメラ(例えば、車両100のカメラ122Rおよび122L)により撮影されなくてもよい。
【0143】
図13の場合、車両100から、RI方向における領域4211の外側外縁E3までの長さが第1長さL1である。そして、車両100から、LE方向における領域4212の外側外縁E4までの長さが第2長さL2である。制御部98Aは、実施の形態1の場合と同様に、第1長さL1が第2長さL2よりも短くなるように検知領域425(400)を設定する(L1<L2)。検知領域425は、ECU190により設定される検知領域420とは区別されるものの、本実施の形態では、これらの設定範囲は同じであるものとする。制御部98Aによる検知領域425の具体的な設定方法については、後述する。
【0144】
制御部98Aは、検知領域425における検知対象430が検知部99Aにより検知された場合、送電部92Aの送電電力を低減させる。
【0145】
このように、検知領域400が制御部98Aにより設定される場合においても、
図8の場合と同様、領域4211が車両100および車線領域460の間に設定されることが好ましい。言い換えれば、領域4211の外側外縁E3がRI方向において区分線91Aを超えないことが好ましい(L1<L10)。さらに、領域4212が歩道領域440に達するように設定されることが好ましい(L11≦L2)。
【0146】
制御部98Aは、通信部95Aを通じて、道路情報データ132(
図1)を車両100から受信し、受信されたデータに従って、車両100から車線領域460への方向(第1方向)と、車両100から歩道領域440への方向(第2方向)とを認識する。
【0147】
制御部98Aは、リアドア147Aおよび147Bの開閉状態に従って、第1方向および第2方向を認識してもよい。制御部98Aは、リアドア147Aおよび147Bの開閉状態を示す情報を、通信部95Aを通じて車両100から受信する。そして、例えば、リアドア147Aが開いており、かつ、リアドア147Bが閉じている場合に、制御部98Aは、リアドア147Bからリアドア147Aへの方向を、第2方向として認識してもよい。
【0148】
このように第1方向および第2方向が認識される場合、送電装置90Aが設置領域450から取り外されて他の設置領域に移動された場合であっても、制御部98Aは、検知領域425を正確に設定することができる。すなわち、制御部98Aは、検知領域400を設定する際に、第1長さL1を第2長さL2よりも短くすることができる。なお、第1方向および第2方向は、デフォルトの設定情報として制御部98Aのメモリに予め格納されてもよい。
【0149】
図14を参照して、制御部98Aによる検知領域425の具体的な設定方法を説明する。
図14は、カメラ331が回転することによって、検知領域425が設定される様子を示す図である。
【0150】
領域4250は、カメラ331の位置調整前の撮影領域である。カメラ331は、制御部98A(
図11)からの指令に従って、Z-RI平面において回転する。これにより、カメラ331の位置調整が行われる。カメラ331の回転後(位置調整後)の撮影領域は、検知領域425(
図11)に相当する。このように、制御部98Aは、カメラ331を回転させる(Z-RI平面におけるカメラ331の角度θを設定する)ことによって、第1長さL1が第2長さL2よりも短くなるように検知領域425を設定することができる。なお、カメラ331は、その回転のための駆動機構(図示)に接続されており、制御部98は、通信部95を通じてその駆動機構を遠隔で制御することによってカメラ331を回転させる。
【0151】
図15は、カメラ331が充電レーン500の上方に設けられている様子を示す図である。この図は、受電部181が送電部92から受電しているときに車両100の上方(Z方向)から車両100を平面視したときの図である。
【0152】
図15を参照して、カメラ331は、駐車領域(
図13)に代えて充電レーン500の上方に設けられていてもよい。この場合、カメラ331により撮影された画像(撮影画像)は、通信インターフェース325を通じて送電装置90Bに送信される。
【0153】
送電装置90Bの制御部98Bは、通信部95を通じて撮影画像を取得する。制御部98Bは、送電装置90Aの制御部98Aの場合(
図13および
図14)と同様に、検知領域425を設定する(L1<L2、L1<L10、かつ、L11≦L2)。車両100の非接触充電中、検知部99Bは、カメラ331による撮影画像を用いて、検知領域425における検知対象430を検知する。検知部99Bにより検知対象430が検知された場合、制御部98Bは、送電部92Bの送電電力を低減させる。
【0154】
図16は、実施の形態2における車両100の非接触充電に伴う一連の処理の一例を説明するためのフローチャートである。この一連の処理は、車両100の充電ボタン137(
図1)がオン状態になると開始される。
【0155】
このフローチャートは、車両100のECU190に代えて、送電装置90の制御部98が検知領域400を設定する(ステップS330)点において、
図11のフローチャートと異なる。ステップS330の処理の詳細については、
図17を参照して説明する。
【0156】
図16のフローチャートは、車両100の検知部170に加えて送電装置90の検知部99が検知対象430を検知する点において、
図11のフローチャートとさらに異なる。
図16におけるその他の処理は、
図11の場合の処理と基本的に同様である。
【0157】
図16を参照して、送電装置90の制御部98は、送電電力低減要求を受けた場合(ステップS345においてYES)、送電電力を低減させる(ステップS360)。他方、送電装置90の制御部98は、送電電力低減要求を受けていない場合(ステップS345においてNO)、検知部99により検知領域425における検知対象430が検知されたか否かを判定する(ステップS350)。
【0158】
検知対象430が検知された場合(ステップS350においてYES)、制御部98は、送電部92の送電電力を低減させる(ステップS360)。他方、検知対象430が検知されていない場合(ステップS350においてNO)、制御部98は、送電部92の送電電力を通常の電力に制御する(ステップS365)。この例では、検知部170および検知部99のうち少なくとも一方により検知対象430が検知された場合に、送電電力が低減される。
【0159】
図17は、制御部98による検知領域400の設定処理(
図16のステップS330)の詳細の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、第1リアドアおよび第2リアドアの開閉状態を示す情報(ステップS3302)、車両100の現在位置(ステップS3320)、および、車両100の現在位置の周辺の道路の情報(ステップS3325)を、送電装置90の制御部98が通信部95を通じて車両100から取得する点において、
図12のフローチャートと異なる。
【0160】
図17におけるステップS3305,S3310,S3315,S3330,S3335およびS3340の処理は、それぞれ、
図12におけるステップS1305,S1310,S1315,S1330,S1335およびS1340の処理と基本的に同様である。
【0161】
図17を参照して、制御部98は、カメラ331の角度θ(
図14)を調整することによって、第1の条件(L1<L10)および第2の条件(L11≦L2)が満たされた状態において第1長さL1が第2長さL2よりも短くなるように検知領域400を設定する(ステップS3345)。
【0162】
図18は、制御部98による検知領域400の設定処理(
図16のステップS330)の詳細の他の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、制御部98が、カメラ331により撮影された画像を用いて、車両100、歩道領域440および車線領域460の位置関係を認識したり、第1基準長さL1および第2基準長さL2を算出したりする点において、
図17のフローチャートと異なる。
【0163】
図18を参照して、制御部98は、カメラ331により撮影された画像を取得する(ステップS3325A)。
【0164】
次いで、制御部98は、撮影された画像において車両100、歩道領域440および車線領域460を認識する(ステップS3329A)。具体的には、制御部98は、公知のパターン認識技術などの画像認識技術を用いて、この認識処理を実行する。
【0165】
制御部98は、認識された車両100、歩道領域440および車線領域460の位置関係に従って、第1方向および第2方向を認識する(ステップS3330A)。
【0166】
制御部98は、撮影された画像に画像処理技術を適用することによって、第1基準長さL10を算出する(ステップS3335A)。前述のように、第1基準長さL10は、第1の条件(L1<L10)が満たされるための基準として用いられる。
【0167】
同様に、制御部98は、撮影された画像を用いて、第2基準長さL11を算出する(ステップS3340A)。前述のように、第2基準長さL11は、第2の条件(L11≦L2)が満たされるための基準として用いられる。
【0168】
そして、制御部98は、第1および第2の条件が満たされる状態において、第1長さL1が第2長さL2よりも短くなるように検知領域400(425)を設定する(ステップS3345A)。
【0169】
これにより、実施の形態1の場合と同様に、漏洩電磁界LEMFによる電気機器380への影響を低減しつつ、車両100の非接触充電を良好に実施することができる。
【0170】
[実施の形態1,2の変形例1]
カメラ121R,121F,122Rおよび122L、ならびに331は、サーモカメラであってもよい。検知部170または検知部99は、サーモカメラにより撮影された画像における一部の領域の温度が所定温度よりも高い場合に、その領域内の対象を検知対象430として検知する。これにより、人370などの生体を検知対象430として検知することが容易になる。
【0171】
これらのカメラは、赤外線カメラであってもよい。これにより、検知部170または検知部99は、夜間に照明機器が用いられない場合であっても検知対象430を検知することができる。
【0172】
[実施の形態1,2の変形例2]
上述の実施の形態1およびその変形例1では、ECU190または制御部98が駆動機構を用いてカメラ121R,121F,122R,122Lまたは331の位置(例えば、深さdeまたは角度θ)を調整することによって、検知領域400を設定するものとした。
【0173】
これに対して、ECU190または制御部98は、設置領域450の周囲の領域の種類に応じて、カメラの撮影画像における画像処理の対象領域(画像処理領域)を設定してもよい。より詳細には、ECU190または制御部98は、設置領域450の周囲の領域の種類に応じて、上記の画像処理領域のサイズを設定する。
【0174】
再び
図3を参照して、例えば、ECU190は、領域422Rに対する画像処理領域が、領域422Lに対する画像処理領域よりも狭くなるように、領域422Rおよび領域422Lに対する画像処理領域を設定する。検知部170は、設定された画像処理領域において検知処理(画像処理)を実行する。
【0175】
一例として、領域422Lに対する画像処理領域が、カメラ122Lの撮影画像の全体領域である一方で、領域422Rに対する画像処理領域は、カメラ122Rの撮影画像の左半分領域のみである場合を想定する。この場合、領域422Lの全体領域において検知対象430が検知される一方で、領域422Rの左半分領域のみにおいて検知対象430が検知される。そのため、仮に、領域422Rの右半分領域に検知対象430が存在している場合であっても、検知対象430が検知されない。
【0176】
このように画像処理領域が設定されると、検知領域400のうち、車両100に対してRI方向に位置する第1部分領域(
図8の領域422R1に対応)の面積は、検知領域400のうち、車両100に対してLE方向に位置する第2部分領域(領域422L1に対応)の面積よりも小さくなる。よって、検知領域400の第1長さL1を、第2長さL2よりも短くすることができる。
【0177】
このように、画像処理領域の設定の態様に応じて、検知領域400を設定することができる。そのため、検知領域400の設定のために駆動機構125など(
図1)は必須ではない。その結果、車両100における部品の数の増加に伴うコスト増大を抑制することができる。
【0178】
[実施の形態1,2の変形例3]
検知部170とECU190とは、一体的に構成されていてもよい。例えば、検知部170の機能がECU190においてソフトウェア処理により実現されてもよい。具体的には、検知部170の機能を実現するためのプログラムがECU190のメモリ192に格納されている場合、CPU191がそのプログラムを実行することによって、検知部170の機能(画像処理機能)が実現される。したがって、検知部170は、必ずしもECU190とは別個の画像処理回路に限定されない。同様に、検知部99と制御部98とは、一体的に構成されていてもよい。
【0179】
[実施の形態3]
実施の形態1および実施の形態2では、それぞれ、車両100のECU190、および、送電装置90の制御部98が検知領域400を設定する。これに対して、サーバ200(
図1)の処理部230が検知領域400を設定してもよい。以下、この点について詳しく説明する。
【0180】
図19は、実施の形態3における車両100の非接触充電に伴う一連の処理の一例を説明するためのフローチャートである。この一連の処理は、車両100の充電ボタン137(
図1)がオン状態になると開始される。
【0181】
このフローチャートは、サーバ200の処理部230が検知領域400を設定する点において、
図11および
図16のフローチャートと異なる。
図19のフローチャートにおいて、ステップS230、S235、S255、S260およびS270の処理は、それぞれ、ステップS130、S135、S155、S160およびS170(いずれも
図11)の処理に対応する。さらに、
図19のフローチャートにおいて、
図11および
図16のフローチャートと比較して、ステップS107,S147、S148、S167、S205、S254、S268、S352およびS353の処理が追加されている。
図19におけるその他の処理は、
図11および
図16の場合の処理と基本的に同様である。
【0182】
図19を参照して、車両100のECU190は、ファースト信号を受信した場合(ステップS105においてYES)、通信部140を通じてサーバ200に車両100の位置情報(車両情報)を送信する(ステップS107)。その後、車両100における処理は、ステップS145に進む。
【0183】
サーバ200の処理部230は、車両100から通信部210を通じて位置情報を受信すると(ステップS205)、ステップS230に処理を進める。
【0184】
次いで、処理部230は、検知領域400を設定する(ステップS230)。具体的には、処理部230は、車両100の検知部170用の検知領域420と、送電装置90の検知部99用の検知領域425とを設定する。本実施の形態では、説明の簡略化のため、検知領域420の設定範囲と、検知領域425の設定範囲とは、等しいものとする。そのため、外側外縁E1(
図8)および外側外縁E3(
図13)は同じであり、かつ、外側外縁E2(
図8)およびE4(
図13)も同じである。検知領域400は、処理部230、ECU190または制御部98のうちいずれにより設定されるかに関わらず、車両100の周囲に設定される検知領域を表す。そのため、本実施の形態では、検知領域400の範囲は、検知領域420および425の範囲に等しい。処理部230による検知領域400の設定処理の詳細については、後述する。
【0185】
処理部230は、通信部210を通じて、車両100に検知領域420の設定範囲を送信するとともに、送電装置90に検知領域425の設定範囲を送信する。より詳細には、処理部230は、凹部125Rなどの凹部における、各カメラ121R,121F,122Rおよび122Lの位置(
図10の深さdeなどの深さ)の指令値を車両100に送信する。さらに、処理部230は、Z-RI平面(
図12)におけるカメラ331の角度θの指令値を送電装置90に送信する。
【0186】
次いで、処理部230は、通信部210を通じて送電装置90に送電開始要求を出力する(ステップS235)。
【0187】
車両100のECU190は、検知領域420において検知対象430が検知されたと判定すると(ステップS145においてYES)、通信部140を通じてサーバ200に検知情報を送信する(ステップS147)。この検知情報は、検知部170により検知対象430が検知されたことを示す。他方、検知領域420において検知対象430が検知されていないと判定すると(ステップS145においてNO)、通信部140を通じてサーバ200に非検知情報を送信する(ステップS148)。この非検知情報は、検知部170により検知対象430が検知されていないことを示す。
【0188】
同様に、送電装置90の制御部98は、検知領域425において検知対象430が検知されたと判定すると(ステップS350においてYES)、通信部95を通じてサーバ200に検知情報を送信する(ステップS352)。この検知情報は、検知部99により検知対象430が検知されたことを示す。他方、送電装置90の制御部98は、検知領域425において検知対象430が検知されていないと判定すると(ステップS350においてNO)、通信部95を通じてサーバ200に非検知情報を送信する(ステップS353)。この非検知情報は、検知部99により検知対象430が検知されていないことを示す。
【0189】
次いで、サーバ200の処理部230は、通信部210が、これらの検知情報を取得(受信)したか否かを判定する(ステップS254)。具体的には、処理部230は、通信部210が送電装置90の検知情報および車両100の検知情報のうち少なくともいずれかを取得したか否かを判定する。通信部210が検知情報を取得した場合(ステップS254においてYES)、処理部230は、送電装置90(送電部92)の送電電力を低減させるための指令を、通信部210を通じて送電装置90に出力する(ステップS255)。通信部210が検知情報を取得していない場合、すなわち、非検知情報のみを取得している場合(ステップS254においてNO)、処理部230は、通信部210を通じて送電装置90に通常の送電電力の要求を出力する(ステップS260)。
【0190】
車両100のECU190は、SOCが充電しきい値に到達した場合に(ステップS165においてYES)、蓄電装置160が満充電状態であることを示す通知をサーバ200に送信する(ステップS167)。
【0191】
サーバ200の通信部210が上記の通知を受信すると(ステップS268)、処理部230は、通信部210を通じて送電装置90に送電停止要求を出力する(ステップS270)。
【0192】
図20は、サーバ200の処理部230による検知領域400の設定処理(
図19のステップS230)の詳細の一例を示すフローチャートである。
【0193】
このフローチャートは、第1リアドアおよび第2リアドアの開閉状態を示す情報(ステップS2302)、および、車両100の現在位置(ステップS2320)を、送電装置90の制御部98に代えてサーバ200の処理部230が通信部210を通じて車両100から取得する点において、
図17のフローチャートと異なる。
【0194】
さらに、
図20のフローチャートは、車両100の現在位置の周辺の道路の情報(ステップS2325)を、サーバ200の処理部230が道路情報DB222から取得する点において、
図17のフローチャートと異なる。
【0195】
図20におけるステップS2305,S2310,S2315,S2330,S2335およびS2340およびS2345の処理は、それぞれ、
図17におけるステップS3305,S3310,S3315,S3330,S3335,S3340およびS3345の処理と基本的に同様である。
【0196】
図21は、処理部230による検知領域400の設定処理(
図19のステップS230)の詳細の他の一例を示す図である。このフローチャートにおけるステップS2325A~S2345Aの処理は、送電装置90の制御部98に代えてサーバ200の処理部230により実行されること以外は、
図18のフローチャートにおけるステップ3325A~S3345Aの処理と基本的にそれぞれ同様である。カメラ331により撮影された画像は、通信インターフェース325を通じてサーバ200に送信される。
【0197】
例えば、処理部230は、第1長さL1が第2長さL2よりも短くなるように、検知領域420および検知領域425を設定する(ステップS2345)。第1長さL1は、第1基準長さL10を超えないように設定される(L1<L10)。第2長さL2は、第2基準長さL11以上になるように設定される(L11≦L2)。
【0198】
これにより、実施の形態1,2の場合と同様に、漏洩電磁界LEMFによる電気機器380への影響を低減しつつ、車両100の非接触充電を良好に実施することができる。
【0199】
[その他の変形例]
車両100は、送電装置90を用いて非接触充電可能な車両であれば、BEVに限定されない。車両100は、例えば、内燃機関(図示せず)がさらに搭載されるハイブリッド自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)、または燃料電池車(FCEV:Fuel Cell Electric Vehicle)などの電動車であってもよい。
【0200】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0201】
10 非接触電力伝送システム、90,90A,90B 送電装置、92,92A,92B 送電部、95,95A,95B,140,210 通信部、98,98A,98B 制御部、99,99A,99B,170 検知部、100,100A 車両、121F,121R,122L,122R,331 カメラ、125 駆動機構、132 道路情報データ、147A,147B リアドア、160 蓄電装置、180 受電装置、181 受電部、200 サーバ、230 処理部、370 人、380 電気機器、400,410,420,425 検知領域、430 検知対象、440 歩道領域、450 設置領域、460 車線領域、500 充電レーン、E1,E2,E3,E4 外側外縁、L1 第1長さ、L2 第2長さ、L10 第1基準長さ、L11 第2基準長さ、LEMF 漏洩電磁界。