(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】車両運転支援装置、車両運転支援方法及び車両運転支援プログラム
(51)【国際特許分類】
B60W 30/14 20060101AFI20241106BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
B60W30/14
G08G1/16 E
(21)【出願番号】P 2021155683
(22)【出願日】2021-09-24
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鎌谷 英輝
【審査官】鶴江 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-061832(JP,A)
【文献】国際公開第2013/061414(WO,A1)
【文献】特開2013-086725(JP,A)
【文献】国際公開第2012/029178(WO,A1)
【文献】特開2012-101636(JP,A)
【文献】特開2008-273387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00- 1/16
F02D 29/00-29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両に与えられる駆動力を出力する駆動装置と、
前記駆動装置の作動を制御することにより前記自車両の車速が設定車速に維持されるように前記自車両を加減速させる定速走行制御を実行する制御装置と、
を備えており、
前記制御装置は、前記定速走行制御として、前記設定車速を含む車速範囲を拡大車速制御範囲として設定し、前記自車両の車速が前記拡大車速制御範囲の上限値よりも大きくなった場合、前記自車両を減速させ、前記自車両の車速が前記拡大車速制御範囲の下限値よりも小さくなった場合、前記自車両を加速させることにより、前記自車両の車速を前記設定車速に維持する拡大定速走行制御を実行するように構成されている、
車両運転支援装置であって、
前記制御装置は、前記拡大定速走行制御の実行時、前記設定車速が所定車速以下であるとの定速加速判定変更条件が成立していないときに前記自車両を加速する場合、前記駆動装置を最適エネルギー効率で作動させて前記自車両を加速し、前記拡大定速走行制御の実行時、前記定速加速判定変更条件が成立しているときに前記自車両を加速する場合、前記駆動装置を前記最適エネルギー効率で作動させたときに前記駆動装置から出力される駆動力よりも小さい駆動力が前記駆動装置から出力されるように前記駆動装置を作動させて前記自車両を加速するように構成されている、
車両運転支援装置において、
前記制御装置は、前記拡大定速走行制御の実行時、前記設定車速が前記所定車速以下であるときでも、前記自車両が走行している道路の勾配が所定の上り勾配よりも大きい場合、前記定速加速判定変更条件が成立していないと判定するように構成されている、
車両運転支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両運転支援装置において、
前記制御装置は、前記定速走行制御として、前記設定車速を含む車速範囲であって前記拡大車速制御範囲よりも狭い範囲を通常車速制御範囲として設定し、前記自車両の車速が前記通常車速制御範囲の上限値よりも大きくなった場合、前記自車両を減速させ、前記自車両の車速が前記通常車速制御範囲の下限値よりも小さくなった場合、前記自車両を加速させることにより、前記自車両の車速を前記設定車速に維持する通常定速走行制御を実行するように構成されている、
車両運転支援装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車両運転支援装置において、
前記制御装置は、前記拡大定速走行制御の実行時、前記定速加速判定変更条件が成立している場合、前記拡大車速制御範囲を狭めることにより該拡大車速制御範囲の下限値と前記設定車速との差が小さくなるように前記拡大車速制御範囲の下限値を設定するように構成されている、
車両運転支援装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の車両運転支援装置において、
前記制御装置は、前記拡大車速制御範囲の下限値と前記設定車速との差が前記拡大車速制御範囲の上限値と前記設定車速との差よりも大きくなるように前記拡大車速制御範囲を設定するように構成されている、
車両運転支援装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の車両運転支援装置において、
前記制御装置は、
先行車が存在するときには、前記定速走行制御に代えて、前記自車両が該先行車から離れていく度合である先行車離間度合が所定先行車離間度合よりも大きくなった場合、前記自車両を加速させ、前記自車両が前記先行車に近づいていく度合である先行車接近度合が所定先行車接近度合よりも大きくなった場合、前記自車両を減速させる拡大追従走行制御を実行し、
前記拡大追従走行制御の実行時、前記先行車の車速が前記所定車速以下であるとの追従加速判定変更条件が成立している場合、前記先行車の車速が前記所定車速よりも高いときに比べ、前記所定先行車離間度合を小さい度合に設定し、或いは、
前記拡大定速走行制御の実行時、前記追従加速判定変更条件が成立していないときに前記自車両を加速する場合、前記駆動装置を最適エネルギー効率で作動させて前記自車両を加速し、前記拡大追従走行制御の実行時、前記追従加速判定変更条件が成立しているときに前記自車両を加速する場合、前記駆動装置を前記最適エネルギー効率で作動させたときに前記駆動装置から出力される駆動力よりも小さい駆動力が前記駆動装置から出力されるように前記駆動装置を作動させて前記自車両を加速する、
ように構成されている、
車両運転支援装置。
【請求項6】
自車両に与えられる駆動力を出力する駆動装置の作動を制御することにより前記自車両の車速が設定車速に維持されるように前記自車両を加減速させる定速走行制御を実行する車両運転支援方法において、
前記定速走行制御として、前記設定車速を含む車速範囲を拡大車速制御範囲として設定し、前記自車両の車速が前記拡大車速制御範囲の上限値よりも大きくなった場合、前記自車両を減速させ、前記自車両の車速が前記拡大車速制御範囲の下限値よりも小さくなった場合、前記自車両を加速させることにより、前記自車両の車速を前記設定車速に維持する拡大定速走行制御を実行し、
前記拡大定速走行制御の実行時、前記設定車速が所定車速以下であるとの定速加速判定変更条件が成立していないときに前記自車両を加速する場合、前記駆動装置を最適エネルギー効率で作動させて前記自車両を加速し、前記拡大定速走行制御の実行時、前記定速加速判定変更条件が成立しているときに前記自車両を加速する場合、前記駆動装置を前記最適エネルギー効率で作動させたときに前記駆動装置から出力される駆動力よりも小さい駆動力が前記駆動装置から出力されるように前記駆動装置を作動させて前記自車両を加速し、
前記拡大定速走行制御の実行時、前記設定車速が前記所定車速以下であるときでも、前記自車両が走行している道路の勾配が所定の上り勾配よりも大きい場合、前記定速加速判定変更条件が成立していないと判定する、
車両運転支援方法。
【請求項7】
自車両に与えられる駆動力を出力する駆動装置の作動を制御することにより前記自車両の車速が設定車速に維持されるように前記自車両を加減速させる定速走行制御を実行する車両運転支援プログラムであって、
前記定速走行制御として、前記設定車速を含む車速範囲を拡大車速制御範囲として設定し、前記自車両の車速が前記拡大車速制御範囲の上限値よりも大きくなった場合、前記自車両を減速させ、前記自車両の車速が前記拡大車速制御範囲の下限値よりも小さくなった場合、前記自車両を加速させることにより、前記自車両の車速を前記設定車速に維持する拡大定速走行制御を実行し、
前記拡大定速走行制御の実行時、前記設定車速が所定車速以下であるとの定速加速判定変更条件が成立していないときに前記自車両を加速する場合、前記駆動装置を最適エネルギー効率で作動させて前記自車両を加速し、前記拡大定速走行制御の実行時、前記定速加速判定変更条件が成立しているときに前記自車両を加速する場合、前記駆動装置を前記最適エネルギー効率で作動させたときに前記駆動装置から出力される駆動力よりも小さい駆動力が前記駆動装置から出力されるように前記駆動装置を作動させて前記自車両を加速する、
車両運転支援プログラムにおいて、
前記拡大定速走行制御の実行時、前記設定車速が前記所定車速以下であるときでも、前記自車両が走行している道路の勾配が所定の上り勾配よりも大きい場合、前記定速加速判定変更条件が成立していないと判定するように構成されている、
車両運転支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両運転支援装置、車両運転支援方法及び車両運転支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自車両の車速が設定車速に維持されるように自車両の加減速を自動で制御する走行支援制御を実行する車両運転支援装置が知られている。又、走行支援制御の実行中に自車両を減速させる場合、自車両を惰行走行させることにより自車両を減速させ、走行支援制御の実行中に自車両を加速させる場合、自車両に駆動力を与えるための駆動装置としての内燃機関を最大燃費効率動作点で作動させて自車両を加速させることにより、燃費を向上させるようにした車両運転支援装置も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
上記走行支援制御により自車両を加減速させる場合、自車両を減速させるのか加速させるのかを判定するために設定車速を中心した判定範囲を設定し、車速が判定範囲の上限値を上回ったときに自車両を減速させ、車速が判定範囲の下限値を下回ったときに自車両を加速させるという制御の仕方を採用することができる。これによれば、駆動装置のエネルギー効率を向上させることができる。
【0005】
しかしながら、設定車速が比較的低い車速に設定されていると、設定車速に対する減速幅が大きく、自車両の運転者が自車両が減速し過ぎると感じてしまう可能性があり、又、駆動装置を最大エネルギー効率で作動させて自車両を加速した場合、自車速が低いほど大きな駆動力(駆動トルク)が駆動装置から出力されるので、自車両の運転者が自車両の加速が大きすぎると感じてしまう可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、自車両の運転者が過剰な減速又は加速が行われていると感じることを抑制しつつ、駆動装置のエネルギー効率を向上することができるように走行支援制御を実行する車両運転支援装置を提供することにある。
【0007】
本発明に係る車両運転支援装置は、自車両に与えられる駆動力を出力する駆動装置と、前記駆動装置の作動を制御することにより前記自車両の車速が設定車速に維持されるように前記自車両を加減速させる定速走行制御を実行する制御装置と、を備えている。前記制御装置は、前記定速走行制御として、前記設定車速を含む車速範囲を拡大車速制御範囲として設定し、前記自車両の車速が前記拡大車速制御範囲の上限値よりも大きくなった場合、前記自車両を減速させ、前記自車両の車速が前記拡大車速制御範囲の下限値よりも小さくなった場合、前記自車両を加速させることにより、前記自車両の車速を前記設定車速に維持する拡大定速走行制御を実行するように構成されている。
【0008】
更に、前記制御装置は、前記拡大定速走行制御の実行時、前記設定車速が所定車速以下であるとの定速加速判定変更条件が成立していないときに前記自車両を加速する場合、前記駆動装置を最適エネルギー効率で作動させて前記自車両を加速し、前記拡大定速走行制御の実行時、前記定速加速判定変更条件が成立しているときに前記自車両を加速する場合、前記駆動装置を前記最適エネルギー効率で作動させたときに前記駆動装置から出力される駆動力よりも小さい駆動力が前記駆動装置から出力されるように前記駆動装置を作動させて前記自車両を加速するように構成されている。
更に、前記制御装置は、前記拡大定速走行制御の実行時、前記設定車速が前記所定車速以下であるときでも、前記自車両が走行している道路の勾配が所定の上り勾配よりも大きい場合、前記定速加速判定変更条件が成立していないと判定するように構成されている。
【0009】
本発明によれば、設定車速が比較的が低い場合、駆動装置を最適エネルギー効率で作動させたときの駆動力よりも小さい駆動力で自車両が加速される。従って、運転者が自車両の加速が過剰な加速であるとの感覚(過剰加速感)を持つことを回避することができる。
又、自車両が走行している道路が上り坂であり、しかも、その上り坂の勾配が大きいときに、自車両を加速するときの駆動力を小さくすると、自車両を十分に加速することができない可能性がある。
本発明によれば、設定車速が所定車速以下であるときでも、自車両が走行している道路の勾配が所定の上り勾配よりも大きい場合、自車両を加速するときの駆動力が小さい駆動力に制御されない。このため、自車両を十分に加速することができない状況の発生を抑制することができる。
【0010】
尚、本発明の1つの態様において、前記制御装置は、前記定速走行制御として、前記設定車速を含む車速範囲であって前記拡大車速制御範囲よりも狭い範囲を通常車速制御範囲として設定し、前記自車両の車速が前記通常車速制御範囲の上限値よりも大きくなった場合、前記自車両を減速させ、前記自車両の車速が前記通常車速制御範囲の下限値よりも小さくなった場合、前記自車両を加速させることにより、前記自車両の車速を前記設定車速に維持する通常定速走行制御を実行するように構成される。
【0011】
一般に、定速走行制御を実行する場合、自車両の車速の制御範囲が広ければ、駆動装置が消費するエネルギー量を少なくすることができる。本発明によれば、自車両の車速の制御範囲の広い拡大車速制御範囲を用いる拡大定速走行制御と、自車両の車速の制御範囲の狭い通常車速制御範囲を用いる通常定速走行制御と、の何れかを選択して実行することができる。このため、定速走行制御を実行する場合において、できる限り拡大定速走行制御を実行することにより、駆動装置が消費するエネルギー量を少なくすることができる。
【0012】
又、本発明の別の態様において、前記制御装置は、前記拡大定速走行制御の実行時、前記定速加速判定変更条件が成立している場合、前記拡大車速制御範囲を狭めることにより該拡大車速制御範囲の下限値と前記設定車速との差が小さくなるように前記拡大車速制御範囲の下限値を設定するように構成される。
【0013】
自車両の車速の制御範囲が同じ幅の範囲に維持されるように、その制御範囲の下限値を設定するようにしている場合、拡大車速制御範囲の下限値と設定車速との差が小さくなるように拡大車速制御範囲の下限値を設定すると、当然に、その制御範囲の上限値が大きい値に設定される。すると、その制御範囲の中央値が上昇するので、その制御範囲で自車両の車速が制御されると、自車両の平均車速が設定車速から大きくずれてしまう可能性がある。
【0014】
本発明によれば、拡大車速制御範囲が狭められることにより、拡大車速制御範囲の下限値と設定車速との差が小さくなるように拡大車速制御範囲の下限値が設定される。従って、拡大車速制御範囲で自車両の車速が制御されたときに、自車両の平均車速が設定車速から大きくずれてしまうことを抑制することができる。
【0015】
又、本発明の更に別の態様において、前記制御装置は、前記拡大車速制御範囲の下限値と前記設定車速との差が前記拡大車速制御範囲の上限値と前記設定車速との差よりも大きくなるように前記拡大車速制御範囲を設定するように構成される。
【0016】
本発明によれば、運転者が過剰減速感や過剰加速感を持つことを回避することができる。
【0023】
又、本発明の更に別の態様において、前記制御装置は、先行車が存在するときには、前記定速走行制御に代えて、前記自車両が該先行車から離れていく度合である先行車離間度合が所定先行車離間度合よりも大きくなった場合、前記自車両を加速させ、前記自車両が前記先行車に近づいていく度合である先行車接近度合が所定先行車接近度合よりも大きくなった場合、前記自車両を減速させる拡大追従走行制御を実行するように構成される。更に、この態様において、前記制御装置は、前記拡大追従走行制御の実行時、前記先行車の車速が前記所定車速以下であるとの追従加速判定変更条件が成立している場合、前記先行車の車速が前記所定車速よりも高いときに比べ、前記所定先行車離間度合を小さい度合に設定するように構成される。或いは、前記制御装置は、前記拡大追従走行制御の実行時、前記追従加速判定変更条件が成立していないときに前記自車両を加速する場合、前記駆動装置を最適エネルギー効率で作動させて前記自車両を加速し、前記拡大追従走行制御の実行時、前記追従加速判定変更条件が成立しているときに前記自車両を加速する場合、前記駆動装置を前記最適エネルギー効率で作動させたときに前記駆動装置から出力される駆動力よりも小さい駆動力が前記駆動装置から出力されるように前記駆動装置を作動させて前記自車両を加速するように構成される。
【0024】
本発明によれば、拡大追従走行制御の実行中における自車両の車速が比較的低い場合、自車両が減速されて先行車から大きく離れる前に自車両が加速されるので、運転者が過剰減速感を持つことを回避することができる。又、本発明によれば、拡大追従走行制御の実行中における自車両の車速が比較的低い場合、駆動装置を最適エネルギー効率で作動させたときの駆動力よりも小さい駆動力で自車両が加速される。従って、運転者が過剰加速感を持つことを回避することができる。
【0025】
又、本発明に係る車両運転支援方法は、自車両に与えられる駆動力を出力する駆動装置の作動を制御することにより前記自車両の車速が設定車速に維持されるように前記自車両を加減速させる定速走行制御を実行する方法である。そして、本発明に係る車両運転支援方法は、前記定速走行制御として、前記設定車速を含む車速範囲を拡大車速制御範囲として設定し、前記自車両の車速が前記拡大車速制御範囲の上限値よりも大きくなった場合、前記自車両を減速させ、前記自車両の車速が前記拡大車速制御範囲の下限値よりも小さくなった場合、前記自車両を加速させることにより、前記自車両の車速を前記設定車速に維持する拡大定速走行制御を実行する工程を含んでいる。更に、本発明に係る車両運転支援方法は、前記拡大定速走行制御の実行時、前記設定車速が所定車速以下であるとの定速加速判定変更条件が成立していないときに前記自車両を加速する場合、前記駆動装置を最適エネルギー効率で作動させて前記自車両を加速し、前記拡大定速走行制御の実行時、前記定速加速判定変更条件が成立しているときに前記自車両を加速する場合、前記駆動装置を前記最適エネルギー効率で作動させたときに前記駆動装置から出力される駆動力よりも小さい駆動力が前記駆動装置から出力されるように前記駆動装置を作動させて前記自車両を加速する工程を含んでいる。
更に、本発明に係る車両運転支援方法は、前記拡大定速走行制御の実行時、前記設定車速が前記所定車速以下であるときでも、前記自車両が走行している道路の勾配が所定の上り勾配よりも大きい場合、前記定速加速判定変更条件が成立していないと判定する工程を含んでいる。
【0026】
本発明によれば、設定車速が比較的が低い場合、駆動装置を最適エネルギー効率で作動させたときの駆動力よりも小さい駆動力で自車両が加速される。従って、運転者が自車両の加速が過剰な加速であるとの感覚(過剰加速感)を持つことを回避することができる。
又、自車両が走行している道路が上り坂であり、しかも、その上り坂の勾配が大きいときに、自車両を加速するときの駆動力を小さくすると、自車両を十分に加速することができない可能性がある。
本発明によれば、設定車速が所定車速以下であるときでも、自車両が走行している道路の勾配が所定の上り勾配よりも大きい場合、自車両を加速するときの駆動力が小さい駆動力に制御されない。このため、自車両を十分に加速することができない状況の発生を抑制することができる。
【0027】
又、本発明に係る車両運転支援プログラムは、自車両に与えられる駆動力を出力する駆動装置の作動を制御することにより前記自車両の車速が設定車速に維持されるように前記自車両を加減速させる定速走行制御を実行するプログラムである。本発明に係る車両運転支援プログラムは、前記定速走行制御として、前記設定車速を含む車速範囲を拡大車速制御範囲として設定し、前記自車両の車速が前記拡大車速制御範囲の上限値よりも大きくなった場合、前記自車両を減速させ、前記自車両の車速が前記拡大車速制御範囲の下限値よりも小さくなった場合、前記自車両を加速させることにより、前記自車両の車速を前記設定車速に維持する拡大定速走行制御を実行する処理を実行する。更に、本発明に係る車両運転支援プログラムは、前記拡大定速走行制御の実行時、前記設定車速が所定車速以下であるとの定速加速判定変更条件が成立していないときに前記自車両を加速する場合、前記駆動装置を最適エネルギー効率で作動させて前記自車両を加速し、前記拡大定速走行制御の実行時、前記定速加速判定変更条件が成立しているときに前記自車両を加速する場合、前記駆動装置を前記最適エネルギー効率で作動させたときに前記駆動装置から出力される駆動力よりも小さい駆動力が前記駆動装置から出力されるように前記駆動装置を作動させて前記自車両を加速する処理を実行する。
更に、本発明に係る車両運転支援プログラムは、前記拡大定速走行制御の実行時、前記設定車速が前記所定車速以下であるときでも、前記自車両が走行している道路の勾配が所定の上り勾配よりも大きい場合、前記定速加速判定変更条件が成立していないと判定する。
【0028】
本発明によれば、設定車速が比較的が低い場合、駆動装置を最適エネルギー効率で作動させたときの駆動力よりも小さい駆動力で自車両が加速される。従って、運転者が自車両の加速が過剰な加速であるとの感覚(過剰加速感)を持つことを回避することができる。
又、自車両が走行している道路が上り坂であり、しかも、その上り坂の勾配が大きいときに、自車両を加速するときの駆動力を小さくすると、自車両を十分に加速することができない可能性がある。
本発明によれば、設定車速が所定車速以下であるときでも、自車両が走行している道路の勾配が所定の上り勾配よりも大きい場合、自車両を加速するときの駆動力が小さい駆動力に制御されない。このため、自車両を十分に加速することができない状況の発生を抑制することができる。
【0029】
本発明の構成要素は、図面を参照しつつ後述する本発明の実施形態に限定されるものではない。本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置及びその車両運転支援装置が搭載された車両(自車両)を示した図である。
【
図2】
図2は、前方車間距離及び後方車間距離を示した図である。
【
図3】
図3は、内燃機関のエネルギー効率、モータのエネルギー効率及び要求駆動力を示した図である。
【
図4】
図4は、先行車も後続車も存在しない場面を示した図である。
【
図5】
図5は、設定車速と拡大車速下限値との関係を示した図である。
【
図6】
図6の(A)は、前方車間距離が前方中距離判定値よりも長い場面を示した図であり、
図6の(B)は、前方車間距離が前方中距離判定値以下である場面を示した図である。
【
図7】
図7の(A)は、前方車間距離が前方近距離判定値よりも長い場面を示した図であり、
図7の(B)は、前方車間距離が前方近距離判定値以下である場面を示した図である。
【
図8】
図8の(A)は、後方車間距離が後方近距離判定値よりも長い場面を示した図であり、
図8の(B)は、後方車間距離が後方近距離判定値以下である場面を示した図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
【
図12】
図12は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
【
図13】
図13は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
【
図14】
図14は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
【
図15】
図15は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
【
図16】
図16は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
【
図17】
図17は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
【
図18】
図18は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
【
図19】
図19は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置について説明する。
図1に、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置10が示されている。車両運転支援装置10は、自車両100に搭載される。
【0032】
<ECU>
車両運転支援装置10は、ECU90を備えている。ECUは、エレクトロニックコントロールユニットの略称である。ECU90は、マイクロコンピュータを主要部として備える。マイクロコンピュータは、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ及びインターフェース等を含む。CPUは、ROMに格納されたインストラクション又はプログラム又はルーチンを実行することにより、各種機能を実現するようになっている。
【0033】
特に、ECU90は、後述する走行支援制御を実行するためのプログラムをROMに予め記憶しているが、そうしたプログラムを自車両100の外部の機器から受信装置を介して無線で取得して記憶したり、記憶したプログラムを自車両100の外部の機器から受信装置を介して無線で更新したりすることができるように構成されていてもよい。
【0034】
<車両走行装置>
自車両100には、車両走行装置20が搭載されている。車両走行装置20は、自車両100の駆動、制動及び操舵を行う装置であり、本例においては、駆動装置21、制動装置22及び操舵装置23を備えている。
【0035】
<駆動装置>
駆動装置21は、自車両100を走行させるために自車両100に与えられる駆動力(駆動トルク)を出力する装置であり、本例においては、異なる動力出力特性を有する2つの動力源(第1動力源211及び第2動力源212)からなる。例えば、第1動力源211及び第2動力源212は、それぞれ、内燃機関及びモータである。第1動力源211及び第2動力源212は、それぞれ、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、第1動力源211及び第2動力源212の作動をそれぞれ制御することにより第1動力源211及び第2動力源212からそれぞれ出力される駆動力(駆動トルク)を制御することができる。
【0036】
<制動装置>
制動装置22は、自車両100を制動するために自車両100に与えられる制動力(制動トルク)を出力する装置であり、例えば、油圧ブレーキ装置である。制動装置22は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、制動装置22の作動を制御することにより制動装置22から出力される制動力(制動トルク)を制御することができる。
【0037】
<操舵装置>
操舵装置23は、自車両100を操舵するために自車両100に与えられる操舵力(操舵トルク)を出力する装置であり、例えば、パワーステアリング装置である。操舵装置23は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、操舵装置23の作動を制御することにより操舵装置23から出力される操舵力(操舵トルク)を制御することができる。
【0038】
<センサ等>
更に、自車両100には、アクセルペダル41、アクセルペダル操作量センサ42、ブレーキペダル43、ブレーキペダル操作量センサ44、ハンドル45、操舵角センサ46、操舵トルクセンサ47、車速検出装置48、道路勾配センサ49、走行支援操作器51、エコ走行操作器52及び周辺情報検出装置60が搭載されている。
【0039】
<アクセルペダル操作量センサ>
アクセルペダル操作量センサ42は、アクセルペダル41の操作量を検出するセンサである。アクセルペダル操作量センサ42は、ECU90に電気的に接続されている。アクセルペダル操作量センサ42は、検出した操作量の情報をECU90に送信する。ECU90は、アクセルペダル操作量センサ42から送信される情報に基づいてアクセルペダル41の操作量をアクセルペダル操作量APとして取得する。
【0040】
ECU90は、後述する走行支援制御を実行する場合を除き、アクセルペダル操作量AP及び自車両100の走行速度(自車速)に基づいて要求駆動力PD_REQ(要求駆動トルク)を演算により取得する。ECU90は、その要求駆動力PD_REQ(要求駆動トルク)が出力されるように駆動装置21の作動を制御する。又、ECU90は、後述する走行支援制御を実行する場合には、その走行支援制御により所望通りに自車両100を走行させるのに必要な駆動力(駆動トルク)を決定し、その駆動力(駆動トルク)が出力されるように駆動装置21の作動を制御する。
【0041】
<ブレーキペダル操作量センサ>
ブレーキペダル操作量センサ44は、ブレーキペダル43の操作量を検出するセンサである。ブレーキペダル操作量センサ44は、ECU90に電気的に接続されている。ブレーキペダル操作量センサ44は、検出した操作量の情報をECU90に送信する。ECU90は、ブレーキペダル操作量センサ44から送信される情報に基づいてブレーキペダル43の操作量をブレーキペダル操作量BPとして取得する。
【0042】
ECU90は、後述する走行支援制御を実行する場合を除き、ブレーキペダル操作量BPから要求制動力PB_REQ(要求制動トルク)を演算により取得する。ECU90は、その要求制動力PB_REQ(要求制動トルク)が出力されるように制動装置22の作動を制御する。又、ECU90は、後述する走行支援制御を実行する場合には、その走行支援制御により所望通りに自車両100を走行させるのに必要な制動力(制動トルク)を決定し、その制動力(制動トルク)が出力されるように制動装置22の作動を制御する。
【0043】
<操舵角センサ>
操舵角センサ46は、ハンドル45の中立位置に対する回転角度を検出するセンサである。操舵角センサ46は、ECU90に電気的に接続されている。操舵角センサ46は、検出したハンドル45の回転角度の情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいてハンドル45の回転角度を操舵角θとして取得する。
【0044】
<操舵トルクセンサ>
操舵トルクセンサ47は、自車両100の運転者Dがハンドル45を介してステアリングシャフトに入力したトルクを検出するセンサである。操舵トルクセンサ47は、ECU90に電気的に接続されている。操舵トルクセンサ47は、検出したトルクに関する情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいて運転者Dがハンドル45を介してステアリングシャフトに入力したトルク(ドライバー入力操舵トルク)を取得する。
【0045】
ECU90は、操舵角θ、ドライバー入力操舵トルク及び自車両100の走行速度(自車速)に基づいて要求操舵力(要求操舵トルク)を取得し、その要求操舵トルクが操舵装置23から出力されるように操舵装置23の作動を制御する。
【0046】
<車速検出装置>
車速検出装置48は、自車両100の走行速度を検出する装置であり、例えば、車輪速センサである。車速検出装置48は、ECU90に電気的に接続されている。車速検出装置48は、検出した自車両100の走行速度の情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいて自車両100の走行速度を自車速VOとして取得する。
【0047】
<道路勾配センサ>
道路勾配センサ49は、自車両100が走行している道路の勾配を検出するセンサであり、例えば、前後加速度センサやジャイロセンサである。道路勾配センサ49は、ECU90に電気的に接続されている。道路勾配センサ49は、検出した道路の勾配の情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいて自車両100が走行している道路の勾配RAを取得する。
【0048】
<走行支援操作器>
走行支援操作器51は、自車両100の運転者Dにより操作される装置であり、例えば、スイッチやボタン等からなる装置である。これらスイッチやボタン等は、例えば、ハンドル45のステアリングホイールに設けられ、或いは、自車両100のステアリングコラムに取り付けられたレバーに設けられる。
【0049】
本例において、走行支援操作器51は、走行支援選択スイッチ、車速設定スイッチ、車速増加ボタン、車速減少ボタン及び車間距離設定ボタンを含んでいる。走行支援操作器51は、ECU90に電気的に接続されている。
【0050】
後述する走行支援制御が実行されていないときに走行支援選択スイッチが運転者Dにより操作されると、走行支援操作器51からECU90に所定の信号が送信される。ECU90は、その信号を受信した場合、走行支援制御の実行が要求されたと判定する。一方、走行支援制御が実行されているときに走行支援選択スイッチが運転者Dにより操作されると、走行支援操作器51からECU90に所定の信号が送信される。ECU90は、その信号を受信した場合、走行支援制御の実行が要求されなくなったと判定する。即ち、ECU90は、走行支援制御の終了が要求されたと判定する。
【0051】
又、走行支援制御が実行されているときに車速設定スイッチが運転者Dにより操作されると、走行支援操作器51からECU90に所定の信号が送信される。ECU90は、その信号を受信した場合、その時点の自車速VO(自車両100の走行速度)を走行支援制御における設定車速V_SETとして設定する。
【0052】
又、走行支援制御が実行されているときに車速増加ボタンが運転者Dにより操作されると、走行支援操作器51からECU90に所定の信号が送信される。ECU90は、その信号を受信した場合、設定車速V_SETを大きくする。一方、走行支援制御が実行されているときに車速減少ボタンが運転者Dにより操作されると、走行支援操作器51からECU90に所定の信号が送信される。ECU90は、その信号を受信した場合、設定車速V_SETを小さくする。
【0053】
又、走行支援制御が実行されているときに車間距離設定ボタンが運転者Dにより操作されると、走行支援操作器51からECU90に所定の信号が送信される。この信号は、運転者Dが車間距離設定ボタンを操作することにより走行支援制御の追従走行制御における自車両100と先行車200Fとの間の距離(前方車間距離DF)として要求している距離(要求前方車間距離DF_REQ)を表す信号(要求車間距離信号)である。
【0054】
前方車間距離DFは、
図2に示したように、自車両100と先行車200Fとの間の距離であり、後述する周辺検出情報ISに基づいて取得される。又、本例において、先行車200Fは、自車線LN(自車両100が走行している車線)を自車両100の前方で走行する車両であって、前方車間距離DFが所定の距離(先行車判定距離DF_TH)以下となっている車両である。自車線LNは、後述する周辺検出情報ISに基づいて取得される自車両100の左側の区画線LML及び右側の区画線LMRに係る情報に基づいて認識される。又、本例において、運転者Dが車間距離設定ボタンを操作することにより選択可能な要求前方車間距離DF_REQは、長めの距離、中程度の距離及び短めの距離の3種類である。
【0055】
ECU90は、要求車間距離信号を受信した場合、そのときの自車速VOを考慮せずに要求前方車間距離DF_REQを設定前方車間距離DF_SETとして設定してもよいが、本例においては、そのときの自車速VO及び要求前方車間距離DF_REQに基づいて設定前方車間距離DF_SETを設定する。
【0056】
具体的には、ECU90は、そのときの自車速VOで除して得られる時間(予測到達時間TTC)が所定の時間(所定予測到達時間TTC_REF)となる前方車間距離DFを設定前方車間距離DF_SETとして設定する。即ち、ECU90は、そのときの自車速VOと所定予測到達時間TTC_REFと前方車間距離DFとの関係が下式1の関係となる前方車間距離DFを設定前方車間距離DF_SETとして設定する。
【0057】
TTC_REF=DF/VO …(1)
【0058】
所定予測到達時間TTC_REFは、要求前方車間距離DF_REQが長めの距離である場合、長めの時間TTC_Lであり、要求前方車間距離DF_REQが中程度の距離である場合、中程度の時間TTC_Mであり、要求前方車間距離DF_REQが短めの距離である場合、短めの時間TTC_Sである。
【0059】
尚、先行車判定距離DF_THは、設定前方車間距離DF_SETよりも長い距離となるように定められている。
【0060】
<エコ走行操作器>
エコ走行操作器52は、自車両100の運転者Dにより操作される装置であり、例えば、スイッチやボタン等からなる装置である。これらスイッチやボタン等は、例えば、自車両100のステアリングホイールに設けられ、或いは、自車両100のステアリングコラムに取り付けられたレバーに設けられる。
【0061】
エコ走行操作器52は、それがオフ位置に操作された状態にあるときに操作されるとオン位置となる。エコ走行操作器52は、オン位置に操作されると、所定の信号をECU90に送信する。後述する拡大定速走行制御(エコ定速走行制御)の実行を運転者が要求していると判断する。ECU90は、エコ定速走行制御(拡大定速走行制御)の実行を運転者が要求していると判断した場合、エコ走行条件が成立していると判断する。
【0062】
一方、エコ走行操作器52は、それがオン位置に操作されている状態にあるときに操作されるとオフ位置となる。エコ走行操作器52は、オフ位置に操作されると、所定の信号をECU90に送信する。ECU90は、その信号を受信した場合、エコ定速走行制御(拡大定速走行制御)の実行を運転者が要求していないと判断する。ECU90は、エコ定速走行制御(拡大定速走行制御)の実行を運転者が要求していないと判断した場合、エコ走行条件が成立していないと判断する。
【0063】
<周辺情報検出装置>
周辺情報検出装置60は、自車両100の周辺の情報を検出する装置であり、本例においては、電波センサ61及び画像センサ62を備えている。
【0064】
<電波センサ>
電波センサ61は、電波を用いて自車両100の周辺に存在する物体に関する情報を検出するセンサであり、例えば、レーダセンサ(ミリ波レーダ等)、超音波センサ(クリアランスソナー)等の音波センサ及びレーザーレーダ(LiDAR)等の光センサの少なくとも1つである。電波センサ61は、ECU90に電気的に接続されている。電波センサ61は、電波を発信するとともに、物体で反射した電波(反射波)を受信する。電波センサ61は、発信した電波及び受信した電波(反射波)に係る情報をECU90に送信する。別の言い方をすると、電波センサ61は、自車両100の周辺に存在する物体を検知し、その検知した物体に係る情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報(電波情報IR又は電波データ)に基づいて自車両100の周辺に存在する物体に係る情報(周辺検出情報IS)を取得することができる。電波センサ61を用いて検出される物体は、例えば、車両、壁、自転車及び人等である。
【0065】
<画像センサ>
画像センサ62は、自車両100の周辺を撮像するセンサであり、例えば、カメラである。画像センサ62は、ECU90に電気的に接続されている。画像センサ62は、自車両100の周辺を撮像し、撮像した画像に係る情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報(画像情報IC又は画像データ)に基づいて自車両100の周辺の情報(周辺検出情報IS)を取得することができる。
【0066】
ECU90は、周辺検出情報ISから先行車200Fと自車両100との間の距離(前方車間距離DF)、及び、先行車200Fの車速(先行車速VF)等を取得する。又、ECU90は、周辺検出情報ISから後続車200Rと自車両100との間の距離(後方車間距離DR)、及び、後続車200Rの車速(後続車速VR)等を取得する。
【0067】
後方車間距離DRは、
図2に示したように、自車両100と後続車200Rとの間の距離である。又、本例において、後続車200Rは、自車両100が走行している車線(自車線LN)を自車両100の後方で走行する車両であって、自車両100からの距離(後方車間距離DR)が後続車判定距離DR_TH以下である車両である
【0068】
<車両運転支援装置の作動の概要>
次に、車両運転支援装置10の作動の概要について説明する。車両運転支援装置10は、運転者Dによるアクセルペダル41の操作及びブレーキペダル43の操作とは無関係に、所定の条件が満たされるように自車両100の加減速度を自動で制御して走行させる走行支援制御を実行可能に構成されている。
【0069】
先に説明したように、駆動装置21は、第1動力源211及び第2動力源212からなり、それら第1動力源211及び第2動力源212は、それぞれ異なる動力出力特性を有している。本例においては、第1動力源211及び第2動力源212は、
図3に示した動力出力特性を有している。即ち、第1動力源211(例えば、内燃機関)が駆動力を出力するときのエネルギー効率(第1動力源211のエネルギー効率E1)は、線PD_ENGで示したように、第1動力源211が出力する駆動力が或る値PD_Aであるときに最も高くなり、第2動力源212(例えば、モータ)が駆動力を出力するときのエネルギー効率(第2動力源212のエネルギー効率E2)は、線PD_MTで示したように、第2動力源212が出力する駆動力が上記値PD_Aよりも小さい値PD_Bであるときに最も高くなる。
【0070】
尚、第1動力源211が内燃機関である場合、第1動力源211のエネルギー効率E1は、いわゆる燃費であり、第2動力源212がモータである場合、第2動力源212のエネルギー効率E2は、いわゆる電費である。
【0071】
このように、駆動装置21が駆動力を出力するときのエネルギー効率(駆動装置21のエネルギー効率E)には、駆動装置21が出力する駆動力が特定の値(最適駆動力PD_OPT)であるときにピークとなる(最も高くなる)特性があり、そのピークは、複数(本例においては、2つ)である。従って、最適駆動力PD_OPTを駆動装置21から出力させて自車両100を加速すれば、駆動装置21のエネルギー効率Eが高くなる。
【0072】
そこで、車両運転支援装置10は、駆動装置21のエネルギー効率Eが高くなるような自車両100の加減速が許容されるときには、自車両100を減速させるための制御として、惰行減速制御を実行し、自車両100を加速させるための制御として、最適加速制御を実行するようにして走行支援制御を実行する。
【0073】
本例において、惰行減速制御は、駆動装置21から出力される駆動力がゼロとなるように駆動装置21の作動を制御することにより、自車両100を惰行させて減速させる制御である。尚、駆動装置21がモータを含んでいる場合、惰行減速制御は、駆動装置21から出力される駆動力がゼロとなるように駆動装置21の作動を制御するとともに、自車両100の走行エネルギーによりモータを回転させて電力を回生することにより、自車両100を惰行させて減速させる制御とされてもよい。
【0074】
又、本例において、最適加速制御は、そのときの自車速VOを考慮したときに駆動装置21が駆動力を出力するときの当該駆動装置21のエネルギー効率Eが最大効率となる自車両100の加速度(最適加速度G_OPT)を要求加速度G_REQとして算出し、その要求加速度G_REQを達成するための駆動力を要求駆動力PD_REQとして算出し、その要求駆動力PD_REQが出力されるように駆動装置21の作動を制御することにより、自車両100を加速させる制御である。
【0075】
尚、最適加速制御は、最適加速度G_OPTよりも僅かばかり大きい或いは小さい加速度を要求加速度G_REQとして算出し、その要求加速度G_REQを達成するための駆動力を要求駆動力PD_REQとして算出し、その要求駆動力PD_REQが出力されるように駆動装置21の作動を制御することにより、自車両100を加速させる制御であってもよい。即ち、最適加速制御は、駆動装置21を「最大エネルギー効率及びそれよりも僅かばかり小さいエネルギー効率」を含む最適エネルギー効率で作動させる制御であってもよい。
【0076】
又、本例において、車両運転支援装置10は、走行支援制御として、大まかには、通常走行支援制御と拡大走行支援制御(エコ走行支援制御)との2つの制御を実行可能に構成されており、詳細には、通常走行支援制御として、通常定速走行制御又は通常追従走行制御を実行し、拡大走行支援制御として、拡大定速走行制御又は拡大追従走行制御を実行するように構成されている。
【0077】
<通常走行支援制御>
車両運転支援装置10は、走行支援実行条件が成立したときにエコ走行条件が成立していない場合、通常走行支援制御を実行する。
【0078】
車両運転支援装置10は、走行支援制御の実行を運転者が要求したと判断した場合、アクセルペダル41又はブレーキペダル43が運転者により操作されているか否かを問わず、走行支援実行条件が成立したと判断するように構成されてもよいが、本例においては、走行支援制御の実行を運転者が要求したと判断したときにアクセルペダル41もブレーキペダル43も運転者により操作されていない場合、走行支援実行条件が成立したと判断する。
【0079】
又、車両運転支援装置10は、走行支援制御を実行しているときに走行支援制御の終了を運転者が要求していると判断した場合、走行支援実行条件が不成立となった、即ち、走行支援制御を終了する条件(走行支援制御終了条件)が成立したと判断する。又、車両運転支援装置10は、走行支援制御を実行しているときにアクセルペダル41又はブレーキペダル43が運転者により操作された場合も、走行支援実行条件が不成立となったと判断する。
【0080】
車両運転支援装置10は、先行車200Fが存在するときには、通常走行支援制御として、追従走行制御を実行する。尚、車両運転支援装置10は、自車線LNを自車両100の前方で走行する車両であって、前方車間距離DFが先行車判定距離DF_TH以下である車両が存在する場合、先行車200Fが存在すると判断する。
【0081】
一方、車両運転支援装置10は、先行車200Fが存在しないときには、通常走行支援制御として、通常定速走行制御を実行する。
【0082】
<通常追従走行制御>
車両運転支援装置10は、通常追従走行制御を開始すると、前方車間距離DFが設定前方車間距離DF_SETに維持されるように自車両100を加速したり減速したりする。本例においては、車両運転支援装置10は、追従走行制御を開始すると、予測到達時間TTCが所定予測到達時間TTC_REFに維持されるように自車両100を加速したり減速したりする。
【0083】
より具体的には、車両運転支援装置10は、追従走行制御の実行時、予測到達時間TTCを所定予測到達時間TTC_REFに制御するために必要な自車両100の加速度Gを要求加速度G_REQとして算出する。このとき、車両運転支援装置10は、予測到達時間TTCが所定予測到達時間TTC_REFに収束する速度(収束速度)が所定速度以上となるように要求加速度G_REQを算出する。
【0084】
車両運転支援装置10は、要求加速度G_REQを算出すると、その要求加速度G_REQを達成するための要求駆動力PD_REQ又は要求制動力PB_REQを算出し、その要求駆動力PD_REQ又は要求制動力PB_REQが出力されるように駆動装置21及び/又は制動装置22の作動を制御する。これによれば、車両運転支援装置10は、予測到達時間TTCが所定予測到達時間TTC_REFよりも長くなった場合、自車両100を加速し、予測到達時間TTCが所定予測到達時間TTC_REFよりも短くなった場合、自車両100を減速することになる。
【0085】
<通常定速走行制御>
一方、車両運転支援装置10は、通常定速走行制御を開始すると、自車速VOが設定車速V_SETに維持されるように自車両100を加速したり減速したりする。本例においては、車両運転支援装置10は、通常定速走行制御の実行中は、自車速VOを設定車速V_SETに制御するために必要な自車両100の加速度Gを要求加速度G_REQとして算出する。このとき、車両運転支援装置10は、自車速VOが設定車速V_SETに収束する速度(収束速度)が所定速度以上となるように要求加速度G_REQを算出する。
【0086】
車両運転支援装置10は、要求加速度G_REQを算出すると、その要求加速度G_REQを達成するための要求駆動力PD_REQ又は要求制動力PB_REQを算出し、その要求駆動力PD_REQ又は要求制動力PB_REQが出力されるように駆動装置21及び/又は制動装置22の作動を制御することにより自車両100を加速したり減速したりする。これによれば、車両運転支援装置10は、自車速VOが設定車速V_SETよりも低くなった場合、自車両100を加速し、自車速VOが設定車速V_SETよりも高くなった場合、自車両100を減速することになる。
【0087】
尚、本例において、車両運転支援装置10は、通常定速走行制御の実行時、設定車速V_SETを基準として自車両100を加速したり減速したりしているが、例えば、自車両100を加速するか減速するかを判断する基準として設定車速V_SETを含む車速範囲(通常車速制御範囲R_N)を設定車速V_SETに応じて決定し、自車速VOが低下して通常車速制御範囲R_Nの下限値(通常車速下限値VL_N)よりも低くなった場合、自車両100を加速して自車速VOを上昇させ、自車速VOが上昇して通常車速制御範囲R_Nの上限値(通常車速上限値VU_N)よりも高くなった場合、自車両100を減速して自車速VOを低下させるように構成されてもよい。これによれば、自車速VOの平均値VO_AVEが設定車速V_SET近傍に制御される。
【0088】
<拡大走行支援制御(エコ走行支援制御)>
一方、車両運転支援装置10は、走行支援実行条件が成立したときにエコ走行条件が成立している場合、拡大走行支援制御(エコ走行支援制御)を実行する。このとき、車両運転支援装置10は、先行車200Fの有無及び後続車200Rの有無等に応じたエコ走行支援制御を実行する。
【0089】
<拡大定速走行制御(エコ定速走行制御)>
車両運転支援装置10は、
図4に示したように先行車200Fも後続車200Rも存在しない場合、拡大走行支援制御として、拡大定速走行制御(エコ定速走行制御)を実行する。
【0090】
車両運転支援装置10は、拡大定速走行制御を開始すると、自車両100を加速するか減速するかを判断する基準として設定車速V_SETを含む車速範囲(拡大車速制御範囲R_E)を設定車速V_SETに応じて設定する。
【0091】
本例において、拡大車速制御範囲R_Eは、設定車速V_SETを含む範囲に設定され、通常車速制御範囲R_Nよりも広い範囲に設定される。
【0092】
又、上述した通常車速制御範囲R_Nが設定される場合においては、設定車速V_SETが同じ値であるとき、拡大車速制御範囲R_Eの上限値(拡大車速上限値VU_E)は、通常車速制御範囲R_Nの上限値(通常車速上限値VU_N)よりも大きい値に設定され、拡大車速制御範囲R_Eの下限値(拡大車速下限値VL_E)は、通常車速制御範囲R_Nの下限値(通常車速下限値VL_N)よりも小さい値に設定される。尚、このとき、拡大車速上限値VU_Eは、自車両100に対して適用される制限速度を超えない値に設定される。
【0093】
又、拡大車速制御範囲R_Eは、設定車速V_SETとその下限値(拡大車速下限値VL_E)との差が設定車速V_SETとその上限値(拡大車速上限値VU_E)との差よりも大きくなるように設定される。
【0094】
車両運転支援装置10は、拡大車速制御範囲R_Eを設定すると、自車速VOが拡大車速下限値VL_Eよりも小さくなった場合、加速制御を実行し、自車速VOが拡大車速上限値VU_Eよりも大きくなった場合、惰行減速制御を実行する。これにより、自車速VOの平均値VO_AVEが設定車速V_SET近傍に制御される。即ち、車両運転支援装置10は、自車速VOが設定車速V_SETに維持されるように自車両100を加減速させる。
【0095】
又、本例において、加速制御は、駆動装置21から自車両100に与えられる駆動力を増大させて自車両100を加速させる制御である。
【0096】
ところで、設定車速V_SETとは無関係に設定車速V_SETに対して常に同じ車速幅で拡大車速下限値VL_Eを設定した場合、その車速幅が設定車速V_SETに占める割合は、設定車速V_SETが高いときよりも、設定車速V_SETが低いときのほうが大きい。このため、設定車速V_SETが低い車速に設定されている場合、自車両100が設定車速V_SETに対して大きな割合を占める車速だけ低下してから、自車両100の加速が開始されることになる。このため、自車両100の運転者Dが過剰な自車両100の減速が行われているとの違和感(過剰減速感)を持つ可能性がある。
【0097】
即ち、拡大走行支援制御は、できるだけ長い時間に亘って惰行減速制御を実施することにより、駆動装置21のエネルギー効率Eを高めようとするものであるが、自車速VOが低速域で制御される場面で自車両100を加速させる制御(加速制御)の開始タイミングが遅いと、運転者Dが過剰減速感を持つ可能性がある。
【0098】
そこで、車両運転支援装置10は、拡大走行支援制御の実行時、結果的に、自車速VOが低速域で制御されるときには、自車両100を加速させる制御(加速制御)の開始タイミングを決めるパラメータ(加速開始判定パラメータ)を適宜変更する。
【0099】
即ち、車両運転支援装置10は、拡大定速走行制御の実行時、設定車速V_SETが所定車速V_TH以下であるとの定速加速判定変更条件が成立している場合、設定車速V_SETが所定車速V_THよりも高いときに比べ、拡大車速下限値VL_Eと設定車速V_SETとの差が小さくなるように拡大車速下限値VL_Eを設定する。
【0100】
より具体的には、車両運転支援装置10は、設定車速V_SETが所定車速V_THよりも高い場合、所定値(標準値V_S)だけ設定車速V_SETよりも低い車速(標準下限値VL_E_S)を拡大車速下限値VL_Eとして設定し(VL_E=V_SET-V_S)、設定車速V_SETが所定車速V_TH以下である場合、標準値V_Sよりも小さい値(減少値V_L)だけ設定車速V_SETよりも低い車速を拡大車速下限値VL_Eとして設定する(VL_E=V_SET-V_L)。
【0101】
これによれば、拡大定速走行制御の実行時、設定車速V_SETが低い車速に設定されており、その結果、自車速VOが低速であるときには、自車速VOが設定車速V_SETに対して大幅に低下する前に自車両100の加速が開始される。このため、運転者Dが過剰減速感を持つことを回避することができる。
【0102】
尚、車両運転支援装置10は、定速加速判定変更条件が成立した場合、設定車速V_SETに応じて拡大車速下限値VL_Eを設定するように構成されてもよい。この場合、例えば、車両運転支援装置10は、
図5に示したように、設定車速V_SETが所定車速V_THから或る車速V_Pまでの間にあるときには、設定車速V_SETが低いほど大きい拡大車速下限値VL_Eを設定し、設定車速V_SETが或る車速V_Pよりも低いときには、設定車速V_SETが或る車速V_Pであるときの拡大車速下限値VL_Eと同じ拡大車速下限値VL_Eを設定するように構成される。
【0103】
又、設定車速V_SETが低い車速に設定されている場合、自車速VOの平均値VO_AVEが低くなる。こうした状況で自車速VOが拡大車速下限値VL_Eを下回ったときに、最適加速制御を実行すると、運転者Dが過剰に大きな自車両100の加速が行われているとの違和感(過剰加速感)を持つ可能性がある。
【0104】
即ち、先に述べたように、拡大走行支援制御は、できるだけ長い時間に亘って惰行減速制御を実施することにより、駆動装置21のエネルギー効率Eを高めようとするものであるが、自車速VOが低速域で制御される場面で最適加速制御により自車両100が加速されると、運転者Dが過剰加速感を持つ可能性がある。
【0105】
そこで、車両運転支援装置10は、拡大走行支援制御の実行時、結果的に、自車速VOが低速域で制御されるときには、自車両100を加速させるために自車両100に与える駆動力を適宜変更する。
【0106】
即ち、車両運転支援装置10は、拡大定速走行制御の実行時、設定車速V_SETが所定車速V_TH以下であるとの定速加速度変更条件が成立している場合、設定車速V_SETが所定車速V_THよりも高いときに比べ、自車両100を加速するために自車両100に与える駆動力を小さい駆動力に制御する。
【0107】
より具体的には、車両運転支援装置10は、設定車速V_SETが所定車速V_THよりも高いときに自車両100を加速させる場合、最適加速制御を実行し、設定車速V_SETが所定車速V_TH以下であるときに自車両100を加速させる場合、最適加速制御により達成される駆動力よりも所定値PD_Lだけ小さい駆動力(駆動装置21を最適エネルギー効率で作動させたときに駆動装置21から出力される駆動力よりも小さい駆動力)を要求駆動力PD_REQとして算出し、その要求駆動力PD_REQが出力されるように駆動装置21の作動を制御することにより、自車両100を加速させる制御(抑制加速制御)を実行する。
【0108】
これによれば、拡大定速走行制御の実行時、設定車速V_SETが低い車速に設定されており、その結果、自車両100が加速されるときの自車速VOが低速であるときには、自車両100に与えられる駆動力が小さい駆動力に制御される。このため、運転者Dが過剰加速感を持つことを回避することができる。
【0109】
尚、自車両100が走行している道路が平坦な道路であるか、或いは、下り坂であれば、自車両100を加速するときの駆動力が小さくても、自車両100を十分に加速することができ、又、自車両100が走行している道路が上り坂であっても、その上り坂の勾配が小さければ、自車両100を加速するときの駆動力が小さくても、自車両100を十分に加速することができる。一方、自車両100が走行している道路が上り坂であり、しかも、その上り坂の勾配が大きいときに、自車両100を加速するときの駆動力を小さくすると、自車両100を十分に加速することができない可能性がある。
【0110】
そこで、定速加速度変更条件は、設定車速V_SETが所定車速V_TH以下であるとの条件に加えて、自車両100が走行している道路の勾配RAが所定の上り勾配RA_TH以下であるとの条件を含んでいてもよい。言い方を換えると、定速加速度変更条件は、設定車速V_SETが所定車速V_TH以下であるとの条件に加えて、自車両100が走行している道路の勾配RAが上り坂を示す勾配であり且つその勾配RAの絶対値が所定の上り勾配RA_TH以下であるとの条件を含んでいてもよい。
【0111】
又、この場合において、車両運転支援装置10は、定速加速度変更条件が成立して抑制加速制御を実行する場合、自車両100を加速するときの駆動力を自車速VOと道路の勾配RAとをマップ等に適用して取得するように構成されてもよい。この場合、車両運転支援装置10は、自車速VOが低いほど自車両100に与える駆動力を小さくし、又、道路の勾配RAが小さいほど自車両100に与える駆動力を小さくする。
【0112】
このように自車両100が走行している道路の勾配RAに応じて自車両100を加速するときの駆動力を設定することにより、拡大定速走行制御の実行時、自車両100の十分な加速を確保することができる。
【0113】
<拡大追従走行制御等>
又、車両運転支援装置10は、
図6に示したように、先行車200Fは存在するが後続車200Rは存在しない場合、拡大走行支援制御の実行時、自車両100が先行車200Fから中程度の距離以上離れて走行しているか否かを判定する。言い方を換えると、車両運転支援装置10は、自車両100が先行車200Fから離れている度合(先行車離間度合)が所定先行車離間度合よりも大きくなっているか否かを判定する。
【0114】
本例においては、この判定として、車両運転支援装置10は、前方車間距離DFが所定の距離(前方中距離判定値DF_M)よりも長いとの条件(前方中距離条件)が成立しているか否かを判定する。
【0115】
本例において、前方中距離判定値DF_Mは、加速開始判定パラメータである。そこで、車両運転支援装置10は、先行車速VFが所定車速V_TH以下であるとの条件(追従加速判定変更条件)が成立している場合、先行車速VFが所定車速V_THよりも高いときに比べ、前方中距離判定値DF_Mを小さい値に設定する。言い方を換えると、車両運転支援装置10は、先行車速VFが所定車速V_TH以下であるとの条件(追従加速判定変更条件)が成立している場合、先行車速VFが所定車速V_THよりも高いときに比べ、所定先行車離間度合を小さい度合に設定する。
【0116】
より具体的には、車両運転支援装置10は、先行車速VFが所定車速V_THよりも高い場合、前方中距離判定値DF_Mの標準値(標準前方中距離判定値DF_M_S)を前方中距離判定値DF_Mとして設定し、先行車速VFが所定車速V_TH以下である場合、標準前方中距離判定値DF_M_Sよりも所定値DF_M_Pだけ小さい値(減少前方中距離判定値DF_M_L)を前方中距離判定値DF_Mとして設定する。尚、前方中距離判定値DF_Mは、先行車判定距離DF_THよりも短い距離に設定される。
【0117】
尚、車両運転支援装置10は、定速加速判定変更条件が成立した場合と同様に、先行車速VFに応じて前方中距離判定値DF_Mを設定するように構成されてもよい。この場合、例えば、車両運転支援装置10は、先行車速VFが所定車速V_THから或る車速V_Pまでの間にあるときには、先行車速VFが低いほど小さい前方中距離判定値DF_Mを設定し、先行車速VFが或る車速V_Pよりも低いときには、先行車速VFが或る車速V_Pであるときの前方中距離判定値DF_Mと同じ前方中距離判定値DF_Mを設定するように構成される。
【0118】
<第1拡大追従走行制御>
車両運転支援装置10は、
図6の(A)に示したように前方車間距離DFが前方中距離判定値DF_Mよりも長い場合、前方中距離条件が成立していると判定し、拡大追従走行制御として、第1拡大追従走行制御を実行する。
【0119】
車両運転支援装置10は、第1拡大追従走行制御の実行時、自車両100が先行車200Fに比較的速い速度で接近しつつあるか否かを判定する。言い方を換えると、車両運転支援装置10は、自車両100が先行車200Fに近づいていく度合(先行車接近度合)が所定の度合(所定先行車接近度合)よりも大きいか否かを判定する。
【0120】
本例においては、この判定として、車両運転支援装置10は、自車速VOが先行車速VFよりも速く且つそれら車速の差(先行車速差ΔVF)が所定の値(前方接近車速差ΔVF_A)よりも大きいとの前方接近条件が成立しているか否かを判定する。
【0121】
車両運転支援装置10は、前方接近条件が成立していると判定した場合、惰行減速制御を実行する。
【0122】
一方、車両運転支援装置10は、前方接近条件が成立していないと判定した場合、自車速VOが非常に低く、自車両100が先行車200Fから比較的速い速度で離されつつあるか否かを判定する。言い方を換えると、車両運転支援装置10は、自車両100が先行車200Fから離れていく度合(先行車離間度合)が所定の度合(所定先行車離間度合)よりも大きいか否かを判定する。
【0123】
本例においては、この判定として、車両運転支援装置10は、自車速VOが拡大車速下限値VL_Eよりも低く且つ自車速VOが先行車速VFよりも遅く且つそれら車速の差(先行車速差ΔVF)が所定値(前方離間車速差ΔVF_B)よりも大きいとの前方離間条件が成立しているか否かを判定する。尚、前方離間車速差ΔVF_Bは、前方接近車速差ΔVF_Aと同じ値でもよいし、異なる値でもよい。
【0124】
又、本例において、拡大車速下限値VL_E及び前方離間車速差ΔVF_Bは、それぞれ、加速開始判定パラメータである。そこで、車両運転支援装置10は、先行車速VFが所定車速V_TH以下であるとの条件(追従加速判定変更条件)が成立している場合、先行車速VFが所定車速V_THよりも高いときに比べ、拡大車速下限値VL_Eと設定車速V_SETとの差が小さくなるように拡大車速下限値VL_Eを設定し、前方離間車速差ΔVF_Bを小さい値に設定する。言い方を換えると、車両運転支援装置10は、先行車速VFが所定車速V_TH以下であるとの条件(追従加速判定変更条件)が成立している場合、先行車速VFが所定車速V_THよりも高いときに比べ、所定先行車離間度合を小さい度合に設定する。
【0125】
より具体的には、車両運転支援装置10は、先行車速VFが所定車速V_THよりも高い場合、標準下限値VL_E_Sを拡大車速下限値VL_Eとして設定するとともに、前方離間車速差ΔVF_Bの標準値(標準前方離間車速差ΔVF_B_S)を前方離間車速差ΔVF_Bとして設定する。一方、車両運転支援装置10は、先行車速VFが所定車速V_TH以下である場合、標準下限値VL_E_Sよりも所定値VL_Pだけ大きい値(増大下限値VL_E_H)を拡大車速下限値VL_Eとして設定するとともに、標準前方離間車速差ΔVF_B_Sよりも所定値VF_Bだけ小さい値(減少前方離間車速差ΔVF_B_L)を前方離間車速差ΔVF_Bとして設定する。尚、増大下限値VL_E_Hは、設定車速V_SETよりも小さい値に制限されている。
【0126】
尚、車両運転支援装置10は、定速加速判定変更条件が成立した場合と同様に、先行車速VFに応じて拡大車速下限値VL_E及び前方離間車速差ΔVF_Bを設定するように構成されてもよい。この場合、例えば、車両運転支援装置10は、先行車速VFが所定車速V_THから或る車速V_Pまでの間にあるときには、先行車速VFが低いほど大きい拡大車速下限値VL_Eを設定し、先行車速VFが或る車速V_Pよりも低いときには、先行車速VFが或る車速V_Pであるときの拡大車速下限値VL_Eと同じ拡大車速下限値VL_Eを設定するように構成される。又、車両運転支援装置10は、先行車速VFが所定車速V_THから或る車速V_Pまでの間にあるときには、先行車速VFが低いほど小さい前方離間車速差ΔVF_Bを設定し、先行車速VFが或る車速V_Pよりも低いときには、先行車速VFが或る車速V_Pであるときの前方離間車速差ΔVF_Bと同じ前方離間車速差ΔVF_Bを設定するように構成される。
【0127】
車両運転支援装置10は、前方離間条件が成立していると判定した場合、加速制御を実行する。このとき、車両運転支援装置10は、先行車速VFが所定車速V_TH以下であるとの追従加速度変更条件が成立している場合、先行車速VFが所定車速V_THよりも高いときに比べ、自車両100を加速するために自車両100に与える駆動力を小さい駆動力に制御する。より具体的には、車両運転支援装置10は、先行車速VFが所定車速V_THよりも高い場合、加速制御として、最適加速制御を実行し、先行車速VFが所定車速V_TH以下である場合、加速制御として、抑制加速制御を実行する。
【0128】
一方、車両運転支援装置10は、前方離間条件が成立していないと判定した場合、定常走行制御を実行する。本例において、定常走行制御は、その時点の自車速VOを維持するための要求駆動力PD_REQ又は要求制動力PB_REQを算出し、その要求駆動力PD_REQ又は要求制動力PB_REQが出力されるように駆動装置21及び/又は制動装置22の作動を制御する制御である。
【0129】
尚、定速加速度変更条件と同様に、追従加速度変更条件は、設定車速V_SETが所定車速V_TH以下であるとの条件に加えて、自車両100が走行している道路の勾配RAが所定の上り勾配RA_TH以下であるとの条件を含んでいてもよい。言い方を換えると、追従加速度変更条件は、設定車速V_SETが所定車速V_TH以下であるとの条件に加えて、自車両100が走行している道路の勾配RAが上り坂を示す勾配であり且つその勾配RAの絶対値が所定の上り勾配RA_TH以下であるとの条件を含んでいてもよい。
【0130】
又、この場合において、車両運転支援装置10は、追従加速度変更条件が成立して抑制加速制御を実行する場合、自車両100を加速するときの駆動力を自車速VOと道路の勾配RAとをマップ等に適用して取得するように構成されてもよい。この場合、車両運転支援装置10は、自車速VOが低いほど自車両100に与える駆動力を小さくし、又、道路の勾配RAが小さいほど自車両100に与える駆動力を小さくする。
【0131】
このように自車両100が走行している道路の勾配RAに応じて自車両100を加速するときの駆動力を設定することにより、拡大定速走行制御の実行時、自車両100の十分な加速を確保することができる。
【0132】
<第2拡大追従走行制御>
一方、車両運転支援装置10は、
図6の(B)に示したように前方車間距離DFが前方中距離判定値DF_M以下である場合、前方中距離条件が成立していないと判定し、拡大追従走行制御として、第2拡大追従走行制御を実行する。
【0133】
車両運転支援装置10は、第2拡大追従走行制御の実行時、自車両100が先行車200Fに非常に近いところを走行していないか否かを判定する。本例においては、この判定として、車両運転支援装置10は、前方車間距離DFが所定の距離(前方近距離判定値DF_S)以下であるとの前方近距離条件が成立しているか否かを判定する。尚、前方近距離判定値DF_Sは、前方中距離判定値DF_Mよりも短い距離に設定されている。
【0134】
車両運転支援装置10は、
図7の(A)に示したように前方車間距離DFが前方近距離判定値DF_Sよりも長い場合、前方近距離条件が成立していないと判定し、惰行減速制御を実行する。
【0135】
一方、車両運転支援装置10は、
図7の(B)に示したように前方車間距離DFが前方近距離判定値DF_S以下である場合、前方近距離条件が成立していると判定し、通常走行支援制御を実行する。尚、このとき、先行車200Fが存在するので、車両運転支援装置10は、通常走行支援制御として通常追従走行制御を実行する。
【0136】
<後続車のみ存在する場合>
又、車両運転支援装置10は、
図8に示したように先行車200Fは存在しないが後続車200Rは存在する場合、自車両100が後続車200Rに非常に近いところを走行していないか否かを判定する。言い方を換えると、車両運転支援装置10は、自車両100が後続車200Rから離れている度合(後続車離間度合)が所定の度合(所定後続車離間度合)よりも小さくなっているか否かを判定する。本例においては、この判定として、車両運転支援装置10は、後方車間距離DRが所定の距離(後方近距離判定値DR_S)以下であるとの後方近距離条件が成立しているか否かを判定する。
【0137】
本例において、後方近距離判定値DR_Sは、加速開始判定パラメータである。そこで、車両運転支援装置10は、設定車速V_SETが所定車速V_TH以下であるとの条件(定速加速判定変更条件)が成立している場合、設定車速V_SETが所定車速V_THよりも高いときに比べ、後方近距離判定値DR_Sを大きい値に設定する。言い方を換えると、車両運転支援装置10は、設定車速V_SETが所定車速V_TH以下であるとの条件(定速加速判定変更条件)が成立している場合、設定車速V_SETが所定車速V_THよりも高いときに比べ、所定後続車離間度合を大きい度合に設定する。
【0138】
より具体的には、車両運転支援装置10は、設定車速V_SETが所定車速V_THよりも高い場合、後方近距離判定値DR_Sの標準値(標準後方近距離判定値DR_S_S)を後方近距離判定値DR_Sとして設定し、設定車速V_SETが所定車速V_TH以下である場合、標準後方近距離判定値DR_S_Sよりも所定値DR_S_Pだけ大きい値(増大後方近距離判定値DR_S_H)を後方近距離判定値DR_Sとして設定する。尚、後方近距離判定値DR_Sは、後続車判定距離DR_THよりも短い距離に設定される。
【0139】
<第1拡大定速走行制御>
又、車両運転支援装置10は、
図8の(A)に示したように後方車間距離DRが後方近距離判定値DR_Sよりも長い場合、後方近距離条件が成立していないと判定し、拡大定速走行制御として、第1拡大定速走行制御を実行する。
【0140】
車両運転支援装置10は、第1拡大定速走行制御の実行時、後続車200Rが自車両100に比較的速い速度で接近しつつあり且つ自車速VOの上昇が許容される状況にあるか否かを判定する。言い方を換えると、車両運転支援装置10は、後続車200Rが自車両100に近づいてくる度合(後続車接近度合)が所定の度合(所定後続車接近度合)よりも大きく且つ自車両100の加速が許容される度合(加速許容度合)が所定の度合(所定加速許容度合)よりも大きいか否かを判定する。本例においては、この判定として、車両運転支援装置10は、自車速VOが後続車200Rの車速(後続車速VR)よりも遅く且つそれら車速の差(後続車速差ΔVR)が所定値(後方接近車速差ΔVR_A)よりも大きく且つ自車速VOが拡大車速上限値VU_Eよりも低いとの後方接近条件が成立しているか否かを判定する。
【0141】
本例において、拡大車速上限値VU_E及び後方接近車速差ΔVR_Aは、それぞれ、加速開始判定パラメータである。そこで、車両運転支援装置10は、設定車速V_SETが所定車速V_TH以下であるとの条件(定速加速判定変更条件)が成立している場合、設定車速V_SETが所定車速V_THよりも高いときに比べ、拡大車速上限値VU_Eと設定車速V_SETとの差が大きくなるように拡大車速上限値VU_Eを設定し、後方接近車速差ΔVR_Aを小さい値に設定する。言い方を換えると、車両運転支援装置10は、設定車速V_SETが所定車速V_TH以下であるとの条件(定速加速判定変更条件)が成立している場合、設定車速V_SETが所定車速V_THよりも高いときに比べ、所定後続車接近度合を小さい度合に設定し、所定加速許容度合を小さい度合に設定する。
【0142】
より具体的には、車両運転支援装置10は、設定車速V_SETが所定車速V_THよりも高い場合、拡大車速上限値VU_Eの標準値(標準上限値VU_E_S)を拡大車速上限値VU_Eとして設定し、後方接近車速差ΔVR_Aの標準値(標準後方接近車速差ΔVR_A_S)を後方接近車速差ΔVR_Aとして設定する。一方、車両運転支援装置10は、設定車速V_SETが所定車速V_TH以下である場合、標準上限値VU_E_Sよりも所定値VU_E_Pだけ大きい値(増大上限値VU_E_H)を拡大車速上限値VU_Eとして設定し、標準後方接近車速差ΔVR_A_Sよりも所定値VR_A_Pだけ小さい値(減少後方接近車速差ΔVR_A_L)を後方接近車速差ΔVR_Aとして設定する。尚、このとき、拡大車速上限値VU_Eは、自車両100に対して適用される制限速度を超えない値に設定される。
【0143】
車両運転支援装置10は、後方接近条件が成立していると判定した場合、加速制御を実行する。このとき、車両運転支援装置10は、設定車速V_SETが所定車速V_TH以下であるとの条件(定速加速度変更条件)が成立している場合、設定車速V_SETが所定車速V_THよりも高いときに比べ、自車両100を加速するために自車両100に与える駆動力を小さい駆動力に制御する。より具体的には、車両運転支援装置10は、設定車速V_SETが所定車速V_THよりも高い場合、加速制御として、最適加速制御を実行し、設定車速V_SETが所定車速V_TH以下である場合、加速制御として、抑制加速制御を実行する。
【0144】
一方、車両運転支援装置10は、後方接近条件が成立していないと判定した場合、定常走行制御を実行する。
【0145】
<第2拡大定速走行制御>
一方、車両運転支援装置10は、
図8の(B)に示したように後方車間距離DRが後方近距離判定値DR_S以下である場合、後方近距離条件が成立していると判定し、第2拡大定速走行制御を実行する。
【0146】
車両運転支援装置10は、第2拡大定速走行制御の実行時、自車速VOの上昇が許容される状況にあるか否かを判定する。言い方を換えると、車両運転支援装置10は、自車両100の加速が許容される度合(加速許容度合)が所定の度合(所定加速許容度合)よりも大きいか否かを判定する。本例においては、この判定として、車両運転支援装置10は、自車速VOが拡大車速上限値VU_Eよりも低いとの加速許容条件が成立しているか否かを判定する。
【0147】
本例において、拡大車速上限値VU_Eは、加速開始判定パラメータである。そこで、車両運転支援装置10は、設定車速V_SETが所定車速V_TH以下であるとの条件(定速加速判定変更条件)が成立している場合、先行車速VFが所定車速V_THよりも高いときに比べ、拡大車速上限値VU_Eと設定車速V_SETとの差が大きくなるように拡大車速上限値VU_Eを設定する。言い方を換えると、車両運転支援装置10は、設定車速V_SETが所定車速V_TH以下であるとの条件(定速加速判定変更条件)が成立している場合、先行車速VFが所定車速V_THよりも高いときに比べ、所定加速許容度合を小さい度合に設定する。より具体的には、車両運転支援装置10は、設定車速V_SETが所定車速V_THよりも高い場合、標準上限値VU_E_Sを拡大車速上限値VU_Eとして設定する。一方、車両運転支援装置10は、設定車速V_SETが所定車速V_TH以下である場合、標準上限値VU_E_Sよりも所定値VU_E_Pだけ大きい値(増大上限値VU_E_H)を拡大車速上限値VU_Eとして設定する。尚、このとき、拡大車速上限値VU_Eは、自車両100に対して適用される制限速度を超えない値に設定される。
【0148】
車両運転支援装置10は、加速許容条件が成立していると判定した場合、加速制御を実行する。このとき、車両運転支援装置10は、設定車速V_SETが所定車速V_TH以下であるとの条件(定速加速度変更条件)が成立している場合、設定車速V_SETが所定車速V_THよりも高いときに比べ、自車両100を加速するために自車両100に与える駆動力を小さい駆動力に制御する。より具体的には、車両運転支援装置10は、設定車速V_SETが所定車速V_THよりも高い場合、加速制御として、最適加速制御を実行し、設定車速V_SETが所定車速V_TH以下である場合、加速制御として、抑制加速制御を実行する。
【0149】
一方、車両運転支援装置10は、加速許容条件が成立していないと判定した場合、通常走行支援制御を実行する。尚、このとき、先行車200Fが存在しないので、車両運転支援装置10は、通常走行支援制御として通常定速走行制御を実行する。
【0150】
<先行車及び後続車が存在する場合>
又、車両運転支援装置10は、走行支援実行条件が成立したときにエコ走行条件が成立していても、先行車200F及び後続車200Rが存在する場合、通常走行支援制御を実行する。尚、このとき、先行車200Fが存在するので、車両運転支援装置10は、通常追従走行制御を実行する。
【0151】
<効果>
車両運転支援装置10によれば、運転者Dが過剰減速感や過剰加速感を持つ可能性がある場面においては、自車速VOが過剰に低下する前に自車両100の加速を開始するとともに、自車両100を加速するときの駆動力を小さい値に抑制するので、運転者Dが過剰減速感や過剰加速感を持つことを回避することができる。又、後続車200Rが存在する場合において、自車速VOが極端に低速になることを回避することができるので、自車両100が交通の妨げになることを回避することができる。
【0152】
一方、運転者Dが過剰減速感や過剰加速感を持つ可能性が低い場面においては、自車両100を減速させるときには、できる限り長い時間、惰行減速制御を実行し、又、自車両100を加速させるときには、最適加速制御を実行するので、駆動装置21のエネルギー効率Eが高くなる。従って、車両運転支援装置10によれば、運転者Dが過剰減速感や過剰加速感を持つことを回避しつつ、駆動装置21のエネルギー効率Eを高めることができる。
【0153】
<車両運転支援装置の具体的な作動>
次に、車両運転支援装置10の具体的な作動について説明する。車両運転支援装置10のECU90のCPUは、
図9に示したルーチンを所定演算周期で実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは、
図9のステップ900から処理を開始し、その処理をステップ905に進め、走行支援実行条件が成立しているか否かを判定する。
【0154】
CPUは、ステップ905にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ910に進め、エコ走行条件が成立しているか否かを判定する。
【0155】
CPUは、ステップ910にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ915に進め、後続車条件が成立するか否か、即ち、後続車200Rが存在するか否かを判定する。本例においては、この判定として、CPUは、後方車間距離DRが後続車判定距離DR_TH以下であるか否かを判定する。
【0156】
CPUは、ステップ915にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ920に進め、先行車条件が成立しているか否か、即ち、先行車200Fが存在するか否かを判定する。本例においては、この判定として、CPUは、前方車間距離DFが先行車判定距離DF_TH以下であるか否かを判定する。
【0157】
CPUは、ステップ920にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ925に進め、
図10に示したルーチンを実行することにより、通常追従走行制御を実行する。従って、CPUは、処理をステップ925に進めると、
図10のステップ1000から処理を開始し、その処理をステップ1005に進め、通常追従加速条件が成立しているか否かを判定する。本例においては、この判定として、CPUは、予測到達時間TTCが所定予測到達時間TTC_REFよりも長いか否かを判定する。
【0158】
CPUは、ステップ1005にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1010に進め、通常追従加速制御を実行する。次いで、CPUは、ステップ1095を経由して
図9のステップ995に処理を進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0159】
一方、CPUは、ステップ1005にて「No」と判定した場合、処理をステップ1015に進め、通常追従減速条件が成立しているか否かを判定する。本例においては、この判定として、CPUは、予測到達時間TTCが所定予測到達時間TTC_REFよりも短いか否かを判定する。
【0160】
CPUは、ステップ1015にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1020に進め、通常追従減速制御を実行する。次いで、CPUは、ステップ1095を経由して
図9のステップ995に処理を進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0161】
一方、CPUは、ステップ1015にて「No」と判定した場合、処理をステップ1025に進め、定常走行制御を実行する。次いで、CPUは、ステップ1095を経由して
図9のステップ995に処理を進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0162】
一方、CPUは、ステップ920にて「No」と判定した場合、処理をステップ930に進め、
図11に示したルーチンを実行することにより、拡大定速走行制御(エコ定速走行制御)を実行する。従って、CPUは、処理をステップ930に進めると、
図11のステップ1100から処理を開始し、その処理をステップ1105に進め、定速加速判定変更条件が成立しているか否かを判定する。本例においては、この判定として、CPUは、設定車速V_SETが所定車速V_TH以下であるか否かを判定する。
【0163】
CPUは、ステップ1105にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1110に進め、増大後方近距離判定値DR_S_Hを後方近距離判定値DR_Sとして設定する。次いで、CPUは、処理をステップ1120に進める。
【0164】
一方、CPUは、ステップ1105にて「No」と判定した場合、処理をステップ1115に進め、標準後方近距離判定値DR_S_Sを後方近距離判定値DR_Sとして設定する。次いで、CPUは、処理をステップ1120に進める。
【0165】
CPUは、処理をステップ1120に進めると、後方近距離条件が成立しているか否かを判定する。本例においては、この判定として、CPUは、後方車間距離DRが後方近距離判定値DR_S以下であるか否かを判定する。
【0166】
CPUは、ステップ1120にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1125に進め、
図12に示したルーチンを実行することにより、第2拡大定速走行制御を実行する。従って、CPUは、処理をステップ1125に進めると、
図12のステップ1200から処理を開始し、その処理をステップ1205に進め、定速加速判定変更条件が成立しているか否かを判定する。本例においては、この判定として、CPUは、設定車速V_SETが所定車速V_TH以下であるか否かを判定する。
【0167】
CPUは、ステップ1205にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1210に進め、増大上限値VU_E_Hを拡大車速上限値VU_Eとして設定する。次いで、CPUは、処理をステップ1220に進める。
【0168】
一方、CPUは、ステップ1205にて「No」と判定した場合、処理をステップ1215に進め、標準上限値VU_E_Sを拡大車速上限値VU_Eとして設定する。次いで、CPUは、処理をステップ1220に進める。
【0169】
CPUは、処理をステップ1220に進めると、加速許容条件が成立しているか否かを判定する。本例においては、この判定として、CPUは、自車速VOが拡大車速上限値VU_Eよりも小さいか否かを判定する。
【0170】
CPUは、ステップ1220にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1225に進め、定速加速度変更条件が成立しているか否かを判定する。本例においては、この判定として、CPUは、設定車速V_SETが所定車速V_TH以下であるか否かを判定する。
【0171】
CPUは、ステップ1225にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1230に進め、抑制加速制御を実行する。次いで、CPUは、ステップ1295及び
図11のステップ1195を経由して
図9のステップ995に処理を進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0172】
一方、CPUは、ステップ1225にて「No」と判定した場合、処理をステップ1235に進め、最適加速制御を実行する。次いで、CPUは、ステップ1295及び
図11のステップ1195を経由して
図9のステップ995に処理を進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0173】
又、CPUは、ステップ1220にて「No」と判定した場合、処理をステップ1240に進め、
図13に示したルーチンを実行することにより、通常定速走行制御を実行する。従って、CPUは、処理をステップ1240に進めると、
図13のステップ1300から処理を開始し、その処理をステップ1305に進め、通常定速加速条件が成立しているか否かを判定する。本例においては、この判定として、CPUは、自車速VOが設定車速V_SETよりも小さいか否かを判定する。
【0174】
CPUは、ステップ1305にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1310に進め、通常定速加速制御を実行する。次いで、CPUは、ステップ1395、
図12のステップ1295及び
図11のステップ1195を経由して
図9のステップ995に処理を進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0175】
一方、CPUは、ステップ1305にて「No」と判定した場合、処理をステップ1315に進め、通常定速減速条件が成立しているか否かを判定する。本例においては、この判定として、CPUは、自車速VOが設定車速V_SETよりも大きいか否かを判定する。
【0176】
CPUは、ステップ1315にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1320に進め、通常定速減速制御を実行する。次いで、CPUは、ステップ1395、
図12のステップ1295及び
図11のステップ1195を経由して
図9のステップ995に処理を進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0177】
一方、CPUは、ステップ1315にて「No」と判定した場合、処理をステップ1325に進め、定常走行制御を実行する。次いで、CPUは、ステップ1395、
図12のステップ1295及び
図11のステップ1195を経由して
図9のステップ995に処理を進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0178】
一方、CPUは、
図11のステップ1120にて「No」と判定した場合、処理をステップ1130に進め、
図14に示したルーチンを実行することにより、第1拡大定速走行制御を実行する。従って、CPUは、処理をステップ1130に進めると、
図14のステップ1400から処理を開始し、その処理をステップ1405に進め、定速加速判定変更条件が成立しているか否かを判定する。本例においては、この判定として、CPUは、設定車速V_SETが所定車速V_TH以下であるか否かを判定する。
【0179】
CPUは、ステップ1405にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1410に進め、増大上限値VU_E_Hを拡大車速上限値VU_Eとして設定する。次いで、CPUは、処理をステップ1415に進め、減少後方接近車速差ΔVR_A_Lを後方接近車速差ΔVR_Aとして設定する。次いで、CPUは、処理をステップ1430に進める。
【0180】
一方、CPUは、ステップ1405にて「No」と判定した場合、処理をステップ1420に進め、標準上限値VU_E_Sを拡大車速上限値VU_Eとして設定する。次いで、CPUは、処理をステップ1425に進め、標準後方接近車速差ΔVR_A_Sを後方接近車速差ΔVR_Aとして設定する。次いで、CPUは、処理をステップ1430に進める。
【0181】
CPUは、処理をステップ1430に進めると、後方接近条件の成立条件の1つが成立しているか否かを判定する。本例においては、この判定として、CPUは、自車速VOが拡大車速上限値VU_Eよりも低いか否かを判定する。
【0182】
CPUは、ステップ1430にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1435に進め、後方接近条件の成立条件の1つが成立しているか否かを判定する。本例においては、この判定として、CPUは、自車速VOが後続車速VRよりも小さいか否かを判定する。
【0183】
CPUは、ステップ1435にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1440に進め、後方接近条件の成立条件の1つが成立しているか否かを判定する。本例においては、この判定として、CPUは、自車速VOと後続車速VRとの差(後続車速差ΔVR)が後方接近車速差ΔVR_Aよりも大きいか否かを判定する。
【0184】
CPUは、ステップ1440にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1445に進め、定速加速度変更条件が成立しているか否かを判定する。本例においては、この判定として、CPUは、設定車速V_SETが所定車速V_TH以下であるか否かを判定する。
【0185】
CPUは、ステップ1445にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1450に進め、抑制加速制御を実行する。次いで、CPUは、ステップ1495及び
図11のステップ1195を経由して
図9のステップ995に処理を進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0186】
一方、CPUは、ステップ1445にて「No」と判定した場合、処理をステップ1455に進め、最適加速制御を実行する。次いで、CPUは、ステップ1495及び
図11のステップ1195を経由して
図9のステップ995に処理を進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0187】
又、CPUは、ステップ1430又はステップ1435又はステップ1440にて「No」と判定した場合、処理をステップ1460に進め、定常走行制御を実行する。次いで、CPUは、ステップ1495及び
図11のステップ1195を経由して
図9のステップ995に処理を進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0188】
又、CPUは、
図9のステップ915にて「No」と判定した場合、処理をステップ935に進め、
図15に示したルーチンを実行することにより、拡大走行支援制御を実行する。従って、CPUは、処理をステップ935に進めると、
図15のステップ1500から処理を開始し、その処理をステップ1505に進め、先行車200Fが存在しないか否かを判定する。本例においては、この判定として、CPUは、前方車間距離DFが先行車判定距離DF_THよりも長いか否かを判定する。
【0189】
CPUは、ステップ1505にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1510に進め、
図16に示したルーチンを実行することにより、拡大定速走行制御(エコ定速走行制御)を実行する。従って、CPUは、処理をステップ1510に進めると、
図16のステップ1600から処理を開始し、その処理をステップ1605に進め、拡大定速減速条件が成立しているか否かを判定する。本例においては、この判定として、CPUは、自車速VOが拡大車速上限値VU_Eよりも大きいか否かを判定する。
【0190】
CPUは、ステップ1605にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1610に進め、惰行減速制御を実行する。次いで、CPUは、ステップ1695及び
図15のステップ1595を経由して
図9のステップ995に処理を進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0191】
一方、CPUは、ステップ1605にて「No」と判定した場合、処理をステップ1615に進め、定速加速判定変更条件が成立しているか否かを判定する。本例においては、この判定として、CPUは、設定車速V_SETが所定車速V_TH以下であるか否かを判定する。
【0192】
CPUは、ステップ1615にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1620に進め、増大下限値VL_E_Hを拡大車速下限値VL_Eとして設定する。次いで、CPUは、処理をステップ1630に進める。
【0193】
一方、CPUは、ステップ1615にて「No」と判定した場合、処理をステップ1625に進め、標準下限値VL_E_Sを拡大車速下限値VL_Eとして設定する。次いで、CPUは、処理をステップ1630に進める。
【0194】
CPUは、処理をステップ1630に進めると、拡大定速加速条件が成立しているか否かを判定する。本例においては、この判定として、CPUは、自車速VOが拡大車速下限値VL_Eよりも小さいか否かを判定する。
【0195】
CPUは、ステップ1630にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1635に進め、定速加速度変更条件が成立しているか否かを判定する。本例においては、この判定として、CPUは、設定車速V_SETが所定車速V_TH以下であるか否かを判定する。
【0196】
CPUは、ステップ1635にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1640に進め、抑制加速制御を実行する。次いで、CPUは、ステップ1695及び
図15のステップ1595を経由して
図9のステップ995に処理を進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0197】
一方、CPUは、ステップ1635にて「No」と判定した場合、処理をステップ1645に進め、最適加速制御を実行する。次いで、CPUは、ステップ1695及び
図15のステップ1595を経由して
図9のステップ995に処理を進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0198】
又、CPUは、ステップ1630にて「No」と判定した場合、処理をステップ1650に進め、定常走行制御を実行する。次いで、CPUは、ステップ1695及び
図15のステップ1595を経由して
図9のステップ995に処理を進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0199】
又、CPUは、
図15のステップ1505にて「No」と判定した場合、処理をステップ1515に進め、追従加速判定変更条件が成立しているか否かを判定する。本例においては、この判定として、CPUは、先行車速VFが所定車速V_TH以下であるか否かを判定する。
【0200】
CPUは、ステップ1515にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1520に進め、減少前方中距離判定値DF_M_Lを前方中距離判定値DF_Mとして設定する。次いで、CPUは、処理をステップ1530に進める。
【0201】
一方、CPUは、ステップ1515にて「No」と判定した場合、処理をステップ1525に進め、標準前方中距離判定値DF_M_Sを前方中距離判定値DF_Mとして設定する。次いで、CPUは、処理をステップ1530に進める。
【0202】
CPUは、処理をステップ1530に進めると、前方中距離条件が成立しているか否かを判定する。本例においては、この判定として、CPUは、前方車間距離DFが前方中距離判定値DF_M以下であるか否かを判定する。
【0203】
CPUは、
図15のステップ1530にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1535に進め、
図17に示したルーチンを実行することにより、第2拡大追従走行制御を実行する。従って、CPUは、処理をステップ1535に進めると、
図17のステップ1700から処理を開始し、その処理をステップ1705に進め、前方近距離条件が成立しているか否かを判定する。本例においては、この判定として、CPUは、前方車間距離DFが前方近距離判定値DF_S以下であるか否かを判定する。
【0204】
CPUは、ステップ1705にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1710に進め、
図10に示したルーチンを実行することにより、通常追従走行制御を実行する。CPUは、
図10に示したルーチンを実行した後、ステップ1795及び
図15のステップ1595を経由してステップ995に処理を進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0205】
一方、CPUは、
図17のステップ1705にて「No」と判定した場合、処理をステップ1715に進め、惰行減速制御を実行する。次いで、CPUは、ステップ1795及び
図15のステップ1595を経由して
図9のステップ995に処理を進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0206】
又、CPUは、
図15のステップ1530にて「No」と判定した場合、処理をステップ1540に進め、
図18に示したルーチンを実行することにより、第1拡大追従走行制御を実行する。従って、CPUは、処理をステップ1540に進めると、
図18のステップ1800から処理を開始し、その処理をステップ1805に進め、前方接近条件の成立条件の1つが成立しているか否かを判定する。本例においては、この判定として、CPUは、自車速VOが先行車速VFよりも大きいか否かを判定する。
【0207】
CPUは、ステップ1805にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1810に進め、前方接近条件の成立条件の1つが成立しているか否かを判定する。本例においては、この判定として、CPUは、自車速VOと先行車速VFとの差(先行車速差ΔVF)が前方接近車速差ΔVF_Aよりも大きいか否かを判定する。
【0208】
CPUは、ステップ1810にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1815に進め、惰行減速制御を実行する。次いで、CPUは、ステップ1895及び
図15のステップ1595を経由して
図9のステップ995に処理を進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0209】
一方、CPUは、ステップ1805又はステップ1810にて「No」と判定した場合、処理をステップ1820に進め、追従加速判定変更条件が成立しているか否かを判定する。本例においては、この判定として、CPUは、先行車速VFが所定車速V_TH以下であるか否かを判定する。
【0210】
CPUは、ステップ1820にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1825に進め、増大下限値VL_E_Hを拡大車速下限値VL_Eとして設定する。次いで、CPUは、処理をステップ1830に進め、減少前方離間車速差ΔVF_B_Lを前方離間車速差ΔVF_Bとして設定する。次いで、CPUは、処理をステップ1845に進める。
【0211】
一方、CPUは、ステップ1820にて「No」と判定した場合、処理をステップ1835に進め、標準下限値VL_E_Sを拡大車速下限値VL_Eとして設定する。次いで、CPUは、処理をステップ1840に進め、標準前方離間車速差ΔVF_B_Sを前方離間車速差ΔVF_Bとして設定する。次いで、CPUは、処理をステップ1845に進める。
【0212】
CPUは、処理をステップ1845に進めると、前方離間条件の成立条件の1つが成立しているか否かを判定する。本例においては、この判定として、CPUは、自車速VOが拡大車速下限値VL_Eよりも小さいか否かを判定する。
【0213】
CPUは、ステップ1845にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1850に進め、前方離間条件の成立条件の1つが成立しているか否かを判定する。本例においては、この判定として、CPUは、自車速VOが先行車速VFよりも小さいか否かを判定する。
【0214】
CPUは、ステップ1850にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1855に進め、前方離間条件の成立条件の1つが成立しているか否かを判定する。本例においては、この判定として、CPUは、自車速VOと先行車速VFとの差(先行車速差ΔVF)が前方離間車速差ΔVF_Bよりも大きいか否かを判定する。
【0215】
CPUは、ステップ1855にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1860に進め、追従加速度変更条件が成立しているか否かを判定する。本例においては、この判定として、CPUは、先行車速VFが所定車速V_TH以下であるか否かを判定する。
【0216】
CPUは、ステップ1860にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1865に進め、抑制加速制御を実行する。次いで、CPUは、ステップ1895及び
図15のステップ1595を経由して
図9のステップ995に処理を進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0217】
一方、CPUは、ステップ1860にて「No」と判定した場合、処理をステップ1870に進め、最適加速制御を実行する。次いで、CPUは、ステップ1895及び
図15のステップ1595を経由して
図9のステップ995に処理を進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0218】
又、CPUは、ステップ1845又はステップ1850又はステップ1855にて「No」と判定した場合、処理をステップ1875に進め、定常走行制御を実行する。次いで、CPUは、ステップ1895及び
図15のステップ1595を経由して
図9のステップ995に処理を進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0219】
又、CPUは、
図9のステップ910にて「No」と判定した場合、処理をステップ940に進め、
図19に示したルーチンを実行することにより、通常走行支援制御を実行する。従って、CPU、処理をステップ940に進めると、
図19のステップ1900から処理を開始し、その処理をステップ1905に進め、先行車条件が成立しているか否かを判定する。本例においては、この判定として、CPUは、前方車間距離DFが先行車判定距離DF_TH以下であるか否かを判定する。
【0220】
CPUは、ステップ1905にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1910に進め、
図13に示したルーチンを実行することにより、通常定速走行制御を実行する。CPUは、
図13に示したルーチンを実行した後、ステップ1995を経由して
図9のステップ995に処理を進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0221】
一方、CPUは、ステップ1905にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1915に進め、
図10に示したルーチンを実行することにより、通常追従走行制御を実行する。CPUは、
図10に示したルーチンを実行した後、ステップ1995を経由して
図9のステップ995に処理を進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0222】
又、CPUは、
図9のステップ905にて「No」と判定した場合、処理をステップ995に直接進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0223】
以上が、車両運転支援装置10の具体的な作動である。
【0224】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
【符号の説明】
【0225】
10…車両運転支援装置、20…車両走行装置、21…駆動装置、22…制動装置、48…車速検出装置、49…道路勾配センサ、51…走行支援操作器、52…エコ走行操作器、60…周辺情報検出装置、90…ECU、100…自車両、200F…先行車、200R…後続車