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特許7582145ワーク位置判定装置、レーザ加工装置、及びワーク位置判定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】ワーク位置判定装置、レーザ加工装置、及びワーク位置判定方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/03 20060101AFI20241106BHJP
   B23Q 17/24 20060101ALI20241106BHJP
   G05B 19/19 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
B23K26/03
B23Q17/24 C
G05B19/19 H
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021156087
(22)【出願日】2021-09-24
(65)【公開番号】P2023047141
(43)【公開日】2023-04-05
【審査請求日】2024-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100105946
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 富彦
(72)【発明者】
【氏名】橋本 将吾
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-76200(JP,A)
【文献】特許第6253847(JP,B1)
【文献】国際公開第2021/109575(WO,A1)
【文献】特表平9-502553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/03
B23Q 17/24
G05B 19/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部と、
平面部を有するワークに対し、前記撮像部を前記平面部と平行な平面方向に相対的に移動させる駆動部と、
前記撮像部が、平面視において前記平面部における境界部分の複数個所を通過する規定の軌跡で移動するように前記駆動部を制御する制御部と、
前記撮像部が前記規定の軌跡で移動する間に当該撮像部により撮像された画像情報、及び各画像情報を撮影した際の前記撮像部の座標情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記画像情報及び前記座標情報に基づいて、前記ワークの前記平面方向における前記境界部分に対応する位置を判定する位置判定部と、
前記位置判定部による判定結果に基づいて、基準位置に対する前記ワークのずれを判定するずれ判定部と、を備えるワーク位置判定装置。
【請求項2】
前記撮像部における撮像光学系は、前記ワークにレーザ光を照射することにより当該ワークを加工するレーザ加工装置の加工部における前記レーザ光の照射光学系と同軸に設けられる、請求項1に記載のワーク位置判定装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記撮像部が前記ワークに設けられた基準穴を撮像しつつ平面視において当該基準穴の内周縁の複数個所を通過する規定の軌跡で移動するように前記駆動部を制御し、
前記位置判定部は、前記ワークにおける前記基準穴の中心の位置を算出する、請求項1又は請求項2に記載のワーク位置判定装置。
【請求項4】
前記制御部は、平面視において前記撮像部が規定の点対称形状又は線対称形状を描く軌跡で移動するように前記駆動部を制御する、請求項3に記載のワーク位置判定装置。
【請求項5】
前記撮像部により撮像される一画像の観察範囲は、前記基準穴より小さい、請求項3又は請求項4に記載のワーク位置判定装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記撮像部が前記ワークの辺に相当する端部を撮像しつつ平面視において当該端部の複数個所を通過する規定の軌跡で移動するように前記駆動部を制御し、
前記位置判定部は、前記ワークにおける前記端部の位置を判定する、請求項1又は請求項2に記載のワーク位置判定装置。
【請求項7】
前記制御部は、平面視において前記撮像部が規定の直線状、曲線状、ジグザグ状、又はスパイラル状を描く軌跡で移動するように前記駆動部を制御する、請求項6に記載のワーク位置判定装置。
【請求項8】
前記位置判定部は、前記撮像部により撮像された複数の前記画像情報のうち、前記境界部分の位置の判定に用いる前記画像情報を選択し、選択した前記画像情報に対応する前記座標情報に基づいて、前記境界部分の位置を判定する請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のワーク位置判定装置。
【請求項9】
前記ずれ判定部は、少なくとも1箇所の前記境界部分の位置の判定結果から、前記基準位置に対する、直交する第1方向及び第2方向それぞれのシフト量を判定する、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のワーク位置判定装置。
【請求項10】
前記ずれ判定部は、少なくとも3個所の前記境界部分の位置の判定結果から、前記基準位置に対する、直交する第1方向及び第2方向それぞれのシフト量、及び前記第1方向及び前記第2方向と直交する第3方向の軸まわりの回転量を判定する、請求項9に記載のワーク位置判定装置。
【請求項11】
平面部を有するワークにレーザ光を照射することにより当該ワークを加工する加工部を備えるレーザ加工装置であって、
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のワーク位置判定装置を備えるレーザ加工装置。
【請求項12】
平面部を有するワークに対し、前記平面部と平行な平面方向であってかつ平面視において前記平面部における境界部分の複数個所を通過する規定の軌跡で撮像部を相対的に移動させることと、
前記撮像部が前記規定の軌跡で移動する間に当該撮像部により撮像された画像情報、及び各画像情報を撮影した際の前記撮像部の座標情報を記憶することと、
記憶された前記画像情報及び前記座標情報に基づいて、前記ワークの前記平面方向における前記境界部分に対応する位置を判定することと、
前記境界部分に対応する位置の判定結果に基づいて、基準位置に対する前記ワークのずれを判定することと、を含むワーク位置判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク位置判定装置、レーザ加工装置、及びワーク位置判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
平面部を有する板状のワークにレーザ光を照射することによりワークをレーザ加工する加工部を備えるレーザ加工装置が知られている。このレーザ加工装置においては、プレス機械等の他の加工装置により加工済みのワークに対してさらにレーザ加工を行う場合がある。この場合、ワークにおける加工済みの部分に合わせてレーザ加工装置の加工部の座標系を補正する必要がある。加工部の座標系を補正する場合、例えばワークに形成された基準穴の位置、又はワークの外周端面の位置を検出し、検出結果に基づいて加工部における座標系を補正することが行われる。
【0003】
ワークの基準穴又は端面を検出する場合、タッチプローブ又はカメラ等のセンサが用いられる。このセンサは、駆動部によりワークの平面部に沿って移動する。駆動部を制御する制御部は、基準穴又は端面の位置情報として予め与えられる推定位置に基づいてセンサをワークに沿って移動させる。推定位置においては、ワークの境界位置を検出するため、センサによる検出結果が制御部に送られ、制御部において、境界が検出されたか否かの判定を行う。境界を検出したと判定した場合、検出結果に基づいて境界の一点の座標が求められ、駆動部により次の境界の一点の座標を求めるためにセンサを移動させることが繰り返される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許3660041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の内容では、制御部において境界が検出されたと判定されるまで、センサによる検出、制御部による判定、駆動部によるセンサの移動、を繰り返して行う必要がある。この場合、制御部は、センサから取得した検出結果の処理を待って、センサの移動に関するフィードバック制御を行うため、1回の検出に時間がかかることになる。また、センサ、制御部、及び駆動部の間で情報の通信を繰り返し行う必要があるため、制御全体として比較的長い通信時間を要する。このため、ワークの位置の判定に要する時間が長くなってしまうおそれがあった。
【0006】
本発明は、ワークの位置の判定に要する時間を短縮することが可能なワーク位置判定装置、レーザ加工装置、及びワーク位置判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様に係るワーク位置判定装置は、撮像部と、平面部を有するワークに対し、撮像部を平面部と平行な平面方向に相対的に移動させる駆動部と、撮像部が、平面視において平面部における境界部分の複数個所を通過する規定の軌跡で移動するように駆動部を制御する制御部と、撮像部が規定の軌跡で移動する間に当該撮像部により撮像された画像情報、及び各画像情報を撮影した際の撮像部の座標情報を記憶する記憶部と、記憶部に記憶された画像情報及び座標情報に基づいて、ワークの平面方向における境界部分に対応する位置を判定する位置判定部と、位置判定部による判定結果に基づいて、基準位置に対するワークのずれを判定するずれ判定部と、を備える。
【0008】
また、本発明の態様に係るレーザ加工装置は、平面部を有するワークにレーザ光を照射することにより当該ワークを加工する加工部を備えるレーザ加工装置であって、上記した態様のワーク位置判定装置を備える。
【0009】
また、本発明の態様に係るワーク位置判定方法は、平面部を有するワークに対し、平面部と平行な平面方向であってかつ平面視において平面部における境界部分の複数個所を通過する規定の軌跡で撮像部を相対的に移動させることと、撮像部が規定の軌跡で移動する間に当該撮像部により撮像された画像情報、及び各画像情報を撮影した際の撮像部の座標情報を記憶することと、記憶された画像情報及び座標情報に基づいて、ワークの平面方向における境界部分に対応する位置を判定することと、境界部分に対応する位置の判定結果に基づいて、基準位置に対するワークのずれを判定することと、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明の態様に係るワーク位置判定装置、レーザ加工装置、及びワーク位置判定方法によれば、撮像部を規定の軌跡で移動させ、この間に撮像部により撮像された画像情報を記憶部に記憶しておき、その記憶された画像情報に基づいてワークの位置を求めるので、撮像部により撮像された画像情報に基づく駆動部のフィードバック制御を必要としない。このため、撮像部の移動に対して画像処理の計算にかかる遅延や移動指令等の通信の遅延を考慮する必要がないため、ワークの位置の判定に要する時間を短縮できる。その結果、ワークの加工効率を向上させることができる。
【0011】
また、上記態様のワーク位置判定装置において、撮像部における撮像光学系は、ワークにレーザ光を照射することによりワークを加工するレーザ加工装置の加工部におけるレーザ光の照射光学系と同軸に設けられてもよい。この態様によれば、撮像部の撮像光学系が、加工部の照射光学系と同軸に設けられているため、レーザ光の照射位置に対してワークの位置判定結果をオフセットする必要がなく、精度の高い位置判定を実現できる。また、上記態様のワーク位置判定装置において、制御部は、撮像部がワークに設けられた基準穴を撮像しつつ平面視において基準穴の内周縁の複数個所を通過する規定の軌跡で移動するように駆動部を制御し、位置判定部は、ワークにおける基準穴の中心の位置を算出してもよい。この態様によれば、撮像部を規定の軌跡で移動させることにより、基準穴の内周縁における複数個所の画像情報を効率よく取得でき、これらの画像情報から精度よく中心の位置を算出できる。
【0012】
また、上記態様のワーク位置判定装置において、制御部は、平面視において撮像部が規定の点対称形状又は線対称形状を描く軌跡で移動するように駆動部を制御してもよい。この態様によれば、基準穴の内周縁における複数個所の画像情報を効率よく取得できる。さらに、複数の方向から境界部分を撮像することで位置判定部による判定精度のロバスト性を向上できる。また、上記態様のワーク位置判定装置において、撮像部により撮像される一画像の観察範囲は、基準穴より小さくてもよい。この態様によれば、観察範囲が基準穴より小さいので、基準穴の内周縁の画像情報を精度よく取得できる。
【0013】
また、上記態様のワーク位置判定装置において、制御部は、撮像部がワークの辺に相当する端部を撮像しつつ平面視において端部の複数個所を通過する規定の軌跡で移動するように駆動部を制御し、位置判定部は、ワークにおける端部の位置を判定してもよい。この態様によれば、撮像部を規定の軌跡で移動させることにより、ワークの辺に相当する端部の画像情報を効率よく取得できる。また、上記態様のワーク位置判定装置において、制御部は、平面視において撮像部が規定の直線状、曲線状、ジグザグ状、又はスパイラル状を描く軌跡で移動するように駆動部を制御してもよい。この態様によれば、ワークの端部における複数個所の画像情報を効率よく取得できる。
【0014】
また、上記態様のワーク位置判定装置において、位置判定部は、撮像部により撮像された複数の画像情報のうち、境界部分の位置の判定に用いる画像情報を選択し、選択した画像情報に対応する座標情報に基づいて、境界部分の位置を判定してもよい。この態様によれば、撮像した全ての画像情報より少ない画像情報を処理するので、判定処理の高速化を図ることができる。また、上記態様のワーク位置判定装置において、ずれ判定部は、少なくとも1箇所の境界部分の位置の判定結果から、基準位置に対する、直交する第1方向及び第2方向それぞれのシフト量を判定してもよい。この態様によれば、第1方向及び第2方向それぞれのシフト量、第3方向の軸まわりの回転量を、少なくとも1箇所の境界部分の位置から判定するので、基準位置に対するワークのずれを効率よく判定できる。また、上記態様のワーク位置判定装置において、ずれ判定部は、少なくとも3個所の境界部分の位置の判定結果から、基準位置に対する、直交する第1方向及び第2方向それぞれのシフト量、及び第1方向及び第2方向と直交する第3方向の軸まわりの回転量を判定してもよい。この態様によれば、第1方向及び第2方向それぞれのシフト量、第3方向の軸まわりの回転量を判定するので、基準位置に対するワークのずれを正確に判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係るワーク位置判定装置及びレーザ加工装置の一例を示す図である。
図2】レーザ加工装置で加工されるワークWの一例を示す図である。
図3】基準穴と撮像部の観察範囲との関係の一例を示す図である。
図4】端部と撮像部の観察範囲との関係の一例を示す図である。
図5】(A)及び(B)は、基準穴について設定される規定の軌跡の例を示す図である。
図6】(A)及び(B)は、基準穴について設定される規定の軌跡の例を示す図である。
図7】(A)及び(B)は、基準穴について設定される規定の軌跡の例を示す図である。
図8】(A)、(B)、及び(C)は、端部について設定される規定の軌跡の例を示す図である。
図9】撮像部の他の例を示す図である。
図10】撮像部の他の例を示す図である。
図11】位置判定部において画像情報を選択する場合の一例を示す図である。
図12】ワークが基準位置に配置された一例を示す図である。
図13】ずれ判定部による判定結果の一例を示す図である。
図14】実施形態に係るワーク位置判定方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は、以下に説明する形態に限定されない。また、図面では、実施形態を説明するために、一部分を拡大、縮小、及び強調して記載する等、縮尺を適宜変更して表現しており、実際の製品と形状、寸法が異なっている場合がある。各図においては、XYZ直交座標系を用いて図中の方向を説明する場合がある。XYZ直交座標系においては、鉛直方向をZ方向とし、水平方向をX方向、Y方向とする。また、各方向においては、矢印の指す向きを+方向(例、+X方向、+X側)と称し、矢印の指す向きとは反対の向きを-方向(例、-X方向、-X側)と称する。
【0017】
図1は、実施形態に係るワーク位置判定装置40及びレーザ加工装置1の一例を示す図である。本実施形態において、ワーク位置判定装置40は、レーザ加工装置1の構成に含まれる。ワーク位置判定装置40は、ヘッド駆動部(駆動部)20と、撮像部30と、制御部41と、記憶部42と、位置判定部43と、ずれ判定部44と、を備える。ワーク位置判定装置40を構成する各部については、レーザ加工装置1の説明に際して適宜説明する。レーザ加工装置1は、加工部100を備える。加工部100は、レーザ光L1を照射して、加工対象である板状のワークWを切断可能である。加工部100は、加工領域に搬入されたワークWに対してレーザ加工(切断加工、穴あけ加工)を行う。加工部100によりレーザ加工可能な位置への未加工のワークWの搬入、及び当該位置から加工済みのワークWの搬出は、後述する加工パレット50の移動によって行われてもよいし、不図示のローダ装置等により行われてもよい。なお、レーザ加工装置1は、例えば、加工部100がパンチプレス等の他の加工装置に隣接して配置された複合加工機であってもよい。
【0018】
加工部100は、レーザヘッド10と、レンズ駆動部21と、加工パレット50とを備える。また、加工部100は、ワーク位置判定装置40とヘッド駆動部20及び撮像部30を共用する。すなわち、加工部100は、ヘッド駆動部20及び撮像部30を備える。レーザヘッド10は、ヘッド本体11と、ノズル12とを有し、ワークWの平面部Waに対してレーザ光L1を照射してワークWの切断加工、穴あけ加工を行う。ワークWに対して切断加工を行う際、レーザヘッド10は、レーザ光L1を照射しつつ、ヘッド駆動部20により駆動されることでレーザ光L1を所定の切断線に沿って移動させる。レーザヘッド10は、レーザ発振器60等のレーザ光源に接続される。
【0019】
レーザ発振器60は、レーザ光L1として、例えば赤外レーザ光を発生させる。なお、レーザ光源としては、例えば、炭酸ガスレーザ光源又は個体レーザ光源等が用いられてもよい。レーザヘッド10は、照射光学系61を有する。照射光学系61は、レーザ発振器60で発生したレーザ光L1を導いた後に収束させる。照射光学系61は、光ファイバ62と、コリメータ63と、ビームスプリッタ64と、集光レンズ65とを有する。光ファイバ62は、レーザ発振器60とレーザヘッド10とを接続する。レーザ発振器60からのレーザ光L1は、光ファイバ62を介してレーザヘッド10に導入される。
【0020】
コリメータ63は、レーザ発振器60からのレーザ光L1を平行光に変換する、又は平行光に近づける。ビームスプリッタ64は、コリメータ63を通ったレーザ光L1が入射する位置に配置される。ビームスプリッタ64は、レーザ光L1を反射し、かつ後述する照明用レーザ光L2を透過させる特性を有する波長選択ミラーである。レーザ光L1は、ビームスプリッタ64で反射して光路がX方向からZ方向(-Z側)へ約90度折れ曲がり、集光レンズ65に入射する。集光レンズ65は、コリメータ63からのレーザ光L1を集光する。集光レンズ65は、光軸63aに沿って移動可能である。レーザ光L1は、ワークW上に所定径のスポットを形成するように、照射光学系61で収束される。スポットの径は、例えば、集光レンズ65をレンズ駆動部21により移動させることにより調整可能である。レンズ駆動部21は、制御部41により制御される。
【0021】
ヘッド本体11は、加工部100内において、加工領域に配置されたワークWの上方(+Z側)に配置される。ヘッド本体11は、ヘッド駆動部20に駆動されることで、ワークWに対して相対的にX方向、Y方向、及びZ方向に移動可能である。ヘッド駆動部20は、例えば、X方向に移動可能なガントリと、ガントリに対してY方向に移動可能なスライダと、スライダに対してZ方向に移動可能な昇降部とを有する。ヘッド駆動部20は、ガントリ、スライダ、及び昇降部をそれぞれ駆動することにより、ヘッド本体11をX方向、Y方向、及びZ方向の所定位置に移動させる。なお、ヘッド駆動部20は、上記の構成に限定されず、ロボットアーム等の他の構成であってもよい。
【0022】
ノズル12は、ヘッド本体11における下側(-Z側)に、-Z方向(下方向)に向けて取り付けられており、レーザ光L1を-Z方向(下方向)に向けて照射する。ノズル12は、ガス供給管等を介して不図示のアシストガス供給部に接続され、レーザ光L1を照射する部分に向けて、アシストガス供給部からのアシストガス(例えば、窒素ガス等)をワークWに供給する。
【0023】
加工部100は、照明用レーザ光L2によりワークWを照明可能である。レーザアレイ70は、複数のレーザ素子からレーザ光L1とは異なる波長の照明用レーザ光L2を発する。レーザアレイ70は、制御部41により駆動が制御され、筐体73内に格納される。照明光学系71は、レーザアレイ70で発生した照明用レーザ光L2によりワークWを照明する。照明光学系71は、コリメータ72と、ハーフミラー74と、ビームスプリッタ64と、集光レンズ65とを備える。照明光学系71は、ビームスプリッタ64及び集光レンズ65を照射光学系61と共用するものであり、集光レンズ65を介して落射照明する。照明光学系71の光の出射側の光軸72aと、照射光学系61の光の出射側の光軸63aとが同軸であり、照明用レーザ光L2は、レーザ光L1と同じ光路を通ってワークWに照射される。
【0024】
コリメータ72は、レーザアレイ70から照明用レーザ光L2が入射する位置に配置される。コリメータ72は、レーザアレイ70からの照明用レーザ光L2を平行光に変換する、又は平行光に近づける。ハーフミラー74は、照明用レーザ光L2の一部が反射し、一部が透過する特性を有する反射透過部材である。コリメータ72を通った照明用レーザ光L2は、ハーフミラー74で反射して光路がX方向からZ方向(-Z側)へ約90度折れ曲がり、ビームスプリッタ64に入射する。照明用レーザ光L2は、ビームスプリッタ64を通った後、集光レンズ65により集光されてワークW上を照明する。照明用レーザ光L2により照明する領域は、ワークW上においてレーザ光L1が照射される部分を含むように設定される。また、照明用レーザ光L2により照明する領域は、レンズ駆動部21により集光レンズ65を移動させることで変更可能である。
【0025】
撮像部30は、ワークWの平面部Waを撮像する。また、撮像部30は、レーザ光L1が照射されたワークWの切断部分を撮像する。撮像部30は、ヘッド本体11と一体でX方向、Y方向、及びZ方向に移動する。すなわち、ヘッド駆動部20は、撮像部をワークWの平面部Waと平行な平面方向に相対的に移動させる駆動部である。
【0026】
撮像部30は、撮像光学系31と撮像素子32とを備え、ワークWからの光(戻り光)を、撮像光学系31を介して撮像素子32によって検出する。撮像素子32としては、例えば、CCD又はCMOSのイメージセンサが用いられ、撮像光学系31が形成した像を撮像する。撮像素子32には、二次元的に配列された複数の画素が設けられる。また、各画素には、フォトダイオード等の受光素子が設けられる。撮像素子32は、受光素子に光(戻り光)が入射することにより各画素に発生する電荷(信号)を順に読み出し、読み出した信号を増幅、A/D変換して画像形式に配列することで、撮像画像のデジタルデータを生成する。
【0027】
撮像光学系31は、集光レンズ65と、ビームスプリッタ64と、ハーフミラー74と、波長選択フィルタ33と、結像レンズ34とを有する。撮像光学系31は、集光レンズ65及びビームスプリッタ64が照射光学系61と共用する。撮像部30は、照射光学系61と同軸でワークWを撮像可能である。すなわち、撮像光学系31の光軸34aと、照射光学系61の光軸63aとは、集光レンズ65及びビームスプリッタ64において同軸となっている。
【0028】
撮像素子32は、例えば、アライメント装置35に保持され、アライメント装置35によって撮像光学系31に対する位置を調整可能である。例えば、結像レンズ34の光軸34aと平行な方向(X方向)において撮像光学系31の焦点(像面の位置)が撮像素子32からずれた場合、アライメント装置35は、撮像素子32を移動させ、撮像素子32の位置を撮像光学系31の焦点に合わせることができる。なお、アライメント装置35によって撮像素子32を移動させることに代えて、結像レンズ34を光軸34aと平行な方向に移動させて、焦点位置を撮像素子32に合わせる形態であってもよい。
【0029】
ワークWからの戻り光は、集光レンズ65を通ってビームスプリッタ64に入射する。戻り光は、例えば、照明用レーザ光L2のうちワークWで反射散乱した光、及びレーザ光L1の照射に由来する光を含む。ビームスプリッタ64に入射した戻り光のうち照明用レーザ光L2に由来する光は、ビームスプリッタ64を通って、ハーフミラー74に入射する。また、ビームスプリッタ64に入射した戻り光のうちレーザ光L1の照射に由来する光は、ビームスプリッタ64で反射し、ビームスプリッタ64からハーフミラー74に向かう光路から除かれる。
【0030】
ハーフミラー74に入射した戻り光は、ハーフミラー74を通って波長選択フィルタ33に入射する光と、ハーフミラー74で反射する光とに分かれる。波長選択フィルタ33は、照明用レーザ光L2の照明によりワークWで反射される波長帯の光を反射する特性を有する。また、波長選択フィルタ33は、レーザ光L1の照射によりワークWから放射される波長帯の光を透過する特性を有する。波長選択フィルタ33は、例えば、ダイクロイックミラー又はノッチフィルターである。すなわち、戻り光のうち照明用レーザ光L2に由来する光は、波長選択フィルタ33で反射し、結像レンズ34に入射する。その結果、戻り光に含まれる外乱光を遮断できるので、画像のS/N比が向上する。結像レンズ34は、波長選択フィルタ33で反射した光を撮像素子32に集光する。結像レンズ34及び集光レンズ65は、ワークWの像を撮像素子32に投影する。撮像部30では、主に照明用レーザ光L2の照明によりワークWで反射される波長帯の光(戻り光)に応じた撮像画像のデジタルデータを生成する。
【0031】
ワーク位置判定装置40の制御部41は、平面視において(Z方向に視た場合において)、撮像部30(ヘッド本体11)が、ワークWの平面部Waにおける境界部分Wb(図3等参照)の複数個所を通過する規定の軌跡で移動するようにヘッド駆動部20を制御する。なお、本実施形態では、制御部41は、レーザ加工装置1の加工部100を統括制御する。境界部分Wbの詳細については後述する。記憶部42は、撮像部30が前記規定の軌跡で移動する間に撮像部30により撮像された画像情報、及び各画像情報を撮影した際の撮像部30の座標情報を記憶する。撮像部30の座標情報は、撮像部30により撮像されたワークWの平面部Waの座標情報である。位置判定部43は、記憶部42に記憶された画像情報及び座標情報に基づいて、ワークWの平面方向における境界部分Wbに対応する位置を判定する。ずれ判定部44は、位置判定部43による判定結果に基づいて、基準位置に対するワークWのずれを判定する。基準位置は、基準座標を含む意味で用いている。基準位置としては、例えば、比較対象とする位置の情報が使用されてもよいし、予め設定されている基準座標が使用されてもよい。また、ずれ判定部44は、例えば、位置判定部43で判定した境界部分Wbに対応する位置の座標から基準座標に対するワークWのずれを判定してもよい。なお、制御部41、記憶部42、位置判定部43、及びずれ判定部44における処理については後述する。
【0032】
加工パレット50は、ワークWを載置し、当該ワークWを加工部100内の加工領域に配置する。加工パレット50は、例えば、ワークWを載置した状態で、不図示の駆動装置によりX方向、Y方向等に移動可能であってもよい。加工パレット50は、ベース51と支持プレート52とを有する。支持プレート52は、鋸歯状に形成された上端部52aを有し、ベース51に複数並んだ状態で設けられる。支持プレート52上にはワークWが載置される。このとき、上端部52aが鋸歯状であるため、ワークWとの接触面積が小さくなる。なお、支持プレート52は、鋸歯状とすることに限定されず、例えば、剣山状や波形状としてもよいし、複数のピンであってもよい。なお、加工パレット50を用いるか否かは任意である。例えば、加工パレット50に代えて、加工部100内の加工領域にワーク載置部が設けられてもよい。
【0033】
図2は、レーザ加工装置1で加工されるワークWの一例を示す図である。本実施形態では、例えばプレス機械等の他の加工装置により加工済みの(先に加工された)ワークWに対して、レーザ加工装置1においてさらにレーザ加工を行う。ワークWは、全体として例えば矩形の板状であり、平面部Waと、4つの辺に相当する端部Weとを有する。ワークWには、他の加工装置により形成された穴部Wcと基準穴Whとが形成されている。穴部Wcは、ワークWにおいて、レーザ加工装置1により切り出される製品Mに相当する部分に設けられている。なお、穴部Wcは、ワークWの厚さ方向の表裏を貫通した形態であってもよいし、底部を有する凹状であってもよい。平面視(Z方向に視た場合)で円形状の3つの基準穴Whは、ワーク位置判定装置40により基準位置に対するワークWのずれを求めるために形成されている。また、ワークWに対する製品Mの割合が大きくマージンが確保できない等の理由で、基準穴Whが形成されない場合も生じる。このような場合、後述するようにワークWの端部Weを境界部分Wbとして検出する形態が採用される。
【0034】
本実施形態では、図2に示すワークWのように、製品Mとは関係ない基準穴WhをワークWのずれ判定のために用いているが、この形態に限定されない。例えば、製品Mに必要な穴部Wcを基準穴WhとしてワークWのずれ判定のために用いてもよい。3つの基準穴Whは、矩形状のワークWにおける四隅のうち3つの角部の近傍に配置されている。このように、3つの基準穴Whが配置されることにより、基準穴Wh同士の距離を長くすることができ、ワークWの位置を精度よく判定することができる。なお、基準穴Whは、円形状であることに限定されず、例えば多角形状、楕円形状、長円形状等であってもよい。基準穴Whは、ワークWの厚さ方向の表裏を貫通した形態であってもよいし、底部を有する凹状であってもよい。すなわち、基準穴Whは、撮像部30が平面部Waを撮像した際に平面部Waと見え方が異なり、撮像部30が撮像した画像において境界部分Wbを判別可能であれば、その形態は任意である。
【0035】
図3は、基準穴Whと撮像部30の観察範囲Rとの関係の一例を示す図である。図3に示すように、制御部41は、撮像部30がワークWに設けられた基準穴Whを撮像しつつ、平面視において基準穴Whの内周縁である境界部分Wbの複数個所を通過する規定の軌跡TA(以下、規定の軌跡TA等を総称して規定の軌跡Tと称する場合がある。)で移動するようにヘッド駆動部20を制御する。撮像部30は、観察範囲(画像取得範囲)R内を一画像として取得可能である。換言すると、観察範囲Rは、撮像部30により1回の撮影で取得する撮像範囲である。撮像部30が規定の軌跡TAで移動することで、観察範囲Rが撮像部30とともに移動する。規定の軌跡TAは、撮像部30の観察範囲Rが平面部Waにおける境界部分Wbの複数個所を通過するように予め設定される軌跡である。本実施形態において、観察範囲Rは、基準穴Whよりも小さくなるように設定される。
【0036】
規定の軌跡TAは、記憶部42に予め記憶されている。規定の軌跡TAは、基準穴Whの形状及び寸法に応じて設定される。制御部41は、記憶部42に記憶されている規定の軌跡TAを読み出して、この軌跡TAに沿って観察範囲Rが移動するように、ヘッド駆動部20を制御して撮像部30(ヘッド本体11)を移動させる。制御部41は、ワークWにおける基準穴Whの推定位置情報及び形状情報を、ワークWにおける加工済みの部分を加工した加工装置等から入手している。ここで、事前に入手する基準穴Whの推定位置情報は、あくまでワークWが基準位置S(図12参照)にずれなく載置された状態での基準穴Whの推定位置に関する情報である。以下、推定位置情報の語句を用いる場合は、同様に、ワークWが基準位置Sにずれなく載置された状態での推定位置に関する情報の意味で用いている。制御部41は、対象となる基準穴Whの推定位置情報及び形状情報に基づいて、規定の軌跡TAを開始する始点(例えばX、Yの座標値)TA0を設定する。図3及び図4では始点TA0を三角で示している。
【0037】
制御部41は、始点TA0に撮像部30を移動させ、この始点TA0から規定の軌跡TAに沿って撮像部30を移動させる。図3に示すように、規定の軌跡TAは、平面視において、始点TA0から基準穴Whを横切った後、平面部Waを移動して異なる位置から再び基準穴Whを横切るように、いわゆる一筆書きの経路となっている。撮像部30は、規定の軌跡TAに沿って移動しつつ、所定のフレームレートで撮像を行う。すなわち、撮像部30は、規定の軌跡TAにおいて連続して複数の画像を取得する。なお、フレームレートは、撮像部30の移動速度等により予め設定されている。
【0038】
撮像部30により撮像された複数の画像に関する情報(画像情報)は、記憶部42に記憶される。また、制御部41は、画像の撮像時における撮像部30(観察範囲R)の座標値に関する情報(座標情報)を取得して、座標情報を画像情報と関連付けて記憶部42に記憶させる。制御部41は、撮像部30の座標情報として、例えば、撮像したタイミングにおけるレーザヘッド10の位置(X、Yの座標値)をヘッド駆動部20等から取得してもよいし、レーザヘッド10の位置を計測する不図示の距離センサ等の出力から取得してもよい。記憶部42では、それぞれの画像情報に対して、その画像を撮像したタイミングでの撮像部30(レーザヘッド10)の座標情報がそれぞれ関連付けられて記憶される。
【0039】
なお、規定の軌跡TAに沿って観察範囲Rを移動させた場合、予め取得した基準穴Whの推定位置情報及び形状情報から、境界部分Wbを含む位置における観察範囲Rが推定可能である。制御部41は、このように境界部分Wbを含む位置における画像と推定されるものを、例えば、特定画像として他の画像と区別して記憶部42に記憶させてもよい。なお、図3及び図4において、特定画像を撮像したと推定される観察範囲Rを観察範囲R1と表記している。制御部41は、3つの基準穴Whに対して、それぞれ上記の処理により複数の画像情報及び座標情報を取得して記憶部42に記憶させる。
【0040】
図4は、端部Weと撮像部30の観察範囲Rとの関係の一例を示す図である。図4に示すように、制御部41は、撮像部30がワークWを矩形としてみた場合における辺に相当する端部Weを撮像しつつ、平面視において境界部分Wbである端部Weの複数個所を通過する規定の軌跡TBで移動するようにヘッド駆動部20を制御する。上記と同様に、撮像部30は、観察範囲R内を一画像として取得可能である。規定の軌跡TBは、撮像部30の観察範囲Rが端部We(境界部分Wb)の複数個所を通過するように予め設定されている。規定の軌跡TBは、ワークWの端部Weの位置に応じて設定される。制御部41は、記憶部42に記憶されている規定の軌跡TBを読み出して、この軌跡TBに沿って観察範囲Rを移動させる。制御部41は、ワークWにおける端部Weの推定位置情報を入手している。制御部41は、対象となる端部Weの推定位置情報に基づいて、規定の軌跡TBを開始する始点(例えばX、Yの座標値)TB0を設定する。
【0041】
制御部41は、始点TB0に撮像部30を移動させ、この始点TB0から規定の軌跡TBに沿って撮像部30を移動させる。図4に示すように、規定の軌跡TBは、始点TB0から直線状に-Y方向に向けて移動する経路となっている。撮像部30は、規定の軌跡TBに沿って移動しつつ、所定のフレームレートで撮像を行い、複数の画像を取得する。撮像部30により撮像された複数の画像に関する情報(画像情報)は、記憶部42に記憶され、画像の撮像時における座標情報が画像情報に関連付けられて記憶部42に記憶される点は上記と同様である。制御部41は、例えば、X方向において異なる端部Weの2個所、及びY方向における端部Weの1個所に対して、それぞれ上記の処理により複数の画像情報及び座標情報を取得して記憶部42に記憶させる。
【0042】
図5から図7は、基準穴Whについて設定される規定の軌跡Tの例を示す図である。図5(A)に示すように、規定の軌跡T1は、平面視において五芒星(五線星、星型五角形)形状に設定され、境界部分Wbの複数個所を通過する。規定の軌跡T1は、いわゆる一筆書きの経路となっている。五芒星形状の大きさは、予め取得している基準穴Whの大きさによって設定される。撮像部30は、平面視において、五芒星形状の規定の軌跡T1に沿って観察範囲Rを移動させつつ撮像を行う。その結果、図5(B)に示すように、撮像した複数の画像のうち、10個所の観察範囲R1において境界部分Wbを含む特定画像を取得することが可能となっている。
【0043】
規定の軌跡Tは、五芒星形状の規定の軌跡T1以外であってもよい。例えば、図6(A)に示すように、規定の軌跡T2は、平面視において七芒星(七線星、星型七角形)形状に設定されてもよい。この規定の軌跡T2においても境界部分Wbの複数個所を通過する。また、規定の軌跡T2は、いわゆる一筆書きの経路となっている。また、図6(B)に示すように、五芒星形状において少なくとも1つの線分が例えば曲線状等とした規定の軌跡T3であってもよい。また、規定の軌跡Tは、芒星形状に限定されず、境界部分Wbの複数個所を通過する形状であれば、他の形状であってもよい。例えば、図7(A)に示すように、V状の規定の軌跡T4であってもよいし、図7(B)に示すように、三角形状の規定の軌跡T5であってもよい。このように、制御部41は、撮像部30が規定の点対称形状又は線対称形状を描く規定の軌跡T1~T5に沿って移動するようにヘッド駆動部20を制御してもよい。撮像部30が点対称形状又は線対称形状を描く規定の軌跡T1~T5に沿って移動することで、基準穴Whの内周縁における複数個所の画像情報を効率よく取得できる。さらに、複数の方向から境界部分Wbを撮像することで位置判定部43による判定精度のロバスト性を向上できる。
【0044】
図8(A)から(C)は、ワークWの端部Weについて設定される規定の軌跡Tの例を示す図である。図8(A)に示すように、規定の軌跡T6は、境界部分Wbである端部Weを跨ぐように折り返す直線のジグザグ状であってもよい。また、図8(B)に示すように、規定の軌跡T7は、端部Weを跨ぐように変化する波形状(連続するサインカーブ状)であってもよい。また、図8(C)に示すように、規定の軌跡T8は、端部Weに沿うスパイラル状であってもよい。規定の軌跡T8におけるスパイラル状は、例えば、立体形状としてのスパイラル形状を傾けた状態で、端部Weに沿って正射影した形状に相当する。撮像部30は、規定の軌跡T6~T8に沿って観察範囲Rを移動させつつ撮像を行う。その結果、撮像した複数の画像のうち、複数個所において境界部分Wbを含む特定画像を取得することが可能となっている。
【0045】
なお、本実施形態では、図1に示すように、レーザ光L1を照射する照射光学系61の光軸63aと、撮像部30の撮像光学系31の光軸34aとが同軸となっている構成を例に挙げて説明しているが、本発明はこの構成に限定されない。図9及び図10は、撮像部30の他の例を示す図である。図9及び図10に示すように、照射光学系61の光軸63aと、撮像光学系31の光軸34aとが異なる軸であってもよい。図9に示すように、撮像部30は、レーザヘッド10のヘッド本体11に外付けされた状態で設けられてもよい。この場合、光軸63aと光軸34aとは、幅Wがオフセットした関係となる。
【0046】
従って、制御部41は、撮像部30が撮像した各画像について、ヘッド駆動部20によりレーザヘッド10の座標情報を取得した後、この座標情報から幅Wをオフセットした座標情報を各画像に対応付けることが必要となる。この構成に対して、図1に示すように、光軸63aと光軸34aとを同軸とすることで、制御部41は、レーザヘッド10の座標情報を取得した後の処理が不要となり、処理負担を軽減できる。また、光軸63aと光軸34aとを同軸でない場合に生じる、組付精度や組付け後の変形によるオフセットの誤差、及びこの誤差を解消するためのオフセット補正が不要となる。このオフセット補正は、装置起動のタイミングなど頻繁に行う場合が想定され、加工効率にも影響を及ぼす。従って、光軸63aと光軸34aとを同軸とすることで、制御部41は、座標情報取得後の処理負担、及び装置起動時(加工準備)における処理負担が軽減される。
【0047】
また、図10に示すように、レーザヘッド10と撮像部30とが別に配置され、ヘッド駆動部20によりレーザヘッド10を移動させ、ヘッド駆動部20とは別の駆動部80により撮像部30を移動させる構成であってもよい。この場合、制御部41は、駆動部80を制御して撮像部30を移動させつつ、撮像部30が撮像したときの座標情報を駆動部80から取得してもよい。この構成に対して、図1に示すように、撮像部30がレーザヘッド10に設けられることで、撮像部30を移動とレーザヘッド10の移動とを1つのヘッド駆動部20で兼用することができる。
【0048】
続いて、撮像部30により複数の画像を取得した後の処理について説明する。ワーク位置判定装置40の位置判定部43は、記憶部42に記憶された画像情報及び座標情報に基づいて、ワークWの平面方向における境界部分Wbに対応する位置を判定する。位置判定部43は、ワークWのずれ判定に基準穴Whを用いる場合、撮像部30で撮像された基準穴Whの画像情報及び座標情報に基づいて、ワークWにおける基準穴Whの中心の位置を判定する。この場合、位置判定部43は、境界部分Wbに対応する位置として、基準穴Whの中心の位置を判定する。すなわち、位置判定部43は、撮像部30により撮影された境界部分Wbの位置そのものを判定するものでなくともよく、当該境界部分Wbの位置に基づいて判定される所定位置を判定するものであってもよい。また、位置判定部43は、ワークWのずれ判定に端部Weを用いる場合、撮像部30で撮像された端部Weの画像情報及び座標情報に基づいて、ワークWにおける端部Weの位置を判定する。この場合、位置判定部43は、境界部分Wbに対応する位置として、端部Weの位置を判定する。すなわち、位置判定部43は、撮像部30により撮影された境界部分Wbの位置そのものを判定するものであってもよい。位置判定部43は、例えば、撮像部30で撮像された全ての画像情報及び位置情報を用いて基準穴Whの中心又は端部Weの位置の判定を行う。
【0049】
位置判定部43は、全ての画像情報及び位置情報を用いて位置の判定を行うことに代えて、複数の画像情報のうち位置の判定に用いる画像情報を選択してもよい。画像情報の選択は、画像情報のうちから、位置の判定の実施可能性が高い画像情報を(取得した画像情報や別途設けたセンサ等の情報をもとに)選択して行う。画像情報の選択の一例としては、明らかに境界部分Wbが含まれる画像情報は処理の対象とし、含まれない画像情報は棄却する判断により行う。この判断は、画像情報単体から行ってもよいし、他のセンサ情報を用いてもよい。例えば、上記したように、基準穴Wh又は端部Weの推定位置情報から、境界部分Wbを含むと推定される画像情報(上記した特定画像)を記憶部42から読み出して基準穴Whの中心又は端部Weの位置の判定を行ってもよい。また、位置判定部43は、異なる手法により画像情報を選択してもよい。位置判定部43は、先ず、撮像部30により撮像された複数の画像情報のうち、境界部分Wbに対応する位置の判定に用いる画像情報を選択する。位置判定部43は、例えば、画像情報の輝度値を画素ごとに判定し、隣接する所定数の画素の間における輝度値の差が所定値を超える場合に、境界部分Wbが存在すると判断し、その画像を選択してもよい。
【0050】
また、位置判定部43は、他のセンサの検出値を用いて画像情報の選択を行うことができる。このようなセンサとしては、例えばレーザヘッド10の直下にワークWが存在するか否かを判断するセンサが挙げられる。図11は、位置判定部43において複数の画像情報から境界部分Wbに対応する位置の判定に用いる画像情報を選択する場合の一例を示す図である。図11の上段は、レーザヘッド10が規定の軌跡Tに沿って移動する場合のレーザヘッド10の移動速度を示している。図11の中段は、他のセンサの検出結果を示しており、レーザヘッド10の直下にワークWが存在する場合にはオン、存在しない場合にはオフの値を検出する。図11の下段は、位置判定部43の判定結果を示している。図11において、横軸は時間の経過を示している。
【0051】
図11に示すように、位置判定部43は、撮像部30による撮像を開始した後、レーザヘッド10の移動速度が0を越え、かつ、レーザヘッド10の直下にワークWが存在すると検出される期間に撮像された画像情報を、判定に用いる対象として選択することができる。移動速度が0を超えることを判断材料とする理由の1つは、同じ位置に対しては1枚の画像を撮るだけで十分であり、もう一つの理由としては、軌跡Tの取り方として境界部分Wb以外のところで開始・終了することが多いため、軌跡Tにおける移動開始・終了の時点(=移動速度が0)のときの画像は不要になることが多いからである。なお、全く同じ場所の画像は1枚で十分であるが、境界部分Wbが撮像範囲に含まれている場合は、ほぼ同位置の画像が得られる場合であってもなるべく複数枚の画像が得られると好ましい。これは、画像の取得タイミング等の理由で座標情報に誤差が生じる場合に、ロバスト性を向上できることなどが理由である。すなわち、画像情報の選択として、移動速度が所定値未満のときの画像情報を判断材料から除外することで、ほぼ同位置における画像情報を棄却でき、さらに、上記したように、移動開始直後・終了直前 (=移動速度が0に近い場合)で明らかに境界部分Wbが含まれない画像情報を除外できるといった利点がある。ただし、上記と同様に、境界部分Wbが撮像範囲に含まれている場合は、ほぼ同位置の画像が得られる場合であっても当該画像情報を除外しなくてもよい。なお、位置判定部43は、画像情報を選択するに際して、レーザヘッド10の移動速度を所定値以上に設定してもよい。このように、画像情報を選択することにより、基準穴Whの中心又は端部Weの位置を判定するための情報量を少なくすることができ、位置判定部43の処理負担を軽減でき、位置判定部43の処理の高速化を図ることができる。
【0052】
位置判定部43は、選択した画像情報及び座標情報に基づいて、基準穴Whの中心又は端部Weの位置を判定する。基準穴Whの中心の位置を判定する場合、位置判定部43は、例えば、選択した画像情報及び座標情報のそれぞれから境界部分Wbの位置を抽出し、複数の境界部分Wbの位置から推定される仮想円に基づいて、その中心の位置(座標値)を算出する。仮想円の中心は、例えば、予め取得している基準穴Whの形状情報(例えば、半径など)を利用して、複数の(例えば3個所以上の)境界部分Wbの位置から推定される。すなわち、位置判定部43は、仮想円自体を算出しなくてもよい。また、位置判定部43は、例えば、選択した画像情報及び座標情報から境界部分Wbの位置及び形状を抽出し、境界部分Wbの曲率から中心の位置(座標値)を算出してもよい。また、端部Weの位置を判定する場合、位置判定部43は、例えば、選択した画像情報及び座標情報のそれぞれから境界部分Wbの位置を抽出し、複数の境界部分Wbの位置から推定される端部Weの位置(座標値)を算出する。
【0053】
また、位置判定部43は、1つの基準穴Whの中心又は1つの端部Weについて、複数の画像情報及び座標情報からそれぞれ位置を判定し、複数の判定結果を平均化することで1つの基準穴Whの中心、又は1つの端部Weの位置を算出してもよい。この場合、複数の判定結果のうち、最大値と最小値とを除外して平均化してもよい。また、位置判定部43は、複数の判定結果に対して四分位数を用いた外れ値の除去により、いずれかの判定結果を除外する方法など、他の方法により1つの基準穴Whの中心、又は1つの端部Weの位置を算出してもよい。例えば、四分位数を用いる場合、位置判定部43は、複数の判定結果の値を小さい順から並べて、予め設定した第1四分位数、第2四分位数、第3四分位数で四つに区切り、その中の第1四分位数から第2四分位数までの値、又は第2四分位数から第3四分位数までの値、第1四分位数から第3四分位数までの値のいずれかを複数の判定結果として用い、他を外れ値として除外して1つの基準穴Whの中心、又は1つの端部Weの位置を算出してもよい。
【0054】
位置判定部43は、例えば、ワークWにおける3つの基準穴Wh1、Wh2、Wh3(図12参照)について、それぞれの境界部分Wbから中心P1、P2、P3の位置を判定する。中心P1、P2、P3の位置は、X、Yの座標値である。また、位置判定部43は、例えば、ワークWにおいて、端部Weのうち3個所の判定点P4、P5、P6(図12参照)の位置を判定する。判定点P4、P5、P6の位置は、X、Yの座標値である。
【0055】
ずれ判定部44は、位置判定部43による境界部分Wbに対応する位置の判定結果に基づいて、基準位置Sに対するワークWのずれを判定する。ずれ判定部44は、例えば、3個所の境界部分Wbに対応する位置の判定結果である3つの基準穴Wh1、Wh2、Wh3の中心P1、P2、P3の位置から、基準位置Sに対するワークWのずれを判定する。また、ずれ判定部44は、例えば、端部Weのうち3個所の判定点P4、P5、P6の位置から、基準位置Sに対するワークWのずれを判定する。判定点P4、P5は、端部Weの第1方向D1に沿った部分に設定されており、判定点P6は、端部Weの第2方向D2に沿った部分に設定されている。ワークWのずれは、少なくとも、直交する第1方向D1(X方向)及び第2方向D2(Y方向)それぞれのシフト量と、第1方向D1及び第2方向D2に直交する第3方向D3(Z方向)の軸まわりの回転量(傾き)とで表される。なお、上記では3つの基準穴Wh1、Wh2、Wh3から、基準位置Sに対するワークWの第1方向D1及び第2方向D2それぞれのシフト量と、第3方向D3の軸まわりの回転量とを判定しているが、この形態に限定されない。ずれ判定部44は、少なくとも1箇所の境界部分Wbの位置の判定結果から、基準位置Sに対する、直交する第1方向D1及び第2方向D2それぞれのシフト量を判定してもよい。例えば、ずれ判定部44は、1つの基準穴WhからワークWのずれを判定してもよい。この場合、まず、位置判定部43は、1つの基準穴Whの境界部分Wbから中心Pの位置を判定する。続いて、ずれ判定部44は、位置判定部43の判定結果に基づいて、基準位置Sに対するワークWの第1方向D1及び第2方向D2それぞれのシフト量だけを算出する。すなわち、位置判定部43による1つの基準穴Whに対応する位置(中心Pの位置)の判定に基づいて、ずれ判定部44は、基準位置Sに対するワークWの第1方向D1及び第2方向D2それぞれのシフト量だけを判定する形態であってもよい。
【0056】
図12は、ワークWが基準位置Sに配置された一例を示す図である。図12に示すように、ワークWが基準位置Sに合致して配置された場合、ワークWの4つの角部のうち、-X側かつ-Y側の角部が原点Woと一致し、端部Weが第1方向D1(X方向)及び第2方向D2に沿って延在した状態となる。図12に示す例では、ワークWに3つの基準穴Wh1、Wh2、Wh3が形成されている。ワークWが基準位置Sに合致して配置されたときの基準穴Wh1の中心P10は座標値(X、Y)が(X1、Y1)である。同様に基準穴Wh2の中心P20は座標値が(X1、Y2)である。同様に基準穴Wh3の中心P30は座標値が(X2、Y1)である。また、ワークWが基準位置Sに合致して配置されたときの端部Weの判定点P40は座標値が(X3、0)である。同様に端部Weの判定点P50は座標値が(X2、0)である。同様に端部Weの判定点P60は座標値が(0、Y3)である。制御部41は、これら基準位置Sにおける中心P10、P20、P30の座標値、及び判定点P40、P50、P60の座標値は予め取得して、記憶部42に記憶させている。
【0057】
図13は、ずれ判定部44の判定結果の一例を示す図である。図13では、ワークWの基準位置Sを一点鎖線で示している。図13に示すように、ワークWは、基準位置Sに対してずれている場合、位置判定部43により判定した基準穴Wh1、Wh2、Wh3の中心P1、P2、P3の位置は、上記した基準位置Sにおける中心P10、P20、P30の各座標値から第1方向D1(X方向)及び第2方向D2(Y方向)にずれ、第3方向D3(Z方向)の軸まわりの回転した状態となっている。また、位置判定部43により判定した判定点P4、P5、P6の位置についても、上記した基準位置Sにおける判定点P40、P50、P60の各座標値から第1方向D1(X方向)及び第2方向D2(Y方向)にずれ、第3方向D3(Z方向)の軸まわりの回転した状態となっている。その結果、図13に示すように、原点Woの位置は、原点Wo‘の位置にずれた状態となっている。
【0058】
ずれ判定部44は、位置判定部43により判定した少なくとも3つの中心P1、P2、P3の座標値(合計6つの値)、又は判定点P4、P5、P6の座標値(合計6つの値)から、第1方向D1及び第2方向D2それぞれのシフト量と、第1方向D1及び第2方向D2に直交する第3方向D3の軸まわりの回転量(傾き)を判定する。ずれ判定部44は、判定するパラメータが第1方向D1及び第2方向D2のシフト量と、第3方向D3の軸まわりの回転量との3つであり、上記した座標値(合計6つの値)から確実に2つのシフト量と回転量とを算出することができる。また、ずれ判定部44は、合計6つの値を用いることにより、2つのシフト量と回転量との3つの判定に加えて、ワークWの第1方向D1(X方向)における伸縮量(Xスケール)、ワークWの第2方向D2(X方向)における伸縮量(Yスケール)、及び第1方向D1と第2方向D2との直交度を判定することが可能である。
【0059】
ずれ判定部44によりワークWのずれが判定された場合、制御部41は、ずれに対応してレーザヘッド10を移動させるようにヘッド駆動部20を制御する。例えば、制御部41は、レーザ加工時におけるワークWの配置に関する座標を、基準位置Sからずれに応じて補正する。制御部41は、レーザヘッド10の移動に関する情報を含む加工プログラムにおいて、レーザヘッド10に対する目標の座標値をずれに応じてそれぞれ変更し、新たな座標値として加工プログラムを実行させてもよい。
【0060】
図14は、実施形態に係るワーク位置判定方法の一例を示すフローチャートである。図14では、レーザヘッド10及び撮像部30のフローと、撮像部30を除いたワーク位置判定装置40のフローとを時系列で併記している。図14に示すように、制御部41は、先ず、レーザヘッド10を観察範囲の推定位置に移動させる(ステップS01)。制御部41は、予め取得している基準穴Wh又は端部Weの推定位置情報に基づいて、観察範囲の推定位置として、例えば、基準穴Wh又は端部Weの近傍までレーザヘッド10を移動させるようにヘッド駆動部20を制御する。
【0061】
続いて、制御部41は、撮像部30に対して撮像条件を設定する(ステップS02)。制御部41は、撮像部30の撮像光学系31において焦点位置、露出等の撮像条件を設定する。また、制御部41は、撮像部30の撮像時においてレーザアレイ70から照明光学系71を介して照明用レーザ光L2を照射するように制御する。続いて、制御部41は、撮像部30により観察範囲の推定位置を撮像して画像情報を取得させ、その画像情報をワーク位置判定装置40に送信させる(ステップS03)。ステップS03で撮像した画像情報は、撮影条件の評価のために用いられる。ステップS03の画像情報は、1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0062】
制御部41は、撮像部30から送信された画像情報を受信し(ステップS04)、受信した画像情報に基づいて撮影条件を評価する(ステップS05)。例えば、撮像条件を評価するための評価用画像情報を記憶部42に記憶させておき、制御部41は、受信した画像情報と記憶部42に記憶された評価用画像情報とを比較することにより、焦点ずれ(ぼけ)、露出等の撮影条件の評価を行ってもよい。続いて、制御部41は、評価結果を撮像部30に送信する(ステップS06)。撮像部30は、送信された評価結果を受信し(ステップS07)、評価結果に基づいて撮影条件を調整する(ステップS08)。なお、ステップS03からS08は、最初に一度だけ行ってもよいし、例えば、ピントや輝度をフィードバック制御するなど、何周か繰り返し行ってもよい。
【0063】
続いて、撮像部30は、規定の軌跡Tで移動する間に画像情報を取得し、さらに画像情報を撮影した際の撮像部30の座標情報を取得する(ステップS09)。制御部41は、撮像部30を始点TA0、TB0(図3図4参照)に移動させた後、始点TA0、
TB0から規定の軌跡TA、TBに沿って移動させつつ、所定のフレームレートで撮像を行うように撮像部30を制御する。撮像部30は、始点TA0、TB0から規定の軌跡TA、TBに沿って移動し、基準穴Wh又は端部Weの境界部分Wbを撮像して画像情報を取得し、画像情報を撮像した撮像位置の座標情報を取得して画像情報に対応付ける。
【0064】
撮像部30は、例えば、ヘッド駆動部20からレーザヘッド10の座標情報を取得しながら撮像し、撮像したタイミングで取得したレーザヘッド10の座標情報を画像情報に対応付ける。また、上記したように、位置判定部43が位置判定に際して他のセンサからの情報や、レーザヘッド10の速度情報を用いる場合、これらの情報についても撮像部30が撮像した画像情報に撮像と同時に(又は撮像後の所定タイミングで)対応付けられる。なお、ステップS09は、複数の基準穴Wh、又は複数の端部Weごとに行われる。続いて、撮像部30は、取得した画像情報及び座標情報をワーク位置判定装置40に送信する(ステップS10)。撮像部30は、規定の軌跡Tを移動する間に撮像した複数の画像情報及び位置情報をまとめてワーク位置判定装置40に送信する。このように撮像部30が複数の画像情報及び位置情報をまとめて送信することで、送信処理に要する時間を短縮できる。
【0065】
続いて、制御部41は、送信された画像情報及び座標情報を受信し(ステップS11)、記憶部42に記憶させる。続いて、位置判定部43は、記憶部42に記憶された画像情報及び座標情報に基づいて、境界部分Wbの位置を判定する(ステップS12)。位置判定部43は、例えば、基準穴Whの境界部分Wbから算出した中心の位置(座標値)、又は境界部分Wbである端部Weの位置(座標値)を判定する。
【0066】
続いて、ずれ判定部44は、位置判定部43の判定結果に基づいて、ワークWのずれを判定する(ステップS13)。ずれ判定部44は、例えば、少なくとも3つの基準穴Whの中心の位置、又は少なくとも3つの端部Weの位置から、基準位置Sに対するワークWのずれとして、基準位置Sに対するワークWの第1方向D1及び第2方向D2それぞれのシフト量、及び第3方向D3の軸まわりの回転量を判定する。なお、ステップS09~S13においては、1つの基準穴Whの中心の位置から基準位置Sに対するワークWのずれを判定してもよい。この場合、ステップS09において、撮像部30は、1つの基準穴Whについて撮像を行う。ステップS10、S11の後、ステップS12において、位置判定部43は、1つの基準穴Whの境界部分Wbから中心Pの位置を判定する。この後、ステップS13において、ずれ判定部44は、基準位置Sに対するワークWの第1方向D1及び第2方向D2それぞれのシフト量だけを算出する。このように、1つの基準穴Whを用いてワークWのずれを判定してもよい。続いて、制御部41は、ずれ判定部44の判定結果をレーザヘッド10に送信する(ステップS14)。レーザヘッド10は、送信された判定結果を受信し(ステップS15)、受信した判定結果に基づいて、ワークWのレーザ加工時における座標が補正される(ステップS16)。このように、ステップS10~S15に示すずれ判定の処理を行うことにより、レーザヘッド10及び撮像部30と、ワーク位置判定装置40との間の制御中の通信をなくすことにより、ワークWのずれの判定について高速化を図ることができる。すなわち、図14の白抜き矢印で示すように、レーザヘッド10及び撮像部30と、ワーク位置判定装置40との間の通信は、ステップS10からステップS11の送受信、及びステップS14からステップS15の送受信だけであり、ステップS11~S14までの間で、レーザヘッド10及び撮像部30と、ワーク位置判定装置40との間で通信を行っていない。その結果、レーザヘッド10及び撮像部30と、ワーク位置判定装置40との間における通信の遅延を考慮する必要がない。レーザヘッド10は、補正された座標に従って移動することにより、ワークWに対して精度よくレーザ加工を行うことができる。なお、ステップS16が完了することで一連の処理が終了する。
【0067】
このように、本実施形態に係るワーク位置判定装置40及びワーク位置判定方法によれば、平面視において撮像部30を規定の軌跡Tで移動させ、この間に撮像部30により撮像された画像情報及び座標情報に基づいて基準位置Sに対するワークWのずれを判定するので、撮像部30の移動についてヘッド駆動部20のフィードバック制御を必要としない。このため、撮像部30の移動に対して画像処理の計算にかかる遅延、移動指令等の通信の遅延を考慮する必要がないため、ワークWのずれの判定に要する時間を短縮できる。また、ワーク位置判定装置40を備えるレーザ加工装置1においては、ワークWのずれの判定に要する時間が短縮されるので、ワークWの加工効率を向上させることができる。
【0068】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態に限定されない。上記した実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることは当業者において明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。上記した実施形態等で説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上記した実施形態等で説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、本実施形態において示した各処理の実行順序は、前の処理の出力を後の処理で用いるものでない限り、任意の順序で実現可能である。また、上記した実施形態における動作に関して、便宜上「先ず」、「次に」、「続いて」等を用いて説明したとしても、この順序で実施することが必須ではない。
【符号の説明】
【0069】
D1・・・第1方向
D2・・・第2方向
D3・・・第3方向
P1、P2、P3・・・中心
R、R1・・・観察範囲
T、TA、TB、T1、T2、T3、T4、T5、T6、T7・・・軌跡
W・・・ワーク
Wa・・・平面部
Wb・・・境界部分
Wc・・・穴部
We・・・端部
Wh、Wh1、Wh2、Wh3・・・基準穴
Wo・・・原点
1・・・レーザ加工装置
10・・・レーザヘッド
20・・・ヘッド駆動部(駆動部)
30・・・撮像部
34a、63a、72a・・・光軸
40・・・ワーク位置判定装置
41・・・制御部
42・・・記憶部
43・・・位置判定部
44・・・ずれ判定部
80・・・駆動部
100・・・加工部
図1
図2
図3
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図5
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図14