IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

特許7582146空調システム、空調方法、及びプログラム
<>
  • 特許-空調システム、空調方法、及びプログラム 図1
  • 特許-空調システム、空調方法、及びプログラム 図2
  • 特許-空調システム、空調方法、及びプログラム 図3
  • 特許-空調システム、空調方法、及びプログラム 図4
  • 特許-空調システム、空調方法、及びプログラム 図5
  • 特許-空調システム、空調方法、及びプログラム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】空調システム、空調方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/02 20190101AFI20241106BHJP
   B60P 3/00 20060101ALI20241106BHJP
   F24F 11/56 20180101ALI20241106BHJP
   F24F 11/70 20180101ALI20241106BHJP
   F24F 11/74 20180101ALI20241106BHJP
   F24F 11/79 20180101ALI20241106BHJP
   F24F 11/89 20180101ALI20241106BHJP
   F24F 120/12 20180101ALN20241106BHJP
【FI】
F24F1/02
B60P3/00 Z
F24F11/56
F24F11/70
F24F11/74
F24F11/79
F24F11/89
F24F120:12
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021159124
(22)【出願日】2021-09-29
(65)【公開番号】P2023049409
(43)【公開日】2023-04-10
【審査請求日】2024-02-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】小西 信
(72)【発明者】
【氏名】永田 誠
(72)【発明者】
【氏名】大橋 英一郎
(72)【発明者】
【氏名】細野 賢人
(72)【発明者】
【氏名】小野 裕永
【審査官】葛原 怜士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-090590(JP,A)
【文献】特開平05-061542(JP,A)
【文献】特開平01-296037(JP,A)
【文献】特開平04-240339(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 3/00
F24F 1/02
F24F 11/00-11/89
G05D 1/00- 1/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者によって操作され、部品を載せて搬送可能な主搬送機と、
前記主搬送機に自動追従するように構成された第1従搬送機と、
前記第1従搬送機に搭載された空調装置と、
前記第1従搬送機に自動追従するように構成され、部品を載せて搬送可能な第2従搬送機と、
を備えた空調システムであって
前記空調装置は、空調機本体から供給される調温空気の吹出口と、
前記吹出口の向きを変化させる駆動手段と、
前記作業者を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された前記作業者に対して前記吹出口が向くように前記駆動手段を制御する制御手段と、を備える、空調システム。
【請求項2】
前記吹出口の検出手段は前記作業者が有する吹出口用受信機を検出し、
前記制御手段は、前記吹出口が前記吹出口用受信機に追従するように前記駆動手段を制御する、請求項に記載の空調システム。
【請求項3】
前記空調装置は、前記吹出口からの風速を調整する調整手段と、
前記検出手段が検出した前記作業者と前記吹出口との距離を測定する測定手段と、を備え、
前記調整手段は、前記測定手段が測定した距離に基づいて風速を調整する、請求項2に記載の空調システム。
【請求項4】
作業者の操作により、部品を載せた主搬送機を搬送する工程と、
空調装置を搭載した第1従搬送機を前記主搬送機に自動追従させる工程と、
部品を載せて搬送可能な第2従搬送機を前記第1従搬送機に自動追従させる工程と、
前記主搬送機を停車させる工程と、
前記主搬送機の停車に応じて、前記第1及び第2従搬送機を停車させる工程と、
前記主搬送機、前記第1及び第2従搬送機が停車した状態で、前記空調装置による空調を継続しつつ、前記作業者を前記第1従搬送機の前記空調装置の検出手段により検出する工程と、
前記検出手段により検出された前記作業者に対して空調機本体から供給される調温空気の吹出口が向くように駆動手段を制御する工程と、を含む、空調方法。
【請求項5】
作業者によって操作され、部品を載せて搬送可能な主搬送機と、
前記主搬送機に自動追従するように構成された第1従搬送機と、
前記第1従搬送機に搭載された空調装置と、
前記第1従搬送機に自動追従するように構成され、部品を載せて搬送可能な第2従搬送機と、を備える空調システム用のプログラムであって、
前記主搬送機、前記第1及び第2従搬送機が停車した状態で、前記空調装置による空調を継続しつつ、前記作業者を前記第1従搬送機の前記空調装置の検出手段により検出する処理と、
前記検出手段により検出された前記作業者に対して空調機本体から供給される調温空気の吹出口が向くように駆動手段を制御する処理と、を含む動作を、コンピュータに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空調システム、空調方法、及びプログラムに関し、特に搬送機能を備える空調システム、搬送を伴う空調方法、及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
少量多品種生産のニーズに対応すべく、コンベアで部品を流さずに日当たりで数~数十台の車両を生産する生産ラインが増えている。そのようなラインでも部品点数は変わらないため、物流エリアは通常のライン並みに広大である。物流作業は少人数の作業者で行うにもかかわらず、作業者の移動距離が長いため、空調すべきエリアは広い。工場空調としては、人の存在と位置を検知して、ファンの吹出口を人に向けて自動配向し、距離に基づいてファンからの送風量を変化させる省エネルギー性の高い空調システムがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平08-049899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、工場に配設された空調用ダクトを利用したスポット空調で対応すると、空調エリアが広範囲であるため、作業者の人数以上のスポット空調吹出口が必要となり、非効率である。
そこで、本開示は、このような問題点を解決するためになされたものであり、広範囲の空調エリアであっても、作業者に対する効率的な空調を実現できる空調システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様にかかる空調システムは、
作業者によって操作される主搬送機と、
前記主搬送機に自動追従するように構成された従搬送機と、
前記従搬送機に搭載された空調装置と、
を備える。
【0006】
本開示の一態様にかかる空調方法は、
所定の位置に対して空調を行いながら、主搬送機を追従させるステップと、
を含む。
【0007】
本開示の一態様にかかるプログラムは、
所定の位置に対して空調を行いながら、主搬送機を追従させる処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、広範囲の空調エリアであっても、作業者に対する効率的な空調を実現できる空調システム等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態にかかるスポット空調システムの構成例を説明する概略側面図である。
図2】実施の形態にかかるスポット空調システムの構成例を説明する概略上面図である。
図3】実施の形態にかかる主搬送機を制御する制御装置の構成例を説明する例示ブロック図である。
図4】実施の形態にかかる空調装置を備える従搬送機を制御する制御装置の構成を説明する例示ブロック図である。
図5】実施の形態にかかる空調装置を備える従搬送機を制御する制御装置の動作を示すフローチャートである。
図6】実施の形態にかかる従搬送機を制御する制御装置の構成を説明する例示ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲に係る発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
本開示は、主に、所定のエリア内を移動する作業者に対する空調システムに関する。本空調システムは、例えば、工場で物流作業等を行う作業者、小売業において店舗等で物流作業等を行う作業者、又はその他の物販・物流等の作業者等に対して好適なスポット空調システムを提供することができる。以下は、主に、工場での車両の生産ラインにおける物流作業者用の空調システムを例に説明する。なお、ここでいう空調システムには、エアコン、ファン、扇風機、ミスト気化式空調機、およびその他の空調装置を含み得る。ミスト気化式空調機は、直接空気を気化して冷却するタイプであってもよいし、熱交換器で熱交換して冷却するタイプであってもよい。
【0012】
図1は、実施の形態にかかるスポット空調システム1の構成例を説明する概略側面図である。図2は、実施の形態にかかるスポット空調システム1の構成例を説明する概略上面図である。
図1に示すように、作業者4が使用する物流支援装置は、主搬送機100と、当該主搬送機100を自動追従する機能を有する1台以上の従搬送機(図1では200、300)とを含み得る。なお、本明細書においては、この主搬送機とそれを追従する複数の従搬送機からなるグループは、1群の搬送機とも呼ばれる場合がある。作業者のそれぞれは、1群の搬送機を利用して、多数の部品の搬送を行うことができる。本明細書で使用されるとき、搬送機は、台車に限らず、車を有しない船、ドローン、飛行機などの様々な搬送機も含み得る。搬送機の一例である台車とは、物を運ぶための車が付いた台である。図1では、主搬送機100として、主台車を用いた例を示す。主搬送機100は、前輪103と後輪104を備えた台車のベース101上に、荷物を載せて、作業者の操作によって移動可能である。主搬送機は、主機、主台車、親台車、又は親機と呼ばれる場合がある。本実施形態では、車両等の生産に用いられる多数の部品10を載せた主搬送機100は、作業者4によって工場内の生産ラインを搬送される。主搬送機100は、作業者4が主搬送機100の把持部106に取り付けられた図示しない操作部(例えば、ジョイスティック)を操作することで、作業者の力を使用せずに、電動で移動可能である。あるいは、他の実施形態では、主搬送機100は、電動移動機能を有せず、単に作業者4の手動の力によって、移動してもよい。
【0013】
ここで、図3を参照して、主搬送機を制御する制御装置の構成を説明する。
制御装置150は、例えば、図1の主搬送機100のベース101の底部に搭載され得る。制御装置150は、プロセッサおよびメモリなどを有するコンピュータにより実現され得る。制御装置150は、操作受付部151と、検知部152と、駆動部153と、制御部156と、及び通信インタフェース159を含む。通信インタフェース159は、無線通信を行うために使用されてもよく、例えば、IEEE 802.11 seriesにおいて規定された無線LAN通信、もしくは3GPP(3rd Generation Partnership Project)等において規定されたモバイル通信を行うために使用されてもよい。制御装置150は、通信インタフェース359を介して、従搬送機200の制御装置250および従搬送機300の制御装置350と無線通信することができる。
【0014】
操作受付部151は、作業者が主搬送機100の操作部(例えば、ジョイスティック)を操作した各方向に対する操作量を受け付ける。検知部152は、主搬送機100の先端にあるセンサ102(図1)からの周辺物体(例えば、障害物)の検知信号を受信する。センサ102は、周辺の障害物までの距離を測定可能なIR距離センサであり得る。センサ102は、各種カメラ(例えば、IRカメラ)であってもよい。当該距離データ及び撮影データは、検知部252および制御装置150に送信され得る。駆動部153は、電動モータ用のドライバを含むことができ、作業者が操作部を介して行った操作量に基づいて、前輪又は後輪を駆動させることで、主搬送機(すなわち、台車)を異なる速度で移動させることができる。また、駆動部153は、左右の前輪又は左右の後輪を、異なる回転速度で駆動させることで、主搬送機100の操縦を行うこともできる。例えば、駆動輪である後輪の左右のモータドライバに対して、異なる回転数の制御信号を制御部156(CPU基板)から送信することによって主搬送機の移動方向を操舵することができる。制御部156は、1つ以上のプロセッサおよび1つ以上のメモリなどを含み、操作受付部151および検知部152からの信号を受信し、駆動部153を制御する。プロセッサは、マイクロプロセッサ、MPU(Micro Processing Unit)、又はCPU(Central Processing Unit)であってもよい。
【0015】
再び、図1及び図2に参照して、従搬送機の構成例を説明する。従搬送機200は、主搬送機100との所定の距離を保持したまま、主搬送機100に自動追従することができる。従搬送機は、従台車、子台車又は子機と呼ばれる場合がある。図1では、従搬送機200は、従台車を用いた例を示す。従搬送機200は、前輪203と後輪204を備えた台車のベース201上に、荷物を載せることが可能である。従搬送機200には、ベース201の先端部にセンサ202が取り付けられ、これにより、主搬送機100の受信機112の位置および主搬送機100の受信機112との距離を把握することができる。センサ202は、IR距離センサであってもよく、当該従搬送機と主搬送機(受信機)との距離、又は周辺の障害物との距離を把握することができる。また、センサ202は、各種カメラ(例えば、IRカメラ)であってもよい。当該距離データ及び撮影データは、制御装置250に送信され得る。従搬送機200は、主搬送機100を追従するように制御され得る。なお、従搬送機200には、作業者4が把持して動かすための従搬送機200の把持部206が、ベース201に連結部205を介して取り付けられている。また、従搬送機200にも、部品を載せてもよい。
【0016】
従搬送機300は、先方の従搬送機200との所定の距離を保持したまま、先方の従搬送機200に自動追従することができる。図1では、従搬送機300は、従台車を用いた例を示す。従搬送機300は、前輪303と後輪304を備えた台車のベース301上に、荷物を載せることが可能である。従搬送機300には、ベース301の先端部にセンサ302が取り付けられ、先方の従搬送機200の受信機212の位置および従搬送機200の受信機212との距離を把握することができる。センサ302は、IR距離センサであってもよく、当該従搬送機と従搬送機(受信機)との距離、又は周辺の障害物との距離を把握することができる。また、センサ302は、各種カメラ(例えば、IRカメラ)であってもよい。当該距離データ及び撮影データは、検知部352および制御装置350に送信され得る。従搬送機にもそれぞれ、多数の部品30を載せて搬送され得る。従搬送機300は、従搬送機200を追従するように制御され得る。なお、従搬送機300には、作業者4が把持して動かすための従搬送機300の把持部306が、ベース301に連結部305を介して取り付けられている。
【0017】
図1では、2台の従搬送機を示しているが、従搬送機の数はこれに限定されず、例えば、1台のみの従搬送機を設けてもよいし、3台以上の従搬送機を設けてもよい。
【0018】
図2に示すように、作業者4は、主搬送機100を生産ラインの目的の場所で停車し、主搬送機100又は後続する従搬送機300に載せられた部品の中から、所定の部品を取り出し、その物品を近くの部品棚80に運搬する。主搬送機100に載りきらない物品を、従搬送機に載せ、主搬送機100を移動させるだけで、従搬送機200、300が主搬送機100を追従できるので、運ぶことができる部品の数を増大させる物流支援機能を発揮する。このように、作業者は、広いエリアにわたって主搬送機100を移動させ、各目的地で停止後、物品を搬送するという搬送作業を繰り返す。
【0019】
さらに、本開示では、この1群の従搬送機のうち、主搬送機100の直後の従搬送機200に、作業者用のスポット空調装置を搭載したスポット空調システムを提供する。すなわち、本スポット空調システムは、物流支援機能と、作業者用のスポット空調機能を有する。
【0020】
ここで、図1及び図2を参照して、従搬送機200に搭載された空調装置の詳細な構成を説明する。
従搬送機200のベース201上に空調装置20が設けられている。空調装置は、エアコン、ファン、扇風機、ミスト気化式空調機、およびその他の空調装置を含み得る。ミスト気化式空調機は、直接空気を気化して冷却するタイプであってもよいし、熱交換器で熱交換して冷却するタイプであってもよい。
【0021】
空調装置20は、空調機本体から供給される調温空気の吹出口21と、吹出口21の向きを変化させる駆動手段22と、作業者4を検出する検出手段23と、作業者4に対して吹出口21が向くように駆動手段22を制御する制御装置250と、を備える。吹出口21の向きは、駆動手段22により、水平方向に360度回転可能であり、また所定の角度まで傾けることができる。
【0022】
検出手段23は、特定の作業者4に取り付けられた受信機231を検知するセンサであってもよい。このセンサは、吹出口21に取り付けられ得る。図1の例では、作業者4の首もとに、受信機231が取り付けられ、空調装置20の吹出口21が作業者の首のあたりに向く(すなわち、追従する)ように制御され、そこを冷却することで、効果的に作業者の体温を冷却させることができる。なお、受信機231の取り付け位置は、特に限定されない。他の実施形態では、検出手段23は、不特定の人を検知するセンサであってもよい。検出手段23は、従搬送機200の空調装置20の近くにいる人を検知して、吹出口21の向きが検知された人に向くように制御され得る。制御装置250は、1つ以上のプロセッサおよびメモリなどを含み、センサと駆動手段などの各構成要素と接続され得る。
【0023】
図2の上面図に示すように、従搬送機200は、主搬送機100の後続の位置に停車したまま、吹出口21のみを全方位方向(例えば、360度)に回転させて、空調装置20は、作業者に向けて、調温空気を送ることができる。このように、従搬送機200を含む1群の搬送機は、主搬送機100を停車した場合、隊列を乱すことない。従搬送機200に搭載された空調装置20の吹出口21のみが、部品を部品棚などに運ぶために1群の搬送機から離れた作業者4に向くように回転可能に構成されている。また、空調装置20は、空調装置20と作業者4との距離に応じて、風速を調整することができる。また、他の実施形態では、空調装置20は、空調装置20と作業者4との距離に応じて、風量を調整することができる。
【0024】
図4を参照して、空調装置を備える従搬送機200を制御する制御装置250の構成を説明する。
制御装置250は、例えば、図1の従搬送機200のベース201の底部に搭載され得る。制御装置250は、プロセッサおよびメモリなどを有するコンピュータにより実現され得る。制御装置250は、操作受付部251と、検知部252と、従搬送機用駆動部253と、を含む。これにより、主に従搬送機200の追従動作を可能にする。
【0025】
操作受付部251は、作業者が従搬送機の操作部(例えば、ジョイスティック)を操作した操作量を受け付ける。いくつかの実施形態では、従搬送機200を制御する制御装置250には、操作受付部251を有しない場合もある。検知部252は、従搬送機200の先端にあるセンサ202からの主搬送機100の後端の受信機112の位置およびそれまでの距離を受信することができる。また、検知部252は、センサ202から周辺物体(例えば、障害物)の検知信号を受信することができる。従搬送機用駆動部253は、電動モータ用ドライバを含むことができ、主搬送機の移動量に基づいて、又は作業者が操作部を介して行った操作量に基づいて、前輪又は後輪を駆動させることで、従搬送機(すなわち、台車)を異なる速度で移動させることができる。また、従搬送機用駆動部253は、左右の前輪又は左右の後輪を、異なる回転速度で駆動させることで、従搬送機200の操縦を行うこともできる。例えば、駆動輪である後輪の左右のモータドライバに対して、異なる回転数の制御信号を後述する制御部257(CPU基板)から送信することによって従搬送機の移動方向を操舵することができる。また、制御部257は、センサ202からの主搬送機100の後端の受信機112までの距離が一定となるように、従搬送機用駆動部253を制御して、従搬送機200を主搬送機100に追従させることができる。
【0026】
更に、制御装置250は、吹出口用駆動部254と、風速調整部255、対象検出部256を含む。また、対象検出部256は、検出された対象までの距離を測定する距離測定部2561を備えることもできる。これにより、主にスポット空調機能を実現可能である。なお、他の実施形態では、距離測定部は、1つの機能ブロックとして制御部257に含まれ得る。
【0027】
更に、制御装置250は、制御部257及び通信インタフェース259を含む。通信インタフェース259は、無線通信を行うために使用されてもよく、例えば、IEEE 802.11 seriesにおいて規定された無線LAN通信、もしくは3GPP(3rd Generation Partnership Project)等において規定されたモバイル通信を行うために使用されてもよい。制御装置250は、通信インタフェース359を介して、主搬送機100の制御装置150および従搬送機300の制御装置350と無線通信することができる。
【0028】
吹出口用駆動部254は、吹出口21の向きを変える駆動手段22を駆動させるためのドライバを含み得る。風速調整部255は、作業者の受信機231の位置や距離情報を受信し、ファン25の回転数(出力)を制御することで、調温空気の風速を調整することができる。対象検出部256は、吹出口21のセンサ23を介して、作業者の受信機231の位置を検出する。対象検出部256は、距離測定部2561を含み得る。距離測定部2561は、対象検出部256が検出した作業者の受信機231の位置と、従搬送機200の現在位置との距離を測定することができる。
【0029】
制御部257は、対象検出部256からの検出信号を受信し、吹出口用駆動部254を制御する。すなわち、制御部257は、作業者の受信機231の位置に向けて、吹出口21の向きが向くように、吹出口用駆動部254を制御し、駆動手段22を駆動させる。また、制御部257は、距離測定部2561が測定した距離に基づいて空調装置20内蔵のファン25の風速を調整する。
【0030】
ここで、図5を参照して、空調装置を備える従搬送機を制御する制御装置の動作例を説明する。
制御装置250は、所定の位置に対して、又は作業者の受信機231の検知された位置に対して、吹出口21を向けて空調装置20を作動させながら、主搬送機100を追従するように従搬送機200を制御する(ステップS1)。主搬送機100と従搬送機200との距離は、一定になるように従搬送機の移動速度を制御してもよい。この場合、従搬送機200は、主搬送機100のすぐ後を走行するので、従搬送機200の空調装置20の吹出口21の向きは、主搬送機100を操作する作業者4に向けて基本的に固定され得る。しかし、他の実施形態では、この間も、吹出口21の向きを、検出手段23により検知された作業者4の受信機231に追従するように、駆動手段22を駆動させてもよい。
【0031】
制御装置250(および制御装置350)は、主搬送機100の停止を認識したとき、従搬送機200(および従搬送機300)も停止させる(ステップS2)。主搬送機100と従搬送機200(および従搬送機300)は、隊列を乱すことなく、停止する。この間も、制御装置250は、作業者の受信機231が検出された位置に対して、吹出口21を向けるように制御して、空調装置20を作動させたままとする。このとき、作業者4は、所望の部品を主搬送機100又は従搬送機300から取り出し、所定の部品棚まで搬送する(図2)。
【0032】
制御装置250は、検出された受信機231の位置に対して、吹出口21の向きを変更するように駆動手段22を駆動させる(ステップS3)。また、制御装置250は、作業者とともに移動する受信機231までの距離を測定し、測定された距離に応じて、ファンの風速を調整する(ステップS4)。具体的には、距離が長くなるほど、ファンの風速を強くする。これにより、作業者に対して一定の風速のスポット空調を提供することができる。他の例では、距離が長くなるほど、風量を増大させてもよい。逆に、距離が短くなるほど、ファンの風速を弱くする。他の例では、距離が短くなるほど、風量を低減させてもよい。更に他の例では、検出手段23が受信機231を検出できなくなった場合(例えば、作業者が従搬送機から遠くに離れすぎた場合、作業者が障害物や壁の裏に隠れた場合)には、ファンを一時的に停止し、再度、検出手段23が受信機231を検出した場合、ファンの作動を再作動させるようにしてもよい。
【0033】
以上のように、従搬送機の制御装置250は、主搬送機への追従動作と、作業者へのスポット空調動作を実現する。いくつかの実施形態では、空調方法は、所定の位置(例えば、主搬送機)に対して空調を行いながら、主搬送機を追従させるステップを含む。空調方法は、検知された位置に対して空調を行いながら、主搬送機を追従させるステップを含む。空調方法は、さらに主搬送機の停止とともに、従搬送機を停止させるステップと、前記空調を継続しながら検出された位置に対して空調すべき向きを変更するステップと、を含む。更にまた、空調方法は、検出された位置までの距離に応じて、空調の風速を調整するステップを更に含む。
【0034】
上述の例において、空調方法を実行するプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0035】
図6を参照して、空調装置を備える従搬送機300を制御する制御装置350の構成を説明する。
制御装置350は、例えば、図1の従搬送機300のベース301の底部に搭載され得る。制御装置350は、プロセッサおよびメモリなどを有するコンピュータにより実現され得る。制御装置350は、操作受付部351と、検知部352と、従搬送機用駆動部353と、制御部356と、通信インタフェース359と、を含む。通信インタフェース359は、有線及び無線通信インタフェースであり得る。通信インタフェース359は、無線通信を行うために使用されてもよく、例えば、IEEE 802.11 seriesにおいて規定された無線LAN通信、もしくは3GPP(3rd Generation Partnership Project)等において規定されたモバイル通信を行うために使用されてもよい。制御装置350は、通信インタフェース359を介して、制御装置150および制御装置250と無線通信することができる。
【0036】
操作受付部351は、作業者が従搬送機300の操作部(例えば、ジョイスティック)を操作した操作量を受け付ける。いくつかの実施形態では、従搬送機300を制御する制御装置350には、操作受付部351を有しない場合もある。検知部352は、従搬送機300の先端にあるセンサ302からの従搬送機200の後端の受信機212の位置およびそこまでの距離を受信することができる。また、検知部352は、センサ302から周辺物体(例えば、障害物)の検知信号を受信することができる。従搬送機用駆動部353は、電動モータ用ドライバを含むことができ、主搬送機100の移動量又は従搬送機200の移動量に基づいて、又は作業者が操作部を介して行った操作量に基づいて、前輪又は後輪を駆動させることで、従搬送機(すなわち、台車)を異なる速度で移動させることができる。また、従搬送機用駆動部353は、左右の前輪又は左右の後輪を、異なる回転速度で駆動させることで、従搬送機300の操縦を行うこともできる。例えば、駆動輪である後輪の左右のモータドライバに対して、異なる回転数の制御信号を後述する制御部356(CPU基板)から送信することによって従搬送機の移動方向を操舵することができる。また、制御部356は、センサ302からの従搬送機200の後端の受信機212までの距離が一定となるように、従搬送機用駆動部353を制御して、従搬送機300を従搬送機200に追従させることができる。
【0037】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上記実施形態では、空調装置を備える従搬送機200と、多数の物品を載せた従搬送機300を設けたが、他の実施形態では、空調装置を備え、かつ多数の物品を載せた従搬送機200のみを設けてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 空調システム
4 作業者
10 部品
20 空調装置
21 吹出口
22 駆動手段
23 検出手段
25 ファン
30 部品
100 主搬送機
101 ベース
102 センサ
103 前輪
104 後輪
105 連結部
106 把持部
112 受信機
150 制御装置
151 操作受付部
152 検知部
153 駆動部
156 制御部
159 通信インタフェース
200 従搬送機
201 ベース
202 センサ
203 前輪
204 後輪
205 連結部
206 把持部
212 受信機
250 制御装置
251 操作受付部
252 検知部
253 従搬送機用駆動部
254 吹出口用駆動部
255 風速調整部
256 対象検出部
2561 距離測定部
257 制御部
259 通信インタフェース
300 従搬送機
301 ベース
302 センサ
303 前輪
304 後輪
305 連結部
306 把持部
350 制御装置
351 操作受付部
352 検知部
353 従搬送機用駆動部
356 制御部
359 通信インタフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6