(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】駐車場管理システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20241106BHJP
G08G 1/04 20060101ALI20241106BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
G08G1/00 X
G08G1/04 C
G08G1/09 F
(21)【出願番号】P 2021176409
(22)【出願日】2021-10-28
【審査請求日】2024-03-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【氏名又は名称】河野 努
(72)【発明者】
【氏名】今津 貴雅
(72)【発明者】
【氏名】深田 善樹
(72)【発明者】
【氏名】岡村 竜路
(72)【発明者】
【氏名】林 孝士
(72)【発明者】
【氏名】馬場 広樹
(72)【発明者】
【氏名】小見 聡
(72)【発明者】
【氏名】楠本 光優
(72)【発明者】
【氏名】片岡 佑太
【審査官】櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-022315(JP,A)
【文献】特開2016-043772(JP,A)
【文献】国際公開第2016/072165(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G01C 21/00 - 21/36
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場内の
各駐車スペース
の各時刻における日向度が求められており、自動運転車両が、車体の温度上昇を回避したい車両である場合には、自動運転車両を日向度の小さい駐車スペースに駐車させ、自動運転車両が、太陽電池パネルを備えていて駐車中に太陽電池パネルによる太陽光発電を希望している場合には、自動運転車両を日向度の大きい駐車スペースに駐車させるようにした駐車場管理システムにおいて、自動運転車両の駐車場への入庫要求時に、予定出庫時刻の登録が要求されると共に、登録された予定出庫時刻前に自動運転車両の駐車場所を移動するための移動時刻が設定され、該移動時刻になったときに自動運転車両が日向度の大きい駐車スペースに駐車している場合には、自動運転車両を日向度の小さい駐車スペースに移動させて予定出庫時刻まで日向度の小さい駐車スペースに駐車させることができ、該移動時刻になったときに自動運転車両が日向度の小さい駐車スペースに駐車している場合には、自動運転車両を日向度の大きい駐車スペースに移動させて予定出庫時刻まで日向度の大きい駐車スペースに駐車させることのできる機能を備えた駐車場管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は駐車場管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池パネルを備えた自動運転車両では、自動運転車両が駐車場に駐車せしめられているときに、自動運転車両に備えられている太陽電池パネルの発電電力のみを用いてバッテリを充電させることも可能であるし、駐車場に備えられている急速充電装置等の充電装置によりバッテリを充電することも可能である。この場合、駐車場への太陽光の照射状態、太陽光によるバッテリの単位時間当たりの予測充電量、駐車場に備えられている充電装置の充電能力や充電料金等、バッテリの充電に関する適切な情報が入手できると便利である。そこで、これらのバッテリの充電に関する情報に加え、駐車場までの距離や駐車料金等を自動運転車両内の表示画面上に表示するようにしたナビゲーション装置が公知である(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のナビゲーション装置では、太陽光と自動運転車両との関係については、太陽電池パネルを備えた自動運転車両のみに考慮が払われている。ところが、自動運転車両の中には、車体の温度上昇を回避したい自動運転車両も存在しており、これらの自動運転車両では、駐車場において車体に太陽光が照射するのを極力回避することが望まれる。しかしながら、上述のナビゲーション装置は、このようなことに関して何ら示唆していない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、駐車場内の各駐車スペースの各時刻における日向度が求められており、自動運転車両が、車体の温度上昇を回避したい車両である場合には、自動運転車両を日向度の小さい駐車スペースに駐車させ、自動運転車両が、太陽電池パネルを備えていて駐車中に太陽電池パネルによる太陽光発電を希望している場合には、自動運転車両を日向度の大きい駐車スペースに駐車させるようにした駐車場管理システムにおいて、自動運転車両の駐車場への入庫要求時に、予定出庫時刻の登録が要求されると共に、登録された予定出庫時刻前に自動運転車両の駐車場所を移動するための移動時刻が設定され、この移動時刻になったときに自動運転車両が日向度の大きい駐車スペースに駐車している場合には、自動運転車両を日向度の小さい駐車スペースに移動させて予定出庫時刻まで日向度の小さい駐車スペースに駐車させることができ、この移動時刻になったときに自動運転車両が日向度の小さい駐車スペースに駐車している場合には、自動運転車両を日向度の大きい駐車スペースに移動させて予定出庫時刻まで日向度の大きい駐車スペースに駐車させることのできる機能を備えた駐車場管理システムが提供される。
【発明の効果】
【0006】
自動運転車両を最適な駐車スペースに駐車させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1Aおよび
図1Bは夫々、図解的に表した自動駐車場の一例の平面図および側面図である。
【
図2】
図2は、駐車管理サーバを図解的に示す図である。
【
図3】
図3は、自動運転車両の一例を図解的に示す図である。
【
図6】
図6は、日向度および日陰度を検出するためのフローチャートである。
【
図7】
図7は、日向度および日陰度を予測するためのフローチャートである。
【
図8】
図8は、入出庫の管理を行うためのフローチャートである。
【
図9】
図9は、自動運転制御を行うためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1Aは、自動駐車場を図解的に表した平面図であり、
図1Bは、
図1Aに示される自動駐車場の側面図である。
図1Aおよび
図1Bを参照すると、1は、デパート等の施設、2は、施設1に隣接して設置されている自動駐車場、3は乗降場、4は乗降場3に停止している自動運転車両を示している。
図1Aに示されるように、自動駐車場2内には、多数の駐車スペースPが設けられている。この自動駐車場2では、乗降場3に到達した自動運転車両4を自動運転により空の駐車スペースPに入庫させると共に、駐車スペースPに駐車している自動運転車両を自動運転により乗降場3に出庫させる自動駐車サービス、即ち、オートバレーパーキングサービスが実施されている。一方、
図1Aにおいて、5は駐車管理施設に配置されている駐車管理サーバを示している。なお、この自動駐車場2は、手動運転の車両も駐車可能である。
【0009】
この自動駐車サービスを利用するユーザが、自動運転車両からなる自車を自動駐車場2に駐車させるときには、例えば、自車が乗降場3に到達したときに、ユーザの携帯端末から通信ネットワークを介して駐車管理サーバ5に、自車を識別するための車両IDを含む自車に関する情報と共に入庫要求を送信する。駐車管理サーバ5は、入庫要求を受信すると、車両が他車両や歩行者と接触することなく乗降場3から空の駐車スペースPに到達することのできる車両の走行ルートを設定し、この設定走行ルートをユーザの車両に送信する。ユーザの車両は、駐車管理サーバ5から設定走行ルートを受信すると、この設定走行ルートに沿って自動運転により乗降場3から空の駐車スペースPまで移動せしめられる。
【0010】
一方、ユーザが自車を自動駐車場2から出庫させるときも同様である。例えば、ユーザが乗降場3に到達すると、ユーザの携帯端末から通信ネットワークを介して駐車管理サーバ5に、自車を識別するための車両IDと共に出庫要求を送信する。駐車管理サーバ5は、出庫要求を受信すると、車両が他車両や歩行者と接触することなく駐車中の駐車スペースPから乗降場3に到達することのできる車両の走行ルートを設定し、この設定走行ルートをユーザの車両に送信する。ユーザの車両は、駐車管理サーバ5から設定走行ルートを受信すると、この設定走行ルートに沿って自動運転により駐車中の駐車スペースPから乗降場3まで移動せしめられる。
【0011】
さて、
図1Aおよび
図1Bに示される例では、
図1Aに示されるように、自動駐車場2には、自動駐車場2内の全領域の状態を検出し得るように複数個のインフラセンサ6が設置されており、これらのインフラセンサ6は、
図1Bに示されるように、車両よりも高い位置に設置されている。これらのインフラセンサ6としては、カメラ、或いは、レーザセンサ等を用いることができるが、以下、インフラセンサ6として、カメラを用いた場合を例にとって説明する。この場合、各インフラセンサ6により、自動駐車場2内の全ての駐車スペースPおよび駐車スペースP間の全ての通路が撮影されており、各インフラセンサ6により撮影された画像信号は駐車管理サーバ5に送信される。駐車管理サーバ5では、これらの画像信号に基づいて、入出庫時における自動運転車両の走行ルートが設定される。
【0012】
図2は、
図1Aの駐車管理サーバ5を示している。
図2に示されるように、この駐車管理サーバ5内には電子制御ユニット10が設けられている。この電子制御ユニット10はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス11によって互いに接続されたCPU(マイクロプロセッサ)12、ROMおよびRAMからなるメモリ13および入出力ポート14を具備する。
図2に示されるように、電子制御ユニット10には、各インフラセンサ6により撮影された画像信号が入力される。また、電子制御ユニット10のメモリ13内には、自動駐車場2の地図データが記憶されている。
【0013】
図3は、太陽光発電機能を有する自動運転車両20の一例を図解的に示している。
図3を参照すると、21は車両20の駆動輪に駆動力を与えるための車両駆動部、22は車両駆動部21に電力を供給するためのバッテリ、23は車両20の屋根上に設置された太陽電池パネル、24は太陽電池パネル23において発電された電力をバッテリ22に充電するための充電制御装置、25は車両20を制動するための制動装置、26は車両20を操舵するための操舵装置、27は車両20内に搭載された電子制御ユニットを夫々示す。
図3に示されるように、電子制御ユニット27はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス28によって互いに接続されたCPU(マイクロプロセッサ)29、ROMおよびRAMからなるメモリ30および入出力ポート31を具備する。
【0014】
一方、
図3に示されるように、車両20には、車両20が自動運転を行うのに必要な各種センサ40、即ち、車両20の状態を検出するセンサおよび車両20の周辺を検出する周辺検知センサが設置されている。この場合、車両20の状態を検出するセンサとしては、加速度センサ、速度センサ、方位角センサが用いられており、車両20の周辺を検出する周辺検知センサとしては、車両20の前方、側方、後方を撮影する車載カメラ、ライダ(LIDAR)、レーダ等が用いられる。また、車両20には、GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)受信装置41、地図データ記憶装置42、ナビゲーション装置43および各種操作をおこなうための操作部44が設けられている。GNSS受信装置41は、複数の人工衛星から得られる情報に基づいて、車両20の現在位置(例えば車両20の緯度及び経度)を検出することができる。従って、このGNSS受信装置41により車両20の現在位置を取得することができる。このGNSS受信装置41として、例えば、GPS受信装置が用いられる。
【0015】
一方、地図データ記憶装置42には、車両20が自動運転を行うのに必要な地図データ等が記憶されている。これらの各種センサ40、GNSS受信装置41、地図データ記憶装置42、ナビゲーション装置43および操作部44は、電子制御ユニット27に接続されている。また、車両20には、駐車管理サーバ5と通信を行うための通信装置45が搭載されており、
図2に示されるように、駐車管理サーバ5内には、車両20と通信を行うための通信装置15が設けられている。
図3に示される例では、車両駆動部21は、バッテリ22により駆動される電気モータより構成されており、車両20の駆動輪は、電子制御ユニット27の出力信号に従って、電気モータにより駆動制御される。また、車両20の制動制御は、電子制御ユニット27の出力信号に従って制動装置25により行われ、車両20の操舵制御は、電子制御ユニット27の出力信号に従って操舵装置26により行われる。
【0016】
さて、自動運転車両20が自動駐車場2に駐車している間に太陽電池パネル23により効率よく太陽光発電を行うためには、車両20を日の当たっている駐車スペースPに駐車させておく必要がある。そのためには、どの駐車スペースPが実際に日の当たっているかを判別する必要がある。一方、自動運転車両20の中には、駐車中に冷房機能、冷蔵機能或いは冷凍機能を作動させる車両、生鮮食料品等の温度上昇を嫌う物品を搭載した車両等、車体の温度上昇を回避したい自動運転車両も存在し、このような車体の温度上昇を回避したい車両20は、日の当たっていない駐車スペースPに駐車させておくが望ましい。このように、自動運転車両20には、駐車スペースPとして、日の当たっている駐車スペースPが必要な車両と、駐車スペースPとして、日の当たっていない駐車スペースPが好ましい車両とが存在する。
【0017】
ところで、この場合、各インフラセンサ6により撮影された画像から、自動駐車場2内の全ての駐車スペースPおよび駐車スペースP間の全ての通路において日の当たっている日向領域と日の当たっていない日陰領域の識別が可能である。そこで、本発明による一実施例では、車両20の特性に応じて、車両20を実際に日の当たっている駐車スペースPに駐車させるか、或いは、車両20を実際に日の当たっていない駐車スペースPに駐車させるために、各インフラセンサ6により撮影された画像から、日の当たっている日向領域と日の当たっていない日陰領域を特定するようにしている。
【0018】
なお、これらの日向領域および日陰領域は、例えば、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術を用いて作成された自動駐車場2内の三次元精密地図を用い、現在の太陽の位置から、特定することもできる。この三次元精密地図は、例えば、自動運転車両20の周辺を検出するセンサにより検出された車両20周りの局所的地図と、駐車管理サーバ5のメモリ13内に記憶されている自動駐車場2内の三次元基準精密地図とを照合しつつ三次元基準精密地図を逐次修正することにより作成される。このように日向領域および日陰領域は、SLAM技術を用いて特定することもできるが、以下、各インフラセンサ6により撮影された画像から、日向領域および日陰領域を特定するようにした場合を中心に、本発明について説明する。
【0019】
次に、本発明の概要について、
図1A、
図4および
図5を参照しつつ、具体的な一例に基づき説明する。最初に
図1Aを参照すると、
図1Aにおいて、破線により囲まれた領域X(領域周辺のみに斜線が付されている)は、或る日の正午における施設1による日陰領域を示しており、一点鎖線により囲まれた領域Y(領域周辺の一部のみに斜線が付されている)は、同日の夕方における施設1による日陰領域を示している。このように日陰領域X,Yは、一日の間において位置が変化し、また、春夏秋冬のような季節の違いによっても位置が変化する。また、自動駐車場2内、或いは、自動駐車場2の周辺に太陽光を遮る構想物等が設置された場合でも、日陰領域が変化する。従って、自動駐車場2内において日の当たっている日向領域は、天気からだけでは判断できない。
【0020】
そこで、本発明による実施例では、各インフラセンサ6により撮影された画像から、日向領域および日陰領域を特定するようにしている。この場合、各駐車スペースPの領域の中で日の当たっている部分の割合を日向度R(%)と称し、日の当たっていない部分の割合を日陰度Sと称すると、本発明による実施例では、各インフラセンサ6により撮影された画像から、各駐車スペースPの日向度Rおよび日陰度Sが算出される。なお、この場合、日陰度SはS=100%―R(%)で表されるので、実際には、各インフラセンサ6により撮影された画像から、例えば、日向度Rのみが算出され、算出された日向度Rから日陰度Sが算出される。
図4は、
図1Aに示される駐車スペースPのうちの代表的な駐車スペースP
1、P
2,Pn,Pmにおける或る日の時刻6:00から時刻18:00までの間における日向度Rの変化を示しており、
図5は、同日の時刻6:00から時刻18:00までの間の一部の時間における代表的な駐車スペースP
1、P
2,Pn,Pmでの日向度Rの変化の一覧表を示している。なお、
図5に示す例では、10分間毎の日向度Rの変化が示されている。
【0021】
次に、
図6を参照しつつ、この日向度Rおよび日陰度Sの検出方法について説明する。
図6は、日向度Rおよび日陰度Sの検出ルーチンを示しており、このルーチンは、駐車管理サーバ5の電子制御ユニット10内において繰り返し実行されている。
図6を参照すると、初めに、ステップ50において、日向度Rおよび日陰度Sの検出時刻になったか否かが判別される。本発明による実施例では、
図5に示されるように、10分間毎に日向度Rおよび日陰度Sが求められており、例えば、時刻6:00、時刻6:10、時刻6:20が、日向度Rおよび日陰度Sの検出時刻とされている。ステップ50において、日向度Rおよび日陰度Sの検出時刻でないと判別されたときには処理サイクルを終了し、日向度Rおよび日陰度Sの検出時刻になったと判別されたときにはステップ51に進む。
【0022】
ステップ51では、各インフラセンサ6の検出信号、即ち、画像信号が取得される。次いで、ステップ52では、これらの画像信号から、日向領域と日陰領域とが識別できるか否かが判別される。例えば、晴れているときには日向領域と日陰領域とが識別可能であると判別され、曇っているとき等、日が差していないときには、日向領域と日陰領域とが識別不可能であると判別される。ステップ52において、日向領域と日陰領域とが識別不可能であると判別されたときには処理サイクルを終了し、日向領域と日陰領域とが識別可能であると判別されたときにはステップ53に進む。
【0023】
ステップ53では、駐車管理サーバ5の電子制御ユニット10のメモリ13内に記憶されている自動駐車場2の地図データに基づいて、取得された各インフラセンサ6の画像信号から、
図1Aに示されるような自動駐車場21の平面地図上における日向領域が特定され、特定された日向領域と各駐車スペースPの位置から、各駐車スペースPの日向度Rおよび日陰度Sが算出される。日向度Rおよび日陰度Sが算出されると、ステップ54に進んで、駐車管理サーバ5の電子制御ユニット10のメモリ13内に記憶されている各駐車スペースPの日向度Rおよび日陰度Sが更新される。従って、メモリ13内には、日向領域が識別可能であった場合には、現在の実際の各駐車スペースPの日向度Rおよび日陰度Sが記憶されており、日向領域が識別不可能であった場合には、日向領域が識別可能であったときの実際の各駐車スペースPの日向度Rおよび日陰度S、即ち、最新の実際の各駐車スペースPの日向度Rおよび日陰度Sが記憶されている。
【0024】
図7は、日向度Rおよび日陰度Sを求めるために、
図6に示されるルーチンに代えて用いることのできる別のルーチンを示している。この
図7に示されるルーチンば、例えばSLAM技術を用いて作成された自動駐車場2内の三次元精密地図を用いて日向度および日陰度を予測するルーチンを示しており、このルーチンも、駐車管理サーバ5の電子制御ユニット10内において実行される。
図7を参照すると、初めに、ステップ60において、駐車管理サーバ5のメモリ13内に記憶されている自動駐車場2内の三次元精密地図が読み込まれる。次いで、ステップ61では、日時から求められた現在の太陽の位置に基づき、自動駐車場2内の三次元精密地図上において日向領域と日陰領域とが特定され、これら特定された日向領域と日陰領域から各駐車スペースPの日向度Rおよび日陰度Sが算出される。
【0025】
次に、自動駐車サービスのユーザが、自動運転車両20を自動駐車場2に駐車させるときの入出庫方法について説明する。
図8は、この自動駐車場2への入出庫方法を実施するための入出庫管理ルーチンを示しており、このルーチンは、駐車管理サーバ5の電子制御ユニット10内において繰り返し実行される。
【0026】
図8を参照すると、初めに、ステップ70において、自動駐車場2への入庫要求があったか否かが判別される。自動駐車場2への入庫要求があったと判別されたときには、ステップ71に進んで、入庫要求時にユーザにより登録された車両情報が取得される。この車両情報は、自動運転車両20が、駐車中に冷房機能、冷蔵機能或いは冷凍機能を作動させる車両、生鮮食料品等の温度上昇を嫌う物品を搭載した車両等、車体の温度上昇を回避したい車両である否かに関する情報、自動運転車両20が、太陽電池パネルを備えていて駐車中に太陽電池パネルによる太陽光発電を希望している旨の情報、および、自動運転車両20を特定するための車両IDに関する情報が含まれる。
【0027】
次いで、ステップ72では、入庫要求のあった自動運転車両20が、駐車時に日向が好ましい車両であるか、或いは、駐車時に日陰が好ましい車両であるか否かが判別される。この場合、自動運転車両20が、駐車中に太陽電池パネルによる太陽光発電を希望している車両である場合には、駐車時に日向が好ましい車両であると判別され、駐車中に冷房機能、冷蔵機能或いは冷凍機能を作動させる車両、生鮮食料品等の温度上昇を嫌う物品を搭載した車両等、車体の温度上昇を回避したい車両であるときには、駐車時に日陰が好ましい車両であると判別される。
【0028】
ステップ72において、入庫要求のあった自動運転車両20が、駐車時に日向が好ましい車両でもなく、日陰が好ましい車両でもないと判別されたときには処理サイクルを終了する。これに対し、ステップ72において、入庫要求のあった自動運転車両20が、駐車時に日向が好ましい車両であるか、或いは、駐車時に日陰が好ましい車両であると判別されときには、ステップ73に進む。なお、自動駐車場2への入庫要求を行うときには、予定出庫時刻の登録が要求されており、ステップ73では、この登録された予定出庫時刻が取得される。次いで、ステップ74では、予定出庫時刻前に自動運転車両20の駐車場所を移動するための移動時刻が設定される。この移動時刻は、例えば、予定出庫時刻の30分前とされる。
【0029】
次いで、ステップ75では、入庫要求のあった自動運転車両20が、駐車時に日向が好ましい車両である場合には、
図5に示される一覧表に基づいて、入庫時刻から移動時刻までの間、日向度Rの大きい空の駐車スペースP、好ましくは、日向度Rが100パーセントである空の駐車スペースPが検索され、日向度Rの大きい空の駐車スペースPが移動目標地として設定される。これに対し、入庫要求のあった自動運転車両20が、駐車時に日陰が好ましい車両である場合には、
図5に示される一覧表に基づいて、入庫時刻から移動時刻までの間、日向度Rの小さい空の駐車スペースP、好ましくは、日向度Rが零パーセントである空の駐車スペースPが検索され、日向度Rの小さい空の駐車スペースP、即ち、日陰度Sの大きい空の駐車スペースPが移動目標地として設定される。
【0030】
次いで、ステップ76では、メモリ13内に記憶されている自動駐車場2の地図データに基づいて、乗降場3から、設定された移動目的地までの自動運転車両20が走行すべき通路を指し示す走行ルートが設定される。次いで、ステップ77では、メモリ13内に記憶されている自動駐車場2の地図データおよびインフラセンサ6の画像信号に基づき、自動運転車両20の走行通路内において、他車両や歩行者と接触することなく走行させることのできる現在位置から一定距離範囲内の自動運転車両20の走行軌跡が決定される。更に、ステップ77では、走行軌跡上を自動運転車両20が走行するときの走行速度が決定される。次いで、ステップ78では、自動運転車両20の自動運転実行指令が発せられ、次いで、ステップ79では、設定された移動目的地、走行ルート、走行軌跡、走行速度および自動運転実行指令が駐車管理サーバ5から自動運転車両20に送信される。
【0031】
駐車管理サーバ5から自動運転車両20に自動運転実行指令が送信されると、自動運転車両20の自動運転制御が開始される。
図9は、この自動運転車両20の自動運転制御を行うための自動運転制御ルーチンを示しており、このルーチンは、車両20に搭載された電子制御ユニット27において繰り返し実行される。
【0032】
図9を参照すると、まず初めに、ステップ90では、駐車管理サーバ5において設定された移動目的地が取得され、次いで、ステップ91では、駐車管理サーバ5において設定された走行ルートが取得され、ステップ92では、駐車管理サーバ5において設定された走行軌跡および走行速度が取得される。次いで、ステップ93では、設定された走行軌跡に沿い、自動運転車両20の前方等を撮影するカメラ、ライダ(LIDAR)、レーダ等の検出結果に基づいて、他車両や歩行者と接触することのないように、自動運転車両20の走行制御が行われる。次いで、ステップ94では、自動運転車両20が移動目的地に到達したか否かが判別される。自動運転車両20が移動目的地に到達していないと判別されたときには、ステップ93に戻り、自動運転車両20の自動運転が続行される。一方、ステップ94において、自動運転車両20が移動目的地に到達したと判別されたときには、ステップ95に進んで、自動運転車両20の自動運転制御が終了する。
【0033】
再び、
図8に戻り、ステップ70において、自動駐車場2への入庫要求が出ていないと判別されたときには、ステップ80に進み、現在の時刻が、ステップ74において設定された移動時刻になったか否かが判別される。現在の時刻が、ステップ74において設定された移動時刻になっていないと判別されたときには、処理サイクルを終了する。これに対し、現在の時刻が、ステップ74において設定された移動時刻になったと判別されたときには、ステップ81に進む。
【0034】
ステップ81では、例えば、現在夏であって、自動運転車両20が日向度Rの大きい空の駐車スペースPに駐車している場合には、
図5に示される一覧表に基づいて、現在から予定出庫時刻までの間、日向度Rの
小さい空の駐車スペースP、好ましくは、日陰となる空の駐車スペースPが検索され、日向度Rの
小さい空の駐車スペースP、好ましくは、日陰となる空の駐車スペースPが、新たな移動目標地として設定される。これに対し、現在冬であって、自動運転車両20が日陰度Sの大きい空の駐車スペースPに駐車している場合には、
図5に示される一覧表に基づいて、現在から予定出庫時刻までの間、日向度Rの大きい空の駐車スペースPが検索され、日向度Rの高い空の駐車スペースPが、新たな移動目標地として設定される。
【0035】
次いで、ステップ82では、メモリ13内に記憶されている自動駐車場2の地図データに基づいて、現在の駐車スペースPから、設定された新たな移動目的地までの走行ルートが設定される。次いで、ステップ83では、メモリ13内に記憶されている自動駐車場2の地図データおよびインフラセンサ6の画像信号に基づいて、他車両や歩行者と接触することのない自動運転車両20の走行軌跡および走行速度が決定される。次いで、ステップ78では、自動運転車両20の自動運転実行指令が発せられ、次いで、ステップ79では、設定された新たな移動目的地、走行ルート、走行軌跡、走行速度および自動運転実行指令が駐車管理サーバ5から自動運転車両20に送信される。駐車管理サーバ5から自動運転車両20に自動運転実行指令が送信されると、
図9に示される自動運転制御ルーチンが実行され、設定された新たな移動目的地まで、自動運転車両20の自動運転が行われる。
【0036】
このように、本発明による実施例では、駐車場内の駐車スペースPが日向となるのか日陰となるのかに関する情報を取得し、取得された情報に基づき、自動運転車両20の特性に応じて自動運転車両20を日向となる駐車スペースP又は日陰となる駐車スペースPに選択的に駐車させることが可能である。なお、この場合、自動駐車場2内における自動運転車両20の走行ルートも、自動運転車両20の特性に応じて変えることができる。即ち、自動運転車両20が、駐車時に日向が好ましい車両である場合には、走行ルートを日向領域を通る走行ルートに設定し、自動運転車両20が、駐車時に日陰が好ましい車両である場合には、走行ルートを日陰領域を通る走行ルートに設定することもできる。
【符号の説明】
【0037】
1 施設
2 自動駐車場
3 乗降場
5 駐車管理サーバ
6 インフラセンサ
20 自動運転車両
P 駐車スペース