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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】全固体電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/48 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
H01M10/48 301
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021187661
(22)【出願日】2021-11-18
(65)【公開番号】P2023074640
(43)【公開日】2023-05-30
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(74)【代理人】
【識別番号】100129838
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典輝
(72)【発明者】
【氏名】三井 昭男
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 浩
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-098184(JP,A)
【文献】特開2019-046768(JP,A)
【文献】特開2021-128885(JP,A)
【文献】特開2020-042931(JP,A)
【文献】特開2020-024808(JP,A)
【文献】特開2019-114411(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全固体電池と、
前記全固体電池の過充電の発生を判定する判定装置と、を備える全固体電池システムであって、
前記全固体電池は、アルミニウムを含有する負極集電体と、充電時の体積膨張率が5%以下である負極活物質を含有する負極活物質層と、を有し、
前記判定装置は、前記負極集電体の膨張による変位量に基づいて、過充電の発生を判定する、全固体電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全固体電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電池の過充電を検知する方法が知られている。例えば、特許文献1および2には、電圧値および電流値に基づき、電池が過充電状態であるか否か判定する、電池システムが開示されている。また、電池の過充電に関する技術ではないが、特許文献3には、非水電解液二次電池の膨張、収縮に伴う圧力に基づき、電池寿命を判断する、電池パックが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-046768号公報
【文献】特開2019-057357号公報
【文献】特開2019-114411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
全固体電池の安全性向上の観点から、過充電の発生を精度良く検知できることが好ましい。本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、過充電の発生を精度良く検知できる全固体電池システムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本開示においては、全固体電池と、上記全固体電池の過充電の発生を判定する判定装置と、を備える全固体電池システムであって、上記全固体電池は、アルミニウムを含有する負極集電体と、充電時の体積膨張率が5%以下である負極活物質を含有する負極活物質層と、を有し、上記判定装置は、上記負極集電体の膨張による変位量に基づいて、過充電の発生を判定する、全固体電池システムを提供する。
【0006】
本開示によれば、負極集電体の膨張による変位量に基づいて、過充電の発生を判定するため、過充電の発生を精度良く検知することができる。
【発明の効果】
【0007】
本開示においては、過充電の発生を精度良く検知できる全固体電池システムを提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示における全固体電池システムが搭載された車両の全体構成を概略的に例示する模式図である。
図2】過充電時における電圧の変化について説明する図である。
図3】本開示における全固体電池の一例を説明する概略断面図である。
図4】本開示における判定装置が実行する処理を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示における全固体電池システムについて、詳細に説明する。図1は、本開示における全固体電池システムが搭載された車両の全体構成を概略的に例示する模式図である。車両200は、全固体電池システム100と、パワーコントロールユニット(PCU:Power Control Unit)110と、モータジェネレータ(MG:Motor Generator)120と、駆動輪130とを備える。全固体電池システム100は、全固体電池10と、監視ユニット20と、電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)30とを備える。
【0010】
監視ユニット20は、全固体電池10の状態を監視し、全固体電池10の全体または一部の変位量を測定する変位量測定装置を少なくとも有する。また、ECU30は、車両200の各種電子制御を行うが、後述する判定装置としても機能する。
【0011】
本開示によれば、負極集電体の膨張による変位量に基づいて、過充電の発生を判定するため、過充電の発生を精度良く検知することができる。「負極集電体の膨張による変位量」とは、負極集電体の膨張によって生じる変位(位置の変化)に基づく物理量をいう。上記物理量の典型例は、厚さである。負極集電体が膨張すると、例えば、全固体電池の厚さは増加する。上記物理量の他の例は、圧力である。負極集電体が膨張すると、例えば、全固体電池を拘束するための拘束圧は増加する。なお、圧力センサは、通常、変位(位置の変化)を、圧力に換算したセンサである。また、上述したように、特許文献3では、非水電解液二次電池の膨張、収縮に伴う圧力に基づいて、電池寿命を判断している。このような技術は、充放電による活物質の体積変化を前提とした技術であるため、充電時の体積膨張率が小さい負極活物質(例えばチタン酸リチウム)を用いた場合に、過充電の発生を精度良く検知することは困難である。これに対して、本開示における負極集電体は、アルミニウムを含有し、過充電時に膨張する。さらに、本開示においては、負極集電体の膨張による変位量に基づいて、過充電の発生を判定するため、充電時の体積膨張率が小さい負極活物質(例えばチタン酸リチウム)を用いた場合であっても、過充電の発生を精度良く検知できる。
【0012】
また、特許文献1、2のように、電圧の変化を利用して過充電を検知する技術が知られている。このような技術を、例えば、負極活物質としてチタン酸リチウムを用いた電池に適用すると、過放電を精度良く検知することが難しい場合がある。図2は、学術文献(Journal of Energy storage 19 (2018) 302-310., Y. Wang, et. Al.)に示された図であり、負極活物質としてチタン酸リチウムを用いた電池(東芝(株)製の20Ahセル、液系電池)に対して、-20℃で過充電を起こさせた際の電圧変化を示す図である。図2に示すように、3.2V以上においては、電圧傾斜が緩やかになるため、電圧監視では、過充電を精度よく検知することが難しい場合がある。これに対して、本開示においては、電圧変化ではなく、負極集電体の膨張による変位量に基づいて、過充電の発生を判定する。そのため、負極活物質としてチタン酸リチウムを用いた電池に対しても、過充電の発生を精度良く検知できる。
【0013】
1.全固体電池
本開示における全固体電池システムは、全固体電池を備える。全固体電池は単電池であってもよく組電池であってもよい。例えば図1において、全固体電池10は、MG120を駆動するための電力を蓄え、PCU110を通じてMG120へ電力を供給する。また、全固体電池10は、MG120の発電時にPCU110を通じて発電電力を受けて充電される。
【0014】
図3は、本開示における全固体電池の一例を示す概略断面図である。図3に示す全固体電池10では、正極集電体4、正極活物質層1、固体電解質層3、負極活物質層2および負極集電体5を、厚さ方向に沿って、この順に有している。
【0015】
(1)負極集電体
負極集電体は、アルミニウムを含有する。負極集電体は、アルミニウム単体であってもよく、アルミニウム合金であってもよい。アルミニウム合金は、Al元素を主成分として含有することが好ましい。アルミニウム合金におけるAl元素の割合は、例えば50mol%以上であり、70mol%以上であってもよく、90mol%以上であってもよい。アルミニウム合金に含まれる元素としては、例えばSi、FeおよびMnが挙げられる。アルミニウム合金は、2成分系合金であってもよく、3成分系以上の多成分系合金であってもよい。
【0016】
負極集電体の形状は特に限定されないが、例えば、箔状およびメッシュ状が挙げられる。また、負極集電体の厚さは特に限定されないが、例えば、1μm以上、1mm以下である。
【0017】
(2)負極活物質層
負極活物質は、充電時の体積膨張率が小さい負極活物質を含有する。
【0018】
充電時の体積膨張率は、通常5%以下である。「体積膨張率が5%である」とは、充電前(完全放電)の負極活物質を100体積部とした場合に、充電後(満充電)の負極活物質が105体積部まで膨張することをいう。充電時の体積膨張率は、3%以下であってもよく、1%以下であってもよい。体積膨張率は、例えば、全固体電池の充電前および充電後における断面SEM画像を観察することで算出することができる。サンプル数は、多いことが好ましく、例えば20以上であり、50以上であってもよく、100以上であってもよい。
【0019】
負極活物質としては、例えば、Li、TiおよびOを有するチタン酸リチウムが挙げられる。チタン酸リチウムは、スピネル構造を有することが好ましい。チタン酸リチウムの具体例として、LiTi12が挙げられる。負極活物質の形状は、特に限定されないが、例えば粒子状が挙げられる。その場合、負極活物質の平均粒径(D50)は、例えば、1nm以上、100μm以下である。負極活物質層は、必要に応じて、固体電解質、導電材およびバインダーの少なくとも一つを含有していてもよい。これらの材料については、従来の全固体電池に用いられる材料と同様である。
【0020】
(3)その他の部材
全固体電池は、通常、正極集電体、正極活物質層および固体電解質層を備える。これらの部材については、従来の全固体電池に用いられる部材とすることができる。また、全固体電池は、正極活物質層、固体電解質層および負極活物質層に対して、厚さ方向に沿って拘束圧を付与する拘束治具を有していてもよい。拘束圧は、例えば、0.1MPa以上、100MPa以下である。拘束冶具の種類は特に限定されない。
【0021】
(4)全固体電池
本開示における全固体電池は、全固体リチウム電池であることが好ましい。全固体電池の用途としては、例えば、ハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、電気自動車(BEV)、ガソリン自動車、ディーゼル自動車等の車両の電源が挙げられる。また、本開示における全固体電池は、車両以外の移動体(例えば、鉄道、船舶、航空機)の電源として用いられてもよく、情報処理装置等の電気製品の電源として用いられてもよい。
【0022】
2.監視ユニット
本開示における監視ユニットは、全固体電池の状態を監視する。例えば図1において、監視ユニット20は、全固体電池10の状態を監視し、その監視結果をECU30に出力する。監視ユニットは、変位量測定装置を有する。変位量測定装置としては、例えば、圧力センサ、変位センサ(例えばレーザー変位センサ)が挙げられる。圧力センサは、例えば、全固体電池の全体または一部に印加される圧力を測定するセンサである。圧力センサは、例えば、全固体電池に印加される拘束圧を測定するセンサであってもよい。また、変位センサは、例えば、全固体電池の全体または一部の厚さを測定するセンサである。
【0023】
本開示における監視ユニットは、必要に応じて、全固体電池の電圧を測定する電圧センサ、全固体電池の電流を測定する電流センサ、全固体電池の温度を測定する温度センサを有していてもよい。
【0024】
3.判定装置
本開示における判定装置は、全固体電池の過充電の発生を判定する装置である。
【0025】
(1)判定装置の構成
本開示における判定装置は、負極集電体の膨張による変位量に基づいて、過充電の発生を判定するように構成されている。例えば図1において、ECU30は、判定装置として機能し、CPU(Central Processing Unit)と、メモリと、各種信号を入出力するための入出力ポートとを含む。メモリは、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、および、書き換え可能な不揮発性メモリを含む。メモリに記憶されているプログラムをCPUが実行することで、各種制御が実行される。ECUが行なう各種制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理することも可能である。
【0026】
判定装置は、その機能を実現するための処理ブロックとして、取得部および判定部を有する。取得部は、上記変位量測定装置から、負極集電体の膨張による変位量を取得する。変位量は、上述したように、例えば、圧力の増加であってもよく、厚さの増加であってもよい。
【0027】
判定部は、取得部が取得した上記圧力の増加に基づいて、過充電の発生を判定してもよい。この場合、判定部は、例えば、第1時点における圧力P1と、第1時点よりも後の第2時点における圧力P2と、に基づいて、過充電の発生を判定するように設定されている。判定部は、例えば、(P2-P1)/P1が所定の閾値以上である場合に、過充電が発生したと判定し、所定の閾値未満である場合に、過充電が発生していないと判定する。閾値は、例えば0.10以上であり、0.13以上であってもよく、0.15以上であってもよい。一方、閾値は、例えば2.0以下である。閾値については、予備試験により予め設定し、メモリに記憶させておくことが好ましい。
【0028】
また、判定部は、取得部が取得した上記厚さの増加に基づいて、過充電の判定をしてもよい。この場合、判定部は、例えば、第1時点における厚さT1と、第1時点よりも後の第2時点における厚さT2と、に基づいて、過充電の発生を判定するように設定されている。判定部は、例えば、(T2-T1)/T1が所定の閾値以上である場合に、過充電が発生したと判定し、所定の閾値未満である場合に、過充電が発生していないと判定する。閾値は、例えば0.8以上であり、1.0以上であってもよく、1.2以上であってもよく、1.5以上であってもよい。一方、閾値は、例えば2.0以下である。閾値については、予備試験により予め設定し、メモリに記憶させておくことが好ましい。また、判定部は、上記圧力の増加および上記厚さの増加の両方に基づいて、過充電の判定をしてもよい。
【0029】
(2)判定装置の処理
図4は、本開示における判定装置が実行する処理を例示するフローチャートである。特に、図4は、判定部が、取得部が取得した圧力の増加に基づいて、過充電の発生を判定する場合を例示するフローチャートである。ステップS1では、取得部が、圧力センサから、第1時点における圧力P1を取得する。ステップS2では、取得部が、圧力センサから、第2時点における圧力P2を取得する。ステップS3では、判定部が、P1およびP2に基づき、過充電の発生を判定する。例えば、(P2―P1)/P1が閾値未満である場合、判定部は、過充電が発生していないと判定し、ステップS2に戻る。一方、(P2―P1)/P1が閾値以上である場合、判定部は、過充電が発生したと判定し(S4)、ステップS5において、制御部が全固体電池の充電を抑制的に制限する。
【0030】
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示における特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示における技術的範囲に包含される。
【実施例
【0031】
[実験例]
(全固体電池の作製)
負極活物質としてLiTi12粒子(密度3.5g/cc)、導電材カーボン(密度2g/cc)、バインダー(密度0.9g/cc)、酪酸ブチル1.6gを秤量し、超音波ホモジナイザー(SMT社製UH-50)を使用して30分間混合して、スラリーを得た。得られたスラリーに固体電解質(LiI-LiBr-LiS-P系ガラスセラミック、密度2g/cc)を添加し、再度、超音波ホモジナイザー(SMT社製UH-50)を用いて30分混合した。これにより負極合剤ペーストを得た。
【0032】
アプリケーターを使用したブレード法にて、負極合剤ペーストを負極集電体(Al箔、厚さ15μm)上に塗工した。次いで、100℃のホットプレス上で30分間乾燥させた。これにより、負極集電体および負極活物質層を有する負極を得た。なお、正極の充電比容量185mAh/gとした時に対する負極の充電比容量が1.0倍となるように負極目付を調整した。
【0033】
LiNi1/3Co1/3Mn1/3の表面をLiNbOで表面処理して、正極活物質を準備した。この正極活物質を2.0g、導電材カーボン(VGCF)を0.048g、固体電解質(LiI-LiBr-LiS-P系ガラスセラミック)を0.407g、バインダー(PVdF)を0.016g、酪酸ブチル1.3gを秤量し、これらを、超音波ホモジナイザー(SMT社製UH-50)を用いて混合した。これにより、正極合剤ペーストを得た。
【0034】
アプリケーターを使用したブレード法にて、正極合剤ペーストを正極集電体(Al箔、厚さ15μm)上に塗工した。次いで、100℃のホットプレス上で30分間乾燥させた。これにより、正極集電体および正極活物質層を有する正極を得た。
【0035】
ポリプロピレン製容器に、ヘプタンと、ブタジエンゴム系バインダーを5質量%含んだヘプタン溶液と、固体電解質(LiI-LiBr-Li2S-P2S5系ガラスセラミック、平均粒子径2.5μm)とを加え、これらを、超音波ホモジナイザー(SMT社製UH-50)を用いて、30秒間混合した。次に、容器を振とう器で3分間振とうさせて、固体電解質層用ペーストを得た。
【0036】
上記の正極を事前プレスした。事前プレス後の正極について、正極活物質層の表面に、ダイコーターにより固体電解質層用ペーストを塗工し、100℃のホットプレート上で、30分間乾燥させた。その後、2ton/cmでロールプレスを行って、正極活物質層の表面に固体電解質層を備える正極側積層体を得た。
【0037】
上記の負極を事前プレスした。事前プレス後の負極について、負極活物質層の表面に、ダイコーターにより固体電解質層用ペーストを塗工し、100℃のホットプレート上で、30分間乾燥させた。その後、2ton/cmでロールプレスを行って、負極活物質層の表面に固体電解質層を備える負極側積層体を得た。
【0038】
正極側積層体と負極側積層体とをそれぞれ打ち抜き加工し、固体電解質層同士を貼り合わせるようにして重ね合わせた。ここで、正極側積層体の固体電解質層と、負極側積層体の固体電解質層との間に、未プレスの固体電解質層(固体電解質層用ペースト)を転写した状態で重ね合わせた。その後、130℃にて、2ton/cmでプレスし、正極と固体電解質層と負極とをこの順に有する発電要素を得た。得られた発電要素をラミネート封入し、5MPaで拘束することで、評価用の全固体リチウムイオン二次電池とした。
【0039】
(過充電試験)
作製した全固体電池に対して、電圧が5Vになるまで定電流充電し、強制的に過充電状態とした。充電前(過充電前)および充電後(過充電後)において、全固体電池の各部材の厚さおよび拘束圧を測定した。結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
表1に示されるように、チタン酸リチウムを含有する負極活物質層に、過充電による膨張は見られなかった。一方、アルミニウムを含有する負極集電体は、過充電時に膨張し、過充電前後において厚さが2倍になっており、拘束圧も大きくなっていた。このように、変位量(例えば、厚さ増加および圧力増加の少なくとも一方)に基づいて、過充電の発生を判定することで、過充電の発生を精度良く検知できる。
【符号の説明】
【0042】
10 …全固体電池
20 …監視装置
30 …ECU
100 …全固体電池システム
図1
図2
図3
図4