(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】デジタル放送受信装置
(51)【国際特許分類】
H04N 21/41 20110101AFI20241106BHJP
【FI】
H04N21/41
(21)【出願番号】P 2021526929
(86)(22)【出願日】2020-06-19
(86)【国際出願番号】 JP2020024181
(87)【国際公開番号】W WO2020256123
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2023-05-19
(32)【優先日】2019-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100189430
【氏名又は名称】吉川 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100190805
【氏名又は名称】傍島 正朗
(72)【発明者】
【氏名】森 良輔
(72)【発明者】
【氏名】松村 喜修
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 剛章
(72)【発明者】
【氏名】神野 一平
(72)【発明者】
【氏名】大原 淳史
(72)【発明者】
【氏名】林 錠二
【審査官】醍醐 一貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-051506(JP,A)
【文献】特開2010-141420(JP,A)
【文献】特開2007-053575(JP,A)
【文献】特開2004-297142(JP,A)
【文献】特開2019-087903(JP,A)
【文献】特表2007-522711(JP,A)
【文献】特開平05-056434(JP,A)
【文献】特開2004-172716(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00-21/858
H04N 7/14-7/173
H04B 1/06
H04B 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナから入力されたデジタル放送の放送信号を受信処理して複数の第1受信処理信号を出力する複数の第1受信部と、
前記複数の第1受信処理信号の少なくとも2つを合成して第1合成信号を出力する第1の合成部と、
前記第1合成信号に対して第1の誤り訂正処理を行う第1の誤り訂正部と、
入力された信号を受信処理して第2受信処理信号を出力する第2受信部と、
前記第2受信処理信号に対してまたは前記第2受信処理信号に基づいて処理された処理信号に対して第2の誤り訂正処理を行う第2の誤り訂正部と、
を備え、
前記第2受信部は、前記複数の第1受信部のうちの1つの第1受信部に入力される前記放送信号を前記入力された信号とし、受信処理
し、
さらに、前記複数の第1受信部から出力された前記複数の第1受信処理信号の少なくとも2つを合成して第2合成信号を出力する第2の合成部を備え、
前記第2の合成部は、前記第2合成信号を前記第2の誤り訂正部へ出力し、
前記第2の誤り訂正部は、前記第2受信処理信号および前記第2合成信号のそれぞれに対して前記第2の誤り訂正処理を行う、
デジタル放送受信装置。
【請求項2】
前記第1の誤り訂正部は、チャネルサーチ時およびチャネルサーチをせずに前記デジタル放送を受信する通常受信時のそれぞれの時に、前記第1合成信号に対して前記第1の誤り訂正処理を行い、
前記第2の誤り訂正部は、前記チャネルサーチ時に前記第2受信処理信号に対して前記第2の誤り訂正処理を行い、前記通常受信時に前記第2合成信号に対して前記第2の誤り訂正処理を行う、
請求項
1に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項3】
前記第2受信部は、さらに、前記第2受信処理信号を前記第1の合成部および第2の合成部へ出力し、
前記通常受信時において、前記複数の第1受信部および前記第2受信部が前記デジタル放送の同じチャネル周波数を受信している場合に、前記第1の合成部は、前記複数の第1受信処理信号および前記第2受信処理信号に基づいて前記第1合成信号を生成し、前記第2の合成部は、前記複数の第1受信処理信号および前記第2受信処理信号に基づいて前記第2合成信号を生成する、
請求項
2に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項4】
前記第2受信部は、前記通常受信時において、前記複数の第1受信部のうちの1つの第1受信部および前記第2受信部が前記デジタル放送の同じチャネル周波数を受信している場合に、前記第2受信部内にて伝送される中間信号を前記1つの第1受信部へ出力し、
前記1つの第1受信部は、前記複数のアンテナのうちの1つのアンテナから入力された前記放送信号および前記中間信号に基づいて受信処理を行う、
請求項
2に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項5】
前記1つの第1受信部および前記第2受信部のそれぞれは、前記放送信号を増幅して出力する増幅部を有し、
前記第2受信部は、前記第2受信部の前記増幅部から出力された増幅信号を前記1つの第1受信部へ出力し、
前記1つの第1受信部は、前記1つの第1受信部の前記増幅部から出力された増幅信号および前記第2受信部の前記増幅部から出力された増幅信号に基づいて受信処理を行う、
請求項
4に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項6】
前記1つの第1受信部および前記第2受信部のそれぞれは、前記受信処理においてアナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換部を有し、
前記第2受信部は、前記第2受信部の前記AD変換部から出力したデジタル信号を前記1つの第1受信部へ出力し、
前記1つの第1受信部は、前記1つの第1受信部の前記AD変換部から出力されたデジタル信号および前記第2受信部の前記AD変換部から出力されたデジタル信号に基づいて受信処理を行う、
請求項
4に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項7】
複数のアンテナから入力されたデジタル放送の放送信号を受信処理して複数の第1受信処理信号を出力する複数の第1受信部と、
前記複数の第1受信処理信号の少なくとも2つを合成して第1合成信号を出力する第1の合成部と、
前記第1合成信号に対して第1の誤り訂正処理を行う第1の誤り訂正部と、
入力された信号を受信処理して第2受信処理信号を出力する第2受信部と、
前記第2受信処理信号に対してまたは前記第2受信処理信号に基づいて処理された処理信号に対して第2の誤り訂正処理を行う第2の誤り訂正部と、
を備え、
前記第2受信部は、前記複数の第1受信部のうちの1つの第1受信部に入力される前記放送信号を前記入力された信号とし、受信処理
し、
前記第2受信部は、当該入力された信号に対しチャネルサーチを行い、前記第2受信処理信号を出力し、
前記第2受信部は、さらに前記複数のアンテナとは別のアンテナからの信号を選択的に受信して受信処理し、第3受信処理信号を出力し、
前記複数の第1受信部のそれぞれは、前記第1受信部にて復調処理した後のデジタル情報信号に対してノイズ除去を行うノイズ除去部を有し、
前記ノイズ除去部は、前記第3受信処理信号に基づいて前記ノイズ除去を行うことで、前記第3受信処理信号に基づいて処理された処理信号を出力する、
デジタル放送受信装置。
【請求項8】
前記ノイズ除去部は、前記第3受信処理信号に対して振幅、位相およびタイミングの少なくとも1つを調整した後の調整後のノイズ情報信号を前記デジタル情報信号から差し引くことで、前記ノイズ除去を行う、
請求項
7に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項9】
前記ノイズ除去部は、フィルタ係数を有するフィルタ部を有し、
前記フィルタ部は、前記フィルタ係数に基づいて、前記第3受信処理信号に対して振幅、位相およびタイミングの少なくとも1つを調整することで、前記調整後のノイズ情報信号を生成する、
請求項
8に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項10】
前記ノイズ除去部は、相関部を有し、
前記相関部は、前記デジタル情報信号から前記調整後のノイズ情報信号を除去した後のノイズ除去信号と前記第3受信処理信号との相関をとり、前記相関に対応した前記フィルタ係数を前記フィルタ部へ出力する、
請求項
9に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項11】
前記フィルタ係数は、適応フィルタを用いた演算によって求められる、
請求項
9または10に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項12】
前記適応フィルタは、MMSE(Minimum Mean Square Error)、LMS(Least Mean Square)、または、RLS(Recursive Least Square)である、
請求項
11に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項13】
前記第1受信部は、前記デジタル情報信号および前記ノイズ除去信号のうち信号の受信品質が高いほうを前記第1受信処理信号として前記第1の合成部へ出力する、
請求項
10に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項14】
前記ノイズ除去部は、間欠動作を行い、前記間欠動作のうちの作動期間に前記ノイズ除去信号を出力し、前記間欠動作のうちの非作動期間に前記ノイズ除去を行わずに前記デジタル情報信号を出力する、
請求項
13に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項15】
前記第1受信部は、前記第2受信部の作動を前記第1受信部の作動に同期させるための同期情報を前記第2受信部へ出力する、
請求項
7~12のいずれか1項に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項16】
前記ノイズ除去部は、チャネルサーチ時に前記ノイズ除去を行わず、前記チャネルサーチをせずに前記デジタル放送を受信する通常受信時に前記ノイズ除去を行う、
請求項
7に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項17】
前記第2受信部は、前記チャネルサーチ時に、前記第2受信処理信号を前記第2の誤り訂正部へ出力し、前記通常受信時に前記第3受信処理信号を前記ノイズ除去部へ出力する、
請求項
16に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項18】
前記ノイズ除去部は、前記通常受信時に連続動作あるいは間欠動作して、前記ノイズ除去を行う、
請求項
16または17に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項19】
前記別のアンテナは、前記複数のアンテナのうちノイズ源に最も近い1以上のアンテナと、前記のノイズ源との略中間に配置される
請求項
7に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項20】
複数のアンテナから入力されたデジタル放送の放送信号を受信処理して複数の第1受信処理信号を出力する複数の第1受信部と、
前記複数の第1受信処理信号の少なくとも2つを合成して第1合成信号を出力する第1の合成部と、
前記第1合成信号に対して第1の誤り訂正処理を行う第1の誤り訂正部と、
入力された信号を受信処理して第2受信処理信号を出力する第2受信部と、
前記第2受信処理信号に対してまたは前記第2受信処理信号に基づいて処理された処理信号に対して第2の誤り訂正処理を行う第2の誤り訂正部と、
を備え、
前記第2受信部は、前記複数の第1受信部のうちの1つの第1受信部に入力される前記放送信号を前記入力された信号とし、受信処理
し、
さらに、前記複数の第1受信部から出力された前記複数の第1受信処理信号の少なくとも2つを合成して第2合成信号を出力する第2の合成部を備え、
前記第2の合成部は、前記第2合成信号を前記第2の誤り訂正部へ出力し、
前記第2の誤り訂正部は、前記第2受信処理信号および前記第2合成信号のそれぞれに対して前記第2の誤り訂正処理を行い、
前記複数の第1受信部、前記第1の合成部、前記第1の誤り訂正部、前記第2受信部および前記第2の誤り訂正部は、1つのLSIチップに含まれる、
デジタル放送受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、デジタル放送を受信するデジタル放送受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル放送を配信する放送局のチャネルが各地域の中継局によって異なるため、車両などの移動体で同一放送局の番組を視聴する場合、移動体で受信するチャネルを各地域の中継局に対応したチャネルに適宜切り替える必要がある。そのため移動体では、現在位置にて受信可能なチャネルをサーチするチャネルサーチが行われる。例えば移動体に搭載されたデジタル放送受信装置では、所定の中継局のチャネルを受信して視聴する一方で、現在位置にて受信可能なチャネルをサーチし、サーチした結果をチャネル情報として保存する。これによれば、移動体の移動によって所定の中継局のチャネルの受信品質が低下した場合に、受信するチャネルを、受信品質が安定した他の中継局のチャネルに切り替えることができる。
【0003】
特許文献1には、高周波信号を処理する複数の受信部を備えた受信装置が開示されている。この受信装置では、チャネルサーチを行う際に、複数の受信部のうちの一部の受信部を用いてチャネルサーチが行われ、残りの受信部を用いて視聴が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された受信装置では、チャネルサーチを行う際に、一部の受信部がチャネルサーチのために使われ、視聴のために使われなくなる。そのため、デジタル放送の受信特性が劣化し、映像および音声の途絶が発生することがある。
【0006】
本開示は、デジタル放送の受信特性が劣化することを抑制するデジタル放送受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一形態におけるデジタル放送受信装置は、複数のアンテナから入力されたデジタル放送の放送信号を受信処理して複数の第1受信処理信号を出力する複数の第1受信部と、前記複数の第1受信処理信号の少なくとも2つを合成して第1合成信号を出力する第1の合成部と、前記第1合成信号に対して第1の誤り訂正処理を行う第1の誤り訂正部と、入力された信号を受信処理して第2受信処理信号を出力する第2受信部と、前記第2受信処理信号に対してまたは前記第2受信処理信号に基づいて処理された処理信号に対して第2の誤り訂正処理を行う第2の誤り訂正部と、を備え、前記第2受信部は、前記複数の第1受信部のうちの1つの第1受信部に入力される前記放送信号を前記入力された信号とし、受信処理し、さらに、前記複数の第1受信部から出力された前記複数の第1受信処理信号の少なくとも2つを合成して第2合成信号を出力する第2の合成部を備え、前記第2の合成部は、前記第2合成信号を前記第2の誤り訂正部へ出力し、前記第2の誤り訂正部は、前記第2受信処理信号および前記第2合成信号のそれぞれに対して前記第2の誤り訂正処理を行う。
本開示の一形態におけるデジタル放送受信装置は、複数のアンテナから入力されたデジタル放送の放送信号を受信処理して複数の第1受信処理信号を出力する複数の第1受信部と、前記複数の第1受信処理信号の少なくとも2つを合成して第1合成信号を出力する第1の合成部と、前記第1合成信号に対して第1の誤り訂正処理を行う第1の誤り訂正部と、入力された信号を受信処理して第2受信処理信号を出力する第2受信部と、前記第2受信処理信号に対してまたは前記第2受信処理信号に基づいて処理された処理信号に対して第2の誤り訂正処理を行う第2の誤り訂正部と、を備え、前記第2受信部は、前記複数の第1受信部のうちの1つの第1受信部に入力される前記放送信号を前記入力された信号とし、受信処理し、前記第2受信部は、当該入力された信号に対しチャネルサーチを行い、前記第2受信処理信号を出力し、前記第2受信部は、さらに前記複数のアンテナとは別のアンテナからの信号を選択的に受信して受信処理し、第3受信処理信号を出力し、前記複数の第1受信部のそれぞれは、前記第1受信部にて復調処理した後のデジタル情報信号に対してノイズ除去を行うノイズ除去部を有し、前記ノイズ除去部は、前記第3受信処理信号に基づいて前記ノイズ除去を行うことで、前記第3受信処理信号に基づいて処理された処理信号を出力する。
本開示の一形態におけるデジタル放送受信装置は、複数のアンテナから入力されたデジタル放送の放送信号を受信処理して複数の第1受信処理信号を出力する複数の第1受信部と、前記複数の第1受信処理信号の少なくとも2つを合成して第1合成信号を出力する第1の合成部と、前記第1合成信号に対して第1の誤り訂正処理を行う第1の誤り訂正部と、入力された信号を受信処理して第2受信処理信号を出力する第2受信部と、前記第2受信処理信号に対してまたは前記第2受信処理信号に基づいて処理された処理信号に対して第2の誤り訂正処理を行う第2の誤り訂正部と、を備え、前記第2受信部は、前記複数の第1受信部のうちの1つの第1受信部に入力される前記放送信号を前記入力された信号とし、受信処理し、さらに、前記複数の第1受信部から出力された前記複数の第1受信処理信号の少なくとも2つを合成して第2合成信号を出力する第2の合成部を備え、前記第2の合成部は、前記第2合成信号を前記第2の誤り訂正部へ出力し、前記第2の誤り訂正部は、前記第2受信処理信号および前記第2合成信号のそれぞれに対して前記第2の誤り訂正処理を行い、前記複数の第1受信部、前記第1の合成部、前記第1の誤り訂正部、前記第2受信部および前記第2の誤り訂正部は、1つのLSIチップに含まれる。
【0008】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータで読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本開示のデジタル放送受信装置によれば、デジタル放送の受信特性が劣化することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係るデジタル放送受信装置が搭載される移動体を示す図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係るデジタル放送受信装置の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1の変形例1に係るデジタル放送受信装置の構成を示す図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1の変形例2に係るデジタル放送受信装置の構成を示す図である。
【
図5】
図5は、実施の形態1の変形例3に係るデジタル放送受信装置の構成を示す図である。
【
図6】
図6は、実施の形態1の変形例4に係るデジタル放送受信装置の構成を示す図である。
【
図7】
図7は、実施の形態1の変形例5に係るデジタル放送受信装置の構成を示す図である。
【
図8】
図8は、実施の形態1の変形例6に係るデジタル放送受信装置の構成を示す図である。
【
図9】
図9は、実施の形態1の変形例7に係るデジタル放送受信装置の構成を示す図である。
【
図10】
図10は、実施の形態1の変形例8に係るデジタル放送受信装置の構成を示す図である。
【
図11】
図11は、従来のデジタル放送受信装置の構成を示す図である。
【
図12】
図12は、実施の形態2に係るデジタル放送受信装置の構成を示す図である。
【
図13】
図13は、実施の形態2に係るデジタル放送受信装置のノイズ除去部の構成を示す図である。
【
図15】
図15は、実施の形態2に係るデジタル放送受信装置に入力されるノイズの一例を示す図である。
【
図16】
図16は、実施の形態2の変形例1に係るデジタル放送受信装置の構成の一部を示す図である。
【
図17】
図17は、実施の形態2の変形例2に係るデジタル放送受信装置の構成を示す図である。
【
図18】
図18は、実施の形態3に係るデジタル放送受信装置の構成を示す図である。
【
図19】
図19は、デジタル放送受信装置に接続されるアンテナの配置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の一形態に係る実現形態を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。本開示の実現形態は、現行の独立請求項に限定されるものではなく、他の独立請求項によっても表現され得る。
【0012】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0013】
(実施の形態1)
[1-1.デジタル放送受信装置の構成]
本実施の形態に係るデジタル放送受信装置の構成について、
図1および
図2を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、実施の形態1に係るデジタル放送受信装置1が搭載される移動体5を示す図である。
【0015】
デジタル放送受信装置1は、例えば車両などの移動体5に搭載される。デジタル放送受信装置1は、移動体5に搭載されたメインコントローラ4に接続され、必要に応じてメインコントローラ4によって制御される。
【0016】
中継局6aおよび6bは、放送局から配信されるデジタル放送を中継して送信する。
図1に示す中継局6a、6bは、互いに異なる地域に設置され、同一放送局の同一番組を異なるチャネル周波数で送信している。移動体5が中継局6aのサービスエリアから中継局6bのサービスエリアへ移動する途中において、ユーザに同一番組を継続して提供するためには、移動体5にて受信するチャネル周波数を適切に切り替える必要がある。
【0017】
そこで、デジタル放送受信装置1は、中継局6aのチャネル周波数の信号を受信して映像・音声を出力しつつ、現在位置にて受信可能なチャネル周波数をサーチするチャネルサーチを行い、サーチ結果を保存する。そしてデジタル放送受信装置1は、中継局6aのチャネル周波数の受信品質が低下した場合に、受信するチャネルを、受信品質の高い中継局6bのチャネル周波数に切り替える。
【0018】
図2は、実施の形態1に係るデジタル放送受信装置1の構成を示す図である。なお、
図2には、デジタル放送などの放送信号が入力される複数のアンテナ2a、2b、2c、2d、および、映像・音声を出力する映像・音声出力部3a、3bも示されている。
【0019】
デジタル放送受信装置1は、ダイバーシティ受信部10と、第2受信部50と、を備えている。また、デジタル放送受信装置1は、チャネル情報取得部40を備えている。
【0020】
ダイバーシティ受信部10は、ダイバーシティ通信を行うための信号受信部である。ダイバーシティ受信部10は、複数の第1受信部11a、11b、11c、11d、第1の合成部33、第2の合成部34、第1の誤り訂正部35、第2の誤り訂正部36および切替部37を備えている。また、ダイバーシティ受信部10は、PLLA12およびPLLB13を備えている。
【0021】
複数の第1受信部11a~11dは、複数のアンテナ2a~2dから入力されたデジタル放送の放送信号を受信処理して複数の第1受信処理信号sa、sb、sc、sdを出力する。すなわち、第1受信部11aは、アンテナ2aから入力された放送信号を受信処理して第1受信処理信号saを出力する。第1受信部11bは、アンテナ2bから入力された放送信号を受信処理して第1受信処理信号sbを出力する。第1受信部11cは、アンテナ2cから入力された放送信号を受信処理して第1受信処理信号scを出力する。第1受信部11dは、アンテナ2dから入力された放送信号を受信処理して第1受信処理信号sdを出力する。
【0022】
第1受信部11a~11dのそれぞれは、チューナ部21、AD変換部31および復調部32を備えている。チューナ部21は、第1の増幅部22、ミキサ部23、帯域フィルタ24および第2の増幅部25によって構成されている。
【0023】
第1の増幅部22は、アンテナ2a、2b、2cまたは2dから入力されたデジタル放送の放送信号を増幅し、増幅して得られた増幅信号s22をミキサ部23へ出力する。また、ミキサ部23には、PLLA12もしくはPLLB13により、放送信号の周波数に応じた周波数信号が入力される。チューナ部21は、増幅信号s22、ならびに、PLLA12もしくはPLLB13から出力された周波数信号に応じて、ミキサ部23および帯域フィルタ24を制御して所定の周波数帯域のアナログ信号を生成する。第2の増幅部25は、帯域フィルタ24から出力されたアナログ信号を増幅して、AD変換部31へ出力する。
【0024】
AD変換部31は、第2の増幅部25で増幅されたアナログ信号をデジタル信号s31に変換して復調部32へ出力する。各復調部32は、デジタル信号s31を復調し、第1受信部11a~11dの出力信号である第1受信処理信号sa~sdを出力する。第1受信処理信号sa~sdは、例えば、同じチャネル周波数の信号に基づく信号である。また、復調部32は、復調した後のデジタル信号s31に基づいて、現在受信している放送信号の受信品質に関する情報をメインコントローラ4へ出力する。
【0025】
第1の合成部33は、複数の第1受信部11a~11dから出力された複数の第1受信処理信号sa~sdの少なくとも2つを合成して第1合成信号s33を生成する。第1の合成部33は、第1合成信号s33を生成する際に、複数の第1受信処理信号sa~sdを任意に選択して合成する。第1の合成部33は、第1合成信号s33を第1の誤り訂正部35へ出力する。
【0026】
第1の誤り訂正部35は、第1合成信号s33に対して第1の誤り訂正処理を行う。本実施の形態において、第1の誤り訂正部35は、デジタル放送のチャネル周波数をサーチするチャネルサーチ時(以下、単に「チャネルサーチ時」と呼ぶ場合がある)、および、チャネルサーチをせずにデジタル放送を受信する通常受信時(以下、単に「通常受信時」と呼ぶ場合がある)のそれぞれの時に、第1合成信号s33に対して第1の誤り訂正処理を行う。そして、第1の誤り訂正部35は、誤り訂正処理後の信号を映像・音声出力部3aおよびチャネル情報取得部40へ出力する。なお、第1の誤り訂正部35は、復号処理を行ってもよい。
【0027】
第2の合成部34は、複数の第1受信部11a~11dから出力された複数の第1受信処理信号sa~sdの少なくとも2つを合成して第2合成信号s34を生成する。第2の合成部34は、第2合成信号s34を生成する際に、複数の第1受信処理信号sa~sdを任意に選択して合成する。第2の合成部34は、切替部37を介して、第2合成信号s34を第2の誤り訂正部36へ出力する。なお、切替部37は、チャネルサーチ時および非チャネルサーチ時のいずれかに応じて択一的に切り替えられるスイッチであり、例えばメインコントローラ4によって切替動作を制御される。
【0028】
第2受信部50は、チャネルサーチを行うために付加された受信部である。第2受信部50は、デジタル放送の放送信号の受信品質が所定の受信品質値を下回ったときにチャネルサーチを行い、チャネル情報の取得を開始する。判定基準となる所定の受信品質値は、例えば、所定周波数帯の信号強度およびノイズを考慮した5段階評価により予め設定されている。例えば、メインコントローラ4は、ダイバーシティ受信部10の復調部32から取得した受信品質に関する情報に基づいてチャネルサーチを行うべきか否かを判断する。ここで受信品質に関する情報は、第1の合成部33や第2の合成部34から取得してもよいし、後段の誤り訂正処理中に算出されるビット誤り率であってもよい。第2受信部50は、メインコントローラ4の指示に基づいてチャネルサーチを行う。
【0029】
第2受信部50は、アンテナ2dおよび第1受信部11dの間の分岐部n1から分岐して入力されたデジタル放送の放送信号を受信処理して第2受信処理信号s2を出力する。
【0030】
第2受信部50は、チューナ部51、AD変換部61および復調部62を備えている。チューナ部51は、第1の増幅部52、ミキサ部53、帯域フィルタ54および第2の増幅部55によって構成されている。
【0031】
第1の増幅部52は、分岐部n1から入力されたデジタル放送の放送信号を増幅し、増幅して得られた増幅信号s52をミキサ部53へ出力する。チューナ部51は、増幅信号s52、ならびに、PLLA12もしくはPLLB13から出力された周波数信号に応じて、ミキサ部53および帯域フィルタ54を制御して所定の周波数帯域のアナログ信号を生成する。第2の増幅部55は、帯域フィルタ54から出力されたアナログ信号を増幅して、AD変換部61へ出力する。
【0032】
AD変換部61は、第2の増幅部55で増幅されたアナログ信号をデジタル信号s61に変換して復調部62へ出力する。復調部62は、デジタル信号s61を復調し、第2受信部50の出力信号である第2受信処理信号s2を出力する。第2受信部50は、切替部37を介して、第2受信処理信号s2を第2の誤り訂正部36へ出力する。
【0033】
第2の誤り訂正部36は、第2合成信号s34および第2受信処理信号s2のそれぞれに対して第2の誤り訂正処理を行う。例えば、第2の誤り訂正部36は、通常受信時に、切替部37の作動によって第2の合成部34に接続され、第2合成信号s34に対して第2の誤り訂正処理を行い、誤り訂正処理後の信号を映像・音声出力部3bへ出力する。また、第2の誤り訂正部36は、チャネルサーチ時に、切替部37の作動によって第2受信部50に接続され、第2受信処理信号s2に対して第2の誤り訂正処理を行い、誤り訂正処理後の信号をチャネル情報取得部40へ出力する。なお、第2の誤り訂正部36は、復号処理を行ってもよい。
【0034】
チャネル情報取得部40は、第1の誤り訂正部35および第2の誤り訂正部36から出力された信号に基づいてチャネル情報を取得する。具体的には、チャネル情報取得部40は、現在位置にて受信可能なデジタル放送のチャネルと周波数との対応関係を示したチャネルテーブルを作成し保存する。メインコントローラ4は、取得したチャネル情報に基づいて、第1受信部11a~11dで受信するチャネルを選局し、第1受信部11a~11dへ選局指示する。また、メインコントローラ4は、第2受信部50でチャネルサーチを行う際のチャネルを順に変更するように、第2受信部50へ選局指示する。
【0035】
本実施の形態のデジタル放送受信装置1は、第1受信部11a~11dとは異なる第2受信部50を備えており、第2受信部50を用いてチャネルサーチを行う。そのため、チャネルサーチを行うために第1受信部11a~11dを使う必要がなく、第1受信部11a~11dを元々の用途である視聴用の受信部として使うことができる。これにより、デジタル放送の受信特性が劣化することを抑制できる。
【0036】
なお、上記では、第1受信部が4つ設けられている例を示したが、それに限られず、複数の第1受信部は、2以上または5以上であってもよい。
【0037】
また、上記では、第2受信部50が1つ設けられている例を示したが、それに限られず、第2受信部50は、複数設けられていてもよい。その場合、複数の第2受信部50で受信処理した後の信号を合成し、合成後の信号を第2受信処理信号s2として出力してもよい。
【0038】
また、上記では、アンテナ2dから分岐部n1を介して第1受信部11dおよび第2受信部50へ電力を分配しているが、分岐後の2つの信号は、等電力であってもよいし、電力差が設けられていてもよい。例えば、チャネルサーチ時に第1受信部11dでの受信品質の低下を抑制するため、第1受信部11dに入力する信号の電力を第2受信部50に入力する信号の電力よりも大きくしてもよい。
【0039】
また、上記では、第2受信部50に接続されるアンテナを1つとしているが、それに限られず、第2受信部50にアンテナ2dと異なる他のアンテナを接続してもよい。その場合、第2受信部50は、アンテナ2dおよび他のアンテナから入力された信号を合成した後、受信処理を行ってもよい。
【0040】
また、ダイバーシティ受信部10および第2受信部50は、1つのLSI(Large Scale Integration)チップで構成されていてもよい。また、AD変換部31、復調部32、第1の合成部33、第2の合成部34、第1の誤り訂正部35および第2の誤り訂正部36と、AD変換部61および復調部62とが、1つのLSIチップで構成されてもよい。また、チューナ部21、PLLA12およびPLLB13と、チューナ部51とが、1つのLSIチップで構成されてもよい。また、チューナ部21、PLLA12およびPLLB13が1つのLSIチップで構成され、チューナ部51が1つのLSIチップで構成され、上記のLSIチップのうち少なくとも2つがパッケージ化されていてもよい。チャネル情報取得部40は、上記のLSIチップのいずれかに設けられていてもよい。
【0041】
[1-2.実施の形態1の変形例1]
実施の形態1の変形例1に係るデジタル放送受信装置1について説明する。変形例1では、第2受信部50が、複数のアンテナ2a~2dと異なる他のアンテナ2eに接続されている例について説明する。
【0042】
図3は、実施の形態1の変形例1に係るデジタル放送受信装置1の構成を示す図である。変形例1のデジタル放送受信装置1は、ダイバーシティ受信部10と、第2受信部50と、チャネル情報取得部40と、を備える。
【0043】
第2受信部50は、アンテナ2eから入力されたデジタル放送の放送信号を受信処理して第2受信処理信号s2を出力する。その他の構成は、
図2に示した実施の形態1と同様である。
【0044】
変形例1の第2受信部50は、ダイバーシティ受信部10のアンテナ2a~2dとは独立したアンテナ2eからデジタル放送を入力する。これにより、アンテナ2a~2dに入力された信号を分岐して他のアンテナに分配する必要がなくなり、デジタル放送の受信特性が劣化することを抑制できる。
【0045】
ここで、第2受信部50は、チャネルサーチを行う機能を有していればよいため、ハイビジョンの映像や音声を視聴するためのダイバーシティ受信部よりも、受信機能が低くてもよい。また、アンテナ2eは、アンテナ2a~2dが配置される場所とは異なる場所に設置されてもよい。例えば、アンテナ2a~2dは、車両のフロントガラスの上部に設置され、アンテナ2eは、フロントガラスの下部またはダッシュボード上などに配置されてもよい。
【0046】
[1-3.実施の形態1の変形例2]
実施の形態1の変形例2に係るデジタル放送受信装置1について説明する。変形例2では、ダイバーシティ受信部10に第2の合成部34および切替部37がなく、第2の誤り訂正部36に第2受信処理信号s2のみが入力される例について説明する。
【0047】
図4は、実施の形態1の変形例2に係るデジタル放送受信装置1の構成を示す図である。変形例2のデジタル放送受信装置1は、ダイバーシティ受信部10と、第2受信部50と、チャネル情報取得部40と、を備える。第2受信部50およびチャネル情報取得部40は、実施の形態1と同じである。
【0048】
変形例2のダイバーシティ受信部10は、実施の形態1と異なり、第2の合成部34、切替部37および映像・音声出力部3bを備えていない。変形例2のダイバーシティ受信部10は、複数の第1受信部11a~11d、第1の合成部33、第1の誤り訂正部35、第2の誤り訂正部36を備えている。第1受信部11a~11d、第1の合成部33および第1の誤り訂正部35は、実施の形態1と同様である。
【0049】
第1の誤り訂正部35は、デジタル放送のチャネル周波数をサーチするチャネルサーチ時およびチャネルサーチをせずにデジタル放送を受信する通常受信時のそれぞれの時に、第1の誤り訂正処理を行い、誤り訂正処理後の信号を映像・音声出力部3aへ出力する。
【0050】
第2の誤り訂正部36は、第2受信処理信号s2に対して第2の誤り訂正処理を行う。例えば、第2の誤り訂正部36は、通常受信時に、第2の誤り訂正処理を行わない。第2の誤り訂正部36は、チャネルサーチ時に、第2受信処理信号s2に対して第2の誤り訂正処理を行い、誤り訂正処理後の信号をチャネル情報取得部40へ出力する。
【0051】
チャネル情報取得部40は、第1の誤り訂正部35および第2の誤り訂正部36から出力された信号に基づいてチャネル情報を取得する。メインコントローラ4は、取得したチャネル情報に基づいて、第1受信部11a~11dで受信するチャネルを選局し、第1受信部11a~11dへ選局指示する。また、メインコントローラ4は、第2受信部50でチャネルサーチを行う際のチャネルを順に変更するように、第2受信部50へ選局指示する。
【0052】
本変形例のデジタル放送受信装置1でも、第1受信部11a~11dとは異なる第2受信部50を備えており、第2受信部50を用いてチャネルサーチを行う。そのため、チャネルサーチを行うために第1受信部11a~11dを使う必要がなく、第1受信部11a~11dを元々の用途である視聴用の受信部として使うことができる。そのため、デジタル放送における受信特性が劣化することを抑制できる。
【0053】
また、本変形例のデジタル放送受信装置1では、第2の誤り訂正部36をチャネルサーチ専用の誤り訂正部としているので、例えば、データの一部(地上波デジタル放送におけるワンセグ領域など)のみを処理するように構成できる。また、第2受信部50も信号の一部(ワンセグ領域など)のみを処理するように構成できる。これにより、変形例のデジタル放送受信装置1を、特定の一部の信号のみを処理する構成とすることができ、ロジックやメモリなど回路規模を削減することができる。
【0054】
[1-4.実施の形態1の変形例3]
実施の形態1の変形例3に係るデジタル放送受信装置1について説明する。変形例3では、第2受信部50から所定の第1受信部に中間信号s50が出力される例について説明する。
【0055】
図5は、実施の形態1の変形例3に係るデジタル放送受信装置1の構成を示す図である。変形例3のデジタル放送受信装置1は、ダイバーシティ受信部10と、第2受信部50と、チャネル情報取得部40と、を備えている。
【0056】
変形例3の第2受信部50は、チャネルサーチをしていない通常受信時において、複数の第1受信部11a~11dのうちの1つの第1受信部(例えば11d)および第2受信部50がデジタル放送の同じチャネル周波数を受信している場合、すなわち第2受信部50の第1の増幅部52~第2の増幅部55の設定を第1受信部11dの第1の増幅部22~第2の増幅部25の設定と同じとした場合に、第2受信部50内にて伝送される中間信号s50を第1受信部11dへ出力する。中間信号s50は、第2受信部50内で処理途中の信号または処理済の信号である。
【0057】
中間信号s50が入力される上記1つの第1受信部は、分岐部n1を介して第2受信部50に接続されている第1受信部11dである。すなわち上記1つの第1受信部は、第2受信部50とともにアンテナ2dを共用している第1受信部11dである。第1受信部11dは、アンテナ2dから入力された放送信号および中間信号s50に基づいて受信処理を行う。
【0058】
このように変形例3では、第2受信部50が複数の第1受信部11a~11dと同一チャネルを受信している場合に、第2受信部50の中間信号s50を複数の第1受信部11a~11dのうちの1つの第1受信部11dに戻して合成させる。これによれば、デジタル放送受信装置1がチャネルサーチをせずに通常受信している場合に、第2受信部50の出力(パワー)を第1受信部11dの受信処理に使うことができる。これにより、分岐部n1による信号の分岐を起因とする特性劣化を軽減することができる。
【0059】
なお、第2受信部50が第1受信部11dと同一チャネルを受信している場合において、中間信号s50を第1受信部11dに出力する際に、中間信号s50に係数α(0から1までなめらかに単調増加させた係数)を乗算して出力してもよい。例えば、中間信号s50を合成するときに、第1受信部11dにて一時的に信号電力の増加が発生し、AGC(Automatic Gain Control)や復調処理の連続性に影響を与えてしまうことがある。それに対し、上記のように中間信号s50に係数αを乗算して出力することで、合成時の信号電力を徐々に増加させ、AGCや復調処理への影響を緩和することができる。一方、中間信号s50の合成を停止する場合は、中間信号s50に乗算する係数αを1から0までなめらかに単調減少させた係数にしてもよい。これにより、合成時の信号電力を徐々に減少させ、AGCや復調処理への影響を緩和することができる。
【0060】
[1-5.実施の形態1の変形例4]
実施の形態1の変形例4に係るデジタル放送受信装置1について説明する。変形例4では、第2受信部50の第1の増幅部52の出力が第1受信部の第1の増幅部22の出力に加算される例について説明する。
【0061】
図6は、実施の形態1の変形例4に係るデジタル放送受信装置1の構成を示す図である。変形例4のデジタル放送受信装置1は、ダイバーシティ受信部10と、第2受信部50と、チャネル情報取得部40と、を備えている。
【0062】
変形例4の第2受信部50は、通常受信時において、複数の第1受信部11a~11dのうちの1つの第1受信部(例えば11d)および第2受信部50がデジタル放送の同じチャネル周波数を受信している場合に、第1の増幅部52から出力された増幅信号s52を、第1受信部11dへ出力する。具体的には、増幅信号s52が、第1の増幅部22とミキサ部23との間に設けられた加算器に加算される。第1受信部11dは、第1の増幅部22から出力された増幅信号s22および第2受信部50の第1の増幅部52から出力された増幅信号s52に基づいて受信処理を行う。
【0063】
このように変形例4では、第2受信部50が第1受信部11dと同一チャネルを受信している場合に、第2受信部50の第1の増幅部52の増幅信号s52を、第1受信部11dの第1の増幅部22の増幅信号s22に出力し合成させる。これによれば、デジタル放送受信装置1がチャネルサーチをせずに通常受信している場合に、第1の増幅部52の出力(パワー)を第1受信部11dの受信処理に使うことができる。これにより、分岐部n1による信号の分岐を起因とする特性劣化を軽減することができる。
【0064】
なお、上記では、加算器が第1の増幅部22の後段に配置されている例を示したが、それに限られず、加算器は、チューナ部21の内部であれば、ミキサ部23の後段または帯域フィルタ24の後段などに配置されてもよい。
【0065】
[1-6.実施の形態1の変形例5]
実施の形態1の変形例5に係るデジタル放送受信装置1について説明する。変形例5では、第2受信部50のAD変換部61の出力が第1受信部のAD変換部31の出力に加算される例について説明する。
【0066】
図7は、実施の形態1の変形例5に係るデジタル放送受信装置1の構成を示す図である。変形例5のデジタル放送受信装置1は、ダイバーシティ受信部10と、第2受信部50と、チャネル情報取得部40と、を備えている。
【0067】
変形例5の第2受信部50は、通常受信時において、複数の第1受信部11a~11dのうちの1つの第1受信部(例えば11d)および第2受信部50がデジタル放送の同じチャネル周波数を受信している場合に、第2受信部50のAD変換部61から出力されたデジタル信号s61を、第1受信部11dへ出力する。具体的には、デジタル信号s61が、AD変換部31と復調部32との間に設けられた加算器に加算される。第1受信部11dは、AD変換部31から出力されたデジタル信号s31および第2受信部50のAD変換部61から出力されたデジタル信号s61に基づいて受信処理を行う。
【0068】
このように変形例5では、第2受信部50が第1受信部11dと同一チャネルを受信している場合に、第2受信部50のAD変換部61のデジタル信号s61を、第1受信部11dのAD変換部31のデジタル信号s31に出力し合成させる。これによれば、デジタル放送受信装置1がチャネルサーチをせずに通常受信している場合に、AD変換部61の出力(パワー)を第1受信部11dの受信処理に使うことができる。これにより、分岐部n1による信号の分岐を起因とする特性劣化を軽減することができる。
【0069】
なお、上記では、AD変換部61の出力がAD変換部31の出力に加算されている例を示したが、それに限られず、復調部32の出力が復調部32の出力に加算されてもよい。また、復調部32での加算は、周波数変換の後やレート変換した後や、FFT変換前やFFT変換後に行われてもよい。
【0070】
[1-7.実施の形態1の変形例6]
実施の形態1の変形例6に係るデジタル放送受信装置1について説明する。変形例6では、第2受信部50の第2受信処理信号s2が第1の合成部33および第2の合成部34の両方へ出力されている例について説明する。
【0071】
図8は、実施の形態1の変形例6に係るデジタル放送受信装置1の構成を示す図である。変形例6のデジタル放送受信装置1は、ダイバーシティ受信部10と、第2受信部50と、チャネル情報取得部40と、を備えている。
【0072】
変形例6の第2受信部50は、第2受信処理信号s2を第1の合成部33および第2の合成部34へ出力する。なお、第2受信処理信号s2は、第2の誤り訂正部36にも出力されている。
【0073】
通常受信時において、複数の第1受信部11a~11dおよび第2受信部50がデジタル放送の同じチャネル周波数を受信している場合に、第1の合成部33は、複数の第1受信処理信号sa~sdおよび第2受信処理信号s2に基づいて第1合成信号s33を生成する。第2の合成部34は、複数の第1受信処理信号sa~sdおよび第2受信処理信号s2に基づいて第2合成信号s34を生成する。
【0074】
このように変形例6では、第2受信部50が第1受信部11dと同一チャネルを受信している場合に、第2受信部50の第2受信処理信号s2を第1の合成部33および第2の合成部34へ出力する。これによれば、デジタル放送受信装置1がチャネルサーチをせずに通常受信している場合に、第2受信処理信号s2を用いて第1合成信号s33および第2合成信号s34を生成することができる。これにより、分岐部n1による信号の分岐を起因とする特性劣化を軽減することができる。
【0075】
[1-8.実施の形態1の変形例7]
実施の形態1の変形例7に係るデジタル放送受信装置1について説明する。変形例7では、分岐部n1がダイバーシティ受信部10内に設けられている例について説明する。
【0076】
図9は、実施の形態1の変形例7に係るデジタル放送受信装置1の構成を示す図である。変形例7のデジタル放送受信装置1は、ダイバーシティ受信部10と、第2受信部50と、チャネル情報取得部40と、を備えている。
【0077】
変形例7では、分岐部n1がダイバーシティ受信部10内に設けられている。これにより、ダイバーシティ受信部10をLSIチップCP1で構成した場合に、分岐部n1をLSIチップCP1内に設けることができ、LSIチップが搭載されているプリント基板上における部品点数を削減することができる。
【0078】
なお、ダイバーシティ受信部10および第2受信部50は、1つのLSIチップで構成され、分岐部n1がそのLSIチップの内部に設けられていてもよい。また、チューナ部21、PLLA12およびPLLB13と、チューナ部51とが、1つのLSIチップで構成され、分岐部n1がそのLSIチップの内部に設けられていてもよい。また、チューナ部21、PLLA12およびPLLB13が1つのLSIチップで構成され、分岐部n1がそのLSIチップの内部に設けられていてもよい。
【0079】
[1-9.実施の形態1の変形例8]
実施の形態1の変形例8に係るデジタル放送受信装置1について説明する。変形例8では、第2受信部50が、VHF-Low帯受信用またはVHF-High帯受信用のアンテナ2hから入力されたVL信号またはVH信号を受信処理する例について説明する。
【0080】
図10は、実施の形態1の変形例8に係るデジタル放送受信装置1の構成を示す図である。変形例8のデジタル放送受信装置1は、ダイバーシティ受信部10と、第2受信部50と、チャネル情報取得部40と、を備えている。
【0081】
第2受信部50は、チャネルサーチを行うため、ならびに、VHF-Low帯のVL信号およびVHF-High帯のVH信号を受信するために付加された受信部である。第2受信部50は、分岐部n1から分岐して入力されたデジタル放送の放送信号を受信処理して、あるいは、VHF-Low帯受信用またはVHF-High帯受信用のアンテナ2hから入力されたVL信号またはVH信号を受信処理して第2受信処理信号s2を出力する。
【0082】
第2受信部50は、チューナ部51、AD変換部61および復調部62を備えている。また、第2受信部50は、第3の増幅部71および切替部72を備えている。チューナ部51は、第1の増幅部52、ミキサ部53、帯域フィルタ54および第2の増幅部55によって構成されている。
【0083】
第1の増幅部52は、分岐部n1から入力されたデジタル放送の放送信号を増幅し、増幅して得られた増幅信号s52を、切替部72を介してミキサ部53へ出力する。第3の増幅部71は、入力されたVL信号またはVH信号を増幅し、増幅して得られた増幅信号を、切替部72を介してミキサ部53へ出力する。切替部72は、択一的に切り替えられるスイッチであり、例えばメインコントローラ4によって作動を制御される。
【0084】
例えば、チャネルサーチを行わずにVL信号またはVH信号を受信する場合、切替部72の作動により、第3の増幅部71で増幅された信号がミキサ部53に入力される。一方、チャネルサーチを行う場合、切替部72の作動により、第1の増幅部52で増幅された信号がミキサ部53に入力される。この構成により、ミキサ部、帯域フィルタ、第2の増幅部、AD変換部および復調部を複数設けることなく、少ない回路規模で、チャネルサーチを行い、また、VL信号およびVH信号の受信を行うことができる。
【0085】
なお、第2受信部50の切替入力の選択肢として、「地上波デジタル専用モード」、「VL/VH専用モード」および「VL/VH優先モード」の3モードが設けられていてもよい。この場合、「地上波デジタル専用モード」が設定されると、切替部72はアンテナ2d側の第1の増幅部52に接続され、「VL/VH専用モード」が設定されると、切替部72はアンテナ2h側の第3の増幅部71に接続される。また、「VL/VH優先モード」が設定された状態で、ダイバーシティ受信部10の信号品質が所定の値以上でチャネルサーチが不要なときは、アンテナ2h側の第3の増幅部71に接続され、ダイバーシティ受信部10の信号品質が所定の値より低くチャネルサーチが必要とされる場合は、アンテナ2d側の第1の増幅部52に接続される。
【0086】
[1-10.効果等]
本実施の形態のデジタル放送受信装置1は、複数のアンテナ2a~2dから入力されたデジタル放送の放送信号を受信処理して複数の第1受信処理信号sa~sdを出力する複数の第1受信部11a~11dと、複数の第1受信処理信号sa~sdの少なくとも2つを合成して第1合成信号s33を出力する第1の合成部33と、第1合成信号s33に対して第1の誤り訂正処理を行う第1の誤り訂正部35と、入力された信号を受信処理して第2受信処理信号s2を出力する第2受信部50と、第2受信処理信号s2に対してまたは第2受信処理信号s2に基づいて処理された処理信号に対して第2の誤り訂正処理を行う第2の誤り訂正部36と、を備える。
【0087】
このように、デジタル放送受信装置1が、第1受信部11a~11dとは異なる第2受信部50を備えることで、第2受信部50を用いてチャネルサーチを行うことが可能となる。そのため、チャネルサーチを行う際に第1受信部11a~11dを使う必要がなく、第1受信部11a~11dを元々の用途である視聴用の受信部として使うことができる。これにより、チャネルサーチを行う際に、デジタル放送の受信特性が劣化することを抑制できる。
【0088】
また、第2受信部50は、放送信号を上記入力された信号とし、上記入力された信号に対しチャネルサーチを行い、第2受信処理信号s2を出力してもよい。
【0089】
このように、第2受信部50が、チャネルサーチによって第2受信処理信号s2を出力することで、チャネルサーチを行う際に第1受信部11a~11dを使う必要がなく、第1受信部11a~11dを元々の用途である視聴用の受信部として使うことができる。これにより、チャネルサーチを行う際に、デジタル放送の受信特性が劣化することを抑制できる。
【0090】
また、デジタル放送受信装置1は、さらに、第2の誤り訂正部36から出力された信号に基づいてデジタル放送のチャネル情報を取得するチャネル情報取得部40を備えていてもよい。
【0091】
このように、デジタル放送受信装置1がチャネル情報取得部40を備えることで、チャネルサーチを行う際に、チャネル情報を適切に取得することができる。チャネル情報を適切に取得することで、例えば、所定の中継局6aのチャネルの受信品質が低下した場合に、受信するチャネルを、受信品質の高い中継局6bのチャネルに切り替えることができる。これにより、デジタル放送の受信特性が劣化することを抑制しながら受信するチャネルを速やかに受信品質が安定した他の中継局のチャネルに切り替えることができる。
【0092】
また、第2受信部50は、複数のアンテナ2a~2dのうちの少なくとも1つのアンテナから入力された放送信号を上記入力された信号とし、受信処理してもよい。
【0093】
これによれば、アンテナの数を増やすことなく、第2受信部50を用いてチャネルサーチを行うことができる。
【0094】
また、第2受信部50は、複数のアンテナ2a~2dとは異なる他のアンテナ2eから入力された放送信号を上記入力された信号とし、受信処理してもよい。
【0095】
これによれば、独立したアンテナ2eを用いてチャネルサーチを行うことができる。これにより、チャネルサーチを行う際に、デジタル放送の受信特性が劣化することを抑制できる。
【0096】
また、第1の誤り訂正部35は、デジタル放送のチャネル周波数をサーチするチャネルサーチ時およびチャネルサーチをせずにデジタル放送を受信する通常受信時のそれぞれの時に、第1の誤り訂正処理を行い、第2の誤り訂正部36は、チャネルサーチ時に第2の誤り訂正処理を行い、通常受信時に第2の誤り訂正処理を行わなくてもよい。
【0097】
このように、第2の誤り訂正部36をチャネルサーチ時に作動させ、通常受信時に作動させないことで、第2の誤り訂正部36の作動にかかる負担を低減することができる。これにより、通常受信時において、デジタル放送の受信特性が劣化することを抑制できる。
【0098】
また、デジタル放送受信装置1は、さらに、複数の第1受信部11a~11dから出力された複数の第1受信処理信号sa~sdの少なくとも2つを合成して第2合成信号s34を出力する第2の合成部34を備え、第2の合成部34は、第2合成信号s34を第2の誤り訂正部36へ出力し、第2の誤り訂正部36は、第2受信処理信号s2および第2合成信号s34のそれぞれに対して第2の誤り訂正処理を行ってもよい。
【0099】
このように、第2の誤り訂正部36が、第2受信処理信号s2および第2合成信号s34のそれぞれに対して誤り訂正処理を行うことで、通常視聴のための出力およびチャネルサーチ結果の出力のそれぞれを適正に行うことができる。これにより、チャネルサーチをする際に、デジタル放送の受信特性が劣化することを抑制できる。
【0100】
また、第1の誤り訂正部35は、デジタル放送のチャネル周波数をサーチするチャネルサーチ時およびチャネルサーチをせずにデジタル放送を受信する通常受信時のそれぞれの時に、第1合成信号s33に対して第1の誤り訂正処理を行い、第2の誤り訂正部36は、チャネルサーチ時に第2受信処理信号s2に対して第2の誤り訂正処理を行い、通常受信時に第2合成信号s34に対して第2の誤り訂正処理を行ってもよい。
【0101】
このように、第2の誤り訂正部36が、チャネルサーチ時に第2受信処理信号s2に対して誤り訂正処理を行い、通常受信時に第2合成信号s34に対して誤り訂正処理を行うことで、チャネルサーチ時および通常受信時のそれぞれにおいて、誤り訂正処理による適正な出力を行うことができる。これにより、チャネルサーチをする際に、デジタル放送の受信特性が劣化することを抑制できる。
【0102】
また、第2受信部50は、さらに、第2受信処理信号s2を第1の合成部33および第2の合成部34へ出力し、通常受信時において、複数の第1受信部11a~11dおよび第2受信部50がデジタル放送の同じチャネル周波数を受信している場合に、第1の合成部33は、複数の第1受信処理信号sa~sdおよび第2受信処理信号s2に基づいて第1合成信号s33を生成し、第2の合成部34は、複数の第1受信処理信号sa~sdおよび第2受信処理信号s2に基づいて第2合成信号s34を生成してもよい。
【0103】
これによれば、第1受信処理信号sa~sdおよび第2受信処理信号s2の両方の信号を用いて、第1合成信号s33および第2合成信号s34のそれぞれを生成することができる。これにより、デジタル放送の受信特性が劣化することを抑制できる。
【0104】
また、第2受信部50は、通常受信時において、複数の第1受信部11a~11dのうちの1つの第1受信部(例えば11d)および第2受信部50がデジタル放送の同じチャネル周波数を受信している場合に、第2受信部50内にて伝送される中間信号s50を上記1つの第1受信部11dへ出力し、上記1つの第1受信部11dは、アンテナ(例えば2d)から入力された放送信号および中間信号s50に基づいて受信処理を行ってもよい。
【0105】
これによれば、第1受信部11d内の信号だけでなく、第2受信部50の中間信号s50を用いて、第1受信部11dの受信処理を行うことができる。これにより、第1受信部11dにおけるデジタル放送の受信特性が劣化することを抑制できる。
【0106】
また、上記1つの第1受信部(例えば11d)および第2受信部50のそれぞれは、放送信号を増幅して出力する増幅部22、52を有し、第2受信部50は、第2受信部50の増幅部52から出力された増幅信号s52を上記1つの第1受信部11dへ出力し、上記1つの第1受信部11dは、上記1つの第1受信部11dの増幅部22から出力された増幅信号s22および第2受信部50の増幅部52から出力された増幅信号s52に基づいて受信処理を行ってもよい。
【0107】
これによれば、第1受信部11dの増幅信号s22だけでなく、第2受信部50の増幅信号s52を用いて、第1受信部11dの受信処理を行うことができる。これにより、第1受信部11dにおけるデジタル放送の受信特性が劣化することを抑制できる。
【0108】
また、上記1つの第1受信部(例えば11d)および第2受信部50のそれぞれは、受信処理においてアナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換部31、61を有し、第2受信部50は、第2受信部50のAD変換部61から出力したデジタル信号s61を上記1つの第1受信部11dへ出力し、上記1つの第1受信部11dは、上記1つの第1受信部11dのAD変換部31から出力されたデジタル信号s31および第2受信部50のAD変換部61から出力されたデジタル信号s61に基づいて受信処理を行ってもよい。
【0109】
これによれば、第1受信部11dのデジタル信号s31だけでなく、第2受信部50のデジタル信号s61を用いて、第1受信部11dの受信処理を行うことができる。これにより、第1受信部11dにおけるデジタル放送の受信特性が劣化することを抑制できる。
【0110】
また、第2受信部50は、VHF-Low帯受信用またはVHF-High帯受信用のアンテナ2hから入力されたVL信号またはVH信号を受信処理し、もしくは、複数のアンテナ2a~2dのうちの1つのアンテナ(例えば2d)から入力された地上波デジタル放送の放送信号を受信処理してもよい。
【0111】
この構成によれば、少ない回路規模で、チャネルサーチを行い、また、VL信号およびVH信号の受信を行うことができる。
【0112】
また、複数の第1受信部11a~11d、第1の合成部33、第1の誤り訂正部35、第2受信部50および第2の誤り訂正部36は、1つのLSIチップCP1に含まれていてもよい。
【0113】
この構成によれば、例えば、アンテナ(例えば2d)から第2受信部50に電力を取り出すための分岐部n1をLSIチップCP1内に設けることができ、デジタル放送受信装置1を構成するLSIチップCP1を搭載するプリント基板を簡素化することができる。
【0114】
(実施の形態2)
[2-1.デジタル放送受信装置の構成]
実施の形態2に係るデジタル放送受信装置1Aについて説明する。実施の形態2では、第2受信部50で受信処理したノイズ情報を含む信号に基づいて、第1受信部11a内で伝送される信号からノイズを除去する例について説明する。
【0115】
まず、比較のため、従来のデジタル放送受信装置101の構成について説明する。
【0116】
図11は、従来のデジタル放送受信装置101の構成を示す図である。
【0117】
従来のデジタル放送受信装置101は、第1受信部11aと、第1の誤り訂正部35とを備える。第1受信部11aは、アンテナ2aから入力されたデジタル放送の放送信号を受信処理して第1受信処理信号saを出力する。第1の誤り訂正部35は、第1受信処理信号saに対して第1の誤り訂正処理を行い、誤り訂正処理後の信号を映像・音声出力部3aへ出力する。
【0118】
従来のデジタル放送受信装置101には、車両で発生した妨害波(例えばインパルスノイズ、スプリアスノイズなど)の影響を低減するため、第1受信部11aに、ノイズ除去およびノイズ低減を目的とした回路が実装されている。しかしながら、1つのアンテナ2aから入力された、デジタル放送波および妨害波が混在した信号から、妨害波の信号成分を適切に除去することは困難であった。
【0119】
それに対し、実施の形態2に係るデジタル放送受信装置1Aは、入力された妨害波(ノイズ)を適切に除去するため、以下に示す構成を備えている。
【0120】
図12は、実施の形態2に係るデジタル放送受信装置1Aの構成を示す図である。なお、
図12には、デジタル放送などの放送信号が入力されるアンテナ2a、妨害波が入力されるアンテナ2j、および、映像・音声を出力する映像・音声出力部3aも示されている。
【0121】
アンテナ2jは、アンテナ2aとは異なる他のアンテナであり、妨害波を発信するノイズ源(ノイズ発生機器)の近くに配置される。アンテナ2jには、例えば、デジタル放送受信装置1Aの外部で発生した妨害波が入力される。
【0122】
デジタル放送受信装置1Aは、第1受信部11aと、第1の誤り訂正部35と、第2受信部50とを備えている。また、デジタル放送受信装置1Aは、PLLA12およびPLLB13を備えている。
【0123】
第1受信部11a、アンテナ2aから入力されたデジタル放送の放送信号を受信処理して第1受信処理信号saを出力する。第1受信部11aは、チューナ部21、AD変換部31および復調部32を備えている。チューナ部21は、実施の形態1と同様に、第1の増幅部22、ミキサ部23、帯域フィルタ24および第2の増幅部25によって構成されている。
【0124】
AD変換部31は、第2の増幅部25で増幅されたアナログ信号をデジタル信号s31に変換して復調部32へ出力する。復調部32は、デジタル信号s31を復調し、第1受信部11aの出力信号である第1受信処理信号saを出力する。本実施の形態の復調部32は、第1受信部11a内にて伝送される信号からノイズを除去するためのノイズ除去部80を備えている。ノイズ除去部80の詳細については後述する。
【0125】
第1の誤り訂正部35は、第1受信処理信号saに対して第1の誤り訂正処理を行い、誤り訂正処理後の信号を映像・音声出力部3aへ出力する。なお、第1の誤り訂正部35は、復号処理を行ってもよい。
【0126】
第2受信部50は、外部で発生した妨害波を入力するために付加された受信部である。第2受信部50は、妨害波によって入力された信号を受信処理し、ノイズ情報を含む第2受信処理信号s2を第1受信部11aへ出力する。
【0127】
第2受信部50は、チューナ部51、AD変換部61および復調部62を備えている。チューナ部51は、実施の形態1と同様に、第1の増幅部52、ミキサ部53、帯域フィルタ54および第2の増幅部55によって構成されている。
【0128】
AD変換部61は、第2の増幅部55で増幅されたアナログ信号をデジタル信号s61に変換して復調部62へ出力する。復調部62は、デジタル信号s61を復調し、第2受信部50の出力信号である第2受信処理信号s2を第1受信部11aの復調部32へ出力する。
【0129】
前述したように、第1受信部11aの復調部32は、ノイズ除去部80を備えている。アンテナ2aおよびアンテナ2jに同一のノイズ源の信号が入力される場合、アンテナ2aから入力された信号およびアンテナ2jから入力された信号には相関がある。そこで、デジタル放送受信装置1Aでは、第2受信部50から出力された第2受信処理信号s2を利用し、第1受信部11a内にて伝送される信号に対しノイズ除去を行う。
【0130】
このように、本実施の形態のデジタル放送受信装置1Aは、第2受信部50から出力された第2受信処理信号s2を利用し、第1受信部11a内にて伝送される信号に対しノイズ除去を行う。これにより、デジタル放送受信装置1Aにおいて、デジタル放送の受信特性が劣化することを抑制できる。
【0131】
[2-2.ノイズ除去部の構成]
次に、ノイズ除去部80の構成について
図13および
図14を参照しながら説明する。
【0132】
図13は、デジタル放送受信装置1Aのノイズ除去部80の構成を示す図である。
【0133】
ノイズ除去部80は、復調部32にて復調処理した後のデジタル情報信号s32に対してノイズ除去を行うことで、ノイズが除去された後のノイズ除去信号s82を第1の誤り訂正部35へ出力する。
【0134】
図13に示すように、ノイズ除去部80は、信号調整部81および加減算部82を有している。信号調整部81には、第2受信部50から出力されたノイズ情報を含む第2受信処理信号s2が入力される。信号調整部81は、第2受信処理信号s2の振幅、位相およびタイミングの少なくとも1つを調整(補正)し、調整後のノイズ情報信号s81を加減算部82へ出力する。加減算部82には、復調部32で復調処理された後のデジタル情報信号s32および調整後のノイズ情報信号s81が入力される。加減算部82は、デジタル情報信号s32から調整後のノイズ情報信号s81を差し引き、ノイズ除去信号s82を出力する。このようにノイズ除去部80は、ノイズ情報を含む第2受信処理信号s2に基づいてノイズ除去処理を行い、処理された処理信号を第1の誤り訂正部35へ出力する。
【0135】
なお、ノイズ除去部80は、信号調整部81にて振幅および位相等の調整を行う際、ノイズ除去後の受信品質がよくなるように、例えばノイズを打ち消すような補正係数を与えて調整を行ってもよい。また、ノイズ除去部80は、アンテナ2jとノイズ源(ノイズ発生機器)との配置関係から予め算出された補正係数に基づいて上記調整を行ってもよい。
【0136】
以下、ノイズ除去部80のさらに詳しい構成について説明する。
【0137】
図14は、
図13に示すノイズ除去部80の詳細構成を示す図である。
【0138】
図14に示すように、信号調整部81は、フィルタ係数を有するフィルタ部81a、および、相関関係を求める相関部81bを有している。
図14には、デジタル情報信号s32が信号f
1(t)で示され、ノイズ情報を含む第2受信処理信号s2が信号f
5(t)で示され、調整後のノイズ情報信号s81が信号F
5(t)で示され、ノイズ除去信号s82が信号(f
1(t)-F
5(t))で示されている。
【0139】
まず、フィルタ部81aに、ノイズ情報を含む信号f5(t)が入力される。フィルタ部81aは、適宜更新されるフィルタ係数に基づいて信号f5(t)に対して振幅、位相およびタイミングの少なくとも1つを調整し、調整後のノイズ情報信号である信号F5(t)を加減算部82に出力する。加減算部82には、信号F5(t)およびデジタル情報信号である信号f1(t)が入力される。加減算部82は、信号f1(t)から信号F5(t)を差し引くことで、ノイズ除去信号である信号(f1(t)-F5(t))を生成する。
【0140】
相関部81bは、信号(f1(t)-F5(t))と信号f5(t)との相関をとり、相関に対応したフィルタ係数をフィルタ部81aへ出力する。具体的には、相関部81bは、(式1)に示すように、信号(f1(t)-F5(t))と信号f5(t)とを掛け合わせることで相関e(m,t)を求める。
【0141】
【0142】
相関部81bは、信号(f1(t)-F5(t))と信号f5(t-m)との相関(m,t)が無くなるようにフィルタ係数を決定する。ここで相関が無くなるとは、ノイズを除去した信号(f1(t)-F5(t))にノイズ情報を含む信号f5(t)が含まれていないことを意味する。フィルタ係数は、例えば、MMSE(Minimum Mean Square Error)、LMS(Least Mean Square)、または、RLS(Recursive Least Square)などの適応フィルタを用いた演算によって求められる。
【0143】
なお、(式1)におけるmはタップ位置を表す。信号f5(t)に関してタイミングのずれがない場合、タップ数は1で、m=0に設定されるが、タイミングのずれがある場合、複数のタップ数が設定される。例えば、タップ数が3である場合、m=-1,0,1に設定される。複数のタップが設定されると、それに応じた複数のフィルタ係数が導出される。
【0144】
相関部81bは、複数のタップで表された(式1)に基づいて複数の相関をとり、(式2)に示すように複数のフィルタ係数ct+1(m)を導出し、フィルタ部81aへ出力する。
【0145】
【0146】
フィルタ部81aは、入力されたフィルタ係数に基づいて、信号f5(t)を調整し、信号F5(t)を出力する。ノイズ除去部80は、これらの処理を所定時間に繰り返し、信号(f1(t)-F5(t))と信号f5(t-m)との相関が無くなるようにフィルタ係数を更新する。これによりノイズ除去部80は、ノイズ除去処理を実行する。
【0147】
なお、(式2)におけるμは所定のステップサイズである。ステップサイズμを大きくすると収束の速さや追従性が高まるが、ばたつきが大きくなり、収束後に残留する誤差が大きくなる。ステップサイズμは、デジタル放送受信装置1Aに求められる追従性や残留誤差の大きさに合わせ適宜設定される。
【0148】
なお、上記では、フィルタ係数が、信号(f1(t)-F5(t))と信号f5(t-m)との相関が無くなるように更新されているが、それに限られず、ノイズ除去後の受信品質(ガード相関や受信信号の変調誤差比)に基づいて、フィルタ係数が更新されてもよい。フィルタ係数は逐次更新されるが、ノイズ除去後の信号が所定の受信品質値を満たした場合に、フィルタ係数の更新が停止されてもよいし、フィルタ係数の更新のステップサイズを現在のステップサイズより小さくしてもよい。
【0149】
また、
図13および
図14では、加減算部82が、デジタル情報信号s32から調整後のノイズ情報信号s81を差し引く減算器である例を示したが、それに限られない。例えば、フィルタ係数を差し引く係数にした場合、加減算部82は加算器であってもよい。
【0150】
また、上記では、ノイズ除去部80が、復調部32にて復調処理したデジタル情報信号s32に対してノイズ除去を行う例を示したが、それに限られない。ノイズ除去部80は、周波数変換(キャリア周波数のずれの補正と中間周波数信号をベースバンドへ変換する処理)した信号、または、レート変換(サンプリングタイミングの補正)した信号に対してノイズ除去を行ってもよいし、周波数変換する前の信号に対してノイズ除去を行ってもよい。また、ノイズ除去部80は、FFT(Fast Fourier Transform)変換前やFFT変換後の信号に対してノイズ除去を行ってもよい。
【0151】
また、ノイズ除去部80は、常時動作するのでなく、その時々に動作してノイズ除去を行うような間欠動作を行ってもよい。また、ノイズ除去部80は、間欠動作を行い、間欠動作のうちの作動期間にノイズ除去信号s82を出力し、間欠動作のうちの非作動期間にノイズ除去を行わずにデジタル情報信号s32を出力してもよい。また、ノイズ除去部80は常時動作するが、係数の更新は間欠的に更新するとしてもよい。
【0152】
図15は、デジタル放送受信装置1Aに入力されるノイズの一例を示す図である。
図15には、車載ノイズが、x(μs)およびy(μs)の周期で発生している例が示されている。
図15に示すように、ノイズが間欠的に発生している場合、ノイズ除去部80は、間欠的に発生するノイズに合わせてノイズ除去を行ってもよい。ノイズの発生しない期間は、誤って必要な信号を除去することがないように、ノイズ除去部80は、ノイズ除去の動作を停止してもよい。また、ノイズ除去部80は、除去すべきノイズの強度に閾値を設け、閾値以上のノイズが発生した場合に、そのノイズを除去してもよい。
【0153】
なお、ノイズ除去部80が動作する期間は、第2受信部50に入力された信号レベルが所定の値よりも大きいときであってもよいし、第2受信部50の信号品質値が所定の値よりも小さいときであってもよい。また、第1受信部11aの信号品質値が所定の値よりも大きい値を示すときであってもよい。また、ノイズ除去部80は、ノイズの発生周期、継続時間を予測して間欠的に動作してもよい。
【0154】
このように、実施の形態2のデジタル放送受信装置1Aは、アンテナ2aから入力されたデジタル放送の放送信号を受信処理して第1受信処理信号saを出力する第1受信部11aと、アンテナ2aとは異なるアンテナ2jから入力された信号を受信処理して第2受信処理信号s2を第1受信部11aへ出力する第2受信部50と、を備える。第2受信部50は、外部で発生した妨害波によって入力された信号を受信処理して、ノイズ情報を含む第2受信処理信号s2を第1受信部11aに出力する。第1受信部11aは、アンテナ2aから入力された放送信号および第2受信部50から出力された第2受信処理信号s2に基づいて受信処理を行い、この受信処理後の処理信号を第1受信処理信号saとして出力する。第1の誤り訂正部35は、第1受信処理信号saに対して第1の誤り処理を行う。
【0155】
なお、上記では、デジタル放送受信装置1Aが、1つの第1受信部11aを備えている例を示したが、それに限られない。デジタル放送受信装置1Aは、ダイバーシティ受信を行うために複数の第1受信部11a~11d(
図18参照)を備えていてもよい。その場合、第2受信部50から複数の第1受信部11a~11dのそれぞれに第2受信処理信号s2が出力され、複数の第1受信部11a~11dのそれぞれは、複数のアンテナ2a~2d(
図18参照)から入力された放送信号および第2受信部50から出力された第2受信処理信号s2に基づいて受信処理を行ってもよい。
【0156】
[2-3.実施の形態2の変形例1]
実施の形態2の変形例1に係るデジタル放送受信装置1Aについて説明する。この変形例1では、デジタル情報信号s32およびノイズ除去信号s82のうち、信号の受信品質が高いほうを第1受信処理信号saとして出力する例について説明する。
【0157】
図16は、実施の形態2の変形例1に係るデジタル放送受信装置1Aの構成の一部を示す図である。
【0158】
図16に示すように、第1受信部11aは、ノイズ除去部80に加え、信号選択部90を備えている。信号選択部90は、ノイズ除去部80の出力側、すなわちノイズ除去部80と第1の誤り訂正部35との間に設けられている。信号選択部90は、受信品質判定部91a、91bと、比較部92と、切替部93と有している。
【0159】
受信品質判定部91aは、ノイズ除去処理が施されていないデジタル情報信号s32の受信品質を判定し、受信品質判定部91bは、ノイズ除去部80によってノイズ除去処理が施されたノイズ除去信号s82の受信品質を判定する。受信品質の判定基準は、例えば、所定周波数帯の信号強度およびノイズを考慮した5段階評価により予め設定されている。
【0160】
比較部92は、受信品質判定部91a、91bの判定結果を比較し、切替部93の作動を制御する。切替部93は、比較部92によって択一的に切り替えられるスイッチであり、ノイズ除去部80と第1の誤り訂正部35との間に設けられている。比較部92は、判定結果に基づいて、信号の受信品質が高いほうを信号選択部90の出力とする。例えば、比較部92は、デジタル情報信号s32のほうがノイズ除去信号s82よりも信号の受信品質が高いと判定した場合、デジタル情報信号s32が出力されるように、切替部93を作動させる。また、比較部92は、ノイズ除去信号s82のほうがデジタル情報信号s32よりも信号の受信品質が高いと判定した場合、ノイズ除去信号s82が出力されるように切替部93を作動させる。
【0161】
信号選択部90の出力信号は、第1受信部11aの第1受信処理信号saとして第1の誤り訂正部35へ出力される。この構成によれば、ノイズ除去を行う必要のない状況、または、ノイズ除去を行うことで却って受信品質を悪くする状況においても、安定した受信品質を確保することができる。
【0162】
なお、受信品質判定部91a、91bは、信号の搬送波対雑音比(C/N(C/I))によって受信品質を判定してもよい。また、受信品質判定部91a、91bは、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)時間領域のガードインターバルとコピー部分の相関の相関量から受信品質を判定してもよいし、FFT後の周波数領域の受信信号のMERなどで受信品質を判定してもよい。
【0163】
[2-4.実施の形態2の変形例2]
実施の形態2の変形例2に係るデジタル放送受信装置1Aについて説明する。この変形例2では、第1受信部11aが、第2受信部50に対して同期情報を出力する例について説明する。
【0164】
図17は、実施の形態2の変形例2に係るデジタル放送受信装置1Aの構成を示す図である。
【0165】
図17に示すように、変形例2のデジタル放送受信装置1Aでは、第1受信部11aが、第2受信部50の作動を第1受信部11aの作動に同期させるための同期情報を第2受信部50へ出力する。具体的には、第1受信部11aの復調部32が、上記の同期情報を第2受信部50の復調部62へ出力する。第2受信部50は、受け付けた同期情報に基づいて、受信処理を行う。
【0166】
同期情報には、通常受信時の信号におけるキャリア周波数のずれ量やサンプリングのずれ量に関する情報が含まれている。例えば、第2受信部50に接続されるアンテナ2jは、主として妨害波を受信するために配置されるため、地上波デジタル放送の信号電力が低く、デジタル放送に対してキャリア周波数の同期やサンプリングの同期が困難となる場合がある。そこで、第1受信部11aで取得したキャリア周波数のずれ量やサンプリングのずれ量を含む同期情報を、第2受信部50に出力することで、第2受信部50にてキャリア周波数の同期やサンプリングの同期が可能となる。
【0167】
[2-5.効果等]
本実施の形態のデジタル放送受信装置1Aは、アンテナ2aから入力されたデジタル放送の放送信号を受信処理して第1受信処理信号saを出力する第1受信部11aと、アンテナ2aとは異なるアンテナ2jから入力された信号を受信処理して第2受信処理信号s2を第1受信部11aへ出力する第2受信部50と、を備える。第1受信部11aは、アンテナ2aから入力された放送信号および第2受信部50から出力された第2受信処理信号s2に基づいて受信処理を行い、この受信処理後の処理信号を第1受信処理信号saとして出力する。誤り訂正部35は、第1受信処理信号saに対して誤り処理を行う。
【0168】
このように、第2受信部50から出力された第2受信処理信号s2を利用し、第1受信部11a内にて伝送される信号に対しノイズ除去を行うことで、デジタル放送の受信特性が劣化することを抑制できる。
【0169】
また、第2受信部50は、外部で発生した妨害波によって入力された信号を上記入力された信号とし、受信処理して、ノイズ情報を含む第2受信処理信号s2を第1受信部11aに出力してもよい。
【0170】
このように、第2受信部50が、妨害波によって入力された信号を受信処理して第2受信処理信号s2を出力することで、第1受信部11aは、ノイズ情報を含む第2受信処理信号s2を利用してノイズ除去を行うことができる。これにより、第1受信部11aにおけるデジタル放送の受信特性が劣化することを抑制できる。
【0171】
また、第2受信部50は、複数のアンテナ2a~2dよりもノイズ源の近くに位置する他のアンテナ2jから入力された信号を上記入力された信号とし、受信処理してもよい。
【0172】
このように、第2受信部50が、ノイズ源の近くに位置する他のアンテナ2jから入力された信号を受信処理して第2受信処理信号s2を出力することで、第1受信部11aは、ノイズ情報を含む第2受信処理信号s2を利用してノイズ除去を行うことができる。これにより、第1受信部11aにおけるデジタル放送の受信特性が劣化することを抑制できる。
【0173】
また、複数の第1受信部11a~11dのそれぞれは、第1受信部11a~11dにて復調処理した後のデジタル情報信号s32に対してノイズ除去を行うノイズ除去部80を有し、ノイズ除去部80は、ノイズ情報を含む第2受信処理信号s2に基づいてノイズ除去を行うことで、第2受信処理信号s2に基づいて処理された処理信号を出力してもよい。
【0174】
このように、第1受信部11a~11dに設けられたノイズ除去部80でノイズ除去を行うことで、第1受信部11a~11dにおけるデジタル放送の受信特性が劣化することを抑制できる。
【0175】
また、ノイズ除去部80は、ノイズ情報を含む第2受信処理信号s2に対して振幅、位相およびタイミングの少なくとも1つを調整した後の調整後のノイズ情報信号s81をデジタル情報信号s32から差し引くことで、ノイズ除去を行ってもよい。
【0176】
これによれば、ノイズ除去部80にてノイズを確実に除去することができ、デジタル放送の受信特性が劣化することを抑制できる。
【0177】
また、ノイズ除去部80は、フィルタ係数を有するフィルタ部81aを有し、フィルタ部81aは、フィルタ係数に基づいて、ノイズ情報を含む第2受信処理信号s2に対して振幅、位相およびタイミングの少なくとも1つを調整することで、調整後のノイズ情報信号s81を生成してもよい。
【0178】
これによれば、ノイズ除去を行うための調整後のノイズ情報信号s81を適切に生成することができる。これにより、デジタル放送の受信特性が劣化することを抑制できる。
【0179】
また、ノイズ除去部80は、相関部81bを有し、相関部81bは、デジタル情報信号s32から調整後のノイズ情報信号s81を除去した後のノイズ除去信号s82とノイズ情報を含む第2受信処理信号s2との相関をとり、上記相関に対応したフィルタ係数をフィルタ部81aへ出力してもよい。
【0180】
これによれば、ノイズ除去を行うために必要なフィルタ係数を適切に求めることができる。これにより、デジタル放送の受信特性が劣化することを抑制できる。
【0181】
また、フィルタ係数は、適応フィルタを用いた演算によって求められてもよい。
【0182】
これによれば、フィルタ係数を適切に求めることができる。これにより、デジタル放送の受信特性が劣化することを抑制できる。
【0183】
また、適応フィルタは、MMSE(Minimum Mean Square Error)、LMS(Least Mean Square)、または、RLS(Recursive Least Square)であってもよい。
【0184】
これによれば、フィルタ係数を適切に求めることができる。これにより、デジタル放送の受信特性が劣化することを抑制できる。
【0185】
また、第1受信部11aは、デジタル情報信号s32およびノイズ除去信号s82のうち信号の受信品質が高いほうを第1受信処理信号saとして第1の合成部33へ出力してもよい。
【0186】
この構成によれば、ノイズ除去を行う必要のない状況、または、ノイズ除去を行うことで却って受信品質を悪くする状況においても、安定した受信品質を確保することができる。これにより、第1受信部11aにおけるデジタル放送の受信特性が劣化することを抑制できる。
【0187】
また、ノイズ除去部80は、間欠動作を行い、間欠動作のうちの作動期間にノイズ除去信号s82を出力し、間欠動作のうちの非作動期間にノイズ除去を行わずにデジタル情報信号s32を出力してもよい。
【0188】
これによれば、ノイズの発生しない期間に、ノイズ除去を行うことで却って受信品質を悪くすることを防止できる。これにより、デジタル放送の受信特性が劣化することを抑制できる。
【0189】
また、第1受信部11aは、第2受信部50の作動を第1受信部11aの作動に同期させるための同期情報を第2受信部50へ出力してもよい。
【0190】
これによれば、第2受信部50の作動を第1受信部11aの作動に同期させることができ、第2受信部50は、適切なタイミングで第2受信処理信号s2を第1受信部11aに出力することができる。これにより、第1受信部11aにおいて適切なタイミングで受信処理を行い、デジタル放送の受信特性が劣化することを抑制できる。
【0191】
(実施の形態3)
[3-1.デジタル放送受信装置の構成]
実施の形態3に係るデジタル放送受信装置1Bについて説明する。実施の形態3に係るデジタル放送受信装置1Bは、実施の形態1と実施の形態2とが組み合わされた形態を有している。
【0192】
図18は、実施の形態3に係るデジタル放送受信装置1Bの構成を示す図である。なお、
図18には、デジタル放送などの放送信号が入力される複数のアンテナ2a、2b、2c、2d、および、映像・音声を出力する映像・音声出力部3a、3bも示されている。
【0193】
デジタル放送受信装置1Bは、ダイバーシティ受信部10と、第2受信部50と、チャネル情報取得部40と、を備える。
【0194】
ダイバーシティ受信部10は、複数の第1受信部11a、11b、11c、11d、第1の合成部33、第2の合成部34、第1の誤り訂正部35、第2の誤り訂正部36、および、切替部75を備えている。また、ダイバーシティ受信部10は、PLLA12およびPLLB13を備えている。
【0195】
複数の第1受信部11a~11dは、複数のアンテナ2a~2dから入力されたデジタル放送の放送信号を受信処理して複数の第1受信処理信号sa、sb、sc、sdを出力する。第1受信部11a~11dのそれぞれは、チューナ部21、AD変換部31および復調部32を備えている。チューナ部21は、第1の増幅部22、ミキサ部23、帯域フィルタ24および第2の増幅部25によって構成されている。
【0196】
AD変換部31は、第2の増幅部25で増幅されたアナログ信号をデジタル信号s31に変換して復調部32へ出力する。各復調部32は、デジタル信号s31を復調し、第1受信部11a~11dの出力信号を出力する。
【0197】
また、各第1受信部11a~11dの復調部32は、ノイズ除去部80を備えている。このデジタル放送受信装置1Bでは、第2受信部50から出力された第2受信処理信号s2を利用して、第1受信部11a~11d内にて伝送される信号に対しノイズ除去を行う。ノイズ除去部80は、復調部32にて復調処理した後のデジタル情報信号s32に対してノイズ除去を行うことで、ノイズが除去された後のノイズ除去信号s82を第1受信処理信号sa~sdとして出力する。
【0198】
ノイズ除去部80は、デジタル放送のチャネル周波数をサーチするチャネルサーチ時にノイズ除去を行わず、チャネルサーチをせずにデジタル放送を受信する通常受信時にノイズ除去を行ってもよい。ノイズ除去部80は、通常受信時に連続動作あるいは間欠動作して、ノイズ除去を行ってもよい。
【0199】
第1の合成部33は、複数の第1受信部11a~11dから出力された複数の第1受信処理信号sa~sdの少なくとも2つを合成して第1合成信号s33を生成する。第1の合成部33は、第1合成信号s33を第1の誤り訂正部35へ出力する。
【0200】
第1の誤り訂正部35は、第1合成信号s33に対して第1の誤り訂正処理を行う。本実施の形態において、第1の誤り訂正部35は、チャネルサーチ時および通常受信時のそれぞれの時に、第1合成信号s33に対して第1の誤り訂正処理を行い、誤り訂正処理後の信号を映像・音声出力部3aおよびチャネル情報取得部40へ出力する。
【0201】
第2の合成部34は、複数の第1受信部11a~11dから出力された複数の第1受信処理信号sa~sdの少なくとも2つを合成して第2合成信号s34を生成する。第2の合成部34は、切替部37を介して、第2合成信号s34を第2の誤り訂正部36へ出力する。
【0202】
第2受信部50は、チャネルサーチを行う機能および妨害波を受信処理する機能を有している。第2受信部50は、デジタル放送の放送信号の受信品質が所定の受信品質値を下回ったときにチャネルサーチを行い、チャネル情報の取得を開始する。また、第2受信部50は、妨害波によって入力された信号を受信処理し、ノイズ情報を含む第2受信処理信号s2を第1受信部11aへ出力する。
【0203】
第2受信部50は、アンテナ2dおよび第1受信部11dの間の分岐部n1から分岐して入力されたデジタル放送の放送信号を受信処理し、または、アンテナ2jから入力された妨害波の信号を受信処理し、第2受信処理信号s2を出力する。これら2つの信号の受信処理の切替は、切替部75の作動によって実行される。
【0204】
第2受信部50は、切替部75、チューナ部51、AD変換部61および復調部62を備えている。
【0205】
切替部75は、分岐部n1およびアンテナ2jとチューナ部51との間に設けられている。切替部75は、第2受信部50に放送信号を入力する場合にチューナ部51が分岐部n1を介してアンテナ2dに接続されるように作動し、第2受信部50に妨害波を入力する場合にチューナ部51がアンテナ2jに接続されるように作動する。
【0206】
チューナ部51は、第1の増幅部52、ミキサ部53、帯域フィルタ54および第2の増幅部55によって構成されている。
【0207】
AD変換部61は、第2の増幅部55で増幅されたアナログ信号をデジタル信号s61に変換して復調部62へ出力する。復調部62は、デジタル信号s61を復調し、第2受信部50の出力信号である第2受信処理信号s2を出力する。第2受信部50は、切替部37を介して、第2受信処理信号s2を第2の誤り訂正部36へ出力する。
【0208】
第2の誤り訂正部36は、第2合成信号s34および第2受信処理信号s2のそれぞれに対して第2の誤り訂正処理を行う。例えば、第2の誤り訂正部36は、通常受信時に、切替部37の作動によって第2の合成部34に接続され、第2合成信号s34に対して第2の誤り訂正処理を行い、誤り訂正処理後の信号を映像・音声出力部3bへ出力する。また、第2の誤り訂正部36は、チャネルサーチ時に、切替部37の作動によって第2受信部50に接続され、第2受信処理信号s2に対して第2の誤り訂正処理を行い、誤り訂正処理後の信号をチャネル情報取得部40へ出力する。
【0209】
また、第2受信部50は、チャネルサーチ時に複数のアンテナ2a~2dのうちの少なくとも1つのアンテナ(例えばアンテナ2d)から入力されたデジタル放送の放送信号を受信処理して、第2受信処理信号s2を第2の誤り訂正部36へ出力する。一方、第2受信部50は、通常受信時に、他のアンテナ2jから入力された信号を受信処理して、ノイズ情報を含む第2受信処理信号s2をノイズ除去部80へ出力する。なお、これらのアンテナ2dまたはアンテナ2jの入力の切り替えは、切替部75の作動によって行われる。
【0210】
チャネル情報取得部40は、第1の誤り訂正部35および第2の誤り訂正部36から出力された信号に基づいてチャネル情報を取得する。メインコントローラ4は、取得したチャネル情報に基づいて、第1受信部11a~11dで受信するチャネルを選局し、第1受信部11a~11dへ選局指示する。また、メインコントローラ4は、第2受信部50でチャネルサーチを行う際のチャネルを順に変更するように、第2受信部50へ選局指示する。
【0211】
本実施の形態のデジタル放送受信装置1Bは、第1受信部11a~11dとは異なる第2受信部50を備えており、第2受信部50を用いてチャネルサーチを行う。そのため、チャネルサーチを行うために第1受信部11a~11dを使う必要がなく、第1受信部11a~11dを元々の用途である視聴用の受信部として使うことができる。そのため、デジタル放送の受信特性が劣化することを抑制できる。
【0212】
また、デジタル放送受信装置1Bでは、第2受信部50から出力された第2受信処理信号s2を利用し、第1受信部11a内にて伝送される信号に対しノイズ除去を行う。これにより、デジタル放送の受信特性が劣化することを抑制できる。
【0213】
例えば、第2受信部をチャネルサーチ用の受信部として作動させる場合、切替部75の作動によりアンテナ2dからの信号が入力され、復調した信号を第2の誤り訂正部で誤り訂正処理し、チャネル情報を取得する。また、第2受信部50をノイズ除去用の受信部として作動させる場合、切替部75の作動によりアンテナ2jからの信号が入力され、第2受信部50で処理された信号に基づいて、第1受信部11a~11dの各復調部32にてノイズを除去する。さらには、チャネルサーチをせずノイズ除去もしない場合には、第2受信部50が第1受信部11a~11dと同一チャネルを受信している場合に限り、第2受信部50内の中間信号s50を第1受信部(例えば11d)へ出力し、合成もしくは補正することで特性劣化を補償する。
【0214】
第2受信部50を、ノイズ除去用として作動させるか、チャネルサーチ用として作動させるかは、ダイバーシティ受信部10における信号の受信品質によって決定してもよい。例えば、受信品質として所定の受信品質値を設け、受信品質が所定の受信品質値の範囲内にある場合はノイズ除去用として作動させ、所定の受信品質値の範囲外であって所定の受信品質値よりも小さい場合は、チャネルサーチ用として作動させてもよい。
【0215】
また、ダイバーシティ受信部10および第2受信部50は、1つのLSIチップで構成されていてもよい。また、AD変換部31、復調部32、第1の合成部33、第2の合成部34、第1の誤り訂正部35および第2の誤り訂正部36と、AD変換部61および復調部62とが、1つのLSIチップで構成されてもよい。また、チューナ部21、PLLA12およびPLLB13と、チューナ部51とが、1つのLSIチップで構成されてもよい。また、チューナ部21、PLLA12およびPLLB13が1つのLSIチップで構成され、チューナ部51が1つのLSIチップで構成され、上記のLSIチップのうち少なくとも2つがパッケージ化されていてもよい。チャネル情報取得部40は、上記のLSIチップのいずれかに設けられていてもよい。
【0216】
[3-2.アンテナの配置]
次に、デジタル放送受信装置1Bに接続される複数のアンテナの配置について説明する。
【0217】
図19は、デジタル放送受信装置1Bに接続されるアンテナの配置の一例を示す図である。
図19の(a)および(b)は、アンテナ配置の異なる一例である。
【0218】
図19の(a)および(b)には、車両である移動体5に、デジタル放送を受信する4つのアンテナ2a~2dと、妨害波を受信するアンテナ2jとが配置されている状態が示されている。妨害波を受信するアンテナ2jは、ノイズのレベルが所定の値よりも大きくなるように設置されている。このとき注意すべきは、たくさん存在する妨害波の中で、アンテナ2jは、アンテナ2a~2dに届く妨害波を受信する必要があり、それ以外のノイズを多く受信してはいけないということである。
【0219】
例えば、ノイズのレベルを所定の値より大きくするには、地上波デジタル放送の信号とノイズとの電力比(D/U)が、D/U<0(dB)となるように、アンテナ2jを設置する、または、アンテナ2jが、アンテナ2a~2dのD/U値よりも下回るD/U値となるように設置する。
【0220】
例えば、アンテナ2a~2dに届く妨害波を受信するアンテナ2jはノイズ源(
図19に示す破線)の近くで、かつ、アンテナ2a~2dの近くに配置する。具体的には、アンテナ2jを、アンテナ2a~2dのうちノイズ源に近いアンテナ群(フロントアンテナ群またはリアアンテナ群)と、ノイズ源との中間地点付近に配置する。
図19の(a)に示す例では、ノイズ源はボンネット付近にあり、アンテナ2a~2dのうちアンテナ2a、2bが、アンテナ2c、2dよりも強く影響を受ける。この場合、アンテナ2jをダッシュボード付近に設置する。また、
図19の(b)に示す例では、ノイズ源は車体中央付近にあり、アンテナ2a~2dのうちアンテナ2c、2dが、アンテナ2a、2dより強く影響を受ける。この場合、アンテナ2jを後部座席付近に設置する。
【0221】
ここでノイズ源とは、デジタル放送受信装置1B本体や、ラジオ機器、ITS、LTE、ETC、ADAS、V2Xなどの通信機器や、ドライブレコーダーまたはADASなどの録画・カメラ機器や、HIDヘッドライト、ドアミラー、ワイパーなどのモーターや、電源ライン、電気自動車などのバッテリーや、その他機器のバッテリーなどである。
【0222】
なお、
図19に示すアンテナ配置は一例であり、4つのアンテナ2a~2dをすべてフロントアンテナに配置してもよい。ノイズを正しく検知させるためアンテナ2jに接続されるチューナ部51は、アンテナ2a~2dで受信するチャネルと同じチャネルを選局してもよいし、異なるチャネルを選局してもよい。
【0223】
[3-3.効果等]
本実施の形態のデジタル放送受信装置1Bは、複数のアンテナ2a~2dから入力されたデジタル放送の放送信号を受信処理して複数の第1受信処理信号sa~sdを出力する複数の第1受信部11a~11dと、複数の第1受信処理信号sa~sdの少なくとも2つを合成して第1合成信号s33を出力する第1の合成部33と、第1合成信号s33に対して第1の誤り訂正処理を行う第1の誤り訂正部35と、入力された信号を受信処理して第2受信処理信号s2を出力する第2受信部50と、第2受信処理信号s2に対してまたは第2受信処理信号s2に基づいて処理された処理信号に対して第2の誤り訂正処理を行う第2の誤り訂正部36と、を備える。
【0224】
また、デジタル放送受信装置1Bは、アンテナ2a~2dとは異なるアンテナ2jから入力された信号を受信処理して第2受信処理信号s2を第1受信部11aへ出力する第2受信部50と、を備える。第1受信部11aは、アンテナ2aから入力された放送信号および第2受信部50から出力された第2受信処理信号s2に基づいて受信処理を行い、この受信処理後の処理信号を第1受信処理信号saとして出力する。
【0225】
このように、デジタル放送受信装置1が、第1受信部11a~11dとは異なる第2受信部50を備えることで、第2受信部50を用いてチャネルサーチを行うことができる。そのため、チャネルサーチを行う際に第1受信部11a~11dを使う必要がなく、第1受信部11a~11dを元々の用途である視聴用の受信部として使うことができる。これにより、チャネルサーチを行う際に、デジタル放送の受信特性が劣化することを抑制できる。
【0226】
また、このように、第2受信部50から出力された第2受信処理信号s2を利用し、第1受信部11a~11d内にて伝送される信号に対しノイズ除去を行うことで、第1受信部11a~11dにおけるデジタル放送の受信特性が劣化することを抑制できる。
【0227】
また、ノイズ除去部80は、デジタル放送のチャネル周波数をサーチするチャネルサーチ時にノイズ除去を行わず、チャネルサーチをせずにデジタル放送を受信する通常受信時にノイズ除去を行ってもよい。
【0228】
これによれば、ノイズ除去を行う必要がある通常受信時において、確実にノイズ除去を行うことができる。これにより、デジタル放送の受信特性が劣化することを抑制できる。
【0229】
また、第2受信部50は、チャネルサーチ時に複数のアンテナ2a~2dのうちの少なくとも1つのアンテナから入力されたデジタル放送の放送信号を受信処理して、第2受信処理信号s2を第2の誤り訂正部36へ出力し、通常受信時に他のアンテナ2jから入力された信号を受信処理して、ノイズ情報を含む第2受信処理信号s2をノイズ除去部80へ出力してもよい。
【0230】
これによれば、第2受信部50から出力された第2受信処理信号s2を、チャネルサーチのために利用したり、ノイズ除去のために利用したりすることができる。これにより、デジタル放送の受信特性が劣化することを抑制できる。
【0231】
また、ノイズ除去部80は、通常受信時に連続動作あるいは間欠動作して、ノイズ除去を行ってもよい。
【0232】
これによれば、ノイズの発生しない期間に、ノイズ除去を行うことで却って受信品質を悪くすることを防止できる。これにより、デジタル放送の受信特性が劣化することを抑制できる。
【0233】
また、他のアンテナ2jは、複数のアンテナ2a~2dのうちノイズ源に最も近い1以上のアンテナと、ノイズ源との略中間に配置されてもよい。
【0234】
この構成によれば、複数のアンテナ2a~2dのうちノイズ源に最も近いアンテナに入力されるノイズを、アンテナ2jを用いて第2受信部50に入力することができる。これにより、第2受信部50のノイズ情報を含む出力信号を利用して、第1受信部11a~11d内にて伝送される信号に対しノイズ除去を行うことができる。これにより、第1受信部11a~11dにおけるデジタル放送の受信特性が劣化することを抑制できる。
【0235】
(その他の実施の形態)
以上、本開示の態様に係るデジタル放送受信装置について、実施の形態等に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本開示の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本開示の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本開示に含まれる。
【0236】
例えば、実施の形態では、第1受信処理信号sa~sdが同じチャネル周波数の信号に基づく信号である例を示したが、異なるチャネル周波数の信号に基づく信号であってもよい。例えば、第1受信処理信号sa、sbと、第1受信処理信号sc、sdとが異なるチャネル周波数の信号に基づく信号であり、映像・音声出力部3aから出力される映像・音声と、映像・音声出力部3bから出力される映像・音声とが異なっていてもよい。
【0237】
実施の形態では、地上波デジタル放送に対し説明を行ったが、本実施の形態のデジタル放送受信装置は、国内のISDB-Tに関わらず、DVB-TやDVB-T2、DTMB、ATSC1.0、ATSC3.0等にも利用できる。
【0238】
また、本実施の形態のデジタル放送受信装置は、地上波デジタル放送に関わらず、ISDB-TmmやISDB-Tsbなどにも利用でき、さらには、ケーブルや衛星の各方式に利用してもよく、デジタル放送に限らず、通信やラジオなどにも利用できる。
【0239】
実施の形態では、チューナ部21が、第1の増幅部、ミキサ部、帯域フィルタおよび第2の増幅部で構成されている例を示したが、チューナ部の構成はこれに限られない。チューナ部は、所望のチャネル周波数を中間周波数やベースバンドに変換する他の回路装置を備えていてもよい。
【0240】
また、以下に示す形態も、本開示の一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0241】
(1)上記のデジタル放送受信装置を構成する構成要素の一部は、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムであってもよい。前記RAMまたはハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
【0242】
(2)上記のデジタル放送受信装置を構成する構成要素の一部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。前記RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0243】
(3)上記のデジタル放送受信装置を構成する構成要素の一部は、各装置に脱着可能なICカードまたは単体のモジュールから構成されているとしてもよい。前記ICカードまたは前記モジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。前記ICカードまたは前記モジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、前記ICカードまたは前記モジュールは、その機能を達成する。このICカードまたはこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
【0244】
(4)また、上記のデジタル放送受信装置を構成する構成要素の一部は、前記コンピュータプログラムまたは前記デジタル信号をコンピュータで読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-ROM、MO、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、半導体メモリなどに記録したものとしてもよい。また、これらの記録媒体に記録されている前記デジタル信号であるとしてもよい。
【0245】
また、上記のデジタル放送受信装置を構成する構成要素の一部は、前記コンピュータプログラムまたは前記デジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
【0246】
(5)本開示は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、前記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
【0247】
(6)また、本開示は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、前記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、前記マイクロプロセッサは、前記コンピュータプログラムにしたがって動作するとしてもよい。
【0248】
(7)また、前記プログラムまたは前記デジタル信号を前記記録媒体に記録して移送することにより、または前記プログラムまたは前記デジタル信号を、前記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
【0249】
(8)上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0250】
本開示のデジタル放送受信装置は、車両などの移動体に搭載される放送受信装置などに利用できる。
【符号の説明】
【0251】
1、1A、1B デジタル放送受信装置
2a、2b、2c、2d、2e、2h、2j アンテナ
3a、3b 映像・音声出力部
4 メインコントローラ
5 移動体
6a、6b中継局
10 ダイバーシティ受信部
11a、11b、11c、11d 第1受信部
12 PLLA
13 PLLB
21、51 チューナ部
22、52 第1の増幅部
23、53 ミキサ部
24、54 帯域フィルタ
25、55 第2の増幅部
31、61 AD変換部
32、62 復調部
33 第1の合成部
34 第2の合成部
35 第1の誤り訂正部
36 第2の誤り訂正部
37 切替部
40 チャネル情報取得部
50 第2受信部
71 第3の増幅部
72、75 切替部
80 ノイズ除去部
81 信号調整部
81a フィルタ部
81b 相関部
82 加減算部
90 信号選択部
91a、91b 受信品質判定部
92 比較部
93 切替部
CP1 LSIチップ
n1 分岐部
sa、sb、sc、sd 第1受信処理信号
s2 第2受信処理信号
s22、s52 増幅信号
s31、s61 デジタル信号
s32 デジタル情報信号
s33 第1合成信号
s34 第2合成信号
s50 中間信号
s81 調整後のノイズ情報信号
s82 ノイズ除去信号