(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】媒体処理装置、及び、当該媒体処理装置に用いるカセット装填ユニット
(51)【国際特許分類】
G07D 11/12 20190101AFI20241106BHJP
【FI】
G07D11/12
(21)【出願番号】P 2021561211
(86)(22)【出願日】2020-10-15
(86)【国際出願番号】 JP2020038959
(87)【国際公開番号】W WO2021106412
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2023-08-08
(31)【優先権主張番号】P 2019212878
(32)【優先日】2019-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】盛林 孝祐
(72)【発明者】
【氏名】門田 健志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 慎仁
(72)【発明者】
【氏名】須藤 信行
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-118699(JP,A)
【文献】特開平05-162865(JP,A)
【文献】特開2015-125624(JP,A)
【文献】特開2015-215791(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 9/00-13/00
G07D 1/00- 3/16
G07F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に対して任意の処理を行う媒体処理機構と、
媒体を収納するためのカセットが装填されるカセット装填ユニットと、
前記媒体処理機構及び前記カセット装填ユニットが収納される筐体と、を備え、
前記カセット装填ユニットは、
前記カセットが装填されるカセット装填フレームと、
前記カセット装填フレームに設けられた回動軸によって回動可能に支持された回動フレームと、を有し、
前記回動フレームの底面には、前記カセットの位置を決めるための第1係合部と
、前記カセット装填フレームに対する前記回動フレームの位置を決めるための第2係合部とが設けられ、
前記カセットの上面には、前記第1係合部と係合する第1被係合部が形成され、
前記カセット装填フレームの上面には、前記第2係合部と係合する第2被係合部が形成されている
ことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の媒体処理装置において、
前記回動フレームは、
前記カセット装填フレームに設けられた回動軸に軸支された軸側端部と、
前記回動軸から離隔している側の端部である離隔側端部と、を有し、
前記第2係合部は、前記回動フレームの前記底面の、前記軸側端部よりも前記離隔側端部に近い位置に設けられている
ことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の媒体処理装置において、
前記カセット装填フレーム及び前記回動フレームは、前記筐体の内部空間に対して前記回動軸の軸方向である引出方向および押込方向に移動可能に配置され、
前記第2係合部は、前記回動フレームの底面の、引出方向側端部及び押込方向側端部のいずれか一方又は双方の近傍に設けられている
ことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の媒体処理装置において、
前記カセット装填フレーム及び前記回動フレームは、前記第2係合部の近傍の位置に、締結部材を取り付けるための取付部を有している
ことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の媒体処理装置において、
前記回動フレームは、前記カセット装填フレームに装填された前記カセットと前記媒体処理機構との間で前記媒体を受け渡す受け渡し搬送路を有し、
前記受け渡し搬送路は、前記回動フレームの回動に伴って前記カセットの上面に対して離隔又は近接する
ことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項6】
媒体を収納するためのカセットが装填されるカセット装填フレームと、
前記カセット装填フレームに設けられた回動軸によって回動自在に支持された回動フレームと、を有し、
前記回動フレームの底面には、前記カセットの位置を決めるための第1係合部と
、前記カセット装填フレームに対する前記回動フレームを前記カセット装填フレームに固定するための第2係合部とが設けられ、
前記カセットの上面には、前記第1係合部と係合する第1被係合部が形成され、
前記カセット装填フレームの上面には、前記第2係合部と係合する第2被係合部が形成されている
ことを特徴とするカセット装填ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体処理装置、及び、当該媒体処理装置に用いるカセット装填ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関や流通機関では、ATM(Automatic Teller Machine:現金自動預け払い機)やキャッシュディスペンサ等の媒体処理装置が広く普及している。媒体処理装置の多くは、紙幣(媒体)を収納する媒体収納カセットを、筐体の内部空間に配置されたユニットに装填する構成になっている(例えば、特許文献1参照)。例えば、特許文献1には、紙幣(媒体)を収納する複数の媒体収納カセットを、筐体の下側の内部空間に配置された下部ユニットに装填する構成になっている媒体処理装置が記載されている。
【0003】
特許文献1に記載された媒体処理装置の下部ユニットは、複数の媒体収納カセットが装填されるカセット装填フレームと、内部に受け渡し搬送路が設けられた搬送路フレームと、を有している。搬送路フレームは、カセット装填フレームの上に配置され、カセット装填フレームに設けられた回動軸(支点)によって開閉方向に回動自在に支持されている。受け渡し搬送路は、カセット装填フレームに装填された各媒体収納カセットと媒体処理装置の上側の内部空間に配置された上部搬送路とを繋ぐように形成されている。
【0004】
この媒体処理装置は、媒体収納カセットから紙幣(媒体)を繰り出して装置内部で搬送する場合に、搬送路フレームの内部に設けられた受け渡し搬送路を介して媒体収納カセットから上部搬送路に紙幣(媒体)を受け渡す。
【0005】
この媒体処理装置は、媒体収納カセットの内部の紙幣(媒体)が満杯(フル)の状態もしくは空の状態になった場合に、係員によって媒体収納カセットの取り換え作業が行われる。その場合に、係員は、媒体処理装置の筐体の内部空間から下部ユニットを引き出して、搬送路フレームを開放方向に回動させて開放状態(OPEN状態)にする。これにより、係員は、カセット装填フレームの上部部分を大きく開口させる。この後、係員は、カセット装填フレームの内部に設けられたカセット装填スロットから媒体収納カセットを容易に取り外し、別の媒体収納カセットをカセット装填スロットに装填する。これにより、媒体収納カセットの取り換え作業が行われる。この後、係員は、搬送路フレームを閉鎖方向に回動させて閉鎖状態(CLOSE状態)にして、下部ユニットを媒体処理装置の筐体の内部空間に押し込む。
【0006】
なお、係員は、媒体収納カセットの内部の紙幣(媒体)が満杯(フル)の状態もしくは空の状態になった場合に限らず、任意のタイミングで媒体収納カセットの取り換え作業を行うことができる。また、係員は、任意のタイミングで媒体収納カセットの装填作業を行うことができる。この場合に、係員は、媒体処理装置の筐体から下部ユニットを引き出して、搬送路フレームを開放方向に回動させて開放状態(OPEN状態)にする。そして、係員は、カセット装填フレームに設けられた任意のカセット装填スロットに媒体収納カセットを装填する。この後、係員は、搬送路フレームを閉鎖方向に回動させて閉鎖状態(CLOSE状態)にして、下部ユニットを媒体処理装置の筐体の内部空間に押し込む。
【0007】
この媒体処理装置は、下部ユニットが装置の筐体の内部空間に格納されている状態において、搬送路フレームが閉鎖状態(CLOSE状態)となっている。搬送路フレームは、自重によって媒体収納カセットの上に載った状態で維持される。この媒体処理装置は、搬送路フレームが閉鎖状態(CLOSE状態)である場合にのみ、媒体収納カセットから紙幣(媒体)を繰り出して受け渡し搬送路に搬送することができる構成になっている。
【0008】
この媒体処理装置は、搬送路フレームの底面に、媒体収納カセットの位置を決めるためのピン(位置決めピン)を有している。そして、この媒体処理装置は、搬送路フレームを閉鎖方向に回動させて閉鎖状態(CLOSE状態)にしたときに、ピン(位置決めピン)が媒体収納カセットの上面に設けられた穴部(位置決め孔)に挿入される(刺さる)構成になっている。この媒体処理装置は、ピン(位置決めピン)が穴部(位置決め孔)に挿入される(刺さる)ことで、媒体収納カセットに設けられたガイド孔が基準となる搬送路フレームの受け渡し搬送路のガイド孔と対向するように、媒体収納カセットを微細に移動させる。これにより、この媒体処理装置は、媒体収納カセットの位置を補正する。このようなピン(位置決めピン)を穴部(位置決め孔)に挿入させる(刺させる)構造は、受け渡し搬送路と媒体収納カセットとの間の公差バラつきや隙間による位置ずれを補正することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載された従来の媒体処理装置は、以下に説明するように、媒体の搬送障害(ジャム)が発生することがあった。
【0011】
例えば、特許文献1に記載された従来の媒体処理装置は、ピン(位置決めピン)が穴部(位置決め孔)に挿入されたとき(刺さったとき)に、媒体収納カセットに設けられたガイド孔が基準となる受け渡し搬送路のガイド孔と対向するように、媒体収納カセットを微細に移動させる。
【0012】
しかしながら、従来の媒体処理装置は、媒体収納カセットの中の紙幣(媒体)が満杯(フル)の状態もしくはそれに近い状態になった場合に、媒体収納カセットが比較的重たい状態になる。この状態おいて、従来の媒体処理装置は、ピン(位置決めピン)が穴部(位置決め孔)に挿入されたとき(刺さったとき)に、本来であれば媒体収納カセットが移動するべきであるが、媒体収納カセットが重いため、媒体収納カセットではなく、搬送路フレームが移動してしまうことがあった。これにより、上部搬送路に対する受け渡し搬送路の位置がズレてしまうことがあった。その結果、従来の媒体処理装置は、媒体収納カセットから繰り出された紙幣(媒体)が受け渡し搬送路から上部搬送路に受け渡される際に、紙幣(媒体)の搬送障害(ジャム)が発生することがあった。
【0013】
本発明は、前記した課題を解決するためになされたものであり、簡素な構成で媒体の搬送障害の発生を抑制する媒体処理装置、及び、当該媒体処理装置に用いるカセット装填ユニットを提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するため、第1発明は、媒体処理装置であって、媒体に対して任意の処理を行う媒体処理機構と、媒体を収納するためのカセットが装填されるカセット装填ユニットと、前記媒体処理機構及び前記カセット装填ユニットが収納される筐体と、を備え、前記カセット装填ユニットは、前記カセットが装填されるカセット装填フレームと、前記カセット装填フレームに設けられた回動軸によって回動可能に支持された回動フレームと、を有し、前記回動フレームの底面には、前記カセットの位置を決めるための第1係合部と、前記カセット装填フレームに対する前記回動フレームの位置を決めるための第2係合部とが設けられ、前記カセットの上面には、前記第1係合部と係合する第1被係合部が形成され、前記カセット装填フレームの上面には、前記第2係合部と係合する第2被係合部が形成されている構成とする。
【0015】
また、第2発明は、カセット装填ユニットであって、媒体を収納するためのカセットが装填されるカセット装填フレームと、前記カセット装填フレームに設けられた回動軸によって回動可能に支持された回動フレームと、を有し、前記回動フレームの底面には、前記カセットの位置を決めるための第1係合部と、前記カセット装填フレームに対する前記回動フレームの位置を決めるための第2係合部とが設けられ、前記カセットの上面には、前記第1係合部と係合する第1被係合部が形成され、前記カセット装填フレームの上面には、前記第2係合部と係合する第2被係合部が形成されている構成とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、簡素な構成で媒体の搬送障害の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態に係る媒体処理装置の全体構成を示す概略断面図である。
【
図2】実施形態に係る媒体処理装置のカセット装填ユニットを引き出した状態を示す説明図である。
【
図3】実施形態に係るカセット装填ユニットの構成を示す斜視図である。
【
図4A】実施形態に係るカセット装填ユニットのピンと穴部の位置の一例を示す説明図(1)である。
【
図4B】実施形態に係るカセット装填ユニットのピンと穴部の位置の一例を示す説明図(2)である。
【
図4C】実施形態に係るカセット装填ユニットのピンと穴部の位置の一例を示す説明図(3)である。
【
図5A】実施形態に係るカセット装填ユニットのピンと穴部の位置の一例を示す説明図(4)である。
【
図5B】実施形態に係るカセット装填ユニットのピンと穴部の位置の一例を示す説明図(5)である。
【
図5C】実施形態に係るカセット装填ユニットのピンと穴部の位置の一例を示す説明図(6)である。
【
図6A】第2ピンと第2穴部との関係を示す説明図(1)である。
【
図6B】第2ピンと第2穴部との関係を示す説明図(2)である。
【
図7A】変形例に係るカセット装填ユニットの構成を示す斜視図(1)である。
【
図7B】変形例に係るカセット装填ユニットの構成を示す斜視図(2)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)について詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示しているに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0019】
<媒体処理装置の全体構成>
以下、
図1及び
図2を参照して、本実施形態に係る媒体処理装置100の全体構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る媒体処理装置100の全体構成を示す概略断面図である。
図2は、媒体処理装置100のカセット装填ユニット20を外部に引き出した状態を示す説明図である。
【0020】
図1に示すように、本実施形態に係る媒体処理装置100は、筐体40の下部側の内部空間にカセット装填ユニット20を備え、筐体40の上部側の内部空間に媒体処理機構30を備えている。カセット装填ユニット20は、媒体(紙幣)を収納するための媒体収納カセット10(カセット)が装填されるユニットである。媒体処理機構30は、媒体に対して任意の処理を行う機構である。
【0021】
媒体処理機構30には、それぞれ図示せぬ鑑別部、一時保留部、搬送路、振分け手段等が設けられている。鑑別部(図示せず)は、媒体(紙幣)の種類や真贋を判別する構成要素である。一時保留部(図示せず)は、顧客によって投入された媒体(紙幣)や顧客に放出する媒体(紙幣)を一時的に保留する部位である。搬送路(図示せず)は、媒体(紙幣)を搬送する通路である。振分け手段(図示せず)は、媒体(紙幣)の搬送先を振分ける機構である。
【0022】
また、媒体処理装置100は、筐体40の前面側に、接客処理を行うための図示せぬ接客部を備えている。接客部(図示せず)には、図示せぬ顧客操作部や、図示せぬ投入排出口が設けられている。顧客操作部(図示せず)は、顧客の操作を受け付けるための部位である。顧客操作部(図示せず)は、顧客が各種情報を見るためのディスプレイと、顧客が各種情報を入力するための入力部とを有している。投入排出口(図示せず)は、顧客が投入する媒体(紙幣)を受け入れたり、媒体(紙幣)を顧客に放出したりするための部位である。
【0023】
カセット装填ユニット20は、媒体収納カセット10が装填されるカセット装填フレーム21と、カセット装填フレーム21に設けられた回動軸23(
図3参照)によって回動可能に支持された回動フレーム26と、を有している。
【0024】
カセット装填フレーム21は、内部に、複数の媒体収納カセット10が装填される装填スロット22を有している。図示例では、4つの媒体収納カセット10a,10b,10c,10dが、装置の前側から後側に向かって1列に並ぶように、4つの装填スロット22a,22b,22c,22dに装填されている。ここで、媒体収納カセット10a,10b,10cは、金種毎に紙幣が収納される紙幣収納カセットである。媒体収納カセット10dは、任意の用途(例えば補充回収等の用途)に利用される集積庫と紙幣収納カセットとが一体化されたカセットである。媒体収納カセット10a,10b,10c,10dは、それぞれ、カセット装填ユニット20のカセット装填フレーム21に対して着脱可能な構造になっている。
【0025】
回動フレーム26は、カセット装填フレーム21の上に配置されたフレーム部材である。本実施形態では、回動フレーム26は、その内部に、カセット装填フレーム21に装填された媒体収納カセット10と媒体処理機構30との間で媒体(紙幣)を受け渡す受け渡し搬送路53を有するものとして説明する。受け渡し搬送路53は、媒体(紙幣)の搬送機能を有する通路である。回動フレーム26は、媒体収納カセット10と媒体処理機構30との間で媒体を受け渡す搬送路フレームとして機能する。ただし、回動フレーム26は、搬送機能を持つ受け渡し搬送路53の代わりに、搬送機能を持たない媒体(紙幣)を通過させるだけの開口部を有する構成にすることができる。
【0026】
カセット装填ユニット20が筐体40に収納された状態において、受け渡し搬送路53の上端部側は、媒体処理機構30に設けられた上部搬送路51と接続されている。この状態において、受け渡し搬送路53の上端部に設けられたガイド孔56(
図2参照)と上部搬送路51の下端部に設けられたガイド孔57(
図2参照)とが対向して、双方の位置が一致した状態になっている。ガイド孔56,57(
図2参照)は、それぞれ、紙幣(媒体)の通り道である。
【0027】
また、カセット装填ユニット20が筐体40に収納された状態において、受け渡し搬送路53の下端部側は、分岐して、カセット装填フレーム21に装填された各媒体収納カセット10a,10b,10c,10dと接続されている。この状態において、媒体収納カセット10の上面に設けられたガイド孔54(
図4A参照)と受け渡し搬送路53の下端部に設けられたガイド孔55(
図4A参照)とが対向して、双方の位置が一致した状態になっている。ガイド孔54,55(
図4A参照)は、それぞれ、紙幣(媒体)の通り道である。
【0028】
図2に示すように、カセット装填ユニット20は、媒体処理装置100の筐体40に対して、前後方向に引き出し及び押し込みが可能な構造になっている。なお、ここでは、カセット装填ユニット20の移動方向(引き出し方向及び押し込み方向)が、筐体40の前後方向であり、その方向が後記する回動軸23(
図3参照)の軸方向A23に一致するものとして説明する。
【0029】
カセット装填ユニット20は、筐体40に対して引き出しおよび押し込み可能な構造になっている。これにより、係員は、筐体40からカセット装填ユニット20を引き出すことで、媒体収納カセット10ごと媒体(紙幣)を取り出すことができる。
【0030】
カセット装填ユニット20が筐体40の前面側から前方向に引き出されると(筐体40の内部から外部方向に移動されると)、カセット装填ユニット20に設けられた受け渡し搬送路53が媒体処理機構30に設けられた上部搬送路51から外れる。一方、カセット装填ユニット20が筐体40の前面側から後方向に押し込まれると(筐体40の外部から内部方向に移動させられると)、カセット装填ユニット20に設けられた受け渡し搬送路53が媒体処理機構30に設けられた上部搬送路51と再度接続される。
【0031】
この時、上部搬送路51に対する受け渡し搬送路53の位置がズレる現象が発生してしまうと、受け渡し搬送路53のガイド孔56と上部搬送路51のガイド孔57とが一致しない状態となる。この場合に、紙幣(媒体)が受け渡し搬送路53と上部搬送路51との間で受け渡される際に、紙幣(媒体)の搬送障害(ジャム)が発生する可能性がある。
【0032】
従来の媒体処理装置は、以下に説明するように、上部搬送路51に対する受け渡し搬送路53の位置がズレる現象が発生することにより、媒体の搬送障害(ジャム)が発生することがあった。
【0033】
従来の媒体処理装置は、媒体収納カセットの中の紙幣(媒体)が満杯(フル)の状態もしくはそれに近い状態になった場合に、媒体収納カセットが比較的重たい状態になる。この状態において、従来の媒体処理装置は、第1ピン(位置決めピン)が第1穴部(位置決め孔)に挿入されたとき(刺さったとき)に、本来であれば媒体収納カセットが移動する。しかしながら、媒体収納カセットが重たい場合、媒体収納カセットではなく、搬送路フレーム(回動フレーム)が移動してしまうことがあった。これにより、上部搬送路に対する受け渡し搬送路の位置がズレてしまうことがあった。その結果、従来の媒体処理装置は、紙幣(媒体)が受け渡し搬送路と上部搬送路との間で受け渡される際に、紙幣(媒体)の搬送障害(ジャム)が発生することがあった。
【0034】
これに対して、本実施形態に係る媒体処理装置100は、
図4A乃至
図4C並びに
図5A乃至
図5Cに示すようにカセット装填ユニット20を構成している。これにより、本実施形態に係る媒体処理装置100は、上部搬送路51に対する受け渡し搬送路53の位置がズレる現象が発生しないようにすることができるため、簡素な構成で媒体の搬送障害の発生を抑制することができる。
【0035】
<カセット装填ユニットの構成>
以下、
図3、
図4A乃至
図4C、並びに、
図5A乃至
図5Cを参照して、カセット装填ユニット20の構成について説明する。
図3は、カセット装填ユニット20の構成を示す斜視図である。
図4A乃至
図4C、並びに、
図5A乃至
図5Cは、それぞれ、カセット装填ユニット20のピンと穴部の位置の一例を示す説明図である。
図3は、カセット装填ユニット20の外観を示している。
図4A乃至
図4C、並びに、
図5A乃至
図5Cは、それぞれ、カセット装填ユニット20のピンと穴部の位置の一例を示す説明図である。
【0036】
図3は、カセット装填ユニット20の回動フレーム26を閉鎖した状態(CLOSE状態)を示している。
図3に示すように、カセット装填ユニット20は、カセット装填フレーム21に設けられた回動軸23によって回動フレーム26が軸支されており、回動フレーム26が回動軸23を中心にして回動する構造になっている。
【0037】
カセット装填フレーム21と回動フレーム26は、ともに、直方体状の形状を呈しており、2つの前後方向の長辺と2つの左右方向の短辺とを有している。カセット装填フレーム21と回動フレーム26の上面視形状のサイズは、ほぼ同じサイズになっている。つまり、カセット装填フレーム21の前後方向の幅及び左右方向の幅と回動フレーム26の前後方向の幅及び左右方向の幅は、ほぼ同じになっている。ただし、カセット装填フレーム21は、回動フレーム26よりも上下方向の幅が高くなっている。カセット装填フレーム21は、中空な構造になっており、前記した通り、内部に、複数の媒体収納カセット10が装填される装填スロット22を有している。回動フレーム26は、内部に、受け渡し搬送路53を有している(
図1及び
図2参照)。
【0038】
図3に示す例では、2つの回動軸23がカセット装填フレーム21の右面の上端縁部に設けられている。2つの回動軸23は、直列に配置されている。ここでは、前記した通り、2つの回動軸23の軸方向A23(
図3参照)がカセット装填ユニット20の移動方向(引き出し方向及び押し込み方向)に一致するものとして説明する。
【0039】
また、
図3に示す例では、回動フレーム26の上面26tには、受け渡し搬送路53の2つのガイド孔56が設けられている。各ガイド孔56は、カセット装填ユニット20が筐体40に収納された状態の時に、上部搬送路51に設けられた各ガイド孔57(
図2参照)と一致する位置に設けられている。
【0040】
また、
図3に示す例では、カセット装填フレーム21の左面の上端部分に開口部21opが形成されている。そして、カセット装填フレーム21の内部に設けられた装填スロット22と、装填スロット22に装填された1つの媒体収納カセット10とが、開口部21opを介して、外部に露出している。
【0041】
図4Aは、カセット装填ユニット20の回動フレーム26を開放した状態(OPEN状態)を示している。
図4Aに示すように、回動フレーム26の底面26bには、受け渡し搬送路53の複数のガイド孔55が設けられている。各ガイド孔55は、回動フレーム26が閉鎖した状態(CLOSE状態)の時に、媒体収納カセット10に設けられた各ガイド孔54と一致する位置に設けられている。受け渡し搬送路53は、回動フレーム26の回動に伴って媒体収納カセット10の上面10tに対して離隔したり又は近接したりする。その際に、受け渡し搬送路53の各ガイド孔55は、媒体収納カセット10に設けられた各ガイド孔54に対して選択的に離隔したり又は近接したりする。
【0042】
また、回動フレーム26の底面26bには、第1ピン61と第2ピン62とが設けられている。第1ピン61と第2ピン62とは、底面26bに対して垂直方向に立設するように配置されている。第1ピン61は、媒体収納カセット10の位置を決めるためのカセット用のピンである。第2ピン62は、回動フレーム26の位置を決めるためのフレーム用のピンである。
【0043】
図4Aに示す例では、回動フレーム26の底面26bにおいて、1つの媒体収納カセット10に対して、第1ピン61が2つずつ設けられている。また、回動フレーム26の底面26bにおいて、後端部(回動フレーム26の押込側端部)の近傍に、1つの第2ピン62が設けられている。
【0044】
本実施形態では、第1ピン61と第2ピン62は、円柱状に形成されているものとして説明する。第1ピン61と第2ピン62は、好ましくは、それぞれに対向する第1穴部71又は第2穴部72に挿入し易くなるように、先端部が尖った形状になっているとよい。
【0045】
また、第2ピン62は、好ましくは、回動フレーム26の底面26bの、軸側端部27aよりも、離隔側端部27bに近い位置に設けられているとよい。これにより、カセット装填ユニット20は、回動軸23から比較的離れた位置で第2ピン62とカセット装填フレーム21とを係合させるため、比較的小さな力で回動フレーム26をカセット装填フレーム21に位置決めすることができる。軸側端部27aは、回動フレーム26の底面26bの、回動軸23に軸支された側の端部である。一方、離隔側端部27bは、回動フレーム26の底面26bの、回動軸23から離隔している側(開放される側)の端部である。
【0046】
各媒体収納カセット10の上面10tには、第1ピン61と係合する(第1ピン61が挿入される)第1穴部71が2つずつ設けられている。
【0047】
また、カセット装填フレーム21の上面21tには、第2ピン62と係合する(第2ピン62が挿入される)1つの第2穴部72が設けられている。第2穴部72は、回動フレーム26が閉鎖した状態(CLOSE状態)の時の第2ピン62に対向するように、カセット装填フレーム21の上面21tの後端部(カセット装填フレーム21の押込側端部)の近傍に、設けられている。
【0048】
第1穴部71は、貫通孔であってもよいし、貫通しない穴(凹部)であってもよい。
図4Aに示す例では、第1穴部71は、凹部状に形成されている。第1穴部71の上面視形状は、特に限定されるものではなく、例えば、円形であってもよいし、矩形であってもよい。
【0049】
なお、
図4Aに示す例では、各媒体収納カセット10に設けられた2つの第1穴部71のうち、軸側端部27aに近い側の第1穴部71の上面視形状は、第2穴部72と同様の形状になっているので、ここでは、説明を省略する。一方、離隔側端部27bに近い側の第1穴部71は、上面視形状が円形状の形状を呈しており、第1ピン61の直径とほぼ同じ(厳密には若干大きい)内径になっている。カセット装填ユニット20は、回動フレーム26の第1ピン61を媒体収納カセット10の離隔側端部27bに近い側の円形状の第1穴部71に挿入させる。これにより、カセット装填ユニット20は、媒体収納カセット10に設けられたガイド孔54が回動フレーム26の受け渡し搬送路53のガイド孔55と対向するように、媒体収納カセット10を微細に移動させることができる。
【0050】
また、第2穴部72は、貫通孔であってもよいし、貫通しない穴(凹部)であってもよい。
図4Aに示す例では、カセット装填フレーム21の前端側のフレームと後端側のフレームとは、前後方向に任意の幅を有しており、第2穴部72は、後端側のフレームの上面に凹部状に形成されている。第2穴部72の上面視形状は、特に限定されるものではなく、例えば、円形であってもよいし、矩形であってもよい。
【0051】
なお、
図4Aに示す例では、第2穴部72は、上面視形状が左右方向(回動軸23の直交方向)に長い矩形状の形状を呈しており、前後方向(回動軸23の軸方向)の幅が第2ピン62の直径とほぼ同じ(厳密には若干大きい)幅になっている。第2ピン62と第2穴部72との関係については、
図6A及び
図6Bを用いて後記する。
【0052】
カセット装填ユニット20は、例えば、
図4B及び
図4Cに示す位置に第2ピン62と第2穴部72とを設けた構成に変形することができる。
【0053】
例えば、
図4Bに示す例では、回動フレーム26の底面26bの前端部(回動フレーム26の引出方向側端部)の近傍の位置に、1つの第2ピン62が設けられている。また、カセット装填フレーム21の上面21tの前端部(カセット装填フレーム21の引出方向側端部)の近傍の位置であって、第2ピン62に対向する位置に、1つの第2穴部72が設けられている。
【0054】
また、
図4Cに示す例では、回動フレーム26の底面26bの前端部(回動フレーム26の引出方向側端部)と後端部(回動フレーム26の押込方向側端部)の双方の近傍の位置に、第2ピン62が1つずつ設けられている。また、カセット装填フレーム21の上面21tの前端部(カセット装填フレーム21の引出方向側端部)と後端部(回動フレーム26の押込方向側端部)の近傍の位置であって、第2ピン62に対向する位置に、第2穴部72が1つずつ設けられている。
【0055】
また、カセット装填ユニット20は、例えば、
図5Aに示す位置に第2ピン62と第2穴部72とを設けた構成に変形することができる。
【0056】
例えば、
図5Aに示す例では、カセット装填フレーム21の前端側のフレームと後端側のフレームの前後方向の幅が
図4A乃至
図4Cに示す構成のものよりも薄く(小さく)形成されている。そして、カセット装填フレーム21の後端側のフレームが外側に張り出すように屈曲された構成になっている。カセット装填フレーム21と回動フレーム26の上面視形状のサイズは、ほぼ同じサイズになっている。つまり、カセット装填フレーム21の前後方向の幅及び左右方向の幅と回動フレーム26の前後方向の幅及び左右方向の幅は、ほぼ同じになっている。係る構成において、回動フレーム26の底面26bの後端部(回動フレーム26の押込方向側端部)の近傍の位置に、1つの第2ピン62が設けられている。また、カセット装填フレーム21の上面21tの後端部(カセット装填フレーム21の押込方向側端部)の近傍の位置であって、回動フレーム26が閉鎖した状態(CLOSE状態)の時の第2ピン62に対向する位置に、1つの第2穴部72が設けられている。
【0057】
また、
図5Aに示すカセット装填ユニット20は、例えば、
図5B及び
図5Cに示す位置に第2ピン62と第2穴部72とを設けた構成に変形することができる。
【0058】
例えば、
図5Bに示す例では、カセット装填フレーム21の前端側のフレームが外側に張り出すように屈曲された構成になっている。そして、回動フレーム26の底面26bの前端部(回動フレーム26の引出方向側端部)の近傍の位置に、1つの第2ピン62が設けられている。また、カセット装填フレーム21の上面21tの前端部(カセット装填フレーム21の引出方向側端部)の近傍の位置であって、第2ピン62に対向する位置に、1つの第2穴部72が設けられている。
【0059】
また、
図5Cに示す例では、カセット装填フレーム21の前端側のフレームと後端側のフレームの双方が外側に張り出すように屈曲された構成になっている。そして、回動フレーム26の底面26bの前端部(回動フレーム26の引出方向側端部)と後端部(回動フレーム26の押込方向側端部)の双方の近傍の位置に、第2ピン62が1つずつ設けられている。また、カセット装填フレーム21の上面21tの前端部(カセット装填フレーム21の引出方向側端部)と後端部(回動フレーム26の押込方向側端部)の近傍の位置であって、第2ピン62に対向する位置に、第2穴部72が1つずつ設けられている。
【0060】
<第2ピンと第2穴部との関係>
以下、
図6A及び
図6Bを参照して、第2ピン62と第2穴部72との関係について説明する。
図6A及び
図6Bは、それぞれ、第2ピン62と第2穴部72との関係を示す説明図である。
【0061】
図6Aは、カセット装填ユニット20の回動フレーム26を開放した状態(OPEN状態)から閉鎖した状態(CLOSE状態)へ遷移する途中の状態を示している。
図6Aに示す例では、第2ピン62は、第2穴部72に対して斜め上の位置に存在している。
【0062】
図6Bは、カセット装填ユニット20の回動フレーム26を閉鎖した状態(CLOSE状態)を示している。
図6Bに示す例では、第2ピン62は、第2穴部72に挿入されている(刺し込まれている)。
【0063】
図6Aに示すように、第2穴部72は、上面視形状が左右方向(回動軸23の直交方向)に長い矩形状の形状を呈しており、前後方向(回動軸23の軸方向)の幅が第2ピン62の直径とほぼ同じ(厳密には若干大きい)幅になっている。これにより、カセット装填ユニット20は、回動フレーム26を回動させることで、第2ピン62を第2穴部72に挿入し易くすること(刺し易くすること)ができる。
【0064】
なお、第2穴部72の前後方向(回動軸23の軸方向)の幅は、第2穴部72の幅とほぼ同じ(厳密には若干大きな)幅であるとよい。これは、回動軸23の公差バラつき等によって、回動フレーム26がカセット装填フレーム21に対して軸方向にズレ易い構造になっており、そのズレを抑制することができるからである。
【0065】
<媒体処理装置の主な特徴>
(1)
図1に示すように、本実施形態に係る媒体処理装置100は、媒体に対して任意の処理を行う媒体処理機構30と、媒体を収納するための媒体収納カセット10(カセット)が装填されるカセット装填ユニット20と、媒体処理機構30及びカセット装填ユニット20が収納される筐体40と、を備えている。
図3及び
図4Aに示すように、カセット装填ユニット20は、媒体収納カセット10が装填されるカセット装填フレーム21と、カセット装填フレーム21に設けられた回動軸23によって回動可能に支持された回動フレーム26と、を有している。回動フレーム26の底面26bには、媒体収納カセット10の位置を決めるための第1ピン61と回動フレーム26の位置を決めるための第2ピン62とが立設されている。媒体収納カセット10の上面10tには、第1係合部としての第1ピン61が挿入される第1被係合部としての第1穴部71が形成されている。カセット装填フレーム21の上面には、第2係合部としての第2ピン62が挿入される第2被係合部としての第2穴部72が形成されている。なお、回動フレーム26は、カセット装填フレーム21に装填された媒体収納カセット10と媒体処理機構30との間で媒体を受け渡す受け渡し搬送路53を有している構成であるとよい。そして、受け渡し搬送路53は、回動フレーム26の回動に伴って媒体収納カセット10の上面10tに対して選択的に離隔したり又は近接したりする構成であるとよい。
【0066】
このような本実施形態に係る媒体処理装置100は、回動フレーム26の第2ピン62がカセット装填フレーム21の第2穴部72に挿入される。これにより、媒体処理装置100は、回動フレーム26をカセット装填フレーム21に対して適切な位置に位置決めすることができる。そのため、媒体処理装置100は、媒体収納カセット10が比較的重い状態の場合であっても、媒体収納カセット10ではなく、回動フレーム26が移動してしまうことを抑制することができる。これにより、媒体処理装置100は、上部搬送路51に対する受け渡し搬送路53(回動フレーム26)の位置がズレてしまうことを抑制することができる。このような媒体処理装置100は、簡素な構成でありながら、媒体収納カセット10から繰り出された紙幣(媒体)が受け渡し搬送路53から上部搬送路51に受け渡される際に、媒体(紙幣)の搬送障害(ジャム)が発生することを抑制することができる。
【0067】
(2)
図4Aに示すように、本実施形態に係る媒体処理装置100の回動フレーム26は、カセット装填フレーム21に設けられた回動軸23に軸支された軸側端部27aと、回動軸23から離隔している側の端部である離隔側端部27bと、を有している。第2ピン62は、回動フレーム26の底面26bの、軸側端部27aよりも離隔側端部27bに近い位置に設けられているとよい。
【0068】
このような本実施形態に係る媒体処理装置100は、回動フレーム26の第2ピン62とカセット装填フレーム21の第2穴部72とが回動軸23から比較的離隔した位置で係合する。これにより、媒体処理装置100は、比較的小さな保持力でカセット装填フレーム21に対する回動フレーム26の位置がズレないように、回動フレーム26を保持することができる。
【0069】
(3)
図4A乃至
図4C、並びに、
図5A乃至
図5Cに示すように、本実施形態に係る媒体処理装置100は、カセット装填フレーム21及び回動フレーム26は、筐体40の内部空間に対して回動軸23の軸方向A23に移動可能に配置されている。第2ピン62は、回動フレーム26の底面26bの、前端部(引出方向側端部)及び後端部(押込方向側端部)のいずれか一方又は双方の近傍に設けられているとよい。
【0070】
このような本実施形態に係る媒体処理装置100は、回動フレーム26の前端部(引出方向側端部)及び後端部(押込方向側端部)のいずれか一方又は双方で、カセット装填フレーム21に対する回動フレーム26の位置がズレないように、回動フレーム26を保持することができる。
【0071】
以上の通り、本実施形態に係る媒体処理装置100によれば、簡素な構成で媒体の搬送障害の発生を抑制することができる。
【0072】
なお、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や変形を行うことができる。
【0073】
例えば、前記した実施形態は、本発明の要旨を分かり易く説明するために詳細に説明したものである。そのため、本発明は、必ずしも説明した全ての構成要素を備えるものに限定されるものではない。また、本発明は、ある構成要素に他の構成要素を追加したり、一部の構成要素を他の構成要素に変更したりすることができる。また、本発明は、一部の構成要素を削除することもできる。
【0074】
また、例えば、前記した実施形態に係るカセット装填ユニット20(例えば、
図5C参照)は、
図7A及び
図7Bに示すカセット装填ユニット20Aのように変形することができる。また、
図5A及び
図5Bに示す構成のカセット装填ユニット20も、同様に変形することができる。
図7A及び
図7Bは、それぞれ、変形例に係るカセット装填ユニット20Aの構成を示す斜視図である。
【0075】
図7A及び
図7Bに示すように、変形例に係るカセット装填ユニット20Aは、
図5Cに示すカセット装填ユニット20と比較すると、回動フレーム26とカセット装填フレーム21との代わりに、回動フレーム26aとカセット装填フレーム21aとを有している点で相違する。
【0076】
回動フレーム26aは、回動フレーム26(
図5C参照)と比較すると、第2ピン62の近傍に、ねじ取付部82aが形成されている点で相違する。また、カセット装填フレーム21aは、カセット装填フレーム21(
図5C参照)と比較すると、回動フレーム26が閉鎖した状態(CLOSE状態)の時の、回動フレーム26aのねじ取付部82aと重なる位置に、ねじ取付部82bが形成されている点で相違する。
【0077】
取付部としてのねじ取付部82a,82bは、それぞれ輸送固定ねじ81を取り付けるために形成された貫通孔である。締結部材としての輸送固定ねじ81は、ボルト81aとナット81bとを含む構成となっている。
図7Bに示すように、カセット装填ユニット20Aは、回動フレーム26aの閉鎖状態(CLOSE状態)において、ボルト81aをねじ取付部82a,82bに挿入してナット81bを締め付けることで、回動フレーム26とカセット装填フレーム21とを締結する。これにより、カセット装填ユニット20Aは、回動フレーム26とカセット装填フレーム21との位置ズレ(特にカセット装填ユニット20A本体の輸送時の位置ズレ)を抑制することができる。
【0078】
なお、ねじ取付部82aの位置は、好ましくは、第2ピン62から例えば3cm以内の近傍の位置であるとよい。このような変形例に係るカセット装填ユニット20Aは、第2ピン62の近傍で回動フレーム26とカセット装填フレーム21とを締結する。そのため、変形例に係るカセット装填ユニット20Aは、第2ピン62に加わる負荷を輸送固定ねじ81で軽減することができる。
【0079】
また、ねじ取付部82aの位置は、さらにこの好ましくは、第2ピン62よりも離隔側端部27bに近い位置であるとよい。この構成のカセット装填ユニット20Aは、第2ピン62よりも回動軸23から遠い位置で回動フレーム26とカセット装填フレーム21とを締結する。そのため、この構成のカセット装填ユニット20Aは、さらに好適に第2ピン62に加わる負荷を輸送固定ねじ81で軽減して、回動フレーム26とカセット装填フレーム21との位置ズレを抑制することができる。なお、例えば
図4A乃至
図4Cに示す構成のカセット装填ユニット20も輸送固定ねじ81を取り付けることが可能な構成にしてもよい。
【0080】
前記した実施形態では、第1ピン61と第2ピン62が円柱状に形成されているものとして説明した。しかしながら、第1ピン61と第2ピン62は、円柱状に限らず、楕円柱形状や、四角柱状、リブ形状、その他の柱状に形成することができる。また、第1ピン61と第2ピン62は、回動フレーム26の回動方向に沿って湾曲した形状に形成することもできる。
【0081】
また、上記では、回動フレーム26に第1ピン61と第2ピン62を設け、媒体収納カセット10に第1穴部71を設け、カセット装填フレーム21に第2穴部72を設ける例を説明した。しかしながら、回動フレーム26に第1穴部71と第2穴部72を設け、媒体収納カセットに第1ピン61を設け、カセット装填フレーム21に第2ピンを設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0082】
10,10a,10b10c,10d 媒体収納カセット(カセット)
10t,21t,26t 上面
20,20A カセット装填ユニット
21,21a カセット装填フレーム
21op 開口部
22,22a,22b,22c,22d 装填スロット
23 回動軸
26,26a 回動フレーム(搬送路フレーム)
26b 底面
27a 軸側端部
27b 離隔側端部
30 媒体処理機構
40 筐体
41 内部空間
51 上部搬送路
53 受け渡し搬送路
54,55,56,57 ガイド孔
61 第1ピン
62 第2ピン
71 第1穴部
72 第2穴部
81 輸送固定ねじ
81a ボルト
81b ナット
82a,82b ねじ取付部
100 媒体処理装置
A23 軸方向