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特許7582205ダプトマイシンを含有する安定した凍結乾燥製剤
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  • 特許-ダプトマイシンを含有する安定した凍結乾燥製剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】ダプトマイシンを含有する安定した凍結乾燥製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/12 20060101AFI20241106BHJP
   A61K 9/19 20060101ALI20241106BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20241106BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
A61K38/12
A61K9/19
A61K47/18
A61P31/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021566870
(86)(22)【出願日】2020-10-29
(86)【国際出願番号】 JP2020040614
(87)【国際公開番号】W WO2021131314
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2023-07-21
(31)【優先権主張番号】P 2019236682
(32)【優先日】2019-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】阪本 和子
(72)【発明者】
【氏名】黒川 由紀
(72)【発明者】
【氏名】古賀 比奈子
(72)【発明者】
【氏名】西田 誠司
【審査官】春田 由香
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-511557(JP,A)
【文献】国際公開第2019/043008(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第106943587(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110339341(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第1616083(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/00-38/58
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダプトマイシンと、
L-アルギニンである安定化剤とを含む安定した凍結乾燥製剤であって、
前記L-アルギニンの含有量は、ダプトマイシン367.5mgに対して350mg~400mgであり、かつ、
前記L-アルギニン以外のアミノ酸を含まない凍結乾燥製剤。
【請求項2】
カルシウム源を含まない請求項1に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項3】
注射用水を加えて溶解した製剤のpHが5.5~7.5である請求項1又は2に記載の安定した凍結乾燥製剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダプトマイシンを含有する安定した凍結乾燥製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ダプトマイシンは、敗血症、感染性心内膜炎、深在性皮膚感染症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、びらん・潰瘍の二次感染の治療に適用される環状リポペプチド系抗生物質である。ダプトマイシンは、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を含む複数のグラム陽性菌により引き起こされた感染症を治療するために静脈内注射液として処方されている(特許文献1等)。注射用のダプトマイシン(キュビシン(登録商標)、MSD株式会社)は、凍結乾燥した粉末として提供されている(非特許文献1等)。
しかし、通常、2℃~8℃の冷所での保管を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2013-511557号公報
【非特許文献】
【0004】
【文献】キュビシン静注用350mgの添付文書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような状況下、ダプトマイシンを含有する、室温での保存で安定な製剤が求められている。
本発明は、ダプトマイシンを含有し、室温での保存で安定性を維持することができる凍結乾燥製剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定の安定化剤を用いることで、ダプトマイシンを含有する凍結乾燥製剤を、室温で保存できるほどに安定化させることができることを見出した。
本願は以下の発明を含む。
〔1〕ダプトマイシンと、
L-アルギニン、イノシトール、デキストラン、メグルミン、マクロゴール及びL-ヒスチジンから選ばれる一種または二種以上の安定化剤を含む安定した凍結乾燥製剤。
〔2〕前記安定化剤が、L-アルギニン、イノシトール及びデキストランから選ばれる一種または二種以上である上記に記載の凍結乾燥製剤。
〔3〕前記安定化剤が、L-アルギニンである上記に記載の凍結乾燥製剤。
〔4〕注射用水を加えて溶解した製剤のpHが5.5~7.5である上記に記載の安定した凍結乾燥製剤。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ダプトマイシンを含有し、室温での保存で安定性を維持することができる凍結乾燥製剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明のダプトマイシン含有凍結乾燥製剤におけるL-アルギニンの添加量に対する総類縁物質の増加量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本願のダプトマイシン含有凍結乾燥製剤は、室温での保存においてもダプトマイシンの安定性を維持することができる凍結乾燥製剤である。つまり、ダプトマイシンを含有する液状の製剤を調製するための固形のダプトマイシン含有製剤である。
ダプトマイシンは、例えば、米国特許公報4537717号に開示されており、C721011726で表される化学式を有し、分子量1620.67の環状ポリペプチド系抗生物質である。
本願のダプトマイシン含有の凍結乾燥製剤においては、L-アルギニン、イノシトール、デキストラン、メグルミン、マクロゴール及びL-ヒスチジンから選ばれる一種または二種以上の安定化剤を含む。
安定化剤の含有量は、ダプトマイシンの全質量に対して、3質量%~250質量%が挙げられ、6質量%~200質量%が好ましく、10質量%~136質量%がより好ましい。また、別の観点から、凍結乾燥製剤の全質量に対して、1質量%~80質量%が挙げられ、5質量%~70質量%が好ましく、10質量%~60質量%がより好ましい。具体的には、ダプトマイシン367.5mgに対して、10mg~800mgが好ましく、20mg~600mgがより好ましく、30mg~500mgがさらに好ましく、35mg~500mgが特に好ましい。
特に、L-アルギニンを含有する場合には、200mg~800mgが好ましく、300mg~600mgがより好ましく、350mg~500mgがさらに好ましい。
イノシトールを含有する場合には、1mg~150mgが好ましく、10mg~100mgがより好ましく、20mg~80mgがさらに好ましい。
デキストランを含有する場合には、10mg~500mgが好ましく、50mg~300mgがより好ましく、70mg~250mgがさらに好ましい。デキストランはその種類について特に限定されないが、デキストラン40が好ましい。
メグルミンを含有する場合には、10mg~400mgが好ましく、30mg~200mgがより好ましく、50mg~150mgがさらに好ましい。
マクロゴールを含有する場合には、10mg~500mgが好ましく、50mg~300mgがより好ましく、70mg~250mgがさらに好ましい。マクロゴールはその種類について特に限定されないが、マクロゴール4000が好ましい。
L-ヒスチジンを含有する場合には、10mg~500mgが好ましく、50mg~300mgがより好ましく、70mg~250mgがさらに好ましい。
【0010】
なお、上述した安定化剤以外に、当該分野で公知の安定化剤をさらに含んでもよい。このような安定化剤としては、特開2004-10511号公報、特開平05-306235号公報及び特表2001-525372号公報等に例示されたもの等が挙げられる。上述した安定化剤以外の安定化剤は、ダプトマイシンの全質量に対して、0.1質量%~100質量%が挙げられ、0.1質量%~99.99質量%が好ましい。
【0011】
本願のダプトマイシン含有凍結乾燥製剤は、必要に応じて、通常、医薬品に使用される任意の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、pH調整剤、等張化剤、増量剤、酸化防止剤、保存剤/防腐剤、炭水化物、水溶性ポリマー、親水性または疎水性材料、ゼラチン、油等、当該分野で公知の添加剤が挙げられる。
保存剤/防腐剤としては、例えば、クレゾール、ベンジルアルコール、フェノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロロブタノール、フェニルエチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、チメロサール、硝酸及び酢酸フェニル水銀等が挙げられるが、含有しないことが好ましい。
【0012】
本願のダプトマイシン含有凍結乾燥製剤は、ダプトマイシンと、L-アルギニン、イノシトール、デキストラン、メグルミン、マクロゴール及びL-ヒスチジンから選ばれる一種または二種以上の安定化剤と、任意に添加剤等とを含む溶液を調製し、これを無菌濾過後バイアルに充てんし、常法に基づいて凍結乾燥することにより製造することができる。
溶液の調製は、当該分野で公知の方法によって行えばよい。例えば、ダプトマイシン等を水性媒体に常温で又は冷却しながら溶解させる。溶解は、手動で行ってもよいし、攪拌機等を用いてもよい。溶液の調製は、金属容器を用いてもよいし、ガラス及びプラスチック等の非金属容器を用いてもよい。水性媒体としては、注射用水、注射用蒸留水、生理食塩液、緩衝液及び補液(電解質輸液等の輸液)等が挙げられるが、注射用蒸留水が好ましい。
得られた溶液のpHは、薬剤安定性の観点からpH5.5~7.5であることが好ましく、6.0~7.0であることがより好ましい。pHは、塩酸等の酸又は水酸化ナトリウム等のアルカリを用いて調整することができる。また、薬学的に許容し得る緩衝液を用いてもよい。
水性媒体は、例えば、ダプトマイシンの全質量に対して、2ml~6mlを用いることができる。また、別の観点から、ダプトマイシンの濃度を50w/v%~275w/v%となるように用いてもよい。
水性媒体を冷却しながらダプトマイシン等を溶解させることが好ましい。冷却は、例えば、20℃以下が挙げられ、15℃以下が好ましい。
冷却は、後述するように次工程で凍結乾燥機を利用する場合には、その凍結乾燥機への移載中に及び/又は乾燥機内で行ってもよい。
無菌濾過は、例えば、フィルタを用いて行なうことができる。得られた溶液を、孔径0.2μm~0.45μm、例えば、孔径0.22μmフィルタで濾過すればよい。フィルタは、例えば、ポリフッ化ビニリデン製のカートリッジフィルタを用いることができる。ろ過滅菌は、液体中に含有される伝染性作用物質(真菌、細菌、ウイルス、胞子形態など)を含むすべての微生物生命形態を除去するか又は死滅させる、任意のプロセスを包含する。フィルタは異なる孔径を有するものを2種以上用いてもよい。通常、孔径0.22μmのフィルタは、精密濾過として、微生物を除去することができる。滅菌は当該分野で公知の方法によって行うことができる。滅菌は、熱、化学物質、放射線照射、高圧、高圧蒸気等を利用することができるが、熱負荷を伴わない滅菌方法を採用することが好ましい。
【0013】
冷却したダプトマイシンを含有する溶液の凍結乾燥は、通常適用される条件下で、トレー凍結乾燥、スプレー凍結乾燥、バイアル/シリンジ凍結乾燥等の公知の凍結乾燥法を採用して行なうことができる。そのために、これらの凍結乾燥法を実施することができる凍結乾燥機を利用することが好ましい。凍結乾燥では、通常、凍結乾燥物の水分含量が3.0質量%以下となるように乾燥することが好ましく、2.0質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下がさらに好ましい。
【0014】
凍結乾燥製剤は、バイアル、シリンジ等の容器に充填された製剤とすることが好ましい。特に、使用時の簡易操作の観点から、凍結乾燥製剤は、例えば、ダブルチャンバー又はシングルチャンバーのプレフィルドシリンジの形態とすることが好ましい。この場合、1製剤あたり、例えば、300mg~550mgのダプトマイシンを含有することが好ましい。
バイアル、シリンジ等の容器は、ガラス製又はプラスチック製のいずれでもよい。なかでも、ガラス製又はオレフィン系のプラスチックが好ましい。プラスチックとしては、特に、シクロオレフィンポリマー、ポリエチレン及びポリプロピレンが好ましく、シクロオレフィンポリマー及びポリプロピレンがより好ましい。なお、上述したダプトマイシンを含有する場合には、10mL~20mLの容器を用いることが挙げられ、10mLの容器を用いることが好ましい。
【0015】
バイアル、シリンジ等は、通常、さらに包装体に包囲して保存することが好ましい。また、バイアル、シリンジ等の外側に脱酸素剤を配置することが好ましい。
包装体の材質は水蒸気及び/又は酸素の透過性が低いものが好ましい。例えば、酸素透過性が1mL/m・日・atm以下及び/又は水蒸気透過速度が1g/平方メートル・日以下であるものがより好ましい。このような包装体は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリオレフィンのような各種樹脂(アルミニウム蒸着品を含む)の単層構造又は積層構造等からなる樹脂製の袋が挙げられる。
【0016】
本願のダプトマイシン含有凍結乾燥製剤は、例えば、静脈内使用のために、1製剤において、約500mg又は350mgのダプトマイシンを含有し、無菌で、微黄色から淡褐色の凍結乾燥ケーキ(塊又は粉末)として、上述した容器で供給することができる。
本願のダプトマイシン含有凍結乾燥製剤は、必要に応じて、上述した水性媒体に再溶解させて、注射液等として使用することができる。この場合、これらの水性媒体中の含有成分、濃度等は、通常の注射剤に使用されるものを採用することができる。
再溶解後のダプトマイシンを含有する溶液のpHは、薬剤安定性の観点からpH5.5~7.5であることが好ましい。
本願のダプトマイシン含有の凍結乾燥製剤によれば、室温での保存においても長期にわたって、安定性を確保することができる。また、再溶解時において迅速な溶解を期待することができる。
【実施例
【0017】
以下に、本願の凍結乾燥製剤について、実施例を挙げてより詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例
以下の表1に示す組成で、薬液を調製した。以下の表1における安定化剤としては、L-アルギニン、イノシトール、デキストラン40、マクロゴール4000、ヒスチジン、ラクトース、D-ソルビトール、D-マンニトール、キシリトール及びグリシンを、表2に示す分量で添加した。
まず、水酸化ナトリウム(適量)を加えた注射用蒸留水(10℃に冷却)にダプトマイシンを溶解後、水酸化ナトリウム溶液を加えてpHを4.7に調整し、次いで注射用蒸留水で希釈し、ダプトマイシン原液とした(ダプトマイシン濃度110.25mg/mL)。その後、表2の分量に適合させて、ダプトマイシン原液に各添加剤を加えて溶解し、さらに、塩酸溶液(適量)又は水酸化ナトリウム溶液(適量)を加えて、pHを6.8~7.1に調整し、次いで注射用蒸留水で希釈した(ダプトマイシン濃度91.875mg/mL)。
得られた水溶液をろ過滅菌処理し、冷却した水溶液を、10mLのガラスバイアル(ニプロ製)に、ダプトマイシンが367.5mg含有されるように充填し、凍結乾燥機を利用して凍結乾燥を行い、ゴム栓により施栓してアルミニウム製のキャップにて巻き締めして、凍結乾燥製剤を製造した。
【表1】

【表2】

なお、参考例として、上記組成のうち、安定化剤を含まない以外、同様の方法で凍結乾燥製剤を製造した。
得られた凍結乾燥製剤を60℃の温度下で21日間保存した後の総類縁物質の増加量を測定した。その結果を表3に示す。なお、表3においては、添加剤を用いずに製造した凍結乾燥性剤の増加量を1として、以下の式によって算出した値を表した。
(1)増加量の算出
(各添加剤「60℃21日における総類縁物質量」-各添加剤「開始時の量」)/(添加剤なし「60℃21日における総類縁物質量」-添加剤なし「開始時の量」)
【表3】
【0018】
(2)総類縁物質の測定方法
実施例又は比較例によって得られた凍結乾燥製剤を水7mLに再溶解した。この溶液を水/アセトニトリル混液(2:1)で50倍希釈した液10μLを試験に供し、総類縁物質の経時変化を測定した。
<検出条件>
機器名:高速液体クロマトグラフ装置
検出器:紫外吸光光度計(波長:221nm)
カラム:250×4.6mmI.D.オクチルシリカゲル
カラム温度:30℃付近の一定温度
移動相A:0.34%リン酸アンモニウム緩衝液(pH3.1)
移動相B:アセトニトリル
移動相の送液:移動相A及び移動相Bの混合比を次のように変えて濃度勾配を制御した。

流 量:1mL/min.
上記の検出条件で、各サンプルの各々のピーク面積を自動積分法により測定し、得られた総類縁物質の割合(%)を得た。
【0019】
表2に示した添加剤のうち、L-アルギニン、イノシトール、デキストラン40及びL-ヒスチジンは、いずれも、添加剤を用いずに製造した凍結乾燥製剤に対して、総類縁物質及びラクトン加水分解物の双方の増加を顕著に抑制することが確認された。マクロゴール4000については、添加剤を用いずに製造した凍結乾燥性剤に対して、総類縁物質の増加を顕著に抑制することが確認された。
【0020】
試験例
上記安定化剤のうち、最も効果が顕著であったL-アルギニンについて、添加量を、350mg、400mg及び500mgとして、凍結乾燥製剤を製造した。なお、検体は、10℃の塩酸溶液にL-アルギニンを溶解後、ダプトマシンを溶解し、塩酸溶液でpHを6.8に合わせた(水酸化ナトリウム不使用)。それ以外は前記実施例と同様の方法で凍結乾燥製剤を製造した。
なお、(特許文献1:特表2013-511557号公報にショ糖が記載されていたことから)比較例として、L-アルギニンに代えて、ショ糖を524mg添加して、凍結乾燥製剤を製造した。ただし、塩酸溶液に代えて水酸化ナトリウム溶液を用い、pHは7.0に合わせた。
得られた凍結乾燥製剤を60℃にて21日間保存した後の総類縁物質の増加量及び再溶解時間を評価した。その結果を表4に、総類縁物質の増加量の評価結果を図1に示す。
【表4】

表4及び図1から明らかなように、ダプトマイシンを含有する溶液において、安定化剤としてL-アルギニンを用いる場合には、L-アルギニンの添加量の増大に伴って、総類縁物質の発生を抑え、総類縁物質の経時的な増加を防止することができることが確認された。また、L-アルギニンの添加によって、比較的迅速にダプトマイシン含有凍結乾燥製剤を再溶解できることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本願のダプトマイシン含有凍結乾燥製剤は、室温で保存できるほどに安定化させることができる。
図1