(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】樹脂組成物、光ファイバ及び光ファイバの製造方法
(51)【国際特許分類】
C03C 25/326 20180101AFI20241106BHJP
C03C 25/1065 20180101ALI20241106BHJP
C08F 290/00 20060101ALI20241106BHJP
C08F 290/06 20060101ALI20241106BHJP
C08G 18/40 20060101ALI20241106BHJP
G02B 6/44 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
C03C25/326
C03C25/1065
C08F290/00
C08F290/06
C08G18/40
G02B6/44 301A
G02B6/44 331
(21)【出願番号】P 2021570682
(86)(22)【出願日】2020-12-08
(86)【国際出願番号】 JP2020045662
(87)【国際公開番号】W WO2021145104
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2023-10-23
(31)【優先権主張番号】P 2020003518
(32)【優先日】2020-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】本間 祐也
【審査官】三村 潤一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-235814(JP,A)
【文献】特開2008-247981(JP,A)
【文献】特開2009-227988(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0372971(US,A1)
【文献】特開昭63-085030(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 25/00 - 25/70
C08G 18/00 - 18/87
C08G 71/00 - 71/04
C08F 290/06
G02B 6/00 - 6/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
数平均分子量が10000以上40000以下の水酸基含有ウレタン化合物と、光重合性化合物と、光重合開始剤とを含有する樹脂組成物であり、
前記水酸基含有ウレタン化合物の含有量が、前記樹脂組成物の総量100質量部を基準として、0.05質量部以上10質量部以下であり、前記水酸基含有ウレタン化合物が、数平均分子量が1800以上4500以下のポリオールと、ジイソシアネートとの反応物である、光ファイバのセカンダリ被覆用の樹脂組成物。
【請求項2】
前記光重合性化合物が、数平均分子量が1000以上6000以下のウレタン(メタ)アクリレートを含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記ウレタン(メタ)アクリレートが、数平均分子量が350以上2500以下のポリオールと、ジイソシアネートと、水酸基含有(メタ)アクリレートとの反応物である、請求項2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記光重合性化合物が、エポキシ(メタ)アクリレートを更に含む、請求項2又は請求項3に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記エポキシ(メタ)アクリレートが、芳香環を有する、請求項4に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
コア及びクラッドを含むガラスファイバと、
前記ガラスファイバに接して前記ガラスファイバを被覆するプライマリ樹脂層と、
前記プライマリ樹脂層を被覆するセカンダリ樹脂層と、を備え、
前記セカンダリ樹脂層が、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の樹脂組成物の硬化物を含む、光ファイバ。
【請求項7】
コア及びクラッドを含むガラスファイバの外周に、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の樹脂組成物を塗布する塗布工程と、
前記塗布工程の後に紫外線を照射することにより前記樹脂組成物を硬化させる硬化工程と、
を含む、光ファイバの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光ファイバのセカンダリ被覆用の樹脂組成物、光ファイバ及び光ファイバの製造方法に関する。
本出願は、2020年1月14日出願の日本出願第2020-003518号に基づく優先権を主張し、前記日本出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、光ファイバは、光伝送体であるガラスファイバを保護するための被覆樹脂層を備えている。被覆樹脂層は、例えば、ガラスファイバと接するプライマリ樹脂層と、プライマリ樹脂層の外層に形成されるセカンダリ樹脂層の2層から構成される。セカンダリ樹脂層には、光ファイバの外傷を防止すると共に、光ファイバの取扱性を向上するために、表面の滑り性、耐傷つき性、タック防止性等が求められる。
【0003】
例えば、特許文献1及び2には、シリコーン化合物を含有する樹脂組成物を用いて樹脂層を形成することで、表面滑り性を向上することが開示されている。また、特許文献3及び4には、特定のウレタン(メタ)アクリレートを含有する樹脂組成物を用いて樹脂層を形成することで、タック防止性を向上することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-278850号公報
【文献】特開平9-328632号公報
【文献】特開2006-36989号公報
【文献】特開2005-89586号公報
【発明の概要】
【0005】
本開示の一態様に係る光ファイバのセカンダリ被覆用の樹脂組成物は、数平均分子量が10000以上40000以下の水酸基含有ウレタン化合物と、光重合性化合物と、光重合開始剤とを含有する樹脂組成物であり、水酸基含有ウレタン化合物の含有量が、樹脂組成物の総量100質量部を基準として、0.05質量部以上10質量部以下であり、上記水酸基含有ウレタン化合物は、数平均分子量が1800以上4500以下のポリオールと、ジイソシアネートとの反応物である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る光ファイバの一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[本開示が解決しようとする課題]
光ファイバの生産ラインにおいて、ガイドローラーとの接触、スクリーニング試験(光ファイバに数kgの引張負荷をかけ、予め低強度部を取り除く試験)等の外力により、被覆樹脂層の表面の滑り性が徐々に悪化し、光ファイバをボビンに巻き取る際に蛇行してしまい、光ファイバの生産性が低下することがある。光ファイバの生産性を向上するため、セカンダリ樹脂層には、光ファイバに外力が加わった際に、表面の滑り性及び耐摩耗性に優れることが求められている。
【0008】
本開示は、光ファイバに外力が加わった際に、表面の滑り性及び耐摩耗性に優れる光ファイバのセカンダリ被覆用の樹脂組成物、及び生産性に優れる光ファイバを提供することを目的とする。
【0009】
[本開示の効果]
本開示によれば、光ファイバに外力が加わった際に、表面の滑り性及び耐摩耗性に優れる光ファイバのセカンダリ被覆用の樹脂組成物、及び生産性に優れる光ファイバを提供することができる。
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。本開示の一態様に係る光ファイバのセカンダリ被覆用の樹脂組成物は、数平均分子量が10000以上40000以下の水酸基含有ウレタン化合物と、光重合性化合物と、光重合開始剤とを含有する樹脂組成物であり、上記水酸基含有ウレタン化合物の含有量が、樹脂組成物の総量100質量部を基準として、0.05質量部以上10質量部以下であり、上記水酸基含有ウレタン化合物は、数平均分子量が1800以上4500以下のポリオールと、ジイソシアネートとの反応物である。
【0011】
このような樹脂組成物は、光ファイバに外力が加わった際に、表面の滑り性及び耐摩耗性に優れるセカンダリ樹脂層を形成することができるため、光ファイバの生産性を向上することができる。
【0012】
セカンダリ樹脂層に適度な靭性を付与することから、光重合性化合物は、数平均分子量が1000以上6000以下のウレタン(メタ)アクリレートを含んでもよい。
【0013】
より強靱な樹脂層を形成することから、ウレタン(メタ)アクリレートは、数平均分子量が350以上2500以下のポリオールと、ジイソシアネートと、水酸基含有(メタ)アクリレートとの反応物であってもよい。
【0014】
セカンダリ樹脂層により適度な靱性を付与することから、光重合性化合物はエポキシ(メタ)アクリレートを更に含んでもよい。耐摩耗性をより向上することから、エポキシ(メタ)アクリレートは芳香環を有してもよい。
【0015】
本開示の一態様に係る光ファイバは、コア及びクラッドを含むガラスファイバと、ガラスファイバに接して該ガラスファイバを被覆するプライマリ樹脂層と、プライマリ樹脂層を被覆するセカンダリ樹脂層とを備え、セカンダリ樹脂層が、上記樹脂組成物の硬化物を含む。このような光ファイバは、表面の滑り性及び耐摩耗性に優れ、光ファイバの生産性を向上することができる。
【0016】
本開示の一態様に係る光ファイバの製造方法は、コア及びクラッドを含むガラスファイバの外周に、上記樹脂組成物を塗布する塗布工程と、塗布工程の後に紫外線を照射することにより樹脂組成物を硬化させる硬化工程と、を含む。これにより、表面の滑り性及び耐摩耗性に優れる光ファイバを作製することができる。
【0017】
[本開示の実施形態の詳細]
本実施形態に係る樹脂組成物及び光ファイバの具体例を、必要により図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されず、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
(樹脂組成物)
本実施形態に係る樹脂組成物は、水酸基含有ウレタン化合物と、光重合性化合物と、光重合開始剤とを含有する。
【0019】
本実施形態に係る水酸基含有ウレタン化合物は、数平均分子量(Mn)が10000以上40000以下であり、水酸基を有するウレタン化合物(以下、「水酸基含有ウレタン化合物(A)」という。)である。水酸基含有ウレタン化合物(A)のMnは、11000以上40000以下が好ましく、12000以上39000以下がより好ましい。水酸基含有ウレタン化合物(A)のMnが10000未満では表面の滑り性及び耐摩耗性が低下する傾向にあり、Mnが40000を超えると樹脂組成物が白濁し易くなる。
【0020】
水酸基含有ウレタン化合物(A)は、Mnが1800以上4500以下のポリオールと、ジイソシアネートとの反応物である。水酸基含有ウレタン化合物(A)は、Mnが1800以上4500以下のポリオールとジイソシアネートとの反応に基づくウレタン構造と、該ウレタン構造の末端に結合する水酸基とを有している。水酸基含有ウレタン化合物(A)は、(メタ)アクリロイル基等の光重合性基を有しない化合物である。
【0021】
ポリオールとしては、例えば、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール、及びビスフェノールA・エチレンオキサイド付加ジオールが挙げられる。中でも、ポリオールとして、ポリプロピレングリコールを用いることが好ましい。
【0022】
ジイソシアネートとしては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、及びトリメチルヘキサメチレンジイソシアネートが挙げられる。
【0023】
水酸基含有ウレタン化合物(A)は、ポリオールとジイソシアネートとを、ポリオールの水酸基(OH)とジイソシアネートのイソシアネート基(NCO)とのモル比(OH/NCO)が1.1以上1.8以下で反応させることで得ることができる。OH/NCOが上記範囲にあると、水酸基含有ウレタン化合物(A)に含まれるウレタン結合の割合が多くなるため、水酸基含有ウレタン化合物(A)同士又はその他の材料との水素結合が強くなり、光ファイバに外力が加わった後でも、良好な表面性を持続することができる。
【0024】
ウレタン結合の割合を調整した水酸基含有ウレタン化合物(A)の合成がし易いことから水酸基含有ウレタン化合物(A)を構成するポリオールのMnは、1800以上であり、2000以上が好ましく、2500以上がより好ましい。水酸基含有ウレタン化合物(A)に含まれるウレタン結合の割合が増えて、良好な表面性を有するセカンダリ樹脂層を形成し易くなることから、ポリオールのMnは、4500以下であり、4000以下が好ましく、3500以下がより好ましい。
【0025】
以下、水酸基含有ウレタン化合物(A)の調製について、具体例を挙げて説明する。例えば、ポリオールとしてポリプロピレングリコール、ジイソシアネートとして2,4-トリレンジイソシアネートを使用する。ポリプロピレングリコールと2,4-トリレンジイソシアネートとを、OH/NCOが1.1以上1.8以下となるモル比で反応させて、水酸基を末端に有するウレタン化合物を合成する。水酸基含有ウレタン化合物(A)は以下の式(1)で表すことができる。
HO-(P-U-I-U)m-P-OH (1)
ここで、HO及びOHは水酸基を、Uはウレタン結合を、Iは2,4-トリレンジイソシアネートの残基を、Pはポリプロピレングリコールの残基を表し、mは1以上の整数である。mはOH/NCOを変えることで、ウレタン化合物が有するウレタン結合の割合を変えることができる。OH/NCOが小さいほど、mが大きくなり、OH/NCOが大きいほど、mは小さくなる。
【0026】
表面の滑り性及び耐摩耗性を向上する観点から、水酸基含有ウレタン化合物(A)の含有量は、樹脂組成物の総量(100質量部)を基準として0.05質量部以上であり、0.1質量部以上が好ましく、0.2質量部以上がより好ましく、0.3質量部以上が更に好ましい。セカンダリ樹脂層のヤング率の低下を抑制する観点から、水酸基含有ウレタン化合物(A)の含有量は、樹脂組成物の総量を基準として10質量部以下であり、8質量部以下が好ましく、6質量部以下がより好ましく、5質量部以下が更に好ましい。
【0027】
強靱なセカンダリ樹脂層を形成する観点から、本実施形態に係る光重合性化合物は、Mnが1000以上6000以下のウレタン(メタ)アクリレート(以下、「ウレタン(メタ)アクリレート(B)」という。)を含んでもよい。ウレタン(メタ)アクリレート(B)のMnは、1050以上5800以下が好ましく、1100以上5500以下がより好ましい。ウレタン(メタ)アクリレート(B)のMnが1000以上であると、強靭なセカンダリ樹脂層を形成し易くなり、6000以下であると、セカンダリ樹脂層のヤング率を高め易くなる。
【0028】
ここで、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はそれに対応するメタクリレートを意味する。(メタ)アクリロイル等の他の類似表現についても同様である。
【0029】
ウレタン(メタ)アクリレート(B)は、Mnが350以上2500以下のポリオールと、ジイソシアネートと、水酸基含有(メタ)アクリレートとの反応物であってもよい。ウレタン(メタ)アクリレート(B)は、Mnが350以上2500以下のポリオールとジイソシアネートとの反応に基づくウレタン構造と、該ウレタン構造の末端に結合する(メタ)アクリロイル基とを有していることが好ましい。
【0030】
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルー2-ヒドロキシエチルフタル酸、2-ヒドロキシ-O-フェニルフェノールプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-メタクリルプロピルアクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、及びペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0031】
ウレタン(メタ)アクリレート(B)は、Mnが350以上2500以下のポリオールとジイソシアネートとを、NCO/OHが1.5以上4以下で反応させた後、OH含有(メタ)アクリレートを反応させることで得ることができる。NCO/OHが上記範囲にあると、強靱なセカンダリ樹脂層を形成し易くなる。
【0032】
以下、ウレタン(メタ)アクリレート(B)の調製について、具体例を挙げて説明する。例えば、ポリオールとしてポリプロピレングリコール、ジイソシアネートとして2,4-トリレンジイソシアネート、水酸基含有(メタ)アクリレートとして2-ヒドロキシエチルアクリレートを使用する。まず、ポリプロピレングリコールと2,4-トリレンジイソシアネートを反応させ、NCO末端プレポリマーを合成する。次いで、NCO末端プレポリマーと2-ヒドロキシエチルアクリレートを反応させ、ウレタンアクリレートを合成する。ウレタンアクリレート(B)は、以下の式(2)で表すことができる。
A-(U-I-U-P)n-U-I-U-A (2)
ここで、Aは2-ヒドロキシエチルアクリレートの残基を、Uはウレタン結合を、Iは2,4-トリレンジイソシアネートの残基を、Pはポリプロピレングリコールの残基を表し、nは1以上の整数である。nはNCO/OHを変えることで、ウレタンアクリレートが有するウレタン結合の割合を変えることができる。NCO/OHが小さいほど、nが大きくなり、NCO/OHが大きいほど、nは小さくなる。
【0033】
セカンダリ樹脂層の靱性を向上する観点から、ウレタン(メタ)アクリレート(B)を構成するポリオールのMnは、400以上2200以下がより好ましく、500以上2000以下が更に好ましい。
【0034】
セカンダリ樹脂層の靱性を向上する観点から、ウレタン(メタ)アクリレート(B)の含有量は、樹脂組成物の総量を基準として5質量部以上60質量部以下が好ましく、10質量部以上50質量部以下がより好ましい。
【0035】
水酸基含有ウレタン化合物(A)及びウレタン(メタ)アクリレート(B)を合成する際の触媒として、有機スズ化合物又はアミン化合物が使用される。有機スズ化合物としては、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズマレート、ジブチルスズビス(メルカプト酢酸2-エチルヘキシル)、ジブチルスズビス(メルカプト酢酸イソオクチル)、及びジブチルスズオキシドが挙げられる。易入手性又は触媒性能の点から、触媒としてジブチルスズジラウレート又はジブチルスズジアセテートを使用することが好ましい。
【0036】
セカンダリ樹脂層に適度な靱性を付与することから、本実施形態に係る光重合性化合物は、エポキシ(メタ)アクリレートを更に含んでもよい。エポキシ(メタ)アクリレートは、グリシジル基を2以上有するエポキシ化合物に(メタ)アクリロイル基を有する化合物を反応させて得られる化合物である。
【0037】
耐摩耗性をより向上することから、エポキシ(メタ)アクリレートは、芳香環を有することが好ましい。芳香環を有するエポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ノボラックエポキシ(メタ)アクリレート、大阪有機化学工業株式会社製の商品名「ビスコート#540」、共栄社化学株式会社製の商品名「エポキシエステル3002M」、「エポキシエステル3002A」、「エポキシエステル3000MK」、「エポキシエステル3000A」等が挙げられる。
【0038】
セカンダリ樹脂層に柔軟性を付与することから、本実施形態に係る光重合性化合物は、芳香環を有しないエポキシ(メタ)アクリレートを更に含んでもよい。芳香環を有しないエポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、共栄社化学株式会社製の商品名「エポキシエステル40EM」、「エポキシエステル70PA」、「エポキシエステル200PA」、「エポキシエステル80MFA」等が挙げられる。
【0039】
エポキシ(メタ)アクリレートの含有量は、樹脂組成物の総量を基準として5質量部以上、10質量部以上又は20質量部以上であってよく、70質量部以下、65質量部以下又は60質量部以下であってよい。
【0040】
本実施形態に係る光重合性化合物は、ウレタン(メタ)アクリレート及びエポキシ(メタ)アクリレート以外の光重合性化合物(以下、「モノマー」という。)を更に含んでもよい。モノマーとしては、光重合性のエチレン性不飽和基を1つ有する単官能モノマー、エチレン性不飽和基を2つ以上有する多官能モノマーを用いることができる。モノマーは、2種以上を混合して用いてもよい。
【0041】
単官能モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、s-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ノニルフェノールポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(例えば、Sartomer製の商品名「SR504」)、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、3-フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、メチルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、m-フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート等の(メタ)アクリレート系モノマー;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ダイマー、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトン(メタ)アクリレート等のカルボキシル基含有モノマー;N-アクリロイルモルホリン、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、3-(3-ピリジニル)プロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド・塩化メチル塩、ダイアセトンアクリルアミド、N-アクリロイルピペリジン、N-メタクリロイルピペリジン、N-アクリロイルピロリジン、マレイミド、N-シクロへキシルマレイミド、N-フェニルマレイミド、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t-ブチルアミノエチル等の含窒素モノマーが挙げられる。
【0042】
多官能モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,14-テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,16-ヘキサデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,20-エイコサンジオールジ(メタ)アクリレート、イソペンチルジオールジ(メタ)アクリレート、3-エチル-1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカノールジ(メタ)アクリレート、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジ(メタ)アクリレート(例えば、大阪有機化学工業株式会社製の商品名「ビスコート#700HV」)等の2官能モノマー;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールオクタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリロイルオキシエチル]イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールポリエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールポリプロポキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリス[(メタ)アクリロイルオキシエチル]イソシアヌレート等の3官能以上のモノマーが挙げられる。
【0043】
光重合開始剤としては、公知のラジカル光重合開始剤の中から適宜選択して使用することができる。光重合開始剤として、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Omnirad 184、IGM Resins社製)、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Omnirad 651、IGM Resins社製)、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(Omnirad TPO、IGM Resins社製)、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィネート(Omnirad TPO-L、IGM Resins社製)、2-ベンゾイル-2-ジメチルアミノ-4’-モルホリノブチロフェノン(Omnirad TPO369、IGM Resins社製)、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン(Omnirad TPO379、IGM Resins社製)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(Omnirad 819、IGM Resins社製)、及び2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン(Omnirad 907、IGM Resins社製)が挙げられる。
【0044】
光重合開始剤は、2種以上を混合して用いてもよい。樹脂組成物の速硬化性に優れることから、光重合開始剤は、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドを含むことが好ましい。
【0045】
光重合開始剤の含有量は、樹脂組成物の総量を基準として0.2質量部以上5質量部以下が好ましく、0.4質量部以上3質量部以下がより好ましく、0.5質量部以上2質量部以下が更に好ましい。
【0046】
本実施形態に係る樹脂組成物は、光酸発生剤、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤等を更に含有してもよい。
【0047】
光酸発生剤としては、A+B-の構造をしたオニウム塩を用いてもよい。光酸発生剤としては、例えば、CPI-100P、110P(サンアプロ株式会社製)、Omnicat 270、290(IGM Resins社製)等のスルホニウム塩、Omnicat 250(IGM Resins社製)、WPI-113、116、124、169、170(富士フイルム和光純薬株式会社製)等のヨードニウム塩が挙げられる。
【0048】
(光ファイバ)
図1は、本実施形態に係る光ファイバの一例を示す概略断面図である。光ファイバ10は、コア11及びクラッド12を含むガラスファイバ13と、ガラスファイバ13の外周に設けられたプライマリ樹脂層14及びセカンダリ樹脂層15を含む被覆樹脂層16とを備えている。
【0049】
クラッド12はコア11を取り囲んでいる。コア11及びクラッド12は石英ガラス等のガラスを主に含み、例えば、コア11にはゲルマニウムを添加した石英ガラス、又は、純石英ガラスを用いることができ、クラッド12には純石英ガラス、又は、フッ素が添加された石英ガラスを用いることができる。
【0050】
図1において、例えば、ガラスファイバ13の外径(D2)は100μmから125μm程度である。ガラスファイバ13を構成するコア11の直径(D1)は、7μmから15μm程度である。
【0051】
被覆樹脂層16の厚さは、通常、60μmから70μm程度である。プライマリ樹脂層14及びセカンダリ樹脂層15の各層の厚さは、20μmから40μm程度であってもよく、例えば、プライマリ樹脂層14の厚さが35μmで、セカンダリ樹脂層15の厚さが25μmであってもよい。光ファイバを多数集合してケーブルとする場合には、光ファイバの被覆径が細いことが好ましい。その場合、被覆樹脂層16の総厚は30μm以上40μm以下であることが好ましく、プライマリ樹脂層とセカンダリ樹脂層の厚さはそれぞれ10μm以上30μm以下とすることができる。
【0052】
本実施形態に係る樹脂組成物は、セカンダリ樹脂層に適用することで、生産性に優れる光ファイバを作製することができる。
【0053】
本実施形態に係る光ファイバの製造方法は、コア及びクラッドを含むガラスファイバの外周に、上記樹脂組成物を塗布する塗布工程と、塗布工程の後に紫外線を照射することにより樹脂組成物を硬化させる硬化工程と、を含む。
【0054】
光ファイバの耐マイクロベンド特性を向上する観点から、セカンダリ樹脂層のヤング率は、23℃±2℃で500MPa以上であることが好ましく、800MPa以上であることがより好ましい。セカンダリ樹脂層のヤング率の上限値は特に制限されないが、セカンダリ樹脂層に適度の靱性を付与する観点から、23℃±2℃で3000MPa以下、2500MPa以下、2000MPa以下、又は1500MPa以下であってもよい。
【0055】
セカンダリ樹脂層のヤング率は、以下の方法で測定することができる。まず、光ファイバをアセトンとエタノールの混合溶剤に浸漬し、被覆樹脂層のみを筒状に抜き出す。この際、プライマリ樹脂層とセカンダリ樹脂層は一体となっているが、プライマリ樹脂層のヤング率はセカンダリ樹脂層の1/1000~1/10000のヤング率であるため、プライマリ樹脂層のヤング率は無視することができる。次に、被覆樹脂層から真空乾燥により溶剤を除いた後、23℃で引張試験(引張速度は1mm/分)を行い、2.5%歪の割線式によりヤング率を求めることができる。
【0056】
プライマリ樹脂層14は、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、モノマー、光重合開始剤等を含む樹脂組成物を硬化させて形成することができる。プライマリ樹脂層を形成する樹脂組成物は、セカンダリ被覆用の樹脂組成物と異なる組成を有している。プライマリ被覆用の樹脂組成物は、従来公知の技術を用いて調製することができる。
【0057】
プライマリ樹脂層のヤング率は0.5MPa以下であることが好ましい。プライマリ樹脂層のヤング率が0.5MPaを超えると、外力がガラスファイバに伝わり易くなり、マイクロベンドによる伝送損失増が大きくなる場合がある。
【0058】
光ファイバを複数本並列し、リボン用樹脂で一体化して光ファイバリボンとする場合がある。本開示に係る樹脂組成物はリボン用樹脂として使用することもできる。これにより、光ファイバと同様に光ファイバリボンに外力が加わった際の、表面の滑り性及び耐摩耗性を向上することができる。
【実施例】
【0059】
以下、本開示に係る実施例及び比較例を用いた評価試験の結果を示し、本開示を更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら実施例に限定されない。
【0060】
[水酸基含有ウレタン化合物の合成]
(A-1)
Mn4000のポリプロピレングリコール(PPG4000)と2,4-トリレンジイソシアネート(TDI)とを、NCOとOHのモル比(OH/NCO)が1.8となるように配合し、触媒として、ジブチルスズジラウレートを最終的な全仕込み量に対して、200ppm添加した。PPG4000とTDAとを80℃で1時間反応させ、Mn10700の水酸基含有ウレタン化合物(A-1)を得た。
【0061】
(A-2)
Mn3000のポリプロピレングリコール(PPG3000)とTDIとをOH/NCOが1.5となるように配合した以外は(A-1)の合成と同様にして、Mn13100の水酸基含有ウレタン化合物(A-2)を得た。
【0062】
(A-3)
Mn2000のポリプロピレングリコール(PPG2000)とTDIとをOH/NCOが1.2となるように配合した以外は(A-1)の合成と同様にして、Mn15600の水酸基含有ウレタン化合物(A-3)を得た。
【0063】
(A-4)
PPG3000とTDIとをOH/NCOが1.1となるように配合した以外は(A-1)の合成と同様にして、Mn37800の水酸基含有ウレタン化合物(A-4)を得た。
【0064】
(Z-1)
PPG3000とTDIとをOH/NCOが2.0となるように配合した以外は(A-1)の合成と同様にして、Mn6500の水酸基含有ウレタン化合物(Z-1)を得た。
【0065】
(Z-2)
PPG4000とTDIとをOH/NCOが2.0となるように配合した以外は(A-1)の合成と同様にして、Mn8100の水酸基含有ウレタン化合物(Z-2)を得た。
【0066】
[ウレタンアクリレートの合成]
(B-1)
Mn400のポリプロピレングリコール(PPG400)とイソホロンジイソシアネート(IPDI)をNCO/OHが1.5で反応させ、NCO末端プレポリマーを調製した。触媒として、ジブチルスズジラウレートを最終的な全仕込み量に対して、200ppm添加した。次に、NCO末端プレポリマーのNCOに対して、2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)のOHのモル比が1.05となるようにHEAを添加し、80℃で1時間反応させて、Mn1900のウレタンアクリレート(B-1)を得た。
【0067】
(B-2)
Mn600のポリプロピレングリコール(PPG600)とTDIとをNCO/OHが2.0で反応させ、NCO末端プレポリマーを調製した以外は(B-1)の合成と同様にして、Mn2200のウレタンアクリレート(B-2)を得た。
【0068】
(B-3)
PPG600とTDIとをNCO/OHが4.0で反応させ、NCO末端プレポリマーを調製した以外は(B-1)の合成と同様にして、Mn1100のウレタンアクリレート(B-3)を得た。
【0069】
(B-4)
PPG2000とTDIとをNCO/OHが2.0で反応させ、NCO末端プレポリマーを調製した以外は(B-1)の合成と同様にして、Mn5400のウレタンアクリレート(B-4)を得た。
【0070】
(B-5)
PPG3000とIPDIとをNCO/OHが1.5で反応させ、NCO末端プレポリマーを調製した以外は(B-1)の合成と同様にして、Mn10800のウレタンアクリレート(B-5)を得た。
【0071】
水酸基含有ウレタン化合物及びウレタンアクリレートのMnは、Waters製のACQUITY APC RIシステムを用い、サンプル濃度:0.2質量%THF溶液、注入量:20μL、サンプル温度:15℃、移動相:THF、有機溶媒用XTカラム:粒子径2.5μm、ポアサイズ450Å、カラム内径4.6×カラム長150mm+粒子径2.5μm、ポアサイズ125Å、カラム内径4.6×カラム長150mm+粒子径1.7μm、ポアサイズ45Å、カラム内径4.6×カラム長150mm、カラム温度:40℃、流速:0.8mL/分の条件で測定した。
【0072】
[セカンダリ被覆用の樹脂組成物]
表1又は表2に示す配合量(質量部)で、水酸基含有ウレタン化合物、ウレタンアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)、ネオペンチルグリコールジアクリレート(NPGDA)、ビスフェノールAのEO付加物ジアクリレート(ビスコート#700HV)、芳香環を有するエポキシアクリレート(ビスコート#540)、及び2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(Omnirad TPO)を混合して、各実施例及び比較例のセカンダリ被覆用の樹脂組成物を作製した。ただし、比較例1の樹脂組成物は、白濁してしまい、セカンダリ樹脂層の形成に用いることができなかった。
【0073】
(プライマリ被覆用の樹脂組成物)
ウレタンアクリレート(B-5)を70質量部、ノニルフェノールポリエチレングリコールアクリレート(Sartomer製、商品名「SR504」)を19質量部、イソボルニルアクリレートを10質量部、Omnirad TPOを1質量部混合して、プライマリ被覆用の樹脂組成物を得た。
【0074】
[光ファイバの作製]
ガラスファイバ13の外周面に、プライマリ被覆用の樹脂組成物とセカンダリ被覆用の樹脂組成物とをそれぞれ塗布した。次いで、紫外線を照射することでぞれぞれの樹脂組成物を硬化し、プライマリ樹脂層14及びセカンダリ樹脂層15を備える被覆樹脂層16を形成し、光ファイバ10を作製した。プライマリ樹脂層14の厚さを35μm、セカンダリ樹脂層15の厚さを25μmとした。
【0075】
(光ファイバの巻き異常頻度)
光ファイバの生産性を評価するため、巻き異常頻度を測定した。線速1000m/分で、光ファイバを500km巻き替え(50km×10ボビン)、OTDR(光パルス試験器)を用いて、各ボビンの長手の伝送損失を評価した。測定波長は1550nmとした。Point Discontinuitiesが0.05dBを超える箇所(巻き異常頻度)が5か所以下/500kmの光ファイバを合格とした。
【0076】
【0077】
【符号の説明】
【0078】
10 光ファイバ
11 コア
12 クラッド
13 ガラスファイバ
14 プライマリ樹脂層
15 セカンダリ樹脂層
16 被覆樹脂層