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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】光源装置、発光装置及び計測装置
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/062 20060101AFI20241106BHJP
   H01S 5/026 20060101ALI20241106BHJP
   H01S 5/183 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
H01S5/062
H01S5/026
H01S5/183
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022014957
(22)【出願日】2022-02-02
(65)【公開番号】P2023112926
(43)【公開日】2023-08-15
【審査請求日】2024-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】大野 誠治
【審査官】百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-150651(JP,A)
【文献】特開2011-051319(JP,A)
【文献】米国特許第10530125(US,B1)
【文献】特開2012-076407(JP,A)
【文献】特開2020-193843(JP,A)
【文献】特開2018-171773(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00-5/50
H01L 33/00-33/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子を複数備える発光部と、
シフト動作するシフト部と、
前記シフト部をシフト動作させ、前記発光部の発光させる発光素子を設定し、
前記発光素子を発光可能な状態に移行した後に、前記シフト部をオフ状態に移行させ、
前記発光素子を発光させる発光電流を供給する電源の電圧印加側においてオン/オフして当該発光素子を複数回発光させる制御部と
を備える光源装置。
【請求項2】
発光素子を複数備える発光部と、
予め決められた順にオン状態が転送されるシフト素子を複数有したシフト部と、
前記シフト部により前記発光部の発光させる発光素子を設定し、
前記発光素子を発光可能な状態に移行した後に、前記シフト部を複数のシフト素子全てのシフトが完了する前にオフ状態に移行させる制御部と
を備える光源装置。
【請求項3】
前記シフト部は、シフトの開始から終了までを1サイクルとした際に、1サイクルで1つの発光素子を設定する請求項1に記載の光源装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記シフト部により、前記発光部の発光させる発光素子を設定し、当該発光素子が発光可能な状態に移行した後、且つ、当該発光素子の発光を停止する前に当該シフト部をオフ状態に移行させることを特徴とする請求項3に記載の光源装置。
【請求項5】
発光素子を複数備える発光部と、
シフト動作するシフト部と、
前記シフト部により、前記発光部の発光させる発光素子を設定し、当該発光素子が発光可能な状態に移行した後、且つ、当該設定された発光素子が発光を停止する前に当該シフト部をオフ状態に移行させる制御部と
を備える光源装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記発光素子に発光電流の供給を停止しようとしている間に、再度シフト部をオンさせて、次に発光させる発光素子を設定させることを特徴とする請求項5に記載の光源装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記シフト部に供給するシフト信号を接地電位に設定することで、当該シフト部をオフ状態に移行させることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記発光素子への発光電流の供給を停止した後の、再発光が可能な期間において、再び発光電流を供給して発光させることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記発光素子の発光と発光との間において、当該発光素子の再発光が可能な期間を再設定する、前記発光電流に比べて小さい電流のパルスを供給する請求項8に記載の光源装置。
【請求項10】
発光素子を複数備える発光部と、
シフト動作し、前記発光部において発光させる発光素子を設定するシフト部と、を備え、
前記発光素子を発光可能な状態に設定するゲートが、抵抗を介してシフト部の電源線に接続され、
前記抵抗は、前記発光素子を発光可能な状態に移行した後、且つ、当該設定された発光素子が発光を停止する前に、当該抵抗を介して変化する前記ゲートの電圧が、予め定められた再発光が可能な期間において再発光を可能にする値に設定されている
発光装置。
【請求項11】
前記再発光が可能な期間は、別に予め定められた再発光を不能とする期間以下に設定されていることを特徴とする請求項10に記載の発光装置。
【請求項12】
前記シフト部は、サイリスタで構成されていることを特徴とする請求項10に記載の発光装置。
【請求項13】
基板を有し、
前記基板上に、前記発光部の前記発光素子としてサイリスタと面発光素子との順で積層されて設けられ、当該基板上に前記シフト部のサイリスタが設けられていることを特徴とする請求項12に記載の発光装置。
【請求項14】
前記面発光素子は、垂直共振器面発光レーザであることを特徴とする請求項13に記載の発光装置。
【請求項15】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載された光源装置と、
前記光源装置の前記発光部からの出射された光が被計測物で反射された光を受光する受光部と、
を備える計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置、発光装置及び計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板と、当該基板上に列状に設けられた複数の発光素子を備える発光部と、当該基板上に、当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、順にオン状態になって、対応する発光素子を点灯または非点灯の制御の対象として指定する複数の転送素子を備える転送部と、をそれぞれ備える複数の発光チップと、前記複数の発光チップに対して、当該複数の発光チップのそれぞれの発光チップの前記複数の転送素子を順にオン状態が伝播するように転送信号を送信するとともに、当該複数の転送素子のいずれかの転送素子をオフ状態からオン状態に移行させる期間における前記転送部に流れる電流に対して、当該期間ののち、次にオン状態にする転送素子をオフ状態からオン状態に移行させるまでの期間に流れる電流の積分値において小さく設定する転送信号供給手段とを備える発光装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-76407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の発光素子を有する発光部と、シフト動作により発光させる発光素子を設定するシフト部とを備え、設定された発光素子を発光させる発光装置がある。この発光装置では、シフト部でも消費電力が発生する。
本発明は、シフト部をオン状態に維持する場合に比べ、消費電力を低減させた光源装置などを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、発光素子を複数備える発光部と、シフト動作するシフト部と、前記シフト部をシフト動作させ、前記発光部の発光させる発光素子を設定し、前記発光素子を発光可能な状態に移行した後に、前記シフト部をオフ状態に移行させ、前記発光素子を発光させる発光電流を供給する電源の電圧印加側においてオン/オフして当該発光素子を複数回発光させる制御部とを備える光源装置である。
請求項2に記載の発明は、発光素子を複数備える発光部と、予め決められた順にオン状態が転送されるシフト素子を複数有したシフト部と、前記シフト部により前記発光部の発光させる発光素子を設定し、前記発光素子を発光可能な状態に移行した後に、前記シフト部を複数のシフト素子全てのシフトが完了する前にオフ状態に移行させる制御部とを備える光源装置である。
請求項3に記載の発明は、前記シフト部は、シフトの開始から終了までを1サイクルとした際に、1サイクルで1つの発光素子を設定する請求項1に記載の光源装置である。
請求項4に記載の発明は、前記制御部は、前記シフト部により、前記発光部の発光させる発光素子を設定し、当該発光素子が発光可能な状態に移行した後、且つ、当該発光素子の発光を停止する前に当該シフト部をオフ状態に移行させることを特徴とする請求項3に記載の光源装置である。
請求項5に記載の発明は、発光素子を複数備える発光部と、シフト動作するシフト部と、前記シフト部により、前記発光部の発光させる発光素子を設定し、当該発光素子が発光可能な状態に移行した後、且つ、当該設定された発光素子が発光を停止する前に当該シフト部をオフ状態に移行させる制御部とを備える光源装置である。
請求項6に記載の発明は、前記制御部は、前記発光素子に発光電流の供給を停止しようとしている間に、再度シフト部をオンさせて、次に発光させる発光素子を設定させることを特徴とする請求項5に記載の光源装置である。
請求項7に記載の発明は、前記制御部は、前記シフト部に供給するシフト信号を接地電位に設定することで、当該シフト部をオフ状態に移行させることを特徴とする請求項1に記載の光源装置である。
請求項8に記載の発明は、前記制御部は、前記発光素子への発光電流の供給を停止した後の、再発光が可能な期間において、再び発光電流を供給して発光させることを特徴とする請求項1に記載の光源装置である。
請求項9に記載の発明は、前記制御部は、前記発光素子の発光と発光との間において、当該発光素子の再発光が可能な期間を再設定する、前記発光電流に比べて小さい電流のパルスを供給する請求項8に記載の光源装置である。
請求項10に記載の発明は、発光素子を複数備える発光部と、シフト動作し、前記発光部において発光させる発光素子を設定するシフト部と、を備え、前記発光素子を発光可能な状態に設定するゲートが、抵抗を介してシフト部の電源線に接続され、前記抵抗は、前記発光素子を発光可能な状態に移行した後、且つ、当該設定された発光素子が発光を停止する前に、当該抵抗を介して変化する前記ゲートの電圧が、予め定められた再発光が可能な期間において再発光を可能にする値に設定されている発光装置である。
請求項11に記載の発明は、前記再発光が可能な期間は、別に予め定められた再発光を不能とする期間以下に設定されていることを特徴とする請求項10に記載の発光装置である。
請求項12に記載の発明は、前記シフト部は、サイリスタで構成されていることを特徴とする請求項10に記載の発光装置である。
請求項13に記載の発明は、基板を有し、前記基板上に、前記発光部の前記発光素子としてサイリスタと面発光素子との順で積層されて設けられ、当該基板上に前記シフト部のサイリスタが設けられていることを特徴とする請求項12に記載の発光装置である。
請求項14に記載の発明は、前記面発光素子は、垂直共振器面発光レーザであることを特徴とする請求項13に記載の発光装置である。
請求項15に記載の発明は、請求項1乃至9のいずれか1項に記載された光源装置と、前記光源装置の前記発光部からの出射された光が被計測物で反射された光を受光する受光部と、を備える計測装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1、2、5に記載の発明によれば、シフト部をオン状態に維持する場合に比べ、消費電力を低減させることができる。
請求項3に記載の発明によれば、1サイクルで1つの発光素子を設定しない場合に比べ、発光素子の設定に要する時間が短くなる。
請求項4に記載の発明によれば、発光素子を再発光が可能な状態に設定しやすい。
請求項6に記載の発明によれば、発光素子を設定する時間が短くなる。
請求項7に記載の発明によれば、シフト部をオフ状態にしやすい。
請求項8に記載の発明によれば、シフト部をオフ状態にして、発光を繰り返させることができる。
請求項9に記載の発明によれば、発光を抑制しつつ、発光可能な期間が長くできる。
請求項10に記載の発明によれば、シフト部をオン状態に維持する場合に比べ、消費電力が低減できる。
請求項11に記載の発明によれば、再発光を不能とする期間を超える場合に比べ、再発光が確実にできる。
請求項12に記載の発明によれば、サイリスタでない場合に比べ、シフト部におけるオン状態の転送がしやすい。
請求項13に記載の発明によれば、基板を接地電位に設定できる。
請求項14に記載の発明によれば、垂直共振器面発光レーザでない場合に比べ、発光強度が大きくできる。
請求項15に記載の発明によれば、三次元形状を計測できる計測装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施の形態が適用される光源装置を説明する図である。
図2】シフトサイリスタ、結合トランジスタ、発光制御サイリスタ及びVCSELにより、発光装置の動作を説明する図である。(a)は、等価回路、(b)は、シフトサイリスタTと結合トランジスタとの部分における断面図である。
図3】発光装置のレイアウト及び断面を説明する図である。(a)は、レイアウト、(b)は、(a)のIIIB-IIIB線での断面である。
図4】第1の実施の形態が適用される、光源装置を動作させるタイミングチャートである。
図5】第1の実施の形態が適用されない、光源装置を動作させるタイミングチャートである。
図6】発光制御サイリスタとVCSELとの直列接続において、発光制御サイリスタにおけるnゲートの電圧及びVCSELの発光電流のシミュレーション結果を示す図である。(a)は、設定したタイミングチャート、(b)は、発光制御サイリスタのnゲートの電圧及びVCSELの発光電流である。
図7】第2の実施の形態が適用される光源装置を説明する図である。
図8】保持パルスを説明する図である。(a)は、設定したタイミングチャート、(b)は、発光制御サイリスタのnゲートの電圧及びVCSELの発光電流のシミュレーション結果を示す図である。
図9】光源装置1において、第3の実施の形態が適用されるタイミングチャートを説明する図である。(a)は、第3の実施の形態が適用されるタイミングチャート、(b)は、比較のために示す、第1の実施の形態が適用されるタイミングチャートである。
図10】第4の実施の形態が適用される光源装置を説明する図である。
図11】第4の実施の形態が適用される光源装置を動作させるタイミングチャートである。
図12】計測装置の構成を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
複数の発光素子を有する発光部と、シフト動作により発光させる発光素子を設定するシフト部とを備え、設定された発光素子を発光させる発光装置において、シフト部をオン状態に維持していないと発光素子が発光しないだろうと考えていた。しかし、シフト部をオン状態に維持すると、不要な電力が消費されるおそれがあった。
【0009】
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態が適用される光源装置1を説明する図である。図1において、紙面の右方向を+x方向とする。サイリスタ及びトランジスタを記号で示し、抵抗を長方形で示す。他の場合も同様である。
図1に示す光源装置1は、発光装置10と制御部50とを備える。
【0010】
(発光装置10)
発光装置10は、一方側(-x方向側)にGND端子と、VGK端子と、φ1端子と、φ2端子と、Vdrv端子とを備える。なお、GNDは、基準電圧である接地電位(以下では、接地電位GNDと表記する。以下同様である。)、VGKは、電源電位(電源電位VGK)を意味する。
【0011】
発光装置10は、発光部11とシフト部12とを備える。
発光部11は、垂直共振器面発光レーザVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)と発光制御サイリスタSとを複数備える。以下では、垂直共振器面発光レーザVCSELをVCSELと表記する。図1では、6個のVCSEL(VCSEL(1)~VCSEL(6))及び6個の発光制御サイリスタS(発光制御サイリスタS(1)~S(6))を示している。そして、VCSELのカソードと発光制御サイリスタSのアノードとが接続されている。つまり、同じ番号のVCSELと発光制御サイリスタSとが直列接続されている。そして、6個のVCSEL及び6個の発光制御サイリスタSは、一方側(-x方向側)から他方側(+x方向側)に向けて配列されている。直列接続されたVCSEL及び発光制御サイリスタSが発光素子の一例である。なお、VCSELは、面発光素子の一例である。発光素子は、発光ダイオードLEDや発光するサイリスタ(発光サイリスタ)などでもよいが、VCSELとすることで、光量が大きくなる。
【0012】
シフト部12は、シフトサイリスタTと結合トランジスタQと電源線抵抗Rg、RLと結合抵抗Rcとを複数備える。6個のシフトサイリスタT(シフトサイリスタT(1)~T(6))及び6個の結合トランジスタQ(結合トランジスタQ(1)~Q(6))を示している。なお、6個の電源線抵抗Rgと、6個の電源線抵抗RLと、6個の結合抵抗Rcとを備えるが、これらには、番号を付さない。1個のシフトサイリスタT、結合トランジスタQ、電源線抵抗Rg、RL、及び結合抵抗Rcとでシフトユニット12aを構成する。6個のシフトユニット12aが一方側(-x方向側)から他方側(+x方向側)に向けて配列されている。シフト部12は、一方側(-x方向側)の端部に、電源線抵抗Rgとスタート抵抗Rsとを備える。さらに、発光装置10は、電流制限抵抗R1、R2を備える。シフトサイリスタTは、シフト素子の一例である。
【0013】
シフトユニット12aにおいて、シフトサイリスタTと結合トランジスタQとが接続されている。シフトユニット12aにおける結合トランジスタQは、発光部11の発光制御サイリスタSに接続されている。つまり、シフトサイリスタT(1)~T(6)は、結合トランジスタQ(1)~Q(6)と、結合トランジスタQ(1)~Q(6)は、発光制御サイリスタS(1)~S(6)と同じ番号同士が接続されている。図1には、6個のシフトサイリスタT、結合トランジスタQ、発光制御サイリスタS及びVCSELを示しているが、これらは他の個数であってもよい。なお、1個の結合トランジスタQに、直列接続された発光制御サイリスタSとVCSELとが複数接続されていてもよい。また、1個の発光制御サイリスタSに、VCSELが複数並列に接続されていてもよい。
【0014】
発光装置10において、VGK端子は電源線71、φ1端子はシフト信号線72-1、φ2端子はシフト信号線72-2、GND端子は接地線73-1、73-2、Vdrv端子は、発光電位線74に接続されている。なお、シフト信号線72-1、72-2をそれぞれ区別しない場合は、シフト信号線72と表記し、GND端子は接地線73-1、73-2をそれぞれ区別しない場合は、接地線73と表記する。
【0015】
制御部50は、電源VS1、VS2と、バッファBuf1、Buf2と、ドライバDrvと、発光電流制限抵抗RIとを備える。電源VS1は、発光装置10のVGK端子に電源電位VGKを供給する。また、電源VS1は、バッファBuf1、Buf2の電源である。電源VS2は、発光装置10のVdrv端子に、発光電流を供給する。バッファBuf1は、シフト信号p1がHレベルのときはほぼ電源VS1の電圧(電源電位VGK)を、Lレベルのときはほぼ接地電位GND(=0V)を発光装置10のφ1端子に供給する。バッファBuf2は、シフト信号p2がHレベルのときはほぼ電源VS1の電圧(電源電位VGK)を、Lレベルのときはほぼ接地電位GND(=0V)を発光装置10のφ2端子に供給する。ドライバDrvは、例えばPMOSトランジスタであって、ゲートに印加される発光信号pIによりオン/オフされる。ドライバDrvは、オンになると、ドレイン端子の電圧がほぼ電源VS2の電圧(以下では、発光電源電位VS2と表記する。)となり、発光電流制限抵抗RIを介して、発光装置10のVdrv端子に発光電流を供給する。つまり、電源VS1は、シフト部12の電源であり、電源VS2は、発光部11の電源である。なお、ドライバDrvは、PMOSトランジスタの代わりに、絶縁ゲートバイポーラトランジスタIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などの他の素子を用いてもよい。
【0016】
発光装置10における接続関係は、拡大図によって説明する。発光制御サイリスタSを発光制御サイリスタ、シフトサイリスタTをシフトサイリスタ、結合トランジスタQを結合トランジスタと表記することがある。また、発光制御サイリスタSとシフトサイリスタTとを区別しないで、サイリスタと表記することがある。
【0017】
(シフトサイリスタT、結合トランジスタQ、発光制御サイリスタS及びVCSELの動作)
ここでは、発光装置10の基本的な動作を説明する。
シフトサイリスタT及び発光制御サイリスタSは、npnp構造のサイリスタである。サイリスタは、n型のカソードK(以下では、カソードKと表記する。以下同様とする。)、p型のゲートGp(pゲートGp)、n型のゲートGn(nゲートGn)、p型のアノードA(アノードA)を備える。なお、発光制御サイリスタSは、pゲートGpを制御に用いないため、表記しない。
【0018】
結合トランジスタQは、マルチコレクタのnpnバイポーラトランジスタである。結合トランジスタQは、n型のエミッタE(エミッタE)、p型のベースB(ベースB)、n型のコレクタCf、Cs(コレクタCf、Cs)を備える。
【0019】
なお、上記の符号は、シフトサイリスタT間、発光制御サイリスタS間、結合トランジスタQ間において区別しないで用いる。後述するサイリスタを構成するバイポーラトランジスタについても同様とする、ただし、サイリスタは、後述するように、シングルコレクタのnpnバイポーラトランジスタとpnpバイポーラトランジスタとの組み合わせで構成されている。よって、エミッタE、ベースB、コレクタCと表記する。以下では、図に符号を付さない場合であっても、アノードA、カソードK、nゲートGn、pゲートGp、エミッタE、ベースB、コレクタCの表記を用いる。
【0020】
シフトサイリスタT、結合トランジスタQ、発光制御サイリスタS及びVCSELは、例えばGaAsなどのIII-V属の化合物半導体で構成されている。ここでは、この化合物半導体の接合の順方向電圧(拡散電位)Vdを1.5Vとし、化合物半導体で構成されるバイポーラトランジスタの飽和電圧Vcを0.3Vとする。また、接地電位GNDを0V、電源VS1の電圧(電源電位VGK)、及び電源VS2の電圧(発光電源電位VS2)を7Vとする。シフト信号p1、p2及び発光信号pIは、Lレベルが0V(「L」(0V))で、Hレベルが7V(「H」(7V))である信号とする。そして、PMOSトランジスタをドライバ素子とするドライバDrvは、発光信号pIが「H」(7V)になるとオフになり、「L」(0V)になるとオンになるとする。
【0021】
図2は、シフトサイリスタT(1)、結合トランジスタQ(1)、発光制御サイリスタS(1)及びVCSEL(1)により、発光装置10の動作を説明する図である。図2(a)は、等価回路、図2(b)は、シフトサイリスタT(1)と結合トランジスタQ(1)との部分における断面図である。図2(a)では、シフトサイリスタT(2)を合わせて示している。
【0022】
図2(a)に示すように、シフトサイリスタT(1)は、npnバイポーラトランジスタTr1(以下では、npnトランジスタTr1と表記する。)とpnpバイポーラトランジスタTr2(以下では、pnpトランジスタTr2と表記する。)との組み合わせで構成されている。npnトランジスタTr1のベースBがpnpトランジスタTr2のコレクタCに接続され、npnトランジスタTr1のコレクタCがpnpトランジスタTr2のベースBに接続されている。npnトランジスタTr1のエミッタEがシフトサイリスタT(1)のカソードK、npnトランジスタTr1のコレクタC(pnpトランジスタTr2のベースB)がシフトサイリスタT(1)のnゲートGn、pnpトランジスタTr2のコレクタC(npnトランジスタTr1のベースB)がシフトサイリスタT(1)のpゲートGp、pnpトランジスタTr2のエミッタEがシフトサイリスタT(1)のアノードAである。
【0023】
シフトサイリスタT(1)のカソードKであるnpnトランジスタTr1のエミッタEは、接地電位GNDが供給されるGND端子に接続された接地線73-1に接続されている。シフトサイリスタT(1)のアノードAであるpnpトランジスタTr2のエミッタEは、φ1端子に接続されたシフト信号線72-1に接続されている。nゲートGnは、直列接続されたスタート抵抗Rsと電源線抵抗Rgとの接続点に接続されている。スタート抵抗Rsの他方(接続点でない方)は、φ2端子に接続されたシフト信号線72-2に接続されている。電源線抵抗Rgの他方(接続点でない方)は、電源電位VGKが供給されるVGK端子に接続された電源線71に接続されている。φ1端子には、シフト信号p1が供給される。φ2端子には、シフト信号p2が供給される。
【0024】
npnトランジスタである結合トランジスタQ(1)は、ベースBがシフトサイリスタT(1)のpゲートGp(npnトランジスタTr1のベースB及びpnpトランジスタTr2のコレクタC)に接続され、エミッタEが接地線73-1に接続されている。コレクタCfが直列接続された結合抵抗Rcと電源線抵抗Rgとを介して電源電位VGKが供給される電源線71に接続されている。結合抵抗Rcと電源線抵抗Rgとの接続点は、シフトサイリスタT(2)のnゲートGnに接続されている。
【0025】
シフトサイリスタT(1)におけるnpnトランジスタTr1と、結合トランジスタQ(1)とは、カレントミラー回路を構成する。つまり、npnトランジスタTr1に流れる電流に比例した電流が、結合トランジスタQ(1)に流れる。
【0026】
結合トランジスタQ(1)のコレクタCsは、発光制御サイリスタS(1)のnゲートGnに接続されるとともに、電源線抵抗RLを介して、電源電位VGKが供給されるVGK端子に接続された電源線71に接続されている。
【0027】
前述したように、発光制御サイリスタS(1)とVCSEL(1)とは直列接続されている。つまり、発光制御サイリスタS(1)のアノードAとVCSEL(1)のカソードKとが接続されている。発光制御サイリスタS(1)のカソードKが、接地線73-2に接続されている。VCSEL(1)のアノードAが、Vdrv端子に接続された発光電位線74に接続されている。Vdrv端子には、電源VS2から発光電流が供給される。つまり、発光制御サイリスタS(1)とVCSEL(1)との直列接続に対して、Vdrv端子側をオン/オフすることで、発光電流の供給が制御される。つまり、Vdrv端子側は、電圧印加側であって、ここでは、+側である。
【0028】
シフトサイリスタT(2)のアノードAは、φ2端子に接続されたシフト信号線72-2に接続されている。図1に示したように、奇数番号のシフトサイリスタTのアノードAは、シフト信号線72-1に接続され、偶数番号のシフトサイリスタTのアノードAは、シフト信号線72-2に接続されている。シフトサイリスタTのシフト信号線72-1、72-2との接続関係を除いて、番号2以上のシフトサイリスタT、結合トランジスタQ、発光制御サイリスタS、及びVCSELの接続関係は、シフトサイリスタT(1)、結合トランジスタ(1)、発光制御サイリスタS(1)、及びVCSEL(1)と同様である。以下では、シフト信号p1(φ1)、シフト信号p2(φ2)と表記する場合がある。
【0029】
まず、シフトサイリスタT(1)の動作を説明する。
初めに、電源線71が電源電位VGK(7V)、接地線73が接地電位GND(0V)に設定され、シフト信号p1(φ1)、p2(φ2)が「L」(0V)であるとする。この時、シフトサイリスタT(1)を構成するnpnトランジスタTr1、pnpトランジスタTr2は、オフ状態にある。シフトサイリスタT(1)のnゲートGnは、直列接続されたスタート抵抗Rsと電源線抵抗Rgとの接続点に接続されている。そして、スタート抵抗Rsの他方(接続点でない方)は、「L」(0V)のシフト信号線72-2に接続され、電源線抵抗Rgの他方(接続点でない方)は、7Vの電源線71に接続されている。よって、nゲートGnは、電圧差(7V)がスタート抵抗Rsと電源線抵抗Rgとで分圧された電圧になる。スタート抵抗Rsと電源線抵抗Rgとの抵抗比を、一例として1:5とすると、nゲートGnは、1.17Vになる。なお、発光信号pIは、「H」(7V)であって、ドライバDrvはオフである。よって、発光電位線74には、発光電源電位VS2が印加されていない。この状態を初期状態と表記する。
【0030】
ここで、シフト信号p1(φ1)が「L」(0V)から「H」(7V)に移行すると、シフトサイリスタT(1)のpnpトランジスタTr2のエミッタE(「H」(7V))とベースB(pゲートGp)(1.17V)との電圧差(5.83V)が順方向電圧Vd(1.5V)以上となり、エミッタE-ベースB間が順バイアスになって、pnpトランジスタTr2がオフ状態からオン状態に移行する。すると、pnpトランジスタTr2のコレクタC(npnトランジスタTr1のベースB)が、エミッタE(「H」(7V))から飽和電圧Vc(0.3V)を引いた6.7Vになる。npnトランジスタTr1のエミッタE(0V)とベースB(6.7V)との電圧差(6.7V)が順方向電圧Vd(1.5V)以上となり、エミッタE-ベースB間が順バイアスになって、npnトランジスタTr1がオフ状態からオン状態に移行する。シフトサイリスタT(1)におけるnpnトランジスタTr1とpnpトランジスタTr2とがオン状態になるので、シフトサイリスタT(1)がオフ状態からオン状態に移行する。シフトサイリスタTがオフ状態からオン状態に移行することを、ターンオンと表記する。なお、シフトサイリスタTがオン状態からオフ状態に移行することを、ターンオフと表記する。
【0031】
初期状態において、シフト信号p1(φ1)が「L」(0V)から「H」(7V)に移行するとシフトサイリスタT(1)がターンオンしてオフ状態からオン状態に移行する。そこで、アノードAが「H」(7V)になるとターンオンしうる状態を、オン状態に移行可能な状態であると表記する。他の場合も同様とする。
【0032】
シフトサイリスタT(1)がターンオンすると、シフトサイリスタT(1)において、nゲートGnは、飽和電圧Vcの0.3Vになる。また、アノードAは、電流制限抵抗R1及びシフトサイリスタT(1)の内部抵抗により決まる電圧になる。ここでは、アノードAは、2.0Vになるとする。つまり、シフトサイリスタT(1)がターンオンすると、シフト信号線72-1は、7Vから2.0Vに移行する。すると、シフトサイリスタT(1)のpゲートGpは、1.7Vになる。
【0033】
以上説明したように、シフトサイリスタT(1)は、nゲートGnの電圧がアノードAの電圧より順方向電圧Vd(1.5V)以上低い値となれば、ターンオンする。なお、シフトサイリスタT(1)は、シフト信号線72-1の電圧(アノードA-カソードK間の電圧)が、上記の2.0V未満になると、ターンオフする。例えば、アノードAが「L」(0V)になると、アノードA-カソードK間の電圧差が0Vになるので、シフトサイリスタT(1)は、ターンオフする。一方、シフト信号線72-1の電圧(アノードA-カソードK間の電圧差)が2.0V以上であれば、シフトサイリスタT(1)のオン状態が維持される。よって、2.0Vを維持電圧と表記する。なお、維持電圧が印加されていても、シフトサイリスタT(1)をオン状態に維持するための電流が流れていないと、シフトサイリスタT(1)のオン状態は維持されない。オン状態を維持する電流を維持電流と表記する。
【0034】
次に、結合トランジスタQ(1)の動作を説明する。
シフトサイリスタT(1)がオフ状態であれば、npnトランジスタTr1は、オフ状態である。よって、結合トランジスタQ(1)も、オフ状態である。このとき、結合トランジスタQ(1)において、エミッタEは、接地電位GND(0V)に設定されている。コレクタCfは、直列に接続された電源線抵抗Rgと結合抵抗Rcとを介して電源電位VGK(7V)になっている。また、コレクタCsは、電源線抵抗RLを介して電源電位VGK(7V)になっている。
【0035】
シフトサイリスタT(1)がターンオンする、つまりnpnトランジスタTr1がオン状態になると、上述したように、シフトサイリスタT(1)のpゲートGpが1.7Vになる。すると、結合トランジスタQ(1)はベースBがシフトサイリスタT(1)のpゲートGpに接続されているので、エミッタE-ベースB間が順方向電圧Vd(1.5V)以上、つまり順バイアスになり、結合トランジスタQ(1)は、オフ状態からオン状態に移行する。すると、コレクタCf、Csが飽和電圧Vc(0.3V)となる。電源線抵抗Rgと結合抵抗Rcとの接続点(シフトサイリスタT(2)のnゲートGn)は、電源線71の電圧(7V)とコレクタCfの電圧(0.3V)との電圧差(6.7V)が電源線抵抗Rgと結合抵抗Rcとで分圧された電圧となる。電源線抵抗Rgと結合抵抗Rcとの抵抗比を一例として5:1とすると、電源線抵抗Rgと結合抵抗Rcとの接続点(シフトサイリスタT(2)のnゲートGn)は、1.42Vとなる。
【0036】
シフトサイリスタT(2)のアノードAは、シフト信号p2(φ2)が供給されるシフト信号線72-2に接続されている。シフト信号p2(φ2)が「L」(0V)であると、シフトサイリスタT(2)は、ターンオンしない。シフト信号p2(φ2)が「L」(0V)から「H」(7V)に移行すると、シフトサイリスタT(2)のアノードAが「H」(7V)になり、nゲートGn(1.42V)との電圧差(5.58V)が順方向電圧Vd(1.5V)以上、つまりnゲートGn-アノードA間が順バイアスになって、シフトサイリスタT(2)がターンオンする。このように複数の素子があって、その複数の素子のうちターンオンする素子が次々に移行していく動作がシフト動作である。また、本明細書の実施の形態において、このシフト動作によってターンオンやターンオフさせられる素子がシフト素子である。シフト素子としてシフトサイリスタを用いると、シフト動作をさせやすい。
【0037】
最後に、発光制御サイリスタS(1)及びVCSEL(1)の動作を説明する。
結合トランジスタQ(1)のコレクタCsは、発光制御サイリスタS(1)のnゲートGnに接続されている。よって、結合トランジスタQ(1)のコレクタCsが飽和電圧Vc(0.3V)となると、発光制御サイリスタS(1)のnゲートGnが0.3Vになる。このとき、発光制御サイリスタS(1)のアノードAは、VCSEL(1)を介して発光電位線74に接続されている。発光信号pIが「H」(7V)であるので、ドライバDrvは、オフである。よって、発光電位線74には、発光電源電位VS2(7V)が印加されていない。
【0038】
発光信号pIが「H」(7V)から「L」(0V)に移行すると、ドライバDrvがオフからオンになる。すると、発光電位線74には、発光電源電位VS2(7V)が印加される。発光制御サイリスタS(1)のnゲートGnは0.3Vであるので、発光電位線74の電圧がnゲートGn(0.3V)よりも、2Vd=3.0V以上高ければ、発光制御サイリスタS(1)のアノードA-nゲートGn間が順バイアスとなり、発光制御サイリスタS(1)がターンオンする。すると、直列接続されたVCSEL(1)と発光制御サイリスタS(1)との間に電流が流れて、VCSEL(1)が発光する。VCSEL(1)が発光すると、発光電位線74は、約3Vになる。なお、結合トランジスタQ(1)がオンになり、発光制御サイリスタS(1)のnゲートGnが0.3Vになった状態は、ドライバDrvがオンになるとVCSEL(1)が発光する状態である。この状態をVCSEL(1)が発光可能な状態と表記する。発光制御サイリスタSは、nゲートGnの電位によって、VCSELの発光を制御するので、発光制御サイリスタと表記する。
【0039】
すなわち、電源線71が電源電位VGK(7V)、接地線73が接地電位GND(0V)に設定され、シフト信号p1(φ1)、p2(φ2)が「L」(0V)であり、ドライバDrvがオフであって、発光電位線74に発光電源電位VS2(7V)が印加されていない状態が初期状態である。初期状態では、シフトサイリスタT(1)がオン状態に移行可能な状態になる。
【0040】
ここで、シフト信号p1(φ1)(シフト信号線72-1)が「L」(0V)から「H」(7V)に移行すると、シフトサイリスタT(1)がターンオンしてオフ状態からオン状態に移行する。シフトサイリスタT(1)がターンオンすると、結合トランジスタQ(1)がオフ状態からオン状態に移行する。すると、発光制御サイリスタS(1)のnゲートGnが飽和電圧Vc(0.3V)になって、VCSEL(1)が発光可能な状態になる。また、結合トランジスタQ(1)がオン状態になると、シフトサイリスタT(2)がオン状態に移行可能な状態になる。そして、シフト信号p2(φ2)(シフト信号線72-2)が「L」(0V)から「H」(7V)に移行すると、シフトサイリスタT(2)がターンオンする。なお、シフトサイリスタT(1)は、シフト信号p1(φ1)(シフト信号線72-1)が「H」(7V)から「L」(0V)に移行すると、カソードKとアノードAとが「L」(0V)になって、ターンオフする。他のシフトサイリスタT、結合トランジスタQ、発光制御サイリスタS及びVCSELも同様に動作する。
【0041】
図2(b)に示すように、発光装置10は、複数の半導体層が積層されて構成されている(後述する図3参照)。図2(b)では、シフトサイリスタT(1)及び結合トランジスタQ(1)であって、n型の半導体基板80、n型の半導体層81、p型の半導体層82、n型の半導体層83、及びp型の半導体層84が積層された部分を示す。シフトサイリスタT(1)は、n型の半導体層81をカソードK、p型の半導体層82をpゲートGp、n型の半導体層83をnゲートGn、及びp型の半導体層84をアノードAとして構成されている。一方、結合トランジスタQ(1)は、n型の半導体層81をエミッタE、p型の半導体層82をベースB、n型の半導体層83をコレクタCf、Csとして構成されている。ここで、シフトサイリスタT(1)のカソードKと結合トランジスタQ(1)のエミッタEとは、n型の半導体層81を介して電気的に接続されている。同様に、シフトサイリスタT(1)のpゲートGpと結合トランジスタQ(1)のベースBとは、p型の半導体層82を介して電気的に接続されている。そして、シフトサイリスタT(1)のnゲートGnと結合トランジスタQ(1)のコレクタCf、Csとは、共にn型の半導体層83で構成されているが、分離されている。他のシフトサイリスタT、結合トランジスタQも同様である。
【0042】
図3は、発光装置10のレイアウト及び断面を説明する図である。図3(a)は、レイアウト、図3(b)は、図3(a)のIIIB-IIIB線での断面である。図3(a)では、シフトサイリスタT(1)~T(4)、結合トランジスタQ(1)~Q(4)、発光制御サイリスタS(1)~S(4)及びVCSEL(1)~VCSEL(4)を中心に示している。図3(b)では、VCSEL(1)、発光制御サイリスタS(1)、シフトサイリスタT(1)、結合トランジスタQ(1)、発光制御サイリスタS(1)に接続された電源線抵抗RLの部分の断面を示している。
【0043】
図3(b)に示すように、発光装置10は、n型の半導体基板80上にn型の半導体層81、p型の半導体層82、n型の半導体層83、p型の半導体層84、トンネル接合層85、n型の半導体層86、活性層87、及びp型の半導体層88が積層されて構成されている。そして、シフトサイリスタT、結合トランジスタQ、発光制御サイリスタS、VCSELなどの素子は、一部の半導体層がエッチングにより除去されて分離された複数のアイランドから構成されている。なお、アイランドは、メサと表記されることがあり、アイランド(メサ)を形成するエッチングをメサエッチングと表記されることがある。以下では、発光制御サイリスタS(1)、VCSEL(1)が設けられるアイランド301、シフトサイリスタT(1)、結合トランジスタQ(1)が設けられるアイランド302などを中心にアイランド(アイランド301~307)を説明する。
【0044】
アイランド301に、発光制御サイリスタS(1)とVCSEL(1)とが積層されて設けられている。アイランド302に、図2(b)に示したシフトサイリスタT(1)及び結合トランジスタQ(1)が設けられている。アイランド303に電源線抵抗RL、アイランド304に電源線抵抗Rg及び結合抵抗Rcが設けられている。アイランド305に電源線抵抗Rg及びスタート抵抗Rsが設けられている。アイランド306に電流制限抵抗R1、アイランド307に電流制限抵抗R2が設けられている。そして、n型の半導体基板80の裏面に裏面電極79が設けられている。
【0045】
以下では、図3(a)、(b)を参照してレイアウト及び断面を説明する。
アイランド301の周囲は、n型の半導体層81、p型の半導体層82、n型の半導体層83、p型の半導体層84、トンネル接合層85、n型の半導体層86、活性層87、p型の半導体層88がエッチングにより除去されている。半導体層88上にp型の半導体層とオーミック接触しやすいpオーミック電極321が設けられている。p型の半導体層88、活性層87、n型の半導体層86、トンネル接合層85、及びp型の半導体層84を除去して露出させたn型の半導体層83上にn型の半導体層とオーミック接触しやすいnオーミック電極331が設けられている。発光制御サイリスタS(1)は、n型の半導体層81をカソードK、p型の半導体層82をpゲートGp(pゲート層)、n型の半導体層83をnゲートGn(nゲート層)、n型の半導体層84をアノードAとする。nオーミック電極331は、発光制御サイリスタS(1)のnゲートGnである。VCSEL(1)は、n型の半導体層86をカソードK(図2(a)参照)、活性層87を活性層、p型の半導体層88をアノードAとする。
【0046】
図3(b)に示すように、n型の半導体基板80上に、発光制御サイリスタS(1)が設けられ、発光制御サイリスタS(1)上に、トンネル接合層85を介して、VCSEL(1)が設けられている。トンネル接合層85は、発光制御サイリスタS(1)のp型の半導体層84とVCSEL(1)のn型の半導体層86とが、逆バイアスになって電流が流れにくくなることを抑制する。トンネル接合層85は、n型の不純物を高濃度に添加したn++層と、p型の不純物を高濃度に添加したp++層との接合であって、逆バイアスであってもトンネル効果によって電流が流れる。
【0047】
アイランド301は、nオーミック電極331が設けられる部分を除いて、円柱状である。pオーミック電極321は、円柱状であるアイランド301のp型の半導体層88上に、円環状に設けられている。そして、エッチングにより露出させたp型の半導体層86を構成する半導体層の一部が円柱状の外周部から酸化されることで、円環状に電流が流れにくい電流阻止部βとなっている。一方、酸化されなかった中央部は、電流が流れやすい電流通過部αとなっている。そして、円環状のpオーミック電極321の中央部から光が出射される。なお、電流阻止部βは、p型の半導体層86に、AlAs層やAl濃度が高いAlGaAs層を設け、露出した外周部から酸化させて、Alを酸化することで構成される。VCSEL(1)の周辺部は、エッチングに起因した欠陥が多く、非発光再結合が起こりやすい。よって、電流阻止部βを設けることで、非発光再結合に消費される電力が抑制される。電流阻止部βを設けることで、低消費電力化及び光取り出し効率の向上が図れる。なお、光取り出し効率とは、電力当たりに取り出すことができる光量である。
【0048】
アイランド302は、p型の半導体層88、活性層87、n型の半導体層86、及びトンネル接合層85がエッチングにより除去されている。そして、アイランド302の周囲は、p型の半導体層84、n型の半導体層83、p型の半導体層82、n型の半導体層81がエッチングにより除去されている。p型の半導体層84上にpオーミック電極322が設けられている。pオーミック電極322は、シフトサイリスタT(1)のアノードAに接続される電極(アノードA電極)であって、シフト信号p1(φ1)が供給されるシフト信号線72-1に接続されている。p型の半導体層84を除去して露出させたn型の半導体層83上にnオーミック電極332、333、334が設けられている。nオーミック電極332、334は、結合トランジスタQ(1)のコレクタCs、Cfに接続される電極(コレクタCs、Cf電極)である。なお、pオーミック電極322とnオーミック電極332、334との間のn型の半導体層83は除去されている(図2(b)参照)。nオーミック電極333は、シフトサイリスタT(1)のnゲートGnに接続される電極(nゲートGn電極)である。
【0049】
アイランド303は、アイランド302と同様に、p型の半導体層88、活性層87、n型の半導体層86、及びトンネル接合層85がエッチングにより除去されている。そして、アイランド303の周囲は、p型の半導体層84、n型の半導体層83、p型の半導体層82、n型の半導体層81がエッチングにより除去されている。さらに、p型の半導体層84が除去されている。露出されたn型の半導体層83上に、nオーミック電極335、336が設けられている。nオーミック電極335、336間におけるn型の半導体層83が電源線抵抗RLである。
【0050】
アイランド304は、アイランド303と同様に構成されている。p型の半導体層84が除去されて露出されたn型の半導体層83上に、3個のnオーミック電極337、338、339が設けられている。そして、nオーミック電極337、338間におけるn型の半導体層83が結合抵抗Rc、nオーミック電極338、339間におけるn型の半導体層83が電源線抵抗Rgである。
【0051】
アイランド305は、アイランド304と同様に構成され、スタート抵抗Rsと電源線抵抗Rgが設けられている。アイランド306、307は、アイランド303と同様に構成され、電流制限抵抗R1、R2が設けられている。
【0052】
次に、接続関係を説明する。なお、接続に用いられる配線(電源線71、シフト信号線72-1、72-2、発光電位線74など)を直線で示している。
アイランド301のVCSEL(1)のアノードA電極であるpオーミック電極321は、発光電流が供給される発光電位線74に接続されている。アイランド301の発光制御サイリスタS(1)のnゲートGn電極であるnオーミック電極331は、アイランド302の結合トランジスタQ(1)のコレクタCs電極であるnオーミック電極332に接続されている。nオーミック電極332は、アイランド303に設けられた電源線抵抗RLの一方のnオーミック電極335に接続されている。アイランド303の他方のnオーミック電極336は、電源電位VGKが供給される電源線71に接続されている。
【0053】
アイランド302のシフトサイリスタT(1)のアノードA電極であるpオーミック電極322は、シフト信号線72-1に接続さている。シフト信号線72-1は、アイランド306に設けられた電流制限抵抗R1を介して、シフト信号p1が供給されるφ1端子に接続されている。アイランド302のシフトサイリスタT(1)のnゲートGn電極であるnオーミック電極333は、アイランド305に設けられた電源線抵抗Rgとスタート抵抗Rsとの接続点であるnオーミック電極(符号なし)に接続されている。アイランド302の結合トランジスタQ(1)のコレクタCf電極であるnオーミック電極334は、アイランド304の結合抵抗Rcの一方のnオーミック電極337に接続されている。
【0054】
アイランド304の結合抵抗Rcの他方のnオーミック電極338は、シフトサイリスタT(2)のnゲートGn電極であるnオーミック電極(符号なし)に接続されている。アイランド304の電源線抵抗Rgの他方の電極であるnオーミック電極339は、電源線71に接続されている。
【0055】
アイランド305のスタート抵抗Rsの一方のnオーミック電極(符号なし)は、シフト信号線72-2に接続されている。アイランド305の電源線抵抗Rgの他方のnオーミック電極(符号なし)は、電源線71に接続されている。シフト信号線72-2は、アイランド307に設けられた電流制限抵抗R2を介してシフト信号p2(φ2)が供給されるφ2端子に接続されている。
【0056】
なお、シフト信号線72-1は、奇数番号のシフトサイリスタTのアノードA電極であるpオーミック電極に接続され、シフト信号線72-2は、偶数番号のシフトサイリスタTのアノードA電極であるpオーミック電極に接続されている。そして、n型の半導体基板80の裏面に設けられた裏面電極79が、接地電位GNDに設定されている。
【0057】
他のシフトサイリスタT、結合トランジスタQ、発光制御サイリスタS、及びVCSELは、シフトサイリスタT(1)、結合トランジスタQ(1)、発光制御サイリスタS(1)及びVCSEL(1)と同様に構成されている。
【0058】
以上説明したように、発光装置10は、1の半導体で構成された半導体基板80に設けられている。
【0059】
図4は、第1の実施の形態が適用される、光源装置1を動作させるタイミングチャートである。横軸は時間であって、時刻a~時刻rのアルファベット順に経過するとする。図4では、シフト信号p1、p2及び発光信号pIの時間に対する変化を示し、オン状態になるシフトサイリスタT、発光制御サイリスタS及びVCSELの番号を表記している。なお、VCSEL及び発光制御サイリスタSは、VCSEL/Sと表記する。
【0060】
ここでは、図1に示した発光装置10において、VCSEL(1)とVCSEL(6)とを発光させるとする。なお、初期状態からVCSEL(1)を発光させた後、発光装置10を初期状態に戻したのちに、VCSEL(6)を発光させる。なお、VCSEL(1)及びVCSEL(6)を、間欠的に複数回(図4では、5回)発光させるとする。なお、間欠的な発光を発光パルスと表記する。このようにすることで、VCSELを任意に選んで発光させられる。言い換えると、VCSELをランダムに発光させられる。
【0061】
図2で説明したように、VCSEL(1)は、シフトサイリスタT(1)をオン状態にすることで発光させられる。VCSEL(6)は、シフトサイリスタT(6)をオン状態にすることで発光させられる。シフトサイリスタTは、オン状態になることで、発光させるVCSELを設定する。
【0062】
図1を参照しつつ、図4のタイミングチャートを説明する。
時刻aの前は、初期状態である。初期状態とは、電源線71が電源電位VGK(7V)、接地線73が接地電位GND(0V)に設定され、シフト信号p1(φ1)、p2(φ2)が「L」(0V)であり、発光信号pIが「H」(7V)でドライバDrvがオフである状態である。よって、発光電位線74は、発光電源電位VS2が印加されていない。このとき、シフトサイリスタT(1)は、オン状態に移行可能な状態になっている。
【0063】
時刻aにおいて、シフト信号p1を「L」(0V)から「H」(7V)に移行させると、シフトサイリスタT(1)がターンオンする。すると、VCSEL(1)が発光可能な状態になる。
時刻bにおいて、発光信号pIを「H」(7V)から「L」(0V)に移行させる。ドライバDrvがオフからオンになり、VCSEL(1)が発光する。
【0064】
時刻cにおいて、シフト信号p1を「H」(7V)から「L」(0V)に移行させると、シフトサイリスタT(1)がターンオフしてオン状態からオフ状態に移行する。
また、時刻cにおいて、発光信号pIを「L」(0V)から「H」(7V)に移行させると、VCSEL(1)が発光を停止(消光)する。
この後、時刻cから時刻dまでの間において、発光信号pIを「H」(7V)から「L」(0V)へ、「L」(0V)から「H」(7V)へと4回変化させることで、VCSEL(1)を4回発光させる。
【0065】
時刻cから時刻dまでの間において、シフト信号p1(φ1)は「L」(0V)であって、シフトサイリスタT(1)はオフ状態で電流が流れていない。他のシフトサイリスタTも同様である。よって、シフト部12(図1参照)において電力が消費されることが抑制される。
【0066】
時刻dにおいて、初期状態になる。このとき、シフトサイリスタT(1)が、再びオン状態に移行可能な状態になっている。
【0067】
時刻eにおいて、シフト信号p1を「L」(0V)から「H」(7V)に移行させると、時刻aと同様に、シフトサイリスタT(1)がターンオンする。
時刻fにおいて、シフト信号p2を「L」(0V)から「H」(7V)に移行させると、シフトサイリスタT(2)がターンオンする。
【0068】
時刻gにおいて、シフト信号p1を「H」(7V)から「L」(0V)に移行させると、シフトサイリスタT(1)がターンオフする。
以下順に、時刻hにおいて、シフトサイリスタT(3)をターンオンさせ、時刻iにおいて、シフトサイリスタT(2)をターンオフさせる。さらに。時刻jにおいて、シフトサイリスタT(4)をターンオンさせ、時刻kにおいて、シフトサイリスタT(3)をターンオフさせる。時刻lにおいて、シフトサイリスタT(5)をターンオンさせ。時刻mにおいて、シフトサイリスタT(4)をターンオフさせる。時刻nにおいて、シフトサイリスタT(6)をターンオンさせ、時刻oにおいて、シフトサイリスタT(5)をターンオフさせる。このとき、VCSEL(6)が発光可能な状態になる。
【0069】
時刻pにおいて、発光信号pIを「H」(7V)から「L」(0V)に移行させる。ドライバDrvがオフからオンになり、時刻bと同様に、VCSEL(6)が発光する。
【0070】
時刻qにおいて、シフト信号p2を「H」(7V)から「L」(0V)に移行させると、シフトサイリスタT(6)がターンオフする。
また、時刻qにおいて、発光信号pIを「L」(0V)から「H」(7V)に移行させると、VCSEL(6)が発光を停止(消光)する。
この後、時刻qから時刻rまでの間において、発光信号pIを「H」(7V)から「L」(0V)へ、「L」(0V)から「H」(7V)へと4回変化させることで、VCSEL(1)を4回発光させている。
【0071】
時刻qから時刻rまでの間において、シフト信号p2(φ1)は「L」(0V)であって、シフトサイリスタT(6)はオフ状態で電流が流れていない。他のシフトサイリスタTも同様である。よって、シフト部12(図1参照)において、電力が消費されることが抑制される。
【0072】
シフト部12は、隣接する2個のシフトサイリスタTの内、シフトの上流側に位置するシフトサイリスタTをオン状態にした後、シフトの下流側に位置するシフトサイリスタTをオン状態にし、その後、シフトの上流側に位置するシフトサイリスタTをオフ状態にする。このように、シフト部12では、隣接する2個のシフトサイリスタTが同時にオン状態になる期間(例えば、時刻fから時刻gまでの間)を設けた、位相が180度ずれたシフト信号(シフト信号p1及びシフト信号p2)によるシフト動作により、シフトサイリスタTのオン状態がシフトされる。シフト部12をシフトサイリスタTで構成することで、オン状態のシフトが容易になる。
【0073】
時刻cにおいてシフト信号p1を「L」(0V)、時刻qにおいてシフト信号p2を「L」(0V)にすることで、シフト部12は確実にオフ状態になる。つまり、シフト信号p1、p2を接地電位に設定することで、シフト部12をオフ状態にしやすい。
【0074】
時刻aから時刻dまでの期間が、VCSEL(1)を発光させるサイクルである。また、時刻eから時刻rまでの期間が、VCSEL(6)を発光させるサイクルである。ここでは、1サイクルで1個のVCSELを発光させている。VCSEL(1)を発光させるサイクル(時刻aから時刻dまでの期間)が終了した後、直ちにVCSEL(6)を発光させるサイクルが開始させられる。つまり、このように、シフト部12における全てのシフトサイリスタTのシフトが完了する前に、シフト部12をオフ状態にすると、発光させるVCSELの設定に要する時間が短くなる。なお、図4ではVCSEL(1)を発光させるサイクル中にシフトサイリスタT(1)をオフ状態にしている。しかし、シフトサイリスタT(1)をオフ状態にするタイミングは、全てのシフトサイリスタTのシフト、具体的にはシフトサイリスタT(6)までのシフトが完了する前であればよい。例えば、図示はしていないが、VCSEL(1)を発光させた後の時刻dとVCSEL(6)を発光させるサイクルが開始される時刻eとの間のシフトサイリスタTをシフトさせるのに必要な時間と電力とが少しでも低減できればよく、シフトサイリスタT(2)及びシフトサイリスタT(3)がターンオンした後にシフト部12をオフ状態にしてもよい。ただし、この場合、発光信号pIを供給するタイミングによっては、発光制御サイリスタS(1)のnゲートGnの電圧より発光制御サイリスタS(3)のnゲートGnの電圧が低い場合が生じる。すると、VCSEL(3)/発光制御サイリスタS(3)がオンしてしまう。よって、VCSEL(1)を発光させたら、シフト部12(ここでは、シフトサイリスタT(1))をオフ状態にするのがよい。
【0075】
図5は、第1の実施の形態が適用されない、光源装置1を動作させるタイミングチャートである。なお、このタイミングチャートを従来例と表記する。発光装置10は、同じであり、図5の横軸は、図4と同様である。
【0076】
図5に示す従来例では、VCSEL(1)の発光を間欠的に繰り返す時刻cから時刻dまでの期間において、シフトサイリスタT(1)をオン状態に維持している。同様に、VCSEL(6)が発光を間欠的に繰り返す時刻qから時刻rまでの期間において、シフトサイリスタT(6)をオン状態に維持している。これらの期間において、シフトサイリスタT(1)又はシフトサイリスタT(6)には、オン状態を維持する電流が流れ続けている。よって、従来例は、図4に示した第1の実施の形態が適用されるタイミングチャートで示した光源装置1の動作に比べ、電力の消費が多い。
【0077】
図4図5に示すように、発光パルスのデューティが、例えば数%と小さい場合には、図5に示すように、時刻cから時刻dまでの期間及び時刻qから時刻rまでの期間において、シフト部12をオン状態にしておくと、相対的に発光部11の消費電力に対するシフト部12の消費電力の割合が大きくなってしまう。そこで、図4では、時刻cから時刻dまでの期間及び時刻qから時刻rまでの期間において、シフト部12をオフ状態にし、シフト部12での消費電力を低減している。
【0078】
次に、シフトサイリスタTをオフ状態にした期間(例えば、図4における時刻cから時刻dまでの期間)において、VCSELを間欠的に発光させることを説明する。
【0079】
図6は、発光制御サイリスタS(1)とVCSEL(1)との直列接続において、発光制御サイリスタS(1)におけるnゲートGnの電圧及びVCSEL(1)の発光電流のシミュレーション結果を示す図である。図6(a)は、設定したタイミングチャート、図6(b)は、発光制御サイリスタS(1)のnゲートGnの電圧及びVCSEL(1)の発光電流である。図6(a)は、図4に示したタイミングチャートの時刻aから始まる一部である。なお、時刻cから時刻d(図4参照)までの間に、時刻sから時刻yをアルファベット順に追加している。図6(b)では、横軸が時間(ns)、左縦軸が発光制御サイリスタS(1)のnゲートGnの電圧(V)である。また、右縦軸がVCSEL(1)の発光電流(mA)である。
【0080】
図6(a)の設定したタイミングチャートを説明する。
時刻aにおいて、シフト信号p1を「L」(0V)から「H」(7V)に移行させて、シフトサイリスタT(1)をターンオンさせる。時刻bにおいて、発光信号pIを「H」(7V)から「L」(0V)に移行させて、VCSEL(1)を発光させる。この時刻を図6(b)の時間軸における100nsとする。そして、時刻bから10ns経過した時刻cにおいて、シフト信号p1を「H」(7V)から「L」(0V)に移行させて、シフトサイリスタT(1)をターンオフさせる。時刻cから10ns経過した時刻sにおいて、発光信号pIを「L」(0V)から「H」(7V)に移行させて、VCSEL(1)を消光させる。時刻sから100ns休止した時刻tにおいて再び発光信号pIを「H」(7V)から「L」(0V)に移行させて、VCSEL(1)を再発光させる。この後、時刻bから時刻tの発光信号pIを繰り返させる。つまり、VCSEL(1)は、100nsの時刻bから20ns間発光して消光し、100ns休止した後に20ns再発光する。そして、同じ時間間隔で再発光を繰り返す。時刻bからの発光が1回目の発光、時刻tからの発光が2回目の発光、時刻vからの発光が3回目の発光、時刻xからの発光が4回目の発光である。
【0081】
図6(b)は、図1の発光電流制限抵抗RIを100Ω、電源VS1の電源電位VGK、電源VS2の発光電源電位VS2を共に7Vとして、シミュレーションした結果である。そして、電源線抵抗RLを、50kΩ、100kΩ、150kΩ、200kΩ、250kΩ、及び300kΩとした。
【0082】
上記値の電源線抵抗RLの全てにおいて、時刻bからの1回目の発光が見られた。しかし、電源線抵抗RLが50kΩでは、時刻tからの2回目が見られなかった。一方、電源線抵抗RLが100kΩ、150kΩ、200kΩ、250kΩ、及び300kΩでは、時刻tからの2回目の発光が見られた。
【0083】
図6(b)に示すように、VCSEL(1)が発光すると、発光制御サイリスタS(1)のnゲートGnがほぼ0Vになる。しかし、VCSEL(1)が消光すると、直列接続された発光制御サイリスタS(1)とVCSEL(1)とに電流が流れなくなる。nゲートGnは、電源線抵抗RLを介して電源電位VGKに接続されている。よって、nゲートGnの電圧は、電源電位VGK(7V)に向かって徐々に上昇する。
【0084】
VCSEL(1)が再発光するタイミング(例えば、時刻t、v、x)において、nゲートGnの電圧と発光電源電位VS2との電圧差が、発光制御サイリスタS(1)のアノードA-nゲートGn間のpn接合とVCSEL(1)のpn接合とが共に順バイアスになる電圧以上、つまり2×順方向電圧Vd(3V)以上であれば、VCSEL(1)が再発光する。発光電源電位VS2が7Vの場合、nゲートGnの電圧が4V以下であれば、再発光が可能になる。逆に、再発光しなくする(再発光を不能にする)には、発光制御サイリスタS(1)のアノードA-nゲートGn間のpn接合とVCSEL(1)のpn接合とが共に順バイアスになる電圧未満、つまり2×順方向電圧Vd(3V)未満であればよい。発光電源電位VS2が7Vの場合、nゲートGnの電圧が4Vを超えれば、再発光が不能になる。
【0085】
図6(b)に示すように、2回目の発光において、電源線抵抗RLが100kΩ、150kΩ、200kΩ、250kΩ、及び300kΩである場合には、nゲートGnの電圧が、3.8V以下であって、4V以下である。これらの場合は、再発光が可能である。
一方、電源線抵抗RLが50kΩである場合には、nゲートGnの電圧が4.6Vで、4Vを超える。この場合は、再発光が不能である。
【0086】
再発光が可能な場合、VCSELが消光してから、VCSELが再発光するまでの期間が、再発光が可能な期間t(例えば、時刻sから時刻tまでの期間)である。例えば、図6(b)に示す、電源線抵抗RLが100kΩ以上の場合、再発光が可能な期間tは、100nsである。そして、VCSELが消光した時刻から、発光制御サイリスタSのアノードA-nゲートGn間のpn接合とVCSELのpn接合とを共に順バイアスにする電圧(2×順方向電圧Vd)になるまでの期間が、再発光が可能な期間tの最大期間tm_maxである。再発が光可能な期間tは、再発光が可能な最大期間tm_maxより、短く設定されことがよい。逆に言えば、再発光が可能な最大期間tm_maxを超えた期間は、再発光が不能な期間である。よって、再発光が可能な期間は、再発光が不能な期間以下に設定されることがよい。これにより、VCSELを確実に再発光させられる。
【0087】
nゲートGnの電圧の変化は、電源線抵抗RLと、発光制御サイリスタSのnゲートGn-カソードK間の寄生容量との積である時定数で決められる。よって、再発光が可能な期間tを長くしたい場合には、電源VS1、VS2の電圧を高くする、電源線抵抗RLを大きくする、又は/及び発光制御サイリスタSのnゲートGn-カソードK間の寄生容量を大きくすることで調整できる。
【0088】
再発光が可能な期間tは、再発光が可能な最大期間tm_maxの10%~80%に設定することが好ましい。再発光が可能な期間tを再発光が可能な最大期間tm_maxに対して短く設定すると、発光パルス間の間隔に比べ、再発光を不能にする期間が相対的に長くなる。また、再発光が可能な期間tを再発光が可能な最大期間tm_maxに対して長く設定すると、再発光を不能にする期間が実時間において長くなる。
【0089】
図6(a)では、シフト部12のシフトサイリスタT(1)は、VCSEL(1)が発光可能な状態に移行した時刻aの後、VCSEL(1)が発光を停止(消光)する時刻sの前の時刻cに、ターンオフさせている。これにより、VCSELは、再発光が可能な状態に確実に設定される。なお、シフト部12のシフトサイリスタT(1)は、VCSEL(1)が発光可能な状態に移行した時刻aの後、望ましくは発光を開始した時刻bより後にターンオフさせるとよい。そのようにすることで、発光電流が発光させたいVCSELの発光制御サイリスタSに流れ、発光制御サイリスタSはオン状態を維持しやすい。
【0090】
シフトサイリスタTのオン状態を維持していなくても、VCSELを繰り返し発光させるためには、シフトサイリスタT(結合トランジスタQ)がオン状態になることなしに、発光制御サイリスタSがVCSELを発光可能な状態を持続することである。言い換えると、発光制御サイリスタSが十分に充電されていることを要する。このため、例えば、シフトサイリスタTのオン状態の期間を発光パルスの期間より長く設定してもよい。
【0091】
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態が適用される光源装置1では、再発光が可能な期間tを長くするには、電源線抵抗RLを大きくするなどに依っていた。しかし、これらの方法では、再発光が可能な期間tが、十分に大きくならないことがある。第2の実施の形態が適用される光源装置2では、電源線抵抗RLを大きくするなどに依らずに、再発光が可能な期間tを長くしている。
【0092】
図7は、第2の実施の形態が適用される光源装置2を説明する図である。図7において、紙面の右方向を+x方向とする。
光源装置2は、発光装置10と制御部50とを備える。制御部50は、第1の実施の形態が適用される光源装置1の制御部50において、ドライバDrv2と保持電流制限抵抗RJとをさらに備える。ドライバDrv2は、例えばPMOSトランジスタをドライバ素子として、ゲートに印加される保持信号pJによりオン/オフされる。ドライバDrv2のPMOSトランジスタは、ソースが電源VS2に接続され、ドレインが保持電流制限抵抗RJを介して、Vdrv端子に接続されている。ここでは、ドライバDrv2は、保持信号pJは、接地電位GND(「L」(0V))と電源電位VGK(「H」(7V))とを有する信号とする。ここでは、ドライバDrv2は、保持信号pJが「H」(0V)においてオフになり、保持信号pJが「L」(0V)においてオンになるとする。保持信号pJがオンである期間において、保持パルスが発光電位線74に供給される。
【0093】
図8は、保持パルスを説明する図である。図8(a)は、設定したタイミングチャート、図8(b)は、発光制御サイリスタS(1)のnゲートGnの電圧及びVCSEL(1)の発光電流のシミュレーション結果を示す図である。図8では、図6(a)に示したタイミングチャートの時刻sから時刻tまでの間に、3個の保持パルスを付加している。このため、時刻sと時刻tまでの間に、時刻s~sを付加している。
【0094】
図8(a)の時刻sにおいて、発光信号pIを「L」(0V)から「H」(7V)に移行させて、VCSEL(1)を消灯させる。その後、110ns経過後の時刻sにおいて、保持信号pJを「H」(7V)から「L」(0V)に移行させて、ドライバDrv2をオンにする。そして、30ns経過後の時刻sにおいて、保持信号pJを「L」(0V)から「H」(7V)に移行させて、ドライバDrv2をオフにする。時刻s1と時刻s2の間が保持パルスの期間である。
【0095】
その後、100ns経過後の時刻sにおいて、保持信号pJを「H」(7V)から「L」(0V)に移行させる。そして、30ns経過後の時刻sにおいて、保持信号pJを「L」(0V)から「H」(7V)に移行させる。その後、100ns経過後の時刻sにおいて、保持信号pJを「H」(7V)から「L」(0V)に移行させる。そして、30ns経過後の時刻sにおいて、保持信号pJを「L」(0V)から「H」(7V)に移行させる。つまり、時刻sから時刻sまでの期間と、時刻sから時刻sまでの期間とにおいて、ドライバDrv2をオンにして、保持パルスを発生させる。つまり、時刻sから時刻tまでの間に、3個の保持パルスを発生させている。
【0096】
時刻s6から120ns経過した時刻tにおいて、図6(a)の時刻tと同様に、発光信号pIを「H」(7V)から「L」(0V)に移行させて、VCSEL(1)を発光させる。
【0097】
図8(b)は、保持電流制限抵抗RJを10kΩとして、電源線抵抗RLを50kΩ、100kΩとした場合である。時刻sにおいて、電源線抵抗RLが50kΩ、100kΩである場合には、nゲートGnの電圧が4Vを超えている。このため、発光制御サイリスタS(1)はターンオンしない。よって、時刻sにおいて、VCSEL(1)は再発光しない。一方、時刻sにおいて、電源線抵抗RLが150kΩ、200kΩ、250kΩ、300kΩである場合には、nゲートGnの電圧が4V以下である。よって、発光制御サイリスタS(1)がターンオンして、VCSEL(1)が発光する。しかし、図8(b)に示すように、発光電流は、発光信号pIを「L」(0V)である期間における発光パルスに比べ、小さい。保持パルスの期間における発光電流は、0.4mAである。これは、保持電流制限抵抗RJを10kΩと、発光電流制限抵抗RIの100Ωの100倍としたことにより、VCSEL(1)の発光が抑制されていることによる。つまり、保持パルスは、発光を抑制しつつ、VCSEL(1)の再点灯が可能な期間を再設定し、再点灯が可能な期間を延ばしている。これにより、再発光が可能な期間は、520nsと、保持パルスを用いない場合の100nsより長くなっている。なお、保持電流制限抵抗RJを10kΩと、発光電流制限抵抗RIの100Ωより大きくしたため、発光制御サイリスタS(1)がターンオンするまでの時間が長くなる。そこで、保持パルスの期間(例えば、時刻sから時刻sまでの期間)を30nsに設定している。この保持電流制限抵抗RJを大きくしすぎると、ターンオンが遅くなったり、発光制御サイリスタSのオン状態を維持できない場合がある。一方、保持電流制限抵抗RJを小さくすると消費電力が増えるため、適当な値を選ぶ必要がある。また、保持パルスによる発光を嫌う場合には、電流値をVCSELのしきい電流以下となるように選べばよい。
【0098】
図8(a)、(b)では、発光パルス間に保持パルスを3個挟んだが、いくつ挟んでもよい。保持パルスを用いると、VCSELの再発光が可能な状態が保持される。つまり、保持パルスにより、再発光させるVCSEL(オンにするVCSEL)にオン情報を保持させている。
【0099】
[第3の実施の形態]
第1の実施の形態では、あるVCSELを発光させた後、次に発光させたいVCSELがシフト動作における下流側に位置していても、上流側のシフト動作が開始されるシフトサイリスタTからシフト動作を行って、次に発光させたいVCSELを発光させていた。しかし、あるVCSELを発光させた後、シフト部12の下流側に位置するVCSELを次に発光させたい場合がある。例えば、偶数番号のVCSEL(2)、VCSEL(4)、VCSEL(6)、VCSEL(8)を番号の順に発光させた後、奇数番号のVCSEL(1)、VCSEL(3)、VCSEL(5)、VCSEL(7)を番号の順に発光させる場合である。このように、次に発光させたいVCSELが下流側にある場合が多くある。そこで、第3の実施の形態では、発光させたVCSELに対応するシフト部12のシフトサイリスタTを完全なオフ状態にせず、再度オン状態にして、そのシフトサイリスタTからシフトを再開させて、VCSELを設定する時間を短縮する。
【0100】
図9は、光源装置1において、第3の実施の形態が適用されるタイミングチャートを説明する図である。図9(a)は、第3の実施の形態が適用されるタイミングチャート、図9(b)は、比較のために示す、第1の実施の形態が適用されるタイミングチャートである。横軸は、時間であって、アルファベット順に経過するとする。VCSELを複数回発光させるタイミングは、最初に発光させた時刻のアルファベットに数字を付して示している。なお、アルファベットで示す時刻は、図9(a)と図9(b)とで異なり、図4図5図6(a)、(b)、図8(a)、(b)に示す時刻とも異なる。図9(a)、(b)では、シフト信号p1、p2及び発光信号pIの時間に対する変化を示し、オン状態になるシフトサイリスタT、発光制御サイリスタS及びVCSELの番号を表記している。
【0101】
図9(a)、(b)では、VCSEL(2)、VCSEL(4)、VCSEL(6)を順に発光させている。このためには、図1から分かるように、シフトサイリスタT(2)、T(4)、T(6)をオン状態にすればよい。つまり、次に発光させるVCSELは、シフト部12のシフトの下流側に位置する。なお、シフトサイリスタT、結合トランジスタQ、発光制御サイリスタS、及びVCSELは、図2図4で説明したように動作するので、動作の詳細についての説明を省略する。
【0102】
図9(a)に示す第3の実施の形態が適用されるタイミングチャートを説明する。
時刻aの前は、初期状態である。このとき、シフトサイリスタT(1)は、オン状態に移行可能な状態になっている。時刻aにおいて、シフト信号p1を「L」(0V)から「H」(7V)に移行させると、シフトサイリスタT(1)がターンオンする。時刻bにおいて、シフト信号p2を「L」(0V)から「H」(7V)に移行させると、シフトサイリスタT(2)がターンオンする。時刻cにおいて、シフト信号p1を「H」(7V)から「L」(0V)に移行させると、シフトサイリスタT(1)がターンオフする。これにより、シフトサイリスタT(2)のみがオン状態となり、VCSEL(2)が発光可能な状態になる。
【0103】
時刻dにおいて、発光信号pIを「H」(7V)から「L」(0V)に移行させると、ドライバDrvがオフからオンになり、VCSEL(2)が発光する。そして、時刻eにおいて、シフト信号p2を「H」(7V)から「L」(0V)に移行させると、シフトサイリスタT(2)がターンオフする。また、時刻eにおいて、発光信号pIを「L」(0V)から「H」(7V)に移行させると、ドライバDrvがオンからオフになり、VCSEL(2)が消光する。VCSEL(2)は、時刻dから時刻eまでの期間の光パルスを発光する。
【0104】
時刻d、d、dにおいて、発光信号pIを「H」(7V)から「L」(0V)に移行させて、VCSEL(2)を間欠的に発光させる。なお、時刻d、d、dに続く時刻(非表記)において、発光信号pIを「L」(0V)から「H」(7V)に移行させて、VCSEL(2)を消光させている。つまり、VCSEL(1)は、時刻d、d、dにおいて、時刻dから時刻eまでの期間の光パルスと同様の光パルスを発光する。この際、時刻d、d、dにおいて、シフト信号p2を「L」(0V)から「H」(7V)に移行させ、シフトサイリスタT(2)を間欠的にターンオンさせる。なお、時刻d、d、dに続く時刻(非表記)において、シフト信号p2を「H」(7V)から「L」(0V)に移行させて、シフトサイリスタT(2)をターンオフさせている。
【0105】
時刻fにおいて、発光信号pIを「H」(7V)から「L」(0V)に移行させると、VCSEL(2)が発光する。また、時刻fにおいて、シフト信号p2を「L」(0V)から「H」(7V)に移行させると、シフトサイリスタT(2)がターンオンする。なお、時刻fに続く時刻(非表記)において、発光信号pIを「L」(0V)から「H」(7V)に移行させて、VCSEL(2)を消光させている。VCSEL(2)は、間欠的に5回発光する。つまり、VCSEL(2)は、5個の発光パルスを発光する。
【0106】
時刻gにおいて、シフト信号p1を「L」(0V)から「H」(7V)に移行させると、シフトサイリスタT(3)がターンオンする。時刻hにおいて、シフト信号p2を「H」(7V)から「L」(0V)に移行させると、シフトサイリスタT(2)がターンオフする。時刻iにおいて、シフト信号p2を「L」(0V)から「H」(7V)に移行させると、シフトサイリスタT(4)がターンオンする。時刻jにおいて、シフト信号p1を「H」(7V)から「L」(0V)に移行させると、シフトサイリスタT(3)がターンオフする。これにより、シフトサイリスタT(4)のみがオン状態になり、VCSEL(4)が発光可能な状態になる。
【0107】
時刻kにおいて、発光信号pIを「H」(7V)から「L」(0V)に移行させると、発光制御サイリスタS(4)がターンオンして、VCSEL(4)が発光する。時刻lにおいて、シフト信号p2を「H」(7V)から「L」(0V)に移行させると、シフトサイリスタT(4)がターンオフする。また、時刻lにおいて、発光信号pIを「L」(0V)から「H」(7V)に移行させると、VCSEL(4)が消光する。そして、時刻k、k、kにおいて、発光信号pIを「H」(7V)から「L」(0V)に移行させて、VCSEL(4)を間欠的に発光させる。なお、時刻k、k、kに続く時刻(非表記)において、発光信号pIを「L」(0V)から「H」(7V)に移行させて、VCSEL(2)を消光させている。この際、時刻k、k、kにおいて、シフト信号p2を「L」(0V)から「H」(7V)に移行させ、シフトサイリスタT(4)を間欠的にターンオンさせる。なお、時刻k、k、kに続く時刻(非表記)において、シフト信号p2を「H」(7V)から「L」(0V)に移行させて、シフトサイリスタT(4)をターンオフさせている。
【0108】
時刻mにおいて、発光信号pIを「H」(7V)から「L」(0V)に移行させると、VCSEL(4)が発光する。また、時刻mにおいて、シフト信号p2を「L」(0V)から「H」(7V)に移行させると、シフトサイリスタT(4)がターンオンする。なお、時刻mに続く時刻(非表記)において、発光信号pIを「L」(0V)から「H」(7V)に移行させて、VCSEL(4)を消光させている。VCSEL(4)は、間欠的に5回発光する。つまり、VCSEL(4)は、5個の発光パルスを発光する。
【0109】
時刻oにおいて、シフト信号p1を「L」(0V)から「H」(7V)に移行させると、シフトサイリスタT(5)がターンオンする。時刻pにおいて、シフト信号p2を「H」(7V)から「L」(0V)に移行させると、シフトサイリスタT(4)がターンオフする。時刻qにおいて、シフト信号p2を「L」(0V)から「H」(7V)に移行させると、シフトサイリスタT(6)がターンオンする。時刻rにおいて、シフト信号p1を「H」(7V)から「L」(0V)に移行させると、シフトサイリスタT(5)がターンオフする。これにより、シフトサイリスタT(6)のみがオン状態になり、VCSEL(6)が発光可能な状態になる。
【0110】
時刻sにおいて、発光信号pIを「H」(7V)から「L」(0V)に移行させると、発光制御サイリスタS(6)がターンオンして、VCSEL(6)が発光する。時刻tにおいて、シフト信号p2を「H」(7V)から「L」(0V)に移行させると、シフトサイリスタT(6)がターンオフする。また、時刻tにおいて、発光信号pIを「L」(0V)から「H」(7V)に移行させると、VCSEL(6)が消光する。そして、時刻s、s、sにおいて、発光信号pIを「H」(7V)から「L」(0V)に移行させて、VCSEL(6)を間欠的に発光させる。なお、時刻s、s、sに続く時刻(非表記)において、発光信号pIを「L」(0V)から「H」(7V)に移行させて、VCSEL(6)を消光させている。この際、時刻s、s、sにおいて、シフト信号p2を「L」(0V)から「H」(7V)に移行させ、シフトサイリスタT(6)を間欠的にターンオンさせる。なお、時刻s、s、sに続く時刻(非表記)において、シフト信号p2を「H」(7V)から「L」(0V)に移行させて、シフトサイリスタT(6)をターンオフさせている。
【0111】
時刻uにおいて、発光信号pIを「H」(7V)から「L」(0V)に移行させると、VCSEL(6)が発光する。時刻uに続く時刻(非表記)において、発光信号pIを「L」(0V)から「H」(7V)に移行させて、VCSEL(6)を消光させている。VCSEL(6)は、間欠的に5回発光する。つまり、VCSEL(6)は、5個の発光パルスを発光する。時刻uでは、シフト信号p2を「L」(0V)から「H」(7V)に移行させていない。
【0112】
上述したように、第3の実施の形態が適用されるタイミングチャートでは、VCSELを再発光させるタイミングにおいて、再発光させるVCSELに対応するシフトサイリスタTを再びターンオンさせている。そして、ターンオンさせたシフトサイリスタTから次に発光させるVCSELに対応するシフトサイリスタTまで、シフト動作させて、次に発光させるVCSELを発光させる。例えば、時刻d、d、d、fにおいて、VCSEL(2)を再発光させるとともに、シフトサイリスタT(2)をターンオンさせている。そして、シフトサイリスタT(2)から、次に発光させるVCSEL(4)に対応するシフトサイリスタT(4)まで、シフト動作させている。VCSEL(4)からVCSEL(6)までも同様である。ここでは、偶数番号のVCSEL(2)、VCSEL(4)、VCSEL(6)をこの順に発光させるVCSELとして設定したが、上流側から下流側にVCSELを設定されればよく、奇数番号のVCSELであってもよく、偶数番号と奇数番号とのVCSELが混合していてもよい。
【0113】
シフトサイリスタTをターンオフさせても、つまり電流を切っても、シフトサイリスタTのnゲートGnの電圧は、図6(b)に示した発光制御サイリスタSのnゲートGnと同様に、徐々に電源電位VGK(7V)に向かって上昇する。よって、VCSELが再発光するタイミングと同様に、シフトサイリスタTの再びターンオンが可能な期間において、シフト信号p1又はシフト信号p2を「L」(0V)から「H」(7V)に移行させれば、シフトサイリスタTが再びターンオンする。つまり、ターンオンさせたいシフトサイリスタTにオン情報を保持させる。したがって、ターンオンさせたシフトサイリスタTからシフト動作を再開させて、発光させたVCSELの下流側に位置するVCSELを次に発光させるVCSELとして設定すればよい。なお、シフトサイリスタTの再びターンオンが可能な期間を超えると、シフトサイリスタTは、ターンオンしない。このことから、シフト信号p1又はシフト信号p2を「L」(0V)から「H」(7V)にする間隔、及び「H」(7V)である期間(幅)は、シフトサイリスタTの再びターンオンする期間に基づいて設定すればよい。また、図9(a)では、VCSELを再発光させるタイミングと、シフトサイリスタTを再びターンするタイミングとを同じとした(例えば、時刻d、d、dなど)が、異なってもよい。同様に、シフト信号p1又はシフト信号p2が「H」(7V)である期間(幅)と、発光信号pIが「L」(0V)である期間(幅)とが異なってもよい。
【0114】
なお、次に発光させるVCSELがシフト動作の下流側に位置しない場合には、シフトサイリスタTを再びターンオンさせることを要しない。例えば、図9(a)の時刻uにおいて、シフトサイリスタT(6)をターンオンさせていない。これにより、シフトサイリスタT(6)は再びターンオンしなくなる。つまり、シフト部12は、オフ状態になる。つまり、発光装置10は、初期状態に戻る。また、時刻uに加え、時刻s、s、sにおいても、シフトサイリスタT(6)をターンオンさせることを要しない。
【0115】
図9(b)に示す第1の実施の形態が適用されるタイミングチャートでは、時刻dから時刻dまでの期間において、VCSEL(2)を5回発光させた後、時刻fからシフト部12をシフトサイリスタT(1)からシフト動作させてシフトサイリスタT(4)をオン状態にし、VCSEL(4)を発光させたいVCSELとして設定している。同様に、時刻mから時刻mまでの期間において、VCSEL(4)を5回発光させた後、時刻oからシフト部12をシフトサイリスタT(1)からシフト動作させて、シフトサイリスタT(6)をオン状態にし、VCSEL(6)を発光させたいVCSELとして設定している。第1の実施の形態が適用されるタイミングチャートでは、発光させるVCSELを変更する毎に、シフトサイリスタT(1)からシフト動作させて、発光させるVCSELを設定している。
【0116】
図9(a)の第3の実施の形態のタイミングチャートでは、図9(b)の第1の実施の形態のタイミングチャートにおける時刻dから時刻gまでの期間、時刻mから時刻tまでの期間がない。つまり、第3の実施の形態のタイミングチャートでは、シフトサイリスタT(1)から再びシフト動作をやり直すことを要しない。よって、発光させたいVCSELを設定する時間が短くなる。
【0117】
なお、シフトサイリスタTを再びターンオンさせるタイミングは、図9(a)に示す時刻fのように、VCSEL(2)に発光電流を供給しているタイミングであることがよい。つまり、VCSEL(2)への発光電流を停止しようとしている間であることがよい。このようにすることで、次に発光させるVCSELの設定に要する時間がさらに短くなる。
【0118】
[第4の実施の形態]
第3の実施の形態では、シフト部12のシフトサイリスタTが再びターンオンするように、シフト信号p1又はシフト信号p2を間欠的に「H」(7V)にして、シフトサイリスタTをターンオンさせた。第4の実施の形態では、シフト信号p1又はシフト信号p2を間欠的に「H」(7V)にして、シフトサイリスタTにオン情報を保持させることなく、シフトサイリスタTが再びターンオンするようにしている。
【0119】
図10は、第4の実施の形態が適用される光源装置3を説明する図である。図10において、紙面の右方向を+x方向とする。
光源装置3は、発光装置20と制御部50とを備える。制御部50は、図1に示した光源装置1の制御部50と同様である。よって、制御部50の説明を省略する。
【0120】
(発光装置20)
発光装置20は、発光部21とシフト部22とを備える。発光部21は、発光装置20の発光部11と同様である。なお、発光装置20において、発光装置10と同様な部分は、同じ符号を付して説明を省略する。
【0121】
シフト部22は、シフトサイリスタTと結合ダイオードDと電源線抵抗Rgとを複数備える。6個のシフトサイリスタT(シフトサイリスタT(1)~T(6))及び6個の結合ダイオードD(結合ダイオードD(1)~D(6))を示している。なお、6個の電源線抵抗Rgを備えるが、これらには、番号を付さない。1個のシフトサイリスタT、結合ダイオードD、及び電源線抵抗Rgとでシフトユニット22aを構成する。6個のシフトユニット22aが一方側(-x方向側)から他方側(+x方向側)に向けて配列されている。シフト部22は、一方側(-x方向側)の端部に、スタートダイオードDsを備える。さらに、発光装置20は、電流制限抵抗R1、R2を備える。
【0122】
シフトユニット22aは、発光装置10におけるシフトユニット12aにおける結合トランジスタQを結合ダイオードDに置き換えるとともに、接続関係を変更している。
シフトユニット22aにおいて、シフトサイリスタTのnゲートGnは、結合ダイオードDのカソードに接続されている。シフトサイリスタTのnゲートGnは、電源線抵抗Rgの一方に接続されている。電源線抵抗Rgの他方は、電源線71に接続されている。さらに、シフトサイリスタTのnゲートGnは、発光部21の発光制御サイリスタSのnゲートGnに接続されている。結合ダイオードDのアノードは、隣接するシフトサイリスタTのnゲートGnに接続されている。なお、結合ダイオードDについては、アノードとカソードとに符号Aと符号Kとを付すことを省略する。
【0123】
例えば、結合ダイオードD(1)のカソードは、シフトサイリスタT(1)のnゲートGnに接続され、結合ダイオードD(1)のアノードは、シフトサイリスタT(2)のnゲートGnに接続されている。つまり、結合ダイオードD(1)~D(6)は、アノードとカソードとが互いに接続されるように、直列に接続されている。
【0124】
そして、シフト部22の一方側(-x方向側)の端部に設けられたスタートダイオードDsは、アノードがシフトサイリスタT(1)のnゲートGn、結合ダイオードD(1)のカソード、電源線抵抗Rgの一方、及び発光制御サイリスタSのnゲートGnに接続されている。スタートダイオードDsのカソードは、シフト信号p2が供給されるシフト信号線72-2に接続されている。
【0125】
シフト部22の基本的な動作を説明する。
初期状態を説明する。初期状態とは、電源線71が電源電位VGK(7V)、接地線73が接地電位GND(0V)に設定され、シフト信号p1(φ1)、p2(φ2)が「L」(0V)であり、ドライバDrvがオフであって、発光電位線74に発光電源電位VS2(7V)が印加されていない状態である。
【0126】
初期状態において、シフトサイリスタT(1)のnゲートGnは、電源線抵抗Rgを介して、電源電位VGK(7V)の電源線71に接続され、スタートダイオードDsを介して「L」(0V)のシフト信号p2が供給されるシフト信号線72-2に接続されている。このため、シフトサイリスタT(1)のnゲートGnは、スタートダイオードDsの順方向電圧Vd(1.5V)になる。シフトサイリスタT(1)は、アノードAが接続されたシフト信号線72-1に接続されている。よって、シフト信号線72-1に供給されるシフト信号p1が「L」(0V)から「H」(7V)に移行すると、シフトサイリスタT(1)のアノードA(7V)とnゲートGn(1.5V)との間が順バイアスになり、シフトサイリスタT(1)がターンオンして、オフ状態からオン状態に移行する。すると、シフトサイリスタT(1)のnゲートGnの電圧が、ほぼ0Vになる。
【0127】
シフトサイリスタT(1)のnゲートGnは、結合ダイオードD(2)を介してシフトサイリスタT(2)のnゲートGnに接続されている。よって、シフトサイリスタT(2)のnゲートGnは、1.5Vになる。
【0128】
シフトサイリスタT(1)のnゲートGnは、発光制御サイリスタS(1)のnゲートGnに接続されている。よって、発光制御サイリスタS(1)のnゲートGnは、ほぼ0Vになる。よって、発光信号pIが「H」(7V)から「L」(0V)になって、発光電位線74に発光電源電位VS2(7V)が印加され、発光制御サイリスタS(1)のアノードAとnゲートGnとが順バイアスになると、発光制御サイリスタS(1)がターンオンして、VCSEL(1)が発光する。
【0129】
図11は、第4の実施の形態が適用される光源装置3を動作させるタイミングチャートである。ここでも、図9(a)、(b)と同様に、VCSEL(2)、VCSEL(4)、VCSEL(6)をこの順に発光させるとする。図11に示すタイミングチャートは、図9(a)に示した第3の実施の形態が適用されるタイミングチャートにおいて、シフト信号p2が、時刻d、d、d、時刻k、k、k、時刻s、s、sに「H」(7V)になる期間を有さない。
【0130】
VCSELを発光させると、発光制御サイリスタSのnゲートGnがほぼ0Vになる。図10に示すように、発光制御サイリスタSのnゲートGnは、シフトサイリスタTのnゲートGnに接続されている。よって、発光制御サイリスタSのnゲートGnがほぼ0Vになると、シフトサイリスタTのnゲートGnもほぼ0Vになる。シフト信号p1又はシフト信号p2を「L」(0V)から「H」(7V)に移行させると、発光させたVCSELに対応するシフトサイリスタTがターンオンする。
【0131】
時刻fは、VCSEL(2)の再発光が可能な期間のタイミングである。よって、VCSEL(2)を再発光させるとともに、シフト信号p2を「L」(0V)から「H」(7V)にすると、シフトサイリスタT(2)がターンオンする。時刻mは、VCSEL(4)の再発光が可能な期間のタイミングである。よって、VCSEL(4)を再発光させるとともに、シフト信号p2を「L」(0V)から「H」(7V)にすると、シフトサイリスタT(4)がターンオンする。このように、次に発光させたいVCSELが下流側に位置する場合、ターンオンさせたシフトサイリスタTからシフト動作が再開させられる。これにより、発光させるVCSELを設定する時間が短くなる。
【0132】
なお、シフトサイリスタTを再びターンオンさせるタイミングは、図11に示す時刻fのように、VCSEL(2)に発光電流を供給しているタイミングであることがよい。つまり、VCSEL(2)への発光電流を停止しようとしている間であることがよい。このようにすることで、次に発光させるVCSELの設定に要する時間がさらに短くなる。
【0133】
第4の実施の形態の発光装置20では、発光制御サイリスタSのnゲートGnがシフトサイリスタTのnゲートGnに接続されている。よって、VCSELの発光による発光制御サイリスタSのnゲートGnの電圧変化に伴ってシフトサイリスタTのnゲートGnの電圧が変化する。一方、第1の実施の形態の発光装置10(図1参照)では、発光制御サイリスタSのnゲートGnは、結合トランジスタQのコレクタCsに接続されている。このため、VCSELの発光による発光制御サイリスタSのnゲートGnの電圧が変化しても、シフトサイリスタTのnゲートGnの電圧が変化しない。
【0134】
上述した、発光装置10、20は、カソードコモンで記載したが、アノードコモンとしてもよい。このとき、nゲート層(n型の半導体層83)にnオーミック電極を設けたが、pゲート層(p型の半導体層82)にpオーミック電極を設けるように構成すればよい。
また、発光装置10のシフト部12において、シフトサイリスタT間を結合トランジスタQで接続し、発光装置20のシフト部22において、シフトサイリスタT間を結合ダイオードで接続したが、抵抗で接続してもよい。
【0135】
(計測装置100)
第1の実施の形態から第4の実施の形態で示した光源装置1、2、3は、被計測物の三次元形状(以下では、3D形状と表記する。)を計測する計測装置に適用しうる。計測装置は、光の飛行時間による、いわゆるToF(Time of Flight)法に基づいて、3D形状を計測する装置である。計測装置は、光源装置と三次元センサ(以下では、3Dセンサと表記する。)とを備える。ToF法では、光源装置から光が出射されたタイミングから被計測物で反射して3Dセンサが受光するタイミングまでの時間を計測する。そして、三次元センサから取得される時間から、被計測物までの距離が算出され、被計測物の3D形状が特定される。また、三次元形状を計測することを、三次元計測、3D計測又は3Dセンシングと表記することがある。三次元センサは、受光部の一例である。
【0136】
このような計測装置は、特定された3D形状から被計測物を認識することに適用される。例えば、携帯型情報処理装置などに搭載され、アクセスしようとするユーザの顔の認識などに利用される。つまり、アクセスしたユーザの顔の3D形状を取得し、アクセスすることが許可されているか否かを識別し、アクセスが許可されているユーザであると認識された場合にのみ、自装置(携帯型情報処理装置)の使用を許可する。
また、この計測装置は、拡張現実(AR:Augmented Reality)など、継続的に被計測物の3D形状を計測する場合にも適用される。
【0137】
このような計測装置は、携帯型情報処理装置以外のパーソナルコンピュータ(PC)などの情報処理装置に適用しうる。
【0138】
図12は、計測装置100の構成を説明するブロック図である。計測装置100は、発光装置10と制御部50とを備える光源装置1と、3Dセンサ5とを備える。なお、光源装置1は、光源装置2であってもよく、発光装置20と制御部50とを備える光源装置3であってもよい。よって、図12には、光源装置を1、2、3と表記し、発光装置を10、20と表記する。光源装置1は、被計測物に向けて光を出射する。3Dセンサ5は、被計測物で反射されて戻ってきた光(反射光)を取得する。3Dセンサ5は、ToF法により計測した、出射されてから反射光を受光するまでの時間に基づいた被計測物までの距離に関する情報(距離情報)を出力する。なお、計測装置100には、計測制御部200を含んでもよい。計測制御部200は、CPU、ROM、RAMなどを含むコンピュータとして構成され、3Dセンサ5から取得した距離情報に基づいて、被計測物の3次元形状を特定する。
【0139】
本発明は、次のように捉えてもよい。
シフト部は、配列の順にオン状態が転送されるシフト素子で構成されていることを特徴とする発光装置である。このようにすることで、オン状態を転送しない場合に比べ、シフト部が構成しやすい。
シフト部のサイリスタがオン状態になることにより、発光素子がサイリスタ機能により発光可能な状態に移行することを特徴とする発光装置である。このようにすることで、シフト部の制御と発光部の制御とが分けられる。
発光素子は、直列接続された面発光素子とサイリスタとで構成されていることを特徴とする発光装置である。このようにすることで、発光特性を向上させやすい。
【符号の説明】
【0140】
1、2、3…光源装置、5…3Dセンサ、10、20…発光装置、11、21…発光部、12、22…シフト部、12a、22a…シフトユニット、50…制御部、71…電源線、72、72-1、72-2…シフト信号線、73…接地線、74…発光電位線、79…裏面電極、100…計測装置、200…計測制御部、Buf1、Buf2…バッファ、D…結合ダイオード、Drv、Drv2…ドライバ、Ds…スタートダイオード、GND…接地電位、p1、p2…シフト信号、pI…発光信号、pJ…保持信号、R1、R2…電流制限抵抗、Rg、RL…電源線抵抗、Rc…結合抵抗、RI…発光電流制限抵抗、RJ…保持電流制限抵抗、Rs…スタート抵抗、S…発光制御サイリスタ、T…シフトサイリスタ、VCSEL…垂直共振器面発光レーザ、Vc…飽和電圧、Vd…順方向電圧(拡散電位)、VGK…電源電位、VS1、VS2…電源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12