(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】車両用警報装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20241106BHJP
B62D 6/00 20060101ALI20241106BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20241106BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B62D6/00
B60W50/14
(21)【出願番号】P 2022021785
(22)【出願日】2022-02-16
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 貴也
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-042823(JP,A)
【文献】特開2018-116516(JP,A)
【文献】特開2006-205863(JP,A)
【文献】特開2017-114258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
B62D 6/00
B60W 50/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の後側方の物標の情報を取得するように構成されたセンサと、
前記車両の前方領
域の路面及び物標を含むシーンを撮影して当該前方領域の画像データを生成するカメラと、
前記車両の運転者に対する警報を発生することが可能に構成された警報発生装置と、
前記車両の左方向の方向指示器及び前記車両の右方向の方向指示器の作動状態に関する情報である方向指示器情報を取得し、
前記車両の左方向及び右方向の何れか一方である特定方向の方向指示器が点滅していると前記方向指示器情報に基いて判定した場合、前記物標の情報に基いて、前記車両の前記特定方向側の後方の所定領域に位置する第1物標及び当該所定領域に所定時間以内に進入すると推定される第2物標の少なくとも一方を含む警報対象物標が存在すると判定したとき、前記警報発生装置から前記警報を発生させるコントロールユニットと、
を備え、更に、
前記コントロールユニットは、
前記車両が前記特定方向の方向指示器を点滅させながら第1車線から当該第1車線に対して前記特定方向に隣接する第2車線への1車線分の車線変更を完了した後であって前記特定方向の方向指示器の点滅が継続されている状態である特定状態が発生していると前記方向指示器情報及び前記画像データに基いて判定した場合、
前記第2車線に対して前記特定方向に隣接する第3車線と前記第2車線とを区画する車線区画線と前記車両の前記特定方向側の側面との距離が閾値距離以下であるときに成立する第1条件、及び、
前記車両の前記特定方向側の側面が前記第3車線へと進入し始めるまでの時間が閾値時間以下であるときに成立する第2条件、
の少なくとも一方を含む警報許可条件が成立しているか否かを前記画像データに基いて判定し、前記警報許可条件が成立していないと判定したときには前記警報対象物標が存在すると判定しても前記警報発生装置から前記警報を発生させないように構成された、
車両用警報装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用警報装置において、
前記コントロールユニットは、
前記特定状態が発生していると判定した場合、前記第1条件が成立しているか否かを判定し、
前記第1条件が成立していないと判定した場合には前記警報許可条件が成立していないと判定するように構成された、
車両用警報装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用警報装置において、
前記コントロールユニットは、
前記特定状態が発生していると判定した場合、前記第2条件が成立しているか否かを更に判定し、
前記第1条件が成立していないと判定した場合であっても前記第2条件が成立していると判定した場合には前記警報許可条件が成立していると判定し、
前記警報許可条件が成立していると判定した場合に前記警報対象物標が存在すると判定したとき、前記警報発生装置から前記警報を発生させるように構成された、
車両用警報装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の車両用警報装置において、
前記コントロールユニットは、
前記車両が走行している道路の車線幅を取得し、
前記車線幅が狭いほど前記閾値時間が短くなるように前記閾値時間を変更するように構成された、
車両用警報装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の車両用警報装置において、
前記警報発生装置は、警報音を発生することが可能な発音装置を含み、
前記コントロールユニットは、前記発音装置から前記警報音を発生させることによって前記警報を発生させるように構成された、
車両用警報装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の車両用警報装置において、
前記警報発生装置は、前記車両のステアリングホイールを振動させることが可能なステアリング振動アクチュエータを含み、
前記コントロールユニットは、前記ステアリング振動アクチュエータによって前記ステアリングホイールを振動させることによって前記警報を発生させるように構成された、
車両用警報装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の車両用警報装置において、
前記警報発生装置は、前記車両のサイドミラー内に配設させたインジケータを含み、
前記コントロールユニットは、前記インジケータを点滅させることによって前記警報を発生させるように構成された、
車両用警報装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の後側方に当該車両の運転者が注意すべき物標が存在すると判定された場合に当該運転者に警報を発生する車両用警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ブラインドスポットモニタと呼ばれる車両周辺監視装置が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。ブラインドスポットモニタは、以下、「BSM」と表記される。本明細書において、BSMを搭載した車両は、便宜上、「自車両」と称呼される。
【0003】
図10に示したように、BSMは、自車両HVの右側後方の所定の右モニタ範囲RA内に他車両OV1が位置している場合及び右モニタ範囲RAに閾値進入時間内に進入すると予想される他車両が存在している場合、自車両HVの右サイドミラー内に配設されたインジケータを点灯させる。右モニタ範囲RAは、例えば、自車両HVの右サイドミラーに映らない死角領域を含む。同様に、BSMは、自車両HVの左側後方の所定の左モニタ範囲LA内に他車両が位置している場合及び左モニタ範囲LAに閾値進入時間内に進入すると予想される他車両OV2が存在している場合、自車両HVの左サイドミラー内に配設されたインジケータを点灯させる。左モニタ範囲LAは、例えば、自車両HVの左サイドミラーに映らない死角領域を含む(例えば、特許文献2及び特許文献3を参照。)。以下、右モニタ範囲RA及び左モニタ範囲LAは、それらを互いに区別する必要がない場合「監視範囲」と称し、監視範囲内に位置している他車両及び監視範囲に閾値進入時間内に進入すると予想される他車両はそれらを互いに区別する必要がない場合「監視対象物標」と称する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-291689号公報
【文献】特開2020-121575号公報
【文献】特開2018-116516号公報
【発明の概要】
【0005】
ところで、
図11に示したように、自車両HVの運転者は、一般に、右方向及び左方向の一つである特定方向(
図11の例では右方向)の方向指示器を点滅させながら車線を変更する。この場合、その特定方向の監視範囲(
図11の例では右モニタ範囲RA)に対する監視対象物標(例えば、他車両OV3)が存在するとき、運転者にその監視対象物標が存在することを、より確実に認識させることが望ましい。そこで、発明者は、このような場合に、サイドミラー内に配設されたインジケータの状態を点灯状態から点滅状態へと変更させるだけでなく、例えば、警報発生装置Bzから警報音を発生させたりステアリングホイールを振動させたりする警報を発生させることを検討している。
【0006】
ところが、次に述べるように、運転者が上記警報を煩わしいと感じる場合があることが判明した。
【0007】
即ち、
図12の(A)に示したように、自車両HVの運転者は右方向への車線変更を行う場合、先ず、右方向(特定方向)の方向指示器の点滅を開始させる。次に、運転者は、右方向指示器の点滅を継続させながら第1車線(元車線)L1から第2車線(第1右隣接車線)L2へと1車線分だけ車線変更を行う。
図12の(A)に示した例においては、自車両HVが第1車線L1内に位置している場合、特定方向側の監視範囲(即ち、右モニタ範囲RA)に対する監視対象物標は存在していないから、上記警報は行われない。
【0008】
その後、ある時間が経過すると、
図12の(B)に示したように、自車両HVが第1車線L1から第2車線L2への車線変更を完了する。この車線変更の直後においては、右方向指示器が点滅し続けているが、自車両HVの運転者は、第2車線L2から第3車線L3(第2右隣接車線)へと車線変更しようとする意図を有しておらず、第2車線L2を走行する意図を有している。
【0009】
しかしながら、右方向指示器が点滅しているので、特定方向側の監視範囲(即ち、右モニタ範囲RA)に対する監視対象物標(例えば、他車両OV4)が存在している場合、上記警報が行われる。その結果、第2車線L2から第3車線L3へと車線変更しようとする意図を有していない運転者は、この警報を煩わしく感じてしまう。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、自車両が方向指示器を点滅させながら車線変更を行う場合、自車両の運転者にとって有効な警報を行うとともに、当該運転者が煩わしいと感じる警報を行う可能性を低減可能な、車両用警報装置を提供することにある。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の一態様は、
車両(自車両HV)の後側方の物標の情報を取得するように構成されたセンサ(10、30)と、
前記車両の前方領域を撮影して当該前方領域の画像データを生成するカメラ(51)と、
前記車両の運転者に対する警報を発生することが可能に構成された警報発生装置(20、40、61、62)と、
前記車両の左方向の方向指示器及び前記車両の右方向の方向指示器の作動状態に関する情報である方向指示器情報を取得し、
前記車両の左方向及び右方向の何れか一方である特定方向の方向指示器が点滅していると前記方向指示器情報に基いて判定した場合(ステップ510:Yes、ステップ910:Yes)、前記物標の情報に基いて、前記車両の前記特定方向側の後方の所定領域に位置する第1物標及び当該所定領域に所定時間以内に進入すると推定される第2物標の少なくとも一方を含む警報対象物標が存在すると判定したとき(ステップ530:Yes、ステップ930:Yes)、前記警報発生装置から前記警報を発生させる(ステップ540、ステップ940)コントロールユニット(12、32、52、60)と、
を備える。
【0012】
警報発生装置は、例えば、警報音を発生することが可能な発音装置(61)であり、この場合、発音装置から警報音を発生させることにより前記警報を発生させることができる。
警報発生装置は、例えば、車両のステアリングホイールを振動させることが可能なステアリング振動アクチュエータ(62)であり、この場合、ステアリング振動アクチュエータを用いてステアリングホイールを振動させることによって前記警報を発生させることができる。
更に、警報発生装置は、例えば、車両のサイドミラー内に配設させたインジケータ(20、40)であり、この場合、このインジケータを点滅させることにより前記警報を発生させることができる。
【0013】
更に、前記コントロールユニットは、
「前記車両が前記特定方向の方向指示器を点滅させながら第1車線から当該第1車線に対して前記特定方向に隣接する第2車線への1車線分の車線変更を完了した後であって前記特定方向の方向指示器の点滅が継続されている状態」である特定状態が発生していると前記方向指示器情報及び前記画像データに基いて判定した場合(ステップ520:Yes、ステップ920:Yes)
前記第2車線に対して前記特定方向に隣接する第3車線と前記第2車線とを区画する車線区画線と前記車両の前記特定方向側の側面との距離が閾値距離以下であるときに成立する第1条件(ステップ550、ステップ950)、及び、
前記車両の前記特定方向側の側面が前記第3車線へと進入し始めるまでの時間が閾値時間以下であるときに成立する第2条件(ステップ560及びステップ960)、
の少なくとも一方を含む警報許可条件が成立しているか否かを前記画像データに基いて判定し、前記警報許可条件が成立していないと判定したときには前記警報対象物標が存在すると判定しても前記警報発生装置から前記警報を発生させないように(ステップ550及びステップ560での「No」、ステップ950及びステップ960での「No」)構成されている。
【0014】
この態様によれば、上記特定状態が発生している場合、第1条件及び第2条件の少なくとも一方を含む警報許可条件が成立しないとき、前記警報対象物標が存在すると判定しても警報が発生させられない。
【0015】
よって、車両の運転者が、方向指示器を点滅させながら元車線(即ち、第1車線)から1車線分の車線変更を行い、当該車線変更後の車線(即ち、第2車線)を走行しようと意図している場合、車線変更後の車線に隣接する車線(即ち、第3車線)に警報対象物標が存在すると判定しても警報が発生させられない。従って、運転者が煩わしいと感じる警報が発生させられる可能性を低減することができる。
【0016】
その一方、方向指示器を点滅させながら元車線(即ち、第1車線)から1車線分の車線変更を行い更に1車線分の車線変更(即ち、第2車線から第3車線への車線変更)を行う場合には、第1条件及び第2条件の少なくとも一方が成立する可能性が高い。よって、上記態様の車両用警報装置は、2車線以上に渡る車線変更を行う運転者にとって有効な警報を発生させることができる。
【0017】
本発明の一態様において、前記コントロールユニットは、
前記特定状態が発生していると判定した場合、前記第1条件が成立しているか否かを判定し(ステップ550、ステップ950)、
前記第1条件が成立していないと判定した場合には前記警報許可条件が成立していないと判定するように構成されている。
【0018】
この態様によれば、運転者が2車線以上に渡る車線変更を行う場合、1車線分の車線変更を行い更にその車線変更後の車線に隣接する車線(即ち、第3車線)に車両が接近したとき必要に応じて警報を行うことができる。これにより、2車線以上に渡る車線変更を行う場合にも有効な警報を確実に発生することができる。一方、運転者が1車線分の車線変更を意図していた場合には、その車線変更後の車線(即ち、第2車線)に隣接する車線(即ち、第3車線)に車両が接近する可能性は低い。従って、運転者が煩わしいと感じる警報が発生させられる可能性を低減することができる。
【0019】
更に、この場合、前記コントロールユニットは、
前記特定状態が発生していると判定した場合、前記第2条件が成立しているか否かを更に判定し(ステップ560、ステップ960)、
前記第1条件が成立していないと判定した場合(即ち、前記第1条件が成立していると判定していない場合)であっても前記第2条件が成立していると判定した場合には前記警報許可条件が成立していると判定し、
前記警報許可条件が成立していると判定した場合に前記警報対象物標が存在すると判定したとき、前記警報発生装置から前記警報を発生させるように構成されている。
【0020】
この態様によれば、運転者が2車線以上に渡る車線変更を比較的短時間内に行う場合、1車線分の車線変更を行い更にその車線変更後の車線(即ち、第2車線)に隣接する車線(即ち、第3車線)に車両が接近する前(即ち、第1条件が成立する前)に第2条件が成立する。従って、2車線以上に渡る車線変更を比較的短時間内に行う場合、有効な警報を早期に確実に発生することができる。一方、運転者が1車線分の車線変更を意図していた場合、第2条件が成立する可能性は低い。従って、運転者が煩わしいと感じる警報が発生させられる可能性を低減することができる。
【0021】
本発明の一態様において、前記コントロールユニットは、
前記車両が走行している道路の車線幅を取得し、
前記車線幅が狭いほど前記閾値時間が短くなるように前記閾値時間を変更するように構成されている。
【0022】
この態様によれば、車線幅が相違する場合であっても、運転者が2車線以上に渡る車線変更を行おうとしているか否かをより早いタイミングにて精度良く判定することができる。なお、車線幅は、前記画像データに基いて取得されてもよく、車線の現在の走行位置を取得し、その走行位置に対応する道路についての車線幅の情報を記憶装置又は通信を介して取得することによって取得してもよい。
【0023】
上記説明においては、発明の理解を助けるために、実施形態に対応する発明の構成要件に対して、実施形態で用いた符号を括弧書きで添えているが、発明の構成要件は、前記符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る車両用警報装置の概略システム構成図である。
【
図2】
図2は、左後側方レーダ、右後側方レーダ、前方カメラ及び監視範囲(右モニタ範囲及び左モニタ範囲)などを示す車両及び当該車両の周辺の平面図である。
【
図3】
図3は、インジケータを備えた左サイドミラーの正面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示した左後側方用ECUのCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
【
図5】
図5は、
図1に示した左後側方用ECUのCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
【
図6】
図6は(A)及び(B)を含み、自車両が車線変更する状況を示した自車両及び当該自車両の周辺の平面図である。
【
図7】
図7は(A)及び(B)を含み、自車両が車線変更する状況を示した自車両及び当該自車両の周辺の平面図である。
【
図8】
図8は(A)及び(B)を含み、自車両が車線変更する状況を示した自車両及び当該自車両の周辺の平面図である。
【
図9】
図9は、
図1に示した左後側方用ECUのCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
【
図10】
図10は、自車両の「右モニタ範囲及び左モニタ範囲」などを示す自車両及び当該自車両の周辺の平面図である。
【
図11】
図11は、方向指示器を点滅させながら車線変更を開始した自車両の「右モニタ範囲及び左モニタ範囲」などを示す自車両及び当該自車両の周辺の平面図である。
【
図12】
図12は(A)及び(B)を含み、方向指示器を点滅させながら車線変更を行う自車両に対し不要な警報が発生させられる場合を示す、自車両及び当該自車両の周辺の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(構成)
図1に示した本発明の実施形態に係る車両用警報装置1(以下、単に「本警報装置1」と称する。)は、
図2に示した自車両HVに搭載されている。
【0026】
図1に示したように、本警報装置1は、左後側方レーダー装置10、左サイドミラーインジケータ20、右後側方レーダー装置30、右サイドミラーインジケータ40、前方カメラ装置50、警報実行ECU60、ブザー61、ステアリング振動アクチュエータ62、左方向指示器スイッチ63、右方向指示器スイッチ64及びコントロールゲートウェイECU70を備える。
【0027】
以下、左サイドミラーインジケータ20は「左ミラーインジケータ20」と称呼される。右サイドミラーインジケータ40は「右ミラーインジケータ40」と称呼される。更に、左ミラーインジケータ20及び右ミラーインジケータ40を区別する必要がない場合、左ミラーインジケータ20及び右ミラーインジケータ40のそれぞれは、単に「ミラーインジケータ」とも称呼される。コントロールゲートウェイECU70はCGW・ECU70と称呼される。
【0028】
左後側方レーダー装置10は、左後側方レーダ11と左後側方用ECU12とを含む。
【0029】
本明細書において、「ECU」はマイクロコンピュータを主要部として備える電子式制御装置(Electronic Control Unit)であり、コントローラとも称呼される。マイクロコンピュータは、CPU(プロセッサ)、ROM、RAM、不揮発性メモリ及びインターフェースI/F等を含む。CPUはROMに格納されたインストラクション(プログラム、ルーチン)を実行することにより各種機能を実現するようになっている。左後側方用ECU12及び後述する複数のECUの幾つか又は全部は、一つのECUに統合されてもよい。
【0030】
左後側方レーダ11は、
図2に示したように、自車両HVの車体の左後コーナー部に固定されている。左後側方レーダ11は、車体の左後コーナー部から「車体の左斜め後方に向けた基準軸(レーダー軸)に対して水平方向に所定角度を有する検出範囲LDar」に電波を送信する。この検出範囲LDarは左モニタ範囲LAを含む。
【0031】
左モニタ範囲LAは、運転者が左サイドミラー21を用いて視認できない領域(即ち、左側の死角領域)を含んでいる。左モニタ範囲LAは、自車両HVの後端面から前方に第1距離d1(例えば、1m)の位置に車両幅方向に広がる垂直面と、自車両HVの後端面から後方に第2距離d2(例えば、3m)の位置に車両幅方向に広がる垂直面と、の間の範囲であり、且つ、自車両HVの左側面から左方に第3距離d3(例えば、0.5m)の位置に車両前後方向に広がる垂直面と、自車両HVの左側面から左方に第4距離d4(例えば、3.5m)の位置に車両前後方向に広がる垂直面と、の間の範囲である。
【0032】
左後側方レーダ11の検出範囲LDar内に物標が存在する場合、その物標は左後側方レーダ11から送信された電波を反射する。その結果、反射波が形成される。左後側方レーダ11はこの反射波を受信する。左後側方レーダ11は、送信した電波についての情報と受信した反射波についての情報とを所定時間が経過する毎に左後側方用ECU12に送信する。
【0033】
左後側方用ECU12は、左後側方レーダ11から送信されてくる情報に基いて、左後側方レーダ11の検出範囲LDar内に存在する物標についての物標情報を取得する。この物標情報は、「左後側方物標情報」と称呼され、左後側方レーダ11に対する物標の「位置(相対距離、および、相対方向)、相対速度、及び、物標の幅等」を含む。このような物標情報を生成する機能は、周辺物標認識機能とも称呼される。左後側方用ECU12は、物標の幅が所定範囲内(幅WLから幅WHの間)にある場合、その物標が車両(他車両)であると判定する。
【0034】
左後側方用ECU12は、周辺物標認識機能のみでなく、後述するBSM機能12aを実現するようになっている。BSMは「Blind Spot Monitor」の略である。
【0035】
左ミラーインジケータ20は、
図3に示したように、左サイドミラー21の鏡が設けられている領域の一部に埋設されたLEDにより構成されている。このLEDが点灯されると、運転者は点灯したLEDを視認可能である。なお、破線の円ENL内に点灯中の左ミラーインジケータ20が拡大表示されている。左ミラーインジケータ20は、左後側方用ECU12からの指示信号に応じて点灯又は点滅する。
【0036】
右後側方レーダー装置30は、
図1に示したように、右後側方レーダ31と右後側方用ECU32とを含む。
【0037】
右後側方レーダ31は、
図2に示したように、自車両HVの車体の右後コーナー部に固定されている。右後側方レーダ31は、車体の右後コーナー部から「車体の右斜め後方に向けた基準軸(レーダー軸)に対して水平方向に所定角度を有する検出範囲RDar」に電波を送信する。この検出範囲RDarは右モニタ範囲RAを含む。
【0038】
なお、
図2に示した「検出範囲LDar及び検出範囲RDar」は、左後側方レーダ11及び右後側方レーダ31の検出範囲の角度をそれぞれ表しているが、左後側方レーダ11及び右後側方レーダ31の検出範囲の距離を表してはいない。各検出範囲の距離は、例えば、数十メートルである。
【0039】
右モニタ範囲RAは、運転者が右サイドミラー41を用いて視認できない領域(即ち、右側の死角領域)を含んでいる。右モニタ範囲RAは、自車両HVの後端面から前方に第1距離d1の位置に車両幅方向に広がる垂直面と、自車両HVの後端面から後方に第2距離d2の位置に車両幅方向に広がる垂直面と、の間の範囲であり、且つ、自車両HVの右側面から右方に第3距離d3の位置に車両前後方向に広がる垂直面と、自車両HVの右側面から右方に第4距離d4の位置に車両前後方向に広がる垂直面と、の間の範囲である。
【0040】
右後側方レーダ31の検出範囲RDar内に物標が存在する場合、その物標は右後側方レーダ31から送信された電波を反射する。その結果、反射波が形成される。右後側方レーダ31はこの反射波を受信する。右後側方レーダ31は、送信した電波についての情報と受信した反射波についての情報とを所定時間が経過する毎に右後側方用ECU32に送信する。
【0041】
右後側方用ECU32は、右後側方レーダ31から送信されてくる情報に基いて、右後側方レーダ31の検出範囲RDar内に存在する物標についての物標情報を取得する。この物標情報は、「右後側方物標情報」と称呼され、右後側方レーダ31に対する物標の「位置(相対距離、および、相対方向)、相対速度、及び、物標の幅等」を含む。右後側方用ECU32は、物標の幅が所定範囲内にある場合、その物標が車両(他車両)であると判定する。このように、右後側方用ECU32も、左後側方用ECU12と同様、周辺物標認識機能を有する。
【0042】
図1に示した右ミラーインジケータ40は、左ミラーインジケータ20を左右対称にした構成を有し、
図2に示した右サイドミラー41の鏡が設けられている領域の一部に埋設されたLEDにより構成されている。右ミラーインジケータ40は、右後側方用ECU32からの指示信号に応じて点灯又は点滅する。
【0043】
左後側方用ECU12と右後側方用ECU32とは、マスター/スレーブの関係になるように、図示しないローカルバスによって互いに情報を送受信可能に接続されている。本例において、左後側方用ECU12がマスターであり、右後側方用ECU32がスレーブである。
【0044】
前方カメラ装置50は、前方カメラ51とイメージECU52とを含む。
【0045】
前方カメラ51は、
図2に示したように、自車両HVのフロントウインドシールドの上部且つ中央部に配設されている。前方カメラ51は、所定時間が経過する毎に、自車両HVの前方のシーン(路面及び物標を含む)を撮像して画像データを取得する。
【0046】
イメージECU52は、前方カメラ51から送信されてくる画像データを解析し、画像情報を生成する。画像情報には次の情報が含まれる。
・自車両HVの前輪車軸の左右方向の中央部と、自車両HVが走行している車線(即ち、走行車線)の中心線(車線中心線)と、の距離である中央偏差距離。
・自車両HVの前後軸方向と車線中心線とのなす角度(ヨー角)
・自車両HVの右側面と走行車線の右区画線(右区画線である右白線の左端)との距離である右余裕距離DR(
図2を参照。)。なお、右余裕距離DRは、自車両HVの右側面と走行車線の右区画線である右白線の右端又は当該白線の中心線との距離であってもよい。
・自車両HVが車線幅方向において右隣接車線に向かう方向の速度(右方向横速度Rspd)。
・自車両HVの左側面と走行車線の左区画線(左区画線である左白線の右端)との距離である左余裕距離DL(
図2を参照。)。なお、左余裕距離DLは、自車両HVの左側面と走行車線の左区画線である左白線の左端又は当該白線の中心線との距離であってもよい。
・自車両HVが車線幅方向において左隣接車線に向かう方向の速度(左方向横速度Lspd)。
【0047】
図1に示した警報実行ECU60は、ブザー61、ステアリング振動アクチュエータ62、左方向指示器スイッチ63及び右方向指示器スイッチ64に接続されている。
【0048】
ブザー61は、警報実行ECU60からの指示信号に応じて、自車両HVの運転者に対して警報音を発生することができる発音装置(警報発生装置)である。
【0049】
ステアリング振動アクチュエータ62は、警報実行ECU60からの指示信号に応じて、図示しない自車両HVのステアリングホイールを振動させ、自車両HVの運転者に振動による警報を与えることができる警報発生装置である。ステアリング振動アクチュエータ62は、図示しない電動パワーステアリング装置の電動モータ及びその駆動回路であってもよい。
【0050】
左方向指示器スイッチ63は、図示しないステアリングコラムに設けられた周知の方向指示器レバーが中立位置から左方向(反時計方向)に回動されて左方向所定位置に維持されているとき、ハイ信号を出力する。左方向指示器スイッチ63は、方向指示器レバーが左方向所定位置以外の位置にある場合、ロー信号を出力する。
【0051】
右方向指示器スイッチ64は、方向指示器レバーが中立位置から右方向(時計方向)に回動されて右方向所定位置に維持されているとき、ハイ信号を出力する。右方向指示器スイッチ64は、方向指示器レバーが右方向所定位置以外の位置にある場合、ロー信号を出力する。
左方向指示器スイッチ63及び右方向指示器スイッチ64のそれぞれから出力されるハイ信号及びロー信号は、方向指示器情報と称呼される場合がある。
【0052】
なお、周知であるが、方向指示器レバーは、中立位置に維持されているときに運転者によって左方向に回動されると左方向所定位置に移動し、その後、運転者が方向指示器レバーを押動していない場合であっても左方向所定位置に維持される。方向指示器レバーは、左方向所定位置に維持されているときに、ステアリングホイールが所定角度だけ右方向に回転すると、中立位置へと移動する。同様に、方向指示器レバーは、中立位置に維持されているときに運転者によって右方向に回動されると右方向所定位置に移動し、その後、運転者が方向指示器レバーを押動していない場合であっても右方向所定位置に維持される。方向指示器レバーは、右方向所定位置に維持されているときに、ステアリングホイールが所定角度だけ左方向に回転すると、中立位置へと移動する。
【0053】
CGW・ECU70は、複数のECU間の情報の送受信を制御するECUである。CGW・ECU70は、第1通信ラインC1を介して「左後側方用ECU12、右後側方用ECU32及びイメージECU52」と接続され、第2通信ラインC2を介して警報実行ECU60と接続されている。よって、これらのECUは、CGW・ECU70、第1通信ラインC1及び第2通信ラインC2を介して、互いに情報を送信及び受信することができる。
【0054】
左方向指示器スイッチ63及び右方向指示器スイッチ64は、方向指示器制御回路80に接続されている。方向指示器制御回路80は、左方向指示器(左ウインカ)81及び右方向指示器(右ウインカ)82に接続されている。方向指示器制御回路80は、左方向指示器スイッチ63からのハイ信号を受信している間、左方向指示器81を点滅させる。方向指示器制御回路80は、右方向指示器スイッチ64からのハイ信号を受信している間、右方向指示器82を点滅させる。
【0055】
(作動)
左後側方用ECU12のCPU(以下、単に「CPU」と称呼する。)は、
図4、
図5及び
図9にフローチャートにより示したルーチンを所定時間が経過する毎に実行する。これにより、左後側方用ECU12はBSM機能12a(
図1を参照。)を実現する。
【0056】
<方向指示器オフ時におけるBSM制御>
従って、適当な時点が到来すると、CPUは
図4のステップ400から処理を開始してステップ410に進み、左方向指示器81及び右方向指示器82の何れもがオフ(消灯状態)であるか否かを判定する。即ち、CPUは、左方向指示器スイッチ63からロー信号を受信し且つ右方向指示器スイッチ64からロー信号を受信しているか否かを判定する。
【0057】
左方向指示器81及び右方向指示器82の何れもがオフである場合、CPUはステップ410にて「Yes」と判定してステップ420に進み、右モニタ範囲RAに対する監視対象物標が存在するか否かを右後側方物標情報に基いて判定する。即ち、CPUは、右モニタ範囲RA内に物標である他車両(他車両の一部又は全体)が位置していると判定する場合(即ち、第1物標が存在している場合)、及び/又は、右モニタ範囲RAに閾値進入時間(TTCth)内に進入すると予想される物標である他車両(即ち、第2物標)が存在している場合、右モニタ範囲RAに対する監視対象物標が存在すると判定する。なお、CPUは、自車両HVの後方から右モニタ範囲RAに向けて走行してくる物標を検出し、当該物標の相対速度及び自車両HVと当該物標との距離から、当該物標が右モニタ範囲RAに進入するまでの時間Tenを算出する。そして、CPUは、時間Tenが閾値進入時間(TTCth)よりも短いか否かを判定することにより、右モニタ範囲RAに対する第2物標が存在しているか否かを判定する。この第2物標が存在するか否かの判定方法は、同様の判定を行う他のステップにおいても実施される。
【0058】
右モニタ範囲RAに対する監視対象物標が存在する場合、CPUはステップ420にて「Yes」と判定し、ステップ430に進んで右ミラーインジケータ40を点灯させる(点灯状態に維持する。)。なお、右ミラーインジケータ40の点灯は、本実施形態における警報に相当しない。その後、CPUはステップ440に進む。これに対し、右モニタ範囲RAに対する監視対象物標が存在しない場合、CPUはステップ420にて「No」と判定し、ステップ440に直接進む。
【0059】
CPUはステップ440にて、左モニタ範囲LAに対する監視対象物標が存在するか否かを左後側方物標情報に基いて判定する。即ち、CPUは、左モニタ範囲LA内に他車両(他車両の一部又は全体)が位置していると判定する場合(即ち、第1物標が存在している場合)、及び/又は、左モニタ範囲LAに閾値進入時間(TTCth)内に進入すると予想される他車両(即ち、第2物標)が存在している場合、左モニタ範囲LAに対する監視対象物標が存在すると判定する。なお、CPUは、自車両HVの後方から左モニタ範囲LAに向けて走行してくる物標を検出し、当該物標の相対速度及び自車両HVと当該物標との距離から、当該物標が左モニタ範囲LAに進入するまでの時間Tenを算出する。そして、CPUは、時間Tenが閾値進入時間(TTCth)よりも短いか否かを判定することにより、左モニタ範囲LAに対する第2物標が存在しているか否かを判定する。この第2物標が存在するか否かの判定方法は、同様の判定を行う他のステップにおいても実施される。
【0060】
左モニタ範囲LAに対する監視対象物標が存在する場合、CPUはステップ440にて「Yes」と判定し、ステップ450に進んで左ミラーインジケータ20を点灯させる(点灯状態に維持する。)。なお、左ミラーインジケータ20の点灯は、本実施形態における警報に相当しない。その後、CPUはステップ495に進んで、本ルーチンを一旦終了する。これに対し、左モニタ範囲LAに対する監視対象物標が存在しない場合、CPUはステップ440にて「No」と判定し、ステップ495に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0061】
なお、左方向指示器81及び右方向指示器82の何れか一方がオフでない場合、CPUはステップ410にて「No」と判定し、ステップ495に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0062】
このように、左方向指示器81及び右方向指示器82の何れもがオフである場合、右モニタ範囲RAに対する監視対象物標が存在すれば右ミラーインジケータ40が点灯され、左モニタ範囲LAに対する監視対象物標が存在すれば左ミラーインジケータ20が点灯されるが、ブザー61及びステアリング振動アクチュエータ62を用いた警報が発生させられることはない。更に、右ミラーインジケータ40及び左ミラーインジケータ20の何れも点滅させられることによる警報の発生は実行されない。即ち、左方向指示器81及び右方向指示器82の何れもがオフである場合、CPUは運転者の注意を喚起するための「警報」を発生しない。
【0063】
<右方向指示器オン時におけるBSM制御>
適当な時点が到来すると、CPUは
図5のステップ500から処理を開始してステップ510に進み、右方向指示器82がオン(即ち、点滅状態)であり且つ左方向指示器81がオフ(消灯状態)であるか否かを判定する。より具体的には、CPUは、右方向指示器スイッチ64からハイ信号を受信し且つ左方向指示器スイッチ63からロー信号を受信しているか否かを判定する。
【0064】
ステップ510の判定条件が成立していない場合、CPUはステップ510にて「No」と判定し、ステップ595に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0065】
これに対し、ステップ510の判定条件が成立している場合、CPUはステップ510にて「Yes」と判定してステップ520に進む。CPUは、ステップ520にて、「右方向指示器82がオフからオンへと変更された後に右方向指示器82が継続してオンに維持されている間」に自車両HVが元車線から第1右隣接車線への右方向に1車線分の車線変更を完了しているか否かを、イメージECU52から送信されている画像情報に基いて判定する。元車線は、車線変更を開始する前に自車両HVが走行している走行車線である。第1右隣接車線は、元車線の右方向に隣接している車線である。「右方向指示器82がオフからオンへと変更された後に右方向指示器82が継続してオンに維持されている期間」は、右方向の「特定期間」とも称呼される。右方向の特定期間は、右方向指示器82の今回のオン(点滅状態)が継続している期間である。
【0066】
CPUは、
図6の(A)に示したように、右方向指示器82が点滅状態にある場合、自車両HVの右側面が元車線の右区画線(例えば、第1車線L1の右区画線R・L1)の左端に一致したとき、右方向への車線変更が開始したと判定する。CPUは、
図6の(B)に示したように、右方向指示器82が点滅状態にある場合、右方向への車線変更が開始されたと判定した後であって、自車両HVの左側面が第1右隣接車線の左区画線(例えば、第1車線L1の右方向に隣接している第2車線L2の左区画線L・L2)の右端に一致したとき、右方向への1車線分の車線変更が完了したと判定する。なお、第2車線L2の左区画線L・L2は第1車線L1の右区画線R・L1と同じ区画線である。
【0067】
いま、自車両HVが右方向へ1車線分の車線変更を完了していないと仮定すると、CPUは
図5のステップ520にて「No」と判定してステップ530に進む。CPUは、ステップ530にて、ステップ420と同様に、右モニタ範囲RAに対する監視対象物標(即ち、第1物標及び第2物標の何れか)が存在するか否かを右後側方物標情報に基いて判定する。
【0068】
右モニタ範囲RAに対する監視対象物標が存在する場合、CPUはステップ530にて「Yes」と判定してステップ540に進み、以下に述べるように警報を発生させる。
・右ミラーインジケータ40を点滅状態に設定する。
・ブザー61から警報音を発生させる。
・ステアリング振動アクチュエータ62を用いてステアリングホイールを振動させる。
【0069】
その後、CPUはステップ595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0070】
これに対し、右モニタ範囲RAに対する監視対象物標が存在しない場合、CPUはステップ530にて「No」と判定し、ステップ595に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0071】
従って、
図6の(A)に示したように、右方向指示器82が点滅状態に変化してから自車両HVが元車線(例えば、第1車線L1)から第1右隣接車線(例えば、第2車線L2)への右方向の1車線分の車線変更を完了するまでの間に、右モニタ範囲RAに対する監視対象物標である他車両OVaが存在すると判定された場合、上記警報が発生させられる。
【0072】
その後、所定の時間が経過して、自車両HVが元車線(例えば、第1車線L1)から第1右隣接車線(例えば、第2車線L2)への右方向の1車線分の車線変更を完了したと仮定する。この車線変更を完了した直後において、ステアリングホイールは十分に左方向に回転させられないので、通常、右方向指示器82は点滅状態を継続している。従って、CPUは、
図5のステップ510にて「Yes」と判定してステップ520に進む。そして、CPUは、そのステップ520にて「Yes」と判定してステップ550に進む。
【0073】
ステップ550にて、CPUは、右余裕距離DRが所定の閾値右余裕距離DRth以下であるか否かを判定する。右余裕距離DRは、例えば
図6の(B)に示したように、自車両HVの右側面と、元車線(例えば、第1車線L1)から右方向への1車線分の車線変更が完了した車線(即ち、第1右隣接車線)の右区画線の左端(例えば、第2車線L2の右区画線R・L2の左端)と、の距離である。閾値右余裕距離DRthは、自車両HVが「第1右隣接車線の右方向に隣接している車線である第2右隣接車線(例えば、第3車線L3)」に十分に接近したと判定できる場合の右余裕距離DRと等しい値に設定されている。例えば、閾値右余裕距離DRthは、自車両HVが通常の車両専用道路の車線中央を走行している場合における右余裕距離DRよりも小さい正の値(例えば、車両専用道路の車線幅の1/5乃至1/4程度の値)に設定されている。ステップ550の判定条件は、便宜上、「第1条件」とも称呼される。
【0074】
自車両HVが、元車線(例えば、第1車線L1)から第1右隣接車線(例えば、第2車線L2)への右方向への1車線分の車線変更を完了した直後においては、
図6の(B)に示したように、右余裕距離DRは閾値右余裕距離DRthよりも大きい。この場合、CPUは
図5のステップ550にて「No」と判定してステップ560に進む。
【0075】
CPUは、ステップ560にて、右余裕時間TTRを画像情報に基いて算出する。右余裕時間TTRは、自車両HVの右側面が第1右隣接車線の右区画線(即ち、第2右隣接車線の左区画線)の左端に到達するまでに要する時間である。
図6の(B)に示した例においては、右余裕時間TTRは、自車両HVが「第2車線L2の右区画線R・L2の左端(即ち、第3車線L3の左区画線L・L3の左端)」に到達するまでの時間である。換言すると、右余裕時間TTRは、第1右隣接車線を走行中の自車両HVが第2右隣接車線に進入し始めるまでの時間である。
【0076】
より具体的に述べると、CPUは、右余裕距離DRを右方向横速度Rspdにより除することによって右余裕時間TTRを求める(TTR=DR/Rspd)。そして、CPUは、ステップ560にて、右余裕時間TTRが所定の閾値時間TRth以下であるか否かを判定する。ステップ560の判定条件は、便宜上、「第2条件」とも称呼される。
【0077】
一般に、自車両HVの運転者が、元車線から右方向への1車線分の車線変更を意図しているか、或いは、右方向への2車線以上分の車線変更を比較的長い時間をかけて行うことを意図している場合、第1右隣接車線(例えば、第2車線L2)から更にその車線に右方向に隣接する第2右隣接車線(例えば、第3車線L3)に向かう横方向速度(右方向横速度Rspd)は比較的小さい。即ち、この場合、右余裕時間TTRは閾値時間TRthよりも大きい。
【0078】
そこで、右余裕時間TTRが閾値時間TRthよりも大きい場合、CPUは
図5のステップ560にて「No」と判定してステップ570に進む。
【0079】
CPUは、ステップ570にて、ステップ420と同様に、右モニタ範囲RAに対する監視対象物標が存在するか否かを右後側方物標情報に基いて判定する。
【0080】
右モニタ範囲RAに対する監視対象物標が存在しない場合、CPUはステップ570にて「No」と判定し、ステップ595に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0081】
これに対し、右モニタ範囲RAに対する監視対象物標が存在する場合、CPUはステップ570にて「Yes」と判定し、ステップ580に進んで右ミラーインジケータ40を点灯させる(点灯状態に維持する。)。即ち、この場合、CPUは右ミラーインジケータ40を点滅させることによる警報は発生しない。その後、CPUはステップ595に進んで、本ルーチンを一旦終了する。従って、この場合、
図6の(B)に示したように、右方向指示器82が点滅状態にあり且つ右モニタ範囲RAに対する監視対象物標(他車両OVb)が存在していても、上記警報は発生されない。
【0082】
一方、自車両HVの運転者が元車線から第2右隣接車線への2車線以上分の車線変更を意図している場合、自車両HVは1車線分の車線変更後において第1右隣接車線の右区画線(即ち、第2右隣接車線の左区画線)に次第に接近する。即ち、例えば、
図7の(A)に示した例のように、自車両HVが、第1車線L1から第3車線L3への車線変更を意図している場合、自車両HVは第2車線L2の右区画線R・L2(第3車線L3の左区画線L・L3)に次第に接近する。この場合、
図7の(B)に示したように、自車両HVの右側面と、第1右隣接車線の右区画線の左端と、の間の右余裕距離DRが閾値右余裕距離DRth以下になる。
【0083】
この場合、CPUが
図5に示したステップ550に進んだとき、CPUはそのステップ550にて「Yes」と判定してステップ530に進む。その結果、右モニタ範囲RAに対する監視対象物標が存在する場合、右ミラーインジケータ40を点滅させることによる警報、ブザー61から警報音を発生させることによる警報、及び、ステアリング振動アクチュエータ62を用いてステアリングホイールを振動させることによる警報が実行される(ステップ540を参照。)。
【0084】
更に、自車両HVの運転者が右方向への2車線以上分の車線変更を短時間で行うことを意図している場合(例えば、第1車線L1から第3車線L3への車線変更を短時間内に行うことを意図している場合)、自車両HVは1車線分の車線変更後において第1右隣接車線の右区画線(例えば、第2車線L2の右区画線R・L2)に短時間内に接近する。この場合、右余裕時間TTRは閾値時間TRth以下になる。
【0085】
よって、この場合、
図8の(B)に示したように、仮に、第1右隣接車線における右余裕距離DRが閾値右余裕距離DRthよりも大きい場合(ステップ550にて「No」と判定される場合)であっても、CPUはステップ560にて「Yes」と判定してステップ530に進む。その結果、右モニタ範囲RAに対する監視対象物標が存在する場合、ステップ540の処理が実行されるので、上記警報が実行される。
【0086】
なお、CPUは、ステップ530にて「No」と判定した場合、及び、ステップ540の処理を実行した後、ステップ440と同様に左モニタ範囲LAに対する監視対象物標が存在するか否かを判定し、そのような監視対象物標が存在すると判定した場合、左ミラーインジケータ20を点灯させてもよい。更に、CPUは、ステップ570にて「No」と判定した場合、及び、ステップ580の処理を実行した後、ステップ440と同様に左モニタ範囲LAに対する監視対象物標が存在するか否かを判定し、そのような監視対象物標が存在すると判定した場合、左ミラーインジケータ20を点灯させてもよい。
【0087】
<左方向指示器オン時におけるBSM制御>
適当な時点が到来すると、CPUは
図9のステップ900から処理を開始してステップ910に進み、左方向指示器81がオン(即ち、点滅状態)であり且つ右方向指示器82がオフ(消灯状態)であるか否かを判定する。より具体的には、CPUは、左方向指示器スイッチ63からハイ信号を受信し且つ右方向指示器スイッチ64からロー信号を受信しているか否かを判定する。
【0088】
ステップ910の判定条件が成立していない場合、CPUはステップ910にて「No」と判定し、ステップ995に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0089】
これに対し、ステップ910の判定条件が成立している場合、CPUはステップ910にて「Yes」と判定してステップ920に進む。CPUは、ステップ920にて、「左方向指示器81がオフからオンへと変更された後に左方向指示器81が継続してオンに維持されている間」に自車両HVが元車線から第1左隣接車線への1車線分の車線変更を完了しているか否かを、イメージECU52から送信されている画像情報に基いて判定する。第1左隣接車線は、元車線の左方向に隣接している車線である。「左方向指示器81がオフからオンへと変更された後に左方向指示器81が継続してオンに維持されている期間」は、左方向の「特定期間」とも称呼される。左方向の特定期間は、左方向指示器81の今回のオン(点滅状態)が継続している期間である。
【0090】
CPUは、左方向指示器81が点滅状態にある場合、自車両HVの左側面が元車線の左区画線(例えば、第3車線L3の左区画線L・L3)の右端に一致したとき、左方向への車線変更が開始したと判定する。CPUは、左方向指示器81が点滅状態にある場合、左方向への車線変更が開始されたと判定した後であって、自車両HVの右側面が第1左隣接車線の右区画線(例えば、第3車線L3の左方向に隣接している第2車線L2の右区画線R・L2)の左端に一致したとき、左方向への1車線分の車線変更が完了したと判定する。なお、第2車線L2の右区画線R・L2は第3車線L3の左区画線L・L3と同じ区画線である。
【0091】
自車両HVが左方向へ1車線分の車線変更を完了していない場合、CPUはステップ920にて「No」と判定してステップ930に進む。ステップ930にて、CPUは左モニタ範囲LAに対する監視対象物標(即ち、第1物標及び第2物標の何れか)が存在するか否かを左後側方物標情報に基いて判定する。
【0092】
左モニタ範囲LAに対する監視対象物標が存在する場合、CPUはステップ930にて「Yes」と判定してステップ940に進み、以下に述べるように警報を発生させる。
・左ミラーインジケータ20を点滅状態に設定する。
・ブザー61から警報音を発生させる。
・ステアリング振動アクチュエータ62を用いてステアリングホイールを振動させる。
【0093】
その後、CPUはステップ995に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0094】
これに対し、左モニタ範囲LAに対する監視対象物標が存在しない場合、CPUはステップ930にて「No」と判定し、ステップ995に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0095】
従って、左方向指示器81が点滅状態に変化してから自車両HVが元車線(例えば、第3車線L3)から第1左隣接車線(例えば、第2車線L2)への左方向の1車線分の車線変更を完了するまでの間に、左モニタ範囲LAに対する監視対象物標である他車両が存在すると判定された場合、上記警報が発生させられる。
【0096】
その後、自車両HVが元車線(例えば、第3車線L3)から第1左隣接車線(例えば、第2車線L2)への1車線分の車線変更を完了する。この直後において、左方向指示器81は点滅状態を継続している。従って、CPUはステップ910にて「Yes」と判定してステップ920に進む。そして、CPUは、そのステップ920にて「Yes」と判定してステップ950に進む。
【0097】
ステップ950にて、CPUは、左余裕距離DLが所定の閾値左余裕距離DLth以下であるか否かを判定する。左余裕距離DLは、自車両HVの左側面と、元車線(例えば、第3車線L3)から左方向への1車線分の車線変更が完了した車線(即ち、第1左隣接車線)の左区画線の右端(例えば、第2車線L2の左区画線L・L2の右端)と、の距離である。閾値左余裕距離DLthは、自車両HVが「第1左隣接車線の左方向に隣接している車線である第2左隣接車線(例えば、第1車線L1)」に十分に接近したと判定できる場合の左余裕距離DLと等しい値に設定されている。閾値左余裕距離DLthは、閾値右余裕距離DRthと等しい値に設定されているが、閾値右余裕距離DRthと異なる値に設定されてもよい。ステップ950の判定条件は、便宜上、「第1条件」とも称呼される。
【0098】
自車両HVが、元車線(例えば、第3車線L3)から第1左隣接車線(例えば、第2車線L2)への左方向への1車線分の車線変更を完了した直後においては、左余裕距離DLは閾値左余裕距離DLthよりも大きい。この場合、CPUはステップ950にて「No」と判定し、ステップ960に進む。
【0099】
CPUは、ステップ960にて、左余裕時間TTLを画像情報に基いて算出する。左余裕時間TTLは、自車両HVの左側面が第1左隣接車線の左区画線(即ち、第2左隣接車線の右区画線)の右端に到達するまでに要する時間である。換言すると、左余裕時間TTLは、第1左隣接車線を走行中の自車両HVが第2左隣接車線に進入し始めるまでの時間である。
【0100】
より具体的に述べると、CPUは、左余裕距離DLを左方向横速度Lspdにより除することによって左余裕時間TTLを求める(TTL=DL/Lspd)。そして、CPUは、ステップ960にて、左余裕時間TTLが所定の閾値時間TLth以下であるか否かを判定する。閾値時間TLthは、閾値時間TRthと同じであってもよく、相違していてもよい。ステップ960の判定条件は、便宜上、「第2条件」とも称呼される。
【0101】
一般に、自車両HVの運転者が、元車線から左方向への1車線分の車線変更を意図しているか、或いは、左方向への2車線以上分の車線変更を比較的長い時間をかけて行うことを意図している場合、第1左隣接車線(例えば、第2車線L2)から更にその車線に左方向に隣接する第2左隣接車線(例えば、第1車線L1)に向かう横方向速度(左方向横速度Lspd)は比較的小さい。即ち、この場合、左余裕時間TTLは閾値時間TLthよりも大きい。
【0102】
そこで、左余裕時間TTLが閾値時間TLthよりも大きい場合、CPUはステップ960にて「No」と判定してステップ970に進む。
【0103】
CPUは、ステップ970にて、ステップ440と同様に、左モニタ範囲LAに対する監視対象物標が存在するか否かを左後側方物標情報に基いて判定する。
【0104】
左モニタ範囲LAに対する監視対象物標が存在しない場合、CPUはステップ970にて「No」と判定し、ステップ995に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0105】
これに対し、左モニタ範囲LAに対する監視対象物標が存在する場合、CPUはステップ970にて「Yes」と判定し、ステップ980に進んで左ミラーインジケータ20を点灯させる(点灯状態に維持する。)。即ち、この場合、CPUは左ミラーインジケータ20を点滅させることによる警報は発生しない。その後、CPUはステップ995に進んで、本ルーチンを一旦終了する。従って、この場合、左方向指示器81が点滅状態にあり且つ左モニタ範囲LAに対する監視対象物標が存在していても、上記警報は発生されない。
【0106】
一方、自車両HVの運転者が元車線から第2左隣接車線への2車線分の車線変更を意図している場合(即ち、例えば、第3車線L3から第1車線L1への車線変更を意図している場合)、自車両HVの左側面と、第1左隣接車線の左区画線の右端と、の間の左余裕距離DLが閾値左余裕距離DLth以下になる。
【0107】
従って、CPUがステップ950に進んだとき、CPUはそのステップ950にて「Yes」と判定してステップ930に進む。その結果、左モニタ範囲LAに対する監視対象物標が存在する場合、左ミラーインジケータ20を点滅させることによる警報、ブザー61から警報音を発生させることによる警報、及び、ステアリング振動アクチュエータ62を用いてステアリングホイールを振動させることによる警報が実行される(ステップ940を参照。)。
【0108】
更に、自車両HVの運転者が左方向への2車線以上分の車線変更を短時間で行うことを意図している場合(例えば、第3車線L3から第1車線L1への車線変更を短時間内に行うことを意図している場合)、自車両HVは1車線分の車線変更後において第1左隣接車線の左区画線(例えば、第2車線L2の左区画線L・L2)に短時間内に接近する。この場合、左余裕時間TTLは閾値時間TLth以下になる。
【0109】
よって、左余裕距離DLが閾値左余裕距離DLthよりも大きい場合(ステップ950にて「No」と判定される場合)であっても、CPUはステップ960にて「Yes」と判定してステップ930に進む。その結果、左モニタ範囲LAに対する監視対象物標が存在する場合、ステップ940の処理が実行されるので、上記警報が実行される。
【0110】
なお、CPUは、ステップ930にて「No」と判定した場合、及び、ステップ940の処理を実行した後、ステップ420と同様に右モニタ範囲RAに対する監視対象物標が存在するか否かを判定し、そのような監視対象物標が存在すると判定した場合、右ミラーインジケータ40を点灯させてもよい。更に、CPUは、ステップ970にて「No」と判定した場合、及び、ステップ980の処理を実行した後、ステップ420と同様に右モニタ範囲RAに対する監視対象物標が存在するか否かを判定し、そのような監視対象物標が存在すると判定した場合、右ミラーインジケータ40を点灯させてもよい。
【0111】
上記の説明において、第1右隣接車線及び第1左隣接車線を右及び左の方向に基いて互いに区別する必要がない場合、これらの車線のそれぞれは第1隣接車線と称呼される。
同様に、第2右隣接車線及び第2左隣接車線を右及び左の方向に基いて互いに区別する必要がない場合、これらの車線のそれぞれは第2隣接車線と称呼される。
車線変更を開始する前の走行車線(即ち、元車線)を第1車線と称呼する場合、第1隣接車線は第2車線と称呼され、第2隣接車線は第3車線と称呼される。
【0112】
以上、説明したように、車両用警報装置1は、自車両HVの左方向及び右方向の何れか一方である特定方向の方向指示器を点滅させていると方向指示器情報に基いて判定した場合、左後側方レーダ11及び右後側方レーダ31の特定方向に対応するレーダからの物標の情報に基いて、自車両HVの前記特定方向側の後方の所定領域(左モニタ範囲LA及び右モニタ範囲RAの特定方向に対応する範囲)に対する警報対象物標が存在するか否かを判定し、そのような警報対象物標が存在すると判定した場合、警報発生装置(ミラーインジケータ、ブザー61及びステアリング振動アクチュエータ62の少なくとも一つ)を用いて警報を発生させる。
【0113】
従って、方向指示器が点滅させられ始めたとき、即ち、元車線から車線方向が行われる蓋然性が高いとき、警報対象物標に対する警報が発生させられるので、運転者に警報対象物標をより確実に認識させることができる。
【0114】
一方、上記特定期間において、元車線から特定方向への1車線分の車線変更が行われた後は、更に1車線分の車線変更が行われる蓋然性が高くなるまで(即ち、第1条件及び第2条件の少なくとも一方が成立するまで)、警報対象物標に対する警報は発生されない。よって、運転者が煩わしいと感じる警報が発生させられる可能性を低減することができる。
【0115】
<変形例>
上記実施形態において、閾値時間TRthは一定値であったが、自車両HVが走行している道路の車線幅が狭い(短い)ほど閾値時間TRthが短くなるように閾値時間TRthを車線幅に基いて変更してもよい。同様に、上記実施形態において、閾値時間TLthは一定値であったが、自車両HVが走行している道路の車線幅が狭い(短い)ほど閾値時間TLthが短くなるように閾値時間TLthを車線幅に基いて変更してもよい。なお、CPUは、画像データに基いて自車両HVが走行している車線の車線幅を取得してもよく、図示しないナビゲーションシステムによって検出される自車両HVの現時点の位置及びナビゲーションシステムの記憶装置に記憶されているか又は通信により得られる道路情報に基いて、自車両HVが現時点において走行している位置に対応する道路の車線幅の情報を入手してもよい。但し、車線幅が変化しても、閾値右余裕距離DRth及び閾値左余裕距離DLthは一定値であることが好ましい。
【0116】
本発明は上記実施形態及び変形例に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
【0117】
例えば、特定方向の方向指示器がオンに変更されてから1車線分の車線変更が完了した場合、上記警報を実行することを許容する条件(警報許可条件)は上記第1条件(ステップ550の判定条件、ステップ950の判定条件)及び上記第2条件(ステップ560の判定条件、ステップ960の判定条件)を含んでいた。しかし、警報許可条件は、第1条件のみ、又は、第2条件のみ、であってもよい。更に、警報許可条件は、第1条件及び第2条件のそれぞれと異なる条件を含んでいてもよい。
【0118】
上記実施形態における左サイドミラーインジケータ20に代えて或いは加えて、左側後方に警報対象物標が存在していることを示すインジケータが車室内に設けられてもよい。このインジケータの点灯又は点滅は、本車両用警報装置による警報に相当する。例えば、そのようなインジケータは、ヘッドアップディスプレイ及び/又はメータディスプレイ内に配設されてもよい。同様に、上記実施形態における右サイドミラーインジケータ40に代えて或いは加えて、右側後方に警報対象物標が存在していることを示すインジケータが車室内に設けられてもよい。例えば、そのようなインジケータは、ヘッドアップディスプレイ及び/又はメータディスプレイ内に配設されてもよい。
【0119】
上記実施形態において、ブザー61は、運転者の左側から警報音を発生する左配置ブザー及び運転者の右側から警報音を発生する右配置ブザーの二つであってもよい。この場合、ステップ540にて右配置ブザーから警報音が発生させられ、ステップ940にて左配置ブザーから警報音が発生させられることが好ましい。
【0120】
警報対象物標は、上記第1物標及び上記第2物標の何れか一方のみでもよく、第1物標及び第2物標に加えて、第1物標及び第2物標以外の物標を含んでもよい。即ち、例えば、警報対象物標は、自動二輪車を含んでもよい。
【0121】
上記実施形態において、ブザー61は省略されてもよい。同様に、上記実施形態において、ステアリング振動アクチュエータ62は省略されてもよい。加えて、ブザー61及びステアリング振動アクチュエータ62以外の警報発生装置(例えば、運転者シートの振動装置)が備えられていてもよい。
【0122】
上記実施形態において、方向指示器情報は、方向指示器制御回路80から取得されてもよい。更に、警報実行ECU60が、方向指示器制御回路の機能を実現してもよい。
【0123】
上記実施形態において、検出範囲LDar及び検出範囲RDar内に存在する物標についての物標情報は、左後側方レーダ11以外の監視センサ(例えば、ライダー:LIDAR)により取得されてもよい。ライダーは、電波ではなく光を用いて物標情報を検出するセンサである。
【0124】
左余裕距離DL及び右余裕距離DRは、中央偏差距離、車線幅及び自車両HVの車幅から算出されてもよい。換言すると、第1条件及び第2条件のそれぞれは、中央偏差距離、車線幅及び自車両HVに基いて判定されてもよい。
【符号の説明】
【0125】
1…車両用警報装置、10…左後側方レーダー装置、11…左後側方レーダ、12…左後側方用ECU、20…左サイドミラーインジケータ、21…左サイドミラー、30…右後側方レーダー装置、31…右後側方レーダ、32…右後側方用ECU、40…右サイドミラーインジケータ、41…右サイドミラー、50…前方カメラ装置、51…前方カメラ、52…イメージECU、60…警報実行ECU、61…ブザー、62…ステアリング振動アクチュエータ、63…左方向指示器スイッチ、64…右方向指示器スイッチ、70…コントロールゲートウェイECU、80…方向指示器制御回路、81…左方向指示器(左ウインカ)、82…右方向指示器(右ウインカ)、DL…左余裕距離、DLth…閾値左余裕距離、LA…左モニタ範囲、Lspd…左方向横速度、DR…右余裕距離、DRth…閾値右余裕距離、RA…右モニタ範囲、RDar…検出範囲、Rspd…右方向横速度、TLth…閾値時間、TRth…閾値時間、TTL…左余裕時間、TTR…右余裕時間。