IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ JFEスチール株式会社の特許一覧

特許7582231装入装置、高炉用原料製造装置、装入方法及び高炉用原料製造方法
<>
  • 特許-装入装置、高炉用原料製造装置、装入方法及び高炉用原料製造方法 図1
  • 特許-装入装置、高炉用原料製造装置、装入方法及び高炉用原料製造方法 図2
  • 特許-装入装置、高炉用原料製造装置、装入方法及び高炉用原料製造方法 図3
  • 特許-装入装置、高炉用原料製造装置、装入方法及び高炉用原料製造方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】装入装置、高炉用原料製造装置、装入方法及び高炉用原料製造方法
(51)【国際特許分類】
   C10B 31/02 20060101AFI20241106BHJP
   C10B 47/20 20060101ALI20241106BHJP
   C10B 53/08 20060101ALI20241106BHJP
   B65G 11/20 20060101ALI20241106BHJP
   B65G 11/00 20060101ALI20241106BHJP
   B65G 11/12 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
C10B31/02
C10B47/20
C10B53/08
B65G11/20 Z
B65G11/00 A
B65G11/12
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022025363
(22)【出願日】2022-02-22
(65)【公開番号】P2023121968
(43)【公開日】2023-09-01
【審査請求日】2023-09-26
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184859
【弁理士】
【氏名又は名称】磯村 哲朗
(74)【代理人】
【識別番号】100123386
【弁理士】
【氏名又は名称】熊坂 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100196667
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100130834
【弁理士】
【氏名又は名称】森 和弘
(72)【発明者】
【氏名】横森 玲
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 成人
(72)【発明者】
【氏名】今西 大輔
(72)【発明者】
【氏名】石田 匡平
【審査官】上坊寺 宏枝
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-208768(JP,A)
【文献】特開昭58-202031(JP,A)
【文献】特開昭62-060723(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0098586(US,A1)
【文献】特開2017-155214(JP,A)
【文献】実開昭54-161345(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10B 31/02、47/02、47/04、47/18、47/20、53/08
B65G 11/00、11/12、11/20、47/16、65/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
竪型乾留炉に炭素含有物質を装入する装入装置であって、
前記炭素含有物質に鉛直方向の回転運動を付与する回転体を有し、
前記回転体から放出された前記炭素含有物質を前記竪型乾留炉の炉幅方向に拡散させる拡散部を更に有し、
前記回転体と前記拡散部との間に亘るシュート下流部の流下距離は0.5m以内であ
前記回転体は、前記炭素含有物質を送通させる装入シュートの一部であり、前記回転体の内部に装入された前記炭素含有物質と共に鉛直方向に回転する、装入装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装入装置及び前記竪型乾留炉を用いて高炉用原料を製造する、高炉用原料製造装置。
【請求項3】
炭素含有物質を乾留してコークスを製造するための竪型乾留炉に、装入装置を用いて前記炭素含有物質を装入する装入方法であって、
前記装入装置の入側ゲートを開放すると共に出側ゲートを閉鎖して、前記炭素含有物質を前記装入装置の装入シュートの一部である回転体に装入するステップと、
前記入側ゲートを閉鎖して前記回転体の内部に装入された前記炭素含有物質と共に前記回転体を鉛直方向に回転して前記炭素含有物質に鉛直方向の回転運動を付与するステップと、
前記出側ゲートを開放して前記回転体から前記炭素含有物質を前記竪型乾留炉に向けて放出するステップと、を有し、
前記回転運動を付与するステップは、前記回転体を15°/s以上の速度で回転させるステップを含む、装入方法。
【請求項4】
請求項3に記載の装入方法を用いて前記炭素含有物質を前記竪型乾留炉に装入して高炉用原料を製造する、高炉用原料製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コークスを製造するための竪型乾留炉に炭素含有物質を装入する装入装置、高炉用原料製造装置、装入方法及び高炉用原料製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化の観点から、鉄鋼業界においてCOガスの発生量の低減が求められている。このため、化石燃料の使用量の削減は、急務となっている。鉄鋼業においては、高炉内で鉄鉱石を炭素(石炭をコークス炉で乾留して製造したコークス)で還元することにより、溶銑を製造している。そして、コークス原単位の低減のため、フェロコークスを高炉用原料として用いる技術の開発が行われている。フェロコークスは、石炭に鉄鉱石を一定量混合して塊成化した後、乾留処理を施すことでコークス中に微細な金属鉄粒子を分散させたものであり、金属鉄の触媒作用によりコークスの反応性を高めるものである。
【0003】
フェロコークスの乾留方法として、竪型の乾留炉を用いる方法が提案されている。特許文献1には、上部に乾留ゾーン、下部に冷却ゾーンを有する竪型乾留炉が開示されている。竪型乾留炉におけるフェロコークスの製造方法は、装入シュートを用いて炭素含有物質と鉄含有物質とからなる成型物を竪型乾留炉に装入する装入工程と、乾留ゾーンにおいて加熱ガスを吹き込むと共に成型物を乾留しフェロコークスを製造する乾留工程と、冷却ゾーンにおいて冷却ガスを吹き込むことでフェロコークスを冷却する冷却工程と、竪型乾留炉の炉頂部の排出口から炉内ガスを排出する炉内ガス排出工程と、冷却ゾーン下部からフェロコークスを排出するフェロコークス排出工程とを有している。
【0004】
乾留工程では、乾留ゾーンの中間部分の低温ガス吹き込み羽口から低温ガスを、乾留ゾーンの下部の高温ガス吹き込み羽口から高温ガスを、それぞれ炉内に吹き込むことで成型物を加熱する。冷却工程では、冷却ゾーンの下部の冷却ガス吹き込み羽口から冷却ガスを吹き込むことで、フェロコークスの冷却を行う。
【0005】
ここで、フェロコークスの生産量を増加させるためには、竪型乾留炉の容積を大きくする必要があるが、加熱ガスおよび冷却ガスは、竪型乾留炉の奥行方向(装入物の装入方向の水平成分に平行)に噴射されるため、ガスを炉内中央部まで浸透させるには奥行方向の内寸を一定以下に抑える必要がある。よって、竪型乾留炉は奥行方向に比べて炉幅方向(乾留炉横断面において奥行方向と直交する方向)を長い内寸として構成し、容積を大きく確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2011-057970号公報
【文献】特開2011-162271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、奥行方向に比べて炉幅方向のサイズを大きくした構造を有する竪型乾留炉では、炉幅方向のサイズに対応して炭素含有物質を均等に分散させるために、装入シュートを炉幅方向の全ての位置に対応するよう多数配置することが困難である。一方、成型物と装入シュートの壁面が、もしくは成型物同士が衝突することで生成した粉体は偏析しやすく、竪型乾留炉の炉内底部において、装入シュート側に密集する傾向にある。これは、装入シュート内を送通する過程で、装入物中の粉体の大部分が成型物の間をすり抜けて沈降することで、乾留炉へ到達するまでに装入物が成型物層(上層)と粉体層(下層)との2層に分離することを原因とする。1トンの成型物を装入した場合、乾留炉内に突入する際の装入物の厚みは、最大で150mm程度になるが、成型物はその下側に存在する粉体分高い位置から装入されるため、装入口から離れた位置まで飛来しやすい一方で、下層の粉体は装入口近傍に落下する。成型物はその安息角に応じた山を形成するため比較的均一な分布となるものの、粉体は成型物間に潜り込むことで位置が固定されるため、粉体が一点に集中して落下した場合には著しい偏析が発生する。粉体が偏析することで、炉内のガス流れが不均一となり、成型物の乾留に影響を与えるという問題が生じる。
【0008】
特許文献2には、材料の均一装入(搬送)方法として、搬送路の幅方向中央部から出口側へ向かって放射状に下る傾斜面を有する分散誘導部を設けることで、材料を放射状に分散させる方法を開示するものの、分散誘導部の有無は粉体の飛距離に影響せず、分散誘導部の設置によっても、装入口側の粉体偏析を解消することはできない。
【0009】
本発明は、かかる事情を鑑みてなされたもので、竪型乾留炉の炉内における装入物の粉体の分布を改善しつつ装入できる装入装置、高炉用原料製造装置、装入方法及び高炉用原料製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する本発明の要旨構成は以下のとおりである。
[1]竪型乾留炉に炭素含有物質を装入する装入装置であって、前記炭素含有物質に鉛直方向の回転運動を付与する回転体を有する、装入装置。
[2]前記回転体から放出された前記炭素含有物質を前記竪型乾留炉の炉幅方向に拡散させる拡散部を更に有する、[1]に記載の装入装置。
[3][1]または[2]に記載の装入装置及び前記竪型乾留炉を用いて高炉用原料を製造する、高炉用原料製造装置。
[4]炭素含有物質を乾留してコークスを製造するための竪型乾留炉に、装入装置を用いて前記炭素含有物質を装入する装入方法であって、前記装入装置の入側ゲートを開放すると共に出側ゲートを閉鎖して、前記炭素含有物質を前記装入装置の回転体に装入するステップと、前記入側ゲートを閉鎖して前記回転体にて前記炭素含有物質に鉛直方向の回転運動を付与するステップと、前記出側ゲートを開放して前記回転体から前記炭素含有物質を前記竪型乾留炉に向けて放出するステップと、を有する、装入方法。
[5]前記回転運動を付与するステップは、前記回転体を15°/s以上の速度で回転させるステップを含む、[4]に記載の装入方法。
[6][4]または[5]に記載の装入方法を用いて前記炭素含有物質を前記竪型乾留炉に装入して高炉用原料を製造する、高炉用原料製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、竪型乾留炉の炉内における装入物の粉体の分布を改善しつつ装入できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】装入装置の一例を示す側面模式図である。
図2】装入装置の一例を示す矢視模式断面図である。
図3】シュート下流部の流下距離と最大粉体率との関係を示す図である。
図4】シュート回転部の回転体の回転速度と最大粉体率との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、成型コークスの一種であるフェロコークスを製造する場合を例に、本発明の実施形態を通じて本発明を説明する。ここで、各図面は模式的なものであって、現実のものとは異なる場合がある。また、以下の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであり、構成を下記のものに特定するものでない。すなわち、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0014】
図1及び図2を参照して、本発明の一実施形態である装入装置1の構成について説明する。図1は、装入装置1の側面模式図を示す。図2は、装入装置1を示す図1におけるA-A矢視模式断面図を示す。以下の説明において「装入物」は、フェロコークスを製造するための「炭素含有物質と鉄含有物質とを含有する成型物」を意味することに限らず、「少なくとも炭素含有物質を含む成型物」も含んでよい。
【0015】
<装入装置等の構成>
装入装置1は、装入シュート10と、拡散部2とを有する。装入シュート10は、シュート上流部11と、シュート回転部12と、シュート下流部13とを有する。シュート上流部11は、図面の上方である上流側から送通してきた炭素含有物質を含む装入物4を、下流側のシュート回転部12に向けて送通させる。シュート下流部13は、上流側のシュート回転部12から送通してきた装入物4を、下流側に位置する拡散部2に向けて送通させる。
【0016】
シュート回転部12は、入側ゲート12aと、回転体12bと、出側ゲート12cと、回転軸部12dとを有する。入側ゲート12aは、回動方向Eに沿って回動することで、回転体12bの上流側を開放及び閉鎖する。出側ゲート12cは、回動方向Fに沿って回動することで、回転体12bの下流側を開放及び閉鎖する。
【0017】
回転軸部12dは、水平方向に延びる回転軸に基づき、回転方向Gに沿って、回転体12bを鉛直方向に180°回転させる。回転体12bは、回転方向Gに沿った回転により、内部に装入された装入物4に回転運動を付与する。回転体12bは、入側ゲート12a及び出側ゲート12cと共に回転してよい。
【0018】
拡散部2は、四角錘の形状である。拡散部2は、四角錘の頂部が装入シュート10の下流側に位置するように配置されている。拡散部2は、装入シュート10の回転体12bから放出された装入物4を、装入シュート10にて装入物4が送通した送通方向M及び送通方向Mに対して垂直な拡散方向Nに拡散させる。拡散部2は、拡散方向Nにおいて、四角錘の底部の寸法が、装入シュート10の寸法より大きい。そして、装入物4は、装入シュート10及び拡散部2において流下し、竪型乾留炉20の炉内に装入される。拡散方向Nは、竪型乾留炉20の炉幅方向Qに相当する。つまり、拡散部2は、装入シュート10の回転体12bから放出された装入物4を、竪型乾留炉20の炉幅方向Qに拡散させる。
【0019】
ここで、シュート下流部13は、上流側のシュート回転部12の回転体12bと下流側の拡散部2との間隔である流下距離Dの長さを有する。流下距離Dは、後述する実施例にて述べる通り、竪型乾留炉20の炉内における粉体の分散性改善のため、短くすることが好ましい。具体的に、流下距離Dは、0.5m以内とすることが好ましい。
【0020】
本実施形態においては、図1及び図2に示す装入物4の送通方向Mに沿った上流から下流に向けて、シュート上流部11と、シュート回転部12と、シュート下流部13と、拡散部2と、竪型乾留炉20とが順に設けられている。そして、装入物4の送通方向Mは、竪型乾留炉20の水平方向における奥行方向Pに対して傾斜角θだけ傾いている。換言すると、図に示す通り、装入装置1のシュート上流部11と、シュート回転部12と、シュート下流部13と、拡散部2とは、奥行方向Pに対して傾斜角θだけ傾いている。このため、装入装置1を送通する装入物4は、傾斜角θを有する傾斜により、シュート上流部11と、シュート回転部12と、シュート下流部13と、拡散部2とに沿って流下し、最終的に、竪型乾留炉20の炉内に装入される。
【0021】
<装入物の装入方法>
図1及び図2を参照して、本発明の一実施形態である装入物の装入方法について説明する。先ず、装入装置1に、装入物4としてフェロコークスの原料となる炭素含有物質(石炭等)と鉄含有物質(鉄鉱石等)とを含む成型物が供給される。この際、入側ゲート12aは開放された状態とされ、出側ゲート12cは閉鎖された状態とされる。そして、シュート上流部11から流下してきた装入物4(1バッチ分)は、シュート回転部12の回転体12bの内部に堆積する。
【0022】
続いて、入側ゲート12aが閉鎖され、回転軸部12dの回転運動により、回転体12bが回転方向Gに沿って回転する。回転体12bは、回転方向Gに沿って180°回転してよい。回転体12bの回転の後、出側ゲート12cが開放されると、回転体12bの内部において堆積していた装入物4が放出され、シュート下流部13を流下する。その後、拡散部2にて、装入物4は、竪型乾留炉20の炉幅方向Qに相当する拡散方向Nに拡散される。そして、拡散部2にて炉幅方向Qに拡散された装入物4は、下流の竪型乾留炉20の炉内に向けて流下する。
【0023】
ここで、シュート回転部12の回転体12bに装入された装入物4の状態について説明する。回転体12bに装入物4が充填された時点では、装入物は成型物層4a(上層)と粉体層4b(下層)との2層に分離した状態(図1参照)となっている。この状態のまま、出側ゲート12cを開放し、装入物4を竪型乾留炉20の炉内に向けて流下させた場合には、上層の成型物は、その下側に存在する粉体分高い位置から装入されるため、装入口から離れた位置まで飛来し易い一方で、下層の粉体は、乾留炉の装入口近傍に落下するので、成形物と粉体が炉内で分離してしまう。
【0024】
そこで、本発明では、内部に装入物4を堆積させた状態で、回転体12bを鉛直方向に180°回転させることで、上層であった成型物層4aを下層へ移動させると共に、下層であった粉体層4bを上層に移動させる再配置(上下逆転)を行うこととする。このため、回転体12bの内部において、粉体の下層への集中が解消され、成型物と同様に上層及び下層にほぼ均等に分布することとなる。そして、粉体の上層及び下層に亘るほぼ均等な分布により、竪型乾留炉20の装入口から離れた位置及び竪型乾留炉20の装入口近傍の位置の何れの位置にも粉体がほぼ均等に供給され、炉内における粉体の偏析が生じない。
【0025】
また、回転体12bの回転により上層及び下層の再配置が施された装入物4は、出側ゲート12cの開放により回転体12bから竪型乾留炉20の装入口に向けて流下する際、装入物4の内部の粉体が自重に基づき再び下層に移動する作用が働いてしまう。そこで、本実施形態においては、シュート回転部12の回転体12bと拡散部2との間に亘るシュート下流部13の流下距離Dを短くする。これにより、上層及び下層の再配置が施された装入物4であっても、竪型乾留炉20の装入口に到達するまでに、装入物中の粉体の下層への再移動を最小限に抑制できる。
【0026】
以上に述べた通り、本発明に係る装入物の装入方法は、炭素含有物質を含む装入物4を乾留してコークスを製造するための竪型乾留炉20に、装入装置1を用いて装入物4を装入する装入方法であって、装入装置1の入側ゲート12aを開放すると共に出側ゲート12cを閉鎖して、装入物4を装入装置1の回転体12bに装入するステップと、入側ゲート12aを閉鎖して回転体12bにて装入物4に鉛直方向の回転運動を付与するステップと、出側ゲート12cを開放して回転体12bから装入物4を竪型乾留炉20に向けて放出するステップと、を有する。
【0027】
ここで、回転体12bの回転運動は、回転速度が遅い場合、内部の装入物4が回転体12bの内面を滑って移動してしまい、成型物層と粉体層の再配置(上下逆転)を効率良く行えない。このため、成型物層と粉体層の再配置を確実に実現するため、回転体12bの回転速度は15°/s以上とすることが望ましい。つまり、上記した回転運動を付与するステップは、回転体12bを15°/s以上の速度で回転させるステップを含むことが望ましい。
【0028】
また、本実施形態においては、図1及び図2に示した通り、水平方向に延びる回転軸に基づき、回転方向Gに沿って回転体12bを鉛直方向に180°回転させて、内部の装入物4に回転運動を付与する構成とするものの、当該構成に限定するものではない。例えば、回転軸を回転体12bの内部の中心部を通る送通方向Mとし、当該回転軸周りに回転体12bを180°回転させて、内部の装入物に回転運動を付与する構成としてもよい。
【0029】
以上、本発明に係る装入装置及び装入方法の実施形態を説明した。そして、この実施形態においては、高炉用原料としてフェロコークスを製造する場合を例として説明したものの、フェロコークスに限定するものではない。つまり、高炉用原料(種々のコークス)を製造するための高炉用原料製造装置として、本発明に係る装入装置及び竪型乾留炉を用いて高炉用原料を製造してもよい。また、高炉用原料(種々のコークス)を製造するための高炉用原料製造方法として、本発明に係る装入方法を用いて炭素含有物質を竪型乾留炉に装入して高炉用原料を製造してもよい。
【実施例
【0030】
以下、本実施形態に係る装入装置及び装入方法を用いて行った実施例を説明する。
【0031】
本実施形態の装入装置1(図1及び図2参照)を模擬した試験用装置を用い、成型物である炭素含有物質を装入した際における、竪型乾留炉20の炉内底部の奥行方向Pの装入物分布を調査した。本実施例における装入装置1は、実機に設置されているものと同形状のものを用いた。また、本実施例における竪型乾留炉20として、装入装置1の出側に乾留炉に見立てた回収ボックスを設置した。
【0032】
調査は、装入装置1から一定量の装入物4を装入した後、回収ボックスの底部について、奥行方向Pに4等分かつ幅方向に5等分(合計20等分)した領域に存在する装入物4の分布を調査した。具体的に、20等分した領域ごとに装入物4を回収した後、回収した装入物4を篩目20mmの篩分けを行い、篩上(直径20mm以上)を成型物、篩下(直径20mm未満)を粉体として選別した。そして、成型物及び粉体の重量を測定し、「粉体率」(各領域の内容物に占める粉体の重量割合(%))を算出した。粉体率は、20等分した領域ごとに得られるものの、後述する図3図4においては、粉体偏析の指標として「最大粉体率(%)」を示す。最大粉体率は、20等分した領域の粉体率を比較して得られる粉体率の最大値である。
【0033】
先ず、シュート下流部13の流下距離Dと最大粉体率との関係を調査した結果を図3に示す。図3は、縦軸を最大粉体率(%)とし、横軸をシュート下流部13の流下距離D(mm)として示す。装入装置1への装入物4の装入重量は250kg、シュート回転部12の回転体12bの回転速度は30°/sとし、シュート下流部13の流下距離Dの距離を変化させて実施した。なお、回転体12bの断面は0.7m×0.7m四方であり、ゲート間距離(入側ゲート12aと出側ゲート12cとの距離)は1mとした(装入物充填率は63.8%)。図3に示す通り、粉体の分散性改善のため、シュート下流部13の流下距離Dは短いほど良いことが確認できた。つまり、シュート回転部12の回転体12bと拡散部2との間隔が短いほど、竪型乾留炉20の炉内底部における粉体の分散性が改善されることが確認できた。そして、装入物4に対して回転を付与しない場合(図3において「比較例」と表示)には、最大粉体率が55%となるため、シュート回転部12の回転体12bによる回転により、粉体の分散性が改善されることが確認できた。
【0034】
次に、シュート回転部12の回転体12bの回転速度と最大粉体率との関係を調査した結果を図4に示す。図4は、縦軸を最大粉体率(%)とし、横軸をシュート回転部12の回転体12bの回転速度(°/s)として示す。装入装置1への装入物4の装入重量は250kg、シュート下流部13の流下距離Dを50mmとし、シュート回転部12の回転体12bの回転速度を変化させて実施した。なお、回転体12bの断面は0.7m×0.7m四方であり、ゲート間距離(入側ゲート12aと出側ゲート12cとの距離)は1mとした(装入物充填率は63.8%)。図4に示す通り、粉体の分散性改善のため、許容可能な最大粉体率(37%以下)とするために、回転体12bの回転速度は、15°/s以上とすることが望ましいことが確認できた。そして、装入物4に対して回転を付与しない場合(図4において「比較例」と表示)には、最大粉体率が最も高くなるため、シュート回転部12の回転体12bによる回転により、粉体の分散性が改善されることが確認できた。
【符号の説明】
【0035】
1 装入装置
2 拡散部
4 装入物
4a 成型物層
4b 粉体層
10 装入シュート
11 シュート上流部
12 シュート回転部
12a 入側ゲート
12b 回転体
12c 出側ゲート
12d 回転軸部
13 シュート下流部
20 竪型乾留炉
D 流下距離
E 入側ゲートの回動方向
F 出側ゲートの回動方向
G 回転体の回転方向
M 送通方向
N 拡散方向
P 奥行方向
Q 炉幅方向
θ 傾斜角
図1
図2
図3
図4