(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】保管装置及び保管方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
H01L21/68 A
(21)【出願番号】P 2022032981
(22)【出願日】2022-03-03
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【氏名又は名称】西 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100105946
【氏名又は名称】磯野 富彦
(72)【発明者】
【氏名】佐野 直樹
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-163091(JP,A)
【文献】国際公開第2011/141966(WO,A1)
【文献】特開2020-021853(JP,A)
【文献】特開2017-143270(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0049911(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0122675(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1容器から物品を取り出して、載置台に載置された第2容器に格納する複数の第1搬送装置と、
複数の前記第2容器を保管する保管棚と、
前記第2容器を前記載置台から前記保管棚に搬送する第2搬送装置と、
前記複数の第1搬送装置を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記複数の第1搬送装置のうち、前記物品の処理状態に応じていずれかを選択し、
前記処理状態が第1の状態である場合には第1の第1搬送装置を選択し、選択した前記第1の第1搬送装置を用いて前記第1の状態の前記物品を搬送させて複数の前記第2容器のうち予め決められた第1の第2容器に格納させ、
前記処理状態が前記第1の状態とは異なる第2の状態である場合には前記複数の第1搬送装置のうち、前記第1の第1搬送装置とは異なる第2の第1搬送装置を選択し、選択した前記第2の第1搬送装置を用いて前記第2の状態の前記物品を搬送させて複数の前記第2容器のうち予め決められた第2の第2容器に格納させ、
前記物品の処理状態に関わらず、前記第2搬送装置により
前記第1の第2容器及び前記第2の第2容器のそれぞれを前記保管棚に搬送させる、
保管装置。
【請求項2】
前記第1の第1搬送装置は、前記第1容器から
前記第1の状態の前記物品を取り出して前記
第1の第2容器に格納する
第1ロボットアームを含み、
前記第2の第1搬送装置は、前記第1容器から前記第2の状態の前記物品を取り出して前記第2の第2容器に格納する第2ロボットアームを含み、
前記第1ロボットアームと前記第2ロボットアームとは、走行台車において昇降する1つの昇降軸に取り付けられて昇降可能である、
請求項1に記載の保管装置。
【請求項3】
前記第2搬送装置はクレーンである、
請求項1又は請求項2に記載の保管装置。
【請求項4】
前記第1搬送装置によって前記物品が搬送される途中において前記物品の位置を検出する複数のアライナを備え、
前記制御装置は、前記複数のアライナのうち
第1のアライナで前記第1の状態の物品の位置を検出させ、前記第1のアライナとは異なる第2のアライナで前記第2の状態の物品の位置を検出させる、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の保管装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記第1容器に格納されている前記物品の前記処理状態の情報を含む制御情報を受信し、前記制御情報に基づいて、前記第1容器から前記物品を取り出して前記第2容器に格納するための前記第1搬送装置を選択する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の保管装置。
【請求項6】
前記第1容器が設置されるロードポートを複数備え、
前記ロードポートと、当該ロードポートに載置されるべき前記第1容器との対応関係は、前記第1容器に格納されている前記物品の処理状態に応じて前記ロードポートごとに予め決められており、
前記制御装置は、前記ロードポートに設置された前記第1容器から前記物品を取り出して前記第2容器に格納する場合には、前記物品を格納する前記第1容器が設置されている前記ロードポートの情報に基づいて前記第1搬送装置を選択する、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の保管装置。
【請求項7】
前記第2容器は、複数の前記載置台にそれぞれ載置され、
前記制御装置は、前記物品の処理状態に応じて、複数の前記載置台に載置された複数の前記第2容器のうちから前記物品を格納する前記第2容器を選択する、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の保管装置。
【請求項8】
複数の前記第2容器は、前記物品の処理状態に応じて、複数の前記載置台のうち予め設定された前記載置台にそれぞれ載置される、
請求項7に記載の保管装置。
【請求項9】
第1容器から物品を取り出して、載置台に載置された第2容器に格納する複数の第1搬送装置と、複数の前記第2容器を保管する保管棚と、前記第2容器を前記保管棚に搬送する第2搬送装置と、を備える保管装置における保管方法であって、
前記複数の第1搬送装置のうち、前記物品の処理状態に応じていずれかを選択し、
前記処理状態が第1の状態である場合には第1の第1搬送装置を選択し、選択した前記第1の第1搬送装置を用いて前記第1の状態の前記物品を搬送させて複数の前記第2容器のうち予め決められた第1の第2容器に格納することと、
前記処理状態が前記第1の状態とは異なる第2の状態である場合には前記複数の第1搬送装置のうち、前記第1の第1搬送装置とは異なる第2の第1搬送装置を選択し、選択した前記第2の第1搬送装置を用いて前記第2の状態の前記物品を搬送させて複数の前記第2容器のうち予め決められた第2の第2容器に格納することと、
前記物品の処理状態に関わらず、前記第2搬送装置により
前記第1の第2容器及び前記第2の第2容器のそれぞれを前記保管棚に搬送することと、
を含む、保管方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保管装置及び保管方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体製造設備では、物品である半導体ウエハを容器内に格納して搬送することが行われている。半導体製造設備において、半導体ウエハは、製造工程の都合等により保管装置に保管される場合がある。この保管装置としては、搬送された容器(第1容器)から半導体ウエハを搬送装置により取り出し、取り出した半導体ウエハを別の容器(第2容器)に移し替えて保管する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第1容器に格納される半導体ウエハとしては、半導体処理装置により処理される前である場合の他に、半導体処理装置で様々な処理が施された後の場合がある。そのため、第1容器から半導体ウエハを取り出して第2容器に格納する作業を1つの搬送装置で行うと、この搬送装置を介して複数の半導体ウエハ間でクロスコンタミネーションが起こる場合がある。このような問題は、物品が半導体ウエハであることに限定されず、1つの搬送装置を用いて第1容器から物品を取り出して第2容器に格納する場合に起こり得る。
【0005】
本発明は、物品間のクロスコンタミネーションを抑制することが可能な保管装置及び保管方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る保管装置は、第1容器から物品を取り出して、載置台に載置された第2容器に格納する複数の第1搬送装置と、複数の第2容器を保管する保管棚と、第2容器を載置台から保管棚に搬送する第2搬送装置と、複数の第1搬送装置を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、複数の第1搬送装置のうち、物品の処理状態に応じていずれかを選択し、処理状態が第1の状態である場合には第1の第1搬送装置を選択し、選択した第1の第1搬送装置を用いて第1の状態の物品を搬送させて複数の第2容器のうち予め決められた第1の第2容器に格納させ、処理状態が第1の状態とは異なる第2の状態である場合には複数の第1搬送装置のうち、第1の第1搬送装置とは異なる第2の第1搬送装置を選択し、選択した第2の第1搬送装置を用いて第2の状態の物品を搬送させて複数の第2容器のうち予め決められた第2の第2容器に格納させ、物品の処理状態に関わらず、第2搬送装置により第1の第2容器及び第2の第2容器のそれぞれを保管棚に搬送させる。
【0007】
本発明の態様に係る保管方法は、第1容器から物品を取り出して、載置台に載置された第2容器に格納する複数の第1搬送装置と、複数の第2容器を保管する保管棚と、第2容器を保管棚に搬送する第2搬送装置と、を備える保管装置における保管方法であって、複数の第1搬送装置のうち、物品の処理状態に応じていずれかを選択し、処理状態が第1の状態である場合には第1の第1搬送装置を選択し、選択した第1の第1搬送装置を用いて第1の状態の物品を搬送させて複数の第2容器のうち予め決められた第1の第2容器に格納することと、処理状態が第1の状態とは異なる第2の状態である場合には複数の第1搬送装置のうち、第1の第1搬送装置とは異なる第2の第1搬送装置を選択し、選択した第2の第1搬送装置を用いて第2の状態の物品を搬送させて複数の第2容器のうち予め決められた第2の第2容器に格納することと、物品の処理状態に関わらず、第2搬送装置により第1の第2容器及び第2の第2容器のそれぞれを保管棚に搬送することと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
上記態様に係る保管装置及び保管方法によれば、第1容器から物品を取り出して第2容器に格納する場合に、物品の処理状態に応じて複数の第1搬送装置のうちいずれか選択することで、物品の処理状態に応じて第1搬送装置を使い分けることができ、複数の物品間におけるクロスコンタミネーションを抑制できる。また、物品が第2容器に格納されている状況、つまりクロスコンタミネーションが起きにくい状況では、第2搬送装置を共通化することにより複雑な動作をさせなくても第2容器を保管棚に搬送できる。
【0009】
また、上記態様の保管装置において、2つの第1搬送装置のそれぞれが、第1容器から物品を取り出して第2容器に格納するロボットアームを含み、複数のロボットアームは、走行台車において昇降する1つの昇降軸に取り付けられて昇降可能であってもよい。この構成によれば、2つの第1搬送装置において昇降軸及び走行台車を兼用するので、第1搬送装置の構成を簡略化できる。
【0010】
また、上記態様の保管装置において、第2搬送装置はクレーンであってもよい。この構成によれば、保管棚が上下左右に多く設置されている場合であっても効率的に第2容器を保管棚に搬送できる。また、上記態様の保管装置において、第1搬送装置によって物品が搬送される途中において物品の位置を検出する複数のアライナを備え、制御装置は、複数のアライナのうちいずれかを物品の処理状態に応じて選択し、選択したアライナを用いて物品の位置を検出させてもよい。この構成によれば、物品の処理状態に応じてアライナを使い分けることでき、アライナを介した物品間のクロスコンタミネーションを抑制できる。
【0011】
また、上記態様の保管装置において、制御装置は、第1容器に格納されている物品の処理状態の情報を含む制御情報を受信し、この制御情報に基づいて、第1容器から物品を取り出して第2容器に格納するための第1搬送装置を選択してもよい。この構成によれば、制御装置が制御情報に基づいて第1搬送装置を選択するので、オペレータが第1搬送装置を選択する必要がなく、保管装置を自動で稼働させることができる。また、上記態様の保管装置において、第1容器が設置されるロードポートを複数備え、ロードポートと、ロードポートに載置されるべき第1容器との対応関係は、第1容器に格納されている物品の処理状態に応じてロードポートごとに予め決められており、制御装置は、ロードポートに設置された第1容器から物品を取り出して第2容器に格納する場合には、物品を格納する第1容器が設置されているロードポートの情報に基づいて第1搬送装置を選択してもよい。この構成によれば、第1容器から取り出す物品の処理状態等を判別することなく第1搬送装置が選択されるので、制御装置の処理負担を軽減できる。
【0012】
また、上記態様の保管装置において、第2容器は、複数の載置台にそれぞれ載置され、制御装置は、物品の処理状態に応じて、複数の載置台に載置された複数の第2容器のうちから物品を格納する第2容器を選択してもよい。この構成によれば、複数の第2容器のうちから、物品の処理状態に応じて第2容器を使い分けることができ、物品間のクロスコンタミネーションをさらに抑制できる。また、上記態様の保管装置において、複数の第2容器は、物品の処理状態に応じて、複数の載置台のうち予め設定された載置台にそれぞれ載置されてもよい。この構成によれば、物品の処理状態等を判別することなく、物品の処理状態に応じて予め決められた載置台に設置された第2容器に物品を格納することができ、制御装置の処理負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態に係る保管装置の概略構成の一例を示す図である。
【
図2】実施形態に係る保管装置の平面図の一例を示す図である。
【
図4】搬送ロボットの構成の一例を示す斜視図である。
【
図5】第2容器の構成の一例を示す概略斜視図である。
【
図6】第2容器を構成する支持体の一例を示し、(A)は第1支持体を示す図であり、(B)は第2支持体を示す図である。
【
図7】開閉装置により第2容器を開いた状態を示す図である。
【
図11】実施形態に係る保管方法の一例を示すフロー図である。
【
図12】第1状態の半導体ウエハを第1容器から第2容器に格納する経路を説明する図である。
【
図13】第2状態の半導体ウエハを第1容器から第2容器に格納する経路を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて実施形態を説明するが、特許請求の範囲にかかる発明は、以下に説明する実施形態に限定されない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。なお、図面において、同一又は類似の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省く場合がある。また、図面における各要素の形状及び大きさなどは、説明のために誇張されるなど、実際の製品とは、形状、寸法が異なる場合がある。図面において、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する場合がある。XYZ座標系においては、水平面に平行な平面をXY平面とする。このXY平面における一方向をX方向と表記し、X方向に直交する方向をY方向と表記する。また、XY平面に垂直な方向はZ方向と表記する。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の指す方向が+方向であり、矢印の指す方向とは反対の方向が-方向であるとして説明する。
【0015】
図1は、実施形態に係る保管装置100の概略構成の一例を示す図である。
図2は、実施形態に係る保管装置100の平面図の一例を示す図である。
図1及び
図2に示すように、保管装置100は、複数のロードポート110と、搬送ユニット120と、ストッカ130と、制御装置140とを備える。ロードポート110には、第1容器150が載置される。ロードポート110は、搬送車又は作業者と搬送ユニット120との間で、第1容器150の受け渡しを行うために用いられる。第1容器150は、例えば、例えば半導体製造設備の天井等に設けられた軌道に沿って走行する天井搬送車により搬送され、ロードポート110に載置される。
【0016】
図2に示す例では、保管装置100に4つのロードポート110(110A~110D)がX方向に並んだ状態で設けられている。ただし、ロードポート110の数には特に限定されず、1つ以上のロードポート110が設けられていればよい。以下の説明において、複数のロードポート110A~110Dを総称する場合にはロードポート110と称する場合がある。第1容器150は、複数の半導体ウエハ(物品)Wを収容可能である。なお、半導体ウエハWは、物品の一例である。第1容器150は、例えば、FOUP(Front Opening Unified Pod)又はFOSB(Front Opening Shipping Box)である。ただし、第1容器150は、半導体ウエハWを収納できる容器であればよく、FOUP又はFOSBに限定されない。
【0017】
1つの第1容器150には、同一の処理が行われた半導体ウエハW、又は未処理の半導体ウエハWがまとめて収容されるが、1つの第1容器150に異なる処理が行われた半導体ウエハWが収容されてもよい。ここで、半導体ウエハWに行われる処理としては、例えば、半導体ウエハWに対する表面処理であり、成膜処理、露光処理、エッチング処理、研削処理などがある。
【0018】
図3は、第1容器150の構成の一例を示す図である。
図3に示すように、第1容器150は、支持部151と、開口部152と、蓋部153と、フランジ部154とを備える。支持部151は、第1容器150の側壁から内側に突出するように、上下方向に並べて複数設けられる。支持部151は、対向する支持部151で一組として用いられ、半導体ウエハWの外周の一部を支持するスロット155を形成する。スロット155は、半導体ウエハWを上下方向に一定間隔で保持するように複数形成される。開口部152は、第1容器150の側壁に半導体ウエハWの出し入れが可能な大きさに設けられる。蓋部153は、例えば、開口部152に着脱可能に設けられる。フランジ部154は、第1容器150の天頂部に設けられ、搬送時に把持される。第1容器150は、複数のスロット155のそれぞれに半導体ウエハWを収容可能である。
【0019】
4つのロードポート110A~110Dには、それぞれ第1容器150が載置される。本実施形態では、ロードポート110A~110Dにそれぞれ載置された第1容器150を第1容器150A~150Dと称する。なお、以下の説明において、複数の第1容器150A~150Dを総称する場合には第1容器150と称する場合がある。
【0020】
搬送ユニット120は、
図1及び
図2に示すように、ロードポート110に載置された第1容器150と、ストッカ130との間で半導体ウエハWを搬送する。搬送ユニット120は、例えば、EFEM(Equipment Front End Module)である。搬送ユニット120は、第1容器150に収容されている半導体ウエハWを取り出して、ストッカ130の載置台170に載置されている第2容器160に収容する。なお、ストッカ130の詳細については後述する。搬送ユニット120は、搬送ロボット200と、2つのアライナ210A、210Bとを備える。ただし、搬送ユニット120は、アライナを1つのみ有してもよいし、3つ以上のアライナを有してもよい。
【0021】
搬送ロボット200は、2つの第1搬送装置121A、121Bを備える。搬送ロボット200は、搬送ユニット120内に設置されているレールR1に沿ってX方向に走行可能である。
図4は、搬送ロボット200の構成の一例を示す図である。
図4に示すように、搬送ロボット200は、走行台車201と、昇降軸202と、支持部203と、を備える。走行台車201は、不図示の走行駆動部によりレールR1に沿ってX方向に走行する。昇降軸202は、走行台車201の上面から上方(+Z方向)に延びて設けられ、不図示の昇降駆動部により昇降する(Z方向に移動する)。支持部203は、昇降軸202の上端に設けられ、昇降軸202とともに昇降する。
【0022】
支持部203には、ロボットアーム(水平多関節ロボット)を構成する第1アーム部122A、122Bと、第2アーム部123A、123Bと、ハンド部124A、124Bとが設けられる。第1アーム部122A、122Bのそれぞれは、一端が支持部203の上面に、不図示の駆動部により回転可能に設けられる。第2アーム部123A、123Bのそれぞれは、一端が第1アーム部122A、122Bの他端に、不図示の駆動部により回転可能に設けられる。ハンド部124A、124Bのそれぞれは、一端が第2アーム部123A、123Bの他端に、不図示の駆動部により回転可能に設けられる。ハンド部124A、124Bの他端側は、例えば、半導体ウエハWの下面又は上面を吸着可能な吸着パッドを備えるエンドエフェクタである。
【0023】
なお、ハンド部450は、半導体ウエハWを保持できればよく、その保持する態様は特に限定されない。また、支持部203は、鉛直軸まわりに回転可能に設けられている。支持部203は、昇降軸202に対して鉛直軸まわりに回転する形態であってもよいし、昇降軸202とともに鉛直軸まわりに回転する形態であってもよい。
【0024】
第1搬送装置121Aは、走行台車201と、昇降軸202と、支持部203と、第1アーム部122Aと、第2アーム部123Aと、ハンド部124Aとで構成される。また、第1搬送装置121Bは、走行台車201と、昇降軸202と、支持部203と、第1アーム部122Bと、第2アーム部123Bと、ハンド部124Bとで構成される。すなわち、第1搬送装置121A、121Bは、走行台車201と、昇降軸202と、支持部203とを兼用している。この構成により、第1搬送装置121A、121Bの構成を簡略化してコストの低減を図ることができる。
【0025】
第1アーム部122A、122B、第2アーム部123A、123B、ハンド部124A、124Bのそれぞれは、ロードポート110に載置された第1容器150から半導体ウエハWを取り出し可能であり、さらに、ストッカ130の載置台170に載置されている第2容器160に半導体ウエハWを収容可能な寸法に形成されている。従って、第1搬送装置121A及び第1搬送装置121Bのそれぞれは、例えば、第1容器150から半導体ウエハWをすくい上げて取り出し、取り出した半導体ウエハWを、載置台170に載置された第2容器160に格納して載置させることが可能である。
【0026】
なお、第1搬送装置121A、121Bの構成は、上記した形態に限定されない。例えば、第1搬送装置121A、121Bで1台の走行台車201を用いつつ、それぞれ別の昇降軸202をもつ形態であってもよいし、第1搬送装置121A、121Bで別の走行台車201及び昇降軸202をもつ形態であってもよい。第1搬送装置121A、121Bで別の走行台車201を用いる場合、レールR1は共用されてもよいし、それぞれ別のレールR1を用いる形態であってもよい。なお、走行台車201は、省略される場合がある。また、第1アーム部122A、122B、第2アーム部123A、123B、ハンド部124A、124Bは、それぞれ同一寸法の部材が用いられ、部品点数の削減を図っているが、互いに異なる寸法の部材が用いられてもよい。
【0027】
また、第1アーム部122Aと第1アーム部122Bとは、支持部203により水平方向に並んで配置されているが、この形態に限定されない。例えば、第1アーム部122Aと第1アーム部122Bとが、1つの昇降軸202において上下に配置される形態であってもよい。この場合、第1アーム部122Aより先の第2アーム部123A及びハンド部124Aと、第1アーム部122Bより先の第2アーム部123B及びハンド部124Bとが上下方向(Z方向)にズレて配置されるため、互いの干渉を防止できる。また、第1搬送装置121A、121Bは、第1アーム部122A、122B等で構成する水平多関節ロボットを用いることに限定されず、例えば伸縮する部材等を用いて構成される形態であってもよい。
【0028】
アライナ210A、210Bは、ロードポート110とストッカ130との間において搬送ユニット120の-X側に設けられている。アライナ210A、210Bは、第1搬送装置121A、121Bによる半導体ウエハWの搬送経路の途中に配置されている。ただし、アライナ210A、210Bは、第1搬送装置121A、121Bによる半導体ウエハWの受け渡しが可能であれば、その配置は任意である。アライナ210A、210Bは、同一の構成を有しているが、異なる構成であってもよい。なお、アライナ210A、210Bを区別しない場合には、アライナ210と称する場合がある。
【0029】
アライナ210A、210Bは、例えば、第1搬送装置121A、121Bによって搬送される半導体ウエハWが載置され、基準位置に対する平面方向におけるズレ量、及び回転方向におけるズレ量を検出する。第1搬送装置121A、121Bは、アライナ210A、210Bからのズレ量の情報に基づいて半導体ウエハWの保持位置を補正してストッカ130に搬送する。
【0030】
本実施形態において、アライナ210Aは、第1搬送装置121Aが搬送する半導体ウエハWに対するズレ量の検出に用いられる。アライナ210Bは、第1搬送装置121Bが搬送する半導体ウエハWに対するズレ量の検出に用いられる。ただし、この形態に限定されず、1台のアライナ210が配置されて、第1搬送装置121A、121Bで共用する形態であってもよい。また、アライナ210の構成は、半導体ウエハWの基準位置に対する平面方向におけるズレ量、及び回転方向におけるズレ量を検出可能な任意の構成が適用可能である。
【0031】
ストッカ130は、複数の第2容器160と、複数の載置台170と、複数の開閉装置171と、保管棚180と、第2搬送装置190とを備える。ストッカ130は、第1搬送装置121A、121Bにより搬送される半導体ウエハWを第2容器160に収容した状態で保管する。第2容器160は、第2搬送装置190により保管棚180から載置台170に搬送され、また、第2搬送装置190により載置台170から保管棚180に搬送される。第2容器160は、第1搬送装置121によって搬送された半導体ウエハWを格納する。
図5は、第2容器160の構成の一例を示す概略斜視図である。
図5に示すように、第2容器160は、底部161と、蓋部162と、複数の支持体163とを備える。複数の支持体163は、底部161と蓋部162とに挟まれて配置される。各支持体163は、それぞれ半導体ウエハWを載せて支持可能である。
【0032】
図6は、第2容器160を構成する支持体163の一例を示し、(A)は第1支持体163Aを示す図であり、(B)は第2支持体163Bを示す図である。支持体163は、
図6に示すように、複数の第1支持体163Aと、複数の第2支持体163Bと、を含む。第1支持体163Aと第2支持体163Bとは、上下方向(Z方向)に交互に積み重ねられている。第1支持体163Aと第2支持体163Bとは、平面視において外縁形状が同一又はほぼ同一である。なお、平面視とは、上方(+Z方向)又は下方(-Z方向)から見た場合と同義である。第1支持体163Aは、枠体164Aと、第1保持部165Aとを有する。第1保持部165Aは、枠体164Aの複数カ所(例えば4カ所)から上方へ向かうように延びた後に下方へ向かうように湾曲して設けられ、先端部分で半導体ウエハWを支持する。同様に、第2支持体163Bは、枠体164Bと、第2保持部165Bとを有し、第2保持部165Bにより半導体ウエハWを支持する。
【0033】
第1支持体163Aと第2支持体163Bとの積層時は、平面視において、第1保持部165Aと第2保持部165Bとは重ならないように設けられている。また、積層時には、第1支持体163Aの第1保持部165Aは、この第1支持体163Aの上側に重ねられた第2支持体163Bの枠体164Bを貫通している。同様に、積層時には、第2支持体163Bの第2保持部165Bは、この第2支持体163Bの上側に重ねられた第1支持体163Aの枠体164Aを貫通している。
【0034】
第2容器160は、第2搬送装置190に搬送されて載置台170に載置される。本実施形態では、3つの載置台170A~170CがX方向に並んだ状態で設けられ、それぞれに第2容器160が載置される。なお、載置台170の数は任意に設定可能である。本実施形態において、載置台170A~170Cに載置される第2容器160を第2容器160A~160Cと称する。載置台170A~170Cには、予め決められた第2容器160A~160Cが載置されてもよい。なお、載置台170A~170Cを総称する場合は載置台170と称する場合があり、第2容器160A~160Cを総称する場合は第2容器160と称する場合がある。
【0035】
開閉装置171は、第2容器160を開閉させ、開いた際に半導体ウエハWを出し入れ可能な状態にする。開閉装置171は、3つの載置台170A~170Cに対応して設けられている。開閉装置171は、各載置台170の+X側及び-X側に配置される。載置台170Aには開閉装置171Aが配置され、載置台170Bには開閉装置171Bが配置され、載置台170Cには開閉装置171Cが配置される。なお、開閉装置171A~171Cを総称する場合は開閉装置171と称する場合がある。また、開閉装置171は、3つの載置台170A~170Cのそれぞれに設けられることに限定されず、載置台170の数より少ない開閉装置171が設けられ、兼用される形態であってもよい。
【0036】
図7は、開閉装置171により第2容器160を開いた状態を示す図である。
図7に示すように、開閉装置171は、支柱172と、第1支持片173と、第2支持片174とを備える。第1支持片173及び第2支持片174は、不図示の駆動部により複数の支持体163間に進退可能であり、さらに、支柱172に沿って上下方向に移動可能である。なお、第1支持片173及び第2支持片174は、第2容器160の開閉動作時において半導体ウエハWとは非接触である。
【0037】
第1支持片173は、例えば第2支持体163bを持ち上げ可能であり、第2支持片174は、例えば第1支持体163Aを持ち上げ可能である。第1支持片173は、半導体ウエハWの受け渡し対象である第1支持体163Aの上側の第2支持体163Bを支持して持ち上げる。第2支持片174は、半導体ウエハWの受け渡し対象である第1支持体163Aを支持して持ち上げる。第1支持片173と第2支持片174との間隔は、第1支持体163Aに対して第1搬送装置121による半導体ウエハWの受け渡しを行うための空間Dを形成させる間隔に設定される。なお、第2支持片174で第1支持体163Aを持ち上げることで、半導体ウエハWの受け渡し時に下側の第2支持体163Bと干渉することを回避できる。
【0038】
開閉装置171により第2容器160に空間Dを形成させることにより、第1搬送装置121による半導体ウエハWの受け渡しが可能な状態となる。開閉装置171は、空間Dを介して第2容器160に半導体ウエハWが格納された後、第1支持片173及び第2支持片174を下降させ、第1支持体163Aと第2支持体163Bとを重ねることで第2容器160を閉じることができる。
【0039】
保管棚180は、複数の第2容器160を保管する。保管棚180は、複数の棚部181を有する。複数の棚部181は、上下方向及び水平方向にそれぞれ並んで配置されている。1つの棚部181は、1つの第2容器160を載置可能な寸法に設けられている。各棚部181は、載置された第2容器160に対して窒素ガスなどの不活性ガスを供給する不図示のガス供給機構を備えていてもよい。
【0040】
第2搬送装置190は、載置台170と保管棚180との間に設置されている。第2搬送装置190は、載置台170と保管棚180との間で第2容器160を移載する。第2搬送装置190は、保管棚180の棚部181に載置されている第2容器160を取り出して搬送し、載置台170に載置させることが可能である。また、第2搬送装置190は、載置台170に載置されている第2容器160を搬送して、保管棚180の棚部181に載置させることが可能である。第2搬送装置190は、例えば、クレーンが用いられる。
【0041】
図8は、第2搬送装置190の構成の一例を示す図である。
図8に示すように、第2搬送装置190は、走行台車191と、2本のマスト192と、昇降台193と、移載装置194とを備える。走行台車191は、床面上に設置されたレールR2に沿って、不図示の走行駆動部によりX方向に走行する。2本のマスト192は、走行台車191の+X側及び-Y側に間隔をあけた状態で起立して設けられている。昇降台193は、2本のマスト192の間に配置され、不図示の昇降駆動部によってマスト192に沿って昇降する。昇降台193には、第2容器160を移載するための移載装置194設けられている。
【0042】
移載装置194は、例えばロボットアームが用いられ、第2容器160の底部161の下面を支持する。第2搬送装置190は、走行台車191、昇降台193、及び移載装置194を用いることにより、載置台170に載置されている第2容器160を保管棚180の棚部181に載置可能であり、また、保管棚180の棚部181に載置されている第2容器160を載置台170に載置可能である。
【0043】
制御装置140は、保管装置100を統括して制御する。制御装置140は、搬送ユニット120又はストッカ130に備える制御装置が用いられてもよい。制御装置140に含まれる複数の機能部のうち、搬送ユニット120に係る機能部が搬送ユニット120に設けられ、ストッカ130に係る機能部がストッカ130に設けられてもよい。また、搬送ユニット120及びストッカ130を1つ制御装置140で制御することに限定されない。例えば、搬送ユニット120とストッカ130とが別の制御装置140で制御され、これらの制御装置140が情報を共有する形態であってもよい。
【0044】
制御装置140は、搬送ユニット120において、第1搬送装置121A、121B、アライナ210A、210Bの動作を制御する。制御装置140は、第1搬送装置121A、121B、アライナ210A、210Bのうち、半導体ウエハWの処理状態に応じていずれかを選択する。制御装置140は、選択した第1搬送装置121A(又は第1搬送装置121B)を用いて第1容器150の半導体ウエハWを、搬送途中で位置ズレを補正した状態で第2容器160に格納する。制御装置140は、ストッカ130において、開閉装置171A~171C及び第2搬送装置190の動作を制御する。制御装置140は、例えば、所定のタイミングで予め決められた第2容器160を、予め決められた載置台170に載置させるように制御してもよい。また、制御装置140は、載置台170に載置された第2容器160に対して所定のタイミングで開閉させるように制御してもよい。
【0045】
制御装置140は、例えばコンピュータである。制御装置140は、インターネット上又はクラウド上に配置されてもよい。制御装置140は、少なくとも1つの物理サーバを備えてもよい。制御装置140として構成される複数の物理サーバは、通信ネットワークを介して互いに接続されていることにより、互いに通信可能である。上記した物理サーバは、少なくとも一つの仮想サーバを備えてもよい。仮想サーバは、クラウドシステム上のサーバ(クラウドサーバ)であってもよい。
【0046】
制御装置140は、例えば、半導体ウエハWの処理状態が第1状態の場合には2つの第1搬送装置121A,121Bのうち一方を用いて半導体ウエハWを、予め決められた第2容器160に格納する。また、制御装置140は、半導体ウエハWの処理状態が第1状態とは異なる第2状態の場合には、2つの第1搬送装置121A,121Bのうち他方を用いて半導体ウエハWを、予め決められた第2容器160に格納する。この処理により、制御装置140は、処理状態が異なる半導体ウエハWで第1搬送装置121A、121B及びアライナ210A、210Bが使い分けられ、半導体ウエハW間のクロスコンタミネーションを抑制することができる。なお、第1状態の半導体ウエハWを格納する第2容器160は、第2状態の半導体ウエハWを格納する第2容器160と異なる。
【0047】
第1状態は、例えば、半導体ウエハWに対して表面を洗浄した後の状態である。第2処理は、例えば、半導体ウエハW上にパターンを形成するために成膜した処理などの何らかの表面処理した後の状態である。第1状態及び第2状態は、半導体ウエハW間のクロスコンタミネーションが生じる観点からそれぞれ設定可能である。第1状態は、クロスコンタミネーションが生じる程度が小さい2以上の状態が含まれてもよいし、同様に、第2状態は、クロスコンタミネーションが生じる程度が小さい2以上の状態が含まれてもよい。
【0048】
図9は、制御装置140の構成の一例を示す図である。
図9に示すように、制御装置140は、記憶装置141、通信IF(Interface)142、及びプロセッサ143を備える。記憶装置141には、例えば、保管装置100が、第1容器150内の半導体ウエハWを第2容器160に格納して保管棚180で保管するためのプログラム(ソフトウェア)、及びこのプログラムで処理されるデータ等が格納されている。
【0049】
記憶装置141は、例えば、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリ、HDD(Hard Disk Drive)及びSSD(Solid State Drive)を含む。上記したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体によって提供されてもよし、通信ネットワークにより通信IF142を介して外部装置から提供されてもよい。提供されたプログラムは、記憶装置141に格納され、プロセッサ143によって実行される。記憶装置141には、半導体ウエハWの処理状態に応じて第1搬送装置121A、121B及びアライナ210A、210Bを選択するための情報(以下、「第1制御情報」という。)が格納されている。
【0050】
図10は、第1制御情報の一例を示す図である。例えば、第1制御情報は、半導体ウエハWの搬送に用いる第1搬送装置121A、121Bの情報(以下、「搬送装置情報」という)と、半導体ウエハWの位置を検出するアライナ210A、210Bの情報(以下、「アライナ情報」という。)と、が半導体ウエハWの処理状態ごとに設定された情報である。
図10に示す例では、第1状態と、第1搬送装置121Aの情報と、アライナ210Aの情報とが対応づけられている。また、
図10に示す例では、第2状態と、第1搬送装置121Bの情報と、アライナ210Bの情報とが対応づけられている。
【0051】
通信IF142は、制御装置140が外部装置と通信するためのインタフェースである。外部装置とは、例えば、上位の処理装置(コンピュータ)、搬送ユニット120、及びストッカ130である。通信IF142が外部装置と通信する通信ネットワークは、有線通信の伝送路であってよいし、無線通信の伝送路(例えば、無線LAN)であってもよいし、有線通信の伝送路及び無線通信の伝送路の組み合わせであってもよい。
【0052】
プロセッサ143は、
図9に示すように、検出部144、選択部145及び制御部146を備える。検出部144、選択部145及び制御部146は、プロセッサ143が記憶装置141内に格納された上記プログラムを実行することにより実現される。一例として、プロセッサ143は、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)などである。
【0053】
検出部144は、第1容器150から第2容器160に半導体ウエハWを格納するための制御情報を外部装置から通信IF142を介して検出する。制御情報には、半導体ウエハ情報を含む。半導体ウエハ情報は、第1容器150から取り出す半導体ウエハWの情報である。半導体ウエハ情報には、第1容器150から取り出す半導体ウエハWの位置情報と、半導体ウエハWの処理状態の情報とを含む。半導体ウエハWの位置情報とは、例えば、ロードポート情報と、第1容器150のスロット情報とを含む。ロードポート情報は、複数のロードポート110のうち、第1搬送装置121によって取り出す半導体ウエハWが格納されている第1容器150がどのロードポート110に載置されているかを示す情報である。スロット情報は、第1搬送装置121によって取り出す半導体ウエハWが、第1容器150のどのスロット155に保持されているかを示す情報である。
【0054】
制御情報は、搬送先情報をさらに含んでもよい。搬送先情報は、第1搬送装置121で搬送する半導体ウエハWの搬送先の情報である。搬送先情報は、例えば、複数の載置台170のうち、第1搬送装置121が半導体ウエハWを格納する第2容器160が載置されている載置台170の情報である。搬送先情報は、載置台170に載置された第2容器160において、第1支持体163A又は第2支持体163Bの高さを示す情報であってもよい。
【0055】
選択部145は、検出部144が検出した半導体ウエハ情報と、記憶装置141に格納されている第1制御情報と、に基づいて、複数の第1搬送装置121の中から制御対象の第1搬送装置121を選択する。例えば、選択部145は、検出部144が検出した半導体ウエハ情報に含まれる半導体ウエハWの処理状態に対応づけられた搬送装置情報を第1制御情報から取得する。選択部145が取得した搬送装置情報は、制御対象の第1搬送装置121の情報である。すなわち、一例として選択部145は、半導体ウエハWの処理状態に対応づけられた搬送装置情報を第1制御情報から取得することで、制御対象の第1搬送装置121を選択する。
【0056】
選択部145は、検出部144が検出した半導体ウエハ情報と、記憶装置141に格納されている第1制御情報と、に基づいて、複数のアライナ210の中から制御対象のアライナ210を選択する。例えば、選択部145は、検出部144が検出した半導体ウエハ情報に含まれる半導体ウエハWの処理状態に対応づけられたアライナ情報を制御対象のアライナ210の情報として取得する。選択部145が取得したアライナ情報は、制御対象のアライナ210の情報である。すなわち、一例として選択部145は、半導体ウエハWの処理状態に対応づけられたアライナ情報を第1制御情報から取得することで、制御対象のアライナ210を選択する。
【0057】
制御部146は、半導体ウエハWの位置情報が示す位置に格納されている半導体ウエハWを、選択部145が選択した制御対象の第1搬送装置121によって取り出させて、搬送先情報が示す載置台170に載置された第2容器160に格納するように第1搬送装置121を制御する。また、制御部146は、第1搬送装置121が取り出した半導体ウエハWを第2容器160に搬送する途中において、選択部145が選択した制御対象のアライナ210に対して、搬送途中の半導体ウエハWの位置を検出させ、搬送中の半導体ウエハWの位置ズレを補正する。
【0058】
次に、本実施形態に係る保管方法について説明する。
図11は、本実施形態に係る保管方法の一例を示すフロー図である。制御装置140は、上位の処理装置などの外部装置から、搬送対象である半導体ウエハWの半導体ウエハ情報及び搬送先情報を含む制御情報を受信する(ステップS101)。制御装置140は、制御情報を受信すると、受信した制御情報の半導体ウエハ情報に含まれる搬送対象の処理状態の情報に基づいて、2つの第1搬送装置121A及び第1搬送装置121Bのいずれかを、制御対象の第1搬送装置121として選択する(ステップS102)。
【0059】
制御装置140は、半導体ウエハ情報に含まれる搬送対象の処理状態の情報に基づいて、2つのアライナ210A及びアライナ210Bのいずれかを、制御対象のアライナ210として選択する(ステップS103)。制御装置140は、ステップS102で選択した第1搬送装置121の情報と、ステップS103で選択したアライナ210の情報と、ステップS101で受信した制御情報と、を含む制御指令を、搬送ユニット120及びストッカ130に対して送信する。搬送ロボット200は、制御指令に基づいて制御対象として選択された第1搬送装置121を動作対象として設定する。制御装置140は、制御対象として選択された第1搬送装置121を用いて、半導体ウエハWの位置情報が示す位置に格納されている半導体ウエハWを取り出す(ステップS104)。
【0060】
第1搬送装置121は、レールR1に沿って-X方向に走行し、取り出した半導体ウエハWを、制御対象のアライナ210に搬送する(ステップS105)。制御対象のアライナ210は、搬送ロボット200から半導体ウエハWを受け取り、受け取った半導体ウエハWの位置を検出する。制御対象のアライナ210は、検出した半導体ウエハWの位置と予め設定された位置との位置ズレ量を検出する(ステップS106)。制御対象のアライナ210は、その検出結果を第1搬送装置121に送信する。
【0061】
第1搬送装置121は、位置ズレを補正した状態で、アライナ210から半導体ウエハWを受け取って搬送する(ステップS107)。第1搬送装置121は、搬送先情報が示す載置台170に載置されている第2容器160の空間Dに半導体ウエハWを格納する(ステップS108)。なお、制御装置140は、ステップS108に先立って、開閉装置171により第2容器160が開かれて空間Dを形成させる。また、制御装置140は、ステップS108の後、開閉装置171により第2容器160を閉じさせる。第2搬送装置190は、載置台170に載置されている第2容器160を、第2容器160内の半導体ウエハWの処理状態に関わらず保管棚180に搬送する(ステップS109)。なお、第2搬送装置190が第2容器160を保管棚180に搬送するタイミングは、特に限定されない。
【0062】
図12は、処理状態が第1状態の半導体ウエハW1を第1容器150から第2容器160に格納する経路を説明する図である。
図13は、処理状態が第2状態の半導体ウエハW2を第1容器150から第2容器160に格納する経路を説明する図である。
図12に示すように、第1状態の半導体ウエハW1を格納する第1容器150Cがロードポート110Cに載置された場合、第1搬送装置121Aが、半導体ウエハW1を第1容器150Bから取り出す。
【0063】
第1搬送装置121Aは、取り出した半導体ウエハW1を、アライナ210Aに渡すことで半導体ウエハW1の位置ズレ量を取得する。第1搬送装置121Aは、半導体ウエハW1の位置ズレを補正した状態でアライナ210Aから半導体ウエハW1を受け取る。続いて、第1搬送装置121Aは、予め決められた第2容器160Aに半導体ウエハW1を格納する。第2搬送装置190は、半導体ウエハW1が格納された第2容器160Aを、載置台170Aから保管棚180の棚部181に搬送する。なお、第2容器160Aは、第1状態の半導体ウエハW1のみが格納される容器である。
【0064】
次に、
図13に示すように、第2状態の半導体ウエハW2を格納する第1容器150Dがロードポート110Dに載置された場合、第1搬送装置121Bが、半導体ウエハW2を第1容器150Dから取り出す。第1搬送装置121Bは、取り出した半導体ウエハW2を、アライナ210Bに渡すことで半導体ウエハW2の位置ズレ量を取得する。第1搬送装置121Bは、半導体ウエハW2の位置ズレを補正した状態でアライナ210Bから半導体ウエハW2を受け取る。続いて、第1搬送装置121Bは、予め決められた第2容器160Bに半導体ウエハW2を格納する。第2搬送装置190は、半導体ウエハW2が格納された第2容器160Bを、載置台170Bから保管棚180の棚部181に搬送する。なお、第2容器160Bは、第2状態の半導体ウエハW2のみが格納される容器である。
【0065】
このように、半導体ウエハW1、W2が第1状態又は第2状態かで第1搬送装置121A、121Bを使い分けるので、半導体ウエハW1、W2間のクロスコンタミネーションを抑制できる。また、半導体ウエハW1、W2が第1状態又は第2状態かでアライナ210A、210Bを使い分けるので、第1搬送装置121と同様に、半導体ウエハW1、W2間のクロスコンタミネーションを抑制できる。また、半導体ウエハW1、W2が第1状態又は第2状態かにかかわらず、1つの第2搬送装置190を用いて第2容器160を保管棚180に搬送するので、クロスコンタミネーションが生じにくい第2容器160の搬送においては第2搬送装置190を共通化することで、保管装置100の装置コストを低減できる。
【0066】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、上記した実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることは当業者において明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記した実施形態等で説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上記した実施形態等で説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、本実施形態において示した各手順の実行順序は、前の手順の結果を後の手順で用いない限り、任意の順序で実現可能である。また、上記した実施形態における動作に関して、便宜上「まず」、「次に」、「続いて」等を用いて説明したとしても、この順序で実施することが必須ではない。
【0067】
上記の実施形態では、制御装置140が、
図10に示すような第1制御情報に基づいて第1搬送装置121及びアライナ210を選択する例を挙げて説明したが、この形態に限定されない。例えば、ロードポート110と、ロードポート110に載置されるべき第1容器150との対応関係が、第1容器150に格納されている半導体ウエハWの処理状態に応じてロードポート110ごとに予め決められている場合、制御装置140は、ロードポート110ごとに使用する第1搬送装置121及びアライナ210を選択してもよい。この場合、制御装置140は、第1制御情報ではなく、
図14に示すような第2制御情報に基づいて第1搬送装置121及びアライナ210を選択する。以下、第2制御情報に基づいて第1搬送装置121及びアライナ210を選択する場合について説明する。
【0068】
例えば、第2制御情報は、記憶装置141に予め格納されている。第2制御情報は、
図14に示すように、搬送装置情報と、アライナ情報と、搬送先情報とがロードポート110ごとに設定された情報である。第2制御情報は、例えば、ロードポート情報と、搬送装置情報と、アライナ情報と、搬送先情報とが対応づけられた情報である。制御装置140は、外部の処理装置などから、第1容器150が載置されるロードポート110の情報を取得する。制御装置140は、第1容器150が載置されるロードポート110の情報から、選択部145により、ロードポート情報に対応する搬送装置情報を第2制御情報から取得して、制御対象の第1搬送装置121を選択する。また、選択部145は、ロードポート情報に対応するアライナ情報を第2制御情報から取得して、制御対象のアライナ210を選択する。
【0069】
選択部145は、ロードポート情報に対応する搬送先情報を第2制御情報から取得することで半導体ウエハWを格納する搬送先を選択する。ここで、搬送先は、載置台170の情報であってもよいし、載置台170に載置されている第2容器160の情報であってもよい。なお、複数の第2容器160のそれぞれは、半導体ウエハWの処理状態に応じて、複数の載置台170のうち予め決められた載置台170A~170Cに載置されていてもよい。なお、選択した第1搬送装置121で半導体ウエハWを第1容器150から取り出し、選択したアライナ210でその半導体ウエハWの位置ズレを検出させた後に、選択した第2容器160に半導体ウエハWを格納する手順は、上記した実施形態と同様である。
【0070】
このように、第1容器150が載置されるロードポート110に応じて第1搬送装置121及びアライナ210を選択することで、制御装置140は、第1容器150に格納されている半導体ウエハWの状態を確認することが不要となり、半導体ウエハW間のクロスコンタミネーションを抑制しつつ、処理負担を軽減することができる。
【0071】
また、上記した実施形態では、半導体ウエハWを第1容器150から第2容器160に搬送することについて説明しているが、半導体ウエハWを第2容器160から第1容器150に搬送する場合についても同様に説明可能である。すなわち、制御装置140は、半導体ウエハWを第2容器160から取り出す際に、半導体ウエハWの処理状態に応じて第1搬送装置121(及びアライナ210)を選択して用いる点は同様である。
【符号の説明】
【0072】
D・・・空間
W・・・半導体ウエハ(物品)
100・・・保管装置
110A、110B、110C、110D・・・ロードポート
120・・・搬送ユニット
121A、121B・・・第1搬送装置
122A、122B・・・第1アーム部(ロボットアーム)
123A、123B・・・第2アーム部(ロボットアーム)
124A、124B・・・ハンド部(ロボットアーム)
130・・・ストッカ
140・・・制御装置
150、150A、150B、150C、150D・・・第1容器
160、160A、160B、160C・・・第2容器
170、170A、170B、170C・・・載置台
180・・・保管棚
190・・・第2搬送装置
201・・・走行台車
202・・・昇降軸
210、210A、210B・・・アライナ