(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】ダンパ、および、電気機器
(51)【国際特許分類】
F16F 1/36 20060101AFI20241106BHJP
F16F 15/08 20060101ALI20241106BHJP
F16F 1/362 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
F16F1/36 E
F16F15/08 E
F16F1/362
F16F1/36 K
(21)【出願番号】P 2022036585
(22)【出願日】2022-03-09
【審査請求日】2024-04-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】篠田 遼一
(72)【発明者】
【氏名】多田 伸吾
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-155816(JP,A)
【文献】特開2003-194148(JP,A)
【文献】特表2002-511131(JP,A)
【文献】特開2008-223799(JP,A)
【文献】特開2012-138136(JP,A)
【文献】特開2013-245776(JP,A)
【文献】国際公開第2021/200160(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 1/36
F16F 15/08
F16F 1/362
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衝撃から保護されるべき部品(2)の第1面(21a)に配置され、衝撃を緩和する第1ダンパ素子(31)と、
前記部品の前記第1面とは反対の第2面(21b)に配置され、衝撃を緩和する第2ダンパ素子(32)と、
前記第1ダンパ素子と前記第2ダンパ素子とを連結する連結機構(50)とを備え
、
前記第1ダンパ素子と前記第2ダンパ素子とは、異なる衝撃緩和特性を有するダンパ。
【請求項2】
前記第1ダンパ素子と前記第2ダンパ素子とは、異なる材料製である
請求項1に記載のダンパ。
【請求項3】
衝撃から保護されるべき部品(2)の第1面(21a)に配置され、衝撃を緩和する第1ダンパ素子(31)と、
前記部品の前記第1面とは反対の第2面(21b)に配置され、衝撃を緩和する第2ダンパ素子(32)と、
前記第1ダンパ素子と前記第2ダンパ素子とを連結する連結機構(50)とを備え
、
前記第1ダンパ素子と前記第2ダンパ素子とは、異なる材料製であるダンパ。
【請求項4】
前記連結機構は、
前記第1ダンパ素子、および、前記第2ダンパ素子の一方に設けられている連結凸部(51、251、351、451、551、951、B51)と、
前記第1ダンパ素子、および、前記第2ダンパ素子の他方に設けられており、前記連結凸部を受け入れ可能な連結凹部(52、552、952、B52)とを備える
請求項1から請求項3のいずれかに記載のダンパ。
【請求項5】
前記連結機構は、
前記第1ダンパ素子、および、前記第2ダンパ素子の一方と他方との間において延びており、弾性変形可能な連結腕部(53、253、353、453)を備え、
前記連結凸部、または、前記連結凹部は、前記連結腕部に設けられている
請求項4に記載のダンパ。
【請求項6】
電気的な要素を含み衝撃から保護されるべき部品(2)と、
前記部品を収容するケース(3)と、
前記部品(2)の第1面(21a)と前記ケースとの間に配置され、衝撃を緩和する第1ダンパ素子(31)と、
前記部品の前記第1面とは反対の第2面(21b)と前記ケースとの間に配置され、衝撃を緩和する第2ダンパ素子(32)と、
前記部品を貫通して延びており、前記第1ダンパ素子と前記第2ダンパ素子とを連結する連結機構(50)とを備え
、
前記部品は、前記第1ダンパ素子と前記第2ダンパ素子との間において、前記部品を貫通する貫通穴(28)を有し、
前記連結機構は、
前記第2ダンパ素子から延びだしており、前記貫通穴を経由して、前記第1ダンパ素子に到達している連結腕部(53)と、
前記第1ダンパ素子に設けられている連結凸部(551)と、
前記連結腕部に設けられており、前記連結凸部を受け入れている連結凹部(552)とを備える電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書の開示は、ダンパ、および、電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、光ディスクドライブの振動吸収ダンパを開示する。ゴム製の振動吸収ダンパは、係止部を有する係止突起を備えている。フレームは、係止突起が挿入される貫通孔を備えている。振動吸収ダンパは、フレームに結合されている。
【0003】
特許文献2は、ワイヤ製のダンパを開示している。ワイヤ製のダンパは、係止突起(12)を有している。先行技術文献の記載内容は、この明細書における技術的要素の説明として、参照により援用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-64181号公報
【文献】DE102018102068A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のゴム製の係止突起、または、特許文献2のワイヤ製の係止突起は、それが係止される部材に応力を生じる。応力は、回路基板などの部材に望ましくない影響を与える場合がある。上述の観点において、または言及されていない他の観点において、ダンパ、電気機器、および、電気機器の製造方法にはさらなる改良が求められている。
【0006】
開示されるひとつの目的は、ダンパ以外の部品の応力を抑制できるダンパを提供することである。
【0007】
開示される他のひとつの目的は、ダンパ以外の部品の応力を抑制できるダンパを備える電気機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここに開示されたダンパは、衝撃から保護されるべき部品(2)の第1面(21a)に配置され、衝撃を緩和する第1ダンパ素子(31)と、部品の第1面とは反対の第2面(21b)に配置され、衝撃を緩和する第2ダンパ素子(32)と、第1ダンパ素子と第2ダンパ素子とを連結する連結機構(50)とを備え、第1ダンパ素子と第2ダンパ素子とは、異なる衝撃緩和特性を有する。
ここに開示されたダンパは、衝撃から保護されるべき部品(2)の第1面(21a)に配置され、衝撃を緩和する第1ダンパ素子(31)と、部品の第1面とは反対の第2面(21b)に配置され、衝撃を緩和する第2ダンパ素子(32)と、第1ダンパ素子と第2ダンパ素子とを連結する連結機構(50)とを備え、第1ダンパ素子と第2ダンパ素子とは、異なる材料製である。
【0009】
ここに開示されたダンパによると、第1ダンパ素子と第2ダンパ素子とを連結することにより、第1ダンパ素子と第2ダンパ素子とを所定位置に保持することができる。第1ダンパ素子と第2ダンパ素子との連結によりそれらの位置が保持されるから、ダンパ以外の部品の応力を抑制できる。
【0010】
ここに開示された電気機器は、電気的な要素を含み衝撃から保護されるべき部品(2)と、部品を収容するケース(3)と、部品(2)の第1面(21a)とケースとの間に配置され、衝撃を緩和する第1ダンパ素子(31)と、部品の第1面とは反対の第2面(21b)とケースとの間に配置され、衝撃を緩和する第2ダンパ素子(32)と、部品を貫通して延びており、第1ダンパ素子と第2ダンパ素子とを連結する連結機構(50)とを備え、部品は、第1ダンパ素子と第2ダンパ素子との間において、部品を貫通する貫通穴(28)を有し、連結機構は、第2ダンパ素子から延びだしており、貫通穴を経由して、第1ダンパ素子に到達している連結腕部(53)と、第1ダンパ素子に設けられている連結凸部(551)と、連結腕部に設けられており、連結凸部を受け入れている連結凹部(552)とを備える。
【0011】
この明細書において開示された複数の形態は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。この明細書に開示される目的、特徴、および効果は、後続の詳細な説明、および添付の図面を参照することによってより明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態に係る電気機器の分解斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る電気機器の部分拡大断面図である。
【
図3】ダンパと電気部品とを示す分解斜視図である。
【
図13】第2実施形態に係るダンパ素子の断面図である。
【
図14】第3実施形態に係るダンパ素子の断面図である。
【
図15】第4実施形態に係るダンパ素子の断面図である。
【
図16】第5実施形態に係る電気機器の部分拡大断面図である。
【
図17】第6実施形態に係る部品の分解斜視図である。
【
図18】第7実施形態に係る電気機器の部分拡大断面図である。
【
図19】第8実施形態に係る電気機器の部分拡大断面図である。
【
図20】第9実施形態に係る電気機器の部分拡大断面図である。
【
図21】第10および第11実施形態に係るダンパ素子の素材を示す平面図である。
【
図22】第11実施形態に係る電気機器の部分拡大断面図である。
【
図23】第12実施形態に係る電気機器の部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
複数の実施形態が、図面を参照しながら説明される。複数の実施形態において、機能的におよび/または構造的に、対応する部分および/または関連付けられる部分には、同一の参照符号、または百以上の位が異なる参照符号が付される場合がある。対応する部分および/または関連付けられる部分については、他の実施形態の説明を参照することができる。
【0014】
第1実施形態
構造
図1において、電気機器1の分解斜視図が図示されている。以下の説明では、X軸方向を幅方向、Y軸方向を奥行き方向、Z軸方向を厚さ方向と呼ぶ場合がある。Z軸方向は、分解方向、または、軸方向とも呼ぶ場合がある。電気機器1は、扁平な箱状の外形を有する。電気機器1は、図中のX-Y平面に沿って主要な平面が広がっている。
【0015】
電気機器1は、制御装置を提供する電気回路機器である。電気機器1は、例えば、電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)とも呼ばれる場合がある。電気機器1の一例は、少なくともひとつのプロセッサ(ハードウェアプロセッサ)を含むコンピュータである。この場合、電気機器1は、制御装置とも呼ばれる。電気機器1の他の一例は、リレー回路、ブレーカ回路、インバータ回路といった回路部品である。電気機器1のさらに他の一例は、電池である。
【0016】
電気機器1は、車両用の制御装置を提供している。ここで、車両の語は、広義に解釈されるべきである。車両の語は、地上を移動する車、水上を移動する船舶、空中を移動する航空機、または、それらの複合的な移動体を含む場合がある。なお、電気機器1の用途は、車両のような移動体に限られない。電気機器1は、発電機、空調機器、照明機器、揚水機のような定置型、または、可搬型の機器を提供する場合がある。
【0017】
電気機器1は、部品2と、ケース3とを備える。部品2は、衝撃から保護されるべき部品である。ここで、衝撃には、(i)熱的な膨張、収縮に伴う力、(ii)組付けに伴う歪から受ける力、(iii)外部、または内部からの機械的な振動に伴う力などが含まれる。衝撃は、部品2に作用することによって、はんだや素子そのものに破壊、または、不具合を生じさせるおそれがある力を想定している。部品2は、ひとつの電気的な要素、または、複数の電気的な要素を含む複合的な電気的な部品である。部品2は、例えば、複数の電気的な要素と、それら要素を搭載している回路基板とを含む場合がある。また、部品2は、容器の中に収容されたリレー等の電気的かつ機械的な要素である場合がある。
【0018】
ケース3は、部品2を収容している。ケース3は、部品2を保護する保護ケースとも呼ばれる。ケース3は、樹脂、または、金属によって提供されている。この実施形態では、ケース3は、導電性を有している。ケース3は、金属製である。ケース3は、第1ケース4と、第2ケース5とを備える。第1ケース4は、ダイカスト製法によって形成されたアルミニウム製の部材である。第2ケース5は、板金製法によって形成された鉄板製の部材である。
【0019】
第1ケース4と、第2ケース5とは、それらの間に、部品2を収容するための容積を区画する。第1ケース4は、この容積を提供するために、凹部を有している。第2ケース5は、第1ケース4に対する蓋部材を提供している。第1ケース4は、カップ部材とも呼ばれる。第2ケース5は、カバー部材とも呼ばれる。
【0020】
ケース3は、少なくともひとつの締結機構6を備える。締結機構6は、第1ケース4と第2ケース5とを連結し、固定する。締結機構6は、第1ケース4と第2ケース5との間に所定の容積を形成するように第1ケース4と第2ケース5とを互いに締め付ける。所定の容積は、部品2を収容する。ケース3は、ひとつの締結機構6、または、複数の締結機構6を備える。
【0021】
締結機構6は、ネジ機構、スナップフィット機構、バヨネットロック機構、接着固定機構、溶着固定機構など多様な機構によって提供することができる。この実施形態では、締結機構6は、ネジ機構によって提供されている。締結機構6は、ネジ7を備える。ネジ7は、大径頭部を備える。ネジ7は、ワッシャ、および、スプリングワッシャなどの少なくともひとつを含む場合がある。締結機構6は、ネジ7によって締め付けられる第1シート部8と第2シート部9とを備える。第1シート部8は、第1ケース4の外縁に環状に設けられている。第2シート部9は、第2ケース5の外縁に環状に設けられている。第2シート部9は、ネジ7の大径頭部によって押さえられる部分である。第2シート部9は、第2ケース5に形成された貫通穴、または、切欠溝の縁によって提供されている。第1シート部8と第2シート部9との間には、第1ケース4と第2ケース5との間をシールするシール部材が配置される場合がある。シール部材は、接着剤、ガスケットなどによって提供することができる。締結機構6は、ネジ穴10を備える。ネジ穴10は、ネジ7を受け入れ、ネジ7がねじ込まれることによりネジ7と螺合する。ネジ穴10は、第1ケース4に配置されている。第1ケース4は、ひとつ、または、複数のネジ穴10を有する。
【0022】
電気機器1の製造方法においてケース3を閉じる工程が実行される。この工程では、まず、第1ケース4と第2ケース5とが所定の位置関係に配置される。次に、ネジ7が、第2ケース5の貫通穴、または、切欠溝に配置される。さらに、ネジ7が、ネジ穴10に締め込まれる。この結果、ネジ7は、第1シート部8と第2シート部9とを互いに接近させ、互いに締め付ける。この結果、第1ケース4と第2ケース5とが固定され、ケース3が形成される。
【0023】
図示の実施形態に代えて、代替的に、ネジ穴10を第2ケース5に設け、第2シート部9を第1ケース4に設けてもよい。また、ネジ穴10は、別体のナットによって提供されてもよい。この場合、ネジ穴10は、貫通穴、または、切欠溝と、ナットとによって代替される。
【0024】
第1ケース4は、その内部に凹部11を形成している。凹部11は、部品2を収容するための容積を提供している。第1ケース4は、浅い皿状である。第1ケース4は、少なくとも内面に、複数の段部を内面に有する多段の筒状内壁面を有する。
【0025】
第1ケース4は、部品2のための電気的な接続部材を配置するための開口12を有する。開口12は、第1ケース4を貫通する貫通穴として凹部11の底面に形成されている。開口12は、後述のコネクタを配置するために利用される。代替的に、開口12は、第1ケース4と第2ケース5との合わせ面に形成されてもよい。また、開口12は、第2ケース5に形成されてもよい。
【0026】
第1ケース4は、部品2が固定される固定面13を備える。固定面13は、第1シート部8より内側に位置している。固定面13は、第1シート部8と開口12との間に位置している。この実施形態では、固定面13は、第1ケース4の内面の多段筒のひとつの段部によって提供されている。固定面13には、後述の締結機構26を提供するネジ穴14が形成されている。第1ケース4は、ひとつ、または、複数のネジ穴14を有する。
【0027】
この実施形態では、部品2は、回路ユニット20とも呼ばれる。回路ユニット20は、複数の電気的な要素21、22、23、24、25を備えている。回路ユニット20は、回路基板21と、この回路基板21に搭載された複数の電気的な要素22、23、24、25とを備えている。複数の電気的な要素22、23、24、25は、回路基板21の外面に配置されている。複数の電気的な要素22、23、24、25は、回路基板21の両面に分散的に配置されている。回路基板21と、複数の電気的な要素22、23、24、25とは、はんだによって電気的に接続されている。
【0028】
回路基板21は、絶縁性の材料を主材料として、内部および表面に電気回路としての配線を有している。主材料は、樹脂、または、セラミックなどによって提供されている。配線は、導体膜によって提供されている。導体膜は、例えば、銅箔によって提供されている。回路基板21は、プリント基板とも呼ばれる。回路基板21は、図示の例では、四辺形である。回路基板21は、板状である。
【0029】
回路基板21は、第1面21aと、第2面21bとを有する。第1面21aと、第2面21bとは、互いに反対面である。第1面21aおよび第2面21bの少なくとも一方は、電気的な要素を搭載するための搭載面を提供している。図示の実施形態では、第1面21aと第2面21bとは、両方が電気的な要素を搭載するための搭載面を提供している。回路基板21は、両面基板とも呼ばれる。なお、第1面21aと第2面21bとは、便宜的な名称であって、それぞれは、表面と裏面、または、コネクタ面と反対面などと呼ばれてもよい。
【0030】
回路基板21は、第1面21aに、複数の電気的な要素22、25を備える。回路基板21は、第2面21bに、複数の電気的な要素23、24を備える。要素22、23は、能動素子、または、受動素子である。要素24は、電気的な多電極コネクタである。要素24は、回路基板21が規定の位置に位置づけられた状態において、開口12内に位置づけられる。要素24は、電気機器1と外部機器EXとを接続するために利用される。要素25は、要素24を回路基板21に電気的に接続し、機械的に固定するための複数の電極を含む。要素25は、電極群とも呼ばれる。
【0031】
電気機器1は、少なくともひとつの締結機構26を備える。締結機構26は、部品2とケース3とを連結し、固定する。具体的には、締結機構26は、部品2と第1ケース4とを連結し、固定する。締結機構26は、ケース3の所定の容積に、部品2を収容するように部品2と第1ケース4とを互いに締め付ける。電気機器1は、ひとつの締結機構26、または、複数の締結機構26を備える。
【0032】
締結機構26は、ネジ機構、スナップフィット機構、バヨネットロック機構、接着固定機構、溶着固定機構など多様な機構によって提供することができる。この実施形態では、締結機構26は、ネジ機構によって提供されている。
【0033】
締結機構26は、第1締結部材としてのネジ27を備える。ネジ27は大径頭部を備える。ネジ27は、ワッシャ、および、スプリングワッシャなどの少なくともひとつを大径頭部に含む場合がある。締結機構26は、ネジ27によって回路基板21の一部を第1ケース4の固定面13に締め付ける。回路基板21は、ネジ27の大径頭部によって押さえられる部分を有する。この部分は、回路基板21に形成された貫通穴28、または、切欠溝の縁によって提供されている。
【0034】
締結機構26は、ネジ穴14を備える。ネジ穴14は、第1ケース4に配置されている。第1ケース4は、ネジ27と対をなす第2締結部材を提供する。第2締結部材は、第1ケース4とは別体のナットによって提供されてもよい。ネジ穴14は、ネジ27を受け入れ、ネジ27がねじ込まれることによりネジ27と螺合する。ネジ27とネジ穴14とが螺合することによりネジ27は、第1ケース4と結合し、第1ケース4の一部となる。第1ケース4は、ひとつ、または、複数のネジ穴14を有する。なお、部品2と第1ケース4との間には、後述のダンパ素子30が配置されている。
【0035】
電気機器1の製造方法において部品2とケース3とを連結する工程が実行される。この工程では、まず、部品2と第1ケース4とが所定の位置関係に配置される。次に、ネジ27が、回路基板21の貫通穴28、または、切欠溝に配置される。さらに、ネジ27が、ネジ穴14に締め込まれる。この結果、ネジ27は、回路基板21と第1ケース4とを互いに接近させ、互いに締め付ける。この結果、第1ケース4に部品2が固定される。この工程において、部品2と第1ケース4との間には、後述のダンパ素子30が配置されている。ダンパ素子30は、締結機構26によって部品2とケース3とが締め付けられることにより、部品2とケース3との間に挟まれる。これにより、ダンパ素子30は、部品2とケース3との間に最終的に移動不可能な状態に固定される。ダンパ素子30は、締結機構26によって、わずかに移動可能な予備的な固定状態から、最終的な位置において移動不可能な最終的な固定状態に移行する。
【0036】
図示の実施形態に代えて、代替的に、ネジ穴14を回路基板21に設け、貫通穴28を第1ケース4に設けてもよい。また、ネジ穴14は、別体のナットによって提供されてもよい。この場合、ネジ穴14は、貫通穴、または、切欠溝と、ナットとによって代替される。
【0037】
電気機器1は、少なくともひとつのダンパ素子30を備える。ダンパ素子30は、部品2とケース3との間に配置されている。ダンパ素子30は、部品2とケース3との間の衝撃伝搬経路に介入するように配置されている。電気機器1は、ひとつのダンパ素子30、または、複数のダンパ素子30を備える。図示の実施形態では、電気機器1は、締結機構26の数と対応する数のダンパ素子30を備える。
【0038】
ダンパ素子30は、部品2とケース3との間における衝撃の伝搬を抑制する。ダンパ素子30は、ケース3から部品2への衝撃の伝搬を抑制する。ダンパ素子30は、部品2からケース3への衝撃の伝搬を抑制する。一例では、ダンパ素子30は、ケース3に加えられた外部衝撃から、回路ユニット20を保護する。ダンパ素子30は、回路ユニット20に含まれる少なくともひとつの電気的な要素を衝撃から保護する。ダンパ素子30は、部品2に所属する部品として解することができる。代替的に、ダンパ素子30は、ケース3に所属する部品として解される場合がある。この実施形態では、ダンパ素子30は、部品2に所属し、回路ユニット20に所属している。
【0039】
電気機器1の製造方法において部品2とケース3との間にダンパ素子30を配置し、固定する工程が実行される。この工程では、まず、部品2およびケース3の少なくともいずれか一方にダンパ素子30が予備的に固定される。この実施形態では、ダンパ素子30は、部品2に所属する要素のひとつとして回路基板21に予備的に固定される。代替的に、ダンパ素子30は第1ケース4に予備的に固定されてもよい。代替的に、ダンパ素子30は、回路基板21と第1ケース4との両方に予備的に固定されてもよい。ここで、予備的固定の語は、後続の完成状態における本固定に先立ってダンパを所定位置に位置づけることを意味している。予備的な固定状態にあるダンパ素子30は、許容範囲内において移動可能である。予備的な固定は、仮留め、または、中間段階固定とも呼ばれる。
【0040】
電気機器1の製造方法において、ダンパ素子30を予備的に固定した後に、ネジ27が、回路基板21の貫通穴28、または、切欠溝に配置される。さらに、ネジ27が、ネジ穴14に締め込まれる。この工程において、部品2と第1ケース4との間には、後述のダンパ素子30が配置されている。ダンパ素子30は、締結機構26によって締め付けられる。この結果、ネジ27は、回路基板21とダンパ素子30と第1ケース4とを互いに接近させ、互いに締め付ける。この結果、ダンパ素子30を介して、第1ケース4に部品2が固定される。締結機構26の締め付け工程が完了した状態において、ダンパ素子30は、完成状態における本固定状態に到達する。
【0041】
図2において、締結機構26は、ネジ27を備える。ネジ27は、中心軸AXを有する。ネジ27は、第1ケース4にねじ込まれている。ネジ27と第1ケース4との間には、ダンパ素子30と回路基板21とが配置されている。ダンパ素子30は、中心軸AXのまわりに配置されている。ダンパ素子30と回路基板21とは、ネジ27の拡大頭部27aと、第1ケース4との間に圧縮状態で保持されている。ダンパ素子30と回路基板21とは、ネジ27の拡大頭部27aと、第1ケース4との間において移動しないように固定されている。
【0042】
ダンパ素子30は、第1ダンパ素子31と、第2ダンパ素子32とを備える。第1ダンパ素子31と第2ダンパ素子32とは、異なる衝撃緩和特性を有する。異なる衝撃緩和特性は、異なる材料によって提供される場合がある。異なる衝撃緩和特性は、異なる材料密度によって提供される場合がある。異なる衝撃緩和特性は、異なる形状によって提供される場合がある。代替的に、第1ダンパ素子31と第2ダンパ素子32とは、同じ衝撃緩和特性を有する場合がある。第1ダンパ素子31は、拡大頭部27aと回路基板21との間に配置されている。第2ダンパ素子32は、回路基板21と第1ケース4との間に配置されている。この実施形態では、部品2は、電気的な要素を搭載し、ケース3内に固定される回路基板21である。ダンパ素子30は回路基板21の両面に配置されている。
【0043】
仮想的に、ケース3から部品2への衝撃の伝搬を考える。この場合、第1ケース4から、ネジ27を経由して、拡大頭部27aから回路基板21の第1面21aへ到達する第1の伝播経路と、第1ケース4から回路基板21の第2面21bへ到達する第2の伝搬経路とを考えることができる。第1ダンパ素子31は、第1の衝撃伝搬経路に配置されている。第2ダンパ素子32は、第2の衝撃伝搬経路に配置されている。言い換えると、複数のダンパ素子31、32のそれぞれは、複数の衝撃伝搬経路のそれぞれに配置されている。ダンパ素子30は、複数の衝撃伝搬経路の少なくともひとつに配置される場合がある。
【0044】
複数のダンパ素子31、32のそれぞれは、ブロック体40によって提供されている。ブロック体40は、ネジ27を囲む筒状である。この実施形態では、ブロック体40は、環状の円筒体である。実施形態のブロック体40は、貫通穴40aによって特徴付けられている。代替的に、ブロック体40は、直方体、または、C字状などの不完全な環状体によって提供されてもよい。いずれの構成においても、ブロック体40は、衝撃の伝搬経路に介在されている。よって、ダンパ素子30は、部品2とケース3との間にブロック体40が配置されることにより衝撃の伝搬を緩和する。
【0045】
ダンパ素子30を提供するブロック体40は、衝撃を緩和する材料によって提供されている。ブロック体40は、樹脂製である。ブロック体40は、エラストマ製である。代替的に、ブロック体40は、ゴム製である場合がある。代替的に、ブロック体40は、線材の集合体である場合がある。この場合、ブロック体40は、編み込まれた金属ワイヤの網(Knitted metal wire mesh)を所定形状に成形した成形体である。ブロック体40は、導電性の部材、または、電気絶縁性の部材によって提供される場合がある。ブロック体40は、粘弾性をもつ部材とも呼ばれる場合がある。
【0046】
ブロック体40は、拡大頭部27aと、回路基板21との両方に接触している。ダンパ素子32を提供する筒状のブロック体40は、回路基板21と、第1ケース4との両方に接触している。図示においては、ブロック体40とネジ27との間には径方向の隙間が形成されている。代替的に、ブロック体40は、周方向の一部分、および/または、軸方向の一部分において、ネジ27に接触している場合がある。代替的に、ブロック体40は、周方向の全体、および/または、軸方向の全体において、ネジ27に接触していてもよい。
【0047】
2つのダンパ素子30の間、すなわちダンパ素子31とダンパ素子32との間には、連結機構50が設けられている。連結機構50は、ダンパ素子31とダンパ素子32とを連結する。連結機構50は、ダンパ素子31とダンパ素子32との機械的な連結を提供する。連結機構50は、ダンパ素子31とダンパ素子32とが一旦連結された後は、重力程度の力による分離を抑制する程度に両者を連結する。連結機構50は、ダンパ素子31とダンパ素子32との間に機械的な保持関係を提供する。連結機構50は、ネジ機構、スナップフィット機構、バヨネットロック機構、接着固定機構、溶着固定機構など多様な機構によって提供することができる。この実施形態では、連結機構50は、スナップフィット機構によって提供されている。
【0048】
連結機構50は、回路基板21の両面の規定の位置にダンパ素子31とダンパ素子32とを位置づける。さらに、連結機構50は、規定の位置においてダンパ素子31とダンパ素子32とを互いに連結する。連結機構50は、ダンパ素子31とダンパ素子32とが分離することなく回路基板21上の規定位置に保持される程度の連結力を提供する。例えば、連結機構50は、電気機器1の製造方法の期間中を通じて、ダンパ素子31とダンパ素子32とを回路基板21の規定位置に保持する。
【0049】
連結機構50によって提供される機械的な保持関係は、ダンパ素子31とダンパ素子32との間における係合だけによって提供される場合がある。係合は、嵌め合いとも呼ばれる場合がある。代替的に、または、追加的に、機械的な保持関係は、ダンパ素子31とダンパ素子32との間における摩擦によって提供される場合がある。係合は、部材の弾性変形を伴って提供される場合がある。係合は、互いに係合する2つの段差面によって提供される場合がある。互いに係合する2つの段差面は、互いに逆方向を指向する2つの段差面を含む場合がある。
【0050】
ダンパ素子31とダンパ素子32とを互いに引き離す方向として中心軸AXに沿って伸長する方向を想定する。この場合、一方の段差面は、中心軸AXに沿って第1の方向を指向する。他方の段差面は、中心軸AXに沿って第1の方向とは反対の第2の方向を指向する。なお、2つの段差面は、中心軸AXの方向に対して交差する直角面、または、斜面によって提供される。例えば、互いに係合する2つの段差面は、連結凸部と、連結凹部とによって提供される場合がある。
【0051】
連結機構50は、保護対象である部品、すなわち回路基板21の両面に渡ってダンパ素子31とダンパ素子32との間に延びている。図示の例では、連結機構50は、保護対象である部品、すなわち回路基板21を貫通して、ダンパ素子31とダンパ素子32との間に延びている。
【0052】
連結機構50は、連結凸部51と、連結凹部52とを備える。連結機構50は、ひとつ、または、2つ以上の連結凸部51を有する。連結機構50は、複数の連結凸部51を有する。複数の連結凸部51は、等間隔に、または、不等間隔に配置されている。代替的に、連結機構50は、ひとつの環状の連結凸部51を備える場合がある。連結機構50は、ひとつ、または、2つ以上の連結凹部52を有する。連結機構50は、ひとつの環状の連結凹部52を備えている。連結凹部52は、ダンパ素子31の貫通穴40aの内面の全周に渡って延びる環状の溝によって提供されている。連結凹部52は、中心軸AXの方向に関して貫通穴40aの中央に配置されている。ブロック体40の回転方向の位置、連結凸部51の位置などに制約されることなくダンパ素子31とダンパ素子32との連結関係を提供可能である。この配置は、ダンパ素子31の両面の利用を可能とする。代替的に、連結凹部52は、貫通穴40aにおける段差付きの内面によって提供される場合がある。代替的に、連結機構50は、複数の連結凸部51の位置に対応して、複数の連結凹部52を備える場合がある。代替的に、連結凸部51と連結凹部52とは、逆に設けられる場合がある。すなわち、連結凸部51をダンパ素子32に設け、連結凹部52をダンパ素子32に設けてもよい。
【0053】
連結凸部51は、連結凹部52内に嵌まり込む凸部を有する。凸部は、中心軸AXに対して交差する方向へ突出している。以下の説明において、中心軸AXに対して交差する方向は、径方向と呼ばれる場合がある。凸部は、径方向外側へ向けて突出している。代替的に、凸部は、径方向内側へ向けて突出する場合がある。連結凹部52は、連結凸部51を少なくとも部分的に受け入れる凹部を有する。連結凸部51と連結凹部52とは、互いに嵌り合っている。凹部は、径方向外側へ向けて凹んでいる。代替的に、凸部は、径方向内側へ向けて突出している場合がある。この場合、凹部は、径方向内側へ向けて凹んでいる。
【0054】
連結凸部51は、ダンパ素子31の内部に位置づけられている。連結凸部51は、ダンパ素子31の貫通穴40aの内面と、少なくとも部分的に接触することにより、機械的な連結関係を提供している。連結凸部51は、少なくとも段差面を提供している。連結凸部51の段差面は、軸方向AXに沿って図中の下方向を指向する面によって提供されている。この面は、中心軸AXに交差する斜面である。連結凹部52は、少なくとも段差面を提供している。連結凹部52の段差面は、軸方向AXに沿って図中の上方向を指向する面によって提供されている。この面は、中心軸AXに垂直に交差する垂直面である。
【0055】
連結機構50は、連結腕部53を備える。連結腕部53は、弾性変形可能な部材である。連結腕部53は、連結凸部51、および/または、連結凹部52が、嵌め合い状態と分離状態との間を片方向に、または、双方向に移行するための弾性的な変形を提供する。図示の例では、連結腕部53は、連結凸部51の径方向への移動を連結腕部53の弾性変形によって提供する。代替的に、連結腕部53は、連結凹部52の径方向への移動を連結腕部53の弾性変形によって提供する場合がある。分離状態と嵌め合い状態との間の片方向、または、双方向の切り替えにおいて、連結凸部51、および/または、連結凹部52の一時的な弾性変形を伴ってもよい。
【0056】
連結腕部53は、ダンパ素子32のブロック体40から延び出している。連結腕部53は、回路基板21を貫通して延びている。連結腕部53は、ダンパ素子31の貫通穴40aの内部に到達している。連結腕部53の自由な端部には、連結凸部51が設けられている。代替的に、連結腕部53は、ダンパ素子31のブロック体40から、回路基板21を貫通して、ダンパ素子32の内側にまで到達している場合がある。さらに代替的に、連結腕部53は、ダンパ素子31とダンパ素子32との両方から延び出す対となる部分を有している場合がある。この場合、連結凸部51と連結凹部52とが貫通穴28の内側に設けられる。
【0057】
図3において、連結凸部51と連結凹部52との分離状態が図示されている。
図2は、連結凸部51と連結凹部52との嵌め合い状態が図示されている。嵌め合い状態は、係合状態、または、連結状態とも呼ばれる。
図4は、
図3のIV-IV線におけるダンパ素子31の断面を示す。
図5は、
図3のV-V線におけるダンパ素子32の断面を示す。以下の説明において、連結腕部53が変形していない状態を自然状態と呼ぶ。連結腕部53は弾性的に所定量変形することができ、さらに、追加的に塑性変形する場合がある。連結腕部53が弾性的に変形している状態を弾性変形状態と呼ぶ。
【0058】
連結凸部51は、中心軸AXの軸方向端部に先端面51aを有する。先端面51aは、連結腕部53の自由端の端面でもある。連結凸部51は、凸部を形成する斜面51bと、斜面51cとを有する。斜面51bと斜面51cとは、円弧状の稜線51dを形成するように交わっている。
【0059】
斜面51bは、連結凸部51を分離状態から嵌め合い状態へ移行させるための弾性変形を連結腕部53に与える。連結腕部53の弾性変形は、ダンパ素子31とダンパ素子32とを互いに接近させる第1方向(軸方向)の推力を、斜面51bによって径方向の力に変換することによって与えられる。斜面51bは、ダンパ素子31とダンパ素子32とを互いに接近させる第1方向を指向する斜面である。斜面51bは、連結凸部51を分離状態から嵌め合い状態へ移行させる嵌め合い作業において機能する嵌め合い面とも呼ばれる。
【0060】
斜面51cは、連結凸部51を嵌め合い状態から分離状態へ移行させるための弾性変形を係合腕部53に与える。斜面51cは、ダンパ素子31とダンパ素子32とを互いに引き離す第2方向を指向する斜面である。中心軸AXの軸方向において、第2方向は、第1方向と反対の方向である。斜面51cは、連結凸部51を嵌め合い状態に維持する係合面とも呼ばれる。斜面51cは、連結凸部51を嵌め合い状態から分離状態へ移行させる分離作業において機能する分離面とも呼ばれる。
【0061】
斜面51bと斜面51cとは、円錐の一部分によって提供されている。中心軸AXと斜面51bとの間の角度は、中心軸AXと斜面51cとの間の角度より小さい。図示される斜面51bの傾斜方向の長さは、斜面51cの傾斜方向の長さより長い。斜面51bは、嵌め合い作業における操作力を抑制することを可能とする。また、斜面51cは、分離作業に所定の難度を与える。
【0062】
連結凹部52は、ブロック体40の貫通穴40aの内壁面に形成されている。連結凹部52は、外部穴52aを有する。外部穴52aは、入口穴とも呼ばれる。外部穴52aは、貫通穴40aの一部でもある。連結凹部52は、段差面52bを有する。段差面52bは、中心軸AXに対して交差する環状面である。段差面52bは、中心軸AXに対して直交する環状平面である。外部穴52aと段差面52bとは、円形の稜線52cを形成している。連結凹部52は、内部穴52dを有する。内部穴52dは、連結凸部51を受け入れる空洞を提供する。貫通穴40aの内壁面は、軸方向において対称に形成されている。この構成は、ダンパ素子31の両面を利用することを可能とする。
【0063】
ダンパ素子31のブロック体40の貫通穴40aは、直径D51を有している。回路基板21の貫通穴28は、直径D28を有している。直径D28は、連結凸部51と連結腕部53とが挿入された状態において、ダンパ素子32が回路基板21から脱落しない程度に、連結凸部51と回路基板21との干渉を生じるように設定されている。外部穴52aは、直径D52aを有している。直径D52aは、外部穴52aが提供する入口径でもある。内部穴52dは、直径D52dを提供している。
【0064】
自然状態において、複数の連結凸部51および連結腕部53は、以下に述べる(i)、(ii)、(iii)、および、(iv)のように位置づけられている。(i)連結凸部51および連結腕部53は、上記直径D51の仮想的な円に外接するように配置されている。言い換えると、連結凸部51および連結腕部53は、上記直径D51の径方向外側に配置されている。(ii)先端面51aと斜面51bとの間の境界線は、直径D51aの仮想的な円の上に位置づけられている。(iii)稜線51dは、直径D51dの仮想的な円の上に位置づけられている。(iv)斜面51cと連結腕部53との境界線は、直径D53の仮想的な円の上に位置づけられている。(i)、(ii)、(iii)、および、(iv)の数値は、連結腕部53の変形によって変化する場合がある。(i)、(ii)、(iii)、および、(iv)の数値は、連結腕部53の弾性的な変形によって縮小方向へ変化する場合がある。複数の直径は、図示される大小関係を有する。さらに、複数の直径は、以下に述べる大小関係を有する。
【0065】
(v)直径D51aは、直径D52aより小さい(D51a<D52a)。(vi)直径D51dは、直径D52aより大きい(D51d>D52a)。嵌め合い作業において、斜面51bは、連結腕部53を弾性変形させる力を生み出す。(vii)直径D52dは、直径D51dと等しいか、または、直径D51dより大きい(D52d≧D51d)。(viii)直径D52aは、直径D53と等しいか、または、直径D53より大きい(D52a≧D53)。連結凸部51が連結凹部52に到達すると、連結腕部53は弾性によって自然状態へ復元する。これにより、連結凸部51と連結凹部52との嵌め合いが提供される。連結腕部53の弾性は、連結凸部51と連結凹部52とを嵌め合いを維持する。一方で、分離作業が実行された場合、斜面51cは、稜線52cとの接触によって連結腕部53を弾性変形させる力を生み出す。
【0066】
(ix)直径D51dは、直径D28と等しいか、または、直径D28より大きい(D51d>D28)。嵌め合い作業において、連結凸部51は、貫通穴28を通過し、その後に、ダンパ素子31の貫通穴40aに挿入される。製造方法は、連結凸部51が貫通穴28を通過し、ダンパ素子31の貫通穴40aに挿入される前の中間段階を含む場合がある。上記(ix)の設定は、中間段階において、回路基板21からダンパ素子32が脱落する事態を抑制する。
【0067】
製造方法
電気機器1の製造方法は、複数の要素を準備する準備工程を備える。準備工程は、部品2を構成する複数の電気的な要素21、22、23、24、25を準備する工程を含む。準備工程は、ケース3を構成する複数の要素を準備する工程を含む。この工程では、第1ケース4、第2ケース5、複数のネジ7、複数のネジ27が準備される。準備工程は、ダンパ素子30を準備するダンパ準備工程を含む。ダンパ準備工程は、ダンパ形成工程とも呼ばれる。準備工程に含まれる複数の工程は、任意の順序に従って実行される。
【0068】
電気機器1の製造方法は、準備工程の後に、部品2を組み立てる部品組み立て工程を含む。この部品組み立て工程は、回路基板21の第1面21aに、複数の電気的な要素22、25を固定し、電気的に接続する工程を含む。この工程は、第1要素工程とも呼ばれる。第1要素工程は、はんだ工程を含む。はんだ工程は、例えば、はんだリフロー工程によって実行される。はんだリフロー工程は、第1面21aを重力方向の上方向に向けて保持しながら実行される。はんだリフロー工程は、第1面21aにはんだ層を印刷する印刷工程と、第1面21aに電気的な要素を配置する配置工程と、はんだ層を溶融させて素子をはんだ付けし、はんだを硬化させるリフロー工程とを含む。溶融はんだは、電極に付着し、硬化することにより、電気的、および/または、機械的な接続を提供する。
【0069】
さらに、部品組み立て工程は、回路基板21の第2面21bに、複数の電気的な要素23、24を固定し、電気的に接続する工程を含む。この工程は、第2要素工程とも呼ばれる。第2要素工程は、はんだ工程を含む。例えば、はんだ工程は、はんだリフロー工程によって実行される。はんだリフロー工程は、第2面21bを重力方向の上方向に向けて保持しながら実行される。はんだリフロー工程は、第2面21bにはんだ層を印刷する印刷工程と、第2面21bに電気的な要素を配置する配置工程と、はんだ層を溶融させて要素をはんだ付けし、はんだを硬化させるリフロー工程とを含む。溶融はんだは、電極に付着し、硬化することにより、電気的、および/または、機械的な接続を提供する。第1要素工程と第2要素工程とは、この順序により、または、逆の順序により実行される。
【0070】
部品組み立て工程は、回路基板21にダンパ素子30を予備的に固定する予備的固定工程を含む。予備的固定工程は、回路基板21に第1ダンパ素子31を予備的に固定する第1固定工程を含む。予備的固定工程は、回路基板21に第2ダンパ素子32を予備的に固定する第2固定工程を含む。第1固定工程と、第2固定工程とは、回路基板21を反転させる反転工程の前後に別々に実行される。第1固定工程と、第2固定工程とは、この順序で、または、逆の順序で実行することができる。
【0071】
電気機器1の製造方法は、衝撃から保護されるべき部品2の第1面21aに衝撃を緩和する第1ダンパ素子31を配置する工程を含む。電気機器1の製造方法は、部品2の第1面21aとは反対の第2面21bに衝撃を緩和する第2ダンパ素子32を配置する工程を含む。さらに、電気機器1の製造方法は、第1ダンパ素子31と第2ダンパ素子32との間において、部品2を貫通する貫通穴28を通して第1ダンパ素子31と第2ダンパ素子32とを連結する工程を含む。電気機器1の製造方法は、連結腕部53の弾性変形によって、連結凹部52の中に連結凸部51を受け入れる段階を含む。
【0072】
電気機器1の製造方法は、部品組み立て工程の後に、ケース3の中に部品2を収容するケース組立工程を含む。ケース組立工程は、第1ケース4に部品2を固定する内部工程を含む。さらに、ケース組立工程は、第1ケース4に第2ケース5を装着する外部工程を含む。
【0073】
内部工程は、第1ケース4の規定位置に部品2を位置づける配置工程を含む。内部工程は、配置工程の後に、複数のネジ27を第1ケース4に螺合させる締付け工程を含む。締付け工程は、複数のネジ27の締め付けによって、複数のダンパ素子30を徐々に圧縮する。締付け工程は、複数のダンパ素子30が衝撃吸収力を維持している状態で複数のネジ27による締付けを終了する。ダンパ素子30は、締結機構26によって締め付けられる。ダンパ素子30は、締結機構26によって、予備的ではなく、最終的な位置に固定される。締付け工程の後においては、複数のネジ27による締め付け力が継続的に持続され、部品2がケース3に固定される。よって、ブロック体40を予備的に固定した後に、部品2をケース3の中に収容し、ブロック体40を最終的に固定する締付け工程が実行される。
【0074】
外部工程は、第1ケース4の規定位置に第2ケース5を位置づける配置工程を含む。外部工程は、配置工程の後に、複数のネジ7を第1ケース4に螺合させる締付け工程を含む。締付け工程は、複数のネジ7の締め付けによって、第1ケース4と第2ケース5とを連結し固定する。
【0075】
図6から
図12は、部品組み立て工程から内部工程の流れを示している。
図6は、準備工程において準備された回路基板21を示す。回路基板21は、貫通穴28を有している。この実施形態では、第2要素工程が先に実行される。まず、第1面21aが重力方向の下を指向し、第2面21bが重力方向の上を指向するように、回路基板21が位置づけられる。
【0076】
図7は、印刷工程により印刷された複数のはんだ層22aを示す。
図6の工程の後に、印刷工程が実行される。印刷工程では、第2面21bに複数のはんだ層22aが印刷される。複数のはんだ層22aは、回路基板21の表面に電気的な接続部分を提供する。
【0077】
印刷工程の後、
図8に図示されるように電気的な要素22と、ダンパ素子32とが回路基板21に装着される。
図8は、要素22の装着工程と、ダンパ素子32の装着工程とが完了した状態を示している。
【0078】
電気的な要素22の装着は、要素22をはんだ層22aの上に配置する配置段階と、はんだ層22aを溶融させ再硬化させることにより要素22を固定するはんだ付け段階とを含む。はんだ付け段階は、はんだリフロー工程などによって実行することができる。はんだリフロー工程の後は、再硬化したはんだによって、電気的な要素22が回路基板21の第2面21bに固定される。
【0079】
ダンパ素子32の装着は、はんだ付け段階の前、または、はんだ付け段階の後に、第2面21bに実行することができる。電気的な要素22を配置したあとに、ダンパ素子32を配置することができる。代替的に、ダンパ素子32が配置された後に、電気的な要素22が配置される場合がある。図中には、代表的にひとつの電気的な要素22が図示されている。電気的な要素22は、表面実装素子、および/または、スルーホール実装素子を含む。
【0080】
図8において、ダンパ素子32は、重力方向の上から、回路基板21に載せるように配置される。ダンパ素子32は、連結腕部53を貫通穴28に貫通させるように配置される。ダンパ素子32は、連結凸部51を第1面21aの開口からに突出させるように配置される。この状態では、ダンパ素子32は、左右方向へ移動可能である。代替的に、ダンパ素子32は、重力方向の下から、貫通穴28の周囲にスナップフィットするように挿し込むことによって配置されてもよい。
【0081】
この実施形態では、第2要素工程の後に第1要素工程が実行される。
図8の工程の後、回路基板21を反転させる反転工程が実行される。これにより、第1面21aが重力方向の上を指向し、第2面21bが重力方向の下を指向するように、回路基板21が位置づけられる。反転工程が実行されると、回路基板21が反転される。ダンパ素子32は、連結凸部51が貫通穴28に係合する。この結果、ダンパ素子32が回路基板21から脱落する事態が抑制される。ダンパ素子32は、反転工程の後、図中に破線で図示される位置まで下がる場合がある。ただし、回路基板21からダンパ素子32が脱落する事態は回避される。ダンパ素子32は、後続の工程において、押し上げられる。
【0082】
反転工程の後に、
図9に図示されるように印刷工程が実行される。印刷工程では、第1面21aに複数のはんだ層23aが印刷される。複数のはんだ層23aは、回路基板21の表面に電気的な接続部分を提供する。
【0083】
印刷工程の後、
図10に図示されるように電気的な要素23と、ダンパ素子31とが回路基板21に装着される。
図10は、要素23の装着工程と、ダンパ素子31の装着工程とが完了した状態を示している。
【0084】
電気的な要素23の装着は、要素23をはんだ層23aの上に配置する配置段階と、はんだ層23aを溶融させ再硬化させることにより要素23を固定するはんだ付け段階とを含む。はんだ付け段階は、はんだリフロー工程などによって実行することができる。はんだリフロー工程の後は、再硬化したはんだによって、電気的な要素23が回路基板21の第1面21aに固定される。
【0085】
ダンパ素子31の装着は、はんだ付け段階の前、または、はんだ付け段階の後に、実行することができる。ダンパ素子31は、ダンパ素子32と連結することによって配置される。電気的な要素23を配置したあとに、ダンパ素子31を配置することができる。代替的に、ダンパ素子31が配置された後に、電気的な要素23が配置される場合がある。図中には、代表的にひとつの電気的な要素23が図示されている。電気的な要素23は、表面実装素子、および/または、スルーホール実装素子を含む。
【0086】
図10において、ダンパ素子31は、重力方向の上から、回路基板21に載せるように配置される。ダンパ素子31は、ダンパ素子32の連結凸部51を貫通穴40aに受け入れさせるように配置される。ダンパ素子31は、ダンパ素子32の連結凸部51を、ダンパ素子31の連結凹部52に受け入れさせるように配置される。このとき、ダンパ素子31は、連結腕部53を径方向内側へ曲げるように弾性変形させながら、連結凹部52の中に連結凸部51を受け入れる。連結凸部51が連結凹部52に収容されると、連結腕部53は、自らの弾性により自然状態へ復元し、連結凸部51を連結凹部52に嵌め込む。この工程においては、ダンパ素子31とダンパ素子32とを接近させるようにダンパ素子31とダンパ素子32とが操作される。例えば、ダンパ素子31を押し下げ、ダンパ素子32を押し上げる操作が実行される。この結果、ダンパ素子31とダンパ素子32とは、連結機構50によって連結される。ダンパ素子31とダンパ素子32とは、回路基板21の両面に固定される。このようにして、ダンパ素子30を備える部品2の組み立てが完了する。
【0087】
図11は、内部工程の第1段階を示している。まず、第1段階では、部品2が第1ケース4の所定位置に配置される。部品2は、ダンパ素子30の貫通穴がネジ穴14の上に位置するように配置される。さらに、
図12は、内部工程の最終段階を示している。図示されるように、ダンパ素子30と回路基板21とを貫通するようにネジ27が配置される。ネジ27は、ネジ穴14にねじ込まれる。この結果、部品2が第1ケース4に締付けられ、最終的に固定される。
図12の状態では、ネジ27の存在は、連結腕部53が径方向内側に曲がるように変形することを阻止する。この結果、ネジ27が装着された後は、連結機構50の解除が抑制される。
【0088】
この実施形態では、部品2は、第1ダンパ素子31と第2ダンパ素子32との間において、部品2を貫通する貫通穴28を有する。連結機構50は、第2ダンパ素子32から延びだしており、貫通穴28を経由して、第1ダンパ素子31に到達している連結腕部53を備える。連結機構50は、連結腕部53に設けられている連結凸部51を備える。連結機構50は、第1ダンパ素子31に設けられており、連結凸部51を受け入れている連結凹部52を備える。この実施形態によると、衝撃を緩和するべき部品に固定することができるダンパ素子30が提供される。しかも、ダンパ素子30は、ダンパ素子31とダンパ素子32とを連結する連結機構50によって連結され、固定される。このため、衝撃を緩和するべき部品2に応力を発生させることなくダンパ素子30を部品2に固定することが可能である。
【0089】
第2実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、連結機構50は、2つの連結凸部51を備える。これに代えて、連結機構50は、2つ以上の連結凸部、または、ひとつの連結凸部を備えていてもよい。
【0090】
図13は、この実施形態のダンパ素子32を示す断面図である。
図13は、
図5に対応する断面を示している。ダンパ素子32は、3つの連結凸部251を備える。ダンパ素子32は、3つの連結腕部253を備える。3つの連結凸部251は、円に沿って配置されている。3つの連結凸部251は、周方向に互いに等間隔に配置されている。この実施形態でも、先行する実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0091】
第3実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。
図14は、この実施形態のダンパ素子32を示す断面図である。
図14は、
図5に対応する断面を示している。ダンパ素子32は、4つの連結凸部351を備える。ダンパ素子32は、4つの連結腕部353を備える。4つの連結凸部351は、円に沿って配置されている。4つの連結凸部351は、周方向に互いに等間隔に配置されている。この実施形態でも、先行する実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0092】
第4実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。
図15は、この実施形態のダンパ素子32を示す断面図である。
図15は、
図5に対応する断面を示している。ダンパ素子32は、周方向に連続しているひとつの環状の連結凸部451を備える。ダンパ素子32は、ひとつの筒状の連結腕部453を備える。筒状の連結凸部451は、筒状の連結腕部453の先端部分に配置されている。この実施形態では、連結腕部453の弾性的な変形に加えて、連結凸部451の弾性的な変形と、連結凹部52の弾性的な変形とが利用されて、連結凸部451と連結凹部52とが嵌め合わせられる。この実施形態でも、先行する実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0093】
第5実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、ダンパ素子31が連結凹部52を備え、ダンパ素子32が連結凸部51を備える。連結凸部51と連結凹部52とは、逆に配置することが可能である。
【0094】
図16において、ダンパ素子31が連結凸部551を備え、ダンパ素子32が連結凹部552を備える。連結凸部551は、ダンパ素子31から径方向内側に向けて突出している。連結凸部551は、環状の凸部である。連結凹部552は、径方向外側から連結凸部551を受け入れる凹部を有している。
【0095】
この実施形態では、部品2は、第1ダンパ素子31と第2ダンパ素子32との間において、部品2を貫通する貫通穴28を有する。連結機構50は、第2ダンパ素子32から延びだしており、貫通穴28を経由して、第1ダンパ素子31に到達している連結腕部53を備える。連結機構50は、第1ダンパ素子31に設けられている連結凸部551を備える。連結機構50は、連結腕部53に設けられており、連結凸部551を受け入れている連結凹部552を備える。この実施形態でも、先行する実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0096】
第6実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、ダンパ素子31は、軸方向に関して対称形状を有している。これに代えて、ダンパ素子31は、軸方向の一端にのみ連結凹部52を備えていてもよい。上記実施形態では、締結機構26としてダンパ素子30を貫通するネジ27が採用されている。これに代えて、ダンパ素子30は、ネジ27を配置するための貫通穴40aを備えない場合がある。
【0097】
図17は、この実施形態の回路基板21とダンパ素子30とを示す。ダンパ素子30は、ダンパ素子31とダンパ素子32とを備える。ダンパ素子31は、連結凹部52を備える。連結凹部52は、ブロック体40の貫通穴40aの内壁面に形成されている。連結凹部52は、内部穴652dを有する。内部穴652dは、連結凸部51を受け入れる空洞を提供する。貫通穴40aの内壁面は、そのダンパ素子32側の一端部において外部穴52aを有し、他端部において内部穴652dが端部まで連続している。この結果、連結凹部52は、軸方向において非対称である。
【0098】
ダンパ素子32は、ブロック体40を有する。ブロック体40は、中実体であって、コア641を有する円柱体である。ダンパ素子32は、回路基板21の第2面21bに配置されて、第1ケース4に接触する。ブロック体40は、円柱体が提供する円形の表面において第1ケース4と接触する。
【0099】
この実施形態でも、先行する実施形態と同様の作用効果を得ることができる。コア641は、この明細書に例示された他の実施形態に追加的に適用可能である。
【0100】
第7実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、ダンパ素子30は、ネジ27を備える締結機構26によって第1ケース4に固定されている。これに代えて、この実施形態は、熱かしめ機構、または、溶着機構と呼ばれる締結機構26を備える。
【0101】
図18において、第1ケース4は、樹脂製である。第1ケース4は、アルミニウムのような比較的柔らかい金属でもよい。締結機構26は、ピン727を備える。ピン727は、拡大頭部727aを備える。拡大頭部727aは、ダンパ素子30と接触する。拡大頭部727aは、ダンパ素子30、および、部品2を第1ケース4に固定する。
【0102】
電気機器1の製造方法は、ピン727を加熱して変形させることによりダンパ素子30を締め付ける熱かしめ工程を有する。ピン727は、熱かしめ工程の前は、未加工のピン727bを有する。未加工のピン727bは、破線で図示される円柱状の形状をもつ。熱かしめ工程は、未加工のピン727bをダンパ素子30を貫通するように配置する段階を有する。次に、熱かしめ工程は、未加工のピン727bの頭部を加熱し、軟化する段階を有する。次に、熱かしめ工程は、未加工のピン727bの頭部を成形型のような治具によって拡大頭部727aへ変形させる段階を有する。この実施形態でも、先行する実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0103】
第8実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、ダンパ素子30は、ネジ27を備える締結機構26によって第1ケース4に固定されている。これに代えて、この実施形態では、スナップフィット機構と呼ばれる締結機構26を備える。
【0104】
図19において、第1ケース4は、樹脂製である。第1ケース4は、アルミニウムのような弾性変形可能な金属でもよい。締結機構26は、フック827を備える。締結機構26は、ひとつ、または、複数のフック827を備える。フック827は、ダンパ素子30を係止する拡大頭部827aを備える。拡大頭部827aは、貫通穴40aに位置づけることができる先端小径部を有する。拡大頭部827aは、貫通穴40aとの干渉によってフック827の変形を引き起こす斜面を有する。斜面は、中心軸AXに対して端部から基部へ拡大するように傾斜している。拡大頭部827aは、貫通穴40aから突出して位置づけられ、部品2を押さえる大径庇部を有する。フック827は、第1ケース4から延び出し、貫通穴40aの中に配置された柱部分827bを備える。拡大頭部827a、および、柱部分827bは、弾性的に変形することにより、破線で示された弾性変形状態に変形可能である。拡大頭部827a、および、柱部分827bは、自らの弾性によって、実線で示されている係止状態に復元可能である。拡大頭部827aは、ワッシャ827dを介してダンパ素子30と接触する。拡大頭部827aは、部品2を係止することにより、部品2を第1ケース4に固定している。
【0105】
電気機器1の製造方法は、部品2をフック827によって締め付ける工程を有する。この工程は、部品2を拡大頭部827aの上に位置づける段階を有する。この工程では、拡大頭部827aの上にダンパ素子30の貫通穴40aを位置づける段階を含む。次に、この工程では、拡大頭部827aを貫通穴40aに挿し込む段階を含む。この工程において、拡大頭部827aは貫通穴40aと干渉することにより柱部分827bを弾性変形させる。この工程は、拡大頭部827aの斜面によってフック827を弾性的に変形させながら、部品2を押し下げる段階を有する。この段階は、貫通穴40aにフック827を挿入する段階でもある。柱部分827bの弾性変形は、拡大頭部827aにおける直径を縮小させる。この段階において、フック827は、弾性変形状態へ変形する。この結果、拡大頭部827aは、貫通穴40aの内部に挿入される。やがて、拡大頭部827aが貫通穴40a、および、ワッシャ827dを貫通する。
【0106】
拡大頭部827aが貫通穴40a、および、ワッシャ827dを貫通すると、柱部分827bの弾性力によってフック827が弾性変形状態から係止状態へ復元する。拡大頭部827aはダンパ素子30を押さえるように、広がる。これにより、部品2は、フック827によって締付けられる。この実施形態でも、先行する実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0107】
第9実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、連結機構50は、締結機構26のための貫通穴28に配置されている。これに代えて、この実施形態では、連結機構50は、専用の貫通穴928に配置されている。
【0108】
図20において、回路基板21は、連結機構50のための専用の貫通穴928を有する。貫通穴928は、貫通穴28に対して追加的に、または、代替的に設けられている。例えば、
図17に図示された実施形態のようにコア641を備えるダンパ素子32が採用される場合、貫通穴928は貫通穴28に対して代替的に設けられる。貫通穴928は、ダンパ素子31とダンパ素子32との間を連絡するように回路基板21を貫通している。
【0109】
ダンパ素子31は、連結凸部951を備える。連結凸部951は、ダンパ素子32のブロック体40から延び出している。連結凸部951は、棒状である。連結凸部951は、先細の棒状である。ダンパ素子32は、連結凹部952を備える。連結凹部952は、ダンパ素子31のブロック体40に設けられた穴によって提供されている。連結凹部952は、ブロック体40を軸方向に貫通する貫通穴である。連結凸部951と連結凹部952とは、両者の摩擦によってダンパ素子31とダンパ素子32とを連結している。連結凸部951と連結凹部952とは、連結凸部951が連結凹部952に圧入されるような寸法を有している。図示の例では、一組の連結凸部951と連結凹部952とが図示されている。追加的に、ダンパ素子30は、複数の組を備える場合がある。
【0110】
この実施形態では、部品2は、第1ダンパ素子31と第2ダンパ素子32との間において、部品を貫通する貫通穴928を有する。連結機構50は、第2ダンパ素子32から延びだしており、貫通穴928を経由して、第1ダンパ素子31に到達している連結凸部951を備える。連結機構50は、第1ダンパ素子31に設けられており、連結凸部51を受け入れている連結凹部952を備える。この実施形態でも、先行する実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0111】
第10実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、ブロック体40は、樹脂製である。これに代えて、この実施形態では、ブロック体40は、線材42の集合体である。
【0112】
図21において、ブロック体40を形成する素材A41が図示されている。素材A41は、線材42を含む。ブロック体40は、中間的な形態として素材41の形態を経由して、所定形状に成形されている。よって、ブロック体40は、線材42の集合体によって所定形状に成形されている。
【0113】
線材42および素材A41は、ブロック体40の母材とも呼ばれる。線材42は、可撓性を有する。線材42は、作業者がツールを用いることなく手作業で変形させることができる程度の可撓性を有している。線材42の物理的、機械的な性質は、粘弾性とも呼ぶことができる。この観点において、線材42は、粘弾性材料により提供されている。線材42は、弾性変形可能である。線材42は、塑性変形、および、弾性変形可能な材料である。線材42の性質を特定する諸元は、ダンパ素子30として求められる衝撃吸収性能が実現されるように選定される。諸元は、例えば、材料、線径などを含む。線材42は、異なる性質をもつ複数の線材42を含む場合がある。
【0114】
ブロック体40は、素材A41を所定の立体形状に圧縮成形することによって成形された成形体である。よって、ブロック体40においては、線材42は、
図21に図示される規則的な形状のみで存在することなく、不規則な形状部分も含んで存在している。言い換えると、ブロック体40の内部において線材42は複雑にからみあって配置されている。ブロック体40において、線材42は、塑性変形されており、その塑性変形後の形状によって、ブロック体40としての形状を維持している。ブロック体40の内部において線材42は弾性的に変形可能である。ブロック体40の内部において線材42は、こすれながらわずかに移動可能である。
【0115】
ブロック体40は、1本の連続した線材42、または、複数の線材42を含む。この実施形態では、ブロック体40は、1本の連続体である線材42によって提供されている。この場合、ブロック体40は、線材42の細片を生成し難いという利点を提供する。素材A41は、線材製の網として把握することができる。網は、線材のループを繰り返す編み(Knitting)によって形成される場合がある。網は、経線と緯線とに対応する線材を含む織り(Weaving)によって形成される場合がある。
【0116】
線材42は、金属製、または、樹脂製である。線材42は、金属製の線材、および/または、樹脂製の線材を含む場合がある。ブロック体40に含まれる線材42は、金属製の線材だけを含む場合がある。ブロック体40に含まれる線材42は、樹脂製の線材だけを含む場合がある。ブロック体40に含まれる線材42は、金属製の線材と、樹脂製の線材との両方を含む場合がある。
【0117】
この実施形態では、線材42は、金属製である。金属は、銅、ステンレス、鉄などを用いることができる。素材A41は、編み込まれた金属ワイヤの網(Knitted metal wire mesh)である。編み込まれた金属ワイヤの網は、金属ワイヤの切断端が少ないか、または、一対の切断端だけを有する。編み込まれた金属ワイヤの網は、金属片を生成し難いという利点を提供する。ブロック体40は、編み込まれた金属ワイヤの網製である。
【0118】
線材42が樹脂製の線材を含む場合、電気機器1の製造方法において加えられる熱に耐えうる材料が選定される。例えば、後述のはんだリフロー工程においても、必要な材料の特性が維持される耐熱性の粘弾性材料が選定される。例えば、テフロン(登録商標)系などの耐熱性樹脂が選定される。
【0119】
この実施形態のダンパ素子30は、上述の実施形態に説明された連結機構50を備える。連結機構50は、編み込まれた金属ワイヤの網製のダンパ素子30においても、ダンパ素子31とダンパ素子32との連結を可能とする。この実施形態でも、先行する実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0120】
第11実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。この実施形態では、連結機構50は、連結凸部B51として、ブロック体40から延び出す線材42のループを備える。
【0121】
図22において、連結機構50は、連結凸部B51としての線材42のループを備える。ループは、ダンパ素子32のブロック体40から延び出している。連結機構50は、連結凹部B52を備える。連結凹部B52は、ダンパ素子31のブロック体40に設けられた穴によって提供されている。ループは、追加的に、または、代替的に、ダンパ素子31のブロック体40から延びだしていてもよい。この場合、ダンパ素子32のブロック体40は、連結凹部B52としての穴を備える。ループは、連結凹部B52としての穴の中に挿入されている。ループは、自らの弾性によって連結凹部B52の内壁に摩擦的に接触している。これにより、ダンパ素子31とダンパ素子32との分離が阻止される。
【0122】
図21に戻り、図中には、ループの一例が図示されている。ループは、ブロック体40から延び出す線材片とも呼ぶことができる。線材片は、ブロック体40を圧縮成形した後に、線材42の一部をブロック体40から引き出すことにより製造することができる。代替的に、素材A41の状態において線材片を引き出し、ブロック体40を圧縮成形してもよい。代替的に、線材片は、素材A41を編み込む工程において引き出されていてもよい。
【0123】
ループは、閉ループ、または、開ループを含む。閉ループは、線材42の切断端を含まない。開ループは、線材42の切断端を含む。代替的に、開ループは、曲げられた閉ループによって提供される場合がある。この場合、開ループは、線材42の切断端を伴うことなく提供される場合がある。
【0124】
連結凸部B51は、少なくとも1本の線材42が形成するループによって提供されている。この実施形態のループは、連続する1本の線材42を含む。ループにおいて、連続する1本の線材42は、ブロック体40から延び出し、ループを経由した後に、再びブロック体40に戻っている。ループは、2本以上の線材42を含む場合がある。ループにおける線材42の本数は、ブロック体40よりも明らかに変形しやすい柔らかさをループに与える本数である。例えば、ブロック体40は、作業者が人力だけでツールなしでは変形させることが困難な程度の硬さを提供している。一方で、ループは、作業者がツールなしで手作業で変形させることができるほどの柔軟さを有している。ループにおける線材42の本数は、1本以上であって、数十本以下の数である。
【0125】
ループは、ダンパ素子30の固定に必要な弾性力を発揮するために、少なくともひとつの曲げ部を有している。図示の例では、長円状のループは、その端部に曲線状に曲げられた曲げ部を有している。曲げ部は、その曲げ角度を弾性的に変化させることができる。代替的に、ループは、開ループによって提供される場合がある。この場合、ループは、J字型、逆J字型、U字型、フック型などと呼びうる形状である。ループは、所定の弾性を発揮するために、少なくともひとつの曲げ部を有する場合がある。例えば、ループの先端寄りの部位に曲げ部を設けることができる。ループは、穴61の中心軸の方向に対して蛇行状に、または、螺旋状に配置されてもよい。
【0126】
ループは、線材42に起因する可撓性を有している。ループは、ダンパ素子30の脱落防止機能を実現する程度に、その形状を維持できる。ループは、意図的に形状を変化させる場合には、比較的容易にその形状を変化させることができる程度の可撓性を有する。ひとつの目安においては、ループは、作業者がツールを用いることなく手作業で変形させることができる程度の可撓性を有している。例えば、ループの可撓性は、固定工程によってブロック体40が予備的に固定された後であっても、ブロック体40のわずかな移動を許容する。例えば、ネジ27が貫通穴40aと貫通穴28との両方を貫通することができるようにブロック体40が回路基板21の表面上を移動することを許容する。また、ブロック体40が回路基板21と完全に固定された状態において、熱的な膨張収縮があっても、ブロック体40と回路基板21とが所定の位置関係を維持することを許容する。
【0127】
ブロック体40は、ひとつのループ、または、複数のループを有する。複数のループが設けられる場合、それらは、互いに異なる形状、または、相似形である。図示される実施形態では、ブロック体40は、複数のループを備える。複数のループは、ブロック体40の外表面における離れた2位置から延び出している。図示においては、中心軸AXを通る対角線上に位置するブロック体40の2つの対角位置から、2つのループが延び出している。この結果、複数のループは、ブロック体40の表面において互いに離れて配置されている。この構成は、ブロック体40を安定的に固定できる利点を提供する。
【0128】
この実施形態では、連結凸部B51としてのループによってダンパ素子31とダンパ素子32とが回路基板21の両面において連結される。これにより、ダンパ素子31とダンパ素子32とが規定の位置に固定される。この実施形態でも、先行する実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0129】
第12実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、貫通穴28、928は、回路基板21を貫通する穴であり、電気的な絶縁材料によって区画されている。これに代えて、この実施形態では、貫通穴28は、電気的な導電部材C29によって区画されている。
【0130】
図23において、ダンパ素子31、および、ダンパ素子32のブロック体40は、
図21に図示される線材42の集合体によって提供されている。線材42は、金属製である。よって、ブロック体40は、電気的な導電性を備えている。ブロック体40は、第1ケース4と電気的に導通している。
【0131】
貫通穴28は、筒状の導電部材C29によって区画されている。導電部材C29は、円筒状である。貫通穴28は、いわゆるスルーホールとも呼ばれる。導電部材C29は、メッキ層によって提供される場合がある。導電部材C29は、ブロック体40と接触している。ブロック体40は、導電部材C29と電気的に導通している。導電部材C29は、回路基板21に搭載された電気回路の接地電位に接続されている。この結果、接地電位は、ブロック体40を経由して、第1ケース4と電気的に接続されている。この実施形態でも、先行する実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0132】
他の実施形態
この明細書および図面等における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形形態を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、さらに請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
【0133】
明細書および図面等における開示は、請求の範囲の記載によって限定されない。明細書および図面等における開示は、請求の範囲に記載された技術的思想を包含し、さらに請求の範囲に記載された技術的思想より多様で広範な技術的思想に及んでいる。よって、請求の範囲の記載に拘束されることなく、明細書および図面等の開示から、多様な技術的思想を抽出することができる。
【0134】
上記実施形態では、ダンパ素子30の適用例として、電気機器が例示されている。ここで、電気機器の語は、図示された制御装置の例に限られることなく、広義に解釈されるべきである。例えば、ダンパ素子30は、回路基板を含む部品2以外に、回路基板を含まない部品2にも適用可能である。例えば、ダンパ素子30は、ひとかたまりの電気機器とシャーシとの間に適用されてもよい。また、ダンパ素子30は、ひとつの回路基板上に配置される部品と、回路基板との間に適用されてもよい。
【0135】
上記実施形態では、ダンパ素子30の適用例として、電気機器が例示されている。これに代えて、ダンパ素子30は、電気機器以外の多様な用途に利用することができる。ダンパ素子30は、ポンプ、圧縮機、風車のような回転機械、エンジンのような往復機械など可動部を有する機械要素に広く適用することができる。また、ダンパ素子30は、化学的な装置の脚部、化学的な要素を支持する支持腕などに広く適用することができる。ダンパ素子30は、この明細書の開示に接した当業者が理解する広い用途に適用可能である。
【符号の説明】
【0136】
1 電気機器、 2 部品、 3 ケース、
4 第1ケース、 5 第2ケース、
20 回路ユニット、 21 回路基板、 22~25 要素、
26 連結機構、 27 ネジ、 28 貫通穴、 14 ネジ穴、
30、31、32 ダンパ素子、
40 ブロック体、 A41 素材、 42 線材、641 コア、
50 連結機構、
51、251、351、451、551、951,B51 連結凸部、
52、552、952,B52 連結凹部、
53、253、353、453 連結腕部、
727 ピン、 827 フック。