(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】作業支援システム
(51)【国際特許分類】
G06T 3/14 20240101AFI20241106BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20241106BHJP
G06V 10/44 20220101ALI20241106BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
G06T3/14
G06T7/00 300F
G06T7/00 350B
G06V10/44
H04N7/18 U
(21)【出願番号】P 2022038809
(22)【出願日】2022-03-14
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】椿 裕太
(72)【発明者】
【氏名】松田 智裕
【審査官】菊池 伸郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-229057(JP,A)
【文献】瀬川修,外2名,"ARを用いた設備保守教育支援システムの検討",ヒューマンインターフェースシンポジウム2015 論文集,日本,特定非営利活動法人ヒューマンインタフェース学会,2015年09月01日,pp.21-24
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00-7/90
G06V 10/00-40/70
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業において参照するための画像を表示することで前記作業を支援する作業支援システムであって、
前記作業における対象の望ましい状態を表す1以上の基準画像を取得する第1取得部と、
前記作業中に前記対象の撮影画像を取得する第2取得部と、
前記基準画像における3点以上の基準特徴点を検出する第1検出部と、
前記撮影画像における、前記3点以上の基準特徴点のそれぞれに対応する3点以上の対応特徴点を検出する第2検出部と、
前記3点以上の基準特徴点と、前記3点以上の基準特徴点のそれぞれに対応する前記対応特徴点と、に基づいて、前記基準画像を変換して変換画像を生成する画像変換部と、
前記変換画像を表示する表示部と、を備える、作業支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の作業支援システムであって、
前記画像変換部は、
前記3点以上の基準特徴点のうちのある3点の基準特徴点のそれぞれの画素位置の相対関係と、前記ある3点の基準特徴点のそれぞれに対応する対応特徴点のそれぞれの画素位置の相対関係とが一致するように前記基準画像を変換した仮変換画像を生成する仮画像生成処理を実行し、
前記仮変換画像における、前記ある3点の基準特徴点のうちのある2点の特徴点である距離特徴点同士の距離が、前記2点の距離特徴点に対応する2点の前記対応特徴点同士の距離と一致するように、前記仮変換画像を拡大または縮小して前記変換画像を生成する画像生成処理を実行する、作業支援システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の作業支援システムであって、
前記表示部は、
前記表示部を通過して外界が視認できる構造であり、
前記変換画像の一部または全部を透過した状態で、前記外界における前記対象に前記変換画像における前記望ましい状態の前記対象を重畳するように付加的に表示する、作業支援システム。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の作業支援システムであって、
前記表示部は、前記撮影画像を表示し、前記変換画像の一部または全部を透過した状態で、前記撮影画像における前記対象に前記変換画像における前記望ましい状態の前記対象を重畳するように付加的に表示する、作業支援システム。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の作業支援システムであって、
前記第1検出部は、画像処理手法を用いて、前記基準画像から前記基準特徴点を検出し、
前記第2検出部は、前記画像処理手法を用いて、前記撮影画像から前記対応特徴点を検出する、作業支援システム。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の作業支援システムであって、
前記第1検出部は、前記特徴点を検出するように予め機械学習された第1検出器に前記基準画像を入力することで前記基準特徴点を検出し、
前記第2検出部は、前記特徴点を検出するように予め機械学習された第2検出器に前記撮影画像を入力することで前記対応特徴点を検出する、作業支援システム。
【請求項7】
請求項2に記載の作業支援システムであって、
前記画像変換部は、
前記仮画像生成処理において、3点以上の前記基準特徴点のうち、前記対応特徴点との類似度が高い上位3点の前記基準特徴点に基づいて前記基準画像を前記仮変換画像に変換し、
前記画像生成処理において、3点以上の前記基準特徴点のうち、前記対応特徴点との類似度が高い上位2点の前記基準特徴点に基づいて前記仮変換画像を拡大または縮小して前記変換画像を生成する、作業支援システム。
【請求項8】
請求項2に記載の作業支援システムであって、
前記第1取得部は、撮影角度が異なる複数の前記基準画像を取得し、
前記画像変換部は、
前記複数の基準画像のうちの第1基準画像について前記仮画像生成処理を行
うことにより、前記仮変換画像としての第1仮変換画像を生成し
、
前記第1仮変換画像の前記第1基準画像に対する傾きが予め定められた閾値範囲内でない場合に、前記複数の基準画像のうち
前記第1基準画像とは異なる第2基準画像について前記仮画像生成処理を行
うことにより、前記仮変換画像としての前記第1仮変換画像とは異なる第2仮変換画像を生成し
、前記第2仮変換画像について前記画像生成処理を行
うことにより前記変換画像を生成
し、
前記第1仮変換画像の前記第1基準画像に対する傾きが前記閾値範囲内である場合に、前記第1仮変換画像について前記画像生成処理を行うことにより、前記変換画像を生成する、作業支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像の表示によって作業を支援するシステムが知られている。例えば、XR技術を用いて作業を支援するシステムがある。特許文献1には、撮影対象に配置されたマーカを基に、参照画像における撮影対象に配置されたマーカの座標と撮影画像における撮影対象に配置されたマーカの座標に基づいてカメラの位置姿勢を算出する技術が記載されている。特許文献1に記載された技術を用いて算出したカメラの位置姿勢を用いて、コンテンツを撮影画像に重ねて表示できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
XR技術では、コンテンツデータとして、3次元データを作成する必要がある。しかし、細かい部品の多い機器や機械の動きに追従して複雑に変形するホース等の複雑な形状の3次元データの作成は困難である。また、基準として参照する基準画像を撮影した場合と同じ撮影位置や撮影角度で作業中に対象を撮影するのは作業が煩雑となる。そのため、撮影環境の違いを考慮して補正した基準画像を作業中に参照するために画面に表示できる技術が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の一形態によれば、作業において参照するための画像を表示することで前記作業を支援する作業支援システムが提供される。この作業支援システムは、前記作業における対象の望ましい状態を表す1以上の基準画像を取得する第1取得部と、前記作業中に前記対象の撮影画像を取得する第2取得部と、前記基準画像における3点以上の基準特徴点を検出する第1検出部と、前記撮影画像における、前記3点以上の基準特徴点のそれぞれに対応する3点以上の対応特徴点を検出する第2検出部と、前記3点以上の基準特徴点と、前記3点以上の基準特徴点のそれぞれに対応する前記対応特徴点と、に基づいて、前記基準画像を変換して変換画像を生成する画像変換部と、前記変換画像を表示する表示部と、を備える。
この形態の作業支援システムによれば、画像変換部が、基準特徴点と対応特徴点とに基づいて基準画像を変換する。そのため、撮影環境の違いを考慮して補正した変換画像を表示できる。これにより、作業者は、変換画像と実際の作業の状態を比較しながら作業を行うことができる。
(2)上記形態の作業支援システムにおいて、前記画像変換部は、前記3点以上の基準特徴点のうちのある3点の基準特徴点のそれぞれの画素位置の相対関係と、前記ある3点の基準特徴点のそれぞれに対応する対応特徴点のそれぞれの画素位置の相対関係とが一致するように前記基準画像を変換した仮変換画像を生成する仮画像生成処理を実行し、前記仮変換画像における、前記ある3点の基準特徴点のうちのある2点の特徴点である距離特徴点同士の距離が、前記2点の距離特徴点に対応する2点の前記対応特徴点同士の距離と一致するように、前記仮変換画像を拡大または縮小して前記変換画像を生成する画像生成処理を実行してもよい。
このような態様とすれば、画像変換部が、基準画像の傾きの変形および伸縮によって変換画像を生成する。そのため、撮影環境の違いを考慮して補正した変換画像を表示できる。
(3)上記形態の作業支援システムにおいて、前記表示部は、前記表示部を通過して外界が視認できる構造であり、前記変換画像の一部または全部を透過した状態で、前記外界における前記対象に前記変換画像における前記望ましい状態の前記対象を重畳するように付加的に表示してもよい。
このような態様とすれば、単に変換画像を画面に表示する場合よりも、対象と変換画像とを比較することが容易となる。
(4)上記形態の作業支援システムにおいて、前記表示部は、前記撮影画像を表示し、前記変換画像の一部または全部を透過した状態で、前記撮影画像における前記対象に前記変換画像における前記望ましい状態の前記対象を重畳するように付加的に表示してもよい。
このような態様とすれば、単に変換画像を画面に表示する場合よりも、対象と変換画像とを比較することが容易となる。
(5)上記形態の作業支援システムにおいて、前記第1検出部は、画像処理手法を用いて、前記基準画像から前記基準特徴点を検出し、前記第2検出部は、前記画像処理手法を用いて、前記撮影画像から前記対応特徴点を検出してもよい。
このような態様とすれば、対象にQRコード(登録商標)等のマーカを付すことなく、基準特徴点および対応特徴点を検出できる。
(6)上記形態の作業支援システムにおいて、前記第1検出部は、前記特徴点を検出するように予め機械学習された第1検出器に前記基準画像を入力することで前記基準特徴点を検出し、前記第2検出部は、前記特徴点を検出するように予め機械学習された第2検出器に前記撮影画像を入力することで前記対応特徴点を検出してもよい。
このような態様とすれば、対象にQRコード(登録商標)等のマーカを付すことなく、基準特徴点および対応特徴点を検出できる。
(7)上記形態の作業支援システムにおいて、前記画像変換部は、前記仮画像生成処理において、3点以上の前記基準特徴点のうち、前記対応特徴点との類似度が高い上位3点の前記基準特徴点に基づいて前記基準画像を前記仮変換画像に変換し、前記画像生成処理において、3点以上の前記基準特徴点のうち、前記対応特徴点との類似度が高い上位2点に基づいて前記仮変換画像を拡大縮小して前記変換画像を生成してもよい。
このような態様とすれば、例えば、撮影画像において対象の一部が手や作業道具によって遮蔽された場合であっても、画像変換を行うことができる。
(8)上記形態の作業支援システムにおいて、前記第1取得部は、撮影角度が異なる複数の前記基準画像を取得し、前記画像変換部は、前記複数の基準画像のうちの第1基準画像について前記仮画像生成処理を行い生成した第1仮変換画像の前記第1基準画像に対する傾きが予め定められた閾値範囲内でない場合に、前記複数の基準画像のうちの第2基準画像について前記仮画像生成処理を行い第2変換画像を生成し、前記第2変換画像について前記画像生成処理を行い前記変換画像を生成してもよい。
このような態様とすれば、撮影画像の撮影角度が基準画像の撮影角度と極端に異なる場合に、より撮影角度が近い基準画像を用いて画像変換を行うことができる。
【0007】
なお、本開示は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、作業において参照するための画像を表示することで作業を支援する作業支援方法や、作業において参照するために表示する画像の生成方法等の態様で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】作業支援システムの概略構成を示す概略図である。
【
図2】作業支援処理の一例を表わすフローチャートである。
【
図6】第2実施形態における表示部が表示する画像の一例を示す図である。
【
図7】第3実施形態における作業支援処理の一例を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.第1実施形態:
図1は、本開示の一実施形態における作業支援システム100の概略構成を示す概略図である。作業支援システム100は、作業支援装置10と、撮影部20と、表示部30と、を備える。作業支援システム100は、作業において参照するための画像を表示することで作業者を支援する。
【0010】
撮影部20は、カメラであり、作業における対象の画像を撮影する。
【0011】
表示部30は、モニタであり、作業支援装置10が生成した変換画像を表示する。変換画像は、作業において参照するための画像であり、詳細は後述する。
【0012】
作業支援装置10は、作業において参照するための画像を生成する装置である。作業支援装置10は、第1取得部11と、第2取得部12と、第1検出部13と、第2検出部14と、画像変換部15と、出力部16と、を備える。作業支援装置10は、中央処理装置(CPU)や、RAM、ROMにより構成されたマイクロコンピュータ等からなり、予めインストールされたプログラムをマイクロコンピュータが実行することによって、これらの各部の機能を実現する。ただし、これらの各部の機能の一部又は全部をハードウエア回路で実現してもよい。
【0013】
第1取得部11は、作業における対象の望ましい状態を表す1以上の基準画像を取得する。対象の望ましい状態は、例えば、作業の完了状態として目指す対象の状態である。基準画像は作業支援装置10に記憶されていても良く、外部サーバ等に記憶されていてもよい。また、対象を作業の開始時の状態に戻す点検作業等においては、作業開始前に撮影部20が撮影した画像を取得してもよい。
【0014】
第2取得部12は、撮影部20が作業中に撮影した撮影画像を取得する。
【0015】
第1検出部13は、第1取得部11が取得した基準画像における3点以上の基準特徴点を検出する。基準特徴点は、周囲の画素との色や輝度の変化が大きい画素である。本実施形態において、第1検出部13は、既知の画像処理手法を用いて、基準画像から基準特徴点を検出する。
【0016】
第2検出部14は、第2取得部12が取得した撮影画像における、第1検出部13が検出した3点以上の基準特徴点のそれぞれに対応する3点以上の対応特徴点を検出する。本実施形態において、第2検出部14は、既知の画像処理手法を用いて、撮影画像から対応特徴点を検出する。
【0017】
画像変換部15は、第1検出部13が検出した3点以上の基準特徴点と3点以上の基準特徴点のそれぞれに対応する、第2検出部14が検出した対応特徴点とに基づいて、基準画像を変換して変換画像を生成する。変換画像は、ある2点の基準特徴点の相対位置が、ある2点の基準特徴点のそれぞれに対応する対応特徴点の相対位置と一致するように変換された画像である。
【0018】
出力部16は、画像変換部15が生成した変換画像を表示部30に出力する。
【0019】
図2は、本実施形態における、作業支援処理の一例を表わすフローチャートである。作業支援処理は作業支援システム100が作業において参照するための画像を表示する処理である。この処理は、作業の開始と共に行われる処理である。
【0020】
ステップS100において、第1取得部11は、基準画像を取得する。ステップS110において、第2取得部12は、撮影画像を取得する。
【0021】
ステップS120において、第1検出部13は、ステップS100で取得した基準画像の基準特徴点を検出する。ステップS130において、第2検出部14は、ステップS110で取得した撮影画像の対応特徴点を検出する。
【0022】
図3は、基準画像Gsと撮影画像Gpの一例を示す図である。基準特徴点Ps1~Ps4は、対象T1の頂点位置を示す基準画像Gsにおける画素位置である。基準画像Gsにおける対象T1は、部品T2を有している。第1対応特徴点Pt1は、第1基準特徴点Ps1に対応する対応特徴点であり、第2対応特徴点Pt2は、第2基準特徴点Ps2に対応する対応特徴点であり、第3対応特徴点Pt3は、第3基準特徴点Ps3に対応する対応特徴点であり、第4対応特徴点Pt4は、第4基準特徴点Ps4に対応する対応特徴点である。以下では、
図3に示す基準画像Gsおよび4点の基準特徴点Ps1~Ps4と撮影画像Gpおよび4点の対応特徴点Pt1~Pt4とを例として作業支援処理を説明する。
【0023】
ステップS140(
図2参照)において、画像変換部15は、ステップS120で検出した3点以上の基準特徴点Ps1のうちのある3点の基準特徴点Ps1~Ps3のそれぞれの画素位置の相対関係と、ある3点の基準特徴点Ps1~Ps3のそれぞれに対応するステップS130で検出した対応特徴点Pt1~Pt3のそれぞれの画素位置の相対関係とが一致するように基準画像Gsを変換した仮変換画像を生成する。この処理を「仮画像生成処理」ともいう。画素位置の相対関係の一致は、画素の相対位置間の距離の比率や、3点のうちの任意の1点の画素と他の2点の画素とをそれぞれ結ぶ二つの線分間の角度、3点のうちの任意の1点の画素に対する他の任意の1点の画素の向き等が、一致または予め定めた範囲条件内で最も近似していることである。範囲条件は、例えば、撮影部20の性能や作業支援装置10や撮影部20の性能によって定められ、作業者が定めてもよい。本実施形態において、画像変換部15は、3点以上の基準特徴点Ps1~Ps4のうち、対応特徴点Pt1~Pt4との類似度が高い上位3点の基準特徴点に基づいて基準画像Gsを仮変換画像に変換する。
【0024】
図4は、仮変換画像Gc1の一例を示す図である。画像変換部15は、基準特徴点Ps1~Ps4のうち、対応特徴点Pt1~Pt4との類似度が高い上位3点である基準特徴点Ps1と第2基準特徴点Ps2と第3基準特徴点Ps3との各画素位置の相対関係が、第1対応特徴点Pt1と第2対応特徴点Pt2と第3対応特徴点Pt3との各画素位置の相対関係と一致するように基準画像Gsを変形して仮変換画像Gc1を生成する。より具体的には、基準特徴点Ps1と第2基準特徴点Ps2との直線距離と、基準特徴点Ps1と第3基準特徴点Ps3との直線距離と、第2基準特徴点Ps2と第3基準特徴点Ps3との直線距離との比率が、第1対応特徴点Pt1と第2対応特徴点Pt2との直線距離と、第1対応特徴点Pt1と第3対応特徴点Pt3との直線距離と、第2対応特徴点Pt2と第3対応特徴点Pt3との直線距離との比率と、が近似しており、基準特徴点Ps1に対する第2基準特徴点Ps2の向きと第1対応特徴点Pt1に対する第2対応特徴点Pt2の向きとが近似している。
【0025】
ステップS150(
図2参照)において、画像変換部15は、ステップS140で生成した仮変換画像Gc1における、ある3点の基準特徴点Ps1~Ps3のうちのある2点の特徴点である距離特徴点同士の距離が、2点の距離特徴点に対応する2点の対応特徴点同士の距離と一致するように、仮変換画像Gc1を拡大または縮小して変換画像を生成する。この処理を「画像生成処理」ともいう。本実施形態において、画像変換部15は、3点以上の基準特徴点Ps1~Ps4のうち、対応特徴点Pt1~Pt4との類似度が高い上位2点に基づいて仮変換画像Gc1を拡大または縮小して変換画像を生成する。
【0026】
図5は、変換画像の一例を示す図である。画像変換部15は、基準特徴点Ps1~Ps4のうち、対応特徴点Pt1~Pt4との類似度が高い上位2点である基準特徴点Ps1と第2基準特徴点Ps2とを距離特徴点に設定する。画像変換部15は、基準特徴点Ps1から第2基準特徴点Ps2までの距離L1が、第1対応特徴点Pt1から第2対応特徴点Pt2までの距離と等しくなるように仮変換画像Gc1を縮小して変換画像Gc2を生成する。
【0027】
ステップS160(
図2参照)において、出力部16は、ステップS150で生成した変換画像を表示部30に出力する。
【0028】
ステップS170において、作業支援装置10は、作業が完了したか否かを判定する。作業支援装置10は、作業者によって作業が完了したことを入力できるインタフェースを備える。作業支援装置10は、作業が完了したと判定した場合、すなわち、作業者によって作業完了が入力された場合、作業支援処理を終了する。一方、作業支援装置10は、作業が完了していないと判定した場合、すなわち、作業者によって作業完了が入力されていない場合、作業支援装置10は、ステップS110の処理に戻る。つまり、作業支援装置10は、作業が継続している間、ステップS110~S170の処理を繰り返す。
【0029】
以上で説明した本実施形態の作業支援システム100によれば、画像変換部15が、基準特徴点Ps1と対応特徴点Pt1とに基づいて基準画像Gsを変換する。そのため、撮影環境の違いを考慮して補正した変換画像Gc2を表示できる。
【0030】
また、第1検出部13および第2検出部14は、画像処理手法を用いて、それぞれ基準特徴点Ps1~Ps4および対応特徴点Pt1~Pt4を検出している。そのため、対象T1にQRコード(登録商標)等のマーカを付すことなく、基準特徴点Ps1~Ps4および対応特徴点Pt1~Pt4を検出できる。
【0031】
B.第2実施形態:
第2実施形態における作業支援システム100は、撮影部20と表示部30とが、一体のスマートグラスやARグラス等の頭部装着型装置であり、作業者に拡張現実感を与えるように変換画像を表示する点が、第1実施形態における作業支援システム100と異なり、他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0032】
本実施形態において、表示部30は、表示部30を通過して外界が視認できる構造である。表示部30は、変換画像Gc2像の一部または全部を透過した状態で、外界における対象T1に変換画像Gc2における望ましい状態の対象T1を重畳するように付加的に表示する。
【0033】
図6は、第2実施形態における表示部30が表示する画面の一例を示す図である。すなわち、
図6は、作業者が表示部30によって視認する映像である。表示部30は、変換画像Gc2の一部を透過した状態で、外界における対象T1に変換画像Gc2における対象T1を重畳するように付加的に表示する。これにより、作業者は、対象T1における部品T2の位置や取り付け向きを理解しやすくなる。
【0034】
以上で説明した第2実施形態の作業支援システム100によれば、単に変換画像Gc2を画面に表示する場合よりも、対象T1と変換画像Gc2とを比較することが容易となる。
【0035】
C.第3実施形態:
図7は、第3実施形態に作業支援処理の一例を表すフローチャートである。第3実施形態における作業支援処理は、ステップS145において仮変換画像における基準画像の傾き角度が予め定められた閾値範囲内でない場合に、別の基準画像を用いて変換画像を生成する点が、第1実施形態における作業支援処理と異なる。閾値範囲は、3次元的な範囲であり、例えば対象T1の重心を0度とした場合に、各軸方向に-75度~+75度の角度範囲である。第3実施形態における作業支援システム100の構成は、第1実施形態と同じである。
【0036】
第1取得部11は、撮影角度が異なる複数の基準画像を取得できる。
【0037】
第3実施形態において、画像変換部15は、複数の基準画像のうちのある基準画像について仮画像生成処理を行い生成した仮変換画像における基準画像の傾きが予め定められた閾値範囲内でない場合に、複数の基準画像のうちの他の基準画像について仮画像生成処理を行い、変換画像を生成する。画像変換部15は、他の基準画像を用いて生成した仮変換画像について画像生成処理を行い、変換画像を生成する。
【0038】
より具体的には、画像変換部15は、ステップS145において、複数の基準画像のうちのある基準画像について仮画像生成処理を行い生成した仮変換画像の基準画像に対する傾き(以下、単に「仮変換画像の傾き」ともいう)が予め定められた閾値範囲内か否かを判定する。仮変換画像の傾きが閾値範囲内である場合、画像変換部15は、ステップS150の処理に進む。一方、仮変換画像の傾きが閾値範囲内でない場合に、画像変換部15は、ステップS100の処理に戻る。ステップS100において、第1取得部11は、複数の基準画像のうちの他の1つの基準画像を取得する。すなわち、作業支援装置10は、仮変換画像の傾きが閾値範囲内となるまでステップS100~S145の処理を繰り返す。なお、ステップS110およびステップS130の処理は省略してもよい。
【0039】
以上で説明した第3実施形態の作業支援システム100によれば、画像変換部15は、撮影画像の撮影角度と基準画像の撮影角度の差が閾値範囲内となる基準画像を変換して変換画像を生成する。そのため、撮影画像の撮影角度が基準画像の撮影角度と極端に異なる場合に、より撮影角度が近い基準画像を用いて画像変換を行うことができる。
【0040】
D.他の実施形態:
(D1)上述した実施形態における、作業支援処理のステップS170(
図2参照)の処理において、作業支援装置10は、作業者による入力によって作業が完了したことを判定している。これに限らず、作業支援装置10は、既知のパターンマッチング手法を用いて、基準画像Gsと撮影画像Gpとの類似度が予め定められた閾値以上の場合に作業が完了したと判定してもよい。
【0041】
(D2)上述した実施形態において、第1検出部13および第2検出部14は、画像処理手法を用いて、それぞれ基準特徴点Ps1~Ps4および対応特徴点Pt1~Pt4を検出している。これに限らず、第1検出部13および第2検出部14は、機械学習を用いて、それぞれ基準特徴点Ps1~Ps4および対応特徴点Pt1~Pt4を検出してもよい。第1検出部13は、特徴点を検出するように予め機械学習された第1検出器に基準画像Gsを入力することで基準特徴点Ps1~Ps4を検出できる。第2検出部14は、特徴点を検出するように予め機械学習された第2検出器に撮影画像Gpを入力することで対応特徴点Pt1~Pt4を検出できる。
【0042】
(D3)上述した実施形態において、画像変換部15は、射影変換やアフィン変換を用いて、基準画像から変換画像を生成してもよい。
【0043】
(D4)上述した実施形態において、画像変換部15は、3点以上の基準特徴点Ps1~Ps4のうち、対応特徴点Pt1~Pt4との類似度が高い上位3点に基づいて仮画像生成処理を行い、上位2点に基づいて画像生成処理を行っている。これに限らず、画像変換部15は、任意の基準特徴点に基づいて仮画像生成処理および画像生成処理を行ってもよい。例えば、画像変換部15は、周囲の画素との輝度の変化が大きい順に並べた際の順位の上位の基準特徴点に基づいて、仮画像生成処理および画像生成処理を行うことができる。
【0044】
(D5)上述した第2実施形態において、作業支援装置10と撮影部20と表示部30とが、一体のスマートフォンやタブレット型デバイスでもよい。この場合、表示部30は、撮影画像Gpを表示し、変換画像Gc2の一部または全部を透過した状態で、撮影画像Gpにおける対象T1に変換画像Gc2における望ましい状態の対象T1を重畳するように付加的に表示する。
【0045】
(D6)上述した第3実施形態のステップS145(
図7参照)において、作業支援装置10は、仮変換画像の傾きが閾値範囲内でない場合に、ステップS100~S145の処理を繰り返している。これに限らず、作業支援装置10は、ステップS145において、仮変換画像の傾きが閾値範囲内でない場合に、ステップS110の処理に戻り、ステップS110~S145の処理を繰り返してもよい。この場合、作業支援装置10は、ステップS110において、作業者に異なる撮影位置や撮影角度で対象T1を撮影できるよう指示する。
【0046】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述した課題を解決するために、あるいは上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜削除することが可能である。
【符号の説明】
【0047】
10…作業支援装置、11…第1取得部、12…第2取得部、13…第1検出部、14…第2検出部、15…画像変換部、16…出力部、20…撮影部、30…表示部、100…作業支援システム