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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】車両の運転支援システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20241106BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20241106BHJP
   B60W 30/08 20120101ALI20241106BHJP
   B60W 40/04 20060101ALI20241106BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20241106BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/09 F
B60W30/08
B60W40/04
B60W50/14
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022042556
(22)【出願日】2022-03-17
(65)【公開番号】P2023136715
(43)【公開日】2023-09-29
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083998
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 丈夫
(74)【代理人】
【識別番号】100096644
【弁理士】
【氏名又は名称】中本 菊彦
(72)【発明者】
【氏名】中川 雄貴
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-98956(JP,A)
【文献】特開2012-226488(JP,A)
【文献】特開2013-257777(JP,A)
【文献】特開2019-159426(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 1/16
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
B60R 21/00 - 21/017
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺情報に基づいて得られた障害物である前記車両の進行方向前方の走行予定路上に存在する停止車両が前記車両から所定の範囲内に存在する場合に、前記障害物の存在を運転者に通知するように構成された車両の運転支援システムであって、
前記障害物の位置情報を含む情報を取得する外部情報受信部と、
前記所定の範囲内に前記障害物が複数存在する場合に、複数の前記障害物のうち前記車両に最も近い所定の障害物と、前記所定の障害物以外の他の障害物である他の停止車両との距離が予め定められた第1所定距離より小さいか否かを判定する距離判定部と、
前記所定の障害物と前記他の障害物との距離が前記第1所定距離より小さい場合に、前記他の障害物の存在を前記運転者に通知することを規制するように制御する通知制御部と、を備えている
ことを特徴とする車両の運転支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両の運転支援システムであって、
前記車両に前記障害物が存在することの詳細な通知を開始する基準となる、前記所定の範囲より小さい基準距離を有し、
前記第1所定距離は、前記基準距離よりも小さい
ことを特徴とする車両の運転支援システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両の運転支援システムであって、
前記通知制御部は、前記車両が前記所定の障害物を通過した後も一定の通知を継続するとともに、前記他の障害物に到達する前に前記一定の通知を終了する
ことを特徴とする車両の運転支援システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の車両の運転支援システムであって、
前記距離判定部は、前記所定の障害物と前記他の障害物との距離が前記第1所定距離以上である場合に、第2所定距離より小さいか否かを判定し、
前記通知制御部は、前記所定の障害物と前記他の障害物との距離が前記第1所定距離以上で第2所定距離より小さい場合に、前記所定の障害物の存在を前記運転者に知らせる通知と前記他の障害物の存在を前記運転者に知らせる通知とがシームレスに連続した通知となるように制御する
ことを特徴とする車両の運転支援システム。
【請求項5】
請求項2を引用する請求項4に記載の車両の運転支援システムであって、
前記第2所定距離は、前記基準距離より大きい距離であり、
前記通知制御部は、前記所定の障害物と前記他の障害物との距離が前記第1所定距離以上でかつ第2所定距離より小さい場合に、前記所定の障害物に関する通知が終了した後から前記他の障害物に関する通知を開始するまでの間も通知を継続することにより前記シームレスに連続した通知となるように制御する
ことを特徴とする車両の運転支援システム。
【請求項6】
請求項4または5に記載の車両の運転支援システムであって、
前記外部情報受信部は、前記所定の障害物と前記他の障害物とが同一の事象により存在していることを取得し、
前記距離判定部は、前記所定の障害物と前記他の障害物との距離が前記第2所定距離より小さいか否かを判定し、
前記通知制御部は、前記所定の障害物と前記他の障害物とが同一の事象により存在していて、かつ前記所定の障害物と前記他の障害物との距離が前記第2所定距離より小さい場合に、前記他の障害物の存在を通知することを規制するように構成されている
ことを特徴とする車両の運転支援システム。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の車両の運転支援システムであって、
前記所定の障害物は、前記車両と通信可能な停車している所定の停止車両であり、
前記他の障害物は、前記車両と通信可能な停車している他の停止車両であり、
前記所定の停止車両および前記他の停止車両のそれぞれから車車間通信によって位置情報を含む情報を取得する停止通信車検出部を備えている
ことを特徴とする車両の運転支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、通信技術を利用した車両の運転支援システムに関し、特に、車車間通信や路車間通信等によって得られた周辺情報を運転者に通知することにより運転を支援する車両の運転支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両の前方(進行方向)の渋滞や路面凍結などの走行環境情報および道路上の障害物情報を路車間通信によって取得し、運転者や搭乗者に通知することにより、運転の支援を行うように構成された表示装置が記載されている。この特許文献1に記載の表示装置では、信号機設置地点や見通しの悪い交差点など、ドライバが車両進行方向とは異なる方向(左右等)を見て特に安全確認を行う必要がある特定環境を走行中であるか否かを判断する。そして、情報ディスプレイに走行環境情報や障害物情報を表示するときに、車両が特定環境を走行中であると判断された場合には、それらの情報を情報ディスプレイに表示することを規制するように構成されている。また、特許文献1の装置では、走行環境情報および障害物情報は、それらの情報が自車両から設定距離または所定距離以内に存在する場合に、車両のインストルメントパネルの上部に搭載された情報ディスプレイに表示したり、警報装置によって警報を発することによりドライバに知らせるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-347853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような走行環境の変化や道路上の障害物は、不規則に生じるものであり、連続的に発生する場合もある。そのような場合に、特許文献1のような自車両と障害物との距離に応じて一律にドライバに知らせる装置では、障害物が車両から所定の距離内に入る度にドライバに報知されることになる。また、特許文献1に記載の装置では、上述した特定環境内を車両が走行している場合には、走行環境や障害物などの情報の情報ディスプレイへの表示を規制する、あるいは走行環境や障害物との距離によっては警報を発することによる通知のみ行うように構成されている。そのため、走行環境や障害物に関する情報が道路上に混在や連続していたり、自車両が特定環境を走行あるいは通過したりすると、走行環境情報や障害物情報に関する通知が煩雑に発せられたり規制されたりすることになる可能性がある。このような場合には、運転者がその報知を煩わしく感じたり、運転者が正確な情報を入手することができず、かえって混乱をきたしたりするおそれがあった。
【0005】
この発明は、上記の技術的課題に着目してなされたものであって、運転者が煩わしさを感じることなく周辺情報を適切に認識することが可能な車両の運転支援システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明は、車両の周辺情報に基づいて得られた障害物である前記車両の進行方向前方の走行予定路上に存在する停止車両が前記車両から所定の範囲内に存在する場合に、前記障害物の存在を運転者に通知するように構成された車両の運転支援システムであって、前記障害物の位置情報を含む情報を取得する外部情報受信部と、前記所定の範囲内に前記障害物が複数存在する場合に、複数の前記障害物のうち前記車両に最も近い所定の障害物と、前記所定の障害物以外の他の障害物である他の停止車両との距離が予め定められた第1所定距離より小さいか否かを判定する距離判定部と、前記所定の障害物と前記他の障害物との距離が前記第1所定距離より小さい場合に、前記他の障害物の存在を前記運転者に通知することを規制するように制御する通知制御部と、を備えていることを特徴とするものである。
【0007】
また、この発明の車両の運転支援システムにおいては、前記車両に前記障害物が存在することの詳細な通知を開始する基準となる、前記所定の範囲より小さい基準距離を有し、前記第1所定距離は、前記基準距離よりも小さくてよい。
【0008】
また、この発明の車両の運転支援システムにおける前記通知制御部は、前記車両が前記所定の障害物を通過した後も一定の通知を継続するとともに、前記他の障害物に到達する前に前記一定の通知を終了してもよい。
【0009】
また、この発明の車両の運転支援システムにおける前記距離判定部は、前記所定の障害物と前記他の障害物との距離が前記第1所定距離以上である場合に、第2所定距離より小さいか否かを判定し、前記通知制御部は、前記所定の障害物と前記他の障害物との距離が前記第1所定距離以上で第2所定距離より小さい場合に、前記所定の障害物の存在を前記運転者に知らせる通知と前記他の障害物の存在を前記運転者に知らせる通知とがシームレスに連続した通知となるように制御してもよい。
【0010】
また、この発明の車両の運転支援システムにおける前記第2所定距離は、前記基準距離より大きい距離であり、前記通知制御部は、前記所定の障害物と前記他の障害物との距離が前記第1所定距離以上でかつ第2所定距離より小さい場合に、前記所定の障害物に関する通知が終了した後から前記他の障害物に関する通知を開始するまでの間も通知を継続することにより前記シームレスに連続した通知となるように制御してもよい。
【0011】
また、この発明の車両の運転支援システムにおける前記外部情報受信部は、前記所定の障害物と前記他の障害物とが同一の事象により存在していることを取得し、前記距離判定部は、前記所定の障害物と前記他の障害物との距離が前記第2所定距離より小さいか否かを判定し、前記通知制御部は、前記所定の障害物と前記他の障害物とが同一の事象により存在していて、かつ前記所定の障害物と前記他の障害物との距離が前記第2所定距離より小さい場合に、前記他の障害物の存在を通知することを規制するように構成されていてもよい。
【0012】
そして、この発明の車両の運転支援システムにおける前記所定の障害物は、前記車両と通信可能な停車している所定の停止車両であり、前記他の障害物は、前記車両と通信可能な停車している他の停止車両であり、前記所定の停止車両および前記他の停止車両のそれぞれから車車間通信によって位置情報を含む情報を取得する停止通信車検出部を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
この発明の車両の運転支援システムは、車両の周辺に存在する障害物に関する情報を取得し、車両の走行の妨げになる可能性のある、車両の所定の範囲内に存在する障害物を判別する。その障害物が複数存在する場合には、その複数の障害物のうち車両から最も近い所定の障害物と他の障害物との距離が第1所定距離より小さいか否かを判定する。そして、所定の障害物と他の障害物との距離が第1所定距離より小さい場合には、所定の障害物が存在することを運転者に通知するとともに、他の障害物が存在することについては運転者に通知することを規制するように構成されている。つまり、所定の障害物の後に車両の進行方向前方に現れる他の障害物が存在することの通知を省略し、もしくは異なる通知とするので、障害物に関する通知が頻発することを回避することができる。したがって、運転者にとって必要な通知を行うとともに不要と思われる通知を規制するので、運転者が通知を煩わしく感じたり、あるいは障害物に関する情報を誤って認識したりすることを抑制あるいは回避することができ、ひいては運転者に適切な運転支援を行うことができる。
【0014】
また、この発明の車両の運転支援システムでは、車両が所定の障害物を通過した後も、一定の通知を継続するとともに、他の障害物に到達する前にその一定の通知を終了する。例えば、所定の障害物の通過時点で他の障害物の存在を運転者が目視等により認識できていない場合には、車両が他の障害物に近づいても通知が発されないことにより運転者が違和感を覚える可能性がある。この構成であれば、所定の障害物を通過した後も一定の通知をしばらく継続することにより、運転者がまだ所定の障害物以外の障害物が存在することを認識することができるので、そのような事態が生じることを回避あるいは抑制することができる。
【0015】
また、この発明の車両の運転支援システムでは、所定の障害物と他の障害物との距離が第1所定距離以上で第2所定距離より小さい場合には、所定の障害物および他の障害物の存在のいずれについても通知を行うとともに、それらの通知がシームレスに連続した通知となるように制御する。したがって、障害物同士が離れていることにより所定の障害物および他の障害物が存在することをそれぞれ通知するとしても、運転者にとって違和感の少ない通知にすることができるので、運転者が通知を煩わしく感じたり、あるいは障害物に関する情報を誤って認識したりすることを抑制あるいは回避することができる。
【0016】
この車両の運転支援システムでは、所定の障害物と他の障害物とが同一の事象により存在している場合には、所定の障害物と他の障害物とが第1所定距離以上であっても第2所定距離より小さければ他の障害物が存在することの通知を規制する。所定の障害物と他の障害物との距離がある程度大きくても、同一の事象であることを運転者が認識していれば、他の障害物が存在することを通知することがかえって運転者への違和感につながる可能性がある。他の障害物の存在に関する通知を規制することにより、運転者へのそのような違和感を抑制または回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】この発明の実施形態における車両の運転支援システムにおける運転者への通知の一例を説明するための図である。
図2】車載装置の構成を説明するためのブロック図である。
図3】この発明の実施形態における車両および車載装置が備えている機能構成を説明するためのブロック図である。
図4】この発明の実施形態における車両の運転支援システムにおける運転者への通知の他の例を説明するための図である。
図5】この発明の実施形態における車両の運転支援システムで実行される制御を説明するためのフローチャートである。
図6】この発明の実施形態における車両の運転支援システムにおける運転者への通常の通知を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明を図に示す実施形態に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施形態はこの発明を具体化した場合の一例に過ぎないのであって、この発明を限定するものではない。
【0019】
先ず、この発明の実施形態における運転支援システム1の構成の一例について、図1を用いて説明する。この発明の実施形態における運転支援システム1では、ネットワークを介して他車両との通信が可能に構成された車両2が、車両2の進行方向前方に停車している第1停止車両3および、第1停止車両3のさらに進行方向前方に停車している第2停止車両4と通信することにより実行される。車両2は、車車間通信によって取得した情報を処理したり、車両2に搭載されている機器に指令を出力したりする情報処理装置である車載装置5を備えている。また、第1停止車両3および第2停止車両4にも、図示しない情報処理装置がそれぞれ搭載されていて、車両2の車載装置5と車車間通信が可能に構成されている。これらは例えば、従来知られている移動体通信、狭帯域通信、無線通信、又は近距離通信を利用して、車車間通信(V2V)を行うように構成されている。なお、第1停止車両3がこの発明の実施形態における所定の障害物および所定の停止車両に相当し、第2停止車両4がこの発明の実施形態における他の障害物および他の停止車両に相当する。
【0020】
また、この車両2は、外部から道路上の交通に関する種々の情報を取得するとともに、その情報を車両2の運転者に通知することによって、運転に有用な情報を伝達し、運転者を支援するように構成されている。また、車両2に地図情報などが記憶されていない場合であっても、座標データなどの位置情報に基づいて、車両2の周辺、および進行方向前方に存在する障害物を検出ならびに特定して、後述する運転の支援を行うことも可能に構成されている。車両2は、図2および図3に示すように、車載装置5への入力部として位置測位アンテナ6、各種センサ7および外部通信アンテナ8を有し、出力部として出力機器9を有している。なお、この車両2は、エンジン車両、電気自動車、水素自動車、ハイブリッド車両、燃料電池車などの、既存の一般的な車両であってよい。
【0021】
位置測位アンテナ6は、例えば、複数の衛星が送信する信号を受信機で受信するためのものである。位置測位アンテナ6は、現在位置を推定するGPS(Global Positioning System : 全地球測位システム)などの自己位置推定機能によって車両2の位置情報や座標データを取得するために必要な信号を受信するものである。
【0022】
各種センサ7は、車両2に搭載される種々のセンサの総称であって、車両2の走行状態などを検出するためのセンサ群である。各種センサ7には、例えば、車速センサ、車輪速センサ、舵角センサ、加速度センサ、ブレーキセンサ、アクセルポジションセンサ、レーダセンサ、ライダセンサ、および車外撮影用のカメラが含まれている。
【0023】
外部通信アンテナ8は、主に、外部からの道路上の交通に関する情報を受信するための無指向性のアンテナである。この発明の実施形態における外部通信アンテナ8は、車両2と第1停止車両3および第2停止車両4を含む他車両との信号の送信および受信を行うことが可能に構成されている。車両2は、この外部通信アンテナ8によって、第1停止車両3および第2停止車両4の停止、発進、加速、進行方向などの走行状態や、現在位置などの情報をそれぞれの情報処理装置から受信する。さらには、第1停止車両3および第2停止車両4の停止している走行レーンや停止している態様などをも取得する。これらの情報から、車両2が第1停止車両3および第2停止車両4に近づいたときに、それらの停止車両3,4を避けて通過することが可能なのか、あるいは一時的に停止する必要があるかなどを判定するためである。なお、外部通信アンテナ8が、この発明の実施形態における外部情報受信部に相当する。受信した信号を復調して送られてきた情報を判別する。反対に、車両2から信号を送信する場合には、情報を所定の信号に変調して所定の対象物に送信する。
【0024】
出力機器9は、車両2の運転者および搭乗者に対して走行している道路上に障害物等があることを通知するための装置であり、例えば、通知内容を認識させるためのディスプレイなどの表示器10、および音声によって通知するためのスピーカ11などによって構成されている。なお、出力機器9は、障害物等を通知する機能を有する専用のものであってもよいが、地図情報を表示して目的地までの経路案内をするカーナビゲーションとしての機能なども有していてよい。また、出力機器9は、車両から所定の範囲内に走行の妨げとなる可能性がある障害物が存在する場合に、運転者などの搭乗者にその存在を知らせるとともに注意を促すように通知をする。
【0025】
一例として、効果音(通知音)やビープ音などの警報をスピーカ11より発するとともに、図1などに示すようなマークや文字、および障害物までの距離を表示器10に表示することにより運転者に通知して注意を促す。マークは、車両2の所定の範囲内に障害物が存在することにより障害物を検知した時点で表示器10に表示されるとともに、車両2が障害物に到達する、あるいは障害物を完全に通過するまで表示させてもよい。また、効果音やビープ音は、障害物を検知した時点で発されるとともに、障害物までの距離が近くなったら注意を促すために再度音が出力されてもよい。距離の表示は、車両2と障害物との距離が後述する基準距離以内になったことにより表示を開始し、障害物までの距離に応じて、例えば50メートル近づくごとに数字を減らして表示してもよい。また、このような運転者への通知は、表示器10等への表示もしくはスピーカ11から発せられる効果音やビープ音のいずれかだけであってもよい。なお、音や表示による通知は、それぞれ複数の種類を有していてよく、いくつかの音の組み合わせであったり、異なる色やマークを組み合わせることによって表示したりすることによって運転者に通知してよい。なお、表示器10にマーク等を表示する際には、例えば、グラフィックインターフェースによって後述するプロセッサ12で処理された画像を表示器10に表示させたり、スピーカ11から効果音や警報を出力する際には、プロセッサで生成された音声信号に所定の信号処理を施してスピーカ11から出力するように構成されていてもよい。
【0026】
車載装置5は、図2に示すように、従来知られている、プロセッサ12、主記憶部13、補助記憶部14、および通信部15などを有する情報処理装置である。この発明の実施形態における車載装置5は、プロセッサ12が記録媒体に記憶されたプログラムを主記憶部13の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じた各種の制御を行うことにより、所定の目的に合致した機能を実行するものである。
【0027】
プロセッサ12は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、又はDSP(Digital Signal Processor)などである。このプロセッサ12は、車載装置5を制御し、様々な情報処理の演算を行うように構成されている。
【0028】
主記憶部13は、例えば、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)などを含んでいる。主記憶部13には、上述したように、プロセッサ12がプログラムを実行するための作業領域が形成される。
【0029】
補助記憶部14は、例えば、EPROM(Erasable Programmable ROM)、又はハードディスクドライブ(Hard Disk Drive : HDD)などを含んでいる。この補助記憶部14は、可搬記録媒体である、いわゆるリムーバブルメディアを含んでいてもよい。このリムーバブルメディアは、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ、又はCD(Compact Disc)若しくはDVD( Digital Versatile Disc)等のディスク記録媒体であってもよい。また、補助記憶部14は、各種のプログラム、各種のデータ、及び各種のテーブルを読み込みや書き込み書きなどを自在に記録媒体に格納する。なお、補助記憶部14は、オペレーティングシステム(Operating System :OS)を格納してもよい。さらに、これらの情報の一部又は全部は、主記憶部13に格納されてもよい。反対に、主記憶部13に格納される情報は、補助記憶部14に格納されてもよい。
【0030】
通信部15は、例えば、無線通信を利用して、第1停止車両3および第2停止車両4とデータ通信を行うための無線通信回路である。この無線通信回路は、例えば、5G(5th Generation)又はLTE(Long Term Evolution)等の移動体通信を利用して、車車間通信を行う。また、無線通信回路は、DSRC(Dedicated Short Range Communications)等の狭帯域通信を利用して、車車間通信を行ってもよい。あるいは、無線通信回路は、Wi-Fi等の無線通信を利用して車車間通信を行ってもよく、又はBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)等の近距離通信を利用して車車間通信を行ってもよい。
【0031】
上述のように構成される車載装置5によって実行される一連の処理は、ハードウェアにより実行させることに限らず、ソフトウェアにより実行させてもよい。なお、第1停止車両3および第2停止車両4のそれぞれに搭載されている情報処理装置は、上述した車載装置5と同様の情報処理装置によって構成されていてもよい。その場合には、車両2、第1停止車両3および第2停止車両4は、互いの通信部15を介して上述した車車間通信を行い、信号の送信および受信を行うことができる。
【0032】
次に、この発明の実施形態における車両2および車載装置5の機能構成について、図2を用いて説明する。車載装置5は、図2に示すように、自車両前方停止通信車検出部16、通信車車間距離判定部17、および通知制御部18とを備えている。これらの機能は、例えば、上述したプロセッサ12によって実行される。
【0033】
自車両前方停止通信車検出部16は、車両2の進行方向前方の道路上に停車している車両がいることを検出する。自車両前方停止通信車検出部16は、位置測位アンテナ6が受信した車両2の現在位置に関する情報、各種センサ7によって取得した車両2の走行状態等に関する情報、および外部通信アンテナ8が受信した他車両の位置情報等に関する情報を取得する。そして、それらの情報から、車両2の進行方向や走行する予定の経路上に存在し、車両2の走行の妨げになる可能性のある障害物である、第1停止車両3および第2停止車両4を検出する。なお、この自車両前方停止通信車検出部16が、この発明の実施形態における停止通信車検出部に相当する。
【0034】
具体的には、自車両前方停止通信車検出部16は、位置測位アンテナ6から車両2の現在位置を取得し、かつ各種センサ7や、車載装置5の主記憶部13あるいは補助記憶部14に内蔵されている地図データなどから車両2の進行方向、車速、走行している車線等を検出する。次に、自車両前方停止通信車検出部16は、外部通信アンテナ8で受信した周辺車両に関する情報等から、車両2の進行方向前方に停車していて、車両2に最も近い第1停止車両、および第1停止車両3以外の障害物である、第1停止車両3の次に車両2に近い第2停止車両4を検出する。そして、車両2の現在位置と、車両2の進行方向前方に停車している第1停止車両3および第2停止車両4の位置情報とを取得して、車両2の障害物となりうる他車両を検出する。
【0035】
そして、自車両前方停止通信車検出部16では、取得した位置情報に基づき、車両2の所定の範囲内に第1停止車両3が存在することを検出する。第1停止車両3が所定の範囲内に存在する場合には、それを通知制御部18に伝達する。さらに、自車両前方停止通信車検出部16は、車両2と第1停止車両3との第1車間距離L1を算出する。算出した第1車間距離L1と、予め定められた基準距離L2とを比較して、第1車間距離L1が基準距離L2より小さい場合には、その旨を通信車車間距離判定部17および通知制御部18に送信する。なお、この基準距離L2とは、任意の距離であってよく、例えば、運転者が運転中に進行方向前方の第1停止車両3の存在を出力機器9から通知された際に、運転者が急な操作をすることなく安全に第1停止車両3を避ける、あるいは減速や停車することが可能な距離に定められている。なお、車両2の進行方向前方で走行の妨げとなる可能性がある車両が第1停止車両3のみである場合には、その第1停止車両3の情報を通知制御部18のみに送信する。また、停止している他車両はあるものの、所定の範囲より遠いためまだ通知する必要がない場合や、あるいは、走行レーンが異なる等により、停止している車両が車両2の走行の妨げになる可能性が低いと判断された場合には、自車両前方停止通信車検出部16では通知すべき車両が存在しないものとして判断される。なお、図1図4および図6では、第1車間距離L1は、この発明の実施形態における所定の範囲として図示されている。
【0036】
通信車車間距離判定部17は、停止車両が複数ある場合に、その停止車両同士の車間距離を算出するとともに、その算出した車間距離と予め定められた所定の距離とを比較し、車間距離の大きさを判定する。具体的には、自車両前方停止通信車検出部16で取得した第1停止車両3および第2停止車両4の位置情報に基づき、第1停止車両3と第2停止車両4との第2車間距離L3を算出する。算出した第2車間距離L3が、基準距離L2より小さい距離である予め定められた第1所定距離L4より小さいか否かを判定する。第2車間距離L3が第1所定距離L4より小さいと判定した場合には、その旨を通知制御部18に送信する。第2車間距離L3が第1所定距離L4より大きいと判定した場合には、第2所定距離より小さいか否かを判定し、結果がいずれの場合であってもその判定結果を通知制御部18に送信するように構成されている。なお、この発明の実施形態では、第1所定距離L4は、任意の距離であってよく、例えば第1停止車両3を通過した後に、運転者が目視によって第2停止車両4の向きや停止位置等を確実に認識できる程度の距離である。また、第2所定距離L5は、任意の距離であってよく、例えば、第1所定距離L4より大きく、かつ上記の基準距離L2より大きい距離に設定されている。なお、この通信車車間距離判定部17がこの発明の実施形態における距離判定部に相当する。
【0037】
通知制御部18は、まず、自車両前方停止通信車検出部16から車両2の所定の範囲内に第1停止車両2が存在することを取得したら、その存在を通知するように出力機器9に指令を出す。次に、自車両前方停止通信車検出部16から、車両2から基準距離L2以内に第1停止車両4が存在することの信号を受信した場合に、出力機器9に対して、距離などの詳細な情報を含む通知をするように要求する信号を送信する。併せて、通知制御部18は、通信車車間距離判定部17から車両2と第1停止車両4との第1車間距離L1、および第1停止車両2と第2停止車両4との第2車間距離L3に基づく判定の結果を取得する。その結果に基づいて、車両2が第1停止車両3から基準距離L2以内に入る前に、運転者に対して第1停止車両3および第2停止車両4の存在を通知する際の通知の種類を決定するように構成されている。
【0038】
具体的には、通知制御部18は、第1停止車両3と第2停止車両4との第2車間距離L3が第1所定距離L4より小さい場合には、図1に示すように、第1停止車両3に関してのみ車両から所定の範囲内に存在することを通知し、第2停止車両4に関しては運転者への通知を規制するように制御する。つまり、まず、第1停止車両3が車両2から基準距離L2内に入ったことにより、運転者に第1停止車両3が存在することを通知して注意を促す。そして、第1停止車両3の存在を運転者に通知している最中に第2停止車両4が車両2から所定の範囲内に入ったとしても、効果音やマーク、距離の表示などの一連の通知を規制し、例えばマークのみ表示するなど、一定の通知のみを継続するように制御する。そして、図1に示すように、車両2が第2停止車両4に到達する前にマークのみの表示も終了するように制御する。なお、このマークのみの表示は、車両2が第2停止車両4に達する、あるいは通過するまで継続するように構成されていてもよい。
【0039】
また、通知制御部18は、第1停止車両3と第2停止車両4との車間距離が第1所定距離L4以上でかつ第2所定距離L5より小さい場合には、図4に示すように、第1停止車両3が車両2から基準距離L2内に入ったことの通知と、第2停止車両4が車両2から基準距離L2内に入ったことの通知とをシームレスに連続するような通知となるように構成されている。例えば、通知制御部18は、第1停止車両3が基準距離L2に存在することによる通知が完了したあとも、停止車両が存在することを知らせるマークや文字のみ表示を継続するように制御する。そして、第2停止車両4が車両2から基準距離L2内に入ると、再度効果音を発生させたり表示器10に第2停止車両4が基準距離L2内に存在することを表示したりなどの一連の通知を行うように構成されている。言い換えれば、いずれの停止車両3,4の存在に関する通知も運転者に対して行うが、運転者にとって違和感とならないように出力機器9から通知する。なお、第1停止車両3と第2停止車両4との第2車間距離L3が第2所定距離L5以上であった場合には、通知制御部18は、特殊な通知をすることなく、第1停止車両3および第2停止車両4のそれぞれについて、一連の通知をするように出力機器9を制御する。
【0040】
つぎに、この発明の実施形態における車両の運転支援システム1によって実行される制御の一例を図5に示すフローチャートを用いて説明する。図5は、車両2の進行方向前方に、車両2から予め定められた基準距離L2以内に停止している車両が存在することにより、その停止車両が存在することを運転者に通知するときに実行されるフローチャートである。
【0041】
まず、車載装置5は、車両2の進行方向前方の道路上、あるいは車両2の走行レーン上に停止車両が複数存在するか否かを判断する(ステップS1)。上述したように、車両2の位置測位アンテナ6によって車両2の現在位置を取得するとともに、外部通信アンテナ8によって他車両に関する情報を受信する。また、車両2に搭載されている各種センサ7によって車両2の進行方向である方位角や車速等を検出する。これらの情報が車両2の自車両前方停止通信車検出部16に送信されるとともに、自車両前方停止通信車検出部16は、車両2の現在位置および方位角等、および他車両の位置情報および車速等をそれぞれ比較して、停止車両の存在を判断する。外部通信アンテナ8によって受信した他車両のうち、車両2の進行方向前方に存在する停止車両が一台のみであることが自車両前方停止通信車検出部16で検出された場合には、ステップS1で否定的に判断され、ステップS8に進む。なお、停止車両に関する情報を取得する際に、停止車両が停止している走行レーンや停止している態様なども併せて取得する。これらの情報から、車両2が第1停止車両3および第2停止車両4に近づいたときに、それらの停止車両3,4を避けて通過することが可能なのか、あるいは一時的に停止する必要があるかなどを判別できるような情報なども取得する。
【0042】
ステップS8では、通知制御部18および出力機器9によって通常の通知が行われる。ここでいう通常の通知とは、図6に示すように、車両2の進行方向前方における所定の範囲内に停止車両が存在することを運転者に伝達するための通知であり、表示器10への表示や、スピーカ11から効果音やビープ音を出力することである。具体的には、「ポーン」というような効果音を鳴らして運転者にディスプレイなどの表示器10を見るように促すとともに、図6で示すように、所定のマークおよび前方に第1停止車両4が存在することを表示器10に通知する。その後、車両2の基準距離L2以内に第1停止車両4が入ることにより、車両2から第1停止車両4までの距離を含んで表示して通知する。通知する際には、これらの停止車両に関する情報、車種や停止している理由を表示したり、あるいは音声によって停止車両が存在することを案内したりしてもよい。これらの通知は、車両2が停止している車両に到達する、あるいは完全に通過するまで継続される。そして、車両2が第1停止車両2を通過してしばらく走行した後、所定の範囲内に第2停止車両4が入った場合には、上述した通常の通知を行うことにより、第2停止車両4の存在を運転者に知らせるように構成されている。
【0043】
また、車両2の進行方向は、上述した方法に限らず、例えば、カーナビゲーションで経路設定等がされていることにより車両2の進行方向を予測して、その進行方向における停止車両に関する情報を取得するように構成されていてもよい。また、第1停止車両3および第2停止車両4の存在は、例えば、外部通信アンテナ8によって車両2の周辺に存在する車両の座標などの位置情報を複数回取得し、その位置情報の単位時間あたりの移動量に基づいて停止していることを判断してもよい。
【0044】
車両2の進行方向前方に複数の停止車両である第1停止車両3および第2停止車両4が存在することによりステップS1で肯定的に判断された場合には、ステップS2に進む。ステップS2では、自車両前方停止通信車検出部16から通信車車間距離判定部17に第1停止車両3および第2停止車両4の位置情報を含む情報が送信される。通信車車間距離判定部17は、取得した第1停止車両3および第2停止車両4の位置情報に基づいて第1停止車両3と第2停止車両4との第2車間距離L3を算出する(ステップS3)。また、通信車車間距離判定部17には、第1停止車両3と第2停止車両4との第2車間距離L3の大きさを区別するための予め定められた所定の距離が複数記憶されており、通信車車間距離判定部17は、記憶されている複数の所定の距離と算出した第2車間距離L3とを比較する。
【0045】
すなわち、第2車間距離L3が算出されたら、ステップS4に進み、第2車間距離L3が予め定められた第1所定距離L4より小さいか否かを判定する。この第1所定距離L4は、上述した基準距離L2より小さい距離であって、例えば、第1停止車両3を通過した後に運転者が目視で第2停止車両4を容易に認識できる程度の距離に設定されている。第2車間距離L3が第1所定距離L4より小さいことによりステップS4で肯定的に判断されたら、ステップS5に進む。
【0046】
ステップS5では、図1に示すように、通知制御部18によって、車両2から最も近い停止車両である第1停止車両3に関してのみ通知を出力し、第2停止車両4に関しては通知を規制するように、出力機器9を制御して運転者の運転を支援する。つまり、第2車間距離L3が第1所定距離L4より小さいことにより、第1停止車両3と第2停止車両4とが近いため、第2停止車両4に対しても同様の通知を実行すると、運転者が通知を煩わしく感じたり、あるいは運転者が正確な情報を認識できないおそれがある。そのため、通知の回数を減らすことでそのような事態を回避するようにしている。なお、ここでいう同様の通知とは、車両2が第1停止車両3を通過したすぐ後に、効果音やビープ音とともに第2停止車両4に関する情報をマークや距離などで表示することである。このように表示されると、運転者としては、例えば、第1停止車両3を通過したにも関わらず、急に効果音とともに新たな第2停止車両4に関する情報が通知され、かつ表示される第2停止車両4までの距離が小さいので、上述したように感じてしまう可能性がある。
【0047】
ステップS5では、図1に示すように、まず、通知制御部18が、第1停止車両3が基準距離L2内に入ったことにより、上述したステップS8と同様の通常の通知を行う。そして、車両2が第1停止車両3を通過した後も、マークと第2停止車両4が存在することを知らせる表示のみを継続するように出力機器9を制御する。あるいは、車両2が第1停止車両3を通過した後、運転者が第2停止車両の存在を正しく認識できるように音や表示の組み合わせを変更することにより通知してもよい。その後、通知制御部18は、マークと第2停止車両4が存在することを知らせる表示を車両2が第2停止車両4まで到達する前に消すことにより、このフローを一旦終了する。なお、マークおよび第2停止車両4が存在することを知らせる表示は、第2停止車両4を通過するまで表示することとしても良い。すなわち、通知制御部18は、第1停止車両3と第2停止車両4とが同一の事象により停車しているものとみなし、それらを一つの障害物と認識して通知するように制御する。
【0048】
反対に、第1停止車両3と第2停止車両4との第2車間距離L3が第1所定距離L4以上であることにより、ステップS4で否定的に判断された場合には、ステップS6に進む。ステップS6では、第2車間距離L3が第2所定距離L5小さいか否かが判断される。この第2所定距離L5は、例えば、第1所定距離L4以上で、かつ上記の基準距離L2より大きい距離であるとともに、第1停止車両3を通過した際に運転者が僅かに視認できない程度の距離に設定されている。第2車間距離L3が第2所定距離L5より小さいことにより、ステップS6で肯定的に判断された場合には、ステップS7に進む。
【0049】
ステップS7では、図4に示すように、通知制御部18は、第1停止車両3が基準距離L2内に入ったことにより、上述したステップS8と同様に通常の通知を行う。そして、車両2が第1停止車両3を通過した後も、マークと第2停止車両4が存在することを知らせる表示とを継続しつつ、第2停止車両4が車両2から基準距離L2内に入ったことにより、第2停止車両4に関する通常の通知を行うように出力機器9を制御する。すなわち、通知制御部18は、第1停止車両3に関する通知と第2停止車両4に関する通知とをシームレスにつないで通知するように制御する。具体的には、通知制御部18は、上述したように第1停止車両3が基準距離L2に存在することによる通知が完了したあとも、停止車両が存在することを知らせるマークや文字のみの表示を継続するように制御する。そして、第2停止車両4が車両2から基準距離L2内に入ると、再度効果音を発生させたりディスプレイなどの表示器10に第2停止車両4が基準距離L2内に存在することを表示したりなどの通常の通知を行うように制御する。
【0050】
反対に、第1停止車両3と第2停止車両4との第2車間距離L3が第2所定距離L5以上であることにより、ステップS6で否定的に判断された場合には、上述したステップS8に進む。ステップS8では、第2車間距離L3が第2所定距離L5以上であることにより、第1停止車両3と第2停止車両4とが充分に離れているため、それぞれに対して通常の通知を行ったとしても運転者に煩わしさや、認識の誤りを惹き起こさせる可能性が低いとして判断される。そのため、第1停止車両3が車両2から基準距離L2内に入ることにより通常の通知を行い、車両2が第1停止車両3を通過したことにより音声や表示器10への表示を終了する。その後、第2停止車両4が車両2から基準距離L2内に入ることにより、通常の通知を行い、車両2が第2停止車両4を通過したことにより通知を終了してこの制御を一旦終了する。
【0051】
この車両の運転支援システムによれば、車両2の進行方向前方に障害物である停止車両が存在し、その停止車両と車両2との第1車間距離L1が基準距離L2より小さい場合には、その停止車両の存在を運転者に通知することにより、運転者の運転を支援するように構成されている。その際に、複数の停止車両3,4が存在する場合には、その停止車両3,4同士の車間距離を算出するとともに、その算出した第2車間距離L3に基づいて通知制御部18による通知の種類を決定する。具体的には、第2車間距離L3が第1所定距離L4より小さい場合には、第1停止車両3に通常の通知を行い、第1停止車両3を通過した後は、第2停止車両4の通知を規制する。すなわち、第1停止車両3を通過してすぐに、車両2からの距離が近い状態で第2停止車両4の通知が生じること抑制している。したがって、通知が頻発することによって運転者に煩わしさや、認識の誤りを生じさせることを抑制あるいは防ぐことができ、ひいては運転者に対して適切な運転支援を行うことができる。また、第2車間距離L3が第1所定距離L4以上で第2所定距離L5より小さい場合には、第1停止車両3に通常の通知を行った後、第1停止車両3を通過してから第2停止車両4まで表示による通知のみ行い、第2停止車両4が車両2から基準距離L2内に入ったことにより通常の通知を実行する。すなわち、第1停止車両1が存在することの通知と第2停止車両が存在することの通知とがシームレスに連続した通知となる。したがって、車両2が第1停止車両3を通過して通知が消えた直後に再度第2停止車両4の存在に基づく通知が表示されることを防ぐことができるため、同様に運転者への煩わしさや、認識の誤りが生じることを抑制または回避することができる。
【0052】
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は上述した例に限定されないのであって、この発明の目的を達成する範囲で適宜変更してもよい。例えば、停止車両3,4に関する情報は、車車間通信に限らず、車外のインフラストラクチャから入手した情報に基づいて上述したような制御を実行することとしてもよい。例えば、道路交通情報通信システムであるVICS(登録商標)や、道路に設置された路側機などの対応機器と車両2の車載装置5とが双方向の通信を行ういわゆる路車間通信によって、車両2の走行予定経路上の障害物に関する情報を取得することとしても良い。あるいは、車両2の周囲を走行する他車両のセンサ等で検知した情報が車両2に送信されることで障害物の情報を取得するように構成されていてもよい。その場合であれば、障害物が車両でない場合であっても、上述したような制御を実行することができる。
【0053】
また、そのような路車間通信等によって第1停止車両3と第2停止車両4とが同一の事象により停止していることが明確である場合には、必ずしも上述した所定距離に応じた通知の種類を選択しなくてもよい。例えば、同一の事象であることが明確である場合には、第1停止車両3と第2停止車両4との第2車間距離L3が第2所定距離L5より小さいことにより、第2車間距離L3が第1所定距離L4より小さい場合と同様の通知を行うこととしてもよい。その場合には、通知制御部18は、通常の通知に加えて、例えば音声によって事象の内容や注意すべき点などを案内するとよい。そうすることにより、仮に、第1停止車両3を通過した後に、第2停止車両4を運転者が目視できないとしても、やがて第2停止車両4が現れることを運転者が認識することができる。同一の事象であることを運転者が認識していれば、第2停止車両4が存在することを通知することがかえって運転者への違和感につながる可能性がある。他の障害物の存在に関する通知を規制することにより、運転者へのそのような違和感を抑制または回避することができるとともに、通知が頻発することによって運転者に煩わしさや、認識の誤りを生じさせることを抑制あるいは防ぐことができる。
【0054】
また、基準距離L2、第1所定距離L4および第2所定距離L5は、事象に応じて距離等を定めていてもよい。例えば、道路渋滞により第1停止車両3および第2停止車両が存在する場合には、第1所定距離L4を比較的大きく設定しても良い。道路渋滞の場合には、車両2が第1停止車両3に到達する前に充分に減速する必要があるため、運転者に早期に通知することでより安全に車両2を停止させることができる。また、第2所定距離L5は、第1所定距離L4より大きく、かつ基準距離L2以下の距離に設定されていてもよい。その場合であっても、第1停止車両に関する通知と第2停止車両に関する通知とがシームレスに連続して通知されるように構成されていればよい。例えば、第1停止車両3を通過した後、表示を継続しつつ、効果音やビープ音を出力するとともに、距離表示のみ第2停止車両4との距離に切り替えて表示することとしてもよい。
【0055】
さらに、この実施形態では、車両2、第1停止車両3および第2停止車両4の三台の車両によって車車間通信を行うこととしているが、第2停止車両4より遠い位置で停止している他車両を含む四台以上によってこの支援システムを実行することとしもよい。その場合には、第1停止車両3と第2停止車両4との車間距離に応じた通知を実行した後、第2停止車両4と第2停止車両4の進行方向前方に停止している他の停止車両との車間距離に応じた通知をすることとしてよい。
【0056】
例えば、第1停止車両3と第2停止車両4との第2車間距離L3、および第2停止車両4と他の停止車両との第3車間距離とがいずれも第1所定距離L4より小さい場合には、運転者への通知は第1停止車両3に対してのみ行ってもよい。すなわち、車両2から基準距離L2以内に第1停止車両3が入ったことにより、効果音やビープ音とともにディスプレイなどの表示器10に第1停止車両3が存在することを表示する。そして、第1停止車両3を通過した後も表示のみ継続し、他の停止車両に到達する前に表示も終了するように構成されていても良い。
【0057】
次に、第1停止車両3と第2停止車両4との第2車間距離L3が第1所定距離L4より小さく、かつ第2停止車両4と他の停止車両との車間距離が第1停止車両3以上でかつ第2所定距離L5より小さい場合を説明する。その場合には、まず、第1停止車両3が基準距離L2以内に入ることで運転者に通知を開始する。そして、上述した通知と同様に、第1停止車両3を通過しても通知を継続し、第2停止車両4に到達する前に一旦通知を終了する。第2停止車両4を通過した後、他の停止車両が車両2から基準距離L2以内に存在すると判定された場合には、運転者に対して他の停止車両が存在することの通知を開始する。すなわち、効果音やビープ音とともに表示器10に他の停止車両が存在することを表示して、車両2が他の停止車両を通過するまで通知を継続する。このような構成であれば、第2停止車両4あるいは他の停止車両が存在することによる新たな通知を省略することができるとともに、他の停止車両が存在することを運転者が確実に認識することができる。
【0058】
また、上述した実施形態は、システムとして説明したが、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。そして、一つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。反対に、異なる装置が行うものとして説明した処理が、一つの装置によって実行されても良い。情報処理のシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成で実現するかは適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 運転支援システム
2 車両
3 第1停止車両(所定の障害物)
4 第2停止車両(他の障害物)
5 車載装置
6 位置測位アンテナ
7 各種センサ
8 外部通信アンテナ(外部情報受信部)
9 出力機器
10 表示器
11 スピーカ
12 プロセッサ
13 主記憶部
14 補助記憶部
15 通信部
16 自車両前方停止通信車検出部(停止通信車検出部)
17 通信車車間距離判定部(距離判定部)
18 通知制御部
L1 第1車間距離
L2 基準距離
L3 第2車間距離
L4 第1所定距離
L5 第2所定距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6