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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】複数の自律移動体の制御システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/695 20240101AFI20241106BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20241106BHJP
   G05D 1/225 20240101ALI20241106BHJP
【FI】
G05D1/695
G05D1/43
G05D1/225
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022074865
(22)【出願日】2022-04-28
(65)【公開番号】P2023163751
(43)【公開日】2023-11-10
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】高橋 正浩
【審査官】尾形 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-50706(JP,A)
【文献】特開2016-177638(JP,A)
【文献】特開昭63-240607(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0250639(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00- 1/87
B25J 1/00-21/02
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地点から経路を辿って目的地点へ集団で自律移動が可能な複数の自律移動体の制御システムであって、
分断要素特定部と、
移動制御部と、を備え、
前記経路上には分断要素が配置され、
前記分断要素は、前記複数の自律移動体が前記集団で前記出発地点から前記経路を辿って前記目的地点へ自律移動した場合、前記集団のうち先行する少なくとも1つの自律移動体を通過させ、後続する少なくとも1つの自律移動体を停止させて、前記集団を分断し、
前記分断要素特定部は、前記分断要素を特定し、
前記移動制御部は、前記分断要素特定部が特定した前記分断要素に応じて、前記先行する少なくとも1つの自律移動体に前記出発地点から自律移動を開始させた時点から、所定の期間が経過した時点において前記後続する少なくとも1つの自律移動体に前記出発地点から自律移動を開始させるように、前記複数の自律移動体の移動を制御する、
複数の自律移動体の制御システム。
【請求項2】
前記分断要素が、前記集団を一定の時間間隔ごとに分断する場合、
前記自律移動体の1つが前記分断要素を通過可能な通過可能継続時間と、前記分断要素における通過区間の距離と、前記自律移動体の移動速度と、前記集団の形状とに基づいて、前記分断要素を一度に通過可能な前記自律移動体の数を求める通過可能数算出部をさらに備える、
請求項1に記載の複数の自律移動体の制御システム。
【請求項3】
前記分断要素が、前記集団を収容空間ごとに分断する場合、
前記収容空間の大きさと、前記自律移動体の大きさと、前記集団の形状とに基づいて、前記分断要素が前記収容空間に一度に収容可能な前記自律移動体の数を求める収容可能数算出部をさらに備える、
請求項1に記載の複数の自律移動体の制御システム。
【請求項4】
前記移動制御部は、前記先行する少なくとも1つの自律移動体及び前記後続する少なくとも1つの自律移動体を構成する前記自律移動体の数が、前記分断要素を一度に通過可能な前記自律移動体の数以下となるように、前記複数の自律移動体の移動を制御する、
請求項2に記載の複数の自律移動体の制御システム。
【請求項5】
前記移動制御部は、前記先行する少なくとも1つの自律移動体及び前記後続する少なくとも1つの自律移動体を構成する前記自律移動体の数が、前記分断要素が前記収容空間に一度に収容可能な前記自律移動体の数以下となるように、前記複数の自律移動体の移動を制御する、
請求項3に記載の複数の自律移動体の制御システム。
【請求項6】
前記移動制御部は、前記集団から前記複数の自律移動体をバッテリの残量が少ない順に、前記先行する少なくとも1つの自律移動体に割り当てるように、前記複数の自律移動体の移動を制御する、
請求項1に記載の複数の自律移動体の制御システム。
【請求項7】
前記所定の期間は、前記自律移動体の1つが前記分断要素を通過可能な通過可能継続時間と、前記自律移動体が前記分断要素を通過不可能な通過不可継続時間との和である、
請求項1に記載の複数の自律移動体の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は複数の自律移動体の制御システム、制御方法、及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示の自律移動体の制御システムにおいて、複数の自律移動体が各自のタスクを実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-068974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者等は、以下の課題を発見した。
このような制御システムを用いて、経路を辿って目的地点へ複数の自律移動体に集団で自律移動させる場合がある。このような場合、分断要素が経路に配置され、分断要素が集団を分断する。具体的には、分断要素は、集団を、先行する少なくとも1つの自律移動体と、後続する少なくとも1つの自律移動体とに分断する。分断要素は、この先行する少なくとも1つの自律移動体を通過させる一方、後続する少なくとも1つの自律移動体を停止させる。後続する少なくとも1つの自律移動体は分断要素によって待つため、待ち時間が生じる。
【0005】
本開示は、上述した課題を鑑みてなされたものであり、自律移動体の待ち時間を低減することができる複数の自律移動体の制御システム、制御方法、及び制御プログラムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る複数の自律移動体の制御システムは、
出発地点から経路を辿って目的地点へ集団で自律移動が可能な複数の自律移動体の制御システムであって、
分断要素特定部と、
移動制御部と、を備え、
前記経路上には分断要素が配置され、
前記分断要素は、前記複数の自律移動体が前記集団で前記出発地点から前記経路を辿って前記目的地点へ自律移動した場合、前記集団のうち先行する少なくとも1つの自律移動体を通過させ、後続する少なくとも1つの自律移動体を停止させて、前記集団を分断し、
前記分断要素特定部は、前記分断要素を特定し、
前記移動制御部は、前記分断要素特定部が特定した前記分断要素に応じて、前記分断要素が前記後続する少なくとも1つの自律移動体を停止させる待ち時間を低減するように、前記複数の自律移動体の移動を制御する。
【0007】
このような構成によれば、分断要素特定部が分断要素を特定し、移動制御部が複数の自律移動体の移動を制御して、後続する少なくとも1つの自律移動体の待ち時間を低減する。
【0008】
また、前記移動制御部は、前記先行する少なくとも1つの自律移動体に前記出発地点から自律移動を開始させた時点から、所定の期間が経過した時点において前記後続する少なくとも1つの自律移動体に前記出発地点から自律移動を開始させるように、前記複数の自律移動体の移動を制御することを特徴としてもよい。
【0009】
このような構成によれば、後続する少なくとも1つの自律移動体が、先行する少なくとも1つの自律移動体から遅れて、出発地点から自律移動を開始する。そのため、後続する少なくとも1つの自律移動体の待ち時間を低減する。
【0010】
また、前記分断要素が、前記集団を一定の時間間隔ごとに分断する場合、
前記自律移動体の1つが前記分断要素を通過可能な通過可能継続時間と、前記分断要素における通過区間の距離と、前記自律移動体の移動速度と、前記集団の形状とに基づいて、前記分断要素を一度に通過可能な前記自律移動体の数を求める通過可能数算出部をさらに備えることを特徴としてもよい。
【0011】
このような構成によれば、分断要素を一度に通過可能な前記自律移動体の数に基づいて、先行する少なくとも1つの自律移動体及び後続する少なくとも1つの自律移動体を構成する数を決定することができる。
【0012】
また、前記分断要素が、前記集団を収容空間ごとに分断する場合、
前記収容空間の大きさと、前記自律移動体の大きさと、前記集団の形状とに基づいて、前記分断要素が前記収容空間に一度に収容可能な前記自律移動体の数を求める収容可能数算出部をさらに備えることを特徴としてもよい。
【0013】
このような構成によれば、収容空間に一度に収容可能な前記自律移動体の数に基づいて、先行する少なくとも1つの自律移動体及び後続する少なくとも1つの自律移動体を構成する自律移動体の数を決定することができる。
【0014】
また、前記移動制御部は、前記先行する少なくとも1つの自律移動体及び前記後続する少なくとも1つの自律移動体を構成する前記自律移動体の数が、前記分断要素を一度に通過可能な前記自律移動体の数以下となるように、前記複数の自律移動体の移動を制御することを特徴としてもよい。
【0015】
このような構成によれば、先行する少なくとも1つの自律移動体及び後続する少なくとも1つの自律移動体は、それぞれ、分断要素を一度に通過可能である。
【0016】
また、前記移動制御部は、前記先行する少なくとも1つの自律移動体及び前記後続する少なくとも1つの自律移動体を構成する前記自律移動体の数が、前記分断要素が前記収容空間に一度に収容可能な前記自律移動体の数以下となるように、前記複数の自律移動体の移動を制御することを特徴としてもよい。
【0017】
このような構成によれば、分断要素が、先行する少なくとも1つの自律移動体及び後続する少なくとも1つの自律移動体をそれぞれ一度に収容する。そのため、先行する少なくとも1つの自律移動体及び後続する少なくとも1つの自律移動体は、分断要素をスムーズに通過させることができる。
【0018】
また、前記移動制御部は、前記集団から前記複数の自律移動体をバッテリの残量が少ない順に、前記先行する少なくとも1つの自律移動体に割り当てるように、前記複数の自律移動体の移動を制御することを特徴としてもよい。
【0019】
このような構成によれば、先行する少なくとも1つの自律移動体及び後続する少なくとも1つの自律移動体の各バッテリが完全に放電することを抑制することができる。先行する少なくとも1つの自律移動体及び後続する少なくとも1つの自律移動体は、各バッテリ完全に放電することを抑制して、安定した自律移動を行うことができる。
【0020】
また、前記所定の期間は、前記自律移動体の1つが前記分断要素を通過可能な通過可能継続時間と、前記自律移動体が前記分断要素を通過不可能な通過不可継続時間との和であることを特徴としてもよい。
【0021】
このような構成によれば、後続する少なくとも1つの自律移動体が殆ど停止することなく、分断要素を通過できる。複数の自律移動体の待ち時間が殆ど無い。
【0022】
本開示に係る複数の自律移動体の制御方法は、
出発地点から経路を辿って目的地点へ集団で自律移動が可能な複数の自律移動体の制御システムにおいて実行される複数の自律移動体の制御方法であって、
前記経路上には分断要素が配置され、
前記分断要素は、前記複数の自律移動体が前記集団で前記出発地点から前記経路を辿って前記目的地点へ自律移動した場合、前記集団のうち先行する少なくとも1つの自律移動体を通過させ、後続する少なくとも1つの自律移動体を停止させて、前記集団を分断し、
前記分断要素を特定するステップと、
前記特定した前記分断要素に応じて、前記分断要素が前記後続する少なくとも1つの自律移動体を停止させる待ち時間を低減するように、前記複数の自律移動体の移動を制御するステップと、を備える。
【0023】
このような構成によれば、分断要素を特定し、複数の自律移動体の移動を制御して、後続する少なくとも1つの自律移動体の待ち時間を低減する。
【0024】
本開示に係る複数の自律移動体の制御プログラムは、
出発地点から経路を辿って目的地点へ集団で自律移動が可能な複数の自律移動体の制御システムにおいて制御装置として動作するコンピュータに、
前記経路上には分断要素が配置され、
前記分断要素は、前記複数の自律移動体が前記集団で前記出発地点から前記経路を辿って前記目的地点へ自律移動した場合、前記集団のうち先行する少なくとも1つの自律移動体を通過させ、後続する少なくとも1つの自律移動体を停止させて、前記集団を分断し、
前記分断要素を特定するステップと、
前記特定した前記分断要素に応じて、前記分断要素が前記後続する少なくとも1つの自律移動体を停止させる待ち時間を低減するように、前記複数の自律移動体の移動を制御するステップと、を実行させる。
【0025】
このような構成によれば、分断要素を特定し、複数の自律移動体の移動を制御して、後続する少なくとも1つの自律移動体の待ち時間を低減する。
【発明の効果】
【0026】
本開示によれば、自律移動体の待ち時間を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施の形態1に係る複数の自律移動体の制御システムの一構成例を示すブロック図である。
図2】実施の形態2に係る複数の自律移動体の制御システムのハードウェア構成を示す概略図である。
図3】実施の形態2に係る制御装置の一構成例を示すブロック図である。
図4】実施の形態2に係る自律移動体の一構成例を示すブロック図である。
図5】実施の形態2に係る複数の自律移動体の制御システムの一動作例を示すフローチャートである。
図6】実施の形態2に係る複数の自律移動体の制御システムの一動作例を示す概略図である。
図7】実施の形態2に係る複数の自律移動体の制御システムの一動作例を示す概略図である。
図8】実施の形態2に係る複数の自律移動体の制御システムの一動作例を示す概略図である。
図9】実施の形態2に係る複数の自律移動体の制御システムの一動作例を示す概略図である。
図10】実施の形態2に係る複数の自律移動体の制御システムの一動作例を示す概略図である。
図11】複数の自律移動体の集団の形状の一例を示す模式図である。
図12】実施の形態2に係る複数の自律移動体の制御システムの他の一動作例を示すフローチャートである。
図13】実施の形態2に係る複数の自律移動体の制御システムの他の一動作例を示す概略図である。
図14】実施の形態2に係る複数の自律移動体の制御システムの他の一動作例を示す概略図である。
図15】実施の形態2に係る複数の自律移動体の制御システムの他の一動作例を示す概略図である。
図16】実施の形態2に係る複数の自律移動体の制御システムの他の一動作例を示す概略図である。
図17】実施の形態2に係る複数の自律移動体の制御システムの他の一動作例を示す概略図である。
図18】収容空間に収容された複数の自律移動体の一例を示す模式図である。
図19】複数の自律移動体の制御システムに含まれる一構成例である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明が以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。なお、当然のことながら、図6及びその他の図面に示した右手系xyz座標は、構成要素の位置関係を説明するための便宜的なものである。通常、z軸正方向が鉛直上向き、xy平面が水平面であり、図面間で共通である。また、x軸正方向が出発地点から目的地点に向かう方向である。
【0029】
(実施の形態1)
図1を参照して実施の形態1に係る制御システムについて説明する。
【0030】
図1に示す制御システム200は、出発地点から経路を辿って目的地点へ集団で自律移動が可能な複数の自律移動体を制御する。制御システム200は、分断要素特定部201と、移動制御部202とを備える。
【0031】
経路上には分断要素が配置されている。複数の自律移動体が集団で出発地点から経路を辿って目的地点へ自律移動した場合、分断要素は集団のうち先行する少なくとも1つの自律移動体を通過させ、後続する少なくとも1つの自律移動体を停止させる。これによって、分断要素は集団を分断する。
【0032】
分断要素特定部201は、分断要素を特定する。移動制御部202は、分断要素特定部201が特定した分断要素に応じて、分断要素が後続する少なくとも1つの自律移動体を停止させる待ち時間を低減するように、複数の自律移動体の移動を制御する。
【0033】
以上より、このような構成によれば、分断要素特定部201が特定した分断要素に応じて、移動制御部202が複数の自律移動体の移動を制御し、後続する少なくとも1つの自律移動体の待ち時間を低減する。
【0034】
(実施の形態2)
図2図4を参照して、実施の形態2に係る制御システムについて説明する。
【0035】
図2に示すように、制御システム100は、複数の自律移動体10と、制御装置20とを備える。複数の自律移動体10と、制御装置20とは、ネットワーク30を介して相互に接続されている。ここで、ネットワーク30は、インターネット、イントラネット、携帯電話網、LAN(Local Area Network)等の通信回線網である。
【0036】
複数の自律移動体10は、出発地点から経路を辿って目的地点へ集団で自律移動を行うことができる。
【0037】
当該出発地点において、複数の自律移動体10は、仕事や役割を割り当てられていてもよく、例えば、人に対してサービスを供給する。
【0038】
当該経路には、分断要素が配置されていることがある。当該分断要素は、例えば、複数の自律移動体10から構成される集団を一定の時間間隔ごとに分断するものである。このような当該集団を一定の時間間隔ごとに分断するものとして、具体的には、信号機である。当該信号機は、横断歩道、踏み切り等に設けられている。また、当該分断要素は、例えば、当該集団を収容空間ごとに分断するものである。このような当該集団を収容空間ごとに分断するものとして、具体的には、複数の自律移動体10の一部を搬送する技術的な手段であり、さらに具体的には、エレベータ、トラック等である。
【0039】
当該目的地点において、複数の自律移動体10は、保管されてもよい。また、当該目的地点において、自律移動体10が、後述するバッテリ17を備える場合、バッテリ17を、残量が多い別体のバッテリ17に交換してもよい。当該目的地点において、別体の複数の自律移動体10が駐機してもよい。別体の複数の自律移動体10は、複数の自律移動体10と比較して、残量が多いバッテリ17を備えるとよい。複数の自律移動体10が当該目的地点に到達した後、必要に応じて、駐機していた別体の複数の自律移動体10が、当該出発地点へ移動して、複数の自律移動体10と入れ替わってもよい。
【0040】
自律移動体10は、多種多様な用途に用いられるロボットであり、例えば、搬送ロボット、生活支援ロボット、シェアリングされた自律走行モビリティである。制御システム100は、少なくとも2つの自律移動体10を備えればよく、例えば、図2に示す制御システム100の一例は、9つの自律移動体10を備える。
【0041】
図3に示すように、自律移動体10は、通信部11と、制御部12と、記憶部14と、センサ15とを備える。
【0042】
通信部11は、ネットワーク30と無線通信を行うための通信インタフェースである。通信部11は、ネットワーク30を介して制御装置20が決定した経路を受信する。
【0043】
制御部12は、自律移動体10の各種構成を制御する。制御部12は、走行制御部13を備える。走行制御部13は、センサ15が収集した環境データを用いて、自律移動体10を経路に沿って自律移動させる。ここで、自律移動体10は、自装置の位置をセンサ15や、後述するGPS(Global Positioning System)受信機16等により取得しているものとする。
【0044】
記憶部14は、出発地点141と、目的地点142と、地図情報143と、分断要素情報144とを記憶してもよい。記憶部14は、出発地点141、目的地点142、地図情報143、分断要素情報144、又はこれらの組み合わせを適宜対応付けて記憶してもよい。記憶部14は、出発地点141と、目的地点142と、地図情報143と、分断要素情報144とを、通信部11を介して、図4に示す制御装置20のデータベース21から取得してもよい。つまり、出発地点141、目的地点142、地図情報143、及び分断要素情報144は、それぞれ、出発地点211、目的地点212、地図情報213、及び分断要素情報214と同じ内容を含んでもよい。
【0045】
自律移動体10は、さらに、センサ15と、GPS受信機16と、バッテリ17とを適宜備えるとよい。また、自律移動体10は、さらに、出発地点において割り当てられた仕事や役割に応じた構成、具体的には、アーム、ディスプレイ、スピーカ、集音器等を備えるとよい。
【0046】
センサ15は、自律移動体10の周辺の環境データを収集し、走行制御部13に出力する。センサ15は、例えば、ステレオカメラ、レーダ、LIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging、laser radar)等である。GPS受信機16は、衛星からの信号に基づいて自装置の現在位置を検出する。バッテリ17は、所定の残量を有し、必要に応じて自律移動体10の各種構成に電力を供給する。バッテリ17は、別体のバッテリ17と交換可能であるとよい。
【0047】
図4に示すように、制御装置20は、データベース21と、制御部22と、通信部23とを備える。
【0048】
データベース21は、ハードディスク、フラッシュメモリ等の記憶装置である。また、データベース21は、一時的に情報を保持するための記憶領域であるRAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶装置を含んでもよい。
【0049】
データベース21は、出発地点211と、目的地点212と、地図情報213と、分断要素情報214と、自律移動体情報215とを備えるとよい。データベース21は、出発地点211、目的地点212、地図情報213、分断要素情報214、又はこれらの組み合わせを適宜対応付けて記憶してもよい。データベース21は、予めユーザによる入力操作等によって、出発地点211、目的地点212、地図情報213、及び分断要素情報214を付与されているとよい。
【0050】
地図情報213は、経路を含む地図データである。当該経路は、出発地点211と目的地点212とを結ぶ。地図情報213は、例えば、交差点等を表すノードと、通路を表すリンクとに番号付けした道路地図のデータであってもよい。また、地図情報213は、通路の高さや幅に関する情報を含むとよい。地図情報213は、経路近傍の建物に関する情報を含むとよい。
【0051】
分断要素情報214は、分断要素に関する情報であり、分断要素の位置や分断要素の構成が、例えば、信号機、横断歩道、踏み切り、エレベータ、トラック等を示す情報である。また、分断要素情報214は、分断要素が、複数の自律移動体10から構成される集団を一定の時間間隔ごと、又は収容空間ごとに分断することを示す情報を含んでもよい。また、分断要素情報214は、その一定の時間間隔の長さ、又は、その収容空間の大きさを含んでもよい。また、分断要素情報214は、自律移動体10が分断要素を通過可能な通過可能継続時間、及び、自律移動体10が分断要素を通過できない通過不可継続時間を含んでもよい。
【0052】
自律移動体情報215は、複数の自律移動体10に関する情報である。自律移動体情報215は、複数の自律移動体10の個数、複数の自律移動体10から構成される集団の形状、各自律移動体10の位置、移動速度、個別ID、サイズ、バッテリ17の残量等を含むとよい。自律移動体10のサイズは、幅、奥行き、高さ、形状等である。
【0053】
制御部22は、分断要素特定部221と、移動制御部222とを備える。制御部22は、さらに、通過可能数算出部223と、収容可能数算出部224とを備えるとよい。
【0054】
分断要素特定部221は、分断要素情報214を用いて、分断要素を特定する。
【0055】
移動制御部222は、分断要素特定部221が特定した分断要素に応じて、分断要素が後続する少なくとも1つの自律移動体10を停止させる待ち時間を低減するように、複数の自律移動体10の移動を制御する。なお、制御システム100が複数の自律移動体10の移動指令を受信してから、移動制御部222が複数の自律移動体10の移動を制御してもよい。複数の自律移動体10の移動指令は、例えば、ユーザ、又は制御装置20によって送信されるものであるとよい。例えば、制御装置20は、複数の自律移動体10の各バッテリ17の残量の最小値が所定値を下回った場合、複数の自律移動体10の移動指令を送信してもよい。例えば、当該所定値は、複数の自律移動体10の移動中において当該バッテリ17が完全に放電しないような大きさに定めるとよい。
【0056】
例えば、移動制御部222は、先行する少なくとも1つの自律移動体10に出発地点から自律移動を開始させた時点から、所定の期間が経過した時点において、後続する少なくとも1つの自律移動体10に出発地点から自律移動を開始させてもよい。当該所定の期間は、自律移動体10の1つが分断要素を通過可能な通過可能継続時間と、自律移動体10が分断要素を通過不可能な通過不可継続時間との和であるとよい。
【0057】
例えば、移動制御部222は、先行する少なくとも1つの自律移動体10、及び後続する少なくとも1つの自律移動体10を構成する自律移動体10の数を、分断要素を一度に通過可能な自律移動体10の数以下に設定してもよい。
【0058】
例えば、移動制御部222は、先行する少なくとも1つの自律移動体10、及び後続する少なくとも1つの自律移動体を構成する自律移動体10の数を、分断要素が収容空間に一度に収容可能な自律移動体10の数以下に設定してもよい。
【0059】
例えば、移動制御部222は、集団から複数の自律移動体10をバッテリ17の残量が少ない順に、先行する少なくとも1つの自律移動体10に割り当ててもよい。
【0060】
制御部22は、分断要素が集団を一定の時間間隔ごとに分断する場合、通過可能数算出部223を有するとよい。このような場合、通過可能数算出部223は、通過可能継続時間と、分断要素における通過区間の距離と、自律移動体10の移動速度と、集団の形状とに基づいて、分断要素を一度に通過可能な自律移動体10の数を求める。当該通過可能継続時間は、自律移動体10の1つが分断要素を通過可能な時間である。
【0061】
制御部22は、分断要素が集団を収容空間ごとに分断する場合、収容可能数算出部224を有するとよい。このような場合、収容可能数算出部224は、収容空間の大きさと、自律移動体10の大きさと、集団の形状とに基づいて、分断要素が収容空間に一度に収容可能な自律移動体10の数を求める。
【0062】
通信部23は、ネットワーク30との通信インタフェースである。
【0063】
(一動作例)
図5図11を参照して、実施の形態2に係る複数の自律移動体の制御システムの一動作例について説明する。この一動作例では、制御システム100が、複数の自律移動体10の一具体例であるロボット10a~10g、計7つのロボットを制御する。制御システム100は、図6に示すように、ロボット10a~10gが出発地点SP1から経路R1に沿って目的地点GP1に移動するよう制御する。ロボット10a~10gは、集団G1を構成する。ロボット10a~10gは、集団G1で出発地点SP1から経路R1に沿って目的地点GP1に自律移動が可能である。経路R1には、分断要素の一具体例である信号機DE1が設けられている。具体的には、信号機DE1は、経路R1上の横断歩道DE1aに設けられている。横断歩道DE1aは、経路R1において長さである区間距離L1を有する。信号機DE1は、赤信号DE1b、及び青信号DE1cを交互に点灯する。なお、図6に示す信号機DE1及び横断歩道DE1aの一例は、分かり易さのため、特に概略的に示されている。
【0064】
まず、制御システム100がロボット10a~10gの移動指令を受信するまで待機する(ステップST101:NO)。ロボット10a~10gの移動指令は、ロボット10a~10gが出発地点SP1から経路R1に沿って目的地点GP1に移動する指令である。制御システム100は、図6に示すように、ロボット10a~10gを出発地点SP1に待機させる。
【0065】
制御装置20がロボット10a~10gの移動指令を受信し(ステップST101:YES)、ロボット10a~10gを同時に移動させる場合(ステップST102:YES)、移動中に形成する集団G1の形状指令を受信する(ステップST103)。集団G1の形状とは、集団G1におけるロボット10a~10gの配置であり、具体的には、ロボット10a~10gが相互に間隔を空けて経路R1上に沿って1列、又は複数の列に並ぶ配置等がある。より具体的には、図11に示すように、先行集団G2の形状の一例は、ロボット10a、ロボット10b、ロボット10c、ロボット10dが相互に間隔L2を空けて経路R1上に沿って1列に並ぶ配置である。
【0066】
続いて、経路R1上に分断要素が配置されているかを判定する(ステップST104)。経路R1上に分断要素が配置されていると判定した場合(ステップST104:YES)、分断要素が信号機DE1であることを特定する(ステップST105)。図4に示す分断要素特定部221が、データベース21の分断要素情報214に基づいて、分断要素を特定する。例えば、分断要素特定部221は、図6に示すように、分断要素が信号機DE1であると特定する。
【0067】
続いて、データベース21から信号機DE1の青信号時間Tbと横断歩道DE1aの区間距離L1とを取得する(ステップST106)。青信号時間Tbは、信号機DE1が青信号DE1cを継続して点灯させる時間であり、言い換えると、赤信号DE1bが消灯した後、青信号DE1cが点灯を開始した時点から消灯した時点までの時間である。青信号DE1cが点灯すると、ロボット10a~10gが横断歩道DE1aを通過することができる。
【0068】
続いて、通過可能数算出部223が、集団G1の形状、青信号時間Tb、ロボット10a~10gの移動速度V、区間距離L1に応じて一度に出発させるロボット10a~10gの数Nを決定する(ステップST107)。本例では、先行して一度に出発させる先行集団G2の数は4台に決定し、先行集団G2に後続して一度に出発させる後続集団G3の数は3台に決定した。
【0069】
なお、別の例において、青信号時間Tbが1分間(60sec)、横断歩道DE1aの区間距離L1が10m、複数の自律移動体10の移動速度Vが1m/secである。また、集団の形状は複数の自律移動体10が相互に間隔L2を空けて経路R1上に沿って1列の列に並ぶ配置である。間隔L2は1mである。この別の例では、一度に出発させる自律移動体10の数Nは50台以下に決定される。青信号時間Tbが開始してから10secを経過した時点において先頭の1つの自律移動体10が横断歩道DE1aを渡って信号機DE1を通過するからである。また、その後、50secを経過してから青信号時間Tbが終了する時点まで、後続する複数の自律移動体10がそれぞれ間隔1mを空けて1列で並んだまま1m/secで移動するからである。また、集団の形状は複数の自律移動体10が相互に間隔L2を空けて経路R1上に沿って1列の列に並ぶ配置である場合、以下の数式1を用いて、一度に出発させる自律移動体10の数Nを求めてもよい。
N=(Tb×V-L1)/L2 …(数式1)
【0070】
続いて、集団G1のうち、バッテリ17の残量が少ない順に、先行集団G2に割り当てる(ステップST108)。ロボット10a~10dの各バッテリ17の残量は、ロボット10e~10gの各バッテリ17の残量と比較して少ない。ロボット10a~10dを先行集団G2に割り当てる。残存したロボット10e~10gを後続集団G3割り当てる。
【0071】
続いて、図7に示すように、先行集団G2であるロボット10a~10dの移動を開始する(ステップST109)。
【0072】
続いて、移動すべき全てのロボット10a~10fが移動開始をするまで(ステップST110:NO)、ステップST111~ステップST113、ステップST108、ステップST109、及びステップST110を繰り返す。
【0073】
図4に示すデータベース21から赤信号時間Trを取得する(ステップST111)。赤信号時間Trは、信号機DE1が赤信号DE1bを継続して点灯させる時間であり、言い換えると、青信号DE1cが消灯した後、赤信号DE1bが点灯を開始した時点から消灯した時点までの時間である。赤信号DE1bが点灯すると、ロボット10a~10gが横断歩道DE1aを通過することができない。
【0074】
続いて、次の後続集団G3が出発する出発時点を決定する(ステップST112)。当該出発時点は、先行集団G2に出発地点SP1から自律移動を開始させた時点(ステップST109)から、所定の期間が経過した時点である。当該所定の期間は、例えば、青信号時間Tbと赤信号時間Trとの和である。例えば、青信号時間Tb、及び赤信号時間Trが1分間である場合、当該所定の期間は2分間である。
【0075】
続いて、後続集団G3が出発する出発時点に到達すると(ステップST113:YES)、同様に、出発地点SP1に残存した集団G1のうち、バッテリ17の残量が少ない順に、後続集団G3に割り当てる(ステップST108)。本例では、ロボット10e~10gの各バッテリ17の残量は、ロボット10e~10gの各バッテリ17の残量と比較して少ない。ロボット10a~10dを先行集団G2に割り当てる。
【0076】
続いて、後続集団G3であるロボット10e~10gの移動を開始する(ステップST109)。後続集団G3は、出発地点SP1から経路R1上に沿って目的地点GP1へ自律移動を開始する。
【0077】
青信号DE1cが点灯しているとき、先行集団G2は、信号機DE1において停止することなく、所定の移動速度を維持しながら、信号機DE1を通過する。その後、図8に示すように、青信号DE1cが消灯し、赤信号DE1bが点灯する。先行集団G2は、引続き経路R1上に沿って目的地点GP1へ進行する。
【0078】
図9に示すように、後続集団G3は、信号機DE1に到達する。すると、青信号DE1cが点灯し、赤信号DE1bが消灯する。なお、先行集団G2は目的地点GP1に到達する。
【0079】
すると、図10に示すように、後続集団G3は、信号機DE1において停止することなく、所定の移動速度を維持しながら、信号機DE1を通過する。さらに、後続集団G3は、引続き経路R1上に沿って目的地点GP1へ進行する。よって、後続集団G3は信号機DE1によって殆ど停止することが無いので、待ち時間も殆どない。後続集団G3は目的地点GP1に到達し、先行集団G2と合流する。目的地点GP1において、先行集団G2と後続集団G3とが合流して、集団G1を再び形成する。
【0080】
なお、制御装置20がロボット10a~10gの移動指令を受信し(ステップST101:YES)、複数のロボット、つまり、ロボット10a~10gを同時に移動させない場合(ステップST102:NO)、例えば、1台のロボットを移動させる場合等、そのままそのロボットを移動開始させる(ステップST109)。また、経路R1上に分断要素が配置されていないと判定した場合(ステップST104:NO)、同様に、そのままロボット10a~10gを同時に移動開始させる(ステップST109)。さらに、移動すべき全てのロボット10a~10gが移動開始し(ステップST110:YES)、制御システム100による制御が終了する。
【0081】
以上より、上記した構成によれば、分断要素特定部221が特定した信号機DE1に応じて、移動制御部222がロボット10a~10gの移動を制御して、後続集団G3の待ち時間を低減する。
【0082】
また、上記した構成によれば、後続集団G3が、先行集団G2から遅れて、出発地点SP1から自律移動を開始する。そのため、後続集団G3の待ち時間を低減する。
【0083】
また、上記した構成によれば、分断要素の一例である信号機DE1を一度に通過可能なロボットの数に基づいて、先行集団G2及び後続集団G3を構成する数Nを決定することができる。また、先行集団G2及び後続集団G3は、それぞれ、信号機DE1を一度に通過可能である。また、先行集団G2及び後続集団G3の各ロボット10a~10gの各バッテリ17が完全に放電することを抑制することができる。先行集団G2及び後続集団G3の各ロボット10a~10gは、各バッテリ17が完全に放電することを抑制して、安定した自律移動を行うことができる。また、後続集団G3が殆ど停止することなく、信号機DE1を通過できる。ロボット10e~10gの待ち時間が殆ど無い。
【0084】
また、目的地点GP1がバッテリ17の交換場所である場合、ロボット10a~10gの待ち時間を低減することによって、高い稼働率を維持しつつ目的地点GP1に帰還することができてよい。また、目的地点GP1に帰還した自律移動体10の代わりに、バッテリ17の残量が多い別体のロボット10a~10gを目的地点GP1から出発地点SP1に自律移動させてもよい。バッテリ17の残量が多い別体のロボット10a~10gが出発地点に自律移動することによって、目的地点GP1に帰還した自律移動体10と出発地点SP1において入れ替えることができる。
【0085】
また、待ち時間が低減することから、後続集団G3は、待ち時間以下の期間だけ出発時点を遅らせて、出発地点SP1において仕事や役割を果たす期間を延長することができる。また、待ち時間が低減することから、後続集団G3は、バッテリ17の残量の減少を抑えることができる。また、待ち時間が低減することから、後続集団G3が信号機DE1又はその周辺を塞ぐことによる人への妨害を抑制することができる。
【0086】
(他の一動作例)
図12~18を参照して、実施の形態2に係る複数の自律移動体の制御システムの他の一動作例について説明する。この一動作例では、制御システム100が、複数の自律移動体10の一具体例であるロボット10a~10r、計18のロボットを制御する。制御システム100は、図13に示すように、ロボット10a~10rが出発地点SP2から経路R2に沿って目的地点GP2に移動するよう制御する。ロボット10a~10rは、集団G21を構成する。ロボット10a~10rは、集団G21で出発地点SP2から経路R2に沿って目的地点GP2に自律移動が可能である。経路R2には、分断要素の一具体例であるエレベータDE2が設けられている。エレベータDE2は、所定のロボットの数を収容する収容空間DE2c(図18参照)を含むことができる。収容空間DE2cは、エレベータDE2のかごの内側空間である。エレベータDE2は、所定の階において、ドアDE2aを開いて、ロボットを収容する。エレベータDE2は、ドアDE2aを閉めた後、ロボットを収容したまま別の階に搬送する。エレベータDE2は、別の階において、ドアDE2aを開いて、ロボットを経路R2において目的地点GP2側に開放する。
【0087】
上記した、図5に示す実施の形態2に係る複数の自律移動体の制御システムの一動作例と同様に、ステップST101~ステップST104を実施する。例えば、制御システム100がロボット10a~10rの移動指令を受信するまで待機する(ステップST101:NO)。
【0088】
経路R2上に分断要素が配置されていると判定した場合(ステップST104:YES)、分断要素がエレベータDE2であることを特定する(ステップST205)。分断要素特定部221は、図13に示すように、分断要素がエレベータDE2であると特定する。
【0089】
図4に示すデータベース21からエレベータDE2の収容空間DE2cの大きさと、ロボット10a~10rの大きさとを取得する(ステップST206)。エレベータDE2の収容空間DE2cの大きさは、具体的には、エレベータDE2の収容空間DE2cの幅、奥行、及び高さである。ロボット10a~10rの大きさは、具体的には、ロボット10a~10rの幅、奥行、及び高さである。
【0090】
続いて、収容可能数算出部224が、集団G21の形状、エレベータDE2の収容空間DE2cの大きさと、ロボット10a~10rの大きさとに応じて一度に出発させるロボット10a~10rの数Nを決定する(ステップST207)。例えば、エレベータDE2の収容空間DE2cの高さは、ロボット10a~10rの高さよりも大きい。また、図18に示すエレベータDE2の収容空間DE2cの一例は、正方形の底面DE2dを有する。当該正方形の一辺は長さL2bを有する。また、ロボット10a~10rの幅及び奥行が長さL21bとほぼ同じである。長さL2bは、長さL21bの5倍と同じ長さである。ここで、底面DE2dにおいて、ロボット10a~10rを相互に等間隔L21bを空けて配置させる場合、最大で計9台のロボット、例えば、ロボット10a~10iが配置可能である。つまり、エレベータDE2の収容空間DE2cは、最大計9台のロボットを収容することができる。よって、一度に9台のロボットを出発させることができる。
【0091】
続いて、上記した、図5に示す実施の形態2に係る複数の自律移動体の制御システムの一動作例と同様に、ステップST108、及びステップST109を実施する。すなわち、集団G21のうち、ロボット10a~10rの一部をバッテリ17の残量が少ない順に、先行集団G22に割り当てる(ステップST108)。ロボット10a~10iの各バッテリ17の残量は、ロボット10j~10rの各バッテリ17の残量と比較して少ない。ロボット10a~10iを先行集団G22に割り当てる。残存したロボット10j~10rを後続集団G23に割り当てる。
【0092】
続いて、図14に示すように、先行集団G22であるロボット10a~10iの移動を開始する(ステップST109)。
【0093】
続いて、移動すべき全てのロボット10a~10rが移動開始をするまで(ステップST110:NO)、ステップST211、ステップST112、ステップST113、ステップST108、ステップST109、及びステップST110を繰り返す。
【0094】
データベース21から通過不可継続時間Tnを取得する(ステップST211)。通過不可継続時間Tnは、エレベータDE2がロボットを収容した後、所定の階のドアDE2aを閉じた時点から、ドアDE2aを開いた時点までの期間である。具体的には、通過不可継続時間Tnにおいて、エレベータDE2がドアDE2aを閉じて、ロボット10a~10rを所定の階から別の階へ搬送する。続いて、エレベータDE2が別の階のドアDE2bを開いて、ロボット10a~10rを経路R2において目的地点GP2側に開放する。続いて、ロボット10a~10rがドアDE2bを通過した後、エレベータDE2がドアDE2bを閉じて、別の階から所定の階へ戻る。エレベータDE2がドアDE2aを開く。通過不可継続時間Tnにおいて、他のロボットはエレベータDE2のドアDE2aを通過することができない。
【0095】
続いて、次の後続集団G23が出発する出発時点を決定する(ステップST112)。当該出発時点は、先行集団G22に出発地点から自律移動を開始させた時点(ステップST109)から、所定の期間が経過した時点である。当該所定の期間は、例えば、通過不可継続時間Tnである。
【0096】
上記した、図5に示す実施の形態2に係る複数の自律移動体の制御システムの一動作例と同様に、ステップST113、ステップST108、及びステップST109を実施する。後続集団G23は、出発地点SP2から経路R2上に沿って目的地点GP2へ自律移動を開始する。
【0097】
図14に示すように、ドアDE2aが開いているとき、先行集団G22は、ドアDE2aにおいて停止することなく、所定の移動速度を維持しながら、エレベータDE2に乗り込む。その後、図15に示すように、ドアDE2aが閉じて、エレベータDE2が先行集団G22を所定の階から別の階へ搬送する。さらに、ドアDE2bが開いてから、先行集団G22は、引続き経路R2上に沿って目的地点GP2へ進行する。
【0098】
図16に示すように、後続集団G23は、ドアDE2aに到達する。すると、ドアDE2aが開く。なお、先行集団G22は目的地点GP2に到達する。
【0099】
すると、図17に示すように、後続集団G23は、ドアDE2aにおいて停止することなく、所定の移動速度を維持しながら、エレベータDE2に乗り込む。さらに、後続集団G23は、エレベータDE2によって、所定の階から別の階へ搬送される。その後、後続集団G23は、ドアDE2bから、引続き経路R2に沿って目的地点GP2へ進行する。よって、後続集団G23はエレベータDE2によって殆ど停止することが無いので、待ち時間も殆どない。後続集団G23は目的地点GP2に到達し、先行集団G22と合流する。目的地点GP1において、先行集団G22と後続集団G23とが合流して、集団G21を再び形成する。
【0100】
なお、ロボット10a~10rを同時に移動させない場合(ステップST102:NO)や、経路R2上に分断要素が配置されていないと判定した場合(ステップST104:NO)についても、図5に示す実施の形態2に係る複数の自律移動体の制御システムの一動作例と同様である。これらの場合、同様に、ステップST109、及びステップST110を経て、制御システム100による制御が終了する。
【0101】
以上より、上記した構成によれば、分断要素特定部221が特定したエレベータDE2に応じて、移動制御部222がロボット10a~10rの移動を制御して、後続集団G23の待ち時間を低減する。
【0102】
また、エレベータDE2の収容空間DE2cに一度に収容可能なロボット10a~10rの数に基づいて、先行集団G22及び後続集団G23を構成するロボット10a~10rの数を決定することができる。
【0103】
また、エレベータDE2が、先行集団G22及び後続集団G23をそれぞれ一度に収容する。そのため、先行集団G22及び後続集団G23は、分断されること無く、エレベータDE2をスムーズに通過させることができる。
【0104】
(他の実施の形態等)
なお、上記実施の形態に係る制御システムは、次のようなハードウェア構成を備えることができる。図19は、複数の自律移動体の制御システムに含まれる一構成例である。
上述した様々な実施の形態において、制御システムにおける処理の手順を説明したように、本開示は処理方法としての形態も採り得る。
【0105】
図19に示す制御装置300は、インタフェース303とともに、プロセッサ301及びメモリ302を備える。上述した実施の形態で説明した制御部22の構成(図4参照)は、プロセッサ301がメモリ302に記憶されたプログラムを読み込んで実行することにより実現される。つまり、このプログラムは、プロセッサ301を制御システム100、200、又はその一部として機能させるための制御プログラムである。
【0106】
上述したプログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施の形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0107】
さらに、上述した様々な実施の形態において、制御システム100、及び制御システム200における処理の手順を説明したように、本開示は、制御システム100、及び制御システム200の制御方法としての形態も採り得る。また、上述のプログラムは、制御システム100、及び制御システム200にこのような制御方法を実行させるための制御プログラムであると言える。
【0108】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、本発明は、上記実施の形態やその一例を適宜組み合わせて実施してもよい。例えば、図6に示す先行集団G2の一例は、複数の自律移動体10の一具体例であるロボット10a~10d、言い換えると、計4つのロボットから構成されるが、少なくとも1つの自律移動体10から構成されてもよい。同様に、図6に示す後続集団G3の一例は、複数の自律移動体10の一具体例であるロボット10e~10g、言い換えると、計3つのロボットから構成されるが、少なくとも1つの自律移動体10から構成されてもよい。同様に、図13に示す先行集団G22、及び後続集団G23は、それぞれ少なくとも1つの自律移動体10から構成されてもよい。
【符号の説明】
【0109】
100、200 制御システム
201、221 分断要素特定部 202、222 移動制御部
223 通過可能数算出部 224 収容可能数算出部
10 自律移動体 10a~10r ロボット
11 通信部 12 制御部
13 走行制御部 14 記憶部
141 出発地点 142 目的地点
143 地図情報 144 分断要素情報
15 センサ 16 GPS受信機
17 バッテリ
20、300 制御装置
21 データベース 22 制御部
23 通信部
30 ネットワーク
211 出発地点 212 目的地点
213 地図情報 214 分断要素情報
215 自律移動体情報
301 プロセッサ 302 メモリ
303 インタフェース
DE1 信号機 DE1a 横断歩道
DE1b 赤信号 DE1c 青信号
DE2 エレベータ
DE2a、DE2b ドア DE2c 収容空間
DE2d 底面
G1、G21 集団
G2、G22 先行集団 G3、G23 後続集団
SP1、SP2 出発地点 R1、R2 経路
GP1、GP2 目的地点
L1 区間距離 L2 間隔
L21b 等間隔
N 数
ST101~ST113、ST205~ST207、ST211 ステップ
Tb 青信号時間 Tn 通過不可継続時間
Tr 赤信号時間 V 移動速度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19