(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】CO2吸収量評価システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20241106BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2022146958
(22)【出願日】2022-09-15
【審査請求日】2023-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】角谷 忠義
(72)【発明者】
【氏名】関 康伸
(72)【発明者】
【氏名】河田 優人
(72)【発明者】
【氏名】粟野 宏基
(72)【発明者】
【氏名】米川 紘輔
【審査官】酒井 優一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-014371(JP,A)
【文献】特開2008-165666(JP,A)
【文献】特開2008-046837(JP,A)
【文献】特許第5847652(JP,B2)
【文献】特開2007-178833(JP,A)
【文献】特開2012-058772(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
評価対象領域のうち水面領域を特定する第1特定部と、
前記評価対象領域のうち森林領域を特定する第2特定部と、
前記第1特定部によって特定された前記水面領域の色彩及び色濃度に基づいて、当該水面領域における植物生息状況を推定する推定部と、
前記推定部により推定された前記水面領域における植物生息状況、及び、前記第2特定部により特定された前記森林領域、に基づいて、前記評価対象領域におけるCO2吸収量を算出する算出部と、
を備え
、
前記推定部は、前記水面領域のうち、色濃度が他の領域よりも濃い一部の領域に、植物が生息していると推定する、
CO2吸収量評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、CO2吸収量評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、対象エリアの森林の各種情報から生成した森林の基礎データに基づいて、CO2吸収量を自動的に算定するCO2吸収量評価システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、森林によるCO2吸収量のみを算出しており、海、湖、川などの水中に生息する植物によるCO2吸収量を考慮していないため、精度良くCO2吸収量を算出することができない、という課題があった。
【0005】
本開示は、以上の背景に鑑みなされたものであり、森林によるCO2吸収量だけでなく、水中に生息する植物によるCO2吸収量も算出しているため、精度良くCO2吸収量を算出することが可能なCO2吸収量評価システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にかかるCO2吸収量評価システムは、評価対象領域のうち水面領域を特定する第1特定部と、前記評価対象領域のうち森林領域を特定する第2特定部と、前記第1特定部によって特定された前記水面領域の色彩及び色濃度に基づいて、当該水面領域における植物生息状況を推定する推定部と、前記推定部により推定された前記水面領域における植物生息状況、及び、前記第2特定部により特定された前記森林領域、に基づいて、前記評価対象領域におけるCO2吸収量を算出する算出部と、を備える。このCO2吸収量評価システムは、森林によるCO2吸収量だけでなく、水中に生息する植物によるCO2吸収量も算出しているため、精度良くCO2吸収量を算出することができる。
【発明の効果】
【0007】
本開示により、精度良くCO2吸収量を算出することが可能なCO2吸収量評価システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1にかかるCO2吸収量評価システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示すCO2吸収量評価システムの動作を示すフローチャートである。
【
図3】
図1に示すCO2吸収量評価システムの適用事例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲に係る発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0010】
<実施の形態1>
図1は実施の形態1にかかるCO2吸収量評価システム1の構成例を示すブロック図である。本実施の形態にかかるCO2吸収量評価システム1は、森林によるCO2(二酸化炭素)吸収量だけでなく、水中に生息する植物によるCO2吸収量も算出しているため、精度良くCO2吸収量を算出することができる。以下、具体的に説明する。
【0011】
図1に示すように、CO2吸収量評価システム1は、CO2吸収量評価装置10と、操作端末20と、飛行体30と、ネットワーク50と、を備える。CO2吸収量評価装置10は、単体でCO2吸収量評価システムということもできる。CO2吸収量評価装置10と、操作端末20と、飛行体30とは、有線又は無線のネットワーク50を介して互いに通信可能に構成されている。なお、本実施の形態では、CO2吸収量評価装置10と操作端末20とが別々に設けられている場合を例に説明するが、それに限られず、例えば、CO2吸収量評価装置10が操作端末20の機能を備えていてもよい。つまり、CO2吸収量評価装置10と操作端末20とは一体に形成されていてもよい。
【0012】
操作端末20は、ユーザが所有する、又は、ユーザに一時的に割り当てられた、通信可能な端末であって、例えば、PC(Personal Computer)端末、スマートフォンやタブレット端末等の携帯端末、又は、本システムのために用意された専用の通信端末などである。
【0013】
例えば、評価対象領域のCO2吸収量の評価を行いたいユーザは、操作端末20の操作画面やキーボード等を操作することにより、操作端末20に、評価対象領域に関する情報を入力する。操作端末20は、これらの情報を受け付けて、ネットワーク50を介して、CO2吸収量評価装置10に送信する。また、操作端末20は、CO2吸収量評価装置10から出力された評価結果を、ネットワーク50を介して受信して、モニタなどに表示する。
【0014】
CO2吸収量評価装置10は、評価対象領域におけるCO2吸収量を評価する装置である。具体的には、CO2吸収量評価装置10は、取得部11と、第1特定部12と、第2特定部13と、推定部14と、算出部15と、出力部16と、を備える。
【0015】
取得部11は、操作端末20から送信された評価対象領域に関する情報を取得する。第1特定部12は、ドローンや飛行機などの飛行体30に搭載されたカメラ31の撮像画像を解析することにより、評価対象領域に含まれる、海、湖、川などの水面領域を特定する。第2特定部13は、同じく飛行体30に搭載されたカメラ31の撮像画像を解析することにより、評価対象領域に含まれる森林領域を特定する。
【0016】
推定部14は、第1特定部12によって特定された水面領域の色彩及び色濃度に基づいて、当該水面領域における植物生息状況を推定する。例えば、水面領域の一部の領域が他の領域よりも色濃度が濃い場合や、水面領域の一部の領域が他の領域よりも黒みがかっている場合には、当該一部の領域に植物が生息していると推定する。なお、推定部14は、水面領域の色彩及び色濃度に基づいて、水面領域に植物が生息しているか否かを推定するだけでなく、生息している植物の種類、密度、生息領域などを細かく推定可能に構成されていてもよい。それにより、より正確なCO2吸収量の評価が可能になる。
【0017】
算出部15は、推定部14により推定された水面領域における植物生息状況、及び、第2特定部13により特定された森林領域、に基づいて、評価対象領域において植物が吸収するCO2の吸収量(CO2吸収量)を算出する。
【0018】
出力部16は、算出部15によって算出されたCO2吸収量(評価結果)を出力する。出力部16から出力された情報(評価結果)は、例えば、ネットワーク50を介して、操作端末20に転送され、操作端末20のモニタに表示される。それにより、ユーザは、評価対象領域におけるCO2吸収量の評価結果を知ることができる。
【0019】
(CO2吸収量評価システム1の動作)
続いて、
図2及び
図3を用いて、CO2吸収量評価システム1の動作を説明する。
図2は、CO2吸収量評価システム1による動作を示すフローチャートである。
図3は、CO2吸収量評価システム1の適用事例を示す図である。
図3の例では、CO2吸収量評価システム1によって、評価対象領域A1におけるCO2吸収量の評価が行われている。
【0020】
CO2吸収量評価システム1において、CO2吸収量評価装置10は、まず、操作端末20等から送信された評価対象領域A1に関する情報を取得する(ステップS101)。その後、CO2吸収量評価装置10は、飛行体30に搭載されたカメラ31の撮像画像を解析することにより、評価対象領域A1に含まれる水面領域A11及び森林領域A12を特定する(ステップS102及びステップS103)。その後、CO2吸収量評価装置10は、特定した水面領域A11の色彩及び色濃度に基づいて、当該水面領域A11における植物生息状況を推定する(ステップS104)。例えば、CO2吸収量評価装置10は、色濃度が他の領域よりも濃い水面領域A11a,A11bに植物が生息していると推定する。その後、CO2吸収量評価装置10は、推定した水面領域A11における植物生息状況、及び、特定した森林領域A12に基づいて、評価対象領域A1におけるCO2吸収量を算出し(ステップS105)、その算出結果(評価結果)を出力する(ステップS106)。
【0021】
このように、本実施の形態にかかるCO2吸収量評価システム1は、森林によるCO2(二酸化炭素)吸収量だけでなく、水中に生息する植物によるCO2吸収量も算出しているため、精度良くCO2吸収量を算出することができる。
【0022】
本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0023】
1 CO2吸収量評価システム
10 CO2吸収量評価装置
11 取得部
12 第1特定部
13 第2特定部
14 推定部
15 算出部
16 出力部
20 操作端末
30 飛行体
31 カメラ
50 ネットワーク
評価対象領域A1
水面領域A11
森林領域A12