(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】全固体電池の検査方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/389 20190101AFI20241106BHJP
G01R 31/378 20190101ALI20241106BHJP
G01R 31/00 20060101ALI20241106BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20241106BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
G01R31/389
G01R31/378
G01R31/00
H01M10/44 Q
H01M10/48 P
(21)【出願番号】P 2022179508
(22)【出願日】2022-11-09
【審査請求日】2023-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮島 貴之
【審査官】小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-76604(JP,A)
【文献】特開2022-149256(JP,A)
【文献】特許第7401620(JP,B1)
【文献】特開2023-168862(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/36-31/396
G01R 31/00
H01M 10/42-10/48
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全固体電池の検査方法であって、
第1温度において充放電を開始した直後の前記全固体電池の抵抗である第1抵抗値を測定することと、
前記第1温度より低い温度である第2温度において、充放電を開始した直後の前記全固体電池の抵抗である第2抵抗値を測定することと、
前記第1抵抗値と前記第2抵抗値とに基づいて、前記全固体電池における内部接触不良を判定することと、
を含む、全固体電池の検査方法。
【請求項2】
前記第1温度は、-10℃より高い温度であり、前記第2温度は、-10℃以下の温度である、請求項1に記載の全固体電池の検査方法。
【請求項3】
前記第1抵抗値および前記第2抵抗値は、定電流放電または定電流充電を開始してから0.1秒経過したときの抵抗値である、請求項2に記載の全固体電池の検査方法。
【請求項4】
前記第1抵抗値と前記第2抵抗値と予め設定された閾値とに基づいて、前記内部接触不良を判定する、請求項3に記載の全固体電池の検査方法。
【請求項5】
前記第1抵抗値をR1、前記第2抵抗値をR2、前記閾値をSとしたとき、
前記閾値Sは、「S=a(R1)+b」(a,bは定数)として設定され、S<R2である場合に、前記全固体電池において内部接触不良が生じていると判定する、請求項4に記載の全固体電池の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全固体電池の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2013-210333号公報(特許文献1)には、ハーネスの影響を低減して二次電池の内部抵抗を高精度に検知可能な二次電池の内部抵抗検査方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リチウムイオン伝導性固体電解質を用いた全固体リチウム電池(以下「全固体電池」とも称する)では、反応界面がすべて固固界面のため、反応界面が固液界面である液系電池に比較して、単電池内部(セル内部)での接触不良が生じやすい。たとえば、接触不良の単電池が組電池として用いられる場合、低拘束状態での使用や機械的負荷を受けることで、徐々に接触不良が拡大し、電池の使用段階で異常が発見される場合もある。
【0005】
本開示の目的は、全固体電池において、電池内部の接触不良を検査することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の全固体電池の検査方法は、第1温度において充放電を開始した直後の全固体電池の抵抗である第1抵抗値を測定することと、第1温度より低い温度である第2温度において、充放電を開始した直後の全固体電池の抵抗である第2抵抗値を測定することと、第1抵抗値と第2抵抗値とに基づいて、全固体電池における内部接触不良を判定することと、を含む、全固体電池の検査方法である。
【0007】
全固体電池の内部抵抗の成分は、概ね、反応抵抗および拡散抵抗(反応/拡散抵抗)Rd、接触抵抗Rc、電子抵抗Reからなる。全固体電池において、充放電を開始した直後、たとえば、充放電を開始してから0.1秒経過したときの抵抗値(内部抵抗)は、電池内部の接触抵抗Rcと電子抵抗Reとによって占められる。電池内部の接触不良が生じている場合、接触抵抗Rcが大きくなる。接触抵抗Rcと電子抵抗Reは、電池の温度によって変化する。温度変化に対する抵抗の変化(抵抗の温度感度)は、電子抵抗Reは小さく、接触抵抗Rcは大きい。
【0008】
この方法によれば、第1温度において充放電を開始した直後(たとえば、充放電を開始してから0.1秒経過したとき)の全固体電池の抵抗である第1抵抗値を測定し、第2温度(第2温度は、第1温度より低い温度である)において充放電を開始した直後(たとえば、充放電を開始してから0.1秒経過したとき)の全固体電池の抵抗である第2抵抗値を測定する。第1抵抗値と第2抵抗値の差は、全固体電池の接触抵抗Rcの大きさに相関している。したがって、第1抵抗値と第2抵抗値とに基づいて、全固体電池の内部接触不良を判定することができる。
【0009】
全固体電池において、電池の温度が-10℃以下の場合、充放電を開始した直後、たとえば、充放電を開始してから0.1秒経過したときの抵抗値は、接触抵抗Rcの成分が多くを占める。したがって、-10℃より高い温度である第1温度において、第1抵抗値を測定し、-10℃以下の温度である第2温度において、第2抵抗値を測定することにより、全固体電池の接触抵抗Rcの大きさを、より良好に求めることができる。また、電池の温度が40℃以上の場合、充放電を開始した直後、たとえば、充放電を開始してから0.1秒経過したときの抵抗値は、電子抵抗Reの成分が多くなる(接触抵抗Rcの成分が小さくなる)。したがって、40℃より高い温度である第1温度において、第1抵抗値を測定し、-10℃以下の温度である第2温度において、第2抵抗値を測定することにより、全固体電池の接触抵抗Rcの大きさを、より精度よく求めることが可能になる。なお、「充放電を開始した直後」とは、充放電を開始してから測定される抵抗値(内部抵抗)に、反応/拡散抵抗の成分がほとんど含まれないような、時点である。
【0010】
第1抵抗値と第2抵抗値の差は、全固体電池の接触抵抗Rcの大きさに相関している。したがって、閾値を予め適切に設定することにより、第1抵抗値と第2抵抗値と閾値に基づいて、全固体電池の内部接触不良を判定することができる。
【0011】
好ましくは、第1抵抗値をR1、第2抵抗値をR2、前閾値をSとしたとき、閾値Sは、「S=a(R1)+b」(a,bは定数)として設定され、S<R2である場合に、全固体電池において内部接触不良が生じていると判定するようにしてもよい。
【0012】
この方法によれば、予め実験等によって、閾値Sを第1抵抗値R1の一次式として設定することにより、比較的簡便な方法で、全固体電池の内部接触不良を判定することが可能になる。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、全固体電池において、電池内部の接触不良を検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施の形態に係る全固体電池の検査システムの概略を示す図である。
【
図2】(A)~(C)は、放電時における全固体電池の抵抗値の変化を説明する図である。
【
図3】全固体電池の0.1秒抵抗における、接触抵抗Rcの寄与率(Rc/(Rc+Re))を示す図である。
【
図5】検査装置によって実行される不良品判定の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0016】
図1は、本実施の形態に係る全固体電池の検査システム100の概略を示す図である。検査システム100は、充放電器40と、電圧計50と、温度センサ60と、加熱冷却ユニット70と、検査装置80とを含む。
【0017】
図1において、全固体電池SBは、セル(単電池)であり、正極1と、負極2と、セパレータ層3とを含む。正極1は、正極活物質層11と、正極集電体12とを含む。正極活物質層11はセパレータ層3に密着している。正極活物質層11は、正極活物質粒子と、硫化物固体電解質とを含む。正極活物質粒子は、たとえば、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiMn2O4、Li(NiCoMn)O2、Li(NiCoAl)O2、およびLiFePO4からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。負極2は、負極活物質層21と、負極集電体22とを含む。負極活物質層21はセパレータ層3に密着している。負極活物質層21は、負極活物質粒子と、硫化物固体電解質とを含む。負極活物質粒子は、たとえば、黒鉛、Si、SiOx(0<x<2)、およびLi4Ti5O12からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。セパレータ層3は、正極1と負極2との間に介在している。セパレータ層3は、正極1を負極2から分離している。セパレータ層3は硫化物固体電解質を含む。
【0018】
充放電器40は、全固体電池SBへの定電流充電および定電流放電を行うものである。電圧計50は、全固体電池SBの電圧を計測する。温度センサ60は、全固体電池SBの温度を検出する。加熱冷却ユニット70は、全固体電池SBの温度を所定の温度に調節する。
【0019】
検査装置80は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、通信インターフェイス、およびディスプレイ等を含むコンピュータである。検査装置80は、機能ブロックとして、内部抵抗検出部81、閾値記憶部82、不良品判定部83を備える。
【0020】
内部抵抗検出部81は、全固体電池SBを定電流放電または定電流充電を実施しながら、全固体電池SBの内部抵抗を検出する。本実施の形態では、充放電器40によって、定電流放電を行っている全固体電池SBの内部抵抗を検出する。内部抵抗の検出は、電圧計50で検出した電圧値と、定電流放電によって全固体電池SBに流れる電流値とに基づいて、全固体電池SBの内部抵抗を、放電開始から所定の時間にわたって検出する。なお、全固体電池SBに入出力する電流を計測する電流センサを設け、電流値を計測するようにしてもよい。
【0021】
本実施の形態では、加熱冷却ユニット70によって、全固体電池SBの温度を調整し、温度センサ60で検出される全固体電池SBの温度を「-10℃」に維持する。そして、内部抵抗検出部81は、全固体電池SBの内部抵抗を、放電開始から所定の時間にわたって検出し、検出結果を不良品判定部83に出力する。また、加熱冷却ユニット70によって、全固体電池SBの温度を調整し、温度センサ60で検出される全固体電池SBの温度を「40℃」に維持する。そして、内部抵抗検出部81は、全固体電池SBの内部抵抗を、放電開始から所定の時間にわたって検出し、検出結果を不良品判定部83に出力する。
【0022】
閾値記憶部82は、予め実験等によって設定した閾値Sを格納(記憶)している。
図2は、放電時における全固体電池SBの抵抗値の変化を説明する図である。
図2(B)は、全固体電池SBのSOC(State Of Charge)が60%の状態において、40Aの定電流で放電を開始したときに、内部抵抗検出部81で検出した抵抗値の変化を示している。全固体電池SBの抵抗値(内部抵抗)は、放電が開始されると、時間の経過とともに増大する。
図2(C)は、放電を開始してから0.1秒経過ときの抵抗値(以下、「0.1秒抵抗」とも称する)であり、全固体電池SBの温度が40℃の場合と、全固体電池SBの温度が-10℃の場合を示している。
図2(A)は、放電を開始してから2秒経過したときの抵抗値(以下、「2秒抵抗」とも称する)であり、全固体電池SBの温度が40℃の場合と、全固体電池SBの温度が-10℃の場合を示している。
【0023】
図2(A)に示すよう、2秒抵抗には、抵抗値に反応/拡散抵抗Rdの成分が含まれるが、
図2(C)に示すように、0.1秒抵抗には、抵抗値に反応/拡散抵抗Rdの成分が含まれない。全固体電池SBの抵抗(内部抵抗)は、電池の温度が低いほど大きな値になり、接触抵抗Rcと電子抵抗Reも、電池の温度によって変化する。
図2(C)に示すように、温度変化に対する抵抗値の変化(抵抗の温度感度)は、電子抵抗Reは小さく、接触抵抗Rcは大きい(40℃における抵抗値と-10℃における抵抗値は、電子抵抗Reではほとんど変化がないが、接触抵抗Rcでは大きく変化する)。
【0024】
図3は、全固体電池SBの0.1秒抵抗における、接触抵抗Rcの寄与率(Rc/(Rc+Re))を示す図である。電池の温度が-10℃以下である場合、接触抵抗Rcの寄与率(0.1秒抵抗に占める接触抵抗Rcの割合)が高い。電池の温度が40℃以上である場合、接触抵抗Rcの寄与率は、50%以下になる。
【0025】
製造バラツキ(材料成分や寸法等)に起因して、0.1秒抵抗(電子抵抗Reおよび接触抵抗Rc)の値が大きく変化する(ばらつく)ことがある。このため、-10℃以下の0.1秒抵抗を用いて接触抵抗Rcを求めることは難しい。上述のように、接触抵抗Rcの温度感度(温度変化に対する抵抗値の変化)は大きいので、異なる温度における0.1秒抵抗を測定し、比較することにより、製造バラツキを排除した、接触抵抗Rcの大きさを推定することができ、電池内部の接触不良を検査することが可能になる。特に、接触抵抗Rcの寄与率(0.1秒抵抗に占める接触抵抗Rcの割合)が高い温度(本実施の形態では、-10℃以下)と、接触抵抗Rcの寄与率が低い温度(本実施の形態では、40℃以上)における0.1秒抵抗を比較することにより、より精度よく、接触抵抗Rcの大きさを推定することができる。
【0026】
図4は、閾値Sの設定方法を説明する図である。
図4において、横軸は、全固体電池SBの温度が40℃であるときの0.1秒抵抗であり、縦軸は、全固体電池SBの温度が-10℃であるときの0.1秒抵抗である。以下、全固体電池SBの温度が40℃であるときの0.1秒抵抗を「第1抵抗値R1」と称し、全固体電池SBの温度が-10℃であるときの0.1秒抵抗を「第2抵抗値R2」とも称する。
【0027】
図4において、白抜きの丸印(○)は、良品(接触不良が生じていない)の全固体電池SBの第1抵抗値R1と第2抵抗値R2であり、50個以上のN数(サンプル数)をプロットしている。黒い丸印(●)は、不良品(接触不良が生じている)の全固体電池SBの第1抵抗値R1と第2抵抗値R2である。不良品の全固体電池SBは、たとえば、全固体電池SBの製造時におけるプレス面積を全面から一部分に変えたり、あるいは、集電体と活物質層の間に絶縁部材を挟んだりしたりして、作成してよい。
【0028】
良品および不良品の全固体電池SBの第1抵抗値R1および第2抵抗値R2を測定し、
図4に示すよう、良品の第1抵抗値R1と第2抵抗値R2のデータ(○)と、不良品の第1抵抗値R1と第2抵抗値R2のデータ(●)とをプロットすることにより、良品と不良品の境界を見いだして、閾値Sを設定する。本実施の形態では、
図4に示すように、閾値Sは、第1抵抗値R1を変数とした一次式で表され、閾値S=a(R1)+bとして設定される(aおよびbは、実数の定数)。そして、第2抵抗値R2が閾値S(=a(R1)+b)以下の領域が、良品領域に設定され、第2抵抗値R2が閾値S(=a(R1)+b)より大きい領域が、不良品領域に設定される。
【0029】
図1を参照して、閾値記憶部82には、このようして設定された閾値Sが記憶されている。不良品判定部83は、内部抵抗検出部81で検出した全固体電池SBの内部抵抗(第1抵抗値R1、第2抵抗値R2)と閾値Sに基づいて、全固体電池SBの内部接触不良を判定する。
【0030】
図5は、検査装置80によって実行される不良品判定の処理の一例を示すフローチャートである。まず、ステップ(以下、ステップを「S」と略す)10において、不良品判定部83は、内部抵抗検出部81から出力された検出結果から、40℃において放電を開始してから0.1秒経過したときの抵抗値(第1抵抗値R1)を算出(抽出)する。続く、S11では、不良品判定部83は、内部抵抗検出部81から出力された検出結果から、-10℃において放電を開始してから0.1秒経過したときの抵抗値(第2抵抗値R2)を算出(抽出)したあと、S12へ進む。
【0031】
S12では、閾値記憶部82から閾値S(閾値Sを算出するための一次式(a(R1)+b)を読み出し、閾値Sを設定する(閾値S=a(R1)+bを算出する)。
【0032】
続く、S13では、第2抵抗値R2が閾値S(=a(R1)+b)より大きいか否かを判定する。第2抵抗値R2が閾値S以下の場合(R2≦S(=a(R1)+b))、否定判定されS14に進んで、全固体電池SBは良品であると判定し、処理を終了する。
【0033】
第2抵抗値R2が閾値Sより大きい場合(R2>S(=a(R1)+b))、肯定判定されS15に進んで、全固体電池SBは、接触抵抗Rcが大きく内部接触不良が生じており、不良品であると判定され、処理を終了する。
【0034】
本実施の形態によれば、40℃(第1温度)において放電を開始した直後(放電を開始してから0.1秒経過したとき)の全固体電池SBの抵抗である第1抵抗値R1を測定し、-10℃(第1温度より低い第2温度)において放電を開始した直後(放電を開始してから0.1秒経過したとき)の全固体電池SBの抵抗である第2抵抗値R2を測定する。そして、閾値記憶部82に記憶された閾値Sの一次式(S=a(R1)+b)から、第1抵抗値R1を用いて閾値S算出し、閾値Sと第2抵抗値R2を比較することにより、全固体電池SBの内部接触不良を判定するので、全固体電池SBの電池内部の接触不良を検査することができる。
【0035】
上記実施の形態では、閾値Sを、第1抵抗値R1を変数とする一次式(a(R1)+b)として設定し、閾値Sを用いて不良品の判定を行っていた。しかし、閾値Sを用いることなく、たとえば、第1抵抗値R1および第2抵抗値R2をパラメータとする判定マップを作成し、マップ検索により、接触不良による不良品を判定するようにしてもよい。
図6は、判定マップの一例を示す図である。このような判定マップを作成し、マップ検索によって、接触不良による不良品を判定するようにしてもよい。
【0036】
不良品を判定する閾値Sは、第1抵抗値R1を変数とする一次式(a(R1)+b)でなくともよい。たとえば、閾値をbに設定し、閾値記憶部82に記憶する。不良品判定部83において、第1抵抗値R1と第2抵抗値R2の偏差δを、δ=R2-a(R1)として算出する。そして、不良品判定部83は、閾値記憶部82から閾値(=b)を読み出し、δ>bであるとき(R2-a(R1)>bであるとき)、全固体電池SBが不良品であると判定するようにしてもよい。また、上記実施の形態では、全固体電池SBの放電時に内部抵抗を検出していたが、充電時に内部抵抗を検出するようにしてもよい。
【0037】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0038】
1 正極、11 正極活物質層、12 正極集電体、2 負極、21 負極活物質層、22 負極集電体、3 セパレータ層、40 充放電器、50 電圧計、60 温度センサ、70 加熱冷却ユニット、80 検査装置、81 内部抵抗検出部、82 閾値記憶部、83 不良品判定部、100 検査システム、SB 全固体電池。