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<図1>
  • 特許-CO2吸収量評価システム 図1
  • 特許-CO2吸収量評価システム 図2
  • 特許-CO2吸収量評価システム 図3
  • 特許-CO2吸収量評価システム 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】CO2吸収量評価システム
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/00 20060101AFI20241106BHJP
   B63C 11/00 20060101ALI20241106BHJP
   A01G 7/02 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
A01G7/00 603
B63C11/00 A
B63C11/00 B
A01G7/02
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022181884
(22)【出願日】2022-11-14
(65)【公開番号】P2024071116
(43)【公開日】2024-05-24
【審査請求日】2023-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】河田 優人
(72)【発明者】
【氏名】角谷 忠義
(72)【発明者】
【氏名】杉山 宏石
(72)【発明者】
【氏名】関 康伸
(72)【発明者】
【氏名】粟野 宏基
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-024377(JP,A)
【文献】特開2010-216904(JP,A)
【文献】特開2019-078732(JP,A)
【文献】特開2016-151460(JP,A)
【文献】特開2020-018274(JP,A)
【文献】特開2006-204264(JP,A)
【文献】特開2015-042976(JP,A)
【文献】特開2002-058370(JP,A)
【文献】特開平11-337640(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0216218(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/00
B63C 11/00
A01G 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
評価対象の藻場における海藻によるCO2吸収量を評価するCO2吸収量評価システムであって、
カメラと、
LiDAR(Light Detection And Ranging)と、
前記カメラ及び前記LiDARが取り付けられ、水中を移動可能に構成された移動体と、
CO2吸収量評価装置と、
を備え、
前記CO2吸収量評価装置は、
前記カメラによって水中を撮影した画像から前記藻場における一株当たりの前記海藻の正面の面積を計測し、且つ、前記LiDARによって水中を走査した結果から一株当たりの前記海藻の奥行きを計測する計測部と、
前記計測部による計測結果に基づいて一株当たりの前記海藻の重量を算出するとともに、算出した一株当たりの前記海藻の重量と、前記藻場における前記海藻の株数と、に基づいて、前記藻場における前記海藻によるCO2吸収量を算出する算出部と、
を有する、CO2吸収量評価システム。
【請求項2】
前記計測部は、前記藻場における2株以上の前記海藻から、一株当たりの前記海藻の正面の面積の平均値、及び、一株当たりの前記海藻の奥行きの平均値を計測し、
前記算出部は、前記計測部による計測結果に基づいて一株当たりの前記海藻の重量の平均値を算出するとともに、算出した一株当たりの前記海藻の重量の平均値と、前記藻場における前記海藻の株数と、に基づいて、前記藻場における前記海藻によるCO2吸収量を算出する、
請求項1に記載のCO2吸収量評価システム。
【請求項3】
前記海藻は、養殖中の海藻である、
請求項1に記載のCO2吸収量評価システム。
【請求項4】
前記藻場における前記海藻の株数は、予め決まっている、
請求項1に記載のCO2吸収量評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、CO2吸収量評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、藻場における海藻によるCO2吸収量を高精度に評価することが求められている。藻場における海藻によるCO2吸収量を高精度に評価するためには、藻場における海藻の総重量を精度良く測定する必要がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、水平方向のスキャンをして位置を測定するLIDARと、鉛直方向のスキャンをして水深を測定するLIDARと、を用いて、水中地形の測量を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-78732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、水中地形の測量を行うことが開示されているに過ぎず、海藻によるCO2吸収量の評価について開示も示唆もされていない。
【0006】
本開示は、以上の背景に鑑みなされたものであり、評価対象の藻場における海藻によるCO2吸収量を高精度に評価することが可能なCO2吸収量評価システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示にかかるCO2吸収量評価システムは、評価対象の藻場における海藻によるCO2吸収量を評価するCO2吸収量評価システムであって、カメラと、LiDAR(Light Detection And Ranging)と、前記カメラ及び前記LiDARが取り付けられ、水中を移動可能に構成された移動体と、CO2吸収量評価装置と、を備え、前記CO2吸収量評価装置は、前記カメラによって水中を撮影した画像から前記藻場における一株当たりの前記海藻の正面の面積を計測し、且つ、前記LiDARによって水中を走査した結果から一株当たりの前記海藻の奥行きを計測する計測部と、前記計測部による計測結果に基づいて一株当たりの前記海藻の重量を算出するとともに、算出した一株当たりの前記海藻の重量と、前記藻場における前記海藻の株数と、に基づいて、前記藻場における前記海藻によるCO2吸収量を算出する算出部と、を有する。このCO2吸収量評価システムは、評価対象の藻場における海藻についての3次元的な情報を取得することにより、評価対象の藻場における海藻によるCO2吸収量を高精度に評価することができる。
【発明の効果】
【0008】
本開示により、評価対象の藻場における海藻によるCO2吸収量を高精度に評価することが可能なCO2吸収量評価システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1にかかるCO2吸収量評価システムの構成例を示すブロック図である。
図2】実施の形態1にかかるCO2吸収量評価システムの動作を示すフローチャートである。
図3】評価対象の藻場を上空から撮影した画像の概略図である。
図4】評価対象の藻場において養殖されている海藻の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明の実施形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲に係る発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0011】
<実施の形態1>
図1は実施の形態1にかかるCO2吸収量評価システム1の構成例を示すブロック図である。本実施の形態にかかるCO2吸収量評価システム1は、例えば所定の株数の海藻が養殖されている藻場に適用される。ここで、本実施の形態にかかるCO2吸収量評価システム1は、カメラ及びLiDAR(Light Detection And Ranging)が取り付けられた移動体を用いて、評価対象の藻場における海藻についての3次元的な情報を取得することにより、評価対象の藻場における海藻によるCO2吸収量を高精度に評価することができる。以下、具体的に説明する。
【0012】
図1に示すように、CO2吸収量評価システム1は、CO2吸収量評価装置10と、操作端末20と、移動体30と、ネットワーク50と、を備える。CO2吸収量評価装置10は、単体でCO2吸収量評価システムということもできる。CO2吸収量評価装置10、操作端末20及び移動体30は、有線又は無線のネットワーク50を介して互いに通信可能に構成されている。なお、本実施の形態では、CO2吸収量評価装置10と操作端末20とが別々に設けられている場合を例に説明するが、それには限定されず、例えば、CO2吸収量評価装置10が操作端末20の機能を備えていてもよい。つまり、CO2吸収量評価装置10と操作端末20とは一体に形成されていてもよい。
【0013】
操作端末20は、ユーザが所有する、又は、ユーザに一時的に割り当てられた、通信可能な端末であって、例えば、PC(Personal Computer)端末、スマートフォンやタブレット端末等の携帯端末、又は、本システムのために用意された専用の通信端末などである。
【0014】
例えば、評価対象の藻場におけるCO2吸収量の評価を行いたいユーザは、操作端末20の操作画面やキーボード等を操作することにより、操作端末20に、評価対象の藻場に関する情報を入力する。ここで、評価対象の藻場に関する情報とは、藻場の位置、藻場の面積、藻場において養殖されている海藻の株数、海藻の種類などの情報のことである。操作端末20は、これらの情報を受け付けて、ネットワーク50を介して、CO2吸収量評価装置10に送信する。また、操作端末20は、CO2吸収量評価装置10から出力された評価結果を、ネットワーク50を介して受信して、モニタなどに表示する。
【0015】
移動体30は、水中を移動可能に構成されている。例えば、移動体30は、空中を飛行可能なだけでなく水中を移動可能に構成されたドローンである。また、移動体30には、カメラ31及びLiDAR32が取り付けられている。そのため、移動体30は、カメラ31を用いて水中を撮影したり、LiDAR32を用いて水中を走査したりすることが可能である。移動体30は、カメラ31によって水中を撮影した画像や、LiDAR32によって水中を走査した結果を、ネットワーク50を介して、CO2吸収量評価装置10に送信する。
【0016】
CO2吸収量評価装置10は、評価対象の藻場におけるCO2吸収量を評価する装置である。具体的には、CO2吸収量評価装置10は、取得部11と、移動体制御部12と、計測部13と、算出部14と、出力部15と、を備える。
【0017】
取得部11は、操作端末20から送信された評価対象の藻場に関する情報を取得する。移動体制御部12は、取得部11によって取得された評価対象の藻場の位置情報等を参照して、移動体30を評価対象の藻場まで移動(飛行)させた後、移動体30に対して、カメラ31を用いて水中を撮影させたり、LiDAR32を用いて水中を走査させたりする。取得部11は、カメラ31によって水中を撮影した画像や、LiDAR32によって水中を走査した結果を、さらに取得する。
【0018】
計測部13は、まず、カメラ31によって水中を撮影した画像から、評価対象の藻場における一株当たりの海藻の正面の面積を計測する。計測部13は、また、LiDAR32によって水中を走査した結果から、評価対象の藻場における一株当たりの海藻の奥行き(海藻の厚み)を計測する。ここで、計測部13は、一株の海藻の正面の面積及び奥行きのそれぞれを計測してもよいし、2株以上の海藻のそれぞれの正面の面積及び奥行きから、一株当たりの海藻の正面の面積及び奥行きのそれぞれの平均値を計測してもよい。
【0019】
算出部14は、計測部13による計測結果に基づいて一株当たりの海藻の重量を算出するとともに、算出した一株当たりの海藻の重量と、評価対象の藻場において養殖されている海藻の株数と、に基づいて、評価対象の藻場における海藻によるCO2吸収量を算出する。なお、評価対象の藻場において養殖されている海藻の株数は、予め決まっている。
【0020】
出力部15は、算出部14によって算出されたCO2吸収量(評価結果)を出力する。出力部15から出力された情報(評価結果)は、例えば、ネットワーク50を介して、操作端末20に転送され、操作端末20のモニタに表示される。それにより、ユーザは、評価対象の藻場におけるCO2吸収量の評価結果を知ることができる。
【0021】
(CO2吸収量評価システム1の動作)
続いて、図1に加えて、図2図4を用いて、CO2吸収量評価システム1の動作を説明する。図2は、CO2吸収量評価システム1の動作を示すフローチャートである。図3は、評価対象の藻場A1を上空から撮影した画像の概略図である。図3に示すように、評価対象の藻場A1は、海岸付近の海中に設けられている。図4は、評価対象の藻場A1において養殖されている海藻101の一例を示す概略図である。
【0022】
CO2吸収量評価システム1において、CO2吸収量評価装置10は、まず、操作端末20等から送信された評価対象の藻場A1に関する情報を取得する(ステップS101)。その後、CO2吸収量評価装置10は、取得した藻場A1に関する情報に含まれる藻場A1の位置情報等を参照して、移動体30を藻場A1まで移動(飛行)させた後、移動体30に対して、カメラ31を用いて水中を撮影させたり、LiDAR32を用いて水中を走査させたりする(ステップS102)。CO2吸収量評価装置10は、カメラ31によって水中を撮影した画像や、LiDAR32によって水中を走査した結果を取得する(ステップS103)。その後、CO2吸収量評価装置10は、カメラ31によって水中を撮影した画像から、藻場A1における一株当たりの海藻の正面の面積を計測する(ステップS104)。また、CO2吸収量評価装置10は、LiDAR32によって水中を走査した結果から、藻場A1における一株当たりの海藻の奥行き(海藻の厚み)を計測する(ステップS105)。図4の例を参照すると、CO2吸収量評価装置10は、海藻101の正面(zx平面)の面積を計測するとともに、海藻101の奥行き(y方向の長さ)を計測する。その後、CO2吸収量評価装置10は、計測結果に基づいて一株当たりの海藻の重量を算出するとともに(ステップS106)、算出した一株当たりの海藻の重量と、藻場A1において養殖されている海藻の株数と、に基づいて、藻場A1における海藻によるCO2吸収量を算出する(ステップS107)。その後、CO2吸収量評価装置10は、算出したCO2吸収量に関する情報を出力する(ステップS108)。
【0023】
このように、本実施の形態にかかるCO2吸収量評価システム1は、カメラ31及びLiDAR32が取り付けられた移動体30を用いて、評価対象の藻場における海藻についての3次元的な情報を取得することにより、評価対象の藻場における海藻によるCO2吸収量を高精度に評価することができる。
【0024】
本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。本発明は、ブルーカーボン(海藻)の利用を促進させ、持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)やカーボンニュートラルに貢献するものである。
【0025】
また、本開示は、CO2吸収量評価システムの処理の一部又は全部を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することが可能である。
【0026】
上述したプログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、RAM(Random-Access Memory)、ROM(Read-Only Memory)、フラッシュメモリ、SSD(Solid-State Drive)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0027】
上記の実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0028】
(付記1)
カメラと、LiDAR(Light Detection And Ranging)と、前記カメラ及び前記LiDARが取り付けられ水中を移動可能に構成された移動体と、を用いた、評価対象の藻場における海藻によるCO2吸収量の評価方法であって、
前記カメラによって水中を撮影した画像から前記藻場における一株当たりの前記海藻の正面の面積を計測し、
前記LiDARによって水中を走査した結果から一株当たりの前記海藻の奥行きを計測し、
計測結果に基づいて一株当たりの前記海藻の重量を算出するとともに、算出した一株当たりの前記海藻の重量と、前記藻場における前記海藻の株数と、に基づいて、前記藻場における前記海藻によるCO2吸収量を算出する、
CO2吸収量の評価方法。
【0029】
(付記2)
カメラと、LiDAR(Light Detection And Ranging)と、前記カメラ及び前記LiDARが取り付けられ水中を移動可能に構成された移動体と、を用いた、評価対象の藻場における海藻によるCO2吸収量の評価をコンピュータに実行させる制御プログラムであって、
前記カメラによって水中を撮影した画像から前記藻場における一株当たりの前記海藻の正面の面積を計測する処理と、
前記LiDARによって水中を走査した結果から一株当たりの前記海藻の奥行きを計測する処理と、
計測結果に基づいて一株当たりの前記海藻の重量を算出するとともに、算出した一株当たりの前記海藻の重量と、前記藻場における前記海藻の株数と、に基づいて、前記藻場における前記海藻によるCO2吸収量を算出する処理と、
をコンピュータに実行させる制御プログラム。
【符号の説明】
【0030】
1 CO2吸収量評価システム
10 CO2吸収量評価装置
11 取得部
12 移動体制御部
13 計測部
14 算出部
15 出力部
30 移動体
31 カメラ
32 LiDAR
20 操作端末
50 ネットワーク
101 海藻
A1 藻場
図1
図2
図3
図4